(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】染料昇華カレンダー
(51)【国際特許分類】
D06C 23/00 20060101AFI20230301BHJP
D06B 11/00 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
D06C23/00
D06B11/00 E
(21)【出願番号】P 2019534940
(86)(22)【出願日】2017-12-28
(86)【国際出願番号】 IL2017051401
(87)【国際公開番号】W WO2018122854
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-10-07
(32)【優先日】2016-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517026014
【氏名又は名称】コーニット・デジタル・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】シモニ, アロン
(72)【発明者】
【氏名】フェルドマン, アロン
【審査官】鈴木 祐里絵
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-060008(JP,A)
【文献】特開2015-108206(JP,A)
【文献】米国特許第04195499(US,A)
【文献】特開昭48-033184(JP,A)
【文献】特開昭53-122884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F16/00-19/08
D06B1/00-23/30
D06C3/00-29/00
D06G1/00-5/00
D06H1/00-7/24
D06J1/00-1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維製品上に画像を固定/転写させるためのカレンダー装置であって、固定/転写は、染料昇華によって行なわれ、前記装置は、
繊維製品の投入のための繊維製品入口;
繊維製品出口;
カレンダーを含むヒートプレスであって、前記カレンダーが、ある長さを有する直線状の圧盤を含み、前記圧盤が、前記長さに沿って温度プロファイルを形成するために異なる位置で独立して加熱可能であるもの;
前記ヒートプレスを通って前記繊維製品入口から前記繊維製品出口に前記繊維製品を駆動するように構成された無端ベルトであって、前記ヒートプレスが、前記染料の昇華を起こすのに十分な温度に保持され、それにより前記画像を前記繊維製品上に固定させるもの;及び
前記無端ベルトをクリーニングして、前記染料の残留物を除去するように構成されたクリーニングステーションであって、前記繊維製品入口から前記繊維製品出口への前記繊維製品の経路が前記クリーニングステーションを通過しないように前記繊維製品出口の下流及び前記繊維製品入口の上流に位置されているもの
を含むカレンダー装置。
【請求項2】
前記繊維製品が、前記無端ベルトと物理的に接触しており、前記クリーニングステーションが、前記無端ベルトからの染料残留物をクリーニングするように構成されている、請求項1に記載のカレンダー装置。
【請求項3】
前記クリーニングステーションが、前記無端ベルトの表面の上を拭くことによってクリーニングするスキージーを含む、請求項1に記載のカレンダー装置。
【請求項4】
前記クリーニングステーションが、前記無端ベルトにクリーニング液を付与するためのアプリケーターを含む、請求項1に記載のカレンダー装置。
【請求項5】
前記無端ベルトが、滑らかな非吸収性表面を含む、請求項1に記載のカレンダー装置。
【請求項6】
前記無端ベルトが、吸収性材料を含む、請求項1に記載のカレンダー装置。
【請求項7】
クリーニングを助けるために前記無端ベルトの上のインク残留物の昇華を起こすための加熱ユニットを前記クリーニングステーションに含む、請求項1に記載のカレンダー装置。
【請求項8】
前記カレンダー装置が、第二無端ベルト及び第二無端ベルトクリーニングステーションをさらに含み、前記第二無端ベルトクリーニングステーションが、前記繊維製品出口の下流及び前記繊維製品入口の上流に位置される、請求項1に記載のカレンダー装置。
【請求項9】
昇華染料の固定/転写のためのカレンダー装置であって、
繊維製品の投入のための繊維製品入口;
