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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20230301BHJP
【FI】
H05K13/02 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019073754
(22)【出願日】2019-04-08
(65)【公開番号】P2020174074
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 将吾
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-099689(JP,A)
【文献】国際公開第2017/109833(WO,A1)
【文献】特開2009-004415(JP,A)
【文献】特開2008-103592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品供給用の複数のフィーダが配置される台車であって、手動で押圧されることにより移動する台車と、当該台車が装着される装着部を備えた装置本体と、を備え、前記装着部に装着された前記台車に配置されたフィーダによって部品が供給される部品実装装置であって、
水平面に沿った方向であって前記装着部に対して台車を装着する方向を装着方向、水平面に沿った方向であって装着方向と直交する方向を左右方向、装着方向及び左右方向に直交する方向を上下方向と定義したときに、
前記装着部への装着の際に、手動で前記装着方向に押圧される前記台車を案内すると共に当該押圧により前記台車が前記装着方向に突き当てられることにより、前記装着部に対する前後、左右及び上下の三方向への前記台車の位置決めを完了させる案内位置決め機構と、前記三方向に位置決めされた前記台車をその位置で前記装着部に固定するクランプ機構とを備えている、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品実装装置において、
前記クランプ機構は、装着方向及び上下方向に前記台車を押圧することにより当該台車を前記装着部に固定する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項3】
請求項2に記載の部品実装装置において、
前記クランプ機構は、前記台車に備えられたピン部材と、前記装着部に設けられて上下方向に進退駆動される可動体と、を備え、
前記可動体は、前進位置に駆動されたときに、当該ピン部材を装着方向及び上下方向に押圧する押圧部を備えている、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の部品実装装置において、
前記案内位置決め機構は、
垂直軸回りに回転自在となるように前記台車に備えられたカムフォロアと、
前記装着部に備えられ、上下方向視において断面V字形状の当接面を有しかつ当該当接面に前記カムフォロアが突き当てられることにより当該カムフォロアを介して前記台車を装着方向及び左右方向に位置決めする位置決め部材と、を備える、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の部品実装装置において、
前記案内位置決め機構は、前記装着部に対して装着方向及び左右方向に前記台車を位置決めする第1位置決め機構と、前記装着部に対して装着方向及び上下方向に前記台車を位置決めする第2位置決め機構とを含み、
前記第1位置決め機構と前記第2位置決め機構とは、左右方向の互いに異なる位置に設けられている、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の部品実装装置において、
前記案内位置決め機構は、装着方向において前記台車を先上がりに案内するスロープ部分を含むレール部を備えている、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の部品実装装置において、
前記案内位置決め機構は、前記クランプ機構による前記台車の非固定状態において、前記三方向に位置決めされた前記台車をその位置に保持するための仮止め機構を備えている、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項8】
部品供給用の複数のフィーダが配置される台車と、当該台車が装着される装着部を備えた装置本体と、を備え、前記装着部に装着された前記台車に配置されたフィーダによって部品が供給される部品実装装置であって、
水平面に沿った方向であって前記装着部に対して台車を装着する方向を装着方向、水平面に沿った方向であって装着方向と直交する方向を左右方向、装着方向及び左右方向に直交する方向を上下方向と定義したときに、
前記装着部への装着の際に当該台車を案内すると共に当該台車が前記装着方向に突き当てられることにより、前記装着部に対する前後、左右及び上下の三方向への前記台車の位置決めを完了させる案内位置決め機構と、前記三方向に位置決めされた前記台車をその位置で前記装着部に固定するクランプ機構とを備えており、
前記案内位置決め機構は、前記装着部に対して装着方向及び左右方向に前記台車を位置決めする第1位置決め機構と、前記装着部に対して装着方向及び上下方向に前記台車を位置決めする第2位置決め機構とを含み、
前記第1位置決め機構と前記第2位置決め機構とは、左右方向の互いに異なる位置に設けられている、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項9】
部品供給用の複数のフィーダが配置される台車と、当該台車が装着される装着部を備えた装置本体と、を備え、前記装着部に装着された前記台車に配置されたフィーダによって部品が供給される部品実装装置であって、
水平面に沿った方向であって前記装着部に対して台車を装着する方向を装着方向、水平面に沿った方向であって装着方向と直交する方向を左右方向、装着方向及び左右方向に直交する方向を上下方向と定義したときに、
