(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】油圧式のパワーステアリングシステムを制御する方法及び車両における油圧式のパワーステアリングシステム
(51)【国際特許分類】
B62D 6/00 20060101AFI20230301BHJP
B62D 5/065 20060101ALI20230301BHJP
B62D 101/00 20060101ALN20230301BHJP
B62D 115/00 20060101ALN20230301BHJP
B62D 117/00 20060101ALN20230301BHJP
B62D 125/00 20060101ALN20230301BHJP
B62D 127/00 20060101ALN20230301BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D5/065 B
B62D101:00
B62D115:00
B62D117:00
B62D125:00
B62D127:00
(21)【出願番号】P 2019510676
(86)(22)【出願日】2017-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2017000993
(87)【国際公開番号】W WO2018050268
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-08-11
(31)【優先権主張番号】102016011093.7
(32)【優先日】2016-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】315014327
【氏名又は名称】ヴァブコ・ヨーロッパ・ベスローテン・フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ハンスリク・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】カレンバッハ・シュテファン
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-159137(JP,A)
【文献】特開2007-253829(JP,A)
【文献】特表2008-514473(JP,A)
【文献】特開昭62-227864(JP,A)
【文献】特開平03-082675(JP,A)
【文献】特開昭59-118575(JP,A)
【文献】特開2011-000973(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0313621(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 6/00 - 6/10
B62D 5/00 - 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸(15)を有する車両(100)における油圧式のパワーステアリングシステム(200)を制御する方法であって、少なくとも以下のステップ:
-衝突アシスト状況(A)が存在するかどうかを特定するために衝突警告信号(SCW)を読み取るステップ(St1)と、
-衝突アシスト状況(A)が存在する場合に、前記パワーステアリングシステム(200)の油圧ポンプ(2)から提供されて操舵アシストに用いられる油圧液体(6)が、最小体積流量(QMin)以上の、前記油圧ポンプ(2)のポンプ回転数(nPump)に依存する実際の体積流量(QIst)を有するかどうかをチェックするステップ(St2)と、
-衝突アシスト状況(A)が存在
し、かつ、前記実際の体積流量(QIst)が前記最小体積流量(QMin)よりも小さい
ことが前記チェックによって判明した場合に、前記油圧ポンプ(2)と協働する駆動エンジン(10)のエンジン回転数(nEng)に依存するポンプ回転数(nPump)を、該エンジン回転数(nEng)を高めること、及び前記駆動エンジン(10)と前記油圧ポンプ(2)の間に配置されたポンプギヤ装置(9)のポンプギヤ比(RPump)を変更することのうち少なくともいずれかによって高めるステップ(St3)と
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記駆動エンジン(10)の前記エンジン回転数(nEng)を高めるために、まず、前記車両の車両変速ギヤ装置(13)により所定の車両ギヤ装置ギヤ段(GF)が入れられたかどうか、又はアイドリング(L)が設定されているかどうかがチェックされ(St4)、このために、どの車両ギヤ装置ギヤ段(GF)が入れられているか、又は車両変速ギヤ装置(13)がアイドリング(L)状態にあるかどうかを示すギヤ装置出力信号(SGear_out)を前記車両変速ギヤ装置(13)のギヤ装置制御装置(14)が出力することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
車両変速ギヤ装置(13)がアイドリング(L)状態にあると特定される場合には、エンジン制御信号(SEng_in)が前記駆動エンジン(10)のエンジン制御装置(11)へ出力され、前記エンジン制御信号に基づき、前記エンジン回転数(nEng)の直接的な上昇と、したがって前記実際の体積流量(QIst)の上昇とがなされる(St5)ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記車両変速ギヤ装置(13)により所定の車両ギヤ装置ギヤ段(GF)が入れられていることが特定される場合には、ギヤ装置制御信号(SGear_in)が前記車両変速ギヤ装置(13)の前記ギヤ装置制御装置(14)へ出力され、前記ギヤ装置制御信号に基づき設定された前記車両ギヤ装置ギヤ段(GF)が低くされ、設定された前記車両ギヤ装置ギヤ段(GF)を低くすることで、エンジンギヤ比(REng)の変化により前記エンジン回転数(nEng)が高められ、したがって、前記実際の体積流量(QIst)の上昇がなされることを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記
ポンプギヤ装置(9)のポンプギヤ装置ギヤ段(GP)を低くすることにより、前記ポンプギヤ比(RPump)を変更することで前記ポンプ回転数(nPump)が高められ、したがって、前記実際の体積流量(QIst)の上昇がなされることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記エンジン回転数(nEng)及び前記ポンプギヤ比(RPump)のうち少なくともいずれかが、前記実際の体積流量(QIst)が前記最小体積流量(QMin)以上であるように調整され、このために、前記最小体積流量(QMin)以上の実際の体積流量(QIst)に至るエンジン回転数(nEng)が生じるように、
-前記車両ギヤ装置ギヤ段(GF)及び前記
ポンプギヤ装置(9)のポンプギヤ装置ギヤ段(GP)のうち少なくともいずれかが低減されるか、又は
-アイドリング(L)においてエンジン制御信号(SEng_in)を前記駆動エンジン(10)の前記エンジン制御装置(11)へ発出すること、及び前記ポンプギヤ装置ギヤ段(GP)を低減することのうち少なくともいずれかがなされることを特徴とする請求項
3~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記実際の体積流量(QIst)が前記最小体積流量(QMin)以上であるかどうか
