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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】ソーラパネル付き時計
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/06 20060101AFI20230301BHJP
   G04B 19/10 20060101ALI20230301BHJP
   G04C 10/02 20060101ALI20230301BHJP
   G04C 10/00 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
G04B19/06 C
G04B19/10 Z
G04C10/02 A
G04C10/00 C
G04C10/00 D
G04B19/06 R
G04B19/06 M
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019157780
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021036211
(43)【公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畠山 真一
(72)【発明者】
【氏名】井塚 崇吏
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-134419(JP,A)
【文献】特開2005-189020(JP,A)
【文献】特開2015-175602(JP,A)
【文献】特開2018-004353(JP,A)
【文献】国際公開第99/018479(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/06
G04B 19/10
G04C 10/02
G04C 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基板を有する文字板と、
前記文字板の下方に設けられるソーラパネルと、
を有し、
前記光透過性基板は、当該光透過性基板の縁に沿うように設けられる遮光部を備え、
前記遮光部は、濃色部と、該濃色部よりも濃度が薄く、該濃色部よりも内側に設けられる淡色部と、を含み、
前記遮光部に沿うように設けられると共に、平面視において少なくとも一部が前記濃色部と重なっている、付加機能に関する機能表示を有する、
ソーラパネル付き時計。
【請求項2】
前記機能表示は、レベルに応じた太さを有する形状である、
請求項1に記載のソーラパネル付き時計。
【請求項3】
前記機能表示は、一端から他端に向かうに従い太くなる形状である、
請求項2に記載のソーラパネル付き時計。
【請求項4】
前記機能表示は、一端から他端に向かうに従い色が濃くなっている、
請求項1~3のいずれか1項に記載のソーラパネル付き時計。
【請求項5】
前記一端は12時側であり、前記他端は6時側である、
請求項3又は4に記載のソーラパネル付き時計。
【請求項6】
前記機能表示は、平面視において少なくとも一部が秒針の先端の軌跡と重なっている、
請求項1~5のいずれか1項に記載のソーラパネル付き時計。
【請求項7】
前記機能表示は、前記光透過性基板の視認面側に設けられている、
請求項1~6のいずれか1項に記載のソーラパネル付き時計。
【請求項8】
前記淡色部は、前記文字板の内側に向かうにつれて、濃度が薄くなっている、
請求項1~7のいずれか1項に記載のソーラパネル付き時計。
【請求項9】
前記機能表示は、前記ソーラパネルにおける発電量のレベルを表示する、
請求項1~8のいずれか1項に記載のソーラパネル付き時計。
【請求項10】
前記文字板は、補助指針が配置される小窓を有し、
前記小窓は、平面視において少なくとも一部が前記淡色部と重なると共に、前記補助指針の軸が前記淡色部よりも前記文字板の内側に配置されるように設けられている、
請求項1~9のいずれか1項に記載のソーラパネル付き時計。
【請求項11】
前記小窓は、入射された外光を該小窓の中心側に屈折させる傾斜面を少なくとも含む光屈折構造を有する、
請求項10のソーラパネル付き時計。
【請求項12】
前記光屈折構造は、凸状のレンズである、
請求項11に記載のソーラパネル付き時計。
【請求項13】
前記機能表示は、少なくとも一部が前記小窓よりも前記文字板の外側において前記遮光部に沿うように設けられている、
請求項10~12のいずれか1項に記載のソーラパネル付き時計。
