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特許7235436細胞の表面上にポリペプチドを発現させるための組成物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】細胞の表面上にポリペプチドを発現させるための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20230301BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230301BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20230301BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20230301BHJP
   G01N 33/15 20060101ALI20230301BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20230301BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20230301BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230301BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20230301BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N1/19
C12P21/02 C
C12Q1/02
G01N33/15 Z
G01N33/483 C
G01N33/50 Z
G01N33/53 D
C07K19/00
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2017524052
(86)(22)【出願日】2015-11-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-01-11
(86)【国際出願番号】 US2015059787
(87)【国際公開番号】W WO2016077249
(87)【国際公開日】2016-05-19
【審査請求日】2018-11-07
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-15
(31)【優先権主張番号】62/077,756
(32)【優先日】2014-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(74)【復代理人】
【識別番号】100208292
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 直己
(72)【発明者】
【氏名】リング,アーロン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】クルーズ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】マングリク,アアシシュ
【合議体】
【審判長】長井 啓子
【審判官】高堀 栄二
【審判官】川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-512160(JP,A)
【文献】特開2003-235579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N15/00-15/62
CA/BIOSIS/WPIDS(STN)
PubMed
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DNA核酸であって、
前記DNA核酸は、
(i)シグナルポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列
(ii)合成ストークポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列および
(iii)グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカードメインをコードする第3のヌクレオチド配列を含み、
(i)(ii)および(iii)は、5’から3’の方向に互いに対して位置決めされ、
同じプロモータに動作可能に連結され、
プロモータは真核細胞において機能的であり、および、
合成ストークポリペプチドは配列番号32-35のいずれかで示されたアミノ酸配列と90%以上のアミノ酸配列同一性があるアミノ酸配列を含み、
GPIアンカードメインは配列番号51-64及び71のいずれかで示されたアミノ酸配列と90%以上のアミノ酸配列同一性があるアミノ酸配列を含み、および、
シグナルポリペプチドは配列番号11-17のいずれかで示されたアミノ酸配列と90%以上のアミノ酸配列同一性があるアミノ酸配列を含む、
ことを特徴とするDNA核酸。
【請求項2】
対象のタンパク質(POI)をコードするヌクレオチド配列を挿入するための挿入部位を含み、前記挿入部位は(i)の3’および(ii)の5’に位置する請求項1に記載のDNA核酸。
【請求項3】
(iv)対象のタンパク質(POI)をコードする、第4のヌクレオチド配列を含み、前記第1から第4のヌクレオチド配列は、
(a)(i)、(iv)、(ii)、(iii)の順に5’から3’へ位置決めされ
および
(b)それらが前記シグナルポリペプチド、前記POI、前記合成ストークポリペプチドおよび前記GPIアンカードメインを含む表面の接近可能な融合タンパク質をまとめてコードするように、互いに、インフレームである請求項1に記載のDNA核酸。
【請求項4】
前記合成ストークポリペプチドは40以上のアミノ酸を含む請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載のDNA核酸。
【請求項5】
前記合成ストークポリペプチドは、40乃至2000のアミノ酸を含む請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載のDNA核酸。
【請求項6】
前記シグナルポリペプチドは酵母タンパク質からのシグナルポリペプチドである請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載のDNA核酸。
【請求項7】
前記シグナルポリペプチドは小胞体(ER)への翻訳後輸送を示すタンパク質由来のものである請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載のDNA核酸。
【請求項8】
前記DNA核酸は組み換えの発現ベクターである請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載のDNA核酸。
【請求項9】
前記プロモータは真菌細胞において機能的である請求項1乃至8のうちのいずれか1項に記載のDNA核酸。
【請求項10】
前記真菌細胞は酵母菌細胞である請求項9に記載のDNA核酸。
【請求項11】
2つ以上のDNA核酸を含むキットであって、
DNA核酸はそれぞれ次のものを含み
(i)シグナルポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列
(ii)合成ストークポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列および
(iii)グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカードメインをコードする第3のヌクレオチド配列
各DNA核酸の(i)、(ii)、および(iii)は5’から3’の方向に互いに対して位置決めされ、同じプロモータに動作可能に連結され、
2つ以上の前記DNA核酸の少なくとも2つによってコードされた前記合成ストークポリペプチドは、異なる長さであり、および、
前記合成ストークポリペプチドは配列番号32-35のいずれかで示されたアミノ酸配列と90%以上のアミノ酸配列同一性があるアミノ酸配列を含み、
前記GPIアンカードメインは配列番号51-64及び71のいずれかで示されたアミノ酸配列と90%以上のアミノ酸配列同一性があるアミノ酸配列を含み、および、
前記シグナルポリペプチドは配列番号11-17のいずれかで示されたアミノ酸配列と90%以上のアミノ酸配列同一性があるアミノ酸配列を含む、
キット。
【請求項12】
2つ以上の前記DNA核酸の少なくとも2つによってコードされた前記合成ストークポリペプチドは、40以上のアミノ酸の長さを有している請求項11に記載のキット。
【請求項13】
酵母菌細胞の表面上に対象のタンパク質(POI)を表示する方法であって、
前記方法は、
表面に接近可能な融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を酵母菌細胞へ導入する工程を含み、
該表面の接近可能な融合タンパク質はシグナルポリペプチド、POI、合成ストークポリペプチドおよびグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカードメインを含み、
前記合成ストークポリペプチドは配列番号32-35のいずれかで示されたアミノ酸配列と90%以上のアミノ酸配列同一性があるアミノ酸配列を含み、
前記GPIアンカードメインは配列番号51-64及び71のいずれかで示されたアミノ酸配列と90%以上のアミノ酸配列同一性があるアミノ酸配列を含み、および、
前記シグナルポリペプチドは配列番号11-17のいずれかで示されたアミノ酸配列と90%以上のアミノ酸配列同一性があるアミノ酸配列を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
対象のタンパク質(POI)への薬剤の結合を測定する方法であって、
前記方法は、
請求項13に記載の方法によって酵母菌細胞の表面上にPOIを表示する工程、
前記酵母菌細胞を薬剤に接触させる工程、及び
細胞に結合した前記薬剤の量を測定する工程を含む方法。
【請求項15】
前記薬剤は直接検知できるラベルを用いて標識付けされる請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記測定する工程はフローサイトメトリーを含む請求項14あるいは請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、
2つ以上の異なる対象のタンパク質(POI)を表示する工程であって、各POIは異なる細胞の表面上に表示される工程、
前記POIを表示する前記細胞を前記薬剤と接触させる工程、及び
前記細胞に結合した前記薬剤の量を測定する工程
を含む請求項14乃至16のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記2つ以上の異なるPOIの少なくとも1つは、前記2つ以上の異なるPOIの他の少なくとも1つに対して1から20のアミノ酸突然変異を有する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、突然変異生成を含む方法を使用し、前記2つ以上の異なるPOIの少なくとも2つを生成させる工程を含む請求項17あるいは請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、
前記酵母菌細胞と2つ以上の薬剤とを接触させる工程および
前記細胞に結合した薬剤を特定する工程
を含む請求項14乃至19のうちのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2014年11月10日に申請された米国仮特許出願第62/077,756号の利益を主張する。その出願全体は、参照として本明細書に組込まれる。
〈導入部〉
【0002】
表面の表示として知られている技術である真核細胞(例えば酵母菌細胞)の表面上のタンパク質の発現は、多種多様な対象のために用いることができる。
例えば、酵母菌は真核生物であるから、酵母菌を表面表示のために使用することは、効率的な折り畳みおよび活性のための翻訳後修飾を必要とする哺乳類のタンパク質(例えば抗体、レセプター、サイトカインなどのような細胞表面及び分泌されたタンパク質)を組み替えおよび修飾することに(例えば定向進化を介して)よく適している。
表面の表示の1つの例において、対象のタンパク質はAga2pタンパク質に融合され、明細書でAga2pタンパク質は接合中に細胞間接触を媒介するために、酵母菌によって自然に用いられる。
現在の表面表示法は、複数の遺伝子を発現させる必要があり、対象の表示タンパク質の立体の接近性に関して制限される。
対象のタンパク質のモノシストロニック発現および表面表示を可能にする組成物および方法の技術、例えば調節可能(adjustable)な(「調整可能(tunable)」)レベルの接近性を可能にする方法が必要とされている。
〈出版物〉
Boder, et al., Nat Biotechnol.
1997 Jun;15(6):553-7; U.S. patent application number: 20110076752
【発明の概要】
【0003】
方法および組成物は、表面の接近可能な融合タンパク質を生じさせるために表示部分(例えばシグナルポリペプチド、ストークポリペプチドおよび表面のアンカーポリペプチドがある部分)にPOIを融合させることにより、真核細胞(例えば哺乳動物細胞、真菌細胞、酵母菌等)の表面上に対象のタンパク質(POI)を表示するために提供される。
ある場合には、表面の接近可能な融合タンパク質が、核酸(例えば組み換えの発現ベクター)の一部としては真核細胞の中へ導入される。
表示部分(例えばシグナルポリペプチド、ストークポリペプチドおよび表面のアンカーポリペプチドがある部分)をコードするヌクレオチド配列を含んでいる核酸が提供される。
ある場合には、主題の核酸が、POIの挿入するための挿入部位を含んでいる。
ある場合には、主題の核酸が、POIをコードするヌクレオチド配列を含んでいる。
ある場合には、ストークポリペプチドが合成ストークポリペプチドである。また、様々な合成ストークポリペプチドの例は本明細書に示される。
ある場合には、表面のアンカーポリペプチドが糖鎖ホスファチジルイノシトール(GPI)アンカードメインである。
ある場合には、GPIアンカードメインが合成GPIアンカードメインである。
ある場合には、表面のアンカーポリペプチドが膜貫通ドメインである。
【0004】
方法は、POIに対する薬剤の結合を測定する(例えば、薬剤がPOIに結合することができるかどうかの判定する)ために提供される。
以下の方法が提供される:POIに結合する薬剤(例えば与えられたPOIに結合する薬剤のため試験化合物をスクリーニングする方法)を判定するための方法;
与えられた薬剤に結合するポリペプチド(例えば薬剤が、前もって定義した値以上の親和性と共に薬剤に結合するポリペプチドを判定するために、薬剤が特定の濃度で存在する場合、薬剤に結合するポリペプチド)の識別するための方法;
および変異体が由来したポリペプチドの親和性と異なる(例えば、より大きな)親和性と共に薬剤に結合する、変異性のポリペプチド生成する方法。
【0005】
主題の組成物の様々な構成要素を含むキットも提供され、および、そのようなキットは主題の方法を実行するために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】可変長およびGPIアンカー「ストーク」を使用するペプチド接近性の操作を示す。図1Aは酵母菌表面に対するペプチド結合の1つの実施形態の概略図である。:対象のタンパク質(POI)(本明細書において操作されたSIRPa変異体CV1)は表面の接近可能な融合タンパク質としては分泌され明細書でPOIは、(i)シグナルポリペプチド(分泌経路にタンパク質を導くが、翻訳後プロセシングによってタンパク質から切断することができる)、(ii)ストークポリペプチド(合成配列(広範囲の長さにわたりその長さを修飾することができる))、(iii)GPIアンカー(例えば合成GPIアンカー)、および任意に(iv)エピトープタグ(HAエピトープタグが示される)に融合される。
図1B】可変長およびGPIアンカー「ストーク」を使用するペプチド接近性の操作を示す。図1Bはストークの長さ(アミノ酸中)と以下の3つのラベルが付けられたプローブに対する染色との間の関連性を示す実験結果:抗HA抗体(~150kD)、CD47ストレプトアビジン四量体(~100kD)およびCD47ビオチンモノマー(~15kDa)。
図1C】可変長およびGPIアンカー「ストーク」を使用するペプチド接近性の操作を示す。図1CはCV-1を表示する酵母菌の代表的なフローサイトメトリープロットは、抗HA抗体(Alexa488)およびCD47ビオチンモノマー(Alexa647)と同時に異なる長さの染色されたストークに結合する。信頼できるストーク配列の長さは、アミノ酸の数において、各プロット上に記録される。
【0007】
図2A】主題の組成物および方法は追加の酵母菌株と互換性をもつ。図2Aは酵母菌表面に対するペプチド結合の概略図を示す。操作されたSIRPA変異体CV1は、HAエピトープタグに対する融合体および649のアミノ酸長の合成GPIアンカーを備えた合成ストークとして分泌される。(例えばCV1は対象のタンパク質(POI)であり、表面の接近可能な融合ポリペプチドとして発現される)。これらの実験のために使用された酵母菌株は、図1A-1Cで使用されるBJ5465とは対照的にYVH10だった。YVH10酵母菌は酵母菌タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)を過剰発現し、分泌されたジスルフィド結合含有タンパク質のより大きな折り畳み能力を可能にする。
図2B】主題の組成物および方法は追加の酵母菌株と互換性をもつ。図2BはYVH10酵母菌の表示CV1の代表的なフローサイトメトリープロットは、抗HA抗体(Alexa488)およびCD47ビオチンモノマー(Alexa647)と同時に染色された649のアミノ酸ストークに結合される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
表面の接近可能な融合タンパク質を発生するためにシグナルポリペプチド、ストークポリペプチドおよび表面のアンカーポリペプチドにPOIを融合させることにより、真核細胞(例えば哺乳動物細胞、真菌細胞、酵母菌等)の表面上に対象のタンパク質(POI)を表示するために方法および組成物は提供される。
ある場合には、表面の接近可能な融合タンパク質が、核酸(例えば組み換えの発現ベクター)の一部として真核細胞の中へ導入される。
シグナルポリペプチド、ストークポリペプチドおよび表面のアンカーポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいる核酸が提供される。
ある場合には、主題の核酸は含まれ、およびPOIの挿入用挿入部位である。
ある場合には、主題の核酸が、POIをコードするヌクレオチド配列を含んでいる。
ある場合には、ストークポリペプチドは合成ストークポリペプチドであり、及び様々な具体例合成物ストークポリペプチドの例は明細書に示される。
ある場合には、表面のアンカーポリペプチドは糖鎖ホスファチジルイノシトール(GPI)アンカードメインである。
ある場合には、GPIアンカードメインは合成アンカーGPIドメインである。
【0009】
方法は、POIに対する薬剤の結合を測定する(例えば、薬剤がPOIに結合することができるかどうかの判定する)ために提供される。
以下の方法が提供される:POIに結合する薬剤(例えば与えられたPOIに結合する薬剤のため試験化合物をスクリーニングする方法)を判定するための方法;
与えられた薬剤に結合するポリペプチド(例えば薬剤が、前もって定義した値以上の親和性と共に薬剤に結合するポリペプチドを判定するために、薬剤が特定の濃度で存在する場合、薬剤に結合するポリペプチド)の識別するための方法;
および変異体が由来したポリペプチドの親和性と異なる(例えば、より大きな)親和性と共に薬剤に結合する、変異性のポリペプチド生成する方法。
【0010】
主題の組成物の様々な構成要素を含むキットも提供される。また、そのようなキットは主題方法を実施するために使用することができる。
【0011】
本発明の方法および組成物が記載される前に、本発明は記載された特定の方法または組成物に限定されず、当然変化し得ることが理解されるべきである。
さらに、本明細書で使用される用語は特定の実施形態だけを記載することを対象としており、本発明の範囲が添付の請求項によってのみ制限されるため、限定的であることを意図していないことも理解される。
【0012】
ある範囲の値が与えられる場合、その範囲の上限と下限との間に、明示的に別途指示されない限り、下限の単位の10分の1までの各介在値も具体的に開示されることが理解される。
記載された範囲の任意の記載された値または介在する値と、その記載された範囲の任意の他の記載されたまたは介在する値との間のそれぞれのより小さな範囲は本発明内に包含される。
より小さな範囲の上下限は、範囲に独立して含まれることもあれば、排除されることもあり、その上下限の小さな範囲のいずれかあるいはその両方、あるいはいずれも含まれない場合、それぞれの範囲は、記載された範囲中の任意の具体的に除外された制限を受けて、本発明に包含される。
記載された範囲が上下限の1つまたは両方を含む場合、これらの含まれる上限または下限のいずれかまたは両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
【0013】
もし他の方法で定義されなかったならば、明細書に使用される技術的および科学用語はすべてこの発明が属する当該技術のうちの1つによって一般に理解されるのと同じ意味を有している。
