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特許7235513パージ・チャンバーを有する粉末ロータリー・フィードスルー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】パージ・チャンバーを有する粉末ロータリー・フィードスルー
(51)【国際特許分類】
   F16L 27/08 20060101AFI20230301BHJP
   C23C 14/24 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
F16L27/08 Z
C23C14/24 D
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018569148
(86)(22)【出願日】2017-07-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-03
(86)【国際出願番号】 EP2017066781
(87)【国際公開番号】W WO2018007449
(87)【国際公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-06-08
(31)【優先権主張番号】102016112470.2
(32)【優先日】2016-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515135572
【氏名又は名称】エリコン メテコ アクチェンゲゼルシャフト、ヴォーレン
(73)【特許権者】
【識別番号】519000272
【氏名又は名称】モーグ ゲーアーテー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミカラ、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】シュテクリー、マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ボーンハイオ、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ホフ、デニス
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン、ペーター
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-241364(JP,A)
【文献】実開昭60-154321(JP,U)
【文献】実開昭61-206189(JP,U)
【文献】特開平06-341438(JP,A)
【文献】特開2014-185691(JP,A)
【文献】特開2003-200344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 27/00-27/12
C23C 14/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止したマシン・パーツから回転するマシン・パーツの中への粉末ガス混合物のフィードスルーのためのロータリー・フィードスルーであって、前記粉末ガス混合物は、非潤滑媒体であり、前記回転するマシン・パーツの回転速度は、200rpmから800rpmの間にあり、2つの平坦な円形リング形状のスライディング・シール表面の形態のシールが、スライディング様式で重ねて配置されており、前記スライディング・シール表面は、前記回転するマシン・パーツの回転軸線に同心円状に配置されており、前記スライディング・シール表面は、互いから離れるように軸線方向に移動させられ得る、ロータリー・フィードスルーにおいて、前記シールは、少なくとも1つのガス入口部および少なくとも1つのガス出口部を有するパージ・チャンバーの中に埋め込まれていることを特徴とする、ロータリー・フィードスルー。
【請求項2】
前記ガス入口部および前記ガス出口部は、前記パージ・チャンバーの直径方向反対側に配置されており、好ましくは、おおよそ、前記スライディング・シール表面の前記軸線方向の高さに配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のロータリー・フィードスルー。
【請求項3】
前記平坦なシール表面は、互いに接触した状態で、弾性的にプリテンションを掛けられていることを特徴とする、請求項1に記載のロータリー・フィードスルー。
【請求項4】
前記平坦なシール表面は、摩擦低減コーティングによって、好ましくは、PVDコーティングによって、コーティングされていることを特徴とする、請求項1または2に記載のロータリー・フィードスルー。
【請求項5】
前記コーティングは、粉末材料に関する接着防止コーティングとして構成されているコーティングであることを特徴とする、請求項に記載のロータリー・フィードスルー。
