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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】ドラム式洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/02 20060101AFI20230301BHJP
   D06F 33/37 20200101ALI20230301BHJP
【FI】
D06F39/02 A
D06F33/37
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018126012
(22)【出願日】2018-07-02
(65)【公開番号】P2020000801
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】池田 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】椎橋 貞人
(72)【発明者】
【氏名】堀田 浩平
(72)【発明者】
【氏名】長井 智
(72)【発明者】
【氏名】根岸 昭博
(72)【発明者】
【氏名】須坂 祐輔
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-522729(JP,A)
【文献】特開2018-011618(JP,A)
【文献】特表2017-506959(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0081235(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0090361(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105463787(CN,A)
【文献】特開2017-158599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/02
D06F 33/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
前記外箱の内部に設けられた水槽と、
1回分の洗濯処理剤を貯留可能な手動用処理剤ケースを有し、前記手動用処理剤ケース内に貯留された洗濯処理剤の全量を洗濯運転中に前記水槽内に投入する処理剤手動投入装置と、
複数回分の洗濯処理剤を貯留可能な自動用処理剤タンクを有し、前記自動用処理剤タンク内に貯留された洗濯処理剤のうち所定量を洗濯運転中に前記水槽内に投入する処理剤自動投入装置と、
前記外箱の上面前側に設けられユーザの操作を受け付ける操作パネルと、
を備え、
前記処理剤手動投入装置及び前記処理剤自動投入装置は、前記水槽の上方に設けられており、
前記処理剤自動投入装置と前記処理剤手動投入装置と前記操作パネルとは、前記外箱の前側部分に設けられており、かつ、前記処理剤自動投入装置及び前記処理剤手動投入装置は、前後方向において前記操作パネルの少なくとも一部と重なる位置に設けられている、
ドラム式洗濯機。
【請求項2】
前記処理剤自動投入装置は、前記外箱の前後方向において前記操作パネルと重なる位置に設けられている、
請求項1に記載のドラム式洗濯機。
【請求項3】
前記処理剤手動投入装置は、前記外箱の幅方向の一方側寄りに設けられ、
前記処理剤自動投入装置は、前記外箱の幅方向に対して前記処理剤手動投入装置と同方向側寄りでかつ前記処理剤手動投入装置の前方に設けられている、
請求項1に記載のドラム式洗濯機。
【請求項4】
前記処理剤手動投入装置と前記処理剤自動投入装置とは、前記外箱の幅方向に並んで配置されている、
請求項1に記載のドラム式洗濯機。
【請求項5】
前記処理剤自動投入装置は、前記洗濯処理剤を貯留する自動用処理剤タンクとして洗剤を貯留する自動用洗剤タンクと柔軟剤を貯留する自動用柔軟剤タンクとを有し、
前記自動用洗剤タンクと前記自動用柔軟剤タンクとは、前記外箱の幅方向に並んで配置されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載のドラム式洗濯機。
【請求項6】
前記処理剤自動投入装置は、前記洗濯処理剤を貯留する自動用処理剤タンクとして洗剤を貯留する自動用洗剤タンクと柔軟剤を貯留する自動用柔軟剤タンクとを有し、
前記自動用洗剤タンクと前記自動用柔軟剤タンクとは、前記外箱の奥行方向に並んで配置されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載のドラム式洗濯機。
