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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20230301BHJP
   F21V 21/34 20060101ALI20230301BHJP
   F21V 21/00 20060101ALI20230301BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230301BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20230301BHJP
   F21W 131/103 20060101ALN20230301BHJP
【FI】
F21S2/00 612
F21V21/34 100
F21V21/00 110
F21Y115:10
F21Y103:10
F21W131:103
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020112874
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022022634
(43)【公開日】2022-02-07
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】安田 佳司
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3064659(JP,U)
【文献】国際公開第2019/081731(WO,A1)
【文献】特開2019-149316(JP,A)
【文献】特開2010-182520(JP,A)
【文献】特開平11-154411(JP,A)
【文献】特開2012-252928(JP,A)
【文献】特開2005-310442(JP,A)
【文献】特開2014-003035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-2/00,390
2/00,500-45/70
F21V 21/00-21/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一軸方向に長手の底壁部を有するケーシングと、
前記ケーシングに取り付けられた窓部材と、
複数の発光素子と、
前記複数の発光素子が搭載される支持面を有する支持板部と、前記支持板部と一体的に形成され前記複数の発光素子からの出射光を前記窓部材へ向けて反射する反射鏡部と、前記支持板部と一体的に形成され前記出射光のうち前記窓部材への所定方向からの入射を規制する遮光板部とを有し、前記ケーシングの内部に設置されたベース部材と
を有する装置本体と、
前記底壁部に取り付けられ、前記一軸方向にスライド可能に構成された一対の脚部と
を具備する照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記底壁部は、前記一軸方向に平行なガイド溝を有し、
前記一対の脚部は、前記ガイド溝に係合し前記ガイド溝に沿って相対移動可能な係合部を有する
照明装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の照明装置であって、
前記一対の脚部は、前記底壁部に対して前記一軸まわりに所定角度範囲で回動可能に構成される
照明装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の照明装置であって、
前記ケーシングは、前記底壁部を形成するメインブロックと、前記メインブロックの前記一軸方向の両端に固定される一対のサイドブロックとを有し、
前記メインブロックは、前記一軸方向に直交する断面形状が一様な成形体である
照明装置。
【請求項5】
請求項4に記載の照明装置であって、
前記一対のサイドブロックは、複数のネジ挿通孔を有し、
前記メインブロックは、前記一軸方向に貫通し前記複数のネジ挿通孔に挿通された複数のネジ部材がそれぞれ螺合する複数のネジ受け部を有する
照明装置。
【請求項6】
請求項5に記載の照明装置であって、
前記複数のネジ部材は、前記ネジ受け部に螺合するネジ溝部と、前記ネジ溝部の先端に設けられ前記ネジ受け部に挿通されるガイド軸部とを有する
照明装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の照明装置であって、
