IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ミルボンの特許一覧

<>
  • 特許-非水系毛髪用組成物および毛髪処理方法 図1
  • 特許-非水系毛髪用組成物および毛髪処理方法 図2
  • 特許-非水系毛髪用組成物および毛髪処理方法 図3
  • 特許-非水系毛髪用組成物および毛髪処理方法 図4
  • 特許-非水系毛髪用組成物および毛髪処理方法 図5
  • 特許-非水系毛髪用組成物および毛髪処理方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】非水系毛髪用組成物および毛髪処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/31 20060101AFI20230301BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230301BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20230301BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A61K8/31
A61K8/34
A61K8/92
A61Q5/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017205773
(22)【出願日】2017-10-25
(65)【公開番号】P2019077639
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-10-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(74)【代理人】
【識別番号】100078064
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 鐵雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115901
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 英樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 薫
(72)【発明者】
【氏名】井口 亮
(72)【発明者】
【氏名】瀧野 雄介
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/087004(WO,A1)
【文献】特開2011-126821(JP,A)
【文献】特開2014-193825(JP,A)
【文献】特開2009-067781(JP,A)
【文献】特表2004-503480(JP,A)
【文献】特開2017-125070(JP,A)
【文献】特開平11-171740(JP,A)
【文献】特開平09-124436(JP,A)
【文献】特開昭61-012799(JP,A)
【文献】特開2017-109990(JP,A)
【文献】特開2007-223930(JP,A)
【文献】特開2014-001206(JP,A)
【文献】国際公開第2013/031496(WO,A1)
【文献】特開平9-235210(JP,A)
【文献】特開昭58-177908(JP,A)
【文献】Oil Oasis, Kao,Mintel GNPD [online],2007年02月,[検索日2021.12.8], インターネット<URL:https://www.gnpd.com>,ID#664591
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)25℃で液状の植物油、(B)25℃で液状の炭化水素、および(C)25℃で液状の高級アルコールが配合されており、
(A)25℃で液状の植物油として、少なくとも、アボガド油、オリーブ油、ゴマ油、コメヌカ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、綿実油、マカデミアナッツ油、およびメドウフォーム油から選ばれる1種または2種以上が配合され、
(C)25℃で液状の高級アルコールとして、炭素数が12~22の、分岐構造または不飽和結合を有するアルコールが配合されたものであり、
(B)25℃で液状の炭化水素の配合量が30質量%未満であり、
25℃で透明であることを特徴とする液状の非水系毛髪用組成物(ただし、
(a)常温において液状で、20℃で3~100mPa・sの粘度を有するエステル油のうち少なくとも1種
(b)常温において液状の植物油のうち少なくとも1種
を含有し、成分(a):成分(b)の配合比率(質量比)が10:0.1~1:3で、シリコーン化合物を含まないことを特徴とする洗い流さないタイプの毛髪化粧料を除く)。
【請求項2】
(A)25℃で液状の植物油、(B)25℃で液状の炭化水素、および(C)25℃で液状の高級アルコールが配合されており、
(C)25℃で液状の高級アルコールとして、炭素数が12~22のアルコールが配合され、