前記装着部への装着の際に当該台車を案内すると共に当該台車が前記装着方向に突き当てられることにより、前記装着部に対する前後、左右及び上下の三方向への前記台車の位置決めを完了させる案内位置決め機構と、前記三方向に位置決めされた前記台車をその位置で前記装着部に固定するクランプ機構とを備えており、
前記案内位置決め機構は、装着方向において前記台車を先上がりに案内するスロープ部分を含むレール部を備えている、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項10】
部品供給用の複数のフィーダが配置される台車と、当該台車が装着される装着部を備えた装置本体と、を備え、前記装着部に装着された前記台車に配置されたフィーダによって部品が供給される部品実装装置であって、
水平面に沿った方向であって前記装着部に対して台車を装着する方向を装着方向、水平面に沿った方向であって装着方向と直交する方向を左右方向、装着方向及び左右方向に直交する方向を上下方向と定義したときに、
前記装着部への装着の際に当該台車を案内すると共に当該台車が前記装着方向に突き当てられることにより、前記装着部に対する前後、左右及び上下の三方向への前記台車の位置決めを完了させる案内位置決め機構と、前記三方向に位置決めされた前記台車をその位置で前記装着部に固定するクランプ機構とを備えており、
前記案内位置決め機構は、前記クランプ機構による前記台車の非固定状態において、前記三方向に位置決めされた前記台車をその位置に保持するための仮止め機構を備えている、ことを特徴とする部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のテープフィーダを支持した台車が(部品実装装置の)装置本体に対して着脱可能に装着されるタイプの部品実装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に開示されるように、(部品実装装置の)装置本体に対して、複数のテープフィーダを支持した台車が着脱可能に装着(連結)されるタイプの部品実装装置が知られている。この部品実装装置によれば、台車単位で複数のテープフィーダを一括して交換できるため、基板の生産品種の切り替えなどに速やかに対応できるという特徴がある。
【0003】
この種の部品実装装置では、装置本体に対する台車の位置決めが不適切であると、テープフィーダの位置ズレを招き、ヘッドによるテープフィーダからの部品の取り出しに支障が生じる場合がある。そこで、例えば特許文献1に記載される部品実装装置では、装置本体の所定位置に台車をセットし、オペレータがスイッチを操作すると、エアシリンダが駆動して台車が自動的に装置本体に対して位置決めされるように構成されている。具体的には、エアシリンダの駆動によりレバー部材が作動し、台車に設けられたフィーダテーブルが当該レバー部材により持ち上げられながら台車と共に装置本体側に引き込まれ、フィーダテーブルの左右両側に設けられたカムフォロアが、装置本体側に設けられたカム部材の凹部に嵌入されることにより、台車(フィーダテーブル)がX方向及びZ方向に位置決めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5434888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のような従来装置では、多数のフィーダが搭載された高重量のフィーダテーブルをレバー部材により持ち上げながら台車と共に装置本体側に引き込む必要があるため、エアシリンダに比較的大きな駆動力が求められ、その分コストを要することとなる。また、レバー部材の作動から完全に位置決めが完了するまでに比較的時間を要するという欠点もある。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、より速やかにかつ低コストで、(部品実装装置の)装置本体に対して台車を位置決めした状態で装着できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の部品実装装置は、部品供給用の複数のフィーダが配置される台車であって、手動で押圧されることにより移動する台車と、当該台車が装着される装着部を備えた装置本体と、を備え、前記装着部に装着された前記台車に配置されたフィーダによって部品が供給される部品実装装置であって、水平面に沿った方向であって前記装着部に対して台車を装着する方向を装着方向、水平面に沿った方向であって装着方向と直交する方向を左右方向、装着方向及び左右方向に直交する方向を上下方向と定義したときに、前記装着部への装着の際に、手動で前記装着方向に押圧される前記台車を案内すると共に当該押圧により前記台車が前記装着方向に突き当てられることにより、前記装着部に対する前後、左右及び上下の三方向への前記台車の位置決めを完了させる案内位置決め機構と、前記三方向に位置決めされた前記台車をその位置で前記装着部に固定するクランプ機構とを備えているものである。
【0008】
この部品実装装置の構成によれば、台車を装着方向に移動させ、当該台車が突き当たって止まる位置まで移動させれば、台車が自ずと前後、左右及び上下の三方向へ位置決めされる。そのため、その後、クランプ機構により台車を固定するだけで、装置本体に対して台車を速やかに位置決めした状態で装着することができる。しかも、クランプ機構は、既に位置決めされた台車を固定するだけなので、当該固定に要する駆動力も比較的小さくてすむ。従って、この部品実装装置によれば、より速やかにかつ低コストで、装置本体に対して台車を位置決めした状態で装着できるようになる。
【0009】
この部品実装装置において、 前記クランプ機構は、前記台車に備えられたピン部材と、前記装着部に設けられて上下方向に進退駆動される可動体と、を備え、前記可動体は、前進位置に駆動されたときに、当該ピン部材を装着方向及び上下方向に押圧する押圧部を備えているものである。
【0010】
