(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】野菜切断加工装置及び野菜切断加工用保持容器
(51)【国際特許分類】
A23N 15/04 20060101AFI20230301BHJP
B26D 3/26 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A23N15/04
B26D3/26 605F
B26D3/26 605H
B26D3/26 605A
(21)【出願番号】P 2021166368
(22)【出願日】2021-10-08
【審査請求日】2021-11-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年6月23日から25日 ブロッコリー調整機の内覧会に出品
(73)【特許権者】
【識別番号】513126194
【氏名又は名称】株式会社アイ・ティ・エス
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 清史
【審査官】武市 匡紘
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-058194(JP,A)
【文献】登録実用新案第3016252(JP,U)
【文献】特開平08-336794(JP,A)
【文献】特開平07-107953(JP,A)
【文献】特開平09-262795(JP,A)
【文献】特開昭62-255097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 15/04
B26D 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路により所定の搬送方向に搬送される
花蕾野菜の一部を切断する野菜切断加工装置であって、
前記搬送方向に直交する、前記搬送路の幅方向に、前記
花蕾野菜の茎方向を揃えるように前記
花蕾野菜を保持する保持部と、
前記
花蕾野菜の前記幅方向の一方端側を位置決め
し、脇から前記花蕾野菜の葉を前記保持部からはみ出させる、前記保持部に設けられた
基準プレートと、
前記保持容器の前記幅方向他端側に形成される、前記花蕾野菜の足である茎部を高く保持する枕部と、
前記
花蕾野菜の、前記幅方向の他方端側
の前記茎部を
前記幅方向に押圧し、前記
花蕾野菜
の花蕾部を前記
基準プレート側に
押圧する押さえ手段と、
前記押さえ手段の、前記搬送方向下流側に配置され、前記保持部からはみ出した、前記
花蕾野菜の、前記幅方向の他方端側の一部を切断する切断手段と、
を有することを特徴とする野菜切断加工装置。
【請求項2】
請求項1記載の野菜切断加工装置であって、
前記基準
プレートは、前記保持部の開放部に
垂直に起立するように設けられたことを特徴とする野菜切断加工装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の野菜切断加工装置であって、
前記押さえ手段は、前記搬送方向に対して斜めに配置されて移動するベルトであることを特徴とする野菜切断加工装置。
【請求項4】
請求項3記載の野菜切断加工装置であって、
前記ベルトによる抑え手段は、スプリング機構により野菜の端部に対する付圧を調整できることを特徴とする野菜切断加工装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか記載の野菜切断加工装置であって、
前記野菜の保持部は、少なくとも前記搬送方向両側に側壁を有する保持容器であり、該保持容器は複数が前記搬送路上に固定されていることを特徴とする野菜切断加工装置。
【請求項6】
請求項
5記載の野菜切断加工装置であって、
前記枕部は、前記搬送方向
上流側にさらに高くなった段差を有し、前記切断手段により前記
花蕾野菜の茎部を切断する際に、前記段差が前記切断手段の付勢に抗して前記
花蕾野菜を保持することを特徴とする野菜切断加工装置。
【請求項7】
請求項1乃至
6のいずれか記載の野菜切断加工装置であって、
前記切断手段は、波歯を有する円盤カッターであることを特徴とする野菜切断加工装置。
【請求項8】
請求項1乃至
7のいずれか記載の野菜切断加工装置であって、
前記押さえ手段の、前記搬送方向下流側に配置され、前記基準手段より前記幅方向外側に突出する、前記幅方向の前記
花蕾野菜の一方端側の一部を切断する、前記搬送路近傍に設けられる第二の切断手段を、さらに有することを特徴とする野菜切断加工装置。