(A)25℃で液状の植物油として、少なくとも、コメヌカ油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、およびメドウフォーム油から選ばれる1種または2種以上が配合されたものであり、
(B)25℃で液状の炭化水素の配合量が30質量%未満であり、
(E)シリコーン油が配合されていないことを特徴とする非水系毛髪用組成物(ただし、
(a)常温において液状で、20℃で3~100mPa・sの粘度を有するエステル油のうち少なくとも1種
(b)常温において液状の植物油のうち少なくとも1種
を含有し、成分(a):成分(b)の配合比率(質量比)が10:0.1~1:3で、シリコーン化合物を含まないことを特徴とする洗い流さないタイプの毛髪化粧料を除く)。
【請求項3】
(A)25℃で液状の植物油、および(B)25℃で液状の炭化水素が配合されており、
(A)25℃で液状の植物油として、少なくとも、コメヌカ油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、およびメドウフォーム油から選ばれる1種または2種以上が配合されたものであり、
(A)25℃で液状の植物油の配合量が50質量%以上であり、
(B)25℃で液状の炭化水素の配合量が30質量%未満であり、
(F)ノニオン界面活性剤が配合されていないことを特徴とする非水系毛髪用組成物(ただし、
(a)常温において液状で、20℃で3~100mPa・sの粘度を有するエステル油のうち少なくとも1種
(b)常温において液状の植物油のうち少なくとも1種
を含有し、成分(a):成分(b)の配合比率(質量比)が10:0.1~1:3で、シリコーン化合物を含まないことを特徴とする洗い流さないタイプの毛髪化粧料を除く)。
【請求項4】
(C)25℃で液状の高級アルコールとして、炭素数が12~22のアルコールが更に配合されている請求項3に記載の非水系毛髪用組成物。
【請求項5】
(A)25℃で液状の植物油、(B)25℃で液状の炭化水素、および(C)25℃で液状の高級アルコールが配合されており、
(A)25℃で液状の植物油として、少なくとも、アボガド油、オリーブ油、ゴマ油、コメヌカ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、綿実油、マカデミアナッツ油、およびメドウフォーム油から選ばれる1種または2種以上が配合され、
(C)25℃で液状の高級アルコールとして、炭素数が12~22の、分岐構造または不飽和結合を有するアルコールが配合されたものであり、
(B)25℃で液状の炭化水素の配合量が30質量%未満であり、
(E)シリコーン油が配合されていないか、または(E)シリコーン油が5質量%以下の量で配合されていることを特徴とする液状の非水系毛髪用組成物(ただし、
(a)常温において液状で、20℃で3~100mPa・sの粘度を有するエステル油のうち少なくとも1種
(b)常温において液状の植物油のうち少なくとも1種
を含有し、成分(a):成分(b)の配合比率(質量比)が10:0.1~1:3で、シリコーン化合物を含まないことを特徴とする洗い流さないタイプの毛髪化粧料を除く)。
【請求項6】
(F)ノニオン界面活性剤が配合されていないか、または(F)ノニオン界面活性剤が5質量%以下の量で配合されている請求項1または2に記載の非水系毛髪用組成物。
【請求項7】
(B)25℃で液状の炭化水素として、少なくとも、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、イソドデカン、および(C13-15)アルカンから選ばれる1種または2種以上が配合されたものである請求項1~6のいずれか1項に記載の非水系毛髪用組成物。
【請求項8】
(D)炭素数が2~4の低級アルコールが配合されていないか、または(D)炭素数が2~4の低級アルコールが5質量%以下の量で配合されている請求項1~7のいずれか1項に記載の非水系毛髪用組成物。
【請求項9】
25℃で透明である請求項~8のいずれか1項に記載の非水系毛髪用組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の非水系毛髪用組成物を用いることを特徴とする毛髪処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温で透明性が高く、かつ低温環境下における常温からの外観の変化が小さい非水系毛髪用組成物と、かかる非水系毛髪用組成物を用いた毛髪処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪用の化粧料として用いられる組成物には様々な成分が配合されているが、最近では、植物油を配合することが数多く試みられている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-207807号公報
【文献】特開2014-227365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