をチェックする
前記ステップ(St2)において、前記駆動エンジン(10)の前記エンジン回転数(nEng)が算出されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記エンジン回転数(nEng)が、前記駆動エンジン(10)のエンジン制御装置(11)から伝達されるエンジン出力信号(SEng_0ut)を介して算出され、前記エンジン制御装置(11)が、前記エンジン回転数(nEng)を測定する(St2.2)ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記エンジン回転数(nEng)が、前記駆動エンジン(10)と前記車両(100)の駆動軸(15)の間に配置された車両変速ギヤ装置(13)を考慮して、実際の車両速度(vFzg)から算出される(St2.1)ことを特徴とする請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記エンジンギヤ比(REng)が、ギヤ装置制御装置(14)にメモリされているか、又は前記エンジン回転数(nEng)と、前記駆動軸(15)へ伝達されるギヤ装置出力回転数(nGear)とに基づきエンジンギヤ比(REng)が演算されることで走行中に算出されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記エンジン回転数(nEng)に基づき前記油圧ポンプ(2)のポンプ回転数(nPump)が特定され、前記油圧ポンプ(2)に割り当てられたポンプ特性線(K)を介して前記実際の体積流量(QIst)がポンプ回転数(nPump)に基づき特定されることを特徴とする請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記エンジン回転数(nEng)に基づき前記ポンプ回転数(nPump)を特定するために、前記ポンプギヤ比(RPump)が考慮されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記衝突警告信号(SCW)が非常ブレーキ制御装置(20)から出力され、該非常ブレーキ制御装置(20)が、衝突対象物(O)との衝突のおそれが特定される場合に前記衝突警告信号(SCW)を出力するように形成されていることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップ(St2)における、最小体積流量(QMin)以上の実際の体積流量(QIst)が存在するかどうかのチェックと、前記ステップ(St3)における前記エンジン回転数(nEng)の上昇とがサーボ制御装置(30)によって制御され、該サーボ制御装置が、データバス接続(12)を介して対応する信号(SEng_out,SGear_out,SEng_in,SGear_out)を受け取り、出力することを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記油圧式のパワーステアリングシステム(200)が、ステアリングホイール(1)から手動で設定されるか、又は自動化された操舵システム(300)から電気モータ(302)を介して設定される操舵要求(ALenk)をアシストし、衝突アシスト状況(A)において、前記実際の体積流量(QIst)の前記油圧液体(6)を介して、車輪(5)の操舵運動への前記操舵要求(ALenk)の機械的な変換がステアリングギヤ装置(4)を介してアシストされる(St8)ことを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記エンジン回転数(nEng)の上昇が前記操舵要求(ALenk)に結び付けられていないことを特徴とする請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の方法を実行するのに適した、油圧式のパワーステアリングシステム(200)であって、少なくとも、
-実際の体積流量(QIst)で油圧液体(6)を出力する油圧ポンプ(2)であって、前記実際の体積流量(QIst)が、当該油圧ポンプ(2)のポンプ回転数(nPump)に依存する前記油圧ポンプと、
-油圧管路(3)を介して前記油圧ポンプ(2)に接続されたステアリングギヤ装置(4)であって
、操舵要求(ALenk)を車両(100)の車輪(5)の操舵運動へ
機械的に変換するとともに、前記油圧液体(6)によってアシストされるように形成されている、前記ステアリングギヤ装置
(4)と、
-前記パワーステアリングシステム(200)を制御するサーボ制御装置(30)と、
-前記油圧ポンプ(2)及び車両変速ギヤ装置(13)に機械的に作用結合されている駆動エンジン(10)と
を備え、前記車両変速ギヤ装置(13)が、前記車両(100)の車輪(5)を駆動するために、エンジンギヤ比(REng)を介して、前記駆動エンジン(10)により調節されるエンジン回転数(nEng)を前記車両(100)の駆動軸(15)へ伝達し、前記油圧ポンプ(2)の前記ポンプ回転数(nPump)が前記エンジン回転数(nEng)に依存しており、前記サーボ制御装置(30)が、衝突アシスト状況(A)において、最小体積流量(QMin)以上の実際の体積流量(QIst)が設定されるように、前記ポンプ回転数(nPump)を調整するように形成されていることを特徴とする油圧式のパワーステアリングシステム。
【請求項18】
ポンプギヤ比(RPump)を設定するために、前記駆動エンジン(10)と前記油圧ポンプ(2)の間にポンプギヤ装置(9)が配置されていることを特徴とする請求項17に記載の油圧式のパワーステアリングシステム(200)。
【請求項19】
衝突アシスト状況(A)において前記実際の体積流量(QIst)が前記最小体積流量(QMin)よりも小さい場合に、前記ポンプ回転数(nPump)を高めるように前記ポンプギヤ比(RPump)を変更するよう前記サーボ制御装置(30)が形成されていることを特徴とする請求項18に記載の油圧式のパワーステアリングシステム(200)。
【請求項20】
衝突アシスト状況(A)において前記実際の体積流量(QIst)が前記最小体積流量(QMin)よりも小さい場合に、前記エンジン回転数(nEng)を高めるように、前記車両ギヤ装置ギヤ段(GF)を低くすることで前記エンジンギヤ比(REng)を変更するよう前記サーボ制御装置(30)が形成されていることを特徴とする請求項17~19のいずれか1項に記載の油圧式のパワーステアリングシステム(200)。
【請求項21】
衝突アシスト状況(A)において前記実際の体積流量(QIst)が前記最小体積流量(QMin)よりも小さい場合に、前記エンジン回転数(nEng)を高めるように、エンジン制御装置(11)を介して前記駆動エンジン(10)を直接作動させるよう前記サーボ制御装置(30)が形成されていることを特徴とする請求項17~20のいずれか1項に記載の油圧式のパワーステアリングシステム(200)。
【請求項22】
