(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】触媒モジュール及びその適用
(51)【国際特許分類】
B01J 35/04 20060101AFI20230301BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20230301BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
B01J35/04 301Z
B01D53/86 222
F01N3/28 ZAB
F01N3/28 301P
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020118386
(22)【出願日】2020-07-09
(62)【分割の表示】P 2017504350の分割
【原出願日】2015-07-29
【審査請求日】2020-08-04
(32)【優先日】2014-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509032313
【氏名又は名称】コーメテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ディフランチェスコ、 クリス
(72)【発明者】
【氏名】プリチャード、 スコット
(72)【発明者】
【氏名】ハウエル、 エリック ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】フリーマン、 ジェレミー トーマス
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-017342(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0189948(US,A1)
【文献】特開昭56-089836(JP,A)
【文献】特開2006-122873(JP,A)
【文献】特開2002-336703(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第03505351(DE,A1)
【文献】特開昭53-003964(JP,A)
【文献】国際公開第2007/069500(WO,A1)
【文献】特開昭51-112483(JP,A)
【文献】特表2016-529432(JP,A)
【文献】特開平05-200294(JP,A)
【文献】特開平09-173867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
B01D 53/86 - 53/94
F01N 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒反応器であって、
前記触媒反応器の中に配列されて入口面が、前記触媒反応器に入る煙道ガスストリームの流れに直交する複数の別個の触媒モジュールを含み、
各触媒モジュールは、プリーツ形式で配列された一層の構造触媒体を含み、
前記構造触媒体はプリーツ入口面及びプリーツ出口面を形成し、
前記構造触媒体の内部隔壁が画定する流体流れチャネルが前記プリーツ入口面から前記プリーツ出口面まで延び、
前記プリーツ入口面は、前記触媒モジュールの入口面に対して5度から85度までの範囲にわたる角度(δ)を形成し、
前記触媒モジュールは条件:
【数1】
を満たし、
ここで、Wはモジュール幅であり、
nはプリーツの数であり、
プリーツ入口面の幅はsであり、
前記構造触媒体は、前記プリーツ入口面と前記プリーツ出口面との間に延びる深さ(d)を有し、
比d/sは0.005から0.05までの範囲にわたる、触媒反応器。
【請求項2】
前記一層は、50から85までの範囲にわたるパーセントオープンエリアを有する、請求項1の触媒反応器。
【請求項3】
前記触媒反応器は関係:
【数2】
を満たし、
xは0.001~0.1であり、
dpは、現場で測定された触媒反応器にわたる静圧(in-H
2O(水柱センチメートル/2.54))の差であり、
Pは、P=-ln(1-deNO
x/100)/マージンとして定義され、
deNO
xは触媒反応器のNO
x除去効率(%)であり、
マージンは、不活性化及び他の全面的なシステム要因に適用される従来の性能マージンであって、0.25から0.95までの範囲にわたる値であり、
u
infは、触媒反応器のすぐ上流の平均自由流速度(m/s)である、請求項1の触媒反応器。
【請求項4】
前記deNO
xは40~98%である、請求項3の触媒反応器。
【請求項5】
xは0.001から0.009までの範囲にわたる、請求項3の触媒反応器。
【請求項6】
xは0.002から0.06までの範囲にわたる、請求項3の触媒反応器。
【請求項7】
前記構造触媒体は少なくとも70セル/平方インチ(10.85セル/平方センチメートル)である、請求項6の触媒反応器。
【請求項8】
前記構造触媒体は75~325セル/平方インチ(11.6~50.4セル/平方センチメートル)である、請求項6の触媒反応器。
【請求項9】
前記煙道ガスストリームは固定燃焼源により与えられる、請求項1の触媒反応器。
【請求項10】
前記固定燃焼源は発電プラントである、請求項
