(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】油圧作動装置
(51)【国際特許分類】
B25F 5/02 20060101AFI20230301BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
B25F5/02
B25F5/00 D
B25F5/00 B
(21)【出願番号】P 2019139614
(22)【出願日】2019-07-30
【審査請求日】2022-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000128692
【氏名又は名称】株式会社オグラ
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【氏名又は名称】加島 広基
(72)【発明者】
【氏名】土橋 慶太
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-078988(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0214471(US,A1)
【文献】特表2019-510644(JP,A)
【文献】特開2004-017202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/02
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧油を発生させる油圧ポンプと、
前記油圧ポンプにより発生した圧油により作動する工具と、
前記油圧ポンプにより発生した圧油を前記工具に送ったり前記工具から前記油圧ポンプに戻り油を戻したりするための油路と、
作業者の片方の手により把持されるハンドルと、
前記油路に設けられ、圧油および戻り油のうち少なくとも一方の経路を切り換える切換部と、
前記切換部を操作するための操作部と、
を備え、
前記操作部は、前記ハンドルを把持する作業者の手またはその指により操作可能な位置に配置されて
おり、
前記操作部は、軸部と、前記軸部に取り付けられ、前記軸部の軸心を中心として回転するレバーと、前記レバーに設けられ、前記ハンドルを把持する作業者の手またはその指により操作される操作部分と、を有しており、
前記操作部の前記軸部が回転することにより前記切換部において前記油路における前記経路が切り換えられるようになっている、油圧作動装置。
【請求項2】
前記油圧作動装置の長手方向における前記ハンドルと前記操作部との間の距離は0mm乃至50mmの範囲内の大きさである、請求項1記載の油圧作動装置。
【請求項3】
前記油圧作動装置の長手方向における前記ハンドルと前記操作部との間の距離は5mm乃至50mmの範囲内の大きさである、請求項2記載の油圧作動装置。
【請求項4】
前記油圧作動装置の長手方向における前記ハンドルと前記操作部との間の距離は9mm乃至45mmの範囲内の大きさである、請求項3記載の油圧作動装置。
【請求項5】
前記ハンドルは、前記油圧作動装置の長手方向と直交する方向に延びる棒状部分を有しており、作業者は前記ハンドルの前記棒状部分を握った手またはその指により前記操作部を操作可能となっている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の油圧作動装置。
【請求項6】
前記操作部分は、略球体から一部分を削った構成となっている、請求項
1乃至5のいずれか一項に記載の油圧作動装置。
【請求項7】
前記操作部分における、略球体から一部分を削った平面の中心を通りこの平面に直交する線は、前記油圧作動装置の長手方向に対して傾斜している、請求項
6記載の油圧作動装置。
【請求項8】
前記ハンドルは、前記油圧作動装置の長手方向と直交する方向に延びる棒状部分を有しており、作業者は前記ハンドルの前記棒状部分を握った手またはその指により前記操作部を操作可能となっており、
前記操作部分における、略球体から一部分を削った平面の中心を通りこの平面に直交する線は、前記ハンドルの前記棒状部分に向かって延びている、請求項
7記載の油圧作動装置。
【請求項9】
前記操作部分において、略球体から一部分を削った箇所には凹部が形成されており、前記凹部は、仮想球体の球面の一部となるような湾曲形状となっている、請求項
6記載の油圧作動装置。
【請求項10】
前記凹部の中心と、前記仮想球体の中心とを結ぶ線は、前記油圧作動装置の長手方向に対して傾斜している、請求項
9記載の油圧作動装置。
【請求項11】
前記ハンドルは、前記油圧作動装置の長手方向と直交する方向に延びる棒状部分を有しており、作業者は前記ハンドルの前記棒状部分を握った手またはその指により前記操作部を操作可能となっており、
前記凹部の中心と、前記仮想球体の中心とを結ぶ線は、前記ハンドルの前記棒状部分に向かって延びている、請求項
9または
10記載の油圧作動装置。
【請求項12】
前記レバーは、前進位置と、後退位置との間で移動可能となっており、
前記レバーが前記前進位置に位置しているときには、前記工具が第1の方向に移動するよう前記切換部において前記油路における前記経路が切り換えられ、
前記レバーが前記後退位置に位置しているときには、前記工具が第2の方向に移動するよう前記切換部において前記油路における前記経路が切り換えられる、請求項
1乃至11のいずれか一項に記載の油圧作動装置。
【請求項13】
前記レバーは、中立位置にも移動可能となっており、
前記レバーが前記中立位置に位置しているときには、前記切換部において前記油路における前記経路が塞がれることにより前記工具が作動しないようになっている、請求項
12記載の油圧作動装置。
【請求項14】
前記レバーが前記中立位置に位置しているとき、前記レバーは前記軸部から前記ハンドルに向かって延びる、請求項
13記載の油圧作動装置。
【請求項15】
前記レバーにおける前記前進位置および前記後退位置は前記中立位置を挟んで反対側に位置している、請求項
13または
14記載の油圧作動装置。
【請求項16】
前記油圧ポンプを駆動させる駆動部を更に備え、
前記操作部は、前記駆動部のオンオフを切り換えることもできるようになっている、請求項1乃至
15のいずれか一項に記載の油圧作動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧により作動する油圧作動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レスキューの用途に可搬型の油圧作動装置を利用することが行われており、その一例が例えば特許文献1等に記載されている。特許文献1に開示される油圧作動装置は、バッテリー、このバッテリーから給電される電動モータおよびこの電動モータにより駆動される油圧ポンプを有する油圧発生ユニットと、油圧発生ユニットに着脱可能であり、当該油圧発生ユニットにより発生する圧油により駆動される先端工具を有するヘッドユニットとから構成されている。ヘッドユニットに設けられる先端工具として、カッター、スプレッダーなどの様々な種類のものが用意されており、ヘッドユニットを交換することにより多種多様な作業に対応することができる。また、油圧発生ユニットとヘッドユニットとを分離可能とすることにより、可搬性を向上させ、現場での作業員の負荷を軽減することができる。
【0003】