請求項1~16のいずれか1項に記載の方法を実行するのに適した、請求項17~21のいずれか1項に記載の油圧式のパワーステアリングシステム(200)と、衝突警告信号(SCW)を設定する非常ブレーキ制御装置(20)とを有する、車両(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧式のパワーステアリングシステムを制御する方法及び車両、特に商用車両における油圧式のパワーステアリングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両、特に商用車両においては、運転者によって、又は自動化された操舵システムによってあらかじめ設定される操舵要求をアシストするために、パワーステアリングシステムが設けられている。このパワーステアリングシステムは、油圧管路を介して適宜のステアリングギヤ装置に接続された油圧ポンプを備えている。ステアリングギヤ装置は、操舵要求を車両の車輪の操舵運動へ機械的に変換する。
【0003】
操舵をアシストするために、ステアリングギヤ装置へ搬送される油圧液体が油圧ポンプによって提供される。このとき、油圧ポンプはエンジンによって供給され、エンジンの出力あるいはエンジン回転数は、油圧液体の実際の体積流量を特定する。なぜなら、エンジン回転数に依存して、所定の実際の体積流量に至るポンプ回転数が調整されるためである。ステアリングギヤ装置における油圧液体は、操舵運動への操舵要求の機械的な変換がアシストされるように作用し、操舵アシストは、より多く提供される実際の体積流量においてより大きな操舵速度が達成され得るようになされる。
【0004】
特許文献1には、油圧ポンプがエンジンによって駆動されるパワーステアリングシステムが記載されており、油圧ポンプは、操舵要求が特定されたときに作動される。このとき、エンジンの出力は油圧液体の実際の体積流量を特定するため、操舵要求の大きさに応じて、エンジン回転数の適当な調整によって十分な実際の体積流量を提供することができる。自動化された操舵システムも、エンジンを介してステアリングブレースへアシスト式に作用し、その結果、自動化された操舵も可能となる。エンジンの故障時には、油圧ポンプはスタータモータによって動作されることができ、その結果、油圧ポンプが再びある実際の体積流量を搬送することができるため、エンジン故障時にも油圧式のパワーステアリングシステムの容認可能な機能を保証することが可能である。
【0005】
特許文献2には、電気モータを介して操舵をアシストすることが可能な電子的なパワーステアリングシステムが記載されている。このとき、操舵アシストの大きさは、車両の実際の周囲に基づき操舵アシストが必要であるか否かをチェックすることで、周囲検出に依存して調整される。
【0006】
特許文献3には、油圧式の操舵アシスト及びブレーキアシストが示されている。これによれば、速度に依存して、油圧ポンプのポンプ回転数が調整されるようになっており、油圧ポンプはエンジンによって駆動される。このとき、操舵が認識されるとすぐに、油圧ポンプの作動がなされ、作動の種類は、速度に依存した要求がどのくらい大きいか、すなわちどのような実際の体積流量が実際に必要であるかに依存している。これにより、必要なときに十分な操舵アシスト及びブレーキアシストを提供すること、及び同時に必要でないときには過剰なエネルギーの使用を削減することが達成されるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第102015014882号明細書
【文献】特開2007-269312号明細書
【文献】独国特許出願公開第102007016112号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、衝突のおそれがある場合に大きな操舵角度での信頼性のある操舵アシストを保証することが可能な、油圧式のパワーステアリングシステムを制御する方法を提供することにある。さらに、本発明の課題は、油圧式のパワーステアリングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1による方法及び請求項17による油圧式のパワーステアリングシステムによって解決される。好ましい発展形成は、従属請求項に記載されている。
【0010】
このために、本発明によれば、衝突対象物との自車の衝突のおそれが特定された後に、車両のパワーステアリングシステムの油圧ポンプにより提供される、操舵アシストに用いられる油圧液体が最小体積流量以上の実際の体積流量を有しているかどうかをチェックするように構成されている。このような体積流量を有していない場合には、本発明により、油圧ポンプのポンプ回転数が高められる。
【0011】
このことは、好ましくは、パワーステアリングシステムの油圧ポンプと機械的に作用結合された車両の駆動エンジン、例えば内燃エンジン又は電気的に動作するモータのエンジン(モータ)回転数を高めることでなされる。したがって、駆動エンジンのエンジン回転数の上昇は、油圧ポンプのポンプ回転数の上昇も直接もたらし、これにより、ここでも、提供される実際の体積流量が上昇する。
【0012】
したがって、有利には、車両の駆動エンジンのエンジン回転数の上昇により、提供される実際の体積流量を、最小体積流量まで上昇させることが可能である。これに代えて、又はこれに加えて、駆動エンジンと油圧ポンプの間のギヤ比を設定するポンプギヤ比も、例えば駆動エンジンと油圧ポンプの間に配置されたポンプギヤ装置を介して変更することが可能である。これにより、一定の、又はわずかのみ高められたエンジン回転数において、ポンプ回転数ひいては実際の体積流量のより大きな上昇を達成することが可能である。
【0013】
このとき、最小体積流量は、衝突時に回避による事故結果を低減するために、操舵が、十分大きな操舵速度、例えば1秒につき400~500°の操舵角度での少なくとも最大の操舵角でアシストされ得るように選択されている。
【0014】
この上昇は衝突のおそれの特定に関連しているため、認識された衝突の結果、まだ操舵要求が存在せず、したがって車両が操舵を実行すべきかどうかまだ特定されていない場合には、有利には、あらかじめ高められた実際の体積流量が提供される。したがって、実際の体積流量は操舵要求に関連していない。よって、運転者又は自動化された操舵システムが衝突のおそれの結果として介入する場合のために、実際に操舵要求が存在して初めてではなく、あらかじめ十分な実際の体積流量が提供されることが可能である。
【0015】
本発明の範囲では、車両の駆動エンジン、例えば内燃エンジン又は電気的に動作するモータとして、車両の駆動部と理解され、すなわち、駆動エンジンは、エンジン(モータ)回転数を設定し、この回転数は、エンジンギヤ比を設定する車両変速ギヤ装置、例えば自動化されたトランスミッション(AMT)又はオートマチックトランスミッション(AT)を介して車両のパワートレインの駆動軸へ伝達される。駆動軸を介して車両の車輪、例えばリヤアクスルの車輪又は車両の複数のリヤアクスルの車輪が駆動される。したがって、車両の車両速度も、また油圧ポンプの分プ回転数も、駆動エンジンのエンジン回転数に依存して調整される。
【0016】
このとき、好ましくは、駆動エンジンからの油圧ポンプの切り離しは設定されていない。すなわち、エンジン回転数で駆動エンジンが駆動されるとすぐに、油圧ポンプへの機械的な結合によって、油圧ポンプも自動的に所定のポンプ回転数で駆動される。
【0017】
好ましくは、実際の体積流量が最小体積流量以上であるかどうか、したがって、駆動エンジンのエンジン回転数を評価することで算出される、衝突のおそれがある場合に操舵アシストのために十分な実際の体積流量が提供されるかどうかがチェックされる。これらが直接に関係しているため、このことが可能である。
【0018】
