(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】光変色性玩具セット
(51)【国際特許分類】
A63H 33/22 20060101AFI20230301BHJP
【FI】
A63H33/22 K
(21)【出願番号】P 2017253138
(22)【出願日】2017-12-28
【審査請求日】2020-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】神戸 靖章
【審査官】神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-126280(JP,A)
【文献】特開2004-290663(JP,A)
【文献】特開2001-120853(JP,A)
【文献】特開2017-080974(JP,A)
【文献】特開2004-276552(JP,A)
【文献】特開2016-104110(JP,A)
【文献】特開2007-062215(JP,A)
【文献】特開平06-135144(JP,A)
【文献】特開2011-036310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
B41M 5/28-48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピロオキサジン誘導体、スピロピラン誘導体、ナフトピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物を含む光変色性表示体と、温度変化により有色から無色に可逆的に色変化する可逆熱変色性材料を含む熱変色性シートとからなり、
前記光変色性表示体と熱変色性シートが別体であり、前記熱変色性シートは前記光変色性表示体上に載置される光変色性玩具
と、
変色具と
からなり、前記変色具がペン形状である光変色性玩具セット。
【請求項2】
支持体上に、
スピロオキサジン誘導体、スピロピラン誘導体、ナフトピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック層を設けてなる光変色性表示体と、透明性支持体上に、温度変化により有色から無色に可逆的に色変化する可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設けた熱変色性シートとからなり、
前記光変色性表示体と熱変色性シートが別体であり、前記熱変色性シートは前記光変色性表示体上に載置される光変色性玩具
と、
変色具と
からなり、前記変色具がペン形状である光変色性玩具セット。
【請求項3】
前記支持体が着色されてなる請求項2記載の光変色性玩具
セット。
【請求項4】
前記熱変色性シートは、波長400nmにおける可逆熱変色性材料が有色状態の光透過率と、可逆熱変色性材料が無色状態の光透過率の差が0.05%以上である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光変色性玩具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光変色性玩具セットに関する。更に詳細には、光変色性表示体と、前記光変色性表示体に像を形成するためのシートと、変色具とからなる光変色性玩具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォトクロミック化合物を含むフォトクロミック層を設けた日光写真用感光性シートが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
前記日光写真用感光性シートに像を形成する際、露光部と非露光部を有するマスクを載置して太陽光を暴露することにより、露光部のフォトクロミック化合物が発色して所望の像が形成されるものであり、前記マスクとしては透明性基材に光を遮蔽するインキでネガ画像を形成したマスクや光遮蔽性基材に穴を空けたマスクが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記マスクは、透明性基材にネガ画像を形成したり、光遮蔽性基材に穴を空けているため、使用者はフォトクロミック層を備えた光変色性表示体に形成される像が決まっており、遊戯が単調になりがちで飽きのくることがあった。
本発明は、光変色性表示体に像を形成するためのシート(マスク)に繰り返し種々の像を形成して、前記シートを光変色性表示体上に載置して太陽光や紫外線を照射することにより形成される像が異なり、意外性、変化性を付加した光変色性玩具セットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、スピロオキサジン誘導体、スピロピラン誘導体、ナフトピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物を含む光変色性表示体と、温度変化により有色から無色に可逆的に色変化する可逆熱変色性材料を含む熱変色性シートとからなり、前記光変色性表示体と熱変色性シートが別体であり、前記熱変色性シートは前記光変色性表示体上に載置される光変色性玩具と、変色具とからなり、前記変色具がペン形状である光変色性玩具セットを要件とする。
また、支持体上に、スピロオキサジン誘導体、スピロピラン誘導体、ナフトピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック層を設けてなる光変色性表示体と、透明性支持体上に、温度変化により有色から無色に可逆的に色変化する可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設けた熱変色性シートとからなり、前記光変色性表示体と熱変色性シートが別体であり、前記熱変色性シートは前記光変色性表示体上に載置される光変色性玩具と、変色具とからなり、前記変色具がペン形状である光変色性玩具セットを要件とする。
更には、前記支持体が着色されてなること、前記熱変色性シートは、波長400nmにおける可逆熱変色性材料が有色状態の光透過率と、可逆熱変色性材料が無色状態の光透過率の差が0.05%以上であること等を要件とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、光変色性表示体に像を形成するための熱変色性シートに繰り返し種々の像を形成し、光変色性表示体上に載置して太陽光や紫外線を照射することにより形成される像が異なり、変化性を付加した長期間使用しても飽きることがなく、遊びのバリエーションを広げた光変色性玩具セットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の光変色性玩具の一実施例を示す説明図である。
【
図4】光変色性表示体に熱変色性シートを載置して光照射した状態を示す説明図である。
【
図5】光変色性表示体に光照射した後の状態を示す説明図である。
【
図6】加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
【
図7】色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
【
図8】加熱発色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
前記光変色性表示体に含まれるフォトクロミック化合物としては、特に限定されるものではないが、スピロオキサジン誘導体、スピロピラン誘導体、ナフトピラン誘導体の他、光メモリー性(色彩記憶性光変色性)を有するフルギド系化合物、ジアリールエテン系化合物等のフォトクロミック化合物を用いることもできる。
前記スピロオキサジン誘導体を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
インドリノスピロベンゾオキサジン系化合物としては、
1,3,3-トリメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′-クロロ-5-フルオロ-1,3,3-トリメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3-ジメチル-1-エチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5,7-ジフルオロ-1,3,3-トリメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5-シアノ-3,3-ジメチル-1-(メトキシカルボニル)メチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′-メチルジスピロ〔シクロヘキサン-1,3′-〔3H〕インドール-2′(1′H),3″-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′-メチル-5′-ニトロジスピロ〔シクロペンタン-1,3′-〔3H〕-インドール-2′(1′H),3″-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,5′-テトラメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′-フルオロ-1′-メチルジスピロ〔シクロヘキサン-1,3′-〔3H〕インドール-2′(1′H),3″-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1-ベンジル-6′-クロロ-3,3-ジメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′-メトキシ-1,3,3-トリメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5-クロロ-1,3,3-トリメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5-ブロモ-1,3,3-トリメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5-ヨード-1,3,3-トリメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5-トリフルオロメチル-1,3,3-トリメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3-ジエチル-1-メチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,6′-テトラメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6-クロロ-1,3,3-トリメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