(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】難消化性油脂処理澱粉、難消化性油脂処理澱粉を含む食品素材組成物、および難消化性油脂処理澱粉を含む食品
(51)【国際特許分類】
A23L 33/21 20160101AFI20230301BHJP
A23L 29/219 20160101ALI20230301BHJP
A23L 7/157 20160101ALN20230301BHJP
A23L 5/10 20160101ALN20230301BHJP
A21D 13/062 20170101ALN20230301BHJP
A21D 13/80 20170101ALN20230301BHJP
A23L 35/00 20160101ALN20230301BHJP
【FI】
A23L33/21
A23L29/219
A23L7/157
A23L5/10 E
A21D13/062
A21D13/80
A23L35/00
(21)【出願番号】P 2019135882
(22)【出願日】2019-07-24
【審査請求日】2022-07-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227272
【氏名又は名称】日澱化學株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平井 惇
(72)【発明者】
【氏名】柏原 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】桑田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】土屋 祐介
【審査官】安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-201464(JP,A)
【文献】特開2005-204502(JP,A)
【文献】特開平08-173073(JP,A)
【文献】特表2014-511671(JP,A)
【文献】特開2004-113236(JP,A)
【文献】国際公開第2011/049076(WO,A1)
【文献】特開2005-073506(JP,A)
【文献】国際公開第2019/064846(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/045902(WO,A1)
【文献】特開2020-124140(JP,A)
【文献】国際公開第2019/163965(WO,A1)
【文献】安東 竜一,コーンスターチの特性と新加工・利用技術,月刊フードケミカル,2007年10月,第23巻第10号,19-22
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21
A23
C08B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
40質量%の澱粉懸濁液を30℃において回転粘度計を用いて60rpmの回転速度で粘度測定した時の10秒後の値が50mPa・s以上である難消化性油脂処理澱粉
であって、前記難消化性油脂処理澱粉の原料となる難消化性澱粉は、乾燥澱粉当たり50%以上95%以下の食物繊維を含有するリン酸架橋澱粉である、難消化性油脂処理澱粉。
【請求項2】
40質量%の澱粉懸濁液を30℃において回転粘度計を用いて60rpmの回転速度で粘度測定した時の10秒後の値が50mPa・s以上である難消化性油脂処理澱粉であって、前記難消化性油脂処理澱粉は、乾燥澱粉当たり47%以上94%以下の食物繊維を含有するリン酸架橋澱粉である、難消化性油脂処理澱粉。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の難消化性油脂処理澱粉を含む食品素材組成物。
【請求項4】
請求項1
または2に記載の難消化性油脂処理澱粉を含む食品。
【請求項5】
乾燥澱粉当たり50%以上95%以下の食物繊維を含有するリン酸架橋澱粉である難消化性澱粉に油脂を0.02~5.0質量%混合し、40質量%の澱粉懸濁液の粘度が50mPa・s以上になるまで加熱処理することを特徴とする請求項1
または2に記載の難消化性澱粉の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は難消化性油脂処理澱粉、難消化性油脂処理澱粉を含む食品素材組成物、難消化性油脂処理澱粉を含む食品、および難消化性油脂処理澱粉の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低糖質食品、食物繊維増強食品など機能性食品を求める需要者が増加していることから、食物繊維含有素材を使用した食品の市場が拡大し、食物繊維を含有する食品が数多く開発されている。このため、食物繊維含有素材を配合した食品に関する技術が種々提案されている。
