(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】部品実装用データの変更装置、変更プログラム、及び、表面実装機
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20230301BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
H05K13/08 B
(21)【出願番号】P 2019115391
(22)【出願日】2019-06-21
【審査請求日】2021-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松野 順也
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-116532(JP,A)
【文献】特開2009-193427(JP,A)
【文献】特開2004-178363(JP,A)
【文献】特開2019-054179(JP,A)
【文献】特開2012-033071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに部品を実装する表面実装機の動作を制御するための複数のデータが含まれている部品実装用データの変更装置であって、
表示部と、
処理部と、
を備え、
前記処理部は、
前記データの変更を受け付ける第1の変更処理と、
過去に前記第1の変更処理によって変更された前記データを識別可能に前記表示部に表示する第1の表示処理と、
を実行
し、
前記処理部は、前記第1の表示処理において、前記データの変更回数に応じて前記データの表示形態を異ならせ、
前記処理部は、所定の条件が満たされた場合に前記データの変更回数のカウントを開始し、
前記所定の条件は、前記表面実装機の実装動作のチューニングが完了したことである、変更装置。
【請求項2】
請求項1に記載の変更装置であって、
前記部品実装用データは、前記部品を識別するための部品識別データと、当該部品に関する詳細データとを含み、
前記処理部は、過去に前記詳細データが変更された前記部品識別データを識別可能に前記表示部に表示する第2の表示処理を実行する、変更装置。
【請求項3】
請求項2に記載の変更装置であって、
前記処理部は、前記第2の表示処理において、前記詳細データの変更回数に応じて前記部品識別データの表示形態を異ならせる、変更装置。
【請求項4】
ワークに部品を実装する表面実装機の動作を制御するための複数のデータが含まれている部品実装用データの変更装置であって、
表示部と、
処理部と、
を備え、
前記処理部は、
前記データの変更を受け付ける第1の変更処理と、
過去に前記第1の変更処理によって変更された前記データを識別可能に前記表示部に表示する第1の表示処理と、
を実行し、
前記処理部は、前記部品の実装エラーが発生した場合に、当該実装エラーの原因になり得る前記データが過去に変更された場合は、その後に前記第1の表示処理を実行するとき、
過去に変更された前記データのうち当該実装エラーの原因になり得る前記データを
、当該実装エラーの原因になり得ない前記データと識別可能に表示する、変更装置。
【請求項5】
ワークに部品を実装する表面実装機の動作を制御するための複数のデータが含まれている部品実装用データの変更装置であって、
表示部と、
処理部と、
を備え、
前記処理部は、
前記データの変更を受け付ける第1の変更処理と、
過去に前記第1の変更処理によって変更された前記データを識別可能に前記表示部に表示する第1の表示処理と、
を実行し、
前記部品実装用データは、前記部品を識別するための部品識別データと、当該部品に関する詳細データとを含み、
前記処理部は、過去に前記詳細データが変更された前記部品識別データを識別可能に前記表示部に表示する第2の表示処理を実行し、
前記処理部は、前記部品の実装エラーが発生した場合に、当該部品に関する前記詳細データのうち当該実装エラーの原因になり得る前記詳細データが過去に変更された場合は、その後に前記第2の表示処理を実行するとき、当該部品の前記部品識別データを
、当該部品に関する前記詳細データのうち当該実装エラーの原因になり得る前記詳細データが過去に変更されていない場合と識別可能に表示する、変更装置。
【請求項6】
請求項2に記載の変更装置であって、
前記処理部は、前記部品の実装エラーが発生した場合に、当該部品の過去の実装エラーの発生履歴、及び、当該部品に関する前記詳細データの変更履歴の少なくとも一方を前記表示部に表示する履歴表示処理を実行する、変更装置。
【請求項7】
請求項6に記載の変更装置であって、
前記処理部は、
前記履歴表示処理において、少なくとも前記詳細データの変更履歴を表示し、
前記履歴表示処理によって表示された一以上の前記変更履歴の中からいずれかの前記変更履歴の選択を受け付ける履歴選択処理と、
前記履歴選択処理で選択された前記変更履歴に対応する前記詳細データを、当該選択された前記変更履歴における変更前のデータにロールバックさせるロールバック処理と、
を実行する、変更装置。
【請求項8】
ワークに部品を実装する表面実装機の動作を制御するための複数のデータが含まれている部品実装用データの変更装置であって、
表示部と、
処理部と、
を備え、
前記処理部は、
前記データの変更を受け付ける第1の変更処理と、
過去に前記第1の変更処理によって変更された前記データを識別可能に前記表示部に表示する第1の表示処理と、
を実行し、
前記処理部は、前記部品の実装エラーが発生した場合に、当該実装エラーの原因になり得る前記データの修正候補を前記表示部に表示する候補表示処理と、
前記候補表示処理によって表示された一以上の前記修正候補の中からいずれかの前記修正候補の選択を受け付ける候補選択処理と、
前記候補選択処理で選択された前記修正候補に対応する前記データを、当該選択された前記修正候補に変更する第2の変更処理と、
を実行し、
前記処理部は、前記候補表示処理において、前記データの過去の変更履歴に基づいて前記修正候補を表示
し、
前記修正候補は、前記部品で実装エラーが発生しなかったときの値、前記部品と類似する部品で実装エラーが発生しなかったときの値、及び、前記部品で実装エラーが減少する方向の値を含み、これらの値を優先順位付けして表示する、変更装置。
【請求項9】
ワークに部品を実装する表面実装機の動作を制御するための複数のデータが含まれている部品実装用データの変更プログラムであって、
前記データの変更を受け付ける第1の変更処理と、
過去に前記第1の変更処理によって変更された前記データを識別可能に表示部に表示する第1の表示処理と、
をコンピュータに実行させ
、