この構成によれば、装着部に対して台車がしっかりと押し付けられるので、台車の位置決め状態を保ちながら装置本体に対して安定的に台車を固定することが可能となる。
【0011】
この場合、前記クランプ機構は、前記台車に備えられたピン部材と、前記装着部に設けられて上下方向に進退駆動される可動体と、を備え、前記可動体は、前進位置に駆動されたときに、当該ピン部材を装着方向及び上下方向に押圧する押圧部を備えているのが好適である。
【0012】
この構成によれば、可動体を前進駆動することで、ピン部材を介して台車を装着方向及び上下方向に押圧することが可能となる。
【0013】
上記各態様の部品実装装置において、前記案内位置決め機構は、垂直軸回りに回転自在となるように前記台車に備えられたカムフォロアと、前記装着部に備えられ、上下方向視において断面V字形状の当接面を有しかつ当該当接面に前記カムフォロアが突き当てられることにより当該カムフォロアを介して前記台車を装着方向及び左右方向に位置決めする位置決め部材と、を備える。
【0014】
この構成によれば、位置決め部材にカムフォロアを突き当てるだけの簡単な構成で、台車を装着方向及び左右方向に位置決めすることが可能となる。
【0015】
上記各態様の部品実装装置において、前記案内位置決め機構は、前記装着部に対して装着方向及び左右方向に前記台車を位置決めする第1位置決め機構と、前記装着部に対して装着方向及び上下方向に前記台車を位置決めする第2位置決め機構とを含み、前記第1位置決め機構と前記第2位置決め機構とは、左右方向の互いに異なる位置に設けられているのが好適である。
【0016】
この構成によれば、左右方向の互いに離間した異なる位置で台車が位置決めされるので、装着部に対して台車が拗れた(斜めに傾いた)状態で装着されることを抑制することが可能となる。
【0017】
上記各態様の部品実装装置において、前記案内位置決め機構は、装着方向において前記台車を先上がりに案内するスロープ部分を含むものであってもよい。
【0018】
この構成によれば、床面上の台車の位置と、装置本体における装着部の高さとの間に差がある場合でも、スロープに沿って台車を装着方向に移動させることで、装置本体に対して難なく台車を位置決めした状態でセットすることが可能となる。
【0019】
上記各態様の部品実装装置において、前記案内位置決め機構は、前記クランプ機構による前記台車の非固定状態において、前記三方向に位置決めされた前記台車をその位置に保持するための仮止め機構を備えているのが好適である。
【0020】
この構成によれば、装着部に対して台車を位置決めした後、クランプ機構によって台車が固定されるまでの間に台車が移動することを抑制することができる。そのため、台車を確実に位置決めした状態でクランプ機構により固定することが可能となる。
また、本発明の部品実装装置は、部品供給用の複数のフィーダが配置される台車と、当該台車が装着される装着部を備えた装置本体と、を備え、前記装着部に装着された前記台車に配置されたフィーダによって部品が供給される部品実装装置であって、水平面に沿った方向であって前記装着部に対して台車を装着する方向を装着方向、水平面に沿った方向であって装着方向と直交する方向を左右方向、装着方向及び左右方向に直交する方向を上下方向と定義したときに、前記装着部への装着の際に当該台車を案内すると共に当該台車が前記装着方向に突き当てられることにより、前記装着部に対する前後、左右及び上下の三方向への前記台車の位置決めを完了させる案内位置決め機構と、前記三方向に位置決めされた前記台車をその位置で前記装着部に固定するクランプ機構とを備えており、前記案内位置決め機構は、前記装着部に対して装着方向及び左右方向に前記台車を位置決めする第1位置決め機構と、前記装着部に対して左右方向及び上下方向に前記台車を位置決めする第2位置決め機構とを含み、前記第1位置決め機構と前記第2位置決め機構とは、左右方向の互いに異なる位置に設けられているものであってもよい。
また、本発明の部品実装装置は、部品供給用の複数のフィーダが配置される台車と、当該台車が装着される装着部を備えた装置本体と、を備え、前記装着部に装着された前記台車に配置されたフィーダによって部品が供給される部品実装装置であって、水平面に沿った方向であって前記装着部に対して台車を装着する方向を装着方向、水平面に沿った方向であって装着方向と直交する方向を左右方向、装着方向及び左右方向に直交する方向を上下方向と定義したときに、前記装着部への装着の際に当該台車を案内すると共に当該台車が前記装着方向に突き当てられることにより、前記装着部に対する前後、左右及び上下の三方向への前記台車の位置決めを完了させる案内位置決め機構と、前記三方向に位置決めされた前記台車をその位置で前記装着部に固定するクランプ機構とを備えており、前記案内位置決め機構は、装着方向において前記台車を先上がりに案内するスロープ部分を含むレール部を備えていてもよい。
また、本発明の部品実装装置は、部品供給用の複数のフィーダが配置される台車と、当該台車が装着される装着部を備えた装置本体と、を備え、前記装着部に装着された前記台車に配置されたフィーダによって部品が供給される部品実装装置であって、水平面に沿った方向であって前記装着部に対して台車を装着する方向を装着方向、水平面に沿った方向であって装着方向と直交する方向を左右方向、装着方向及び左右方向に直交する方向を上下方向と定義したときに、前記装着部への装着の際に当該台車を案内すると共に当該台車が前記装着方向に突き当てられることにより、前記装着部に対する前後、左右及び上下の三方向への前記台車の位置決めを完了させる案内位置決め機構と、前記三方向に位置決めされた前記台車をその位置で前記装着部に固定するクランプ機構とを備えており、前記案内位置決め機構は、前記クランプ機構による前記台車の非固定状態において、前記三方向に位置決めされた前記台車をその位置に保持するための仮止め機構を備えているものであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明の部品実装装置によれば、より速やかにかつ低コストで、(部品実装装置の)装置本体に対して台車を位置決めした状態で装着できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る部品実装装置の概略構成を示す平面図である。