食物繊維含有素材の一つとして難消化性澱粉(resistant starch:RS)があり、1992年にEURESTA(RS摂取の生理学的意義に関するヨーロッパ農産業食品関連研究共同作業部会)で定められた「健康なヒトの小腸内での酵素消化作用を逃れる澱粉および澱粉分解産物の総量」がRSの定義として広く受け入れられている。
【0003】
難消化性澱粉は、食物繊維強化食品や低糖質食品の素材として利用されており、難消化性澱粉の特徴を生かした食品や、難消化性澱粉の欠点を他の素材で補った食品の製造方法が開発されている。
例えば、特許文献1には、不溶性食物繊維(難消化性澱粉が好ましい)10~70質量%と、非難消化性澱粉3~20質量%とを含有するベーカリー食品用ミックスが開示され、食感に優れたベーカリー食品を製造することができる。
特許文献2には、うどんやそば、中華麺などの麺類食品において、食物繊維を含有した麺を作ることが出来、その食感も添加していない麺と同等以上の食感を維持することが出来る、難消化性成分を含有させた麺類として、澱粉を強度に架橋させた難消化性架橋澱粉とヒドロキシプロピル化澱粉および/またはアセチル化澱粉を併用した麺類が開示されている。
特許文献3には、多量の難消化性澱粉を添加した場合に、パンの形状が安定せずに均一性を欠いたり、またはクラストに亀裂が発生したりすることを抑制する方法として小麦粉の一部として小麦蛋白質量が13.5質量%を超える高蛋白質含有量の超強力粉を添加し、また、活性グルテンおよびグリアジンのうち少なくとも活性グルテンを添加するとともに、架橋澱粉および/または増粘剤含有油脂を添加する、パンの製造方法が開示されている。
【0004】
上記発明における難消化性澱粉は、食物繊維の強化や低糖質化の効果はあるものの、食品に求められるその他の機能を十分に有していないため、その他の機能を持つ食品素材の併用を避けられない。その結果として相対的に難消化性澱粉の含有量が低下し、結果的に食物繊維の強化や低糖質化の効果が減少するという問題があった。そのため、食物繊維含有量以外の食品に求められる機能を併せ持つ難消化性澱粉の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2019/013315公報
【文献】特開2006-129790号公報
【文献】特開2007-124928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は食物繊維強化や低糖質化の効果を有し、かつ、食品に求められるその他の機能、例えば食感改良、保水性の向上、作業性の向上、食品の機能向上といった効果を発揮できる難消化性澱粉を提供することを目的とする。具体的には、乳化性、衣と具材の結着性、食感改良効果、保水性向上効果、沈殿抑制効果等を有する難消化性油脂処理澱粉、難消化性油脂処理澱粉を含む食品素材組成物、および、難消化性油脂処理澱粉を含む食品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の構成は以下の通りである
(1)40質量%の澱粉懸濁液を30℃において回転粘度計を用いて60rpmの回転速度で粘度測定した時の10秒後の値が50mPa・s以上である難消化性油脂処理澱粉
(2)前記難消化性油脂処理澱粉を含む食品素材組成物
(3)前記難消化性油脂処理澱粉を含む食品
(4)難消化性澱粉に油脂を0.02~5.0質量%混合し、40質量%の澱粉懸濁液の粘度が50mPa・s以上になるまで加熱処理することを特徴とする前記難消化性油脂処理澱粉の製造方法
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、食品に配合したときに食感及び風味を損なわず、かつ、食品に求められる機能を発揮できる難消化性澱粉、具体的には、乳化性、衣と具材の結着性、食感改良効果、保水性向上効果、沈殿抑制効果等を有する難消化性油脂処理澱粉、難消化性油脂処理澱粉を含む食品素材組成物、および、難消化性油脂処理澱粉または難消化性油脂処理澱粉を含む食品素材組成物を含む食品を提供する。
また、前記油脂処理澱粉の製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下の説明は、本発明の実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0010】
