(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20230301BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
H01L21/52 C
H01L21/60 301A
(21)【出願番号】P 2019113595
(22)【出願日】2019-06-19
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】河野 壮人
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-191895(JP,A)
【文献】特開2016-127219(JP,A)
【文献】特開2015-18843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装されるための第1領域とワイヤボンディングのための導電性の第2領域とが設けられた実装基板を準備する第1工程と、
前記第2領域を樹脂で被覆する第2工程と、
金属ペーストを前記第1領域に塗布する第3工程と、
前記金属ペーストによって前記第1領域に前記電子部品を実装する第4工程と、
前記第2領域を被覆していた前記樹脂を除去する第5工程と、
前記第2領域にボンディングワイヤの一端を接続する第6工程と、を有し、
前記第4工程は、前記第1領域に塗布された前記金属ペースト上に前記電子部品が載置された状態で、前記実装基板を加熱して前記金属ペーストを硬化させる加熱工程を含み、
前記第5工程では、前記加熱工程によって前記第2領域から剥離した状態の前記樹脂を除去する、電子デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記電子部品は、第1電極が形成された第1面と、前記第1面と反対側を向き第2電極が形成された第2面と、を含み、
前記第1領域は、前記第2領域と電気的に分離された導電性の領域であり、
前記第4工程では、前記第2電極が前記金属ペーストを介して前記第1領域に接続されることにより前記第1領域に前記電子部品が実装される、請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記第6工程では、前記第1電極と前記第2領域とをワイヤボンディングによって接続する、請求項2に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記樹脂は、UV硬化型樹脂あるいは熱硬化型樹脂である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記実装基板のうち前記第2領域の周囲の領域の材料は、酸化アルミニウムあるいは窒化アルミニウムである、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、金属箔にダイパッド及びボンディングパッドを形成する工程と、ロウ材を介してダイパッドに半導体素子を固着する工程と、半導体素子とボンディングパッドとのワイヤボンディングを行う工程と、を含む回路装置の製造方法が記載されている。この製造方法においては、金属箔に分離溝を形成することにより、ダイパッド及びボンディングパッドを分離溝によって互いに分離し、同時に、ダイパッドに半導体素子が固着される予定の領域を囲むように分離溝よりも浅い溝を形成している。
【0003】
特許文献2には、非導電性のサブマウントの表面に設けられた金属膜に蝋材を付着する工程と、蝋材によって金属膜に半導体発光素子をダイボンドする工程と、ワイヤーを金属膜にワイヤーボンドする工程とを含む半導体装置の製造方法が記載されている。上記の金属膜の表面は金属膜露出領域と蝋材付着領域とを含み、金属膜露出領域内にはサブマウントを露出させる金属除去部が設けられている。金属除去部は、ワイヤーボンド部と蝋材付着領域との間に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-71898号公報
【文献】特開2005-5681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体素子等の電子部品をダイボンドする際に、ロウ材に代えて銀ペースト等の金属ペーストが用いられる場合がある。そのような場合、銀ペーストがボンディングパットまで漏れ広がることがある。しかしながら、ワイヤボンディングのための領域に銀ペーストが付着してしまうと、付着した銀ペーストに起因してボンディングワイヤの密着性が低下する等、ワイヤボンディングに不良が発生してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、ワイヤボンディングに不良が発生することを抑制できる電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、一実施形態に係る電子デバイスの製造方法は、電子部品が実装されるための第1領域とワイヤボンディングのための導電性の第2領域とが設けられた実装基板を準備する第1工程と、前記第2領域を樹脂で被覆する第2工程と、金属ペーストを前記第1領域に塗布する第3工程と、前記金属ペーストによって前記第1領域に前記電子部品を実装する第4工程と、前記第2領域を被覆していた前記樹脂を除去する第5工程と、前記第2領域にボンディングワイヤの一端を接続する第6工程と、を有し、第4工程は、第1領域に塗布された金属ペースト上に電子部品が載置された状態で、実装基板を加熱して金属ペーストを硬化させる加熱工程を含み、第5工程では、加熱工程によって第2領域から剥離した状態の樹脂を除去する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態に係る電子デバイスの製造方法によれば、ワイヤボンディングに不良が発生することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る電子デバイス1の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2(a)~
