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特許7235757喫煙品用フィルターまたはエアロゾル発生製品
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  • 特許-喫煙品用フィルターまたはエアロゾル発生製品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】喫煙品用フィルターまたはエアロゾル発生製品
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/04 20060101AFI20230301BHJP
   A24D 3/06 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A24D3/04
A24D3/06
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020542696
(86)(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 GB2018053051
(87)【国際公開番号】W WO2019081905
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2020-04-22
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-24
(31)【優先権主張番号】1717569.6
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ミア、レザウル
(72)【発明者】
【氏名】ヤニェス、イグナシオ スアレス
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】間中 耕治
【審判官】松下 聡
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-514472(JP,A)
【文献】特表2015-533512(JP,A)
【文献】特表2012-519497(JP,A)
【文献】特表2014-90720(JP,A)
【文献】特表2014-534818(JP,A)
【文献】特表2008-539717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/00 - 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フィルターセクションと第2フィルターセクションとを含み、第2フィルターセクションは第1フィルターセクションの下流に位置する喫煙品またはエアロゾル発生製品用フィルターであって、
第1フィルターセクションは、フィルター材と、添加剤を含む直径約2.0mm~約6.0mmの2つ以上のカプセルとを含み、使用時、添加剤が前記2つ以上のカプセルから放出される時、第1フィルターセクションのフィルター材の軸方向領域において添加剤の濃度が増加しやすいように、前記2つ以上のカプセルは、フィルターの長手方向軸に隣接する軸方向領域に配置され、軸に沿った方向において連続して間隔が空けられており前記カプセルを破裂させる前の第1フィルターセクションの圧力降下は、約85mm/Wg~約100mm/Wgであり、
第2フィルターセクションは、フィルターの長手方向軸に隣接する第2フィルターセクションの軸方向領域に位置する少なくとも1つの流路を含み、使用時にカプセルが配置された第1フィルターセクションの軸方向領域を介してエアロゾルを吸い込みやすくしており、
第1フィルターセクションのフィルター材は、約16mm~約19mmの円周を有し、約4.5dpf~約8dpfの繊維を有し、および約15,000~約25,000の総デニールを有する、又は
第1フィルターセクションのフィルター材は、約20mm~約22mmの円周を有し、約4.0dpf~約5.0dpfの繊維を有し、および約30,000~約35,000の総デニールを有する、又は
第1フィルターセクションのフィルター材は、約23mm~約25mmの円周を有し、約3.0dpf~約5.0dpfの繊維を有し、および約35,000~約40,000の総デニールを有するフィルター。
【請求項2】
第1フィルターセクションは、添加剤を含む2つのカプセルを含むことを特徴とする請求項1記載のフィルター。
【請求項3】
カプセルは風味剤を含むことを特徴とする請求項1または2記載のフィルター。
【請求項4】
風味剤は液体であることを特徴とする請求項3記載のフィルター。
【請求項5】
前記カプセルの1つの風味剤は、もう一方のカプセルの風味剤とは異なることを特徴とする請求項3または4記載のフィルター。
【請求項6】
カプセルは約14N~約18Nの破裂強度を有することを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載のフィルター。
【請求項7】
カプセルは球形であり、約2.7mm~約3.1mmの直径を有することを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載のフィルター。
【請求項8】
前記流路は第2フィルターセクションを通る中空の経路であることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載のフィルター。
【請求項9】
第2フィルターセクションは喫煙品に組み込んだ際に前記第1フィルターセクションのすぐ下流に第2フィルターセクションがなるように前記第1フィルターセクションに接続されることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載のフィルター。
【請求項10】
第2フィルターセクションは管状のフィルターセクションを含むことを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載のフィルター。
【請求項11】
各カプセルは異なる添加剤を含むことを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項記載のフィルター。