【請求項9】
搬送路により所定の搬送方向に
花蕾野菜を搬送する野菜切断加工装置に使用する野菜切断加工用保持容器であって、
前記保持容器は、前記搬送方向に直交する搬送路幅方向の両側に前記
花蕾野菜の一部が突出する開放部
と、
前記保持容器の前記幅方向他端側に形成され、前記花蕾野菜の足である茎部を高く保持する枕部と、を有し、
前記保持容器の一端の前記開放部には、他端の前記開放部から突出する前記
花蕾野菜の
茎部を
前記幅方向に押圧した際に前記
花蕾野菜の頭の端部に当接し位置決め
、脇から前記花蕾野菜の葉を前記保持部からはみ出させる基準プレートを有することを特徴とする野菜切断加工用保持容器。
【請求項10】
請求項
9記載の野菜切断加工用保持容器であって、
前記基準プレートは
前記開放部に垂直に起立するように形成されたことを特徴とする野菜切断加工用保持容器。
【請求項11】
請求項
10記載の野菜切断加工用保持容器であって、
前記枕部は、前記搬送方向
上流側に、さらに高くなった段差を有し、前記搬送路の近傍に設けられた切断手段により前記野菜の茎を切断する際に、前記段差が前記切断手段の付勢に抗して前記野菜を保持することを特徴とする野菜切断加工用保持容器。
【請求項12】
搬送路により所定の搬送方向に搬送される野菜の一部を切断する野菜切断加工装置であって、
前記搬送方向に直交する、前記搬送路の幅方向に、前記野菜の茎方向を揃えるように前記野菜を保持する保持部と、
前記野菜の、前記幅方向の一方端側を位置決めする基準手段と、
前記野菜の、前記幅方向の他方端側を押圧し、前記野菜を前記基準手段側に寄せる押さえ手段と、
前記押さえ手段の、前記搬送方向下流側に配置され、前記保持部からはみ出した、前記野菜の、前記幅方向の他方端側の一部を切断する切断手段と、
前記押さえ手段の、前記搬送方向下流側に配置され、前記基準手段より前記幅方向外側に突出する、前記幅方向の前記野菜の一方端側の一部を切断する、前記搬送路近傍に設けられる第二の切断手段と、
を有することを特徴とする野菜切断加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、市場への出荷にあたり、野菜の寸法を所定の長さに切りそろえる野菜切断加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
収穫した野菜が持ち込まれる各地農協の出荷作業場では、野菜を青物市場やまたは直接スーパーマーケットに出荷する場合、収穫した野菜は、そのサイズ規格管理や輸送管理のため、野菜の長さを一定に切りそろえる作業を行うことが一般に行われている。野菜の端部を切断する装置(調製装置)として、次のような従来技術が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-120545号
【文献】特開平09-094983号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の従来技術は、長ねぎ(A)の根本部(A1)を切断するための装置であって、作業者が目視で行う位置決めに際し、長ねぎ(A )の長手方向を位置決めする、位置決め手段(71)を有する。この特許文献1では、長ねぎ(A)は切断時に上下方向に押圧されて長手方向のずれを防止しているが、位置決めに、位置決め手段(71)を用いるものの、その位置合わせは作業者が行っており、その正確性は作業者の注意力に負っており、加工の生産性を向上させるうえでは課題が生じていた。
【0005】
次に、特許文献2の従来技術にでは、根菜類載置トレー(10)の人参(根部)(7)に対して根菜類移動ロール(13)により送り作用を与えることで、人参(7)の首部(9)がストッパ(14)に接して人参(7)の移動が阻止しされ、人参(7)の位置決めがなされる。そのうえで、根菜類載置トレー(10)の外側に突出する人参(7)の葉部(8)を、切断刃(17)により切断する構造が開示される。この構造によれば、野菜の長手方向の位置決めを自動で行うことができる。
【0006】
しかしながら、人参のようにある程度、側面の表面が均一な野菜であれば移動ロール(13)が機能して、ストッパ(14)側に根菜類野菜を寄せられるとしても、葉物野菜や花蕾野菜などでは、移動ロールと野菜側面の接触が十分ではなく、野菜を正確な位置に位置決めできないという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明の野菜切断加工装置によれば、野菜の搬送方向に直交する方向において、野菜の一方端側を位置決めする基準手段と、野菜の前記幅方向の他方端側を押圧することで、前記野菜を前記基準手段側に寄せる押さえ手段とにより、野菜の切断加工作業における切断位置を確実なものとすることができる野菜切断加工装置を提供することにある。
