(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】電動車両
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20230301BHJP
B62D 21/15 20060101ALI20230301BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20230301BHJP
【FI】
B62D25/20 J
B62D21/15 C
B60K1/04 Z
(21)【出願番号】P 2020054822
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】藤川 涼太郎
(72)【発明者】
【氏名】古川 巌大
(72)【発明者】
【氏名】松本 知大
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-18661(JP,A)
【文献】特開2008-37300(JP,A)
【文献】特開2000-247256(JP,A)
【文献】特開2010-173569(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0166150(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/20,21/15,
B60K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両であって、
ボディと、
前記ボディの後部に固定されたブラケットと、
前記ブラケットによって支持された低電圧部品と、
前記低電圧部品の前方に配置された高電圧部品と、
を備え、
前記ブラケットは、前記低電圧部品よりも前方において前記ボディに固定された前端と、前記低電圧部品よりも後方において前記ボディに固定された後端と、前記前端と前記後端との間において上凸状に屈曲する少なくとも一つの屈曲部とを有し、
前記少なくとも一つの屈曲部は、前記低電圧部品よりも前方に位置する第1屈曲部と、前記低電圧部品よりも後方に位置する第2屈曲部との少なくとも一方である、
電動車両。
【請求項2】
前記少なくとも一つの屈曲部は、前記低電圧部品よりも前方に位置する前記第1屈曲部と、前記低電圧部品よりも後方に位置する前記第2屈曲部との両者である、請求項1に記載の電動車両。
【請求項3】
前記ブラケットは、前記前端と前記後端との間を長手方向に沿って延びる板状の部材であり、
前記第1屈曲部と前記第2屈曲部との各々は、前記ブラケットの前記長手方向に垂直な全幅に亘って形成されている、請求項1又は2に記載の電動車両。
【請求項4】
前記低電圧部品は、前記ブラケットの下方に位置する、請求項1から3のいずれか一項に記載の電動車両。
【請求項5】
前記第1屈曲部と前記第2屈曲部との少なくとも一方は、上方へ突出するビード形状を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の電動車両。
【請求項6】
前記ブラケットは、前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部を除いて、前記前端と前記後端とを結ぶ直線に沿って延びている、請求項5に記載の電動車両。
【請求項7】
前記第1屈曲部と前記第2屈曲部との少なくとも一方は、上方へ突出する山折り形状を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の電動車両。
【請求項8】
前記第1屈曲部と前記第2屈曲部との少なくとも一方は、前記ブラケットの前記前端と前記後端とを結ぶ直線よりも上方に位置する、請求項7に記載の電動車両。
【請求項9】
前記低電圧部品は、少なくとも一つのプロセッサを有する電子制御ユニットである、請求項1から8のいずれか一項に記載の電動車両。
【請求項10】
前記高電圧部品は、車輪を駆動する走行用モータと、前記走行用モータへの供給電力を制御する電力制御ユニットとの少なくとも一方を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両が知られている。電動車両では、複数の電気部品が、ボディの様々な位置に配置される。例えば特許文献1に、電動車両の一例が記載されている。なお、本明細書でいう電動車両とは、車輪を走行用モータによって駆動する自動車を広く意味する。電動車両には、例えば、外部の電力によって充電される電気自動車、走行用モータとエンジンとを有するハイブリッド自動車、燃料電池を電源とする燃料電池車等が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動車両の複数の電気部品は、高電圧部品と、それに該当しない低電圧部品とに区分することができる。ここでいう高電圧部品とは、30ボルトを超える交流電圧又は60ボルトを超える直流電圧で動作する電気部品を意味する。高電圧部品としては、例えば走行用モータや、走行用モータへの供給電力を制御する電力制御ユニット(PCU:Power Control Unit)等が挙げられる。一方、低電圧部品には、例えばプロセッサを有する電子制御ユニット(ECU:Electric Control Unit)等が含まれる。
