(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】エアウェイアダプタ、鼻カニューラ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/097 20060101AFI20230301BHJP
A61B 5/08 20060101ALI20230301BHJP
A61M 16/06 20060101ALI20230301BHJP
A61M 16/00 20060101ALI20230301BHJP
G01N 33/497 20060101ALI20230301BHJP
G01N 1/02 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A61B5/097
A61B5/08
A61M16/06 C
A61M16/00 370Z
G01N33/497 A
G01N1/02 W
(21)【出願番号】P 2018218145
(22)【出願日】2018-11-21
【審査請求日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2018064937
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】株本 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】青▲柳▼ 敬之
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 文彦
(72)【発明者】
【氏名】井上 正行
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-064881(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0064898(US,A1)
【文献】特表2009-545408(JP,A)
【文献】特開2012-010780(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0276169(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06- 5/22
A61M 11/00-19/00
G01N 33/48-33/98
G01N 1/00- 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の鼻孔に接続され鼻腔の呼気を収集する鼻呼気収集部と、
鼻呼気収集部により収集された呼気が通過する通気路を形成する通気路部と、
前記通気路部に設けられ、呼気に含まれる所定のガス成分の濃度を測定するガスセンサを装着可能なガスセンサ装着部と、
前記鼻呼気収集部を屈曲させて前記鼻呼気収集部を閉塞する閉塞状態生成部と、
を備え、
前記鼻呼気収集部は、
可撓性を有する部材により形成され、前記呼気が流通可能な流通状態と
、屈曲して前記呼気の流通を阻害する閉塞状態とを呈
し、
前記閉塞状態生成部は、
前記鼻呼気収集部に設けられる孔と、
前記ガスセンサ装着部に設けられ、前記孔と係合して前記鼻呼気収集部が屈曲された状態を維持し、前記閉塞状態とする凸部と、を有する、
エアウェイアダプタ。
【請求項2】
前記鼻呼気収集部は、
前記生体の一方の鼻孔に接続され鼻腔の呼気の通気路を形成する第1鼻呼気収集部と、
前記生体の他方の鼻孔に接続され前記鼻腔の呼気の通気路を形成する第2鼻呼気収集部と、
を備える、
請求項1に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項3】
前記生体の口腔に接続され前記口腔の呼気を収集する口呼気収集部、
を備え、
前記通気路部は、前記鼻呼気収集部及び前記口呼気収集部から呼気を収集する、
請求項1
または2に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項4】
前記鼻呼気収集部にガスを供給するガス供給部、
を備える、
請求項1
ないし3のいずれか一項に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項5】
前記通気路部は、前記通気路部の外部と内部とを隔離する隔壁、