当該変更プログラムを実行する前記コンピュータは、前記第1の表示処理において、前記データの変更回数に応じて前記データの表示形態を異ならせ、
当該変更プログラムを実行する前記コンピュータは、所定の条件が満たされた場合に前記データの変更回数のカウントを開始し、
前記所定の条件は、前記表面実装機の実装動作のチューニングが完了したことである、変更プログラム。
【請求項10】
ワークに部品を実装する部品実装装置と、
請求項1乃至
請求項8のいずれか一項に記載の変更装置と、
を備える表面実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、部品実装用データの変更装置、変更プログラム、及び、表面実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品供給テープや部品トレイなどを介して供給される部品を実装ヘッドによって保持し、プリント基板などのワークに実装する表面実装機が知られている。実装ヘッドとしては、例えば負圧によって部品を吸着するものや、チャッキングによって部品を挟持するものなどが知られている。
【0003】
一般に表面実装機は部品実装用データに基づいて動作する。部品実装用データは実装プログラムと称される場合もある。例えば実装ヘッドが負圧によって部品を吸着するものである場合、部品実装用データにはワークに実装する部品の部品識別コード、実装順序、実装座標、実装角度、部品形状を表すデータ、吸着高さ、吸着時間、吸着スピードなどの複数のデータが含まれている。
【0004】
部品形状を表すデータは部品の種類によって内容が異なる。例えばリードを有するリード部品(SOP:Small Outline Package、QFP:Quad Flat Packageなど)の場合、部品形状を表すデータにはリードの数、リード長、リード幅などが含まれる。直方体、又は立方体のチップ部品(抵抗器など)の場合、部品形状を表すデータには部品の長さ、幅、高さなどのデータが含まれる。吸着高さは実装ヘッドによって部品を吸着するときの実装ヘッドの上下方向の位置である。吸着時間は実装ヘッドが吸着高さまで下降してから上昇を開始するまでの時間である。吸着スピードは部品を吸着するときの実装ヘッドの下降速度である。
【0005】
部品実装用データは最適化プログラムによって作成される。最適化プログラムは一のワークに複数の部品を実装するときの実装時間が極力短くなるように部品の実装順序を最適化するプログラムである。一般に表面実装機のオペレータは最適化プログラムによって作成された部品実装用データに含まれているデータを変更できる。
【0006】
しかしながら、データを変更するとその変更に起因して実装エラーが発生することがある。例えば、一般に表面実装機は実装ヘッドに吸着されている部品をカメラで撮像して部品形状を認識し、部品形状を表すデータと比較して部品形状の良否を判定する。このため、部品形状を表すデータを変更した場合、変更後のデータが不適切であることにより、部品形状が不良であると判定される頻度が高くなることがある。あるいは、吸着高さや吸着時間を変更すると、変更後の吸着高さや吸着時間が不適切であることにより、部品が吸着され難くなることによって吸着エラーの発生頻度が高くなることがある。
【0007】
このため、従来、部品実装用データが変更された後に表面実装機の実装エラーが発生した場合に、部品実装用データを変更前に戻すものが知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、特許文献1には、部品実装用データが変更された後の部品実装用装置の作業結果が所定の条件(吸着率など)を満たすか否かを判断し、満たさない場合は自動的に変更前の部品実装用データに戻すことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
実装エラーの原因は必ずしも部品実装用データを変更したことであるとは限らず、表面実装機を構成している構成部品の動作不良が原因であることもある。例えば吸着エラーの場合、実装ヘッドや負圧を供給する空気供給装置などの構成部品の動作不良によって吸着エラーが発生することもある。構成部品の動作不良が原因である場合、部品実装用データを変更前に戻しても実装エラーは解消されない。
【0010】
このため、オペレータは、実装エラーの原因が、部品実装用データを変更したことであるか、表面実装機を構成している構成部品の動作不良であるかを切り分ける必要がある。しかしながら、この切り分けには時間を要するため、実装エラーから短時間で復旧することが困難であった。
【0011】
本明細書では、実装エラーからの復旧に要する時間を短縮できる可能性が高くなる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本明細書で開示する変更装置は、ワークに部品を実装する表面実装機の動作を制御するための複数のデータが含まれている部品実装用データの変更装置であって、表示部と、処理部と、を備え、前記処理部は、前記データの変更を受け付ける第1の変更処理と、過去に前記第1の変更処理によって変更された前記データを識別可能に前記表示部に表示する第1の表示処理と、を実行する。
【0013】
実装エラーが発生した場合、当該実装エラーの原因になり得るデータが過去に変更された場合は、データが不適切に変更されたことによって実装エラーが発生したことが疑われる。逆に、当該実装エラーの原因になり得るデータが過去に変更されていない場合は、表面実装機の構成部品の動作不良が疑われる。
【0014】
上記の変更装置によると、実装エラーが発生した場合に、当該実装エラーの原因になり得るデータが過去に変更されたか否かをオペレータが把握し易くなる。このため、オペレータは、実装エラーが発生した場合に、当該実装エラーの原因になり得るデータが過去に変更されたか否かを把握し、変更されていない場合は構成部品の動作不良を優先して調査し、変更された場合は部品実装用データを優先して調査することにより、実装エラーの原因を迅速に究明できる可能性が高くなる。このため上記の変更装置によると、実装エラーからの復旧に要する時間を短縮できる可能性が高くなる。
【0015】
(2)前記処理部は、前記第1の表示処理において、前記データの変更回数に応じて前記データの表示形態を異ならせてもよい。
【0016】
変更回数が多いデータほど実装エラーの原因である可能性が高い。なぜなら、変更回数が多いということは過去にそのデータが原因で何度も実装エラーが発生し、実装エラーが発生する毎に、実装エラーを解消するためにオペレータがデータを変更した可能性があるからである。
上記の変更装置によると、変更回数の多いデータをオペレータが把握し易くなる。言い換えると、実装エラーの原因である可能性が高いデータをオペレータが把握し易くなる。