図2(c)は、第1実施形態に係る電子デバイス1の製造方法を説明するための斜視図である。
【
図3】
図3(a)~
図3(c)は、第1実施形態に係る電子デバイス1の製造方法を説明するための斜視図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、第1実施形態に係る電子デバイス1の製造方法を説明するための斜視図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る受光モジュール1Aの構成を示す断面図である。
【
図6】
図6は、受光部20のフォトダイオード21付近の構成を拡大して示す断面図である。
【
図7】
図7は、パッケージ22及びレンズ23を取り除いた受光部20の平面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る受光モジュール1Aの製造方法を説明するための平面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る受光モジュール1Aの製造方法を説明するための平面図である。
【
図10】
図10(a)及び
図10(b)は、変形例に係る電子デバイス1の構成を示す斜視図である。
【
図11】
図11(a)~
図11(d)は、比較例に係る電子デバイス1の製造方法を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。一実施形態に係る電子デバイスの製造方法は、電子部品が実装されるための第1領域とワイヤボンディングのための導電性の第2領域とが設けられた実装基板を準備する第1工程と、第2領域を樹脂で被覆する第2工程と、金属ペーストを第1領域に塗布する第3工程と、金属ペーストによって第1領域に電子部品を実装する第4工程と、第2領域を被覆していた樹脂を除去する第5工程と、第2領域にボンディングワイヤの一端を接続する第6工程と、を有し、第4工程は、第1領域に塗布された金属ペースト上に電子部品が載置された状態で、実装基板を加熱して金属ペーストを硬化させる加熱工程を含み、第5工程では、加熱工程によって第2領域から剥離した状態の樹脂を除去する。
【0011】
一実施形態に係る電子デバイスの製造方法においては、第1領域に金属ペーストを塗布する際、第2領域が樹脂で被覆されているので、金属ペーストが第1領域内に収まらなかった場合でも、第2領域に付着しようとした金属ペーストは樹脂に付着することとなる。これにより、第2領域に金属ペーストが付着することが抑制される。第2領域を被覆していた樹脂は、電子部品の実装後の金属ペーストが流動しにくい状態となってから第5工程において除去される。ここで、第4工程において、金属ペーストを硬化させるための実装基板の加熱を利用して樹脂を第2領域から剥離させるので、第5工程において簡単に樹脂を除去できる。これにより、金属ペーストのうち樹脂に付着した部分が樹脂とともに除去される。したがって、樹脂の除去中及び除去後にも、樹脂から露出した第2領域に金属ペーストが付着することが抑制される。以上により、ワイヤボンディングに不良が発生することを抑制できる。
【0012】
上記の電子デバイスの製造方法において、電子部品は、第1電極が形成された第1面と、第1面と反対側を向き第2電極が形成された第2面と、を含み、第1領域は、第2領域と電気的に分離された導電性の領域であり、第4工程では、第2電極が金属ペーストを介して第1領域に接続されることにより第1領域に電子部品が実装されてもよい。この場合、第1領域に塗布された金属ペーストが第2領域に到達することを樹脂によって妨げるので、第1領域と第2領域との絶縁性が損なわれることを回避できる。
【0013】
上記の電子デバイスの製造方法において、第6工程では、第1電極と第2領域とをワイヤボンディングによって接続してもよい。この場合、第1領域と第2領域とが比較的近い位置に配置されることが考えられる。したがって、金属ペーストが第2領域に到達することを樹脂によって妨げる構成をより有効に適用することができる。
【0014】
上記の電子デバイスの製造方法において、樹脂は、UV硬化型樹脂あるいは熱硬化型樹脂であってもよい。これらの樹脂は、金属ペーストの硬化温度よりも低い温度下で剥離しやすいものが多い。したがって、樹脂として金属ペーストの硬化温度よりも低い温度下で剥離しやすいものを選択することにより、第4工程における加熱によって十分に第2領域の樹脂を剥離させることができる。
【0015】
上記の電子デバイスの製造方法において、実装基板のうち第2領域の周囲の領域の材料は、酸化アルミニウムあるいは窒化アルミニウムであってもよい。樹脂は、これらの材料から剥離しやすいので、第2工程において実装基板の主面の露出領域まで樹脂で被覆した場合であっても、第4工程における加熱によって主面から樹脂を容易に剥離させることができる。
【0016】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明においては、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子デバイス1の構成を示す斜視図である。
図1に示されるように、電子デバイス1は、絶縁性の実装基板2と、実装基板2に実装された半導体チップ3(電子部品)と、を備える。実装基板2は、例えば矩形板状を呈し、半導体チップ3が実装された主面2aを有している。実装基板2は、例えば酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムによって構成されている。実装基板2の主面2aには、二つの電極パッド4,5が設けられている。
【0018】
電極パッド4,5は、導電性を有する材料によってメタライズされることにより形成されている。電極パッド4,5の材料の具体例としては、金(Au)が挙げられる。なお、電極パッド4,5の材料は銀(Ag)であってもよい。一方の電極パッド4は、本実施形態における第1領域の一例であり、半導体チップ3が実装されるための配線パターンを形成している。他方の電極パッド5は、本実施形態における第2領域の一例であり、ワイヤボンディングのための配線パターンを形成している。本実施形態において、電極パッド4,5は、主面2a上において互いに離間している。すなわち、電極パッド4は、主面2a上において電極パッド5と電気的に分離された領域である。
