(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】噴射システム
(51)【国際特許分類】
F01N 3/08 20060101AFI20230301BHJP
F01N 3/36 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
F01N3/08 B
F01N3/36 Z
(21)【出願番号】P 2018195506
(22)【出願日】2018-10-17
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003333
【氏名又は名称】ボッシュ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】笠原 弘之
【審査官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-96212(JP,A)
【文献】特開2004-293494(JP,A)
【文献】特開2017-160817(JP,A)
【文献】特開2007-2765(JP,A)
【文献】特開2017-180166(JP,A)
【文献】特開2005-127318(JP,A)
【文献】特開2014-173302(JP,A)
【文献】特開2005-16477(JP,A)
【文献】特開2015-229996(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0228191(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102017210980(DE,A1)
【文献】特開2018-3667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08
F01N 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内燃機関(5)の排気通路に液体材料を噴射する噴射弁(81)と、前記噴射弁(81)を冷却する冷却装置(100)と、前記冷却装置(100)を制御する冷却制御部(63)と、を備えた噴射システム(90)であって、
前記冷却装置(100)は、
冷却媒体が通過する冷却室(88)を有し、かつ、前記噴射弁(81)を保持する冷却ホルダ(87)と、
ポンプ(2)及びラジエータ(3)を有する前記内燃機関(5)の冷却水回路(4)の前記ポンプ(2)の下流側から分岐して前記冷却室(88)へ前記冷却媒体を導入する導入通路(95a)と、
前記冷却室(88)から前記冷却媒体を導出し前記ポンプ(2)の上流側の前記冷却水回路(4)に合流する導出通路(95b)と、
前記導入通路(95a)と前記導出通路(95b)とを接続し、前記ポンプ(2)及び前記ラジエータ(3)をバイパスするバイパス通路(95c)と、
前記バイパス通路(95c)に設けられた冷却水循環ポンプ(97)と、を備え、
前記冷却制御部(63)は、
前記内燃機関(5)
が停止
し、前記ポンプ(2)の駆動が停止した状態で前記排気通路内の温度があらかじめ設定した開始閾値を超える場合に
、前記
冷却水循環ポンプ(97)を駆動させ、所定の終了条件が成立した場合に前記
冷却水循環ポンプ(97)の駆動を終了させる、
ことを特徴とする、噴射システム。
【請求項2】
前記終了条件が、前記噴射弁(81)の温度に相関する所定の温度の上昇速度があらかじめ設定した終了基準値を下回ることである、
ことを特徴とする、請求項1に記載の噴射システム。
【請求項3】
前記終了条件が、前記冷却装置(100)の駆動時間があらかじめ設定した終了基準値を超えることである、
ことを特徴とする、請求項1に記載の噴射システム。
【請求項4】
前記終了条件が、前記噴射弁(81)の温度に相関する所定の相関温度の上昇後、前記相関温度が前記冷却装置(100)を駆動させた際の初期値、又は、前記初期値に所定値を加算した終了基準値まで低下することである、
ことを特徴とする、請求項1に記載の噴射システム。
【請求項5】
前記終了条件が、前記排気通路内の温度があらかじめ設定した終了基準値まで低下することである、
ことを特徴とする、請求項1に記載の噴射システム。
【請求項6】
前記導入通路(95a)の一部が、前記噴射弁(81)に前記液体材料を供給する液通路(38b)に接して配置される、
ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の噴射システム。
【請求項7】
前記導入通路(95a)が、
前記液通路(38b)に接して配置される第1の部分(95aa)と、前記第1の部分(95aa)をバイパスさせる第2の部分(95ab)と、前記冷却媒体の通過経路を前記第1の部分(95aa)又は前記第2の部分(95ab)に切り換える通路切換弁(96)と、を備え、