【請求項7】
外部の水源に接続される給水弁と、
前記給水弁から前記処理剤手動投入装置を経由するとともに前記処理剤自動投入装置を経ずに前記水槽へ至る給水経路と、を更に備え、
前記処理剤自動投入装置は、前記自動用処理剤タンクに貯留された洗濯処理剤を、前記給水経路を介して前記水槽に投入する、
請求項1から6のいずれか一項に記載のドラム式洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ドラム式洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザの利便性向上の要望に応えるため、洗剤や柔軟剤などの洗濯処理剤を自動用処理剤タンク内に予め複数回分貯留しておき、洗濯運転中に必要量を自動用処理剤タンクから自動的に水槽内へ投入する洗濯機が開発されている。しかしながら、従来構成において、洗剤や柔軟剤を貯留する自動用処理剤タンクは、洗濯機の本体上部の後方側に配置されている。このため、従来構成では、例えば洗濯処理剤を自動用処理剤タンクに補充等する際に、ユーザは、洗濯機の後方まで腕を大きく伸ばして作業しなければならず、作業性が悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-11618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、自動用処理剤タンクに対するユーザの作業性の向上を図ることができるドラム式洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によるドラム式洗濯機は、外箱と、前記外箱の内部に設けられた水槽と、1回分の洗濯処理剤を貯留可能な手動用処理剤ケースを有し、前記手動用処理剤ケース内に貯留された洗濯処理剤の全量を洗濯運転中に前記水槽内に投入する処理剤手動投入装置と、複数回分の洗濯処理剤を貯留可能な自動用処理剤タンクを有し、前記自動用処理剤タンク内に貯留された洗濯処理剤のうち所定量を洗濯運転中に前記水槽内に投入する処理剤自動投入装置と、前記外箱の上面前側に設けられユーザの操作を受け付ける操作パネルと、を備える。前記処理剤手動投入装置及び前記処理剤自動投入装置は、前記水槽の上方に設けられている。前記処理剤自動投入装置と前記処理剤手動投入装置と前記操作パネルとは、前記外箱の前側部分に設けられており、かつ、前記処理剤自動投入装置及び前記処理剤手動投入装置は、前後方向において前記操作パネルの少なくとも一部と重なる位置に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態によるドラム式洗濯機の外観を示す斜視図
図2】第1実施形態によるドラム式洗濯機の概略構成を示す縦断側面図
図3】第1実施形態によるドラム式洗濯機について、各要素の配置例を模式的に示す平面図
図4】第1実施形態によるドラム式洗濯機について、各要素の配置例を模式的に示す正面図
図5】第1実施形態によるドラム式洗濯機について、給水経路及び排水経路の構成の一例を模式的に示す図
図6】第1実施形態によるドラム式洗濯機について、給水経路及び排水経路の構成の他の例を模式的に示す図
図7】第2実施形態によるドラム式洗濯機について、各要素の配置例を模式的に示す平面図
図8】第3実施形態によるドラム式洗濯機について、各要素の配置例を模式的に示す平面図(その1)
図9】第3実施形態によるドラム式洗濯機について、各要素の配置例を模式的に示す平面図(その2)
図10】第3実施形態によるドラム式洗濯機について、各要素の配置例を模式的に示す平面図(その3)
図11】第3実施形態によるドラム式洗濯機について、各要素の配置例を模式的に示す平面図(その4)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態で実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0008】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について図1図6を参照して説明する。ドラム式洗濯機10は、図1及び図2に示すように、外箱11、扉12、水槽13、回転槽14、モータ15、排水弁16、給水弁17、操作パネル18、処理剤手動投入装置20、及び処理剤自動投入装置30を備えている。なお、本明細書において、外箱11に対して扉12側をドラム式洗濯機10の前側とする。また、前後方向に対する垂直な水平方向を左右方向とし、前後方向及び左右方向に直交する重力方向を上下方向とする。
【0009】