本明細書に記載される方法や材料と類似するまたは同等の任意の方法や材料を本発明の実施または試験の際に使用することができるが、可能性のあるおよび好ましい方法や材料が本明細書で記載されている。
本明細書で言及されるすべての出版物は、出版物の引用の際に関連付けられる方法および/または材料を開示および記載するために参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は矛盾がある程度まで、組み込まれた出版物の任意の開示に取って代わることが理解される。
【0014】
本開示を読む当業者には明らかなように、本明細書に描写され示された個々の実施形態の各々は、本発明の範囲または精神から逸脱せずに、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴から容易に分離されうる、あるいは特徴と組み合わせられ得る、個別の構成および特徴がある。
任意の列挙された方法を、列挙された事象の順序で、または論理上可能な他の順序で実行することができる。
【0015】
本明細書中で及び添付された請求項中で使用される、単数形の「a」、「an」、「the」は文脈上明白に指示されない限り、複数形を対象として含んでいる。
したがって、例えば、「細胞(a cell)」への言及はその複数の細胞を含み、「ペプチド(the peptide)」への言及は1つ以上のペプチドとその等価物、例えば、当業者に知られているポリペプチドなどへの言及を含んでいる。
【0016】
本明細書に説明された刊行物は、本出願の出願日より以前に単にそれらの開示のために提供される。
本発明が先行発明によるこうした公開に先行するという資格がないという承認として解釈されるものは本明細書には何もない。
さらに、提供される公開日は、独立して確認される必要がありうるある実際の公開日とは異なり得る。
〈定義〉
【0017】
以下の明細書において、分野において慣例通りに使用される多くの用語は利用される。
明細書と請求項についての明瞭かつ一貫した理解とこうした用語に与えられる範囲を提供するために、以下の定義が与えられる。
【0018】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを表すために交換可能に本明細書中に使用される。
用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する自然発生のアミノ酸の人工的な化学薬品ミメティックであるアミノ酸ポリマーや、自然発生のアミノ酸ポリマーと自然発生でないアミノ酸ポリマーにも当てはまる。
【0019】
用語「アミノ酸」は自然発生および合成アミノ酸の他に自然発生のアミノ酸と同様の方法で機能するアミノ酸類似体、およびアミノ酸ミメティックも表す。
自然発生のアミノ酸は、遺伝コードによってコード化されたものや後に修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、ガンマ-カルボキシグルタマート、O-ホスホセリンである。
アミノ酸類似体は、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合する、自然発生のアミノ酸と同じ基本的な化学構造(すなわち、アルファ炭素)を有する化合物(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチルメチオニンスルホニウム)を指す。
こうした類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、自然発生のアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持する。
アミノ酸ミメティックとは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なるが自然発生のアミノ酸に似た方法で機能する構造を有する化学化合物を指す。
【0020】
「合成」という用語は、主題の組成物(例えば合成のストークポリペプチド、合成の表面のアンカーポリペプチド、合成のシグナルポリペプチドなど)の構成要素を表す時に使用されるように、構成要素が非自然発生であることを意味する。
例えば、定義による合成ストークポリペプチドは非自然発生のアミノ酸配列を含み、定義による合成の表面のアンカーポリペプチドは非自然発生のアミノ酸配列を含み、および、定義による合成シグナルポリペプチドは非自然発生のアミノ酸配列を含む。
【0021】
用語「抗体」は最も広い意味において使用され、具体的にそれらが所望の生物活性を示す限り、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、多クローン性抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)および抗体フラグメント(例えばFabフラグメント)に及ぶ。
「抗体」(Abs)と「免疫グロブリン」(Igs)は同じ構造的な特性を有する糖タンパク質である。
抗体が特異性抗原に対する結合特異性を示す一方で、免疫グロブリンは抗体と抗原特異性を欠いた他の抗体様分子の両方を含んでいる。
後者の種類のポリペプチドは、例えば、リンパ系により低いレベルで、および骨髄腫により高いレベルで生成される。
【0022】
「天然の抗体および免疫グロブリン」は、通常2つの同一軽(L)鎖および2つの同一重(H)鎖からなる約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。
軽鎖はそれぞれ1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖に連結されるが、ジスルフィド結合の数は様々な免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。
重鎖と軽鎖はそれぞれ規則的に距離をおいた鎖内ジスルフィド架橋も有する。
各重鎖は一方の端部に可変ドメイン(V)とその後に多くの定常ドメインを有する。
各軽鎖は一方の端部に可変ドメイン(V)を、もう一方の端部に定常ドメインを有し、
軽鎖の定常ドメインは重鎖の最初の定常ドメインと位置合わせされ、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと位置合わせされる。
特定のアミノ酸残基は、軽鎖と重鎖の可変ドメイン間のインタフェースを形成すると考えられている(Clothia et al., J. Mol. Biol. 186:651 (1985); Novotny and Haber, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 82:4592 (1985))。
【0023】
用語「変数」は、可変ドメインのある部分が抗体間で広範囲に配列が異なり、その特定の抗原のための個々の特定の抗体の結合および特異性に使用されるという事実を表す。
しかしながら、可変性は抗体の可変ドメイン全体に均一に分布していない。
軽鎖と重鎖の両方の可変ドメイン中の相補性決定領域(CDR)または超可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集中している。
可変ドメインのより高度に保存された部分はフレームワーク(FR)と呼ばれる。
天然の重鎖と軽鎖の可変ドメインは各々、b-シート構造を接続する、場合によってはb-シート構造の一部を形成するループを形成する3つのCDRにより接続された、b-シート構造を主に採用している4つのFR領域を含む。
各鎖のCDRはFR領域によって極めて接近して一緒に保持され、他の鎖からのCDRとともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, National Institute of Health, Bethesda, Md. (1991)を参照)。
定常ドメインは抗体を抗原に結合することに直接関与しないが、抗体依存性の細胞毒性における抗体の関与などの様々なエフェクター機能を示す。
【0024】
抗体の消化(例えばパパイン、フィシンなどのような酵素を用いる)は、2つの同一の抗原結合性フラグメント、「Fab」フラグメント、その各々の単一の抗原結合部位を有する、および残りの「Fc」フラグメント(名称は、すぐ結晶化する能力を表わす)を生成する。
ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有するとともに依然として抗原を架橋結合することができるF(ab‘)フラグメントが生成される。
【0025】
「Fv」は、完全抗原認識および完全抗原結合部位を含んでいる最小の抗体フラグメントである。
2つの鎖Fv種では、この領域は、緊密な非共有結合性会合中の1つの重鎖と1つの軽鎖の可変ドメインの二量体からなる。
単一の鎖のFv種(scFv)では、1つの重鎖と1つの軽鎖の可変ドメインは、軽鎖と重鎖が二本鎖Fv種におけるそれに類似した「二量体」構造で会合することができるように、柔軟なペプチドリンカーによって共有結合することが可能である。
それぞれの可変ドメインの3つのCDRがVH-VL二量体の表面上に抗原結合部位を定義するように相互作用するのはこの構造内である。
まとめると、6つのCDRが抗体に抗原結合特異性を与える。
しかしながら、全結合部位よりも親和性は低いが、1つの可変ドメインでも(または、抗原に特異的なわずか3つのCDRしか含まないFvの半分)、抗原を認識して結合する能力を有している。
scFvの調査については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照されたい。
【0026】
Fabフラグメントは、さらに軽鎖の不変領域および重鎖の第1不変領域(CH1)を含んでいる。
Fab’フラグメントは、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に少数の残基を加えることでFabフラグメントとは異なる。
Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有するFab’に関する本明細書での命名である。
F(ab‘)抗体フラグメントは、元来その間にヒンジ・システインを有する対のFab’フラグメントとして生成された。
抗体フラグメントの他の化学的結合も知られている。
【0027】
「抗体フラグメント」、およびそのすべての文法的な変異体は、本明細書中で使用されるように、完全な抗体の抗原結合部位または可変領域を含む完全な抗体の一部として定義され、その一部は、完全な抗体のFc領域の与えられた重鎖ドメイン(すなわち抗体アイソタイプによってCH2、CH3およびCH4)から遊離している。
抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、およびFvフラグメント;
二重特異性抗体;
任意の抗体フラグメント、それはポリペプチドである、一次構造を持っていること、連続的アミノ酸残基(本明細書で「一本鎖の抗体フラグメント」または「一本鎖・ポリペプチド」として引用される)の1つの中断されない配列からなる一次構造を有するポリペプチドの抗体フラグメントは、限定されないが(1)一本鎖Fv(scFv)分子、(2)1つの軽鎖可変ドメインのみを含む一本鎖ポリペプチド、あるいは関連する重鎖部分のない軽鎖可変ドメインの3つのCDRを含むそのフラグメント、(3)1つの重鎖可変領域のみを含んでいる一本鎖ポリペプチド、あるいは関連する軽鎖部分のない重鎖可変領域の3つのCDRを含むそのフラグメント、および、(4)ヒト以外の種からの単一のIgドメインまたは他の特異的な単一ドメイン結合モジュールを含むナノボディ;を含む
および、抗体フラグメントから形成された多特異性構造または多価構造が挙げられる。
1つ以上の重鎖を含む抗体フラグメントにおいて、重鎖は、完全な抗体の非Fc領域で発見されたどんな不変領域配列(例えばIgGアイソタイプ中のCH1)も含むことができ、および/または完全な抗体で発見されたどんなヒンジ領域配列も含むことができる、
および/またはヒンジ領域配列あるいは重鎖の不変領域配列に融合している、または位置しているロイシンジッパー配列を含むことができる。
【0028】
本開示において使用されるように、用語「エピトープ」は抗体のパラトープが結合する抗原上のどんな抗原決定基も意味する。
エピトープ決定基は通常、アミノ酸または糖側鎖のような分子の化学的に活性な表面のグループからなり、通常、比電荷特性と同様に特異的な3次元の構造的な特性を有している。
【0029】
本明細書に使用される時用語「ラベル」は、分子に直接的にあるいは間接的に結合する、検出可能な化合物または組成物を表す。
例えば、薬剤は「検出できるようにラベルが付けられる」ということができ、あるいは検出できるラベルを含むということができる。
ラベルはそれ自身検出できてもよい。(直接検出できるラベル)(例えば放射性同位元素ラベル、蛍光性の化学の付加物等のような蛍光性のラベル)、あるいは、ラベルは間接的に検出可能である、例えば、酵素のラベルの場合には、酵素が基質化合物または組成物の化学変換を触媒してもよく、そして反応生成物は検出可能である。
間接のラベルの1つの例はビオチンであり、ストレプトアビジンを用いることで検出することができる。
あらゆる好都合な直接か間接のラベルも明細書中に記載された組成物および方法において用いることができる
【0030】
本明細書に用いられるような用語「組み換え体」は、特定の核酸(DNAまたはRNA)が自然分類系で発見された内在性の核酸から判定可能な構造のコードあるいは非コードの配列がある構造物を結果としてもたらすクローニング、制限、複製連鎖反応(PCR)および/または連結反応の工程の様々な組み合わせの生成物であることを意味する。
ポリペプチドをコードするDNA配列は、細胞あるいは無細胞の転写および翻訳システムに含まれている組み換えの転写のユニットから発現させることができる合成核酸を提供するためにcDNAフラグメント、あるいは一連の合成オリゴヌクレオチドから組み立てることができる。
関連する配列を含むゲノムDNAも、組み換えの遺伝子または転写のユニットの形成において用いることができる。
翻訳されていないDNAの配列はオープンリーディングフレームから5’あるいは3’に存在してもよい、そのような配列はコード領域の操作あるいは発現の妨げにならず、様々なメカニズムによって所望の生成物の生産を調整するために実際は作用しうる。
翻訳されないRNAをコードするDNA配列も、組み換えであるとみなしてもよい。
したがって、例えば用語「組み換え」核酸は、自然発生でないものを表す、例えば、人間の介入による配列の2つの他の方法で分離されたセグメントの人為的な組み合わせによって作られる。
この人為的な組み合わせは、化学合成方法によって、あるいは核酸の分離されたセグメントの人為的操作によって(例えば遺伝子工学手法によって)しばしば遂行される。
これはコドンを同じアミノ酸、保存的なアミノ酸あるいは非保存的なアミノ酸をコードするコドンに取り替えるために通常行われる。
あるいは、それは所望の機能の核酸セグメントをともに結合させ所望の機能の組み合わせを生じさせるために行なわれる。
この人為的な組み合わせは、化学合成方法によって、あるいは核酸の分離されたセグメントの人為的操作によって(例えば遺伝子工学手法によって)しばしば遂行される。
組み換えの核酸がポリペプチドをコードする場合、コードされたポリペプチドの配列は自然発生であってもよく(「野生型」)、あるいは自然発生の配列の変異体(例えば突然変異体)であってもよい。
【0031】
「ベクター」は、プラスミド、ファージ、ウイルスあるいはコスミドのようなレプリコンであり、そこに、他のDNAセグメント(例えば「挿入物」)が、細胞内に結びつけられるセグメントの複製および/または発現がもたらされる。
「発現ベクター」は、発現カセット(例えば、発現カセットである挿入物を有する)があるベクターである。
「発現カセット」は、プロモーターに動作可能に連結されたDNA塩基配列(コードまたは非コード)を含んでいる。
「動作可能に連結された」は並列を表し、そのように記載された構成要素は、それらが意図された方法で機能することを可能にする関係性にある。例えば、プロモーターがヌクレオチド配列の転写(例えばヌクレオチド配列の発現)に影響する場合、プロモーターはヌクレオチド配列に動作可能に連結される。
したがって、用語「組み換えの発現ベクター」、あるいは「DNA構築物」は発現ベクターが組み換え型で(すなわち、自然に生じない配列を含んでいる)、挿入物がある発現ベクターを表すために交換可能に本明細書中に用いられる。
組み換えの発現ベクターは、挿入物を発現させるおよび/または増やす目的で、あるいは他の組み換えのヌクレオチド配列の構造のため通常生じさせられる。
〈組成物〉
開示は、表面の接近可能な融合タンパク質としては対象のタンパク質(POI)を発現させることにより、細胞の表面上で(すなわち表面表示)POIを発現させるための組成物および方法を提供する。
用語「表面の接近可能な融合タンパク質」はシグナルポリペプチド、対象のタンパク質(POI)、ストークポリペプチドおよび表面のアンカーポリペプチドがあるポリペプチドを述べるために本明細書に用いられる。
【0032】
シグナルポリペプチド
【0033】
「シグナルポリペプチド」、「シグナル配列」という用語はタンパク質を小胞体(ER)の内腔の中への送達のためのターゲットにする分泌経路のタンパク質(例えば分泌されたタンパク質、GPIアンカータンパク質等)のN末端で、あるいはそのN末端の近くに存在するアミノ酸配列に言及するために交換可能に本明細書に用いられる。
当該技術分野で知られているように、シグナル配列はそれらの長さ、およびそれらのアミノ酸組成の両方において、非常に可変的である。
しかしながら、シグナル配列は、およそ15―30のアミノ酸長である傾向があり、かつ通常5―10の疎水性アミノ酸のブロックを含む。
【0034】
分泌経路の多くのタンパク質(例えば、分泌されたタンパク質)は翻訳(例えば共翻訳)中にERへ移動する。(例えば、ER内腔に入る)
しかしながら、酵母菌接合因子アルファ(約70のアミノ酸)のようないくつかの小さな分泌タンパク質は、ER内腔の中への翻訳後輸送を示す。
異なるタンパク質からのシグナル配列は交換可能に機能することができる。
ある場合には、シグナル配列が、タンパク質のプロセッシング中に切断される。(例えば、成熟したタンパク質上でもはや存在しない)
そのため、ある場合には、主題のシグナルポリペプチドは、表面の接近可能な融合タンパク質の処理中に切断される。(例えば、細胞の表面上に示される、成熟したタンパク質上でもはや存在しない)
そのため、ある場合には、主題のシグナルポリペプチドは、表面の接近可能な融合タンパク質のプロセッシング中に切断されない。(すなわち、成熟タンパク質中に存在する)
【0035】
主題のシグナルポリペプチドは、分泌経路への表面の接近可能な融合タンパク質の輸送を達成することが動作可能な限り、シグナルポリペプチドが発現させられる宿主細胞に固有であってもよい、あるいは、宿主細胞に対して異種であってもよい。
主題のシグナルポリペプチドは十分に特徴づけられたシグナル配列であってもよく、あるいは分泌経路の任意のタンパク質に由来した任意のシグナルポリペプチドであってもよい。
ある場合には、主題のシグナルポリペプチドが合成のシグナルポリペプチドである、すなわち、配列は自然に存在するタンパク質において存在しない(関連して修飾される)。
【0036】
いくつかの実施形態において、主題の表面に接近可能な融合タンパク質は、翻訳後のルート(翻訳後シグナルポリペプチドとしては本明細書に言及された)経由でERに入るタンパク質(あるいはタンパク質に由来する)によるシグナルポリペプチドを含んでいる。
いくつかの実施形態において、主題の表面に接近可能な融合タンパク質は、前翻訳のルート(前翻訳シグナルポリペプチドとして本明細書に言及された)経由でERに入るタンパク質からのシグナルポリペプチドを含む。(あるいはタンパク質に由来する)
【0037】
主題の組成物、キットおよび方法のために適している多数のシグナル配列は、当業者に知られている、また、あらゆる好都合なシグナルポリペプチドを用いることもできる。
例えば、当業者は、主題の組成物、キットおよび方法で使用されるシグナルポリペプチドを容易に特定することができるだろう。
対象の宿主細胞(例えば真核細胞、哺乳動物細胞、真菌細胞、酵母菌細胞等)において機能的なあらゆる好都合なシグナルポリペプチドも用いることができる。
シグナル配列の選択には、例えば、細胞(例えば酵母菌細胞)の表面で示されるタンパク質の所望のレベルを考慮することができる。
例えば、高レベル表示されたタンパク質が所望される場合、アルファ接合因子からのシグナル配列は有用であり得るが、ある場合には、より少ないタンパク質が細胞表面で望まれ、および、そのような場合、他のシグナルポリペプチドは用いることができる(例えばPho5p、Suc2p等からのシグナルペプチド)。
【0038】
ある場合には、シグナルポリペプチドが、表面の接近可能な融合タンパク質が発現させられる細胞型に対する異種のポリペプチドである。
例えば、表面の接近可能な融合タンパク質が酵母菌細胞中で発現されるならば、シグナルポリペプチドは、酵母菌細胞以外の細胞型(例えば哺乳動物細胞、脊椎動物細胞、無脊椎動物細胞など)からのものでありうるかまたは(例えば、由来することができる)表面の接近可能な融合タンパク質が発現させられる種とは異なる種の酵母菌細胞のものでありうる。
【0039】
ある場合には、シグナルポリペプチドが、表面の接近可能な融合タンパク質が発現させられる同じ細胞型から(例えばいくつかの場合同じ種から)のものである。(例えば、それに由来する)
例えば、表面の接近可能な融合タンパク質が酵母菌細胞中で発現させられるならば、シグナルポリペプチドは、酵母菌タンパク質(例えばいくつかの場合同じ酵母の種から由来する)から得てもよい。
