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  • 特許-管保護具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】管保護具
(51)【国際特許分類】
   F16L 57/00 20060101AFI20230301BHJP
   F16L 58/10 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
F16L57/00 A
F16L58/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018187047
(22)【出願日】2018-10-02
(65)【公開番号】P2020056452
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000115382
【氏名又は名称】ヨツギ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166589
【弁理士】
【氏名又は名称】植村 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】福田 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】粟井 幹人
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-128026(JP,U)
【文献】特開2002-348753(JP,A)
【文献】特開2006-177533(JP,A)
【文献】特開2007-051733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 57/00
F16L 58/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設されている管への化学物質の到達を防ぐ筒状の化学保護スリーブと、
前記化学保護スリーブの外側を覆い、前記化学保護スリーブへの物理的な損傷を防止する物理保護スリーブと、
前記物理保護スリーブの外側を覆っているフィルム層と、を有し、
前記物理保護スリーブと前記フィルム層との色関係は視認性が高い色関係を有し、
前記化学保護スリーブ、前記物理保護スリーブ及び前記フィルム層は、軸方向から覆うように引き入れることによって、管に被せて管を保護する
管保護具。
【請求項2】
前記フィルム層は前記管についての情報が印刷されている
請求項1に記載の保護具
【請求項3】
前記物理保護スリーブは、複数の糸状の構造材を編み込むことによって形成、又は、発泡材料によって形成されている
請求項1に記載の管保護具。
【請求項4】
前記化学保護スリーブは、ナイロンで形成されている
請求項1~3いずれか1項に記載の管保護具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管保護具に関する。より具体的な一例では、水道管の保護具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水道管の断熱シートの技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016―095004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法においては、水道管への化学物質の浸透を防止することができない。
【0005】
本発明の目的は、化学物質が管への浸透を防止することができる管保護具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点における管保護具は、地中に埋設されている管への化学物質の到達を防ぐ筒状の化学保護スリーブと、前記化学保護スリーブの外側を覆い、前記化学保護スリーブへの物理的な損傷を防止する物理保護スリーブと、を有する。
【0007】
好適には、前記物理保護スリーブの外側を覆い、前記管についての情報が印刷されているフィルム層と、を有する。
【0008】
好適には、前記物理保護スリーブは、複数の糸状の構造材を編み込むことによって形成、又は、発泡材料によって形成されている。
【0009】
好適には、前記化学保護スリーブは、ナイロンで形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明における管保護具によって、化学物質が管への浸透を防止することができる管保護具を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係る管保護具の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
【0013】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る管保護具1の説明図である。
【0014】
地中には、様々な管が埋設される。具体的には、水道、ガス管、下水管、電線の埋設管、各種ケーブルの埋設管などである。
これらの管は、様々な材質で形成されるが、所定の化学物質に対しては腐食する材質であることが通常である。どのような管であっても、管が腐食することは決して好ましくない。
さらに、水道管などであれば、水道水に化学物質などが浸透してしまうと健康に好ましくない影響が出る可能性もある。
そのことを防ぐためには、管の外側を覆うように所定の化学物質に対耐性の高い材質で形成、又は、表面をコーティングした、シートを管状にした保護具を用いることができる。
【0015】
しかし、上記管は敷設し埋設する時に、スコップ(シャベル)などの道具を用いる。場合によっては、重機を用いることもあり得る。
このように、管を埋設する際に、スコップ等によって、又は、発生土や砕石等で管と化学保護スリーブが損傷する可能性がある。
さらに、いったん管を埋設した後でも、その管を掘り起こす際に、スコップ(掘り起こし方が適切ではない場合には、埋設と同じように発生土や砕石等の場合もあり得る)で管と化学保護スリーブが損傷する可能性がある。
加えて、複数の管が埋設されている場合には、近傍の管を掘り起こす際に、同じように前述のスコップ等が用いられる。これによっても、管と化学保護スリーブが損傷する可能性がある。
【0016】
スコップ等で棄損を防止する目的の他社製品も存在するが、発生土や砕石等から水道用配水PE管を保護する目的として開発されたものに過ぎない。つまり、浸透防護スリーブの保護は対象外となっており、同製品では有機溶剤の浸透は防止できない。また、形状が字形状であり長さが1mであることから取付けに時間を要する。