【0017】
(3)前記部品実装用データは、前記部品を識別するための部品識別データと、当該部品に関する詳細データとを含み、前記処理部は、過去に前記詳細データが変更された前記部品識別データを識別可能に前記表示部に表示する第2の表示処理を実行してもよい。
【0018】
上記の変更装置によると、部品の実装エラーが発生した場合に、その部品の詳細データが過去に変更されたか否かをオペレータが把握し易くなる。言い換えると、詳細データの変更が実装エラーの原因である可能性があるか否かをオペレータが把握し易くなる。
【0019】
(4)前記処理部は、前記第2の表示処理において、前記詳細データの変更回数に応じて前記部品識別データの表示形態を異ならせてもよい。
【0020】
上記の変更装置によると、詳細データの変更回数が多い部品をオペレータが把握し易くなる。言い換えると、詳細データの変更が実装エラーの原因である可能性が高いか否かをオペレータが把握し易くなる。
【0021】
(5)前記処理部は、所定の条件が満たされた場合に前記データの変更回数のカウントを開始してもよい。
【0022】
新しい部品を実装するときは実装動作のチューニングのためにデータが頻繁に変更されることがある。その場合の変更も変更回数に含めると、実際に実装エラーが発生した場合に、実装エラーの原因であるデータをオペレータが特定し難くなる。
上記の変更装置によると、例えばチューニングが完了するまではデータの変更回数をカウントせず、チューニングが完了したという条件(所定の条件の一例)が満たされた場合にカウントを開始することにより、実装エラーの原因であるデータをオペレータが特定し難くなる可能性を低減できる。
【0023】
(6)前記処理部は、前記部品の実装エラーが発生した場合に、当該実装エラーの原因になり得る前記データが過去に変更された場合は、その後に前記第1の表示処理を実行するとき、当該実装エラーの原因になり得る前記データのうち過去に変更された前記データを識別可能に表示してもよい。
【0024】
上記の変更装置によると、実装エラーの原因になった可能性があるデータをオペレータが把握し易くなるので、実装エラーからの復旧に要する時間を短縮できる可能性が高くなる。
【0025】
(7)前記処理部は、前記部品の実装エラーが発生した場合に、当該部品に関する前記詳細データのうち当該実装エラーの原因になり得る前記詳細データが過去に変更された場合は、その後に前記第2の表示処理を実行するとき、当該部品の前記部品識別データを識別可能に表示してもよい。
【0026】
上記の変更装置によると、部品の実装エラーが発生した場合に、当該部品に関する詳細データを変更したことが当該実装エラーの原因である可能性があるか否かをオペレータが把握し易くなるので、実装エラーからの復旧に要する時間を短縮できる可能性が高くなる。
【0027】
(8)前記処理部は、前記部品の実装エラーが発生した場合に、当該部品の過去の実装エラーの発生履歴、及び、当該部品に関する前記詳細データの変更履歴の少なくとも一方を前記表示部に表示する履歴表示処理を実行してもよい。
【0028】
上記の変更装置によると、オペレータは、例えばデータの変更履歴を参照することにより、実装エラーが発生していなかったときのデータに戻すことが容易になる。また、オペレータは、実装エラーの発生履歴を参照することにより、実装エラーが発生する前のデータに戻すことが容易になる。このため、実装エラーから短時間で復旧できる可能性が高くなる。
【0029】
(9)前記処理部は、前記履歴表示処理において、少なくとも前記詳細データの変更履歴を表示し、前記履歴表示処理によって表示された一以上の前記変更履歴の中からいずれかの前記変更履歴の選択を受け付ける履歴選択処理と、前記履歴選択処理で選択された前記変更履歴に対応する前記詳細データを、当該選択された前記変更履歴における変更前のデータにロールバックさせるロールバック処理と、を実行してもよい。
【0030】
上記の変更装置によると、実装エラーが発生する前のデータに戻す作業の作業効率が向上する。このため、実装エラーからの復旧に要する時間を短縮できる可能性が高くなる。
【0031】
(10)前記処理部は、前記部品の実装エラーが発生した場合に、当該実装エラーの原因になり得る前記データの修正候補を前記表示部に表示する候補表示処理と、前記候補表示処理によって表示された一以上の前記修正候補の中からいずれかの前記修正候補の選択を受け付ける候補選択処理と、前記候補選択処理で選択された前記修正候補に対応する前記データを、当該選択された前記修正候補に変更する第2の変更処理と、を実行してもよい。
【0032】
上記の変更装置によると、オペレータは、実装エラーが発生しないデータに変更する作業が容易になる。このため当該作業の作業効率が向上し、実装エラーからの復旧に要する時間を短縮できる可能性が高くなる。
【0033】
(11)前記処理部は、前記候補表示処理において、前記データの過去の変更履歴に基づいて前記修正候補を表示してもよい。
【0034】
変更履歴には少なくとも変更前のデータが含まれる。変更履歴には変更後のデータや変更日時が含まれていることがより望ましい。
上記の変更装置によると、データの過去の変更履歴に基づくことにより、実装エラーが発生しない可能性が高い修正候補を表示できる。
【0035】
(12)本明細書で開示する変更プログラムは、ワークに部品を実装する表面実装機の動作を制御するための複数のデータが含まれている部品実装用データの変更プログラムであって、前記データの変更を受け付ける第1の変更処理と、過去に前記第1の変更処理によって変更された前記データを識別可能に表示部に表示する第1の表示処理と、をコンピュータに実行させる。
【0036】
上記の変更プログラムによると、実装エラーからの復旧に要する時間を短縮できる可能性が高くなる。
【0037】
(13)本明細書で開示する表面実装機は、ワークに部品を実装する部品実装装置と、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の変更装置と、を備える。
【0038】
上記の表面実装機によると、実装エラーからの復旧に要する時間を短縮できる可能性が高くなる。
【0039】
本明細書によって開示される発明は、装置、方法、これらの装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図2】ヘッドユニット及びヘッド搬送部を前側から見た正面図
【
図4】実装情報テーブル(部品実装用データ)の一例を示す図
【
図5】部品詳細テーブル(部品実装用データ)の一例を示す図
【