具体例のシグナルポリペプチドの例は限定されないが以下のものを含んでいるが、酵母菌タンパク質からのものを含む。(あるいはそれらに由来する):接合因子アルファ、Aga2p、Pho5pおよびSuc2p。
【0040】
適切なシグナルポリペプチドの例は以下のものを含んでいるが、これに限定されない:
接合因子アルファからのシグナルポリペプチド:
MRFPSIFTAVLFAASSALAAPANTTTEDETAQIPAEAVIDYSDLEGDFDAAALPLSNSTNNGLSSTNTTIASIAAKEEGVQLDKREA(配列番号: 11)
接合因子アルファからのシグナルポリペプチド(より短い):
MRFPSIFTAVLFAASSALAA(配列番号: 12)
Aga2pからのシグナルポリペプチド
MQLLRCFSIFSVIASVLAQ(配列番号: 13)
Pho5pからのシグナルポリペプチド
MFKSVVYSILAASLANAG(配列番号: 14)
Suc2pからのシグナルポリペプチド
MLLQAFLFLLAGFAAKISAS(配列番号: 15)
セクロピン-Aからのシグナルポリペプチド(Hyalophora cecropia(ヤママユガから)):
MNFSRIFFFVFACLTALAMVNA(配列番号: 16)
GenBank AIO03624.1からのシグナルポリペプチド
MRAFLALIFLTFVMNVESS(配列番号: 17)
【0041】
ある場合には、シグナルポリペプチドが、配列番号11-17のうちのいずれかにおいて示されたアミノ酸配列との60%以上のアミノ酸配列同一性(70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上、99.8%以上、99.9%以上あるいは100%のアミノ酸配列同一性)を有しているアミノ酸配列含んでいる。
【0042】
より詳細に下記に述べられるように、ある場合には、表面のアンカーポリペプチドは、表面の接近可能な融合タンパク質がII型膜タンパク質であるように、位置決めされる(すなわち、表面のアンカーポリペプチドは、表面の接近可能な融合タンパク質のC末端の代わりにN末端の近くで位置決めされる)TMドメイン(例えばタイプII TMドメイン)を含んでいる。
当業者によって容易に理解されるようにその場合、表面の接近可能な融合タンパク質は、II型膜タンパク質に適切なシグナルポリペプチドを含むことができる。
【0043】
対象のタンパク質
【0044】
本明細書で使用される用語「対象タンパク質」、「POI」または「対象ポリペプチド」は、対象の任意のアミノ酸配列をいう。
ある場合には、POIが全タンパク質(例えば自然に存在するタンパク質全体、タンパク質全体の修飾されたもの等)である。
ある場合には、POIがタンパク質のフラグメントであり、任意の対象のフラグメントであってもよい。
例えば、タンパク質(例えばドメイン、細胞外のドメイン、タンパク結合ドメイン、酵素のドメイン、エピトープ、既知の機能のあるいは疑わしい機能を有さないタンパク質の一部など)の特定の一部の結合または機能を調査することを望むならば、対象の特定の一部はPOIと呼ぶことができる。
POIが由来するタンパク質は、任意のタンパク質(例えば抗体、リガンド、レセプター、膜タンパク質、分泌タンパク質、細胞内タンパク質、特定のオルガネラに局在するタンパク質、細胞質タンパク質、酵素など)であってもよい。
POIは自然に存在する配列あるいは非自然の存在する配列(例えば合成アミノ酸配列、天然に存在する配列が変異したかまたは修飾されたバージョン等))であってもよい。
【0045】
ある場合には、多数のPOI(例えば2つ以上の異なるPOI)が主題の方法において用いられる。
ある場合には、2つ以上の異なるPOIの少なくとも2つが互いに似ている。
例えば、ある場合には、主題の方法は、特定の化合物へのより高いかより弱い親和性で結合する変異体を特定するために用いることができるスクリーニング法である。
したがって、(例えば、突然変異生成によって生成された)互いの変異体である複数のPOIを用いることができる。
ある場合には、2つ以上のPOIの少なくとも2つが、1から20のアミノ酸(例えば1から19のアミノ酸、1から18のアミノ酸、1から17のアミノ酸、1から16のアミノ酸、1から15のアミノ酸、1から14のアミノ酸、1から13のアミノ酸、1から12のアミノ酸、1から11のアミノ酸、1から10のアミノ酸、1から9のアミノ酸、1から8のアミノ酸、1から7のアミノ酸、1から6のアミノ酸、1から5のアミノ酸、1から4のアミノ酸、1から3のアミノ酸、1から2のアミノ酸あるいは1つのアミノ酸)だけアミノ酸配列で異なる。
【0046】
ストークポリペプチド
【0047】
「ストークポリペプチド」、さらに「合成ストークポリペプチド」として本明細書にて言及されるストークポリペプチドは、細胞表面からのPOIに対するクリアランスを提供するように合成配列(非自然発生の配列)、およびPOIおよびストークポリペプチドが相互に作用しないよう不活性となるように設計されている。
ストークポリペプチドは、POIが表面からの影響を受けないように折り畳まれる(及び場合によっては機能する)ことを可能にしながらもPOIの細胞表面への結合を提供することが目的としている。
さらに、合成ストークポリペプチド(例えば場合によっては、合成GPIポリペプチドなどの合成表面アンカーポリペプチドに加えて)の使用は、不必要な再結合が酵母菌ゲノム内において合成ストーク(および/または合成の表面のアンカーポリペプチド)をコードする酵母菌ゲノム配列とヌクレオチド配列との間で生じないことを確実にすることができる。
【0048】
ストークポリペプチドを設計するのに用いることができる設計特徴は、ポリペプチドのアミノ酸配列の低い複雑性、ポリペプチドの全面的な酸性の特性、ポリペプチドの高親水性、ポリペプチドの定義された二次あるいは三次構造の特徴の欠如、及びO-結合型糖鎖付加部位の高密度を特徴とし、およびストークポリペプチドをコードするヌクレオチド配列での低い自己相似性を含む。
いくつかの場合、ストークポリペプチドがアミノ酸配列の低い複雑性、全面的な酸性の特性、高親水性、定義された二次あるいは三次構造特徴の欠如、高密度のO-結合型糖鎖付加部位、及びストークポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が低い自己相似性を特徴とすることを考慮に入れている。
ある場合には、ストークポリペプチドが、真核細胞(例えば酵母菌細胞)中の発現で強くO糖鎖を形成されるアミノ酸配列を含む。
ある場合には、主題のストークポリペプチド(およびストークポリペプチドをコードするヌクレオチド配列)が、(例えば任意の組み合わせで)上記の機能(例えば任意の組み合わせの中の)のうちのいずれかあるいはすべてを考慮することができる(すなわち、含んでいる)。
【0049】
上記に述べられるように、ある場合には、ストークポリペプチドは真核細胞(例えば酵母菌細胞)中の発現で強くO糖鎖を形成されるアミノ酸配列を含む。
いくつかの場合において、ストークポリペプチド(例えば、合成ストークポリペプチド)は、5アミノ酸の範囲にわたって2から5個のO-結合型糖鎖化部位(例えば、2から4,2から3,3から5,3から4,4から5,2,3,4または5つのOー結合糖鎖付加部位)を有する1以上の領域(例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、または7以上の領域)を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの場合において、ストークポリペプチド(例えば、合成ストークポリペプチド)は、10アミノ酸の範囲にわたって2から5個のO-結合型糖鎖化部位(例えば、2から4,2から3,3から5,3から4,4から5,2,3,4または5つのOー結合糖鎖付加部位)を有する1以上の領域(例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、または7以上の領域)を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの場合において、ストークポリペプチド(例えば、合成ストークポリペプチド)は、1以上の領域(例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、または7以上)で20アミノ酸の範囲にわたって2から5個のO-結合型糖鎖付加部位(例えば、2から4,2から3,3から5,3から4,4から5,2,3,4または5つのOー結合糖鎖付加部位)を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの場合において、ストークポリペプチド(例えば、合成ストークポリペプチド)は、50アミノ酸の範囲にわたって2から5個のO-結合型糖鎖化部位(例えば、2から4,2から3,3から5,3から4,4から5,2,3,4または5つのOー結合糖鎖付加部位)を有する1以上の領域(例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、または7以上の領域)を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの場合において、ストークポリペプチド(例えば、合成ストークポリペプチド)は、100アミノ酸の範囲にわたって2から5個のO-結合型糖鎖付加部位(例えば、2から4,2から3,3から5,3から4,4から5,2,3,4または5つのOー結合糖鎖付加部位)を有する1以上の領域(例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、または7以上の領域)を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの場合において、ストークポリペプチド(例えば、合成ストークポリペプチド)は、200アミノ酸の範囲にわたって2から5個のO-結合型糖鎖化部位(例えば、2から4,2から3,3から5,3から4,4から5,2,3,4または5つのOー結合糖鎖付加部位)を有する1以上の領域(例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、または7以上の領域)を有するアミノ酸配列を含む。
【0050】
ある場合には、ストークポリペプチド(例えば合成ストークポリペプチド)が、1つ以上のO-結合型糖鎖付加部位(例えば2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上あるいは10以上のO-結合型糖鎖付加部位)があるアミノ酸配列を含む。
ある場合には、ストークポリペプチド(例えば合成ストークポリペプチド)が、1から10のO-結合型糖鎖付加部位(例えば、1から9、1から8、1から7、2から10、2から9、2から8あるいは2から7のO-結合型糖鎖付加部位)があるアミノ酸配列を含む。
【0051】
ある場合には、ストークポリペプチド(例えば合成ストークポリペプチド)が、20のアミノ酸につき1つ以上のO-結合型糖鎖付加部位(例えば1.2以上、1.4以上、1.6以上、1.8以上、2以上、2.2以上、2.4以上、2.6以上、2.8以上あるいは3以上のO-結合型糖鎖付加部位)を有しているアミノ酸配列を含む。
ある場合には、ストークポリペプチド(例えば合成ストークポリペプチド)が、40のアミノ酸につき1つ以上のO-結合型糖鎖付加部位(例えば1.2以上、1.4以上、1.6以上、1.8以上、2以上、2.2以上、2.4以上、2.6以上、2.8以上あるいは3以上のO-結合型糖鎖付加部位)を有しているアミノ酸配列を含む。
ある場合には、ストークポリペプチド(例えば合成ストークポリペプチド)が、50のアミノ酸につき1つ以上のO-結合型糖鎖付加部位(例えば1.2以上、1.4以上、1.6以上、1.8以上、2以上、2.2以上、2.4以上、2.6以上、2.8以上あるいは3以上のO-結合型糖鎖付加部位)を有しているアミノ酸配列を含む。
ある場合には、ストークポリペプチド(例えば合成ストークポリペプチド)が、100のアミノ酸につき0.5以上のO-結合型糖鎖付加部位(例えば0.6以上、0.7以上、0.8以上、0.9以上、1以上、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.5以上あるいは2以上のO-結合型糖鎖付加部位)を有しているアミノ酸配列を含む。
ある場合には、ストークポリペプチド(例えば合成ストークポリペプチド)が、100のアミノ酸につき1以上のO-結合型糖鎖付加部位(例えば1.2以上、1.4以上、1.6以上、1.7以上、1.8以上、2以上、2.2以上、2.4以上、2.6以上、2.8以上あるいは3以上のO-結合型糖鎖付加部位)を有しているアミノ酸配列を含む。
ある場合には、ストークポリペプチド(例えば合成ストークポリペプチド)が、200のアミノ酸につき0.5以上のO-結合型糖鎖付加部位(例えば0.6以上、0.7以上、0.8以上、0.9以上、1以上、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.5以上あるいは2以上のO-結合型糖鎖付加部位)を有しているアミノ酸配列を含む。
ある場合には、ストークポリペプチド(例えば合成ストークポリペプチド)が、200のアミノ酸につき1以上のO-結合型糖鎖付加部位(例えば1.2以上、1.4以上、1.6以上、1.7以上、1.8以上、2以上、2.2以上、2.4以上、2.6以上、2.8以上あるいは3以上のO-結合型糖鎖付加部位)を有しているアミノ酸配列を含む。
【0052】
ストークポリペプチドは任意の所望の長さになりえる。
例えば、ある場合には、ストークポリペプチドは、10から2000のアミノ酸(例えば20から2000のアミノ酸、50から2000のアミノ酸、20から1500のアミノ酸、50から1500のアミノ酸、20から1000のアミノ酸、50から1000のアミノ酸、20から800のアミノ酸、50から800のアミノ酸、100から2000のアミノ酸、100から1500のアミノ酸、100から1000のアミノ酸、100から800のアミノ酸、10から100のアミノ酸、20から100のアミノ酸、40から100のアミノ酸、101から200のアミノ酸、201から300のアミノ酸、301から400のアミノ酸、401から500のアミノ酸、501から600のアミノ酸、601から700のアミノ酸、701から800のアミノ酸、801から900のアミノ酸、901から1000のアミノ酸、1001から1500のアミノ酸、または1501から2000のアミノ酸)までの範囲の長さを有しているポリペプチド配列を含む。
ある場合には、ストークポリペプチドが、10以上のアミノ酸(例えば20以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、100以上、125以上、150以上、200以上、250以上、300以上、350以上、400以上、450以上あるいは500以上のアミノ酸)の長さを有しているポリペプチド配列を含む。
【0053】
ある場合には、ストークポリペプチドの長さは表面の接近できる融合蛋白質を定義された分子量の薬剤に対して接近できるようにするために用いることができる。
例えば、もしストークポリペプチドが短い場合には(例えば100以下のアミノ酸)、より大きな薬剤は立体阻害により表面の接近可能な融合蛋白質のPOIに接近できないかもしれない。
したがって、ストークポリペプチドの長さは所望の薬剤と一致するように「調整する」ことができる。
例えば、与えられたPOIに対して結合のために化合物ライブラリーをスクリーニングするか、特定の分子量(閾値分子量)以下の化合物に興味を持っているだけの場合、特定の長さのストークポリペプチドはその閾値分子量を超えた化合物に対する立体阻害を提供するために選ぶことができる。
言いかえれば、与えられたPOIに対する立体の接近性は適切な長さのストークポリペプチドの選択により所望の分子量分画に「調整する」ことができる。
ストークポリペプチドの長さが長いと、立体阻害がより小さく、および高い接近性が高くなる(すなわち、ストークポリペプチドの長さが増えると、表面の接近できる融合蛋白質のPOIに対して結合するために用いることができる薬剤のサイズも増える。)実例に関して、下記の実施例を参照する。
【0054】
適切なストークポリペプチドは本明細書で提供される実施例を含んでいるが、これに限定されない。(図1A-1Cおよび図2A-2B)
S19(19のアミノ酸)(配列番号: 31)
GGGGSGGGGSGSTGGGGGS
S41(41のアミノ酸)(配列番号: 32)
QTSSPSREASVSTSSTSSSASQSSDPTTTSSSTVSTPATGA
S232(232のアミノ酸)(配列番号: 33)
QTSSPSTEASVSTSSTSSSASQSSDPTTTSSSSSSSSPSSQSEEISSSPTVSTTPSTSSSSSSMTSTTTTKSISTSTTSSAPVTDVTVSSSPSKSTSTSTSTETSKTPTSMTEYTSSTSIISTPVSHSQTGLSASSSSSSTTSGSSSTKSESSTTSGSSQSVESTSSHATVLANSAEMVTTSSSSSSTSEMSLTSTATSVPVSSSSSTTYSTSASTQAVTTTSSSTVSTTSS
S465(465のアミノ酸)(SEQ ID NO:34)
QTSSPSTEASVSTSSTSSSASQSSDPTTTSSSSSSSSPSSQSEEISSSPTVSTTPSTSSSSSSMTSTTTTKSISTSTTSSAPVTDVTVSSSPSKSTSTSTSTETSKTPTSMTEYTSSTSIISTPVSHSQTGLSASSSSSSTTSGSSSTKSESSTTSGSSQSVESTSSHATVLANSAEMVTTSSSSSSTSEMSLTSTATSVPVSSSSSTTYSTSASTQAVTTTSSSTVSTTSSSTTLTSAFTHSSTTSSDQPPSDTTSPSTTHEPHVTTQTSSETSSSKSSSTSSSSTSQTSESATPSDSVSPGSSTSTSSSSTSTSTSISSGETTTSSSSSSATTTSNSATLSVSTTQTSIEASSSTTSTSSSTITTSSSSAHISSKSQSSITYPSSSTSSSTSSSISSESESFESTSAEDAPSTAPSSSVSSKSSTSTTSSTSTSSSTPSPSPSSVSSSSTSSLTTSAVSTPAT
S649(649のアミノ酸)(配列番号: 35)
QTSSPSTEASVSTSSTSSSASQSSDPTTTSSSSSSSSPSSQSEEISSSPTVSTTPSTSSSSSSMTSTTTTKSISTSTTSSAPVTDVTVSSSPSKSTSTSTSTETSKTPTSMTEYTSSTSIISTPVSHSQTGLSASSSSSSTTSGSSSTKSESSTTSGSSQSVESTSSHATVLANSAEMVTTSSSSSSTSEMSLTSTATSVPVSSSSSTTYSTSASTQAVTTTSSSTVSTTSSSTTLTSAFTHSSTTSSDQPPSDTTSPSTTHEPHVTTQTSSETSSSKSSSTSSSSTSQTSESATPSDSVSPGSSTSTSSSSTSTSTSISSGETTTSSSSSSATTTSNSATLSVSTTQTSIEASSSTTSTSSSTITTSSSSAHISSKSQSSITYPSSSTSSSTSSSISSESESFESTSAEDAPSTAPSSSVSSKSSTSTTSSTSTSSSTPSPSPSSVSSSSTSSLTTSAVSTPATSHSQSTVVTTTTITTSTGPVMSTTTAYSSSSTSSSESSEVQSVMSSTPSSTSTTTSSESTSSSSTASTSPSTSQTFETSPTIGGVPSTTSFVSTPTTKLSHTTSTMTAQSDSKSTHSSSTSTEDKSSTASAVDESTTTSTSTESTTSVTSGTSHSAKESSSNSKVYSSQTAHSSISVASSPSTK
【0055】
いくつかの場合に、対象の合成ストークポリペプチドは、配列番号31―35(例えば、32―35,33―35、34―35)のいずれかに記載のアミノ酸配列と60%以上のアミノ酸配列同一性(70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上、99.8%以上、99.9%以上あるいは100%のアミノ酸配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの場合に、対象の合成ストークポリペプチドは、配列番号32―35のいずれかに記載のアミノ酸配列と60%以上のアミノ酸配列同一性(70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上、99.8%以上、99.9%以上あるいは100%のアミノ酸配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの場合に、対象の合成ストークポリペプチドは、配列番号33―35のいずれかに記載のアミノ酸配列と60%以上のアミノ酸配列同一性(70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上、99.8%以上、99.9%以上あるいは100%のアミノ酸配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。
【0056】
表面のアンカーポリペプチド
【0057】
表面の接近可能な融合タンパク質の主題の表面アンカーポリペプチドは、細胞表面に融合タンパク質をしっかり固定する。
ある場合には、表面のアンカーポリペプチドが糖鎖ホスファチジルイノシトール(GPI)アンカードメインである(あるいは由来する)。
酵素、コート蛋白、表面抗原および接着分子を含む広範囲の細胞表面タンパク質は、GPIアンカーによって原形質膜に付けられている。(Burikofer et al. 2002 FASEB J 15:545).