5′-フルオロ-1′-メチルジスピロ〔シクロヘキサン-1,3′-〔3H〕インドール-2′(1′H),3″-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5-シアノ-1,3,3-トリメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5-エトキシカルボニル-1,3,3-トリメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4′,6′-ジフルオロ-1′-メチルジスピロ〔シクロヘキサン-1,3′-〔3H〕インドール-2′(1′H),3″-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3-ジメチル-1-(メトキシカルボニル)メチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3-ジメチル-1-フェニルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5-メトキシ-1,3,3-トリメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,5-テトラメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7′-クロロ-1,3,3-トリメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,7′-テトラメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7′-メトキシ-1,3,3-トリメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔4,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3-トリメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔2,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′-クロロ-5-フルオロ-1,3,3-トリメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔2,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5-クロロ-1,3-ジメチル-3-エチル-5′-メトキシスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔2,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3-ジエチル-1-メチル-5-ニトロスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔2,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′,6′-ジメチルスピロ〔シクロヘキサン-1,3′-〔3H〕インドール-2′(1′H),3″-〔3H〕ピリド〔2,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
9″-ブロモ-1′-メトキシカルボニルメチル-5′-トリフルオロメチルジスピロ〔シクロペンタン-1,3′-〔3H〕-インドール-2′〔1′H〕,3″-〔3H〕ピリド〔2,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1-ベンジル-3,3-ジ-nブチル-7′-エチル-5-メトキシスピロ〔2H-インドール-1,3′-〔3H〕ピリド〔2,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′-n-ブチル-6′-ヨードジスピロ〔シクロヘプタン-1,3′-〔3H〕-インドール-2′(1′H),3″-〔3H〕ピリド〔2,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3-ジメチル-9′-ヨード-1-ナフチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔2,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4′-シアノ-1′-(2-(メトキシカルボニル)エチル)ジスピロ〔シクロヘキサン-1,3′-〔3H〕インドール-2′(1′H),3″-〔3H〕ピリド〔2,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7-メトキシカルボニル-1,3,3-トリメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔2,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4-ブロモ-3,3-ジエチル-9′-エトキシ-1-(2-フェニル)エチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔2,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′-メチルジスピロ〔シクロヘキサン-1,3′-〔3H〕-インドール-2′(1′H),3″-〔3H〕ピリド〔2,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6-フルオロ-1,3,3-トリメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔2,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5-エチル-9-フルオロ-1,3,3-トリメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔2,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′-ベンジル-6″-ヨードジスピロ〔シクロペンタン-1,3′-〔3H〕-インドール-2′(1′H),3″-〔3H〕ピリド〔2,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5-エトキシ-1,3,3-トリメチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔2,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′-メチル-5′-トリクロロメチルジスピロ〔シクロヘキサン-1,3′-〔3H〕-インドール-2′(1′H),3″-〔3H〕ピリド〔2,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3-ジエチル-3-メチルスピロ〔2H-インドール-2,3′-〔3H〕ピリド〔2,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′-メトキシカルボニルメチルジスピロ〔シクロヘキサン-1,3′-〔3H〕-インドール-2′(1′H)-〔3H〕ピリド〔2,3-f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕等、インドリノスピロベンゾオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
【0009】
インドリノスピロナフトオキサジン系化合物としては、
1,3,3-トリメチル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3-トリメチル-5-クロロ-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3-トリメチル-5-ブロモ-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5-テトラメチル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3-トリメチル-5-n-プロピル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3-トリメチル-5-iso-ブチル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3-トリメチル-5-メトキシ-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3-トリメチル-5-n-プロポキシ-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3-トリメチル-5-シアノ-スピロインドリンナフトオキサジン、
1-n-プロピル-3,3-ジメチル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1-iso-ブチル-3,3-ジメチル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1-n-オクチル-3,3-ジメチル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1-n-オクタデシル-3,3-ジメチル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3-トリメチル-8′-スルホン酸ナトリウム-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3-トリメチル-9′-メトキシスピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3-トリメチル-8′-シアノ-スピロベンゾインドリンナフトオキサジン、
1,3,3-トリメチル-5-トリフルオロ-スピロインドリンナフトオキサジン、
1-(4′-メチルフェニル)-3,3-ジメチル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3-トリメチル-6′-(2,3-ジヒドロ-1-インドリノ)-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3-トリメチル-6′-(1-ピペリジニル)-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3-トリメチル-6′-(1-モルフォリノ)-スピロインドリンナフトオキサジン、