前記冷却制御部(63)は、
前記液体材料の温度が前記冷却媒体の温度よりも高い場合に前記冷却媒体を前記第1の部分(95aa)を通過させ、
前記液体材料の温度が前記冷却媒体の温度よりも低い場合に前記冷却媒体を前記第2の部分(95ab)を通過させる、
ことを特徴とする、請求項6に記載の噴射システム。
【請求項8】
前記液通路(38b)が、
前記導入通路(95a)に接して配置される第1の部分と、前記第1の部分をバイパスさせる第2の部分と、前記液体材料の通過経路を前記第1の部分又は前記第2の部分に切り換える通路切換弁と、を備え、
前記冷却制御部(63)は、
前記液体材料の温度が前記冷却媒体の温度よりも高い場合に前記液体材料を前記第1の部分を通過させ、
前記液体材料の温度が前記冷却媒体の温度よりも低い場合に前記液体材料を前記第2の部分を通過させる、
ことを特徴とする、請求項6に記載の噴射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、内燃機関の排気通路に液体材料を噴射するための噴射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の内燃機関の排気通路に液体材料を噴射するための噴射システムが知られている。例えば、特許文献1には、内燃機関の排気ガス中に含まれる粒子状物質(以下、「PM」ともいう。)を捕集するためのパティキュレートフィルタに堆積したPMを強制的に燃焼させるために、パティキュレートフィルタの上流側に配置された酸化触媒のさらに上流側で排気通路中に燃料を噴射して排気温度を上昇させる技術が開示されている。特許文献1に記載された燃料噴射システムでは、排気管に取り付けられた噴射弁に供給する燃料の流量を制御し、燃料の圧力が噴射弁の開弁圧を超えたときに噴射弁が開弁し、燃料が噴射される。
【0003】
また、特許文献2には、内燃機関の排気ガス中に含まれる窒素酸化物(以下、「NOX」ともいう。)を浄化するために、還元触媒の上流側で排気通路中に液体還元剤を噴射して、還元触媒に還元剤を供給する技術が開示されている。特許文献2に記載された還元剤噴射システムでは、排気管に取り付けられた電子制御式の噴射弁の開閉を制御することにより、燃料が噴射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-135868号公報
【文献】特開2018-127960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記の噴射システムでは、内燃機関の運転中、排気熱が直接的にあるいは排気管を介して噴射弁に伝達され、噴射弁が加熱される。特許文献1に記載の燃料噴射システムにおいて、燃料の噴射が停止されている期間に噴射弁が加熱されると、噴射弁内あるいはその近傍の燃料配管内で燃料が劣化するおそれがある。燃料が劣化すると、弁体が損傷を受け、噴射弁の動作が妨げられるおそれがある。また、特許文献2に記載の還元剤噴射システムにおいて、還元剤の噴射が停止されている期間に噴射弁が加熱されると、還元剤が結晶化したり、電子制御式の噴射弁が損傷したりするおそれがある。
【0006】
これに対して、噴射弁を冷却する冷却装置を備えた噴射システムが存在する。例えば、エンジンの冷却水を流通可能な冷却室を有する冷却ホルダに噴射弁を保持させ、冷却室に冷却水を循環させることによって噴射弁の温度上昇を抑制することが行われている。しかしながら、内燃機関の停止直後には、排気熱が残留しているにもかかわらずエンジンの冷却水の循環が停止するため、噴射弁が高温に晒されやすくなる。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、噴射弁の温度上昇を抑制可能な噴射システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある観点によれば、車両の内燃機関の排気通路に液体材料を噴射する噴射弁と、噴射弁を冷却する冷却装置と、冷却装置を制御する冷却制御部と、を備えた噴射システムであって、冷却装置は、冷却媒体が通過する冷却室を有し、かつ、噴射弁を保持する冷却ホルダと、ポンプ及びラジエータを有する内燃機関の冷却水回路のポンプの下流側から分岐して冷却室へ冷却媒体を導入する導入通路と、冷却室から冷却媒体を導出しポンプの上流側の冷却水回路に合流する導出通路と、導入通路と導出通路とを接続し、ポンプ及びラジエータをバイパスするバイパス通路と、バイパス通路に設けられた冷却水循環ポンプと、を備え、冷却制御部は、内燃機関が停止し、ポンプの駆動が停止した状態で排気通路内の温度があらかじめ設定した開始閾値を超える場合に、冷却水循環ポンプを駆動させ、所定の終了条件が成立した場合に冷却水循環ポンプの駆動を終了させる噴射システムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、噴射弁の温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係る燃料噴射システムを用いた排気浄化システムの構成例を示す模式図である。