【請求項6】
前記コーティングは、セラミック層および/または炭素層を含み、前記炭素層は、好ましくは、内部にDLC層を含み、とりわけ好ましくは、前記DLC層から開始して前記表面に向けて、炭素化合物のより高いsp混成比率を含むことを特徴とする、請求項4に記載のロータリー・フィードスルー。
【請求項7】
前記スライディング・ディスクは、完全にまたは主として、セラミックまたは硬質金属からなることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のロータリー・フィードスルー。
【請求項8】
静止したマシン・パーツから回転するマシン・パーツの中へ粉末ガス混合物を給送するための方法において、請求項1から5のいずれか一項に記載のロータリー・フィードスルーが使用されており、前記ロータリー・フィードスルーの前記パージ・チャンバーを通って、パージ・ガスが流れ、ギャップがスライディング表面同士の間に形成されているときに、パージ・ガスのフローによって、前記スライディング・シール表面同士の間のスペースから、粉末粒子が除去されるようになっていることを特徴とする、方法。
【請求項9】
前記パージ・ガスが、輸送チャネルの中に広がる圧力と比較して過大圧力で、前記パージ・チャンバーを通って流れることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記パージ・チャンバーの中に粉末粒子が存在しているときに、前記パージ・チャンバーが、前記パージ・ガスの前記フローによって、前記粉末粒子からクリーニングされることを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
ガスが、パージ・ガスとして使用され、前記ガスは、前記粉末ガス混合物のキャリア・ガスとしても使用されていることを特徴とする、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静止した媒体から回転する媒体の中への、または、その逆の、ロータリー・フィードスルーに関する。なかでも、粉末ガス混合物が、フィードスルーされることとなる。
【背景技術】
【0002】
静止したマシン・パーツから回転するマシン・パーツの中への非潤滑媒体のフィードスルーのためのロータリー・フィードスルーが知られている。とりわけ、「乾式のロータリー・フィードスルーを稼働させるために安全である」というキーワードが、ここでは重要な役割を果たす。スライディング様式で重ねて配置されている2つの平坦な円形リング形状のスライディング・シール表面の形態のシールも、潤滑媒体をフィードスルーするときには、より高い回転速度および最大で400barの移送圧力に関して実現され得るが、これは、非潤滑媒体では、より低い回転速度および圧力においてのみ可能である。とりわけ、媒体が連続的に給送される必要がない場合には、スライディング表面は、ギャップを形成するために、および、冷却することができるように、ときどき軸線方向に離されるべきであり、それによって、回転するマシン・パーツが、特定の回転速度で回転し続ける。そうでなければ、スライディング・シール表面は、接触した状態のままでなければならず、それは、それにしたがって回転速度および圧力を制限する。この点において、特定の漏れ損失は、完全に回避されることができない。
【0003】
DE19932355B4では、円筒形状の軸線方向のシリンダー・シェル表面が平坦なスライディング表面の代わりにシール表面として設計されているという事実によって、漏れ損失が低減されている。そのようなシリンダー表面によって、はるかに大きい表面およびギャップ長さを有する幅の狭いシーリング・ギャップが、半径を変化させることなく、すなわち、大きい半径およびそれに対応する相対速度を有することなく実現され得り、非潤滑媒体が円筒形状のシーリング・ギャップを小さい程度にしか通過することができないようになっている。
【0004】
しかし、特殊なケースは、いわゆる粉末ガス混合物であり、粉末ガス混合物は、たとえば、シリンダー・ライナーおよび他の表面の溶射において使用される。また、そのような混合物は、非潤滑媒体と称され得る。しかし、円筒形状のシーリング・ギャップは、この用途のオプションではない。その理由は、粉末がシーリング・ギャップの中に定着することとなり、それは、非常に急速にロータリー・フィードスルーの固着につながることとなる。
【0005】
シリンダー・ライナーの溶射に関して、コーティング粉末は、回転する噴射器に信頼性高く輸送されなければならず、したがって、シーリングは、「リジッドの」粉末ラインと「回転する」粉末ラインとの間のインターフェースが位置付けされている粉末ラインのポイントにおいて保証されなければならない。その用途を説明するために、図1は、本出願人のうちの1人のガン・マニピュレーターRotaPlasmaを示している。粉末ロータリー・フィードスルー3、パワートランスミッションのための手段5、ガン・ホルダー7、ガン・コネクション9、および、最後にガン11を含む、ガン・マニピュレーター1が示されている。