【0008】
また、同様に野菜切断加工作業において、野菜の搬送方向に直交する方向において、野菜の位置決めを確実なものとすることができる野菜切断加工用保持容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の野菜切断加工装置は、搬送路により所定の搬送方向に搬送される花蕾野菜の一部を切断する野菜切断加工装置であって、前記搬送方向に直交する、前記搬送路の幅方向に、前記花蕾野菜の茎方向を揃えるように前記花蕾野菜を保持する保持部と、前記花蕾野菜の前記幅方向の一方端側を位置決めし、脇から前記花蕾野菜の葉を前記保持部からはみ出させる、前記保持部に設けられた基準プレートと、前記保持容器の前記幅方向他端側に形成される、前記花蕾野菜の足である茎部を高く保持する枕部と、 前記花蕾野菜の、前記幅方向の他方端側の前記茎部を前記幅方向に押圧し、前記花蕾野菜の花蕾部を前記基準プレート側に押圧する押さえ手段と、前記押さえ手段の、前記搬送方向下流側に配置され、前記保持部からはみ出した、前記花蕾野菜の、前記幅方向の他方端側の一部を切断する切断手段とを有することを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を達成するための本発明の野菜切断加工保持容器は、搬送路により所定の搬送方向に花蕾野菜を搬送する野菜切断加工装置に使用する野菜切断加工用保持容器であって、前記保持容器は、前記搬送方向に直交する搬送路幅方向の両側に前記花蕾野菜の一部が突出する開放部と、前記保持容器の前記幅方向他端側に形成され、前記花蕾野菜の足である茎部を高く保持する枕部と、を有し、前記保持容器の一端の前記開放部には、他端の前記開放部から突出する前記花蕾野菜の茎部を前記幅方向に押圧した際に前記花蕾野菜の頭の端部に当接し位置決め、脇から前記花蕾野菜の葉を前記保持部からはみ出させる基準プレートを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の野菜切断加工装置、或いは野菜切断加工保持容器によれば、野菜の搬送方向に直交する方向において、野菜の位置決めを確実なものとし、切断を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態の野菜切断加工装置の平面図である。
【
図2】同実施形態の野菜切断加工装置の側面図である。
【
図3】同実施形態の野菜切断加工装置の斜視図である。
【
図4】(A)は同実施形態の基準手段たる基準プレートと、抑え手段たる押圧手段たる押圧ベルトを示す平面図であり、(b)は同基準プレートと押圧ベルトを示す側面図である。
【
図5】(A)は同実施形態の野菜切断加工用保持容器の平面図、(b)は同実施形態の野菜切断加工用保持容器の側面図、(c)は同実施形態の野菜切断加工用保持容器の正面図である。
【
図6】同実施形態の野菜切断加工用保持容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(野菜切断加工装置の全体構成)
本発明にかかる野菜切断加工装置(以下、加工装置という)1の実施形態について、その全体構成を、
図1乃至
図3を用いて説明する。加工装置1は、収穫したブロッコリーやカリフラワーなどの花蕾野菜Aのサイズを、市場に出荷する前に端部を切断して所定の長さに調製する加工装置である。
【0014】
図1乃至
図3に示す加工装置1は、搬送方向Xに移動する搬送手段たるコンベア2を有する。このコンベア2は環状のベルト20を搬送方向X上流側の従動ローラ22と、同下流側の駆動ローラ23にかけ渡してなり、ベルト20の表面には、所定間隔を置いて配置した2列のラックチェーン21、21を敷設しており、モータ24で駆動ローラ23を駆動させることによりラックチェーン21、21を移動させる構造となっている。
【0015】
コンベア2のラックチェーン21、21には、花蕾野菜Aの保持部たる野菜切断加工用保持容器(以下、保持容器という)3を所定間隔を置いて複数固定している。それぞれの保持容器3は、上方へ開いたバケット形状を有し、また、その搬送方向Xに対する幅方向の両端側も、花蕾野菜Aを置いた際に一部が外へはみ出すように開口している。そして、そのうちの一端側(搬送方向Xの左側)に、垂直に起立した基準手段たる基準プレート4が取り付けられている。
