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特許7235376疑似プレイヤキャラクタ制御装置、疑似プレイヤキャラクタ制御方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】疑似プレイヤキャラクタ制御装置、疑似プレイヤキャラクタ制御方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20230301BHJP
【FI】
G06T19/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022566398
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 JP2022032461
【審査請求日】2022-10-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504123166
【氏名又は名称】有限会社 アドリブ
(74)【代理人】
【識別番号】100108604
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 義人
(72)【発明者】
【氏名】加畑 健志
【審査官】山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-205370(JP,A)
【文献】特開2010-110622(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0197811(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0354759(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザそれぞれに操作されるキャラクタである複数のプレイヤキャラクタがその内部に存在する仮想三次元空間を構築する機能を有しており、前記仮想三次元空間を構築する空間構築部と、複数の前記プレイヤキャラクタのそれぞれを操作するためのデータである操作データを、各ユーザが操作するユーザ端末からインターネットを介して受付ける受信部と、前記受信部で受付けた前記操作データに基づいて前記プレイヤキャラクタを前記仮想三次元空間内で動作させるキャラクタ制御部とを備えているメタバース管理装置、と組合わせて用いられるものであり、前記仮想三次元空間内で疑似プレイヤキャラクタを制御する機能を有する疑似プレイヤキャラクタ制御装置であって、
前記メタバース管理装置から、前記仮想三次元空間内における前記疑似プレイヤキャラクタの周囲の環境についてのデータである環境データを取得する取得部と、
前記疑似プレイヤキャラクタの動作パターンについてのデータとして、前記環境データを入力した場合に、当該環境データが示す環境に相応しい前記疑似プレイヤキャラクタの動作を出力する人工知能である動作人工知能を、前記疑似プレイヤキャラクタ毎に記録した動作パターン記録部と、
前記疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を決定するようになっており、前記取得部から受取った前記環境データを、前記動作パターン記録部に記録された前記動作人工知能に入力した場合に、前記動作人工知能から出力される動作を、当該環境データが示す環境に相応しい前記疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作として決定するようになっている動作決定部と、
前記動作決定部によって決定された前記疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を、前記疑似プレイヤキャラクタに行わせるデータである疑似操作データを、前記操作データと同じデータ形式で作成する疑似操作データ生成部と、
前記疑似操作データを、前記インターネットを介して前記メタバース管理装置の前記受信部に送信する送信部と、
を有しているとともに、
前記動作パターン記録部には、前記疑似プレイヤキャラクタ毎に、当該疑似プレイヤキャラクタが動作したときに生成された前記環境データに基づいて、前記疑似プレイヤキャラクタの周囲の環境についての履歴を記録する履歴記録部が設けられており、
前記動作決定部は、前記疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を決定する際に、前記履歴記録部に記録された前記履歴に基づいて前記疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を決定するようになっている、
疑似プレイヤキャラクタ制御装置。
【請求項2】
前記動作人工知能は、前記環境データと、当該環境において前記プレイヤキャラクタが採用した動作とを教師データとして事前に学習を行うことによって得られた学習済みの人工知能である、
請求項記載の疑似プレイヤキャラクタ制御装置。
【請求項3】
前記環境データには、前記疑似プレイヤキャラクタと会話を行っているプレイヤキャラクタとの会話内容が含まれている、
請求項1又は2記載の疑似プレイヤキャラクタ制御装置。
【請求項4】
前記動作パターン記録部には、所定の動作人工知能を記録することができるようになっている、
請求項記載の疑似プレイヤキャラクタ制御装置。
【請求項5】
前記メタバース管理装置は複数であり、
前記疑似操作データ生成部は、前記疑似操作データが送信される前記メタバース管理装置それぞれがそれらの前記受信部で受付けることが予定された前記操作データのデータ形式と同じデータ形式の前記疑似操作データを生成するようになっている、
請求項1記載の疑似プレイヤキャラクタ制御装置。
【請求項6】
複数のユーザそれぞれに操作されるキャラクタである複数のプレイヤキャラクタがその内部に存在する仮想三次元空間を構築する機能を有しており、前記仮想三次元空間を構築する空間構築部と、複数の前記プレイヤキャラクタのそれぞれを操作するためのデータである操作データを、各ユーザが操作するユーザ端末からインターネットを介して受付ける受信部と、前記受信部で受付けた前記操作データに基づいて前記プレイヤキャラクタを前記仮想三次元空間内で動作させるキャラクタ制御部とを備えているメタバース管理装置、と組合わせて用いられるものであり、前記仮想三次元空間内で疑似プレイヤキャラクタを制御する機能を有する疑似プレイヤキャラクタ制御装置であり、情報処理を実行する制御部と、前記インターネットを介して前記メタバース管理装置に所定のデータを送信する送信部、を備えているものの前記制御部にて実行される方法であって、
前記メタバース管理装置から、前記仮想三次元空間内における前記疑似プレイヤキャラクタの周囲の環境についてのデータである環境データを取得する取得過程と、
前記疑似プレイヤキャラクタの動作パターンについてのデータとして、前記環境データを入力した場合に、当該環境データが示す環境に相応しい前記疑似プレイヤキャラクタの動作を出力する人工知能である動作人工知能を、前記疑似プレイヤキャラクタ毎に記録した動作パターン記録部に記録する記録過程と、
前記取得過程で取得された前記環境データを、前記動作パターン記録部に記録された前記動作人工知能に入力した場合に、前記動作人工知能から出力される動作を、当該環境データが示す環境に相応しい前記疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作として決定する動作決定過程と、
前記動作決定過程によって決定された前記疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を、前記疑似プレイヤキャラクタに行わせるデータである疑似操作データを、前記操作データと同じデータ形式で作成する疑似操作データ生成過程と、
前記疑似操作データを、前記送信部を介して、前記インターネットを介して前記メタバース管理装置の前記受信部に送信する送信過程と、
前記動作パターン記録部に、前記疑似プレイヤキャラクタ毎に、当該疑似プレイヤキャラクタが動作したときに生成された前記環境データに基づいて、前記疑似プレイヤキャラクタの周囲の環境についての履歴を記録する履歴記録過程と、
を含んでいるとともに
前記動作決定過程では、前記疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を決定する際に、前記動作パターン記録部に記録された前記履歴に基づいて前記疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を決定するようになっている、
疑似プレイヤキャラクタ制御方法。
【請求項7】
複数のユーザそれぞれに操作されるキャラクタである複数のプレイヤキャラクタがその内部に存在する仮想三次元空間を構築する機能を有しており、前記仮想三次元空間を構築する空間構築部と、複数の前記プレイヤキャラクタのそれぞれを操作するためのデータである操作データを、各ユーザが操作するユーザ端末からインターネットを介して受付ける受信部と、前記受信部で受付けた前記操作データに基づいて前記プレイヤキャラクタを前記仮想三次元空間内で動作させるキャラクタ制御部とを備えているメタバース管理装置、と組合わせて用いられるものであり、前記仮想三次元空間内で疑似プレイヤキャラクタを制御する機能を有する疑似プレイヤキャラクタ制御装置として、所定のコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記メタバース管理装置から、前記仮想三次元空間内における前記疑似プレイヤキャラクタの周囲の環境についてのデータである環境データを取得する取得部と、
前記疑似プレイヤキャラクタの動作パターンについてのデータとして、前記環境データを入力した場合に、当該環境データが示す環境に相応しい前記疑似プレイヤキャラクタの動作を出力する人工知能である動作人工知能を、前記疑似プレイヤキャラクタ毎に記録した動作パターン記録部と、
前記疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を決定するようになっており、前記取得部から受取った前記環境データを、前記動作パターン記録部に記録された前記動作人工知能に入力した場合に、前記動作人工知能から出力される動作を、当該環境データが示す環境に相応しい前記疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作として決定するようになっている動作決定部と、
前記動作決定部によって決定された前記疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を、前記疑似プレイヤキャラクタに行わせるデータである疑似操作データを、前記操作データと同じデータ形式で作成する疑似操作データ生成部と、
前記疑似操作データを、前記インターネットを介して前記メタバース管理装置の前記受信部に送信する送信部と、
して機能させるためのものであり
前記動作パターン記録部には、前記疑似プレイヤキャラクタ毎に、当該疑似プレイヤキャラクタが動作したときに生成された前記環境データに基づいて、前記疑似プレイヤキャラクタの周囲の環境についての履歴を記録する履歴記録部が設けられており、
前記動作決定部は、前記疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を決定する際に、前記履歴記録部に記録された前記履歴に基づいて前記疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を決定するようになっている、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタバース管理装置が生成する仮想三次元空間内に、従来から存在した、人間であるユーザが操作してその動作を制御するキャラクタであるプレイヤキャラクタ、メタバース管理装置がその動作を制御するキャラクタであるノンプレイヤキャラクタ以外の新たなキャラクタを登場させ、その動作を制御するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
メタバースは、正確な定義は未だ不定ではあるものの一般的には、コンピュータシステムが構築する仮想三次元空間、或いは仮想三次元空間をユーザに提供するサービスを意味する。仮想三次元空間は、メタバース管理装置により生成される。
メタバースにおける仮想三次元空間は、例えば地球上に存在する街を模したものとすることができ、ユーザは、自分の化身であるキャラクタを仮想三次元空間内に送り込むことにより、メタバースにおける仮想三次元空間内で自らが望む動作を行う(或いは、自分が操作するキャラクタに自らが望む動作を行わせる)ことができる。その動作は人間が行える動作に倣ったものであり、例えば、他のキャラクタとの対話であったり、仮想三次元空間内の移動であったりする。
近年のコンピュータシステムの進歩により、メタバースの利用が容易になってきており、それに伴い、従来は、遊び、ゲームの延長が主であったメタバースの用途が、商業利用に傾きつつある。
例えば、メタバースにおける仮想三次元空間内で特定の企業が自社製品・自社サービスの販売促進を行うといった商業利用が実用化されている。中には、仮想三次元空間内に多数の企業がそれぞれ出店したブース多数を構築し、そこを訪れた人(プレイヤキャラクタ)に対して各企業の製品・サービスの紹介を行うといった、仮想三次元空間において大規模な仮想の展示会を開催する試みもなされている。
【0003】
従来のメタバースにおける仮想三次元空間内には通常、各ユーザが操作するキャラクタが存在する。各ユーザが操作するキャラクタはプレイヤキャラクタと称されることがあるため、本願では、そのようなキャラクタを「プレイヤキャラクタ」と称することとする。プレイヤキャラクタは通常、ユーザが選択、作成等したアバターである。ユーザは、プレイヤキャラクタを三次元空間内で動作させるための動作データを自分が操作するユーザ端末(デスクトップ型パソコン、ノートブック型パソコン、スマートフォン、タブレット、据え置き型ゲーム専用機等)から、インターネットを介してメタバース管理装置に送る。その動作データに基づいてメタバース管理装置がプレイヤキャラクタを動作させる。それにより、ユーザは、自分の思う通りに自己のプレイヤキャラクタを操作することができるようになっている。
他方、従来のメタバースにおける仮想三次元空間内には、ユーザが操作しないキャラクタも存在する。そのようなキャラクタは一般にノンプレイヤキャラクタと称されるため、本願でもそのようなキャラクタを「ノンプレイヤキャラクタ」と称することとする。ノンプレイヤキャラクタは、メタバース管理装置の管理下におかれたキャラクタである。ノンプレイヤキャラクタは、メタバース管理装置に実装されたコンピュータプログラムの機能により、予め定められた動作を行うようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上に例示したようなメタバースの商業利用がなされる場合を考える。
その場合、メタバースにおける仮想三次元空間内のプレイヤキャラクタの傍には、そのプレイヤキャラクタに対して、商品・サービスの販売促進を行うためのキャラクタを存在させる必要がある。そのキャラクタは販売促進の効果を重視するのであれば、販売促進を行おうとする企業の管理下にあるプレイヤキャラクタとするのが好ましい。
そうすることにより、顧客或いは顧客候補であるユーザが操作するプレイヤキャラクタからの質問に対して、企業の例えば社員によって操作されるプレイヤキャラクタが適切な回答を行うことができるようになる。また、顧客或いは顧客候補であるユーザが操作するプレイヤキャラクタを、企業の例えば社員によって操作されるプレイヤキャラクタが、展示会中の適切なブースに案内することが可能となる。
プレイヤキャラクタに対してプレイヤキャラクタを用いて提供される上述の如き接客は、それが仮想三次元空間内で行われていることを除けば、人対人の接客とそれほど変わらず、きめ細かな対応が可能となる。
このような利点があるものの、ユーザのプレイヤキャラクタに対して接客を行う企業の社員等が操作を行うプレイヤキャラクタを準備することは、企業側の負担が大きい。というのも接客を行うプレイヤキャラクタの数が増えれば、基本的にはプレイキャラクタと同数のプレイヤキャラクタを操作する人員を確保しなければならなくなるからである。メタバースを商業利用する場合には、商品・サービスの売上の向上を図ることが企業の第1の狙いとなるが、それと同時に経費の削減も狙いとなる。多数の人員を確保しなければメタバースを商業利用できないというのであれば、企業の社員等が操作を行うプレイヤキャラクタを用いてユーザが操作するプレイヤキャラクタに対して接客を行う意味が減じられる。
【0005】
そのような点を考慮して、ユーザが操作するプレイヤキャラクタに対して、メタバース管理装置の管理下にあるノンプレイヤキャラクタに接客を行わせることが考えられる。ノンプレイヤキャラクタは、メタバース管理装置が動作させるものであるため、ユーザのプレイヤキャラクタに接客を行わせるための人員確保が不要となる。
とはいえ、ノンプレイヤキャラクタは予めメタバース管理装置にインストールされたコンピュータプログラムの機能或いは命令によって制御される。したがって、ノンプレイヤキャラクタに関するコンピュータプログラムを作成するのは、メタバース管理装置の管理者となる。しかしながら、例えばノンプレイヤキャラクタが接客を行う場合、そのプレイヤキャラクタにどのような動作を行わせるのが好ましいのかということを、メタバース管理装置の管理者は一般に知らない。したがって、そのようなメタバース管理装置の管理者が作成したコンピュータプログラムによって制御されるノンプレイヤキャラクタの動作の質を十分に高くするのは難しい。
そのような状況下で、ノンプレイヤキャラクタの動作の質を上げようとすると、コンピュータプログラムを作成するためのコストが過大となりやすい。
また、メタバース、或いはそれを管理するメタバース管理装置には多くの種類(多くの企業がメタバースのサービスを提供している。)があり、各メタバース管理装置ごとに操作データのデータ形式や、メタバースを構築するために各メタバース管理装置で用いられるプログラム言語が異なるなどの差異があるため、多数のメタバースの仮想三次元空間内において同じノンプレイヤキャラクタを動作させるにしても、ノンプレイヤキャラクタを動作させるためのコンピュータプログラムを各メタバース管理装置毎に作成しなければならなくなるのが通常であり、これもコストを押し上げる。
【0006】
つまり、メタバース内で、ユーザの操作するプレイヤキャラクタと接触するキャラクタとしてノンプレイヤキャラクタを選択してある程度質の高い動作を行わせるのが難しく、また、人間が操作するプレイヤキャラクタを多数準備するよりはコストを下げることが可能かもしれないが、コスト抑制の効果は限定的である。
その一方で、ユーザの操作するプレイヤキャラクタと接触するキャラクタとして、ある程度質の高い動作を行え、且つその作成等に必要なコストを下げることのできる、プレイヤキャラクタでもなくノンプレイヤキャラクタでもない新たなキャラクタをメタバースの仮想三次元空間内に登場させることができるのであれば、メタバースの可能性は大きく広がる。
そのようなキャラクラは、上述したごとき接客を主とした商業利用への応用も可能であるが、その他の用途への応用も可能だからである。