繊維製品の排出のための繊維製品出口;
ヒートプレスであって、前記ヒートプレスが、ある長さを有する直線状の圧盤を含み、前記圧盤が、前記長さに沿って温度プロファイルを形成するために異なる位置で独立して加熱可能であるもの;
インクアプリケーター及び前記ヒートプレスを通って前記繊維製品入口から前記繊維製品出口に繊維製品を駆動するように構成された無端ベルトであって、前記ヒートプレスが、カレンダーを含み、前記ヒートプレスが、前記無端ベルトの上の前記繊維製品に圧力を付与するように構成され、前記ヒートプレスがさらに、前記染料の昇華を起こすために十分な温度に加熱され、それによ
り画像を前記繊維製品上に固定させるもの;及び
前記染料の昇華から生じる蒸気を除くための、前記ヒートプレスと共に位置された真空源
を含むカレンダー装置。
【請求項10】
前記繊維製品が、少なくとも一種の染料の付与中に前記無端ベルトと接触しており、前記無端ベルトからの染料残留物をクリーニングするために、クリーニングステーションが、前記繊維製品入口の上流及び前記繊維製品出口の下流に位置される、請求項9に記載のカレンダー装置。
【請求項11】
前記クリーニングステーションが、前記無端ベルトの表面の上を拭くことによってクリーニングするスキージーを含む、請求項10に記載のカレンダー装置。
【請求項12】
前記クリーニングステーションが、前記無端ベルトにクリーニング液を付与するためのクリーニングアプリケーターを含む、請求項10に記載のカレンダー装置。
【請求項13】
前記無端ベルトが、滑らかな非吸収性表面を含む、請求項9~12のいずれかに記載のカレンダー装置。
【請求項14】
前記無端ベルトが、吸収性材料を含む、請求項9~12のいずれかに記載のカレンダー装置。
【請求項15】
クリーニングを助けるために前記無端ベルトの上のインク残留物の昇華を起こすための加熱ユニットを前記クリーニングステーションに含む、請求項10~12のいずれかに記載のカレンダー装置。
【請求項16】
前記カレンダーが、第二無端ベルトを含む、請求項9に記載のカレンダー装置。
【請求項17】
カレンダー及び昇華染料を使用する方法であって、
繊維製品を無端ベルトと接触させること;
前記無端ベルトを使用してヒートプレスに対して前記繊維製品を駆動すること、ただし、前記ヒートプレスが、ある長さ及び前記長さに沿った複数の位置を有する直線状の圧盤を含み、前記圧盤が、前記長さに沿って温度プロファイルを形成するために異なる位置で独立して加熱可能である;
前記繊維製品の上で少なくとも一種の感温性染料の昇華を誘発させるのに十分な温度で前記ヒートプレスを維持し、それによ
り画像を前記繊維製品上に固定させること;
前記繊維製品を除去すること;及び
前記無端ベルトをクリーニングすること
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その一部の実施形態では、染料昇華を使用する繊維製品プリンター(textile printer)で使用するためのヒートプレス又はカレンダーに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル印刷は、グラフィック産業の異なる支流で伝統的な方法を置き換えてきた。この置き換えには多数の理由があり、主な原動力は、コスト効率、プリントを個人に合わせるための可能性、及びフレキシビリティである。
【0003】
繊維製品印刷ビジネスは、グラフィック産業の一部であり、同じ傾向が当てはまる。伝統的なスクリーン印刷は、多数の色及び写真画像を要求するプリント及び短い生産時間のためにインクジェット及び昇華印刷を使用するデジタル繊維製品印刷法によって置き換えられている。デジタルの選択は、プリントの個人化のために理想的であり、それは、今日極めて一般的である。
【0004】
昇華印刷は、感熱性インクを使用する技術である。これらのインクは、熱の影響下で気体に変わり、100%ポリエステル媒体のような種々の繊維製品媒体と組み合わされる。インクは、布の上の画像が多数回の洗濯後であっても色あせたり又はクラックを生じないように、実際には材料の構造の一部になることができる。インクは、転写紙又はブランケットを使用して繊維製品に転写されることができる。US20080229962A1(Sheddら)は、昇華転写紙の一例に関する。
【0005】