GPIは翻訳後に付加された脂質アンカーである;
したがって、異なる膜貫通ドメインを有し、特定の細胞質の伸長につながる従来のポリペプチドアンカーとは異なりGPIアンカーは、連結されたタンパク質にかかわらず膜に結合する共通の脂質構造を使用する。(Englund et al., Annul Rev. Biochem. 62:121 (1993)).
【0058】
GPIアンカータンパク質は、タンパク質を小胞体(ER)の内腔に標的化する、N末端またはその近傍の切断可能な疎水性シグナル配列、あるいはGPIアンカーを導くC末端またはその近くの切断可能なシグナル配列(GPIアンカードメイン)を有する前駆体として合成される。
GPIアンカーはGPIアンカードメインがあるタンパク質に付加される場合、GPIアンカードメインの全てあるいは一部はタンパク質から切断され、あるいはGPIアンカーはタンパク質に対して付加される。
GPIアンカードメインは、親水性のスペーサー領域によってGPI結合部位(オメガサイト)から分離された疎水性領域を含んでいる。
【0059】
GPIアンカータンパク質は、人間から昆虫、酵母菌、バクテリアおよび菌類まで及ぶ、広範囲の真核生物の種の全体にわたって同定された。
GPIアンカードメインは、多くのタンパク質のために同定された。(例えば、Cares et al., Science 243:1196 (1989)を参照)
GPIアンカーシグナルは、他のタンパク質のC末端の上にうまく組み替えられた。また、これらのGPIアンカータンパク質は細胞表面上でコーティングされ、機能的である。(Anderson et al., P.N.A.S. 93:5894 (1996); Brunschwig et al., J. Immunother. 22:390 (1999))
【0060】
以下の適切なGPIアンカードメインの例は以下の文献位開示されるドメインを含んでいるが、これらに限定されない。:Doering, T. L. et al.(1990) J. Biol.Chem. 265:611-614;McConville, M. J. et al.(1993) Biochem.J. 294:305-324;及び PCT Publication WO 2003017944;
これら全体は、引用によって本明細書によって組込まれる。
【0061】
いかなる好適なGPIアンカードメインも表面のアンカーポリペプチドとしては用いることができる。
主題方法、および組成物のために有益なGPIの表面のアンカーポリペプチドの例(例えばS.cerevisiaeタンパク質で発見されたGPI配列)は以下のものを含むが、これに限定されない:
IQQNFTSTSLMISTYEGKASIFFSAELGSIIFLLLSYLLF(配列番号: 51)
EKSTNSSSSATSKNAGAAMDMGFFSAGVGAAIAGAAAMLL(配列番号: 52)
SLLKSAASATSSSQSSSKSKGAAGIIEIPLIFRALAELYNLVL(配列番号: 53)
SSGASSSSSKSSKGNAAIMAPIGQTTPLVGLLTAIIMSIM(配列番号: 54)
AQANVSASASSSSSSSKKSKGAAPELVPATSFMGVVAAVGVALL(配列番号: 55)
GPGEKARKNNAAPGPSNFNSIKLFGVTAGSAAVAGALLLL(配列番号: 56)
SSTGMLSPTSSSSTRKENGGHNLNPPFFARFITAIFHHI(配列番号: 57)
SSFSSSGGSSESTTKKQNAGYKYRSSFSFSLLSFISYFLL(配列番号: 58)
YKSTVNGKVASVMSNSTNGATAGTHIAYGAGAFAVGALLL(配列番号: 59)
SGNLTTSTASATSTSSKRNVGDHIVPSLPLTLISLLFAFI(配列番号: 60)
GKNGAKSQGSSKKMENSAPKNIFIDAFKMSVYAVFTVLFSIIF(配列番号: 61)
TGSSSASSSSKSKGVGNIVNVSFSQSGYLALFAGLISALL(配列番号: 62)
ASGSSTHKKNAGNALVNYSNLNTNTFIGVLSVISAVFGLI(配列番号: 63)
EDADEDKDDLKRKHRNSASISGPLLPLGLCLLFFTFSLFF(配列番号: 64)
GPI表面アンカーポリペプチドが由来するタンパク質には、以下のものを含むがこれに限定されない:接合型タンパク質凝集素a-1(Aga1)、flocculinタンパク質(例えばFlo1)、Sed1、Cwp1、Cwp2、Tip1、Tir1/Srp1、CCW14、CIS3、CWP1、PIR1およびPIR3.
ある場合には、主題の表面アンカーポリペプチドが、配列番号:51-64のうちのいずれかにおいて示されたアミノ酸配列と60%以上のアミノ酸配列同一性(60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、92%以上、95%以上あるいは100%のアミノ酸配列同一性)を有しているアミノ配列を含む。
ある場合には、主題表面アンカーポリペプチドが、配列番号:51において示されたアミノ酸配列と60%以上のアミノ酸配列同一性(60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、92%以上、95%以上あるいは100%のアミノ酸配列同一性)を有しているアミノ配列を含む。
【0062】
ある場合には、表面のアンカーポリペプチドが異種である(例えば表面の接近可能な融合タンパク質が発現される宿主細胞に対して異なる種または異なる生物からのGPIアンカードメイン)。
異種の表面のアンカーポリペプチド(例えばいくつかの場合に合成ストークポリペプチドに加えて)の使用は不必要な再結合が酵母ゲノム内において、異種の表面のアンカーポリペプチド(および/または合成ストークポリペプチド)をコードする酵母菌ゲノム配列とヌクレオチド配列との間に生じる可能性を減少させることができる。
【0063】
ある場合には、表面のアンカーポリペプチドが、合成ポリペプチドである。(すなわち、表面のアンカーポリペプチドは、自然発生でないアミノ酸配列を含む)
合成の表面のアンカーポリペプチド(例えば合成GPIアンカードメイン)(いくつかの場合に合成ストークポリペプチドに加えて)の使用は不必要な再結合が酵母ゲノム内において、合成の表面のアンカーポリペプチド(および/または合成ストークポリペプチド)をコードする酵母菌ゲノム配列とヌクレオチド配列との間に生じる可能性を減少させることができる。
【0064】
適切な合成(例えば、ハイブリッド)GPI表面アンカーポリペプチドの例は以下である:
QIQSSMVEISTYAGSANSVNAGAGAGALFLLLSLAII(配列番号: 71)。
【0065】
ある場合には、主題の表面アンカーポリペプチド(例えば、GPIアンカードメイン)は、配列番号51-64及び71で示されたアミノ酸配列(GPIアンカードメインのアミノ酸配列)と60%以上のアミノ酸配列同一性(60%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、92%以上、95%以上、または100%のアミノ酸配列同一性)を有しているアミノ酸配列を含む。
いくつかの場合に、主題の合成表面アンカーポリペプチドは配列番号71で示されたアミノ酸配列と60%以上のアミノ酸配列同一性(60%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、92%以上、95%以上あるいは100%のアミノ酸配列同一性)を有しているアミノ配列を含む。
いくつかの場合に、主題合成表面アンカーポリペプチドは配列番号71で示されたアミノ酸配列を含む。
【0066】
したがって、ある場合には、表面の接近可能な融合タンパク質は表面のアンカーポリペプチドとしてGPIアンカードメインを含んでいる。
そのため、GPIアンカードメインは、シグナルポリペプチドおよびストークポリペプチドの両方のC末端に位置することができる。
そのような場合、POIは、ストークポリペプチドのN末端およびシグナルポリペプチドのC末端(例えば、シグナルポリペプチドとストークポリペプチドとの間)に位置するだろう。
したがっていくつかの場合(例えば表面の接近可能な融合タンパク質が表面のアンカーポリペプチドとしてGPIアンカードメインを含む場合)に、表面の接近可能な融合タンパク質の構成要素は、N末端からC末端まで、シグナルポリペプチド、POI、ストークポリペプチド(例えば合成ストークポリペプチド)、および表面のアンカーポリペプチド(例えばGPIアンカードメイン)を含んでいる。
したがって、ある場合には、表示部分(下記に説明されるように)および/または表面の接近可能な融合タンパク質は、表面のアンカーポリペプチドとしてはGPIアンカードメインを含んでいる。
ある場合には、より詳細に下記に説明されるように、表面の接近可能な融合タンパク質はさらに1つ以上のタグを含んでいてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態において、表面のアンカーポリペプチドは、細胞の原形質膜の中へ挿入される膜貫通性(TM)ドメイン(例えば膜貫通性へリックス)を含む。
【0068】
ある場合には、表面の接近可能な融合タンパク質が、I形膜タンパク質である。(例えば、表面のアンカーポリペプチドとしてはI形TMドメインを有している)
そのため、TMドメインは、シグナルポリペプチドおよびストークポリペプチドの両方のC末端に位置づけられる。
そのような場合、POIは、ストークポリペプチドのN-末端及びシグナルポリペプチドのC-末端(例えばシグナルポリペプチドおよびストークポリペプチドの間)に位置するだろう。
言いかえれば、そのような場合、TMドメインは表面の接近可能な融合タンパク質のC末端の近くに位置し、および、POIおよびストークポリペプチドは両方ともTMドメインのN末端に位置するだろう。
したがって、ある場合であって(例えば表面の接近可能な融合タンパク質がI型膜タンパク質であり、表面のアンカーポリペプチドとしてTMドメインを含んでいる場合)、表面の接近可能な融合タンパク質の構成要素は、N末端からC末端まで、シグナルポリペプチド、POI、ストークポリペプチド(例えば合成ストークポリペプチド)および表面のアンカーポリペプチド(例えばTMドメイン、I型TMドメイン)を含んでいる。
したがって、ある場合には、表示部分(下記に説明されるように)および/または表面の接近可能な融合タンパク質は、表面のアンカーポリペプチドとしてI型TMドメインを含んでいる。
ある場合には、より詳細に下記に説明されるように、表面の接近可能な融合タンパク質はさらに1つ以上のタグを含んでいてもよい。
【0069】
ある場合には、表面の接近可能な融合タンパク質が、II型膜タンパク質であって(例えば、表面のアンカーポリペプチドとしてはII型TMドメインを有している)である。
そのため、TMドメインは、シグナルポリペプチドC末端およびストークポリペプチドのN末端に位置することができる。
そのような場合、POIはストークポリペプチドのC末端に位置するだろう。
言いかえれば、そのような場合、TMドメインは表面の接近可能な融合タンパク質のN末端の近くに位置し、及びストークポリペプチドおよびPOIは両方ともTMドメインのC末端に位置するだろう。
したがって、ある場合(例えば表面の接近可能な融合タンパク質がII型膜タンパク質であって、表面のアンカーポリペプチドとしてTMドメインを含んでいる場合)には、表面の接近可能な融合タンパク質の構成要素は、N末端からC末端まで、シグナルポリペプチド、表面のアンカーポリペプチド(例えば TMドメイン、II型TMドメイン)、ストークポリペプチド(例えば合成ストークポリペプチド)およびPOIを含んでいる。
したがって、ある場合には、表示部分(下記に説明されるように)および/または表面の接近可能な融合タンパク質は、表面のアンカーポリペプチドとしてはII型TMドメインを含んでいる。
ある場合には、より詳細に下記に説明されるように、表面の接近可能な融合タンパク質はさらに1つ以上のタグを含んでいてもよい。
【0070】
タグ
【0071】
ある場合には、主題の表面に接近可能な融合タンパク質がタグを含んでいる。
本明細書に使用される用語「タグ」は、(直接および/または間接的に)検知できる、及び追跡および/または精製の容易さを提供するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
適切なタグの例は当業者に対して知られるだろう。また、どんな好適なタグも用いることができる。
適切なタグの例は、直接検知できるタグ(例えば蛍光性のポリペプチド(例えば緑色蛍光タンパク質、YFP、RFP、CFP、mCherry、tdTomatoなど)(GFP));およびアフィニティータグ。(例えばヒスチジン・タグ(例えば6XHisタグ);赤血球凝集素(HA)タグ;FLAGタグ;Mycタグ;など)を含んでいるがこれに限定しない
ある場合には、表面の接近可能な融合タンパク質が1つを超えるタグを含んでいる。
したがって、ある場合には、主題の表面に接近可能な融合タンパク質は1つ以上のタグ(2以上、3以上、4以上のタグ、または1、2、3あるいは4つのタグ、)を含んでいる。
タグは、表面の接近可能な融合タンパク質内のいかなる場所にも位置することができる。
例えば、タグは以下に位置することができる:
(i)シグナルポリペプチドのC末端及びPOIのN末端;
および/または(ii)POIのC末端および合成ストークポリペプチドのN末端。
表面の接近可能な融合タンパク質に1つを超えるタグがある場合に、タグは、POI(例えば、1つ以上のタグは、シグナルポリペプチドのC末端およびPOIのN末端に位置する、および、1つ以上のタグは、POIのC末端および合成ストークポリペプチドのN末端に位置する。)のどちらの端にも置くことができる。
ある場合には、タグが連続して(すなわちならんで)位置する。
【0072】
表面の接近可能な融合タンパク質
【0073】
主題の表面に接近可能な融合タンパク質は、複数の構成要素(例えばモジュラーであり、それらが単一のタンパク質を構成するようにペプチド結合によってともに連結されるポリペプチド構成要素から合成されているタンパク質)を含んでいる単一のタンパク質である。
主題の表面に接近可能な融合タンパク質の様々な構成要素(例えばシグナルポリペプチド、POI、タグ、ストークポリペプチド、表面のアンカーポリペプチド)は、(介在するアミノ酸なしで)直接つぎつぎに連結され、あるいは、リンカーアミノ酸(例えば任意の数のリンカーアミノ酸)によって分離することができる。
例えば、ある場合には、主題の表面に接近可能な融合タンパク質の2つの与えられた構成要素を分離するアミノ酸はない。
ある場合には、主題の表面に接近可能な融合タンパク質の2つの与えられた構成要素を分離する1つ以上のアミノ酸(例えば2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、15以上、20以上、25以上、30以上あるいは40以上のアミノ酸)がある。
ある場合には、20以下のアミノ酸(例えば15以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下あるいは2以下のアミノ酸)がある、主題の表面に接近可能な融合タンパク質の2つの与えられた構成要素を分離している。
【0074】
ある場合には、主題の表面に接近可能な融合タンパク質が、シグナルポリペプチド、POI、ストークポリペプチドおよび表面のアンカーポリペプチドから成る。
ある場合には、主題の表面に接近可能な融合タンパク質が、シグナルポリペプチド、POI、ストークポリペプチド、表面のアンカーポリペプチドおよび1つ以上のタグから成る。
ある場合には、主題の表面に接近可能な融合タンパク質が、シグナルポリペプチド、POI、ストークポリペプチドおよび表面のアンカーポリペプチドから本質的になる。
ある場合には、主題の表面に接近可能な融合タンパク質が、シグナルポリペプチド、POI、ストークポリペプチド、表面のアンカーポリペプチドおよび1つ以上のタグから本質的に成る。
【0075】
適切な表面の接近可能な融合タンパク質の説明の2つの実例が下記に描かれる。
2つの実例で、CV1は表示されるべきPOIである。
それは高親和性を有するCD47に結合するのは前に述べられた改変タンパク質である。
以下の2つの実例において、CV1は、649アミノ酸ストークおよび2つの異なるGPIアンカーのうちの1つにつながれた、表面に接近可能な融合タンパク質として酵母菌細胞上に表示される:
【0076】
「CV1 pYDS649HM」
シグナル配列:
接合因子アルファリーダー(アミノ酸1-87)(配列番号: 11)対象のタンパク質:
CV1(アミノ酸90-208)(配列番号: 7)HAエピトープタグ(アミノ酸211-219)(配列番号: 8)ストーク:
649のアミノ酸ストーク(アミノ酸220-868)(配列番号: 35)
表面のアンカー:
ハイブリッドGPIアンカードメイン(アミノ酸871-907)(配列番号: 71)MRFPSIFTAVLFAASSALAAPANTTTEDETAQIPAEAVIDYSDLEGDFDAAALPLSNSTNNGLSSTNTTIASIAAKEEGVQLDKREASAEEELQIIQPDKSVLVAAGETATLRCTITSLFPVGPIQWFRGAGPGRVLIYNQRQGPFPRVTTVSDTTKRNNMDFSIRIGNITPADAGTYYCIKFRKGSPDDVEFKSGAGTELSVRAKPSGSYPYDVPDYAQTSSPSTEASVSTSSTSSSASQSSDPTTTSSSSSSSSPSSQSEEISSSPTVSTTPSTSSSSSSMTSTTTTKSISTSTTSSAPVTDVTVSSSPSKSTSTSTSTETSKTPTSMTEYTSSTSIISTPVSHSQTGLSASSSSSSTTSGSSSTKSESSTTSGSSQSVESTSSHATVLANSAEMVTTSSSSSSTSEMSLTSTATSVPVSSSSSTTYSTSASTQAVTTTSSSTVSTTSSSTTLTSAFTHSSTTSSDQPPSDTTSPSTTHEPHVTTQTSSETSSSKSSSTSSSSTSQTSESATPSDSVSPGSSTSTSSSSTSTSTSISSGETTTSSSSSSATTTSNSATLSVSTTQTSIEASSSTTSTSSSTITTSSSSAHISSKSQSSITYPSSSTSSSTSSSISSESESFESTSAEDAPSTAPSSSVSSKSSTSTTSSTSTSSSTPSPSPSSVSSSSTSSLTTSAVSTPATSHSQSTVVTTTTITTSTGPVMSTTTAYSSSSTSSSESSEVQSVMSSTPSSTSTTTSSESTSSSSTASTSPSTSQTFETSPTIGGVPSTTSFVSTPTTKLSHTTSTMTAQSDSKSTHSSSTSTEDKSSTASAVDESTTTSTSTESTTSVTSGTSHSAKESSSNSKVYSSQTAHSSISVASSPSTKGAQIQSSMVEISTYAGSANSVNAGAGAGALFLLLSLAII(配列番号: 9)
【0077】
「CV1 pYDS649alphaM」
シグナル配列:
接合因子アルファリーダー(アミノ酸1-87)(配列番号: 11)対象のタンパク質:
CV1(アミノ酸90-208)(配列番号: 7)HAエピトープタグ(アミノ酸211-219)(配列番号: 8)ストーク:
649のアミノ酸ストーク(アミノ酸220-868)(配列番号: 35)
表面のアンカー:Agg1p GPIアンカードメイン:(アミノ酸871-910)(配列番号: 51)MRFPSIFTAVLFAASSALAAPANTTTEDETAQIPAEAVIDYSDLEGDFDAAALPLSNSTNNGLSSTNTTIASIAAKEEGVQLDKREASAEEELQIIQPDKSVLVAAGETATLRCTITSLFPVGPIQWFRGAGPGRVLIYNQRQGPFPRVTTVSDTTKRNNMDFSIRIGNITPADAGTYYCIKFRKGSPDDVEFKSGAGTELSVRAKPSGSYPYDVPDYAQTSSPSTEASVSTSSTSSSASQSSDPTTTSSSSSSSSPSSQSEEISSSPTVSTTPSTSSSSSSMTSTTTTKSISTSTTSSAPVTDVTVSSSPSKSTSTSTSTETSKTPTSMTEYTSSTSIISTPVSHSQTGLSASSSSSSTTSGSSSTKSESSTTSGSSQSVESTSSHATVLANSAEMVTTSSSSSSTSEMSLTSTATSVPVSSSSSTTYSTSASTQAVTTTSSSTVSTTSSSTTLTSAFTHSSTTSSDQPPSDTTSPSTTHEPHVTTQTSSETSSSKSSSTSSSSTSQTSESATPSDSVSPGSSTSTSSSSTSTSTSISSGETTTSSSSSSATTTSNSATLSVSTTQTSIEASSSTTSTSSSTITTSSSSAHISSKSQSSITYPSSSTSSSTSSSISSESESFESTSAEDAPSTAPSSSVSSKSSTSTTSSTSTSSSTPSPSPSSVSSSSTSSLTTSAVSTPATSHSQSTVVTTTTITTSTGPVMSTTTAYSSSSTSSSESSEVQSVMSSTPSSTSTTTSSESTSSSSTASTSPSTSQTFETSPTIGGVPSTTSFVSTPTTKLSHTTSTMTAQSDSKSTHSSSTSTEDKSSTASAVDESTTTSTSTESTTSVTSGTSHSAKESSSNSKVYSSQTAHSSISVASSPSTKGAIQQNFTSTSLMISTYEGKASIFFSAELGSIIFLLLSYLLF(配列番号: 10)
【0078】
核酸
【0079】
本開示の態様は、表面の接近可能な融合タンパク質を発現するための核酸、表面の接近可能な融合タンパク質をコードする核酸、およびこれら核酸を用いる方法(例えば、細胞の表面上で表面の接近可能な融合タンパク質を発現するため、表面の接近可能な融合タンパク質に結合する化合物をスクリーニング、目的の化合物に結合するポリペプチドをスクリーニング、など)を含む。ある場合には、主題の核酸は、組み換え発現ベクター(例えば、主題の表面の接近可能な融合タンパク質を発現するための)である。
【0080】
ある場合には、表面の接近可能な融合タンパク質を発現するための主題の核酸は、目的のタンパク質(POI)をコードするヌクレオチド配列を含まない。例えば、核酸は、POI(例えば、シグナルポリペプチドとストークポリペプチドをコードするヌクレオチド配列間の)を包含するための前駆体であり得る。例えば、核酸は、シグナルポリペプチド、ストークポリペプチド、および表面のアンカーポリペプチド(およびある場合にはタグ)をコードするヌクレオチド配列を含み得る。それらの全ては、プロモーターが目的の真核宿主細胞(例えば、真核細胞、哺乳動物細胞、真菌細胞、酵母細胞、S.cerevisiae細胞、など)において機能的である同じプロモーターに動作可能に連結されているが、核酸はPOIをコードするヌクレオチドを含まないかもしれない。ある場合には、そのような核酸は、組み換え発現ベクターである。
【0081】
ある場合には、核酸(例えば、組み換え発現ベクター)が、POIの挿入のための挿入部位を含む。例えば、POIをコードするヌクレオチドを挿入するための挿入部位は、シグナルポリペプチドとストークポリペプチド(シグナル:ストーク接合部)、シグナルポリペプチドとタグ(シグナル:タグ接合部)、タグとストークポリペプチド(タグ:ストーク接合部)、および/または第1のタグおよび第2のタグ(タグ:タグ接合部)をコードするヌクレオチドの間に存在し得る。ある場合には、POIをコードするヌクレオチドを挿入するための挿入部位は、ストークポリペプチドをコードするヌクレオチドに隣接して位置する。
【0082】
様々な技術とともに使用するための挿入部位は、当業者にとって既知のものであり且つ、任意の好都合な挿入部位が使用され得る。言いかえれば、挿入部位は核酸配列を処理するための任意の方法であり得る。例えば、ある場合には、挿入部位は、多回クローニング部位(例えば1つ以上の制限酵素部位を含む部位)、ライゲーション非依存的なクローニングのための部位、組み換えに基づいたクローニング(例えばatt部位に基づいた組み換え)のための部位、CRISPR(例えばCas9)に基づいた技術によって認識されたヌクレオチド配列に基づいた技術、などであり得る。ある場合には、主題の表面の接近可能な融合タンパク質の1つの構成要素をコードするヌクレオチドと、主題の表面の接近可能な融合タンパク質の他の構成要素をコードするヌクレオチドとの接合部(例えば、シグナル:ストーク接合部、タグ:ストーク接合部、および/またはタグ:タグ接合部)によって、挿入部位は定義され得て、介在するヌクレオチドが存在しないようである。挿入部位の目的は、目的のタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むよう修復して(例えば、場合によっては置換させる)ことである。これは挿入部位が任意の所望の長さであり、3’構成要素(例えば、ストークポリペプチド及び表面のアンカーポリペプチドをコードするヌクレオチド)とインフレームである必要がないためである。当業者は、一旦POIをコードするヌクレオチドが挿入部位に挿入されれば、それらが上流の配列(例えば、シグナルポリペプチドをコードする配列)および下流の配列(例えば、ストークポリペプチドおよび表面のアンカーポリペプチドをコードする配列)の両方にインフレームである必要があると十分に理解するであろう。
【0083】
したがって、ある場合には、主題の核酸(細胞の表面の目的のポリペプチドの発現するための)は、表示部分をコードするヌクレオチド配列を含む。本明細書で用いられるような「表示部分」は、POI以外に、主題の表面の接近可能な融合タンパク質の構成要素の組み合わせを指す。例えば、表示部分は、(必ずその順番ではないが)シグナルポリペプチド、ストークポリペプチド(例えば合成ストークポリペプチド)及び、表面のアンカーポリペプチドを含み得る。ある場合には、N末端からC末端まで順番に、表示部分は、シグナルポリペプチド、ストークポリペプチド(例えば合成ストークポリペプチド)および表面のアンカーポリペプチド(例えばGPIアンカードメイン、I型TMドメインなど)を含む。ある場合には、N末端からC末端まで順番に、表示部分は、シグナルポリペプチド、表面のアンカーポリペプチド(例えばII型TMドメイン、II型膜タンパク質由来のTMドメインなど)及び、ストークポリペプチド(例えば合成ストークポリペプチド)を含む。主題の核酸がPOIを含まない場合(例えば、核酸がPOIのための挿入部位を含んでいる場合、核酸がPOIをコードするヌクレオチド配列の挿入のために用いられることが意図される場合、など)、表示部分の構成要素をコードするヌクレオチドは、POIをコードするヌクレオチド配列の挿入に先立って互いにインフレームである必要はない。例えば、それらは、POIをコードするヌクレオチド配列の挿入の後に互いにインフレームであり、それによりコードされた表面の接近可能な融合タンパク質が表示部分(すなわち、シグナルポリペプチド、ストークポリペプチド、表面のアンカーポリペプチド;その順序は上述されるような表面のアンカーポリペプチドの性質に依存して変化し得る)の構成要素を含むようにあり得る。そのような場合、核酸は、表示部分をコードするヌクレオチド配列を含む核酸と今までどおり称することができる。
【0084】
ある場合には、主題の表示部分は、シグナルポリペプチド、ストークポリペプチドおよび、表面のアンカーポリペプチドを含む。ある場合には、主題の表示部分は、シグナルポリペプチド、ストークポリペプチド、表面のアンカーポリペプチドおよび、1つ以上のタグを含む。ある場合には、主題の表示部分は、シグナルポリペプチド、ストークポリペプチドおよび、表面のアンカーポリペプチドからなる。ある場合には、主題の表示部分は、シグナルポリペプチド、ストークポリペプチド、表面のアンカーポリペプチドおよび、1つ以上のタグからなる。ある場合には、主題の表示部分は、シグナルポリペプチド、ストークポリペプチドおよび、表面のアンカーポリペプチドから本質的になる。ある場合には、主題の表示部分は、シグナルポリペプチド、ストークポリペプチド、表面のアンカーポリペプチドおよび、1つ以上のタグから本質的になる。
【0085】
例えば、ある場合には、主題の核酸(細胞の表面上で目的のポリペプチドの発現するための)は、(i)シグナルポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列;(ii)合成ストークポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列;及び、(iii)表面のアンカーポリペプチドをコードする第3のヌクレオチド配列;をコードする核酸配列を含む。ある場合に、(i)、(ii)及び(iii)は、5’から3’方向に互いに関連して位置して且つ、同じプロモーターに動作可能に連結されており、プロモーターは、宿主細胞(例えば真核細胞、脊椎動物細胞、無脊椎動物細胞、哺乳動物細胞、真菌細胞、酵母細胞など)において機能的である。いくつかのそのような場合において、核酸は、目的のタンパク質(POI)をコードするヌクレオチド配列を挿入するための(上述の)挿入部位を含み、該挿入部位は、(i)の3’および(ii)の5’に位置する。ある場合には、核酸はまた、タグをコードするヌクレオチド配列(例えば、他の構成要素[(i)、(ii)および(iii)]をコードするヌクレオチド配列の少なくとも1つとインフレームとなるように配置される)を含む。
【0086】
ある場合(例えば主題の核酸が表示部分をコードするヌクレオチド配列を含んでいる場合)には、前記の(i)、(ii)及び(iii)は、(i)、(iii)及び(ii)の順番で(例えば、表面のアンカーポリペプチドはTMドメインであり、表面の接近可能な融合タンパク質がII型膜タンパク質である場合)、5’から3’方向に互いに関連して、:に位置して且つ、同じプロモーターに動作可能に連結され、該プロモーターは、宿主細胞(例えば真核細胞、脊椎動物細胞、無脊椎動物細胞、哺乳動物細胞、真菌細胞、酵母細胞など)において機能的である。いくつかのそのような場合において、核酸は、目的のタンパク質(POI)をコードするヌクレオチド配列を挿入するための(上述の)挿入部位を含み、該挿入部位は、(ii)の3’に位置する。ある場合には、核酸はまた、タグをコードするヌクレオチド配列(例えば、他の構成要素[(i)、(ii)および(iii)]をコードするヌクレオチド配列の少なくとも1つとインフレームとなるように配置される)を含む。
【0087】
表面の接近可能な融合タンパク質をコードする核酸は、表面の接近可能な融合タンパク質(シグナルポリペプチド、目的のタンパク質(POI)、ストークポリペプチドおよび表面のアンカーポリペプチドを有する融合タンパク質)(およびある場合には、タグ)をコードするヌクレオチド配列を含む。ある場合には、表面の接近可能な融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、目的の真核生物の宿主細胞(例えば、真核細胞、哺乳動物細胞、真菌細胞、酵母細胞、S.cerevisiae細胞、など)において機能的なプロモーターに動作可能に連結される。
【0088】
そのため、ある場合には、主題の核酸(例えば、表面の接近可能な融合タンパク質をコードする)は、(i)シグナルポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列;(ii)目的のタンパク質(POI)をコードする第2のヌクレオチド配列;(iii)合成ストークポリペプチドをコードする第3のヌクレオチド配列;及び(iv)表面のアンカーポリペプチドをコードする第4のヌクレオチド配列;を含む。いくつかのそのような場合、[(i)、(ii)、(iii)、そして(iv)]の順番で(i)、(ii)、(iii)及び(iv)は、5’から3’まで、位置し且つ、シグナルポリペプチド、POI、ストークポリペプチド及び、表面のアンカーポリペプチド(例えば、ある場合においてはその順番で)を含む表面の接近可能な融合タンパク質を集団的にコードするように、互いにインフレームである。ある場合には、コードされた表面の接近可能な融合タンパク質はタグも含み、それにより核酸が前記タグをコードするヌクレオチド配列を含む。ある場合には、表面の接近可能な融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、目的の真核生物の宿主細胞(例えば、真核細胞、哺乳動物細胞、真菌細胞、酵母細胞、S.cerevisiae細胞、など)において機能的なプロモーターに動作可能に連結される。
【0089】
ある場合には、主題の核酸(例えば、表面の接近可能な融合タンパク質をコードする)は、(i)シグナルポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列;(ii)表面のアンカーポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列(例えば表面の接近可能な融合タンパク質がII型膜タンパク質である場合のTMドメイン);(iii)合成ストークポリペプチドをコードする第3のヌクレオチド配列;及び(iv)目的のタンパク質(POI)をコードする第4のヌクレオチド配列;を含む。いくつかのそのような場合、(i)、(ii)、(iii)及び(iv)は、[((i)、(ii)、(iii))、そして(iv)]の順番で5’から3’まで位置して且つ、シグナルポリペプチド、表面のアンカーポリペプチド、ストークポリペプチド及び、POI(例えば、ある場合においてはその順番で)を含む表面の接近可能な融合タンパク質を集団的にコードするように、互いにインフレームである。ある場合には、コードされた表面の接近可能な融合タンパク質はタグを含み、それにより核酸が前記タグをコードするヌクレオチド配列を含むようにある。ある場合には、表面の接近可能な融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、目的の真核生物の宿主細胞(例えば、真核細胞、哺乳動物細胞、真菌細胞、酵母細胞、S.cerevisiae細胞、など)において機能的なプロモーターに動作可能に連結される。