したがって、エンジン回転数は、まず、駆動エンジンのエンジン制御装置から伝達されるエンジン出力信号を介して算出され、エンジン制御装置は、エンジン回転数自体を測定する。これに代えて、又はこれに加えて、エンジン回転数は、駆動エンジンと車両の駆動軸の間に配置された、所定の車両ギヤ装置ギヤ段が入れられている車両変速ギヤ装置のエンジンギヤ比を考慮して実際の車両速度から算出されることが可能である。
【0019】
エンジンギヤ比は、入れられた車両ギヤ装置ギヤ段について、例えばギヤ装置制御装置にメモリされることができるか、又はエンジン回転数及び駆動軸へ伝達されるギヤ装置出力回転数に基づいて対応する車両ギヤ装置ギヤ段についてのエンジンギヤ比を推定あるいは演算することで走行中に算出されることが可能である。
【0020】
駆動エンジンと油圧ポンプの間の機械的な結合、例えば歯車又はベルトに基づきエンジン回転数から直接推定される油圧ポンプのポンプ回転数が特定されることで、有利には、エンジン回転数に基づき実際の体積流量が算出される。存在する場合には、駆動エンジンと油圧ポンプの間に配置されたポンプギヤ装置のポンプギヤ比が考慮され得る。そして、ポンプ回転数から、油圧ポンプに割り当てられたポンプ特性線を介して実際の体積流量が推定される。
【0021】
これに代えて、油圧ポンプからステアリングギヤ装置へ延びる油圧管路において実際の体積流量が直接測定されることも可能であり、油圧管路では、操舵運動への操舵要求の機械的な変換においてステアリングギヤ装置をアシストするために、油圧液体がステアリングギヤ装置へ搬送される。
【0022】
有利な一実施形態によれば、実際の体積流量が最小体積流量よりも小さく、衝突のおそれが特定された場合には、駆動エンジンのエンジン回転数を高めるために、まず、車両変速ギヤ装置によって所定の車両ギヤ装置ギヤ段が入れられているかどうか、又は車両変速ギヤ装置が切り離されているかどうか、すなわちアイドリングが設定されているかどうかがチェックされるように構成されている。このことは、例えば、車両変速ギヤ装置のギヤ装置制御装置から出力され、どの車両ギヤ装置ギヤ段が入れられているか、又は車両変速ギヤ段がアイドリング状態にあるかどうかを示すギヤ装置出力信号が評価されることで行われることが可能である。
【0023】
車両変速ギヤ装置がアイドリング状態にあれば、エンジン回転数は、駆動エンジンの直接的な作動によってのみ高められる。このために、好ましくは、エンジン制御信号が駆動エンジンのエンジン制御装置へ出力され、このエンジン出力信号に基づいてエンジン回転数の上昇がなされ、エンジン回転数は、実際の体積流量が最小体積流量以上となるまで高められる。このことは、新たに、エンジン回転数の上昇により同様に高められるポンプ回転数の認識の下でポンプ特性線を介して特定される。
【0024】
車両変速ギヤ装置により所定の車両ギヤ装置ギヤ段が入れられており、したがって、所定のエンジンギヤ比が存在することが特定されると、ギヤ装置制御信号が車両変速ギヤ装置のギヤ装置制御装置へ出力され、このギヤ装置制御信号に基づき、設定された車両ギヤ装置ギヤ段が低くされる(より低いギヤ段とされる)。設定された車両ギヤ装置ギヤ段を低くすることで、同時にエンジン回転数が上昇する。なぜなら、低くされた車両ギヤ装置ギヤ段によりエンジンギヤ比が変化するためである。このとき、車両ギヤ装置ギヤ段は、最小体積流量以上の実際の体積流量をもたらすエンジン回転数が生じるまで低くされる。有利には、エンジンギヤ比の認識の下で、介在なしに、すぐに正しい車両ギヤ装置ギヤ段を設定することが可能である。
【0025】
アイドリングにおけるエンジン回転数の上昇に加えて、又は車両ギヤ装置ギヤ段を低くすることに加えて、若しくはこれに代えて、ポンプ回転数ひいては実際の体積流量を高めるために、ポンプギヤ装置のポンプギヤ比を低くするように構成することが可能である。すなわち、ポンプギヤ装置における適切なポンプギヤ装置ギヤ段の設定により、低いエンジン回転数においても、例えば高速道路における高い車両速度、わずかな操舵運動においても、燃料を節約するために、ポンプギヤ装置ギヤ段を低くすることで、衝突のおそれの特定後に、ポンプ回転数ひいては実際の体積流量を高めることが可能である。これにより、有利には、車両ギヤ装置ギヤ段の変更が行われないか、あるいはわずかになされるとともにアイドリングにおけるエンジン回転数の直接的な上昇もよりわずかであることが可能である。
【0026】
したがって、車両ギヤ装置ギヤ段の変更若しくはアイドリングが設定されている場合にエンジン回転数を上昇させるための直接的な要求によって、及び/又はポンプギヤ装置ギヤ段の変更によって、ポンプ回転数ひいては実際の体積流量を上昇させることが可能である。このことは、車両特性に直接的な影響を有している。なぜなら、アイドリングにおいてはエンジン回転数のみが変化し、車両ギヤ装置ギヤ段が入れられている場合、すなわち車両が駆動されている場合には、エンジンギヤ比のみが変化するためであり、このことは、実際の車両速度に本質的な影響を有さない。ポンプギヤ装置ギヤ段の変更は、同様に、車両動作への影響を有さない。
【0027】
衝突のおそれを特定するために、例えば、非常ブレーキシステム(AEBS)が車両において存在することができ、この非常ブレーキシステムは、非常ブレーキ制御装置を介して周囲冠詞及び評価を行い、これにより衝突対象物との衝突のおそれを認識することが可能である。これに依存して、例えば車両におけるデータバス接続、例えばCANバス、Flexray、イーサネットなどを介して衝突警告信号が出力されることができ、実際の体積流量が操舵アシストに十分であるかどうかのチェックを開始する。
【0028】
全体として、衝突のおそれがある場合の実際の体積流量の調整をエンジン回転数あるいはポンプ回転数を高めることによって制御するサーボ制御装置への信号の伝達を容易にし、加速することができるように、信号は、少なくともエンジン制御装置、ギヤ装置制御装置、非常ブレーキ制御装置から、又はこれらへ、及びポンプギヤ装置へデータバス接続を介して伝達される。これにより、衝突のおそれが存在する場合に実際の体積流量の増大を迅速に要求することができ、その結果、衝突のおそれに基づき操舵へ直接介入する場合に、十分な操舵アシストを保証することが可能である。
【0029】
衝突のおそれがある場合にアシストされるべき操舵要求は、例えば、運転者によってステアリングホイールを介して設定されることができるか、又は衝突のおそれが認識されたときに例えば電気モータを介して操舵を要求する自動化された操舵システムによって設定されることができる。いずれの場合にも、運転者によって手動で、又は電気モータによって自動化されて設定された操舵要求は、ステアリングギヤ装置へ機械的に伝達され、ステアリングギヤ装置をサーボ操舵によって油圧的にアシストする。
【0030】
以下に、本発明を添付の図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】油圧式のサーボ操舵システムを有する車両の概略的な図示である。
【
図2】本発明による方法を実行するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1による実施形態では、油圧式のパワーステアリングシステム200を備えた車両100が概略的に示されており、油圧式のパワーステアリングシステム200は、オプションで、自動化された操舵システム300によって電気的に補助されることが可能である。運転者又はオプションの自動化された操舵システム300による操舵要求ALenkが存在するとすぐに、油圧式のパワーステアリングシステム200が操舵補助として用いられ、操舵補助により、あらかじめ設定された操舵要求ALenkにおけるより大きな操舵速度vLenkが例えばステアリングホイール1の回転によって達成され得ることが引き起こされる。