を備え、
前記ガスセンサ装着部は、
前記通気路部の前記隔壁に設けられ、
前記隔壁の対向する2面に所定の光透過率を有するガスセンサ計測窓を備える、
請求項1
ないし4のいずれか一項に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項6】
生体の鼻孔に接続され鼻腔にガスを供給する鼻孔接続部
と、
前記鼻孔接続部を屈曲させて前記鼻孔接続部を閉塞する閉塞状態生成部と、
を備え、
前記鼻孔接続部は、
可撓性を有する部材により形成され、前記ガスが流通可能な流通状態と
、屈曲して前記ガスの流通を阻害する閉塞状態とを呈
し、
前記閉塞状態生成部は、
前記鼻孔接続部に設けられる孔と、
前記鼻孔接続部を支持するベース部の上に突出し、前記孔と係合して前記鼻孔接続部が屈曲された状態を維持し、前記閉塞状態とする凸部と、
を有する、
鼻カニューラ。
【請求項7】
前記鼻孔接続部は、
前記生体の一方の鼻孔に接続される第1鼻孔接続部と、
前記生体の他方の鼻孔に接続される第2鼻孔接続部と、
を備える、
請求項
6に記載の鼻カニューラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアウェイアダプタ、鼻カニューラに関する。
【背景技術】
【0002】
低酸素状態を解消する治療のために、口腔や鼻腔から高濃度酸素を吸入させる器具として、酸素マスクや酸素カニューラが知られている。また、手術や処置などの手技を行う際に、生体の呼吸状態を監視するために、口腔や鼻腔に酸素を吸入させつつ呼気に含まれる二酸化炭素の濃度を測定する二酸化炭素濃度測定センサ(以下「CO2センサ」という。)が装着できるエアウェイアダプタがある。
【0003】
なお、エアウェイアダプタに関連する技術として、被検者の呼吸気が流入する通気路と、被検者の鼻孔からの呼吸気を通気路に導くネーザルカニューラと、被検者の口からの呼吸気を通気路に導くマウスガイドと、通気路に流入した呼吸気の温度変化を検出する温度センサが装着可能なエアウェイケースと、を備えるものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば経鼻内視鏡手術など、2つある鼻孔の一方に器具を挿入する手技の場合に、酸素の吸入と呼吸状態の監視とを同時に行うことが望まれている。このような場合に、従来のエアウェイアダプタは、鼻孔に挿入される鼻カニューラが2つの鼻孔に対応して2本設けられていたため、器具を挿入する鼻孔側の鼻カニューラが手技の妨げになるため、様々な手技に適応して使用することが難しかった。
【0006】
本発明は、エアウェイアダプタ、鼻カニューラにおいて手技への適応性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、生体の鼻孔に接続され鼻腔の呼気を収集する鼻呼気収集部と、鼻呼気収集部により収集された呼気が通過する通気路を形成する通気路部と、通気路部に設けられ、呼気に含まれる所定のガス成分の濃度を測定するガスセンサを装着可能なガスセンサ装着部と、を備え、鼻呼気収集部は、呼気が流通可能な流通状態と呼気の流通を阻害する閉塞状態とを呈する。
【0008】
また、本発明は、生体の鼻孔に接続され鼻腔にガスを供給する鼻孔接続部を備え、鼻孔接続部が、ガスが流通可能な流通状態とガスの流通を阻害する閉塞状態とを呈する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、手技への適応性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係るエアウェイアダプタの第1の実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示したエアウェイアダプタを正面方向から見た模式図である。
【
図3】
図1に示したエアウェイアダプタの内部構造を示す右側面方向から見た縦断面図である。
【
図4】
図1に示したエアウェイアダプタの第1鼻呼気収集部を閉塞させる様子を示す斜視図である。
【
図5】
図1に示したエアウェイアダプタを人体に装着した状態を示す模式図である。
【
図6】本発明に係るエアウェイアダプタの第2の実施形態を示す斜視図である。
【
図7】本発明に係るエアウェイアダプタの第3の実施形態を示す斜視図である。