図6】部品一覧画面の模式図(実装エラーが発生する前)
【
図7】部品詳細画面の模式図(実装エラーが発生する前)
【
図8】部品実装用データに起因して発生する実装エラー及び当該実装エラーの原因になり得る詳細データの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0041】
<実施形態1>
実施形態1を
図1ないし
図10に基づいて説明する。以降の説明では同一の構成部材には一部を除いて図面の符号を省略している場合がある。
【0042】
(1)表面実装機の全体構成
図1を参照して、表面実装機1の全体構成について説明する。表面実装機1は後述する作業位置Aに搬入されたプリント基板P(ワークの一例)に電子部品などの部品Eを実装する装置であり、プリント基板Pに部品Eを実装する部品実装装置10、及び、部品実装装置10に部品Eを供給する4つのテープ部品供給装置11を備えている。
【0043】
(1-1)部品実装装置
部品実装装置10は基台12、搬送コンベア13、ヘッドユニット14、ヘッド搬送部15、図示しないバックアップ装置、2つの部品撮像カメラ16、基板撮像カメラ17、
図3に示す制御部24、操作部25などを備えている。
【0044】
基台12は平面視長方形状をなす。
図1において二点鎖線で示す矩形枠Aはプリント基板Pに部品Eを実装するときの作業位置(以下、作業位置Aという)を示している。
図示しないバックアップ装置は作業位置Aの下方に配置されている。バックアップ装置はプリント基板Pの品種に応じた位置にセットされている複数のバックアップピンを備えており、作業位置Aにプリント基板Pが搬送されるとバックアップピンを上昇させてプリント基板Pを下から支持する。
【0045】
搬送コンベア13はプリント基板PをX軸方向の上流側から作業位置Aに搬入し、作業位置Aで部品Eが実装されたプリント基板Pを下流側に搬出するものである。搬送コンベア13はX軸方向に循環駆動する一対のコンベアベルト13A及び13B、それらのコンベアベルトを駆動するコンベア駆動モータ34(
図3参照)などを備えている。後側のコンベアベルト13Aは前後方向に移動可能であり、プリント基板Pの幅に応じて2つのコンベアベルト13Aと13Bとの間隔を調整できる。
【0046】
ヘッドユニット14には複数(ここでは5個)の実装ヘッド18が設けられている。実装ヘッド18はテープ部品供給装置11によって供給される部品Eを吸着(保持の一例)するものである。ヘッドユニット14の構成については後述する。
【0047】
ヘッド搬送部15はヘッドユニット14を所定の可動範囲内でX軸方向及びY軸方向に搬送するものである。ヘッド搬送部15はヘッドユニット14をX軸方向に往復移動可能に支持しているビーム19、ビーム19をY軸方向に往復移動可能に支持している一対のY軸ガイドレール20、ヘッドユニット14をX軸方向に往復移動させるX軸サーボモータ21、ビーム19をY軸方向に往復移動させるY軸サーボモータ22などを備えている。
【0048】
2つの部品撮像カメラ16はそれぞれX軸方向に並んだ2つのテープ部品供給装置11の間に設けられている。部品撮像カメラ16は実装ヘッド18に吸着されている部品Eを下から撮像して実装ヘッド18に対する部品Eの位置や部品形状などを認識するためのものである。
【0049】
基板撮像カメラ17はヘッドユニット14に設けられている。基板撮像カメラ17はプリント基板Pに付されている図示しないフィデューシャルマークを撮像するためのものである。フィデューシャルマークはプリント基板Pの位置や傾きを認識して部品Eの実装座標や実装角度を補正するためのものであり、プリント基板Pの四隅や部品Eの実装位置の四隅などに付されている。
【0050】
図2を参照して、ヘッドユニット14の構成について説明する。
図2に示すヘッドユニット14は所謂インライン型であり、複数の実装ヘッド18がX軸方向に並んで設けられている。ヘッドユニット14にはこれらの実装ヘッド18を個別に昇降させるZ軸サーボモータ32(
図3参照)やこれらの実装ヘッド18を一斉に軸周りに回転させるR軸サーボモータ33(
図3参照)などが設けられている。
【0051】
各実装ヘッド18は部品Eを吸着及び解放するものであり、ノズルシャフト18Aと、ノズルシャフト18Aの下端部に着脱可能に取り付けられている吸着ノズル18Bとを有している。吸着ノズル18Bにはノズルシャフト18Aを介して図示しない空気供給装置から負圧及び正圧が供給される。吸着ノズル18Bは負圧が供給されることによって部品Eを吸着し、正圧が供給されることによってその部品Eを解放する。
【0052】
なお、ここではインライン型のヘッドユニット14を例に説明するが、ヘッドユニット14は例えば複数の実装ヘッド18が円周上に配列された所謂ロータリーヘッドであってもよい。
【0053】
(1-2)テープ部品供給装置
図1を参照して、テープ部品供給装置11について説明する。テープ部品供給装置11は搬送コンベア13のY軸方向の両側においてX軸方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所に配されている。これらのテープ部品供給装置11には複数のフィーダ23がX軸方向に横並び状に整列して取り付けられている。各フィーダ23は所謂テープフィーダであり、複数の部品Eが収容された部品テープが巻回されたリール、及び、リールから部品テープを引き出す電動式のテープ送出装置等を備えており、搬送コンベア13側の端部に設けられた部品供給位置から部品Eを一つずつ供給する。
【0054】
なお、ここでは部品供給装置としてテープ部品供給装置11を例に説明するが、部品供給装置は部品Eが載置されているトレイを供給する所謂トレイフィーダであってもよいし、半導体ウェハを供給するものであってもよい。
【0055】
(2)部品実装装置の電気的構成
図3に示すように、部品実装装置10は制御部24(処理部の一例)及び操作部25を備えている。制御部24は演算処理部26、モータ制御部27、記憶部28、画像処理部29、外部入出力部30、フィーダ通信部31などを備えている。
【0056】
演算処理部26はCPU、ROM、RAMなどを備えており、ROMに記憶されている制御プログラムを実行することによって部品実装装置10の各部を制御する。
モータ制御部27は演算処理部26の制御の下でX軸サーボモータ21、Y軸サーボモータ22、Z軸サーボモータ32、R軸サーボモータ33、コンベア駆動モータ34などの各モータの運転、停止、及び回転速度を制御する。
【0057】
記憶部28は電源をオフにしてもデータが消えない書き換え可能な記憶装置(ハードディスク等)である。記憶部28には後述する部品実装用データ(
図4、