【請求項12】
カプセルは約2.8mm~約3.0mmの直径を有することを特徴とする請求項1乃至11いずれか1項記載のフィルター。
【請求項13】
第1フィルターセクションは、カプセルが潰される前に約80mm/Wg~約95mm/Wgの吸引抵抗(RTD)を有し、カプセルが潰された後に約90mm/Wg~約100mm/Wgの吸引抵抗(RTD)を有することを特徴とする請求項1乃至12いずれか1項記載のフィルター。
【請求項14】
カプセルはフィルターの中央長手軸に沿って配置されていることを特徴とする請求項1乃至13いずれか1項記載のフィルター。
【請求項15】
カプセルはフィルター材に埋め込まれていることを特徴とする請求項1乃至14いずれか1項記載のフィルター。
【請求項16】
請求項1乃至15いずれか1項記載のフィルターを含む喫煙品またはエアロゾル発生製品。
【請求項17】
第2フィルターセクションが前記第1フィルターセクションのすぐ下流で喫煙品またはエアロゾル発生製品の吸い口端に配置されていることを特徴とする請求項16記載の喫煙品またはエアロゾル発生製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は喫煙品用フィルターまたはエアロゾル発生製品フィルターを含む喫煙品またはエアロゾル発生製品に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ用フィルターなどの従来の喫煙品フィルターは、一般に繊維性セルロースアセテートからなる連続したトウを含む。セルロースアセテートは寄せ集められてロッドを形成し、切断されて個別のフィルターセクションを形成する。喫煙品フィルターはフィルターロッドからなる1つのセグメントから構成されてもよく、あるいは間にキャビティがあるまたはない複数のセグメントから構成されてもよい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施態様では第1フィルターセクションと第2フィルターセクションとを含み、第2フィルターセクションは第1フィルターセクションの下流に位置する喫煙品またはエアロゾル発生製品用フィルターが提供され、
第1フィルターセクションは、フィルター材と、添加剤を含む2つ以上のカプセルとを含み、カプセルはフィルターの長手方向軸に隣接する軸方向領域に配置され、軸に沿った方向において順番に間隔が空けられ、
第2フィルターセクションは、フィルターの長手方向軸に隣接する第2フィルターセクションの軸方向領域に位置する少なくとも1つの流路を含み、使用時にカプセルが配置された第1フィルターセクションの軸方向領域を介してエアロゾルを吸い込みやすくしている。
【0004】
第2フィルターセクションはセルロースアセテートなどのフィルター材を含み、少なくとも1つの流路はフィルター材の軸方向領域に位置する。
【0005】
少なくとも1つの流路は第2フィルターセクションのフィルター材の他の領域より通過する煙に対して抵抗が小さい。流路は第2フィルターセクションを通る中空の経路であってもよい。
【0006】
第2フィルターセクションは喫煙品に組み込んだ際に前記第1フィルターセクションのすぐ下流に第2フィルターセクションがなるように前記第1フィルターセクションに接続される。
【0007】
前記第1および/または第2フィルターセクションの前記フィルター材の軸方向領域は1mm~4mmの半径を有してもよく、および/または喫煙品の軸を中心にしてもよい。
【0008】
第1フィルターセクションはその軸方向領域に配置されたカプセルを有する連続したフィルター材を含んでもよい。第2フィルターセクションは管状のフィルターセクションを含んでもよい。管状のフィルターセクションは繊維性フィルター材から形成することができる。
【0009】
第2フィルターセクションは、使用時に第1フィルターセクションの非軸方向領域より第1フィルターセクションの軸方向領域を介してより多くの割合の煙を案内するように構成してもよい。
【0010】
第1フィルターセクションは連続したフィルター材を含んでもよい。第1フィルターセクションはセルロースアセテートフィルター材を含んでもよい。カプセルはフィルター材に埋め込まれてもよい。カプセルはセルロースアセテートに埋め込まれてもよい。
【0011】
第2フィルターセクションの少なくとも1つの流路は、第2フィルターセクションの中央長手方向軸に沿って配置してもよい。カプセルは第1フィルターセクションの中央長手方向軸に沿って配置してもよい。1つの実施態様では第2フィルターセクションの少なくとも1つの流路は、第2フィルターセクションの中央長手方向軸に沿って配置され、カプセルは第1フィルターセクションの中央長手方向軸に沿って配置される。
【0012】
カプセルは第1フィルターセクション内の長手方向中央位置以外の位置で第1フィルターセクション内に位置させてもよい。カプセルは第1フィルターセクション内の長手方向中央位置から1mm~10mm離れた位置で第1フィルター内に位置させてもよい。
【0013】
本発明のいくつかの実施態様ではここに記載したフィルターを含む喫煙品またはエアロゾル発生製品が提供される。
【0014】
第2フィルターセクションは前記第1フィルターセクションの下流に隣接し、喫煙品またはエアロゾル発生製品の吸い口端に位置してもよい。
【0015】
第1フィルターセクションは添加剤を含む2つ以上のカプセルを含む。風味剤などの添加剤がカプセル化されている。カプセルは第1フィルターセクションに外部から力が加えられると、消費者は添加剤を放出することができる。風味剤などの添加剤を放出させると、フィルターを通る煙が変性される。添加剤をカプセル化することで製造または貯蔵中の意図しない添加剤の放出または移動を妨げることができる。
【0016】