ここで、従来の油圧作動装置では、油圧ポンプにより発生した圧油を先端工具に送ったり先端工具から油圧ポンプに戻り油を戻したりする際に、油路における圧油や戻り油の経路がスプール弁により切り換えられるようになっている。また、油圧作動装置には操作部が設けられており、作業者が操作部を回すとスプール弁が進退活動し、スプール弁がピストンロッドに対して上下動することにより圧油等の流れ方向が制御されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の油圧作動装置では、ハンドルと、スプール弁を操作するための操作部との間の距離が大きかった。このため、作業者が片方の手(例えば、右手)で電動モータ近くの把持部を把持し、もう片方の手(例えば、左手)でハンドルを握ることにより先端工具で作業を行う際に、先端工具の移動の向きを変えたい場合には、作業者はハンドルを左手で握った状態で把持部から右手を離してこの右手により操作部を操作しなければならず、作業性が悪くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、ハンドルや把持部から手を離さなくてもハンドルを把持する作業者の手やその指により操作部を操作することができるため、作業性を向上させることができる油圧作動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の油圧作動装置は、圧油を発生させる油圧ポンプと、前記油圧ポンプにより発生した圧油により作動する工具と、前記油圧ポンプにより発生した圧油を前記工具に送ったり前記工具から前記油圧ポンプに戻り油を戻したりするための油路と、作業者の片方の手により把持されるハンドルと、前記油路に設けられ、圧油および戻り油のうち少なくとも一方の経路を切り換える切換部と、前記切換部を操作するための操作部と、を備え、前記操作部は、前記ハンドルを把持する作業者の手またはその指により操作可能な位置に配置されていることを特徴とする。
【0008】
このような油圧作動装置によれば、切換部を操作するための操作部が、ハンドルを把持する作業者の手やその指により操作可能な位置に配置されているため、作業者が片方の手(例えば、右手)で電動モータ近くの把持部を把持し、もう片方の手(例えば、左手)でハンドルを握ることにより先端工具で作業を行う際に、ハンドルや把持部から手を離さなくてもハンドルを把持する作業者の手やその指により操作部を操作することができるため、作業性を向上させることができる。
【0009】
本発明の油圧作動装置においては、前記油圧作動装置の長手方向における前記ハンドルと前記操作部との間の距離は0mm乃至50mmの範囲内の大きさであってもよい。
【0010】
この場合、前記油圧作動装置の長手方向における前記ハンドルと前記操作部との間の距離は5mm乃至50mmの範囲内の大きさであってもよい。
【0011】
更に、前記油圧作動装置の長手方向における前記ハンドルと前記操作部との間の距離は9mm乃至45mmの範囲内の大きさであってもよい。
【0012】
また、前記ハンドルは、前記油圧作動装置の長手方向と直交する方向に延びる棒状部分を有しており、作業者は前記ハンドルの前記棒状部分を握った手またはその指により前記操作部を操作可能となっていてもよい。
【0013】
この場合、前記油圧作動装置の本体から前記ハンドルの前記棒状部分までの距離は、前記油圧作動装置の本体から前記操作部までの距離よりも大きくなっていてもよい。
【0014】
本発明の油圧作動装置においては、前記操作部は、軸部と、前記軸部に取り付けられ、前記軸部の軸心を中心として回転するレバーと、前記レバーに設けられ、前記ハンドルを把持する作業者の手またはその指により操作される操作部分と、を有しており、前記操作部の前記軸部が回転することにより前記切換部において前記油路における前記経路が切り換えられるようになっていてもよい。
【0015】
この場合、前記操作部分は、略球体から一部分を削った構成となっていてもよい。
【0016】
この場合、前記操作部分における、略球体から一部分を削った平面の中心を通りこの平面に直交する線は、前記油圧作動装置の長手方向に対して傾斜していてもよい。
【0017】
また、前記ハンドルは、前記油圧作動装置の長手方向と直交する方向に延びる棒状部分を有しており、作業者は前記ハンドルの前記棒状部分を握った手またはその指により前記操作部を操作可能となっており、前記操作部分における、略球体から一部分を削った平面の中心を通りこの平面に直交する線は、前記ハンドルの前記棒状部分に向かって延びていてもよい。
【0018】
また、前記操作部分において、略球体から一部分を削った箇所には凹部が形成されており、前記凹部は、仮想球体の球面の一部となるような湾曲形状となっていてもよい。
【0019】
また、前記凹部の中心と、前記仮想球体の中心とを結ぶ線は、前記油圧作動装置の長手方向に対して傾斜していてもよい。
【0020】
また、前記ハンドルは、前記油圧作動装置の長手方向と直交する方向に延びる棒状部分を有しており、作業者は前記ハンドルの前記棒状部分を握った手またはその指により前記操作部を操作可能となっており、前記凹部の中心と、前記仮想球体の中心とを結ぶ線は、前記ハンドルの前記棒状部分に向かって延びていてもよい。
【0021】
また、前記レバーは、前進位置と、後退位置との間で移動可能となっており、前記レバーが前記前進位置に位置しているときには、前記工具が第1の方向に移動するよう前記切換部において前記油路における前記経路が切り換えられ、前記レバーが前記後退位置に位置しているときには、前記工具が第2の方向に移動するよう前記切換部において前記油路における前記経路が切り換えられるようになっていてもよい。
【0022】
また、前記レバーは、中立位置にも移動可能となっており、前記レバーが前記中立位置に位置しているときには、前記切換部において前記油路における前記経路が塞がれることにより前記工具が作動しないようになっていてもよい。
【0023】
また、前記レバーが前記中立位置に位置しているとき、前記レバーは前記軸部から前記ハンドルに向かって延びていてもよい。
【0024】
また、前記レバーにおける前記前進位置および前記後退位置は前記中立位置を挟んで反対側に位置していてもよい。
【0025】
本発明の油圧作動装置は、前記油圧ポンプを駆動させる駆動部を更に備え、前記操作部は、前記駆動部のオンオフを切り換えることもできるようになっていてもよい。
【0026】
また、前記操作部は、本体に向かう方向および本体から離れる方向にそれぞれ移動可能となっており、前記操作部を本体に向かう方向または本体から離れる方向に移動させたときに前記切換部において前記油路における前記経路が切り換えられるようになっていてもよい。この場合、前記操作部は、レバーと、前記レバーに設けられ、前記ハンドルを把持する作業者の手またはその指により操作される操作部分と、を有しており、前記操作部分は、略球体から一部分を削った構成となっており、前記操作部における前記レバーまたは前記操作部分を本体に向かう方向または本体から離れる方向に移動させたときに前記切換部において前記油路における前記経路が切り換えられるようになっていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の油圧作動装置によれば、ハンドルや把持部から手を離さなくてもハンドルを把持する作業者の手やその指により操作部を操作することができるため、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施の形態による油圧作動装置の構成を示す正面図である。
【
図2】
図1に示す油圧作動装置において、作業者が右手で把持部を把持するとともに左手でハンドルを握っているときにこの左手の指で操作部を操作するときの状態を示す図である。
【
図3】
図1に示す油圧作動装置の本体から駆動ユニットが取り外されたときの構成を示す斜視図である。
【
図6】
図1に示す油圧作動装置における操作部の動作を示す斜視図である。
【
図7】
図1に示す油圧作動装置における操作部の構成を示す断面図である。
【
図8】
図4に示す油圧作動装置におけるA-A矢視による側断面図であって、切換部が前進位置に位置しているときの内部構成を示す図である。
【
図9】
図4に示す油圧作動装置におけるA-A矢視による側断面図であって、切換部が後退位置に位置しているときの内部構成を示す図である。
【
図10】
図1に示す油圧作動装置のハンドルを握る作業者の指により操作部を操作する別の方法を示す斜視図である。
【
図11】
図1に示す油圧作動装置における操作部の操作部分の他の構成例を示す斜視図である。
【
図12】
図11に示す操作部の操作部分の構成を示す断面図である。
【
図13】従来技術の油圧作動装置の構成を示す斜視図である。
【
図15】
図13および
図14に示す従来技術の油圧作動装置において、作業者が左手でハンドルを握りながら右手で作動ツマミを操作するときの状態を示す図である。
【
図16】変形例に係る操作部の動作を示す側面図である。
【