【0033】
このために、油圧式のパワーステアリングシステム200は油圧ポンプ2を備えており、この油圧ポンプは、油圧管路3を介してステアリングギヤ装置4に連通している。油圧ポンプ2が駆動されると、油圧ポンプ2から油圧液体6が所定の実際の体積流量QIstで提供されることができ、実際の体積流量QIstは、特に油圧ポンプ2が回転するポンプ回転数nPumpに依存する。油圧液体6はステアリングギヤ装置4へ搬送され、ステアリングギヤ装置4は、操舵要求ALenkを車両100のフロントアクスルVAの車輪の操舵運動へ機械的に変換する。油圧液体6により、操舵運動への操舵要求ALenkの機械的な変換が、実際の体積流量QIstに応じて適切に補助されることが可能であり、その結果、より大きな実際の体積流量QIstにおいてより大きな操舵速度vLenkを保証することが可能な操舵補助を保証することができる。
【0034】
操舵要求ALenkは、ステアリングホイール1の回転により運転者によって、又は自動化された操舵システム300によって設定されることができ、自動化された操舵システムは、特に操舵制御装置(EMA-ECU)301及び電気モータ302によって形成される。操舵制御システム301は、特に衝突のおそれがある場合に自動的に操舵し、このために、操舵信号SLenkを介して電気モータ302を自動的に作動させるように形成されている。そして、車輪5の操舵運動を生じさせるために、電気モータ302は、パワーステアリングシステム200によって補助されて、適宜の態様でステアリングギヤ装置4へ作用する。運転者によるステアリングホイール1の手動での回転時には、例えば、ステアリングギヤ装置4に作用結合されたステアリングブレース7が回転される。
【0035】
操舵補助のために、油圧ポンプ2は適切な操舵センサ8と作用結合することができ、その結果、ステアリングブレース7の回転が存在し、したがって所定の操舵角wでの操舵が要求されるかどうかを操舵センサ8によって特定することが可能である。
【0036】
油圧ポンプ2は、
図1における実施例により、オプションのポンプギヤ装置9を介して車両100の駆動エンジン10に、例えば歯付きベルト又は歯車を介して例えば内燃エンジン又は電気的に動作するモータに機械的に接続されている。これにより、エンジン回転数nEngでの駆動エンジン10の回転が自動的に油圧ポンプ2へも伝達され、その結果、油圧ポンプ2のポンプ回転数nPumpが駆動エンジン10のエンジン回転数nEngに依存する。すなわち、駆動エンジン10が駆動されるとすぐに、油圧ポンプ2も自動的に回転し始める。したがって、実際の体積流量QIstも駆動エンジン10のエンジン回転数nEngに依存する。
【0037】
オプションで、ポンプギヤ装置9を介してポンプ変速比Rpumpを調整することが可能であり、ポンプ変速比RPumpは、ポンプギヤ装置ギヤ段PGを調整することによっても変更されることが可能である。これにより、低いエンジン回転数nEngにおいても、高いポンプ回転数nPumpを設定することが可能である。このとき、ポンプギヤ装置ギヤ段PGは、ポンプ制御信号SPump_inに依存して調整されることが可能である。
【0038】
駆動エンジン10はエンジン制御装置11によって制御され、このエンジン制御装置はエンジン回転数nEngを調整するように形成されており、このために、エンジン制御装置11には、車両100のデータバス接続、例えばCANバスを介して、エンジン制御信号SEng_inを設定することができる。さらに、エンジン制御装置11は、実際のエンジン回転数nEngを、エンジン出力信号SEng_outを介して例えば同様にデータバス接続12へ出力することが可能である。
【0039】
さらに、駆動エンジン10は、車両変速ギヤ装置13を介して、車両100のリヤアクスルHAへ延びる駆動軸15に結合されており、その結果、リヤアクスルHAの車輪5が、車両変速ギヤ装置13を介して、設定されたエンジンギヤ比REngに依存して、ギヤ装置出力回転数nGearで駆動されることが可能である。車両変速ギヤ装置13は、例えば、それぞれギヤ装置制御装置14を介して制御され得る自動化されて制御されるトランスミッション(AMT)又は自動的なトランスミッション(AT)として構成されている。実際の走行状況に対応する車両ギヤ装置ギヤ段GF、すなわち適当なエンジンギヤ比REngは、ギヤ装置制御装置14を介して自動的に、又は、例えば駆動エンジン10がオプションで省エネで動作され得るように接続解除されることで、オプションでアイドリングLの省エネ機能により設定されることが可能である。
【0040】
さらに、ギヤ装置制御装置14には、例えば、データバス接続12を介してギヤ装置制御信号SGear_inを設定することができ、ギヤ装置制御信号に基づき、車両変速ギヤ装置13が、自動的に接続解除されるとともに、アイドリングL又は所定の車両ギヤ装置ギヤ段GFへ切り換えられることが可能である。これにつづき、所定のエンジンギヤ比REngは、車両変速ギヤ装置13によって調整される。そのほか、ギヤ装置制御装置14は、どの車両ギヤ装置ギヤ段GFが入れられているか、又は車両変速ギヤ装置13がアイドリングL中であるかどうかを、ギヤ装置出力信号SGear_outを介して、例えばデータバス接続12へ出力することができる。オプションで、各車両ギヤ装置ギヤ段GFに割り当てられたエンジンギヤ比REng及び実際のギヤ装置出力回転数nGearも、ギヤ装置出力信号SGear_outを介してデータバス接続12へ伝達されることが可能である。
【0041】
衝突のおそれを認識した後、すなわち、衝突-アシスト状況Aにおいて、本発明による操舵補助に加えて、非常ブレーキ制御装置(AEBS-ECU)20及びサーボ制御装置30がデータバス接続12に接続されている。自動化された操舵システム300が車両100に存在すれば、サーボ制御装置30も操舵制御装置301に統合されることが可能である。
【0042】
非常ブレーキ制御装置20は例えば非常ブレーキシステム(AEBS)の一部であり、この非常ブレーキシステムは、衝突対象物Oとの衝突のおそれを周囲監視に基づいて認識し、これに対して適当に、例えば非常ブレーキの要求をもって応答することが可能である。衝突対象物Oとの衝突のおそれが認識されると、非常ブレーキ制御装置20により、衝突警告信号SCWがデータバス接続12へ出力される。この衝突警告信号SCWは、同時に、データバス接続12を介してサーボ制御装置30によって受け取られることが可能である。
【0043】
衝突警告信号SCWが存在すると、衝突アシスト状況Aへ至り、サーボ制御装置30が、本発明により、衝突アシスト状況Aにおいて十分な操舵アシストのために適当な実際の体積流量QIstが油圧ポンプ2によって提供されるように設定されている。これにより、運転者又はオプションで自動化された操舵システム300が衝突アシスト状況Aにおいて大きな操舵角wによって衝突対象物Oを回避したい場合に、衝突のおそれがあるときには、十分に大きな実際の体積流量QIstで油圧液体6が提供されることが達成されることとなっている。したがって、運転者又は自動化された操舵システム300が操舵を開始して初めて応答されるのではなく、衝突のおそれが認識され、データバス接続12を介して出力されるときに既に応答される。
【0044】