【0006】
このインターフェースにおけるシーリングは、コーティング・プロセスに関して本質的に重要なものである。その理由は、粉末ラインの端部における粉末が、特殊な粉末噴射器によって一定の条件の下でプラズマ火炎の中へ噴射されることとなるからである。一定の条件の下で、パラメーターの粉末速度および粉末量に、特別な注意が払われる。これらの値は、とりわけ、粉末ラインの中のリークによって悪影響を受ける。粉末漏出、たとえば、粉末ロータリー・フィードスルーの領域の中の粉末漏出は、圧力変動を引き起こし、それは、粉末の脈動につながる。それに加えて、粉末ラインの中のリークは、粉末ラインの中のわずかな過大圧力に起因して、粉末が外側に逃げることを引き起こす可能性があり、したがって、噴射器へ輸送される粉末の量を大きく低減させる。粉末ラインの中の過大圧力は、パラメーターに応じて、100mbarから800mbarである。
【0007】
従来技術によれば、テフロン(登録商標)・ブッシュとシール・リングの組み合わせが、粉末ロータリー・フィードスルーに関して使用されている。これは、以前は可能であった。その理由は、従来技術によれば、そのようなデバイスのガンが、単に200回転毎分の下で回転させられるからである。しかし、200rpmにおいて、デバイスは、すでに非常に限られた使用可能寿命を有しており、このプロセスが経済的に動作されることができないようになっている。また、目標は、最大で800rpm、および、好ましくはそれ以上の回転速度で、デバイスを動作させることができるということとなる。次いで、本出願人のうちの1人からすでに係属中の特許出願に開示されているように、回転速度の増加に適合された搬送レートの増加と組み合わせて、著しく改善された品質を備えた層を作り出すことが可能である。また、そのような高い回転速度は、従来のデバイスによって、短期間にわたって実現され得る。しかし、実験室規模を超えて層を作り出すことを望む場合には、粉末ロータリー・フィードスルーの新しい変異型が必要とされる。
【0008】
800rpmおよびさらにそれ以上における用途は、非潤滑媒体によってDE19932355B4において実現され得る、たとえば、20000rpmの回転速度から懸け離れているということ、ならびに、そこで説明されている乾式で稼働させるのに安全なロータリー・フィードスルーの課題は、依然として従属的な役割を果たすということが留意されるべきである。
【0009】
しかし、媒体として粉末ガス混合物を用いることによって、かなり深刻な他の問題が起こる。とりわけ、そのような粉末は、決して、特定の粒径の粉末粒だけを有することはない。粒径は、たとえばフィルタリングによって、上部に向けて非常に良好に制限され得る。しかし、より小さい粒子の存在は、単に特定のパーセンテージだけまで除外され得る。とりわけ、その理由は、粒子衝突が、粉末の急速輸送に起因して起こり、たとえば、それが、より小さい寸法の断片につながるからである。
【0010】
しかし、結果として、2つのシール・リングディスクの間のギャップがどれくらい小さいかということは問題ではなく、それよりもさらに小さい粒子が常に存在することとなり、ギャップの中に位置することとなる。一方では、これは、摩擦を結果として生じさせる。他方では、これらは、ギャップの拡大につながる可能性があり、そして、それは、より大きい粒子が拡大されたギャップの中に定着することを結果として生じさせるなどの可能性がある。最終的には、上記に説明されている漏出が起こる可能性がある。しかし、それは、また、変化したシーリング品質に起因して、圧力変動につながる可能性があり、それは、ガンの回転と組み合わせて、脈動する粉末フローにつながる可能性がある。このすべては、コーティングが塗布されるときに、コーティングの厚さの変動が存在し得るという結果になる。その理由は、両方の現象、すなわち、粉末脈動および粉末漏出が、すでに上記に説明されているように、不均一な粉末塗布を結果として生じさせ、したがって、不均一なコーティング厚さ分布を結果として生じさせる。これは、とりわけ、シリンダー・ボアの内部コーティングに関して、最も重要な品質特徴のうちの1つである。その理由は、層が、次いで、さらなるプロセス・ステップ(ホーニング)によって仕上げられるからである。不均一なコーティング厚さ分布は、なかでも、不十分に高い機械加工許容値によって引き起こされた最終的な機械加工層表面の上に、欠陥を引き起こす。この最終的な機械加工表面(たとえば、シリンダー・ボアの中の)は、相手方の本体部(たとえば、ピストンリングを備えたピストン)に対してシール表面を表すので、緊密性は、もはや、そのような欠陥の形成によって、十分に保証されることができない。たとえばクランクケースの中で、この品質欠陥が起こる場合には、それは、比較的に高い拒絶コストまたは再加工コストに関連付けられる。