植物油は、毛髪につやを付与したり、毛髪のまとまりを良好にしたりする作用を有している。よって、植物油を配合する毛髪用組成物においては、その配合量を高めて、上記の作用をより効果的に発揮させることが望まれる。ところが、植物油の配合量が高い毛髪用組成物では、常温での透明性が損なわれたり、常温で透明性が高いものであっても、例えば0℃以下の低温環境下で白濁して外観が損なわれたりするなどの問題が生じやすい。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、常温で透明性が高く、かつ低温環境下における常温からの外観の変化が小さい非水系毛髪用組成物と、かかる非水系毛髪用組成物を用いた毛髪処理方法とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成し得た本発明の非水系毛髪用組成物は、(A)25℃で液状の植物油、および(B)25℃で液状の炭化水素が配合されており、(B)25で液状の炭化水素の配合量が30質量%未満であることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の毛髪処理方法は、本発明の非水系毛髪用組成物を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、常温で透明性が高く、かつ低温環境下における常温からの外観の変化が小さい非水系毛髪用組成物と、かかる非水系毛髪用組成物を用いた毛髪処理方法とを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1~6および比較例1の非水系毛髪用組成物の低温貯蔵前の外観を表す写真である。
図2】実施例1~6および比較例1の非水系毛髪用組成物の低温貯蔵後の外観を表す写真である。
図3】実施例2、実施例7~10の非水系毛髪用組成物の低温貯蔵前の外観を表す写真である。
図4】実施例2、実施例7~10の非水系毛髪用組成物の低温貯蔵後の外観を表す写真である。
図5】実施例2、実施例11、実施例12および実施例13の非水系毛髪用組成物の低温貯蔵前の外観を表す写真である。
図6】実施例2、実施例11、実施例12および実施例13の非水系毛髪用組成物の低温貯蔵後の外観を表す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の非水系毛髪用組成物は、(A)25℃で液状の植物油と、(B)25℃で液状の炭化水素とが配合されており、(B)成分の配合量が30質量%未満である。本発明の毛髪用組成物は、(B)成分の作用によって、常温(本明細書でいう常温とは、25℃を意味している)での透明性を高め、かつ例えば0℃以下の低温環境下における常温からの外観の変化を小さくしつつ、(A)成分を高配合量とすることを可能にして、(A)成分による作用をより有効に引き出し得るようにしている。なお、本明細書でいう「透明性」とは、目視で確認される透明性を意味している。
【0011】
以下には、本発明の実施形態に基づいて、本発明を説明する。
【0012】
本実施形態に係る非水系毛髪用組成物において、(A)成分である25℃で液状の植物油は、毛髪につやを付与し、また、毛髪のまとまりを良好にするための成分である。なお、本明細書でいう植物油は、トリグリセライドを主成分とする植物から得られた油脂を意味している。
【0013】
(A)成分について、25℃で液状であるとは、25℃での粘度が1Pa・s以下であることを意味している。また、(A)成分の25℃での粘度は、通常、0.005Pa・s以上である。
【0014】
本明細書でいう(A)成分の25℃での粘度、並びに後記の(B)成分、(C)成分および非水系毛髪用組成物の25℃での粘度は、レオメーター〔例えば、HAAKE社製の応力制御型レオメーター「RS6000(Thermo Fisher Scientific)」(商品名)〕を使用し、測定温度:25℃、コーンプレートセンサーの直径:35mm、コーンプレートセンサーの傾斜角:2°の条件で、定常フローカーブモードにおいて、待ち時間1分、せん断速度dγ/dtを100s-1で測定した値である。
【0015】
(A)成分の具体例としては、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、ククイナッツ油、ゴマ油、コメヌカ油、コーン油、サフラワー油、ダイズ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、ローズヒップ油、ヒマシ油などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。
【0016】
非水系毛髪用組成物における(A)成分の配合量は、毛髪につやを付与し、また、毛髪のまとまりを良好にする効果をより高める観点から、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。ただし、非水系毛髪用組成物中の(A)成分の量が多すぎると、例えば(B)成分の量が少なくなりすぎて、これによる効果が小さくなる虞がある。よって、非水系毛髪用組成物における(A)成分の配合量は、95質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、75質量%以下であることが更に好ましい。
【0017】
本実施形態に係る非水系毛髪用組成物において、(B)成分である25℃で液状の炭化水素は、非水系毛髪用組成物の常温での透明性を高めると共に、低温環境下における常温からの外観の変化を小さくするための成分である。また、(B)成分は、非水系毛髪用組成物を手に取って伸ばした際の伸びを良好にしたり、毛髪に塗布したときの延びを良好にしたりする作用も有している。