【
図8】
図7に示したエアウェイアダプタの別の態様を示す斜視図である。
【
図9】本発明に係るエアウェイアダプタの第4の実施形態を示す斜視図である。
【
図10】本発明に係る鼻カニューラの実施形態を示すものであり、鼻カニューラを人体に装着した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るエアウェイアダプタ及び鼻カニューラの実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態において、エアウェイアダプタは、ガス成分の一例として、生体の一例である人体の口腔や鼻腔からの呼気に含まれる二酸化炭素の濃度を測定する二酸化炭素濃度測定センサ(以下「ガスセンサ」という。)により人体の呼吸状態を監視するため、呼気を収集する。本実施形態において、エアウェイアダプタは、手術や処置などの手技を行う際の低酸素状態を解消するために、口腔や鼻腔に酸素ガスを供給しつつ生体の呼吸状態を監視するものについて説明する。本実施形態において、鼻カニューラは、低酸素状態を解消する治療などのために、鼻孔に挿入される管状の鼻孔接続部から鼻腔にガス(例えば高濃度酸素)を供給する器具である。
【0012】
なお、以下の説明及び図面において、エアウェイアダプタが生体の一例である人体に装着された際に、人体の顔面に向かい合う方向を正面方向とし、正面方向から見た人体に装着されたエアウェイアダプタの面を正面とする。そして、以下の説明及び図面において、エアウェイアダプタが人体に装着された際の各方向を、正面方向から見て以下のように定める。以下の説明及び図面において、エアウェイアダプタが装着される人体の顔面に向かって左方向を-X方向、向かって右方向を+X方向とする。また、以下の説明及び図面において、人体の口腔の内に向かう方向を+Y方向、人体の口腔から離れる方向を-Y方向とする。さらに、人体の顔面の上(頭頂)方向を+Z方向、下(顎)方向が-Z方向とする。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係るエアウェイアダプタの第1の実施形態を示す斜視図である。
図1に示すように、エアウェイアダプタ1は、鼻呼気収集部11と、ガスセンサ装着部12と、第1ガス供給部131と、第2ガス供給部132と、口呼気収集部20と、を備える。
【0014】
鼻呼気収集部11は、エアウェイアダプタ1において、ガスセンサ装着部12が設けられる位置を中心としてみると、+Z軸方向及び+Y軸方向に延出して設けられる。鼻呼気収集部11は、例えばシリコーン樹脂など人体への影響度が低く軟質で可撓性を有する部材により形成される。
【0015】
ガスセンサ装着部12は、鼻呼気収集部11の-Z軸方向下方に設けられる。
図1において一点鎖線で示すように、ガスセンサ装着部12には、正面から+Y軸方向に向かってガスセンサ30が装着可能である。
【0016】
第1ガス供給部131は、エアウェイアダプタ1のガスセンサ装着部12が設けられる位置を中心に、-X軸方向に延出して設けられる。第2ガス供給部132は、エアウェイアダプタ1のガスセンサ装着部12が設けられる位置を中心に、+X軸方向に延出して設けられる。
【0017】
口呼気収集部20は、エアウェイアダプタ1のガスセンサ装着部12が設けられる位置を中心としてみると、-Z軸方向に延出して設けられる。口呼気収集部20は、エアウェイアダプタ1を人体の顔面に装着したときに、口腔の前に位置し、口からの呼気を収集してガスセンサ装着部12に送る。
【0018】
図2は、エアウェイアダプタ1を正面方向から見た模式図である。
図2に示すように、鼻呼気収集部11は、ガスセンサ装着部12の上部から第1鼻呼気収集部111及び第2鼻呼気収集部112に分岐する。
【0019】
第1鼻呼気収集部111及び第2鼻呼気収集部112は、それぞれ略円筒状の流路である。第1鼻呼気収集部111及び第2鼻呼気収集部112は、エアウェイアダプタ1が人体に装着されるときに、それぞれ先端部が人体の2つの鼻孔の一方に挿入される。鼻呼気収集部11は、人体の鼻腔から放出された呼気をガスセンサ装着部12の方向に収集する。また、鼻呼気収集部11は、第1ガス供給部131及び第2ガス供給部132から供給されるガスを人体の鼻孔に送り出してもよい。
【0020】
