(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】連続的な繊維を含む膨張可能な医療用バルーン
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20230301BHJP
【FI】
A61M25/10 510
(21)【出願番号】P 2020546953
(86)(22)【出願日】2018-03-09
(86)【国際出願番号】 US2018021750
(87)【国際公開番号】W WO2019172931
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-01-13
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【氏名又は名称】星野 修
(72)【発明者】
【氏名】ホール,ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】ステープルトン,コーリー・イー
(72)【発明者】
【氏名】ヘッジ,アナント
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/008514(WO,A1)
【文献】特表2015-518776(JP,A)
【文献】特表2016-516535(JP,A)
【文献】特開平11-302353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用機器であって、
中央部分、ならびに前記中央部分に接続された第1のテーパ部分および第2のテーパ部分を含むバルーンであって、長手方向軸を含むバルーンと、
前記バルーンに沿って長手方向に延在する単一の連続的な繊維であって、前記第1のテーパ部分における第1の折返し点、前記第2のテーパ部分における第2の折返し点、および前記第1のテーパ部分における第3の折返し点を有する単一の連続的な繊維と
を備え、
前記第1の折返し点、前記第2の折返し点、および前記第3の折返し点で、前記単一の連続的な繊維が反転する、医療用機器。
【請求項2】
請求項1に記載の医療用機器であって、
前記単一の連続的な繊維が、
前記第1のテーパ部分における前記第1の折返し点まで前記中央部分に沿って前記長手方向軸に対して実質的に平行に延びる第1の敷設部と、
前記第2のテーパ部分における前記第2の折返し点まで前記中央部分に沿って前記長手方向軸に対して実質的に平行に延びる第2の敷設部と、
前記第1のテーパ部分における前記第3の折返し点まで前記中央部分に沿って前記長手方向軸に対して実質的に平行に延びる第3の敷設部と
を備える、医療用機器。
【請求項3】
請求項1に記載の医療用機器であって、
前記第3の折返し点が前記長手方向軸に沿って前記第1の折返し点から間隔を空けられている、医療用機器。
【請求項4】
請求項3に記載の医療用機器であって、
前記第2のテーパ部分にある第4の折返し点をさらに含み、前記第4の折返し点が前記長手方向軸に沿って前記第1の折返し点から間隔を空けられた、医療用機器。
【請求項5】
請求項1に記載の医療用機器であって、
前記第1の折返し点が前記第1のテーパ部分の一端に隣接する、医療用機器。
【請求項6】
請求項1に記載の医療用機器であって、
前記第1の折返し点が、前記中央部分から前記第1のテーパ部分への移行部に隣接する、医療用機器。
【請求項7】
請求項1に記載の医療用機器であって、
前記単一の連続的な繊維を前記バルーンの外側表面に接着する接着剤をさらに含む、医療用機器。
【請求項8】
請求項7に記載の医療用機器であって、
前記接着剤がホットメルト接着剤を含む、医療用機器。
【請求項9】
請求項1に記載の医療用機器であって、
前記第1の折返し点と前記第3の折返し点が周方向において揃えられている、医療用機器。
【請求項10】
請求項1に記載の医療用機器であって、
前記第1の折返し点と前記第2の折返し点が周方向においてオフセットされている、医療用機器。
【請求項11】
医療用機器であって、
中央部分、前記中央部分に接続された第1のテーパ部分および第2のテーパ部分、ならびに前記第1のテーパ部分および前記第2のテーパ部分のそれぞれに接続された縮径端部分を含むバルーンであって、長手方向軸を含むバルーンと、
前記中央部分ならびに前記第1のテーパ部分および前記第2のテーパ部分に沿って繰り返す形で長手方向に延在する単一の連続的な繊維であって、前記バルーンの前記縮径端部分に沿ってまたは前記バルーンの前記縮径端部分の周りには延在しない単一の連続的な繊維と