図5)や部品実装用データの変更プログラムなどの各種のデータが記憶されている。
画像処理部29は部品撮像カメラ16や基板撮像カメラ17から出力される画像信号が取り込まれるように構成されており、出力された画像信号に基づいてデジタル画像を生成する。
【0058】
外部入出力部30はいわゆるインターフェースであり、部品実装装置10の本体に設けられている各種センサ類35から出力される検出信号が取り込まれるように構成されている。また、外部入出力部30は演算処理部26から出力される制御信号に基づいて各種アクチュエータ類36に対する動作制御を行うように構成されている。
【0059】
フィーダ通信部31はフィーダ23に接続されており、フィーダ23を統括して制御する。
操作部25は液晶ディスプレイなどの表示部25A、及び、タッチパネル、キーボード、マウスなどの入力部25Bを備えている。作業者は操作部25を操作して各種の設定や表面実装機1に対する動作の指示などを行うことができる。
制御部24及び表示部25Aは変更装置の一例である。
【0060】
(2)部品実装用データ
図4及び
図5を参照して、部品実装用データについて説明する。部品実装用データのデータ構造としては任意のデータ構造を採用可能であるが、ここでは1つの実装情報テーブル40(
図4参照)と、部品Eの種類(チップ部品、リード部品など)ごとに設けられている1以上の部品詳細テーブル41(
図5参照)とで構成される場合を例に説明する。
【0061】
図4を参照して、実装情報テーブル40について説明する。実装情報テーブル40はプリント基板Pに実装される部品Eが登録されるテーブルである。実装情報テーブル40の各行はそれぞれ一つの部品Eに対応している。
【0062】
実装情報テーブル40において「番号」はシーケンシャルに振られた番号が登録される欄である。「部品識別コード」は部品Eを識別するための部品識別コード(部品識別データの一例)が登録される欄である。「部品の実装座標(X座標、Y座標)」は部品Eの実装座標が登録される欄である。「部品の実装角度」は部品Eを実装する角度が登録される欄である。
実装情報テーブル40の部品識別コードの記載は部品Eが実装される順番も示しており、番号が小さい部品Eから先に実装される。
【0063】
図5を参照して、部品詳細テーブル41について説明する。部品詳細テーブル41のデータ構造は部品Eの種類によって異なる。
図5ではチップ部品の詳細データが登録される部品詳細テーブル41を示している。部品詳細テーブル41の1行は1種類のチップ部品に対応している。チップ部品の部品詳細テーブル41には、チップ部品の部品識別コードと、チップ部品に関する詳細データとが対応付けられて登録されている。詳細データは、具体的には部品形状を表すデータ(外形寸法X、Y、Z)、吸着高さ、吸着時間、吸着スピードなどである。
【0064】
図では示していないが、リード部品の詳細データが登録される部品詳細テーブル41の場合は、詳細データとして、部品形状を表すデータ(リードの数、リード長、リード幅など)、吸着高さ、吸着時間、吸着スピードなどが登録される。
【0065】
上述した実装情報テーブル40や部品詳細テーブル41は一例である。実装情報テーブル40や部品詳細テーブル41に登録される詳細データは適宜に決定できる。
【0066】
(3)部品実装用データの変更プログラム
部品実装用データの変更プログラムは部品実装用データ(実装情報テーブル40及び部品詳細テーブル41)に含まれている詳細データをオペレータが変更するためのプログラムである。変更プログラムは制御部24によって実行される。変更プログラムが実行されると操作部25の表示部25Aに後述する部品一覧画面42(
図6参照)及び部品詳細画面43(
図7参照)が表示される。オペレータはこれらの画面で詳細データを変更できる。
【0067】
(3-1)部品一覧画面及び部品詳細画面
オペレータが操作部25を操作して変更プログラムが実行されると最初に
図6に示す部品一覧画面42が表示される。部品一覧画面42には実装情報テーブル40に登録されている部品識別コードが一覧表示される。実装情報テーブル40には同一の部品識別コードが重複して登録され得るが、部品一覧画面42では同一の部品識別コードは重複して表示されない。オペレータが部品一覧画面42でいずれかの部品識別コードを選択して所定の操作を行うと
図7に示す部品詳細画面43が表示される。
【0068】
部品詳細画面43は部品Eの詳細データを変更するための画面である。
図7に示す部品詳細画面43は
図6に示す部品一覧画面42でチップ部品の部品識別コード(CHIP22)が選択された場合を示している。チップ部品の場合は、部品形状を表す詳細データ(外形寸法X、外形寸法Y、外形寸法Zなど)や、吸着高さ、吸着時間、吸着スピードなどの詳細データが表示される。オペレータは部品詳細画面43で各詳細データの値を変更できる(第1の変更処理の一例)。
【0069】
部品詳細画面43には、過去に変更された詳細データが識別可能に表示される(第1の表示処理の一例)。具体的には、過去に変更されていない詳細データは背景が白色表示される。これに対し、過去に変更された詳細データは背景が白以外の色で着色表示される。例えば
図7に示す例では、外形寸法X(mm)及び吸着高さ(mm)は過去に変更されたので背景が着色表示され、それ以外の詳細データは過去に変更されていないので背景が白色表示される。
【0070】
更に、部品詳細画面43では、詳細データの変更回数に応じて詳細データの表示形態が異なる。具体的には、変更プログラムは詳細データ毎に変更回数をカウントして記憶部28に記録しており、変更回数が多い詳細データほど背景色を濃い色で表示する。例えば、
図7に示す例では、過去に外形寸法X(mm)が1回変更されており、吸着高さが2回変更されたとする。この場合、吸着高さは外形寸法X(mm)よりも背景が濃い色で表示される。
【0071】
図6に示すように、部品一覧画面42においても、過去に詳細データが変更された部品Eの部品識別コードの背景が着色表示される(第2の表示処理の一例)。具体的には、
図6に示す例では、CHIP12及びCHIP22の部品は過去にいずれかの詳細データが変更されており、他の部品E(CHIP11、CHIP21、CHIP31などの部品)は過去に詳細データが変更されていないとする。この場合、CHIP12及びCHIP22は背景が白色以外の色で着色表示され、他の部品Eは背景が白色で着色表示される。
【0072】
部品一覧画面42においても、詳細データの変更回数が多い部品識別コードほど背景が濃い色で表示される。例えば前述したCHIP22の部品の場合、外形寸法X(mm)が1回変更されており、吸着高さが2回変更されているので、詳細データの変更回数の合計は3回である。CHIP12の部品の過去の詳細データの変更回数の合計が2回であるとすると、CHIP22はCHIP12に比べて背景が濃い色で表示される。