例えば、メタバースの分野では、ユーザが、自らのプレイヤキャラクタを仮想三次元空間に入れては見たものの、仮想三次元空間のどこに何があるのか、何を行うことができるのかわからないから、ユーザが仮想三次元空間を楽しむことができないという課題がしばしば指摘されている。これは現実世界で例えれば、ガイドブックもなしに見知らぬ街に一人で降り立った人が、ときに途方にくれてしまうという状態である。ユーザが操作するプレイヤキャラクタを仮想三次元空間内で案内するキャラクタが存在すればそのような課題を解決できる。そのようなキャラクタとして上述の新たキャラクタを利用することができ、更にそのキャラクタが、ユーザの好みやそのときの気分に合わせた案内を行うのであれば、メタバースのサービスを利用するユーザにとって大きな助けになるし、メタバースの利用者を増やすことにもつながる。
また、メタバースの三次元空間内で、ユーザが操作するプレイヤキャラクタと、例えば行動を共にし、或いは単なる話し相手となってくれるキャラクタにも、上述の如き新たなキャラクタは応用可能である。しかも、ユーザが操作するプレイヤキャラクタと行動する新たなキャラクタがそのユーザの好みや性格に応じた動作をしてくれるのであれば、ユーザの満足度は上がるであろう。特に、ユーザが操作するプレイヤキャラクタと行動を行うキャラクタが仮にいつも同じキャラクタなのであれば、そのキャラクタはもはや、単なる案内人や話し相手の範疇を超えて、ユーザの或いはユーザが操作するプレイヤキャラクタの友達と同一視することができることになるであろう。
【0007】
プレイヤキャラクタでもノンプレイヤキャラクタでもない上述の如きキャラクタは、上述の如き様々な用途に応用可能であり、メタバースの普及に大きく貢献することが期待される。
しかしながら、現状メタバースにおける仮想三次元空間に登場させることのできるキャラクタは、プレイヤキャラクタとノンプレイヤキャラクタに限られており、それら以外のキャラクタを実現するための現実的な方法は知られていない。
本願は、メタバース管理装置が生成する仮想三次元空間内に、プレイヤキャラクタ、ノンプレイヤキャラクタ以外の、メタバース管理装置の管理者以外の者が生成したある程度動作の質が高く、その作成に対するコストを抑制できる新たなキャラクタを登場させ、その動作を制御するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するものとして、本願発明者は以下の発明を提案する。なお、メタバース管理装置が生成する仮想三次元空間内に登場させられるキャラクタであって、プレイヤキャラクタ、ノンプレイヤキャラクタ以外の、ある程度動作の質が高く、その作成に対するとコストを抑制できる上述した新たなキャラクタを、以下では、「疑似プレイヤキャラクタ」と称することとする。
本願発明は、複数のユーザそれぞれに操作されるキャラクタである複数のプレイヤキャラクタがその内部に存在する仮想三次元空間を構築する機能を有しており、前記仮想三次元空間を構築する空間構築部と、複数の前記プレイヤキャラクタのそれぞれを操作するためのデータである操作データを、各ユーザが操作するユーザ端末からインターネットを介して受付ける受信部と、前記受信部で受付けた前記操作データに基づいて前記プレイヤキャラクタを前記仮想三次元空間内で動作させるキャラクタ制御部とを備えているメタバース管理装置、と組合わせて用いられるものであり、前記仮想三次元空間内で疑似プレイヤキャラクタを制御する機能を有する疑似プレイヤキャラクタ制御装置である。
そして、疑似プレイヤキャラクタ制御装置は、前記疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を決定する動作決定部と、前記動作決定部によって決定された前記疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を、前記疑似プレイヤキャラクタに行わせるデータである疑似操作データを、前記操作データと同じデータ形式で作成する疑似操作データ生成部と、前記疑似操作データを、前記インターネットを介して前記メタバース管理装置の前記受信部に送信する送信部と、を有している。
【0009】
本願の疑似プレイヤキャラクタ制御装置は、メタバース管理装置と組合せて用いられる。メタバース管理装置は、既存のもので良い。メタバース管理装置は、仮想三次元空間を構築する空間構築部と、複数のプレイヤキャラクタのそれぞれを操作するためのデータである操作データを、各ユーザが操作するユーザ端末(デスクトップ型パソコン、ノートブック型パソコン、スマートフォン、タブレット、据え置き型ゲーム専用機等)からインターネットを介して受取る受信部を備える。操作データは、プレイヤキャラクタの体を例えば仮想三次元空間内の移動のために動かしたり、プレイヤキャラクタに発話させたりするためのデータである。当然操作データのデータ形式は、メタバース管理装置或いはその管理者によって決定されており、そのデータ形式に調えられた操作データが、ユーザ端末からメタバース管理装置へと送られるようになっている。メタバース管理装置は、受取った操作データにしたがって、仮想三次元空間内で、各プレイヤキャラクタを動作させるようになっている。プレイヤキャラクタの動作を制御するのは、メタバース管理装置内のキャラクタ制御部である。
そのようなメタバース管理装置と組合せて用いられる疑似プレイヤキャラクタ制御装置は、疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を決定する動作決定部と、動作決定部によって決定された疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を、疑似プレイヤキャラクタに行わせるデータである疑似操作データを、操作データと同じデータ形式で作成する疑似操作データ生成部と、前記疑似操作データを、前記インターネットを介して前記メタバース管理装置の前記受信部に送信する送信部と、を有している。動作決定部は、疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を決定する。動作決定部は一般的には、疑似プレイヤキャラクタに行わせるのが相応しい動作を、疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作として決定するようになっている。疑似操作データ生成部は、疑似操作データを生成する。疑似操作データは、動作決定部が決定した動作を疑似プレイヤキャラクタに行わせるためのデータであって、ユーザ端末がメタバース管理装置にインターネットを介して送る、操作データと同じデータ形式のデータとされる。疑似プレイヤキャラクタ制御装置は送信部を備えており、疑似操作データ生成部で生成された疑似操作データは、送信部からインターネットを介してメタバース管理装置の受信部へと送られる。
上述したように、メタバース管理装置は、ユーザがユーザ端末から送り、受信部で受取られた操作データに基づいて、そのユーザのプレイヤキャラクタに動作をさせる。他方、メタバース管理装置は、疑似プレイヤキャラクタ制御装置から送られ、受信部で受取った疑似操作データに基づいて、疑似プレイヤキャラクタを動作させる。疑似操作データは上述したように操作データと同じデータ形式のデータであるから、メタバース管理装置は、疑似操作データを操作データと区別することができないか、少なくとも区別する必要はない。したがって、疑似操作データを受取ったメタバース管理装置内のキャラクタ制御部は、操作データを受取ったときにプレイヤキャラクタを動作させるのとまったく同じ処理を実行することにより、疑似操作データに基づいて仮想三次元空間内で疑似プレイヤキャラクタを動作させることができる。これは、疑似プレイヤキャラクタ制御装置をメタバース管理装置に組合せて使用する場合に、メタバース管理装置側に何らの修正を必要としないということである。これはコストの抑制に繋がる。
また、かかる疑似プレイヤキャラクタの動作の質は、基本的に疑似プレイヤキャラクタ制御装置にインストールされるコンピュータプログラム及びデータセットによって決まる。そのようなコンピュータプログラムは、疑似プレイヤキャラクタ制御装置の管理者がそのようなコンピュータプログラム等を作成することも可能である。しかしながら、疑似プレイヤキャラクタ制御装置の管理者が、疑似プレイヤキャラクタの動作を決定するためのコンピュータプログラムを外部(例えば、疑似プレイヤキャラクタに接客を行わせたい企業や、疑似プレイヤキャラクタにプレイヤキャラクタの道案内をさせたい企業等)から疑似プレイヤキャラクタ制御装置に受入れることとすれば、メタバースの仮想三次元空間に疑似プレイヤキャラクタを送り込み、疑似プレイヤキャラクタに動作を行わせたい者、つまり疑似プレイヤにどのような動作を行わせたいかを一番よく知る者自身が、疑似プレイヤキャラクタを動作させるためのコンピュータプログラム及びデータセットを作成することができるようになる。そのような理由により、メタバース管理装置とは別に設けられたこの疑似プレイヤキャラクタ制御装置を用いれば、メタバース管理装置が生成する仮想三次元空間内に疑似プレイヤキャラクタを送り込むことが可能となるだけでなく、コストを過剰にかけなくとも疑似プレイヤキャラクタの動作の質を上げることが可能となる。更には、この疑似プレイヤキャラクタ制御装置は、「メタバース管理装置に何らの改変を行わずともメタバースの世界に、質の高い動作を行う疑似プレイヤキャラクタを送り込めるようにする」、という新たなサービスを実現するためのプラットフォームとなることが期待される。
上述したように、疑似プレイヤキャラクタの動作の質は、基本的に疑似プレイヤキャラクタ制御装置にインストールされるコンピュータプログラム及びデータセットによって決まる。より具体的には、疑似プレイヤキャラクタの動作の質は、疑似プレイヤキャラクタの動作を決定する動作決定部の作り込みの程度によって決定される。上述したように、本願の疑似プレイヤキャラクタ制御装置は、それを利用するにあたって、複数のメタバース管理装置に対して何らの改変を行わなくとも、複数の疑似プレイヤキャラクタ制御装置において動作決定部の機能を決定するコンピュータプログラム及びデータセットの使い回しが可能となるから、動作決定部(より正確には、動作決定部で実行される処理を規定するコンピュータプログラム及びデータセット)の作り込みに費用をかけることができる。これは、コストを抑制しつつ、疑似プレイヤキャラクタの動作の質を向上させることに繋がる。
【0010】
本願発明の疑似プレイヤキャラクタ制御装置における動作決定部は、疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を決定する。動作決定部は、以下のようにして疑似プレイヤキャラクタの動作を決定するようになっていてもよい。
疑似プレイヤキャラクタ制御装置は、前記メタバース管理装置から、前記仮想三次元空間内における前記疑似プレイヤキャラクタの周囲の環境についてのデータである環境データを取得する取得部と、前記疑似プレイヤキャラクタの動作パターンについてのデータを記録した動作パターン記録部と、を備えていてもよい。この場合、前記動作決定部は、前記取得部から受取った前記環境データと、前記動作パターン記録部に記録された前記データとに基づいて、当該環境データが示す環境に相応しい前記疑似プレイヤキャラクタの動作を決定するようになっていてもよい。
動作パターン記録部には、疑似プレイヤキャラクタに動作を行わせるためのデータが記録されている。これは例えば、環境データがこのような条件を充足したときには疑似プレイヤキャラクタはこのような動作を行うといった、疑似プレイヤキャラクタの動作とその動作が生じる条件とを紐づけた多数のデータのセットとすることができる。そして、動作決定部は、取得部から受取った環境データと、動作パターン記録部に記録されたデータとに基づいて、当該環境データが示す環境に相応しい疑似プレイヤキャラクタの動作を決定するようなものとすることができる。そのようにすることにより、動作決定部は、疑似プレイヤキャラクタが、周囲の環境に相応しい動作を行うことを可能とする。
疑似プレイヤキャラクタの周囲の環境についてのデータである環境データは、例えば、疑似プレイヤキャラクタがプレイヤキャラクタであった場合に、メタバース管理装置からユーザ端末に提供される一人称視点、又は三人称視点の画像、音声等についてのデータ(或いは、それから抽出したデータ)とすることができる。もっとも、疑似プレイヤキャラクタの「周囲」の範囲は、上述の範囲に制限されるものではなく、疑似プレイヤキャラクタの動作に影響を与える可能性のある、より広い範囲やより狭い範囲に設定することができる。
前記環境データには、前記疑似プレイヤキャラクタと会話を行っているプレイヤキャラクタとの会話内容が含まれていてもよい。疑似プレイヤキャラクタはその目的の別によらず、プイレイヤキャラクタと接触してコミュニケーションを取ることで、プレイヤキャラクタを操作している人に、知識を与えたり、楽しさを与えたりする。そして、プレイヤキャラクタとコミュニケーションを取る場合に一番大きな役割を果たすのはプレイヤキャラクタが行う会話の内容である。したがって、動作決定部が疑似プレイヤキャラクタの動作を決定するために用いる環境データに、プレイヤキャラクタの会話を含めることにより、動作決定部が決定する疑似プレイヤキャラクタの動作が、より適切なものとなる。
【0011】
また、動作決定部は、以下のようにして疑似プレイヤキャラクタの動作を決定するようになっていてもよい。
疑似プレイヤキャラクタ制御装置は、前記メタバース管理装置から、前記仮想三次元空間内における前記疑似プレイヤキャラクタの周囲の環境についてのデータである環境データを取得する取得部を備えていてもよい。環境データ、取得部の内容は既に述べたようなものである。
また、前記動作パターン記録部には、動作人工知能が記録されていても良い。動作人工知能は、前記環境データを入力した場合に、当該環境データが示す環境に相応しい前記疑似プレイヤキャラクタの動作を出力する人工知能である。この場合、前記動作決定部は、前記取得部から受取った前記環境データを、前記動作パターン記録部に記録された前記動作人工知能に入力した場合に、前記動作人工知能から出力される動作を、当該環境データが示す環境に相応しい前記疑似プレイヤキャラクタの動作として決定するようになっていてもよい。
このようにすることにより、疑似プレイヤキャラクタが行う動作を、質の高い適切なものとすることが可能となる。
前記動作人工知能は、前記環境データと、当該環境において前記プレイヤキャラクタが採用した動作とを教師データとして事前に学習を行うことによって得られた学習済みの人工知能であってもよい。この場合、学習済みの人工知能である動作人工知能を作成する過程で教師データを得るために使用されるプレイヤキャラクタは、所定のユーザによって操作される。例えば、背景技術の欄で述べた「接客」を行う疑似プレイヤキャラクタ用の人工知能を作ろうとする場合、ユーザが操作するプレイヤキャラクタに対して企業の社員等が操作するプレイヤキャラクタを用いて接客を行うことにより、きめ細かな接客を行うための教師データが得られる。ある程度の教師データが溜まり、その教師データによる学習済みの動作人工知能を得ることができれば、以後は、動作人工知能を用いて疑似プレイヤキャラクタに、接客に適した質の高い動作を行わせることが可能となる。
もちろん、動作人工知能は、接客に向く疑似プレイヤキャラクタ用のものに限られない。疑似プレイヤキャラクタに仮想三次元空間内の案内を行わせるのに相応しい動作人工知能を作成したいのであればそれに相応しい教師データを学習に用いれば良い。つまり、疑似プレイヤキャラクタに行わせたい動作に対応した動作人工知能を作成するには、その目的に照らして相応しい教師データを準備すれば良い。
【0012】
前記動作パターン記録部には、所定の動作人工知能を記録することができるようになっていても構わない。例えば、動作パターン記録部には、複数の動作人工知能を記録することが可能となっていても良いし、また、動作パターン記録部に、動作人工知能を追加したり、削除したりすることが可能となっていても良く、更に動作パターン記録部に記録された動作人工知能は書き換え可能となっていてもよい。
そうすることで、例えば、ある疑似プレイヤキャラクタ制御装置で作られた動作人工知能を、他の疑似プレイヤキャラクタ制御装置における動作パターン記録部に移植することが可能となる。そうすることにより、一旦作成した動作人工知能を複数の疑似プレイヤキャラクタで利用することが可能となるため、動作人工知能の作成のコストを下げることが容易になる。
本願発明者は、動作人工知能をその動作パターン記録部に記録した疑似プレイヤキャラクタ制御装置に組込んで動作人工知能として用いることのできる学習済みの人工知能をも本願発明の一態様として提案する。その学習済み人工知能は、前記環境データと、当該環境において前記プレイヤキャラクタが採用した動作とを教師データとして事前に学習を行うことによって得られた学習済み人工知能である。このような学習済み人工知能は上述したような効果を生じる。それ故、この学習済み人工知能は、それ自体に価値があり取引の対象ともなり得る。
【0013】
上述したように、今や多くの企業がメタバースのサービスを提供しているため、それぞれ異なるメタバースを管理するメタバース管理装置が複数存在しており、この状況は続いていくと予想される。
前記メタバース管理装置が複数である場合、疑似プレイヤキャラクタ制御装置における前記疑似操作データ生成部は、前記疑似操作データが送信される前記メタバース管理装置それぞれがそれらの前記受信部で受付けることが予定された前記操作データのデータ形式と同じデータ形式の前記疑似操作データを生成するようになっていてもよい。つまり、疑似操作データ生成部は、各メタバース管理装置に送る疑似操作データのそれぞれを、その疑似操作データを受取るメタバース管理装置が受付ける操作データのデータ形式と、同じデータ形式に調整変更、或いは変換することができるようになっていてもよい。
これによれば、1つの疑似プレイヤキャラクタ制御装置により、複数のメタバース管理装置へ疑似操作データを送り、複数のメタバース管理装置のそれぞれに、疑似プレイヤキャラクタの動作を制御させることが可能となる。
【0014】
本願発明者は、疑似プレイヤキャラクタ制御装置で実行される方法をも本願発明の一態様として提案する。かかる方法による効果は、本願発明による疑似プレイヤキャラクタ制御装置の効果に等しい。
一例となるその方法は、複数のユーザそれぞれに操作されるキャラクタである複数のプレイヤキャラクタがその内部に存在する仮想三次元空間を構築する機能を有しており、前記仮想三次元空間を構築する空間構築部と、複数の前記プレイヤキャラクタのそれぞれを操作するためのデータである操作データを、各ユーザが操作するユーザ端末からインターネットを介して受付ける受信部と、前記受信部で受付けた前記操作データに基づいて前記プレイヤキャラクタを前記仮想三次元空間内で動作させるキャラクタ制御部とを備えているメタバース管理装置、と組合わせて用いられるものであり、前記仮想三次元空間内で疑似プレイヤキャラクタを制御する機能を有する疑似プレイヤキャラクタ制御装置であり、情報処理を実行する制御部と、前記インターネットを介して前記メタバース管理装置に所定のデータを送信する送信部とを備えているものの前記制御部にて実行される方法(疑似プレイヤキャラクタ制御方法)である。