を備え、前記第1のテーパ部分および前記第2のテーパ部分において、前記単一の連続的繊維はそれ自体と交差しない、医療用機器。
【請求項12】
請求項11に記載の医療用機器であって、
前記単一の連続的な繊維が、
前記第1のテーパ部分における第1の折返し点まで前記中央部分に沿って前記長手方向軸に対して実質的に平行に延びる第1の敷設部と、
前記第2のテーパ部分における第2の折返し点まで前記中央部分に沿って前記長手方向軸に対して実質的に平行に延びる第2の敷設部と、
前記第1のテーパ部分における第3の折返し点まで前記中央部分に沿って前記長手方向軸に対して実質的に平行に延びる第3の敷設部と
を備える、医療用機器。
【請求項13】
請求項12に記載の医療用機器であって、
前記第3の折返し点が前記長手方向軸に沿って前記第1の折返し点から間隔を空けられている、医療用機器。
【請求項14】
請求項13に記載の医療用機器であって、
前記第2のテーパ部分にありかつ前記長手方向軸に沿って前記第1の折返し点から間隔を空けられた第4の折返し点をさらに含む、医療用機器。
【請求項15】
請求項12に記載の医療用機器であって、
前記第1の折返し点が前記第1のテーパ部分の一端に隣接する、医療用機器。
【請求項16】
請求項12に記載の医療用機器であって、
前記第1の折返し点が前記中央部分から前記第1のテーパ部分への移行部に隣接する、医療用機器。
【請求項17】
請求項11に記載の医療用機器であって、
前記単一の連続的な繊維を前記バルーンの外側表面に接着するための接着剤をさらに含む、医療用機器。
【請求項18】
請求項17に記載の医療用機器であって、
前記接着剤がホットメルト接着剤を含む、医療用機器。
【請求項19】
請求項12に記載の医療用機器であって、
前記第1の折返し点と前記第3の折返し点が周方向において揃えられている、医療用機器。
【請求項20】
請求項12に記載の医療用機器であって、
前記第1の折返し点と前記第2の折返し点が周方向においてオフセットされている、医療用機器。
【請求項21】
医療用機器であって、
中央部分、前記中央部分に接続された第1のテーパ部分および第2のテーパ部分、ならびに端部分を含むバルーンであって、長手方向軸を有するバルーンと、
前記バルーンに沿って長手方向に延在する第1の繊維撚り糸であって、前記第1のテーパ部分における第1の折返し点を有する第1の繊維撚り糸と、
前記バルーンに沿って長手方向に延在する第2の繊維撚り糸であって、前記第1のテーパ部分における第2の折返し点を有する第2の繊維撚り糸と、
を備え、
前記第1の折返し点と前記第2の折返し点が前記長手方向軸に沿って互いにずらされており、
前記第1の折返し点において、前記第1の繊維撚り糸が反転し、
前記第2の折返し点において、前記第2の繊維撚り糸が反転する、医療用機器。
【請求項22】
請求項21に記載の医療用機器であって、
前記第1の繊維撚り糸および前記第2の繊維撚り糸が単一の連続的な繊維によって形成される、医療用機器。
【請求項23】
請求項21に記載の医療用機器であって、
前記第2のテーパ部分における第3の折返し点を有する第3の繊維撚り糸をさらに含む、医療用機器。
【請求項24】
請求項23に記載の医療用機器であって、
前記第2のテーパ部分における第4の折返し点を有する第4の繊維撚り糸をさらに含む、医療用機器。
【請求項25】
請求項24に記載の医療用機器であって、
前記第3の折返し点と前記第4の折返し点が前記長手方向軸に沿って互いにずらされている、医療用機器。
【請求項26】
請求項25に記載の医療用機器であって、
前記第3の繊維撚り糸および前記第4の繊維撚り糸が単一の連続的な繊維によって形成される、医療用機器。
【請求項27】
請求項1から20、22および26のいずれかに記載の医療用機器であって、
前記単一の連続的な繊維の上に延在するフープ巻線をさらに含む、医療用機器。
【請求項28】
医療用機器であって、
カテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトに接続されかつ長手方向軸を有する膨張可能バルーンであって、前記長手方向軸に対して概して平行に延在する複数の敷設部を有する単一の連続的な繊維を含む膨張可能バルーンと
を備え、
前記膨張可能バルーンが、テーパ端部分に接続された中央部分を含み、前記単一の連続的な繊維が、前記テーパ端部分のそれぞれにおける複数の折返し点を有し、