図17】別の変形例に係る操作部の構成を示す上面図である。
【
図20】更に別の変形例に係る操作部の構成を示す上面図である。
【
図23】左手のひらを広げて指を伸ばし、親指以外の4本の指をそろえるとともに親指を外側に広げた状態において、親指の付け根のしわから親指の先端までの直線距離を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態による油圧作動装置は、レスキュー等の用途に使用されるものであり、スプレッダー等の先端工具により鉄筋等の対象物を切断したり扉等の対象物の隙間をこじ開けたりすることができるものである。
図1乃至
図12は、本実施の形態による油圧作動装置を示す図である。このうち、
図1は、本実施の形態による油圧作動装置の構成を示す正面図であり、
図2は、
図1に示す油圧作動装置において、作業者が右手で把持部を把持するとともに左手でハンドルを握っているときにこの左手の指で操作部を操作するときの状態を示す図である。また、
図3は、
図1に示す油圧作動装置の本体から駆動ユニットが取り外されたときの構成を示す斜視図である。また、
図4は、
図1に示す油圧作動装置の正面図であり、
図5は、
図1に示す油圧作動装置の底面図である。また、
図6は、
図1に示す油圧作動装置における操作部の動作を示す斜視図であり、
図7は、
図1に示す油圧作動装置における操作部の構成を示す断面図である。また、
図8および
図9は、それぞれ、
図4に示す油圧作動装置におけるA-A矢視による側断面図であって、切換部が前進位置および後退位置にそれぞれ位置しているときの内部構成を示す図である。なお、
図8および
図9において、油圧ポンプから先端工具に送られるべき圧油を実線で示し、先端工具から油圧ポンプに戻されるべき戻り油を二点鎖線で示している。また、
図8および
図9において、油圧ポンプと先端工具との間に配置される圧油や戻り油の油路や切換部を見やすくするために、これらの油路や切換部の周囲の箇所における断面を示すためのハッチの描写を省略している。また、
図10は、
図1に示す油圧作動装置のハンドルを握る作業者の指により操作部を操作する別の方法を示す斜視図である。また、
図11は、
図1に示す油圧作動装置における操作部の操作部分の他の構成例を示す斜視図であり、
図12は、
図11に示す操作部の操作部分の構成を示す断面図である。
【0030】
図1および
図3等に示すように、本実施の形態の油圧作動装置10は、駆動ユニット11と、油圧ポンプ20と、先端工具70とを備えている。駆動ユニット11は、作業者が片方の手(例えば、右手)で把持するための把持部12と、把持部12を右手で握った作業者の右手の指により操作されるスイッチ14と、電動モータ等のモータ16と、リチウムイオン電池またはニッケル水素電池等の二次電池からなるバッテリー17とを有している。また、駆動ユニット11は油圧作動装置10の本体から取り外し可能となっている。
図3乃至
図12では、駆動ユニット11が油圧作動装置10の本体から取り外されたときの状態が示されている。また、駆動ユニット11が油圧作動装置10の本体に取り付けられたときに、モータ16により油圧ポンプ20が駆動されるようになっている。より詳細には、把持部12を右手で握った作業者の右手の指によりスイッチ14が操作されると、バッテリー17からモータ16に電力が供給され、当該モータ16によりこのモータ16に取り付けられた回転軸18が回転させられるようになっている。また、
図1に示すように油圧作動装置10には、回転軸18が差し込まれる差込部19が設けられている。
【0031】
図8および
図9に示すように、油圧ポンプ20は、油室28と、円柱形状の回転部材22と、回転部材22の先端に取り付けられた偏心部材24と、偏心部材24が回転することにより上下運動するピストン26とを有している。ここで、回転部材22には差込部19が取り付けられており、駆動ユニット11のモータ16に取り付けられている回転軸18が差込部19に差し込まれると、モータ16により回転軸18が回転させられたときに回転部材22も一体的に回転するようになっている。また、偏心部材24は、回転部材22の軸線に対して偏心しており、当該偏心部材24の外周面にはニードルローラベアリング等のベアリングが取り付けられている。また、ピストン26は、図示しないバネによってベアリングの外周面に向けて常時押し付けられている。このため、回転部材22が回転すると偏心部材24およびベアリングが回転部材22の軸線に対して偏心回転運動することによりピストン26が上下運動し、油室28から先端工具70に向かって圧油が送られ、当該先端工具70が作動するようになる。
【0032】
また、
図8および
図9に示すように、油圧作動装置10の内部には、油圧ポンプ20の油室28から先端工具70に圧油を送ったり先端工具70から油室28に戻り油を戻したりするための複数の油路30、32、50、52が設けられている。ここで、複数の油路30、32、50、52のうち第1の油路30は油圧ポンプ20の油室28から先端工具70に送られる圧油が通る送り管であり、第2の油路32は先端工具70から油室28に戻される戻り油が通る戻り管である。また、これらの第1の油路30および第2の油路32は、それぞれ、後述する切換部88が挿入される穴40に連通している。また、複数の油路30、32、50、52のうち第3の油路50は、後述する先端工具70のピストン部材76の内部に設けられた油室77に圧油を送る送り管であり、第4の油路52は、ピストン部材76の外部に設けられた油室79に圧油を送る送り管である。これらの第3の油路50および第4の油路52も、切換部88が挿入される穴40に連通している。そして、切換部88により、第1の油路30および第2の油路32の各々に連通される油路が、第3の油路50および第4の油路52の中から切り換えられるようになっている。
【0033】
次に、先端工具70の構成の詳細について
図1、
図4、
図8および
図9等を用いて説明する。先端工具70は、それぞれ軸72a、74aを中心として回転可能となっている一対のこじ開け部材72、74と、円筒形状のシリンダ71と、シリンダ71の内部に設けられ、ピストン部材76と、接続部材78とを有しており、油圧ポンプ20から先端工具70に圧油が送られると、ピストン部材76が
図8および
図9における左側に押し出されるようになっている。また、各こじ開け部材72、74と、ピストン部材76とは接続部材78により接続されている。このため、ピストン部材76が
図8および
図9における左側に押し出されると、接続部材78も
図8および
図9における左方向に移動することにより、各こじ開け部材72、74が軸72a、74aを中心として回転し、一対のこじ開け部材72、74の先端部分が開くようになる。このように、先端工具70によりこじ開けられるべき対象物の隙間に各こじ開け部材72、74の先端部分を入れた後、油圧ポンプ20から先端工具70に圧油を送ることによって一対のこじ開け部材72、74の先端部分を開くことにより、対象物の隙間を広げることができるようになる。
【0034】
より詳細には、先端工具70においてピストン部材76の内部には油室77が形成されており、第3の油路50から圧油が油室77に送られるとピストン部材76が
図8および
図9における左側に移動するようになっている。また、ピストン部材76の外側にも油室79が設けられており、第4の油路52からこの油室79に圧油が送られるとピストン部材76が
図8および
図9における右側に移動するようになっている。
【0035】
また、本実施の形態の油圧作動装置10には、作業者の把持部12を握る手とは反対の(例えば、左手)により把持されるハンドル90と、圧油および戻り油のうち少なくとも一方の経路を切り換えるスプール等の切換部88と、切換部88を操作するための操作部80とがそれぞれ設けられている。ハンドル90は、油圧作動装置10の長手方向(すなわち、ピストン部材76の往復方向)と直交する方向に延びる棒状部分92を有している。そして、駆動ユニット11が本体に取り付けられた油圧作動装置10によって作業者が作業を行う際に、油圧作動装置10の重量が大きいため、