十分な操舵アシストを提供するために、サーボ制御装置30は、実際に提供される、実際のポンプ回転数nPumpによって特定される実際の体積流量QIstが最小体積流量QMinを上回っているかどうかをチェックする。このとき、最小体積流量QMinは、衝突アシスト状況Aにおいて大きな操舵角wでの十分な操舵アシストについて大きな操舵速度vLenkにおいて提供され得るように調整されている。この実施形態によればサーボ制御装置30は実際の体積流量QIstを直接測定しないため、サーボ制御装置30は、データバス接続12を介して伝達される情報に基づいて実際の体積流量QIstを演算する。
【0045】
このために、まず、ギヤ装置出力信号SGear_outが評価される。すなわち、どの車両ギヤ装置ギヤ段GFが入れられているか、又はアイドリングLが設定されているかがチェックされる。所定の車両ギヤ装置ギヤ段GFが入れられていれば、ギヤ装置出力信号SGear_outを介して伝達されるエンジンギヤ比REngに基づいて、実際に測定された車両速度vFzgと共に、エンジン回転数nEngを見積もることが可能である。エンジンギヤ比REngがギヤ装置出力信号SGear_outを介して伝達されなければ、リヤアクスルHAに対して調節されるギヤ装置出力回転数nGearがエンジン回転数nEngと比較されることで、このエンジンギヤ比は、走行中にもあらかじめ学習される。
【0046】
これに代えて、エンジン出力信号SEng_outを介して伝達されたエンジン回転数nEngを直接参照することが可能である。このことは、例えば、ギヤ装置出力信号SGear_outを介して、アイドリングLが設定されており、したがって車両変速ギヤ装置13を介してトルクがリヤアクスルHAへ伝達されず、それゆえエンジンギヤ比REngに基づくエンジン回転数nEngの演算が不可能であることが特定される場合に必要である。
【0047】
これにより算出されるエンジン回転数nEngに基づき、サーボ制御装置30は、つづいて、場合によってはポンプギヤ装置ギヤ段GPを介して設定されるポンプギヤ比RPumpを考慮して、ポンプ回転数nPumpを算出することが可能である。このポンプ回転数nPumpから、各油圧ポンプ2について実際の体積流量QIstに対するポンプ回転数nPumpの関係を示すポンプ特性線Kを介して、期待されるべき実際の体積流量QIstが推定される。ポンプ特性線Kは、例えばサーボ制御装置30にメモリされているか、又は油圧ポンプにより提供される。実際の体積流量QIstが小さすぎれば、すなわち、体積流量があらかじめ設定された最小体積流量を下回れば、サーボ制御装置30によって、少なくとも最小体積流量QMinの大きさへの実際の体積流量QIstの増大についての適当な要求が行われる。
【0048】
このために、車両ギヤ装置ギヤ段GFが入れられているかどうか、又はアイドリングLが設定されているかどうかが、ギヤ装置出力信号SGear_outを介して、サーボ制御装置30によってチェックされる。
【0049】
アイドリングLが設定されていれば、サーボ制御装置30により、データバス接続12を介して、及びエンジン制御信号SEng_inを介して、エンジン回転数nEngを高めるための要求がエンジン制御装置11へ出力される。そして、エンジン回転数nEngは、ポンプ特性線Kに基づき最小体積流量QMinを上回っている実際の体積流量QIstが推定されるポンプ回転数nPumpに達するまで高められ、その結果、衝突アシスト状況Aに対して十分な実際の体積流量QIstをステアリングギヤ装置4へ提供することが可能である。
【0050】
これに対して、ギヤ装置出力信号SGear_outから、所定の車両ギヤ装置ギヤ段GFが入れられていることが推定されると、これに代えて、サーボ制御装置30によって、データバス結合12及びギヤ装置制御信号SGear_inを介して、ギヤ装置制御装置14への要求が車両ギヤ装置ギヤ段GFを低くするために出力される。車両ギヤ装置ギヤ段GFを低くすることで、エンジン回転数nEngが増大することが自動的に生じる。なぜなら、車両速度vFzgが、たとえあったとしても、エンジンブレーキによってのみわずかに変化するためである。ポンプ回転数nPump及び実際の体積流量QIstも同時に増大する。最小体積流量QMinを達成するためにどの車両ギヤ装置ギヤ段GFが正確に設定されるべきかは、実際の車両速度vFzg、エンジンギヤ比REng及びポンプギヤ比RPumpから推定され、これらは、ポンプ特性線Kを介して最小体積流量QMinの達成に至る必要なエンジン回転数nEngを特定する。
【0051】
このとき、エンジンギヤ比REngが既知の下で正しい車両ギヤ装置ギヤ段GFへシフトされ、このとき、実際の車両ギヤ装置ギヤ段GFからその間に位置する車両ギヤ装置ギヤ段GFへシフトするがない。
【0052】
加えて、アイドリングLにおいて、及びこれに加えて又はこれに代えて、入れられた車両ギヤ装置ギヤ段GFにおいて、ポンプ回転数nPumpをポンプギヤ装置ギヤ段GPの変更によっても達成することが可能である。したがって、サーボ制御装置30によって、データバス接続12を介して、及びポンプ制御信号SPump_inを介して、ポンプギヤ装置ギヤ段GPを低くするための要求を出力することができる。これにより、低いエンジン回転数nEngにおいても、高い車両ギヤ装置ギヤ段GFにより、又はアイドリングLにおいて低いエンジン回転数nEngにおいて高いポンプ回転数nPumpを設定することが可能であり、このとき、車両ギヤ装置ギヤ段GFが変更されないか、又はエンジン回転数nEngが過剰に直接高められない。
【0053】
図2に従い、本発明による方法を例示的に以下に説明する。
【0054】
最初のステップSt0では、油圧式のパワーステアリングシステム200が例えば車両100の始動により起動される。
【0055】
第1のステップSt1では、サーボ制御装置30により、衝突アシスト状況Aが存在するかどうか、すなわち非常ブレーキ制御装置20によって、衝突対象物Oとの衝突のおそれが認識されたことで衝突警告信号SCWがデータバス接続12へ出力されたかどうかがチェックされる。
【0056】
衝突のおそれがある場合には、第2のステップSt2において、衝突アシスト状況Aにおいて油圧式のパワーステアリングシステム200を介して十分な操舵アシストを提供するのに必要な最小体積流量QMinよりもわずかな実際の体積流量QIstがエンジン回転数nEngから推定されるかどうかがチェックされる。
【0057】
このために、第1の部分ステップSt2.1では、実際の車両速度vFzg及びエンジンギヤ比REngに基づき、ポンプ特性線Kを介して、最小体積流量QMin以上の十分な実際の体積流量QIstを推定するポンプ回転数nPumpに至る実際のエンジン回転数nEngが存在するかどうかがチェックされる。これに代えて、第2の部分ステップSt2.2では、実際の体積流量QIstを推定するために、エンジン回転数nEngがエンジン制御装置11から直接読み取られることが可能である。
【0058】
第3のステップSt3では、実際の体積流量QIstが最小体積流量QMinよりもわずかであることをサーボ制御装置30によって特定するときに、自動的に実際の体積流量QIstを高めるために、エンジン回転数nEng及び/又はポンプ回転数nPumpが高められるべきであるという要求をデータバス接続12へ出力する。このために、第4のステップSt4では、まず、車両変速ギヤ装置13が所定の車両ギヤ装置ギヤ段GFを入れたかどうか、又はアイドリングLが設定されているかどうかがチェックされる。これは、ギヤ装置出力信号SGear_outを評価することでなされる。