ドラム式洗濯機10は、水槽13の中心軸および回転槽14の回転中心となる軸がいずれも地面に対し傾斜したいわゆる斜めドラム式の洗濯機である。具体的には、水槽13および回転槽14は、後方へ向かうほど下降するように傾斜している。ドラム式洗濯機10は、例えばヒートポンプ式やヒータ式の乾燥機能を有していてもよいし、備えていなくてもよい。なお、以下の説明では、単に洗濯機10と称する。
【0010】
外箱11は、例えば鋼板などによってほぼ矩形の箱状に形成されている。水槽13は、外箱11の内部に収容されており、図示しないダンパによって弾性的に支持されている。回転槽14は、水槽13の内部に回転可能に収容されている。水槽13及び回転槽14は、いずれも円筒形状の軸方向の一方側つまり前端側が開口し、他方側つまり後方側に底部を有する、いわゆる有底円筒状に形成されている。モータ15は、水槽13の底部外側に設けられており、回転槽14に接続されている。回転槽14は、水槽13の内側においてモータ15によって回転駆動される。
【0011】
排水弁16は、電磁駆動可能な液体用の開閉弁であり、図示しない制御装置によって駆動制御される。排水弁16の入力側は、水槽13内に接続されており、排水弁16の出力側は、洗濯機10の外部に接続されている。排水弁16は、水槽13内に貯留されている水を外箱11の外部に排水するための排水経路41を開閉する。排水弁16が閉じると、水槽13内は水を貯留可能な状態となる。また、排水弁16が開くと、水槽13内に貯留された水が洗濯機10外へ排水可能となる。
【0012】
給水弁17は、電磁駆動可能な液体用の開閉弁であり、図示しない制御装置によって駆動制御される。給水弁17の入力側は、水道等の外部の水源に接続されており、給水弁17の出力側は、処理剤手動投入装置20に接続されている。給水弁17は、水道等の外部の水源から処理剤手動投入装置20を介して水槽13内へ給水するための給水経路42を開閉する。この給水経路42は、給水弁17から処理剤手動投入装置20を経由するとともに、処理剤自動投入装置30を経ずに前記水槽へ至る経路である。
【0013】
給水弁17が開くと、水道等の外部の水源からの水は、処理剤手動投入装置20を通って水槽13内へ給水される。また、給水弁17が閉じると、水槽13内への給水が停止される。給水弁17は、例えば図1及び図2に示すように、外箱11内であって、外箱11の後側寄りでかつ左右方向の一方側寄り、つまり後側の隅部に設けられている。本実施形態の場合、給水弁17は、外箱11内の上部後方でかつ左側寄りに設けられている。
【0014】
操作パネル18は、ユーザの操作を受け付けて、その操作に基づいて運転コースの選択など各種設定を行うものである。操作パネル18の入力方式は、タッチセンサ式又は機械スイッチ式のいずれでも良い。また、操作パネル18は、タッチセンサや機械スイッチと液晶パネルとを組み合わせて構成することもできる。本実施形態の場合、操作パネル18は、タッチセンサ式を採用している。この場合、外箱11の上面111において、図1の二点鎖線で囲った範囲内に、必要に応じて操作キーが表示される。ユーザは、上面111に表示される操作キーをタッチ操作することで、操作パネル18を操作することができる。
【0015】
操作パネル18は、外箱11の上面111において、洗濯機10の前後方向の中心よりも前側に設けられている。この場合、上面111の前端部112と操作パネル18との間には、他の構成要素は設けられていない。つまり、この場合、操作パネル18は、上面111における最前端に設けられている。
【0016】
処理剤手動投入装置20は、洗濯運転毎にユーザから、1回分の洗濯運転に要する洗濯処理剤の供給を受けて、その洗濯処理剤の全量をその洗濯運転中に水槽13内に供給する機能を有している。本実施形態の場合、洗濯処理剤は、例えば粉末又は液体の洗剤や柔軟仕上げ剤等である。本実施形態の場合、処理剤手動投入装置20は、図1図3に示すように、外箱11内でかつ水槽13の上方にあって、洗濯機10の左右方向の一方側寄りに設けられている。本実施形態の場合、処理剤手動投入装置20は、洗濯機10の左側寄りに設けられている。
【0017】
具体的には、処理剤手動投入装置20は、操作パネル18に対して左側にあって、処理剤自動投入装置30の後側に設けられている。また、この場合、処理剤手動投入装置20は、洗濯機10の前後方向に対して操作パネル18と少なくとも一部が重なる位置に設けられている。処理剤手動投入装置20は、図5に示すように、給水経路42の途中に設けられており、給水経路42の一部を構成している。
【0018】