前記複数のネジ挿通孔にそれぞれ埋め込まれる複数の栓部材をさらに具備し、
前記複数の栓部材は、前記一軸方向に多段に配列され前記ネジ挿通孔の内周壁面に弾性的に接触する複数の環状突出部を有する
照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば高速道路の照明に用いられる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路などに設置される照明灯として、一般に、ポールを用いた高い位置から道路を照明する方式が用いられているが、住宅地域など道路外部への光漏れや、設置コスト、高所作業などの課題があった。そこで、近年、照明器具を路面から1m程度の低い位置に設置する方式の低位置照明方式の開発が進められている。
【0003】
この種の低位置照明装置として、例えば特許文献1には、照明装置本体の底部に、一対の脚部を備えた低位置照明方式の照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-352608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の照明装置においては、一対の脚部の取り付け位置が固定されているため、照明装置の設置部位に工作物等の障害物があると、当該障害物を避けて照明装置を安定に設置することが困難であるという問題がある。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、設置部位に障害物がある場合でも脚部を安定に設置することができる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る照明装置は、装置本体と、一対の脚部とを具備する。
上記装置本体は、ケーシングと、光源ユニットとを有する。上記ケーシングは、一軸方向に長手の底壁部を有する。上記光源ユニットは、上記ケーシングの内部に配置され、照明光を出射する。
上記一対の脚部は、上記底壁部に取り付けられ、上記一軸方向にスライド可能に構成される。
【0008】
上記照明装置によれば、一対の脚部がケーシングの底壁部に対してスライド可能に構成されているため、設置部位に障害物がある場合でも、当該障害物を避けて照明装置を安定に設置することができる。
【0009】
上記底壁部は、上記一軸方向に平行なガイド溝を有し、上記一対の脚部は、上記ガイド溝に係合し上記ガイド溝に沿って相対移動可能な係合部を有してもよい。
【0010】
上記一対の脚部は、上記底壁部に対して上記一軸まわりに所定角度範囲で回動可能に構成されてもよい。
【0011】
上記ケーシングは、上記底壁部を形成するメインブロックと、上記メインブロックの上記軸方向の両端に固定される一対のサイドブロックとを有し、上記メインブロックは、上記一軸方向に直交する断面形状が一様な成形体であってもよい。
【0012】
上記一対のサイドブロックは、複数のネジ挿通孔を有し、上記メインブロックは、上記一軸方向に貫通し上記複数のネジ挿通孔に挿通された複数のネジ部材がそれぞれ螺合する複数のネジ受け部を有してもよい。
【0013】
上記複数のネジ部材は、上記ネジ受け部に螺合するネジ溝部と、上記ネジ溝部の先端に設けられ上記ネジ受け部に挿通されるガイド軸部とを有してもよい。
【0014】
上記複数のネジ挿通孔にそれぞれ埋め込まれる複数の栓部材をさらに具備してもよい。上記複数の栓部材は、上記一軸方向に多段に配列され上記ネジ挿通孔の内周壁面に弾性的に接触する複数の環状突出部を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、設置部位に障害物がある場合でも脚部を安定に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る照明装置の斜視図である。
図2】(A)は上記照明装置の正面図、(B)はその底面図、(C)はその側面図である。
図3】上記照明装置の分解斜視図である。
図4】上記照明装置の道路への設置例を示す概略平面図である。
図5】上記照明装置の窓部材の開放状態を示す斜視図である。
図6図2(A)におけるA-A線断面図である。
図7】上記照明装置におけるケーシングを形成するメインブロックとサイドブロックとの固定用ネジ部材の正面図である。
図8】上記サイドブロックのネジ挿通孔に埋め込まれる栓部材の全体図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。