図2に示すように、作業者は右手で把持部12を把持するとともに左手でハンドル90を持つ。また、操作部80は、ハンドル90の棒状部分92を把持する作業者の手(より詳細には、左手)やその指により操作可能な位置に配置されている。具体的には、「操作部80が、ハンドル90の棒状部分92を把持する作業者の手またはその指により操作可能な位置に配置されている」とは、油圧作動装置10の長手方向(すなわち、ピストン部材76の往復方向)におけるハンドル90と操作部80との間の距離(すなわち、
図5において参照符号Aで示す距離)が0mm乃至50mmの範囲内の大きさ、好ましくは5mm乃至50mmの範囲内の大きさ、更に好ましくは9mm乃至45mmの範囲内の大きさであることをいう。
【0036】
より詳細に説明すると、
図23に示すように、日本人の手の寸法データにおいて、手のひらを広げて指を伸ばし、親指以外の4本の指をそろえるとともに親指を外側に広げた状態において、親指の付け根のしわ(参照符号Dで表示)から親指の先端までの直線距離(この距離のことを、第1指長ともいう)は、最小で48.5mm、平均で59.0mm、最大で75.5mmである。なお、日本人以外の手の寸法データでは、第1指長が日本人の手の寸法データよりもやや大きくなる場合もある。そして、油圧作動装置10の長手方向におけるハンドル90と操作部80との間の距離が50mmよりも大きい場合には、第1指長が小さい手では、ハンドル90の棒状部分92を把持する作業者の手またはその指が操作部80に届かないおそれがある。このため、油圧作動装置10の長手方向におけるハンドル90と操作部80との間の距離を50mm以下とすることが好ましい。なお、油圧作動装置10の長手方向におけるハンドル90と操作部80との間の距離を45mm以下とした場合には、ハンドル90の棒状部分92を把持する作業者の手またはその指が操作部80により一層確実に届くようになる。また、油圧作動装置10の長手方向におけるハンドル90と操作部80との間の距離が小さ過ぎる場合には、第1指長が大きい手では、ハンドル90および操作部80が近すぎることにより、ハンドル90の棒状部分92を把持する作業者の手またはその指により操作部80を操作しづらくなるという問題がある。ここで、油圧作動装置10の長手方向におけるハンドル90と操作部80との間の距離が5mm以上である場合には、ハンドル90の棒状部分92を把持する作業者の手またはその指により操作部80を操作しやすくなる。また、油圧作動装置10の長手方向におけるハンドル90と操作部80との間の距離が9mm以上である場合には、ハンドル90の棒状部分92を把持する作業者の手またはその指により操作部80をより一層操作しやすくなる。
【0037】
また、上述した第1指長を考慮すると、ハンドル90の棒状部分92と操作部80の操作部分86との間の最短距離(すなわち、
図5において参照符号Bで示す距離)は、5mm乃至50mmの間の範囲内の大きさであることが好ましく、また、5mm乃至45mmの間の範囲内の大きさであることが更に好ましく、9mm乃至40mmの間の範囲内の大きさであることが特に好ましい。ハンドル90の棒状部分92と操作部80の操作部分86との間の最短距離が50mmよりも大きい場合には、第1指長が小さい手では、ハンドル90の棒状部分92を把持する作業者の手またはその指が操作部80に届かないおそれがある。また、ハンドル90の棒状部分92と操作部80の操作部分86との間の最短距離が5mmよりも小さい場合には、第1指長が大きい手では、ハンドル90および操作部80が近すぎることにより、ハンドル90の棒状部分92を把持する作業者の手またはその指により操作部80を操作しづらくなるという問題がある。
【0038】
また、油圧作動装置10の本体(具体的には、円筒形状のシリンダ71)からハンドル90の棒状部分92までの距離は、油圧作動装置10の本体から操作部80までの距離よりも大きくなっている。
【0039】
このような操作部80や切換部88の構成の詳細について以下に説明する。
【0040】
図4乃至
図7に示すように、操作部80は、作業者により操作されるレバー82と、レバー82が取り付けられる略円筒形状のレバー取付部84とを有している。より詳細には、レバー82にはネジ等の軸部82aが設けられており、この軸部82aがレバー取付部84に接続されている。そして、レバー82は軸部82aを中心としてレバー取付部84と一体的に回転可能となっている。また、作業者によってレバー82が回されたときに、レバー82を回す方向に対して直交する方向(具体的には、
図8および
図9における上下方向)に切換部88が進退するようになっている。レバー取付部84にはストッパー溝(図示せず)が設けられるとともに、このストッパー溝にはボルト(図示せず)が挿入されるようになっている。ここで、ボルトは油圧作動装置10に位置固定で設けられている。このような油圧作動装置10に位置固定で設けられたボルトが挿入されるストッパー溝により、レバー82およびレバー取付部84の回転角度を所定の範囲内に制限することができるようになる。具体的には、レバー82およびレバー取付部84の回転角度を例えば60°の範囲内に制限することができるようになる。
【0041】
また、切換部88の外周面には、当該切換部88の周方向および軸方向に対してそれぞれ傾斜したリード溝(図示せず)が形成されており、このリード溝には上述したボルトの先端部分が挿入されるようになっている。このように、切換部88の軸方向に対して傾斜しているリード溝に、油圧作動装置10に位置固定で設けられたボルトの先端部分が挿入されていることにより、レバー取付部84が回転すると、切換部88が軸方向(すなわち、
図8および
図9における上下方向)に沿って進退するようになる。また、切換部88の外周面には、細長い円柱形状の位置決めピン(図示せず)が嵌められる溝が形成されている。このような位置決めピンにより、切換部88の周方向における位置がレバー取付部84からずれてしまうことを防止することができるようになる。すなわち、レバー取付部84および切換部88は同じ位相で回転するようになる。また、切換部88には複数の溝(図示せず)が形成されており、各溝にはそれぞれ穴が設けられている。ここで、切換部88の内部には軸方向に沿って延びる中空部分が形成されており、この中空部分に各穴が連通している。また、各溝の間には周方向に延びる外壁部分が形成されている。
【0042】
また、レバー取付部84の外周面にも3つの溝(図示せず)が形成されている。また、3つの溝のうちいずれか一つの溝に入る鋼球(図示せず)、および鋼球をレバー取付部84に向かってスプリング(図示せず)により押圧する押圧部材(図示せず)がそれぞれ設けられている。押圧部材によってスプリングを介して鋼球がレバー取付部84に向かって押圧されることにより、この鋼球が3つの溝のうちいずれか一つの溝に入ると、レバー取付部84が後述する前進位置、中立位置および後進位置のうちいずれか一つの位置に位置決めされる。
【0043】
このような構成からなる切換部88は、いわゆるスプールバルブとして機能するようになっている。
【0044】
上述したように、レバー82は軸部82aの軸心を中心として回転するようになっている。より詳細には、
図6に示すように、レバー82は所定の範囲内で軸部82aの軸心を中心として回転可能となっている。ここで、
図4に示すような操作部80の位置を中立位置(
図4や
図6における位置A)とし、
図4に示す位置からレバー82が軸部82aの軸心を中心として時計回りの方向に回転してこれ以上回転させることができなくなったときの位置を前進位置(
図4や
図6における位置B)とし、
図4に示す位置からレバー82が軸部82aの軸心を中心として反計回りの方向に回転してこれ以上回転させることができなくなったときの位置を後退位置(
図4や
図6における位置C)とする。このように、本実施の形態では、操作部80を中立位置、前進位置および後退位置の間で移動させることができるようになっている。また、レバー82が中立位置に位置しているとき、このレバー82は軸部82aからハンドル90に向かって延びており、レバー82における前進位置および後退位置は中立位置を挟んで反対側に位置している。なお、レバー82の他の構成例として、
図4に示すような操作部80の位置を中立位置とし、