処理剤手動投入装置20は、図5にも示すように、注水ケース21及び手動用処理剤ケース22を有して構成されている。注水ケース21は、処理剤手動投入装置20の外殻を構成するものであり、例えば樹脂製であって箱状に形成されている。注水ケース21の上流側は給水弁17に接続されており、注水ケース21の下流側は注水ホース19を介して水槽13に接続されている。
【0019】
手動用処理剤ケース22は、例えば樹脂製であって、1回分程度の洗濯剤を貯留可能な容器状に構成されている。手動用処理剤ケース22は、注水ケース21内に収容されており、ユーザの操作により、外箱11の外部に露出可能に構成されている。手動用処理剤ケース22は、注水ケース21内に収容された状態において、給水弁17を介して供給された水を受ける位置に設けられている。手動用処理剤ケース22は、例えば外箱11に設けられた手動用処理剤ケース22を覆う蓋を開閉することで、外箱11の外部に露出する構成でも良いし、注水ケース21に対して引き出し可能又は取り外すことで、外箱11の外部に露出する構成でも良い。
【0020】
洗濯処理剤を洗濯運転毎に手動で水槽13内に投入する場合、ユーザは、洗濯運転を開始する以前に、予め1回分の洗濯処理剤を手動用処理剤ケース22内に投入する。この場合、ユーザは、例えば手動用処理剤ケース22を覆う蓋を開いたり手動用処理剤ケース22を引き出し又は取り外したりして手動用処理剤ケース22を外部に露出させる。そして、ユーザは、手動用処理剤ケース22を外部に露出させた状態で、手動用処理剤ケース22内に洗濯処理剤を投入する。
【0021】
その後、洗濯運転中に給水弁17が開かれると、給水弁17から吐出された水は、注水ケース21内に設けられた手動用処理剤ケース22に注ぎ込まれる。そして、手動用処理剤ケース22に注ぎ込まれた水は、手動用処理剤ケース22及び注水ケース21から流出し、注水ホース19を介して水槽13内に注ぎ込まれる。このとき、手動用処理剤ケース22内に洗濯処理剤が投入されていれば、その洗濯処理剤は、手動用処理剤ケース22及び注水ケース21から流出する水とともに水槽13内に流し落とされる。このようにして、水槽13内に注水されるとともに、手動用処理剤ケース22内に貯留された洗濯処理剤の全量が、洗濯運転中に水槽13内に投入される。
【0022】
処理剤自動投入装置30は、予め複数回分の洗濯処理剤を貯留しておき、複数回の洗濯運転に亘って所定量の洗濯処理剤を自動で水槽13内に供給する機能を有している。本実施形態の場合、処理剤自動投入装置30は、図1図3に示すように、外箱11内でかつ水槽13の上方にあって、洗濯機10の左右方向の一方側寄りに設けられている。本実施形態の場合、処理剤自動投入装置30は、処理剤手動投入装置20と同様に、洗濯機10の左側寄りに設けられている。
【0023】
具体的には、処理剤自動投入装置30は、操作パネル18に対して左側にあって、処理剤手動投入装置20の前方に設けられている。また、この場合、処理剤自動投入装置30は、洗濯機10の前後方向に対して操作パネル18と少なくとも一部が重なる位置に設けられている。本実施形態の場合、処理剤自動投入装置30は、洗濯機10の前後方向に対して操作パネル18の全部が重なる位置に設けられている。
【0024】
処理剤自動投入装置30は、図5に示すように、給水弁17から水槽13に至る給水経路42の途中部分に接続されている。この場合、処理剤自動投入装置30は、処理剤手動投入装置20の下流側で水槽13の上流側、つまり処理剤手動投入装置20と水槽13との間に接続されている。本実施形態の場合、処理剤自動投入装置30は、図5に示すように、注水ホース19の途中部分に接続されている。また、処理剤自動投入装置30は、図6に示すように、手動用処理剤ケース22の注水ケース21に接続しても良い。
【0025】
給水経路42は、処理剤自動投入装置30を経由していない。すなわち、処理剤自動投入装置30は、給水経路42の構成要素に含まれていない。この処理剤自動投入装置30は、所定量の洗濯処理剤を、給水弁17から吐出した水流を用いずに給水経路42内に直接投入する。これにより、洗濯運転に必要な洗濯処理剤を、給水経路42を流れる水に乗せて水槽13に投入することができる。
【0026】
処理剤自動投入装置30は、図3及び図5に示すように、洗濯処理剤を貯留する自動用処理剤タンクとして、自動用洗剤タンク311と自動用柔軟剤タンク312とを有している。自動用洗剤タンク311は、洗濯処理剤として洗剤を貯留するものである。自動用柔軟剤タンク312は、洗濯処理剤として柔軟剤を貯留するものである。自動用洗剤タンク311及び自動用柔軟剤タンク312は、いずれも複数回分の運転で使用される洗濯処理剤を貯留可能であり、その容量は、手動用処理剤ケース22よりも大きい。
【0027】
