(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】車両用トランスミッション装置
(51)【国際特許分類】
F16H 1/32 20060101AFI20230301BHJP
B62M 6/55 20100101ALI20230301BHJP
F16H 37/06 20060101ALI20230301BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20230301BHJP
B62M 11/04 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
F16H1/32 B
B62M6/55
F16H37/06 D
H02K7/116
B62M11/04
(21)【出願番号】P 2020519290
(86)(22)【出願日】2018-10-04
(86)【国際出願番号】 GB2018052838
(87)【国際公開番号】W WO2019069084
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-10-01
(32)【優先日】2017-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514213693
【氏名又は名称】フリーフロー テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FREEFLOW TECHNOLOGIES LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ニール エドワーズ
(72)【発明者】
【氏名】ニール マクマーティン
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101857063(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0245386(US,A1)
【文献】特開平11-227665(JP,A)
【文献】特開平09-169290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
B62M 6/55
F16H 37/06
H02K 7/116
B62M 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの回転入力、及び少なくとも1つの回転出力を備えるトランスミッション装置であって、
前記回転入力のうちの1つの回転入力はハーモニックドライブであり、
前記ハーモニックドライブはフレックス・スプラインを有し、前記フレックス・スプラインは前記回転入力のうち他の回転入力における駆動アクスルを包囲し、
前記フレックス・スプラインは、ブラケットの周りに備え付けられ、かつ前記ブラケットに回転可能に連結される第1一方向クラッチ、及び前記ブラケット内に画定されるハウジング内に備え付けられる第2一方向クラッチに回転可能に連結され、
前記第2一方向クラッチは前記駆動アクスルに回転可能に連結され
、
前記フレックス・スプラインはその内部に軌跡座位を画定し、また前記軌跡座位内に前記第1一方向クラッチ及び/又は第2一方向クラッチが配置される、トランスミッション装置。
【請求項2】
請求項1記載のトランスミッション装置において、前記フレックス・スプラインは前記第1一方向クラッチの外側レースに固定される、トランスミッション装置。
【請求項3】
請求項1
又は2記載のトランスミッション装置において、前記フレックス・スプラインはその内部に軌跡座位を画定し、また前記軌跡座位内に前記ブラケットがほぼ配置される、トランスミッション装置。
【請求項4】
請求項1~
3のうちいずれか1項記載のトランスミッション装置において、前記フレックス・スプラインはその内部に軌跡座位を画定し、また前記軌跡座位内に電動モータがほぼ配置される、トランスミッション装置。
【請求項5】
請求項1~
4のうちいずれか1項記載のトランスミッション装置において、前記ブラケットは、円筒形一方向クラッチハウジング及び円筒形一方向クラッチマウントを有する、トランスミッション装置。
【請求項6】
請求項1~
5のうちいずれか1項記載のトランスミッション装置において、前記ブラケットは、円筒形一方向クラッチハウジング及び円筒形一方向クラッチマウントを有し、また前記円筒形一方向クラッチマウント及び前記円筒形一方向クラッチハウジングはコラジアルである、トランスミッション装置。
【請求項7】
請求項1~
6のうちいずれか1項記載のトランスミッション装置において、前記ブラケットは、円筒形一方向クラッチハウジング及び円筒形一方向クラッチマウントを有し、また前記円筒形一方向クラッチマウント及び前記円筒形一方向クラッチハウジングはフランジによって覆うことができる、トランスミッション装置。
【請求項8】
請求項
7記載のトランスミッション装置において、円筒形マウント及びハウジング側とは反対側に前記フランジから円筒形突起が突出する、トランスミッション装置。
【請求項9】
請求項
8記載のトランスミッション装置において、前記円筒形突起は円筒形マウントより小さい直径である、トランスミッション装置。
【請求項10】
請求項
8又は
9記載のトランスミッション装置において、前記円筒形突起は円筒形ハウジングより小さい直径である、トランスミッション装置。
【請求項11】
請求項
8~
10のうちいずれか1項記載のトランスミッション装置において、前記円筒形突起はギアマウントを有する、トランスミッション装置。
【請求項12】
請求項1~
11のうちいずれか1項記載のトランスミッション装置において、さらに、クランク速度センサを備える、トランスミッション装置。
【請求項13】
請求項1~
12のうちいずれか1項記載の少なくとも1つのトランスミッション装置を有する車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は車両を対象とし、とくに、電動アシスト又は電気的動力源付きの自転車、この自転車に利用可能であるが他の用途にも適用可能であるトランスミッション装置、このような車両の制御システム、及び自転車のフレームを構成する方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