カレンダー加工は、繊維製品の仕上げプロセスとして使用され、一般的には材料を平滑化、被覆又は薄膜化したり、昇華インクが使用されるときに昇華を起こすために使用される。布は、ローラーを通って、又はローラーとドラムの間を通って、高い温度及び圧力でインクが付与される。高い温度は、迅速な昇華を生じ、インク蒸気雲に導く。蒸気は、繊維製品に戻り、画像をぼんやりとさせるか、又は作業者に対する呼吸問題を生じうる。
【0006】
布によって吸収されなかった過剰のインクは、画像にしみを付けないように吸収されることが必要である。従って、繊維製品は、移動ベルトの上に置かれ、紙(「保護/クラフト紙」)は、一般的に繊維製品とベルトの間に置かれてインクを吸収する。紙は、過剰のインクを拭きとり、廃棄され、新しい紙は、次のサイクルのために使用される。従って、次のサイクルは、クリーンなシステムで始まる。もし過剰のインクが継続中にまだ何らかの形で存在するなら、そのとき新しい画像のゴーストが発生する。従って各画像を新しい紙ですることが重要である。一つの実施では、布の上に作られるプリントの鏡像が転写紙の上に与えられる。転写紙は、布の上に置かれ、ヒートプレス又はカレンダーに移動され、昇華プロセスを実施して紙から布へと画像を転写する。かかる場合において、布の転写側は、新しい転写が使用されるときにカレンダーの上に配置される染料からいかなる場合も保護される。従って、布の新しい画像又は部分の上にゴースト発生の問題がない。しかしながら、転写紙から遠い布の他の側は、吸収されたインクの影響から保護されることが必要であり、これは、布に浸透する染料がカレンダー中に入って汚染することを防止するために別の保護紙を使用して達成される。
【0007】
インクが布の上に直接印刷される第二の実施(直接印刷)は、保護紙での布の両側からのカレンダーの保護を要求する。
【0008】
ベルトカレンダーは、2001年5月3日に出願された米国特許第7000536号(Markus Laitilaら)に開示されている。
【0009】
従って、現在の技術では、保護紙又は薄葉紙は、カレンダー又はヒートプレスにおける過剰の染料の吸収のために使用され、ドラム/圧盤及び/又はブランケットを過剰のインクから保護し、画像を汚れから保護する。紙は、一般的には布とドラムの間に位置され、布中に浸透しない過剰のインクを吸収する。
【0010】
保護紙は、昇華カレンダー又はヒートプレスプロセスの消費可能な廃棄製品である。好適な保護紙は、カレンダーの製造者によって与えられることが多い。
【0011】
紙を交換するための一定の要求は、不経済である。紙は、昇華による粒子の雲を制御することに何ら関係がない。
【発明の概要】
【0012】
本実施形態は、直接クリーニングされることができる無端供給ベルト、又は直接クリーニングされるドラムを与えることができる。従って、保護紙は、必要とされない。
【0013】
本実施形態では、ドラム又は圧盤は、移動ベルト、一般的には供給ベルトによって保護されることができるか、又は供給ベルト及び圧力ベルトが存在することができる。供給ベルトは、無端ベルトであり、ベルト、又は両ベルト、又はベルトとドラムのいずれかがそれらの作動時にクリーニングされることができる。供給ベルト(そのことについては圧力ベルト)は、布から過剰の染料を吸収する機能を果たすことができ、次の画像を形成する際に関与する前にクリーニングされることができる。
【0014】
本発明の一部の実施形態の態様によれば、昇華染料の固定/転写のためのカレンダーが提供され、それは、繊維製品入口;繊維製品出口;ヒートプレス又は加熱ドラム;前記ヒートプレスを通って前記繊維製品入口から前記繊維製品出口に前記繊維製品を駆動するための無端ベルトであって、前記ヒートプレスが、少なくとも一種の前記染料の昇華を起こすのに十分な温度に保持されているもの;及び前記無端ベルトをクリーニングするためのクリーニングステーションであって、前記繊維製品出口の下流及び前記繊維製品出口の上流に位置されているものを含む。
【0015】
一実施形態では、前記繊維製品が、前記ベルトと物理的に接触しており、前記クリーニングステーションが、前記ベルトからの染料残留物をクリーニングするように構成されている。
【0016】
一実施形態では、前記クリーニングステーションが、前記ベルトの表面の上を拭くことによってクリーニングするスキージーを含む。
【0017】
一実施形態では、前記クリーニングステーションが、前記ベルトにクリーニング液を付与するためのアプリケーターを含む。
【0018】
一実施形態では、前記ベルトが、滑らかな非吸収性表面を含む。
【0019】