前記複数の折返し点において、前記単一の連続的な繊維が反転する、医療用機器。
【請求項29】
請求項28に記載の医療用機器であって、
前記折返し点が前記長手方向軸に沿って互いにずらされている、医療用機器。
【請求項30】
医療用機器を形成する方法であって、
中央部分ならびに前記中央部分に接続された第1のテーパ部分および第2のテーパ部分を含むバルーンに単一の連続的な繊維を貼り付けるステップを含み、前記バルーンが長手方向軸を含み、前記単一の連続的な繊維が前記バルーンに沿って長手方向に延在し、前記単一の連続的な繊維が、前記第1のテーパ部分における第1の折返し点、前記第2のテーパ部分における第2の折返し点、および前記第1のテーパ部分における第3の折返し点を有し、
前記第1の折返し点、前記第2の折返し点、および前記第3の折返し点で、前記単一の連続的な繊維が反転する、方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、
前記バルーンが、前記テーパ部分の端部に縮径首部を含み、前記単一の連続的な繊維が、前記縮径首部に沿ってまたは前記縮径首部の上に延在しないように貼り付けられる、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、
前記単一の連続的な繊維を切断することなしに前記縮径首部を切断するステップをさらに含む、方法。
【請求項33】
請求項30に記載の方法であって、
前記貼り付けるステップの前にまたは前記貼り付けるステップの間に前記単一の連続的な繊維に接着剤を塗布するステップをさらに含む、方法。
【請求項34】
請求項30に記載の方法であって、
前記貼り付けるステップが、
前記長手方向軸に対して概して平行にアプリケータを伸ばしていき、前記単一の連続的な繊維を第1の敷設部において前記バルーンに貼り付けるステップと、
前記アプリケータを前記バルーンの周りで所定の距離だけ周方向に移動させて、前記周方向において前記繊維を貼り付けるステップと、
前記アプリケータを前記長手方向軸に沿って戻して第2の敷設部を形成し、それによって前記繊維が前記第1の敷設部から前記第2の敷設部へ方向を変える前記折返し点が作り出されるステップと
を含む、方法。
【請求項35】
医療用機器であって、
中央部分、前記中央部分に接続された第1のテーパ部分および第2のテーパ部分、ならびに前記第1のテーパ部分および前記第2のテーパ部分のそれぞれに接続された縮径首部を含むバルーンであって、長手方向軸を含むバルーンと、
前記バルーンに沿って長手方向に延在する単一の連続的な繊維であって、前記第1のテーパ部分における第1の折返し点、前記第2のテーパ部分における第2の折返し点、および前記第1のテーパ部分における第3の折返し点を有し、前記中央部分ならびに前記第1のテーパ部分および前記第2のテーパ部分に沿ってのみ延在し前記縮径首部に沿っては延在しない単一の連続的な繊維と
を備え、
前記第1の折返し点、前記第2の折返し点、および前記第3の折返し点で、前記単一の連続的な繊維が反転する、医療用機器。
【請求項36】
請求項35に記載の医療用機器を含むカテーテルであって、
前記縮径首部が、バルーンをカテーテルシャフトに取り付けるために取り除かれ、単一の連続的な繊維が、前記バルーンの中央部分ならびに第1のテーパ部分および第2のテーパ部分上に残る、カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照による組み込み
[0001]本明細書に述べられるすべての刊行物および特許出願は、それぞれの個々の刊行物または特許出願が参照により援用されることを具体的かつ個々に示されている場合と同じ程度で、参照により本明細書に援用される。本出願はまた、米国特許出願公開第2016/0121076号、米国仮特許出願第61/815,689号、および米国仮特許出願第61/656,404号を参照により本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
[0002]医療処置では、バルーンなどの、繊維をベースとする装置および拡張可能な装置が広く使用されている。バルーンの場合、バルーンは通常はカテーテルの端部において、バルーンが対象の領域に到達するまで挿入される。バルーンに圧力を加えることにより、バルーンが膨張する。使用の一変形形態では、バルーンが膨張すると、バルーンにより体内に空間が作り出される。
【0003】