電動自転車は、人力ペダル及びクランクドライブと電動モータとの双方を使用するデュアル動力源付き車両の形態である。これら2つのドライブは、互いに独立して機能する、又は互いの原動力をともに増補するよう機能することができる。ユーザーは選択的に電動ドライブに関与させるよう選択することができる、又は測定したペダル速度、自転車速度、等々のような条件に基づいて電動ドライブを自動的に作動させることができる。
【0003】
電動ドライブは、数か所に配置することができ、後輪のハブを駆動することができかつこのハブ内に配置することができ、ペダルクランクに動力付与することができ、又は自転車のチェーンを駆動する2つの極限部間における幾つかのポイントに配置することができる。代替案としては前輪を駆動するものであるが、このことにはそれ自体欠点をもたらす。
【0004】
電源、通常は充電可能バッテリーを自転車に配置しなければならず、また通常は嵩張るバッテリーは後輪上方又はその周辺に配置される。
【0005】
ハーモニックドライブ(登録商標)は、このようなトランスミッション装置に対して電動入力を供給し、また主駆動アクスル(心軸)の外側周りにこれらを配置する方法として提案されたものである。
【0006】
しかし、現行の既知方法は、自転車フレーム内にそのポイントに装着するのが困難であり、乗る人が快適又は安定していると感ずるポイントを越えてQ値(すなわち、ペダルホールにおけるペダルクランクの外側面間の距離)を増大しがちであるため、満足のいかないものである。
【0007】
さらに、それらは、分解及び再組立ては複雑であり、ユーザーの局所的な自転車修理若しくはサービス作業員の能力を越えることがあり得るため、点検又は修理が困難であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様によれば、少なくとも2つの回転入力、及び少なくとも1つの回転出力を備えるトランスミッション装置であって、前記回転入力のうちの1つの回転入力はハーモニックドライブであり、前記ハーモニックドライブはフレックス・スプラインを有し、前記フレックス・スプラインは前記前記回転入力のうち他の回転入力における駆動アクスルを包囲し、前記フレックス・スプラインは、ブラケットの周りに備え付けられ、かつ該ブラケットに回転可能に連結される第1一方向(ワンウェイ)クラッチ、及び前記ブラケット内に画定されるハウジング内に備え付けられる第2一方向クラッチに回転可能に連結され、また前記第2一方向クラッチは前記駆動アクスルに回転可能に連結される、トランスミッション装置を提供する。
【0009】
前記フレックス・スプラインは、前記第1一方向クラッチの外側レースに固着することができる。
【0010】
前記フレックス・スプラインは、その内部に軌跡座位を画定し、また前記軌跡座位内に前記第1一方向クラッチを配置することができる。
【0011】
前記軌跡座位内に前記第2一方向クラッチを配置することができる。
【0012】
前記軌跡座位内に前記ブラケットをほぼ配置することができる。
【0013】
前記軌跡座位内に前記電動モータをほぼ配置することができる。
【0014】
前記ブラケットは、円筒形一方向クラッチハウジング及び円筒形一方向クラッチマウントを有することができる。
【0015】
前記ブラケットは、円筒形一方向クラッチハウジング及び円筒形一方向クラッチマウントを有し、また前記円筒形一方向クラッチマウント及び前記円筒形一方向クラッチハウジングはコラジアルである。
【0016】
用語「コラジアル(co-radial)」とは、それら双方とも同軸状であり、それらが備え付けられている中心軸線から漸次に外方に配置されるものと理解されるであろう。
【0017】
前記ブラケットは、円筒形一方向クラッチハウジング及び円筒形一方向クラッチマウントを有することができ、また前記円筒形一方向クラッチマウント及び前記円筒形一方向クラッチハウジングはフランジによって覆うことができる。
【0018】
前記円筒形のマウント及び前記ハウジング側とは反対側に前記フランジから円筒形突起が突出することができる。
【0019】
前記円筒形突起は前記円筒形マウントより小さい直径とすることができる。
【0020】
前記円筒形突起は前記円筒形ハウジングより小さい直径とすることができる。
【0021】
前記円筒形突起はギアマウントを有することができる。
【0022】
トランスミッション装置はハイブリッド駆動車両に使用され得る構成とすることができ、その回転入力は、内燃機関動力、電気動力、人力、及びKERSよりなるグループから選択される動力からのものとすることができる。
【0023】
トランスミッション装置は、ハイブリッド駆動車両及びとくに電動自転車に使用され得る構成とすることができ、電動モータ回転入力及びペダルクランク構成からの人力回転入力を含むことができる。
【0024】
前記トランスミッション装置は全体的に円筒形とすることができる。
【0025】
前記トランスミッション装置は、ペダルクランクの幅を含まずに、170mmの最大長さを有することができる。
【0026】
前記トランスミッション装置は60mm~170mmの間における長さを有することができる。
【0027】
前記トランスミッション装置は108mm~127mmの間における長さを有することができる。
【0028】
前記トランスミッション装置は約125mmの長さを有することができる。
【0029】
前記トランスミッション装置は108mmの最大外径を有することができる。
【0030】
前記トランスミッション装置は68mm~108mmの間における外径を有することができる。
【0031】
前記トランスミッション装置は80mm~110mmの間における外径を有することができる。
【0032】
前記トランスミッション装置は約90mmの外径を有することができる。
【0033】
前記トランスミッション装置は、適当な標準フレームで形成した自転車の底部ブラケットシェル内に全体的に収納することができる。
【0034】