その方法は、前記疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を決定する動作決定過程と、前記動作決定過程によって決定された前記疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を、前記疑似プレイヤキャラクタに行わせるデータである疑似操作データを、前記操作データと同じデータ形式で作成する疑似操作データ生成過程と、前記疑似操作データを、前記送信部を介して、前記インターネットを介して前記メタバース管理装置の前記受信部に送信する送信過程と、を含む。これら各過程はいずれも制御部が実行する。
【0015】
本願発明者は、疑似プレイヤキャラクタ制御装置として所定の例えば汎用のコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムをも本願発明の一態様として提案する。かかるコンピュータプログラムによる効果は、本願発明による疑似プレイヤキャラクタ制御装置の効果に等しく、また、本願による疑似プレイヤキャラクタ制御装置として所定のコンピュータを機能させることが可能となることもその効果である。
一例となるそのコンピュータプログラムは、複数のユーザそれぞれに操作されるキャラクタである複数のプレイヤキャラクタがその内部に存在する仮想三次元空間を構築する機能を有しており、前記仮想三次元空間を構築する空間構築部と、複数の前記プレイヤキャラクタのそれぞれを操作するためのデータである操作データを、各ユーザが操作するユーザ端末からインターネットを介して受付ける受信部と、前記受信部で受付けた前記操作データに基づいて前記プレイヤキャラクタを前記仮想三次元空間内で動作させるキャラクタ制御部とを備えているメタバース管理装置、と組合わせて用いられるものであり、前記仮想三次元空間内で疑似プレイヤキャラクタを制御する機能を有する疑似プレイヤキャラクタ制御装置として、所定のコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムである。
そして、そのコンピュータプログラムは、前記コンピュータを、前記疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を決定する動作決定部と、前記動作決定部によって決定された前記疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を、前記疑似プレイヤキャラクタに行わせるデータである疑似操作データを、前記操作データと同じデータ形式で作成する疑似操作データ生成部と、前記疑似操作データを、前記インターネットを介して前記メタバース管理装置の前記受信部に送信する送信部と、して機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態によるメタバースシステムの全体構成を示す図。
図2図1に示したメタバースシステムにおけるユーザ端末の外観を示す斜視図。
図3図2に示したユーザ端末のハードウェア構成を示す図。
図4図2に示したユーザ端末の内部に生成される機能ブロックを示すブロック図。
図5図1に示した疑似プレイヤキャラクタ制御装置の内部に生成される機能ブロックの例を示すブロック図。
図6図5に示した動作パターン記録部に記録されるデータを概念的に示す図。
図7図1に示したメタバース管理装置の内部に生成される機能ブロックの例を示すブロック図。
図8】変形例によるメタバースシステムの全体構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明による疑似プレイヤキャラクタ制御装置の好ましい一実施形態とその変形例について説明する。
実施形態、及び変形例の説明において、同一の対象には同一の符号を付すものとし、重複する説明は場合により省略するものとする。
【0018】
図1に、本願発明の疑似プレイヤキャラクタ制御装置を含む、メタバースシステムの好ましい一実施形態の全体構成を概略で示す。
第1実施形態によるメタバースシステムは、複数の、実際には多数の、ユーザ端末100と、これには限られないがいずれも複数のメタバース管理装置200と、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300とを含んで構成されている。これには限られないが、この実施形態におけるメタバース管理装置200と疑似プレイヤキャラクタ制御装置300とは同数であり、これには限られないがこの実施形態ではメタバース管理装置200と疑似プレイヤキャラクタ制御装置300は3つずつである。同数とされたメタバース管理装置200と疑似プレイヤキャラクタ制御装置300とは、これには限られないがこの実施形態では一対一対応している。これには限られないが、メタバース管理装置200-1と疑似プレイヤキャラクタ制御装置300-1、メタバース管理装置200-2と疑似プレイヤキャラクタ制御装置300-2、メタバース管理装置200-3と疑似プレイヤキャラクタ制御装置300-3が互いに対応するものとされている。
ユーザ端末100、メタバース管理装置200、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300はいずれもインターネットであるネットワーク400に接続されており、ユーザ端末100、メタバース管理装置200、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300はインターネット400を介して互いに通信可能に構成されている。ユーザ端末100、メタバース管理装置200、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が互いに送受信するデータに付いては後述する。
【0019】
ユーザ端末100、メタバース管理装置200、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300の概略について説明する。
メタバース管理装置200は、メタバースの世界である仮想三次元空間を生成してユーザに対してメタバースのサービスを提供するためのものである。仮想三次元空間には、ユーザが操作するプレイヤキャラクタと、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が操作する疑似プレイヤキャラクタとが存在する。仮想三次元空間には他にも、よく知られているように、道路や建物、様々な物体や生物、ノンプレイヤキャラクタ等が存在しても良いが、本願と関係するのは基本的にはプレイヤキャラクタと疑似プレイヤキャラクタのみなのであるため、以下の説明では仮想三次元空間内に存在するそれら以外のものについての説明は基本的に省略する。メタバース管理装置200は、メタバースの仮想三次元空間内の画像であるメタバース画像についてのメタバース画像データを生成し、それをユーザ端末100へ送るようになっている。
この実施形態におけるユーザ端末100は、ユーザがメタバースのサービスを楽しむためのインターフェイスとして機能する。ユーザ端末100は、ユーザの化身として仮想三次元空間内に送り込まれるユーザが操作するキャラクタであるプレイヤキャラクタを操作するための入力装置としての性格を持つ。また、ユーザ端末100は、ユーザがメタバースのサービスを楽しむためのビューアとしての性格を持つ。ユーザ端末100は後述するようにディスプレイを備えており、そのディスプレイには、ユーザ端末100がメタバース管理装置200から受取った上述のメタバース画像データに基づく画像が表示される。ユーザは、ディスプレイに表示されたその画像を見ることにより(もちろん、音声の出力があっても良いし、音声の出力があることがよく知られているように普通である。)、仮想三次元空間内で自らのプレイヤキャラクタが体験した事象を体験することができる。また、この実施形態におけるユーザ端末100は、ユーザがメタバースのサービスを受ける前提として、ユーザが用いるプレイヤキャラクタを生成する機能も有している。
疑似プレイヤキャラクタ制御装置300は、ユーザが操作しないプレイヤキャラクタである疑似プレイヤキャラクタと、その動作を制御する装置である。言い換えれば、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300は疑似プレイヤキャラクタを操作する機能を有している。疑似プレイヤキャラクタ制御装置300は上述したようにメタバース管理装置200と一対一対応している。疑似プレイヤキャラクタ制御装置300はそれと紐付けられたメタバース管理装置200が作る仮想三次元空間内における疑似プレイヤキャラクタを操作するようになっている。
以下、ユーザ端末100、メタバース管理装置200、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300の詳細について順に説明する。
【0020】
まず、ユーザ端末100の構成を説明する。各ユーザ端末100の構成は、本願発明との関連でいえば同じである。ユーザ端末100はコンピュータを含んでいる。より詳細には、この実施形態におけるユーザ端末100は、汎用のコンピュータ装置により構成されている。これには限られないが、ユーザ端末100は、各ユーザが個人で所有するコンピュータである。
ユーザ端末100は、メタバースのサービスの提供を受けることができる装置であればよい。具体的には、ユーザ端末100は、デスクトップ型パソコン、ノートブック型パソコン、スマートフォン、タブレット、据え置き型ゲーム専用機等である。それらはすべて、ネットワーク400を介しての通信が可能なものであり、また後述するコンピュータプログラムをインストールすることによって後述する機能ブロックをその内部に生成し、そして後述する処理を実行できるものであることが求められ、それが可能であるのであればそれ以外の仕様は特に問わない。ユーザ端末100は、一体とされているか、或いは外付けの態様とされたディスプレイを備えている。ディスプレイには、後述するように、メタバースにおける三次元空間の画像が表示されることになる。外付けのディスプレイは、一般的な据え置き型のディスプレイでも良いが、ヘッドマウントディスプレイである場合もある。
例えば、ユーザ端末100がスマートフォンかタブレットなのであれば、スマートフォンとしてのユーザ端末100は例えば、Apple Japan合同会社が製造、販売を行うiPhone(シリーズの製品)で良いし、タブレットとしてのユーザ端末100は例えば、Apple Japan合同会社が製造、販売を行うiPad(シリーズの製品)でよい。なお、「Apple Japan」、「iPhone」、「iPad」はいずれも商標である。
【0021】
ユーザ端末100の外観の一例を図2に示す。これには限られないが、図2に示したのは、ユーザ端末100がスマートフォンである場合の外観である。
ユーザ端末100は、ディスプレイ101を備えている。ディスプレイ101は、静止画又は動画である画像を表示するためのものであり、公知、或いは周知のものを用いることができる。ディスプレイ101は例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイである。ユーザ端末100は、また入力装置102を備えている。入力装置102は、ユーザが所望の入力をユーザ端末100に対して行うためのものである。入力装置102は、公知或いは周知のものを用いることができる。この実施形態におけるユーザ端末100の入力装置102はボタン式のものとなっているが、これには限られず、テンキー、キーボード、トラックボール、マウスなどを用いることも可能である。特に、ユーザ端末100がノートブック型パソコン、デスクトップ型パソコンである場合には、入力装置102はキーボードや、マウス等になるであろう。また、ユーザ端末100が据え置き型のゲーム専用機である場合には、入力装置102は一般的には専用コントローラである。また、ディスプレイ101がタッチパネルである場合、ディスプレイ101は入力装置102の機能を兼ねることになり、この実施形態ではそうされている。
【0022】
ユーザ端末100のハードウェア構成を、図3に示す。
ハードウェアには、CPU(central processing unit)111、ROM(read only memory)112、RAM(random access memory)113、インターフェイス114、大容量記憶媒体115が含まれており、これらはバス116によって相互に接続されている。
CPU111は、演算を行う演算装置である。CPU111は、例えば、ROM112、或いはRAM113、或いは大容量記憶媒体115に記録されたコンピュータプログラムを実行することにより、後述する処理を実行する。
ROM112は、CPU111が後述する処理を実行するために必要なコンピュータプログラムやデータを記録している。大容量記憶媒体115も同様である。大容量記憶媒体115は、例えば、HDD(hard disk drive)、SSD(solid state drive)である。
ROM112や大容量記憶媒体115に記録されたコンピュータプログラムとしては、例えば、ユーザ端末100がスマートフォンであれば、ユーザ端末100をスマートフォンとして機能させるために必要な、例えば、通話や電子メールを実行するための、或いはインターネット400を介しての通信を実現するための、例えば一般的なコンピュータプログラムやデータが記録されている。ユーザ端末100は、また、ネットワーク400を介して受取ったデータに基づいて、ホームページを閲覧することも可能とされており、それを可能とするための公知のwebブラウザを実装している。
RAM113は、CPU111が処理を行うために必要なワーク領域を提供する。場合によっては、上述のコンピュータプログラムやデータの例えば一部が記録されていてもよい。
インターフェイス114は、バス116で接続されたCPU111やRAM113等と外部との間でデータのやり取りを行うものである。インターフェイス114には、上述のディスプレイ101と、入力装置102とが接続されている。入力装置102から入力された操作内容は、インターフェイス114からバス116に入力されるようになっている。また、周知のようにディスプレイ101に画像を表示するための画像データは、インターフェイス114から、ディスプレイ101に出力されるようになっている。
インターフェイス114は、また、インターネットであるネットワーク400を介して外部と通信を行うための公知の機器である送受信機構(図示を省略)に接続されており、それにより、ユーザ端末100は、ネットワーク400を介してデータを送信することと、ネットワーク400を介してデータを受信することとが可能になっている。かかるネットワーク400を介してのデータの送受信は、有線で行われる場合もあるが無線で行われる場合もある。例えば、ユーザ端末100がスマートフォンである場合には、かかる通信は無線で行われるのが通常であろう。インターネット400を介しての通信が可能な限り、送受信機構の構成は、公知或いは周知のものとすることができる。送受信機構がネットワーク400から受取ったデータは、インターフェイス114により受取られるようになっており、インターフェイス114から送受信機構にわたされたデータは、送受信機構によって、ネットワーク400を介して外部、例えば、他のユーザ端末100に送られるようになっている。各ユーザ端末100がネットワーク400を介して送受信機構を使って送受信するデータの詳細については追って述べる。
【0023】
CPU111がコンピュータプログラムを実行することにより、ユーザ端末100内部には、図4で示されたような機能ブロックが生成される。なお、以下の機能ブロックは、ユーザ端末100を本願発明のユーザ端末として機能させるためのコンピュータプログラム単体の機能により生成されていても良いが、そのコンピュータプログラムと、ユーザ端末100にインストールされたOSその他のコンピュータプログラムとの協働により生成されても良い。
ユーザ端末100内には、本願発明の機能との関係で、図4に示されたように、少なくとも入力部121、制御部122、画像制御部123、出力部124が生成される。
これらのうち、入力部121と出力部124とは、ハードウェアとして見た場合には、インターフェイス114に相当し、或いはインターフェイス114の機能によって実現される。より具体的には、入力部121と出力部124は、概念としては、インターフェイス114とバス116との接続部分に相当する。
また、制御部122、画像制御部123は、ハードウェアとしては演算装置たるCPU111に相当し、或いはCPU111の機能によって実現される。
【0024】
入力部121は、インターフェイス114からの入力を受取るものである。
インターフェイス114から入力されるデータには、入力装置102によって入力されたデータがある。入力部121にインターフェイス114から入力されうるものとしては他に、送受信機構からインターフェイス114を介して入力されるデータがある。入力装置102と送受信機構から入力されるデータについては後述する。
入力部121は、これらを受取ると、それらを制御部122か、画像制御部123へと送るようになっている。
【0025】
制御部122は、メタバースのサービスを受けるため、又は疑似プレイヤキャラクタのサービスを受けるために必要となる、データを生成する機能を有している。制御部122が生成するデータの例としては、ユーザ端末100を操作するユーザを識別するためのユニークな情報であるアカウントのデータや、メタバースのサービスにログインするためのデータや、ユーザが操作するプレイヤキャラクタを生成するためのデータであるキャラクタデータや、ユーザが操作するプレイヤキャラクタとともに行動する疑似プレイヤキャラクタを選択するためのデータである後述する選択データを挙げることができる。
制御部122は、また、ユーザがメタバースのサービスを受けている(ユーザがメタバースを利用している)ときに、操作データを生成する。操作データは、メタバースにおいてユーザが操作するキャラクタであるプレイヤキャラクタを操作するためのデータである。制御部122が生成する操作データは、例えば従来と同じく、プレイヤキャラクタに人間が行う動作に倣った移動等の動作を指示するものであったり、プレイヤキャラクタに会話を行わせるためのものであったりする。各メタバース管理装置200が受付けることのできる操作データのデータ形式は、場合にもよるがメタバース管理装置200毎に異なる。制御部122が生成する操作データは、そのユーザがサービスを受けるメタバースを管理するメタバース管理装置200が受付けられるデータ形式のデータとされる。
制御部122はまた、ユーザが操作するプレイヤキャラクタを、メタバース管理装置200が生成するためのデータであるプレイヤキャラクタデータを生成する場合もある。
制御部122は、生成した、操作データを含む各種のデータを出力部124に送るようになっている。
【0026】
画像制御部123は、ディスプレイ101に表示される画像についての画像データを生成する。画像制御部123は、後述するようにしてメタバース管理装置200で生成されるメタバース画像データに基づいて、ディスプレイ101に表示される画像についての画像データを生成する場合がある。メタバース画像データに基づく画像であるメタバース画像には、後述するように、メタバース管理装置200が生成する仮想三次元空間内におけるプレイヤキャラクタの周囲の状況が映り込んでいる。メタバース画像データは、そのようなメタバース画像を特定するデータである。なお、メタバース画像データは、「画像データ」という名称にも関わらず、音声のデータが含まれていても良く、この実施形態ではこれには限られないがそうされている。