1-エチル-3,3-ジメチル-6-トリフルオロメチル-6′-(1-モルフォリノ)-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3-トリメチル-6-トリフルオロメチル-6′-(1-ピペリジニル)-スピロインドリンナフトオキサジン、
1-ベンジル-3,3-ジメチル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1-(4-メトキシベンジル)-3,3-ジメチル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1-(4-クロロベンジル)-3,3-ジメチル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1-エチル-3,3-ジメチル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1-イソプロピル-3,3-ジメチル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1-(2-フェノキシエチル)-3,3-ジメチル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3-ジメチル-3-エチル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3-トリメチル-9′-ヒドロキシ-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3-ジメチル-3-エチル-8′-ヒドロキシ-スピロインドリンナフトオキサジン、1,3,3,5-テトラメチル-9′-メトキシ-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5,6-ペンタメチル-9′-メトキシ-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3-トリメチル-4-トリフルオロメチル-5′-メトキシ-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3-トリメチル-5′-メトキシ-6′-トリフルオロメチル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3-トリメチル-4-トリフルオロメチル-9′-メトキシ-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,5,6-テトラメチル-3-エチル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5,6-ペンタメチル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1-メチル-3,3-ジフェニル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1-(4-メトキシベンジル)-3,3-ジメチル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1-(3,5-ジメチルベンジル)-3,3-ジメチル-スピロインドリンナフトオキサジン、
1-(2-フルオロベンジル)-3,3-ジメチル-スピロインドリンナフトオキサジン等、インドリノスピロナフトオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
【0010】
インドリノスピロフェナントロオキサジン系化合物の例としては、1,3,3-トリメチル-スピロインドリンフェナントロオキサジン、1,3,3-トリメチル-5-クロロ-スピロインドリンフェナントロオキサジン等、インドリノスピロフェナントロオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
【0011】
インドリノスピロキノリノオキサジン系化合物としては、1,3,3-トリメチル-スピロインドリンキノリノオキサジン等、インドリノスピロキノリノオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
【0012】
前記スピロピラン誘導体を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1,3,3-トリメチルインドリノベンゾピリロスピラン、1,3,3-トリメチルインドリノ-6′-ブロモベンゾピリロスピラン、1,3,3-トリメチルインドリノ-8′-メトキシベンゾピリロスピラン、1,3,3-トリメチルインドリノ-β-ナフトピリロスピラン、1,3,3-トリメチルインドリノ-6′-ニトロベンゾピリロスピラン等を例示することができる。
【0013】
前記ナフトピラン誘導体を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
3,3,9,9-テトラフェニル-3H,9H-ナフト[2,1-b:6,5-b′]-ジピラン、
3,3,10,10-テトラフェニル-3H,10H-ナフト[2,1-b:7,8-b′]ジピラン、
3,3,9,9-テトラフェニル-3H,10H-ナフト[4,3-b:8,7-b]-ジピラン、
3,3-ジフェニル-9-メトキシ-3H-ナフト[4,3-b]ピラン、
3,3-ジフェニル-10-メチル-3H-ナフト[2,1-b:5,6-b]ジピラン-8-オン、
3,3,9,9-テトラ(4′-メトキシ-フェニル)-3H,9H-ナフト[2,1-b:6,5-b′]-ジピラン、
3,3-ジフェニル-8-(2-(4-ジメチルアミノ)フェニル)エテン-3H-ナフト[4,3-b]ピラン、
3,3-ジフェニル-5-アセトキシ-3H-ナフト[4,3-b]ピラン、
3,3-ジフェニル-8-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)カルボニル-3H-ナフト[4,3-b]ピランを例示できる。
【0014】
また、前記フォトクロミック化合物と、スチレン系オリゴマーとからなるフォトクロミック材料を用いることにより、耐光性の向上と共に、発色濃度の向上、更には耐水性も付与することもできる。
前記スチレン系オリゴマーは重量平均分子量が200乃至6000、好ましくは200乃至4000のものが用いられる。
スチレン系オリゴマーの重量平均分子量が200未満の場合、含有モノマーが多くなり、安定性に欠けるため耐光性向上効果を発現し難くなる。
また、重量平均分子量が6000を越えると、光照射により色残りが発生し、且つ、発色濃度が低くなり、変色感度は鈍くなる。
なお、重量平均分子量は、GPC法(ゲル浸透クロマトグラフ法)により測定する。
前記スチレン系オリゴマーとしては、低分子量ポリスチレン、スチレン-α-メチルスチレン系共重合体、α-メチルスチレン重合体、α-メチルスチレンとビニルトルエンの共重合体、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、d-リモネン重合体等が挙げられる。低分子量ポリスチレンとしては、三洋化成工業(株)製、商品名:ハイマーSB-75(重量平均分子量2000)、ハイマーST-95(重量平均分子量4000)等が用いられる。
スチレン-α-メチルスチレン系共重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコラスチックA5(重量平均分子量317)、ピコラスチックA75(重量平均分子量917)等が用いられる。
α-メチルスチレン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:クリスタレックス3085(重量平均分子量664)、クリスタレックス3100(重量平均分子量1020)、クリスタレックス1120(重量平均分子量2420)等が用いられる。
α-メチルスチレンとビニルトルエンの共重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコテックスLC(重量平均分子量950)、ピコテックス100(重量平均分子量1740)等が用いられる。
α-ピネン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコライトA115(重量平均分子量833)が用いられる。
β-ピネン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコライトS115(重量平均分子量1710)が用いられる。
d-リモネン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコライトC115(重量平均分子量902)が用いられる。
前記ポリスチレン系オリゴマーは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いることもできる。
【0015】
また、前記フォトクロミック化合物と、重量平均分子量が12000以下のアクリル系オリゴマーとからなるフォトクロミック材料を用いて、鋭敏な消色感度を示すように構成することもできる。
前記フォトクロミック化合物は、重量平均分子量が12000以下のアクリル系オリゴマー中に溶解して実用に供され、発色感度は鋭敏であると共に、消色感度を鋭敏化させる変色機能の調節が可能である。
【0016】
前記重量平均分子量が12000以下のアクリル系オリゴマーとしては、アクリル酸エステル共重合体が好適に用いられ、東亜合成(株)製、商品名:ARUFON UP-1170(重量平均分子量8000、ガラス転移点-51℃)、同UP-1080(重量平均分子量6000、ガラス転移点-61℃)、同UP-1000(重量平均分子量3000、ガラス転移点-77℃)、同UP-1020(重量平均分子量2000、ガラス転移点-80℃)、同UP-1010(重量平均分子量1700、ガラス転移点-31℃)、同UH-2000(重量平均分子量11000、ガラス転移点-55℃)、同US-6100(重量平均分子量2500、ガラス転移点-58℃)、同UC-3510(重量平均分子量2000、ガラス転移点-50℃)等が挙げられる。
【0017】
前記アクリル系オリゴマーは重量平均分子量が12000以下、好ましくは1000乃至8000、より好ましくは1500乃至6000のオリゴマーが用いられる。
アクリル系オリゴマーの重量平均分子量が12000を越えると、消色感度の調整が困難になるため、上記の範囲内であることが望ましい。
また、重量平均分子量が1000未満の場合、含有モノマーが多くなり、安定性に欠けるため発色濃度が低くなると共に耐光性を損ない易くなる
前記アクリル系オリゴマーは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いることもできる。
なお、重量平均分子量は、GPC法(ゲル浸透クロマトグラフ法)により測定する。