図4に示す位置からレバー82が軸部82aの軸心を中心として時計回りの方向に回転してこれ以上回転させることができなくなったときの位置を後退位置とし、
図4に示す位置からレバー82が軸部82aの軸心を中心として反計回りの方向に回転してこれ以上回転させることができなくなったときの位置を前進位置としてもよい。更に他の構成例として、レバー82が前進位置と後退位置との間でのみ移動可能となっており、中立位置が存在しないような油圧作動装置が用いられてもよい。
【0045】
また、操作部80のレバー82には、ハンドル90を把持する作業者の手やその指により操作される操作部分86が設けられている。
図7に示すように、操作部分86は、略球体から一部分86bを削った構成となっている。また、操作部分86は湾曲した凹部86aを有しており、作業者の手が小さい場合は、
図1に示すようにハンドル90を握った手の親指を凹部86aに入れることができるようになっている。ここで、
図7に示すように、凹部86aは、参照符号Rで示すような仮想球体の球面の一部となるような湾曲形状となっている。また、凹部86aが仮想球体Rの球面の一部となっている場合には、凹部86aの中心とこの仮想球体Rの中心とを結ぶ線(
図7において参照符号Mで表示)は、油圧作動装置10の長手方向(すなわち、
図7における左右方向)に対して傾斜している。また、凹部86aの中心と仮想球体Rの中心とを結ぶ線Mは、凹部86aからハンドル90の棒状部分92に向かって延びている。このような形状の凹部86aにより、ハンドル90を握った手の親指を凹部86aに入れやすくなり、よって操作部80の操作性を向上させることができる。また、凹部86aの中心と仮想球体Rの中心とを結ぶ線Mが、凹部86aからハンドル90の棒状部分92に向かって延びている場合には、ハンドル90を左手で把持する作業者のこの左手の指に凹部86aがより近くなり、ハンドル90を把持したままの左手の、より自然な指の動きで操作力を操作部分86に伝えることができるようになる。
【0046】
また、
図4および
図7に示すように、レバー82がどの位置にあっても、操作部分86は、ハンドル90の棒状部分92における操作部80に近い側の側縁を中心とした所定の大きさ(例えば、75mm)の仮想球体を1/4に切断した領域の範囲(参照符号Pで表示)内に入るようになっている。また、
図7に示すように、操作部分86の凹部86aは、レバー82が中央位置にあるときに、ハンドル90の棒状部分92における操作部80に近い側の側縁を中心とした別の所定の大きさ(例えば、50mm)の仮想球体を1/4に切断した領域の範囲(参照符号Qで表示)内に入るようになっている。この場合にも、ハンドル90を握った手の親指を凹部86aに入れやすくなり、よって操作部80の操作性を向上させることができる。
【0047】
また、作業者の手が大きい場合は、
図10に示すようにハンドル90を握った手の親指を操作部分86の外側部分に引っ掛けてレバー82を操作することができる。また、作業者の手がもっと大きい場合に、ハンドル90を握った手の指ではなく手のひら等によりレバー82の中央部分を操作してもよい。このようにして、ハンドル90を手で握った作業者は、このハンドル90から手を離すことなく、ハンドル90を握った手やその指によりレバー82を中立位置、前進位置および後退位置の間で回転させることができるようになる。
【0048】
なお、操作部80の操作部分は、
図1乃至
図7に示すような構成のものに限定されることはない。操作部80の操作部分として、略球体から一部分を削った構成となっているが、凹部が形成されていないものが用いられてもよい。このような操作部80の操作部分の構成について
図11および
図12を用いて説明する。
【0049】
図11および
図12に示すように、他の例に係る操作部分86pは、略球体から一部分86bを削った構成となっている。なお、操作部分86pには凹部が形成されておらず、略球体から一部分86bを削った箇所は円形の平面86qとなっている。また、平面86qの中心を通り、この平面86qに直交する線(
図12において参照符号M´で表示)は、油圧作動装置10の長手方向(すなわち、
図12における左右方向)に対して傾斜している。また、平面86qの中心を通り、この平面86qに直交する線M´は、平面86qからハンドル90の棒状部分92に向かって延びている。このような形状の操作部分86pでも、ハンドル90を握った手の親指を操作部分86pの平面86qに接触させることにより、操作部80の操作性を向上させることができる。また、平面86qに直交する線M´が、平面86qからハンドル90の棒状部分92に向かって延びている場合には、ハンドル90を左手で把持する作業者のこの左手の指に平面86qがより近くなり、ハンドル90を把持したままの左手の、より自然な指の動きで操作力を操作部分86qに伝えることができるようになる。
【0050】
また、
図12に示すように、レバー82がどの位置にあっても、操作部分86は、ハンドル90の棒状部分92における操作部80に近い側の側縁を中心とした所定の大きさ(例えば、75mm)の仮想球体を1/4に切断した領域の範囲(参照符号Pで表示)内に入るようになっている。このことにより、ハンドル90を握った手の親指を操作部分86pの平面86qに接触させやすくなり、よって操作部80の操作性を向上させることができる。
【0051】
また、
図8および
図9に示すように、切換部88が挿入される穴40が油圧作動装置10に設けられており、この穴40には上述した油路30、32、50、52がそれぞれ連通している。ここで、穴40の周壁にも、当該穴40の周方向に沿って延びる溝が複数形成されており、後述する操作部80が中立位置に位置しているときには、いくつかの溝が切換部88の各外壁部分により塞がれるようになっている。一方、後述する操作部80が前進位置や後進位置に位置しているときには、全ての溝が切換部88の各外壁部分により塞がれずに開かれるようになる。また、本実施の形態では、操作部80の位置によって
図8および
図9の上下方向における切換部88の位置が変わるようになっている。このため、第1の油路30および第2の油路32の各々に連通される油路が、第3の油路50および第4の油路52の中から切り換えられるようになっている。
【0052】
次に、このような構成からなる油圧作動装置10の動作について以下に説明する。
【0053】
まず、先端工具70により対象物の隙間をこじ開ける際の動作について
図8を用いて説明する。レスキュー現場において油圧作動装置10の本体に駆動ユニット11を取り付けた後、
図2に示すように、作業者は一方の手(例えば、右手)で駆動ユニット11の把持部12を把持するとともに他方の手(例えば、左手)で油圧作動装置10のハンドル90を握る。そして、先端工具70により対象物の隙間をこじ開ける場合には、作業者はハンドル90を把持している左手や左手の指で操作部80を回して当該操作部80を中立位置から前進位置に移動させる。具体的には、油圧作動装置10の待機時には操作部80は中立位置に位置しているが、このような状態から作業者が左手の手のひらまたは指によりレバー82を軸部82aの軸心を中心として時計回りの方向に回転させると当該レバー82は前進位置に位置するようになる。また、レバー82を前進位置に回転させるとレバー取付部84も一体的に回転し、リード溝の内部でボルトの先端部分が相対的に移動することにより切換部88が軸方向に沿って
図8における上方向に移動する。このように、切換部88が軸方向に沿って
図8における上方向に移動すると、この切換部88の外周面に設けられた各溝の位置が変わるとともに、切換部88によって塞がれていた穴40の溝が開かれることにより、送り管としての第1の油路30および第3の油路50が連通する(
図8参照)。このことにより、油圧ポンプ20が作動されてこの油圧ポンプ20の油室28から第1の油路30に圧油が送られると、圧油は第3の油路50から先端工具70の油室77に送られる。このようにして第3の油路50から圧油が油室77に送られると、ピストン部材76が
図8における左側に移動し、接続部材78が
図8における左方向に進出することにより、各こじ開け部材72、74が軸72a、74aを中心として開く。このように、先端工具70によりこじ開けられるべき対象物の隙間に挟まれたこじ開け部材72、74の先端部分が開くことにより、対象物の隙間を広げることができるようになる。