【請求項14】
前記小窓は環状の窓枠を有し、
前記窓枠は、平面視において少なくとも一部が前記遮光部と重なっている、
請求項10~13のいずれか1項に記載のソーラパネル付き時計。
【請求項15】
前記遮光部は、前記文字板の裏面側に設けられている、
請求項1~14いずれか1項に記載のソーラパネル付き時計。
【請求項16】
前記遮光部は、前記光透過性基板を支持する支持部材と該支持部材に隣接する他の部材との境界と重なっている、
請求項1~15のいずれか1項に記載のソーラパネル付き時計。
【請求項17】
前記文字板は、前記光透過性基板の裏面に設けられると共に、該光透過性基板を支持する支持部材に対する位置決めをする位置決め部を有し、
前記遮光部は、平面視において前記位置決め部と重なっている、
請求項1~15のいずれか1項に記載のソーラパネル付き時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラパネル付き時計に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光透過性を有する文字板と、文字板の下方に配置されるソーラパネルとを有する時計が開示されている。特許文献1の時計においては、光透過性の文字板の色濃度に諧調を設け、光透過率の向上を図っている。また、特許文献1の時計の文字板には、補助指針が配置される小窓が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-134419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の時計においては、光透過性の文字板の内側領域が外縁領域よりも光透過率が高くなるように色濃度を変化させている。また、特許文献1の時計においては、補助指針が配置される小窓が設けられており、小窓を仕切る環状部材が配置される領域においては、光透過性が低下することとなる。そのため、補助指針が示す情報の視認性を高めるために環状部材を大きくすると、光透過性が低下してしまう。
【0005】
本発明の目的は、発電量を維持しつつ、視認性を向上するソーラパネル付き時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく本出願において開示される発明は種々の側面を有しており、それら側面の代表的なものの概要は以下の通りである。
【0007】
(1)光透過性基板を有する文字板と、前記文字板の下方に設けられるソーラパネルと、を有し、前記光透過性基板は、当該光透過性基板の縁に沿うように設けられる遮光部を備え、前記遮光部は、濃色部と、該濃色部よりも濃度が薄く、該濃色部よりも内側に設けられる淡色部と、を含み、前記遮光部に沿うように設けられると共に、平面視において少なくとも一部が前記濃色部と重なっている、付加機能に関する機能表示を有する、ソーラパネル付き時計。
【0008】
(2)(1)において、前記機能表示は、レベルに応じた太さを有する形状である、ソーラパネル付き時計。
【0009】
(3)(2)において、前記機能表示は、一端から他端に向かうに従い太くなる形状である、ソーラパネル付き時計。
【0010】
(4)(1)~(3)のいずれかにおいて、前記機能表示は、一端から他端に向かうに従い色が濃くなっている、ソーラパネル付き時計。
【0011】
(5)(3)又は(4)において、前記一端は12時側であり、前記他端は6時側である、ソーラパネル付き時計。
【0012】
(6)(1)~(5)のいずれかにおいて、前記機能表示は、平面視において少なくとも一部が秒針の先端の軌跡と重なっている、ソーラパネル付き時計。
【0013】
(7)(1)~(6)のいずれかにおいて、前記機能表示は、前記光透過性基板の視認面側に設けられている、ソーラパネル付き時計。
【0014】
(8)(1)~(7)のいずれかにおいて、前記淡色部は、前記文字板の内側に向かうにつれて、濃度が薄くなっている、ソーラパネル付き時計。
【0015】
(9)(1)~(8)のいずれかにおいて、前記機能表示は、前記ソーラパネルにおける発電量のレベルを表示する、ソーラパネル付き時計。
【0016】
(10)(1~(9)のいずれかにおいて、前記文字板は、補助指針が配置される小窓を有し、前記小窓は、平面視において少なくとも一部が前記淡色部と重なると共に、前記補助指針の軸が前記淡色部よりも前記文字板の内側に配置されるように設けられている、ソーラパネル付き時計。
【0017】
(11)(10)において、前記小窓は、入射された外光を該小窓の中心側に屈折させる傾斜面を少なくとも含む光屈折構造を有する、ソーラパネル付き時計。