更に、前記アクリル系オリゴマーは、ガラス転移点(Tg)が-30℃以下、好ましくは-50℃以下であることにより、良好な消色感度を示す。
ガラス転移点(Tg)が-30℃を超えると、発色感度が鈍くなる傾向にあり、実用性を損ない易くなる。
なお、ガラス転移点は、メトラー・トレド社製、FP900サーモシステム(FP90及びFP85HT)を用いて、昇温速度を10K/分で測定して得られた中間点とする。
【0018】
前記フォトクロミック化合物とアクリル系オリゴマーの重量比は、1:1~1:10000であることが好ましく、より好ましくは1:5~1:500、更に好ましくは1:10~1:100である。
前記重量比を満たすことによって、フォトクロミック化合物は発消色機能を満たすと共に、十分な発色濃度を示し易くなる。
フォトクロミック化合物1に対してアクリル系オリゴマーの重量比が1未満ではフォトクロミック化合物がアクリルオリゴマーに溶解し難く、所望の機能を発現し難くなる。一方、フォトクロミック化合物1に対してアクリル系オリゴマーの重量比が10000を超えると、発色濃度に乏しくなる。
【0019】
また、フォトクロミック化合物と、複数のガラス転移点が異なるオリゴマー、又は、ガラス転移点が異なるオリゴマー及びポリマーとからなり、一方のオリゴマーのガラス転移点が-30℃以下であり、他方のオリゴマーまたはポリマーのガラス転移点が40℃以上であるフォトクロミック材料を含み、鈍感な消色感度を示すように構成することもできる。
前記フォトクロミック化合物は、複数のガラス転移点が異なるオリゴマー、または、ガラス転移点が異なるオリゴマー及びポリマー中に溶解して実用に供される。
前記フォトクロミック化合物を溶解する媒体として一方のオリゴマーのガラス転移点が-30℃以下であり、他方のオリゴマーまたはポリマーのガラス転移点が40℃以上であることにより、発色感度を鋭敏化させると共に、消色感度を鈍化させる変色機能の調節が可能である。
【0020】
前記オリゴマーとしては、スチレン系オリゴマー、アクリル系オリゴマーが挙げられる。
前記スチレン系オリゴマーとしては、前記と同様のスチレン系オリゴマーが用いられる。
前記ポリマーとしては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、エステル系樹脂が挙げられる。
前記スチレン系樹脂としては、スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ジメチルスチレン、t-ブチルスチレン等のスチレン誘導体の単独重合体又はそれらの組み合わせからなる共重合体、及びスチレン誘導体とジビニルベンゼン、メチルメタクリレートアクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン等との共重合体等が挙げられる。
前記アクリル系樹脂としては、アクリル系単量体、例えば(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択された少なくとも1種のモノマーを構成単量体として含むホモポリマーまたは共重合体が挙げられる。
【0021】
前記ガラス転移点が-30℃以下のオリゴマーを以下に例示する。
前記ガラス転移点が-30℃以下のオリゴマーとしては、イーストマンコダック社製、商品名:ピコラスティックA5(ガラス転移点-42℃、スチレン-α-メチルスチレン系共重合体、重量平均分子量317)、東亜合成(株)製、商品名:ARUFON UP-1010(ガラス転移点-31℃、アクリル系オリゴマー、重量平均分子量1700)、商品名:ARUFON UP-1170(ガラス転移点-51℃、アクリル酸エステル共重合体、重量平均分子量8000)、同UP-2000(ガラス転移点-55℃、アクリル酸エステル共重合体、重量平均分子量11000)、同UP-1080(ガラス転移点-61℃、アクリル酸エステル共重合体、重量平均分子量6000)、同UP-1000(ガラス転移点-77℃、アクリル酸エステル共重合体、重量平均分子量3000)等が挙げられる。
前記オリゴマーは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いることもできる。
更に、前記オリゴマーは、ガラス転移点(Tg)が好ましくは-40℃以下、より好ましくは-50℃以下であることにより、良好な消色感度を示す。
ガラス転移点(Tg)が-30℃を超えると、発色感度が鈍くなる傾向にあり、実用性を損ない易くなる。
【0022】
前記ガラス転移点が40℃以上のオリゴマーまたはポリマーを以下に例示する。
前記ガラス転移点が40℃以上のオリゴマーとしては、東亜合成(株)製、商品名:ARUFON UP-1150(ガラス転移点68℃、アクリル系オリゴマー、重量平均分子量67000)、三洋化成工業(株)製、商品名:ハイマーST-95(ガラス転移点42℃、低分子量ポリスチレン、重量平均分子量4000)、イーストマンコダック社製、商品名:ピコテックスLC(ガラス転移点40℃、α-メチルスチレンとビニルトルエンの共重合体、重量平均分子量950)、商品名:クリスタレックス5140(ガラス転移点85℃、α-メチルスチレン重合体、重量平均分子量3950)等が挙げられる。
前記ガラス転移点が40℃以上のポリマーとしては、三洋化成工業(株)製、商品名:ハイマーSB-150(ガラス転移点62℃、ポリスチレン樹脂、重量平均分子量67000)、イーストマンコダック社製、商品名:ピコラスティックD125(ガラス転移点53℃、スチレン系樹脂、重量平均分子量53200)、日本合成化学工業(株)製、商品名:ポリエスターTP217(ガラス転移点40℃、飽和ポリエステル樹脂、重量平均分子量16000)等が挙げられる。
前記ガラス転移点が40℃以下のオリゴマー又はポリマーは単独で用いてもよいし、二種類以上を併用して用いることもできる。
更に、前記オリゴマー又はポリマーは、ガラス転移点(Tg)が好ましくは50以上であることにより、良好な消色感度を示す。
なお、前記重量平均分子量は、GPC法(ゲル浸透クロマトグラフ法)により測定する。
前記オリゴマーとポリマーの組み合わせとしては、重量平均分子量が5000以下のスチレン系オリゴマー又は重量平均分子量が12000以下のアクリル系オリゴマーと、重量平均分子量が10000~100000のポリマーの組み合わせが挙げられる。
【0023】
前記フォトクロミック化合物と、複数のガラス転移点が異なるオリゴマー、または、ガラス転移点が異なるオリゴマー及びポリマーとの重量比率は、1:1~1:10000の範囲、好ましくは1:5~1:500の範囲、より好ましくは1:10~1:100の範囲にある。
前記重量比を満たすことによって、フォトクロミック化合物は十分な発色濃度を示し易くなる。
【0024】
前記ガラス転移点が-30℃以下のオリゴマーと、ガラス転移点が40℃以上のオリゴマーまたはポリマーとの重量比率は、1:1~1:9の範囲、好ましくは、1:2~1:7の範囲、より好ましくは1:3~1:5の範囲にある。
前記重量比を満たすことによって、発色感度を鋭敏化させつつ、いっそう消色感度を鈍化させることができる。
【0025】
前記フォトクロミック化合物やフォトクロミック材料は、マイクロカプセルに内包させたフォトクロミックマイクロカプセル顔料を用いたり、フォトクロミック化合物を熱可塑性又は熱硬化性樹脂中に分散したフォトクロミック樹脂粒子を用いることもできる。
マイクロカプセル化は、公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン-ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。
更に、マイクロカプセル顔料表面には、目的に応じて二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
【0026】
前記フォトクロミック化合物或いはフォトクロミック材料は、ビヒクル中に混合して、塗料や印刷インキ等の液状組成物を調製し、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等の手段により支持体として紙、合成紙、ガラス、プラスチック、金属、木材、石材、皮革等にフォトクロミック層を形成して光変色性表示体を作製したり、前記塗料を用いて支持体として各種成形物表面にフォトクロミック層を形成して光変色性表示体を作製する。
なお、前記支持体が着色され、支持体上に設けられるフォトクロミック層中のフォトクロミック化合物の色と前記支持体の色が異なる場合、光変色性表示体に光照射する前の色と、光照射後に視認される色が異なるため、カラフルな表示体を得ることができる。
前記着色された支持体は、支持体中に着色剤を含有させたり、支持体上に着色剤を含む着色層を設けることにより得られる。
更に、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂中にフォトクロミック化合物或いはフォトクロミック材料をブレンドして成形した成形体を光変色性表示体として用いるもできる。
前記成形体を作製する際、予めフォトクロミック材料を含む樹脂ペレットを用いることもできる。
なお、フォトクミック層中に一般の染料及び顔料を適宜添加することにより、有色(1)から有色(2)の色変化を呈することもできる。
また、前記光変色性表示体に非変色性着色像を設けることにより、光照射する前の表示体の装飾性を付与することができると共に、光照射した後に非変色性着色像と、フォトクロミック化合物による像が視認されるため、意外性を付与することができる。
前記非変色性着色像と、フォトクロミック化合物による像は、併設する構成であってもよいし、部分的に重なり合う構成であってもよい。
【0027】
前記光変色性表示体上に載置して太陽光や紫外線を照射することにより、前記光変色性表示体に像を形成するための熱変色性シートは、温度変化により有色から無色に可逆的に色変化する可逆熱変色性材料を含んでなる。
前記可逆熱変色性材料としては、Ag
2HgI
4やCu
2HgI
4等の無機材料、液晶、或いは、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体との三成分を含む可逆熱変色性組成物、前記可逆熱変色性組成物を可塑性樹脂や熱硬化性樹脂中に分散した樹脂粒子、前記可逆熱変色性物をマイクロカプセルに内包したマイクロカプセル顔料が挙げられる。
前記可逆熱変色性組成物としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を少なくとも含む加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物が挙げられる。
前記可逆熱変色性組成物は、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅(ΔH)が比較的小さい特性を有する(
図6参照)。