【0018】
(B)成分について、25℃で液状であるとは、25℃での粘度が0.1Pa・s以下であることを意味している。また、(B)成分の25℃での粘度は、通常、0.001Pa・s以上である。
【0019】
(B)成分の具体例としては、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、イソドデカン、(C13-15)アルカンなどが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。
【0020】
非水系毛髪用組成物における(B)成分の配合量は、(A)成分の配合量を多くして、その効果をより良好に確保する観点から、30質量%未満であり、29質量%以下であることが好ましい。また、(B)成分の配合による効果をより良好に確保する観点からは、非水系毛髪用組成物における(B)成分の配合量は、5質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。
【0021】
本実施形態に係る毛髪用組成物は非水系であり、これにより、塗布後の毛髪のつやの向上効果の持続性や、毛髪のまとまりの向上効果の持続性を高めている。なお、本明細書でいう「非水系」とは、毛髪用組成物の外相が油成分であることを意味しており、3質量%以下であれば水の混入も許容される。ただし、非水系毛髪用組成物の常温での透明性をより高めるには、水の含有量ができるだけ少ないことが好ましく、水を含有していないことがより好ましい。
【0022】
本実施形態に係る非水系毛髪用組成物には、(C)25℃で液状の高級アルコールが更に配合されていることが好ましい。これにより、非水系毛髪用組成物を塗布した毛髪において、毛先の厚み感をより高めることが可能となる。ここでいう「毛先の厚み感」とは、毛先部分に厚み(毛髪表面に何らかの物質がコーティングされたような手触り)を感じやすいことを意味している。一般に毛先部分は根元部分に比べて毛髪用組成物が付着し難いが、毛先の厚み感が良好であると、毛先部分から根元部分まで、手触りの均一性が向上する。
【0023】
(C)成分について、25℃で液状であるとは、25℃での粘度が1Pa・s以下であることを意味している。また、(C)成分の25℃での粘度は、通常、0.005Pa・s以上である。
【0024】
(C)成分である25℃で液状の高級アルコールとしては、炭素数が12~22の、分岐構造を有するアルコールまたは不飽和結合を有するアルコールが挙げられる。これらのうち、分岐構造を有するアルコールの具体例としては、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、デシルテトラデカノールなどが例示でき、不飽和結合を有するアルコールの具体例としては、オレイルアルコール、ホホバアルコールなどが例示できる。(C)成分には、上記の例示のもののうちの1種または2種以上を用いることができる。
【0025】
非水系毛髪用組成物における(C)成分の配合量は、上記の毛先の厚み感をより高める効果をより良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。ただし、非水系毛髪用組成物における(C)成分の量が多すぎると、処理後の毛髪のすべり感が強くなって、毛先の厚み感の向上効果が小さくなる虞がある。よって、非水系毛髪用組成物における(C)成分の配合量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
【0026】
本実施形態に係る非水系毛髪用組成物には、(D)低級アルコールを配合しないか、配合する場合には、その配合量を5質量%以下とすることが好ましい。非水系毛髪用組成物を毛髪に適用することで、保湿感のある手触りとすることができるが、(D)成分である低級アルコールは、こうした保湿感のある手触りを低下させる作用を有している。ここでいう「保湿感のある手触り」とは、毛髪表面の油性感によるしっとりした手触りを意味している。よって、非水系毛髪用組成物において、(D)成分を配合しないか、その配合量を上記のように抑えることで、毛髪を保湿感のある手触りとする機能を良好に維持することができる。
【0027】
(D)成分の具体例としては、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどの炭素数が2~4の1価アルコールが挙げられる。
【0028】
また、本実施形態に係る非水系毛髪用組成物は、(E)シリコーン油を配合しないか、配合する場合には、その配合量を5質量%以下とすることが好ましい。(E)成分であるシリコーン油も、毛髪の保湿感のある手触りを低下させる作用を有しており、非水系毛髪用組成物において、(E)成分を配合しないか、その配合量を上記のように抑えることで、毛髪を保湿感のある手触りとする機能を良好に維持することができる。なお、(E)成分を配合しないか、その配合量を上記のように抑えた場合には、非水系毛髪用組成物の常温での透明性をより高めることもできる。
【0029】