9の触媒反応器。
【請求項11】
前記煙道ガスストリームは250ポンド/時(113キログラム/時)から10,000,000ポンド/時(4,535,924キログラム/時)までの流量を有する、請求項1の触媒反応器。
【請求項12】
前記煙道ガスストリームは少なくとも9,000ポンド/時(4,082キログラム/時)の流量を有する、請求項1の触媒反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は触媒モジュールに関し、詳しくは、構造触媒体をプリーツ配列で用いる触媒モジュールに関する。
【0002】
関連出願データ
本願は、2014年7月29日に出願された米国仮特許出願第62/030,427号の米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張し、その全体が参照によりここに組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
脱窒又は選択的触媒還元(selective catalytic reduction(SCR))の技術は一般に、窒素酸化物の触媒反応器を通過するときの除去を目的として燃焼由来の煙道ガスに適用される。脱窒は、一酸化窒素(NO)又は二酸化窒素(NO2)のような気体における窒素酸化物種とアンモニア又は尿素のような窒素含有還元剤との反応を含み、二原子窒素(N2)及び水の生成がもたらされる。さらに、触媒により分解されない煙道ガスの他の化学種を除去するべく、様々な吸収剤技術又は捕獲技術が使用される。
【0004】
触媒反応器との用語は一般に、触媒を含む容器を記載するべく使用される。触媒反応器は一般に、排気ガス流路を包含する触媒構造物を含み、当該流路によって排気ガスストリームと当該触媒構造物の触媒的に活性のコンポーネントとの接触が可能となる。モジュール触媒反応器の触媒構造物は典型的に、多数のモジュールセクションからなる。各モジュールセクションは、一定数の触媒体を所定位置に保持する金属支持フレームワークを含み、必要に応じて、当該触媒体を通過する排気ストリームの適切な流れ分布を目的として当該触媒体間にシーリング材料又はパッキング材料が使用される。触媒体は、触媒組成物を含み、当該触媒体を通る排気ガス流のための流れチャネル又は通路を画定する物理的構造を表示する。
【0005】
多くの場合、触媒反応器のモジュールセクションを通って流れる排気ガスストリームは圧力降下を経験する。圧力降下は、排気ガスストリームの流れを妨害し又は抵抗する構造、摩擦力、及び他の因子からもたらされ得る。圧力降下は、様々な非効率性をもたらし、発電のような工業適用中に寄生電力損失を引き起こし得る。
【発明の概要】
【0006】
一側面において、触媒モジュール及び触媒反応器が与えられる。これらは、いくつかの実施形態において、流体ストリームの圧力降下に関連付けられる非効率性及び/又は問題を軽減する。例えば、ここに記載される触媒モジュール及び/又は触媒反応器は、窒素酸化物の選択的還元及び/又は他の還元反応における触媒反応触媒性能を低減又は実質的低減することなく、圧力降下を減少させ得る。触媒モジュールは、プリーツ態様で配列された一層の構造触媒体を含む。この構造触媒体はプリーツ入口面及びプリーツ出口面を形成し、当該構造触媒体の内部隔壁によって画定される流体流れチャネルが、当該プリーツ入口面からプリーツ出口面まで延びる。プリーツ入口面は、モジュールの内面に対して角度(δ)をなす。いくつかの実施形態において、角度(δ)は約5度から約85度の範囲にわたる。
【0007】
さらに、ここに記載される触媒反応器は、プリーツ形式で配列された一層の構造触媒体を含む少なくとも一つのモジュールを含む。構造触媒体はプリーツ入口面及びプリーツ出口面を形成し、当該構造触媒体の内部隔壁により画定される流体流れチャネルが、当該プリーツ入口面からプリーツ出口面まで延びる。プリーツ入口面は、モジュールの内面に対して角度(δ)をなす。いくつかの実施形態において、角度(δ)は約5度から約85度の範囲にわたる。
【0008】
これら及び他の実施形態は、以下の詳細な説明においてさらに詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ここに記載の一実施形態に係るモジュールのプリーツ配列の構造触媒体を示す。
【
図2】モジュールにおける先行技術配列の構造触媒体を示す。
【
図3】ここに記載の一実施形態に係るハニカム状構造触媒体を示す。
【
図4】ここに記載の一実施形態に係る波形構造触媒体の一部分の断面を示す。
【
図5】ここに記載の一実施形態に係るモジュールのプリーツ配列の構造触媒体の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここに記載される複数の実施形態は、以下の詳細な説明及び例、並びにそれらの上記及び下記の記載を参照することにより容易に理解することができる。しかしながら、ここに記載される要素及び装置は、詳細な説明に提示される特定の実施形態に限られない。これらの実施形態が、本発明の原理の単なる例示であることを認識するべきである。多数の修正例及び適合例が、本発明の要旨及び範囲から逸脱することなく、当業者にとって容易に明らかとなる。
【0011】
I.