カプセルは壊れやすいカプセルであってもよい。カプセルが壊れやすいことによって消費者はカプセルを潰してカプセルの内容物、例えば添加剤または風味剤を放出することができる。2つのカプセルによってどの添加剤または風味剤を放出させるかおよび/またはどのくらい添加剤または風味剤を放出させるかの選択肢を消費者に与えることができる。例えば、2つのカプセルが同じ添加剤または風味剤を同じ量で含む実施態様では、両方のカプセルを潰すと1つのカプセルだけを潰した場合と較べて2倍の量の添加剤または風味剤が放出される。これとは別に異なる風味剤を含む2つのカプセルの実施態様では、消費者にどちらの風味剤を放出させるかまたは両方の風味剤を例えば同時に放出させるかの選択肢が与えられる。2つのカプセルによってフィルターが機能しなければならない圧力降下の範囲を大きくする(両方のカプセルを潰す、どちらか一方のカプセルを潰すまたは両方のカプセルを潰さない)。
【0017】
カプセルは添加剤を含む。例えば、カプセルは風味剤を含む。これら2つのカプセルは同じ風味剤または異なる風味剤を含んでもよい。これら2つのカプセルが同じ風味剤を含む場合、カプセルは同じ量または異なる量の風味剤を含んでもよい。
【0018】
風味剤は液体であってもよい。
【0019】
カプセルに使用される風味剤は喫煙品フィルターに使用するのに適したあらゆる風味剤であってもよい。例えば、風味剤はユーザーの感覚を高めるものであってもよい。好適な風味剤または風味料としてはメンソール、ミント、チョコレート、甘草、シトラス、レッドベリー、ブルーベリー、モヒート、バニラ、香辛料風味剤、植物精油または他の果物風味剤などが挙げられるが、これらに限定されない。具体的な組み合わせとしてはブルーベリーとモヒート、レッドベリーとメンソールまたはメンソールとブルーベリーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
カプセルの重量は好適なものであればよい。例えば、カプセルの重量は約9mg~約18mg、約11mg~約16mg、または約13mg~約14mgであってもよい。
【0021】
カプセルは、第1フィルターセクション内の長手方向中央位置以外の位置で第1フィルターセクション内に位置させてもよい。カプセルは第1フィルターセクション内の長手方向中央位置から1mm~10mm離れた位置で第1フィルター内に位置させてもよい。これとは別にカプセルは第1フィルターセクションの長手方向中央軸に沿って順番に配置してもよい。
【0022】
カプセルは、添加剤または風味剤がカプセル化された任意の好適な構造であってもよい。カプセルは外方シェルと添加剤または風味剤を含む内方の芯とを含んでもよい。外方シェルは実質的に連続したものであってもよい。外方シェルはカプセルの内側で添加剤または風味剤を封止するが、カプセル、例えば外方シェルは、外から力がカプセルに加えられた際に壊れるまたは破れて添加剤または風味剤を放出する。
【0023】
カプセルは、約0.8kp(8N)~約2.4kp(24N)、約1.2kP(12N)~約2.0kp(20N)、約1.4kP(14N)~約1.8kp(18N)または約1.60kp(16N)の破裂強度を有してもよい。
【0024】
カプセルは、任意の好適な形状、例えば球形、回転楕円形、円筒形または楕円形であってもよい。フィルターの軸に直交する断面は円形であってもよい。
【0025】
カプセルの直径は、フィルターの軸に直交するその断面の最大寸法として測定される。カプセルの直径は約2.0mm~約6.0mmであってもよい。これとは別にカプセルの直径は約2.2mm~約3.8mm、約2.4mm~約3.4mm、約2.6mm~約3.2mm、約2.7mm~約3.1mm、約2.8mm~約3.0mmまたは2.8mmまたは3.0mmであってもよい。
【0026】
第1フィルターセクションのフィルター材(そして第2フィルターセクションにフィルター材があればそれも)は、セルロースアセテートなどの任意の好適な1つ以上の材料を含んでもよい。
【0027】
フィルター材は、約16mm~約25mm、約16~約18mm、約19mm~約22mmまたは約23mm~約25mmの任意の好適な円周を有するがこれに限定されない。
【0028】
フィルター材の繊維の繊維デニールは、約3.0フィラメント当たりデニール(dpf)~約10.0dpf、約4.5dpf~約10.0dpf、約4.5dpf~約8.0dpf、約3.0dpf~約5.0dpfまたは約4.0dpf~約5.0dpfであってもよい。
【0029】
フィルター材の特定の繊維デニールと特定の円周の組み合わせは特に有用であることが判っている。特定の組み合わせは許容できるレベルのタール送出量を供し、同時にフィルター材にカプセルを組み入れるために採用される工程中にカプセルが潰れるのを妨げる。
【0030】
1つの実施態様では第1フィルターセクションのフィルター材の円周は約16mm~約18mmであってもよく、フィルター材の繊維の繊維デニールは約4.5dpf~約10.0dpfである。
【0031】
別の実施態様では第1フィルターセクションのフィルター材の円周は、約19mm~約22mmであってもよく、フィルター材の繊維の繊維デニールは約4.0dpf~約5.0dpfである。例えば、繊維デニールは約5.0dpfであってもよい。
【0032】
別の実施態様では第1フィルターセクションのフィルター材の円周は、約23mm~約25mmであってもよく、フィルター材の繊維の繊維デニールは約3.0dpf~約5.0dpfである。例えば、繊維デニールは約3.0dpfであってもよい。
【0033】
フィルター材の総デニールは、約12,000~約40,000、約15,000~約23,000、約25,000~約35,000または約35,000~約40,000であってもよい。
【0034】
フィルターの特定の円周と特定の総デニールの組み合わせは特に有用であることが判っている。特定の組み合わせは許容できるレベルのタール送出量を供し、同時にフィルター材にカプセルを組み入れるために採用される工程中にカプセルが潰れるのを妨げる。
【0035】
1つの実施態様では第1フィルターセクションのフィルター材の円周は、約16mm~約18mmであってもよく、フィルター材の総デニールは、約15,000~約23,000である。
【0036】
別の実施態様では第1フィルターセクションのフィルター材の円周は、約19mm~約22mmであってもよく、フィルター材の総デニールは、約30,000~約35,000である。例えば、総デニールは約30,000であってもよい。
【0037】