また、大きなヒステリシス特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t
1)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(t
4)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t
2~t
3の間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物も適用できる(
図7参照)。
【0028】
以下に各(イ)、(ロ)、(ハ)成分について具体的に説明する。
(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物は、色を決める成分であって、顕色剤である(ロ)成分に電子を供与し、発色する化合物である。
前記電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、ビスキナゾリン化合物等が挙げられ、これらのうちフタリド化合物およびフルオラン化合物が好ましい。
前記フタリド化合物としては、例えばジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、およびそれらの誘導体などが挙げられ、これらの中でも、フェニルインドリルアザフタリド化合物、ならびにそれらの誘導体が好ましい。
また、フルオラン化合物としては、例えば、アミノフルオラン化合物、アルコキシフルオラン化合物、およびそれらの誘導体が挙げられる。
以下にこれらの化合物を例示する。
3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアミノ)-6-ジブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジペンチルアミノフルオラン、
2-(ジベンジルアミノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(N-メチルアニリノ)-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-ジエチルアミノフルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)フルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジエチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジ-n-ブチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(N-エチル-N-i-アミルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジブチルアミノ)-8-(ジペンチルアミノ)-4-メチル、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジメチルアミノ)-2-メトキシフェニル〕-3-(1-ブチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-ペンチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-[4-(ジエチルアミノ)-2-メチルフェニル]-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3′,6′-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2′-エチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2′,4′-ジエチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2-(4′-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシ-キナゾリン、
4,4′-(エチレンジオキシ)-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
等を挙げることができる。
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する前記化合物の他、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共にラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、クロロ基等のハロゲン原子)を有する青色や黒色を呈する化合物であってもよい。
【0029】
前記(ロ)成分の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール-アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o-クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n-オクチルフェノール、n-ドデシルフェノール、n-ステアリルフェノール、p-クロロフェノール、p-ブロモフェノール、o-フェニルフェノール、p-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル、p-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、4-ヒドロキシフェニル-4-イソプロポキシフェニルスルホン、4-ベンジルオキシフェニル-4-ヒドロキシフェニルスルホン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘプタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,3-ジメチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,7-ジメチルオクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-へプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、4-t-ブチル-2´,4´-ジヒドロキシベンゾフェノン等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2~5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3-トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
【0030】
前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。
前記(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられる。
前記化合物を用いてマイクロカプセル化及び二次加工に応用する場合は、低分子量のものは高熱処理を施すとカプセル外に蒸散するので、安定的にカプセル内に保持させるために炭素数10以上の化合物が好適に用いられる。
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、具体的にはデシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等が挙げられる。
【0031】
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられ、具体的にはカプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸n-デシル、ミリスチン酸3-メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n-ブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、p-tert-ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ-(n-ノニル)、1,18-オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5-ペンタンジオールジステアレート、1,2,6-ヘキサントリオールトリミリステート、1,4-シクロヘキサンジオールジデシル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等が挙げられる。
【0032】
又、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールのエステル、不飽和脂肪酸又は分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールのエステル、酪酸セチル、酪酸ステアリル及び酪酸ベヘニルから選ばれるエステル化合物も有効である。
具体的には、酪酸2-エチルヘキシル、ベヘン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-エチルヘキシル、カプリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、カプロン酸2-メチルブチル、カプリル酸2-メチルブチル、カプリン酸2-メチルブチル、パルミチン酸1-エチルプロピル、ステアリン酸1-エチルプロピル、ベヘン酸1-エチルプロピル、ラウリン酸1-エチルヘキシル、ミリスチン酸1-エチルヘキシル、パルミチン酸1-エチルヘキシル、カプロン酸2-メチルペンチル、カプリル酸2-メチルペンチル、カプリン酸2-メチルペンチル、ラウリン酸2-メチルペンチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸2-メチルブチル、ベヘン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸1-メチルヘプチル、カプロン酸1-エチルペンチル、パルミチン酸1-エチルペンチル、ステアリン酸1-メチルプロピル、ステアリン酸1-メチルオクチル、ステアリン酸1-メチルヘキシル、ラウリン酸1,1-ジメチルプロピル、カプリン酸1-メチルペンチル、パルミチン酸2-メチルヘキシル、ステアリン酸2-メチルヘキシル、ベヘン酸2-メチルヘキシル、ラウリン酸3,7-ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7-ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7-ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7-ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7-ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7-ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12-ヒドロキシステアリン酸2-メチルペンチル、18-ブロモステアリン酸2-エチルヘキシル、2-ケトミリスチン酸イソステアリル、2-フルオロミリスチン酸2-エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等が挙げられる。