一実施形態では、前記ベルトが、吸収性材料を含む。
【0020】
一実施形態は、クリーニングを助けるために前記無端ベルトの上のインク残留物の昇華を起こすための加熱ユニットを前記クリーニングステーションに含むことができる。
【0021】
一実施形態は、ドラム、及び前記ドラムの表面をクリーニングするためのドラムクリーニングステーションを含み、前記クリーニングユニットが、前記出口点の下流及び前記入口点の上流に位置されることができる。
【0022】
一実施形態は、ある長さを有する直線状の圧盤を含み、前記圧盤が、前記長さに沿って温度プロファイルを形成するために異なる位置で独立して加熱可能であることができる。
【0023】
一実施形態は、第二無端ベルト及び第二無端ベルトクリーニングステーションをさらに含み、前記第二無端ベルトクリーニングステーションが、前記出口点の下流及び前記入口点の上流に位置されることができる。
【0024】
本発明の第二態様によれば、昇華染料の固定/転写のためのカレンダーが提供され、それは、繊維製品入口;繊維製品出口;ヒートプレス;前記インクアプリケーター及び前記ヒートプレスを通って前記繊維製品入口から前記繊維製品出口に繊維製品を駆動するための無端ベルトであって、前記ヒートプレスが、前記ベルトの上の繊維製品に圧力を付与するように構成され、前記ヒートプレスがさらに、前記染料の昇華を起こすために十分な温度に加熱されるもの;及び前記染料の昇華から生じる蒸気を除くための真空源を含む。
【0025】
一実施形態では、前記繊維製品が、前記少なくとも一種の染料の付与中に前記ベルトと接触しており、前記ベルトからの染料残留物をクリーニングするために、クリーニングステーションが、前記繊維製品入口の下流及び前記繊維製品出口の上流に位置される。
【0026】
本発明の第三態様によれば、カレンダー及び昇華染料を使用する方法が提供され、それは、繊維製品を無端ベルトと接触させること;前記ベルトを使用してヒートプレスに対して前記繊維製品を駆動すること;前記繊維製品の上で少なくとも一種の感温性染料の昇華を誘発させるのに十分な温度で前記ヒートプレスを維持すること;前記繊維製品を除去すること;及び前記無端ベルトをクリーニングすることを含む。
【0027】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および/または科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および/または材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本明細書では本発明のいくつかの実施形態を単に例示し添付の図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の実施形態を例示考察することだけを目的としていることを強調するものである。この点について、図面について行う説明によって、本発明の実施形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【0029】
【
図1】
図1は、本発明の一般化された実施形態を示す簡略化ブロック図である。
【0030】
【
図2】
図2は、ドラム及び単一ベルトを有する、本発明の一実施形態を示す簡略化ブロック図である。
【0031】
【
図3】
図3は、ドラム、圧力ベルト、及び供給ベルトを有する、本発明の一実施形態を示す簡略概略図である。
【0032】
【
図4】
図4は、供給ベルト、圧力ベルト、及び圧盤を使用する、本発明の一実施形態を示す簡略概略図である。
【0033】
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態による、昇華インクを使用し、供給ベルト及び任意選択的に圧力ベルト及びドラムをクリーニングする方法を示す簡略化フローチャートである。
【0034】
【
図6】
図6は、昇華インクを使用し、ベルトを通して真空によって過剰の染料をポンピングする方法を示す簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、その一部の実施形態では、昇華染料の転写/固定のために使用されるヒートプレス又はカレンダーに関する。
【0036】