第1鼻呼気収集部111は、正面側の先端部付近に、第1被係止部113を備える。また、第2鼻呼気収集部112は、正面側の先端部付近に、第2被係止部114を備える。第1被係止部113及び第2被係止部114は、ともに第1鼻呼気収集部111及び第2鼻呼気収集部112に形成される貫通孔である。
【0021】
ガスセンサ装着部12は、ベース部121と、ガスセンサ係合部122と、マグネット部123と、ガスセンサ係止部124と、ガスセンサ計測窓125と、第1係止部127と、第2係止部128と、を備える。
【0022】
ベース部121は、ガスセンサ装着部12の概略形状を形成し、ガスセンサ装着部12の上部に設けられる鼻呼気収集部11を支持する。
【0023】
ガスセンサ係合部122は、ガスセンサ30を係合させるために設けられる。ガスセンサ係合部122は、ガスセンサ30の被係合部位と係合可能な形状を有する。具体的には、ガスセンサ係合部122は、少なくとも正面及び両側面に外部と内部とを隔離する隔壁を有することで、内部の空間に鼻呼気収集部11及び口呼気収集部20からの呼気が流入する通気路部が形成される。
【0024】
マグネット部123は、ガスセンサ30の被係合部に設けられるマグネット部と接触可能である。マグネット部123は、例えばガスセンサ係合部122の正面方向の面に設けられる。マグネット部123は、ガスセンサ30の不図示のマグネット部と接触してガスセンサ30の脱落を防止する。
【0025】
ガスセンサ係止部124は、ガスセンサ30の筐体の少なくとも一部を係止するために、ガスセンサの筐体の一部を受容可能な形状を有する。
【0026】
ガスセンサ計測窓125は、ガスセンサ装着部12に取り付けられるガスセンサ30により、ガスセンサ係合部122に形成された通気路部内に流入する呼気に含まれるガスの二酸化炭素濃度を計測するために設けられる。このため、ガスセンサ計測窓125は、ガスセンサ30の発光部からの光及び受光部への光を通過可能に形成される。ガスセンサ計測窓125は、例えば所定の光透過率が確保された窓である。ガスセンサ計測窓125は、
図1で示したようにガスセンサ30が取り付けられた際に上記発光部及び受光部の位置に対応する位置、例えばガスセンサ係合部122を形成する両側面の対向する2面の隔壁に設けられる。
【0027】
図3は、エアウェイアダプタ1の内部構造を示す右側面方向から見た縦断面図である。
図3では、エアウェイアダプタ1の内部構造を示すために、第1鼻呼気収集部111、ガスセンサ係合部122、及び口呼気収集部20の断面を示す。
図3に示すように、ガスセンサ係合部122には、通気路部126が形成されている。通気路部126は、ガスセンサ係合部122の隔壁の内部に設けられる。通気路部126は、
図3において矢印A1で示す鼻呼気収集部11からの呼気、及び、矢印A2で示す口呼気収集部20により収集された呼気の通気路となる。通気路部126に収集された呼気は、ガスセンサ係合部122に取り付けられるガスセンサ30によりCO
2の濃度が計測される。
【0028】
第1係止部127は、ベース部121の上部に設けられる。第1係止部127は、ベース部121の上に突出する凸部である。第1係止部127は、第1被係止部113を係止することができるように、第1被係止部113の孔の寸法に対応した大きさの凸部として形成される。また、第1係止部127は、係止される第1被係止部113の係止状態を維持するために鉤形状に形成されてもよい。
【0029】
第2係止部128は、第1係止部127と同様に、ベース部121の上部に設けられる。第2係止部128は、第1係止部127と同様に、ベース部121の上に突出する凸部であり、大きさや形状は第1係止部127と同様であるのが望ましい。
【0030】
図1乃至
図3に示すように、ガス供給部は、第1ガス供給部131と、第2ガス供給部132と、第1チューブ接続部133と、第2チューブ接続部134とを備える。
【0031】
第1ガス供給部131は、鼻呼気収集部11にガスを供給するための流路である。第1ガス供給部131は、人体の顔面に向かって左側に設けられる。第2ガス供給部132も、第1ガス供給部131と同様に鼻呼気収集部11にガスを供給するための流路である。第2ガス供給部132は、人体の顔面に向かって右側に設けられる。
【0032】