【0018】
(12)(11)において、前記光屈折構造は、凸状のレンズである、ソーラパネル付き時計。
【0019】
(13)(10)~(12)のいずれかにおいて、前記機能表示は、少なくとも一部が前記小窓よりも前記文字板の外側において前記遮光部に沿うように設けられている、ソーラパネル付き時計。
【0020】
(14)(10)~(13)のいずれかにおいて、前記小窓は環状の窓枠を有し、前記窓枠は、平面視において少なくとも一部が前記遮光部と重なっている、ソーラパネル付き時計。
【0021】
(15)(1)~(14)のいずれかにおいて、前記遮光部は、前記文字板の裏面側に設けられている、ソーラパネル付き時計。
【0022】
(16)(1)~(15)のいずれかにおいて、前記遮光部は、前記光透過性基板を支持する支持部材と該支持部材に隣接する他の部材との境界と重なっている、ソーラパネル付き時計。
【0023】
(17)(1)~(15)のいずれかにおいて、前記文字板は、前記光透過性基板の裏面に設けられると共に、該光透過性基板を支持する支持部材に対する位置決めをする位置決め部を有し、前記遮光部は、平面視において前記位置決め部と重なっている、ソーラパネル付き時計。
【発明の効果】
【0024】
上記本発明の(1)~(17)の側面によれば、発電量を維持しつつ、視認性を向上するソーラパネル付き時計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態に係る時計を示す平面図である。
図2図1のA-A切断線における断面図である。
図3】本実施形態の文字板を裏面側から見た平面図である。
図4】本実施形態の文字板のうち小窓が設けられる領域付近の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態(以下、本実施形態という)について図面に基づき詳細に説明する。
【0027】
図1は、本実施形態に係る時計を示す平面図である。図2は、図1のA-A切断線における断面図である。なお、図2においては、時字80や、外装ケース10等の図示は省略した。また、図2においては、小窓70に設けられる補助指針712や機能表示713の図示は省略した。また、本来秒針23は図2の断面図中には表れないが、破線で示すこととした。また、図面が煩雑になることを避けるため、図2においては、各部材のハッチングを省略した。
【0028】
ソーラパネル付き時計1(以下、単に時計1という)は、外装ケース10を有する。外装ケース10は、胴と裏蓋を含む。外装ケース10のうち12時側及び6時側の側面にはバンドを固定するためのバンド固定部11が延びている。また、外装ケース10の3時側の側面にはユーザが種々の操作を行うためのボタン12、竜頭13が配置されている。なお、図1において、上側が12時側であり、下側が6時側であり、右側が3時側であり、左側が9時側である。
【0029】
また、時計1は、文字板30と、時刻を示す指針である時針21、分針22、秒針23を有する。文字板30上には、所定の位置に時字80が配置されている。時針21、分針22、秒針23が時字80を指し示すことにより、ユーザは時刻を認識することができる。なお、図示は省略するが、時計1は、文字板30を覆うように胴に取り付けられる、光透過性の風防を有している。
【0030】
文字板30には、印刷等により各種機能表示としての文字、記号、図形等が設けられている。文字板30は後述のように光透過性を有するものであるが、印刷が施された領域においては外光の一部又は全部が遮光されることとなる。
【0031】
また、文字板30には、小窓70が設けられている。図1においては、小窓70が3つ設けられる例について示すが、小窓70の数はこれに限られるものではない。小窓70は、環状の窓枠71と、窓枠71の内側に配置される軸711及び軸711に取り付けられる補助指針712と、目盛やゲージ等である機能表示713と、上方(図1の紙面手前方向)に突出する凸状のレンズ72と、を含む。補助指針712が機能表示713を指し示すことにより、蓄電池の充電量や、電波の受信強度や、設定モード等の情報が表示される。なお、設定モードは、後述の発電量レベルを表示するモード等であり、ユーザがボタン12や竜頭13を操作することにより、適宜切り替えられる。なお、小窓70の構成や配置の詳細について後述する。
【0032】