【0019】
半導体チップ3は、例えば、銀ペースト(Agペースト)6といった金属ペーストによって電極パッド4に実装されている。Agペースト6は、Agフィラーとエポキシ系のバインダーとを有する。バインダーは、例えば熱硬化型樹脂である。
【0020】
半導体チップ3は、第1面3aと第1面3aの反対側の第2面3bとを含む。第1面3aは、実装基板2と反対側を向く面である。第1面3aには、例えばAuメタライズ等による電極3p(第1電極)が形成されている。電極3pは、Au線からなるワイヤW1(ボンディングワイヤ)によって電極パッド5に電気的に接続されている。第2面3bは、実装基板2の主面2aを向く面である。第2面3bには、例えばAuメタライズ等による電極3q(第2電極)が形成されている。電極3qは、Agペースト6によって電極パッド4に電気的に接続されている。半導体チップ3の第1面3a及び第2面3bのサイズは、それぞれ例えば縦300μm、横700μmである。
【0021】
図2~
図4は、第1実施形態に係る電子デバイス1の製造方法を説明するための斜視図である。まず、
図2(a)に示されるように、電極パッド4,5が設けられた実装基板2を準備する(第1工程)。次に、
図2(b)に示されるように、溶融した状態の樹脂7で電極パッド5を被覆する(第2工程)。具体的には、樹脂7のポッティング等を行うことによって樹脂7を電極パッド5に塗布する。例えば、電極パッド5の露出を回避する観点から、電極パッド5の周囲の領域まで樹脂7で被覆してもよい。ただし、少なくとも電極パッド5を樹脂7で被覆すればよい。樹脂7としては、エポキシ系のUV硬化型樹脂が挙げられる。ただし、樹脂7として熱硬化型樹脂が使用されてもよい。
【0022】
次に、
図2(c)に示されるように、実装基板2を加熱することによって樹脂7を硬化させる。具体的には、実装基板2をヒータブロック8上に移送し、ヒータブロック8によって実装基板2を加熱する。例えば、ヒータブロック8の上面8aに実装基板2を搭載した状態でヒータブロック8の上面8aを第1の温度(例えば120度)まで上昇させる。そして、上面8aが第1の温度の状態で所定時間(例えば60分間)待機する。その後、ヒータブロック8上から実装基板2を移送し、実装基板2を冷却する。
【0023】
実装基板2が冷却されたら、
図3(a)に示されるように、溶融状態のAgペースト6を電極パッド4に塗布する(第3工程)。具体的には、電極パッド4のうち半導体チップ3が実装される領域にAgペースト6のポッティング又はスタンピングを行う。このとき、電極パッド4に塗布されたAgペースト6が流動し、電極パッド4の周囲まで漏れ広がることもある。
【0024】
次に、Agペースト6によって電極パッド4に半導体チップ3を実装する(第4工程)。第4工程は、載置工程と加熱工程とを含む。載置工程では、
図3(b)に示されるように、電極パッド4に塗布されたAgペースト6上に半導体チップ3を載置する。このとき、第1面3aが実装基板2と反対側を向き、第2面3bがAgペースト6を介して電極パッド5に向いた状態で、半導体チップ3を実装基板2上に載置する。
【0025】
加熱工程では、
図3(c)に示されるように、電極パッド4に塗布されたAgペースト6上に半導体チップ3が載置された状態で、実装基板2を加熱してAgペースト6を硬化させる。具体的には、実装基板2を再度ヒータブロック8上に移送し、ヒータブロック8によって実装基板2を加熱する。例えば、ヒータブロック8の上面8aに実装基板2を搭載した状態で、ヒータブロック8の上面8aを第1の温度よりも高い第2の温度(例えば180度)まで上昇させる。その後、上面8aが第2の温度の状態で所定時間(例えば60分間)待機する。これにより、Agペースト6が硬化する。
【0026】
また、加熱工程において、樹脂7が電極パッド5から剥離する。これは、樹脂7が高温になると、実装基板2の表面(例えばアルミナ)よりも大きく収縮(あるいは膨張)するためと考えられる。本実施形態の例では、表1に示されるように、樹脂7は、Agペースト6の硬化温度下において特に剥離しやすい。表1は、温度ごとの樹脂7の剥離の程度とAgペースト6の硬化の程度との関係を示している。このとき、樹脂7が電極パッド5から剥離すると、Agペースト6のうち樹脂7に付着した部分も樹脂7とともに剥離する。
【0027】
【0028】
次に、
図4(a)に示されるように、電極パッド5を被覆していた樹脂7を除去する(第5工程)。第5工程では、加熱工程によって電極パッド5から剥離した状態の樹脂7を、例えばピンセット又はエアブロー等を用いて除去する。このとき、樹脂7とともに剥離したAgペースト6も除去される。これにより、電極パッド5が露出する。
【0029】
次に、
図4(b)に示されるように、電極パッド5にワイヤW1の一端をボンディングによって接続する(第6工程)。また、半導体チップ3の電極3pにワイヤW1の他端をボンディングによって接続する。これにより、電極3pと電極パッド5とがワイヤボンディングによって接続される。以上により、電子デバイス1への半導体チップ3の実装が完了し、電子デバイス1が製造される。
【0030】
その後、電子デバイス1の他の電子デバイスへの接続等が行われてもよい。例えば、電極パッド4のうち、Agペースト6が塗布されていない領域と他の電子デバイスとをワイヤW2によって電気的に接続する。なお、上記第2工程において、ワイヤW2の一端が接続される領域を樹脂7で更に被覆してもよい。
【0031】
以上説明した電子デバイス1の製造方法の作用効果について説明する。本実施形態に係る電子デバイス1の製造方法においては、電極パッド4への半導体チップ3の実装にAgペースト6が用いられる。Agペースト6は、汎用性が高く、密着性も高い。したがって、汎用性が高い材料を用いて半導体チップ3と電極パッド4との密着性を確保することができる。