図2】部品供給ユニットが装着された状態のユニット装着部を示す斜視図である。
図3】部品供給ユニットが装着される前のユニット装着部を示す斜視図である。
図4】部品供給ユニットを右後方から視た斜視図である。
図5】部品供給ユニットを左後方から見た斜視図である。
図6】ユニット装着部の右ガイド側板を左後方から視た斜視図である。
図7】ユニット装着部の右ガイド側板の内側面を左側から視た平面図である。
図8】ユニット装着部の左ガイド側板を右後方から視た斜視図である。
図9】ユニット装着部の左ガイド側板の内側面を右側から視た平面図である。
図10】第1位置決め機構の構成を示す平面模式図である。
図11】第2位置決め機構の構成を示す側面模式図である。
図12】クランプ機構を示す側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
[1.部品実装装置の構成]
図1は、本発明に係る部品実装装置の概略構成を示す平面図である。
【0025】
図1及びその他の図面には、方向関係の明確化のためにXYZ直角座標軸が示されている。なお、X方向は水平面と平行な方向であり、Y方向は水平面上でX方向と直交する方向であり、Z方向はX方向及びY方向にそれぞれ直交する方向(垂直方向)である。
【0026】
図に示すように、部品実装装置は、基台1aを有する装置本体1と、この装置本体1に着脱可能に装着された4つの部品供給ユニット5(本発明の「台車」に相当する)とを備えている。
【0027】
装置本体1の基台1a上には、プリント配線板(基板Pと称す)をX方向に搬送する一対のコンベア2と、これらコンベア2を挟んでその両側(Y方向の両側)に各々設けられた部品供給部4と、基台1aの上方に移動可能に配置される部品実装用のヘッドユニット8とが備えられている。
【0028】
各部品供給部4には、各々コンベア2に沿って2つの前記部品供給ユニット5が配置されており、これにより、合計4つの部品供給ユニット5(適宜、部品供給ユニット5A~5Dという)が装置本体1に配置されている。
【0029】
部品供給ユニット5は、複数のテープフィーダ6を着脱可能に支持したキャスタ付きの手押し式台車(図2及び図3参照)である。部品供給ユニット5は、装置本体1の各部品供給部4に各々設けられたユニット装着部7(本発明の「装着部」に相当する)に対して着脱可能に装着されている。このように部品供給ユニット5がユニット装着部7に対して着脱されることにより、装置本体1に対して複数のテープフィーダ6が一括して交換可能となっている。
【0030】
テープフィーダ6は、テープを担体(キャリア)として、IC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状の部品(実装用の部品)を所定の部品取出部に供給するものである。なお、部品供給ユニット5には、テープフィーダ6の代わりに、或いはテープフィーダ6と共に、いわゆるスティックフィーダが支持される場合もある。スティックフィーダは、部品取出部に向かって先下がりに傾斜した長尺状の筒状容器に部品が収容され、当該筒状容器内において部品を自重で移動させることにより部品取出部に部品を供給するものである。テープフィーダやスティックフィーダは、本発明に係る「部品供給用のフィーダ」の一例である。
【0031】
前記ヘッドユニット8は、部品供給部4(部品供給ユニット5)の各テープフィーダ6から部品を取り出して基板P上に実装(搭載)するものである。このヘッドユニット8は、ヘッドユニット駆動機構の作動により一定の領域内でX方向およびY方向に移動する。すなわち、ヘッドユニット駆動機構は、高架フレームに固定された固定レール11に沿ってY方向に移動自在なユニット支持部材10と、このユニット支持部材10を、ボールねじ軸13を介して駆動するY軸サーボモータ12と、ユニット支持部材10に対してヘッドユニット8をX方向に移動自在に支持する図外の固定レールと、ヘッドユニット8を、ボールねじ軸15を介して駆動するX軸サーボモータ14とを含む。なお、ヘッドユニット駆動機構は、リニアモータを駆動源としてユニット支持部材10やヘッドユニット8をダイレクトに駆動する構成であってもよい。
【0032】
ヘッドユニット8には、部品吸着用のノズルを各々先端(下端)に備えた複数の軸状のヘッド8aが備えられている。当実施形態では、X方向に等間隔で一列に配列された状態で8本のヘッド8aがヘッドユニット8に備えられている。各ヘッド8は、Z軸サーボモータを駆動源とするヘッド昇降駆動機構により上下方向(Z方向)に駆動されるとともに、R軸サーボモータを駆動源とするヘッド回転駆動機構によりヘッドユニット8に対して中心軸回りに回転方向(R軸方向)に駆動される。
【0033】
なお、各ヘッド8のノズルには、負圧及び正圧が選択的に供給可能となっており、電磁弁の切替制御により、部品の吸着(ピックアップ)時にはノズル先端に負圧が供給され、部品の実装時にはノズル先端に正圧が供給される。
【0034】
上記の部品実装装置では、基板Pがコンベア2に沿って所定の実装作業位置(図1に示す位置)に搬入されると、ヘッドユニット8が部品供給部4と基板Pとの間を往復しながら、部品供給部4(部品供給ユニット5)から部品を取り出して基板P上に搬送し、当該部品を基板P上の所定位置に実装(搭載)する。当該基板Pに対して全ての部品の実装が終了すると、実装作業位置から基板Pが搬出され、次の基板Pが実装作業位置に搬入されてくる。このような各部の動作の繰り返しにより基板Pの生産が進められる。
【0035】
そして、生産品種の切り替え(基板Pの品種切り替え)等の際には、装置本体1のユニット装着部7から部品供給ユニット5が取り外され、予め準備(段取り)されている別の部品供給ユニット5と交換される。これにより各部品供給部4に配置される複数のテープフィーダ6が一括して交換される。