このような底部ブラケットシェルは140~172mmの間における対応するQ値を有することができる。
【0035】
前記底部ブラケットシェルは70mm~110mmの間における外径を有することができる。
【0036】
前記トランスミッション装置は、さらに、クランク速度センサを備えることができる。
【0037】
前記クランク速度センサは回転速度を導き出す磁場を採用することができる。
【0038】
前記クランク速度センサは回転方向を導き出す磁場を採用することができる。
【0039】
前記クランク速度センサは、電動モータによって得られる回転入力を制御するモータコントローラに供給することができる。
【0040】
本発明の第2態様によれば、第1態様による少なくとも1つのトランスミッション装置を有する自転車を提供する。
【0041】
本発明の第3態様によれば、第1態様による少なくとも1つのトランスミッション装置を有する車両を提供する。
【0042】
本発明の第4態様によれば、少なくとも2つの回転入力、及び少なくとも1つの回転出力を備えるトランスミッション装置であって、前記回転入力のうちの1つの回転入力はハーモニックドライブであり、前記ハーモニックドライブはフレックス・スプライン、及び電動モータを有し、前記トランスミッション装置は第1モジュール及び第2モジュールを備えるモジュール式構成を有し、前記第1モジュールは前記フレックス・スプラインを収容し、また前記第2モジュールは前記電動モータを収容し、前記2つのモジュールは選択的に着脱可能である、トランスミッション装置を提供する。
【0043】
前記第1モジュールは第1モジュール外側ハウジングを有することができる。
【0044】
前記第2モジュールは第2モジュール外側ハウジングを有することができる。
【0045】
前記1モジュール外側ハウジングは円筒形の形状を有することができる。
【0046】
前記2モジュール外側ハウジングは円筒形の形状を有することができる。
【0047】
前記2モジュール外側ハウジングは、該2モジュール外側ハウジングから突出するボスを有することができる。
【0048】
前記ボスは第1モジュール外側ハウジングの少なくとも一部分を収容し得るものとすることができる。
【0049】
一方の前記モジュールは、前記2つのモジュールを機械的に取り付けることができるよう該モジュールから突出する1つ又はそれ以上のピン又はボルトを有することができる。
【0050】
前記モジュールの他方は、前記ピン又はボルトに対応する収容開孔を有することができる。
【0051】
2つのモジュールを固定するのにナット又は他の適当な機械的緊締具を使用することができる。
【0052】
前記第1ワンウェイモジュールの前記ボス及び/又は前記外側ハウジングには、前記2つのモジュールを適正に整合させることができるソケット及び溝の形体を設けることができる。
【0053】
前記第1モジュールは、付加的に駆動アクスルを収容することができる。
【0054】
前記第1モジュールは1つ又はそれ以上の一方向クラッチを有することができる。
【0055】
前記第1モジュールはハーモニックドライブのフレックス・スプラインを収容することができる。
【0056】
前記第1モジュールは、ハーモニックドライブの円形スプライン、ウェーブ・ジェネレータ及びフレックス・スプラインを収容することができる。
【0057】
前記第2モジュールは電動モータを収容することができる。
【0058】
前記フレックス・スプラインは、ブラケットの周りに備え付けられ、かつ該ブラケットに回転可能に連結される第1一方向クラッチ、及び前記ブラケット内に画定されるハウジング内に備え付けられる第2一方向クラッチに回転可能に連結することができ、また前記第2一方向クラッチは前記駆動アクスルに回転可能に連結される。
【0059】
前記フレックス・スプラインは前記第1一方向クラッチの外側レースに固着することができる。
【0060】
前記フレックス・スプラインはその内部に軌跡座位を画定し、また前記軌跡座位内に前記第1一方向クラッチを配置することができる。
【0061】
前記軌跡座位内に前記第2一方向クラッチを配置することができる。
【0062】
前記軌跡座位内に前記ブラケットをほぼ配置することができる。
【0063】
底部ブラケットシェルの非チェーンリング側をカバーするよう該底部ブラケットシェルに取り付ける端部キャップを設けることができる。
【0064】
モジュール式構成によれば、トランスミッション装置の点検修理を可能にすることができる。
【0065】
第1モジュールはトランスミッション装置から簡単に取り外すことができ、この取り外しは、機械的な緊締具を外し、またこの緊締具をボス/底部ブラケットシェルから取り外すことによって行うことができ、またこの逆のやり方で再取り付けを行うことができる。
【0066】
本発明の第5態様によれば、第4態様による少なくとも1つのトランスミッション装置を有する自転車を提供する。
【0067】
本発明の第6態様によれば、第4態様による少なくとも1つのトランスミッション装置を有する車両を提供する。
【0068】
本発明の第7態様によれば、第1モジュール及び第2モジュールを備える電動自転車用のトランスミッション装置であって、前記第1モジュールは第1モジュール外側ハウジングを有し、前記第2モジュールは第2モジュール外側ハウジングを有し、前記1モジュール外側ハウジングは円筒形の形状を有し、前記2モジュール外側ハウジングも円筒形の形状を有し、前記2モジュール外側ハウジングは、該2モジュール外側ハウジングから突出するボスを有し、前記ボスは第1モジュール外側ハウジングの少なくとも一部分を収容し得るものである、トランスミッション装置を提供する。
【0069】
前記モジュールのうち一方のモジュールは、前記2つのモジュールの機械的取り付けを可能にするよう該モジュールから突出する1つ又はそれ以上のピン又はボルトを有することができる。
【0070】
前記モジュールのうち他方のモジュールは、前記ピン又はボルトのための対応する収容開孔を有することができる。
【0071】
前記2つのモジュールを固定するのにナット又は他の適当な機械的緊締具を使用することができる。
【0072】