[0003]バルーンは、バルーン大動脈弁形成術(BAV)の間、および経カテーテル大動脈弁植込み術(TAVI)の間を含め、心臓弁に使用される場合もある。バルーンを使用して、狭窄した大動脈弁を開くことができる。狭窄弁は硬い石灰沈着病変を有する場合があり、石灰沈着病変により、バルーンが引き裂かれ、または突き刺される傾向にある場合がある。さらに、安全性および制御性を高めるために、バルーン直径を精密に膨張させることが所望される場合がある。
【0004】
[0004]血管形成術または末梢血管構造の処置の間などに、バルーンを使用して、血管内腔の中心部から血管構造壁に向かってプラークを移動させることができる。この処置の間、先端にバルーンが付いたカテーテルが血管閉塞部に配置される。バルーンが膨張させられると血管の狭窄部が拡張され、その結果血流が改善する。
【0005】
[0005]2つの基本的なタイプのバルーンが利用されている。一方は、高圧のローコンプライアンスバルーンである。他方は、より低圧のハイコンプライアンスバルーンである。
[0006]ハイコンプライアンス医療用バルーンは、ウレタン、ラテックス、シリコーン、PVC、Pebax、および他のエラストマーから形成されることが多い。ハイコンプライアントバルーンの圧力が高まると、バルーンの寸法が拡張する。圧力が下げられると、ハイコンプライアンス医療用バルーンはその元の形状に、またはほぼその元の形状に戻ることができる。ハイコンプライアンス医療用バルーンは、ゼロ膨張圧とバーストとの間で、容積を複数回容易に拡張することができる。
【0006】
[0007]多くの理由から、従来のハイコンプライアンス医療用バルーンが適切でない場合がある。ハイコンプライアンスまたは高弾性の医療用バルーンは、その壁の引張り強度が小さく、バルーンが拡張するとその壁が薄くなるので、通常は高い圧力に到達することができない。場合によっては、ハイコンプライアンス医療用バルーンでは処置を完了するのに必要な力が与えられない。ハイコンプライアンス医療用バルーンの定格圧力を超過すると、バルーンが破損する過度のリスクが生じ、これにより、患者の重篤な合併症が引き起こされる恐れがある。さらに、ハイコンプライアンス医療用バルーンは形状の制御性も不十分である。ハイコンプライアンス医療用バルーンが拡張するとき、バルーンは、臨床目標によってではなく患者の体内環境の特性によって主に定められる形状を取る場合がある。場合によっては、これは医師が望むものに反することがある。多くの医療処置は、特定のバルーン形状を確実に形成することを前提としている。さらに、ハイコンプライアンス医療用バルーンは突刺し抵抗および引裂き抵抗が不十分であることに悩まされることが多い。
【0007】
[0008]ローコンプライアンスの高圧医療用バルーンは、比較的高い圧力下でその形状を実質的に保持する。PET(ポリエチレンテレフタラート)は、高圧ローコンプライアンスバルーンに使用される最も一般的な材料である。PETは、高性能な血管形成術バルーンに一般に使用されている。PETは他のポリマーよりも強く、種々の形状に成形することができ、また非常に薄く作成することができ(たとえば5μmから50μm(0.0005cm(0.0002インチ)から0.005cm(0.002インチ))、そのため、これらのバルーンに薄いプロファイルが与えられる。しかし、PETの壁から作成されたバルーンは脆弱であり、破れやすい。狭窄部など、体内の硬いまたは鋭い表面に押し付けられるとき、PETバルーンの突刺し抵抗は不十分である。PETは非常に剛直であり、したがって、PETから作成されたバルーンは畳まれるかまたは折り重なって小さい直径になることが困難な場合があり、また追従性(すなわち蛇行した血管に配置されたガイドワイヤの上で摺動および湾曲する能力)が不十分な場合がある。さらに、PETから作成されたバルーンは均一ポリマー(homogenous polymer)から作成された他の大半のバルーンよりは強いが、それでも、いくつかの医療処置を完了するのに必要な圧力を保持するのに十分な強さはない場合がある。さらに、バルーン直径が大きい(たとえば20mmかまたはそれを上回る)場合、PETバルーンは、BAVやTAVIなどの処置においては、依然としてコンプライアンスが過大である。ナイロンバルーンが、ローコンプライアンス高圧バルーンの代替的な材料になる。しかし、これらのナイロンバルーンは通常はPETバルーンよりも弱く、したがってより弱い圧力にしか耐えることができない。ナイロンは容易に水を吸収し、このことは、いくつかの状況ではナイロンの材料特性に悪影響を及ぼす場合がある。ナイロンはPETに勝る改善された突刺し抵抗を有し、PETよりも柔軟である。