【0036】
以下、この部品供給ユニット5とユニット装着部7の構成について説明する。
【0037】
[2.部品供給ユニット及びユニット装着部の構成]
以下の説明では、図1中に示す4つの部品供給ユニット5A~5Dのうち、左下に位置する部品供給ユニット5Aと、これが装着されたユニット装着部7の構成について説明する。
【0038】
なお、以下の説明では、適宜、-Xを「右」、+Xを「左」、+Yを「前」、-Yを「後」、+Zを「上」、-Zを「下」として説明する。従って、X方向は左右方向、Y方向は前後方向、Z方向は上下方向となる。
【0039】
図2は、部品供給ユニット5Aが装着された状態のユニット装着部7を、図3は、部品供給ユニット5Aが装着される前のユニット装着部7を各々示している。
【0040】
ユニット装着部7は、左右方向(X方向)に間隔を隔てて立設された左右一対のガイド側板42A、42B(右ガイド側板42A、左ガイド側板42Bと称す)と、これらガイド側板42A、42Bの間に配置されたカッターユニット44と、両ガイド側板42A、42Bの上部に亘って配置されたカバー部材46と、を備えている。両ガイド側板42A、42Bとカバー部材46との間には、後側(-Y方向)に開口する空間が形成されており、ユニット装着部7の後側からこの空間に部品供給ユニット5が挿入されることにより、部品供給ユニット5がユニット装着部7に装着されている。つまり、図2及び図3では、+Y方向が本発明の「台車を装着する方向(装着方向)」に相当する。
【0041】
部品供給ユニット5Aは、上記の通り、複数のテープフィーダ6を支持したキャスタ付きの手押し式台車であり、図3に示すように、台車本体20と、この台車本体20の上部に支持されたフィーダ支持台21とを備えている。
【0042】
台車本体20は、下面にキャスタ23を備えたベース22と、その上部に設けられた箱形のテープホルダ24とを備えている。テープホルダ24は、左右一対の側板25bと前面板25aとを備えた、後方及び上方に開口した平面視コ字型のフレーム25を有している。フレーム25の内側には、仕切版28aによって仕切られた複数のテープ収容部28が左右方向に並設されている。図示を省略しているが、これらテープ収容部28に、IC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状の部品が収納されたテープを巻回したリールが各々回転可能に収容されている。
【0043】
フレーム25の上部には、複数のテープガイド30が左右方向に並設されており、テープ収容部28に収容されたリールからテープフィーダ6に引き出されたテープが、これらテープガイド30によりガイドされる。
【0044】
なお、フレーム25の各側板25bの後部上端には、各々ハンドル26が設けられており、オペレータがこのハンドル26を把持した状態で部品供給ユニット5Aを押して移動させることができるようになっている。
【0045】
前記フィーダ支持台21は、テープホルダ24の前部上方に、当該テープホルダ24から前方(+Y方向)に張り出すように設けられている。
【0046】
フィーダ支持台21は、平面視矩形のテーブル32と、このテーブル32の左右両端に設けられた左右一対のガイドブロック34A、34B(右ガイドブロック34A、左ガイドブロック34Bと称す)と、テーブル32の前部に立設された位置決めプレート35とを備えている。
【0047】
テーブル32の上面には、前後方向に延在して左右方向に並ぶ互いに平行な複数のスロット32aが設けられている。これらスロット32aは、テーブル32の上面に形成されたフィーダ装着用のスリット状の溝である。テープフィーダ6は、その底部が、このスロット32aに差し込まれた状態でテーブル32上に支持される。図3では、便宜上、一つのテープフィーダ6のみ図示しているが、基板Pの生産時には、各スロット32aにテープフィーダ6がセットされることにより、複数のテープフィーダ6が左右方向に並列にかつ近接し状態で配置される。
【0048】
位置決めプレート35には、各スロット32に対応して上下一対のピン孔35aが形成されており、これらピン孔35aに、テープフィーダ6の先端に設けられた一対のピン(図示省略)が挿入されている。これにより、テープフィーダ6(すなわち部品取出部)がフィーダ支持台21に対して前後、左右及び上下の各方向に位置決めされている。
【0049】
フィーダ支持台21の下面には、当該下面から下方に延びる左右一対の脚部31が設けられており、フィーダ支持台21は、これら脚部31を介して前記テープホルダ24に上下動可能に支持されている。フィーダ支持台21とテープホルダ24との間には、図外のばね部材が介設されている。これにより、ばね部材による上向きの弾発力とテープフィーダ6を含む当該フィーダ支持台21の自重とがバランスした所定の高さ位置にフィーダ支持台21が保持されるようになっている。例えば、全てのスロット32aにテープフィーダ6が装着されている場合には、フィーダ支持台21は、昇降ストローク内の最低高さ位置に保持される。
【0050】
部品供給ユニット5Aは、図2及び図3に示すように、ユニット装着部7の一対のガイド側板42A、42Bとカバー部材46とで形成された空間内に、後側からフィーダ支持台21が挿入されることによりユニット装着部7に装着される。
【0051】
ユニット装着部7への部品供給ユニット5Aの装着に際しては、フィーダ支持台21の左右のガイドブロック34A、34Bが、ユニット装着部7の左右のガイド側板42A、42Bに沿って案内され、フィーダ支持台21がユニット装着部7に対して前後、左右及び上下の各方向(XYZ方向)に位置決めされる。この点については、後に詳述する。
【0052】
カバー部材46の前端上部には、シャッタ47の作動により開閉される部品取り出し用の図外の開口部が設けられている。例えば、ユニット装着部7に部品供給ユニット5Aが装着され、この事が図外のセンサ等により検知されると、シャッタ47が前方にスライドして(図2中の矢印参照)、前記開口部が開放される。これにより、ヘッドユニット8(ヘッド8a)によるテープフィーダ6からの部品の取り出しが可能となる。