図9】上記照明装置における光学ユニットの斜視図である。
図10】(A)は、上記光学ユニットの平面図、(B)はその正面図である。
図11】(A)は、上記光学ユニットにおけるLED基板の発光素子搭載面を示す平面図、(B)はその側面図である。
図12】上記光学ユニットにおける出射光(照明光)の光線追跡図である。
図13】上記光学ユニットの構成の比較例を説明する光線追跡図である。
図14】上記光学ユニットの一作用を説明する光線追跡図である。
図15】(A)は、上記照明装置における脚部の正面図、(B)はその側面図である。
図16】上記脚部の平面図である。
図17】上記照明装置の一作用を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る照明装置100の斜視図、図2(A)はその正面図、図2(B)はその底面図、図2(C)はその側面図、図3はその分解斜視図である。図1および図3において、X軸、Y軸およびZ軸は相互に直交する3軸方向を示しており、X軸は左右方向、Y軸は前後方向、Z軸は高さ方向にそれぞれ相当する。
【0019】
本実施形態の照明装置100は、例えば高速道路などに設置される低位置照明灯として構成される。照明装置100は、装置本体10と、装置本体10を支持する一対の脚部81,82とを備える。装置本体10は、ケーシング110と、ケーシング110の内部に設置された後述する光学ユニット20、端子台31、電源ユニット32等の内蔵部品と、ケーシング110の内部を被覆する窓部材120とを有する。
【0020】
図4は、照明装置100の道路への設置例を示す概略平面図である。図中、W1は擁壁、W2は中央分離帯、Tz1は第一通行帯、Tz2は第二通行帯、Rsは路側帯である。同図に示すように、照明装置100は、窓部材120を中央分離体W2側に向けて、車両進行方向に所定の間隔をおいて擁壁W1に複数設置される。照明装置100は、光源ユニット20からの出射光Lを、窓部材120を介して、中央分離帯W2に向けて通行帯Tz1、Tz2に直交する方向に照射する。擁壁W1に対する照明装置100の設置高さは特に限定されず、例えば、1.2mである。照明装置100は、擁壁W1だけでなく、中央分離帯W2に設置されてもよい。
【0021】
[照明装置の全体構成]
図5は、図2(A)におけるA-A線断面図、図6は、窓部材120の開放状態を示す照明装置100の斜視図である。以下、図5および図6をも参照して照明装置100の全体構成について説明する。
【0022】
(ケーシング)
ケーシング110は、X軸方向に長手の概略直方体形状を有する。ケーシング110は、X軸方向に延在するメインブロック111と、メインブロック111のX軸方向両端に取り付けられた一対のサイドブロック131,132との3分割構造である。メインブロック111および一対のサイドブロック131,132は、例えばアルミニウム合金等の金属材料で構成される。
【0023】
メインブロック111は、アルミニウム合金等の金属材料で構成され、それぞれX軸方向に長手の上壁部S1および底壁部S2と、背面壁部S3とを有する断面略コの字形状に形成される(図5参照)。メインブロック111は、X軸方向に垂直な断面が一様な成形体で構成され、本実施形態では押し出し成形法により作製される。
【0024】
一方、窓部材120は、X軸方向に長辺を有する強化ガラスあるいは強化プラスチック等の透光性材料で構成される。窓部材120は、ケーシング110の正面形状(X軸方向から見た形状)と同様な形状に形成される。窓部材120は、背面壁部S3とX軸方向に対向するように、ケーシング110の正面側に取り付けられる。
【0025】
本実施形態において窓部材120は、ケーシング110に対して回動自在に取り付けられる。ケーシング110(メインブロック111)の上壁部S1には、窓部材120の上方側の長辺部を支持する複数のヒンジ部材71が取り付けられる。これにより、図6に示すように、窓部材120の回動操作によって装置本体10の内部を開放することができるため、装置本体10の内部に設置された光学ユニット20や端子台31、電源ユニット32等の内蔵部品のメンテナンス作業性が確保される。
【0026】
また、ケーシング110(メインブロック111)の底壁部S3には、窓部材120の下方側の長辺部を掛止可能な複数の止め具72が取り付けられている。止め具72は、ケーシング110側に取り付けられたリング部と窓部材120側に取り付けられたフック部とからなり、窓部材120がケーシング110を閉塞する位置で上記リング部とフック部とが相互に係合される。これにより、窓部材120の不用意な回動が阻止される。