さらに、文字板30には、後述のソーラパネル40における発電量レベルを示す発電量レベル表示90が設けられている。発電量レベル表示90は、12時側から6時側に亘って延びている。また、発電量レベル表示90は、12時側から6時側に向かうにつれて、次第に太くなる形状である。また、発電量レベル表示90は、平面視において少なくとも一部が秒針23の先端の軌跡と重なっている。
【0033】
本実施形態の時計1においては、発電量レベルの表示を行うモードに設定された状態において、秒針23が発電量レベル表示90を指し示すことにより、現在の環境における発電量レベルが示される。時計1が受光しやすい環境にある場合、秒針23は発電量レベル表示90のうち6時側付近を指し、時計1が受光しにくい環境にある場合、秒針23は発電量レベル表示90のうち12時側付近を示す。これにより、ユーザは、時計1が受光しやすい環境にあるか否か、すなわち、後述のソーラパネル40が発電しやすい環境にあるか否かを、視覚的に認識することができる。
【0034】
なお、図1に示した時計1のデザインは一例である。ここで示したもの以外にも、例えば、胴を丸型でなく角型にしてもよいし、ボタン12や竜頭13の有無、数、配置は任意である。
【0035】
さらに、時計1は、図2に示すように、文字板30の下方に配置されるソーラパネル40を有する。ソーラパネル40は、文字板30を透過した外光が入射されることにより発電する。ソーラパネル40は、シリコン等からなる半導体層と、その半導体層の上面及び下面に配置される電極層とを含み、外光が入射されることにより半導体層で発生した電荷を、電極層で回収し、電極層から蓄電池(不図示)へ電力を供給する。
【0036】
本実施形態においては、ソーラパネル40は、平面形状が円形であり、その中心が文字板30の中心に位置するように設けられている。ただし、ソーラパネル40の形状はこれに限られるものではない。ソーラパネル40は、少なくとも、文字板30を透過した外光を受光可能な配置、形状であるとよい。例えば、文字板30の裏面側に、時刻情報を含む信号を受信するためのパッチアンテナ等のアンテナが配置されている場合、ソーラパネル40は、平面視において当該アンテナと重ならないように切り欠きを有する形状であってもよい。このように、平面視においてソーラパネル40とアンテナとが重ならないようにすることにより、ソーラパネル40に含まれる電極によるパッチアンテナの受信感度の影響を抑制することができる。
【0037】
時計1は、図2に示すように、ソーラパネル40の下方に設けられる動力機構としてのムーブメント50を有する。ムーブメント50は、指針を駆動するための輪列とモータ、時刻を計時する水晶振動子を含む時計回路、時計1全体を制御するコントローラ等を地板と呼ばれる枠に一体に組み付けたものである。
【0038】
ムーブメント50は、ムーブメント50に取り付けられた蓄電池から電力を得て動作する。蓄電池は、ムーブメント50に電力を供給すると共に、ソーラパネル40により発電された電力を蓄積するものであり、例えば、ボタン型のリチウム二次電池である。
【0039】
本実施形態においては、ソーラパネル40は、ムーブメント50に一体的に設けられている。また、ムーブメント50には、指針軸2が文字板30から突出するように設けられており、その先端に時針21、分針22、秒針23が取り付けられている。
【0040】
また、図2に示すように、ソーラパネル40及びムーブメント50は、環状の中枠15の内側に収容されている。また、中枠15は、その上面において文字板30を支持している。
【0041】
また、図示は省略するが、文字板30とソーラパネル40との間に、偏光フィルム、蒸着フィルム、銀鏡塗装フィルム等の光透過性反射フィルムが設けられていてもよい。光透過性反射フィルムは、文字板30を透過した光の一部を透過し、他の一部を反射する特性を有するとよい。光透過性反射フィルムは、無色透明であってもよいし、有色であってもよい。また、光透過性反射フィルムは、その表面に微細な凹凸を有しており、金属調の反射光を生じさせるものであるとよい。そのような光透過性反射フィルムを用いることにより、文字板30において高級感のある外観を表現することができる。
【0042】
次に、図1図4を参照して、文字板30の詳細について説明する。図3は、本実施形態の文字板を裏面側から見た平面図である。図4は、本実施形態の文字板のうち小窓が設けられる領域付近の拡大断面図である。
【0043】
文字板30は、光透過性基板31と、光透過性基板31の裏面31bに設けられる32とを有していてもよい。位置決め板32は、光透過性基板31に対して接着剤や両面テープ等を用いて貼り付けられているとよい。なお、光透過性基板31のうち視認側の面を視認面31a、その反対側の面を裏面31bと呼ぶこととする。