【0005】
いくつかの電気部品が、ボディの後部に配置されることがある。この場合、高電圧部品については、後面衝突においてダメージを受けることがないように、車両の最後部から離れて配置されるとよい。その一方で、低電圧部品については、高電圧部品よりも後方に配置することが考えらえる。しかしながら、高電圧部品の後方に低電圧部品が配置されていると、後面衝突において低電圧部品が前方へ押し出され、高電圧部品にダメージを与えるおそれがある。本明細書は、後面衝突において低電圧部品が高電圧部品に向けて移動することを抑制し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の一側面により、電動車両が開示される。この電動車両は、ボディと、ボディの後部に固定されたブラケットと、ブラケットによって支持された低電圧部品と、低電圧部品の前方に配置された高電圧部品とを備える。ブラケットは、低電圧部品よりも前方においてボディに固定された前端と、低電圧部品よりも後方においてボディに固定された後端と、前端と後端との間において上凸状に屈曲する少なくとも一つの屈曲部とを有する。少なくとも一つの屈曲部は、低電圧部品よりも前方に位置する第1屈曲部と、低電圧部品よりも後方に位置する第2屈曲部との少なくとも一方である。
【0007】
上記した電動車両では、低電圧部品を支持するブラケットに、少なくとも一つの屈曲部が設けられている。従って、電動車両に後面衝突が生じたときに、衝突荷重を受けたブラケットが、屈曲部において折れ曲がりやすい。特に、屈曲部が上凸状であると、ブラケットが上方へ突出するように屈曲しやすく、その結果、ブラケットは低電圧部品と共に上方へ変位する。これにより、低電圧部品の前方への移動、即ち、高電圧部品に向けて移動することが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】ボディ12の後部12rにおける構成を模式的に示す平面図。
【
図3】ボディ12の後部12rにおける構成を模式的に示す側面図。
【
図4】ブラケット30の第1屈曲部32(第2屈曲部34)を示す側面図。
【
図5】後面衝突におけるブラケット30の挙動を模式的に示す側面図。
【
図7】他の一変形例のブラケット230を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本技術の一実施形態において、少なくとも一つの屈曲部は、低電圧部品よりも前方に位置する第1屈曲部と、低電圧部品よりも後方に位置する第2屈曲部との両者であってもよい。このような構成によると、衝突荷重を受けたブラケットが、第1屈曲部及び第2屈曲部において折れ曲がることで、ブラケットが低電圧部品と共に上方へより変位しやすい。
【0010】
本技術の一実施形態において、ブラケットは、前端と後端との間を長手方向に沿って延びる板状の部材であってもよい。この場合、第1屈曲部と第2屈曲部との各々は、ブラケットの長手方向に垂直な全幅に亘って形成されていてもよい。このような構成によると、衝突荷重を受けたブラケットが、第1屈曲部及び/又は第2屈曲部において折れ曲がりやすい。
【0011】
本技術の一実施形態において、低電圧部品は、ブラケットの下方に位置してもよい。このような構成によると、ブラケットに懸架された低電圧部品が、自身の重量によって安定しやすい。但し、他の実施形態として、低電圧部品は、ブラケットの上方に位置してもよい。
【0012】
本技術の一実施形態において、第1屈曲部と第2屈曲部との少なくとも一方は、上方へ突出するビード形状を有してもよい。この場合、特に限定されないが、ブラケットは、第1屈曲部及び第2屈曲部を除いて、前端と後端とを結ぶ直線に沿って延びていてもよい。即ち、ブラケットは、全体として直線状に延びる部材であって、第1屈曲部及び又は第2屈曲部のみにおいて局所的に屈曲していてもよい。
【0013】
本技術の一実施形態において、第1屈曲部と第2屈曲部との各々は、上方へ突出する山折り形状を有してもよい。この場合、特に限定されないが、第1屈曲部と第2屈曲部との各々は、ブラケットの前端と後端とを結ぶ直線よりも上方に位置してもよい。このような構成によると、衝突荷重を受けたブラケットが、上方へ突出するように折れ曲がりやすい。
【0014】
本技術の一実施形態において、低電圧部品は、少なくとも一つのプロセッサを有する電子制御ユニットであってもよい。但し、他の実施形態として、低電圧部品は、例えば電子制御ユニットに電力を供給する補機バッテリといった、他の種類の電気部品であってもよい。
【0015】
本技術の一実施形態において、高電圧部品は、車輪を駆動する走行用モータと、その走行用モータへの供給電力を制御する電力制御ユニットとの少なくとも一方を有してもよい。但し、他の実施形態として、高電圧部品は、例えば走行用モータに電力を供給するバッテリといった、他の種類の電気部品を含んでもよい。
【0016】
本明細書において単に前方、後方、前後方向といった記載は、電動車両における前方、後方、前後方向をそれぞれ意味するものとする。同様に、単に左方、右方、左右方向といった記載は、電動車両における左方、右方、左右方向をそれぞれ意味し、単に上方、下方、上下方向といった記載は、電動車両における上方、下方、上下方向を意味する。例えば、電動車両が水平面上に配置されたときに、電動車両の上下方向は、鉛直方向と一致する。また、電動車両の左右方向は、電動車両の車軸に平行な方向であり、電動車両の前後方向は、水平面に平行かつ電動車両の車軸に垂直な方向となる。