【0008】
[0009]繊維強化複合材料バルーンが、別の代替的なローコンプライアンス高圧医療用バルーンである。有利には、こうした繊維強化複合材料バルーンは高圧に耐えることができ、精密な形状制御を可能にし、引裂きおよび突刺しに強い抵抗性がある。しかし、繊維強化バルーンの製造プロセスは、所望の支持を得るために複数の様々な繊維層を貼り付ける必要があるので、複雑でありかつ費用がかかる場合がある。これらの層の少なくとも1つは、ベースバルーンの周りに巻かれた、布のデコンボリューション(de-convolution)パターン層から構成されることが多い。布のパターン層をこのように形成して巻くことは複雑である場合があり、労働集約的かつ設備集約的である場合があり、また時間がかかる場合がある。さらに、バースト時の繊維強化バルーンの引裂きパターン(その「破断(rip)」特性または「破断ストップ(rip-stop)」特性と呼ばれることがある)により、繊維の配向に応じて、シャフトを通してバルーンを取り出すことの困難さが増す場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[00010]したがって、高圧に耐え、精密な形状制御を可能にし、高度に制御された引裂き特性を有するその能力を依然として維持しながら、迅速かつ容易に製造することができる、バルーンなどの繊維強化装置を作り出す必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[00011]したがって、本発明の一目的は、高圧に耐え、精密な形状制御を可能にし、高度に制御された引裂き特性を有するその能力を依然として維持しながら、迅速かつ容易に製造することができる、バルーンなどの繊維強化装置を作り出すことである。
【0011】
[00012]一般に、一実施形態では、この目的は、中央部分ならびに中央部分に接続された第1および第2のテーパ部分を含むバルーンを備える医療用機器によって達成され、バルーンは長手軸を含む。単一の連続的な繊維がバルーンに沿って長手方向に延在し、この単一の連続的な繊維は、第1のテーパ部分における第1の折返し点、第2のテーパ部分における第2の折返し点、および第1のテーパ部分における第3の折返し点を有する。
【0012】
[00013]一実施形態では、単一の連続的な繊維は、(a)第1のテーパ部分における第1の折返し点まで中央部分に沿って長手方向軸に対して実質的に平行に延びる第1の敷設部(または、区間)、(b)第2のテーパ部分における第2の折返し点まで中央部分に沿って長手方向軸に対して実質的に平行に延びる第2の敷設部、および(c)第1のテーパ部分における第3の折返し点まで中央部分に沿って長手方向軸に対して実質的に平行に延びる第3の敷設部を備える。一実施形態では、第3の折返し点は、長手方向軸に沿って第1の折返し点から間隔を空けられる。第2のテーパ部分における第4の折返し点が、長手方向軸に沿って第1の折返し点から間隔を空けられ得る。第1の折返し点は、第1のテーパ部分の一端に隣接して設けられるか、中央部分から第1のテーパ部分への移行部に隣接して設けられるか、または中央部分と第1のテーパ部分との間の任意の位置に設けられてもよい。
【0013】
[00014]単一の連続的な繊維をバルーンの外側表面に接着するために、接着剤が使用され得る。たとえば、接着剤は、ホットメルト接着剤を含み得る。接着剤は、単一の連続的な繊維をバルーンに貼り付けるプロセスの間に冷え、したがって繊維が定位置に保持されることを確実にする。
【0014】
[00015]第1の折返し点と第3の折返し点はまた、バルーンの同じ部分上で周方向において揃えられてもよい。第1の折返し点と第2の折返し点は、バルーンの異なる部分上に位置しかつ周方向においてオフセットされてもよい。
【0015】
[00016]本開示の別の態様は、中央部分、中央部分に接続された第1のテーパ部分および第2のテーパ部分、ならびに第1のテーパ部分および第2のテーパ部分のそれぞれに接続された縮径端部分を含むバルーンを備え、バルーンは長手方向軸を有する、医療用機器に関する。単一の連続的な繊維が、中央部分ならびに第1のテーパ部分および第2のテーパ部分に沿って繰り返す形で長手方向に延在するが、バルーンの縮径端部分に沿ってまたは縮径端部分の周りには延在しない。
【0016】