【0033】
更に、色濃度-温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して変色し、温度変化に依存して色彩記憶性を与えるためには、特公平4-17154号公報に記載された5℃以上50℃未満のΔT値(融点-曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が挙げられる。
【0034】
炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n-ペンチルアルコール又はn-ヘプチルアルコールと炭素数10乃至16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17乃至23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
具体的には、酢酸n-ペンタデシル、酪酸n-トリデシル、酪酸n-ペンタデシル、カプロン酸n-ウンデシル、カプロン酸n-トリデシル、カプロン酸n-ペンタデシル、カプリル酸n-ノニル、カプリル酸n-ウンデシル、カプリル酸n-トリデシル、カプリル酸n-ペンタデシル、カプリン酸n-ヘプチル、カプリン酸n-ノニル、カプリン酸n-ウンデシル、カプリン酸n-トリデシル、カプリン酸n-ペンタデシル、ラウリン酸n-ペンチル、ラウリン酸n-ヘプチル、ラウリン酸n-ノニル、ラウリン酸n-ウンデシル、ラウリン酸n-トリデシル、ラウリン酸n-ペンタデシル、ミリスチン酸n-ペンチル、ミリスチン酸n-ヘプチル、ミリスチン酸n-ノニル、ミリスチン酸n-ウンデシル、ミリスチン酸n-トリデシル、ミリスチン酸n-ペンタデシル、パルミチン酸n-ペンチル、パルミチン酸n-ヘプチル、パルミチン酸n-ノニル、パルミチン酸n-ウンデシル、パルミチン酸n-トリデシル、パルミチン酸n-ペンタデシル、ステアリン酸n-ノニル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸n-トリデシル、ステアリン酸n-ペンタデシル、エイコサン酸n-ノニル、エイコサン酸n-ウンデルシ、エイコサン酸n-トリデシル、エイコサン酸n-ペンタデシル、ベヘニン酸n-ノニル、ベヘニン酸n-ウンデシル、ベヘニン酸n-トリデシル、ベヘニン酸n-ペンタデシル等が挙げられる。
【0035】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、2-デカノン、3-デカノン、4-デカノン、2-ウンデカノン、3-ウンデカノン、4-ウンデカノン、5-ウンデカノン、2-ドデカノン、3-ドデカノン、4-ドデカノン、5-ドデカノン、2-トリデカノン、3-トリデカノン、2-テトラデカノン、2-ペンタデカノン、8-ペンタデカノン、2-ヘキサデカノン、3-ヘキサデカノン、9-ヘプタデカノン、2-ペンタデカノン、2-オクタデカノン、2-ノナデカノン、10-ノナデカノン、2-エイコサノン、11-エイコサノン、2-ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等が挙げられる。
更には、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n-オクタデカノフェノン、n-ヘプタデカノフェノン、n-ヘキサデカノフェノン、n-ペンタデカノフェノン、n-テトラデカノフェノン、4-n-ドデカアセトフェノン、n-トリデカノフェノン、4-n-ウンデカノアセトフェノン、n-ラウロフェノン、4-n-デカノアセトフェノン、n-ウンデカノフェノン、4-n-ノニルアセトフェノン、n-デカノフェノン、4-n-オクチルアセトフェノン、n-ノナノフェノン、4-n-ヘプチルアセトフェノン、n-オクタノフェノン、4-n-ヘキシルアセトフェノン、4-n-シクロヘキシルアセトフェノン、4-tert-ブチルプロピオフェノン、n-ヘプタフェノン、4-n-ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル-n-ブチルケトン、4-n-ブチルアセトフェノン、n-ヘキサノフェノン、4-イソブチルアセトフェノン、1-アセトナフトン、2-アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等が挙げられる。
【0036】
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0037】
酸アミド類としては、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N-メチルアミド、カプリル酸N-メチルアミド、カプリン酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-メチルアミド、ミリスチン酸N-メチルアミド、パルミチン酸N-メチルアミド、ステアリン酸N-メチルアミド、ベヘニン酸N-メチルアミド、オレイン酸N-メチルアミド、エルカ酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-エチルアミド、ミリスチン酸N-エチルアミド、パルミチン酸N-エチルアミド、ステアリン酸N-エチルアミド、オレイン酸N-エチルアミド、ラウリン酸N-ブチルアミド、ミリスチン酸N-ブチルアミド、パルミチン酸N-ブチルアミド、ステアリン酸N-ブチルアミド、オレイン酸N-ブチルアミド、ラウリン酸N-オクチルアミド、ミリスチン酸N-オクチルアミド、パルミチン酸N-オクチルアミド、ステアリン酸N-オクチルアミド、オレイン酸N-オクチルアミド、ラウリン酸N-ドデシルアミド、ミリスチン酸N-ドデシルアミド、パルミチン酸N-ドデシルアミド、ステアリン酸N-ドデシルアミド、オレイン酸N-ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N-メチルアミド、アジピン酸N-メチルアミド、グルタル酸N-メチルアミド、マロン酸N-メチルアミド、アゼライン酸N-メチルアミド、コハク酸N-エチルアミド、アジピン酸N-エチルアミド、グルタル酸N-エチルアミド、マロン酸N-エチルアミド、アゼライン酸N-エチルアミド、コハク酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-ブチルアミド、グルタル酸N-ブチルアミド、マロン酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-オクチルアミド、アジピン酸N-ドデシルアミド等が挙げられる。
【0038】
また、前記(ハ)成分として、下記一般式(1)で示される化合物を用いることもできる。
【化1】
〔式中、R
1は水素原子又はメチル基を示し、mは0~2の整数を示し、X
1、X
2のいずれか一方は-(CH
2)
nOCOR
2又は-(CH
2)
nCOOR
2、他方は水素原子を示し、nは0~2の整数を示し、R
2は炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y
1及びY
2は水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、又は、ハロゲンを示し、r及びpは1~3の整数を示す。〕
前記式(1)で示される化合物のうち、R
1が水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にR
1が水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。
なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(2)で示される化合物が用いられる。
【化2】
式中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10~24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12~22のアルキル基である。
前記化合物として具体的には、オクタン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
【0039】
更に、前記(ハ)成分として、下記一般式(3)で示される化合物を用いることもできる。
【化3】
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ1~3の整数を示し、X及びYはそれぞれ水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲンを示す。)
前記化合物として具体的には、オクタン酸1,1-ジフェニルメチル、ノナン酸1,1-ジフェニルメチル、デカン酸1,1-ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1-ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1-ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1-ジフェニルメチルを例示できる。
【0040】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(4)で示される化合物を用いることもできる。
【化4】
(式中、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1乃至20の整数を示す。)
前記化合物としては、マロン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(2,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-〔4-(2-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステルを例示できる。
【0041】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(5)で示される化合物を用いることもできる。