【0032】
ここで、このようなAgペースト6が用いられる場合の比較例に係る製造方法について説明する。
図11(a)~
図11(d)は、比較例に係る電子デバイス1Xの製造方法を説明するための斜視図である。まず、
図11(a)に示されるように、電極パッド4,5が設けられた実装基板2を準備する。この工程は、上記第1工程と同様に行われる。次に、
図11(b)に示されるように、溶融状態のAgペースト6を電極パッド4に塗布する。ここでは、上記第3工程と同様に、電極パッド4のうち半導体チップ3が実装される領域にAgペースト6のポッティング又はスタンピングを行う。このとき、電極パッド4に塗布されたAgペースト6が流動し、電極パッド4の周囲まで漏れ広がる場合がある。
【0033】
次に、
図11(c)に示されるように、Agペースト6によって電極パッド4に半導体チップ3を実装する。この工程は、上記第4工程と同様に行われる。これにより、Agペースト6が硬化する。一方で、溶融状態において電極パッド4の周囲まで漏れ広がったAgペースト6もそのまま硬化する。したがって、硬化したAgペースト6によって電極パッド5が覆われる場合もある。
【0034】
図11(d)に示されるように、その状態で、電極3pと電極パッド5とをワイヤW1によって電気的に接続しようとすると、ワイヤW1の一端をAgペースト6に接続することとなる。しかしながら、このように製造された電子デバイス1Xにおいては、電極パッド4,5の絶縁性が損なわれるので、例えば電極3qと電極パッド5とに互いに異なる電位がそれぞれ印加される場合、動作不良の原因となる。
【0035】
また、仮に、電極パッド4を備えていない構成においても、電極パッド5に付着したAgペースト6に起因してワイヤボンディングによる密着性が低下する等、ワイヤボンディングに不良が発生してしまうおそれがある。Agペースト6のバインダーが熱により収縮し、収縮に伴って発生するアウトガスがAgペースト6の表面に付着するためである。更に、バインダーによってAgペースト6にブリードアウト現象が発生するためである。
【0036】
これに対し、本実施形態に係る電子デバイス1の製造方法においては、電極パッド4にAgペースト6を塗布する際、電極パッド5が樹脂7で被覆されているので、Agペースト6が電極パッド4内に収まらなかった場合でも、電極パッド5に付着しようとしたAgペースト6は樹脂7に付着することとなる。これにより、電極パッド5にAgペースト6が付着することが抑制される。電極パッド5を被覆していた樹脂7は、半導体チップ3の実装後のAgペースト6が流動しにくい状態となってから第5工程において除去される。ここで、第4工程において、Agペースト6を硬化させるための実装基板2の加熱を利用して樹脂7を電極パッド5から剥離させるので、第5工程において簡単に樹脂7を除去できる。これにより、Agペースト6のうち樹脂7に付着した部分が樹脂7とともに除去される。したがって、樹脂7の除去中及び除去後にも、樹脂7から露出した電極パッド5にAgペースト6が付着することが抑制される。よって、ワイヤボンディングに不良が発生することを抑制できる。以上により、半導体チップ3及び電極パッド4の電気的な接続の信頼性と電極3p及び電極パッド5の電気的な接続の信頼性との両方を高めることができる。
【0037】
また、半導体チップ3は、電極3pが形成された第1面3aと、第1面3aと反対側を向き電極3qが形成された第2面3bと、を含む。電極パッド4は、電極パッド5と電気的に分離された導電性の領域である。第4工程では、電極3qがAgペースト6を介して電極パッド4に接続されることにより電極パッド4に半導体チップ3が実装される。この場合も、電極パッド4に塗布されたAgペースト6が電極パッド5に到達することを樹脂7によって妨げるので、電極パッド4,5の絶縁性が損なわれることを回避できる。これにより、動作不良を回避できる。
【0038】
また、第6工程では、電極3pと電極パッド5とをワイヤボンディングによって接続する。この構成において、電極パッド4と電極パッド5とは、比較的近い位置に配置される。したがって、Agペースト6が電極パッド5に到達することを樹脂7によって妨げる構成をより有効に適用することができる。
【0039】
樹脂7は、UV硬化型樹脂あるいは熱硬化型樹脂である。これらの材料は、Agペースト6の硬化温度よりも低い温度下で剥離しやすいものが多い。したがって、樹脂7としてAgペースト6の硬化温度よりも低い温度下で剥離しやすいものを選択することにより、第4工程における加熱によって十分に電極パッド5の樹脂7を剥離させることができる。また、金属ペーストとして、Agペースト6以外にも、樹脂7の剥離温度よりも硬化温度が高い材料からなるペーストを用いることもできる。Agペースト6以外の金属ペーストの具体例としては、金ペースト(Auペースト)、銅ペースト(Cuペースト)及び半田(錫鉛)ペースト等が挙げられる。
【0040】
実装基板2のうち電極パッド5の周囲の領域の材料は、酸化アルミニウムあるいは窒化アルミニウムである。樹脂7は、これらの材料から剥離しやすいので、第2工程において実装基板2の主面2aの露出領域まで樹脂7で被覆した場合であっても、第4工程における加熱によって主面2aから樹脂7を容易に剥離させることができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態として、上記第1実施形態による電子デバイス1の製造方法を含む受光モジュール1Aの製造方法を説明する。
図5は、第2実施形態に係る受光モジュール1Aの構成を示す断面図であって、入射光の光軸に沿った断面を示している。
図5に示されるように、受光モジュール1Aは、光ファイバに接続される光レセプタクル10と、光レセプタクル10に固定された受光部20とを備える。また、光レセプタクル10は、ファイバスタブ(スタブフェルール)12と、金属部材14と、スリーブ16と、外郭部材(シェル)18とを有する。ファイバスタブ12は、フェルール11と、光ファイバ13とを有する。
【0042】