【
図2】同実施形態に係る燃料噴射システムの構成例を示す模式図である。
【
図3】同実施形態に係る燃料噴射システムの冷却水導入通路の構成例を示す模式図である。
【
図4】同実施形態に係る燃料噴射システムの冷却水導入通路の構成例を示す模式図である。
【
図5】同実施形態に係る燃料噴射システムの制御装置の構成例を示す模式図である。
【
図6】同実施形態に係る燃料噴射システムの制御装置による内燃機関の運転中の冷却制御の一例を示すフローチャートである。
【
図7】同実施形態に係る燃料噴射システムの制御装置による内燃機関の停止後の冷却制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<1.排気浄化システムの全体構成>
本実施形態では、噴射システムとして、排気通路内に燃料を噴射する燃料噴射システムを例にとって説明する。
【0013】
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る燃料噴射システム90を備える排気浄化システム1の一例を説明する。
図1は、排気浄化システム1の全体構成の一例を示している。排気浄化システム1は、酸化触媒21と、パティキュレートフィルタ22と、燃料噴射システム90と、制御装置60とを備える。排気浄化システム1は、内燃機関5の一態様としてのディーゼルエンジンの排気ガスを浄化するシステムであって、内燃機関5の排気ガス中に含まれる粒子状物質(PM)をパティキュレートフィルタ22によって捕集する。
【0014】
酸化触媒21及びパティキュレートフィルタ22は、ともに排気管11内に配設される。酸化触媒21は、パティキュレートフィルタ22の上流側に備えられる。内燃機関5から排出される排気ガスは、排気管11を流れ、酸化触媒21及びパティキュレートフィルタ22を通過して下流側に流れる。なお、パティキュレートフィルタ22の下流には、排気中の窒素酸化物等の他の成分を除去するための装置が配置されていてもよい。
【0015】
パティキュレートフィルタ22は、パティキュレートフィルタ22を通過する排気ガス中のPMを捕集する。パティキュレートフィルタ22は、公知のパティキュレートフィルタであってよく、例えばセラミック材料から構成されたハニカム構造のフィルタが用いられる。パティキュレートフィルタ22に捕集されたPMの多くは、パティキュレートフィルタ22の再生制御が行われるまでの間、パティキュレートフィルタ22上に堆積する。
【0016】
酸化触媒21は、燃料噴射システム90から噴射された未燃の燃料を酸化する。酸化触媒21は、発生する酸化熱により、酸化触媒21を通過する排気ガスの温度を上昇させる。酸化触媒21は公知の酸化触媒であってよく、例えばアルミナに白金を担持させた触媒に所定量のセリウム等の希土類元素を添加した触媒が用いられる。
【0017】
酸化触媒21よりも上流側及び下流側には、それぞれ温度センサ50,52が備えられる。また、パティキュレートフィルタ22よりも上流側の圧力と下流側の圧力との差圧を検出する差圧センサ54が備えられる。これらセンサのセンサ信号は制御装置60に出力されて、それぞれの位置での温度や差圧が検出される。なお、これらの温度や差圧が演算によって推定可能である場合、これらのセンサは省略されていてもよい。
【0018】
燃料噴射システム90は、燃料タンク30から供給される燃料を調量して排気管11内に噴射する。本実施形態では、内燃機関5の燃料供給システムの燃料供給通路から分岐して燃料噴射システム90が設けられている。具体的に、内燃機関5の燃料供給システムは燃料を貯蔵する燃料タンク30と、燃料タンク30内の燃料を吸い上げて圧送する燃料ポンプ32と、燃料に混入している異物を除去するための燃料フィルタ34とを備えている。
【0019】
燃料タンク30内の燃料は、燃料ポンプ32によって吐出され、燃料供給通路36を通って燃料フィルタ34へ送られる。燃料フィルタ34を通過した燃料の一部は、燃料通路38aを通って燃料噴射システム90へ送られる。また、燃料フィルタ34へ送られた燃料の他の一部は、燃料通路37を通って内燃機関5へと送られる。内燃機関5へと送られた燃料のうちの余剰の燃料は、燃料還流通路35を通って燃料タンク30に戻される。
【0020】