<難消化性油脂処理澱粉の製造方法>
本発明の難消化性油脂処理澱粉は、難消化性澱粉100質量部(以降、単に「部」とする)と油脂0.02~5.0部との混合物を加熱処理することで得られ、該油脂処理澱粉は、40質量%(以降、単に「%」とする)の懸濁液を30℃において回転粘度計を用いて60rpmの回転速度で粘度測定した時の、測定開始から10秒後の値が50mPa・s以上である。
【0011】
上記製造方法により得られる油脂処理澱粉は、様々な食品に配合可能であり、食品の食感及び風味を損なうことなく、乳化性、衣と具材の結着性、食感の改良、保水性向上、沈殿抑制等、各種機能を発揮し、かつ、食品の低糖質化や食物繊維含有量を増加させることが可能である。
【0012】
<懸濁液粘度の測定方法>
本発明における40%の懸濁液粘度の測定方法は次の通りである。
(1)200mLビーカーに80.0gの澱粉を量り取り、30℃に調整したイオン交換水を120.0g注ぎ入れる。
(2)撹拌棒で30秒間撹拌した後、30℃の恒温槽にビーカーを浸して4分間静置した後、再び30秒間撹拌棒で撹拌する。
(3)BM型粘度計(VISCOMETER MODEL BMII、東機産業株式会社製)、回転数60rpm、3号ローターにて粘度測定を行い、測定開始から10秒後の目盛を読み取る。
【0013】
本発明において原料となる難消化性澱粉はレジスタントスターチとも呼ばれる不溶性食物繊維の1種で、消化酵素に抵抗性を示し、健常人の消化管で消化吸収され難いことが知られている。難消化性澱粉は、下記RS1~RS4の4種類に分類される。
RS1は、それ自体は消化されやすいものの、外皮などにより物理的に保護されているために、消化酵素が作用できずに消化抵抗性を示す難消化性澱粉であり、主に全粒粉、種子、マメ類などに含まれる。
RS2は、澱粉粒の特殊な結晶構造に起因して消化抵抗性を示す未加工の難消化性澱粉(生澱粉)であり、馬鈴薯澱粉、未熟バナナ澱粉を例示できる。また、ハイアミロース澱粉も、直鎖構造のアミロースが多く、RS2に分類される。これらは本発明の難消化性澱粉として好適である。
RS3は、澱粉の老化により消化酵素が作用しにくい構造に変化したために消化抵抗性を示す難消化性澱粉であり、加熱により一旦糊化させた後、冷却して得られる老化澱粉を例示できる。その他、湿熱処理、酵素処理、酸処理などを施した澱粉は、処理によって食物繊維含有量が高められており、本発明の難消化性澱粉として好適である。
RS4は、高度に化学修飾されたことにより消化抵抗性を示す難消化性澱粉であり、強い架橋処理が施された澱粉、エーテル化、エステル化された澱粉が挙げられる。例えば、高度なリン酸架橋を施した澱粉は食物繊維含有量が高められており、本発明の難消化性澱粉として好適である。
【0014】
本発明では、RS1~RS4のいずれの難消化性澱粉も用いることができるが、好適な難消化性澱粉は、RS2、RS3またはRS4に分類される難消化性澱粉であり、特に好ましいのはRS3またはRS4に分類される難消化性澱粉である。難消化性澱粉における食物繊維の含有量は、食品の食物繊維強化、低糖質化の観点から、乾燥澱粉当たり20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、70%以上が特に好ましい。食物繊維含有量が多いほど、少量の添加で低糖質食品や高食物繊維含量食品を得ることができる。また、食物繊維含有量は乾燥澱粉当たり99%以下が好ましく、97%以下がより好ましい。これにより、食品に配合した場合における作業性の低下及び食品の品質低下を効果的に抑制することができる。なお、本発明において、食物繊維含有量とは、AOAC985.29をベースとした酵素-重量法(プロスキー法)によって定量される値である。
【0015】
<食物繊維含有量の測定方法>
澱粉中の食物繊維含有量をプロスキー法により以下の通り測定した。
(1)澱粉試料1サンプルにつき、タンパク質測定用と灰分測定用の2つの500mLのトールビーカーに各澱粉(1g)を精秤し、pH6.0の0.08mol/Lリン酸緩衝液50mLを加えて分散させた。
(2)熱安定性α-アミラーゼ(ターマミル120L、NovoNordisk社製)100μLを加え、ビーカーをアルミ箔で覆い、沸騰水浴中に入れ、5分毎に攪拌しながら30分間放置した。
(3)室温まで冷却した後、0.275mol/L水酸化ナトリウム水溶液でpH7.5±0.1に調整した。プロテアーゼ(P-5380、シグマ社製)を50mg/mLとなるように、0.08mol/Lリン酸緩衝溶液に溶解したプロテアーゼ溶液100μLを加え、ビーカーをアルミ箔で覆い、60℃水浴中で振とうしながら30分間反応させた。