別の実施態様では第1フィルターセクションのフィルター材の円周は、約23mm~約25mmであってもよく、フィルター材の繊維デニールは、約30,000~約40,000である。例えば、総デニールは約40,000であってもよい。
【0038】
カプセルが潰される前の第1フィルターセクションの吸引抵抗(RTD)は、約75mm/Wg~約100mm/Wgまたは約80mm/Wg~約95mm/Wgであってもよい。
【0039】
カプセルが潰された後の第1フィルターセクションの吸引抵抗(RTD)は、約85mm/Wg~約110mm/Wg、約90 mm/Wg~約100mm/Wgであってもよい。
【0040】
1つの実施態様では第1フィルターセクションのフィルター材の円周は、約16mm~約18mmであってもよく、カプセルが潰される前のRTDは、約110 mm/Wg~約160mm/Wgである。
【0041】
別の実施態様では第1フィルターセクションのフィルター材の円周は、約19mm~約22mmであってもよく、カプセルが潰される前のRTDは約86mm/Wg~約94mm/Wgであり、および/またはカプセルが潰された後のRTDは約95mm/Wg~約100mm/Wgである。
【0042】
別の実施態様では第1フィルターセクションのフィルター材の円周は、約23mm~約25mmであってもよく、カプセルが潰される前のRTDは、約80mm/Wg~約85mm/Wgであり、および/またはカプセルが潰された後のRTDは、約86mm/Wg~約92mm/Wgである。
【0043】
可塑剤を繊維に加えてもよい。好適な可塑剤としてはトリアセチンが挙げられるが、これに限定されない。繊維に加える可塑剤の量は重量で繊維の約2%~約10%または約3%~約6%(wt/wt)であってもよい。
【0044】
フィルターは第1フィルターセクションと第2フィルターセクションとを含み、第2フィルターセクションは第1フィルターセクションの下流に位置する。第1フィルターセクションは、2つのカプセル、例えば第1カプセルと第2カプセルとを含み、これらはフィルターの軸に沿って順番に間隔をおいて配されている。第2カプセルは喫煙品に組み込む際に第1カプセルの下流に配置される。言い換えれば、第2カプセルは喫煙品の吸い口端に近い方に位置し、第1フィルターセクションは喫煙品の吸い口端から遠い方に位置する。
【0045】
カプセルは第1フィルターセクションの単独のセグメントに配置することができ、またはカプセルは第1フィルターセクションの2つの独立したセグメントに配置することができる。
【0046】
カプセル間、即ち第1カプセルと第2カプセルの間の距離は、任意の好適な距離であればよい。例えば、カプセル間の距離は、約8mm~約12mm、約7mm~約11mm、約8mm~約10mmまたは約9mmであってもよい。
【0047】
第1フィルターセクションの長さは約16mm~約24mm、約18~約22mmまたは約20mmであってもよい。第1フィルターセクションの長さはフィルターの軸に平行に測定される。
【0048】
これら2つのカプセルは第1フィルター内に等間隔で配置されてもよい。これとは別にカプセルは第1フィルターセクション内に不均一な間隔を空けて配置されてもよい。例えば、第1および第2カプセルの間の距離は第2カプセルの中心から第1フィルターセクションの下流端までの距離より長い、および/または 第1カプセルから第1フィルターセクションの上流端までの距離より長くてもよい。
【0049】
例えば、第1カプセルから第2カプセルまでの距離は、約8mm~約10mmまたは約9mmであってもよい。例えば、第2カプセルから第1フィルターセクションの下流端までの距離は約5mm~約7mmまたは約6mmである。例えば、第1カプセルから第1フィルターセクションの上流端までの距離は約4mm~約6mmまたは約5mmである。第2カプセルから第1フィルターセクションの下流端までの距離は、第1カプセルから第1フィルターセクションの上流端までの距離より長くてもよい。例えば、第2カプセルから第1フィルターセクションの下流端までの距離は、第1カプセルから第1フィルターセクションの上流端までの距離より約0.5mm~約1.5mmまたは約1mm長い。1つの実施態様では第1カプセルと第2カプセルの間の距離は約8mm~約10mmであり、第2カプセルから第1フィルターセクションの下流端までの距離は約5mm~約7mmであり、第1カプセルから第1フィルターセクションの上流端までの距離は約4mm~約6mmであり、ただし第2カプセルから第1フィルターセクションの下流端までの距離は第1カプセルから第1フィルターセクションの上流端までの距離より長い。第2フィルターセクションの長さは、約4mm~約10mm、約5mm~約9mm、約6mm~約8mmまたは約7mmであってもよい。第1フィルターセクションと第2フィルターセクションを合わせた長さは、約20mm~約34mm、約21mm~約33mm、約23mm~約31mm、約25mm乃至約29mmまたは約27mmであってもよい。
【0050】
カプセルはろ過材に囲まれてもよい。
【0051】
カプセルは長尺であってもよい。カプセルはカプセルが配置される喫煙品またはフィルターの長手方向軸に平行な長手方向軸を有してもよい。カプセルは、実質的に管状であってもよく、長手方向軸に直交する面で画定される最大断面積を有してもよい。カプセルの断面積はカプセルの長さの大半に沿って実質的に一定であってもよい。これとは別にカプセルの断面積その長さに沿って変化してもよい。「長尺」なる用語は、一つの方向におけるカプセルの寸法が2つの直交する方向におけるカプセルの寸法より実質的に大きいことを意味すると考えてよい。球形のカプセルの場合、長い方の寸法は実質的に製造公差を越えるものである。例えば、長い方の寸法は最大横寸法の少なくとも1.5倍または最大横寸法の少なくとも2倍であってもよい。
【0052】
カプセルは実質的に円筒状の外面を有してもよい。長手方向端部は、例えばそれらが実質的に半球形になるように丸められてもよい。カプセルは外壁と流体が充填された内部容積とを含んでもよい。喫煙品のユーザーによってフィルターの外側を強く押してカプセルの外壁を変形または破裂させることによって隣接するフィルター材内に添加剤が選択的に放出されるようにしてもよい。