【0044】
位置決め板32は、その外周に位置決め部32aを有している。図3においては、位置決め部32aが4箇所に形成される例を示している。位置決め部32aを構成する凹部(切り欠き)が、中枠15に設けられる凸部15a(図2参照)と、文字板30の周方向で当接する。これにより、中枠15に対する文字板30の位置決めがなされる。なお、文字板30は、中枠15に支持されるものに限られるものではなく、外装ケース10内に収容されるケースやハウジング等の支持部材に支持されるものであればよい。
【0045】
光透過性基板31は、平面視において、位置決め部32aと重なると共に、光透過性基板31の縁に沿うように設けられる遮光部310を有する。遮光部310が設けられることにより、位置決め部32aや中枠15の凸部15aが視認面31a側から見えない。そのため、見栄えが悪くなることがない。本実施形態においては、全ての位置決め部32a及び凸部15aを隠すため、光透過性基板31の縁に沿うように、環状の遮光部310を形成した。なお、光透過性基板31は、視認面31aの全てが視認されるものに限らず、視認面31aのうち縁の一部は見返しリング等により覆われていてもよい。すなわち、遮光部310の一部は、外観に表れていなくてもよい。
【0046】
なお、遮光部310は、顔料を含むインクを塗布する印刷等を行うことにより形成されるとよい。本実施形態においては、遮光部310を形成するインクを、光透過性基板31の裏面31b側に塗布した例を示す。これにより視認面31a側から遮光部310を見た際に、遮光部310が目立たないため、見栄えが悪くなることを抑制できる。しかしながら、これに限られるものではなく、インクは視認面31aに塗布されていても構わない。
【0047】
遮光部310は、濃色部311と、濃色部311よりも濃度が薄い淡色部312とを含む。濃色部311は、光透過性基板31の縁を含む領域に設けられている。淡色部312は、濃色部311よりも内側に設けられている。また、本実施形態においては、濃色部311及び淡色部312は共に環状である。
【0048】
淡色部312は、文字板30の内側に向かうにつれて、濃度が薄くなっているとよい。濃度の濃さは、断続的に変化するものであってもよいし、連続的に変化するものであってもよい。
【0049】
本実施形態においては、ピッチを変えてインクを塗布することにより、遮光部310に濃淡を形成した。ただし、これに限られるものではなく、例えば、塗布するインクの量は変えず、濃色の顔料と淡色の顔料との割合を変えることにより、濃淡を形成してもよい。
【0050】
遮光部310が、濃色部311と淡色部312とを含むため、濃色部のみで遮光部を構成した場合と比較して、文字板30のうち遮光部と他の領域との境目が目立ちにくい。境目が目立たないことより、見栄えが悪くなることが抑制される。また、淡色部312は、濃色部311よりも外光を透過しやすいため、ソーラパネル40における発電量を向上することができる。
【0051】
ここで、機能表示の視認性を高めるため、小窓70の大きさは大きい方が好ましい。しかしながら、小窓70のうち、窓枠71、補助指針712、機能表示713は、文字板30の光透過性を低下させるものであり、小窓70を大きくするとソーラパネル40における発電量が低下してしまう。なお、小窓70のうち、窓枠71、補助指針712、機能表示713を除く背景部分は、光透過性基板31のうち光透過性を有する領域と同様の光透過性を有するとよい。
【0052】
そこで、本実施形態において、情報を表示する補助指針712と同じ役割を秒針23に持たせ、小窓70だけでなく、文字板30上に計時に用いられる情報以外の情報を表示するようにした。本実施形態では、ソーラパネル40における発電量レベルを示す、機能表示の一つである発電量レベル表示90を光透過性基板31の時字80が配置されている外周領域と重なる位置に設けた。図1に図示するように発電量レベル表示90は、12時側から幅が徐々に広くなるように6時側まで配置されている。このように、発電量レベル表示90は、文字板30の外周に沿って配置されているので、平面視において、遮光部310に重なるように設けられることになる。本実施形態においては、図1に示すように、平面視において、発電量レベル表示90のほぼ全面が遮光部310に重なる構成とした。
【0053】
また、本実施形態においては、発電量レベル表示90を光透過性基板31の視認面31a側に設けた。これにより視認面31a側から発電量レベル表示90を見た際の視認性が向上する。ただし、これに限られるものではなく、発電量レベル表示90は、光透過性基板31の裏面31b側に設けられていてもよい。この場合においても、発電量レベル表示90は、平面視において、ほぼ全面が遮光部310に重なるように設けられるとよい。