【0027】
窓部材120は、図6に示すように、光学ユニット20からの出射光を透過させる窓部Wが形成される。窓部Wは、X軸方向に長手の矩形であり、光学ユニット20とY軸方向に対向する領域に部分的に形成される。窓部材120の窓部Wb以外の領域は、窓部材120の内面側に形成された黒色の遮光層Wbで被覆されている。遮光層Wbは、ケーシング110内の光学ユニット20に対応する領域以外の領域を外部から視認できないようにするためのものであり、ケーシング110あるいは光学ユニット20の大きさによっては、必要に応じて省略可能である。
【0028】
ケーシング110のメインブロック111は、上述のように、X軸方向に断面形状が一様な成形体で構成される。メインブロック111は、X軸方向に平行に延びる7つのガイド溝G1~G7を有する。具体的に、ガイド溝G1、G2およびG3は背面壁部S2の内面側に形成され、ガイド溝G4およびG5は底壁部S2の外面側に形成される。ガイド溝G6は上壁部S1の正面側端部に形成され、ガイド溝G7は底壁部S2の正面側端部に形成される。
【0029】
各ガイド溝G1~G7は、メインブロック111の幅方向(X軸方向)の全域にわたって形成される。このうち、ガイド溝G1~G5は、溝幅より開口幅を形成する返し部を有しており、各ガイド溝に嵌合するネジ部材あるいはボルト部材(以下、締結具ともいう)の頭部と係合可能に形成される。ガイド溝G6、G7は、メインブロック111と窓部材120との間に介装されるシールリング140の収容部を形成する。
【0030】
ガイド溝G1~G3は、メインブロック111の背面壁部S3の高さ方向(Z軸方向)に間隔をおいて設けられる。最上段に位置するガイド溝G1には、光学ユニット20および端子台31の上端をそれぞれ固定する複数の締結具F1(図6参照)の頭部が係合する。中央に位置するガイド溝G2には、光学ユニット20へ電力を供給する電源ユニット32を固定する複数の締結具の頭部が係合する。最下段に位置するガイド溝G3には、端子台31の下端を固定する締結具の頭部が係合する。上記各締結具は、それらの軸部にナット部材N1(図6参照)が螺着することで、光学ユニット20、端子台31および電源ユニット32をそれぞれガイド溝G1~G3に固定する。
【0031】
なお、電源ユニット32は、光学ユニット20と端子台31との間に配置される。端子台31は、一方のサイドブロック131に取り付けられたブッシュBを介してケーシング110の内部に挿通された電源ケーブルと電源ユニット32との間を電気的に接続する。
【0032】
ガイド溝G4,G5は、メインブロック111の底壁部S2の前後方向(Y軸方向)に間隔をおいて設けられる。各ガイド溝G4,G5には、装置本体10を擁壁W1に設置するための一対の脚部81,82を固定する締結具F2(図6参照)の頭部が係合する。各締結具F2は、その軸部にナット部材N2(図6参照)が螺着することで、一対の脚部81,82をそれぞれガイド溝G4,G5に固定する。なお、一対の脚部81,82は、前後方向に対向する2つの締結具F2によってそれぞれ固定される。
【0033】
メインブロック111はさらに、X軸方向に平行に延びる4つのネジ受け部H1~H4を有する。具体的に、ネジ受け部H1~H4は、X軸方向に軸心を有する部分円筒形状を有する。部分円筒形状とは、円周の一部が欠けた円筒形状をいう。
【0034】
ネジ受け部H1は、背面壁部S3におけるガイド溝G1の直上に形成される。ネジ受け部H2は、上壁部S1の正面側に形成される。ネジ受け部H3は、底壁部S2と背面壁部S3との境界部に形成される。ネジ受け部H4は、底壁部S2の正面側に形成される。これらネジ受け部H1~H4は、メインブロック111の幅方向(X軸方向)の全域にわたって形成されており、メインブロック111のX軸方向両端部に一対のサイドブロック131,132を固定する複数のネジ部材Pが螺合するネジ孔として機能する。
【0035】
一対のサイドブロック131,132は、X軸方向に相互に対向するケーシング110の両側壁を形成する。一対のサイドブロック131,132は、メインブロック111のX軸方向両端部に取り付けられ、当該両端部に対応する形状の開口部13Pをそれぞれ有する。サイドブロック131,132の各開口部13Pは、典型的には、シールリングを介してメインブロック111の両端部に固定される。上記シールリングは、それぞれ単独の部品で構成されてもよいし、シールリング140と一体的に形成されてもよい。