なお、本実施形態では、内燃機関5に燃料を供給する燃料経路から分岐して設けられた燃料通路38aを介して燃料噴射システム90に燃料が供給されているが、内燃機関5に燃料を供給する燃料経路とは別の独立した燃料経路を介して燃料噴射システム90に燃料が供給されてもよい。また、内燃機関5に供給される燃料を貯蔵する燃料タンク30とは別の燃料タンクを備えるなど、内燃機関5の燃料供給システムとは別の独立した燃料供給経路が設けられてもよい。
【0021】
燃料噴射システム90は、調量ユニット70及び噴射モジュール80を備える。調量ユニット70は、燃料通路38bを介して噴射モジュール80に供給する燃料の流量を調節する。噴射モジュール80は、供給される燃料の圧力に応じて開閉する噴射弁を備える。調量ユニット70は、制御装置60により駆動制御される。なお、燃料通路38a,38bは、液通路の一態様である。
【0022】
燃料噴射システム90は、冷却装置100を備える。冷却装置100は、主として排気熱の影響を受けて加熱されやすい噴射モジュール80を冷却する。本実施形態において、冷却装置100は、冷却水循環通路95に内燃機関5の冷却水を循環させて噴射モジュール80等から放熱させることにより噴射モジュール80等を冷却する。
【0023】
噴射モジュール80は、冷却水循環通路95の途中に配設される。噴射モジュール80には、内燃機関5の冷却水が流通可能になっている。内燃機関5は、エンジンブロック内に形成されてラジエータ3を通過させつつ冷却水を循環させる冷却水回路4を備える。冷却水回路4は、冷却水を循環させるポンプ2を備える。ポンプ2は、例えば内燃機関5の出力により駆動されて冷却水を吐出する。内燃機関5は、冷却水回路4を循環する冷却水の温度を計測する温度センサ6を備える。冷却水循環通路95は、ポンプ2の下流側の冷却水回路4に設けられた分岐部7において冷却水回路4から分岐し、ポンプ2の上流側の冷却水回路4に設けられた合流部9で冷却水回路4に合流する。
【0024】
冷却水循環通路95は、噴射モジュール80へ冷却水を導入する冷却水導入通路95aと、噴射モジュール80から冷却水を導出する冷却水導出通路95bとを含む。冷却水導入通路95aの一部は、調量ユニット70と噴射モジュール80とを接続する燃料通路38bに隣接して配設されている。内燃機関5が運転している期間、ポンプ2が駆動することによって、冷却水循環通路95を冷却水が循環する。循環する冷却水により、噴射モジュール80内の燃料、燃料通路38b内の燃料及び噴射モジュール80から放熱される。
【0025】
また、冷却水循環通路95は、冷却水導入通路95aと冷却水導出通路95bとを接続するバイパス通路95cを備える。冷却水導出通路95bとバイパス通路95cとの接続部分には、三方向弁99が設けられている。また、バイパス通路95cの途中には、冷却水循環ポンプ97が設けられている。三方向弁99及び冷却水循環ポンプ97は、制御装置60により駆動制御される。
【0026】
本実施形態において、三方向弁99は、非通電状態で噴射モジュール80側からラジエータ3側への冷却水の流通を可能にする一方、通電状態で噴射モジュール80側からバイパス通路95c側への冷却水の流通を可能にする。したがって、三方向弁99が通電状態にされ、冷却水循環ポンプ97を駆動させることにより、内燃機関5が停止している間においても噴射モジュール80を介して冷却水を循環させることができる。
【0027】
<2.燃料噴射システムの構成>
次に、
図2を参照して燃料噴射システム90の構成例を説明する。
図2は、燃料噴射システム90の構成例を示す模式図である。燃料噴射システム90は、調量ユニット70と噴射モジュール80とを備える。噴射モジュール80は、酸化触媒21よりも上流側で排気管11に固定され、排気管11内に燃料を噴射する。調量ユニット70は、噴射モジュール80から噴射する燃料の噴射量を調節する。調量ユニット70には燃料通路38aが接続され、燃料ポンプ32により圧送される燃料の一部が調量ユニット70に供給される(
図1を参照)。調量ユニット70と噴射モジュール80とは燃料通路38bにより接続され、燃料は調量ユニット70で調量されつつ噴射モジュール80に供給される。
【0028】
調量ユニット70は、燃料が流れる方向に沿って上流側から順に、遮断弁72と、上流側圧力/温度センサ74と、制御弁76と、下流側圧力センサ78とを備える。
【0029】
遮断弁72は、排気管11への燃料噴射を行う場合に燃料通路38aを開放し、排気管11への燃料噴射を行わない場合に燃料通路38aを遮断する。遮断弁72は、例えば電磁ソレノイドを備えたオンオフ弁により構成され、通電時に燃料通路38aを開放し、非通電時に燃料通路38aを遮断する。遮断弁72は、制御装置60によって駆動が制御される。例えば制御装置60は、パティキュレートフィルタ22の強制再生制御を行う場合に遮断弁72に通電し、強制再生制御を行わない場合に遮断弁72への通電を停止する。これにより、制御弁76への燃料の供給及び停止が切り替えられる。