前記第1ワンウェイモジュールの前記ボス及び/又は外側ハウジングには、前記2つのモジュールを適正に整合させることができるソケット及び溝の形体が設けることができる。
【0073】
前記第1モジュールは駆動アクスルを収容することができる。
【0074】
前記第2モジュールは駆動アクスル収容開孔を有することができる。
【0075】
前記第1モジュールは1つ又はそれ以上の一方向(ワンウェイ)クラッチを収容することができる。
【0076】
前記第1モジュールはハーモニックドライブのフレックス・スプラインを収容することができる。
【0077】
前記第1モジュールはハーモニックドライブの円形スプライン、ウェーブ・ジェネレータ及びフレックス・スプラインを収容することができる。
【0078】
前記第2モジュールは電動モータを収容することができる。
【0079】
前記フレックス・スプラインは、ブラケットの周りに備え付けられ、かつ該ブラケットに回転可能に連結される第1一方向クラッチ、及び前記ブラケット内に画定されるハウジング内に備え付けられる第2一方向クラッチに回転可能に連結され、また前記第2一方向クラッチは前記駆動アクスルに回転可能に連結することができる。
【0080】
前記フレックス・スプラインは前記第1一方向クラッチの外側レースに固着することができる。
【0081】
前記フレックス・スプラインはその内部に軌跡座位を画定し、また前記軌跡座位内に前記第1一方向クラッチを配置することができる。
【0082】
前記軌跡座位内に前記第2一方向クラッチを配置することができる。
【0083】
前記軌跡座位内に前記ブラケットを配置することができる。
【0084】
モジュール式構成により、トランスミッション装置の点検修理を可能にすることができる。
【0085】
第1モジュールはトランスミッション装置から簡単に取り外すことができ、この取り外しは、機械的な緊締具を外し、またこの緊締具をボス/底部ブラケットシェルから取り外すことによって行うことができ、またこの逆のやり方で再取り付けを行うことができる。
【0086】
本発明の第8態様によれば、第7態様による少なくとも1つのトランスミッション装置を備える自転車を提供する。
【0087】
本発明の第9態様によれば、第7態様による少なくとも1つのトランスミッション装置を備える車両を提供する。
【0088】
本発明の第10態様によれば、第4又は第7の態様によるトランスミッション装置を組み立てる方法を提供し、この方法は、前記第2モジュールを有する構成内に前記第1モジュールの円筒形ハウジングを軸線方向に滑り込ませることによって前記第1モジュールを前記第2モジュールに取り付けるステップと、前記第1モジュールと前記第2モジュールとの間に機械的緊締を行うステップと、を備える。
【0089】
前記第1モジュールの取付けは、該第1モジュールのハウジングが前記第2モジュールから突出するボスを少なくとも部分的に収容するよう行うことができる。
【0090】
前記第1モジュールに設けられるクランクアクスルは、前記第2モジュールに貫通して設けられるクランクアクスル開孔によって収容することができる。
【0091】
次に、底部ブラケットシェルを有する自転車内に前記トランスミッション装置を取り付け、この取り付けは、前記トランスミッション装置を前記底部ブラケットシェル内に挿入し、また前記トランスミッション装置を前記底部ブラケットシェル内に保持する1つ又はそれ以上の端部キャップを設けることによって行うことができる。
【0092】
当然のことながら、これらステップを逆にすることによってさらに分解方法を提供することができる。
【0093】
本発明の実施形態を単に例として次に示す図面につき以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【
図1】底部ブラケットシェル内に配置した本発明トランスミッション装置を有する電動自転車EBの側面図を示す。
【
図2】自転車フレームの底部ブラケットと並んで本発明によるトランスミッション装置の部分的に分解した斜視図を示す。
【
図3】自転車フレームの底部ブラケットと並んで本発明によるトランスミッション装置の部分的に分解した断面図を示す。
【
図4】ハーモニックドライブ及び電動モータを簡明にするため省略したトランスミッション装置の断面斜視図である。
【
図5】トランスミッション装置のブラケット及びスパイダアセンブリの斜視図である。
【
図6】トランスミッション装置のブラケット及びスパイダアセンブリの他の斜視図である。
【
図7】トランスミッション装置のモータアセンブリにおける斜視図及び縦断面図である。
【
図8】トランスミッション装置の変速機アセンブリにおける斜視図及び縦断面図である。
【
図9】トランスミッション装置のモータ変速機アセンブリにおける斜視図及び縦断面図である。
【
図10】トランスミッション装置の斜視縦断面図である。
【
図11】本発明によるトランスミッション装置における第2実施形態の概略図である。
【
図12】本発明によるトランスミッション装置における第3実施形態の概略図である。
【
図13】本発明によるトランスミッション装置における第4実施形態の概略図である。
【
図14】本発明によるトランスミッション装置における第5実施形態の概略図である。
【
図15】本発明のモジュール式装置の部分的分解斜視図である。
【
図16】本発明によるトランスミッション装置における第6実施形態の部分的分解縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0095】
表1:本明細書に付記した表1は
図4の図面における部品リストを示す。
【0096】
図10は、本発明によるデュアル動力源付き駆動トレインであり、参照符号100で示したトランスミッション装置を示す。トランスミッション装置100は、デュアル入力ドライブを自転車チェーンに組み込むことができる電動自転車EBに設ける。
【0097】
図10は、本発明によるデュアル動力付き駆動トレインであり、参照符号100で示したトランスミッション装置を示す。トランスミッション装置100は、デュアル入力ドライブを自転車のチェーンリング35に組み込むことができる電動自転車EBに設ける。
【0098】