(4)室温まで冷却し、0.325mol/Lの塩酸水溶液でpH4.3±0.3に調整し、アミログルコシターゼ(A-9913、シグマ社製)100μLを加え、ビーカーをアルミ箔で覆い、60℃水浴中で振とうしながら30分間反応させた。
(5)4倍容量の95%エタノールを60℃に加温して加えた後、1時間放置し、珪藻土(1.1g)を敷き詰めたるつぼ形ガラスろ過器(2G-2)で吸引ろ過した。
(6)ビーカーを20mLの78%エタノールで3回、10mLの95%エタノールで2回、さらに10mLのアセトンで2回洗浄し、反応液の全量をろ過器に回収した。
(7)残留物を含むろ過器は105℃で一晩乾燥させ、放冷後、重量を測定した。ろ過器の1つは、珪藻土と残留物をかき取り、ケルダール法にて窒素含量を測定し、タンパク質を定量した。
(8)他方は、ろ過器ごと525℃で5時間灰化させ、灰分含量を測定した。
(9)空試験として試料を含まずに同様の操作を行い、残留物を乾燥させた残渣に空試験の結果を加味した上で、タンパク質及び灰分を除いた重量を澱粉含水物あたりの食物繊維含量とした。得られた数値から粉体水分を補正することによって澱粉乾燥重量あたりの食物繊維含有量(%)を算出した。
【0016】
本発明で用いる難消化性澱粉は、後述する油脂処理澱粉の特徴を発揮するために、粒子形状を維持していることが好ましい。これは、油脂処理によって澱粉粒子表面の少なくとも一部に油脂が付着し、表面物性を変化させることで効果が得られるからである。
それ以外には加工の方法に制限はなく、未加工澱粉でもよく、未加工澱粉に、酸化処理,エステル化処理,エーテル化処理,架橋処理といった化学修飾を施して得られる加工澱粉や、軽度α化処理,湿熱処理,ボールミル処理,微粉砕処理,加熱処理,温水処理,漂白処理,殺菌処理,酸処理,アルカリ処理,
酵素処理といった物理加工を施して得られる加工澱粉でもよく、未加工澱粉および加工澱粉の中から1種又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
難消化性澱粉の原料は、特に制限はないが、例えば、コーンスターチ,ワキシーコーンスターチ,ハイアミロースコーンスターチ,タピオカ澱粉,小麦澱粉,米澱粉,馬鈴薯澱粉,甘藷澱粉,エンドウ澱粉,サゴ澱粉などが挙げられる他、コーングリッツ,小麦粉,米粉,切干甘藷粉末,切干タピオカ粉末など、穀粉に代表される澱粉含有粉末も用いることができる。
【0017】
難消化性澱粉に混合する油脂は、特に制限はないが、例えば、紅花油,ひまわり油,ナタネ油,大豆油,コーン油,ゴマ油,コメ油,綿実油,オリーブ油,ヤシ油,パーム核油,パーム油,分別パーム油(パームオレイン、パームステアリン),亜麻仁油,えごま油,しそ油などの植物性油脂、牛脂,豚脂,魚油,乳脂などの動物性油脂が挙げられる。また、水素添加油脂、グリセリンと脂肪酸のエステル化油、エステル交換油,加熱処理油,ショートニングなどの加工油脂も使用することができる。これらの中から、求める機能に応じて好ましい油脂を選択することができる。例えば、乳化性を付与する場合は、ヤシ油,パーム核油,パーム油,オリーブ油,コメ油,ナタネ油などの植物性油脂、および牛脂,豚脂,乳脂などの動物性油脂が好ましい。一方、衣と具材の結着性を付与する場合は、紅花油,ひまわり油,大豆油,コーン油,亜麻仁油,えごま油,しそ油などの植物性油脂、および魚油などの動物性油脂が好ましい。
【0018】
本発明で用いる油脂は、難消化性澱粉100部に対して0.02~5.0部を混合する。油脂が0.02部未満であると、所定の懸濁液粘度が得られないことがあり、5.0部を超えると、油脂処理澱粉の流動性が著しく低下し、固形化(ブロッキング)が発生したり、他の食品素材と十分に混合できなくなったりする。油脂の混合量は、機能性の付与と作業性の観点から好ましくは0.03~3.0部であり、より好ましくは0.05~1.0部である。
【0019】
難消化性澱粉と油脂とを混合する方法は限定されず、混合機内の原料粉に油脂を添加し混合するなど、油脂を原料粉に均一に分散混合できる方法であればいずれの方法も可能である。混合機は特に制限はなく、リボンミキサー,パドルミキサー,タンブラーミキサー,ドラムミキサーなどが挙げられる。なお、難消化性澱粉と油脂との混合は次に述べる加熱処理の前に行っても良いし、加熱処理と同時に行ってもよい。
【0020】