【0036】
一対のサイドブロック131,132の正面側端部には、シールリング140のX軸方向両端部の折り返し部を収容するガイド溝G8,G9がそれぞれ設けられる(図3参照)。ガイド溝G8,G9は、メインブロック111に設けられたガイド溝G6,G7に連続的に接続される。これにより、ケーシング110と窓部材120との間にシールリング140を安定に保持することができる。
【0037】
一対のサイドブロック131,132は、メインブロック111の各ネジ受け部H1~H4に対応する位置に形成された複数のネジ挿通孔M(図3参照)を有する。一対のサイドブロック131,132は、各ネジ挿通孔Mに挿通された複数のネジ部材Pにより固定される。
【0038】
図7は、ネジ部材PのY軸方向から見た正面図である。ネジ部材Pは、頭部P1と、ネジ受け部H1~H4に螺合するネジ溝部P2と、ネジ溝部P2の先端に設けられたガイド軸部P3とを有する。ガイド軸部P3はネジ溝を有しておらず、ネジ溝部P2よりも小さい軸径で形成される。
【0039】
ガイド軸部P3は、ネジ受け部H1~H4に対するネジ部材Pの位置決めを行うためのものである。つまり、メインブロック111へのサイドブロック131,132の固定時に、ガイド軸部P3がネジ受け部H1~H4に挿通されることで、ネジ部材Pがメインブロック111に対してX軸方向に平行な姿勢に維持される。これにより、サイドブロック131,132のネジ挿通孔Mが深く形成されている場合においても、ネジ部材Pによるサイドブロック131,132の固定作業を容易に行うことができる。
【0040】
装置本体10は、サイドブロック131,132の各ネジ挿通孔Mに埋設される複数の栓部材Tをさらに備える。栓部材Tは、ネジ挿通孔Mを介して装置本体10に雨滴等の水分が侵入するのを防止するためのシール部材として機能する。
【0041】
図8は、栓部材Tの全体図であり、(A)はY軸方向から見た正面図、(B)は、X軸方向から見た一方側の側面図である。栓部材Tは、弾性材料で構成され、X軸方向に軸心を有する円柱形状に形成される。栓部材Tは、柱状部T1と、柱状部T2の周囲に形成された複数の環状突出部T2とを有する。複数の環状突出部T2は、柱状部T2の軸心方向(X軸方向)に多段に配列され、ネジ挿通孔Mの内周壁面に弾性的に接触することが可能に構成される。
【0042】
以上のように、環状突出部T2を軸心方向に多段で配列することにより、ネジ挿通孔Mと栓部材Tとの環状の接触領域が軸心方向に複数形成されるため、ネジ挿通孔Mから装置本体10内への雨滴の侵入を効果的に阻止することができる。環状突出部T2の数は図示する3つに限られず、2つ又は4つ以上であってもよい。
【0043】
なお、成形体で構成されるサイドブロック131,132のネジ挿通孔Mは、その軸方向に金型の抜き勾配を有する。このようにネジ挿通孔Mにおける栓部材Tの接触領域全域に対して均一な押圧力を付与するため、栓部材Tは、ネジ挿通孔Mの底部に対向する一方側の端部T1が、他方側の端部T2よりも小径に形成される。本実施形態では、小径側の端部T1の中心に外方へ突出する膨出部T3が設けられる。膨出部T3の形状や大きさは特に限定されず、作業者の手指による感触で膨出部T3の存在を認識できることが好ましい。これにより、作業者の目視によらず小径側の端部T1を認識できるため、栓部材Tの挿入方向の誤認を防ぐことができる。
【0044】
(光学ユニット)
続いて、光学ユニット20の詳細について説明する。
【0045】
光学ユニット20は、照明装置100から出射される照明光源である。光学ユニット20は、図3および図6に示すように、ケーシング110の内部に設置され、ベース部材21と、複数のLED基板22とを有する。
【0046】
ベース部材21は、複数の発光素子を支持するLED基板22を支持するとともに、LED基板22からの出射光を窓部材120に向けて反射するリフレクタとしての機能を有する。ベース部材21は、ケーシング110の幅方向(X軸方向)に延在し、X軸方向に断面形状が一様なアルミニウム合金などの金属材料の成形体で構成され、本実施形態では押し出し成形法により作製される。
【0047】
図6に示すように、ベース部材21は、支持板部211と、反射鏡部212と、遮光板部213と、固定板部214と、脚板部215とを有し、これらが一体的かつX軸方に連続的に形成される。