【0053】
外方壁を破裂させた際に添加剤内容物をすべて放出するようにカプセルを構成してもよい。これとは別にカプセルが添加剤内容物を複数回個別の送出量で放出するようにユーザーからの内方の圧力で添加剤の一部のみを放出するようにカプセルを構成してもよい。
【0054】
従来の喫煙品またはエアロゾル発生製品は、円形断面の場合直径である横方向の最大寸法を一般に有する。スーパースリムフォーマットの紙巻きタバコまたはそのフィルターの場合、横方向の最大寸法または直径は5~6mm、例えばスーパースリムとして知られているものは約5.4mmであってもよい。フィルターはラッパーペーパーを収容するために通常は実際のフィルターより僅かに直径が小さい。球形カプセルはフィルターの断面積の比較的大きな割合を占める直径を有してもよい。カプセルは煙流速および/または圧力降下に悪影響を与える場合がある。カプセルはカプセルによるフィルターの性能への影響を小さくするために直径が比較的小さくてもよい。カプセルは、充分な量の添加剤を含有できるように球形の代わりに長尺形状であってもよい。カプセルの最大横方向寸法は、4mm未満または3.5mm未満そして好ましくは2.2mm~2.8mmである。長尺のカプセルの長さは、7mm~11mm、例えば8mm~10mmまたは約9mmであってもよい。これとは別に長さは5mm~7mm、例えば約5mmであってもよい。
【0055】
3.5mm未満の最大横方向寸法(直径)のカプセルとスリム、デミスリムまたはスーパースリムフォーマットの喫煙品またはフィルターの組み合わせは必要量の添加剤を供し、許容できる境界値内で煙流速および/または圧力降下に影響を与える。これらの小さい直径のフォーマットの喫煙品内の長尺のカプセルの特定の寸法(横および長さ)は圧力降下に顕著な影響を与えずに所望の料の添加剤を供するパラメータの有利な組み合わせを供する。
【0056】
これとは別にカプセルは長尺ではない形状であってもよい。一部の態様ではカプセルは球形または実質的に球形であってもよい。特定の最大横方向寸法の場合、球形カプセルは長尺のカプセルより少量の添加剤を含有してもよい。小さい直径のフィルターまたは喫煙品の場合、添加剤が少ない量であっても大きな直径のフィルターまたは喫煙品の多量の添加剤と実質的に効果は同じである。フィルターまたは喫煙品のその小さい直径は、7.6mm未満または7mm未満またはあらゆる実施態様のあらゆる範囲の最大横方向寸法を有してもよい。球形カプセルの直径は、3.5mm未満またはいずれかの実施態様で特定したあらゆる範囲の直径であってもよい。半径方向の寸法は長尺および球形のカプセルの両方に適用される。
【0057】
カプセルの長さは4mm~15mmであってもよい。カプセルは7mm~11mmそして一部の態様では8mm~10mmまたは約9mmの外部長さを有する。
【0058】
これとは別にカプセルの外部長さは4mm~15mmそして一部の態様において5mm~7mmまたは5mm~6mmであってもよい。一部の態様においてカプセルの長さは約5.5mmである。カプセルの横方向の最大の大きさは2.2mm~2.8mmであってもよく、好ましくは2.5mmである。
【0059】
これとは別にカプセルの長さは11mm~15mmまたは12~14mmまたは約13.6mmである。カプセルの横方向の最大の大きさは、2.2mm~2.8mmおよび約2.5mmである。
【0060】
これとは別にあらゆる種類または実施態様のカプセルの円形の断面の場合の外側の最大横方向の大きさまたは直径は、4.5mm~7mmの範囲内であってもよい。横方向の最大の大きさは、7mm未満、6mm未満、5mm未満または4mm未満であってもよい。横方向の最大の大きさは3mm~4mmであってもよい。特にカプセルの横方向の最大の大きさは 5mm~6mm(約5.4mm)の直径を有するフィルターまたは喫煙品との組み合わせにおいて3mm~4mm(例えば、約3.5mm)であってもよい。横方向の最大の大きさは、あらゆる上限、容量または相対断面積の組み合わせにおいて1mm超であってもよい。
【0061】
これらの寸法はあらゆる種類のカプセルに適用される。より長い添加剤放出部材は基材を含むカプセルと共に使用することができる。基材は容量で約40%の添加剤を含んでもよい。
【0062】
カプセルの直径および長さは、含有させることができる添加剤の最大量を決定する。従って、比較的小さい直径を選択した場合必要な量の添加剤を含有するために比較的長い長さと組み合わせてもよい。表示した範囲外の寸法を含むあらゆる寸法の組み合わせを使用してもよい。あらゆる実施態様の外方シェルの厚さは約0.2mmであってもよい。
【0063】
カプセルを含む喫煙品またはフィルターは、4mm~10mm、例えば5mm~7mmまたは5mm~6mmまたは5.1mm~6mm(スーパースリム)の直径を有してもよく、一部の態様において5.2mm~5.6mmまたは5.3mm~5.5mm、例えば約5.4mmの直径であってもよい。喫煙品またはフィルターがスリム、デミスリムまたはスーパースリムフォーマットの場合、それぞれ約7.6mm未満、7.0mm未満、6.0mm未満および5.1mm未満の直径(それぞれ24mm未満、22mm未満、19mm未満および16mm未満の円周にほぼ相当する)を有してもよい。喫煙品またはフィルターがレギュラーフォーマットの場合、その直径は7.6mm~8.0mm(24mm~25mmの円周にほぼ対応する)であってもよい。「ワイド」と呼ばれているフォーマットは、8.0mm未満(25mm超の円周にほぼ相当する)の直径を有してもよい。
【0064】
カプセルの横方向の大きさが小さいとあらゆる径の小さい喫煙品の圧力降下を小さくするという点で有利であるが、この利点は小さい径の喫煙品に特に効果的である。本発明は比較的標準サイズのカプセルと組み合わせたあらゆる直径の喫煙品またはフィルターに適用可能である。例えば、その喫煙品の直径は5mm、5.3mm、5.5mm、6mm、6.5mm、7mm、7.3mm、7.5mm、7.7mm、8mmの内の1つから5.5mm、6mm、6.5mm、7mm、7.5mm、7.9mm、8.5mmの内の1つまでを任意に組み合わせた範囲の直径であってもよい。
【0065】