自動用洗剤タンク311及び自動用柔軟剤タンク312は、外箱11の幅方向に並んで、つまり左右方向に並んで配置されている。この場合、自動用洗剤タンク311及び自動用柔軟剤タンク312は、いずれが左側及び右側に配置されても良いが、例えば次のように構成することで、ユーザの利便性を高めることができる。
【0028】
すなわち、自動用洗剤タンク311及び自動用柔軟剤タンク312は、外箱11内にあって水槽13の上方に設けられていることから、図4に示すように、洗濯機10の幅方向の外側へ向かうほど、高さ方向の寸法が確保し易い。そのため、自動用洗剤タンク311及び自動用柔軟剤タンク312は、幅方向の寸法が同一であれば、洗濯機10の幅方向の中心に対して外側に配置されたタンクの方が、内側に配置されたタンクよりも容量を大きくすることができる。
【0029】
ここで、一般的には、洗濯運転における洗剤の使用量は、柔軟剤の使用量より多い。そこで、自動用洗剤タンク311を幅方向の外側に配置することで、自動用洗剤タンク311を、自動用柔軟剤タンク312よりも大容量にする。これによれば、洗剤と柔軟剤とのうち消費量の多い洗剤を貯留する自動用洗剤タンク311をより大容量にすることができる。そのため、ユーザが洗剤を補充する頻度を低減することができ、その結果、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0030】
この場合、自動用洗剤タンク311及び自動用柔軟剤タンク312の底部は、図2及び図4に示すように、水槽13の周方向及び前後方向において、水槽13の外周面に沿うように形成されている。すなわち、自動用洗剤タンク311及び自動用柔軟剤タンク312の底面部は、前方から見ると水槽13の周囲の面に沿って傾斜又は湾曲しており、側方から見ると水槽13の傾斜に沿って後方へ向けて下降傾斜している。これによれば、自動用洗剤タンク311及び自動用柔軟剤タンク312の容量を極力大きなものとすることができる。
【0031】
また、処理剤自動投入装置30は、ピストンポンプ321、322、及び逆止弁331、341、332、342を有している。これらピストンポンプ321、322、及び逆止弁331、341、332、342は、自動用処理剤タンク311、321内に貯留された洗濯処理剤のうち洗濯運転に必要な所定量を給水経路42に自動で投入するための自動投入機構として機能する。この場合、ピストンポンプ321及び逆止弁331、341は、自動用洗剤タンク311に対応しており、ピストンポンプ322及び逆止弁332、342は、自動用柔軟剤タンク312に対応している。なお、自動投入機構は、この構成に限られない。
【0032】
ピストンポンプ321、322の入力側は、それぞれ逆止弁331、332を介して自動用処理剤タンク311、312に接続されている。逆止弁331、332は、自動用処理剤タンク311、312からピストンポンプ321、322側へのみ経路を開通するものである。逆止弁331、332によって、ピストンポンプ321、322内の洗濯処理剤が、自動用処理剤タンク311、312内に逆流しないようになっている。
【0033】
ピストンポンプ321、322の出力側は、それぞれ逆止弁341、342を介して給水経路42に接続されている。逆止弁341、342は、ピストンポンプ321、322から給水経路42側へのみ経路を開通するものである。逆止弁341、342によって、給水経路42に供給された洗濯処理剤や給水経路42を流れる水が、ピストンポンプ321、322内に逆流しないようになっている。
【0034】
ピストンポンプ321、322は、例えばモータやソレノイド等の電気アクチュエータで駆動可能に構成されている。ピストンポンプ321、322は、ピストンを引き込むことで、自動用処理剤タンク311、312内に貯留されている洗濯処理剤のうち一定量を、ピストンポンプ321、322内に引き込む。そして、ピストンポンプ321、322は、ピストンを押し出すことで、ピストンポンプ321、322内に引き込んだ洗濯処理剤を、給水経路42側へ押し出す。
【0035】
この場合、ピストンの1回の往復動作で押し出される洗濯処理剤の量は、1回の洗濯運転で使用される洗濯処理剤の量よりも十分に少ない。そのため、洗濯機10は、ピストンポンプ321、322のピストンの動作回数を調整することで、洗濯運転中に投入する洗濯処理剤の所定量を調整することができる。
【0036】