加熱処理温度は、常温以上の温度であれば限定されないが、20℃~200℃が適当である。20℃以下では、40%の懸濁液の粘度が50mPa・s以上に達するのに非常に長時間を要するため、実用的でなく、200℃以上では、難消化性澱粉が過度に分解することがあり、結果として食物繊維含有量が低下するため好ましくない。加熱処理時間は、加熱温度により大幅に変わるが、温度が高いほど短時間で40%懸濁液の粘度が50mPa・sを超えるまで処理が進行する。なお、加熱処理は一定の温度にコントロールするか、温度を適宜変化させてもよい。例えば、130℃で3時間加熱処理するか、130℃で1時間加熱処理した後、30℃でさらに24時間処理する方法なども採用できる。
加熱処理を行う装置は特に制限はなく、棚式乾燥機,流動焙焼機,ロースターなど、通常知られた加熱装置でよい。
【0021】
<難消化性油脂処理澱粉>
本発明の難消化性油脂処理澱粉は、40%の懸濁液粘度が50mPa・s以上である。一般的に、油脂処理澱粉の懸濁液粘度は、油脂処理前の澱粉懸濁液粘度よりも上昇する現象が観察される。油脂処理澱粉は、油脂が澱粉粒子表面の少なくとも一部を被覆するように付着しており、澱粉粒子表面に付着した油脂を介して澱粉粒子同士が会合していることが、懸濁液粘度上昇の原因と考えられている。
【0022】
本発明の難消化性油脂処理澱粉の食物繊維含有量は、食品の食物繊維強化、低糖質化の観点から、乾燥澱粉当たり20%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上が特に好ましい。食物繊維含有量が多いほど、少量の添加で低糖質食品や高食物繊維含量食品を得ることができる。また、食品に配合した場合における作業性の低下および食品の品質低下を抑制する観点から、食物繊維含有量は、乾燥澱粉当たり99%以下が好ましく、97%以下がより好ましい。
【0023】
<難消化性油脂処理澱粉を含む食品素材組成物>
本発明の難消化性油脂処理澱粉は、その他の食品素材と組み合わせて食品素材組成物として用いることができる。その他の食品素材の具体例としては、穀粉(小麦粉,コーンフラワー,米粉,α化穀粉など)、未変性澱粉(コーンスターチ,小麦澱粉,米澱粉など)、加工澱粉(本発明の油脂処理粉以外の油脂処理澱粉,次亜塩素酸塩処理澱粉,酸処理澱粉,α化澱粉,乾熱処理澱粉,湿熱処理澱粉,架橋澱粉,エステル化澱粉,エーテル化澱粉,エステル化架橋澱粉,エーテル化架橋澱粉など)、糖類(単糖,二糖類,オリゴ糖,澱粉分解物,還元澱粉分解物など)、天然ガム類(グアガム,キサンタンガム,タマリンドガム,カラギーナンなど)、膨張剤(炭酸ナトリウム,重炭酸ナトリウムなど)、タンパク質(大豆タンパク,乳タンパク,卵白,卵黄,カゼインなど)、油脂類(大豆油,マーガリンなど)、乳化剤(レシチン,グリセリン脂肪酸エステル,シュガーエステルなど)、色素(β-カロテン,クチナシ色素,紅花色素など)、調味料(みりん,醤油,食塩,グルタミン酸ナトリウム,核酸系調味料など)、無機塩類(貝焼成カルシウム,卵殻カルシウムなど)が挙げられる。
【0024】
難消化性油脂処理澱粉とその他の素材を組み合わせた難消化性油脂処理澱粉を含む食品素材組成物としては、ケーキミックス,ドーナツミックス,天ぷら粉,バッターミックス,お好み焼き粉,たこ焼き粉,わらび餅粉などのミックス粉、結着剤,増量剤,食感改良剤,調味料などの食品添加物製剤が例示できる。
【0025】
本発明の難消化性油脂処理澱粉を含む食品素材組成物中の難消化性油脂処理澱粉の配合割合は、難消化性油脂処理澱粉の食物繊維含有量によって異なるため、任意であるが、食品素材組成物中の難消化性澱粉由来の食物繊維含有量が10質量%以上含まれることが好ましい。
【0026】
<難消化性油脂処理澱粉を含む食品>
本発明の難消化性油脂処理澱粉は、澱粉を含有し得るあらゆる食品の材料として用いることができる。食品の具体例としては、食パン,ロールパン,菓子パン,デニッシュペストリー,バラエティブレッド,調理パン,蒸しパンなどのパン類、スポンジケーキ,バターケーキ,ビスケット,クッキー,クラッカーなどの菓子類、ドーナツ,ピザなどのベーカリー食品、パスタ類,うどん,そうめん,ひやむぎ,中華麺,日本そばなどの麺類、餃子の皮,しゅうまいの皮,ワンタンの皮,春巻きの皮などの皮類、から揚げ,竜田揚げ,トンカツ,牛カツ,チキンカツ,コロッケ,天ぷら,かき揚げ,フリッター,チキンナゲット,揚げ玉などのフライ食品、かまぼこ,はんぺん,ハム,ソーセージ,ミートボール,ハンバーグなどの水産・畜産練製品、まんじゅう,大福,だんご,わらび餅などの和菓子類、お好み焼き,たこ焼き,もんじゃ焼き,チヂミなどの和風スナック類が挙げられる。
本発明の難消化性油脂処理澱粉を食品に用いるときには、その他の素材を組み合わせた食品素材組成物(ミックス粉)にしてから食品に用いてもよく、難消化性油脂処理澱粉をそのまま食品の素材として使用してもよい。