【0011】
とりわけ、シリンダー表面をシールすることによる、DE19932355B4に説明されている解決策は、任意の改善策を提供するのではなく、追加的に、粒子の細かい粉末材料がシリンダー表面同士の間に付着し、極端な摩滅をもたらし、したがって、高速回転に起因して、シリンダー表面の破壊をもたらすという困難につながるということが指摘される。
【0012】
しかし、互いにスライドし、平坦なスライディング表面を有するシール・リングのケースであっても、スライディング・シール・ギャップの中への研磨ダスト粒子または粉末コンポーネントの侵入は、完全に回避することができず、それは、従来のロータリー・フィードスルーのケースでは、スライディング・シール表面の上述の非常に急速な摩耗につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明は、200rpmを上回り最大で2,000rpmの適度に高い回転速度において、低い摩耗のみを示し、したがって、経済的に使用され得る、非潤滑粉末ガス混合物のフィードスルーのためのロータリー・フィードスルーを提供するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、請求項1の特徴を備えたロータリー・フィードスルーによって満たされる。本発明によるロータリー・フィードスルーは、スライディング・シール・ディスクの軸線に対して横断方向に走るパージング・チャネルを備えることを特徴とする。このチャネルは、好ましくは、スライディング・シール・ディスクの軸線方向の位置において、たとえば、ロータリー・フィードスルーのハウジングの中の2つの直径方向反対側の開口部によって形成されており、このチャネルは、パージング剤がスライディング・シール・ディスクの軸線に対して横断方向に流れることを可能にし、スライディング・シール・ディスクを外側から通り過ぎることを可能にする。パージング剤フロー(1つの変形例では、空気フロー)は、とりわけ、スライディング・シール表面が短時間にわたって軸線方向に離れるように移動させられているときに、搬送されることとなる媒体の粉末粒子からこれらのスライディング・シール表面を解放し、それによって、スライディング・シール表面の急速な摩耗を防止する。
【0015】
上記に説明されている極端な摩滅を回避するために、互いに接触している状態で平坦なスライディング・シール表面に弾性的にプリテンションを掛け、これらのスライディング・シール表面が、通常は、明確に定義された圧力によって互いに触れるようになっているということが推奨される。それにもかかわらず、スライディング表面同士の間に達する、粉末の粒子断片は、パージング剤フローによって運び去られ、上記に説明されているような極端な損傷に即座にはつながらない。一般的に、スライディング・シール表面同士の接触圧力は、輸送チャネルの中に広がる圧力に関連して、輸送チャネルの幾何学形状によって調節され得り、パージ・チャンバーの中の回転パーツの外側の幾何学形状およびパージ・チャンバーの中に広がる圧力によって調節され得り、最後に、接触バネを選択することによって調節され得る。
【0016】
本発明によれば、一定のガス・フロー(パージ・ガス)、たとえば、圧縮空気が、シール表面の周りに配置されているパージ・チャンバーを通して導かれる。好ましくは動作中に使用されるパージ・ガス・フローは、おおよそ200l/minであり、動作圧力は、好ましくは、0.5barから1barの間で選択される。それに加えて、パージ・ガスの圧力サージが、間欠的に印加され、漏出チャンバーをクリーニングすることが可能である。好ましくは、これは、好ましくは最大1barによって、30秒ごとに行われ得る。
【0017】
パージ・チャンバーおよびパージ・ガスは、以下の効果を有している。2つのシール表面の間に侵入した粉末粒子および/または断片が、横断方向のパージ・ガス・フローおよび重ね合わせられたシール表面の回転運動に起因して、スライディング・シール表面から除去される。
【0018】
この点において、粉末の一部は、搬送フローに戻され得り、別の一部は、パージ・ガスの体積フローによって捕獲され、パージ空気チャンバーから除去される(図6図7を参照)。これは、スライディング・シール・ディスクを取り囲むスペース(そこには、バネ・メカニズムが位置付けされており、バネ・メカニズムは、シール表面の上の接触力の原因となっている)が、徐々に粉末でいっぱいになり、そのメカニズムの機能を妨げないことを保証する。
【0019】