衣料の上を含む、繊維製品及び布帛の上のカレンダー印刷では、インクを付与された布帛は、高温のローラー又はドラムを通過し、圧力を付与される。一般的に、インクは、昇華インクであり、高温は、迅速な昇華を起こし、インク蒸気雲に導く。それは、問題であり、あるレベルの制御下で維持されるべきである。さらに、布帛によって吸収されない過剰のインクは、画像をだめにしないようにどこかに吸収されることが必要であり、それは、ゴースト発生を避けるために次の画像が処理される前に除去されることが必要である。
【0037】
本実施形態は、制御下で、インク蒸気を含む過剰のインクを維持する供給ベルトを与える。ベルトは、プロセスからの過剰のインクを吸収する仕事を実施することができる。吸収は、もしベルトが多孔性を有するなら助けられる。ベルトが十分に低い温度で保持されるか又はその温度に到達するなら、即ちベルトが十分なレベルの凝華を起こすのに十分なマージンで昇華温度より低い温度(一般的には100~120℃を越えない)にあるのなら、凝華が起こり、ベルトは、カレンダーの外側でこれらの温度に到達することができる。ベルトは、例えばクリーニングステーションで回転の間にクリーニングされることができる。クリーニングステーションは、ベルト表面を拭きとるか、及び/又はクリーニング液を使用するか、及び/又は加熱ユニットを使用するか、又は拭きとりとクリーニング液の使用と加熱を組み合わせることができる。
【0038】
蒸気雲の制御は、真空引きによって実施されることができる。多孔性ベルトの場合には、真空引きは、カレンダー内でベルトの背後から実施されることができる。滑らかなベルトの場合には、ベルト自体が、蒸気を閉じ込め、真空引きは、カレンダーの出口に付与されることができる。
【0039】
直線型のカレンダーは、温度プロファイルを固定/転写機に沿って設定することを可能にする。
【0040】
用語「カレンダー」は、本明細書では、熱の下で繊維製品を押圧するドラム及びローラーに関し、「カレンダー加工」は、カレンダー内での押圧の行為に関する。
【0041】
カレンダーは、ヒートプレスの一形態であり、本実施形態は、一般にインクの昇華をもたらすためのヒートプレスの使用に及ぶ。
【0042】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明及び/又は図面に示される構成及び要素の配置及び/又は方法の細部に必ずしも限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、あるいは、様々な方法で実施または実行される。
【0043】
図を参照すると、
図1は、本実施形態によるカレンダーの一般化された概略を示す簡略図である。機械10は、感熱性インク又は染料の染料昇華を使用した、ロールのような布、又は衣料形態のようなカット物における繊維製品の昇華プロセスのために意図される。機械10は、繊維製品が装置中に、特に無端供給ベルト14の上に挿入される挿入点12を含む。印刷は、インクジェットもしくはスクリーン印刷又は他の方法によるインクの付着を使用して実施されることができ、又は繊維製品への転写のために既に印刷された転写紙の挿入を含むことができる。用語「インク」及び「染料」は、本明細書では交換可能に使用されることが注意される。
【0044】
無端ベルトは、繊維製品を繊維製品挿入点12から駆動し、ヒートプレス20を通って最終的に繊維製品出口18に到着する。ヒートプレスは、高められた温度及び圧力レベルを繊維製品に付与することができ、染料のタイプに依存して、一般的に180~220℃の範囲である、染料(単数又は複数)の昇華を起こすのに十分な温度で保持される。ヒートプレスは、一般的には、しかし必須ではないが、カレンダーであることができる。転写の場合には、転写紙は、繊維製品とともにカレンダーに入り、画像の転写は、カレンダー内で行なわれることができる。
【0045】
画像は、ヒートプレスにおいて繊維製品の上に固定され、次いで繊維製品は、出口18でカレンダーから取り出される。無端ベルトは、クリーニングステーション22を通ってから挿入点12に向かって継続する。クリーニングステーションは、示されたように、出口の下流及び挿入点の上流に位置され、次の使用前に無端ベルトをクリーニングする。繊維製品は、ヒートプレス中にいながらベルトと物理的に接触すると、インク残留物がベルト上に残り、クリーニングステーションで除去される。
【0046】
クリーニングステーションは、ベルトを物理的にクリーニングすることができる。例えば、クリーニングステーションは、ベルトの表面の上を拭くことによって操作するスキージーを使用することができる。クリーニングは、乾式で実施されることができる。