【0054】
また、切換部88が軸方向に沿って
図8における上方向に移動すると、この切換部88の外周面に設けられた各溝の位置が変わるとともに、切換部88によって塞がれていた穴40の溝が開かれることにより、戻し管としての第2の油路32および第4の油路52が連通する(
図8参照)。このことにより、先端工具70におけるピストン部材76の外側に設けられた油室79から第4の油路52に送られた戻り油は、第2の油路32から油圧ポンプ20の油室28に戻されるようになる。
【0055】
次に、先端工具70におけるピストン部材76を停止させる際の動作について説明する。先端工具70におけるピストン部材76を停止させる場合には、作業者はハンドル90を把持している左手の手のひらや指で操作部80を回して当該操作部80を中立位置に移動させる。具体的には、レバー82を
図6において参照符号Aで示すような位置に回転させる。ここで、レバー82を中立位置に回転させるとレバー取付部84も一体的に回転し、切換部88も中央位置に位置するようになる。この際に、穴40の周壁の周方向に沿って延びる複数の溝のうちいくつかの溝が切換部88の各外壁部分により塞がれる。ここで、切換部88の各外壁部分により塞がれる溝は、第3の油路50および第4の油路52にそれぞれ連通している。このため、第3の油路50および第4の油路52に連通している溝が切換部88の各外壁部分により塞がれることにより、第3の油路50および第4の油路52はそれぞれ第1の油路30や第2の油路32に連通しなくなる。また、図示しないバルブにより第1の油路30から油圧ポンプ20の油室28に圧油が戻されるようになる。このことにより、第3の油路50および第4の油路52から先端工具70の油室77、79に圧油が送られなくなるため、ピストン部材76を移動させることができなくなる。
【0056】
次に、先端工具70におけるピストン部材76を縮退させて各こじ開け部材72、74を閉じた位置に戻す際の動作について
図9を用いて説明する。先端工具70を初期状態に戻す場合には、作業者はハンドル90を把持している左手の手のひらや指で操作部80を回して当該操作部80を中立位置から後進位置に移動させる。具体的には、作業者がレバー82を軸部82aの軸心を中心として反時計回りの方向に回転させると当該レバー82は後退位置に位置するようになる。また、レバー82を後退位置に回転させるとレバー取付部84も一体的に回転し、リード溝の内部でボルトの先端部分が相対的に移動することにより切換部88が軸方向に沿って
図9における下方向に移動する。このように、切換部88が軸方向に沿って
図9における下方向に移動すると、この切換部88の外周面に設けられた各溝の位置が変わるとともに、切換部88によって塞がれていた穴の溝が開かれることにより、送り管としての第1の油路30および第4の油路52が連通する(
図9参照)。このことにより、油圧ポンプ20が作動されてこの油圧ポンプ20の油室28から第1の油路30に圧油が送られると、圧油は第4の油路52から先端工具70の油室79に送られる。このようにして第4の油路52から圧油が油室79に送られると、ピストン部材76が
図9における右側に移動し、接続部材78が
図9における右方向に移動することにより、各こじ開け部材72、74は軸72a、74aを中心として互いに接近する方向に回転させられる。このようにして、先端工具70を初期状態に戻すことができるようになる。
【0057】
また、切換部88が軸方向に沿って
図9における下方向に移動すると、この切換部88の外周面に設けられた各溝の位置が変わるとともに、切換部88によって塞がれていた穴40の溝が開かれることにより、戻し管としての第2の油路32および第3の油路50が連通する(
図9参照)。このことにより、先端工具70における油室77から第3の油路50に送られた戻り油は、第2の油路32から油圧ポンプ20の油室28に戻されるようになる。
【0058】
以上のような構成からなる本実施の形態の油圧作動装置10によれば、作業者の片方の手(例えば、左手)により把持されるハンドル90と、油路30、32、50、52に設けられ、圧油および戻り油の経路を切り換える切換部88と、切換部88を操作するための操作部80とがそれぞれ設けられており、操作部80は、ハンドル90を把持する作業者の手やその指により操作可能な位置に配置されている。具体的には、油圧作動装置10の長手方向におけるハンドル90と操作部80との間の距離は0mm乃至50mmの範囲内の大きさである。また、ハンドル90は、油圧作動装置10の長手方向と直交する方向に延びる棒状部分92を有しており、作業者はハンドル90の棒状部分92を握った手またはその指により操作部80を操作可能となっている。また、油圧作動装置10の本体からハンドル90の棒状部分92までの距離は、油圧作動装置10の本体から操作部80までの距離よりも大きくなっている。これらの技術的事項により、作業者が片方の手で電動モータ近くの把持部12を把持し、もう片方の手でハンドル90を握ることにより先端工具70で作業を行う際に、ハンドル90から手を離さなくてもこのハンドル90を把持する作業者の手やその指により操作部80を操作することができるため、作業性を向上させることができる。
【0059】
上述した本実施の形態の油圧作動装置10の作用効果をより明確にするため、従来技術の油圧作動装置10aについて以下に述べる。
図13は、従来技術の油圧作動装置10aの構成を示す斜視図であり、
図14は、
図13に示す油圧作動装置10aの上面図であり、
図15は、
図14および
図14に示す従来技術の油圧作動装置10aにおいて、作業者が左手でハンドル90を握りながら右手で作動ツマミ100を操作するときの状態を示す図である。なお、従来技術の油圧作動装置10aを説明するにあたり、本実施の形態の油圧作動装置10と同じ構成要素については同じ参照符号を付してその説明を省略する。
【0060】
従来技術の油圧作動装置10aでは、切換部88を操作するための操作部としてレバーの代わりに略円盤形状の作動ツマミ100が用いられていた。そして、作動ツマミ100が作業者によって回されたときに、当該作動ツマミ100を回す方向(すなわち、
図14の紙面に沿った方向)に対して直交する方向に切換部88が進退するようになっていた。より詳細には、作動ツマミ100には、作業者の指により掴まれる突出部分100aが形成されており、作業者はこの突出部分100aを指で掴むことにより作動ツマミ100を回すことができるようになっている。なお、作動ツマミ100が後述する中立位置に位置するときには突出部分100aは
図14に示すように真上を向くようになり、このような位置から突出部分100aを
図14における左右いずれかの方向に作業者が傾くように作動ツマミ100を回転させると当該作動ツマミ100は前進位置または後進位置に位置するようになる。また、作動ツマミ100の回転可能な角度は例えば60°の範囲内に制限されている。
【0061】
図13および
図14に示すような従来技術の油圧作動装置10aでは、作動ツマミ100がハンドル90から離れている。このため、
図15に示すように、作業者が片方の手(例えば、右手)で駆動ユニット11の把持部12を把持するとともに他方の手(例えば、左手)でハンドル90を握っている場合に、この作業者が作動ツマミ100を操作するときには、右手を一旦把持部12から離してこの右手で作動ツマミ100を操作しなければならない。このため、作業性が悪くなるという問題があった。これに対し、本実施の形態の油圧作動装置10では、切換部88を操作するための操作部80が、ハンドル90を把持する作業者の手やその指により操作可能な位置に配置されているため、作業者が片方の手(例えば、右手)で電動モータ近くの把持部12を把持し、もう片方の手(例えば、左手)でハンドル90を握ることにより先端工具70で作業を行う際に、ハンドル90や把持部12から手を離さなくてもこのハンドル90を把持する作業者の手やその指により操作部80を操作することができるため、作業性を向上させることができる。
【0062】