以上説明した実施形態によれば、ドラム式洗濯機10は、外箱11と、外箱11の内部に設けられた水槽13と、処理剤手動投入装置20と、処理剤自動投入装置30と、を備える。処理剤手動投入装置20は、1回分の洗濯処理剤を貯留可能な手動用処理剤ケース22を有し、手動用処理剤ケース22内に貯留された洗濯処理剤の全量を洗濯運転中に水槽13内に投入する。処理剤自動投入装置30は、複数回分の洗濯処理剤を貯留可能な自動用処理剤タンク311、312を有し、自動用処理剤タンク311、312内に貯留された洗濯処理剤のうち所定量を洗濯運転中に水槽13内に投入する。そして、処理剤自動投入装置30は、外箱11の前側部分に設けられている。
【0037】
ここで、ユーザが手動用処理剤ケース22や自動用処理剤タンク311、312に対して作業を行う際には、手動用処理剤ケース22や自動用処理剤タンク311、312の重量が重くなるほど、また、作業位置がユーザから離れるほどつまり作業の際にユーザの腕が伸ばされるほど、ユーザの腕に加わる負荷は大きくなって作業性が低下する。この場合、手動用処理剤ケース22には、1回分の洗濯処理剤しか貯留されないため、手動用処理剤ケース22の重量はそれほど重くない。そのため、手動用処理剤ケース22の作業位置がユーザからある程度離れても、その作業性低下への影響は小さい。
【0038】
一方、自動用処理剤タンク311、312は、手動用処理剤ケース22とは異なり、複数回分の運転に必要な洗濯処理剤を貯留することができる。すなわち、自動用処理剤タンク311、312には、例えば市販の洗剤や柔軟剤の1本分をそのまま全部貯留されることも想定している。複数回分の洗濯処理剤を貯留した自動用処理剤タンク311、312は、1回分の洗濯処理剤を貯留した手動用処理剤ケース22に比べて重くなる。そのため、自動用処理剤タンク311、312の作業位置がユーザから離れると、その作業性は大きく低下する。
【0039】
そこで、本実施形態の処理剤自動投入装置30は、外箱11の前側部分に設けられている。このため、ユーザは、例えば洗剤や柔軟剤を自動用処理剤タンク311、312に補充したりする際に、洗濯機10の前側位置で作業することができる。すなわち、ユーザは、洗濯機10の後方まで大きく腕を伸ばすことなく、自動用処理剤タンク311、312に対する作業を行うことができる。その結果、ユーザの自動用処理剤タンク311、312に対する作業性の向上が図られる。
【0040】
また、洗濯機10は、操作パネル18を備えている。操作パネル18は、外箱11の上面前側に設けられており、ユーザの操作を受け付ける。そして、処理剤自動投入装置30は、外箱11の前後方向において操作パネル18と重なる位置に設けられている。これによれば、洗濯機10の前端から操作パネル18及び処理剤自動投入装置30までの距離がほぼ同等なものとなる。そのため、処理剤自動投入装置30に対して作業する際にユーザが腕を伸ばす距離と、操作パネル18を操作する際にユーザが腕を伸ばす距離とが同等なものとなる。
【0041】
すなわち、ユーザは、操作パネル18を毎回の運転の際に操作しているため、操作パネル18の操作に慣れていると思われる。そのため、ユーザは、操作に慣れている操作パネル18と同等の距離分、腕を伸ばすだけで、処理剤自動投入装置30に対する作業を行うことができる。したがって、これによれば、ユーザの処理剤自動投入装置30に対する作業性の向上が図られる。
【0042】
また、処理剤手動投入装置20は、外箱11の幅方向の一方側寄りに設けられている。そして、処理剤自動投入装置30は、外箱11の幅方向に対して処理剤手動投入装置20と同方向側寄りでかつ処理剤手動投入装置20の前方に設けられている。これによれば、まず、処理剤自動投入装置30が外箱11の幅方向に対して一方側寄りに設けられているため、外箱11内の空間を有効活用できて、処理剤自動投入装置30の自動用処理剤タンク311、312を極力大容量のものにすることができる。
【0043】
すなわち、処理剤自動投入装置30の自動用処理剤タンク311、312は、外箱11内において、外箱11と水槽13との隙間の空間に設置されている。この場合、図4に示すように、外箱11の幅方向の外側に行くほど、外箱11と水槽13との間が大きくなり、より大きな空間を確保し易い。したがって、本実施形態によれば、処理剤自動投入装置30の自動用処理剤タンク311、312の容量を極力大容量のものにすることができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、処理剤手動投入装置20と処理剤自動投入装置30とは、外箱11の幅方向に対して同一方向側寄りに設けられているため、ユーザの作業性を向上させることができる。すなわち、処理剤手動投入装置20及び処理剤自動投入装置30は、水槽13内に洗濯処理剤を投入するという共通した機能を有している。そして、ユーザは、処理剤手動投入装置20及び処理剤自動投入装置30に対し、洗濯処理剤を追加補充するという共通した作業を行う。このような共通性のある装置の設置位置が大きく異なっていると、ユーザの混乱を招きやすい。