【0047】
クリーニングステーション22は、代替的に又は追加的に湿式クリーニングを使用することができる。クリーニング液は、アプリケーターからベルトに直接付与されることができる。クリーニング液は、水又は他のいずれかの好適な溶媒であることができ、追加の洗剤及び/又はIPA(イソプロピルアセテート)及び/又はアセトンを含むことができる。
【0048】
さらに、上述の組み合わせを使用してもよく、そこではスキージーは、ベルトの表面の上をクリーニング液で拭くのに役立つ。
【0049】
ベルト自体は、一つの実施形態では、滑らかな非吸収性表面、Teflon(商標)を含む。かかる非吸収性表面は、特に物理的クリーニングのために好適である。
【0050】
代替的に、ベルトは、吸収性材料、例えば多孔性又はスポンジ状の材料を含むことができる。かかる材料は、湿式クリーニングのために好適である。かかる材料の例は、ポリウレタンを含む。
【0051】
実施形態では、供給ベルトは、多孔性材料からなることができ、クリーニングを必要とする他の表面は、滑らかな材料からなることができる。
【0052】
多孔性ベルトの場合には、雲を取り除くためにベルトを横切って真空を付与することができる。滑らかなベルトの場合、ベルト自体が蒸気雲を閉じ込めることができ、真空は、ヒートプレスの出口の真空源16で付与されることが必要であるにすぎない。
【0053】
クリーニングステーションは、クリーニング中にベルトを加熱するためのクリーニングステーション加熱ユニット24を含むことができる。その結果は、インク粒子のさらなる昇華であり、この時間は、ベルトをクリーニングする。
【0054】
前述したように、ヒートプレスは、カレンダーであることができる。以下により詳細に述べるように、カレンダーは、
図2に示されるようにドラム及びローラーによって、又は
図3のように二つのベルト、ドラム、及びローラーによって、又は
図4に示すように圧盤、ローラー、及びベルトによって形成されることができる。
【0055】
図5を参照すると、それは、カレンダー又はヒートプレス及び染料昇華を使用する昇華機械の使用を示す簡略フローチャートである。この方法は、繊維製品がベルトと物理的に接触するように入力位置で供給ベルトの上に印刷された繊維製品又は転写紙及び繊維製品を挿入すること(ボックス500)を含む。ボックス504で示されるように、カレンダーは、染料を十分な温度に加熱し、繊維製品がカレンダーに対してベルトによって押圧されるときに昇華を起こす。繊維製品は、ボックス506で示されるように取り除かれ、次いでベルトがクリーニングされる(ボックス508)。
【0056】
図6を参照すると、それは、本発明の代替実施形態の使用を示す簡略フローチャートである。再び、フローチャートは、カレンダー又はヒートプレス及び染料昇華を使用する昇華機械の使用を示す。この方法は、繊維製品がベルトと物理的に接触するように入力位置で供給ベルトの上に印刷された繊維製品又は転写紙及び繊維製品を挿入すること(ボックス510)を含む。ボックス514で示されるように、カレンダーは、染料を十分な温度に加熱し、繊維製品がカレンダーに対してベルトによって押圧されるときに昇華を起こす。ボックス516では、領域は、次いでインク昇華から蒸気を除去するように真空引きされる。多孔性ベルトの場合には、真空引きは、ベルトを通してカレンダーにおいて実施されることができる。滑らかなベルトの場合、ベルト自体がカレンダー内に蒸気を閉じ込めることができ、真空引きは、カレンダーの出口で実施されることができる。繊維製品は、次いでボックス518に示されるように除去される。一般的に、ベルトは、前のフローチャート及びボックス508のようにクリーニングされる。
【0057】
図2を参照すると、ドラム32及び無端供給ベルト34を有するカレンダー装置30の横断面が示されている。ドラムは、矢印36によって示されるように反時計廻りで回転する。ベルトは、ドラムのまわりで同じ方向に回転し、カレンダー装置の周囲のまわりで反対方向に回転する。繊維製品は、媒体挿入点36で挿入され、ベルト34によってドラム32のまわりで駆動され、媒体出口38で送出される。繊維製品は、ドラム32とベルト34の間に位置される。ドラム32は、ローラー39とともにカレンダーの一部であり、繊維製品を加熱、押圧し、インクの昇華を起こし、過剰のインクを布中に吸収させる。蒸気相にあるインクの一部は、ドラム又はベルトの上に収集することがあり、これがクリーニングが要求される理由である。任意の主蒸発ユニット40は、蒸気を取り除く。