【実施例】
【0017】
図面を参照して、実施例の電動車両10について説明する。
図1に示すように、電動車両10は、ボディ12と、複数の車輪14f、14rとを含む。ボディ12は、特に限定されないが、金属で構成されている。ボディ12は、主に、前部12f、キャビン12c及び後部12rを有する。ボディ12の前部12fは、キャビン12cの前方に位置しており、フロントボディとも称される。ボディ12の後部12rは、キャビン12cの後方に位置しており、リアボディとも称される。複数の車輪14f、14rには、一対の前輪14fと、一対の後輪14rとが含まれる。なお、車輪14f、14rの数については、四つに限定されない。
【0018】
ここで、図面における方向FRは、電動車両10の前後方向における前方を示し、方向RRは電動車両10の前後方向における後方を示す。また、方向LHは電動車両10の左右方向(あるいは幅方向)における左方を示し、方向RHは電動車両10の左右方向における右方を示す。そして、方向UPは電動車両10の上下方向における上方を示し、方向DWは電動車両10の上下方向における下方を示す。なお、以下の実施例においても、電動車両10の前方、後方及び前後方向、電動車両10の左方、右方及び左右方向、電動車両10の上方、下方及び上下方向を、それぞれ単に前方、後方、前後方向、左方、右方、左右方向、上方、下方、上下方向と称することがある。
【0019】
図1-
図3に示すように、電動車両10は、走行用モータ16と、バッテリユニット18と、電力制御ユニット20と、電子制御ユニット22とをさらに備える。走行用モータ16は、複数の車輪14f、14rの少なくとも一つ(例えば、一対の後輪14r)を駆動する。バッテリユニット18は、電力制御ユニット20を介して走行用モータ16に接続されており、走行用モータ16へ電力を供給する。バッテリユニット18は、複数の二次電池セルを内蔵しており、外部の電力によって繰り返し充電可能に構成されている。電力制御ユニット20は、DC-DCコンバータ及び/又はインバータを内蔵しており、バッテリユニット18から走行用モータ16への供給電力を調節する。電力制御ユニット20は、PCU(Power Control Unit)とも称される。電子制御ユニット22は、プロセッサを有しており、例えばユーザの運転操作に応じて、電力制御ユニット20へ制御指令を与える。電力制御ユニット20は、ECU(Electric Control Unit)とも称される。なお、電動車両10は、バッテリユニット18に代えて、又は加えて、燃料電池ユニットや太陽電池パネルといった他の電源を備えてもよい。
【0020】
ここで、走行用モータ16、バッテリユニット18及び電力制御ユニット20は、いわゆる高電圧部品であり、例えば30ボルトを超える交流電圧又は60ボルトを超える直流電圧で動作する電気部品である。一方、電子制御ユニット22は、そのような高電圧部品に該当しない低電圧部品である。走行用モータ16、バッテリユニット18及び電力制御ユニット20といった高電圧部品は、電動車両10で衝突が生じたときに、ダメージを受けないように保護されることが望まれる。従って、走行用モータ16及び電力制御ユニット20は、ボディ12の後部12rに配置されているが、後面衝突による損傷を避けるために、電動車両10の最後部である後面10rからは離れて配置されている。一方、低電圧部品である電子制御ユニット22は、ボディ12の後部12rにおいて、走行用モータ16及び電力制御ユニット20よりも後方に配置されている。ここで、電子制御ユニット22は、走行用モータ16と電力制御ユニット20との少なくとも一方と、左右方向及び上下方向における位置が少なくとも部分的に一致する。
【0021】
特に限定されないが、ボディ12の後部12rは、一対のリアサイドメンバ40、リアフロアパネル42、リアクロスメンバ44及びバックパネル46を有する。一対のリアサイドメンバ40は、それぞれ前後方向に延びている。リアフロアパネル42は、一対のリアサイドメンバ40の間に広がっており、ボディ12の後部12rにおいてフロアを形成する。リアクロスメンバ44は、リアフロアパネル42に沿って設けられており、一対のリアサイドメンバ40の間を左右方向に延びている。バックパネル46は、ボディ12の後部12rにおいて後壁を形成しており、バックパネル46にはリアフロアパネル42の後端が接続されている。特に限定されないが、走行用モータ16及び電力制御ユニット20は、リアクロスメンバ44よりも前方に位置しており、電子制御ユニット22は、リアクロスメンバ44よりも後方に位置している。リアフロアパネル42は、リアクロスメンバ44の位置から後方に向けて下方に傾斜しており、電子制御ユニット22はリアフロアパネル42の上方に配置されている。一方、走行用モータ16及び電力制御ユニット20は、リアフロアパネル42の下方に配置されている。
【0022】