画像制御部123は生成した画像データを出力部124に送るようになっている。
【0027】
出力部124は、インターフェイス114へとデータを出力するものである。
出力部124がインターフェイス114へと出力するデータには、制御部122から受取った、操作データを含む種々のデータと、画像制御部123から受取った画像データとがある。
出力部124はそれらデータをいずれも、インターフェイス114に出力する。出力部124が制御部122から受取ったデータはインターフェイス114を介して送受信機構へと送られ、送受信機構からネットワーク400を介してメタバース管理装置200又は疑似プレイヤキャラクタ制御装置300へと送られるようになっている。
出力部124が画像制御部123から受取った画像データは、インターフェイス114を介してディスプレイ101へと送られるようになっている。ディスプレイ101には、画像データに応じた画像が表示されるようになっている。画像データに含まれる音声についてのデータは、図示を省略のスピーカに送られ、スピーカからは、メタバース画像データに含まれていた音声データに基づく音声が出力される。
【0028】
次に、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300の構成について説明する。
疑似プレイヤキャラクタ制御装置300は、ハードウェアとして見た場合には、既存の公知又は周知のサーバ装置で構わない。また、そのハードウェア構成も一般的なものでよい。疑似プレイヤキャラクタ制御装置300のハードウェア構成は、本願発明との関係でいえば、図3に示したユーザ端末100のハードウェア構成と同じである。
疑似プレイヤキャラクタ制御装置300は、CPU、ROM、RAM、インターフェイス、大容量記憶媒体をバスで接続したものとなっている。
疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が備えるCPU、ROM、RAM、インターフェイス、バス、及び大容量記録装置の構成、機能は、ユーザ端末100におけるそれらの構成、機能と変わらない。また、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が備えるインターフェイスには、ユーザ端末100が備えていたのと同様の、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300外の機器とネットワーク400を介しての通信を行うための送受信機構が接続されている。疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が備えるインターフェイスには、これには限られないが、ユーザ端末100が備えていたものと同様の入力装置が接続されている。入力装置は、例えば、キーボードとマウスである。疑似プレイヤキャラクタ制御装置300のインターフェイスにもユーザ端末100が備えていたのと同様のディスプレイが接続されていても構わない。
疑似プレイヤキャラクタ制御装置300の例えば、ROM、或いは大容量記憶媒体には、サーバを疑似プレイヤキャラクタ制御装置300として機能させるためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300となるサーバにプリインストールされていたものであっても良いし、ポストインストールされたものであっても良い。このコンピュータプログラムのサーバへのインストールは、メモリカード、CD-ROM等の所定の記録媒体を介して行なわれても良いし、LAN或いはインターネットなどのネットワークを介して行なわれても構わない。
【0029】
CPUがコンピュータプログラムを実行することにより、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300内に、図5で示されたような機能ブロックが生成される。なお、以下の機能ブロックは、サーバを本願発明の疑似プレイヤキャラクタ制御装置300として機能させるためのコンピュータプログラム単体の機能により生成されていても良いが、そのコンピュータプログラムと、サーバにインストールされたOSその他のコンピュータプログラムとの協働により生成されても良い。
疑似プレイヤキャラクタ制御装置300内には、本願発明の機能との関係で、図5に示されたように、少なくとも入力部321、制御部322、動作決定部323、動作パターン記録部324、疑似操作データ生成部325、出力部326、画像解析部327が生成される。
これらのうち、入力部321と出力部326とは、ハードウェアとして見た場合には、インターフェイスに相当し、或いはインターフェイスの機能によって実現される。より具体的には、入力部321と出力部326は、概念としては、インターフェイスとバスとの接続部分に相当する。
また、機能ブロックのうち制御部322、動作決定部323、疑似操作データ生成部325、画像解析部327は、ハードウェアとしては演算装置たるCPUに相当し、或いはCPUの機能によって実現される。
また、機能ブロックのうち動作パターン記録部324、は、ハードウェアとしてはデータを記録する記録媒体により構成され、より具体的には、ROM、RAM、又は大容量記憶媒体によって実現される。
【0030】
入力部321は、インターフェイスからの入力を受取るものである。
インターフェイスから入力部321に入力されるデータには、送受信機構からインターフェイスを介して入力されるデータがある。送受信機構から入力部321に送られてくるデータとしては、例えば、ユーザ端末100から送られてくる操作データと、選択データ、メタバース管理装置200から送られてくる後述するメタバース画像データとがある。
入力部321は、送受信機構から受取ったデータのうちメタバース画像データを画像解析部327へ送るようになっており、それ以外のデータを制御部322に送るようになっている。
【0031】
制御部322は、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300全体の制御を行う他、ユーザ端末100の制御部122が有する機能の一部と同等の機能を有している。 ユーザ端末100の制御部122は、メタバースのサービスを受けるために必要となるデータを生成する機能を有していた。同様の機能を、制御部322も有している。制御部322が生成するデータとしては、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が操作を行う疑似プレイヤキャラクタそれぞれを識別するアカウントのデータや、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が操作する疑似プレイヤキャラクタを生成するためのデータであるキャラクタデータや、ログインのデータがある。後述するように、メタバース管理装置200から見れば、ユーザが操作する(ユーザ端末100が操作する)プレイヤキャラクタと、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が操作する疑似プレイヤキャラクタとは区別できないか、少なくとも区別する必要がないものであるため、制御部322が生成するアカウントのデータと、キャラクタデータと、ログインのデータとは、ユーザ端末100の制御部122が作るアカウントのデータ等といずれも同等のものとなる。制御部322は、生成したアカウントのデータ、ログインのデータを動作決定部322に送るようになっているが、後述するように場合によっては出力部326に送るようになっている。また、制御部323は、生成したキャラクタデータと、ログインのデータとを出力部326に送るようになっている。
後述するように、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300は基本的に、疑似プレイヤキャラクタを自動的に動作させる(操作する)ためのものである。後述するように、疑似プレイヤキャラクタは、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が自動的に生成するこれも後述する疑似操作データによって動作させられる。しかしながら、これには限られないがこの実施形態の疑似プレイヤキャラクタ制御装置300では、例えば、疑似操作データが生成される前の段階では(より詳細には、後述する動作人工知能が生成される前の段階では)、或いは動作人工知能が疑似プレイヤキャラクタ制御装置300にインストールされらう前の段階では、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300の管理者等(以下、簡単のため単に「管理者」と記載する。)が入力装置から入力するデータにしたがって生成された操作データによって疑似プレイヤキャラクタを操作する。これには限られないがこの実施形態の疑似プレイヤキャラクタ制御装置300では、入力装置から入力され、インターフェイス、入力部321を介して受取ったデータに基づいて、制御部322が操作データを生成する。制御部323が生成する操作データは、その疑似プレイヤキャラクタ制御装置300と紐付けられたメタバース管理装置200が受付けることのできるデータ形式のデータとされる。つまり、その疑似プレイヤキャラクタ制御装置300と紐付けられたメタバース管理装置200に対してユーザ端末100から送られる操作データのデータ形式と同じデータ形式とされる。
制御部322は、生成した操作データを出力部326へ送るようになっている。
【0032】
動作決定部323は、疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を決定する機能を有している。
動作決定部323は、上述のようにアカウントのデータを制御部323から受取る場合がある。アカウントのデータを受取ったら動作決定部323は、そのアカウントに紐付けられた疑似プレイヤキャラクタに行わせるべき動作を決定し、その動作を特定するデータである動作データを生成する。
動作決定部323は、疑似プレイヤキャラクタに行わせるべき動作を決定する際に、動作パターン記録部324に記録されたデータと、画像解析部327から送られてくる後述する環境データとを用いる。
【0033】
画像解析部327は、メタバース画像データに基づいて環境データを生成する機能を有している。ただし、動作人工知能324Aの学習を行う場合には(例えば、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が疑似操作データではなく、操作データをメタバース管理装置200へ送っている場合には)、画像解析部327は環境データのみならず、後述する動作データをも生成する。
画像解析部327は、上述したように入力部321から、メタバース画像データを受取る。メタバース画像データに基づく画像であるメタバース画像には、後述するように、メタバース管理装置200が生成する仮想三次元空間内における擬似プレイヤキャラクタの周囲の状況が映り込んでいる。画像解析部327は、メタバース画像データから、擬似プレイヤキャラクタの周囲の環境についてのデータである環境データを生成するようになっている。上述したように、この実施形態におけるメタバース画像データには、音声のデータも含まれている。画像解析部327は、メタバース画像データに基づいて、音声も含めた擬似プレイヤキャラクタの周囲の環境についてのデータを生成するようになっていてもよく、この実施形態ではそうされている。環境データとは例えば、疑似プレイヤキャラクタが存在する仮想三次元空間内での位置、近くにプレイヤキャラクタが存在するか、近くにプレイヤキャラクタが存在するなら疑似プレイヤキャラクタとの相対的な位置関係、プレイヤキャラクタの特徴、プレイヤキャラクタが発した言葉の内容等のメタバース画像データによって特定されるメタバース画像(音声も含む)の特徴点である。これらの特徴点を抽出するために、画像解析部327は人工知能を用いても良い。例えば、画像認識をして画像中の特徴点を抽出する人工知能、或いは言葉(言語)の意味を認識する人工知能が公知或いは周知であるが、そのような人工知能を画像解析部327による環境データの生成に応用することも可能である。ただし、ここでいう人工知能は、後述する動作人工知能とは異なる。
画像解析部327は、生成した環境データを動作決定部323に送るようになっている。なお、メタバース画像データにより特定される画像は通常動画である。画像解析部327は、実時間で環境データを生成し続け、生成した環境データを実時間で動作決定部323に送り続けるようになっていても良いし、例えば、0.5から2秒程度の間隔でバッチ的に環境データを生成し、環境データを生成する都度環境データを動作決定部323に送るようになっていてもよい。また、画像解析部327は、メタバース画像データを解析した結果、例えば予め定められたイベントが発生した場合に環境データを生成し、環境データを生成する都度環境データを動作決定部323へ送るようになっていても良い。もちろん、環境データの生成と、動作決定部323への送信のタイミングは、以上に例示したタイミングの組合せとすることもできる。
なお、以上では、画像解析部327は、環境データを動作決定部323へと送るという説明を行ったが、場合によっては(例えば、動作人工知能に学習を行わせる場合には)環境データを動作パターン記録部324に送る場合もある。画像解析部327が環境データを動作パターン記録部324へと送る場合には、画像解析部327は、メタバース画像データから、疑似プレイヤキャラクタがどのような動作を行ったかということを示すデータである動作データをも生成し、動作データをも動作パターン記録部324へと送るようになっている。この動作データは、動作決定部323が生成する動作データと同じく、疑似プレイヤキャラクタの動作を特定するデータである。どのような場合に画像解析部327が環境データを動作パターン記録部324へと送るようになっているかについては後述する。
【0034】
他方、動作パターン記録部324には、擬似プレイヤキャラクタが行うべき動作パターンを決定するためのデータが記録されている。動作パターン記録部324に記録されているデータは、例えば、環境データと、動作パターンのデータとを互いに紐づけたデータ複数組の集合であるテーブルのようなものであってもよい。そのようなテーブルが存在すれば、環境データを画像解析部327から受取った動作決定部323は、その環境データと紐付けられた動作パターンのデータを読みだすことにより、擬似プレイヤキャラクタに行わせるべき動作をその動作パターンのデータから決定することができる。例えば、上述の如きテーブルは、擬似プレイヤキャラクタ毎に準備されていても良い。上述したように、動作決定部323には、擬似プレイヤキャラクタと一対一対応させられた、言い換えれば擬似プレイヤキャラクタを識別するユニークな情報であるアカウントのデータが送られてくるようになっている。複数のテーブルのデータそれぞれをアカウントのデータと紐づけておけば、動作決定部323は、制御部322から受取ったアカウントのデータと紐付けられていたテーブルを用いることが可能となり、そのアカウントのデータと紐付けられている擬似プレイヤキャラクタに相応しい動作を環境データに基づいて決定することが可能となる。もっとも、1つのテーブルを複数のアカウントのデータと紐づけておくことも可能であり、そうすることにより1つのテーブルで、複数の疑似プレイヤキャラクタの動作を決定することも可能となる。
【0035】
動作パターン記録部324に記録されているのは上述の如きテーブルでも構わないが、この実施形態ではこれには限られないが、人工知能である動作人工知能とされている。
動作人工知能は、この実施形態では複数であり、各動作人工知能は、この疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が制御或いは操作する疑似プレイヤキャラクタの数だけ準備されている。もちろん、上述のテーブルの場合と同じように、1つの動作人工知能に複数のアカウントデータを紐づけておくことにより、1つの動作人工知能を用いて複数の疑似プレイヤキャラクタの動作を決定するようにすることも可能である。図6に、動作パターン記録部324に記録されているデータを概念的に示す。動作パターン記録部324には、複数の動作人工知能324Aが記録されている。図6において、動作人工知能324Aのそれぞれには「ID」という文字の記載があるが、その後に続けて記載されている文字(例えば、左上の動作人工知能324Aにおいては「123XX」という文字)が、その動作人工知能324Aに紐付けられているアカウントを示している。
動作人工知能324Aは、環境データを入力すると、その環境データによって特定される環境に相応しい疑似プレイヤキャラクタの動作についての動作データが出力される人工知能である。
動作人工知能324Aは、これには限られないがこの実施形態では、ディープラーニングによって学習を行うことによって得られた学習済みの人工知能である。より詳細には、動作人工知能324Aは、環境データと、当該環境において疑似プレイヤキャラクタ(この時点では、疑似プレイヤキャラクタは、管理者という人間が操作しているので、事実上プレイヤキャラクタである。)が採用した動作についてのデータである動作データとを教師データとして事前に学習を行うことによって得られた学習済みの人工知能である。そのようにして得られた動作人工知能324Aは、環境データを入力すると、その環境データによって特定される環境に相応しい疑似プレイヤキャラクタの動作についての動作データが出力される人工知能となる。
動作人工知能324Aをどのようにして得るのか、つまり動作人工知能324Aにどのようにして学習を行わせるのかについては後述する。
【0036】
上述したように、動作決定部323は、疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を決定するが、その際に動作パターン記録部324に記録されたデータと、画像解析部327から送られてきたデータとを用いる。
より具体的には、動作決定部323は、動作パターン記録部324に記録された動作人工知能324Aのうち、制御部322から受取ったアカウントのデータに対応したアカウントが付されたものに対して、例えばその動作人工知能324Aを読み出して例えばRAMその他の記録媒体に記録した後に画像解析部327から受取った環境データを入力し、入力を行った動作人工知能324Aから出力として動作データを得る。そのようにして得た動作データによって特定される動作を、動作決定部323は、疑似プレイヤキャラクタが行うべき動作として決定するようになっている。
動作決定部323は、環境データと、動作人工知能324Aとを用いて生成した上述の動作データを、疑似操作データ生成部325へと送るようになっている。
【0037】
疑似操作データ生成部325は、疑似操作データを生成する機能を有している。