カプセルの添加剤限度容量は3μL~50μLまたは3μL~10μLまたは10μL~30μL,そして必要であれば15μL~25μLまたは20μL~30μLまたは8μL~20μL、または約20μLまたは約30μLであってもよい。限度容量のあらゆる上限または下限値を組み合わせて使用してもよい。特にカプセルの限度容量は、3μL、5μL、8μL、10μL、15μL、20μL、25μL、30μL、35μL、40μLの内の1つから5μL、8μL、10μL、15μL、20μL、25μL、30μL、35μL、40μL、45μL,50μLの内の1つまでの範囲内にあってもよい。
【0066】
これとは別にカプセルの横方向の最大の大きさは、1.5mm~2.5mm、1.5mm~3mm、1.5mm~3.5mm、2mm~2.5mm、2mm~3mm、2mm~3.5mm、2.5mm~3mm、2.5mm~3.5mm、3mm~4mm、3.5mm~4mmの内の1つの範囲内であってもよい。添加剤放出部材の横方向の最大の大きさは、1.0mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2.0mm、2.1mm、2.2mm、2.3mm、2.4mm、2.5mm、2.6mm、2.7mm、2.8mm、2.9mm、3.0mm、3.1mm、3.2mm、3.3mm、3.4mm、3.5mm、3.6mm、3.7mm、3.8mm、3.9mm、4.0mm、4.1mm、4.2mm、4.3mm、4.4mmの内の1つの小さい方の横方向の大きさから1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2.0mm、2.1mm、2.2mm、2.3mm、2.4mm、2.5mm、2.6mm、2.7mm、2.8mm、2.9mm、3.0mm、3.1mm、3.2mm、3.3mm、3.4mm、3.5mm、3.6mm、3.7mm、3.8mm、3.9mm、4.0mm、4.1mm、4.2mm、4.3mm、4.4mm、4.5mm、4.6mm、4.7mm、4.8mm、4.9mm、5.0mm、5.1mm、5.2mm、5.3mm、5.4mm、5.5mm、5.6mm、5.7mm、5.8mm、5.9mm、6.0mm、6.1mm、6.2mm、6.3mm、6.4mm、6.5mm、6.6mm、6.7mm、6.8mm、6.9mm、7.0mm、7.1mm、7.2mm、7.3mm、7.4mm、7.5mm、7.6mm、7.7mm、7.8mm、7.9mm、8.0mmの内の1つの大きい方の横方向の大きさまでのあらゆる組み合わせの範囲内であってもよい。
【0067】
しかしながら、これらの範囲は限定することを意図するものでなく、当業者であればより大きなまたは小さなフィルターまたはカプセルを使用できると理解するはずである。直径と言った場合、それはカプセルの横方向の最大寸法を表す。断面が円形でないカプセルの場合、上記直径の値はカプセルの横方向の最大寸法を表す。
【0068】
カプセルは最大半径方向断面積を有する。カプセルを含む喫煙品のセクションの半径方向断面積に対するカプセルの面積はカプセルによって煙流または圧力降下が許容できる限度内に制限されるかを決定する。一部の態様においてカプセルは、カプセルを含むセクションの半径方向断面積の50%未満、例えば45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満または10%未満であってもよい。これとは別にカプセルの半径方向最大面積は、部材を含む紙巻きタバコまたはフィルターのセクションの最大面積の65%未満、60%満または55%未満であってもよい。カプセルの断面積はフィルターまたは喫煙品の5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超または45%超であってあらゆる上限と組み合わせてもよい。
【0069】
これとは別に添加剤放出部材を含む喫煙品またはフィルターのセクションの半径方向断面積のパーセンテージとして表されるカプセルの半径方向の最大断面積は50%超であってもよい。その比は55%未満、60%未満、65%未満、70%未満、75%未満、80%未満、85%未満、90%未満または95%未満であってもよい。これとは別に その比は5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超または95%超であってもよい。
【0070】
本発明はカプセルを含むセクションの半径方向の断面積のパーセンテージとして表されるカプセルの半径方向の最大断面積が上述のいずれかの2つの値の間の範囲に入るフィルターおよび喫煙品、特に紙巻きタバコを含む。
【0071】
この範囲は15%~50%または一部の態様では20%~35%または30%~45%または25%~40%または30%~40%であってもよい。
【0072】
特にカプセルがカプセルを含む喫煙品のセクションに対して上記面積を有する場合、そのセクションの直径は8mm未満、7.5mm未満、7mm未満または6mm未満であってもよい。例えば、カプセルを含む喫煙品のセクションの直径は5mm~6mmまたは6mm~7mmまたは5mm~7.5mmであってもよい。これとは別に喫煙品のこのセクションの直径は8mm超であってもよい。
【0073】
カプセルの最大横断面積は、40mm未満、30mm未満、20mm未満、15mm未満そして一部の態様において10mm未満、8mm未満、6mm未満、5mm未満であってもよい。横断面積は、任意の上限との組み合わせで1mm超、2mm超、3mm超、4mm超、5mm超または6mm超の範囲であってもよい。
【0074】
フィルターは、フィルターが喫煙品に組み込まれた際に前記第1フィルターセクションの上流になるように第1フィルターに接続される第3フィルターセクションをさらに含んでもよい。第3フィルターセクションは個別のフィルターセクションであってもよい。第3フィルターセクションは、繊維性フィルター材と、粒状の吸着材とを含んでもよい。粒状の吸着材は、第3フィルターセクションの円周領域に配置されてもよく、第3フィルターセクションのフィルター材内に分散させてもよく、または一部を第3フィルターセクションの円周領域に配置し、一部を第3フィルターセクションに分散させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