【0016】
また、コンベア2の搬送方向下流部には、保持容器3から、搬送方向Xの右側にはみ出す花蕾野菜Aの茎部を押圧し、基準プレート4側に寄せる、押さえ手段たる側方ベルト押さえ装置5を有する。また、花蕾野菜Aの茎部の端部を切断する切断手段6Aと、花蕾野菜Aの保持容器3の基準プレート4側からはみ出す葉部を切断する切断手段6Bを有する。
【0017】
さらに加工装置1は、側方ベルト押さえ装置5の搬送方向Xの下流側に、上記切断装置6A、6Bで花蕾野菜Aを切断する際にこれを上方から押さえる、上方ベルト押さえ装置7を有している。また、加工装置1は、切断手段6A、6Bの下方には、切断された花蕾野菜Aの端材を排出する排出口8を有している。
【0018】
この加工装置1を稼働させる際は、複数の作業員Wが搬送方向Xの上流側側方に立ち、別途、図示しない搬送装置により運ばれてくる花蕾野菜Aを、順次、空の状態で移動してくる保持容器3に載せていく。この際、保持容器3の、コンベア2の幅方向両側から花蕾野菜Aの端部は、一部が保持容器3の外にはみ出すことになる。
【0019】
保持容器3が花蕾野菜Aを載せてコンベア2により搬送方向Xの下流側に進むと、コンベア2の幅方向一端側に配置された側方ベルト押圧装置5が保持容器3からはみ出した花蕾野菜Aの端部、具体的には茎部の端部を同幅方向の他端側に押し付ける。このため、保持容器3内の花蕾野菜Aは、その他端、例えば花蕾野菜であれば花蕾の頂部が、基準プレート4側に押し付けられ、コンベア2の幅方向において花蕾野菜Aは保持容器3の中で確実に位置決めがなされる。
【0020】
この状態で、保持容器3が搬送方向Xの下流側に搬送されると、上方ベルト押圧装置7が保持容器3の花蕾野菜Aを上方から押さえこみ、花蕾野菜Aは動かない状態で、保持容器3の両端から外へはみ出た花蕾野菜Aの端部、具体的には花蕾野菜Aの茎と花蕾野菜Aの葉端が、その下流側の切断装置6A、6Bによりを切断される。
【0021】
以上のように、切断された花蕾野菜Aは、基準プレート4と側方ベルト押圧装置5とにより、保持容器3内で正確に位置決めされたうえで、切断装置6Aにより端部が切断されるために、市場に出荷する際に決められた寸法に花蕾野菜Aのサイズが調整されることになる。
【0022】
(側方ベルト押さえ装置の構造)
図4(A)及び(b)を用いて、側方ベルト押さえ装置5の構造を以下説明する。同装置5は、所定の幅を有する可撓性のあるベルト51を、駆動ローラ52と二つの従動ローラ53、54に巻きかけて構成しており、モータ55が駆動ローラ52を駆動することでベルト51を循環させる。
【0023】
2つの従動ローラ53、54間に位置するベルト51は花蕾野菜Aの茎部の端部に接触してこれを反対側に押圧する押圧ベルト面5xを構成する。この側方ベルト押さえ装置5は、図示しないスプリング機構により花蕾野菜Aに対する付圧を調整できるようになっている。そして、この押圧ベルト面5xは、コンベア2の搬送方向Xに対して鋭角をもって交差するように配置されており、保持容器3からの花蕾野菜Aの突出長さの凸凹は、ベルト51の撓みにより吸収し、それ以上に突出量が大きいときは、前記したスプリング機構による付勢の調整幅で押圧ベルト面5xは駆動ローラ52を中心に反対方向に回動、後退して、花蕾野菜Aに過度の負荷を与えない構造となっている。
【0024】
押圧ベルト面5xにおけるベルト51の移動方向Yは、角度がついているもののコンベア2の搬送方向Xに対して順方向であり、それぞれの移動速度をそろえるように調整することによって、保持容器3により搬送されてくる花蕾野菜Aの茎部の端部に接触しても花蕾野菜Aには基準プレートA方向への押圧力だけが円滑に与えられ、ベルト51との摩擦により花蕾野菜Aの姿勢を変えてしまうことを防止することができる。
【0025】
(切断装置の構造)
同様に
図4(A)及び(b)を用いて、切断手段たる切断装置6A、6Bの構造を以下説明する。切断装置6Aは花蕾野菜Aの茎部を切断する第一切断手段(切断手段)であり、切断装置6Bは花蕾野菜Aの葉部を切断する第二切断手段である。切断装置6A、6Bはそれぞれ同径を有する円盤カッター61、61を、所定間隔を置いて回転軸62に同芯状に並列固定したものである。回転軸62は、コンベア2近傍に配置されるモータ63により回転する。