トランスミッション装置への2つの回転入力は、電動モータ動力及び人力である。電動モータ102は、この実施形態におけるギアボックス(変速機)103を介する前者であるが、当業者には本発明がこのような入力に限定するものではないことは理解できるであろう。ペダルクランク3、4は人力回転及びトルクのトランスミッション装置100への伝動を可能にするが、当業者は、回転入力に関連する他の形態及び入力源も可能であり、また本発明の範囲内であることは理解するであろう。
【0099】
トランスミッション装置100は大部分が電動自転車EBの底部ブラケットシェル1内に収納される。
【0100】
主アクスル2は、底部ブラケットシェル1内に位置決めされ、またほぼトランスミッション装置100の領域内にある。ペダルクランク3、4は、底部ブラケットシェル1の区域外に位置する末端部分における主駆動アクスル2の各端部に(アクスルボルト5を使用して)取り付ける。
【0101】
ボルト33を使用して組み合わせられ、以下に二次アクスル又はブラケット101及びチェーンリング35と称されるスチール製のレース25及びアルミニウム製のスパイダ32は、
図10のレイアウトでトランスミッション装置100の右側に位置するペダルクランク4に隣接して備え付ける。二次アクスル101は二次アクスル及びスパイダとして機能する。これは、装置の回転入力が二次アクスル101/チェーンリング35に伝達され、これによりチェーン109を駆動するので、装置100の「駆動側」である。
【0102】
電動モータ102は、底部ブラケットシェル1内に位置付けられ、またモータ巻線13、モータローター磁石セット14、及びモータローター15を有し、電動モータの非駆動側は、軸受11を介して端部キャップ9に位置するモータマウント12に連結し、駆動側はハーモニック・ウェーブ・ジェネレータ16に連結する。
【0103】
モータ102は、乗り手がペダリングしているときの付加的支援を行うのに使用される。モータ102は、約3000~6000rpmで回転する3相DCモータとするのが好ましい。
【0104】
ハーモニックドライブは、内側のウェーブ・ジェネレータ16、ハーモニック・フレックス・スプライン17、及び外側のハーモニック・円形スプライン18による3つの主コンポーネントアセンブリからなる。ハーモニック・フレックス・スプライン17及び外側のハーモニック・円形スプライン18はギア歯を有し、1つの外側歯がハーモニック・円形スプライン18はギア減速をもたらし、ハーモニック・フレックス・スプライン17が各回転で1つ又はそれ以上の歯をやり過ごすのを可能にする。
【0105】
動作全体にわたり、ハーモニック・円形スプライン18は、静止状態に留まり、モータ102と駆動側の端部キャップ31との間に挟まれており、かつ非駆動側の軸受リテーナ19に貫通するトランスミッション中心リング10を介して直接モータ102に連結される。
【0106】
ウェーブ・ジェネレータ16の入力部は、モータ102によって直接駆動され、またモータ102と同一速度で回転する。ハーモニック・フレックス・スプライン17は、モータ入力回転速度を効率的に約50~66の係数で約80~90rpmに減速するのに使用される。速度トルク入力を所望出力に適合させる他のモータ/ハーモニックの組合せも可能である。
【0107】
歯数の比は次式のように減速比を計算する上で重要である。すなわち、
【0108】
【0109】
このハーモニック・フレックス・スプライン17は、スプラグクラッチの硬化鋼であるスチール製の外側レース21をボルト22で固定して収容し、この外側レース21はモータスプラグクラッチ23である第1一方向クラッチ23を収容し、この一方向クラッチ23は二次アクスル又はブラケット101を駆動する。モータ102及びハーモニックドライブ変速機103は、インラインで、すなわち同軸状に備え付けられる。外側サークリップ24を二次アクスルのスチール部分25の外側に配置し、ハーモニック・フレックス・スプラインが非駆動側に向ってモータ巻線13内に滑り込むのを防止する。
【0110】
図から分かるように、フレックス・スプライン17はその内部にフレックス・スプライン軌跡座位17aを画定し、また一方向クラッチ23をこの軌跡座位17a内に配置する。
【0111】
さらに、二次アクスル又はブラケット101は、ほぼこの軌跡座位17a内に配置する。
【0112】
端部キャップ9は、非駆動側に配置され、またモータ101、トランスミッション中心リング10、ハーモニック円形スプライン18、軸受リテーナ19及び駆動側の端部キャップ31とともに、トランスミッションボルト20にインラインにして固定し、トランスミッションアセンブリ100を形成する。
【0113】
回転軸受11は、モータマウント12を非駆動側に備え付け、また二次アクスル101を駆動側に備え付けるのに使用され、非駆動側端部キャップ9及び駆動側端部キャップ31内に拘束する。
【0114】
トランスミッション装置100が非アシストモードで使用するとき、すなわち、人力入力のみを使用して自転車EBを推進する場合、クランク3、4が標準アクスル2(ここでは直径19mmとして描かれている)を駆動し、この標準アクスル2が、標準チェーンリング35(一般的には4ボルト108BCD又は5ボルト110若しくは130BCD)を駆動する二次アクスル101を、1又は2つの簡単なスプラグを介して駆動する。
【0115】
この実施形態は、2つの市販の内側スプラグクラッチ28(肉厚)及び29(肉薄)を使用し、両側をスペーサ27(肉薄)及び30(肉厚)により内側サークリップ26で所定位置に保持し、19mm直径の主アクスル2に必要とされる増大したトルクを取り扱う。2つのスプラグクラッチ28、29をこの実施形態で採用するが、1つでも十分であり得る。
【0116】
図から、とくに
図4及び10から分かるように、スプラグクラッチ28、29もハーモニック・フレックス・スプライン17の軌跡座位17a内に配置する。2つのスプラグクラッチ28、29は駆動アクスル2及びブラケット又は二次アクスル101に回転可能に連結し、これによりクランク3、4の前方ペダリングが回転運動/トルクを駆動アクスル2から二次アクスル101に伝達させる。一方向スプラグクラッチ28、29を採用しているため、クランク3、4の後方ペダリングはこの連結を離脱させ、後方運動又は対向トルクがブラケット/二次アクスル101に伝達されるのを防止する。