【0059】
例えば燃料を節約するためにアイドリングLが入れられていれば、第5のステップにおいて、サーボ制御装置30によって、エンジン制御信号SEng_inを介して、エンジン回転数nEngを直接高める要求が直接エンジン制御装置11へ出力される。このとき、最小体積流量QMin以上の実際の体積流量QIstに至るエンジン回転数nEngが要求される。このことは、ポンプギヤ比RPumpと、要求されるエンジン回転数nEngから期待されるべき実際の体積流量QIstが推定されるポンプ特性線Kとを考慮してなされる。
【0060】
これに対して、車両ギヤ装置ギヤ段GFが入れられていれば、第5のステップSt5に代えて、第6のステップSt6において、ギヤ装置制御信号SGear_inを介してより低い車両ギヤ装置ギヤ段GFへシフトされ、この車両ギヤ装置ギヤ段GFに基づき、高められたポンプ回転数nPump及び高められた実際の体積流量QIstへ至る高められたエンジン回転数nEngが自動的に生じる。ここでも、再び車両ギヤ装置ギヤ段GFは、衝突アシスト状況Aにおいて十分な操舵アシストを提供するために、最小体積流量QMinよりも大きな実際の体積流量QIstが生じるように選択される。
【0061】
オプションで第5のステップSt5に補足して、及び第6のステップSt6に加えて、又はこれに代えて行われる第7のステップSt7では、低いエンジン回転数nEngにおいても、実際の体積流量QIstを少なくとも最小体積流量QMinへ上昇させるポンプ回転数nPumpを達成するために、ポンプ制御信号SPump_inを介してポンプギヤ比RPumpが変更される。
【0062】
したがって、操舵要求ALenkが、運転者によってステアリングホイール1を介してなされるか、又は衝突アシスト状況Aにより、衝突対象物Oを避けるために、自動化された操舵システム300により電気モータ302を介してなされる場合に、第8のステップSt8では、十分な実際の体積流量QIstを提供することが可能である。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.車両(100)、特に商用車両における油圧式のパワーステアリングシステム(200)を制御する方法であって、少なくとも以下のステップ:
-衝突アシスト状況(A)が存在するかどうかを特定するために衝突警告信号(SCW)を読み取るステップ(St1)と、
-衝突アシスト状況(A)が存在する場合に、前記パワーステアリングシステム(200)の油圧ポンプ(2)から提供される、操舵アシストに用いられる油圧液体(6)が、最小体積流量(QMin)以上の実際の体積流量(QIst)を有するかどうかをチェックするステップ(St2)と、
-衝突アシスト状況(A)が存在するときに前記実際の体積流量(QIst)が前記最小体積流量(QMin)よりも小さい場合に、ポンプ回転数(nPump)を高めるステップ(St3)と
を有し、ポンプ回転数(nPump)が、前記油圧ポンプ(2)と協働する駆動エンジン(10)のエンジン回転数(nEng)に依存していることを特徴とする方法。
2.前記ポンプ回転数(nPump)を高めるために、前記車両(100)の前記駆動エンジン(10)の前記エンジン回転数(nEng)の上昇がなされ(St4,St5,St6)、提供される前記油圧液体(6)の前記実際の体積流量(QIst)がエンジン回転数(nEng)の上昇によって増大するように、前記駆動エンジン(10)が前記油圧ポンプ(2)と協働することを特徴とする上記1.に記載の方法。
3.前記駆動エンジン(10)の前記エンジン回転数(nEng)を高めるために、まず、前記車両の車両変速ギヤ装置(13)により所定の車両ギヤ装置ギヤ段(GF)が入れられたかどうか、又はアイドリング(L)が設定されているかどうかがチェックされ(St4)、このために、どの車両ギヤ装置ギヤ段(GF)が入れられているか、又は車両変速ギヤ装置(13)がアイドリング(L)状態にあるかどうかを示すギヤ装置出力信号(SGear_out)を前記車両変速ギヤ装置(13)のギヤ装置制御装置(14)が出力することを特徴とする上記2.に記載の方法。
4.車両変速ギヤ装置(13)がアイドリング(L)状態にあると特定される場合には、エンジン制御信号(SEng_in)が前記駆動エンジン(10)のエンジン制御装置(11)へ出力され、前記エンジン制御信号に基づき、前記エンジン回転数(nEng)の直接的な上昇と、したがって前記実際の体積流量(QIst)の上昇とがなされる(St5)ことを特徴とする上記3.に記載の方法。
5.前記車両変速ギヤ装置(13)により所定の車両ギヤ装置ギヤ段(GF)が入れられていることが特定される場合には、ギヤ装置制御信号(SGear_in)が前記車両変速ギヤ装置(13)の前記ギヤ装置制御装置(14)へ出力され、前記ギヤ装置制御信号に基づき設定された前記車両ギヤ装置ギヤ段(GF)が低くされ、設定された前記車両ギヤ装置ギヤ段(GF)を低くすることで、エンジンギヤ比(REng)の変化により前記エンジン回転数(nEng)が高められ、したがって、前記実際の体積流量(QIst)の上昇がなされることを特徴とする上記3.又は4.に記載の方法。
6.前記ポンプ回転数(nPump)を高めるために、ポンプギヤ装置(9)によって前記油圧ポンプ(2)と前記駆動エンジン(10)の間で設定されたポンプギヤ比(RPump)が変化する(St7)ことを特徴とする上記1.~5.のいずれか1つに記載の方法。
7.前記ポンプギヤ比(RPump)を変更するためにポンプギヤ装置ギヤ段(GP)が低くされ、設定された前記ポンプギヤ装置ギヤ段(GP)を低くすることにより、前記ポンプギヤ比(RPump)を変更することで前記ポンプ回転数(nPump)が高められ、したがって、前記実際の体積流量(QIst)の上昇がなされることを特徴とする上記6.に記載の方法。
8.前記エンジン回転数(nEng)及び/又は前記ポンプギヤ比(RPump)が、前記実際の体積流量(QIst)が前記最小体積流量(QMin)以上であるように調整され、このために、前記最小体積流量(QMin)以上の実際の体積流量(QIst)に至るエンジン回転数(nEng)が生じるように、
-前記車両ギヤ装置ギヤ段(GF)及び/又は前記ポンプギヤ装置ギヤ段(GP)が低減されるか、又は
-アイドリング(L)においてエンジン制御信号(SEng_in)が前記駆動エンジン(10)の前記エンジン制御装置(11)へ発出され、及び/又は前記ポンプギヤ装置ギヤ段(GP)が低減される
ことを特徴とする上記1.~7.のいずれか1つに記載の方法。
9.前記実際の体積流量(QIst)が前記最小体積流量(QMin)以上であるかどうかをチェックするために、前記駆動エンジン(10)の前記エンジン回転数(nEng)が算出されることを特徴とする上記1.~8.のいずれか1つに記載の方法。
10.前記エンジン回転数(nEng)が、前記駆動エンジン(10)のエンジン制御装置(11)から伝達されるエンジン出力信号(SEng_0ut)を介して算出され、前記エンジン制御装置(11)が、前記エンジン回転数(nEng)を測定する(St2.2)ことを特徴とする上記9.に記載の方法。
11.前記エンジン回転数(nEng)が、前記駆動エンジン(10)と前記車両(100)の駆動軸(15)の間に配置された車両変速ギヤ装置(13)を考慮して、実際の車両速度(vFzg)から算出される(St2.1)ことを特徴とする上記9.又は10.に記載の方法。