【実施例】
【0027】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0028】
<難消化性澱粉の調製>
(製造例1)
原料澱粉としてタピオカ澱粉,コーンスターチ,小麦澱粉を用いて次の手順で架橋処理を行った。水130部に硫酸ナトリウム20部を溶解し、そこへ各原料澱粉100部を加えて懸濁液とした。この懸濁液を撹拌し、3%水酸化ナトリウム水溶液によりpH11.0にコントロールしながら、トリメタリン酸ナトリウム2.5部~7.0部を加え、42℃で16時間反応させた。その後、硫酸でpH5に中和し、水洗、乾燥して難消化性澱粉(R1~R6)を得た。得られた難消化性澱粉の食物繊維含有量を前述のプロスキー法により測定し、表1に示した。通常、澱粉は水分を含有するため、含水澱粉あたりの食物繊維含有量は澱粉乾燥重量あたりの食物繊維含有量とは異なる値になる。例えば、R1は水分11.6%であったため、含水澱粉当たりの食物繊維含有量は84%であった。なお、得られた難消化性澱粉R1~R6はRS4に分類される難消化性澱粉である。
【0029】
(製造例2)
ハイアミロースコーンスターチ100部を水170部に懸濁させ、pH7に調整後、液温を70℃とした。耐熱性α-アミラーゼ(α-アミラーゼ 3A、エイチビィアイ株式会社製)0.07部を澱粉懸濁液に添加し、70℃で1時間作用させた。その後、pH3.3に調整して酵素を失活させた。50℃まで冷却した後、3%水酸化ナトリウム水溶液によりpH5.0に調整後、水洗、脱水、乾燥して難消化性澱粉粒子R7を得た。得られた難消化性澱粉の食物繊維含有量を前述の方法により測定し、表1に示した。なお、得られた難消化性澱粉R7はRS3に分類される難消化性澱粉である。
【0030】
【0031】
<難消化性油脂処理澱粉の製造>
(製造例3)
難消化性澱粉(R1~R7)100部に、えごま油0.1部を加えて卓上ミキサー(ケンミックスアイコー プロKM-230、愛工舎製作所製 「ケンミックス」は登録商標)にて十分に混合した。この混合物を設定温度130℃とした棚式乾燥機(循環式恒温乾燥器MOV-102F、三洋電機株式会社製)で180分間加熱処理して難消化性油脂処理澱粉(RF1~RF7)を得た。得られた難消化性澱粉の40%懸濁液粘度および食物繊維含有量を測定し、表2に示した。
【0032】
(製造例4)
製造例3において、難消化性澱粉R1を原料とし、棚式乾燥機の設定温度を80℃、加熱処理時間を8時間とした以外は同様の方法にて、難消化性油脂処理澱粉(RF8)を得た。得られた難消化性澱粉の40%懸濁液粘度および食物繊維含有量を測定し、表2に示した。
【0033】
(製造例5)
製造例3において、難消化性澱粉R1を原料とし、棚式乾燥機の設定温度を50℃、加熱処理時間を48時間とした以外は同様の方法にて、難消化性油脂処理澱粉(RF9)を得た。得られた難消化性澱粉の40%懸濁液粘度および食物繊維含有量を測定し、表2に示した。なお、表中の食物繊維含量は乾燥澱粉重量当たりの100分率で示した。前述の通り、澱粉は水分を含有するため、含水澱粉当たりの食物繊維含有量は異なる値になる。例えば、RF1は水分5.6%であったため、含水澱粉当たりの食物繊維含有量は85%であった。
【0034】
【0035】
製造例3において、難消化性澱粉R1を原料とし、えごま油の量を表3に示すように0.02部~5部に変えた以外は同様の方法にて、難消化性油脂処理澱粉(RF1、RF10~RF14)を得た。得られた難消化性澱粉の40%懸濁液粘度および食物繊維含有量を測定し、表3に示した。
【0036】
【0037】
製造例3において、難消化性澱粉R1を原料とし、加熱処理時間を30分~210分に変えた以外は同様の方法にて、難消化性油脂処理澱粉(RF15~RF20)を得た。得られた難消化性澱粉の40%懸濁液粘度および食物繊維含有量を測定し、表4に示した。
【0038】
【0039】
<トンカツの製造手順>
(実施例1~9)
58.5部のスターチBS-100N(リン酸架橋タピオカ澱粉の油脂加工澱粉、日澱化學株式会社製)、40部の難消化性油脂処理澱粉(試料番号RF1~RF9)、0.5部の乾燥卵白、1部のグアガムを良く混合し、バッターミックスとした。これに冷水200部を加え、良く撹拌混合してバッター液とした。冷凍した豚ロース肉100gをバッター液に浸し、余分なバッター液を落とした後、生パン粉を全体にまぶした。これを175℃のフライ用油で7分間フライしてトンカツを得た。
(比較例1~7)