フェルール11は、円筒形状(または円柱形状)を有する部材である。フェルール11の中心軸線は方向A1に沿って延びており、フェルール11の該中心軸線に垂直な断面は円形である。フェルール11は、方向A1において並ぶ基端面11a及び先端面11bを有する。先端面11bは、光レセプタクル10に接続される光コネクタのフェルールとフィジカルコンタクトを行う面であって、例えば球面状に研磨されている。基端面11aは、先端面11bとは反対側の面であって、この光レセプタクル10に取り付けられる受光部20と対向する。基端面11aは、フェルール11の中心軸線に垂直な面に対して僅かに(例えば8°程度)傾斜している。フェルール11は、円柱面である外周面11cを更に有する。
【0043】
フェルール11は、ファイバ保持孔11dを更に有する。ファイバ保持孔11dは、方向A1に沿って延びており、フェルール11の中心軸上に形成されている。ファイバ保持孔11dの断面は円形状であり、その内径は光ファイバ13の外径よりも僅かに大きい。ファイバ保持孔11dの一方の開口は先端面11bに含まれ、ファイバ保持孔11dの他方の開口は基端面11aに含まれる。すなわち、ファイバ保持孔11dは、フェルール11の基端面11aと先端面11bとの間を方向A1に沿って貫通している。フェルール11は、例えばジルコニア(ZrO2)製である。靱性及びヤング率が高いジルコニアによってフェルール11が構成されることにより、先端面11bにおいてフィジカルコンタクトを好適に行うことができる。
【0044】
光ファイバ13は、例えばシングルモードファイバであって、樹脂被覆が除去された裸ファイバである。光ファイバ13は、例えば石英製である。光ファイバ13は、方向A1を長手方向(光軸方向)として延びており、一端13a及び他端13bを有する。光ファイバ13は、ファイバ保持孔11dに挿入される。そして、先端面11b側のファイバ保持孔11dの開口から一端13aが露出し、基端面11a側のファイバ保持孔11dの開口から他端13bが露出する。一端13aは、光レセプタクル10に接続される光コネクタ側の光ファイバの一端と接触する。他端13bは、受光部20のフォトダイオード21(後述)と光学的に結合される。光ファイバ13の外径は、例えば125μmである。
【0045】
金属部材14は、方向A1に延びる貫通孔14aを有し、貫通孔14a内にファイバスタブ12を保持する部材である。金属部材14は、例えばステンレスといった金属材料からなる。金属部材14は方向A1に沿って延びる円筒形状を有する。金属部材14は、基端面14b及び先端面14c、並びに外周面14dを有する。基端面14b及び先端面14cは方向A1において並んでおり、貫通孔14aは基端面14bと先端面14cとの間を貫通している。方向A1に垂直な貫通孔14aの断面は円形である。基端面14bは、受光部20のパッケージ22(後述)と対向する。ファイバスタブ12は、方向A1に沿って、金属部材14の貫通孔14aに圧入されている。すなわち、フェルール11の外周面11cは、貫通孔14aの内面と接しており、これによりファイバスタブ12が金属部材14に固定されている。
【0046】
スリーブ16は、方向A1に沿って延びる円筒状の部材であり、例えばセラミック製である。一例では、スリーブ16はフェルール11と同じ材料(例えばジルコニア)からなる。スリーブ16の内径は、ファイバスタブ12の外径とほぼ等しい。スリーブ16は、方向A1において並ぶ基端16a及び先端16bを有する。また、スリーブ16は、外周面16c及び内周面16dを有する。スリーブ16の基端16a側の開口からは、ファイバスタブ12が挿入されている。言い換えれば、スリーブ16の基端16a側の一部は、フェルール11の外周面11cと金属部材14との隙間に挿入されている。したがって、スリーブ16の外周面16cは金属部材14と接しており、スリーブ16の内周面16dはフェルール11の外周面11cと接している。スリーブ16の先端16b側の開口からは、光コネクタフェルールが挿入される。フェルール11の先端面11bと光コネクタフェルールの先端面とは、スリーブ16内において互いに接触する。これにより、フェルール11が保持する光ファイバ13と、光コネクタフェルールが保持する光ファイバとが、高い結合効率でもって互いに光結合される。
【0047】
外郭部材18は、金属部材14に固定されるとともに光コネクタと接続される部材である。外郭部材18は、方向A1に沿って延びる円筒状の部材であり、例えば金属製またはステンレス等の合金製である。外郭部材18は、フランジ部18aと、方向A1に沿って延びる貫通孔18dとを有する。また、外郭部材18は、方向A1において並ぶ基端面18b及び先端部18cを有する。フランジ部18aは、外郭部材18の外側に向けて突出した円盤状の部分である。フランジ部18aは、外郭部材18の基端面18b側に設けられており、本実施形態ではフランジ部18aの一方の面が基端面18bを構成する。貫通孔18dは、基端面18bと先端部18cとの間を貫通している。方向A1に垂直な貫通孔18dの断面は円形であり、その中心軸線は、ファイバスタブ12及び金属部材14の中心軸線と重なる。外郭部材18は、貫通孔18dの一部として、基端面18b側の第1の部分18eと、先端部18c側の第2の部分18fとを含む。第1の部分18eは、基端面18bから方向A1に沿って第2の部分18fまで延びている。第2の部分18fは、先端部18cから方向A1に沿って第1の部分18eまで延びている。そして、第1の部分18e及び第2の部分18fは、スリーブ16の先端16bと先端部18cとの間において相互に連結(連通)している。第1の部分18eの内径は、スリーブ16の外周面16cの外径とほぼ等しいか、僅かに大きい。第2の部分18fの内径は、スリーブ16の内周面16dの内径よりも僅かに大きい。このように、第1の部分18eの内径は第2の部分18fの内径よりも大きいので、第1の部分18eと第2の部分18fとの間には段差面18gが形成されている。段差面18gは、スリーブ16の先端16bと対向している。
【0048】