疑似操作データ生成部325は上述したように、動作決定部323から動作データを受取る。動作データを受取ったら疑似操作データ生成部325は、その動作データによって特定される動作を、上述したアカウントのデータによって特定される疑似プレイヤキャラクタに対して行わせるためのデータである疑似操作データを生成するようになっている。疑似操作データは、その疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が紐付けられたメタバース管理装置200が受付けられるデータ形式のデータとされる。ユーザがプレイヤキャラクタを操作する際に用いられる入力装置は各メタバース管理装置200毎に異なるのが一般的である。例えば、あるメタバース管理装置200では、ユーザがプレイヤキャラクタを操作するときに、キーボードとマウスを用いることを予定しており、他のメタバース管理装置200ではユーザがプレイヤキャラクタを操作するときに、タッチパネルを用いることを予定していたりする。そのような相違があるため、各メタバース管理装置200が受付ける操作データのデータ形式は、すべてのメタバース管理装置200でそれぞれ異なるとは限らないが、少なくとも異なることがある。疑似操作データ生成部325は、生成してメタバース管理装置200に送られる疑似操作データが、少なくともそのメタバース管理装置200が受付けられるデータ形式(つまり、そのメタバース管理装置200が受付けることを予定している操作データのデータ形式と同じデータ形式)のものとなるようにして、疑似操作データを生成する。
疑似操作データ生成部325は、生成した疑似操作データを出力部326へと送るようになっている。
【0038】
出力部326は、制御部322からアカウントのデータ、キャラクタデータ、ログインのデータ、操作データを受取るようになっている。また、出力部326は、疑似操作データ生成部325から擬似操作データを受取るようになっている。
出力部326は受取ったそれらデータを、送受信機構に送るようになっている。それらデータを受取ったら、出力部326はそれらデータを、その疑似プレイヤキャラクタ制御装置300と紐付けられたメタバース管理装置200に、ネットワーク400を介して送るようになっている。
【0039】
次に、メタバース管理装置200の構成について説明する。
メタバース管理装置200は、ハードウェアとして見た場合には、既存の公知又は周知のサーバ装置で構わない。また、そのハードウェア構成も一般的なものでよい。メタバース管理装置200のハードウェア構成は、本願発明との関係でいえば、図3に示したユーザ端末100のハードウェア構成と同じである。
メタバース管理装置200は、CPU、ROM、RAM、インターフェイス、大容量記憶媒体をバスで接続したものとなっている。
メタバース管理装置200が備えるCPU、ROM、RAM、インターフェイス、バス、及び大容量記録装置の構成、機能は、ユーザ端末100におけるそれらの構成、機能と変わらない。また、メタバース管理装置200が備えるインターフェイスには、ユーザ端末100が備えていたのと同様の、メタバース管理装置200外の機器とネットワーク400を介しての通信を行うための送受信機構が接続されている。メタバース管理装置200が備えるインターフェイスには、ユーザ端末100が備えていたのと同様のディスプレイ、入力装置が接続されていても構わないが、本願とはあまり関係がないのでその説明は省略する。
メタバース管理装置200の例えば大容量記憶媒体には、サーバをメタバース管理装置200として機能させるためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、メタバース管理装置200となるサーバにプリインストールされていたものであっても良いし、ポストインストールされたものであっても良い。このコンピュータプログラムのサーバへのインストールは、メモリカード、CD-ROM等の所定の記録媒体を介して行なわれても良いし、LAN或いはインターネットなどのネットワークを介して行なわれても構わない。
【0040】
CPUがコンピュータプログラムを実行することにより、メタバース管理装置200内に、図7で示されたような機能ブロックが生成される。なお、以下の機能ブロックは、サーバを本願発明のメタバース管理装置200として機能させるためのコンピュータプログラム単体の機能により生成されていても良いが、そのコンピュータプログラムと、サーバにインストールされたOSその他のコンピュータプログラムとの協働により生成されても良い。
メタバース管理装置200内には、本願発明の機能との関係で、図7に示されたように、少なくとも入力部221、制御部222、仮想三次元空間データ生成部223、プレイヤキャラクタデータ記録部224、メタバースデータ記録部225、メタバース画像データ生成部226、出力部227が生成される。
これらのうち、入力部221と出力部227とは、ハードウェアとして見た場合には、インターフェイスに相当し、或いはインターフェイスの機能によって実現される。より具体的には、入力部221と出力部227は、概念としては、インターフェイスとバスとの接続部分に相当する。
また、機能ブロックのうち、制御部222、仮想三次元空間データ生成部223、メタバース画像データ生成部226は、ハードウェアとしては演算装置たるCPUに相当し、或いはCPUの機能によって実現される。
また、機能ブロックのうち、プレイヤキャラクタデータ記録部224、メタバースデータ記録部225は、ハードウェアとしてはデータを記録する記録媒体により構成され、より具体的には、ROM、RAM、又は大容量記憶媒体によって実現される。
【0041】
入力部221は、インターフェイスからの入力を受取るものである。
インターフェイスからの入力されるデータには、送受信機構からインターフェイスを介して入力されるデータがある。送受信機構から入力部221に送られてくるデータとしては、例えば、ユーザ端末100から送られてくるアカウントのデータ、ログインのデータ、キャラクタデータ、及び操作データと、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300から送られてくるアカウントのデータ、ログインのデータ、キャラクタデータ、操作データ、及び疑似操作データがある。
入力部221は、送受信機構から受取った上述のデータを、制御部222へ送るようになっている。
【0042】
制御部222は、ユーザが、ユーザ端末100を介してメタバースのサービスを受けるための前提としての処理を実行する機能を有している。
前提としての処理とは、ユーザ端末100又は疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が、メタバース管理装置200が生成する仮想三次元空間に対して、或いはメタバース管理装置200が提供するメタバースのサービスに対してログインする処理である。この処理については後述する。
前提としての処理には、プレイヤキャラクタまたは疑似プレイヤキャラクタを生成する処理が含まれる。上述したように、制御部222は、入力部221から、ユーザ端末100から送られてきたアカウントのデータとキャラクタデータとを受取る場合がある。それを受取った場合、制御部222は、受取ったアカウントのデータの割り振られたユーザが用いるプレイヤキャラクタのデータを生成する。プレイヤキャラクタは公知或いは周知の通り、例えば、性別、名前、身長、体型、顔の造作、服装等の特徴を例えば任意に選択することができるようになっている。キャラクタデータは、それら各特徴をそれぞれ特定するようなものとなっている。制御部222は受取ったキャラクタデータに基づいてプレイヤキャラクタを生成し、アカウントのデータと紐づけた上で、プレイヤキャラクタのデータであるプレイヤキャラクタデータをプレイキャラクタデータ記録部224に記録するようになっている。制御部222は、入力部221から、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300から送られてきたアカウントのデータとキャラクタデータとを受取る場合がある。それを受取った場合、制御部222は、入力部221から、ユーザ端末100から送られてきたアカウントのデータとキャラクタデータとを受取った場合と同様の処理を実行することにより、プレイヤキャラクタを生成し、生成したプレイヤキャラクタのデータであるプレイヤキャラクタデータをプレイヤキャラクタデータ記録部224に記録する。疑似プレイヤキャラクタ制御装置300から送られてきたキャラクタデータに基づいて生成されたプレイヤキャラクタは、メタバース管理装置200から見れば、ユーザ端末100から送られてきたキャラクタデータに基づいて生成されたプレイヤキャラクタと区別できないか、少なくとも区別する必要がない。ただし、そのプレイヤキャラクタは、人ではなく基本的には疑似プレイヤキャラクタ制御装置300によって操作される、或いは動作させられるものであるので、本願発明における疑似プレイヤキャラクタとなる。
制御部222は、ユーザ端末100から送られてきたアカウントのデータに基づいてログインの処理が行われた後においてメタバースのサービスをユーザに対して提供する場合、入力部221から受取ったアカウントのデータを仮想三次元空間データ生成部223へ送るようになっている。制御部222は、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300から送られてきたアカウントのデータに基づいてログインの処理が行われた後においてメタバースのサービスを疑似プレイヤキャラクタ制御装置300に対して提供する場合、入力部221から受取ったアカウントのデータを仮想三次元空間データ生成部223へ送るようになっている。
制御部222は、また、メタバースのサービスをユーザに対して提供する場合、入力部221から受取ったユーザ端末100から送られてきた操作データを、仮想三次元空間データ生成部223へ送るようになっている。制御部222は、また、メタバースのサービスを疑似プレイヤキャラクタ制御装置300に対して提供する場合、入力部221から受取った疑似プレイヤキャラクタ制御装置300から送られてきた操作データ又は疑似操作データを、仮想三次元空間データ生成部223へ送るようになっている。
【0043】
仮想三次元空間データ生成部223は、メタバース管理装置200がユーザに提供する仮想三次元空間を演算によって作り出し、また、当該仮想三次元空間を特定するデータである仮想三次元空間データを生成するものである。仮想三次元空間データ生成部223は、ユーザに提供するメタバースのサービスの根幹を成すものであるといえる。
仮想三次元空間データ生成部223が仮想三次元空間を構成するために、仮想三次元空間データ生成部223は、制御部222から受取ったユーザ端末100から送られてきた操作データと、制御部222からから受取った疑似プレイヤキャラクタ制御装置300から送られてきた操作データ、又は疑似操作データを用い、またそれらに加えて、プレイヤキャラクタデータ記録部224に記録されていた、ユーザ端末100及び疑似プレイヤキャラクタ制御装置300から送られてきたアカウントのデータによって特定されるアカウントと紐付けられたプレイヤキャラクタデータと、メタバースデータ記録部225に記録されていたメタバースデータとを利用する。
仮想三次元空間データ生成部223が仮想三次元空間を生成するのに用いられる上述のデータのうちここまでに説明していないものはメタバースデータである。メタバースデータは、仮想三次元空間データ生成部223が仮想三次元空間を生成するのにあたって必要な、プレイヤキャラクタを除いた全対象についてのデータである。全対象には、例えば、仮想三次元空間に存在する地面、山、川等の自然物、道や建物、建物内の家具や什器、展示会のブースや商品等の人工物、ノンプレイヤキャラクタ等を特定するためのデータ、また、それらの仮想三次元空間内での位置や向きを特定するためのデータが含まれうる。また、仮想三次元空間内での天候や、交通手段等の動的な対象についてのデータも含まれうる。メタバースデータ記録部225は、そのようなメタバース内でのプレイヤキャラクタに関するもの以外のデータ一切を、メタバースデータとして記録している。
仮想三次元空間データ生成部223は、仮想三次元空間を生成するとき、メタバースデータ記録部225からメタバースデータを読みだして、必要な範囲の仮想三次元空間を生成する。そして、仮想三次元空間データ生成部223は、その仮想三次元空間の中に、プレイヤキャラクタデータ記録部224から読み出したユーザ用のプレイヤキャラクタと、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300用のプレイヤキャラクタである疑似プレイヤキャラクタとを配置する。そして、プレイヤキャラクタの動作を制御部222から受取った、ユーザ端末100から送られてきた操作データによって決定する。また、疑似プレイヤキャラクタの動作を制御部222から受取った、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300から送られてきた操作データ、又は疑似操作データによって決定する。
仮想三次元空間データ生成部223が仮想三次元空間を生成するために用いられる技術は、公知或いは周知のもので十分である。そのような技術の例としては、例えば、日本ではユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社が提供する3Dコンテンツを例えばリアルタイムで生成するためのサービスである「Unity(商標)」、Epic Games, Inc.が提供する3Dコンテンツを例えばリアルタイムで生成するためのサービスである「Unreal Engine(商標)」がある。
例えばそれらの技術を用いることにより、仮想三次元空間データ生成部223は、プレイヤキャラクタと疑似プレイヤキャラクタとがその中に存在するある範囲の仮想三次元空間を生成することができる。このとき、プレイヤキャラクタが行う動作はユーザが意図したものとされ、疑似プレイヤキャラクタが行う動作は疑似プレイヤキャラクタ制御装置300から送られてきた操作データ又は疑似操作データに即したものとなる。
そのようにして生成された仮想三次元空間を特定するデータが、仮想三次元空間データである。仮想三次元空間データ生成部223は、仮想三次元空間データをメタバース画像データ生成部226へ送るようになっている。仮想三次元空間データ生成部2263は、仮想三次元空間データを実時間で連続的にメタバース画像データ生成部226に送る。
【0044】
メタバース画像データ生成部226は、メタバース画像についてのデータであるメタバース画像データを生成する機能を有している。
メタバース画像データ生成部226は、上述したように仮想三次元空間データを受取る。仮想三次元空間データは上述したように、プレイヤキャラクタと疑似プレイヤキャラクタとを含む仮想三次元空間の所定の範囲を特定するデータである。その仮想三次元空間データに基づいてメタバース画像データ生成部226が演算を行うことにより、メタバース画像データ生成部226は、ある視点から見たプレイヤキャラクタと疑似プレイヤキャラクタとの少なくとも一方を含む、一人称視点か三人称視点のある範囲の仮想三次元空間の画像であるメタバース画像についてのデータ、つまりメタバース画像データを生成する。メタバース画像は、各プレイヤキャラクタ用、或いは各疑似プレイヤキャラクタ用のものが生成される。各メタバース画像における視点の位置や、一人称視点か三人称視点かの別、或いはメタバース画像に描画される仮想三次元空間内の範囲はもちろん、公知或いは周知のように、ユーザ端末100から送られてくるデータによって選択(或いは変更)可能とすることができる。もっとも、そのような技術は公知というよりも完全に周知であるから、この点についての説明は省略する。
また、メタバース画像データは後述するようにユーザ端末100と、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300の少なくとも一方に送られるが、両者にメタバース画像データが送られるときにおける両者に送られるメタバース画像データにより特定されるメタバース画像は、例えば視点の位置や範囲について、互いに異なるものとなっていてもよいし、通常は異なるものとなっている。
メタバース画像データ生成部226は動画のデータとしてメタバース画像データを生成する。
メタバース画像データ生成部226は、生成したメタバース画像データを出力部227へ送るようになっている。
【0045】
出力部227は、受取ったメタバース画像データを、送受信機構へ送るようになっている。
送受信機構は、そのメタバース画像データを生成するきっかけとなったプレイヤキャラクタと紐付けられたアカウントを持つユーザのユーザ端末100と、そのメタバース画像データを生成するきっかけとなった疑似プレイヤキャラクタと紐付けられたアカウントを持つ疑似プレイヤキャラクタ制御装置300とにそれぞれ送るようになっている。両者に送られるメタバース画像データは、上述したように互いに異なるものとなっている場合がある。
【0046】
以上で説明したメタバースシステムの使用方法と動作について、説明する。
【0047】
(前提としての処理)
ユーザがメタバースシステムを利用するにあたり、ユーザは、まず自らが利用するメタバースのサービスを提供しているメタバース管理装置200に対してアカウントの登録を行うとともに、自らが用いるプレイヤキャラクタの登録を行う。同様に、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300も、その疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が紐付けられたメタバース管理装置200に対してアカウントの登録を行うとともに、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が操作する疑似プレイヤキャラクタの登録を行う。
ユーザが行うアカウントとプレイヤキャラクタの登録と、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が行うアカウントと疑似プレイヤキャラクタの登録とは、互いに独立して行うことが可能であり、どちらが先に行われても同時に行われても構わない。
【0048】
ユーザがアカウントとプレイヤキャラクタを登録する処理は、公知或いは周知の方法によって実現することができる。
この実施形態では、まず、ユーザは、ユーザ端末100を、例えばユーザ端末100に実装されたブラウザの機能を用いて、メタバース管理装置200にネットワーク400を介して接続する。
そして、入力装置102を用いて自分のアカウントを入力する。入力されたアカウントは、入力装置102からインターフェイス114、入力部121を介して制御部122へと入力される。制御部122は、アカウントを特定するデータであるアカウントのデータを生成する。
アカウントのデータは、制御部122から出力部124へ送られ、更に送受信機構へと送られる。送受信機構はアカウントのデータをネットワーク400を介してメタバース管理装置200に送る。
メタバース管理装置200は送受信機構により、アカウントのデータを受取る。アカウントのデータは、送受信機構からインターフェイスを介して入力部221へと送られ、更には制御部222へと送られる。例えば、制御部222は、そのアカウントのデータを記録する。それにより、メタバース管理装置200にユーザ端末100を利用するユーザのアカウントが記録される。