実施例1~9において、難消化性油脂処理澱粉を難消化性澱粉(試料番号R1~R7)とした以外は同様にしてトンカツを得た。
【0040】
<トンカツの評価>
フライ直後のトンカツを約2cm幅の短冊状に切断し、切断面を観察することによって豚ロース肉と衣材の結着性を以下の評価基準に従って評価した。評価は本評価方法に習熟した10名のパネラーで行った。評価は1つのサンプル当たり4か所行い、平均値の小数点第2位を四捨五入して評価点とした。評価点が3.0点以上のものは結着性が良好とし、3.0点未満のものは結着不良と判定した。
(評価基準)
5:全体が結着している。
4:全体の90%が結着しているが、わずかに剥がれがある。
3:全体の70%が結着しているが、部分的に剥がれがある。
2:全体の50%が結着しているが、剥がれ部分が目立つ。
1:全体の50%未満の結着で、大幅な剥がれがある。
【0041】
実施例1~9および比較例1~7の評価結果を表5に示した。
【0042】
【0043】
40%の懸濁液粘度が50mPa・s以上である難消化性油脂処理澱粉RF1~RF9を用いた実施例1~9は、トンカツの豚ロース肉と衣との結着性が良好であったのに対し、油脂処理をしていない難消化性澱粉R1~R7を用いた比較例1~7は、いずれも結着不良であった。
【0044】
(実施例10~14)
実施例1~9において、難消化性油脂処理澱粉を試料番号RF1およびRF10~RF14とした以外は同様にして、トンカツを得た。実施例1および実施例10~14の評価結果を表6に示した。
【0045】
【0046】
難消化性澱粉100部に対してえごま油を0.02部~5部混合し、40%の懸濁液粘度が50mPa・s以上である難消化性油脂処理澱粉RF1~RF9を用いた実施例1および実施例10~実施例14はトンカツの豚ロース肉と衣との結着性が良好であった。
【0047】
(実施例15~18、比較例8、9)
実施例1~9において、難消化性油脂処理澱粉を試料番号RF1およびRF15~RF20とした以外は同様にしてトンカツを得た。実施例1および実施例15~18、比較例8、9の評価結果を表7に示した。
【0048】
【0049】
40%の懸濁液粘度が50mPa・s以上である難消化性油脂処理澱粉RF1、およびRF17~RF20を用いた実施例1および実施例15~18は、トンカツの豚ロース肉と衣との結着性が良好であったのに対して、懸濁液粘度が50mPa・s未満であった難消化性油脂処理澱粉RF15、16は、結着不良となった。
【0050】
(実施例19~23)
実施例1~9において、スターチBS-100Nと難消化性油脂処理澱粉(RF1)の配合比率を変えた以外は同様にして、トンカツを得た。実施例1および実施例19~23のスターチBS-100NとRF1の配合比率、フライミックス中の食物繊維含有量および評価結果を表8に示した。
【0051】
【0052】
(比較例10~12)
実施例1~9において、スターチBS-100Nと難消化性澱粉(R1)の配合比率を変えた以外は同様にして、トンカツを得た。比較例1および比較例10~12のスターチBS-100NとR1の配合比率、フライミックス中の食物繊維含有量および評価結果を表9に示した。
【0053】
【0054】
40%の懸濁液粘度が50mPa・s以上である難消化性油脂処理澱粉RF1を配合したフライミックスを用いた実施例1および実施例19~23は、トンカツの豚ロース肉と衣との結着性が良好であったのに対して、油脂処理をしていない難消化性澱粉R1を配合したフライミックスを用いた比較例1および比較例10~12は、結着不良となった。
【0055】
<クッキーの製造手順>
(実施例24)
薄力粉と難消化性油脂処理澱粉(RF1)を20:80の割合で混合してクッキーミックスを調製した。
マーガリン50部と上白糖40部をホイッパーで撹拌し、ここに15部の全卵を加えてホイッパーで撹拌した。続いて、前記クッキーミックス100部を加えてビーターで撹拌して生地とした。生地を冷蔵庫で30分間休ませた後、成形して160℃のオーブンで13分間焼成した。焼成後、粗熱をとってから粉糖をまぶしてクッキーを得た。
(比較例13、14)
実施例24において、難消化性油脂処理澱粉RF1をRF15、または難消化性澱粉R1とした以外は同様にして、クッキーを得た。
【0056】
<クッキーの評価>
クッキーは、くちどけの良さとしっとり感を重視して、以下の評価基準に基づいて評価した。評価は本評価方法に習熟したパネラー10名で行い、10名の平均値を評価点とした。評価点が3.0点以上のものはくちどけ、しっとり感が良好とし、3.0点未満のものはくちどけ、しっとり感が不良と判定した。
(くちどけのよさ評価基準)
5:非常に良好なくちどけ。