上記に説明されているように、圧縮空気が、パージ・ガスとして使用され得る。しかし、上記に説明されているシール・スライディング表面のクリーニング・プロセスに起因して、(非常に少量ではあるが)所定量のパージ・ガスが輸送チャネルの中へ侵入する。この理由のために、粉末ガス混合物のキャリア・ガス、または、少なくとも同様のガスが、本発明のとりわけ好適な実施形態では、パージ・ガスとして使用される。
【0020】
ここで、本発明は、図を参照して、詳細におよび例示的に表されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ガン・マニピュレーターを示す図である。
図2】本発明による粉末ロータリー・フィードスルーを示す図である。
図3】本発明による粉末ロータリー・フィードスルーを示す図である。
図4】本発明による粉末ロータリー・フィードスルーを示す図である。
図5】本発明による粉末ロータリー・フィードスルーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図2は、本発明による粉末ロータリー・フィードスルー201を示しており、粉末ロータリー・フィードスルー201は、ハウジング203の中に埋め込まれている粉末輸送チャネル205を含み、粉末ガス混合物のフローの方向に引かれた点線を伴う矢印を備えている。粉末輸送チャネルの中の塗りつぶされていない小さい円形は、概略的に、粉末粒子を表すはずである。粉末輸送チャネル205は、チャネル・セクション205fおよびチャネル・セクション205rを含み、チャネル・セクション205fは、この用途では静止しており、チャネル・セクション205rは、この用途では回転する。引かれている垂直方向の点線は、回転軸線を表しているはずであり、また、回転軸線は、ロータリー・フィードスルーの軸線であると考えられる。
【0023】
回転するコンポーネントという用語が本明細書で使用される場合には(たとえば、チャネル・セクション205r)、その用語は、回転可能に支持されているコンポーネントを本質的に表している。その理由は、そのコンポーネントは、デバイスが使用されていない場合には、静止することが可能であるからである。
【0024】
静止チャネル・セクション205fおよび回転チャネル・セクション205rがそれらの端部によって出会う場所において、静止した平坦な円形リング形状のスライディング・ディスク207fが、静止チャネル・セクション205fの上に設けられており、さらなる静止した平坦な円形リング形状のスライディング・ディスク207rが、回転チャネル・セクション205rの上に設けられており、しかし、スライディング・ディスク207rは、チャネル・セクション205rとともに回転する。本発明によれば、粉末輸送チャネル205のこの領域は、パージ・チャンバー209によって囲まれており、少なくとも1つのガス供給部211および少なくとも1つのガス吐出部213が、パージ・チャンバー209に接続されている。
【0025】
回転するチャネル205rがハウジングの中に埋め込まれている場所において、回転するチャネル205rは、回転を許容する軸受215を介して埋め込まれており、これらの軸受215またはさらなる軸受が、回転軸線に対する軸線方向の移動も可能にする。押圧手段217が、たとえば、ここで示されているようにバネとして設計されており、押圧手段217は、所定の圧力によって、回転するスライディング・ディスク207rを静止したスライディング・ディスク207fに対して押し付ける。
【0026】
本出願では、粉末ガス混合物は粉末輸送チャネルを通して輸送されるが、一方、パージ・ガスは、ガス供給部211を通してパージ・チャンバー209の中へ給送され、再び、ガス吐出部213を通して取り除かれる。パージ・ガス・フローは、輸送チャネルの内側よりも高い圧力で給送され、パージ・チャンバーを通過させられ得る。対応する状況が、図3に概略的に表されている。明瞭化のために、バネの表示に関して、参照記号は繰り返されていない。
【0027】
小さいギャップが2つのシール表面の間に形成され、粉末が2つのシール表面の間に侵入するとすぐに、粉末は、パージ・ガスとともに回転するチャネル205rの中へ吸い込まれるか、または、パージ・チャンバーの中へ輸送され、したがって、粉末粒子は、スライディング・ディスク207fとスライディング・ディスク207rとの間のギャップから除去され、本質的にバネ力に起因して、ギャップが再び急速に閉じるようになっている(図4)。パージ・チャンバーの中の過大圧力、および、スライディング・ディスク207rの重ね合わせられた回転運動に起因して、粉末は、好ましくは、輸送チャネルの中へ戻り、スライディング・ディスク207fとスライディング・ディスク207rとの間のギャップは、粉末粒子から解放される。
【0028】
しかし、粉末粒子が、図5に示されているようにパージ・チャンバーの中へ侵入した場合には、粉末粒子は、パージ・ガスによってパージ・チャンバーから外へパージされる。これは、パージ・チャンバーが自己クリーニング・メカニズムを有しているということを意味している。