[00017]バルーンのテーパセクションまたはコアセクションにのみ折返し部を有する単一の連続的な繊維を膨張可能な医療用バルーンに提供することが、好ましい。カテーテルを形成するために縮径端部分または首部が取り除かれてバルーンがシャフトに取り付けられたとき、単一の繊維は連続性を維持する。
【0017】
[00018]一実施形態では、単一の連続的な繊維は、(a)第1のテーパ部分における第1の折返し点まで中央部分に沿って長手方向軸に対して実質的に平行に延びる第1の敷設部、(b)第2のテーパ部分における第2の折返し点まで中央部分に沿って長手方向軸に対して実質的に平行に延びる第2の敷設部、および(c)第1のテーパ部分における第3の折返し点まで中央部分に沿って長手方向軸に対して実質的に平行に延びる第3の敷設部を備える。一実施形態では、第3の折返し点は、長手方向軸に沿って第1の折返し点から間隔を空けられる。第4の折返し点が、第2のテーパ部分に設けられて長手方向軸に沿って第1の折返し点から間隔を空けられてもよい。第1の折返し点は、第1のテーパ部分の一端に隣接するか、中央部分から第1のテーパ部分への移行部に隣接するか、または中央部分と第1のテーパ部分との間の任意の位置にあってもよい。
【0018】
[00019]また、この実施形態では、単一の連続的な繊維をバルーンの外側表面に接着するために接着剤が使用され得る。たとえば、接着剤は、ホットメルト接着剤を含み得る。接着剤は、単一の連続的な繊維をバルーンに貼り付けるプロセスの間に冷え、したがって繊維が定位置に保持されることを確実にする。
【0019】
[00020]第1の折返し点と第3の折返し点はまた、バルーンの同じ部分上で周方向において揃えられてもよい。第1の折返し点と第2の折返し点は、バルーンの異なる部分上に位置しかつ周方向においてオフセットされてもよい。
【0020】
[00021]本開示のさらに別の態様は、中央部分、中央部分に接続された第1のテーパ部分および第2のテーパ部分、ならびに端部分を含むバルーンを備え、バルーンは長手方向軸を有する、医療用機器に関する。長手方向軸に対して概して平行に延在する第1の繊維撚り糸が、第1のテーパ部分における第1の折返し点を有してもよく、長手方向軸に対して概して平行に延在する第2の繊維撚り糸が、第1のテーパ部分における第2の折返し点を有してもよい。第1の折返し点と第2の折返し点は、長手方向軸に沿って互いにずらされてもよい。
【0021】
[00022]一実施形態では、第1の繊維撚り糸と第2の繊維撚り糸は、単一の連続的な繊維によって形成される。第3の繊維撚り糸が、第2のテーパ部分における第3の折返し点を有してもよく、第4の繊維撚り糸が、第2のテーパ部分における第4の折返し点を有してもよい。第3の折返し点と第4の折返し点は、長手方向軸に沿って互いにずらされてもよく、また、第3の繊維撚り糸と第4の繊維撚り糸は、単一の連続的な繊維によって形成される。
【0022】
[00023]これらの実施形態のいずれにおいても、任意選択で繊維のフープ巻線(hoop wind)が単一の連続的な繊維の上に延在してもよい。
[00024]本開示のさらに別の態様は、カテーテルシャフトとカテーテルシャフトに接続された膨張可能バルーンとを有する医療用機器に関する。バルーンは、長手方向軸と長手方向軸に対して概して平行に延在する複数の敷設部とを有する単一の連続的な繊維を有する。
【0023】
[00025]一実施形態では、膨張可能バルーンは、テーパ端部分に接続された中央部分を含み、単一の連続的な繊維は、テーパ端部分のそれぞれにおける複数の折返し点を有する。折返し点は、長手方向軸に沿って互いにずらされるかまたはオフセットされ得る。
【0024】
[00026]本開示はまた、医療用機器を形成する方法に関する。方法は、単一の連続的な繊維をバルーンに貼り付けるステップを含み、バルーンは、中央部分、ならびに中央部分に接続された第1のテーパ部分および第2のテーパ部分を含み、また、バルーンは、長手方向軸を含み、単一の連続的な繊維は、バルーンに沿って長手方向に延在し、単一の連続的な繊維は、第1のテーパ部分における第1の折返し点、第2のテーパ部分における第2の折返し点、第1のテーパ部分における第3の折返し点を有する。
【0025】