第1チューブ接続部133は、第1ガス供給部131の端部に設けられる。第1チューブ接続部133は、ガスを供給する不図示のチューブを接続可能である。第1チューブ接続部133は、第1ガス供給部131と連通する開口である。第1チューブ接続部133に接続されたチューブから供給されるガスは、第1ガス供給部131から鼻呼気収集部11を通過して人体の鼻孔から鼻腔に供給される。
【0033】
第2チューブ接続部134は、第2ガス供給部132の端部に設けられる。第2チューブ接続部134は、第1チューブ接続部133と同様にガスを供給する上記チューブを接続可能である。第2チューブ接続部134は、第2ガス供給部132と連通する開口である。第2チューブ接続部134に接続されたチューブから供給されるガスは、第2ガス供給部132から鼻呼気収集部11を通過して人体の鼻孔から鼻腔に供給される。
【0034】
図4は、エアウェイアダプタ1の第1鼻呼気収集部111を閉塞させる様子を示す斜視図である。
図4では、鼻呼気収集部11の第1鼻呼気収集部111を-Y軸方向に屈曲させて、第1被係止部113を第1係止部127に係止させることで、第1鼻呼気収集部111を閉塞させる様子を示す。
【0035】
エアウェイアダプタ1は、上述のように鼻呼気収集部11が可撓性を有する材料で形成される。エアウェイアダプタ1では、第1鼻呼気収集部111に第1被係止部113が、第2鼻呼気収集部112に第2被係止部114が、それぞれ設けられる。また、エアウェイアダプタ1は、上述のように正面側のガスセンサ装着部12のベース部121に第1係止部127及び第2係止部128が設けられる。そして、エアウェイアダプタ1では、第1被係止部113を第1係止部127に係止し、第2被係止部114を第2係止部128に係止することで、軟質で可撓性を有する部材により形成される第1鼻呼気収集部111及び第2鼻呼気収集部112が撓む。その結果、第1鼻呼気収集部111及び第2鼻呼気収集部112の流路の状態は、それぞれの流路がつぶれて呼気が流通可能な流通状態から、呼気の流通が阻害される閉塞状態に変化する。
【0036】
以上説明したように、エアウェイアダプタ1において、第1被係止部113及び第2被係止部114は、第1鼻呼気収集部111を閉塞可能にする閉塞状態生成部として機能する。また、エアウェイアダプタ1において、第1係止部127及び第2係止部128は、第2鼻呼気収集部112を閉塞可能にする閉塞状態生成部として機能する。そして、エアウェイアダプタ1において、鼻呼気収集部11の第1鼻呼気収集部111及び第2鼻呼気収集部112は、呼気が流通可能な流通状態と呼気の流通を阻害する閉塞状態とを呈することができる。
【0037】
[エアウェイアダプタの使用例]
次に、以上説明したエアウェイアダプタ1の使用例について説明する。
【0038】
図5は、エアウェイアダプタ1を人体Hに装着した状態を示す模式図である。
図5に示すように、エアウェイアダプタ1は、人体Hに装着した際に、一方の鼻孔NH1から経鼻内視鏡手術用の器具を挿入するような場合に、第1被係止部113を第1係止部127に係止することで、第1鼻呼気収集部111を閉塞させることができる。
【0039】
以上説明したように、エアウェイアダプタ1によれば、器具を鼻孔NH1に挿入する際に鼻呼気収集部11が手技の妨げになることを防ぎ、手技への適応性を向上させることができる。
【0040】
また、このように使用することができるエアウェイアダプタ1によれば、鼻孔NH1から鼻水や薬品などの液体が滴下するような状況でも、第1鼻呼気収集部111を閉塞させることができる。このため、液体が通気路部126に混入してガスセンサ30が誤作動を起こすことを防ぐことができる。
【0041】
なお、鼻呼気収集部11において、第1被係止部113及び第2被係止部114が設けられる位置は、上述の位置には限定されない。第1被係止部113及び第2被係止部114は、可撓性を有する鼻呼気収集部11を係止して屈曲させた状態を維持することで、鼻呼気収集部11を閉塞させることができればよい。
【0042】
また、エアウェイアダプタ1において、ガス供給部は、上述の第1ガス供給部131及び第2ガス供給部132のように人体の顔面に向かって左右に分かれる物には限定されない。例えば、ガス供給部は、1つのチューブ接続部に接続される上記チューブからガスを供給するものであってもよい。