(E)成分の具体例としては、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルトリシロキサン、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体エマルション、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、トリメチルシロキシケイ酸、メチルハイドロジェンポリシロキサン、カプリリルメチコン、ラウリルジメチコンなどが挙げられる。
【0030】
更に、本実施形態に係る非水系毛髪用組成物は、(F)ノニオン界面活性剤を配合しないか、配合する場合には、その配合量を5質量%以下とすることが好ましい。非水系毛髪用組成物における(F)成分であるノニオン界面活性剤の量が多いと、塗布後の毛髪の手触りにベタツキが生じる虞があるが、非水系毛髪用組成物において、(F)成分を配合しないか、その配合量を上記のように抑えることで、毛髪のベタツキを抑えることができる。ここでいう「ベタツキ」とは、毛髪に触れたときにベタベタとした手触りを意味している。また、(F)成分を配合しないか、その配合量を上記のように抑えた場合には、非水系毛髪用組成物の常温での透明性をより高めることもできる。
【0031】
(F)成分の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどの脂肪酸エステル型ノニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンラノリン;ポリオキシエチレンラノリンアルコール;ポリオキシエチレンソルビットミツロウ;ポリオキシエチレンヒマシ油;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ポリオキシエチレンステロール;などが挙げられる。なお、上記の各ノニオン性界面活性剤におけるエチレンオキサイドの平均付加モル数は、例えば、2~50モルである。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテルなどが挙げられる。更に、脂肪酸エステル型ノニオン性界面活性剤における脂肪酸としては、ウンデシレン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、リノール酸などが挙げられる。
【0032】
本実施形態の非水系毛髪用組成物には、上記の各成分以外にも、例えば、通常の整髪料やトリートメント剤などの毛髪用の化粧料に配合されている各種の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。このような添加成分としては、25℃で液状のエステル油、25℃で液状の脂肪酸、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、香料などが挙げられる。
【0033】
25℃で液状のエステル油の具体例としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピルなどの直鎖脂肪酸と低級アルコールとのエステル;カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイルなどの直鎖脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル;ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸2-オクチルドデシルなどの直鎖脂肪酸と分枝アルコールとのエステル;イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピルなどの分枝脂肪酸と低級アルコールとのエステル;エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸ヘキシルなどの分枝脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル;ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、カプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2-エチレンヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラオクタン酸ペンタエリスチルなどの脂肪酸と多価アルコールとのエステル;ネオペンタン酸2-オクチルドデシル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、ジメチルオクタン酸2-ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸2-オクチルドデシル、イソパルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリルなどの分枝脂肪酸と分枝アルコールとのエステル;ホホバ油、ホホバ種子油などが挙げられる。25℃で液状のエステル油の非水系毛髪用組成物における配合量は、通常、0.1~15質量%である。
【0034】