触媒モジュール
ここに記載される複数の実施形態は、以下の詳細な説明及び例、並びにそれらの上記及び下記の記載を参照することにより容易に理解することができる。しかしながら、ここに記載される要素及び装置は、詳細な説明に提示される特定の実施形態に限られない。これらの実施形態が、本発明の原理の単なる例示であることを認識するべきである。多数の修正例及び適合例が、本発明の要旨及び範囲から逸脱することなく、当業者にとって容易に明らかとなる。
【表1】
【0012】
ここで
図1を参照すると、構造触媒体から形成されたプリーツ触媒層の2プリーツセクションが示される。構造触媒体は、本発明の目的に矛盾しない任意数のプリーツを与えるように配列してよい。プリーツ形式を形成するときに、構造触媒体(12)は、モジュール(10)の内面(14)に対して角度(δ)をなすプリーツ内面(13)を与える。構造触媒体(12)が形成する個々のプリーツ入口面(13)は幅sを有し、流体に触媒層(11)を通過させるモジュールオープンエリア(moa)を与える。
図1における矢印(16)は、触媒体(12)が形成するプリーツ入口面(13)を通る流体の流れを示す。プリーツ入口面(13)が触媒モジュール(10)の入口面(14)から角度(δ)で配列されるので、流体ストリーム(16)は、構造触媒体(12)を通過するべくモジュール入口方向(17)から向きを変える必要がある。ここに記載されるように、流体は、プリーツ入口面(13)からプリーツ出口面(15)まで延びる内部隔壁が画定する流れチャネルを介して構造触媒体(12)を通過する。いくつかの実施形態において、プリーツ入口面(13)及びプリーツ出口面(15)を形成する構造触媒体(12)は、セメント又は接着剤によって互いに結合されてモノリシックなハニカム構造物を形成する。代替的に、プリーツ入口面(13)及びプリーツ出口面(15)を形成する構造触媒体(12)は、パッキング材料を介して互いから分離される。
図5は、ここに記載の一実施形態に係るモジュールのプリーツ配列の構造触媒体の斜視図を示す。
図5に示されるように、プリーツ入口面(13)及びプリーツ出口面(15)は、個々のハニカム構造触媒体(12)から形成される。
【0013】
触媒モジュール(10)は、本発明の目的に矛盾しない任意パーセントのオープンエリアを有してよい。例えば、いくつかの実施形態において、触媒モジュール(10)は、表IIから選択されたパーセントのオープンエリアを有する。
【表2】
図1を参照すると、触媒モジュールのパーセントオープンエリアは(moa/W)100として定義される。
【0014】
さらに、構造触媒体(12)の端は、入口面(13)と出口面(15)との間に延びる深さdを有する。深さdは、流体の通過が阻止されるモジュールブロックエリア(mba)を画定する。mba領域に入る流体は、プリーツ入口面(13)へと向き変更され、構造触媒体(12)を通るように流される。構造触媒体(12)のプリーツ配列はまた、深さD及びプリーツ幅Pも有する。ここで、モジュールの幅全体はWとなる。
【0015】
上述のパラメータが割り当てられると、触媒モジュールは、いくつかの実施形態において、以下の式(1)の条件を満たす。
【数1】
ここで、
図1に与えられるように、Wはモジュール幅であり、nはプリーツの数であり、sはプリーツ入口面の幅である。いくつかの実施形態において、W/2nsは表IIIから選択される値を有する。
【表3】
一般に、触媒体の圧力降下(ΔP
c)は、W/2nsに正比例する。しかしながら、プリーツ配列に起因する二次圧力損失(ΔP
m)も、触媒モジュールの最終設計において考慮する必要がある。二次圧力損失は、主に、ダクト内の自由流からモジュールのオープンエリアまでの流れエリアの収縮と、モジュールからダクトの自由流へと戻る膨張とによって生じ得る。付加的な二次損失も、流体ストリームの、触媒体表面入口平面への及び触媒体出口からの必要な向き変更に関連付けることができる。二次圧力損失は、δ、n及びsを含む適切なプリーツ幾何形状を選択することによって管理することができる。モジュール深さD