受光部20は、第1実施形態の電子デバイス1に相当する。受光部20は、フォトダイオード21(受光素子)、パッケージ22、レンズ23、ステム24、キャリア25、集積回路チップ26、及び複数のリードピン27を有する。
【0049】
ステム24は、第1実施形態の実装基板2に相当する。ステム24は、略円形の平板状の絶縁性部材であり、平坦な主面24aを有する。主面24aは、光レセプタクル10に接続される光ファイバの光軸(すなわち光ファイバ13の光軸)と交差する。一例では、主面24aは、光レセプタクル10に接続される光ファイバの光軸(光ファイバ13の光軸)に対して垂直である。ステム24は、例えば酸化アルミニウムあるいは窒化アルミニウム等のセラミック材料によって構成されている。
【0050】
パッケージ22は、略円筒状の金属部材であり、その中心軸は光ファイバ13の光軸に沿っている。光ファイバ13の光軸方向におけるパッケージ22の基端側の一端22aは、円環状の部材29を介してステム24の主面24aに固定されている。具体的には、円環状の部材29は該光軸方向における一端面29aおよび他端面29bを有する。パッケージ22の基端側の一端22aは部材29の一端面29aに固着されており、ステム24の主面24aは部材29の他端面29bに固着されている。また、光ファイバ13の光軸方向におけるパッケージ22の先端側の一端22bは、円筒状の部材19を介して金属部材14に固定されている。具体的には、部材19の先端側の一端から金属部材14が挿入され、金属部材14の外周面と部材19の内周面とが互いに固着されている。また、パッケージ22の先端側の一端22bが部材19の基端側の面に固着されている。パッケージ22は、例えば鉄ニッケル合金といった材料からなる。
【0051】
複数のリードピン27は、ステム24の主面24aと交差する方向に延びる棒状の金属部材である。複数のリードピン27は、ステム24を貫通して設けられ、ステム24に固定されている。複数のリードピン27は、パッケージ22およびステム24によって画成される空間内に配置されるフォトダイオード21及び集積回路チップ26に対して電気信号および電源電力の授受を行う。
【0052】
レンズ23は、パッケージ22の内側に保持され、パッケージ22の内周面に対し樹脂23aを介して固定されている。レンズ23は、光透過部材からなる集光レンズであり、光ファイバ13の光軸上に配置されている。レンズ23は、光ファイバ13の他端13bから出射された光をフォトダイオード21付近に向けて集光する。フォトダイオード21からの戻り光を防ぐ為、レンズ23の光軸は、光ファイバ13の光軸に対して僅かにオフセットされている。
【0053】
フォトダイオード21は、レンズ23を介して光ファイバ13の他端13bと光学的に結合されており、光レセプタクル10に接続される光ファイバからの光を受けて該光の強度に応じた大きさの電流信号を出力する。フォトダイオード21は、絶縁性のキャリア25上に搭載され、キャリア25は集積回路チップ26上に配置されている。すなわち、フォトダイオード21は、キャリア25を介して集積回路チップ26上に搭載されている。集積回路チップ26は、フォトダイオード21からの電流信号を受けて、該電流信号を電圧信号に変換する半導体ICである。
【0054】
ここで、
図6は、受光部20のフォトダイオード21付近の構成を拡大して示す側面図である。
図6に示されるように、集積回路チップ26は、第3面26b及び第3面26bとは反対側の第4面26aを有する。第4面26a及び第3面26bは、光ファイバ13の光軸方向に並んでおり、該光軸方向と交差する(例えば直交する)平面に沿って延びている。集積回路チップ26は、第4面26aにおいてステム24の主面24aと対向する。キャリア25は、第1面25b及び第1面25bとは反対側の第2面25aを有する。キャリア25は、第2面25aにおいて集積回路チップ26の第3面26bと対向する。また、フォトダイオード21は、主面21a及び主面21aとは反対側の反対面21bを有し、主面21aから光を受ける。キャリア25は、第1面25bとフォトダイオード21の反対面21bとが対向するように、第1面25b上にフォトダイオード21を搭載する。
【0055】
図7は、パッケージ22およびレンズ23を取り除いた受光部20の平面図である。
図7に示されるように、ステム24の主面24a上には、基準電位(グランド電位)に規定されるGNDパターン24bが設けられている。また、ステム24の周縁部には、複数のリードピン27に含まれるリードピン27a~27fが設けられている。ステム24は、主面24a上のGNDパターン24bと周縁部のリードピン27a~27fとを電気的に分離するための複数の絶縁領域24cを有している。複数の絶縁領域24cは、それぞれ、リードピン27a~27fの周囲の領域である。GNDパターン24bには、キャパシタ41,42,44,45が実装されている。また、GNDパターン24bは3つの開口を有し、各開口から露出した主面24aには、導電性のGNDブロック43が設けられている。
【0056】
ここで、GNDパターン24bは、本実施形態における第1領域の一例であり、第1実施形態の電極パッド4として機能する。また、リードピン27a~27fのそれぞれの上面は、本実施形態における第2領域の一例であり、第1実施形態の電極パッド5として機能する。キャパシタ41,42,44,45は、それぞれ本実施形態における電子部品の一例であり、第1実施形態の半導体チップ3として機能する。
【0057】
集積回路チップ26は、複数の電極28を有する。本実施形態では、各電極28は電極パッドである。複数の電極28は、電極28a~電極28oを含む。電極28a~28cは、フォトダイオード21と電気的に接続される。具体的には、電極28a,28cはフォトダイオード21のカソード電極に接続され、バイアス電圧をフォトダイオード21に印加する。電極28bはフォトダイオード21のアノード電極に接続され、フォトダイオード21から出力された電流信号を受ける。電極28dは、フォトダイオード21へのバイアス電圧を受光モジュール1Aの外部から入力する。
【0058】