【0053】
なお、図示を省略しているが、フィーダ支持台21にセットされた各テープフィーダ6には、テープホルダ24の前記テープ収容部28に収容されたリールからテープが引き出されており、ヘッドユニット8による部品の取り出しに伴い、テープフィーダ6の作動により当該テープが簡潔的に繰り出される。これにより、テープフィーダ前端部の部品取出部に部品が供給される。部品取り出し後のテープは、テープフィーダ6の先端から前記カッターユニット44に案内され、このカッターユニット44により細断されて図外のダストボックスに収容されることとなる。
【0054】
[3.案内位置決め機構およびクランプ機構の構成]
部品実装装置には、ユニット装着部7への部品供給ユニット5Aへの装着の際に、当該部品供給ユニット5Aを案内すると共に位置決めするための案内位置決め機構GMと、位置決めされた部品供給ユニット5Aをユニット装着部7に固定するクランプ機構CMとが設けられている。案内位置決め機構GMは、詳しくは、ユニット装着部7に対してフィーダ支持台21(部品供給ユニット5A)を案内する案内機構GM1と、フィーダ支持台21を前後及び左右方向に位置決めする第1位置決め機構GM2と、フィーダ支持台21を前後及び上下方向に位置決めする第2位置決め機構GM3と、第1、第2位置決め機構GM2、GM3により位置決めされたフィーダ支持台21を、(クランプ機構CMによる固定前に)その位置に保持するための仮止め機構とを含む。以下、これらの構成について説明する。
【0055】
図4は、部品供給ユニット5Aを右後方から視た斜視図であり、図5は、部品供給ユニット5Aを左後方から見た斜視図である。また、図6は、ユニット装着部7の右ガイド側板42Aを左後方から視た斜視図であり、図7は、同右ガイド側板42Aの内側面を左側から視た平面図である。さらに、図8は、ユニット装着部7の左ガイド側板42Bを右後方から視た斜視図であり、図9は、同左ガイド側板42Bの内側面を右側から視た平面図である。
【0056】
案内位置決め機構GM(GM1~GM4)およびクランプ機構CMは、ユニット装着部7の側に設けられる構成要素と部品供給ユニット5A側に設けられる構成要素とが協働して構成される。
【0057】
図4及び図5に示すように、フィーダ支持台21の左右のガイドブロック34A、34Bは、テーブル32に沿って前後方向に延在している。ガイドブロック34A、34Bの前後方向の複数の位置、具体的には、前端近傍部と略中央部と後端部との3箇所にはカムフォロア36(ガイド用カムフォロア36と称す)が各々回転自在に設けられている。これらガイド用カムフォロア36は、詳しくはX軸(X方向に延びる水平軸)回りに回転自在に設けられている。
【0058】
各ガイド用カムフォロア36は、ガイドブロック34A、34Bの外側面に形成されたザグリ部分の内側に配置され、当該ガイド用カムフォロア36の周面が各ガイドブロック34A、34Bの下面から僅かに下方に突出するように、当該ガイドブロック34A、34Bに支持されている。
【0059】
また、各ガイドブロック34A、34Bの外側面であって前後方向の略中央部には、フィーダ支持台21から左右外向きに突出する、クランプ用のピン37(ピン部材)が設けられている。
【0060】
さらに、右ガイドブロック34Aの前端下面には、位置決め用カムフォロア38が回転自在に設けられている。詳しくはZ軸(Z方向に延びる軸/垂直軸)回りに回転自在に設けられている。この位置決め用カムフォロア38は、右ガイドブロック34Aにのみ設けられており、左ガイドブロック34Bには設けられていない。
【0061】
一方、図6図9に示すように、左右のガイド側板42A、42Bは、ガイド側板本体52と、このガイド側板本体52に昇降(上下動)可能に支持されたクランプ部53とを備えている。クランプ部53は、ガイド側板本体52に固定されたエアシリンダ54の図外の出力軸に連結されており、このエアシリンダ54の作動により図6図9の実線に示すリリース位置と、このリリース位置から下降したクランプ位置(図7及び図9の二点鎖線に示す位置)とに亘って変位可能となっている。
【0062】
各ガイド側板42A、42Bの内側面には、部品供給ユニット5Aのフィーダ支持台21(ガイド用カムフォロア36)を下から支持しながら案内するガイド面60aを有した前後方向に延在するレール部60が設けられている。つまり、フィーダ支持台21のガイド用カムフォロア36及びレール部60により前記案内機構GM1が構成されている。
【0063】
レール部60は、各ガイド側板42A、42Bの後端から前方に向かって先上がりに延びるスロープ部61と、このスロープ部61の前端に連続して当該前端から前方に向かって水平に延びる水平部62とを含む。ガイド面60a自体は、その長手方向の全体に亘って概ね平坦に形成されている。また、レール部60のうち、スロープ部61と水平部62との間の位置には、X軸(X方向に延びる水平軸)回りに回転自在なカムフォロア64が設けられている。
【0064】
スロープ部61の後端部におけるガイド面60aの高さは、例えばフィーダ支持台21が前記最低位置に配置された状態のガイドブロック34A、34B(ガイド用カムフォロア36)の下面よりも低位置に設定されている。また、水平部62のガイド面60aの高さは、フィーダ支持台21に搭載された各テープフィーダ6の部品取出部が、ヘッドユニット8(ヘッド8a)による部品吸着高さと同等となるように設定されている。
【0065】
図6に示すように、右ガイド側板42Aの前端部には、部品供給ユニット5A(フィーダ支持台21)を前後及び左右方向(X方向及びY方向)に位置決めするための第1位置決めブロック68(本発明の「位置決め部材」に相当する)が設けられている。第1位置決めブロック68は、平面視において後向きに開く断面V字形状の当接面69を有している。
【0066】