【0043】
[第2の実施形態]
次に、本発明に係るエアウェイアダプタの第2の実施形態について説明する。本実施形態では、先に説明した実施形態に係るエアウェイアダプタ1との相違点のみを説明する。
【0044】
図6は、本発明に係るエアウェイアダプタの第2の実施形態を示す斜視図である。
図6に示すように、本実施形態に係るエアウェイアダプタ1Aは、鼻呼気収集部11A及びガスセンサ装着部12Aの構成が先に説明したエアウェイアダプタ1の鼻呼気収集部11と相違する。
【0045】
鼻呼気収集部11Aは、第1鼻呼気収集部111A及び第2鼻呼気収集部112Aがエアウェイアダプタ1から着脱可能に形成される。
図6では、第2鼻呼気収集部112Aのみをエアウェイアダプタ1から取り外した状態を示している。
【0046】
第1鼻呼気収集部111A及び第2鼻呼気収集部112Aは、ガスセンサ装着部12Aのベース部121Aに設けられる管状の被着部129に被着されることで、エアウェイアダプタ1Aに取り付けられる。
【0047】
第1鼻呼気収集部111A及び第2鼻呼気収集部112Aが取り外された被着部129には、閉塞状態生成部として蓋115が取り付けられて、鼻呼気収集部の通気路を閉塞することができる。
【0048】
以上説明したように、エアウェイアダプタ1Aでは、第1鼻呼気収集部111Aまたは第2鼻呼気収集部112Bを取り外して蓋115により閉塞することで、鼻呼気収集部11Aが他方の鼻孔に対する器具の挿入などの手技を妨げるになることを防ぐ。したがって、エアウェイアダプタ1Aによれば、手技への適応性を向上させることができる。
【0049】
[第3の実施形態]
次に、本発明に係るエアウェイアダプタの第3の実施形態について説明する。本実施形態では、先に説明した実施形態に係るエアウェイアダプタ1との相違点のみを説明する。
【0050】
図7は、本発明に係るエアウェイアダプタの第3の実施形態を示す斜視図である。
図7に示すように、本実施形態に係るエアウェイアダプタ1Bは、鼻呼気収集部11B及びガスセンサ装着部12Bの構成が先に説明したエアウェイアダプタ1の鼻呼気収集部11及びガスセンサ装着部12と相違する。
【0051】
鼻呼気収集部11Bは、第1鼻呼気収集部111及び第2鼻呼気収集部112を備える鼻呼気収集部11と異なり、鼻孔に挿入可能な1つの管状の部分を備える。鼻呼気収集部11Bは、ガスセンサ装着部12Bのベース部121Bに対してZ軸方向を中心に回動可能に構成されている。このため、鼻呼気収集部11Bは、
図7に示すように人体の右側の鼻孔に挿入しやすいように人体に向かって左寄りに偏倚させることができる。
【0052】
図8は、エアウェイアダプタ1Bの別の態様を示す斜視図である。鼻呼気収集部11Bは、ベース部121Bに対して回動させることで、
図8に示すように人体の左側の鼻孔に挿入しやすいように人体に向かって右寄りに偏倚させることができる。
【0053】
なお、
図7及び
図8では、ガス供給部を含めて鼻呼気収集部11Bの全体がベース部121Bに対して回動する例を示したが、本発明ではこれに限定されない。鼻呼気収集部11Bは、例えば鼻孔に挿入される円筒状の部分と通気路部126との接続部分のみが回動し、ガス供給部が回動しないように構成されていてもよい。
【0054】
以上説明したように、エアウェイアダプタ1Bでは、1つの鼻呼気収集部11Bを鼻孔の一方側に偏倚させることで、鼻呼気収集部11Bが他方の鼻孔に対する器具の挿入などの手技を妨げるになることを防ぎ、手技への適応性を向上させることができる。
【0055】
[第4の実施形態]
次に、本発明に係るエアウェイアダプタの第4の実施形態について説明する。本実施形態では、先に説明した実施形態に係るエアウェイアダプタ1との相違点のみを説明する。
【0056】
図9は、本発明に係るエアウェイアダプタの第4の実施形態を示す斜視図である。
図9に示すように、本実施形態に係るエアウェイアダプタ1Cは、鼻呼気収集部11Cの構成が先に説明したエアウェイアダプタ1の鼻呼気収集部11と相違する。
【0057】
鼻呼気収集部11Cは、第1鼻呼気収集部111及び第2鼻呼気収集部112を備える鼻呼気収集部11と異なり、鼻孔に挿入可能な1つの管状の部分を備える。エアウェイアダプタ1Cは、人体に装着する際に、2つの鼻孔のうち鼻孔への手技を行わない側の鼻孔に鼻呼気収集部11Cを挿入する。この際、鼻呼気収集部11Cは、上述の鼻呼気収集部11等よりも管長が長くてもよい。