電極28dは、キャパシタ41の一方の電極と、ボンディングワイヤを介して電気的に接続されている。キャパシタ41の該一方の電極は、第1実施形態の電極3pに相当し、ボンディングワイヤを介してリードピン27dと電気的に接続されている。キャパシタ41の他方の電極は、GNDパターン24bに導電性接着剤を介して電気的に接続されている。キャパシタ41の該他方の電極は、第1実施形態の電極3qに相当する。本実施形態では、導電性接着剤として第1実施形態のAgペースト6が採用される。以下の説明においても同様である。
【0059】
電極28e,28fは、集積回路チップ26への電源電圧を受光モジュール1Aの外部から入力する。電極28e,28fは、キャパシタ42の一方の電極(第1実施形態の電極3pに相当)と、ボンディングワイヤを介して電気的に接続されている。キャパシタ42の該一方の電極は、ボンディングワイヤを介してリードピン27aと電気的に接続されている。キャパシタ42の他方の電極(第1実施形態の電極3qに相当)は、GNDパターン24bに導電性接着剤を介して電気的に接続されている。電極28gは、キャパシタ44の一方の電極(第1実施形態の電極3pに相当)と、ボンディングワイヤを介して電気的に接続されている。キャパシタ44の該一方の電極は、ボンディングワイヤを介してリードピン27bと電気的に接続されている。キャパシタ44の他方の電極(第1実施形態の電極3qに相当)は、GNDパターン24bに導電性接着剤を介して電気的に接続されている。
【0060】
電極28hは、キャパシタ45の一方の電極(第1実施形態の電極3pに相当)と、ボンディングワイヤを介して電気的に接続されている。キャパシタ45の該一方の電極は、ボンディングワイヤを介してリードピン27cと電気的に接続されている。キャパシタ45の他方の電極(第1実施形態の電極3qに相当)は、GNDパターン24bに導電性接着剤を介して電気的に接続されている。電極28i,28jは、フォトダイオード21からの電流信号に基づいて生成された電圧信号を受光モジュール1Aの外部へ出力する。一方の電極28iは、ボンディングワイヤを介してリードピン27eと電気的に接続されている。また、他方の電極28jは、ボンディングワイヤを介して別のリードピン27fと電気的に接続されている。
【0061】
なお、複数の電極28のうち電極28k~28oは、集積回路チップ26の基準電位(グランド電位)を規定する。電極28k~28oは、ボンディングワイヤ及びGNDブロック43を介してGNDパターン24bと電気的に接続される。また、他の電極28には、電流モニタ用の電極パッド、及びゲイン調整用の電極パッド等が含まれている。
【0062】
次に、本実施形態に係る受光モジュール1Aの製造方法の一例について説明する。以下では、
図8及び
図9を参照しながら、受光部20を製造する方法の一例を具体的に説明する。
図8及び
図9は、第2実施形態に係る受光モジュール1Aの製造方法を説明するための平面図である。まず、第1実施形態の第1工程と同様に、ステム24を準備する。ステム24の主面24aには、予めGNDパターン24bが設けられている。また、ステム24の周縁部には、予め複数のリードピン27a~27fが設けられている。なお、ここで準備されるステム24の主面24a上には、複数の電極28が設けられた集積回路チップ26がさらに実装されていてもよい。
【0063】
次に、第1実施形態の第2工程と同様に、溶融した状態の複数の樹脂7でリードピン27a~27fの各上面をそれぞれ被覆する。ここでは、リードピン27a~27fの露出を回避する観点から、絶縁領域24cまで被覆されるように樹脂7を塗布してもよい。その状態で、第1実施形態と同様に、ステム24を加熱することによって各樹脂7を硬化させる。各樹脂7の硬化後、ステム24を冷却する。ステム24が冷却されたら、第1実施形態の第3工程と同様に、溶融状態のAgペースト6をGNDパターン24bに塗布する。具体的には、GNDパターン24bのうちキャパシタ41,42,44,45がそれぞれ実装される複数の領域にAgペースト6のポッティング又はスタンピングを行う。
【0064】
次に、GNDパターン24bにキャパシタ41,42,44,45を実装する。まず、第1実施形態の第4工程における載置工程と同様に、GNDパターン24bに塗布された複数のAgペースト6にキャパシタ41,42,44,45をそれぞれ載置する。例えばキャパシタ41は、上記一方の電極がステム24と反対側を向き、上記他方の電極がAgペースト6を介してGNDパターン24bに向いた状態で、ステム24上に載置される。キャパシタ42,44,45についても同様である。次に、第1実施形態の第4工程における加熱工程と同様に、キャパシタ41,42,44,45が複数のAgペースト6上にそれぞれ載置された状態で、ステム24を加熱して該複数のAgペースト6を硬化させる。これにより、複数の樹脂7がリードピン27a~27f及び複数の絶縁領域24cからそれぞれ剥離する。そして、剥離した各樹脂7を、第1実施形態の第5工程と同様に除去することにより、ステム24へのキャパシタ41,42,44,45の実装が完了する(
図8参照)。
【0065】
次に、第1実施形態の第6工程と同様に、ワイヤW1によるワイヤボンディングを行う。
図9に示されるように、本実施形態では、キャパシタ41とリードピン27dとをワイヤボンディングし、キャパシタ42とリードピン27aとをワイヤボンディングし、キャパシタ44とリードピン27bとをワイヤボンディングし、キャパシタ45とリードピン27cとをワイヤボンディングする。これにより、キャパシタ41及びリードピン27dがワイヤW1を介して電気的に接続される。また、キャパシタ42及びリードピン27aと、キャパシタ44及びリードピン27bと、キャパシタ45及びリードピン27cとがそれぞれ電気的にワイヤW1を介して電気的に接続される。
【0066】