【0030】
制御弁76は、噴射モジュール80を介して排気管11内に噴射する燃料の噴射量を調節する。制御弁76は、例えば電磁ソレノイドを備えたオンオフ弁により構成され、制御装置60から送信されるPWM(Palse Width Modulation)信号に基づいて駆動される。例えば、制御装置60は、所定の演算により求められる目標噴射量の燃料を噴射させるために上流側圧力/温度センサ74のセンサ信号と下流側圧力センサ78のセンサ信号から得られる差圧、又は上流側圧力/温度センサ74のセンサ信号に基づいて制御弁76のデューティ比を制御する。例えば、制御弁76が通電時に開弁するオンオフ弁の場合、制御装置60は各噴射サイクルの噴射周期時間に対する通電時間の比を制御する。これにより、噴射モジュール80へ供給される燃料の量が調節される。
【0031】
上流側圧力/温度センサ74は、遮断弁72と制御弁76とを接続する燃料通路39aに設けられ、制御弁76よりも上流側の燃料の圧力(以下、「上流側燃料圧力」ともいう。)及び燃料温度を検出する。また、下流側圧力センサ78は、制御弁76の下流側の燃料通路39bに設けられ、制御弁76よりも下流側の燃料の圧力(以下、「下流側燃料圧力」ともいう。)を検出する。例えば制御装置60は、上流側燃料圧力と下流側燃料圧力との差圧又は上流側燃料圧力に基づいて制御弁76のデューティ比を設定する。同じ量の燃料を噴射モジュール80へ供給する場合、制御装置60は、上記の差圧又は上流側燃料圧力が相対的に高いほど制御弁76のデューティ比を小さく設定する一方、上記の差圧又は上流側燃料圧力が相対的に低いほど制御弁76のデューティ比を大きく設定する。
【0032】
なお、遮断弁72と制御弁76との間に、オリフィス通路又は一方向弁を有し、燃料タンク30に通じる燃料還流管が接続されていてもよい。燃料還流管を備えることにより、制御弁76に供給される燃料の圧力が著しく高くなることが防止され、上流側圧力/温度センサ74等の部品の破損を防ぐことができる。
【0033】
噴射モジュール80は、噴射弁81及び冷却ホルダ87を備える。噴射弁81は、例えば調量ユニット70から供給される燃料の圧力に応じて開弁する機械式の開閉弁として構成されている。噴射モジュール80は、弁体82、バルブスプリング84及びバルブシート86を備える。バルブスプリング84は、弁体82をバルブシート86側に付勢する。調量ユニット70から供給される燃料の圧力がバルブスプリング84の付勢力に応じて設定された開弁圧を超えると、弁体82がバルブシート86から離間して開弁する。
【0034】
冷却ホルダ87は、内燃機関5の冷却水が流通可能な冷却室88を有する。冷却室88は、噴射弁81の周囲を取り囲むように形成され、冷却水導入通路95aを介して冷却室88に冷却水が導入され、冷却水導出通路95bを介して冷却室88から冷却水が導出される。冷却水が冷却水循環通路95を循環する間、噴射弁81が有する熱が冷却水に伝達されて、噴射弁81の加熱が抑制される。また、冷却水導入通路95aの一部は、燃料通路38bに隣接して配設されている。これにより、燃料通路38b内の燃料が有する熱が冷却水に伝達されて、燃料の加熱も抑制される。
【0035】
噴射モジュール80は、モジュール内の温度を計測するためのモジュール温度センサ89を備える。モジュール温度センサ89は、好ましくは、噴射弁81の弁体82付近の温度を計測できるように備えられる。
【0036】
図3~
図4は、燃料通路38b及び冷却水導入通路95aの構成例を示す説明図である。
図3に示すように、燃料通路38bの一部及び冷却水導入通路95aの一部は、ともに断熱管92内に配設されている。これにより、冷却水導入通路95aを通過する冷却水により燃料通路38b内の燃料を冷却する際の冷却効率が高められる。断熱管92を用いる代わりに、断熱テープ等の断熱材により燃料通路38b及び冷却水導入通路95aを被覆してもよい。
【0037】
また、本実施形態においては、
図4に示すように、冷却水導入通路95aは、断熱管92内に燃料通路38bとともに配設された第1の部分95aaと、第1の部分をバイパスさせる第2の部分95abとを有する。第1の部分95aaと第2の部分95abとは、通路切換弁96を基点に分岐し、冷却水の流路は、第1の部分95aa又は第2の部分95abに切り換えられる。通路切換弁96の動作は、制御装置60により制御される。通路切換弁96は、第1の部分95aaと第2の部分95abとが合流する位置に設けられてもよい。
【0038】
<3.制御装置>