多数のユーザがアカウントの登録を行うので、メタバース管理装置200の例えば制御部322には多数のユーザのアカウントが記録されることになる。
アカウントの登録が終了したら、ユーザは、自らが用いるプレイヤキャラクタの登録を行う。プレイヤキャラクタの登録はアカウントの登録と連続して行われる必要はない。例えば、後述するログインの処理が行われた後にプレイヤキャラクタの登録を行うことが可能である。また、プレイヤキャラクタの登録を一つのアカウントに対して複数回行うこと、言い換えればプレイヤキャラクタの特徴を変更することも可能である。
この実施形態では、ユーザは、入力装置102を用いてキャラクタデータの入力を行う。この実施形態では、ユーザは、プレイヤキャラクタの性別、名前、身長、体型、顔の造作、服装等の特徴を選択するためのデータを入力装置102を用いて入力する。メタバース管理装置200がデフォルトで準備したプレイヤキャラクタが存在しており、それをユーザが選択する場合には、このキャラクタを選択するということを示す入力のみをユーザが行うこともあるであろう。
入力されたデータは、入力装置102からインターフェイス114、入力部121を介して制御部122へと入力される。入力装置102から制御部122へ至るデータの流れは、説明を省略することもあるが以降も同じである。制御部122は、プレイヤキャラクタの特徴を示すデータであるキャラクタデータを生成する。
キャラクタデータは、制御部122から出力部124へ送られ、更に送受信機構へと送られる。送受信機構はアカウントのデータをネットワーク400を介してメタバース管理装置200に送る。制御部122が生成したデータがメタバース管理装置200へ至るまでのデータの流れは、説明を省略することもあるが以降も同じである。
メタバース管理装置200は送受信機構により、キャラクタデータを受取る。キャラクタデータは、送受信機構からインターフェイスを介して入力部221へと送られ、更には制御部222へと送られる。送受信機構から制御部222へ至るデータの流れは、説明を省略することもあるが以降も同じである。
制御部222は、キャラクタデータを受取ると、その特徴を反映させたプレイヤキャラクタを生成するとともに、そのプレイヤキャラクタを特定するデータであるプレイヤキャラクタデータを生成し、先に受取っていたアカウントのデータとともにプレイヤキャラクタデータをプレイヤキャラクタデータ記録部224へと送る。プレイヤキャラクタデータ記録部224には、アカウントのデータと紐付けられた状態で、プレイヤキャラクタデータが記録される。アカウントのデータと紐付けられたプレイヤキャラクタデータは、多数のユーザがプレイヤキャラクタの登録をすれば多数となる。
【0049】
疑似プレイヤキャラクタ制御装置300がアカウントとプレイヤキャラクタを登録する処理は、ユーザ端末100を用いてユーザがアカウントとプレイヤキャラクタを登録する処理と同様の方法によって実現することができる。
この実施形態では、例えば疑似プレイヤキャラクタ制御装置300の管理者は、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300を、例えば疑似プレイヤキャラクタ制御装置300に実装されたブラウザの機能を用いて、メタバース管理装置200にネットワーク400を介して接続する。
そして、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300の管理者は、入力装置を用いて自分のアカウントを入力する。入力されたアカウントは、入力装置からインターフェイス、入力部321を介して制御部322へと入力される。制御部322は、アカウントを特定するデータであるアカウントのデータを生成する。
アカウントのデータは、制御部322から出力部326へ送られ、更に送受信機構へと送られる。送受信機構はアカウントのデータをネットワーク400を介してメタバース管理装置200に送る。
メタバース管理装置200は送受信機構により、アカウントのデータを受取る。アカウントのデータは、送受信機構からインターフェイスを介して入力部221へと送られ、更には制御部222へと送られる。例えば、制御部222は、そのアカウントのデータを記録する。それにより、メタバース管理装置200に疑似プレイヤキャラクタ制御装置300のアカウントが記録される。メタバース管理装置200から見た場合、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300のアカウントは、ユーザのアカウントと区別できないか、少なくとも区別する必要はない。
疑似プレイヤキャラクタ制御装置300は通常多数の疑似プレイヤキャラクタの操作を行うので、1つの疑似プレイヤキャラクタ制御装置300からメタバース管理装置200に対して登録されるアカウントの数は通常多数である。メタバース管理装置200の例えば制御部222には、多数の疑似プレイヤキャラクタ制御装置300のためのアカウントが記録されることになる。
アカウントの登録が終了したら、メタバース管理装置200の例えば管理者は、メタバース管理装置200が動作させるプレイヤキャラクタである疑似プレイヤキャラクタの登録を行う。疑似プレイヤキャラクタの登録は、ユーザ端末100からプレイヤキャラクタの登録を行う場合と同様に、アカウントの登録と連続して行われる必要はないし、一つのアカウントに対して複数回行うことも可能である。
この実施形態では、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300の管理者は、入力装置を用いてキャラクタデータの入力を行う。この実施形態では、ユーザは、プレイヤキャラクタの特徴を選択するためのデータを入力装置を用いて入力する。
入力されたデータは、入力装置からインターフェイス、入力部321を介して制御部322へと入力される。入力装置から制御部322へ至るデータの流れは、説明を省略することもあるが以降も同じである。制御部322は、プレイヤキャラクタの特徴を示すデータであるキャラクタデータを生成する。
キャラクタデータは、制御部322から出力部326へ送られ、更に送受信機構へと送られる。送受信機構はアカウントのデータをネットワーク400を介してメタバース管理装置200に送る。制御部322が生成したデータがメタバース管理装置200へ至るまでのデータの流れは、説明を省略することもあるが以降も同じである。
メタバース管理装置200は送受信機構により、キャラクタデータを受取る。キャラクタデータは、送受信機構からインターフェイスを介して入力部221へと送られ、更には制御部222へと送られる。送受信機構から制御部222へ至るデータの流れは、説明を省略することもあるが以降も同じである。
制御部222は、キャラクタデータを受取ると、その特徴を反映させた疑似プレイヤキャラクタとしてのプレイヤキャラクタを生成するとともに、そのプレイヤキャラクタを特定するデータであるプレイヤキャラクタデータを生成し、先に受取っていたアカウントのデータとともにプレイヤキャラクタデータをプレイヤキャラクタデータ記録部224へと送る。プレイヤキャラクタデータ記録部224には、アカウントのデータと紐付けられた状態で、プレイヤキャラクタデータが記録される。
なお、この実施形態では、メタバース管理装置200に対して疑似プレイヤキャラクタ制御装置300がアカウントと疑似プレイヤキャラクタとしてのキャラクタの登録とを行う際に、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300の管理者等が手動でそれらの登録を行ったが、所定のコンピュータプログラムを疑似プレイヤキャラクタ制御装置300に追加することにより、以上の登録を疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が自動的に行うようにすることも可能である。
また、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300の管理者とメタバース管理装置200の管理者との間で同意ができているのであれば、例えば、メタバース管理装置200の管理者の手によって、制御部222に多数のアカウントのデータを一度に記録することや、プレイヤキャラクタデータ記録部224に多数のアカウントデータとプレイヤキャラクタデータの組とを一度に記録する等、上述の処理とは異なる処理を採用することも当然に可能である。
【0050】
(動作人工知能の学習)
以上の登録を済ませることで取り敢えず、ユーザは、ユーザ端末100を用いてメタバース管理装置200によるメタバースのサービスを受けることができる、つまりメタバース管理装置200が生成した仮想三次元空間に自らが操作するプレイヤキャラクタを送り込むことができる状態になった。
同様に、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300もメタバース管理装置200が生成した仮想三次元空間に自らが操作するプレイヤキャラクタである疑似プレイヤキャラクタを送り込むことができるようになった。しかしながら、例えば、初期の段階では、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が疑似プレイヤキャラクタを自動で操作する或いは動作させる機能の中心となる動作人工知能324Aの学習が行われていない。
そこで、動作人工知能324Aに学習を行わせる。
【0051】
以下、動作人工知能324Aの学習方法の一例を示す。
この場合、もちろんこれには限られないが、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が操作する疑似プレイヤキャラクタは、企業の製品の販売促進を行うためのものであるとして話を進める。
【0052】
まず、ユーザがメタバース管理装置200にログインする。
ユーザがメタバース管理装置200にログインする場合、ユーザは、ユーザ端末100を、例えばユーザ端末100に実装されたブラウザの機能を用いて、メタバース管理装置200にネットワーク400を介して接続する。
そして、入力装置102を用いて自分のアカウントを入力する。それにより、制御部122は、アカウントを特定するデータであるアカウントのデータを生成する。また、ユーザはログインを行う旨の入力を行う。制御部122はその入力を受け、ログインのデータを生成する。アカウントのデータとログインのデータは、ユーザ端末100からネットワーク400を介してメタバース管理装置200に送られる。
メタバース管理装置200はアカウントのデータとログインのデータとを受取る。アカウントのデータとログインのデータは、メタバース管理装置200の制御部222へと送られる。
制御部222は、アカウントのデータとログインのデータとを受取ったら、そのアカウントのデータで特定されるアカウントが制御部222に記録されているアカウントのいずれかと一致するか否かの判定を行う。かかる判定の結果、受取ったアカウントのデータで特定されるアカウントが記録されている多数のアカウントの1つと一致したら、制御部222はアカウントのデータとログインのデータとを送ってきたユーザ端末100或いはそのユーザ端末100の操作をしているユーザのログインを認める。
ログインを認めたら、制御部222はアカウントのデータを仮想三次元空間データ生成部223に送る。それを受取ると、仮想三次元空間データ生成部223は、プレイヤキャラクタデータ記録部224から、そのアカウントデータで特定されるアカウントと紐付けられたプレイヤキャラクタデータを読みだす。このプレイヤキャラクタデータで特定されるプレイヤキャラクタは、上述のアカウントデータを持つユーザのプレイヤキャラクタである。それに加えて、仮想三次元空間データ生成部223は、仮想三次元空間を作るために必要なデータとして、メタバースデータ記録部225からメタバースデータを読みだす。
メタバースデータと、プレイヤキャラクタデータとに基づき、仮想三次元空間データ生成部223は、仮想三次元空間についてのデータである仮想三次元空間データを生成する。仮想三次元空間データは、その中に上述のユーザのプレイヤキャラクタが存在する仮想空間についてのある範囲のデータである。仮想三次元空間のプレやキャラクタ以外の部分はメタバースデータによって特定され、プレイヤキャラクタについてはプレイヤキャラクタデータによって特定される。なお、仮想三次元空間データ生成部223は、仮想三次元空間のプレイヤキャラクタデータ以外の部分を生成するにあたって、メタバースデータ以外のデータを利用することも可能である。これは、以降に説明する仮想三次元空間データが生成されるすべての場合で同様である。例えば、メタバース管理装置200は、クローリングその他の公知或いは周知の技術によりネットワーク400上から適宜のデータを収集し、そのデータをも仮想三次元空間を生成するのに利用することができる。例えば、現実世界におけるある地域における天候を、仮想三次元空間内のある地域における天候と一致させたり、現実世界におけるあるプロサッカーリーグにおけるある試合の結果を、仮想三次元空間内のあるサッカースタジアムで開催されるサッカーの試合の結果に反映させるといったことが可能である。
仮想三次元空間データ生成部223は生成した仮想三次元空間データをメタバース画像データ生成部226へと送る。メタバース画像データ生成部226は、受取った仮想三次元空間データに基づいてメタバース画像を生成し、メタバース画像についてのデータであるメタバース画像データを生成する。この場合のメタバース画像は上述したようなものであり、例えば、ある視点から見たプレイヤキャラクタを含むある範囲の仮想三次元空間の画像である。
メタバース画像データ生成部226は、生成したメタバース画像データを出力部227へ送る。メタバース画像データは出力部227から送受信機構へと送られ、更にはネットワーク400を介して、ログインが認められたユーザ端末100へと送信される。
ユーザ端末100はその送受信機構でメタバース画像データを受取る。メタバース画像データは送受信機構から、インターフェイス114、入力部121を介して画像制御部123へと送られる。それを受取った画像制御部123は、メタバース画像データに基づいて、ディスプレイに仮想三次元空間内の画像を表示するためのデータである画像データを生成する。
画像データは、出力部124を介してインターフェイス114に送られ、更にはディスプレイ101に送られる。ディスプレイ101には、画像データに基づく画像が表示される。画像データに基づく画像は、メタバース管理装置200が生成した仮想三次元空間内の画像である。ユーザは、ディスプレイ101に映し出されたその画像を見ることにより、メタバース管理装置200にログインすることができたことを知る。
【0053】
同様に、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300がメタバース管理装置200にログインする。
疑似プレイヤキャラクタ制御装置300がメタバース管理装置200にログインする場合、この例では、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300の管理者や製品の販売促進を行う企業の関係者(販促者)が疑似プレイヤキャラクタ制御装置300の操作を行う。かかる操作は、もちろん、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300を遠隔で操作するものであっても構わない。とりあえず、販促者がかかる操作を行うものとして話を進める。
販促者は、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300がログインを行ったときに仮想三次元空間に送り込む疑似プレイヤキャラクタを特定するための、疑似プレイヤキャラクタと紐付けられたデータであるアカウントのデータを入力する。また、販促者はログインを行う旨の入力を行う。制御部322はその入力を受け、ログインのデータを生成する。アカウントのデータとログインのデータは、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300からネットワーク400を介してメタバース管理装置200に送られる。
以下のメタバース管理装置200内で行われる処理は、ユーザがユーザ端末100を用いてメタバース管理装置200にログインを行うときと同じである。メタバース管理装置200から見れば、ユーザ端末100と疑似プレイヤキャラクタ制御装置300とは区別できないか、少なくとも区別する必要はない。つまり、ユーザ端末100と組合せて用いられることを前提としているメタバース管理装置200には、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300と組み合されるにあたり、新たな改変や改造が必要とならない。少なくとも大きな改変や改造は必要とならない。
アカウントのデータとログインのデータとを受取ったメタバース管理装置200は、受取ったアカウントのデータによって特定されるアカウントと紐付けられた疑似プレイヤキャラクタが存在する仮想空間についてのある範囲のデータである仮想三次元空間データを生成し、更にはその仮想三次元空間データに基づいて、メタバース画像データについてのメタバース画像を生成する。
仮想三次元空間データ生成部223は生成した仮想三次元空間データをメタバース画像データ生成部226へと送る。メタバース画像データ生成部226は、受取った仮想三次元空間データに基づいてメタバース画像を生成し、メタバース画像についてのデータであるメタバース画像データを生成する。この場合のメタバース画像は、例えば、ある視点から見た疑似プレイヤキャラクタを含むある範囲の仮想三次元空間の画像である。
メタバース画像データ生成部226は、生成したメタバース画像データを出力部227へ送る。メタバース画像データは出力部227から送受信機構へと送られ、更にはネットワーク400を介して、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300へと送信される。この場合のメタバース画像、或いはメタバース画像データは、ユーザ端末100へ送られるものとは通常異なるものとなっている。
疑似プレイヤキャラクタ制御装置300から操作データを受け取ってからメタバース画像データを疑似プレイヤキャラクタ制御装置300へ送り返すまでのこのようなメタバース管理装置200が行う処理は、ユーザ端末100から操作データを受け取ってからメタバース画像データをユーザ端末100へ送り返す際にメタバース管理装置200が行う処理と同じである。
【0054】
メタバース画像データを受取ったユーザ端末100では、メタバース画像データによって生成された画像データに基づく画像がディスプレイ101に表示された。
メタバース画像データを受取った疑似プレイヤキャラクタ制御装置300で行われる処理はこれとは異なる。
疑似プレイヤキャラクタ制御装置300では、送受信機構で受取られたメタバース画像データは、インターフェイス、入力部321を介して、画像解析部327へ送られる。画像解析部327は、その画像から、様々な特徴点を抽出することにより環境データを生成する。
環境データは上述したように、メタバース画像データによって特定されるメタバース画像(音声も含む)の特徴点である。この特徴点を抽出するために、画像解析部327は、音声データを含むメタバース画像データから、疑似プレイヤキャラクタの周囲の環境の特徴点を推定する。