25℃で液状の脂肪酸の具体例としては、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸などの25℃で液状の脂肪酸の非水系毛髪用組成物における配合量は、通常、0.1~5質量%である。
【0035】
酸化防止剤の具体例としては、dl-α-トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、エリソルビン酸などが挙げられる。
【0036】
紫外線吸収剤の具体例としては、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、4-[N,N-ジ(2-ヒドロキシプロピル)アミノ]安息香酸エチルなどの安息香酸エステル系紫外線吸収剤;サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸2-エチルヘキシル、サリチル酸ホモメンチルなどのサリチル酸系紫外線吸収剤;パラメトキシケイ皮酸2-エトキシエチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ2-エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジイソプロピルケイ皮酸エステルなどのケイ皮酸系紫外線吸収剤;ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウムなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルへキシルエステル;アントラニル酸メンチル;テレフタリリデンジカンフルスルホン酸;2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン;4-tert-ブチル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタン;2,2’-メチレンビス(6-(2Hベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール);などが挙げられる。
【0037】
防腐剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、フェノキシエタノール、メチルクロロイソチアゾリノン・メチルイソチアゾリノン液、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
【0038】
なお、常温での透明性をより高める観点からは、非水系毛髪用組成物には、25℃で固体の添加成分や、水溶性の添加成分は配合しないことが好ましい。
【0039】
本実施形態の非水系毛髪用組成物は、常温で透明であることが好ましいが、その製品形態などによっては、透明性が多少劣っていてもよい。
【0040】
本実施形態に係る非水系毛髪用組成物の25℃での粘度は、例えば、0.005~1Pa・sである。
【0041】
本実施形態に係る非水系毛髪用組成物の剤型は、例えば液状である。また、本実施形態に係る非水系毛髪用組成物は、整髪料や、洗い流さずに使用されるトリートメント剤などの用途に適用することができる。
【0042】
本実施形態に係る非水系毛髪用組成物は、例えば、適量を手に取って伸ばし、毛髪に塗布する方法によって使用することができる。また、本実施形態の非水系毛髪用組成物の使用方法の一例として、乾いた毛髪に塗布して使用してもよく、濡れた毛髪に塗布した後にドライヤーなどにより毛髪を乾燥させて用いてもよい。
【実施例
【0043】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。なお、以下の表1~表4では非水系毛髪用組成物全体で、それぞれ100%となるように各成分の配合量を%で示すが、その%はいずれも質量%であり、また、その%の表示を省略し、配合量を表す数値のみで表示する。
【0044】
実施例1~6および比較例1
表1に示す組成で実施例1~6および比較例1の非水系毛髪用組成物を調製した。なお、これらの非水系毛髪用組成物に使用したコメヌカ油およびスクワランの25℃での粘度は、それぞれ、0.0707Pa・s、0.0300Pa・sであった(後記の実施例7~13の非水系毛髪用組成物にも、同じコメヌカ油およびスクワランを使用した)。
【0045】
実施例1~6および比較例1の非水系毛髪用組成物は、いずれも常温において、有色(黄色)透明の液状であった。また、これらの非水系毛髪用組成物は、いずれも25℃の粘度が、0.005~1Pa・sの範囲内であった。
【0046】
実施例1~6および比較例1の非水系毛髪用組成物について、下記の低温貯蔵試験を行い、低温安定性を評価した。
【0047】
<低温貯蔵試験>
実施例1~6および比較例1の非水系毛髪用組成物を、それぞれ別のサンプル瓶に入れて封止し、-2℃に調節した恒温槽内に入れて16日間貯蔵した。そして、恒温槽から取り出した直後のサンプル瓶中の非水系毛髪用組成物の外観を目視で観察し、貯蔵前の外観からの変化の有無を評価した。
【0048】
各非水系毛髪用組成物の外観の変化の評価に際しては、比較例1の非水系毛髪用組成物の場合と対比し、各非水系毛髪用組成物の外観の変化の程度を下記の基準でランク付けを行った。
○○○ : 比較例1の非水系毛髪用組成物よりも、低温安定性が極めて優れている(低温貯蔵の前後での外観変化が殆どない)。