(3-1.構成例)
次に、制御装置60の構成を具体的に説明する。制御装置60は、調量ユニット70を制御し、噴射モジュール80を介して燃料を排気管11内に噴射させる。また、制御装置60は、内燃機関5の停止後に、燃料噴射システム90の冷却制御を実行する。制御装置60は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、及びRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶素子等を備えて構成される。
【0039】
図5は、制御装置60の機能構成を示す。制御装置60は、噴射制御部61と、冷却制御部63とを備える。噴射制御部61は、パティキュレートフィルタ22上に堆積したPMを強制的に燃焼させる強制再生制御を行う。制御装置60は、例えば差圧センサ54により検出される差圧が基準値を超えたときに強制再生制御を行う。パティキュレートフィルタ22に捕集されたPMの堆積量が多くなるほど、パティキュレートフィルタ22よりも上流側の圧力と下流側の圧力との差圧が大きくなる。また、制御装置60は、内燃機関5のイグニッションスイッチがオフにされたときに、内燃機関5を停止する前に強制再生制御を実行してもよい。強制再生制御では、制御装置60は、燃料噴射システム90により酸化触媒21よりも上流の排気管11内に燃料を噴射する制御を行う。
【0040】
例えば、制御装置60は、内燃機関5に対して吸気絞り又はポスト噴射等を行い排気ガスの温度を上昇させて酸化触媒21の温度を上昇させた後、燃料噴射システム90からの燃料噴射を行ってもよい。これにより、酸化触媒21では燃料が効率的に酸化され、排気ガスの温度が速やかに上昇する。このとき、制御装置60は、パティキュレートフィルタ22に流入する排気ガスの温度が300~600℃程度となるように、燃料噴射システム90からの燃料の噴射量を調節する。このようにして、高温の排気ガスがパティキュレートフィルタ22へ流入し、パティキュレートフィルタ22内のPMが燃焼する。燃料噴射システム90からの燃料噴射による強制再生制御は、推定されるパティキュレートフィルタ22へのPMの捕集量に応じて、例えば15分~30分程度行われる。
【0041】
冷却制御部63は、通路切換弁96、冷却水循環ポンプ97及び三方向弁99の動作を制御し、燃料噴射システム90の冷却制御を行う。具体的に、冷却制御部63は、温度センサ6のセンサ信号に基づいて、冷却水循環通路95を介して噴射モジュール80に導入される冷却水の温度(以下、「入口冷却水温」ともいう。)の情報を取得する。また、冷却制御部63は、上流側圧力/温度センサ74のセンサ信号に基づいて、噴射モジュール80に導入される燃料の温度の情報を取得する。
【0042】
冷却制御部63は、これらの入口冷却水温及び燃料温度の情報に基づいて、通路切換弁96の動作を制御する。冷却制御部63は、入口冷却水温が燃料温度よりも低い場合に、冷却水が冷却水導入通路95aの第1の部分95aaを通過するように通路切換弁96を動作させる。一方、冷却制御部63は、入口冷却水温が燃料温度以上の場合に、冷却水が冷却水導入通路95aの第2の部分95abを通過するように通路切換弁96を動作させる。これにより、冷却水によって燃料が加熱されないように、冷却水の通路が制御される。
【0043】
また、冷却制御部63は、内燃機関5の停止後に排気通路内の温度があらかじめ設定した開始閾値を超える場合に冷却装置100を駆動させ、所定の終了条件が成立した場合に冷却装置100の駆動を終了させる。具体的に、内燃機関5の停止後には内燃機関5に設けられたポンプ2の駆動が停止して冷却水循環通路95への冷却水の循環が停止する。そうすると、噴射モジュール80内に滞留する冷却水は加熱されて沸騰状態になり、噴射弁81の温度が上昇することになる。このため、冷却制御部63は、内燃機関5の停止後に噴射モジュール80が加熱され得る状態にある場合には、冷却水循環ポンプ97を駆動して、噴射モジュール80へ冷却水を循環させる。
【0044】
また、冷却制御部63は、噴射モジュール80が加熱されるおそれがなくなる状態となった場合に、冷却水循環ポンプ97を停止して、噴射モジュール80への冷却水の循環を終了させる。これにより、内燃機関5の停止後に噴射モジュール80が加熱されて燃料が劣化することによる噴射弁81の損傷や固着が抑制される。
【0045】
(3-2.動作例)
次に、制御装置60の冷却制御部63による燃料噴射システム90の冷却制御時の動作例を説明する。
【0046】