この特徴点には、例えば、疑似プレイヤキャラクタが存在する仮想三次元空間内での位置が含まれる。このような位置の推定は、例えば、メタバースの仮想三次元空間のマップの把握と、疑似プレイヤキャラクタの位置を推定する人工知能である位置推定エンジンとの組合せにより実現可能である。
特徴点にはまた、近くにプレイヤキャラクタが存在するか、近くにプレイヤキャラクタが存在するなら疑似プレイヤキャラクタとの相対的な位置関係がどのようになっているか、ということが含まれうる。そのような特徴点は、例えば、メタバース画像データによって特定されるメタバース画像にプレイヤキャラクタが写り込んでいるか否か、仮にメタバース画像にプレイヤキャラクタが写り込んでいるならプレイヤキャラクタの大きさや向きがどのようになっているかを、メタバース画像に対して画像認識(パターン認識)を実行することによって把握可能である。このような処理には、画像認識を行うための人工知能を用いることが可能である。
特徴点にはまた、プレイヤキャラクタが発した言葉の内容が含まれうる。プレイヤキャラクタが発した言葉の内容は、プレイヤキャラクタが発した言葉を認識(或いは特定)するための音声認識の人工知能と、音声認識の人工知能によって認識された言葉の意味を認識(或いは特定)するための意味認識の人工知能との組合せによって把握することが可能である。
このように環境データを生成するために、画像解析部327は複数の人工知能を用いても構わない。そして、画像解析部327が環境データを生成するために用いる例えば複数の人工知能は、すべての疑似プレイヤキャラクタについての環境データを生成する場合において共通とすることができる。
それらの特徴点の情報を含んだ環境データは、動作パターン記録部324へと送られる。
環境データの生成が開始されたことで、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300は、メタバース管理装置200にログインすることができたことを把握することができる。
なお、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300は基本的にディスプレイが必要ないとここまでに述べたが、疑似プレイヤキャラクタを販促者等の人間が操作する場合には、人間が疑似プレイヤキャラクタを操作できるようにするために、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300に対しても、ユーザ端末100と同様にディスプレイを設けるべきである。そして、そのディスプレイに、ユーザ端末100の場合と同様に、メタバース画像に基づく画像を表示すべきである。
【0055】
ユーザがユーザ端末100からメタバース管理装置200にログインし、販促者が疑似プレイヤキャラクタ制御装置300からメタバース管理装置200にログインした状態であるとする。メタバース管理装置200が生成する仮想三次元空間内には、ユーザ端末100を用いてユーザが操作するプレイヤキャラクタと、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300を用いて販促者が操作する疑似プレイヤキャラクタが同時に存在している。
その状態でユーザは、入力装置102から操作データを生成するための入力を行う。その入力内容は、制御部122に送られる。制御部122は、受取った入力内容に応じた操作データを生成する。操作データは、ユーザのプレイヤキャラクタにユーザの望むような動作をさせるためのデータである。
操作データは、制御部122から出力部124、インターフェイス114を介して送受信機構に送られ、更にはネットワーク400を介してログイン中のメタバース管理装置200に送られる。
操作データは、メタバース管理装置200の送受信機構で受取られ、送受信機構から、インターフェイス、入力部221を経て制御部222へと送られ、更には仮想三次元空間データ生成部223へと送られる。仮想三次元空間データ生成部223は、仮想三次元空間内におけるログインしているそのユーザのプレイヤキャラクタを操作データにしたがって動作させる。動作は、プレイヤキャラクタの移動や、姿勢の変化、或いは言葉を発すること等である。
仮想三次元空間データ生成部223は再び仮想三次元空間データを生成し、それをメタバース画像データ生成部226へと送る。メタバース画像データ生成部226は仮想三次元空間データに基づいて再びメタバース画像と、メタバース画像データとを生成する。
メタバース画像データは上述したようにメタバース管理装置200からログイン中のユーザ端末100へ送られる。メタバース画像データを受取ったユーザ端末100では、メタバース画像データによって生成された画像データに基づく画像がディスプレイ101に表示されるが、その画像に含まれる疑似プレイヤキャラクタは、その動画中で操作データにしたがった動作を行う。
他方、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300では、販促者が、入力装置102から操作データを生成するための入力を行う。その入力内容は、制御部322に送られる。制御部322は、受取った入力内容に応じた操作データを生成する。操作データは、販促者が操作する疑似プレイヤキャラクタに販促者の望むような動作をさせるためのデータである。
操作データは、制御部322から出力部326、インターフェイスを介して送受信機構に送られ、更にはネットワーク400を介してログイン中のメタバース管理装置200に送られる。
操作データは、メタバース管理装置200の送受信機構で受取られ、送受信機構から、インターフェイス、入力部221を経て制御部222へと送られ、更には仮想三次元空間データ生成部223へと送られる。仮想三次元空間データ生成部223は、仮想三次元空間内におけるログインしている販促者が操作する疑似プレイヤキャラクタを操作データにしたがって動作させる。この動作も、疑似プレイヤキャラクタの移動や、姿勢の変化、或いは言葉を発すること等である。
仮想三次元空間データ生成部223は再び仮想三次元空間データを生成し、それをメタバース画像データ生成部226へと送る。メタバース画像データ生成部226は仮想三次元空間データに基づいて再びメタバース画像と、メタバース画像データとを生成する。
メタバース画像データは上述したようにメタバース管理装置200からログイン中のユーザ端末100へ送られる。メタバース画像データを受取った疑似プレイヤキャラクタ制御装置300では、その画像解析部327で再び環境データが生成される。環境データは動作パターン記録部324へと送られる。他方、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300に接続されたディスプレイには、メタバース画像データによって生成された画像データに基づく画像が表示されることになるが、その画像に含まれる疑似プレイヤキャラクタは、その動画中では操作データにしたがった動作を行う。
【0056】
このようにして、ユーザ端末100を操作するユーザは、メタバース管理装置200が提供する仮想三次元空間の中で自分のプレイヤキャラクタを自分の望むとおりに動作させることができる。他方、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300を操作する販促者は、メタバース管理装置200が提供する仮想三次元空間の中で自分の疑似プレイヤキャラクタを自分の望むとおりに動作させることができる。
仮想三次元空間の中で、プレイヤキャラクタと疑似プレイヤキャラクタが出会ったとする。ある製品の販売促進を目的とした疑似プレイヤキャラクタは、例えば、仮想三次元空間内において製品の販売促進を行うために適切な場所においてユーザの操作するプレイヤキャラクタを待ち構えているので、ある確率でプレイヤキャラクタと疑似プレイヤキャラクタとの仮想三次元空間内での出会いが生じる。
そのとき販促者は、疑似プレイヤキャラクタを介して、ユーザが操作するプレイヤキャラクタに対して、自らが販売促進を行う製品を見せるためにプレイヤキャラクタを製品のある場所まで案内したり、製品の例えば、機能、値段等についての説明をしたりする。そのために、販促者は、疑似プレイヤキャラクタに適切な動作をさせるべく、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300の入力装置を操作して、メタバース管理装置200に対して操作データを送る。
疑似プレイヤキャラクタが販売促進のために必要な動作を行っているその間においても、メタバース管理装置200は、メタバース画像データを生成し続け、生成したメタバース画像データをユーザ端末100と疑似プレイヤキャラクタ制御装置300とに送り続ける。
ユーザは、ユーザ端末100を更に操作してプレイヤキャラクタを動作させ、販促者は、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300を操作して疑似プレイヤキャラクタを動作させる。それにより、プレイヤキャラクタと疑似プレイヤキャラクタとの間に、或いはそれらを操作するユーザと販促者との間にコミュニケーションが生じる。そのコミュニケーションは例えば、プレイヤキャラクタからのAという質問に対して疑似プレイヤキャラクタがaという回答を返すとか、プレイヤキャラクタからのBという質問に対して疑似プレイヤキャラクタがbという回答を返すとか、プレイヤキャラクタからのCという依頼に対して疑似プレイヤキャラクタがcという行動で応えるといったものである。
そのようなコミュニケーションが生じている間においても、メタバース管理装置200は、メタバース画像データを生成し続け、生成したメタバース画像データをユーザ端末100と疑似プレイヤキャラクタ制御装置300とに送り続ける。
そして、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300内では、画像解析部327によって環境データが生成され続け、環境データが画像解析部327から動作パターン記録部324へと次々と送られ続ける。ただし、既に述べたように、画像解析部327は、動作人工知能324Aの学習を進めるときにおいては、環境データに加えて、疑似プレイヤキャラクタがどのような動作を行ったのかを特定するデータである動作データをも生成する。したがって、この場合に画像解析部327から動作パターン記録部324へと次々と送られるのは、一対とされた環境データと動作データである。
【0057】
画像解析部327から動作パターン記録部324へと次々と送られる環境データ及び動作データとは教師データとして、動作パターン記録部324に記録されている動作人工知能324Aに入力される。それにより、動作人工知能324Aの環境データと動作データによる学習が進む。
具体的には、画像解析部327から動作パターン記録部324へ次々と送られる対とされた環境データと動作データを、その環境データの生成のきっかけとなっている疑似プレイヤキャラクタと紐付けられた動作人工知能324Aへと次々と入力する。それにより動作人工知能324Aは、ある環境データが入力されたときに出力すべき動作データを学習していくことになる。教師データとして入力される動作データは、疑似プレイヤキャラクタが販促者という人間に操作されているため、その動作データを入力されるときに同時に入力される環境データによって特定される疑似プレイヤキャラクタの周囲の環境に即したものとなっている。したがって、そのような一組の環境データと動作データとを次々と入力されることによって学習が勧められた動作人工知能324Aは、環境データで特定される疑似プレイヤキャラクタの周知の環境に対して適切な動作データを出力することが可能となるように学習が進められることになる。
なお、動作人工知能324Aの学習は、疑似プレイヤキャラクタとプレイヤキャラクタのコミュニケーションが生じている場合に限って行われるとは限らない。また、動作人工知能324Aの学習は、疑似プレイヤキャラクタがメタバース管理装置200が作る仮想三次元空間にログインしているときに実時間的に行われる必要はなく、例えば、ある程度教師データが溜まったタイミングで、例えば、疑似プレイヤキャラクタがログインしていないタイミングで行われるようになっていても構わない。
このような学習は、すべての動作人工知能324Aに対して行われても良い。もっともすべての動作人工知能324Aが、上述のような過程を経て疑似プレイヤキャラクタ制御装置300内で学習を行う必要はない。例えば、動作人工知能324Aとして用いることのできる人工知能、例えば、他の疑似プレイヤキャラクタ制御装置300で生成された動作人工知能や、他の何らかの方法で生成された動作人工知能のデータが存在するのであれば、それを動作パターン記録部324に記録することにより、動作パターン記録部324に学習済みの動作人工知能324Aを記録することが可能である。その場合、例えば、そのような学習済みの動作人工知能のデータを記録した記録媒体を、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300のインターフェイスに接続された記録媒体(例えば、DVD-ROM)の読み書き装置に挿入し、読み書き装置からインターフェイス、入力部321を介して制御部322に送られた当該データを、制御部322が動作パターン記録部324へと記録するようにすることで、動作人工知能324Aを動作パターン記録部324に記録することができる。学習済みの人工知能のデータはもちろん、記録媒体経由で疑似プレイヤキャラクタ制御装置300に入力される必要はなく、ネットワーク400経由で疑似プレイヤキャラクタ制御装置300に入力されても良い。
例えば、他の装置(他の疑似プレイヤキャラクタ制御装置300)で生成された学習済みの動作人工知能324Aのデータ(コンピュータプログラムとデータのデータセット)をある疑似プレイヤキャラクタ制御装置300の動作パターン記録部324にインストールすることが可能である。
【0058】
(疑似プレイヤキャラクタの自動的な操作)
以上の説明では、疑似プレイヤキャラクタは販促者という人間によって操作されていた。しかしながら、疑似プレイヤキャラクタは、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300によって自動的に操作され、或いは動作させられるのが基本である。
以下、疑似プレイヤキャラクタが疑似プレイヤキャラクタ制御装置300によって自動的に操作される場合について説明する。
ユーザがーザ端末100からメタバース管理装置200にログインし、且つ販促者が疑似プレイヤキャラクタ制御装置300からメタバース管理装置200にログインした状態で、仮想三次元空間の中で、プレイヤキャラクタと疑似プレイヤキャラクタが出会ったとする。
ここまでの処理は、基本的に(動作人工知能の学習)で述べた場合と同様である。もっとも、疑似プレイヤキャラクタはプレイヤキャラクタと出会う前においても、販促者ではなく疑似プレイヤキャラクタ制御装置300によって操作されていてもよい。
メタバース管理装置200が生成する仮想三次元空間の中で、プレイヤキャラクタが疑似プレイヤキャラクタと出会う。なお、制御部322は、現在メタバース管理装置200にログインしている疑似プレイヤキャラクタのアカウントのデータを、その疑似プレイヤキャラクタがメタバース管理装置200にログインした前後に、動作決定部323に送っている。
ユーザは、ユーザ端末100を更に操作してプレイヤキャラクタを動作させ、上述したように、質問や、依頼をある製品の販売促進を行おうとする擬似プレイヤキャラクタに対して行う場合がある。
その間にも、メタバース管理装置200は、メタバース画像データを生成し続け、生成したメタバース画像データをユーザ端末100と疑似プレイヤキャラクタ制御装置300とに送り続ける。
そして、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300内の画像解析部327では環境データが生成され続ける(この場合、つまり疑似プレイヤキャラクタの動作が疑似プレイヤキャラクタ制御装置300に自動的に制御されており、動作人工知能324Aの学習が行われているのではない場合)には、画像解析部327による動作データの生成は必要ない)。環境データの内容、環境データの生成方法は既に述べた通りである。生成された、環境データは、画像解析部327から今度は動作パターン記録部324ではなく、動作決定部323に次々と送られる。
動作決定部323は、動作パターン記録部324に記録された動作人工知能324Aのうち、制御部322から受取ったアカウントのデータに対応したアカウントが付されたものを読みだす。そして、その動作人工知能324Aに対して画像解析部327から受取った環境データを入力し、入力を行った動作人工知能324Aから、その環境データに対する出力として動作データを得る。つまり、動作人工知能324Aは、疑似プレイヤキャラクタが置かれたある環境下において、どのような動作を行うのが相応しいのかということを推定する動作推定エンジンとして機能する。そして、動作人工知能324Aの出力として得た動作データによって特定される動作を、動作決定部323は、疑似プレイヤキャラクタが行うべき動作として決定する。この動作は、そのときの疑似プレイヤキャラクタが置かれた環境に相応しいものとなっている蓋然性が高い。
なお、動作決定部323は、動作人工知能324Aからの出力そのものを疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を決定づけるべきデータとしてそのまま用いなくても良い。例えば、クローリングその他の公知或いは周知の技術によりネットワーク400上から適宜のデータを収集し、収集したそのデータによって、動作人工知能324Aからの出力を変化させて変化させた後のデータを疑似プレイヤキャラクタに行わせる動作を決定づけるべきデータとすることが可能である。それにより、疑似プレイヤキャラクタの動作を、例えば、現実世界における事情(天候や、時事問題や、流行等)に即した例えばより自然なものにすることも可能である。とはいえ、疑似プレイヤキャラクタの動作をより自然なものとするには、クローリング等によって収集した上述のデータを、環境データを生成するために画像解析部327で用いられる上述した種々の人工知能に反映させたり、或いは動作人工知能324Aに反映させたりするといった他の工夫でも対応可能である。
動作決定部323は、環境データと、動作人工知能324Aとを用いて生成した上述の動作データを、疑似操作データ生成部325へと送る。
動作データを受取った疑似操作データ生成部325は、その動作データによって特定される動作を、上述したアカウントのデータによって特定される疑似プレイヤキャラクタに対して行わせるためのデータである疑似操作データを生成する。疑似操作データは、その疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が紐付けられたメタバース管理装置200が受付けられるデータ形式のデータとされる。