【0058】
出口38での繊維製品の除去後、ドラムは、ドラムクリーニング蒸発ユニット42及びクリーニングユニット44の上に回転する。蒸発ユニットは、蒸気を取り除き、次いでクリーニングユニットは、スキージー46及び/又はクリーニング液アプリケーター48を使用してドラムの表面をクリーニングし、かくしてインク残留物が続く画像の上にゴーストを発生させることを防止する。
【0059】
同様のクリーニング機構がベルト34のために与えられる。出口38での繊維製品の除去後、ベルトは、蒸発ユニット50及びクリーニングユニット52の上に供給される。蒸発ユニットは、残留物の昇華を促進することを助け、次いでクリーニングユニットは、スキージー54及び/又はクリーニング液アプリケーター56を使用してベルトの表面をクリーニングし、かくしてインク残留物が続く画像の上にゴーストを発生させることを防止する。
【0060】
ベルトの上に残るいかなる残留物も識別するために任意選択的に検査カメラ58を与えてもよい。
【0061】
図3を参照すると、それは、本発明の実施形態による代替的なカレンダー装置60であり、そこでは繊維製品は、二つのベルト、即ち外側ベルト62と内側ベルト64の間に位置される。従って、繊維製品は、ベルトと物理的に接触しており、ドラム66と直接接触しない。
【0062】
ドラムは、矢印68によって示されるように反時計廻りに回転する。外側ベルト62は、ドラムのまわりで同じ方向に回転し、カレンダー装置の周囲のまわりで反対方向に回転する。内側ベルト64は、ドラムと同じ方向に回転する。繊維製品は、媒体入口70に挿入され、内側ベルト62及び外側ベルト64によってドラム66のまわりで駆動され、媒体出口72で送出される。繊維製品は、内側ベルトと外側ベルトの間に位置され、従ってドラムに接触しない。ドラム66は、ローラー74及び76とともにカレンダーの一部であり、カレンダーは、繊維製品を加熱、押圧し、インクの昇華を起こし、過剰のインクを内側ベルト又は外側ベルトの上に収集させる。主要蒸発ユニット78は、インクを昇華させる。
【0063】
出口72での繊維製品の除去後、内側ベルトは、内側ベルトクリーニング蒸発ユニット80及びクリーニングユニット82の上に供給される。蒸発ユニットは、内側ベルトから蒸発気を取り除き、次いでクリーニングユニットは、スキージー84及び/又はクリーニング液アプリケーター86を使用して内側ベルトの表面をクリーニングし、従ってインク残留物が続く画像の上にゴーストを発生させることを防止する。
【0064】
同様のクリーニング機構が外側ベルト62のために与えられる。出口38での繊維製品の除去後、ベルトは、外側ベルトクリーニング加熱ユニット88及びクリーニングユニット90の上に供給される。加熱ユニットは、ベルトを加熱して残留物の昇華を起こし、次いでクリーニングユニットは、スキージー92及び/又はクリーニング液アプリケーター94を使用してベルトの表面をクリーニングし、かくしてインク残留物が続く画像の上にゴーストを発生させることを防止する。
【0065】
クリーニングされなかった外側ベルト62の上の残留物の領域を任意のカメラ96で観察してもよい。
【0066】
使用前に内側ベルト64を任意の加熱ユニット98で加熱してもよい。
【0067】
図4を参照すると、それは、本発明の実施形態による代替的なカレンダー装置100であり、そこでは繊維製品は、二つのベルト、即ち上側ベルト102(圧力ベルト)と下側ベルト104(供給ベルト)の間に位置される。この実施形態は、カレンダー加工のためのドラムの代わりに圧盤106を使用することができる。従って、繊維製品は、ベルトと物理的に接触しており、入口及び出口点は、カレンダーの反対側にある。両ベルトは、クリーニングされる。
【0068】
圧盤106は、両ベルトが繊維製品を運ぶ媒体入口108から出口110の方向に通りすぎるので固定したままである。繊維製品は、媒体入口108に挿入され、上側ベルト102及び下側ベルト104によって圧盤106の上を駆動され、媒体出口110で送出される。繊維製品は、上側ベルトと下側ベルトの間に位置され、圧盤106に接触しない。圧盤は、圧力を与えるために圧盤に対してベルトを押すローラー112及び114とともにカレンダーの一部である。加熱ユニット116は、圧盤106を加熱し、熱及び圧力は、インク残留物をベルトの上に集め、インクを昇華させる。任意の蒸発ユニット118は、ベルトを通して蒸気を吸引することができる。