また、本実施の形態の油圧作動装置10においては、上述したように、操作部80は、軸部82aと、軸部82aに取り付けられ、軸部82aの軸心を中心として回転するレバー82と、レバー82に設けられ、ハンドル90を手で把持する作業者の指により操作される操作部分86とを有している。そして、操作部80の軸部82aが回転することにより切換部88において油路30、32、50、52における経路が切り換えられるようになっている。
【0063】
また、上述したように、レバー82は、中立位置と、前進位置と、後退位置との間で移動可能となっており、レバー82が中立位置に位置しているときには、切換部88において油路30、32、50、52における経路が塞がれることにより先端工具70が作動せず、レバー82が前進位置に位置しているときには、先端工具70が第1の方向(具体的には、こじ開け部材72、74が開く方向)に移動するよう切換部88において油路30、32、50、52における経路が切り換えられ、レバー82が後退位置に位置しているときには、先端工具70が第2の方向(具体的には、こじ開け部材72、74が閉じる方向)に移動するよう切換部88において油路30、32、50、52における経路が切り換えられる。
【0064】
また、上述したように、操作部80のレバー82に設けられた操作部分86は、略球体から一部分86bを削った構成となっている。このため、レバー82がどの位置にあっても、ハンドル90を把持した作業者の手やその指によりこのレバー82を容易に操作することができ、また、ハンドル90から操作部分86までの距離を近くすることができる。作業者の手が小さい場合に、レバー82がどの位置にあっても、
図1に示すようにハンドル90を握った手の親指を凹部86aに入れることができる。このため、レバー82を容易に操作することができる。また、作業者の手が大きい場合は、
図10に示すようにハンドル90を握った手の親指を操作部分86の外側部分に引っ掛けてレバー82を操作することができる。また、作業者の手がもっと大きい場合に、ハンドル90を握った手の指ではなく手のひら等によりレバー82の中央部分を操作してもよい。なお、操作部分86ができる限りハンドル90に近いほうが操作性が向上するが、近すぎるとハンドル90を握る手と操作部分86とが干渉してしまうおそれがある。これに対し、操作部分86を、略球体から一部分86bを削った構成とすることにより、ハンドル90を握る手と操作部分86とが干渉してしまうことを抑制することができるため、操作部分86をハンドル90にできるだけ近づけることができ、よって操作性が向上する。また、操作部分86に凹部86aが設けられているため、この凹部86aに親指等を差し込んで引っ掛けることができるようになるため、手の小さい人や指が短い人でもレバー82を容易に回転させることができるようになる。
【0065】
また、レバー82が中立位置に位置しているとき、レバー82は軸部82aからハンドル90に向かって延びるようになっている。また、レバー82における前進位置および後退位置は中立位置を挟んで反対側に位置している。
【0066】
なお、本実施の形態による油圧作動装置は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0067】
例えば、上述した油圧作動装置10では、切換部88は、油路における圧油および戻り油の両方の経路を切り換えるようになっているが、本実施の形態はこのような態様に限定されることはない。他の態様として、切換部88は、油路における圧油および戻り油のうちいずれか一方の経路のみを切り換えるようになっていてもよい。
【0068】
また、上述した油圧作動装置10では、切換部88が軸方向に沿って
図8および
図9における上下方向に移動すると、この切換部88の外周面に設けられた各溝の位置が変わるとともに、切換部88によって塞がれていた穴40の溝が開かれたり、穴40の溝が切換部88によって塞がれたりすることにより、油路における圧油および戻り油の経路が切り換えられるようになっているが、本実施の形態はこのような態様に限定されることはない。他の態様として、切換部88の外周面に各溝が設けられておらず、切換部88が軸方向に沿って
図8および
図9における上下方向に移動すると、切換部88によって塞がれていた穴40の溝が開かれたり、穴40の溝が切換部88によって塞がれたりすることにより、油路における圧油および戻り油の経路が切り換えられるようになっていてもよい。また、更に他の態様として、穴40の周壁に溝が設けられておらず、切換部88が軸方向に沿って
図8および
図9における上下方向に移動すると、この切換部88の外周面に設けられた各溝の位置が変わることにより、油路における圧油および戻り油の経路が切り換えられるようになっていてもよい。
【0069】
また、本実施の形態の油圧作動装置10では、油圧ポンプ20を駆動させる駆動部としてモータ16が設けられているが、操作部80は、切換部88を操作するとともに、モータ16のオンオフを切り換えるようになっていてもよい。具体的には、操作部80のレバー82が中立位置に位置しているときにはモータ16が駆動されず、操作部80のレバー82が前進位置または後退位置に位置しているときにはモータ16が駆動されるようになっていてもよい。更に別の例として、操作部80は、切換部88を操作しないでモータ16のオンオフのみを切り換えるようになっていてもよい。
【0070】
また、
図1乃至
図10に示す油圧作動装置10では、レバー82は軸部82aの軸心を中心として回転可能となっているが、このような態様に限定されることはない。変形例に係る油圧作動装置について
図16を用いて説明する。
図16に示す例では、操作部80のレバー82は、本体に向かう方向(すなわち、
図16における下向き)および本体から離れる方向(すなわち、
図16における上向き)にそれぞれ移動可能となっている。そして、操作部80のレバー82を本体に向かう方向または本体から離れる方向に移動させたときに、切換部88において油路30、32、50、52における経路が切り換えられるようになっている。
【0071】
また、操作部のレバーとして、凹部が設けられておらず単なる球形状の操作部分が先端に設けられたものが用いられてもよい。また、操作部のレバーとして単なる棒状のものが用いられてもよい。このように操作部の構成や形状は任意のものとすることができる。
【0072】
また、
図1乃至
図10に示す油圧作動装置10では、先端工具として、対象物の隙間を広げるような一対のこじ開け部材72、74を有する先端工具70が用いられているが、先端工具として他の種類のものが油圧作動装置の本体部分に取り付けられるようになっていてもよい。
【0073】
また、操作部として、
図17乃至
図19に示すようなものが用いられてもよい。
図17は、別の変形例に係る操作部110の構成を示す上面図であり、
図18は、
図17に示す操作部110の側面図であり、
図19は、
図17および
図18に示す操作部110の斜視図である。なお、
図17乃至
図19に示す操作部110を説明するにあたり、
図1乃至
図10に示す油圧作動装置10と同じ構成要素については同じ参照符号を付けてその説明を省略する。
【0074】
図17乃至
図19に示すように、操作部110は、作業者により操作されるレバー112と、レバー112が取り付けられる略円筒形状のレバー取付部(図示せず)とを有している。より詳細には、レバー112には軸部112aが設けられており、この軸部112aがレバー取付部に接続されている。そして、レバー112は軸部112aを中心としてレバー取付部と一体的に回転可能となっている。また、レバー112およびレバー取付部の回転角度は所定の範囲内(例えば、60°の範囲内)に制限されるようになっている。
【0075】
また、レバー112は所定の範囲内で軸部112aの軸心を中心として回転可能となっているが、
図17に示すような操作部110の位置を中立位置とし、
図17に示す位置からレバー112が軸部112aの軸心を中心として時計回りの方向に回転してこれ以上回転させることができなくなったときの位置を前進位置とし、
図17に示す位置からレバー112が軸部112aの軸心を中心として反計回りの方向に回転してこれ以上回転させることができなくなったときの位置を後退位置とする。このように、
図17乃至