【0054】
また、発電量レベル表示90は、光透過性の高い領域に重ならない、又は一部のみに重なって配置されている。そのため、発電量レベル表示90が設けられることにより低下する光透過量が抑制される。なお、図1に示す発電量レベル表示90の配置は一例であり、発電量レベル表示90は少なくとも一部が、平面視において濃色部311と重なるように配置されているとよい。すなわち、発電量レベル表示90は、少なくとも一部が、平面視において小窓70よりも外側に配置さているとよい。また発電量レベル表示90を示す指針は秒針23に限らず、例えば分針22であってもよい。
【0055】
また、発電量レベル表示90は、遮光部310と同様に、印刷により顔料を含むインク等を塗布することで形成されているとよい。視認性を高めるため、発電量レベル表示90は、遮光部310と異なる色であるとよい。また、発電量レベル表示90は、領域毎に色の濃さが異なるとよく、一端から他端に向かうに従い色が濃くなっていてもよい。例えば、平面視において細い領域においては淡色であり、太い領域に向かうにつれて次第に色が濃くなるように設けられているとよい。
【0056】
本実施形態においては、機能表示の一つである発電量レベル表示90を、小窓70内ではなく、文字板30の縁に沿うように形成した。これにより、発電量レベル表示90の大きさを大きくでき、視認性が向上し、ユーザは時計1が受光しやすい環境にあるか否かを容易に認識することができる。また、秒針23により発電量レベル表示90を指し示す構成を採用することにより、補助指針、及び補助指針を駆動するモータ等を別途設ける必要がないため、時計1の構成を簡易にすることが可能となる。
【0057】
図1においては、発電量レベル表示90が12時側から6時側に延びる例について示したが、配置や長さはこれに限られるものではない。例えば、発電量レベル表示90は12時側から3時側まで延びるものであってもよいし、12時側から9時側まで延びるものであってもよい。また、発電量レベル表示90は、レベルに応じた太さを有するのがよく、例えば、一端から他端に向かうに従い太くなる形状であってもよい。図1においては、12時側から6時側に向かうにつれて太さが太くなる形状を例として示した。
【0058】
また、発電量レベル表示90は、図2に示すように、下地層92上に設けられているとよい。下地層92は、例えば、白色の顔料を含むインクを塗布することにより形成されるとよい。これにより、発電量レベル表示90を形成するインクを光透過性基板31に直接塗布する場合と比較して、発電量レベル表示90の印刷品質が向上し、視認性が向上する。
【0059】
また、本実施形態において、小窓70の一部を、平面視において、遮光部310のうち淡色部312に重なるように配置した。これにより、小窓70の大きさを大きくしつつ、文字板30のうち光透過性の高い領域に重なる小窓70の面積を抑制することができる。
【0060】
また、小窓70が、平面視において濃色部311と重なる場合、濃色部311が小窓70の背景の一部となることにより、小窓70の機能表示713の視認性が低下してしまう。本実施形態においては、小窓70は、文字板30のうち遮光部310以外の領域の色に比較的近い淡色部312にのみ重なるため、小窓70の機能表示713の視認性が低下することが抑制される。
【0061】
また、図1に示すように、本実施形態においては、平面視において軸711が遮光部310と重ならず、淡色部よりも文字板の内側に配置されるように、かつ、窓枠71の一部が遮光部310と重なるように、小窓70を配置した。これにより、光透過量を維持しつつ、小窓70の大きさを確保することができる。すなわち、発電量を維持しつつ、機能表示713の視認性を向上することができる。
【0062】
さらに、小窓70は、上方に突出するレンズ72を有する。レンズ72の曲面72aに入射された外光Lは、図4に示すように、レンズ72の中心側に屈折する。これにより、小窓70の中心付近において、光透過性基板31の視認面31aで反射する光の光量が大きくなる。そのため、ユーザUは、小窓70の中心付近をはっきりと視認することができる。
【0063】