【0117】
図から、とくに
図10から分かるように、一方向スプラグクラッチ23、28及び29は主アクスル2から半径方向外方に配置され、二次アクスル/ブラケット101は主アクスル2サイドの内側クラッチ28、29とフレックス・スプライン17サイドの外側クラッチ23との間に挟持する。このことにより、トランスミッション装置100のアクスル2に沿って測定される幅を減少し、したがって、自転車EBの底部ブラケットシェル1内でのより良い嵌合を可能にする。
【0118】
アクスル及びクランクは、代表的にはISIS、正方形テーパー、8スプライン又は同様のセットアップである標準構成のうち任意なものによって結合する。
【0119】
電動モータ102由来の回転入力は、所定速度に達したときのみ、又はユーザーが回転入力の形態として人力トルクを加えており、またしたがって前方に移動することを望んでいることを単に感知するときのみ係合することは重要であり、またさらに、電動モータ102由来の回転入力は、第2所定速度に達した後に離脱し、これにより電動自転車がこのような車両にとって違法又は不適切な速度にならないようにすることは望ましいものであり得る。
【0120】
速度感知は以下のようにして行われる、すなわち、ペダルクランク3、4が右側及び左側にあり、一般的にアルミニウム材料、したがって磁場に対して非透過性を示す鉄を含まない材料で構成する。
【0121】
速度センサ磁石6は、アルミニウム製の速度センサ磁石リテーナ7によりクランク4に固定する。この実施形態においてトランスミッション装置はクランク4における磁石/リテーナのみを有するが、他の実施形態において非駆動側に、又は双方の側に配置することができる。
【0122】
速度センサ(図示せず)は、速度センサ磁石6とは反対側の端部キャップに備え付け、また時計フェースにおけるような位置11及び1に配置して25mmを超えない距離で駆動側端部キャップ31内に配置され、速度センサ磁石6を形成するレアアース磁石から生ずる磁場を検出できるよう、セットアップ内に全体として静止状態にし、この検出は、双方とも中心アクスルの軸線から同一直径上に備え付けるから可能である。この実施形態において、このような速度センサを3個設ける。
【0123】
速度センサの個数を3つより多くするにより得られる運動の精度を増大させることは理解できるであろう。さらに、速度センサ磁石6及び速度センサをチェーンリング側とは反対側のクランク側に配置することは有益であり得る。
【0124】
二次アクスル101のアルミニウム部分は検出磁場内で回転するが、速度センサ34の磁場又は検出能力に干渉しない。
【0125】
クランク3、4が回転するにつれて速度センサ磁石6も回転し、また静止速度センサに向って回転するとき、磁場の強度は、速度センサ磁石6が速度センサ34の前面に直接位置するときピークまで増大する。速度センサ磁石6が速度センサ34を越えて遠ざかるよう回転を続けるとき、磁場の強度は低下する。
【0126】
速度センサ34は、自転車におけるメインの電子モータ制御回路板(図示せず)に直接接続し、またモータ制御回路板に対するオン/オフ信号の連続的データフィードは、クランク3、4がユーザー及び回転速度によって回転させられているか否かを回路板のコンピュータが知得できるアルゴリズムに供給する。
【0127】
クランク3、4が回転している、及び/又は十分な速度で回転していることを検出するとき、モータ40が作動して乗り手に対するモータアシストを提供するが、これはハーモニックドライブコンポーネント16及び18、モータスプラグクラッチ23を介して二次アクスル101のスチール部分25に、二次アクスル101のアルミニウム部分を介してチェーンリングに提供することができる。
【0128】
クランク3、4が回転を停止したこと、及び/又は不十分な速度で回転していることを検出とき、モータ102は不作動状態にされ、変速機103、外側スプラグクラッチを介して二次アクスル101のスチール部分への乗り手のモータアシストを停止することができる。
【0129】
第2実施形態のトランスミッション装置2100を
図11に示す。同一又は類似の機能を行う整数は「2」又は「20」を前置させた類似符号付けスキームを採用し、したがって、フレックス・スプラインは217となり、ブラケット/二次アクスルは2101となる。類似機能コンポーネントは、第1実施形態に関連する上述の説明から察することができるため、これ以上は説明しない。
【0130】
第2実施形態のトランスミッション装置2100は、同様にクランク203、204で動作する主クランク駆動アクスル202と、フレックス・スプライン217を有するハーモニックドライブユニットとを備え、フレックス・スプライン217は軌跡座位217aを画定する。
【0131】
ブラケット/二次アクスル2101は、ほぼフレックス・スプライン217の軌跡座位217a内に配置される。
【0132】
フレックス・スプライン連結部217bはフレックス・スプライン217に対して回転可能に連結する。第1一方向クラッチ223は、フレックス・スプライン連結部217bに回転可能に連結し、またブラケット2101の外側表面によって画定される円筒形マウント2101aの周りに備え付けることによってブラケット又は二次アクスル2101に回転可能に結合する。
【0133】
単一の内側一方向スプラグクラッチ228は、ブラケット2101内に画定される円筒形ハウジング2101bに回転可能に連結し、この内側一方向スプラグクラッチ228は、主クランクアクスル202に回転可能に連結する。
【0134】
ブラケット2101は、ほぼ中間ポイントにフランジ2101cを有し、このフランジ2101cはハウジング2101bを覆う。円筒形突出部2101cはブラケット2101から延在し、底部ブラケットシェル201から突出する末端部において円筒形突出部2101c上にスパイダ/チェーンリングを備え付ける。2個の簡単な軸受208、211は、クランクアクスル202の周り及び底部ブラケットシェルの側方オリフィス内に位置する円筒形突出部2101cの周り及びその内部に設ける。2個の対応する軸封250、251を簡単な軸受208、211に隣接して設け、外部異物が底部ブラケットシェル内に侵入するのを少なくする。