[00027]一実施形態では、バルーンは、テーパ部分の端部に縮径首部を含み、単一の連続的な繊維は、縮径首部に沿ってまたは縮径首部の上には延在しないように貼り付けられる。方法は、単一の連続的な繊維を切断することなしに縮径首部を切断するステップを含むステップをさらに含み得る。方法はまた、貼り付けるステップの前または貼り付けるステップの間に単一の連続的な繊維に接着剤を塗布するステップを含み得る。繊維を貼り付けるための貼り付けるステップは、(1)長手方向軸に対して概して平行にアプリケータを伸ばしていき、単一の連続的な繊維を第1の敷設部においてバルーンに貼り付けるステップと、(2)アプリケータをバルーンの周りで所定の距離だけ周方向に移動させて周方向において繊維を貼り付けるステップと、(3)アプリケータを長手方向軸に沿って戻して第2の敷設部を形成し、それによって繊維が第1の敷設部から第2の敷設部へ方向を変える折返し点が作り出されるステップとを含み得る。これらのステップは、所望に応じてまたは必要に応じて繰り返されてもよい。
【0026】
[00028]本開示は、バルーンを備える医療用機器にさらに関し、バルーンは、中央部分、中央部分に接続された第1のテーパ部分および第2のテーパ部分、ならびに第1のテーパ部分および第2のテーパ部分のそれぞれに接続された縮径首部を含み、バルーンは、長手方向軸、およびバルーンに沿って長手方向に延在する単一の連続的な繊維を含み、単一の連続的な繊維は、第1のテーパ部分における第1の折返し点、第2のテーパ部分における第2の折返し点、および第1のテーパ部分における第3の折返し点を有し、単一の連続的な繊維は、中央部分ならびに第1のテーパ部分および第2のテーパ部分に沿ってのみ延在し、縮径首部に沿っては延在しない。縮径首部がバルーンをカテーテルシャフトに取り付けるために取り除かれ、単一の連続的な繊維がバルーンの中央部分ならびに第1のテーパ部分および第2のテーパ部分上に残る、医療用機器を含むカテーテルも開示される。
【0027】
[00029]本開示のさらに別の態様は、中央部分、中央部分に接続された第1のテーパ部分および第2のテーパ部分、ならびに第1のテーパ部分および第2のテーパ部分のそれぞれに接続された縮径首部を有し、長手方向軸を含み、かつ繊維が貼り付けられている、医療用バルーンであって、縮径首部には繊維がない、医療用バルーンである。
【0028】
[00030]本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲において具体的に述べられる。本発明の原理が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明および添付図面を参照することにより、本発明の特徴および利点がよりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】[00031]
図1は、ベースバルーンのテーパ部分における折返し点を形成するようにベースバルーン上に敷設された単一の連続的な繊維を有する膨張可能バルーンを示す図である。 [00032]
図1Aは、
図1のバルーンの一部分の拡大された部分切り取り図である。
【
図2】[00033]
図2は、折返し点のうちの少なくともいくつかが長手方向において互いにずらされている、ベースバルーンのテーパ部分における折返し点を形成するようにベースバルーン上に敷設された単一の連続的な繊維を有する膨張可能バルーンを示す図である。 [00034]
図2Aは、
図2のバルーンの一部分の拡大された部分切り取り図である。
【
図3】[00035]単一の連続的な繊維上に周方向に巻付けられたフープ繊維とともにテーパ部分における折返し点を形成する単一の連続的な繊維を有するバルーンを示す図である。
【
図4】[00036]
図1のバルーンに似ているバルーンを示すが、長手方向軸に対してある角度で延在することができる繊維の各パスを示す図である。
【
図5】[00037]単一の連続的な繊維を貼り付けて繊維強化バルーンを形成する考えられる一方式を示す図である。
【
図6】[00038]開示された概念に従って形成されたバルーンを含むカテーテルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[00039]概して、また
図1を参照すると、本明細書には、ローコンプライアンス高圧医療用バルーンでもよく「ノンコンプライアント」バルーンでもよい繊維強化された医療用バルーン10が記載されており、これらのいずれも、膨張させられると、また追加の内圧の印加にかかわらず、概して固定的な外部形状および寸法を保持する。バルーン10は、おそらく