図6は、内燃機関5の運転が停止するまでの制御装置60の処理の一例を示すフローチャートである。冷却制御部63は、内燃機関5の運転中、つまり、内燃機関5に設けられたポンプ2が駆動して冷却水循環通路95を冷却水が循環している間、上流側圧力/温度センサ74により計測される燃料温度T_fが、温度センサ6により計測される入口冷却水温T_cを上回っているか否かを判別する(ステップS11)。
【0047】
燃料温度T_fが入口冷却水温T_cを上回っている場合(S11/Yes)、冷却制御部63は、冷却水導入通路95aの第1の部分95aaを冷却水が通過するように通路切換弁96を動作させる(ステップS13)。これにより、燃料通路38b内の燃料が冷却水により冷却される。一方、燃料温度T_fが入口冷却水温T_c以下の場合(S11/No)、冷却制御部63は、冷却水導入通路95aの第2の部分95abを冷却水が通過するように通路切換弁96を動作させる(ステップS15)。これにより、燃料通路38b内の燃料の温度が冷却水の熱の影響を受けて上昇することを防ぐことができる。
【0048】
そして、冷却制御部63は、内燃機関5が停止したか否かを判別する(ステップS17)。冷却制御部63は、内燃機関5が運転している間(S17/No)、燃料温度T_f及び入口冷却水温T_cに基づく通路切換弁96の動作制御を繰り返す一方、内燃機関5が停止した場合(S17/Yes)、通路切換弁96の動作制御を終了する。このようにして、冷却制御部63は、内燃機関5の運転中に、噴射モジュール80に供給される燃料の温度上昇を抑制する。
【0049】
図7は、内燃機関5のイグニッションスイッチがオフになった後の制御装置60の処理の一例を示すフローチャートである。内燃機関5のイグニッションスイッチがオフになった後、噴射制御部61は、所定期間、噴射モジュール80を介して、酸化触媒21の上流側で排気管11内に燃料を噴射させる(ステップS21)。この間、内燃機関5の運転は継続され、高温となる排気ガスによってパティキュレートフィルタ22に堆積しているPMが燃焼され、パティキュレートフィルタ22が再生される。パティキュレートフィルタ22の再生制御が終了すると内燃機関5は停止する。これにより、内燃機関5に備えられたポンプ2による冷却水の循環が停止する。
【0050】
次いで、内燃機関5が停止されると、冷却制御部63は、温度センサ50により計測される排気温度T_gがあらかじめ設定された開始閾値T_0を上回っているか否かを判別する(ステップS23)。開始閾値T_0は、燃料が熱劣化し得る温度や排気管11から噴射弁81への熱伝達率等を考慮して適切な温度に設定されてよい。排気温度T_gが開始閾値T_0以下の場合(S23/No)、燃料の熱劣化による噴射モジュール80の損傷のおそれがないと考えられるため、冷却制御部63は、本ルーチンを終了させる。
【0051】
一方、排気温度T_gが開始閾値T_0を上回っている場合(S23/Yes)、冷却制御部63は、冷却水導出通路95bの冷却水がバイパス通路95cを介して冷却水導入通路95aに流れるように三方向弁99を動作させ、冷却水循環ポンプ97の駆動を開始させる(ステップS24)。これにより、内燃機関5が停止状態であるにもかかわらず、噴射モジュール80へ冷却水が循環する。このため、内燃機関5の停止後に残留する排気熱が噴射モジュール80に伝達される場合であっても、噴射モジュール80の温度上昇を抑制することができる。
【0052】
次いで、冷却制御部63は、冷却水の循環を終了させる終了条件が成立したか否かを判別する(ステップS27)。終了条件は、例えば、噴射弁81の温度に相関する所定の温度の上昇速度があらかじめ設定した終了基準値を下回ることであってもよい。具体的に、終了条件は、モジュール温度センサ89により計測されるモジュール温度の上昇速度が、所定の終了基準値を下回ることであってよい。つまり、噴射弁81に対する排気熱の影響が小さくなり、以降の温度上昇幅が小さいと判断され得る場合に、冷却水の循環を終了させることができる。
【0053】
また、終了条件は、冷却装置100の駆動時間、つまり、冷却水循環ポンプ97による冷却水の循環を開始してからの経過時間が、あらかじめ設定した終了基準値を超えることであってもよい。つまり、以降の噴射弁81の温度上昇幅が小さいと見込まれる時間以上、冷却水の循環を行った後に、冷却水の循環を終了させることができる。
【0054】
また、終了条件は、噴射弁81の温度に相関する所定の相関温度の上昇後、当該相関温度が、冷却装置100を駆動させた際の初期値、又は、初期値に所定値を加算した終了基準値まで低下することであってもよい。例えば、モジュール温度センサ89により計測されるモジュール温度の上昇後、モジュール温度が、冷却水循環ポンプ97による冷却水の循環を開始した際の値、あるいは、当該初期値に所定値を加算した終了基準値まで低下した場合に、冷却水の循環を終了させることができる。
【0055】