4:良好なくちどけ。
3:普通のくちどけ。
2:くちどけがやや劣る。
1:くちどけが大きく劣る。
(しっとり感の評価基準)
5:しっとりして非常に良好。
4:しっとりして良好。
3:普通のしっとり感。
2:ぼそつきがありしっとり感がやや劣る。
1:ぼそつきがありしっとり感が大きく劣る。
【0057】
実施例24および比較例13、14の評価を表10に示した。
【0058】
【0059】
40%懸濁液粘度が50mPa・s以上である難消化性油脂処理澱粉RF1を配合した実施例24は、くちどけ,しっとり感どちらも良好な評価であったが、懸濁液粘度が50mPa・s未満であった難消化性油脂処理澱粉RF15または油脂処理をしていない難消化性澱粉R1を配合した比較例13、14は、くちどけは良好だったものの、しっとり感が不良という結果になった。この結果から、40%の懸濁液粘度が50mPa・s以上である難消化性油脂処理澱粉をクッキーに応用するとしっとり感の向上効果が得られることが明らかになった。
【0060】
<サブレの製造手順>
(実施例25)
薄力粉と難消化性油脂処理澱粉(RF7)を20:80の割合で混合してサブレミックスを調製した。
マーガリン50部と上白糖40部をホイッパーで撹拌し、ここに15部の全卵を加えてホイッパーで撹拌した。続いて、水20部と前記サブレミックス100部を加えてビーターで撹拌して生地とした。生地を冷蔵庫で30分間休ませた後、成形して160℃のオーブンで13分間焼成した。焼成後、粗熱をとってから粉糖をまぶして、サブレを得た。
(比較例15)
実施例25において、難消化性油脂処理澱粉を難消化性澱粉(R7)とした以外は同様にしてサブレを得た。
【0061】
<サブレの評価>
サブレはサクッとした食感を重視して、以下の評価基準に基づいて評価した。評価は本評価方法に習熟したパネラー10名で行い、10名の平均値を評価点とした。評価点が3.0点以上のものはサクッとした食感が良好とし、3.0点未満のものは不良と判定した。
(サクッとした食感の評価基準)
5:非常に良好。
4:良好。
3:普通。
2:やや劣る。
1:大きく劣る。
【0062】
実施例25および比較例15の評価を表11に示した。
【0063】
【0064】
40%懸濁液粘度が50mPa・s以上である難消化性油脂処理澱粉RF7を配合した実施例25はサクッとした食感が高い評価であったが、油脂処理をしていない難消化性澱粉R7を配合した実施例15は、不良という結果になった。
【0065】
<冷凍チヂミの製造手順>
(実施例26)
38部のG-400(ヒドロキシプロピル化リン酸架橋タピオカ澱粉、日澱化學株式会社製)、24部のアミコールKT-5(アルファ化リン酸架橋タピオカ澱粉、日澱化學株式会社製 「アミコール」は登録商標)、38部の難消化性油脂処理澱粉RF1を混合して、チヂミミックスを調製した。
表12に示す材料を混合してチヂミ生地を調製した。チヂミ生地100部に対して刻みネギ30部、1cm角のイカゲソ15部、みじん切りタマネギ15部、千切りニンジン5部を加えて混ぜ合わせ、200℃にて2分30秒焼成してチヂミを得た。放冷したチヂミを-18℃で冷凍し、試食前に170℃の油で1分30秒フライした。
【0066】
【0067】
(比較例16、17)
実施例26において、難消化性油脂処理澱粉RF1を難消化性油脂処理澱粉RF15または難消化性澱粉R1とした以外は同様にして、冷凍チヂミを得た。
【0068】
<チヂミの評価>
チヂミは難消化性澱粉を配合することで粉っぽさが目立ち、食感が悪くなるという問題がある。そこで、粉っぽさの低減を重視して、以下の評価基準に基づいて評価した。評価は本評価方法に習熟したパネラー10名で行い、10名の平均値を評価点とした。評価点が3.0点以上のものは粉っぽさがなく良好とし、3.0点未満のものは不良と判定した。
(粉っぽさ評価基準)
5:粉っぽさを全く感じない。
4:粉っぽさをわずかに感じる。
3:粉っぽさを少し感じる。
2:粉っぽさを明確に感じる。
1:粉っぽさが強調されるほどに感じる。
【0069】
実施例26および比較例16、17の評価を表13に示した。
【0070】
【0071】
40%懸濁液粘度が50mPa・s以上である難消化性油脂処理澱粉RF1を配合したチヂミは粉っぽさが少なく高い評価であったが、懸濁液粘度が50mPa・s未満であった難消化性油脂処理澱粉RF15または油脂処理をしていない難消化性澱粉R1を配合したチヂミは粉っぽさを感じるという結果になった。この結果から40%の懸濁液粘度が50mPa・s以上である難消化性油脂処理澱粉をチヂミに応用すると粉っぽさを抑制する効果が得られることが明らかになった。