なお、疑似操作データ生成部325は、疑似操作データを、疑似プレイヤキャラクタに自然な動作を行わせるために調整するための人工知能を含んでいても構わない。そのような人工知能を有することにより、疑似操作データを受け取ったメタバース管理装置200の制御下で動作させられる疑似プレイヤキャラクタの動作が、自然なものとなる。例えば、仮想三次元空間内で真っ直ぐ歩いている疑似プレイヤキャラクタを左折させるにしても、ある場所で擬似プレイヤキャラクタが突然直角に向きを変えるのは人間の通常の歩き方や曲がり方に照らせば極めて不自然である。人間は普通はある程度の半径のカーブを描きながら、曲がる。そのような調整を行う人工知能(つまり、ユーザが入力装置102を用いて行う操作を推定する操作推定エンジンとしての人工知能)を疑似操作データ生成部325が持っていれば、仮想三次元空間内での擬似プレイヤキャラクタの動作は自然なものとなる。そのような人工知能は、疑似プレイヤキャラクタ毎に異なるものである必要はなく、すべての疑似プレイヤキャラクタについての疑似操作データを生成する場合において共通のものとすることができる。
疑似操作データ生成部325は、生成した疑似操作データを出力部326へと送る。疑似操作データは、出力部326から送受信機構へ送られ、更にはネットワーク400を介してメタバース管理装置200へと送られる。
【0059】
メタバース管理装置200は、疑似操作データをその送受信機構で受取る。疑似操作データは、そこから制御部222へと送られ、更には三次元空間データ生成部223へと送られる。
疑似操作データはユーザ端末100から送られてくる操作データと、データ形式の点で共通している。したがって、疑似操作データを受取った三次元空間データ生成部223は、操作データを受取ったときに操作データにしたがってプレイヤキャラクタに動作を行わせるのと同様にして、疑似操作データにしたがって疑似プレイヤキャラクタに対して疑似操作データにしたがった動作を行わせる。
以後の処理は、既に述べた通りである。
メタバース管理装置200は、メタバース画像データを生成してユーザ端末100と疑似プレイヤキャラクタ制御装置300のそれぞれへと送る。
メタバース画像データを受取ったユーザ端末100のディスプレイ101には、メタバース画像データに基づく画像が動画で表示されることになる。その画像中で、疑似プレイヤキャラクタは、疑似操作データにしたがった動作を行う。ユーザは、疑似プレイヤキャラクタが人間に操作されているのか、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300という機械に操作されているのかわからないかも知れない。しかしながらそれは問題ない。ユーザは、自らが操作するプレイヤキャラクタと疑似プレイヤキャラクタとのコミュニケーションを、少なくとも大きな違和感なく体験することができる。
【0060】
以上で説明した例では、疑似プレイヤキャラクタはある企業の製品の販売促進を目的としたものであった。
もっとも、これはもちろん単なる例示である。例えば、疑似プレイヤキャラクタは、仮想三次元空間内で案内を行うようなものであってもよい。この場合の疑似プレイヤキャラクタによる案内は、例えば、ユーザの或いはユーザの操作するプレイヤキャラクタの好みに合わせて、例えば、食に着目した、景色に着目した、建築物に着目したものとすることができる。疑似プレイヤキャラクタの動作を決定する動作人工知能324Aを適切なものとして準備しておくことにより、疑似プレイヤキャラクタの動作を所望のものとすることができる。
また、上述の例では、疑似プレイヤキャラクタとプレイヤキャラクタとは1対1の関係でコミュニケーションを取ることとして説明したが、1対多、或いは多対1の関係で両者がコミュニケーションを取るようなことも当然に起こりうるであろう。
【0061】
更には、疑似プレイヤキャラクタは上述の如き明確な目的を持ったものでなければならないというわけではない。例えば、疑似プレイヤキャラクタは、仮想三次元空間内で、ユーザが操作するプレイヤキャラクタの単なる話し相手となるものであってもよい。そのような疑似プレイヤキャラクタをユーザが望むのであれば、ユーザは自分が望むときに同一の疑似プレイヤキャラクタと仮想三次元空間内で会うことを望むはずである。たとえば、その疑似プレイヤキャラクタと紐付けられた動作人工知能324Aが、あるプレイヤキャラクタと過去に仮想三次元空間内で一緒に行動した場合におけるプレイヤキャラクタの行動や、プレイヤキャラクタの好みを、例えば上述したような環境データを用いての処理により学習していたり、或いは少なくとも過去のプレイヤキャラクタの行動の履歴を例えば動作人工知能324A内外の何らかの記録部に残したりしていれば、その疑似プレイヤキャラクタの行う動作はユーザ或いはユーザが操作するプレイヤキャラクタにとって望ましいものとなる可能性が高い。もちろん、過去に疑似プレイヤキャラクタが経験した事象についての履歴のデータは、疑似プレイヤキャラクタの目的によらず、疑似プレイヤキャラクタが上述の如きある製品の販売促進に用いられる場合であっても利用することが可能である。
そのような場合、例えば、ユーザと疑似プレイヤキャラクタとは、メタバースのサービスの中で、互いのアカウントのデータを取り交わして、お互いのことを互いに把握していることが便利である。そのような機能は、既存のメタバース管理装置に実装されている。既存のメタバース管理装置には、一方のプレイヤキャラクタから他方のプレイヤキャラクタに対して行ういわゆる「友達申請」と、他方のプレイヤキャラクタによるその「承諾」により、お互いのアカウントをお互いに把握する機能が備えられている。
そのようにしてお互いのアカウントの把握をしている状態であれば、ユーザないしそのユーザが操作するプレイヤキャラクタは、メタバース管理装置200が提供する仮想三次元空間内で、アカウントを既に把握している決まった疑似プレイヤキャラクタを呼び出すことが可能となる。この場合、例えば、ユーザは、ユーザ端末100の入力装置102を操作して、ある疑似プレイヤキャラクタを呼び出すための入力を行う。その入力には例えば、呼び出したい疑似プレイヤキャラクタのアカウントのデータが含まれている。その入力を受取った制御部122は、疑似プレイヤキャラクタを選択し、選択したその疑似プレイヤキャラクタを呼び出すためのデータである選択データを生成する。選択データは、ユーザ端末100からネットワーク400を介して疑似プレイヤキャラクタ制御装置300へと送られる。
選択データは、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が受取る。選択データは、制御部322へと送られる。選択データを受取った疑似プレイヤキャラクタ制御装置300は、選択データに含まれていたアカウントのデータに対応したアカウントを用いてメタバース管理装置200に対してログインの処理を行う。
そうすることで、そのアカウントと紐付けられた疑似プレイヤキャラクタがメタバース管理装置200の作る仮想三次元空間の中に現れることになる。それにより、仮想三次元空間内で、ユーザの操作するプレイヤキャラクタと、ユーザが呼び出した疑似プレイヤキャラクタとが落ち合うことができる。仮想三次元空間内でプレイヤキャラクタと疑似プレイヤキャラクタとが確実に落ち合うことができるように、選択データに対して、今現在プレイヤキャラクタがいる仮想三次元空間内での位置情報を付加する等の工夫は、公知或いは周知技術にしたがって適当に採用すれば良い。
ユーザが複数の疑似プレイヤキャラクタを呼び出せば、仮想三次元空間内で、ユーザのプレイヤキャラクタは、複数の疑似プレイヤキャラクタとコミュニケーションを取ることが可能となる。
【0062】
<変形例>
変形例の疑似プレイヤキャラクタ制御装置300を含むメタバースステムについて説明する。
変形例の疑似プレイヤキャラクタ制御装置300を含むメタバースシステムの概略を、図8に示す。
変形例のメタバースシステムは、実施形態で説明したメタバースシステムと殆どの点で共通する。異なるのは、変形例では、実施形態では3つであった疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が1つのみとされているということである。
実施形態で説明したメタバースシステムでは、複数のメタバース管理装置200のそれぞれと、メタバース管理装置200と同数の疑似プレイヤキャラクタ制御装置300とが一対一対応しており、各メタバース管理装置200が作る仮想三次元空間内に、各メタバース管理装置200と紐付けられた疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が疑似プレイヤキャラクタを送り込むようになっていた。
それに対して、変形例による疑似プレイヤキャラクタ制御装置300は、複数、この変形例であれば3つのメタバース管理装置200がそれぞれ生成する仮想三次元空間のすべてに、疑似プレイヤキャラクタを送り込み、疑似プレイヤキャラクタを動作させるものとなっている。
【0063】
変形例のメタバースシステムにおけるユーザ端末100と、メタバース管理装置200の構成、機能、動作等は、変形例のユーザ端末100の制御部122の機能と、実施形態のユーザ端末100の制御部122の機能との間に後述するような僅かな相違がある点を除けばすべて、実施形態で説明したものと同じである。
他方、変形例のメタバースシステムにおける疑似プレイヤキャラクタ制御装置300は、実施形態で説明した疑似プレイヤキャラクタ制御装置300と相違がある。とはいえ、その相違は僅かである。
まず、ハードウェア的な観点からいえば、変形例の疑似プレイヤキャラクタ制御装置300と実施形態の疑似プレイヤキャラクタ制御装置300との間に相違はない。
また、サーバを本願発明の疑似プレイヤキャラクタ制御装置として機能させるためのコンピュータプログラムによって変形例による疑似プレイヤキャラクタ制御装置300内に生成される機能ブロックは、図5、6に示される通りであり、実施形態で説明したものと変わりがない。また、変形例の疑似プレイヤキャラクタ制御装置300内に生成される機能ブロックの機能は、制御部322と疑似操作データ生成部325を除いて、実施形態におけるそれらの機能と同じである。
変形例における疑似操作データ生成部325は、生成された疑似操作データが送られるメタバース管理装置200が受付けることのできるデータ形式の疑似操作データを生成できるようになっているという点で、実施形態における疑似プレイヤキャラクタ制御装置300における疑似操作データ生成部325とその機能が異なる。例えば、変形例のメタバースシステムにおける3つのメタバース管理装置200のそれぞれがユーザ端末100から受付けることが予定された操作データのデータ形式がそれぞれ異なるものであったとする。その場合、変形例の疑似操作データ生成部325は、3種類の異なるデータ形式の疑似操作データを生成できるようになっている。
【0064】
変形例のメタバースシステムの使用方法と動作について説明する。
【0065】
(前提としての処理)
前提としての処理については、変形例と実施形態とでは基本的に変わることが無い。
ユーザは、ユーザ端末100を用いて、3つのメタバース管理装置200のうちの任意のものに対して、アカウントとプレイヤキャラクタの登録を行う。1人のユーザが複数のメタバース管理装置200に対してアカウントとプレイヤキャラクタの登録を行うことが可能である。
他方、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300は、3つのメタバース管理装置200に対して、実施形態で述べたのと同様の処理を実行することにより、アカウントと疑似プレイヤキャラクタの登録を行う。ただし、変形例の疑似プレイヤキャラクタ制御装置300では、どのアカウントがどのメタバース管理装置200に登録されたアカウントなのであるかということも管理される。例えば、制御部322にアカウントのデータが記録されるとすれば、そのアカウントのデータには、そのアカウントのデータがどのメタバース管理装置200に登録されたものであるのかということを特定する情報が付加される。たとえば、3つのメタバース管理装置200に、1、2、3という識別番号を付すことでそれらを区別するのであれば、その識別番号がアカウントのデータとともに制御部322に記録されることになる。
【0066】
(動作人工知能の学習)
動作人工知能の学習の場合も、変形例のメタバースシステムと実施形態のメタバースシステムとで基本的には変わりはない。
まず、ユーザは、自分のユーザ端末100で自分のアカウントが登録されたメタバース管理装置200にログインする。
他方、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300は、少なくともいずれかのメタバース管理装置200にログインを行う。
ユーザが操作するプレイヤキャラクタと、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が操作する疑似プレイヤキャラクタが、あるメタバース管理装置200が生成した同じ仮想三次元空間に送り込まれており、同じ仮想三次元空間内で出会ったら、プレイヤキャラクタと疑似プレイヤキャラクタとのコミュニケーションが生じる。それにより実施形態で説明したのと同じ処理が実行され、動作人工知能324Aの学習が行われる。
そのとき、プレイヤキャラクタの操作のためにユーザ端末100からメタバース管理装置200に送られる操作データと、疑似プレイヤキャラクタの操作のために疑似プレイヤキャラクタ制御装置300からメタバース管理装置200に送られる操作データとは、同じメタバース管理装置200に送られるものである限り、同じデータ形式とされる。
【0067】
(疑似プレイヤキャラクタの自動的な操作)
疑似プレイヤキャラクタの自動的な操作の場合も、変形例のメタバースシステムと実施形態のメタバースシステムとで基本的には変わりはない。
まず、ユーザは、自分のユーザ端末100で自分のアカウントが登録されたメタバース管理装置200にログインする。
他方、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300は、少なくともいずれかのメタバース管理装置200にログインを行う。
ユーザが操作するプレイヤキャラクタと、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が操作する疑似プレイヤキャラクタが、あるメタバース管理装置200が生成した同じ仮想三次元空間に送り込まれており、同じ仮想三次元空間内で出会ったら、実施形態で説明したのと同じ処理が実行され、プレイヤキャラクタと疑似プレイヤキャラクタとのコミュニケーションが生じる。
そのとき、プレイヤキャラクタの操作のためにユーザ端末100からメタバース管理装置200に送られる操作データと、疑似プレイヤキャラクタの操作のために疑似プレイヤキャラクタ制御装置300からメタバース管理装置200に送られる疑似操作データとは、同じメタバース管理装置200に送られるものである限り、同じデータ形式とされる。
疑似操作データのデータ形式を、それが送られるメタバース管理装置200が受付けることが予定された操作データと同じデータ形式とするための原理は例えば以下のようなものである。
例えば、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300があるメタバース管理装置200にログインするときに、例えば制御部322から疑似操作データ生成部325に対して、ログインを行うメタバース管理装置200の識別番号を送る。疑似操作データ生成部325には、各メタバース管理装置200が受取ることのできる操作データのデータ形式が、メタバース管理装置200の識別番号と紐付けられた状態で記録されている。疑似操作データ生成部325は、受取った識別番号と紐付けられたデータ形式の疑似操作データを、動作データに基づいて生成する。それにより、疑似操作データのデータ形式が、それが送られるメタバース管理装置200が受付けることが予定された操作データと同じデータ形式となる。
【0068】
ユーザが、自らのプレイヤキャラクタがログインしているメタバース管理装置200が生成する仮想三次元空間に、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300から疑似プレイヤキャラクタを呼び出すことを考える。
ユーザは、ユーザ端末100から疑似プレイヤキャラクタ制御装置300に対して選択データを送る。上述の実施形態では、この選択データは、呼び出しの対象となる疑似プレイヤキャラクタのアカウントのデータが含まれていた。しかしながら、変形例では、ユーザ端末100から疑似プレイヤキャラクタ制御装置300に送られる選択データには、アカウントのデータに加えて、ユーザが疑似プレイヤキャラクタを呼び出すことを希望する仮想三次元空間を生成しているメタバース管理装置200の識別番号が含まれている。それにより、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300は、どのメタバース管理装置200が生成する仮想三次元空間に、どの疑似プレイヤキャラクタを送り込むことをユーザが希望したのかということを把握することができることになる。
後の処理は、既に述べた通りである。ユーザの操作するプレイヤキャラクタがいる仮想三次元空間内に、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300からユーザの希望する疑似プレイヤキャラクタが送り込まれ、その仮想三次元空間内で、ユーザが操作するプレイヤキャラクタと、疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が操作する疑似プレイヤキャラクタとが落ち合うこととなる。
以後、プレイヤキャラクタと、疑似プレイヤキャラクタとのコミュニケーションが行われる。そのとき疑似プレイヤキャラクタ制御装置300からメタバース管理装置200に疑似プレイヤキャラクタの操作のために送られる疑似操作データのデータ形式は、上述した処理により、そのメタバース管理装置200が受取ることが予定されていた操作データのデータ形式と同じものとなる。
【符号の説明】
【0069】
100 ユーザ端末
101 ディスプレイ
102 入力装置
121 入力部
122 制御部
123 画像制御部
124 出力部
200 メタバース管理装置
221 入力部
222 制御部
223 仮想三次元空間データ生成部
224 プレイヤキャラクタデータ記録部
225 メタバースデータ記録部
226 メタバース画像データ生成部
227 出力部
300 疑似プレイヤキャラクタ制御装置
321 入力部
322 制御部
323 動作決定部
324 動作パターン記録部
324A 動作人工知能
325 疑似操作データ生成部
326 出力部
327 画像解析部
【要約】
メタバース管理装置が生成する仮想三次元空間内に、動作の質とコストの低廉性との両立が可能な新たなキャラクタを登場させ、その動作を制御するための技術を提供する。
メタバースの仮想三次元空間は、メタバース管理装置200が生成する。仮想三次元空間内には、ユーザがユーザ端末100を用いて生成した操作データを受取ったメタバース管理装置200によって動作を行うプレイヤキャラクタが存在する。メタバース管理装置200には疑似プレイヤキャラクタ制御装置300が組み合わされる。疑似プレイヤキャラクタ制御装置300は、メタバース管理装置200が作る仮想三次元空間に疑似プレイヤキャラクタを送り込む。疑似プレイヤキャラクタ制御装置300は、操作データと同じデータ形式の疑似操作データを生成し、メタバース管理装置200に送ることで疑似プレイヤキャラクタを動作させる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8