本発明の実施態様を添付図面を参照して例示のみを目的として説明する。
図1】管状下流フィルターセクションと脆弱なカプセルの形体のカプセル化された添加剤を含む上流フィルターセクションからなるフィルターを有する喫煙品の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
本明細書中で使用する「喫煙品」なる用語は、タバコ、タバコ派生品、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品をベースにしているかに関係なく紙巻きタバコ、シガーおよびシガリロなどの喫煙可能な製品および発熱するが燃焼しない/タバコ加熱製品および電子タバコを含むエアロゾル発生製品を含む。便宜上、これらを本明細書では「喫煙品」という。「エアロゾル」なる用語は煙、例えばタバコ煙を包含する。このような喫煙品には喫煙者によって吸引される気体流用のフィルターを設けてもよい。
【0077】
「喫煙品」なる用語は紙巻きタバコ、シガーおよびシガリロ並びに手巻きタバコおよび自作タバコを含む。
【0078】
紙巻きタバコなどの喫煙品およびそれらのフォーマットは、紙巻きタバコの長さによって、「レギュラー」(通常、68~75mmの範囲、例えば約68mm~約72mm)、「ショート」または「ミニ」(68mm以下)、「キングサイズ」(通常、75~91mm、例えば約79mm~約88mm)、「ロング」または「スーパーキング」(通常、91~105mm、例えば約94mm~約101mm)および「ウルトラロング」(通常、約110mm~約121mm)などと名付けられる。
【0079】
また、「レギュラー」(約23~23mm)、「ワイド」(25mm超)、「スリム」(約22~23mm)、「デミスリム」(約19~22mm)、「スーパースリム」(約16~19mm)および「ミクロスリム」(約16mm未満)などの紙巻きタバコの円周によっても命名される。従って、キングサイズ、スーパースリムフォーマットの紙巻きタバコは、例えば長さが約83mmで円周が約17mmである。レギュラーキングサイズフォーマットの紙巻きタバコは多くの購買者に好まれており、円周が23~25mmで全長が75~91mmである。
【0080】
各フォーマットは異なる長さのフィルター付きで製造され、小さいフィルターが通常短く小さい円周のフォーマットに使用される。通常、ショートレギュラーフォーマットではフィルターの長さは15mmからであり、ウルトラロングスーパースリムフォーマットでは30mmまでである。チッピング紙はフィルターより長く、例えば3~10mm長い。
【0081】
以下に説明する喫煙品およびフィルターは上記フォーマットのいずれかに製造することができる。喫煙品は、例えば長さが70~100mmで、円周を14~25mmにすることができる。
【0082】
ここで使用する「上流」および「下流」なる用語は使用時に喫煙品内を引き込まれる主流煙(または他のエアロゾル)の方向に対して定義される相対的な用語である。
【0083】
ここでは第1または第2のカプセルからまたは第1または第2のカプセルへと測定される距離は、第1または第2カプセルの中心からまたは中心へと測定される。
【0084】
ここでは単位「mm/Wg」はmm/ウォーターゲージ(mmHOとしても知られている)を意味する。本明細書においてはこれらの測定は個々のフィルターセクションで行われる。
【0085】
図1は喫煙品1を略式に示しており、これは一般的な円筒形状で、レギュラー、キングサイズフォーマットであり、即ち長さ75~91mmの範囲内にあり、円周が23~25mmの範囲内にある。喫煙品1はラッパー材3、この例ではシガレットペーパーに包まれたタバコロッド2を含み、これはフィルター4に重なり、ラッパー材3に部分的に重なってフィルター4をタバコ2に接続するチッピング材5によって長手方向に接続される。フィルター4はフィルター4のタバコロッド端部に第1セクション6を含み、これはその中で第1セクション6のフィルター材の軸方向領域に配置されたカプセル8a、8bを有する吸収材7を含む。軸方向領域は、本例では喫煙品1の軸「a」の中心とする約3mmの半径を有する領域である。別の実施態様では軸方向領域の半径は1mm~4mmまたは1mm~3mmの範囲のいずれかまたは約1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mmまたは3.5mmであってもよい。カプセル8aおよび8bは軸方向領域に沿って順番に間隔が空けられている。カプセル8aおよび8bは、第1フィルターセクション6のフィルター材の軸方向領域に配置してもよく、または第1フィルターセクション6のフィルター材の非軸方向領域より軸方向領域により多く集中させて配置してもよい。第1セクションは第1プラグラッパー9に包まれている。
【0086】
フィルター4は、フィルター4の吸い口端に第2セクション10をさらに含み、これは繊維性フィルター材11を含み、管状に形成され、フィルター材11の中央を延びる流路12を有する。フィルター材11の中央を延びる空のまたは中空の流路12は、半径が1mm~6mmであってもよく、例えば半径が2mm~5mmであってもよい。フィルター材11の中央を延びる流路12は、本例では空の中空経路である。一部の実施態様では流路は第2フィルターセクション10のフィルター材の軸方向領域を延びている。第2フィルターセクション10の軸方向領域は、本例では喫煙品1の軸「a」の中央にあり、約2.5mmの半径を有する領域である。別の実施態様では軸方向領域の半径は、1mm~4mmまたは1mm~3mmの範囲のいずれかまたは約1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mmまたは3.5mmであってもよい。本例では管状のフィルターセクションはセルロースアセテートトウから形成され、第2プラグラッパー13に包まれている。管状フィルターの壁厚は約1.5mmである。別の実施態様では壁厚は1mm~4mmまたは1mm~3mmの範囲のいずれかまたは約1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mmまたは3.5mmであってもよい。しかしながら、具体的な寸法は所望の剛性、孔度または他の特性を有する管になるように管を形成するフィルター材の密度および材料に加えられる可塑剤の量に基づいて選択してもよい。管状フィルターセクション10は、既存の方法および機器を使用して製造することができる。