【0058】
以上説明したように、エアウェイアダプタ1Cでは、1つの鼻呼気収集部11Cを鼻孔の一方に挿入することで、鼻呼気収集部11Cが他方の鼻孔に対する器具の挿入などの手技を妨げるになることを防ぎ、手技への適応性を向上させることができる。
【0059】
[第5の実施形態]
次に、本発明に係る鼻カニューラの実施形態を第5の実施形態として説明する。本実施形態では、先に説明した実施形態に係るエアウェイアダプタ1との相違点のみを説明する。
【0060】
図10は、本発明に係る鼻カニューラ1Dの実施形態を示すものであり、鼻カニューラ1Dを人体Hに装着した状態を示す模式図である。
図10に示すように、鼻カニューラ1Dは、第1鼻孔接続部111D、第2鼻孔接続部112D、第1被係止部113、第2被係止部114、ベース部121、第1係止部127、第2係止部128、第1ガス供給部131、及び、第2ガス供給部132を備える。
【0061】
第1鼻孔接続部111Dは、人体Hの左側の鼻孔NH1に接続され鼻腔にガスを供給する。第2鼻孔接続部112Dは、人体Hの右側の鼻孔NH2に接続され鼻腔にガスを供給する。第1鼻孔接続部111Dの構成は、第1係止部127に係止できる第1被係止部113を備える点を含めて、上述の第1鼻呼気収集部111と同様である。また、第2鼻孔接続部112Dの構成は、第2係止部128に係止できる第2被係止部114を備える点を含めて、上述の第2鼻呼気収集部112と同様である。ベース部121は、鼻カニューラ1Dの概略形状を形成する。ベース部121は、第1鼻孔接続部111D及び第2鼻孔接続部112Dを有する鼻孔接続部と、第1ガス供給部131及び第2ガス供給部132を有するガス供給部とを支持する。第1係止部127及び第2係止部128は、上述のエアウェイアダプタ1の第1係止部127及び第2係止部128と同様に、ベース部121の上に突出する凸部である。
【0062】
第1ガス供給部131は、第1鼻孔接続部111Dにガスを供給する。また、第2ガス供給部132は、第2鼻孔接続部112Dにガスを供給する。
【0063】
そして、鼻カニューラ1Dは、
図10に示すように、人体Hに装着した際に、エアウェイアダプタ1と同様に、一方の鼻孔NH1から経鼻内視鏡手術用の器具を挿入するような場合に、第1係止部127を第1被係止部113に係止することができる。このため、鼻カニューラ1Dによれば、第1係止部127と第1被係止部113とを備えるエアウェイアダプタ1と同様に、第1鼻孔接続部111Dを閉塞させることができる。また、鼻カニューラ1Dは、人体Hに装着した際に、エアウェイアダプタ1と同様に、他方の鼻孔NH2から経鼻内視鏡手術用の器具を挿入するような場合に、第2係止部128を第2被係止部114に係止することができる。つまり、鼻カニューラ1Dにおいて、第1鼻孔接続部111D及び第1係止部127と、第2鼻孔接続部112D及び第2係止部128とは、可撓性を有する部材により形成される鼻孔接続部を屈曲させて鼻腔接続部を閉塞する、閉塞状態生成部として機能する。このため、鼻カニューラ1Dによれば、第2係止部128と第2被係止部114とを備えるエアウェイアダプタ1と同様に、第2鼻孔接続部112Dを閉塞させることができる。
【0064】
以上説明したように、鼻カニューラ1Dによれば、器具を鼻孔NH1または鼻孔NH2に挿入する際に第1鼻孔接続部111Dまたは第2鼻孔接続部112Dが手技の妨げになることを防ぎ、手技への適応性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 エアウェイアダプタ
1D 鼻カニューラ
11 鼻呼気収集部
12 ガスセンサ装着部
20 口呼気収集部
30 ガスセンサ
111 第1鼻呼気収集部
111D 第1鼻孔接続部
112 第2鼻呼気収集部
112D 第2鼻孔接続部
113 第1被係止部
114 第2被係止部
115 蓋
121 ベース部
122 ガスセンサ係合部
123 マグネット部
124 ガスセンサ係止部
125 ガスセンサ計測窓
126 通気路部
127 第1係止部
128 第2係止部
129 被着部
131 第1ガス供給部
132 第2ガス供給部
133 第1チューブ接続部
134 第2チューブ接続部