【0026】
切断装置6Aはコンベア2の搬送方向Xの右側に配置されて花蕾野菜Aの茎部の端部を切断し、切断装置6Bは同方向の左側に配置されて花蕾野菜Aの葉部の端部を切断する。それぞれの円盤カッター61、61は全周に刃が形成されているが、この刃は通常の丸刃または鋸刃ではなく先鋭点のない波刃である。このため、切断作業の際、花蕾野菜Aを搬送方向Xと反対方向に押圧し、後述する保持容器3の段差33に花蕾野菜Aの茎部を押し付けて、これを押し切りすることができる。また、花蕾野菜Aの葉部の切断についても波刃が確実に食い込んで切断することができ、切断面の良好な切断作業を行うことができる。
【0027】
花蕾野菜Aのサイズの調整は、花蕾野菜Aの花蕾部の頂部から茎部の端部までの長さで設定される。このため、この所定長さLは、搬送方向Xの幅方向における、保持容器3の基準プレート4(あるいは切断装置6B)と切断装置6Aとの距離となり、一例として17cmとして設定される。
【0028】
なお、切断された花蕾野菜Aの茎部A1の端材A1xと葉部A3の端材A3xは、切断装置6A、6Bの下方に配置される排出口8に落下し、廃棄処理される。
【0029】
(上方ベルト押さえ装置の構造)
同様に
図4(A)及び(b)を用いて、上方ベルト押さえ装置7の構造を以下説明する。同装置7は、側方ベルト押さえ装置5と略同様の構造を有しており、可撓性のあるベルト71を、駆動ローラ72と二つの従動ローラ73、74に架け渡し、モータ75が駆動ローラ72を駆動することでベルト71を循環させる。
【0030】
花蕾野菜Aに当接する位置において、ベルト71の循環方向Zは、花蕾野菜Aの上面に接触する位置においてコンベア2の搬送方向Xに対して順方向であり、それぞれの移動速度をそろえることで、保持容器3により搬送されてくる花蕾野菜Aとの間で摩擦が生じることがなく、花蕾野菜Aを傷つけることはない。
【0031】
上方ベルト押さえ装置7は、切断装置6A、6Bの2つの丸鋸61、61の間に配置され、これら丸鋸61、61が花蕾野菜Aを切断する際に、これを上方から押さえる。この際、花蕾野菜Aの厚みにばらつきがあっても、ベルト71の撓みがこれを吸収する。また、それ以上に厚みのばらつきが大きいときもベルト71を、駆動ローラ72を中心に反対方向に回動して後退してこれを逃がすことは、側方ベルト押さえ装置5と同様である。
【0032】
(保持容器の構造)
図5及び
図6(A)乃至(c)を用いて、保持容器3の構造を以下説明する。保持容器3は、上方が開放された金属製のバケットであって、図示しない係合部により、
図1乃至
図4で示したコンベア2のラックチェーン21、21に固定される。
【0033】
図5に示すように、保持容器3は底面30の、搬送方向X前後の両側から側壁31、31を起立さており、この側壁31は傾斜がついた下壁31Aと垂直に立ち上がる上壁31bとによって構成される。また、搬送方向Xの右側の側部には、後述するように花蕾野菜Aの茎部A1を載せるため、底面30より高くなった枕部たる枕プレート32が取り付けられているが、その上方は開放部3xとなっている。
【0034】
また、枕プレート32の水平部32aの両側には、搬送方向Xの上流側が一部高くなって段差33が形成されており、同搬送方向Xの下流側は徐々に高くなる傾斜部34が形成されている。
【0035】
同搬送方向Xの左側は大きく開放部3xが形成されるが、その中央にスティック状の基準プレート4が取り付けられている。この基準プレート4は、保持容器3の底部30から垂直に立ち上がる垂直片41と、底部30の下面に溶接等により固定される固定片41とから構成される(
図6(b)参照)。
【0036】
図6(A)乃至(c)を用いて、保持容器3に花蕾野菜Aを載せた状態を説明する。上述したように、ブロッコリーやカリフラワーなどの花蕾野菜Aは、その足である茎部A1と、主として食用となる花蕾野菜Aの頭である花蕾部A2とを有し、さらに葉部A3が花蕾部A2を囲む。この花蕾野菜Aを、花蕾部A2を基準プレート4側にして、保持容器3の上方から投入すると、側壁31の傾斜部31Aと枕プレート32の傾斜部34の案内により花蕾野菜Aは底部30に収まり、茎部A2は枕プレート32の水平部32aの上に載置される。
【0037】
このとき、花蕾野菜Aの花蕾部A2は頂部A2xを基準プレート4に押さえられて保持容器3内に収まり、一方、茎部A1の一部と、葉部A3の一部は左右の開放部3x、3xから外側にはみ出す。基準プレート4側の開放部3xは基準プレート4があっても両脇が開いており、この開放部3xを通して葉部A3が保持容器3の外側に突出する。