電動車両10は、ブラケット30をさらに備える。ブラケット30は、ボディ12の後部12rに固定されており、電子制御ユニット22を支持している。電子制御ユニット22は、ブラケット30の下方に位置しており、ブラケット30によって懸架されている。ブラケット30は、前後方向に延びる板状の部材であり、ボディ12に固定された前端30a及び後端30bを有する。ブラケット30の前端30aは、電子制御ユニット22よりも前方において、ボディ12のリアクロスメンバ44に固定されている。ブラケット30の後端30bは、電子制御ユニット22よりも後方において、ボディ12のバックパネル46に固定されている。なお、本実施例におけるブラケット30は単一の部材で構成されているが、他の実施形態として、ブラケット30は複数の部材で構成されてもよい。
【0023】
図2-
図4に示すように、ブラケット30は、複数の屈曲部32、34をさらに有する。複数の屈曲部32、34には、電子制御ユニット22よりも前方に位置する第1屈曲部32と、電子制御ユニット22よりも後方に位置する第2屈曲部34とが含まれる。第1屈曲部32と第2屈曲部34との各々は、前端30aと後端30bとの間において上凸状に屈曲する屈曲部であり、詳しくは、上方へ突出するビード形状を有している。なお、ここでいうビード形状とは、一方向に延びる細長い範囲が、その周囲より隆起した形状を意味する。従って、ブラケット30は、第1屈曲部32及び第2屈曲部34を除いて、前端30aと後端30bとを結ぶ直線に沿って延びている。即ち、ブラケット30は、全体として直線状に延びる部材であり、第1屈曲部32及び又は第2屈曲部34のみにおいて局所的に屈曲している。
【0024】
以上のように、本実施例の電動車両10では、電子制御ユニット22を支持するブラケット30に、第1屈曲部32及び第2屈曲部34が設けられている。従って、
図5に示すように、電動車両10に後面衝突が生じたときに、衝突荷重を受けたブラケット30が、第1屈曲部32及び第2屈曲部34において折れ曲がりやすい。特に、これらの屈曲部32、34は上凸状の屈曲部であるので、ブラケット30が上方へ突出するように屈曲しやすく、その結果、ブラケット30は電子制御ユニット22と共に上方へ変位する。これにより、電子制御ユニット22の前方への移動、即ち、走行用モータ16や電力制御ユニット20といった高電圧部品に向けて移動することが抑制される。
【0025】
特に、本実施例の電動車両10では、ブラケット30によって支持された電子制御ユニット22と、走行用モータ16や電力制御ユニット20といった高電圧部品との間に、リアクロスメンバ44が存在している。そして、ブラケット30の前端30aが、リアクロスメンバ44に固定されている。このような構成によると、ブラケット30が第1屈曲部32においてさらに屈曲したときに、電子制御ユニット22がリアクロスメンバ44の上方に向けて移動する。これにより、電子制御ユニット22が、走行用モータ16や電力制御ユニット20といった高電圧部品に干渉することを、リアクロスメンバ44を利用して効果的に抑制することができる。
【0026】
ここで、本実施例におけるブラケット30では、第1屈曲部32と第2屈曲部34との各々が、ブラケット30の全幅に亘って形成されている。しかしながら、他の実施形態として、第1屈曲部32と第2屈曲部34との各々が、ブラケット30の幅方向における一部の範囲にのみ設けられていてもよい。このような構成であっても、衝突荷重を受けたブラケット30は、第1屈曲部32及び第2屈曲部34において折れ曲がりやすい。
【0027】
図6に、一変形例のブラケット130を示す。このブラケット130は、第1屈曲部32のみを有しており、第2屈曲部34を有していない。このような構成においても、電動車両10に後面衝突が生じたときは、衝突荷重を受けたブラケット130が、第1屈曲部32において上方へ屈曲しやすい。これにより、ブラケット130は電子制御ユニット22と共に上方へ変位し、電子制御ユニット22が、走行用モータ16や電力制御ユニット20といった高電圧部品に向けて移動することが抑制される。なお、さらなる変形例として、ブラケット130は、第1屈曲部32に代えて、第2屈曲部34のみを有してもよい。
【0028】
図7に、他の一変形例のブラケット230を示す。このブラケット230は、第1屈曲部3と第2屈曲部34との各々が、上方へ突出する山折り形状を有している。従って、第1屈曲部32と第2屈曲部34との各々は、ブラケット230の前端30aと後端30bとを結ぶ直線よりも上方に位置している。このような構成によっても、電動車両10に後面衝突が生じたときは、衝突荷重を受けたブラケット230が、第1屈曲部32及び第2屈曲部34において上方へ屈曲しやすい。これにより、ブラケット230は電子制御ユニット22と共に上方へ変位し、電子制御ユニット22が、走行用モータ16や電力制御ユニット20といった高電圧部品に向けて移動することが抑制される。
【0029】
本実施例における電子制御ユニット22は、ブラケット30、130、230によって支持される低電圧部品の一例である。本実施例のブラケット30、130、230は、電子制御ユニット22に限られず、様々な低電圧部品にも同様に採用することができる。
【0030】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0031】
10:電動車両
12:ボディ
12r:ボディの後部
14f、14r:車輪
16:走行用モータ
18:バッテリユニット
20:電力制御ユニット(PCU)
22:電子制御ユニット(ECU)
30、130、230:ブラケット