【0029】
ある実施形態では、スライディング・シール・ディスクは、セラミックまたは硬質金属から作製され得る。
【0030】
好適な実施形態によれば、スライディング・ディスク205fおよび205rのシール表面は、コーティングによってコーティングされており、コーティングは、一方では、ディスクの摩擦を低減させ、他方では、好ましくは、シール表面の上への粉末粒子の接着に対抗する接着防止コーティングとしても作用する。
【0031】
コーティングは、たとえば、PVDコーティングおよび/またはCVDコーティングであることが可能であり、コーティングは、たとえば、セラミック・コーティングとして設計され得り、または、炭素コーティングとしても設計され得る。炭素コーティングのケースでは、ダイヤモンド状のコーティングから開始して、シール表面の表面に対するsp混成比率の増加を実現することが有利である可能性がある。このように、層は、なじみ(run-in)コーティングとして外側コンポーネントを含むことが可能であり、なじみコーティングは、使用時に、特定の深さまで、すなわち、特定の硬度まで摩耗する。
【0032】
一般的に、コーティングは、スライディング・ディスクのために使用される非セラミックのより容易に機械加工可能な基板材料の使用を可能にする。より簡単な材料の加工は、より狭い公差が実現されることを可能にする。
【0033】
本発明のとりわけ好適な実施形態によれば、ガス入口部を通してパージ・チャンバーの中へ流入するパージ・ガスの質量フローは、パージ・チャンバーから引き出されるガスの質量フローと連続的にまたは定期的に比較される。後者が前者と比較してわずかにだけ低減されている場合には、これは、ギャップが形成されており、ギャップを通して、パージ・ガスが輸送チャネルの中へ流入するということ意味している。必要である場合には、バネによって発生させられるプリテンションが低減され、ギャップの中に捕捉された粉末粒子を解放し、したがって、クリーニング・プロセスを加速させる。
【0034】
スライディング・シール表面は、これまで、平坦なシール表面として説明されてきた。しかし、円錐形状のまたは湾曲したシール表面も考えられる。実際に、シリンダー・シェル・コンポーネントを有さないすべての回転対称の表面も使用され得る。しかし、平坦なシール表面が好適であることとなる。その理由は、平坦なシール表面が、パージ・ガス・フローに対して最小の抵抗を提供し、したがって、効果的なパージ・プロセスにつながるからである。
【0035】
静止したマシン・パーツから回転するマシン・パーツの中への粉末ガス混合物のフィードスルーのためのロータリー・フィードスルーであって、2つの平坦な円形リング形状のスライディング・シール表面の形態のシールが、スライディング様式で重ねて配置されており、スライディング・シール表面は、回転するマシン・パーツの回転軸線に同心円状に配置されており、また、互いから離れるように軸線方向に移動させられ得り、スライディング・シール表面がギャップを形成するようになっている、ロータリー・フィードスルーが開示された。ロータリー・フィードスルーは、シールが、少なくとも1つのガス入口部および少なくとも1つのガス出口部を有するパージ・チャンバーの中に埋め込まれていることを特徴としている。
【0036】
平坦なシール表面は、互いに接触した状態で、弾性的にプリテンションを掛けられている。
【0037】
平坦なシール表面は、摩擦低減コーティングによって、好ましくは、PVDコーティングによって、コーティングされ得る。コーティングは、好ましくは、粉末材料に関する接着防止コーティングとして構成されているコーティングである。
【0038】
コーティングは、セラミック層および/または炭素層を含むことが可能であり、炭素層は、好ましくは、内部にDLC層を含み、とりわけ好ましくは、DLC層から開始して表面に向けて、炭素化合物のより高いsp混成比率を含む。
【0039】
静止したマシン・パーツから回転するマシン・パーツの中へ粉末ガス混合物を給送するための方法が開示された。この方法は、ロータリー・フィードスルー型上記に説明されているように使用され、輸送チャネルの中に広がる圧力と比較して過大圧力で、パージ・チャンバーを通って、パージ・ガスが流れ、粉末粒子が、スライディング表面同士の間に、それによって形成されるギャップを通って侵入するときに、パージ・ガスのフローが輸送チャネルの中に起こるようになっており、このフローが、それとともにギャップから粉末粒子を引き抜き、したがって、粉末粒子からギャップをクリーニングすることを特徴としている。
【0040】
粉末粒子がパージ・チャンバーの中に存在している場合には、パージ・チャンバーは、パージ・ガスのフローによってクリーニングされ得る。
図1
図2
図3
図4
図5