図19に示す例でも、操作部110を中立位置、前進位置および後退位置の間で移動させることができるようになっている。また、レバー112が中立位置に位置しているとき、このレバー112は軸部112aからハンドル90に向かって延びており、レバー112における前進位置および後退位置は中立位置を挟んで反対側に位置している。なお、レバー112の他の構成例として、
図17に示すような操作部110の位置を中立位置とし、
図17に示す位置からレバー112が軸部112aの軸心を中心として時計回りの方向に回転してこれ以上回転させることができなくなったときの位置を後退位置とし、
図17に示す位置からレバー112が軸部112aの軸心を中心として反計回りの方向に回転してこれ以上回転させることができなくなったときの位置を前進位置としてもよい。更に他の構成例として、レバー112が前進位置と後退位置との間でのみ移動可能となっており、中立位置が存在しないような油圧作動装置が用いられてもよい。
【0076】
また、操作部110のレバー112には、ハンドル90を把持する作業者の手やその指により操作される操作部分116が設けられている。また、操作部分116は湾曲した凹部116aを有しており、ハンドル90を手で握った作業者の例えば親指がこの凹部116aに入るようになっている。このことにより、ハンドル90を手で握った作業者は、このハンドル90から手を離すことなく、凹部116aに親指を入れることによりレバー112を中立位置、前進位置および後退位置の間で回転させることができるようになる。また、
図18に示すように、凹部116aは、参照符号Sで示すような仮想球体の球面の一部となるような湾曲形状となっている。また、凹部116aが仮想球体Sの球面の一部となっている場合には、凹部116aの中心とこの仮想球体Sの中心とを結ぶ線(
図18において参照符号Nで表示)は、油圧作動装置の長手方向(すなわち、
図18における左右方向)に対して傾斜している。また、凹部116aの中心と仮想球体Sの中心とを結ぶ線Nは、凹部116aからハンドル90の棒状部分92に向かって延びている。このような形状の凹部116aにより、ハンドル90を握った手の親指を凹部116aに入れやすくなり、操作部110の操作性を向上させることができる。
【0077】
また、
図1乃至
図10に示す操作部80と同様に、
図17乃至
図19に示す操作部110では、レバー112がどの位置にあっても、操作部分116は、ハンドル90の棒状部分92における操作部110に近い側の側縁を中心とした所定の大きさ(例えば、75mm)の仮想球体を1/4に切断した領域の範囲内に入るようになっている。また、操作部分116の凹部116aは、レバー112が中央位置にあるときに、ハンドル90の棒状部分92における操作部110に近い側の側縁を中心とした別の所定の大きさ(例えば、50mm)の仮想球体を1/4に切断した領域の範囲内に入るようになっている。この場合にも、ハンドル90を握った手の親指を凹部116aに入れやすくなり、よって操作部110の操作性を向上させることができる。
【0078】
図17乃至
図19に示すような操作部110を用いた場合でも、
図1乃至
図10に示す操作部80を用いた場合と同様に、作業者が片方の手で電動モータ近くの把持部12を把持し、もう片方の手でハンドル90を握ることにより先端工具70で作業を行う際に、ハンドル90から手を離さなくてもこのハンドル90を手で把持する作業者の指により操作部110を操作することができるため、作業性を向上させることができる。
【0079】
また、操作部として、
図20乃至
図22に示すようなものが用いられてもよい。
図20は、更に別の変形例に係る操作部120の構成を示す上面図であり、
図21は、
図20に示す操作部120の側面図であり、
図22は、
図20および
図21に示す操作部120の斜視図である。なお、
図20乃至
図22に示す操作部120を説明するにあたり、
図1乃至
図10に示す油圧作動装置10と同じ構成要素については同じ参照符号を付けてその説明を省略する。
【0080】
図20乃至
図22に示すように、操作部120は、作業者により操作されるレバー122と、レバー122が取り付けられる略円筒形状のレバー取付部(図示せず)とを有している。より詳細には、レバー122には軸部122aが設けられており、この軸部122aがレバー取付部に接続されている。そして、レバー122は軸部122aを中心としてレバー取付部と一体的に回転可能となっている。また、レバー122およびレバー取付部の回転角度は所定の範囲内(例えば、60°の範囲内)に制限されるようになっている。
【0081】
また、レバー122は所定の範囲内で軸部122aの軸心を中心として回転可能となっているが、
図20に示すような操作部120の位置を中立位置とし、
図20に示す位置からレバー122が軸部122aの軸心を中心として時計回りの方向に回転してこれ以上回転させることができなくなったときの位置を前進位置とし、
図20に示す位置からレバー122が軸部122aの軸心を中心として反計回りの方向に回転してこれ以上回転させることができなくなったときの位置を後退位置とする。このように、
図20乃至
図22に示す例でも、操作部120を中立位置、前進位置および後退位置の間で移動させることができるようになっている。また、レバー122が中立位置に位置しているとき、このレバー122は軸部122aからハンドル90に向かって延びており、レバー122における前進位置および後退位置は中立位置を挟んで反対側に位置している。なお、レバー122の他の構成例として、
図20に示すような操作部120の位置を中立位置とし、
図20に示す位置からレバー122が軸部122aの軸心を中心として時計回りの方向に回転してこれ以上回転させることができなくなったときの位置を後退位置とし、
図20に示す位置からレバー122が軸部122aの軸心を中心として反計回りの方向に回転してこれ以上回転させることができなくなったときの位置を前進位置としてもよい。更に他の構成例として、レバー122が前進位置と後退位置との間でのみ移動可能となっており、中立位置が存在しないような油圧作動装置が用いられてもよい。
【0082】
また、操作部120のレバー122には、ハンドル90を把持する作業者の手やその指により操作される操作部分126が設けられている。また、操作部分126は湾曲した凹部126aを有しており、ハンドル90を手で握った作業者の例えば親指がこの凹部126aに入るようになっている。このことにより、ハンドル90を手で握った作業者は、このハンドル90から手を離すことなく、凹部126aに親指を入れることによりレバー122を中立位置、前進位置および後退位置の間で回転させることができるようになる。
【0083】
図20乃至
図22に示すような操作部120を用いた場合でも、
図1乃至
図10に示す操作部80を用いた場合と同様に、作業者が片方の手で電動モータ近くの把持部12を把持し、もう片方の手でハンドル90を握ることにより先端工具70で作業を行う際に、ハンドル90から手を離さなくてもこのハンドル90を把持する作業者の手やその指により操作部120を操作することができるため、作業性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0084】
10、10a 油圧作動装置
11 駆動ユニット
12 把持部
14 スイッチ
16 モータ
17 バッテリー
18 回転軸
19 差込部
20 油圧ポンプ
22 回転部材
24 偏心部材
26 ピストン
28 油室
30 第1の油路
32 第2の油路
40 穴
50 第3の油路
52 第4の油路
70 先端工具
71 シリンダ
72、74 こじ開け部材
72a、74a 軸
76 ピストン部材
77 油室
78 接続部材
79 油室
80 操作部
82 レバー
82a 軸部
84 レバー取付部
86 操作部分
86a 凹部
86b 一部分
86p 操作部分
86q 平面
88 切換部
90 ハンドル
92 棒状部分
100 作動ツマミ
100a 突出部分
110 操作部
112 レバー
112a 軸部
116 操作部分
116a 凹部
120 操作部
122 レバー
122a 軸部
126 操作部分
126a 凹部