【0073】
(3-2)エラー発生時の部品一覧画面及び部品詳細画面
変更プログラムは、部品Eの実装エラーが発生した場合に、当該部品Eに関する詳細データのうち当該実装エラーの原因になり得る詳細データが過去に変更された場合は、その後に部品詳細画面43を表示するとき、当該実装エラーの原因になり得る詳細データのうち過去に変更された詳細データを識別可能に表示する。
更に、変更プログラムは、部品Eの実装エラーが発生した場合に、当該部品Eに関する詳細データのうち当該実装エラーの原因になり得る詳細データが過去に変更された場合は、その後に部品一覧画面42を表示するとき、当該部品Eの部品識別コードを識別可能に表示する。
【0074】
先ず、
図8を参照して、部品実装用データ(実装情報テーブル40及び部品詳細テーブル41)に起因して発生する実装エラー及び当該実装エラーの原因になり得る詳細データの一例について説明する。部品実装用データに起因して発生する実装エラーには部品Eの吸着エラー、部品Eの認識エラーなどがある。
【0075】
部品Eの吸着エラーは実装ヘッド18が部品Eの吸着に失敗したエラーである。制御部24は部品撮像カメラ16で部品Eを撮像した画像から実装ヘッド18に部品Eが吸着されているか否かを判断し、吸着されていない場合は吸着エラーとする。吸着エラーを判断する方法はこれに限られるものではなく、適宜の方法で判断できる。吸着エラーは実装ヘッド18や空気供給装置などの構成部品の動作不良が原因で発生するだけでなく、吸着高さ、吸着時間、吸着スピードなどが不適切に設定されたことが原因で発生することもある。
【0076】
部品Eの認識エラーは、部品Eの部品形状が詳細データと合致しないエラーである。制御部24は部品撮像カメラ16で部品Eを撮像した画像から部品Eの部品形状を認識し、認識した部品形状が、部品形状を表す詳細データ(外形寸法X、外形寸法Y、外形寸法Z、リード長、リード幅など)と合致しない場合は認識エラーとする。認識エラーは実際に部品形状が歪んでいることが原因で発生する他、部品撮像カメラ16などの構成部品の動作不良が原因で発生することもある。また、認識エラーは部品形状を表す詳細データが不適切に設定されたことが原因で発生することもある。
【0077】
図9を参照して、エラー発生時の部品詳細画面43について説明する。例えばCHIP22の部品を実装するときに吸着エラーが発生したとする。前述したように吸着エラーの原因になり得る詳細データは吸着高さ、吸着時間、吸着スピードなどである。
図9に示す例では、吸着高さは過去に変更された一方、吸着時間や吸着スピードなどは過去に変更されていないので、吸着エラーの原因になり得る詳細データのうち過去に変更された詳細データは吸着高さである。この場合、
図9に示すように、吸着エラーが発生した後の部品詳細画面43では吸着高さが赤枠44で囲まれて表示される。外形寸法X(mm)は過去に変更されたが、吸着エラーの原因になり得る詳細データではないので赤枠で囲まれない。
【0078】
図10を参照して、エラー発生時の部品一覧画面42について説明する。例えばCHIP22の部品を実装するときに吸着エラーが発生したとする。そして、CHIP22の部品は吸着エラーの原因になり得る詳細データのうち吸着高さが過去に変更されたとする。この場合、
図10に示すように、吸着エラーが発生した後の部品一覧画面42ではCHIP22が赤枠45で囲まれて表示される。
【0079】
(4)実施形態の効果
実施形態1に係る変更装置(制御部24及び表示部25A)によると、部品詳細画面43において、過去に変更された詳細データと変更されていない詳細データとで背景色を異ならせることにより、過去に変更された詳細データを識別可能に表示する。このため、オペレータは、部品Eの実装エラーが発生した場合に、当該部品Eにおいて当該実装エラーの原因になり得る詳細データが過去に変更されたか否かを把握し、変更されていない場合は表面実装機1の構成部品Eの動作不良を優先して調査し、変更された場合は部品実装用データを優先して調査することにより、実装エラーの原因を迅速に究明できる可能性が高くなる。このため変更装置によると、実装エラーからの復旧に要する時間を短縮できる可能性が高くなる。
【0080】
変更装置によると、部品詳細画面43において、詳細データの変更回数に応じて詳細データの背景色の濃さ(すなわち詳細データの表示形態)を異ならせる。このため、変更回数の多い詳細データをオペレータが把握し易くなる。言い換えると、実装エラーの原因である可能性が高い詳細データをオペレータが把握し易くなる。
【0081】
変更装置によると、部品一覧画面42において、過去に詳細データが変更された部品Eの部品識別コードと詳細データが変更されていない部品Eの部品識別コードとで背景色を異ならせることにより、過去に詳細データが変更された部品Eの部品識別コードを識別可能に表示する。このようにすると、部品Eの実装エラーが発生した場合に、その部品Eの詳細データが過去に変更されたか否かをオペレータが把握し易くなる。言い換えると、詳細データの変更が実装エラーの原因である可能性があるか否かをオペレータが把握し易くなる。
【0082】
変更装置によると、部品一覧画面42において、詳細データの変更回数に応じて背景色の濃さ(すなわち詳細データの表示形態)を異ならせる。このため、変更回数が多い部品Eをオペレータが把握し易くなる。言い換えると、詳細データの変更が実装エラーの原因である可能性が高いか否かをオペレータが把握し易くなる。
【0083】
変更装置によると、部品Eの実装エラーが発生した場合に、当該部品Eに関する詳細データのうち当該実装エラーの原因になり得る詳細データが過去に変更された場合は、その後に部品詳細画面43を表示するとき、当該実装エラーの原因になり得る詳細データのうち過去に変更された詳細データを赤枠で囲む(すなわち識別可能に表示する)。このようにすると、当該実装エラーの原因になった可能性がある詳細データをオペレータが把握し易くなるので、実装エラーからの復旧に要する時間を短縮できる可能性が高くなる。
【0084】
変更装置によると、部品Eの実装エラーが発生した場合に、当該実装エラーの原因になり得る詳細データが過去に変更された場合は、その後に部品一覧画面42を表示するとき、当該部品Eの部品識別コードを赤枠で囲む(すなわち識別可能に表示する)。このようにすると、部品Eの実装エラーが発生した場合に、当該部品Eの詳細データを変更したことが原因である可能性があるか否かをオペレータが把握し易くなるので、実装エラーからの復旧に要する時間を短縮できる可能性が高くなる。