【0048】
支持板部211は、LED基板22が搭載される支持面211aを有する。反射鏡部212は、支持板部211と一体的に形成され、LED基板22からの出射光を窓部材120へ向けて反射する。遮光板部213は、支持板部211と一体的に形成され、上記出射光のうち窓部材120への所定方向からの入射を規制する。固定板部214は、支持板部211と一体的に形成され、複数の締結具を介してケーシング110の背面壁部S3(ガイド溝G1)に固定される。脚板部215は、反射鏡部212に一体的に形成され、背面壁部S3に当接することでケーシング110に設置されるベース部材21の姿勢を保持する。
【0049】
図9は、光学ユニット20の斜視図、図10(A)は、光学ユニット20をZ軸方向から見た平面図、図10(B)は、光学ユニット20をY軸方向から見た正面図である。図11(A)は、LED基板22の発光素子搭載面を示す平面図、図11(B)はそのLED基板22の側面図である。
【0050】
LED基板22は、X軸方向に長辺を有する回路基板221と、回路基板221に搭載された複数の発光素子222とを有する。回路基板221は、X軸方向に長手の矩形状であり、その中央部には、ベース部材21の支持板部211に挿通された複数の締結具Vと螺着される複数の雌ネジ部材224がX軸方向に所定の間隔をおいて埋め込まれている。また、回路基板221の長手方向の一方側の端部には、電源ユニット32から延びる図示しない配線ケーブルとの接続用コネクタ223が搭載されている。本実施形態では、複数(本例では2つ)のLED基板22がX軸方向に整列して支持面211a上に搭載される(図3参照)。
【0051】
複数の発光素子222は、典型的には、LED(Light Emitting Diode)などの半導体発光素子であり、発光色は、典型的には、白色である。複数の発光素子222は、回路基板221上に長辺方向(X軸方向)に沿って所定の間隔をおいて単列で配置されるが、多列で配置されてもよい。LED基板22は、発光素子222の搭載面を反射鏡部212に向けて、支持板部211の支持面211a上に複数の締結具を介して固定される。
【0052】
ベース部材21の支持板部211は、ケーシング110の背面壁部S3に対向する第1長辺部L1と、その反対側の窓部材120に対向する第2長辺部L2とを有する(図10(A)参照)。LED基板22は、複数の発光素子222が回路基板221の一方側の長辺に偏って配列されており(図11(A)参照)、その一方側の長辺が支持板部211の第1長辺L1側に向くように支持板部211の支持面211a上に配置される。
【0053】
さらに支持板部211は、第1長辺部L1から第2長辺部L2に向かって下向きに所定角度傾斜しており、LED基板22を支持する支持面211aは支持板部211の下面側に設定される。これにより、照明装置100の正面から発光素子222が直接視認されるのを阻止でき、車両搭乗者から照明装置100を見た時の光のぎらつき(グレア)を抑えることができる。
【0054】
ベース部材21の反射鏡部212は、発光素子222からの出射光を窓部材120に向けてY軸方向に反射する。本実施形態において、反射鏡部212は、支持板部211の第1長辺部L1に連結され、支持面211aと対向する湾曲面212aを有する(図6参照)。反射鏡部212の光反射面が背面壁部S3に向かって凸なる形状の湾曲形状を呈することにより、発光素子222からの出射光を効率よく正面方向に反射することができる。LED基板22が支持板部211の下面側に搭載されるため、反射鏡部212は支持板部211の下方に配置される。
【0055】
図12は、光学ユニット20における出射光(照明光L)の光線追跡図である。同図に示すように、発光素子222からの出射光は、ベース部材21の反射鏡部212により照明装置100の正面方向に向けて反射され、窓部材120を透過して外部へ照射される。反射鏡部212が湾曲形状に形成されているため、発光素子222からの出射光のほぼ全てを正面方向に反射でき、これにより光の利用効率を高めることができる。
【0056】
出射光を反射する湾曲面212aは、例えば、鏡面処理あるいは金属箔や白色PET(ポリエチレンテレフタレート)の貼着等の光反射率を高める表面処理が施されている。なお、湾曲面212a以外のベース部材21の他の表面は黒色(例えば、アルマイト処理)に着色されており、ケーシング110内における迷光の反射を防ぐようにしている。
【0057】