【0090】
本明細書で用いられる「プロモーター配列」あるいは「プロモーター」は、RNAポリメラーゼに結合し且つ、下流(3’方向)のコード配列または非コード配列の転写を開始することができるDNA制御領域である。本開示の目的のために、プロモーター配列は、転写開始部位によってその3’末端で結合され且つ、上流(5’方向)に伸びることで、上記の背景で検知できるレベルに転写を開始するのに必須の少なくとも最小数の塩基又はエレメントを含む。プロモーター配列内には、RNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメインが見られるだろう。真核生物のプロモーターは、常にではないが、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスをしばしば含むだろう。誘導性プロモーターを含む様々なプロモーターは、本発明の様々なベクターを動かす(drive)ために用いられ得る。プロモーターは、本質的に活性プロモーター(すなわち、本質的に活性/「オン」状態にあるプロモーター)であり得る。プロモーターは、誘導性プロモーター(すなわち、外部刺激例えば特定の温度、化合物、またはタンパク質の存在によって調節される、活性/「オン」または不活性/「オフ」の状態プロモーター)であり得る。
【0091】
任意の好都合なプロモーターを用いることができ且つ、多くのプロモーターは、当業者にとって容易に利用可能である。表面の接近可能な融合タンパク質が発現される細胞(例えば真核細胞、真菌細胞、酵母細胞、脊椎動物細胞、哺乳動物細胞、無脊椎動物細胞など)においてプロモーターは、機能的でなければならないことが十分に理解されるであろう。酵母発現ベクターにおいて有用なプロモーターの例は、限定されないが:AOX1プロモーター、ガラクトース誘導性プロモーター(例えばpGAL1、pGAL1-10、pGal4、pGal10など)、ホスホグリセレートキナーゼ(pPGK)プロモーター、シトクロムc(pCYC1)プロモーター、アルコール脱水素酵素1(pADH1)プロモーター、などを含む。
【0092】
さらなる典型的なプロモーターは、限定されないが、SV40初期のプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス末端反復配列(LTR)プロモーター;アデノウイルスマヨール後期プロモーター(Ad MLP);単純疱疹ウイルス(HSV)プロモーター、CMV前初期プロモーター領域(CMVIE)のようなサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ヒトU6小型核プロモーター(U6)(Miyagishiら、Nature Biotechnology 20、497 -500(2002))、高められたU6プロモーター(例えば、XiaらNucleic Acids Res. 2003、9月 1; 31(17))、ヒトH1プロモーターなど(H1)を含む。
【0093】
誘導性プロモーターの例は、限定されないが、T7 RNAポリメラーゼプロモーター、T3 RNAポリメラーゼプロモーター、イソプロピルベータD-チオガラクトピラノシド(IPTG)-制御プロモーター、ラクトース誘発プロモーター、熱ショックプロモーター、テトラサイクリン制御プロモーター、ステロイド制御プロモーター、金属制御プロモーター、エストロゲンレセプター制御プロモーターなどを含む。したがって、誘導性プロモーターは、分子によって制御され、分子は、限定されないが、ドキシサイクリン;RNAポリメラーゼ、例えばT7 RNAポリメラーゼ;エストロゲンレセプター;エストロゲンレセプター融合体;などを含む。
【0094】
上述の核酸はいずれも、組み換え発現ベクター(それは主題の表面の接近可能な融合タンパク質を発現するための任意の好都合なプロモーターを含み、限定されないが、上述のプロモーターのいずれかを含み得る)になり得る。いくつかの実施形態において、主題の組み換え発現ベクターは、表面の接近可能な融合タンパク質の発現および表示を導くように宿主細胞において動作可能である。いくつかの実施形態において、主題の組み換え発現ベクターは、表面の接近可能な融合タンパク質の発現および表示を導くように、酵母菌において動作可能である。
【0095】
酵母における組み換え遺伝子の発現のための様々な必要条件を満たす、広範囲の組み換え発現ベクターは、当該技術分野において公知であり、市販されている。ほとんどの酵母ベクターは、シャトルベクターであり、それらはバクテリア(例えば、大腸菌)内で選択され、増殖させることを可能にし、従って、インビトロでの好都合な増幅およびその後の修飾を可能にする配列を含む。多くの一般的な酵母シャトルベクターは、pBR322に由来する。それらは、大腸菌において高いコピー回数の維持を促進する複製開始点(例えば、ColE1の複製開始点)及び、選択可能な抗生物質マーカー(例えば、ベータ-ラクタマーゼ遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、それぞれアンピシリンとテトラサイクリンに対する耐性を与える)を含む。具体的な酵母シャトルベクターは、限定されないが、米国特許第5866404号および第6897353号に記載されたものを含む。本明細書に記載された方法、例えば、限定されないが、Pichia pastoris(すなわち、Pichia pastorisの宿主細胞)のような種において主題の表面の接近可能な融合タンパク質の発現を実行するために有用なさらなる酵母ベクターは、米国特許第5707828号、第6730499号、米国特許公報20060270041号およびPCT公開番号WO2005040395とWO200231178に記載されている。
【0096】
酵母ベクターは、所望のプラスミドを含む形質転換体の選択を可能にするマーカー遺伝子を含む。最も一般に用いられる酵母マーカー遺伝子の例は、限定されないが、URA3、HIS3、LEU2、TRP1およびLYS2を含み、それらは宿主細胞において特定の栄養素要求性突然変異を補完する。URA3およびLYS2酵母マーカー遺伝子は、ポジティブとネガティブ両方の選択スキームの使用が可能にするので、さらなる長所を有する。それぞれヒグロマイシンBとノーセオスリシンに対する抵抗を与えるhphとnatの遺伝子のような、酵母宿主細胞に優性の薬物耐性表現型を与える選択マーカー遺伝子(Satoら, Yeast 22:583-591 (2005)参照)も、使用され得る。現在使用されているほとんどの酵母シャトルベクターは、以下の3つの広いカテゴリーの1つに分類される。(i)組み込みベクター、(ii)自律複製する高コピー数ベクター、または(iii)自律複製する低コピー数ベクターである。
【0097】
多数の適切な発現ベクターは、当業者にとって公知であり、多数が市販で入手可能である。以下のベクターは、例として;真核生物の宿主細胞:pXT1、pSG5(ストラタジーン)、pSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVLSV40(ファルマシア)に提供させる。しかしながら、宿主細胞と適合性がある限り、他のベクターも用いられ得る。
【0098】
いくつかの実施形態において、組み換え発現ベクターは、ウイルス構築物、例えば、組み換えアデノ関連性ウイルス構築物(例えば米国特許第7078387号、参照)、組み換えアデノウイルス構築物、組み換えレンチウイルス構築物、組み換えレトロウイルス構築物、などである。適切な発現ベクターは、限定されないが、ウイルスベクター(例えばワクシニアウイルス;ポリオウイルス;アデノウイルス;(例えば、Liら、Invest Opthalmol Vis Sci 35:2543 2549,1994; Borrasら、Gene Ther 6:515 524,1999; Li 及び Davidson、PNAS 92:7700 7704,1995; Sakamoto ら、 H Gene Ther 5:1088 1097,1999; WO 94/12649、WO 93/03769; WO 93/19191; WO 94/28938; WO 95/11984およびWO 95/00655を参照)アデノ関連性ウイルス (例えば、Aliら、Hum Gene Ther 9:81 86、1998、Flanneryら、PNAS 94:6916 6921,1997; Bennettら、Invest Opthalmol Vis Sci 38:2857 2863、1997; Jomaryら、Gene Ther 4:683 690,1997、Rollingら、Hum Gene Ther 10:641 648,1999; Aliら、Hum Mol Genet 5:591 594、1996; Srivastava、WO 93/09239、Samulskiら、J.Vir. (1989)63:38223828; Mendelsonら、Virol. (1988)166:154 165; およびFlotteら、PNAS(1993)90:10613 10617参照)SV40;単純疱疹ウイルス;ヒト免疫不全ウイルスに基づいたウイルスベクター(例えば、Miyoshiら、PNAS 94:10319 23、1997; Takahashiら、J Virol 73:7812 7816,1999参照);レトロウイルスベクター(例えばマウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、及びニワトリ肉腫ウイルス、ハーヴェイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、レンチウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性の肉腫ウイルス、及び乳癌ウイルスのようなレトロウイルスに由来したベクター);など)を含む。
【0099】
利用された宿主/ベクター系に依存して、構成型及び、誘導性プロモーター、転写エンハンサーエレメント、転写終結などを含む多数の適切な転写および翻訳調節エレメントのいずれかは、発現ベクターで使用することができる(例えばBitterら (1987)Methods in Enzymology、153:516-544)。
【0100】
ある場合には、主題の表面の接近可能な融合タンパク質の構成要素をコードするヌクレオチドは、(例えば適切なmRNAプロセシングを促進するため)転写終結配列に動作可能に連結される。したがって、ある場合には、主題の組み換え発現ベクターは終結配列を含む。転写終結エレメント(終結配列)の例は、限定されないが、CYC1、ADH1、ARO4、TRP1、ACT1、及びYPT1のようないくつかの酵母遺伝子の終結配列を含む。任意の好都合な終結配列も使用され得る。
【0101】
主題の表面の接近可能な融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する主題のDNA核酸の1つの例示的な例は、配列番号6に記載の8584ヌクレオチド(nt)ベクターである。この例において、シグナルポリペプチドは、ヌクレオチド856-1113(配列番号:1)によってコードされる接合因子アルファリーダーであり;ヌクレオチド1123-1479(配列番号:2)によってコードされる目的のタンパク質(POI)はCV1であり;ヌクレオチド1513-3459(配列番号:4)によってコードされる合成ストークポリペプチド(649個のアミノ酸)であり;かつ、それはヌクレオチド3466-3576(配列番号:5)によってコードされる表面のアンカーポリペプチドは合成ハイブリッドGPI配列である。この例の核酸はまた、HAエピトープタグ(ヌクレオチド1486-1512)(配列番号:3)をコードするヌクレオチドを有する。
【0102】
宿主細胞
本開示の態様は、上述の表面の接近可能な融合タンパク質および/または核酸(例えば、表面の接近可能な融合タンパク質を発現するための核酸および/または表面の接近可能な融合タンパク質をコードする核酸)を含む細胞(すなわち、宿主細胞)を含む。用語「宿主細胞」は、主題の表面の接近可能な融合タンパク質が発現され表示されるべき細胞を指し;または、核酸が増殖されるべき細胞を指すように、本明細書で使用される。宿主細胞は、主題の表面の接近可能な融合タンパク質を、組み換え発現ベクター(例えば真核生物の宿主細胞)のような主題の核酸から発現させるために、および/または主題の組み換え発現ベクター(例えば真核生物の宿主細胞あるいは原核生物の宿主細胞)を増殖させるために使用され得る。
【0103】
ある場合には、主題の宿主細胞は原核細胞である。例えば、ある場合には、主題の組み換え発現ベクター(表面の接近可能な融合タンパク質をコードするヌクレオチドを有する)は、組み換え発現ベクターの増殖および/または精製のために原核細胞の内部にある。そのため、ある場合には、原核細胞(例えば大腸菌細胞のような細菌細胞)は、上述されるような核酸(例えば組み換え発現ベクター)を含む。
【0104】
ある場合には、適切な宿主細胞が、単細胞真核生物、真菌細胞、酵母細胞、動物細胞、無脊椎動物(例えばミバエ、刺胞動物、棘皮動物、線虫など)由来の細胞、脊椎動物(例えば魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳動物)由来の細胞、哺乳動物(例えばブタ、雌牛、ヤギ、羊、げっ歯類、ラット、マウス、ヒト以外の霊長類、ヒトなど)由来の細胞などである。
【0105】
ある場合には、適切な宿主細胞は、真菌細胞である。任意の真菌細胞(例えば、任意の好都合な種の菌類)が適切である。ある場合には、適切な宿主細胞は酵母細胞である。任意の好都合な種の酵母細胞が、使用され得る。適切な酵母種(すなわち適切な酵母細胞の種)の例示的な例は、限定されないが、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Saccharomyces uvaruium、 Pichia pastoris (syn. Komagataella pastoris)、Hansenula polymorpha (syn. Ogataea parapolymorpha)、Yarrowia lipolytica、Pichia stipitis (syn. Scheffersomyces stipitis)、 Kluyveromyces marxianus、Pachysolen tannophilus、Candida boidinii、Candida albicans,及びCandida sorenensi.を含む。
【0106】
核酸(例えば組み換え発現ベクター)を導入する適切な方法(「形質転換」および/または「形質移入」とも呼ばれる)は、例えばウイルス感染、形質移入、リポフェクション、ヌクレオフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿法、ポリエチレンイミン(PEI)-媒介形質移入、DEAEデキストラン媒介形質移入、リポソーム媒介形質移入、パーティクルガン技術、リン酸カルシウム沈殿法、直接マイクロインジェクション、ナノ粒子媒介核酸送達(例えば、Panyamら、Adv Drug Deliv Rev. 2012 Sep 13. pii: S0169-409X(12)00283-9。 doi: 10.1016 / j.addr.2012.09.023 参照)などを含む。任意の好都合な方法が、使用され得る。
【0107】
核酸を導入する方法の選択は、形質転換されている細胞の型及び、形質転換が起こっている状況に一般に依存している。例えば、酵母のような真菌細胞を形質転換する場合、リチウム酢酸塩、一本鎖キャリアーDNA、および/またはPEG(ある場合には熱ショックと結び付いた)を利用するようなプロトコルが、使用され得る。当業者は、所望の宿主細胞へ主題の核酸を導入するための適切なプロトコルを容易に決定することができるだろう。様々な形質転換方法の全般的な議論はAusubelら, Short Protocols in Molecular Biology, 3rd ed., Wiley & Sons, 1995.に見ることができる。
【0108】
例えば、ウイルスベクター送達のために、細胞は主題の核酸を含むウイルス粒子に接触させられる。レトロウイルス(例えばレンチウイルス)が、特に適切である。一般に使用されるレトロウイルスベクターは、「欠損」があり、すなわち増殖性感染に必要なウイルスタンパク質を生成することができない。むしろ、ベクターの複製は、パッケージング細胞株において増殖を必要とする。目的の核酸を含むウイルス粒子を生成するために、核酸を含むレトロウイルスの核酸は、パッケージング細胞株によってウイルスのカプシドへパッケージされる。異なるパッケージング細胞株は、カプシドに組み入れられる異なるエンベロープタンパク質(同種指向性、両種指向性又は、異種指向性)を提供し、該エンベロープタンパク質は、細胞のためのウイルス粒子の特異性(ネズミとラットには同種指向性;ヒト、イヌおよびマウスを含むほとんどの哺乳動物細胞型には両種指向性;そして、ネズミ細胞以外のほとんどの哺乳動物細胞型には異種指向性)を決定する。細胞がパッケージされたウイルス粒子によって標的にされることを確実にするために、適切なパッケージング細胞株が用いられ得る。目的の核酸を有するレトロウイルスベクターをパッケージング細胞株に導入する方法及び、パッケージング細胞株によって生成されるウイルス粒子を収集する方法は、当該技術分野で公知である。