【0087】
第1セグメント6は、連続したセルロースアセテート繊維と可塑剤を使用して形成されるセルロースアセテートセグメントである。カプセル8aおよび8bは、球形で半径2.8mmであるが、他の形状および大きさのカプセルも使用でき、そして喫煙品1を通過する主流煙の性質を変性する流体添加剤を含む。カプセル8aおよび8bは、既存の方法および機器を使用して製造でき、第1フィルターセクション6内に挿入することができる。本例ではカプセル8aおよび8bはメンソール風味剤を含有するが、他の流体または粒子添加剤をカプセル8aおよび8bに含有させてもよい。カプセルは消費者が破壊して流体添加剤を吸収フィルター材11内に放出させてもよい。
【0088】
タバコロッド2と第1および第2フィルターとの位置合わせの中心となる喫煙品1の軸を図1の「a」で表す。
【0089】
本例ではカプセル8aおよび8bは、先に定義したように第1フィルターセクション6の「軸方向領域」に位置する。カプセル8aおよび8bは、カプセルの中心が喫煙品1の外周より喫煙品の軸「a」に近くなるように配置してもよい。本例ではカプセル8aおよび8bは、軸「a」に実質的にその中心が沿った状態で配置される。本例ではカプセル8aは第1フィルターセクション6の長手方向の中心からずれている。カプセル8aは、例えば、第1フィルターセクション6内の長手方向中央の位置から1mm~10mmの位置で第1フィルターセクション6内に位置してもよい。カプセル8aは、第1フィルターセクション6の下流端に近い方の第1フィルターセクション6の部分に配置される。カプセル8aは、従ってタバコロッド2より第2フィルターセクション10の方により近くなる。特にカプセル8aの中心と第1フィルターセクション6の下流端の間の距離「d」は、第1フィルターセクション6の長手方向の全長の半分以下である。一部の実施態様では距離「d」は、第1フィルターセクション6の長手方向の全長の40%未満、30%未満または25%未満である。本例では距離「d」は、第1フィルターセクション6の長手方向の全長の約30%である。別の実施態様ではカプセル8aは、第1フィルターセクション6内で長手方向中央にまたは第1フィルターセクション6の下流端より上流端の方に近く配置してもよい。
【0090】
使用時、喫煙品1のタバコロッド2は、従来の方法で消費者によって着火され、そしてタバコ煙がフィルター4を介してタバコロッド2の燃えさしから引き込まれる。第2フィルターセクション10の流路12は、フィルター4を通過する主流煙に対して周囲の管状フィルター材11より低い抵抗を有し、従ってより多くの割合の主流煙が流路12を介して案内される。これはカプセル8aおよび8bが位置する第1フィルターセクション6の軸「a」の周囲の軸方向領域に主流煙がより多く流れる結果をもたらす。消費者がカプセル8aおよび/またはカプセル8bを喫煙品1を吸う前または吸っている最中に割ると、その中に含有されている添加剤、本例の場合メンソールが第1フィルターセクション6の軸方向領域内により濃厚に放出され、第2フィルターセクションにより第1フィルターセクションを介して主流煙が多く流れる。その結果、その多く流れる主流煙により消費者への煙変性添加剤の送出量が多くなり、従って、喫煙品1は従来の喫煙品と比較して消費者へ送出される煙変性添加剤の量が多くなる。
【0091】
喫煙品1の吸い口端で管状第2セクション10を使用することでカプセル8aおよび8bを含む第1セクション6が喫煙品1の吸い口端に配置した場合よりカプセル8aおよび8bを喫煙品1の吸い口端により近く位置させることができる。これは管が第1セクション6を消費者の口から隔て、カプセル8aおよび8bの内容物が消費者の口と接触しないようにするからである。
【0092】
本発明の具体的な実施態様を説明したが、本発明はそのような実施態様に限定されない。例えば、第2フィルターセクションは上記では繊維性フィルター材からなる管状部分として説明したが、これは軸方向領域を延びる低密度領域を有するフィルター材セクションなどの別の形体であってもよい。また管状セクションまたは軸方向領域に低い密度の他のセクションは一部の実施態様ではフィルターの吸い口端にあると説明したが、実施態様のいずれかにおいてこれとは別に複数の部分からなるフィルターの例えば煙変性添加剤が位置するセクションの上流の中央または上流端として使用してもよく、それでも本発明の効果からの利点が得られる。特にこのようなフィルターセクションが存在することによって軸方向領域に一致する吸い込みに対する低い抵抗により喫煙品の軸方向領域の上流および下流の両方に主流煙が案内されやすくする。
【0093】
上述の第1、第2および(存在する場合)第3フィルターセクションは、個別のセグメントであってもよい。上述の第1、第2および(存在する場合)第3フィルターセクションはチッピング材を使用して互いに接続されるが、それらはそれらが形成された後そして接続される前は個々に分離し、独立したものであってもよい。またチッピング材は、各実施態様のそれぞれのタバコロッドにフィルターセクションを接続する。説明してきた実施態様のそれぞれの別の例において、第1、第2および(存在する場合)第3フィルターセクションがチッピング材を使用してタバコロッドに接続される前にさらにプラグラッパーを使用してそれらセクションを接続してもよい。
【0094】
種々の問題の対処と技術の発展のため、本開示全体は種々の実施形態を例示的に示しており、これらの実施形態では特許請求された発明が実践され、優れた煙変性剤の送出を提供することができる。本開示の利点および特徴は実施形態の単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。これらは特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
図1