ベース部材21の遮光板部213は、支持板部211の第2長辺部L2に設けられる。遮光板部213は、上述のように、発光素子222からの出射光のうち窓部材120への所定方向からの入射を規制する機能を有する。所定方向とは、窓部材120に対する入射角が所定角度以上の方向をいう。
【0058】
図13に示すように、遮光板部213が無い場合、発光素子222から支持板部211と平行に近い方向へ出射した光は、窓部材120および反射鏡部212を順次反射して、窓部材120へ比較的大きな入射角で再入射する場合がある。この場合、窓部材120へ再入射した光は、窓部材120から上方側へ向けて出射する。このような光は、道路外部への光漏れの原因となるため、極力防ぐ必要がある。
【0059】
そこで本実施形態の照明装置100においては、ベース部材21に遮光板部213を設けることにより、図14に示すように、窓部材120へ再入射する光を下方側へ向けて反射する。これにより、窓部材120から意図しない所定方向への光の出射を防止することができる。遮光板部213の光入射面は、鏡面処理などを施してもよいが、迷光の発生を抑制する観点から、黒色に着色されているのが好ましい。
【0060】
ベース部材21の固定板部214は、支持板部211の第1長辺部L1に連結され、鉛直方向に垂直に立ち上げ形成される。固定板部214には、背面壁部S3のガイド溝G1に係合する締結具F1の軸部が挿通される複数の貫通孔U(図10(B)参照)がX軸方向に沿って間隔をおいて設けられている。各貫通孔Uに挿通された締結具F1の軸部にナット部材N1が螺合することにより、ベース部材21(光学ユニット20)がケーシング110の背面壁部S3に固定される。
【0061】
ベース部材21の脚板部215は、反射鏡部212の背面側からケーシング110の背面壁部S3に向かって突出するように設けられた平板部である。脚板部215の先端は、背面壁部S3の内面に当接しており(図6参照)、これにより、ベース部材21(光学ユニット20)のケーシング110内における固定姿勢が保持される。
【0062】
以上のように構成される本実施形態の光学ユニット20においては、ベース部材21の支持板部211、反射鏡部212および遮光板部213がそれぞれ一体的に形成されているため、支持板部211に搭載される発光素子222(LED基板22)、反射鏡部212および遮光板部213といった光学要素間の安定した相対的な位置決めが可能となる。したがって、これらの光学要素が別々にケーシング110に固定される場合と比較して、各光学要素の個体差や組み立て公差の影響による相対位置のばらつきの発生を抑制でき、各光学要素間における位置の微調整を不要とすることができる。
【0063】
特に、本実施形態のように一軸方向に長手の照明装置100においては、LED基板22を長手方向に複数搭載する必要が生じる。ここで、LED基板ごとに反射部材や遮光部材が別個の部品で構成される場合、上記の調整作業がより煩雑となり、照明装置の組立作業性の低下の要因となる。これに対して本実施形態によれば、ベース部材21が長手方向に断面形状が一様な成形体で構成されるため、複数のLED基板22について、支持板部211、反射鏡部212および遮光板部213といった光学要素を共通化でき、LED基板22ごとの光学要素間の相対位置の微調整が不要となり、組立作業性の大幅な改善が図れるようになる。
【0064】
また、本実施形態によれば、LED基板22、反射鏡部212および遮光板部213を単一の光学ユニット20によって一体化できるため、ケーシング110への設置も簡素化できる。これにより、組立作業性がさらに向上し、生産性および作業コストの改善が図れるようになる。
【0065】
さらに本実施形態によれば、光学ユニット20を固定する複数の締結具F1がケーシング110の背面壁部S3に形成されたガイド溝G1に係合しているため、ガイド溝G1に対して締結具F1をスライドさせることで、ケーシング110に対する光学ユニット20の位置を一軸方向に任意に調整することができる。端子台31および電源ユニット32についても同様に、ガイド溝G1~F3に沿って任意の位置に調整することができる。
【0066】
(脚部)
続いて、装置本体10の底壁部S2に設置される一対の脚部81,82について説明する。
【0067】
一対の脚部81,82は、照明装置100の長手方向中心に関して対称に構成される。一対の脚部81,82はそれぞれ同一の構造を有しており、本実施形態ではそれぞれ、L字形状のステンレス鋼等の金属材料からなる2つのブラケットを組み合わせて構成される。