また、本実施形態では、複数の電極28の一部と、上記電子部品とをワイヤボンディングする。具体的には、電極28dとキャパシタ41とをワイヤボンディングし、電極28e,28fとキャパシタ42とをワイヤボンディングし、電極28gとキャパシタ44とをワイヤボンディングし、電極28hとキャパシタ45とをワイヤボンディングする。そして、電極28iとリードピン27eとをワイヤボンディングし、電極28jとリードピン27fとをワイヤボンディングする。更に、電極28k~28oと、対応するGNDブロック43とをワイヤボンディングする。なお、複数の電極28の一部と、上記電子部品とのワイヤボンディングは、溶融した状態の複数の樹脂7でリードピン27a~27fの各上面をそれぞれ被覆する前に行われてもよい。
【0067】
次に、集積回路チップ26上に、フォトダイオード21が搭載されたキャリア25を搭載する。そして、電極28a~28cと、キャリア25上に設けられるとともにフォトダイオード21に接続される複数の配線パターンをそれぞれワイヤボンディングする。以上により、キャパシタ41,42,44,45を含む複数の電子部品のステム24への実装が完了する。続いて、ステム24にパッケージ22及びレンズ23を取り付けて受光部20の製造が完了する。この受光部20を光レセプタクル10に固定することによって、受光モジュール1Aを製造する。
【0068】
以上説明した受光モジュール1Aの製造方法においては、第1実施形態の各工程をすべて行うので、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。特に、GNDパターン24b(第1領域)にAgペースト6を塗布する際、リードピン27a~27fの上面が樹脂7で被覆されている。したがって、ワイヤボンディングに不良が発生することを抑制できる。
【0069】
(変形例)
以上の実施形態は、本発明に係る電子デバイスの製造方法の一実施形態について説明したものである。本発明に係る電子デバイスの製造方法は、上述した各実施形態を任意に変更したものとすることができる。
【0070】
例えば、第1実施形態では、第1領域が導電性を有する電極パッド4である例について説明したが、第1領域は導電性を有しているものに限定されない。また、第1実施形態において、電子部品としての半導体チップ3の第2面3bには電極3qが形成されていたが、電子部品は第2面3bに電極3qが形成されているものに限定されない。換言すると、電子部品のうちメタライズされていない面がAgペースト6によって実装基板2に接着して固定されていてもよい。
図10(a)は、変形例に係る電子デバイス1Bの構成を示す斜視図である。電子デバイス1Bは、実装基板2に代えて実装基板2Bを備え、半導体チップ3に代えて半導体チップ3Bを備える点で電子デバイス1と相違する。以下、相違点について説明する。
【0071】
実装基板2Bは、主面2aに電極パッド4が設けられていない点において実装基板2Bと相違する。電子デバイス1Bにおいては、酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムによって構成された実装基板2Bの主面2aが第1領域に相当する。また、半導体チップ3Bは、第1面3aに電極3p,3qの両方が形成され、第2面3bに電極3qが形成されていない点で半導体チップ3と相違する。電極3p,3qは、第1面3aにおいて互いに電気的に分離されて配置されている。半導体チップ3Bは、TIA(Trans Impedance Amp)であってもよい。
【0072】
例えば、第2面3bにメタライズのない半導体チップ3Bの場合、はんだ、金スズ等のロウ材によって実装すると密着性が十分に得られないことがある。これに対し、Agペースト6によって実装することで十分な密着性が確保される。また、この電子デバイス1Bを製造する際にも、電極パッド5が樹脂7で被覆された状態で主面2a(第1領域)にAgペースト6を塗布することで、ワイヤボンディングに不良が発生することを抑制できる。
【0073】
また、第1実施形態では、電極3pと電極パッド5とがワイヤボンディングされていたが、電極3pと電極パッド5とが電気的に接続されていなくてもよい。
図10(b)は、変形例に係る電子デバイス1Cの構成を示す斜視図である。電子デバイス1Cは、ワイヤW3を更に備える点で電子デバイス1と相違する。電子デバイス1Cにおいて、ワイヤW1の他端は、電極3pに接続されておらず、外部の別の電子部品(不図示)等に接続されている。電極3pには、ワイヤW3の一端がワイヤボンディングによって接続されている。ワイヤW3の他端は、電極パッド5には接続されておらず、外部の更に別の電子部品(不図示)等に接続されている。この電子デバイス1Cを製造する際にも、電極パッド5が樹脂7で被覆された状態で電極パッド4(第1領域)にAgペースト6を塗布することで、ワイヤW1によるワイヤボンディングに不良が発生することを抑制できる。
【符号の説明】
【0074】
1,1B,1C…電子デバイス、1A…受光モジュール、2,2B…実装基板、2a…主面、3,3B…半導体チップ(電子部品)、3a…第1面、3b…第2面、3p…電極(第1電極)、3q…電極(第2電極)、4…電極パッド(第1領域)、5…電極パッド(第2領域)、6…Agペースト(金属ペースト)、7…樹脂、8…ヒータブロック、10…光レセプタクル、11…フェルール、11a…基端面、11b…先端面、11c…外周面、11d…ファイバ保持孔、12…ファイバスタブ、13…光ファイバ、13a…一端、13b…他端、14…金属部材、14a…貫通孔、14b…基端面、14c…先端面、14d…外周面、16…スリーブ、16a…基端、16b…先端、16c…外周面、16d…内周面、18…外郭部材、18a…フランジ部、18b…基端面、18c…先端部、18d…貫通孔、18e…第1の部分、18f…第2の部分、18g…段差面、19…部材、20…受光部、21…フォトダイオード(受光素子)、21a…主面、21b…反対面、22…パッケージ、23…レンズ、23a…樹脂、24…ステム、24a…主面、24b…GNDパターン、24c…絶縁領域、25…キャリア、25a…第2面、25b…第1面、26…集積回路チップ、26a…第4面、26b…第3面、27a~27f…リードピン、28,28a~28o…電極、29…部材、41,42,44,45…キャパシタ、43…GNDブロック、W1,W2,W3…ワイヤ(ボンディングワイヤ)。