【化5】
(式中、Rは炭素数1乃至21のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは1乃至3の整数を示す。)
前記化合物としては、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
【0042】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(6)で示される化合物を用いることもできる。
【化6】
(式中、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1乃至20の整数を示す。)
前記化合物としては、こはく酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステルを例示できる。
【0043】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(7)で示される化合物を用いることもできる。
【化7】
(式中、Rは炭素数4乃至22のアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基、炭素数4乃至22のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す。)
前記化合物としては、4-フェニル安息香酸デシル、4-フェニル安息香酸ラウリル、4-フェニル安息香酸ミリスチル、4-フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4-ビフェニル酢酸オクチル、4-ビフェニル酢酸ノニル、4-ビフェニル酢酸デシル、4-ビフェニル酢酸ラウリル、4-ビフェニル酢酸ミリスチル、4-ビフェニル酢酸トリデシル、4-ビフェニル酢酸ペンタデシル、4-ビフェニル酢酸セチル、4-ビフェニル酢酸シクロペンチル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4-ビフェニル酢酸ヘキシル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチルを例示できる。
【0044】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(8)で示される化合物を用いることもできる。
【化8】
(式中、Rは炭素数3乃至18のアルキル基、炭素数3乃至18の脂肪族アシル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1乃至3のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、メチル基のいずれかを示し、Zは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
前記化合物としては、4-ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテルを例示できる。
【0045】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(9)で示される化合物を用いることもできる。
【化9】
(式中、Rは炭素数4乃至22のアルキル基、炭素数4乃至22のアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す。)
前記化合物としては、p-ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸ヘプチルのp-メトキシ安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸ドデシルのo-メトキシ安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステルを例示できる。
【0046】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(10)で示される化合物を用いることもできる。
【化10】
(式中、(式中、Rは炭素数3乃至18のアルキル基、炭素数6乃至11のシクロアルキルアルキル基、炭素数5乃至7のシクロアルキル基、炭素数3乃至18のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至3のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
前記化合物としては、p-ヒドロキシ安息香酸ノニルのフェノキシエチルエーテル、p-ヒドロキシ安息香酸デシルのフェノキシエチルエーテル、p-ヒドロキシ安息香酸ウンデシルのフェノキシエチルエーテル、バニリン酸ドデシルのフェノキシエチルエーテルを例示できる。
【0047】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(11)で示される化合物を用いることもできる。
【化11】
(式中、Rは炭素数3乃至8のシクロアルキル基又は炭素数4乃至9のシクロアルキルアルキル基を示し、nは1乃至3の整数を示す。)
前記化合物としては、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステルを例示できる。
【0048】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(12)で示される化合物を用いることもできる。
【化12】
(式中、Rは炭素数3乃至17のアルキル基、炭素数3乃至8のシクロアルキル基、炭素数5乃至8のシクロアルキルアルキル基を示し、Xは水素原子、炭素数1乃至5のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子を示し、nは1乃至3の整数を示す。)
前記化合物としては、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールジエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとノナン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとデカン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
【0049】
更に、電子受容性化合物として炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を用いたり(特開平11-129623号公報、特開平11-5973号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステルを用いたり(特開2001-105732号公報)、没食子酸エステル等を用いた(特公昭51-44706号公報、特開2003-253149号公報)加熱発色型(加熱により発色し、冷却により消色する)の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を適用することもできる(
図8参照)。
【0050】
前記可逆熱変色性組成物は、(イ)、(ロ)、(ハ)成分を必須成分とする相溶体であり、各成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1~100、好ましくは0.1~50、より好ましくは0.5~20、(ハ)成分5~200、好ましくは5~100、より好ましくは10~100の範囲である(前記割合はいずれも質量部である)。
【0051】
前記可逆熱変色性組成物は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂中に分散したり、或いは、マイクロカプセルに内包することによって可逆熱変色性材料として用いられる。
尚、マイクロカプセル化は、従来より公知の界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記マイクロカプセル顔料は、内包物/壁膜=7/1~1/1(質量比)の範囲であることが好ましく、壁膜の比率が前記範囲内にあることにより、発色時の色濃度及び鮮明性の低下を防止することができ、より好適には、内包物/壁膜=6/1~1/1(質量比)である。
前記マイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成でき、粒子径0.01~50μm、好ましくは0.1~30μm、より好ましくは0.5~20μmの範囲が実用性を満たす。
なお、平均粒子径の測定は、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」を用いて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定した値である。
また、全ての粒子或いは大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合は、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製、製品名:Multisizer 4e)を用いてコールター法により等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定することも可能である。
【0052】
前記可逆熱変色性材料は、ビヒクル中に混合して、塗料や印刷インキ等の液状組成物を調製し、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等の手段により透明性支持体としてガラス、プラスチック等に可逆熱変色層を形成して熱変色性シートを作製したり、前記塗料を用いて透明性支持体として各種成形物表面に可逆熱変色層を形成して熱変色性シートを作製する。
更に、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂中に可逆熱変色性材料をブレンドして成形した成形体を熱変色性シートとして用いるもできる。
前記成形体を作製する際、予め可逆熱変色性材料を含む樹脂ペレットを用いることもできる。
前記熱変色性シートの可逆熱変色性材料を部分的に発色させた後、光変色性表示体上に載置して光照射すると、可逆熱変色性材料が発色した箇所の下層に位置するフォトクロミック化合物は十分に発色せず、可逆熱変色性材料が消色した箇所の下層に位置するフォトクロミック化合物は発色するため、光変色性表示体に熱変色性シートに形成した像とはネガポジ反転した像を形成することができる。
なお、前記熱変色性シートは、波長400nmにおける可逆熱変色性材料が有色状態の光透過率(%)と、可逆熱変色性材料が無色状態の光透過率(%)の差(ΔT)が0.05%以上、好ましくは0.1%以上であることにより、変色前後のコントラストが大きいため、光変色性表示体に形成される像のコントラストも大きくなり、明瞭な像を形成し易くなる。