また、終了条件は、温度センサ50により計測される排気温度T_gがあらかじめ設定した終了基準値まで低下することであってもよい。内燃機関5はすでに停止しているために、排気温度T_gが終了基準値まで低下した後には噴射弁81の温度上昇幅が小さいと見込まれるため、かかる条件の成立時に冷却水の循環を終了させることができる。
【0056】
本実施形態において、冷却制御部63は、上記の4つの条件のいずれか1つが成立した場合に、終了条件が成立したと判別する。これにより、冷却制御の時間が過度に長時間になることを避けつつ、噴射弁81の過度な温度上昇を抑制することができる。
【0057】
終了条件が成立していない場合(S27/No)、冷却制御部63は、終了条件が成立するまで、ステップS27の判別を繰り返す。そして、終了条件が成立したときに(S27/Yes)、冷却制御部63は、冷却水循環ポンプ97の駆動を停止させるとともに、三方向弁99の動作を終了させる(ステップS29)。これにより、冷却制御が終了する。
【0058】
なお、内燃機関5の停止後においても、燃料温度T_fが入口冷却水温T_cよりも高い場合に、冷却水導入通路95aの第1の部分95aaに冷却水を通過させることにより、燃料通路38b内に滞留する燃料の温度上昇抑制することもできる。これにより、燃料の熱劣化をより抑制することができる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る燃料噴射システム90によれば、内燃機関5の停止後に、排気熱の影響を受けて噴射モジュール80が加熱され得る場合に、冷却装置100が駆動される。これにより、燃料の熱劣化による噴射弁81の損傷や固着を抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る燃料噴射システム90によれば、内燃機関5の冷却水を噴射モジュール80に導入するための冷却水導入通路95aの一部が、噴射モジュール80に燃料を供給する燃料通路38bに隣接して配置される。これにより、燃料通路38b内の燃料も冷却することができ、燃料の熱劣化による噴射弁81の損傷や固着をさらに抑制することができる。
【0061】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0062】
例えば、上記実施形態では、噴射モジュール80に冷却水を導入する冷却水導入通路95aが第1の部分95aa及び第2の部分95abに分岐し、このうちの第1の部分95aaが燃料通路38bに隣接して配設されていたが、本発明において、冷却水導入通路95aの一部分が燃料通路38bに隣接配置されることは必須ではない。
【0063】
また、冷却水導入通路95aの一部を燃料通路38bに隣接配置させる構成は、上記実施形態の例に限定されない。冷却水導入通路95aを分岐部分のない一本の通路とする一方、燃料通路38bを、冷却水導入通路95aに隣接する第1の部分と、当該第1の部分をバイパスさせる第2の部分とに分けて構成してもよい。この場合、燃料温度T_fが入口冷却水温T_cよりも高い場合に、燃料を第1の部分を通過させるように制御することで、噴射モジュール80に導入される燃料の温度の上昇を抑制することができる。
【0064】
また、上記実施形態では、内燃機関5の停止後において噴射モジュール80を冷却する冷却装置100として、バイパス通路95c、冷却水循環ポンプ97及び三方向弁99を冷却水循環通路95に追加した装置を用いたが、本発明はかかる例に限定されない。内燃機関5の停止後において噴射モジュール80を冷却する冷却装置100として、冷却水循環通路95を用いない、独立した冷却装置が用いられてもよい。
【0065】
また、上記実施形態にかかる噴射システムは、燃料噴射システムに限らず、排気通路内に液体還元剤を供給する還元剤噴射システムにも適用することができる。この場合、噴射モジュールあるいは電磁制御式の噴射弁の温度が、噴射弁の耐熱温度あるいは液体還元剤の組成が変化し得る温度を超えないように、冷却制御部による冷却制御が行われる。
【符号の説明】
【0066】
1:排気浄化システム、4:冷却水回路、5:内燃機関、6:温度センサ、11:排気管、21:酸化触媒、22:パティキュレートフィルタ、38a・38b:燃料通路、50:温度センサ、60:制御装置、61:噴射制御部、63:冷却制御部、70:調量ユニット、74:上流側圧力/温度センサ、80:噴射モジュール、81:噴射弁、87:冷却ホルダ、88:冷却室、89:モジュール温度センサ、90:燃料噴射システム、92:断熱管、95:冷却水循環通路、95a:冷却水導入通路、95aa:第1の部分、95ab:第2の部分、95b:冷却水導出通路、95c:バイパス通路、96:通路切換弁、97:冷却水循環ポンプ、99:三方向弁、100:冷却装置