図10に示すように、当接面69は、90°よりも僅かに狭い角度を有して対面するように形成された2つの面69a、69aからなり、同図に示すように、当該当接面69(面69a、69a)に、フィーダ支持台21の右ガイドブロック34Aに設けられた前記位置決め用カムフォロア38(本発明の「カムフォロア」に相当する)が当接することにより、当該フィーダ支持台21が前後及び左右方向(X方向及びY方向)に位置決めされる。つまり、第1位置決めブロック68および位置決め用カムフォロア38により前記第1位置決め機構GM2が構成されている。
【0067】
一方、左ガイド側板42Bの前端部、詳しくはレール部60の前端部の上方には、フィーダ支持台21を前後及び上下方向(X方向及びZ方向)に位置決めするための第2位置決めブロック70が設けられている。
【0068】
図11に示すように、第2位置決めブロック70は、レール部60(水平部62)のガイド面60aに対して45°傾いた当接面71を有しており、同図に示すように、この当接面71に、フィーダ支持台21の左ガイドブロック34Bにおける先頭のガイド用カムフォロア36が当接することにより、フィーダ支持台21が前後及び上下方向(Y方向及びZ方向)に位置決めされる。つまり、第2位置決めブロック70、レール部60(ガイド面60a)及び左ガイドブロック34Bの先頭のガイド用カムフォロア36により前記第2位置決め機構GM3が構成されており、左ガイドブロック34Bについては、先頭のガイド用カムフォロア36が位置決め用のカムフォロアを兼ねた構成となっている。
【0069】
各ガイド側板42A、42Bのレール部60の前端部分には、プランジャ66が設けられている。詳しく図示していないが、プランジャ66は、半球体66a(又は球体)とこれを進退可能に保持する図外のシリンダと、このシリンダに内蔵されて半球体66aを前進方向に付勢する図外のばね部材とで構成されており、半球体66aが出没可能となるようにガイド面60aに埋設されている。
【0070】
プランジャ66は、第1、第2位置決めブロック68、70に各々カムフォロア38、36が当接してフィーダ支持台21が位置決めさたときに、半球体66aがガイドブロック34A、34Bの下面に形成された凹部39(図4及び図5参照)に嵌合するように設けられている。つまり、プランジャ66及びガイドブロック34A、34Bの凹部39により、前記仮止め機構GM4が構成されている。
【0071】
さらに、各両ガイド側板42A、42Bのクランプ部53には、上記のようにプランジャ66により仮止めされたフィーダ支持台21(部品供給ユニット5A)をユニット装着部7に対して固定するためのロック部材72(本発明の「可動体」に相当する)が設けられている。
【0072】
ロック部材72は、図12に示すように、前後方向に延びる第1押圧部72aとこれに直交して上下に延びる第2押圧部72bとを有した逆L字型のプレート状の部材である。ロック部材72は、その屈曲した部分で支持軸74を介してクランプ部53に揺動可能に支持されており、クランプ部53がリリース位置からクランプ位置へ移動すると、これに伴い第1押圧部72aがピン37に対して上方から当接して当該ピン37を押圧するとともに、第2押圧部72bがピン37に対して後方から当接して当該ピン37を前方に押圧する。このように、ピン37を介してフィーダ支持台21が前方かつ下方に押圧されることにより、部品供給ユニット5Aが前後、左右及び上下方向に位置決めされた状態でユニット装着部7に固定される。つまり、クランプ部53、エアシリンダ54、ロック部材72、支持軸74、及びピン37により上記クランプ機構CMが構成されている。
【0073】
ここで、部品供給ユニット5Aをユニット装着部7に装着する際の一連の手順について説明する。まず、図3に示すように、ユニット装着部7の後方に部品供給ユニット5Aを配置し、この位置から部品供給ユニット5Aを前進させ、フィーダ支持台21をユニット装着部7の内側の空間に挿入する。
【0074】
このようにフィーダ支持台21をユニット装着部7の内側に挿入すると、フィーダ支持台21の左右のガイドブロック34A、34Bが、左右のガイド側板42A、42Bのレール部60のガイド面60aに乗り上げ、ガイド面60aに沿って案内される。この際、左右のガイドブロック34A、34Bに設けられたガイド用カムフォロア36がガイド面60a上を転動することで、フィーダ支持台21がレール部60に沿って案内されながらスムーズにユニット装着部7の内部に挿入される。
【0075】
さらに、部品供給ユニット5Aを前進させると、フィーダ支持台21がスロープ部61に沿って上昇しながら水平部62に移動する。これにより、テープフィーダ6がフィーダ支持台21と共に、ヘッドユニット8による部品の取出しが可能な高さ位置に配置される。この際、上記の通りフィーダ支持台21はばね部材の弾発力により上向きに付勢されているため、部品供給ユニット5Aを前進させるだけで、フィーダ支持台21はスムーズにスロープ部61から水平部62に移動することとなる。
【0076】
さらに部品供給ユニット5Aを前進させると、第1位置決めブロック68の当接面69に右ガイドブロック34Aの位置決め用カムフォロア38が当接するとともに、第2位置決めブロック70の当接面71に左ガイドブロック34Bの先頭のガイド用カムフォロア36が当接する。これにより、上述したように、フィーダ支持台21が第1位置決めブロック68により前後及び左右方向に位置決めされるとともに、第2位置決めブロック70により前後及び上下方向に位置決めされる。つまり、フィーダ支持台21が前後、左右及び上下の三方向に位置決めされる。
【0077】
また、このようにフィーダ支持台21が第1、第2位置決めブロック68、70に突き当たって三方向に位置決めされるのと、これと同時に、左右のレール部60に設けられたプランジャ66の半球体66aが、フィーダ支持台21の前記凹部39に嵌合し、これによりフィーダ支持台21がその位置に保持される。
【0078】