これらの原因のため、使い勝手が良い製品であるとはいえず、改良が求められていた。
【0017】
そのため、これらを避けることができる管保護具1を提供する必要があった。
第1の実施形態においては、図1の様な管保護具1によってこのような問題を解決する。
図1のように、水道等の管101を管保護具1は、管101の軸方向から覆うように引き入れて被せて保護する。
図1では、管101の一部しか覆っていないが、これは被せる途中の図であり、紙面左方向に管保護具1を動かすことによって、管101の全体を保護することができる。
管101には、接手102やその他の器具(例えば、エルボ等)が結合していることがあるが、これらの接手102等にも管保護具1を被せて保護することができる。
【0018】
管保護具1は、化学保護スリーブ11、物理保護スリーブ21、フィルム層31を有している。
【0019】
化学保護スリーブ11は、化学物質が管101に到達することを防ぐ機能を有している。
そのため、化学保護スリーブは化学物質によって溶解しない材質によって形成される。もちろん、すべての化学物質に対して耐性がある物質は存在しないため、一般的な物質に耐性が高いと思われる、ナイロンで形成している。もっとも、これに限定する趣旨ではない。様々な材質が考えられる、例えば、ポリプロピレン等であってもよい。
この化学保護スリーブ11は、一定の材質で必ずしも形成する必要はなく、管101が埋設された後にさらされることが想定できる化学物質に強い物質で作っておくことも可能である。
化学保護スリーブ11は、シートを筒状にした形状を有しており、かなり薄くてもよい。もちろん、ある程度厚さがあってもよいことは言うまでもない。
この、化学保護スリーブ11は、透明であって良い。それによって、物理保護スリーブ21(フィルム)を剥がした際に、管101を直接見ることができる構造にすることができる。
【0020】
前述の化学保護スリーブ11の外側には、物理保護スリーブ21が化学保護スリーブ11を覆うように配置されている。
化学保護スリーブ11は、厚みのあるシートを筒状にした形状を有している。
この部分は、スコップ等により、化学保護スリーブ11が傷付く(損傷する)のを防ぐために設けられる。
そのため、物理保護スリーブ21は、耐切創性が高く形成する必要がある。また、衝撃吸収性も高いことが好適である。
そのためには、例えば、強度の高い糸形状の物(構造材)を織り込んだ構造にする。強度の高いプラスチックで形成するなどの手段があり得る。衝撃吸収性を高めるために、強度の高いプラスチックで気泡緩衝材(分かりやすくは、川上産業株式会社の「プチプチ」といわれるものである)の構造にするなどがあり得る。
ここで、物理保護スリーブ21は、白色に形成されている。後述するフィルム層31が棄損した場合に、そのことが見えるようにするためである。
【0021】
物理保護スリーブ21は、そのほかに、発泡材料から形成してもいい。この場合、耐切創性が高くなるような発泡剤材料を使うのがより高性能に資する。ただし、発泡材料によってある程度の厚さを作れば、耐切創性がない材質で作っても、スコップ等の切創を防止できる。
特に、発泡材料の場合、化学保護スリーブ11とフィルム層31との間に、発泡する前の発泡材料を入れて、そのまま発泡させることができる。そのため、この点では好適である。
【0022】
前述の物理保護スリーブ21のさらに外側には、フィルム層31が物理保護スリーブ21を覆うように配置されている。
フィルム層31は、シートを筒状にした形状を有しており、かなり薄くてもよい。もちろん、ある程度厚さがあってもよいことは言うまでもない。
このフィルム層31の表面には、表示32が印刷等されている。この表示は、この管保護具1が使用されている管101の種類(搬送、内容物の表示)、大きさ(例えば、直径)等が記載される。
フィルム層31は、ある程度の耐切創性があると好適である。
このフィルム層31は、青色に形成されている。
これによって、フィルム層31がスコップ等で傷付けられると、下地の物理保護スリーブ21の色が見えることになる。なお、青と白は視認性が高い2色として知られており、作業者による、傷がついてしまったことの発見に資することになる。
なお、化学保護スリーブ11、物理保護スリーブ21、フィルム層31の色はこれに限定する趣旨ではない。
【0023】
ただし、物理保護スリーブ21、フィルム層31との色関係は、黄色と黒等、視認性が高い方が好ましい。
また、フィルム層31は必須ではなく、化学保護スリーブ11、物理保護スリーブ21だけであってもよい。この場合、物理保護スリーブ21に表示32がある方が好ましい。
【0024】
化学保護スリーブ11、物理保護スリーブ21、フィルム層31の接合は、例えば接着剤で全面にわたって接着(溶着)等されていてもいい。
全面ではなく、スポットでの接着(溶着)等であってもよい。
さらには、全く、接着されずに単に接触するだけであってもよい。
【0025】
<実施形態の構成及び効果>
本実施形態の管保護具1は、地中に埋設されている管101への化学物質の到達を防ぐ筒状の化学保護スリーブ11と、前記化学保護スリーブ11の外側を覆い、化学保護スリーブ11への物理的な損傷を防止する物理保護スリーブ21と、を有する。
このような構成を有することから、物理的な攻撃によって、化学保護スリーブ11が棄損して、化学保護の役割を果たさなくなることを防止することができる。
【0026】
物理保護スリーブ21の外側を覆い、管101についての情報が印刷されているフィルム層31と、を有する。
このような構成を有することから、作業者は管保護具1を開いて中を確認しなくても管101の種類等を把握することができる。
【0027】
好適には、物理保護スリーブ21は、複数の糸状の構造材を編み込むことによって形成、又は、発泡材料によって形成されている。
このような構成を有することから、物理保護スリーブ21は、少なくとも耐切創性・耐衝撃性のいずれかを有することができる。
【0028】
化学保護スリーブ11は、ナイロンで形成されている。
このような構成を有する。そして、ナイロンは一般に多くの化学物質に対して耐性を有するので、特段にオーダーメードしなくても多くの状況に対応できる管保護具1を得ることができる。
【0029】
本発明の、構造、材料、各部材の連結、化学物質、などは、本発明の要旨を変更しない範囲で、様々に変更可能である。特に材質も自由に選択することが可能である。
例えば、2つ以上の部材を1つにすることも可能であるし、逆に、1つの部材を2つ以上の別の部材から構成して接続することも可能である。
また、上記実施形態は、あくまでも、現在のところの最良の形態の1つにすぎない。
【符号の説明】
【0030】
1 :管保護具
11 :化学保護スリーブ
21 :物理保護スリーブ
31 :フィルム層
32 :表示
101 :管
102 :接手

図1