○○ : 比較例1の非水系毛髪用組成物よりも、低温安定性が非常に優れている(低温貯蔵の前後での外観変化が極僅かである)。
○ : 比較例1の非水系毛髪用組成物よりも、低温安定性が優れている(低温貯蔵の前後での外観変化が僅かである)。
同等 : 比較例1の非水系毛髪用組成物と比べて、低温安定性がほぼ同等である(低温貯蔵の前後での外観変化がほぼ同等である)。
× : 比較例1の非水系毛髪用組成物よりも、低温安定性が劣っている(低温貯蔵の前後での外観変化がかなり見られる)。
【0049】
上記の評価結果を表1に併記する。また、低温貯蔵前の実施例1~6および比較例1の非水系毛髪用組成物の外観を撮影した写真を図1に示し、低温貯蔵後の実施例1~6および比較例1の非水系毛髪用組成物の外観を撮影した写真を図2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
表1、図1および図2に示す通り、実施例1~6の非水系毛髪用組成物は、常温(低温貯蔵前)での透明性が高く、低温貯蔵後における貯蔵前からの外観の変化が、比較例1の組成物よりも小さく、低温安定性が優れていた。
【0052】
実施例7~10
表2に示す組成で実施例7~10の非水系毛髪用組成物を調製した。実施例7~10の非水系毛髪用組成物は、いずれも常温において、有色(黄色)透明の液状であった。また、これらの非水系毛髪用組成物は、いずれも25℃の粘度が、0.005~1Pa・sの範囲内であった。
【0053】
実施例2、7~10の非水系毛髪用組成物について、貯蔵日数を14日間とした以外は上記表1で示した実施例1の非水系毛髪用組成物などと同様にして低温貯蔵試験を行い(低温貯蔵日数14日間)、実施例2の非水系毛髪用組成物の結果と対比して、下記の基準に従って低温安定性を評価した。
○ : 実施例2の非水系毛髪用組成物よりも、低温安定性(低温貯蔵の前後での外観変化)が優れている。
同等 : 実施例2の非水系毛髪用組成物と比べて、低温安定性がほぼ同等である(低温貯蔵の前後での外観変化がほぼ同等である)。
× : 実施例2の非水系毛髪用組成物よりも、低温安定性が劣っている(低温貯蔵の前後での外観変化が見られる)。
【0054】
また、実施例2、実施例7~10の非水系毛髪用組成物について、下記の方法で、処理後の毛髪における毛先の厚み感を評価した。
【0055】
<毛先の厚み感の評価>
酸化型染毛剤による染毛処理を受けた毛髪5gからなる毛束(毛髪の長さ20cm)を複数用意し、シャンプーで洗浄し、水洗した後、ドライヤーで乾かした。実施例2、7~10の非水系毛髪用組成物:0.05gを、それぞれ、乾燥後の別の毛束に塗布し、馴染ませてから、毛先の厚み感を評価した。なお、「毛先の厚み感」とは、毛先部分に厚み(毛髪表面に何らかの物質がコーティングされたような手触り)を感じやすいことを意味している。
【0056】
評価は5名の評価者によって行い、それぞれの評価者が、実施例2の非水系毛髪用組成物で処理した毛束と対比して、毛先の厚み感が優れているか否かを判断した。
【0057】
上記の評価結果を表2に併記する。なお、表2には、実施例2の非水系毛髪用組成物の構成および評価結果も記載する。また、低温貯蔵前の実施例2、7~10の非水系毛髪用組成物の外観を撮影した写真を図3に示し、低温貯蔵後の実施例2、7~10の非水系毛髪用組成物の外観を撮影した写真を図4に示す。なお、表2において、実施例7~10の非水系毛髪用組成物で処理した毛髪における毛先の厚み感は、実施例2の非水系毛髪用組成物で処理した毛髪よりも優れていた場合を「○」で示している。
【0058】
【表2】
【0059】
表2、図3および図4に示す通り、実施例2、7~10の非水系毛髪用組成物は、常温(低温貯蔵前)での透明性が高く、低温貯蔵後における貯蔵前からの外観の変化が、実施例2と同等であり、低温安定性に優れていた。
【0060】
また、(C)成分を配合した実施例7~10の非水系毛髪用組成物で処理した毛髪は、実施例2の非水系毛髪用組成物で処理したものよりも毛先の厚み感が優れていると、5名の評価者全員が評価した。なお、実施例7~10の非水系毛髪用組成物で処理した毛髪について、毛先の厚み感を対比したところ、実施例7の非水系毛髪用組成物で処理したものが最も優れており、実施例10の非水系毛髪用組成物で処理したものが次に優れていると、5名の評価者全員が評価した。一方、実施例8および実施例9の非水系毛髪用組成物で処理した毛髪については、5名の評価者の評価が一致せず、実施例8の非水系毛髪用組成物で処理したものが3番目に優れているとした評価者と、実施例9の非水系毛髪用組成物で処理したものが3番目に優れているとした評価者とがいた。
【0061】
実施例11、12
表3に示す組成で実施例11、12の非水系毛髪用組成物を調製した。なお、表3に示すジメチコンの後の数値は、使用したジメチコンの粘度を意味している。
【0062】
実施例11の非水系毛髪用組成物は、常温において、有色(黄色)透明の液状であった。また、実施例12の非水系毛髪用組成物も、常温において、有色(黄色)透明の液状であったが、実施例1~11の非水系毛髪用組成物に比べると、透明性がやや劣っていた。更に、実施例11、12の非水系毛髪用組成物は、いずれも25℃の粘度が、0.005~1Pa・sの範囲内であった。