【0068】
図15(A)は、脚部81,82の正面図、図15(B)はその側面図である。図16は、脚部81,82の平面図である。脚部81,82は、第1ブラケットBL1と、第2ブラケットBL2と、これらの間を接続する2つの締結具F3,F4とを有する。
【0069】
脚部81,82は、第1ブラケットBL1および第2ブラケットBL2の各々の垂直板部を、各々の水平板部が逆向きに延びるように相互に組み合わされる。第1ブラケットBL1の水平板部には、脚部81,82をケーシング110の底壁部S2に固定するための2つの締結具F2(図6参照)の軸部がそれぞれ貫通する2つの貫通孔803が設けられている。第1ブラケットBL1は、貫通孔803に挿通された締結具F2の軸部にナット部材N2(図6参照)が螺合することで、底壁部S2に固定される。
【0070】
一方、第2ブラケットBL2の水平板部には、設置部位(擁壁W1)の上面に設置され図示しないアンカーボルトが貫通する取付孔84が設けられる。取付孔804は、ケーシング110の長手方向(X軸方向)に長手の長孔で形成される。したがって、上記アンカーボルトの貫通位置は、取付孔804内においてX軸方向の任意の位置に調整することができる。
【0071】
締結具F3,F4は、第1ブラケットBL1および第2ブラケットBL2の各々の垂直板部を貫通するように取り付けられることで、各垂直板部を相互に固定する。締結具F4は、締結具F3の直下に配置されており、各垂直板部の締結具F4が貫通する貫通孔805は、図15(B)に示すようにケーシング110の前後方向(Y軸方向)に長手の長孔で形成される。このため、第2ブラケットBL2は、第1ブラケットBL1(ケーシング110の底壁部S2)に対して、締結具F3を中心としてX軸まわりに所定角度範囲で回動可能に構成される。所定角度範囲は、締結具F3,F4の軸間距離および貫通孔805の長手方向の長さに応じて任意に設定可能であり、例えば前後方向に10°ずつ(±10°)に設定される。これにより、装置本体10の仰角あるいは俯角を当該角度範囲において任意に調整することができる。
【0072】
ところで、脚部81,82をケーシング110の底壁部S2に固定する締結具F2は、ガイド溝G4,G5にそれぞれ係合する係合部として機能する。上述のように、ガイド溝G4,G5は、ケーシング110の長手方向(X軸方向)に連続的に延びるように形成される。したがって、ナット部材N2を緩めた状態で、締結具F2をガイド溝G4,G5に沿って一軸方向(X軸方向)にスライド自在に構成される。
【0073】
したがって本実施形態によれば、脚部81,82が設置される設置部位(擁壁W1の上面)に何らかの障害物(例えば、任意の工作物や擁壁W1を構成するブロック片の境界部など)が存在する場合でも、当該障害物と脚部81,82の干渉を回避できる任意の位置に一対の脚部81,82の相対位置を調整することができる。これにより、障害物を避けて一対の脚部81,82を設置部位に固定することができ、照明装置100の施工性を向上させることができる。
【0074】
典型的には、図17に示すように、一対の脚部81は、装置本体10の長手方向の中心位置を境に左右方向(図中矢印方向)に均等にスライドさせることで、各々の相対位置が調整される。スライド範囲は、ガイド溝部G4,G5の長さに応じて任意に設定可能である。なお、上記の例に限られず、一対の脚部81,82間の距離の中心が、装置本体10の長手方向の中心位置よりもいずれか一方側に偏っていてもよい。あるいは、上記中心位置よりも一方側の領域に、一対の脚部81,82の位置が調整されてもよい。
【0075】
[変形例]
以上の実施形態では、照明装置100が高速道路等の車道の低位置照明装置として構成されたが、これに限られず、広告や展示物などの照明装置としても本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
10…装置本体
20…光学ユニット
21…ベース部材
22…LED基板
81,82…脚部
100…照明装置
110…ケーシング
111…メインブロック
120…窓部材
131,132…サイドブロック
211…支持板部
211a…支持面
212…反射鏡部
213…遮光板部
214…固定板部
222…発光素子
F1,F2…締結具
G1~G5…ガイド溝
P…ネジ部材
S2…底壁部
S3…背面壁部
T…栓部材
図1
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