【0045】
これに対し、本実施形態によれば、処理剤手動投入装置20と処理剤自動投入装置30とは、外箱11の幅方向に対して同一方向側寄りに設けられている。つまり、処理剤手動投入装置20と処理剤自動投入装置30とは、ユーザから見て左右方向の同一方向側に配置されている。これによれば、処理剤手動投入装置20と処理剤自動投入装置30との位置を近傍に集中させることで、ユーザの混乱を避けて、その結果、作業性を向上させることができる。
【0046】
更に、本実施形態によれば、処理剤自動投入装置30は、処理剤手動投入装置20の前方に設けられている。これによれば、ユーザから自動用処理剤タンク311、312までの距離を極力短いものにすることができる、その結果、ユーザの自動用処理剤タンク311、312に対する作業性の向上が図られる。このように、本実施形態によれば、自動用処理剤タンク311、312の大容量化と作業性の向上とを同時に向上させることができる。
【0047】
また、処理剤自動投入装置30は、洗濯処理剤を貯留する自動用処理剤タンクとして、洗剤を貯留する自動用洗剤タンク311と柔軟剤を貯留する自動用柔軟剤タンク312とを有している。そして、自動用洗剤タンク311と自動用柔軟剤タンク312とは、外箱11の幅方向に並んで配置されている。これによれば、ユーザは、自動用洗剤タンク311に対する作業と、自動用柔軟剤タンク312に対する作業とを、ほぼ同様の位置で行うことができるため、作業性の向上が図られる。
【0048】
また、洗濯機10は、外部の水源に接続される給水弁17と、給水経路42と、を更に備えている。給水経路42は、給水弁17から処理剤手動投入装置20を経由するとともに処理剤自動投入装置30を経ずに水槽13へ至る経路である。そして、処理剤自動投入装置30は、自動用処理剤タンク311、312に貯留された洗濯処理剤を、給水経路42を介して水槽13に投入する。
【0049】
これによれば、処理剤自動投入装置30は、外部の水を給水するための給水経路42を利用して、自動用処理剤タンク311、312に貯留された洗濯処理剤を水槽13に投入する。そのため、処理剤自動投入装置30から水槽13へ洗濯処理剤を投入するための専用の経路や、その経路に水を供給するための給水弁等が不要となる。したがって、本実施形態によれば、処理剤自動投入装置30から水槽13へ洗濯処理剤を投入するための構成をより簡単なものにすることができ、部品点数やコストの低減を図ることができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、給水弁17は、図3等に示すように、洗濯機10に対して手動投入装置20及び自動投入装置30が設けられている側と同一方向側に設けられている。これによれば、給水弁17から手動投入装置20までの距離つまりは給水経路42の距離を極力短くすることができ、更には自動投入装置30から給水経路42までの距離も極力短くすることができる。
【0051】
なお、上記第1実施形態において、処理剤自動投入装置30は、注水ホース19の途中部分に接続されていたが、処理剤自動投入装置30の接続先は給水経路42の途中部分であれば良く、この構成に限られない。
【0052】
すなわち、処理剤自動投入装置30は、図6に示すように、例えば処理剤手動投入装置20の注水ケース21に接続されていても良い。この場合、処理剤自動投入装置30は、自動用処理剤タンク311、312に貯留されている洗濯処理剤を、処理剤手動投入装置20の注水ケース21内に投入する。そして、処理剤自動投入装置30によって注水ケース21内に投入された洗濯処理剤は、給水経路42を流れる水つまり給水弁17から注水ケース21内に供給された水に押し流されて、水槽13内に投入される。
この構成によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図7を参照して説明する。
上記第1実施形態において、自動用洗剤タンク311と自動用柔軟剤タンク312とは、外箱11の幅方向に並んで配置されていた。一方、本実施形態において、自動用洗剤タンク311と自動用柔軟剤タンク312とは、図7に示すように、外箱11の奥行方向つまり前後方向に並んで配置されている。
【0054】