その後、例えばスイッチ等を操作することにより、エアシリンダ54を作動させ、左右のガイドブロック34A,34Bのクランプ部53をリリース位置からクランプ位置に移動(下降)させる。これによりクランプ部53が移動すると、上述した通り、左右のピン37を介してフィーダ支持台21が前方かつ下方に押圧され、これにより部品供給ユニット5Aがユニット装着部7に固定された状態となる。
【0079】
以上がユニット装着部7に対する部品供給ユニット5Aの装着手順である。なお、ユニット装着部7から部品供給ユニット5Aを取り外す際には、上述した手順とは逆の手順で、部品供給ユニット5Aをユニット装着部7から後方に引き出すようにすればよい。
【0080】
なお、ここでは、部品供給ユニット5Aとこれが装着されるユニット装着部7とについて説明したが、他の部品供給ユニット5B~5Dとこれらが各々装着されたユニット装着部7の構成も基本的には上記と同様である。
【0081】
[4.作用効果]
以上説明した部品実装装置によれば、ユニット装着部7に対してフィーダ支持台21が第1、第2位置決めブロック68、70に突き当たる位置まで部品供給ユニット5Aを移動(前進)させ、その後、エアシリンダ54を作動させてフィーダ支持台21をクランプ部53により固定するだけで、装置本体1に対して部品供給ユニット5Aを速やかに装着することができる。しかも、クランプ部53は、既に位置決めされた部品供給ユニット5Aを固定するだけなので、当該固定に要するエアシリンダ54の駆動力は比較的小さくてすむ。従って、この部品実装装置によれば、より速やかにかつ低コストで、装置本体1に対して部品供給ユニット5Aを位置決めした状態で装着できるようになる。
【0082】
また、上記実施形態では、断面V字形状の当接面69を有する第1位置決めブロック68がユニット装着部7側に設けられ、フィーダ支持台21に設けられた位置決め用カムフォロア38が当該当接面69に突き当てられることによりフィーダ支持台21が前後及び左右方向に位置決めされる。また、レール部60のガイド面60aに対して傾斜した当接面71を有する第2位置決めブロック70がユニット装着部7側に設けられ、フィーダ支持台21に設けられた先頭のガイド用カムフォロア36が当該当接面71に突き当てられることによりフィーダ支持台21が前後及び上下方向に位置決めされる。そのため、非常に簡単な構成で、フィーダ支持台21(部品供給ユニット5A)を前後、左右及び上下方向の三方向に位置決めすることができる。
【0083】
特に、上記実施形態では、フィーダ支持台21の前後及び左右方向の位置決めは、フィーダ支持台21及びユニット装着部7の右サイドで行われ、フィーダ支持台21の前後及び上下方向の位置決めは、フィーダ支持台21及びユニット装着部7の左サイドで行われる。すなわち、フィーダ支持台21を前後及び左右方向に位置決めする第1位置決め機構GM2と、フィーダ支持台21を前後及び上下方向に位置決めする第2位置決め機構GM3とが、左右方向の互いに異なる位置に設けられている。このような構成によれば、ユニット装着部7に対してフィーダ支持台21が拗れた(斜めに傾いた)状態で固定されることが抑制される。つまり、両位置決め機構GM2、GM3が右側又は左側のいずれかに偏って設けられていると、フィーダ支持台21の左右のうち両位置決め機構GM2、GM3が設けられている側のみが位置決めされ、他方側の位置決めが疎かになりフィーダ支持台21が斜めに傾いた状態で固定されることが考えられるが、このような事態が生じることが抑制される。従って、より確実にフィーダ支持台21を位置決めした状態でユニット装着部7に装着することが可能となる。
【0084】
また、上記実施形態では、ユニット装着部7の左右のレール部60にプランジャ66が設けられ、当該プランジャ66の半球体66aがフィーダ支持台21の凹部39に嵌合することにより、クランプ機構CMによる固定前であっても、位置決めされた状態のフィーダ支持台21をその位置に保持することができる。つまり、ユニット装着部7に対してフィーダ支持台21を位置決めした後、クランプ機構CMによる固定前にフィーダ支持台21が意図せず動くことが防止される。従って、フィーダ支持台21を位置決めした状態をより確実に保った状態でユニット装着部7に部品供給ユニット5Aを固定することが可能となる。
【0085】
[5.変形例等]
以上説明した本発明の部品実装装置は、本発明に係る部品実装装置の好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0086】
例えば、フィーダ支持台21を位置決めするための位置決め機構GM2、GM3の具体的な構成は、フィーダ支持台21(部品供給ユニット5A)を突き当てるだけでその位置決めを行うことが可能であれば、上記実施形態の構成に限定されない。例えば第1位置決め機構GM2について、第1位置決めブロック68を右ガイドブロック34Aに設け、位置決め用カムフォロア38を右ガイド側板42Aに設けた構成としてもよい。
【0087】
クランプ機構CMについても、実施形態のような揺動可能なL字型のロック部材72に変えて、例えば、傾斜した押圧面を有するロック部材72をクランプ部53に固定に設け、クランプ部53の下降に伴い当該ロック部材72の押圧面を上側からピン37に当接させることにより、当該ピン37を前方及び下方に向かって押圧するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 装置本体
4 部品供給部
5(5A~5D) 部品供給ユニット(台車)
6 テープフィーダ
7 ユニット装着部(装着部)
21 フィーダ支持台
36 ガイド用カムフォロア
38 位置決め用カムフォロア(カムフォロア)
39 凹部
60 レール部
61 スロープ部(スロープ部分)
66 プランジャ
68 第1位置決めブロック(位置決め部材)
70 第2位置決めブロック
72 ロック部材(可動体)
GM 案内位置決め機構
GM1 案内機構
GM2 第1位置決め機構
GM3 第2位置決め機構
GM4 仮止め機構
CM クランプ機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12