12.前記エンジンギヤ比(REng)が、ギヤ装置制御装置(14)にメモリされているか、又は前記エンジン回転数(nEng)と、前記駆動軸(15)へ伝達されるギヤ装置出力回転数(nGear)とに基づきエンジンギヤ比(REng)が演算されることで走行中に算出されることを特徴とする上記11.に記載の方法。
13.前記エンジン回転数(nEng)に基づき前記油圧ポンプ(2)のポンプ回転数(nPump)が特定され、前記油圧ポンプ(2)に割り当てられたポンプ特性線(K)を介して前記実際の体積流量(QIst)がポンプ回転数(nPump)に基づき特定されることを特徴とする上記9.~12.のいずれか1つに記載の方法。
14.前記エンジン回転数(nEng)に基づき前記ポンプ回転数(nPump)を特定するために、前記駆動エンジン(10)と前記油圧ポンプ(2)の間に配置されたポンプギヤ装置(9)のポンプギヤ比(RPump)が考慮されることを特徴とする上記13.に記載の方法。
15.前記衝突警告信号(SCW)が非常ブレーキ制御装置(20)から出力され、該非常ブレーキ制御装置(20)が、衝突対象物(O)との衝突のおそれが特定される場合に前記衝突警告信号(SCW)を出力するように形成されていることを特徴とする上記1.~14.のいずれか1つに記載の方法。
16.最小体積流量(QMin)以上の実際の体積流量(QIst)が存在するかどうかのチェック(St2)と、前記エンジン回転数(nEng)の上昇とがサーボ制御装置(30)によって制御され、該サーボ制御装置が、データバス接続(12)を介して対応する信号(SEng_out,SGear_out,SEng_in,SGear_out)を受け取り、出力することを特徴とする上記1.~15.のいずれか1つに記載の方法。
17.前記油圧式のパワーステアリングシステム(200)が、ステアリングホイール(1)から手動で設定されるか、又は自動化された操舵システム(300)から電気モータ(302)を介して設定される操舵要求(ALenk)をアシストし、特に衝突アシスト状況(A)において、前記実際の体積流量(QIst)の前記油圧液体(6)を介して、車輪(5)の操舵運動への前記操舵要求(ALenk)の機械的な変換がステアリングギヤ装置(4)を介してアシストされる(St8)ことを特徴とする上記1.~16.のいずれか1つに記載の方法。
18.前記エンジン回転数(nEng)の上昇が前記操舵要求(ALenk)に結び付けられていないことを特徴とする上記1.~17.のいずれか1つに記載の方法。
19.特に上記1.~18.のいずれか1つに記載の方法を実行するのに適した、油圧式のパワーステアリングシステム(200)であって、少なくとも、
-実際の体積流量(QIst)で油圧液体(6)を出力する油圧ポンプ(2)であって、前記実際の体積流量(QIst)が、当該油圧ポンプ(2)のポンプ回転数(nPump)に依存する前記油圧ポンプと、
-油圧管路(3)を介して前記油圧ポンプ(2)に接続されたステアリングギヤ装置(4)であって、当該ステアリングギヤ装置(4)が、操舵要求(ALenk)を車両(100)の車輪(5)の操舵運動へ変換するとともに、前記油圧液体(6)によってアシストされるように形成されている、前記ステアリングギヤ装置と、
-前記パワーステアリングシステム(200)を制御するサーボ制御装置(30)と
を備えた、前記油圧式のパワーステアリングシステムにおいて、
前記油圧ポンプ(2)及び車両変速ギヤ装置(13)に機械的に作用結合されている駆動エンジン(10)と、サーボ制御装置(30)とが更に設けられており、前記車両変速ギヤ装置(13)が、前記車両(100)の車輪(5)を駆動するために、エンジンギヤ比(REng)を介して、前記駆動エンジン(10)により調節されるエンジン回転数(nEng)を前記車両(100)の駆動軸(15)へ伝達し、前記油圧ポンプ(2)の前記ポンプ回転数(nPump)が前記エンジン回転数(nEng)に依存しており、前記サーボ制御装置(30)が、衝突アシスト状況(A)において、最小体積流量(QMin)以上の実際の体積流量(QIst)が設定されるように、前記ポンプ回転数(nPump)を調整するように形成されていることを特徴とする油圧式のパワーステアリングシステム。
20.ポンプギヤ比(RPump)を設定するために、前記駆動エンジン(10)と前記油圧ポンプ(2)の間にポンプギヤ装置(9)が配置されていることを特徴とする上記19.に記載の油圧式のパワーステアリングシステム(200)。
21.衝突アシスト状況(A)において前記実際の体積流量(QIst)が前記最小体積流量(QMin)よりも小さい場合に、前記ポンプ回転数(nPump)を高めるように前記ポンプギヤ比(RPump)を変更するよう前記サーボ制御装置(30)が形成されていることを特徴とする上記20.に記載の油圧式のパワーステアリングシステム(200)。
22.衝突アシスト状況(A)において前記実際の体積流量(QIst)が前記最小体積流量(QMin)よりも小さい場合に、前記エンジン回転数(nEng)を高めるように、前記車両ギヤ装置ギヤ段(GF)を低くすることで前記エンジンギヤ比(REng)を変更するよう前記サーボ制御装置(30)が形成されていることを特徴とする上記19.~21.のいずれか1つに記載の油圧式のパワーステアリングシステム(200)。
23.衝突アシスト状況(A)において前記実際の体積流量(QIst)が前記最小体積流量(QMin)よりも小さい場合に、前記エンジン回転数(nEng)を高めるように、エンジン制御装置(11)を介して前記駆動エンジン(10)を直接作動させるよう前記サーボ制御装置(30)が形成されていることを特徴とする上記19.~22.のいずれか1つに記載の油圧式のパワーステアリングシステム(200)。
24.特に上記1.~18.のいずれか1つに記載の方法を実行するのに適した、上記19.~23.のいずれか1つに記載の油圧式のパワーステアリングシステム(200)と、衝突警告信号(SCW)を設定する非常ブレーキ制御装置(20)とを有する、車両(100)、特に商用車両(100)。
【符号の説明】
【0063】
1 ステアリングホイール
2 油圧ポンプ
3 油圧管路
4 ステアリングギヤ装置
5 車輪
6 油圧液体
7 ステアリングブレース
8 操舵センサ
9 ポンプギヤ装置
10 駆動モータ
11 エンジン制御装置
12 データバス接続
13 車両変速ギヤ装置
14 ギヤ装置制御装置
15 駆動軸
20 非常ブレーキ制御装置(AEBS-ECU)
30 サーボ制御装置
100 車両
200 油圧式のパワーステアリングシステム
300 自動化された操舵システム
301 操舵制御装置(EMA-ECU)
302 電気モータ
A 衝突アシスト状況
ALenk 操舵要求
GP ポンプギヤ装置ギヤ段
GF 車両ギヤ装置ギヤ段
HA リヤアクスル
K ポンプ特性線
L アイドリング
nPump ポンプ回転数
nEng エンジン回転数
nGear ギヤ装置出力回転数
O 衝突対象物
QIst 実際の体積流量
QMin 最小体積流量
REng エンジンギヤ比
RPump ポンプギヤ比
SLenk 操舵信号
SEng_in エンジン制御信号
SEng_out エンジン出力信号
SGear_in ギヤ装置制御信号
SGear_out ギヤ装置出力信号
SCW 衝突警告信号
VA フロントアクスル
vFzg 車両速度
vLenk 操舵速度
w 操舵角
St0,St1,St2,St2.1,St2.2,St3,St4,St5,St6,St7,St8 方法のステップ