mもまた考慮する必要があり、所与の流体ストリーム処理用途のための実用限度内にする必要がある。
【0016】
さらに、触媒モジュールは、0.001から0.5までの範囲にわたる比d/sを示し得る。いくつかの実施形態において、比d/sは0.003から0.3までの範囲にわたる。上記条件の一つ以上を満たすことにより、構造触媒体のプリーツ配列を有する触媒層が、触媒性能を犠牲にすることなく、及び/又は触媒性能を維持するべくモジュールに著しい構造上の修正を必要とすることなく、モジュールを介しての圧力降下が低減され得ることがわかった。
【0017】
構造触媒体のプリーツ配列は、モジュールにおける触媒体の従来型配列に対して著しく対照的である。
図2は、モジュール(20)における従来型配列の構造触媒体(24)を示す。
図2は、先行技術の触媒モジュール(20)の入口側の平面図を示す。触媒モジュール(20)は、中に配置された構造触媒体(24)を支持するオープン金属フレームワーク(22)を含む。構造触媒体(24)は、触媒体の入口面がガス流の方向と直交するように隣り合わせで配列される。ガス流の方向に直交するとき、触媒体(24)の入口面はモジュール(20)の入口面と平行となるので、モジュールと触媒体入口面との角度は0度となる。
図2に与えられる触媒モジュール(20)は、フレームワーク(22)の開放的性質を示すべく、一部のみが触媒体(24)で充填される。触媒体(24)間には、流体ストリームの流れが触媒体(24)をバイパスするのを防止するべくパッキング材料が設けられる。
図2に示されるモジュールの有効触媒断面積は、モジュールフレームワーク(22)の断面積を超えることがない。
【0018】
ここに記載のプリーツ層に使用される構造触媒体は、流体ストリーム入口面と、流体ストリーム出口面と、当該入口面から当該出口面まで延びる内部隔壁が画定する流れチャネルとを含む。構造触媒体は、様々な流れチャネル構築物を示し得る。例えば、構造触媒体は、一の外周壁と、当該外周壁の中に配置された複数の内部隔壁とを含むハニカム設計を有し得る。
図3は、ここに記載の一実施形態に係るハニカム状構造触媒体を示す。
図3の構造触媒体(30)は、一の外周壁(31)と複数の内部隔壁(32)とを含む。内部隔壁(32)は、ハニカム状構造触媒体(30)を通るように長手方向に延びる複数の流れチャネル又はセル(33)を画定する。内部隔壁(32)及びその外周壁(31)との接合部は、隣接する流れチャネル(33)の境界として機能する。
図3に示されるハニカム状構造触媒体の流れチャネル(33)の断面形状は正方形であるから、内部隔壁(32)の幅は等しい又は実質的に等しい。
【0019】
流れチャネルの断面形状はまた、三角形、正方形、矩形又は六角形のような名目上の多角形としてもよい。いくつかの実施形態において、流れチャネルの断面形状は、円若しくは楕円、又は多角形及び環状扇形のような湾曲形状との組み合わせとしてもよい。さらに、触媒体の外周壁の外周の断面形状も、正方形、矩形、円、楕円、パイスライス若しくは四分円のような円形扇形、又は所与の用途に便宜な任意の他の単数若しくは複数の幾何学形状としてもよい。
【0020】
さらに、ここに記載のプリーツ配列において、波形構造触媒体も用いることができる。
図4は、ここに記載の一実施形態に係る波形構造触媒体の一部分の断面を示す。構造触媒体(40)の流れチャネル(41)は、内部隔壁(42、43)によって画定される。内部隔壁(42、43)及びその互いに接続又は交差する箇所は、隣接する流れチャネル(41)の境界として機能する。
図4に示されるように、波形触媒体(40)は、AとCとの間の距離によって画定される幅を有する平坦な内部隔壁(43)を含む。波形触媒体はまた、AとBとの間の距離によって画定される幅を有する湾曲した内部隔壁(42)も有する。さらに、例えば点A、B及びCにおいて内部隔壁(42、43)が相互に交差する箇所は、中心柱構造(46)を与える。