【0069】
出口蒸発ユニット119は、蒸発気を取り除くためにさらに役立つことができる。出口110での繊維製品の除去後、下側ベルトは、下側ベルト加熱ユニット120及びクリーニングユニット122の上に回転する。加熱ユニット120は、下側ベルトを加熱して残留物の昇華を起こし、次いでクリーニングユニット122は、スキージー124及び/又はクリーニング液アプリケーター126を使用して下側ベルトの表面をクリーニングし、かくしてインク残留物が続く画像の上にゴーストを発生させることを防止する。
【0070】
同様のクリーニング機構は、上側ベルト102のために与えられる。出口110での繊維製品の除去後、上側ベルトは、上側ベルトクリーニング加熱ユニット128及びクリーニングユニット130の上に供給される。加熱ユニット128は、上側ベルトを加熱して残留物の昇華を起こし、次いでクリーニングユニット130は、スキージー132及び/又はクリーニング液アプリケーター134を使用してベルトの表面をクリーニングし、かくしてインク残留物が続く画像の上にゴーストを発生させることを防止する。
【0071】
クリーニングされなかった下側ベルト104の上の残留物の領域を任意のカメラ136で観察してもよい。
【0072】
図4の実施形態は、ドラムの代わりに圧盤を使用する。圧力ベルトは、繊維製品及び第一ベルトを圧盤に押すことによって繊維製品に圧力を与える。実施形態は、一連の加熱装置の直線状配置を可能にし、単一温度よりむしろ制御可能な温度プロファイルを与える。別個の加熱装置は、圧盤がその長さに沿った温度プロファイルを形成するように異なる位置で独立して加熱されることを可能にする。
【0073】
かかる温度プロファイルにより、昇華のために必要とされる高い温度は、走行の規定された部分でのみ付与されることが必要であり、異なる温度は、異なる目的を達成するように走行の他の部分で与えられることができる。特に、温度に対して特に感受性のある材料は、必要とする最小時間に対してのみ昇華するために必要とされる高温で維持されることができ、プロセスの長さ及び時間に対してより多くの制御がある。
【0074】
温度プロファイルは別として、この配置は、材料制御のために利点を持つ。繊維製品材料は、ドラム機械と同じ側に戻るというよりむしろ、一方の側から入り、反対側から出る。
【0075】
本出願から成熟する特許の存続期間の期間中には、多くの関連するヒートプレス及びカレンダー装置並びに異なる種類の昇華インク及び染料が開発されることが予想され、対応する用語の範囲は、すべてのそのような新しい技術を先験的に包含することが意図される。
【0076】
用語「含む/備える(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。
【0077】
用語「からなる(consisting of)」は、「含み、それらに限定される(including and limited to)」ことを意味する。
【0078】
本明細書中で使用される場合、単数形態(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。
【0079】
明確にするため別個の実施形態の文脈で記載されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されることもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態の文脈で記載されている本発明の各種の特徴は、別個にまたは適切なサブコンビネーションで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において好適であるように提供されることもでき、本明細書は、全てのかかる組み合わせが明白に書かれているかのように解釈されるべきである。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。
【0080】
本発明はその特定の実施態様によって記載してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。
【0081】
本明細書で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。節の見出しが使用されている程度まで、それらは必ずしも限定であると解釈されるべきではない。