ユーザUは、小窓70の中心付近をはっきりと視認できる一方で、小窓70の中心付近と比較して、小窓70内の外側の領域をぼやけて視認することとなる。本実施形態においては、図4に示すように、遮光部310とその他の領域との境界Bが、小窓の半径rの中間Mよりも外側に位置する構成とした。このような構成のため、遮光部310とその他の領域との境界Bが目立つことによる視認性の低下が抑制される。なお、図4においては、レンズ72上に機能表示713が設けられる例について示すが、機能表示713は光透過性基板31の視認面31a上に設けられていてもよい。この場合、ユーザUは、レンズ72を介して機能表示713を視認することとなり、レンズ72を介さずに機能表示713を直接視認する場合と比較して、機能表示713を拡大して視認することとなる。すなわち、機能表示713の視認性が向上する。
【0064】
なお、本実施形態においては、小窓70が上方に突出するレンズ72を有する例について示したが、これに限られるものではなく、小窓70に入射された外光Lを、小窓70の中心側に屈折させる傾斜面を有する光屈折構造を有するものであればよい。なお、ここでは、凸状のレンズ72を用いる例を示したが、レンズ72等の光屈折構造は必須ではない。
【0065】
また、本実施形態において、時字80は、少なくとも一部が、平面視において遮光部310の濃色部311と重なるように設けられている。時字80は金属等からなり、文字板30に入射された外光を反射する。本実施形態においては、時字80が、文字板30のうち光透過性の高い領域に重なる量が少ないため、ソーラパネル40における発電量が低下することが抑制される。
【0066】
また、本実施形態においては、時計1が備える付加機能に関する機能表示としての発電量レベル表示90を例に挙げて説明したが、これに限られるものではなく、いかなる情報を表示するものであってもよい。例えば、バッテリー残量レベル表示、電波受信レベル表示、目標活動量達成レベル表示、目標移動距離達成レベル表示、高度表示、水圧表示、消費カロリー表示、等であってもよい。バッテリー残量レベル表示は、バッテリーの残量を表示するものである。電波受信レベル表示は、電波時計において電波の受信の強度を表示するものである。目標活動量達成レベル表示は、ユーザの活動量を測定する機能備える時計において、目標の活動量に対する達成レベルを表示するものである。目標移動距離達成レベル表示は、GPS等を用いたユーザの移動距離を測定する機能を備える時計において、目標移動距離に対する達成レベルを表示するものである。高度表示は、高度を計測する機能を備える時計において、高度を表示するものである。水圧表示は、水圧を計測する機能を備える時計において、水圧を表示するものである。消費カロリー表示は、ユーザが消費したカロリーを測定する機能備える時計において、消費カロリーを表示するものである。
【0067】
本実施形態においては、光透過性基板31の裏面31b側に遮光部310と平面視において重なる位置決め板32を設ける例について示したが、これに限られるものではない。例えば、位置決め部である切り欠きが、光透過性基板31の裏面31b又は外周面に一体に形成されていてもよい。この場合、光透過性基板31に形成される切り欠きが、中枠15に設けられる凸部15aと周方向で当接するとよい。また、光透過性基板31の外周面に位置決め部としての切り欠きが形成される構成においては、当該切り欠きは遮光部310の外側に設けられることとなる。このような構成においては、遮光部310は、平面視において、支持部材である中枠15と中枠15に隣接する部材であるソーラパネル40との境界と重なるように配置されることとなる。そのため、中枠15とソーラパネル40との境界が視認面31a側から見えず、見栄えが悪くなることがない。
【0068】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、この実施形態に示した具体的な構成は一例として示したものであり、本発明の技術的範囲をこれに限定することは意図されていない。当業者は、これら開示された実施形態を適宜変形してもよく、本明細書にて開示される発明の技術的範囲は、そのようになされた変形をも含むものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0069】
1 ソーラパネル付き時計、2 指針軸、21 時針、22 分針、23 秒針、10 外装ケース、11 固定バンド、12 ボタン、13 竜頭、15 中枠、15a 凸部、30 文字板、31 光透過性基板、31a 視認面、31b 裏面、310 遮光部、311 濃色部、312 淡色部、32 位置決め板、40 ソーラパネル、50 ムーブメント、70 小窓、71 窓枠、711 軸、712 補助指針、713 機能表示、72 レンズ、72a 曲面、90 発電量レベル表示、92 下地層。
図1
図2
図3
図4