方法
【0109】
本開示の態様は、上述の表面の接近可能な融合タンパク質および核酸を用いる方法を含む。方法は、(i)真核細胞において目的のタンパク質(POI)を発現する(例えば、真核細胞の表面上にPOIを表示する);(ii)POIへの薬剤の結合を測定する(例えば、ある場合において薬剤がPOIに結合できるかどうか判断する);(iii)POIに結合する薬剤(化合物)を同定する(例えば、POIに結合する薬剤のための化合物ノスクリーニングテスト);(iv)薬剤に結合するポリペプチドを同定する(例えば、薬剤が特定の濃度に存在する場合に、薬剤に結合するポリペプチド、例えば、前もって定義した値より上の親和性をもつ薬剤に結合するポリペプチドを同定すること);(v)変異体が由来するポリペプチドの親和性とは異なる(例えば、より大きい)親和性を有する薬剤に結合する変異体ポリペプチドを生成する工程;などのために提供される。
【0110】
(i)発現する方法
いくつかの実施形態において、主題の方法は、真核細胞において目的のタンパク質(POI)を発現する(例えば、真核細胞の表面上にPOIを表示する)方法である。そのような方法は、POIを含む主題の表面の接近可能な融合タンパク質を細胞(例えば任意の所望の宿主細胞)に導入する工程を含む。例えば、そのような方法は、真核細胞(例えば、上述のように真菌細胞、酵母細胞、哺乳動物細胞などのような宿主細胞)に、表面の接近可能な融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する核酸を導入する工程を含み得る。表面の接近可能な融合タンパク質は、シグナルポリペプチド、POI、ストークポリペプチドおよび表面のアンカーポリペプチド(及びある場合においてはタグ)を含む。POIを含む表面の接近可能な融合タンパク質は、:(i)直接タンパク質として(例えばある場合にはタンパク質導入ドメインを用いる);(ii)タンパク質をコードするRNAとして;(iii)タンパク質をコードするDNAとして;細胞へ導入され得る。ある場合(例えば表面の接近可能な融合タンパク質がDNAとして細胞へ導入される場合)には、表面の接近可能な融合タンパク質をコードするヌクレオチドは、細胞内で動作可能なプロモーターに動作可能に連結される。
【0111】
ある場合には、真核細胞において目的のタンパク質(POI)を発現する(例えば、真核細胞の表面上にPOIを表示する)方法は、下記に述べられた方法の工程の任意の組み合わせをさらに含む。
【0112】
(ii)結合を測定する方法
いくつかの実施形態において、主題の方法は、POIへの薬剤の結合を測定する(例えばある場合において薬剤がPOIに結合できるかどうか判断する)方法である。POIへの薬剤の結合を測定する方法は、真核細胞(例えば目的の任意の真核生物の宿主細胞、例えば哺乳動物細胞、真菌細胞、酵母細胞など)の表面上にPOIを表示する工程を含み得る(例えば、前記「発現する方法」参照)。
【0113】
POIへの薬剤の結合を測定する方法は、真核細胞(表面の接近可能な融合タンパク質として細胞の表面上にPOIを表示することにより、POIを発現する細胞)が薬剤と接触させる工程を含む。薬剤(本明細書で「試験化合物」とも呼ばれる)は、POIに結合し得る任意の薬剤であり得る。例えば、適切な薬剤は、1つ以上のPOIへの潜在的結合について試験(例えば、スクリーニング)され得て、既知のおよび潜在的な治療化合物の両方を含み、任意の化学物質、医薬品、薬物、ペプチド、抗体、抗体結合フラグメント、小分子化合物を含む。例えば、ある場合には、POIは、抗体の抗原結合ドメインを含み且つ、薬剤(例えば試験薬剤)は、ペプチド(ある場合には、抗体に結合することが知られているペプチドの変異体)である。ある場合には、POIは、抗体用のエピトープ(又は、既知のエピトープの変異体)であり且つ、薬剤は抗体又は、抗体由来の抗原結合ドメインである。ある場合には、POIは、リガンド/レセプターペアのリガンド又はレセプター(またはそれらの変異体)の結合領域である。
【0114】
ある場合には、薬剤は、検知可能なラベルを含む(例えば、薬剤は、直接あるいは間接的に検知可能であり得る)。ある場合には、薬剤は、直接標識付される(例えば、薬剤は、蛍光性の付加物のような直接検知可能な付加物を含み得る)。ある場合には、薬剤は、間接的に標識付される(例えば、薬剤は、ビオチンのような間接的に検知可能な付加物を含み得る)。
【0115】
ある場合には、POIに結合される薬剤の結合の量の測定(すなわち表面の接近可能な融合タンパク質に結合される薬剤の量の測定)は、表面の接近可能な融合タンパク質を発現する細胞に結合される薬剤の量の測定(例えば、下記に述べられるように定量的又は定性的に)により達成され得る。
【0116】
本明細書で用いられる「量を測定する」とは、定性的または定量的結果を提供し得て、したがって、本明細書で用いられる語句は、定性的と同様に定量的測定を包含する。例えば、量の測定が定性的である場合において、POIに結合する薬剤の量の測定は、POIに薬剤が結合するかしないか(例えば、POIを含んでいる表面の接近可能な融合タンパク質を発現する細胞に結合するかしないか;プロトコルの終わりに存在するかしないか、など)を判断することを含む。ある場合には、POIに結合する薬剤の量の測定は、結合の特定の閾値より上で薬剤がPOIに結合するかしないかを判断することを含む。したがってある場合には、量を測定する工程は、薬剤がPOIに(例えば、表面の接近可能な融合タンパク質に、表面の接近可能な融合タンパク質を発現する細胞に、など)結合するかしないか判断する工程を含む。ある場合には、量の測定は、薬剤が存在するかどうかの判断を単純に「はい」又は「いいえ」で提供する。
【0117】
同様に、いくつかの実施形態において、量の測定は、表面の接近可能な融合タンパク質に結合する薬剤の量の定量的測定を含む(例えば、フローサイトメトリー、ELISA、または所与のプロトコルの最後、例えば、最終的な洗浄工程の後に存在する薬剤の量を定量的に測定することができる任意の他の方法を用いる)。結合した薬剤の量(レベル)は、特定のアッセイに関連した任意の単位(例えば蛍光単位、例えば平均蛍光強度)(MFI))により表現され得るか、若しくは定義された単位(例えば分子の数(例えばモル)、タンパク質分子の数、薬剤などの濃度など)により絶対値として表現され得る。加えて、定量的に測定された量(レベル)は、標準化された測定量を表現する標準化された値を引き出すために基準値の量と比較することができる。したがって、量を測定する工程は、定性的な手法(「存在」対「不在」、「はい、所定の閾値より上」対「所定の閾値を超えない」など)または定量的手法の検出であり得る。
【0118】
フローサイトメトリーとELISAのような技術は、測定の定性的及び定量的工程の両方で使用され得る。例えば、両方の技術は、存在する薬剤の定量的な量(例えば平均蛍光強度(MFI)のような蛍光性の単位で)を判断するために使用され得るだけではなく、存在量が特定の閾値より上で存在するか単純に判断するためにも使用することができる。
【0119】
(iii)薬剤を同定する方法
いくつかの実施形態において、主題の方法は、POIに結合する薬剤(化合物)を同定する方法である。POIに結合する薬剤を同定する方法(例えば、POIに結合する薬剤のための試験化合物をスクリーニングする)は、真核細胞(例えば、目的の任意の真核生物の宿主細胞、例えば哺乳動物細胞、真菌細胞、酵母細胞など)の表面上にPOIを表示する工程、細胞を薬剤と接触させる工程、細胞に結合される薬剤の量を(定量的および/または定性的に)測定する工程を含む。
【0120】
ある場合には、所与の表面の接近可能な融合タンパク質は、2つ以上の細胞の表面に(例えば、2つ以上の別個の細胞の集団の細胞の表面に)表示され得て、それぞれの細胞(例えば各々の別個の細胞の集団)は異なる薬剤と接触され得る。したがって、2つ以上の薬剤(例えば、薬剤のライブラリー)をスクリーニングして、いずれかの薬剤が存在する場合、表面の接近可能な融合タンパク質としてPOIを発現する細胞に結合するかのかを同定することができる。
【0121】
上述のように、ある場合には、POIは抗体の抗原結合ドメインを含み、薬剤(例えば試験薬剤)は、ペプチド(ある場合には、抗体に結合することが知られるペプチドの変異体)であり;ある場合には、POIは、抗体のためのエピトープ(又は既知のエピトープの変異体)であり、薬剤は抗体又は抗体由来の抗原結合ドメインであり;そしてある場合には、POIは、リガンド/レセプターペアのリガンド又はレセプター(あるいはそれら変異体)の結合領域である。いくつかのそのような場合において、方法は突然変異誘発の工程(例えば、ランダムあるいは部位特異的なPCRプロトコルのような任意の好都合な方法を使用する)を含み得る。例えば、2つ以上の試験薬剤(例えば、試験薬剤のライブラリー)は、生成され(例えば互いの変異体である2つ以上の薬剤)、且つ薬剤は主題の表面の接近可能な融合タンパク質を発現する細胞と接触するために用いることができ、細胞へ結合するそのような薬剤が同定され得る。
【0122】
ある場合には、特定の親和性(又はそれよりも優れている)により結合する薬剤だけが同定されるように、薬剤の濃度は調節され得る。ある場合には、各細胞(例えば、別個の細胞の集団)と接触するために、所与の薬剤の異なる濃度は使用され得る。そのため、所与のPOIへの薬剤の結合が薬剤の異なる濃度で維持されるかどうかを判断するために、前記方法は使用され得る(それは例えば、POIのための薬剤の親和性を推定するために使用され得る)。例えば、薬剤は10nM、100nMおよび1000nMで使用され得て、3つの異なる細胞集団と接触し、各々同じ表面の接近可能な融合タンパク質を発現する。薬剤が結合しているかどうかは各濃度で判断され、結合親和性の推定が行われ得る。例えば、3つの濃度すべてで結合する薬剤は、1000nMで結合するが100nM又は10nMでは結合しない薬剤より高い親和性で所与のPOIに結合すると言える。
【0123】
ある場合には、表面の接近可能な融合タンパク質を発現する細胞は、2つ以上の薬剤と同時に(一斉に)接触させられ得て、薬剤は、互いに識別可能である(例えば、薬剤がそれぞれ異なる検知可能なラベルを有する)。例示的な例として、所与の細胞又は、細胞の集団は、10の異なる薬剤と接触させられ得て、薬剤はそれぞれ異なる検知可能なラベル(例えば異なる蛍光性のラベル)を含む。適切な洗浄の後、各々の検知可能なラベルの量は、(定量的におよび/または定性的に)測定され得る。例えば、そのような方法を用いて複数の異なる薬剤をプールし、表面の接近可能な融合タンパク質に結合するものと結合しないものとを同定し得る。
【0124】
(iv)ポリペプチドを同定する方法
いくつかの実施形態において、主題の方法は、薬剤に結合するポリペプチド(例えば、薬剤が特定の濃度に存在する場合に、薬剤に結合するポリペプチド、例えば、前もって定義した値より上の親和性をもつ薬剤に結合するポリペプチドを同定すること)を同定する方法である。薬剤に結合するポリペプチドを同定する方法は、真核細胞(例えば、目的の任意の真核生物の宿主細胞、例えば哺乳動物細胞、真菌細胞、酵母細胞など)の表面にPOIを表示する工程を含む。そのような方法は、薬剤を同定する方法について上述されるものと同一であり得る、しかしこの場合、使用されるものに一定に保たれ得る(又は特定の濃度で使用される)が、薬剤は2個以上の細胞と接触するために使用される。2つ以上の細胞の少なくとも2つは、異なる表面の接近可能な融合タンパク質の形態で異なるPOIを発現(表示)する。各細胞(又は細胞の各集団)については、薬剤の結合は(定性的に又は定量的に)測定され得て、それによって所与の薬剤(又は所与の濃度の所与の薬剤)に2つ以上のPOIのどれが結合することができるかを判断できる。
(v)変異ポリペプチドを生成する方法
【0125】
いくつかの実施形態において、主題の方法は、ポリペプチドと親和性の異なる(例えば、それよりも大きい)親和性で薬剤に結合する変異ポリペプチドを生成する方法であり、変異体は前記ポリペプチドから由来する。そのような方法は、(例えば、変異体(例えばPCR基づいた突然変異誘発)を生成する任意の好都合な方法を用いて)1つ以上の変異ポリペプチドを生成する工程を含む。例えば、変異ポリペプチドは、表面の接近可能な融合タンパク質のPOI部分の1つ以上のアミノ酸によって異なることを除いて、開始の表面の接近可能な融合タンパク質と同一であろう。生成された変異体の1つ以上と薬剤の結合の量を測定することは、その後どの変異体が薬剤に結合するか同定するために使用されるであろう。
【0126】
上述のように、ある場合には、POIは抗体の抗原結合ドメインを含み、薬剤(例えば試験薬剤)は、ペプチド(ある場合には、抗体に結合すると知られるペプチドの変異体)であり;ある場合には、POIは、抗体のためのエピトープ(又は既知のエピトープの変異体)であり、薬剤は抗体又は抗体由来の抗原結合ドメインであり;ある場合には、POIは、リガンド/レセプターペアのリガンド又はレセプター(あるいはそれらの変異体)の結合領域である。いくつかのそのような場合において、方法は、突然変異誘発(例えば、ランダム又は部位特異的なPCR手法のような任意の好都合な方法を使用する)の工程を含み得る。例えば、2つ以上のPOI(2つ以上の表面の接近可能な融合タンパク質)は(例えば、表面の接近可能な融合タンパク質のライブラリーを生成するために)生成され得る(例えば、POIは互いの変異体および/または開始のPOIの変異体である)。薬剤はその後、2つ以上の表面の接近可能な融合タンパク質(変異体)を発現する細胞(例えば、細胞の異なる集団)と接触するために使用され得て、薬剤に結合するそのようなPOIはその後、同定され得る。
【0127】
上記と同様に、ある場合には、薬剤への特定の親和性(又はそれより優れている)で結合するPOIだけが同定されるように、薬剤の濃度は調節され得る。ある場合には、所与の薬剤の異なる濃度は、各細胞(例えば細胞の別個の集団、細胞のライブラリーの複数の複製など)に接触するために使用され得る。そのため、方法は、薬剤が所与の濃度で存在する場合に、所与の薬剤に結合することができるPOIだけを同定するために使用され得る。例示的な例として、(表面の接近可能な融合タンパク質を発現する細胞との接触によって)2つ以上の異なるPOIと所与の濃度(例えば100nM)の薬剤を接触させてもよく、それらは薬剤と結合する多くのPOIを同定し得る。その後、より低い濃度の薬剤(例えば10nM)を用いて、POIは再スクリーニングされ、同定されたPOIの数を制限し得る。
【0128】
上記の方法のいずれかまたは全てについて、様々な調節は使用され得る。例えば、調節POIを有する又は、POIを有さない表面の接近可能な融合タンパク質を使用して、結合の存在しない中で予想されるシグナルの量の調節を提供することができる。様々なそのような調節は、当業者によって容易に考えられ、任意の好都合な調節は使用され得る。
【0129】
キット
全方法で使用するためにキットも提供される。主題のキットは、上述の表面の接近可能な融合タンパク質および/または核酸のいずれかを含み得る。例えば、ある場合には、上述されるように、適切なキットは表面の接近可能な融合タンパク質を発現するための核酸(例えば、組み換え発現ベクター)、又は表面の接近可能な融合タンパク質をコードする核酸(例えば、組み換え発現ベクター)を含む。ある場合には、キットが2つ以上のDNA核酸(例えば、組み換え発現ベクター)を含む。
【0130】
ある場合には、キットは、表面の接近可能な融合タンパク質と発現させるための2つ以上の主題のDNA核酸(例えば、組み換え発現ベクター)を含む。キットは、POIをコードするヌクレオチドを含む核酸、POIをコードするヌクレオチドを含まない核酸、POIをコードするヌクレオチドを挿入するための挿入部位を含む核酸、などを含む。ある場合には、2つ以上のDNA核酸の少なくとも2つは、POIを挿入するための挿入部位を含む。
【0131】
ある場合には、2つ以上のDNA核酸の少なくとも2つによってコードされた合成ストークポリペプチドは、異なる長さである。例えば、ある場合には、2つ以上のDNA核酸の少なくとも2つによってコードされたストークポリペプチド(例えば合成ストークポリペプチド)は、20から100個のアミノ酸、40から100個のアミノ酸、101から200個のアミノ酸、201から300個のアミノ酸、301から400個のアミノ酸、401から500個のアミノ酸、501から600個のアミノ酸、601から700個のアミノ酸、701から800個のアミノ酸、801から900個のアミノ酸、901から1000個のアミノ酸、または1001から1500個のアミノ酸、の範囲の長さを有する。