更に、波長400nmにおける可逆熱変色性材料が有色状態の光透過率(%)が0.1%以下であることにより、光変色性表示体上に載置して光照射すると、可逆熱変色性材料が発色した箇所の下層に位置するフォトクロミック化合物は発色が殆ど発色せず、より明瞭な像を形成できる。
光透過率の測定は紫外可視近赤外分光光度計(Jasco V-670 spectrophotometer)を使用し、測定条件としてレスポンスはFast、バンド幅5.0nm、走査速度4000nm/秒、開始波長700nm、終了波長300nm、データ取り込み間隔5.0nm、走査モードは連続、光源はハロゲンランプを用いて測定した。
【0053】
前記光変色性表示体と熱変色性シートは直接又は連結部材を介して結合された体であってもよいが、光変色性表示体と熱変色性シートが別体の光変色性玩具セットであってもよい。
【0054】
前記熱変色性シートを加熱又は冷却して像を形成するための加熱手段としては、抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等を充填した加熱変色具、指や手で擦る方法が挙げられるが、簡便な方法により変色可能な手段として摩擦体を用いることができる。
前記冷却手段としては、ペルチエ素子を利用した冷熱変色具、冷水、氷片等の冷媒を充填した冷熱変色具が挙げられる。
前記光変色性玩具と、変色具とを組み合わせて光変色性玩具セットを得ることもできる。
【実施例】
【0055】
以下に本発明の光変色性玩具の実施例を記載するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中の部は質量部である。
実施例1(
図1乃至5参照)
光変色性表示体の作製
1,3,3-トリメチル-6-トリフルオロメチル-インドリノ-6′-(1-ピペリジニル)-ナフトオキサジン1部、スチレン-α-メチルスチレン共重合体(イーストマンコダック社製、商品名:ピコラスティックA-5)15部の相溶体をウレタン樹脂系マイクロカプセルに内包して平均粒子径10μmのフォトクロミックマイクロカプセル顔料を得た。
前記フォトクロミックマイクロカプセル顔料5部、アクリル樹脂エマルジョン6部、消泡剤0.5部、粘度調整剤1部を混合して得られたフォトクロミックインキを調製した。
支持体3として白色厚紙上の全面に前記フォトクロミックインキを用いてスクリーン印刷により印刷してフォトクロミック層4を設けて光変色性表示体2を得た。
【0056】
熱変色性シートの作製
30℃未満で青色、30℃以上で無色に可逆的に変色する平均粒子径10μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料40.0部、ウレタン樹脂エマルジョン50.0部、レベリング剤3.0部、増粘剤1.0部を混合した可逆熱変色性水性インキを用いて、透明性支持体6として透明PETフィルム(厚さ100μm)上に、スクリーン印刷して可逆熱変色層7を設けて熱変色性シート5を得た。
前記熱変色性シートの光透過率(ΔT)は0.650%であった。
【0057】
前記光変色性表示体2と熱変色性シート5を組み合わせて光変色性玩具1を得た。
前記光変色性玩具は、熱変色性シートの可逆熱変色層上に、氷を収容した冷熱ペンを用いて青色の「あ」の文字を形成し、熱変色性シートを光変色性表示体上に載置して光照射し、シートを取り外したところ、光変色性表示体に赤地に白色の明瞭な「あ」の文字が形成された。
前記光変色表示体を暫く放置すると再び全面が白色になり、再び熱変色性シートを載置して光照射すると赤地に白色の明瞭な「あ」の文字が形成された。
前記熱変色性シートを40℃以上に加温して「あ」の文字を消色させ、再び冷熱ペンを用いて青色の「い」の文字を形成し、熱変色性シートを光変色性表示体上に載置して光照射し、シートを取り外したところ、光変色性表示体に赤地に白色の明瞭な「い」の文字が形成され、前記様相変化は繰り返し行うことができた(図示せず)。
【0058】
実施例2
光変色性表示体の作製
1,3,3-トリメチル-6-トリフルオロメチル-インドリノ-6′-(1-ピペリジニル)-ナフトオキサジン1部、スチレン-α-メチルスチレン共重合体(イーストマンコダック社製、商品名:ピコラスティックA-5)15部の相溶体をウレタン樹脂系マイクロカプセルに内包して平均粒子径10μmのフォトクロミックマイクロカプセル顔料を得た。
前記フォトクロミックマイクロカプセル顔料5部、アクリル樹脂エマルジョン6部、消泡剤0.5部、粘度調整剤1部を混合して得られたフォトクロミックインキを調製した。
支持体として白色厚紙上の全面に前記フォトクロミックインキを用いてスクリーン印刷により印刷してフォトクロミック層を設けて光変色性表示体を得た。
【0059】
熱変色性シートの作製
30℃未満で黒色、30℃以上で無色に可逆的に変色する平均粒子径10μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料5部、アクリル樹脂キシレン溶液(固形分50%)50部、キシレン30部、メチルイソブチルケトン30部を混合した熱変色性インキを用いて、透明性支持体として透明PETフィルム(厚さ100μm)上に、塗装して可逆熱変色層を設けて熱変色性シートを得た。
前記熱変色性シートの光透過率(ΔT)は0.820%であった。
【0060】
前記光変色性表示体と熱変色性シートを組み合わせて光変色性玩具を得た。
なお、前記光変色性表示体と熱変色性シートはヒンジ部により開閉自在に結合されてなる。
前記光変色性玩具は、熱変色性シートの可逆熱変色層上に、氷を収容した冷熱ペンを用いて黒色の「A」の文字を形成し、熱変色性シートを光変色性表示体上に位置させて光照射し、シートを移動させたところ、光変色性表示体に赤地に白色の明瞭な「A」の文字が形成された。
前記光変色表示体を暫く放置すると再び全面が白色になり、再び熱変色性シートに冷熱ペンを用いて黒色の「B」の文字を形成し、熱変色性シートを光変色性表示体上に位置させて光照射し、シートを移動させたところ、光変色性表示体に赤地に白色の明瞭な「B」の文字が形成され、前記様相変化は繰り返し行うことができた。
【0061】
実施例3
光変色性表示体の作製
1,3,3-トリメチル-6-トリフルオロメチル-インドリノ-6′-(1-ピペリジニル)-ナフトオキサジン1部、スチレン-α-メチルスチレン共重合体(イーストマンコダック社製、商品名:ピコラスティックA-5)15部の相溶体をウレタン樹脂系マイクロカプセルに内包して平均粒子径10μmのフォトクロミックマイクロカプセル顔料を得た。
前記フォトクロミックマイクロカプセル顔料5部、アクリル樹脂エマルジョン6部、消泡剤0.5部、粘度調整剤1部を混合して得られたフォトクロミックインキを調製した。
支持体として白色厚紙上の全面に前記フォトクロミックインキを用いてスクリーン印刷により印刷してフォトクロミック層を設けて光変色性表示体を得た。
【0062】
熱変色性シートの作製
30℃未満で橙色、30℃以上で無色に可逆的に変色する平均粒子径10μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料30部、アクリル酸エステル樹脂エマルジョン25部、アクリル酸エステル-スチレン共重合樹脂溶液(固形分約50%)44部、消泡剤1部を混合した可逆熱変色性グラビアインキを用いて、透明性支持体として透明PETフィルム(厚さ100μm)上に、スクリーン印刷して可逆熱変色層を設けて熱変色性シートを得た。
前記熱変色性シートの光透過率(ΔT)は0.850%であった。
【0063】
前記光変色性表示体と熱変色性シートを組み合わせて光変色性玩具を得た。
前記光変色性玩具は、熱変色性シートの可逆熱変色層上に、温水を収容した加熱ペンを用いて白色の「A」の抜き文字を形成し、熱変色性シートを光変色性表示体上に載置して光照射し、シートを取り外したところ、光変色性表示体に赤色の明瞭な「A」の文字が形成された。
前記光変色表示体を暫く放置すると再び全面が白色になり、再び熱変色性シートに加熱ペンを用いて白色の「B」の抜き文字を形成し、熱変色性シートを光変色性表示体上に載置して光照射し、シートを取り外したところ、光変色性表示体に赤色の明瞭な「B」の文字が形成され、前記様相変化は繰り返し行うことができた。
【0064】
実施例4
光変色性表示体の作製
1,3,3-トリメチル-6-トリフルオロメチル-インドリノ-6′-(1-ピペリジニル)-ナフトオキサジン1部、スチレン-α-メチルスチレン共重合体(イーストマンコダック社製、商品名:ピコラスティックA-5)15部の相溶体をウレタン樹脂系マイクロカプセルに内包して平均粒子径10μmのフォトクロミックマイクロカプセル顔料を得た。
前記フォトクロミックマイクロカプセル顔料5部、アクリル樹脂エマルジョン6部、消泡剤0.5部、粘度調整剤1部を混合して得られたフォトクロミックインキを調製した。
支持体3として白色厚紙上の全面に前記フォトクロミックインキを用いてスクリーン印刷により印刷してフォトクロミック層を設けて光変色性表示体を得た。
【0065】
熱変色性シートの作製
30℃未満で色、30℃以上で無色に可逆的に変色する平均粒子径10μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料40.0部、黄色顔料10部、ウレタン樹脂エマルジョン50.0部、レベリング剤3.0部、増粘剤1.0部を混合した可逆熱変色性水性インキを用いて、透明性支持体として透明PETフィルム(厚さ100μm)上に、スクリーン印刷して可逆熱変色層を設けて熱変色性シート5を得た。
前記熱変色性シートの光透過率(ΔT)は0.850%であった。
【0066】
前記光変色性表示体と熱変色性シートを組み合わせて光変色性玩具を得た。
なお、前記光変色性表示体と熱変色性シートはヒンジ部により開閉自在に結合されてなる。
前記光変色性玩具は、熱変色性シートの可逆熱変色層上に、温水を収容した加熱ペンを用いて黄色の「A」の抜き文字を形成し、熱変色性シートを光変色性表示体上に位置させて光照射し、シートを移動させたところ、光変色性表示体に赤色の明瞭な「A」の文字が形成された。
前記光変色表示体を暫く放置すると再び全面が白色になり、再び熱変色性シートに加熱ペンを用いて黄色の「B」の抜き文字を形成し、熱変色性シートを光変色性表示体上に位置させて光照射し、シートを移動させたところ、光変色性表示体に赤色の明瞭な「B」の文字が形成され、前記様相変化は繰り返し行うことができた。
【符号の説明】
【0067】
1 光変色性玩具
2 光変色性表示体
3 支持体
4 フォトクロミック層
5 熱変色性シート
6 透明性支持体
7 可逆熱変色層
t1 完全発色温度
t2 発色開始温度
t3 消色開始温度
t4 完全消色温度
T1 完全消色温度
T2 消色開始温度
T3 発色開始温度
T4 完全発色温度
ΔH ヒステリシス幅