【0021】
ここに記載のプリーツ形式で配列された構造触媒体は、任意の所望されるセル密度又は流れチャネル密度を有し得る。例えば、構造触媒体は、50セル/平方インチ(cpsi)から900cpsiまでの範囲にわたるセル密度を有してよい。加えて、構造触媒体は、任意の所望される組成から形成されてよい。構造触媒体の組成は、構造触媒体の関心触媒反応、触媒表面積及びサイズ要件を含むいくつかの因子に応じて選択することができる。構造触媒体は、単機能又は多機能の触媒活性を示し得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、構造触媒体は、窒素酸化物の選択的触媒還元に適する。かかる実施形態において、触媒体は、50~99.9重量%の無機酸化物組成と、少なくとも0.1重量%の触媒活性金属官能基とを含む化学組成から形成してよい。無機酸化物組成は、チタニア(TiO2)、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)及び/又はこれらの混合物を含むがこれらに限られない。さらに、いくつかの実施形態において、触媒活性官能基は、金、白金、イリジウム、パラジウムオスミウム、ロジウム、レニウム、ルテニウム、五酸化バナジウム(V2O5)、酸化タングステン(WO3)、酸化モリブデン(MoO3)若しくは他の貴金属、又はこれらの混合物を含む。さらなる実施形態において、この化学組成は、二酸化ケイ素(SiO2)のような他の酸化物、ガラス繊維のような強化剤、及び/又は押出助剤を30重量%まで含んでよい。さらに、この化学組成は、実質的に均一となり得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、ここに記載のモジュールにおいて使用される構造触媒体は、米国特許第7,776,786号、第7,807,110号、第7,833,932号及び第7,390,471号のいずれかに記載される構造を有し、これらはそれぞれ、その全体が参照によりここに組み入れられる。加えて、構造触媒体は、米国特許出願公開第2012/0087835号に記載される構造を有してよく、これは、その全体が参照によりここに組み入れられる。
【0024】
いくつかの実施形態において、触媒モジュール、プリーツ触媒層及び関連構造触媒体は、発電プラントのような大規模固定燃焼源から発生する窒素酸化物の選択的触媒還元を含む工業流体処理用途での使用に適した設計及び寸法を有する。ここに記載の触媒モジュールは、HRSG又はガスタービン排気ガス処理システムにおいての用途を見出し得る。
【0025】
II.触媒反応器
他側面において、触媒反応器が与えられる。さらに、ここに記載される触媒反応器は、プリーツ形式で配列された一層の構造触媒体を含む少なくとも一つのモジュールを含む。構造触媒体はプリーツ入口面及びプリーツ出口面を形成し、当該構造触媒体の内部隔壁により画定される流体流れチャネルが、当該プリーツ入口面からプリーツ出口面まで延びる。プリーツ入口面は、モジュールの内面に対して角度(δ)をなす。いくつかの実施形態において、触媒反応器は、プリーツ形式で配列された一層の構造触媒体を含む複数のモジュールを含む。プリーツ形式及び関連構造触媒体は、上記セクションIに記載した任意の特性、構造及び/又は設計を有し得る。いくつかの実施形態において、触媒反応器のモジュールは、異なるプリーツ形式の触媒層を用いる。構造触媒体のプリーツ形式は、例えば、当該触媒反応器におけるモジュールの場所又は位置に固有の流体ストリームの流れ条件に合わせてあつらえることができる。
【0026】
プリーツ形式で配列された複数層の構造触媒体を含むモジュールを用いる触媒反応器は、いくつかの実施形態において、以下の式(2)の関係を満たす。
【数2】
ここで、xは0.001~0.1であり、
dpは、現場で測定された触媒反応器にわたる静圧(in-H
2O)の差であり、
Pは触媒
ポテンシャルである。ここで、P=-ln(1-deNO