この場合、前後に配置された自動用洗剤タンク311と自動用柔軟剤タンク312とを配置可能な空間は、後方へ行くほど大きくなる。そのため、例えば前側に自動用洗剤タンク311が配置され、後側に自動用柔軟剤タンク312が配置された構成について見ると、後側に配置された自動用柔軟剤タンク312の容量を、前側に配置された自動用洗剤タンク311の容量に合わせることで、自動用洗剤タンク311と自動用柔軟剤タンク312とを同一形状にすることができる。つまり、自動用洗剤タンク311と自動用柔軟剤タンク312とを同一容量にすることで、自動用洗剤タンク311と自動用柔軟剤タンク312との部品を共通化することができる。その結果、組立作業の容易化やコストの低減を図ることができる。
【0055】
また、この場合、自動用洗剤タンク311を、自動用柔軟剤タンク312の前側に配置することができる。これにより、補充の頻度が高い自動用洗剤タンク311をよりユーザ側に配置することで、自動用洗剤タンク311に対する作業性を向上させることができる。
【0056】
また、自動用洗剤タンク311は、自動用柔軟剤タンク312の後側に配置されていても良い。この場合、水槽13の傾斜に沿って、自動用処理剤タンク311、312の底面部を傾斜させることで、タンク311、312の高さを大きく確保して容量を増大させることができる。そのため、自動用洗剤タンク311を、自動用柔軟剤タンク312の後側に配置することで、自動用洗剤タンク311の容量を増大させることができる。これによれば、柔軟剤に比べて消費量の多い洗剤が貯留される自動用洗剤タンク311を大容量化することで、ユーザが洗剤を補充する頻度を低減することができ、その結果、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0057】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について図8図10を参照して説明する。
上記各実施形態において、処理剤手動投入装置20と処理剤自動投入装置30とは、外箱11の奥行方向つまり前後方向に並んで配置されていた。一方、本実施形態において、処理剤手動投入装置20と処理剤自動投入装置30とは、外箱11の幅方向つまり左右方向に並んで配置されている。すなわち、処理剤手動投入装置20は、処理剤自動投入装置30と共に洗濯機10の前側、この場合、前端部112付近つまり最前端に設けられている。
【0058】
この場合、図8及び図9に示すように、処理剤手動投入装置20を、外箱11の左右方向の中央側寄りに設け、処理剤自動投入装置30を、処理剤手動投入装置20に対して外箱11の左右方向の外側に設けても良い。この場合、処理剤自動投入装置30の各タンク311、312は、図8に示すように左右方向に並べて配置しても良いし、図9に示すように前後方向に並べて配置しても良い。
【0059】
また、図10及び図11に示すように、処理剤自動投入装置30を、外箱11の左右方向の中央側寄りに設け、処理剤手動投入装置20を、処理剤自動投入装置30に対して外箱11の左右方向の外側に設けても良い。この場合も、処理剤自動投入装置30の各タンク311、312は、図10に示すように左右方向に並べて配置しても良いし、図11に示すように前後方向に並べて配置しても良い。
【0060】
本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の作用効果が得られる。
更に、本実施形態によれば、処理剤手動投入装置20も、処理剤自動投入装置30と同様に洗濯機10の前側に設けられている。これによれば、ユーザは、処理剤手動投入装置20についても、腕を大きく伸ばさなくても作業が出来るため、作業性の向上が図られる。
【0061】
なお、上記各実施形態において、処理剤手動投入装置20及び処理剤自動投入装置30と、操作パネル18との位置関係を左右逆にしても良い。すなわち、上記各実施形態において、操作パネル18は、作業者側から見て洗濯機10の右側寄りに設けられており、処理剤手動投入装置20及び処理剤自動投入装置30は、作業者側から見て洗濯機10の左側寄りつまり操作パネル18の左側に設けられていた。しかしこれに限られず、操作パネル18を作業者側から見て左側寄りに設け、処理剤手動投入装置20及び処理剤自動投入装置30を作業者側から見て右側寄りつまり操作パネル18の右側に設けても良い。
【0062】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
図面中、10はドラム式洗濯機、11は外箱、13は水槽、18は操作パネル、20は処理剤手動投入装置、22は手動用処理剤ケース、30は処理剤自動投入装置、311は自動用洗剤タンク(自動用処理剤タンク)、312は自動用柔軟剤タンク(自動用処理剤タンク)、42は給水経路、を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11