【0085】
<実施形態2>
実施形態2は実施形態1の変形例である。実施形態2に係る変更プログラムは、部品Eの実装エラーが発生した場合に、当該部品Eの過去の実装エラーの発生履歴、及び、当該部品Eに関する詳細データの変更履歴を表示する履歴画面46(
図11、
図12)を更に表示する(履歴表示処理の一例)。
【0086】
更に、実施形態2に係る変更プログラムは、履歴画面46に表示した一以上の変更履歴の中からいずれかの変更履歴の選択を受け付け(履歴選択処理の一例)、履歴画面46で選択された変更履歴に対応する詳細データを、当該選択された変更履歴における変更前の詳細データにロールバックさせる(ロールバック処理の一例)。
【0087】
(1)履歴画面
上述した履歴画面46には、部品一覧画面42から呼び出される第1の履歴画面46A(
図11参照)と、部品詳細画面43から呼び出される第2の履歴画面46B(
図12参照)とがある。以下、各履歴画面46について説明する。
【0088】
図11に示すように、部品一覧画面42で部品識別コードを選択して所定の操作(部品詳細画面43を表示する操作とは異なる操作)を行うと第1の履歴画面46Aが表示される。
図11に示す部品一覧画面42ではCHIP22が赤枠で囲まれており、CHIP22が選択されて第1の履歴画面46Aが表示された場合を示している。
【0089】
第1の履歴画面46Aには、選択された部品Eを実装するときに発生した実装エラーの発生履歴、及び、当該部品Eに関する詳細データの変更履歴が一覧示される。具体的には、第1の履歴画面46Aにおいて日時欄にはイベント(エラー発生又はデータ変更)が発生した日時が表示される。イベント欄には発生したイベントがデータ変更であるかエラー発生であるかが表示される。情報欄にはイベントに関する情報が表示される。具体的には、イベントがエラー発生である場合はエラーコードが表示され、データ変更である場合は変更された詳細データの名称が表示される。イベントがデータ変更である場合は詳細欄に変更前の値(図示する例では0.2)と変更後の値(図示する例では0.5)とが右向きの矢印記号を挟んで表示される。
【0090】
図12に示すように、部品詳細画面43で詳細データを選択すると第2の履歴画面46Bが表示される。
図12に示す部品詳細画面43では吸着高さが赤枠で囲まれており、吸着高さが選択されて第2の履歴画面46Bが表示された場合を示している。
第2の履歴画面46Bには、部品一覧画面42で選択された部品E(部品詳細画面43に詳細データが表示されている部品)を実装するときに発生した実装エラーの発生履歴、及び、部品詳細画面43で選択された詳細データの変更履歴が一覧示される。情報欄には、エラー発生の場合はエラーコードが表示され、データ変更の場合は変更前の値と変更後の値とが右向きの矢印記号を挟んで表示される。
【0091】
(2)詳細データのロールバック
図11に示す第1の履歴画面46Aでいずれかの変更履歴が選択されると、その変更履歴に対応する詳細データが、その変更履歴の変更前の詳細データにロールバックされる。例えば
図11に示す第1の履歴画面46Aで吸着高さの変更履歴を選択した場合、吸着高さ(選択された変更履歴に対応する詳細データの一例)が、当該変更履歴の変更後の0.5から変更前の詳細データである0.2にロールバックされる。
図12に示す第2の履歴画面46Bについても同様である。
【0092】
(3)実施形態の効果
実施形態2に係る変更装置によると、オペレータは、例えばデータの変更履歴を参照することにより、実装エラーが発生していなかったときの詳細データに戻すことが容易になる。また、オペレータは、実装エラーの発生履歴を参照することにより、実装エラーが発生する前の詳細データに戻すことが容易になる。このため、実装エラーから短時間で復旧できる可能性が高くなる。
【0093】
変更装置によると、第1の履歴画面46A又は第2の履歴画面46Bで変更履歴が選択されると、選択された変更履歴における変更前の詳細データにロールバックさせるので、実装エラーが発生する前の詳細データに戻す作業の作業効率が向上する。このため、実装エラーからの復旧に要する時間を短縮できる可能性が高くなる。
【0094】
<実施形態3>
実施形態3は実施形態1又は2の変形例である。ここでは実施形態2の変形例として説明する。
【0095】
実施形態3に係る変更プログラムは、部品Eの実装エラーが発生した場合に、当該部品Eに関する詳細データのうち当該実装エラーの原因になり得る詳細データの修正候補を表示する修正候補画面47(
図13参照)を更に表示する(候補表示処理の一例)。
更に、変更プログラムは、修正候補画面47に表示した一以上の修正候補の中からいずれかの修正候補の選択を受け付け(候補選択処理の一例)、選択された修正候補に対応する詳細データを、当該選択された修正候補に変更する(第2の変更処理の一例)。
【0096】
(1)修正候補画面
図13に示すように、部品一覧画面42で部品識別コードを選択して所定の操作(部品詳細画面43を表示する操作とは異なる操作)を行うと、第1の履歴画面46A及び修正候補画面47が表示される。
図13に示す部品一覧画面42ではCHIP22が赤枠で囲まれており、CHIP22が選択されて修正候補画面47が表示された場合を示している。
本実施形態では部品一覧画面42で部品識別コードを選択すると第1の履歴画面46A及び修正候補画面47が表示されるが、第1の履歴画面46Aについては表示されないようにしてもよい。
【0097】
修正候補画面47には選択された部品識別コードによって表される部品Eの詳細データの修正候補が一覧表示される。修正候補についての説明は後述する。修正候補画面47において優先順位欄には修正候補の優先順位を示す情報が表示される。詳細データ欄には詳細データの名称が表示される。修正候補欄にはその詳細データの現在の値と修正候補とが右向きの矢印記号を挟んで表示される。
【0098】
修正候補画面47に表示される修正候補及びその優先順位について説明する。修正候補は詳細データの過去の変更履歴及び実装エラーの発生履歴に基づいて決定される。具体的には、以下の(A)、(B)、(C)に該当する値が修正候補として決定される。優先順位は(A)が最も高く、(B)、(C)の順に低くなる。
【0099】
(A)該当部品Eで実装エラーが発生しなかったときの値。
例えば、ある部品Eについて、その部品Eの詳細データを変更する前は実装エラーが発生しておらず、作業者が誤って詳細データを変更した後に実装エラーが発生したとする。この場合、変更した詳細データのうち当該実装エラーの原因になり得る詳細データについて、実装エラーが発生しなかったときの値(すなわち変更前の値)が修正候補として決定される。