【0063】
実施例11、12の非水系毛髪用組成物について、上記表1で示した実施例1の非水系毛髪用組成物などと同様にして低温貯蔵試験を行い(低温安定貯蔵日数16日間)、比較例1の非水系毛髪用組成物の結果と対比して、上記の表1における低温安定性の評価に用いた基準に従って低温安定性を評価した。
【0064】
また、実施例2、11、12の非水系毛髪用組成物について、下記の方法で、処理後の毛髪における保湿感のある手触りを評価した。
【0065】
<保湿感のある手触りの評価>
酸化型染毛剤による染毛処理を受けた毛髪5gからなる毛束(毛髪の長さ20cm)を複数用意し、シャンプーで洗浄し、水洗した後、ドライヤーで乾かした。実施例2、11、12の非水系毛髪用組成物:0.05gを、それぞれ、乾燥後の別の毛束に塗布し、馴染ませてから、保湿感のある手触りを評価した。なお、「保湿感のある手触り」とは、毛髪表面が油分によってしっとりした手触りを感じやすいことを意味している。
【0066】
評価は5名の評価者によって行い、それぞれの評価者が、実施例2の非水系毛髪用組成物で処理した毛束と対比して、保湿感のある手触りが優れているか否かを判断した。
【0067】
上記の評価結果を表3に併記する。なお、表3には、実施例2の非水系毛髪用組成物の構成および評価結果も記載する。また、低温貯蔵前の実施例2、11、12の非水系毛髪用組成物の外観を撮影した写真を図5に示し、低温貯蔵後の実施例2、11、12の非水系毛髪用組成物の外観を撮影した写真を図6に示す。なお、表3において、実施例11、12の非水系毛髪用組成物で処理した毛髪における保湿感のある手触りは、実施例2の非水系毛髪用組成物で処理した毛髪よりも劣っていた場合を「×」で示している。
【0068】
【表3】
【0069】
表3、図5および図6に示す通り、実施例2、11、12の非水系毛髪用組成物は、常温(低温貯蔵前)での透明性が高く、低温貯蔵後における貯蔵前からの外観の変化が、比較例1の組成物よりも小さく、低温安定性が優れていた。
【0070】
また、(D)成分を配合した実施例11の非水系毛髪用組成物で処理した毛髪、および(E)成分を配合した実施例12の非水系毛髪用組成物で処理した毛髪は、実施例2の非水系毛髪用組成物で処理したものよりも保湿感のある手触りが劣っていると、5名の評価者全員が評価した。
【0071】
実施例13
表4に示す組成で実施例13の非水系毛髪用組成物を調製した。なお、表4に記載の「PEG-10水添ヒマシ油」はノニオン界面活性剤であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油であり、PEGはポリエチレングリコールの略で、その後の数値(10)は酸化エチレンの平均付加モル数である。
【0072】
実施例13の非水系毛髪用組成物は、常温において、有色(黄色)透明の液状であったが、実施例1~11の非水系毛髪用組成物に比べると、透明性がやや劣っていた。更に、実施例13の非水系毛髪用組成物は、25℃の粘度が、0.005~1Pa・sの範囲内であった。
【0073】
実施例13の非水系毛髪用組成物について、上記表1で示した実施例1の非水系毛髪用組成物などと同様にして低温貯蔵試験を行い(低温安定貯蔵日数:16日間)、比較例1の非水系毛髪用組成物の結果と対比して、上記表1における低温安定性の評価に用いた基準に従って低温安定性を評価した。
【0074】
また、実施例2、13の非水系毛髪用組成物について、下記の方法で、処理後の毛髪におけるベタツキを評価した。
【0075】
<ベタツキの評価>
酸化型染毛剤による染毛処理を受けた毛髪5gからなる毛束(毛髪の長さ20cm)を複数用意し、シャンプーで洗浄し、水洗した後、ドライヤーで乾かした。実施例2、13の非水系毛髪用組成物:0.05gを、それぞれ、乾燥後の別の毛束に塗布し、馴染ませてから、ベタツキを評価した。なお、「ベタツキ」とは、毛髪に触れたときにベタベタとした手触りを意味している。
【0076】
評価は5名の評価者によって行い、それぞれの評価者が、実施例2の非水系毛髪用組成物で処理した毛束と対比して、ベタツキを感じやすいか、または感じにくいかを判断した。
【0077】
上記の評価結果を表4に併記する。なお、表4には、実施例2の非水系毛髪用組成物の構成および評価結果も記載する。また、低温貯蔵前の実施例13の非水系毛髪用組成物の外観を撮影した写真を図5に示し、低温貯蔵後の実施例13の非水系毛髪用組成物の外観を撮影した写真を図6に示している。なお、表4において、実施例13の非水系毛髪用組成物で処理した毛髪におけるベタツキは、実施例2の非水系毛髪用組成物で処理した毛髪よりも感じやすい場合を「×」で示している。
【0078】
【表4】
【0079】
表4、図5および図6に示す通り、実施例2、13の非水系毛髪用組成物は、常温(低温貯蔵前)での透明性が高く、低温貯蔵後における貯蔵前からの外観の変化が、比較例1の組成物よりも小さく、低温安定性が優れていた。
【0080】
また、(F)成分を配合した実施例13の非水系毛髪用組成物で処理した毛髪は、実施例2の非水系毛髪用組成物で処理したものよりもベタツキを感じやすいと、5名の評価者全員が評価した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6