【0038】
また、花蕾部A2は茎部A1に比べて径(横に倒したときには厚み)が大きいため平面上に載置したときには茎部A1が傾斜してしまうが、底部30より一段高くなった枕プレート32の水平部32aの上に茎部A1を載せることによって、
図6(c)に示すように茎部A1を水平に保つことができる。
【0039】
このように、保持容器3からはみ出した茎部A1と葉部A3の一部は上述したように切断装置6A、6Bにより切断され、端材A1x、A3xとして処理される。この際、切断装置6Aの丸鋸61が搬送方向Xと反対方向に茎部A1を押したとしても、段差33が茎部A1の移動を止めて、押し切りを円滑に行う。また、上述のように枕プレート32によって茎部A1は水平に保たれているために、茎部A1を垂直に切断することができる。
【0040】
以上のように、本実施形態の野菜切断加工装置によれば、花蕾部が茎部に対して大きく、横に置いた際に傾斜しがちで、かつ葉部が周囲を囲む花蕾野菜Aであっても、円滑かつ確実にサイズ調製作業を行うことができる。
【0041】
(その他の実施形態)
本実施形態の加工装置1では、搬送路をベルト20やラックチェーン21を架け渡したコンベア2としたが、本発明の野菜切断加工装置の搬送路はこれに限られるものではなく、例えば保持容器を直接連結してこれを駆動ローラと従動ローラに架け渡す構造とすることもできる。また、本実施形態では、野菜の保持部をバケット状の保持容器としたが、これに限らず、例えばコンベア2のベルト20上に直接側壁を設けることで区切り、それぞれの区画を野菜の保持部とするような構造でもよい。
【0042】
また、本実施形態の加工装置1では、野菜の一端を突き当てる基準手段をそれぞれの保持容器3に縦に起立する基準プレート4として設置したが、基準プレート4を横方向に架け渡して配置してもよく、他に、保持容器3内ではなく、保持容器3を搬送するコンベア2の側面に長尺の側壁を設けてこれを基準面としてもよい。
【0043】
また、本実施形態加工装置1では、加工対象の野菜を花蕾野菜Aとし、2つの切断装置6A、6Bを用いて両端を切断したが、野菜が異なる場合、切断装置は基準手段の反対端側に設ける1つの切断装置で一つの端部を切断する構成でもよい。加えて、本実施形態では切断手段として円盤カッター61を用いたが、他にギロチン刃のような押切り式のカッターを選択することもできる。
【0044】
さらに、本実施形態では、基準手段側に野菜を寄せる押圧手段を、ベルト回転式の側方ベルト押さえ装置としたが、これに限られず、例えばより弾性をもって徐々に搬送路の幅を狭める、単純なガイド面のようなものであってもよい。
【0045】
押さえ手段は、側方ベルト押さえ装置としたが、花蕾野菜Aの他方端を付勢して基準プレート4側に寄せる手段であればよく、花蕾野菜Aが搬送されるタイミングに同期してエアを吹き付けるエア駆動やカム機構を利用したメカ駆動の構造としてもよい。
【0046】
また、本実施形態の加工装置1で加工する野菜Aは、両端を切断加工する花蕾野菜Aの他、葉部側の一端のみを切断加工する構成とすれば、大根、人参などの根菜類やトウモロコシ等、多様な野菜の切断加工に応用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 野菜切断加工装置(加工装置)
2 コンベア
3 野菜の保持部
3x 開放部
32 枕プレート(枕部)
33 段差
4 基準プレート(基準手段)
5 側方ベルト押さえ装置(押さえ手段)
6A 切断手段(第一の切断手段)
6B 第二の切断手段
61 円盤カッター
A 花蕾野菜(野菜)
A1 茎部
A2 花蕾部
A3 葉部
【要約】
【課題】 野菜の切断加工作業における切断位置を確実なものとすること。
【解決手段】搬送路により所定の搬送方向に搬送される野菜の一部を切断する野菜切断加工装置であって、前記搬送方向に直交する、前記搬送路の幅方向に、前記野菜の茎方向を揃えるように前記野菜を保持する保持部と、前記野菜の、前記幅方向の一方端側を位置決めする基準手段と、前記野菜の、前記幅方向の他方端側を押圧し、前記野菜を前記基準手段側に寄せる押さえ手段と、前記押さえ手段の、前記搬送方向下流側に配置され、前記保持部からはみ出した、前記野菜の、前記幅方向の他方端側の一部を切断する切断手段と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図4