x)/マージンであり、deNO
xは触媒反応器のNO
x除去効率であり、マージンは、不活性化及び他の
全面的なシステム
要因に適用される従来
の性能マージン(
ポテンシャルの増加)である。SCR反応器に対し、deNO
xは一般に40~98%の範囲にわたり、マージンには一般に0.25~0.95の値が割り当てられる。
u
infは、触媒反応器のすぐ上流の平均自由流速度である。平均自由流速度は、触媒反応器の入口面にわたる様々な場所で測定を行うことによって取得することができる。一般に、平均自由流速度は、0.1m/sから30m/sまでの範囲にわたる。
【0027】
いくつかの実施形態において、x<0.01である。上記関係を満たすことにより、触媒反応器は、モジュールの深さを実質的に増加させることなしに高い触媒
ポテンシャル及び触媒活性を維持しながら、所望の圧力降下値を達成することができる。したがって、ここに記載の構造触媒体のプリーツ配列を、既存のモジュール及び触媒反応器構造に適用することができる。触媒反応器が式(2)を満たすようにいくつかのパラメータを変えることができる。これらのパラメータは、構造触媒体が形成するプリーツの数、プリーツ角度、モジュール深さ(D
m)、及びモジュールオープンエリア(moa)を含む。さらに、式2に対して許容可能なxの範囲は、プリーツ形式で配列された構造触媒体のcpsiに応じて変わり得る。例えば、表IVは、式2のパラメータの値と、プリーツ形式で配列された触媒体のいくつかのcpsi値に対して得られたxの範囲とを与える。
【表4】
触媒体のcpsiは85未満又は900超過ともなり得るので、表IVのcpsi値は非制限的な例として用いられる。
【0028】
プリーツ形式で配列された複数層の構造触媒体を含むモジュールを用いる触媒反応器は、いくつかの実施形態において、以下の式(3)の関係を満たす。
【数3】
ここで、yは0.72未満であり、構造触媒体は200cpsiを超過する。
dpは、現場で測定された触媒反応器にわたる静圧(in-H
2O)の差であり、
【数4】
である。ここで、V
dotはNm
3/hr(立方メートル/時、0
oCに修正)単位の煙道ガスの体積流量であり、Vは触媒反応器の立方メートル単位の触媒体積であり、APは、単位体積当たりの研磨表面積(m
2/m
3)であり、
u
infは、触媒反応器のすぐ上流の平均自由流速度である。
いくつかの実施形態において、yは表Vから選択された値を有する。
【表5】
【0029】
ここに記載の触媒反応器は、様々な流体ストリーム処理用途において用いることができる。いくつかの実施形態において、触媒反応器は、排気ガス又は煙道ガスのストリームにおける窒素酸化物の選択触媒還元に用途が見出される。排気ガス又は煙道ガスのストリームは、発電プラント、及び/又は製造プロセスにおける炭化水素燃焼装置を含む工業固定燃焼源から発生し得る。例えば、排気ガス又は煙道ガスのストリームは、250ポンド(113キログラム)/時から10,000,000ポンド(
4,535,924キログラム)/時までの範囲にわたる流量で、ここに記載の触媒反応器及びモジュールに与えられる。いくつかの実施形態において、排気ガス又は煙道ガスのストリームは、表VIから選択される流量で、ここに記載の触媒モジュール及び触媒反応器に与えられる。
【表6】
さらに、触媒反応器及び関連モジュール並びにプリーツ層の構造触媒体は、中負荷ディーゼル(MDD)源及び高負荷ディーゼル(HDD)源を含む移動源によって発生する排気ガスストリームの処理に用途を見出し得る。例えば、ここに記載の触媒反応器及びモジュールは、オンロード、オフロード、海洋、並びに機関車MDD源及びHDD源の排気ガスストリームの処理に用途を見出し得る。
【0030】
発明の様々な実施形態が、本発明の様々な目的を達成するために説明されてきた。これらの実施形態が、本発明の原理の単なる例示であることを認識するべきである。多数の修正例及び適合例が、本発明の要旨及び範囲から逸脱することなく、当業者にとって容易に明らかとなる。