ある場合には、2つ以上のDNA核酸の少なくとも2つによってコードされた合成ストークポリペプチドは、異なる長さであり且つ、それぞれは20から100個のアミノ酸、40から100個のアミノ酸、101から200個のアミノ酸、201から300個のアミノ酸、301から400個のアミノ酸、401から500個のアミノ酸、501から600個のアミノ酸、601から700個のアミノ酸、701から800個のアミノ酸、801から900個のアミノ酸、901から1000個のアミノ酸、または1001から1500個のアミノ酸、の範囲の長さを有する。そのため、ある場合には、キットは複数のDNA核酸(例えば主題の表面の接近可能な融合タンパク質を発現するための)を含み得て、複数のDNA核酸によってコードされたストークポリペプチドは、長さの範囲に及ぶ。
【0132】
ある場合には、2つ以上のDNA核酸の少なくとも2つによってコードされた合成ストークポリペプチドは、(例えば、それらが同じ長さであっても)異なる配列を有する。
【0133】
例示的な例として、キットの1つの核酸(例えば、組み換え発現)は、20から100個のアミノ酸の範囲の長さのストークポリペプチドをコードし得て、また、別のものは、101から200個のアミノ酸の範囲の長さのストークポリペプチドをコードするだろう。言いかえれば、キットは複数の異なるストークポリペプチド(例えば、長さおよび/または配列が異なる)をコードする複数の核酸(例えば、組み換え発現ベクター)を有し得る。ある場合にPOIが異なる融合タンパク質について同じだったとしても、そのようなキットにより、複数の異なる表面の接近可能な融合タンパク質を用いて主題の方法を行なうことができる。同じようなやり方で、ある場合には、2つ以上のDNA核酸の少なくとも2つは、異なるシグナルポリペプチド、異なるタグ(および/またはタグの異なる配置、すなわち他のコードされた構成要素に関連するタグをコードするヌクレオチドの異なる位置決め)、および/または異なる表面のアンカーポリペプチド(例えば異なるGPIアンカー)をコードする。ある場合には、2つ以上のDNA核酸の少なくとも2つは、異なる挿入部位を有する。上記のいずれかあるいはすべての組み合わせは考えられる。
【0134】
次のものからそのような追加の試薬を選ぶことができる場合、上記キットのうちのいずれかは、さらに1つ以上の追加の試薬を含むことができ、そのような追加の試薬は:希釈緩衝液;再構成溶液;洗浄緩衝液;対照試薬;対照発現ベクター;試薬;主題の核酸を有する宿主細胞;主題の核酸(例えば、表面の接近可能な融合タンパク質を発現するための核酸、表面の接近可能な融合タンパク質をコードする核酸、など)を有さない宿主細胞など、から選択され得る。主題のキットの構成要素は、別個の容器(例えば異なるチューブ、マルチウェルプレートの異なるウェルなど)の中にあり得て、ある場合には単一の容器の中で組み合わされ得る。
【0135】
上記の構成要素に加えて、主題のキットは、(ある実施形態において)主題の方法を実行するための説明書をさらに含み得る。これらの説明書は、様々な形態で主題のキットの中に存在し得て、1つ以上がキットの中に存在し得る。これらの説明書の1つの形態は、適切な媒体または基板に印刷された情報、例えば、情報が印刷された1枚以上の紙として、キットの包装の中、添付文書の仲、などに存在し得る。これらの説明書の他の形態は、コンピューター可読媒体、例えばフロッピーディスク、コンパクトディスク(CD)、フラッシュドライブなどであり、情報はそこに記録されている。存在し得るこれらの説明書の他の形態は、削除されたサイトの情報にアクセスするためにインターネットを介して使用され得るウェブサイトアドレスである。
【0136】
実用性
本明細書に記述された組成物と方法は、限定されないが、化学物質とポリペプチドの発酵生産を含む様々な目的のために新しい真菌細胞(例えば新しい酵母菌株)を開発するために使用できる。さらに、本明細書に記述された組成物と方法は、酵母上の突然変異誘発タンパク質の発現又は、他のコンビナトリアルライブラリーを含む様々な調査目的に使用され得る。他の方法とは対照的に、本明細書に記述された組成物と方法は、モノシストロニックベクターを用いて、様々な酵母菌株および種での使用を可能にする。さらに本明細書に記載の組成物および方法は、(例えば、ストークポリペプチドの長さを変えることによって)目的のタンパク質に対する選択的な(「調整可能な」)接近可能性を許容し、これは基質または結合の相手の分子量を制限するように調節され得る。真核細胞(例えば、真菌細胞、酵母細胞など)の表面上のタンパク質の発現は、多種多様な目的で産業において使用される。本明細書に記述された組成物と方法は、合成ストークポリペプチドに融合した任意の所望のタンパク質(目的のタンパク質)の直接的且つ、単純な発現を許容する。モノシストロニックベクターを用いて、表面の接近可能な融合タンパク質の一部としてPOIを表示できるので、システムは様々な酵母菌株および種に容易に移植可能(portable)である。
【0137】
本発明はここで十分に記述されて、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなくは様々な変更および修正が行なわれ得ることが、当業者にとって明白であろう。
【0138】
実験
以下の実施例は、本発明を実施および使用する方法の完全な開示および記載を当業者に提供するために提示されたものであり、発明者が本発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではなく、以下の実験が実行された唯一の実験であることを示すことを意図するものでもない。用いられる数(例えば量、温度など)に関して正確であるように努力を重ねてきたが、実験の誤差や偏差について説明が付くものもあるはずであろう。特段指示のない限り、部分は重量部分であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧またはほぼ大気圧下である。
【0139】
それぞれの個々の刊行物または特許出願が参照により具体的または個別に組み込まれるかのように、本明細書で引用される刊行物や特許出願はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。
【0140】
本発明は、本発明者によって見出されまたは提案された本発明の実施のための好ましい態様を含むように特定の実施形態の観点から記載される。本開示に照らして、本発明の意図した範囲から逸脱することなく例示された特定の実施形態において多数の修正および変更が行なわれ得ることは、当業者によって十分に理解されるであろう。例えば、コドンの冗長性のために、タンパク質配列に影響することなく、基礎をなすDNA配列に変更は行われ得る。さらに、生物学的機能同等性の考慮のために、種類または量における生物学的作用に影響することなく、タンパク質構造に変更は行われ得る。そのような修正はすべて、添付された請求項の範囲内に含まれるように意図されている。
【実施例
【0141】
実施例1
図1A-1Cは、可変長GPIアンカー「ストークポリペプチド」を使用して接近可能性を「調整する」ことができるかどうかを判断するために行った実験を示す。これらの実験に用いられた酵母株は、BJ5465である。図1Aは、酵母細胞表面へのペプチド結合の1つの実施形態の概略図を示す:目的のタンパク質(POI)(ここでは、操作されたSIRPa変異体CV1)は、表面の接近可能な融合タンパク質として分泌され、融合タンパク質においてPOIは(i)シグナルポリペプチド(分泌経路にタンパク質を導くが、翻訳後プロセシングによってタンパク質から切断させられ得る)、(ii)ストークポリペプチド(長さが広範囲にわたり修飾され得る合成配列)、(iii)GPIアンカー(例えば合成GPIアンカー)、そして随意に(iv)エピトープタグ(示されているものはHAエピトープタグである)に融合される。
【0142】
図1Bは、異なるサイズ(異なる分子量)の次の3つのラベル付けされたプローブのために、(アミノ酸における)ストークの長さと表面の染色の関係を示す実験結果を示す:抗HA抗体(~150kD)、CD47-ストレプトアビジン四量体(~100kD)(これらの実験において用いられるPOIであるCV1に結合する)、及びCD47ビオチンモノマー(~15kDa)(CV1にも結合する)。図1Cは、抗HA抗体(Alexa488)及び、CD47ビオチンモノマー(Alexa647)と同時に染色された異なる長さのストークに付着したCV-1を表示する酵母の代表的なフローサイトメトリープロットを示す。試験されたストーク配列の長さは、アミノ酸の数において、各プロット上にリストされる。データは、特定の分子量の化合物のために「選択する」ためにストークの長さを使用できることを示す。例えば、Y軸上に示されるのは、150kDの抗HA抗体の結合でありこれは、ストークポリペプチドの長さが19または41のアミノ酸であった場合、表面の接近可能な融合ポリペプチドにあまり結合しなかったが、ストークポリペプチドは長さが232,465または649アミノ酸であった場合には結合した。それとは反対に、ストークポリペプチドの長さが19のアミノ酸であった場合でさえ、CD47ビオチン(X軸)は、表面の接近可能な融合ポリペプチドに結合されるが、ストークポリペプチドが長さで41、232、465または649アミノ酸だった場合にはより強く結合される。
【0143】
図2A-2Bは、主題の組成物および方法が追加の酵母菌株と適合性があるか判断するために行なわれた実験を示す。A)酵母細胞表面へのペプチド結合の概略図。操作されたSIRPA変異体CV1は、HAエピトープタグ及び、合成GPIアンカーを有する649アミノ酸長の合成ストークとの融合物として分泌された(すなわち、CV1は表面の接近可能な融合ポリペプチドとして発現された目的のタンパク質(POI)であった)。図1A-1Cで用いられたBJ5465とは対照的に、これらの実験に用いられた酵母株はYVH10であった。YVH10酵母は、酵母タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)を過剰発現し、分泌されたジスルフィド結合含有タンパク質のより大きな折り畳み能力を可能にする。B)抗HA抗体(Alexa488)及びCD47ビオチンモノマー(Alexa647)と同時に染色された649のアミノ酸ストークに結合される、CV-1を表示するYVH10酵母の代表的なフローサイトメトリープロット。従って、このデータは、主題の組成物および方法が実際は追加的に酵母菌株と適合性があることを実証する。
【0144】
実施例2:高親和性PD-1結合のためのヒトPD-L1タンパク質の定向進化
目的:高い親和性および特異性でT細胞で発現したPD-1に結合するPD-L1の突然変異体を同定し、それにより腫瘍細胞または腫瘍浸潤性免疫細胞の表面に発現したPD-L1との相互作用の競合阻害剤として作用することである。
【0145】
手法:PD-1タンパク質と相互作用する領域からヒトPD-L1タンパク質の安定なサブユニットを選択する;この相互作用にとって重要であろうアミノ酸残基を選択し、PCRおよびギブソンクローニングによって、(本特許において記述されていた主要な技術のように)GPI連結アンカーに結合されたPD-L1の突然変異体をコードするプラスミドのライブラリーを生成する;酵母又は真菌株にプラスミドのライブラリーをエレクトロポレーションする;突然変異タンパク質の表面の表示を誘発する;タグ付けされた可溶性の組み換えPD-1タンパク質との相互作用の評価によって、高親和性の結合剤を選択する;高親和性PD-1結合剤のプールの単離の際に、得られた酵母集団からDNAを抽出し、存在する変異体を配列決定する;配列の結合親和性を評価して、結合親和性を最大にするためにコンセンサス変異体配列を構築する。
【0146】
実施例3:IL-2への高親和性の結合のためのヒトIL2Rβの可溶性フラグメントの定向進化
目的:高い親和性および特異性の内因性IL-2に結合するサイトカインレセプターサブユニットIL2Rβの突然変異体を同定し、それによって内因性のIL-2レセプター複合体とIL-2の相互作用を不活性化するために拮抗的なシンク(sink)として作用することである。
【0147】
手法:IL-2タンパク質と相互作用する領域からヒトIL2Rβタンパク質の安定なサブユニットを選択する;この相互作用にとって重要であろうアミノ酸残基を選択し、PCRおよびギブソンクローニングによって、(本特許において記述された主要な技術のように)GPI連結アンカーに結合されたIL2Rβの突然変異体をコードするプラスミドのライブラリーを生成する;酵母又は真菌株にプラスミドのライブラリーをエレクトロポレーションする;突然変異タンパク質の表面の表示を誘発する;タグ付けされた可溶性の組み換えPD-1タンパク質との相互作用の評価によって、高親和性の結合剤を選択する;高親和性IL-2結合剤のプールの単離の際に、得られた酵母集団からDNAを抽出し、存在する変異体を配列決定する;配列の結合親和性を評価して、結合親和性を最大にするためにコンセンサス変異体配列を構築する。
【0148】
実施例4:ヒト抗体ライブラリーの酵母の表面の表示
目的:任意の既知の細胞表面、又は分泌されたタンパク質に対して高親和性、高特異性の治療用ヒトモノクローナル抗体を生成する目的のために酵母の表面上に、抗原結合のフラグメント(Fab)あるいは一本鎖可変フラグメント(scFv)のいずれかとしてヒト抗体結合ドメインを発現することである。
【0149】
手法:遺伝子合成によって、(本特許において記述された主要な技術のように)GPI連結アンカーに融合するヒト抗体の結合領域(FabまたはscFv形式で)の変異体をコードするプラスミドのライブラリーを生成する;酵母又は真菌株にプラスミドのライブラリーをエレクトロポレーションする;抗体フラグメントの表面の表示を誘発する;所望のタンパク質結合領域に対応するタグ付けされた可溶性の組み換えタンパク質との相互作用の評価によって、高親和性の結合剤を選択する(例えば、PD-1と結合し、PD-L1との相互作用を妨害する治療用抗体を生成するために、PD-L1と相互作用する領域を含むPD-1のタグ付けフラグメントを用いてライブラリーをパニング(pan)する);高親和性結合剤のプールの単離の際に、得られた酵母集団からDNAを抽出し、存在する抗体の変異体を配列決定する;組み換え抗体として個々の配列の結合親和性を評価する。
【0150】
実施例5:代替スキャフォールドライブラリーの酵母の表面の表示
目的:任意の既知の細胞表面又は、分泌されたタンパク質に対して高親和性、高特異性の治療用ヒトモノクローナル抗体を生成する目的のために酵母の表面上に、限定されないが、フィブロネクチン、免疫グロブリン、ノッチン、DARPins、アンチカリンを含む代替スキャフォールドライブラリーを発現することである。
【0151】
手法:遺伝子合成によって、(本特許において記述された主要な技術のように)GPI連結アンカーに融合するヒト抗体の結合領域(FabまたはscFv形式で)の変異体をコードするプラスミドのライブラリーを生成する;酵母又は真菌株にプラスミドのライブラリーをエレクトロポレーションする;代替スキャフォールドタンパク質の表面の表示を誘発する;所望のタンパク質結合領域に対応するタグ付けされた可溶性の組み換えタンパク質との相互作用の評価によって、高親和性の結合剤を選択する(例えば、PD-1と結合し、PD-L1との相互作用を妨害する治療用代替スキャフォールドタンパク質を生成するために、PD-L1と相互作用する領域を含むPD-1のタグ付けフラグメントを用いてライブラリーをパニング(pan)する);高親和性結合剤のプールの単離の際に、得られた酵母集団からDNAを抽出し、存在する代替スキャフォールドを配列決定する;組み換えタンパク質として個々の配列の結合親和性を評価する。
【0152】
実施例6:偏見がない(unbiased)方法で目的の標的の相互作用するタンパク質を同定するための翻訳されたcDNAの酵母の表面の表示
目的:目的のタンパク質への結合に基づいて新規の相互作用パートナーを同定するために、目的のタンパク質をパニング(panning)するために酵母の表面上に、例えば、腫瘍由来細胞株、又は正常細胞型から集められたcDNAによってコードされたタンパク質を発現することである。
【0153】
手法:遺伝子合成によって、(本特許において記述された主要な技術のように)GPI連結アンカーに融合する目的の細胞型に由来するcDNAをコードするプラスミドのライブラリーを生成する;酵母又は真菌株にプラスミドのライブラリーをエレクトロポレーションする;代替スキャフォールドタンパク質の表面の表示を誘発する;目的のタグ付けされた可溶性の組み換えタンパク質との相互作用の評価によって、高親和性の結合剤を選択する;目的のタンパク質と相互に作用するタンパク質を発現する酵母のプールの単離の際に、得られた酵母集団からDNAを抽出し、存在する代替スキャフォールドを配列決定することで、原因であるcDNAを同定する。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
【配列表】
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