【0100】
(B)該当部品Eと類似する部品Eで、実装エラーが発生しなかったときの値。
上述した(A)は実装エラーが発生しなかったときのデータがあることが前提であるが、実装エラーが発生しなかったときのデータがない場合もある。例えば表面実装機1の実装作業が開始された直後などである。このため、(B)では該当部品Eで実装エラーが発生しなかったときの値ではなく、類似する部品Eで実装エラーが発生しなかったときの値が修正候補として表示される。
【0101】
例えば、ある部品Eについて、その部品Eの詳細データを変更する前は実装エラーが発生しておらず、詳細データを変更した後に実装エラーが発生したとする。この場合、変更した詳細データのうち当該実装エラーの原因になり得る詳細データについて、類似する部品Eで実装エラーが発生しなかったときの値が修正候補として決定される。
【0102】
類似する部品Eであるか否かは、部品の種類(チップ部品、リード部品など)が同じ、外径寸法の差が一定値以下などの観点で判定される。類似する部品Eで実装エラーが発生していない値は、該当部品Eでも実装エラーが発生しない可能性がある。このため、該当部品Eと類似する部品Eで、実装エラーが発生しなかったときの値が修正候補として決定される。
【0103】
(C)該当部品Eで実装エラーが減少する方向の値。
例えば、ある部品Eの吸着エラーが発生した場合に、吸着エラーの原因になり得る詳細データである吸着高さを0.5mmから0.4mmに変更したら吸着エラーが減少したが、まだ吸着エラーが発生していたとする。この場合、吸着エラーが減少する方向は吸着高さが小さくなる方向であるので、0.4mmより0.1mm小さい値である0.3mmが修正候補として決定される。
【0104】
(2)詳細データの変更
オペレータが修正候補画面47でいずれかの修正候補を選択すると、選択された修正候補に対応する詳細データが、選択された修正候補に変更される。例えば修正候補画面47で優先順位が1位(A)の吸着高さが選択されたとすると、吸着高さ(選択された修正候補に対応する詳細データの一例)の現在の値である0.4mmが0.2mmに変更される(元に戻す)。
【0105】
(3)実施形態の効果
実施形態3に係る変更装置によると、部品Eの実装エラーが発生した場合に、実装エラーの原因になり得る詳細データの修正候補を表示する。このため、オペレータは、実装エラーが発生しない詳細データに変更する作業が容易になる。このため当該作業の作業効率が向上し、実装エラーからの復旧に要する時間を短縮できる可能性が高くなる。
【0106】
変更装置によると、詳細データの過去の変更履歴に基づいて修正候補を表示するので、実装エラーが発生しない可能性が高い修正候補を表示できる。
【0107】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0108】
(1)上記実施形態では詳細データが変更された回数を全てカウントする場合を例に説明した。しかしながら、必ずしも全ての変更をカウントしなくてもよい。例えば、所定の条件が満たされた場合に詳細データの変更回数のカウントを開始してもよい。具体的には例えば、実装動作のチューニングが完了するまでは詳細データの変更回数をカウントしないようにしてもよい。このようにすると、実装エラーの原因である詳細データを特定し難くなる可能性を低減できる。
【0109】
上述した「チューニングが完了するまで」は所定の条件の一例である。所定の条件はこれに限られるものではない。例えば所定の条件は「部品実装用データが最初に変更された後、一定時間が経過するまで」であってもよいし、「所定枚数のプリント基板Pの生産が完了するまで」であってもよいし、「オペレータがカウントの開始を指示するまで」であってもよい。
【0110】
(2)上記実施形態では、部品詳細画面43において、過去に変更された詳細データと変更されていない詳細データとで背景色を異ならせることにより、過去に変更された詳細データを識別可能に表示する場合を例に説明した。しかしながら、過去に変更された詳細データを識別可能に表示する方法はこれに限られない。例えば、過去に変更された詳細データを表示する文字の色を、過去に変更されていない詳細データを表示する文字の色と異ならせることによって識別可能に表示してもよい。あるいは、過去に変更された詳細データを枠で囲んで表示してもよいし、点滅させてもよいし、色の濃さを異ならせてもよい。また、これらの表示方法を組み合わせてもよい。
【0111】
(3)上記実施形態では、データの変更回数に応じて表示形態を異ならせる例として、変更回数に応じて背景の濃さを異ならせる場合を例に説明した。しかしながら、データの変更回数に応じて表示形態を異ならせる方法はこれに限られない。例えばデータの変更回数を数字で表示してもよい。
【0112】
(4)上記実施形態では部品一覧画面42に全ての部品識別コード(詳細データが変更された部品識別コード及び詳細データが変更されていない部品識別コード)を表示する場合を例に説明した。これに対し、詳細データが変更された部品識別コード(言い換えると背景が着色されている部品識別コード)だけを表示してもよい。あるいは、全ての部品識別コードを表示するか、詳細データが変更された部品識別コードだけを表示するかをオペレータが選択できるようにしてもよい。部品詳細画面43についても同様である。
【0113】
(5)上記実施形態では表面実装機1が備える制御部24及び表示部25Aが変更装置として動作する場合を例に説明したが、変更装置はこれに限られない。例えば、変更装置はパーソナルコンピュータであってもよい。
【0114】
(6)上記実施形態では表面実装機1が備える表示部25Aに部品一覧画面42などの各画面を表示する場合を例に説明した。これに対し、スクリーン印刷機、ディスペンサ、表面実装機1、リフロー装置などが直列接続された部品実装ラインに設けられている表示部に表示してもよい。
【0115】
(7)上記実施形態3では実施形態2の変形例として説明したが、実施形態3は実施形態1の変形例であってもよい。その場合、実施形態2で説明した履歴画面46は表示されない。
【0116】
(8)上記実施形態ではワークとしてプリント基板Pを例に説明したが、ワークはプリント基板Pに限られない。例えば、表面実装機1が3次元形状のワークに部品Eを実装するものである場合、ワークは3次元形状を有する任意の実装対象であってよい。
【符号の説明】
【0117】
1…表面実装機、24…制御部(変更装置、処理部の一例)、25A…表示部(変更装置の一例)、40…実装情報テーブル(部品実装用データの一例)、41…部品詳細テーブル(部品実装用データの一例)、E…部品、P…プリント基板(ワークの一例)