【0135】
この実施形態において、円筒形突出部2101cの直径は円筒形マウント2101aの直径よりも小さくする。さらにまた、円筒形ハウジング2101bの直径よりも小さくする。
【0136】
一方向スプラグクラッチ223、228の双方はフレックス・スプライン217の軌跡座位217a内に配置される。さらに、ブラケット102も主にこの軌跡座位217a内に配置されるが、円筒形突出部2101cは配置されない。
【0137】
なお、一方向スプラグクラッチ223、228はクランクアクスル202に対して同軸状にかつ半径方向外方に配置される。
【0138】
第3実施形態のトランスミッション装置3100を
図12に示す。同一又は類似の機能を行う整数は「3」又は「30」を前置させた類似符号付けスキームを採用し、したがって、フレックス・スプラインは317となり、ブラケット/二次アクスルは3101となる。類似機能コンポーネントは、第1及び/又は第2の実施形態に関連する上述の説明から察することができるため、これ以上は説明しない。
【0139】
第3実施形態は、幾つかの重要な相違があるものの、ほとんど第2実施形態に類似する。
【0140】
第1に、内側一方向スプラグクラッチ328が円筒形突出部3101c内に配置され、円筒形ハウジング2101b内の対応する簡単な軸受308と置換されている。
【0141】
第1一方向クラッチ323は、依然として円筒形マウント3101aの周りにかつフレックス・スプライン軌跡座位317a内に備え付けられる。
【0142】
第4実施形態のトランスミッション装置4100を
図13に示す。同一又は類似の機能を行う整数は「4」又は「40」を前置させた類似符号付けスキームを採用し、したがって、フレックス・スプラインは417となり、ブラケット/二次アクスルは4101となる。類似機能コンポーネントは、第1、第2及び/又は第3の実施形態に関連する上述の説明から察することができるため、これ以上は説明しない。
【0143】
第4実施形態は、主に、電動モータアセンブリ4101のコンポーネントを、フレックス・スプライン417が画定する軌跡座位417a内に収容する点で異なる。連結部417bはフレックス・スプライン417に取り付け、これは次に第1一方向スプラグクラッチ423に取り付け、これは次にブラケット/二次アクスル4101に取り付け、これは次に第2/内側一方向スプラグクラッチ428に取り付け、これは次に主ペダルクランクアクスル402に取り付ける。
【0144】
一方向軸受アセンブリはフレックス・スプライン417の軌跡座位417aの外側に配置されるが、この軌跡座位内へのモータコンポーネントの収容は同様の軸方向空間の節約効果を生ずることを理解されるであろう。
【0145】
第5実施形態のトランスミッション装置5100を
図14に示す。同一又は類似の機能を行う整数は「5」又は「50」を前置させた類似符号付けスキームを採用し、したがって、フレックス・スプラインは517となり、ブラケット/二次アクスルは5101となる。類似機能コンポーネントは、第1、第2、第3及び/又は第4の実施形態に関連する上述の説明から察することができるため、これ以上は説明しない。
【0146】
第5実施形態の装置5100において、装置の主なコンポーネントのすべてをフレックス・スプライン517が画定する軌跡座位517a内に収容する。この装置は、モータ自体を第4実施形態と同様のものとするが、軸受アセンブリを第1実施形態と同様のものとする。
【0147】
ウェーブ・ジェネレータのいずれか一方の側方に設けるスリップリング及びブラシ構成を使用して、第4及び第5の実施形態におけるモータに給電することができることを理解できる。
【0148】
上述した種々の実施形態のトランスミッション装置は、従来技術の装置に対して以下の幾つかの利点をもたらすことができる(第1実施形態からの符号付けを使用したが、これら利点は他の説明した実施形態にも当てはめることができる)。すなわち、
・トランスミッション装置100は290W及び190W定格のモータのように多数のモータサイズに適用できる。
・コンパクトサイズのトランスミッション装置100は、第1実施形態における約80mm~110mmの外径、とくに、約90mm及び108mm~127mmの長さ、とくに約125mmの長さである底部ブラケットシェル1の制約内に全体を配置できる。
・トランスミッション装置100は、自転車EBの外部で組み立てられる完全に十分検査されたユニットであり、また旧式自転車を使用して、必要とされるサイズの交換用底部ブラケットを既存フレームに溶接して電動自転車に転換することさえもできる。
・トランスミッション装置100は、駆動側からフレーム及び底部ブラケットシェル1内に組み付け、トランスミッションの中心リング10からフレームのダウンチューブ内まで突き出てMCBにさらに接続するようモータ/速度センサ用ハーネスに給電する。コンセントのポイントでケーブルを封止するグロメットを設けることができる。
・MCBは、着脱可能バッテリーに一体化するか、又はバッテリーとは個別に配置するかのいずれかとする。
・フレームの突起をフレームBBに使用して、所望のトランスミッション配置でアシストするとともに、フレーム底部ブラケットにおけるトランスミッション装置の回転を防止するのに役立てることができる。このことは、この実施形態では示さない。
・トランスミッション装置は、外側端部キャップ38を内側端部キャップ9(非駆動側)に固定する3~6個のボルトによって、組み合わせたユニットを封止する2つの「O」リング39で外側端部キャップ38(非駆動側)と端部キャップ31(駆動側)との間に底部ブラケット1を捕捉することによって、所定位置に固定することができる。
・代案として、外側端部キャップ38及び内側端部キャップ9にねじ山を設け、特別な回転工具によって固定し、またフレーム底部ブラケットを捕捉するLOCTITE(登録商標)接着剤に類似するねじ山接着剤とともに、緊密にねじ込むことによって固定することができる。
【0149】
この構成は、修理の必要性を生じた場合にトランスミッション装置全体を迅速に取外し及び交換することができ、サイクルショップ内のベンチ上で、又は基地に戻すタイプの作業でオリジナルのトランスミッションを修理することができる。
【0150】
図15は種々の実施形態におけるモジュール式構成を示し、第1又は「変速機」モジュール103及び第2又は「モータ」モジュール102を示す。
【0151】
図から分かるように、第1又は変速機モジュール103は主クランクアクスル2を収容し、また変速機モジュールハウジング110内にフレックス・スプライン17、第1一方向クラッチ213、ブラケット又は第2アクスル2101及び上述した種々の他のコンポーネントを設ける。第1モジュール103及びハウジング110はほぼ円筒形であることが分かる。
【0152】
第2又はモータモジュール102は電動モータを収容する。モータモジュール102はほぼ円筒形形状の外側ハウジング111を有する。ボス112は外側ハウジング111の第1端部113から延在する。クランクアクスル開孔114をモータモジュール102の中心に貫通させて設ける。
【0153】
電動モータのトロイダル出力軸116は、ボス112内でクランクアクスル開孔114周りに配置される。ソケット突起118は、出力軸116の最外側表面に形成され、第1モジュール103内に位置するハーモニックドライブコンポーネントと係合できるようにする。
【0154】
組み立てのため、第1モジュール103のクランクアクスル2は第2モジュール102のクランクアクスル開孔114内に挿通し、ボルト20を対応するボルト開孔(図示せず)に挿通する。これらは機械的緊締具、すなわちナット(図示せず)によって固定する。
【0155】
円筒形ハウジング110はボス112内に収容される。
【0156】
ボス112の内側表面112aは、第1モジュール102の案内突起120と連携動作する3つの整列溝112bを有し、2つのモジュール102、103の適正な相対向きを確実にする。
【0157】
内部リブ122をボス112内で第2モジュール102の側壁112a及び内側表面102aに隣接して設ける。整列位置収容窪み122aをリブ122の周りに設け、突起120収容する。
【0158】
トランスミッション装置100を形成するよう2つのモジュール102、103を互いに固定した後、自転車EBの底部ブラケットシェル1内に挿通することができる。端部キャップ38は、第1端部113から末端方向に位置する第2端部124でモータモジュール102上に位置決めする。端部キャップ38は底部ブラケットシェル1内の所定位置にトランスミッション装置100を固定する。
【0159】
分解は上述のステップを単に逆に行うことは理解できるであろう。トランスミッション装置100をシステムに対して取外し及び再挿入を行うことができる容易性は、保守及び修理に利点をもたらし、これはすなわち、どちらか一方の故障モジュール102、103又はトランスミッション装置100全体を容易に交換できるからである。
【0160】
このモジュール式構成原理は、上述した実施形態すべてに適用することができ、またハーモニックドライブをベースとする他のトランスミッション装置にも適用することができる。
【0161】
本発明によるトランスミッション装置は、5分以内で取外し及び新たに交換を行い、これにより乗り手は道路に戻ることができる一方、故障したトランスミッション装置を検査及び修理することが予想される。交換ユニットの在庫がある修理ショップはこのサービスを提供できる。
【0162】
第6実施形態のトランスミッション装置6100を
図16に示す。同一又は類似の機能を行う整数は「6」又は「60」を前置させた類似符号付けスキームを採用し、したがって、フレックス・スプラインは617となり、ブラケット/二次アクスルは6101となる。類似機能コンポーネントは、上述した実施形態に関連する上述の説明から察することができるため、これ以上は説明しない。
【0163】
第6実施形態6100は、一方向クラッチ623、628がブラケット/第2アクスル6101周りのフレックス・スプライン617の軌跡座位617a内でコラジアルに配列する点で大部分が第2実施形態2100に類似する。
【0164】
主な相違点はカラー602aを付加した点であり、このカラー602aは、主駆動アクスルの製造の一部分として機械加工するか、又は接着剤固定、熱収縮、キー連結、又は何らかの他の適当な固定方法で取り付けることができる別個のカラー部片とすることができる。
【0165】
カラー602aは、主アクスル602に備え付けた一方向クラッチ628の内側レース直径を増大させるのに採用される。このことは、トルクの取扱いを改善できるより大きい軸受を採用することを可能にする。このようなカラー602aは、アクスル602を底部ブラケットシェル601内に配置し、またクランク604とカラー602aとの間にフレックス・スプライン617及び他の部品の捕捉を支援する肩部を提供することもできる。
【0166】
本発明は上述した実施形態に限定するものではなく、構成又は細部を変更することができる。
【0167】
例えば、スプラグクラッチであるとして説明したが、当業者は、これに代えて他の一方向クラッチ/軸受を採用できることを理解するであろう。
【0168】
さらに、採用する速度センサは、磁気直交センサ及び/又はLED回転エンコーダを含む又はから成るものとすることができる。
【0169】
他のセンサはトランスミッション及び/又は車両/自転車に設け、以下のような量、すなわち、
・どのギアが自転車で投入されているか、
・自転車の仰角、
・自転車及び乗り手の重量、及び
・空気抵抗
といった量を測定するため、トランスミッション及び/又は車両/自転車に設けることができる。
【0170】
隣接構造として上述したが、ブラケット/二次アクスルは2つ以上のコンポーネントに分割することができ、これらコンポーネントをねじ山付き部分又はロックリング又は他の適当な緊締方法によって結合することができる。このことは、トランスミッション装置の製造又は保守修理を支援することができる。
【0171】
上述した実施形態それぞれの特徴を組み合わせて本発明の範囲内にある他の実施形態にできることは当業者には明らかであろう。
【0172】