図1Aの部分図から最もよく理解されるように、折返し点Tを有する連続的なまたは切れ目のない実質的に非弾性の繊維12をベースバルーン11の外側表面に貼り付けることによって形成することができる。「折返し点」とは、連続的なまたは切れ目のない繊維が、折り返す間は常に連続性を維持しながら、反転するか他の方法で第1の方向から概して反対の第2の方向に進むように変わる(しかし、これらの方向は必ずしも平行であるとは限らず、さらには必ずしも揃えられるとは限らない)ことである。言い換えれば、折返しにおける繊維の方向は180度未満の角度の範囲内で変化し、この角度の範囲は、たとえば約140度から170度を含み得る。したがって、バルーン10は、バルーン10の第1のテーパ部分10bおよび第2のテーパ部分10cにおける折返し点Tにより、中央部分10a内で長手方向軸Xに対して実質的に平行に延在する繊維撚り糸12a...12nの複数の敷設部(たとえば、折返し点を共通して有する2つの敷設部ごとに、第1の、第2の、および第3の敷設部)を含む。しかし、折返し点Tは、結合した端部分または首部10d、10cまでには至らず、したがってテーパ部分10b、10cに隣接して終端し得る(以下の説明においてより詳細に述べられるように、テーパ部分10b、10cはそれぞれ、第1および第2のセクション10f、10g;10h、10iを含み得る)。このように、縮径首部には繊維がまったくない。
【0031】
[00040]したがって、繊維12は単一のステップにおいて、周方向に進みながら、しかし径方向においてバルーン10の周りに完全に巻かれることなく、切断を伴わずに1つの折返し点から異なる折返し点へ連続的に貼り付けられる。したがって一実施形態では、このようにして繊維撚り糸12a...12nを形成するにあたって、連続的な繊維12はそれ自体と交差しない。さらに、折返し点Tは首部10d、10e上にではなくテーパ部分10d上にあるので、首部は、バルーン10自体上の繊維12の連続性に影響を及ぼすことなく(従来通りに、バルーン10をカテーテルに組み付けるプロセスにおいて、バルーン10が形成される任意の犠牲的なシャフトSと一緒に)取り除かれ得る。つまり、(たとえば、米国特許出願公開第2016/0121076号で説明されるような)単一の連続的な繊維が首部の周りに螺旋状に巻かれる構成や首部が製造プロセス中に切り取られる構成では、バルーン上の繊維は、この処理の結果として結局は不連続なものになる。
【0032】
[00041]
図1をなおも参照すると、繊維12は、繊維撚り糸12a...12nが中央部分10aの周囲の至る所に敷設されるまで、バルーン10の一方の端部から他方の端部へ往復して繰り返し巻かれ得る。繊維撚り糸12a...12nは、周囲全体が覆われたときに繊維撚り糸がバルーンの長さに沿って実質的に互いに均等に間隔を空けられるように敷設され得る。したがって、直径が狭まるにつれて、繊維撚り糸間の間隔は、減量するが、依然として繊維撚り糸から繊維撚り糸までは実質的に均等なままである。
【0033】
[00042]
図1と
図2を比較すると、種々の敷設部のための折返し点Tは周方向において揃えられる(
図1)か、互いにオフセットされ(ずらされ)てもよい(
図2)ことが理解され得る。理解され得るように、オフセットとは、折返し点Tがバルーン10の長手方向軸Xに沿って互いにずらされることを意味する(
図2Aにおける折返し点T3とT4との間のオフセットYを参照)。いずれの場合にも、繊維12の各敷設部はバルーン10の外側表面の異なる部分に沿うので、折返し点Tもまた周方向においてオフセットされる(つまり、第1のテーパ部分10b上の1つの折返し点T1はバルーン10の第2のテーパ部分10c上の折返し点T2と揃えられない)ことが、さらに理解され得る。
【0034】
[00043]折返し点Tは、バルーン10の様々な部分上に設けられてもよい。たとえば、
図1Aを参照すると、折返し点Tはテーパ部分10bの第1のセクション10f内に設けられ、このセクション10fは中央部分10aからより遠くに間隔を空けられていることが、理解され得る。実際、折返し点Tのそれぞれは、首部10dが設けられる位置(この部分は、典型的にはベースバルーン11を形成するために使用されるブロー成形プロセスによって残された部分である)に隣接して設けられ得る。対照的に、
図2Aは、折返し点のうちの少なくとも1つT4がテーパ部分10bの第2のセクション10g内に設けられ、一方で他の折返し点(折返し点T3を含む)が第1のセクション10f内に(しかし
図1におけるものよりも中央部分10aの近くに)設けられることを示す。したがって、この折返し点T4は、実際には、中央部分10aからテーパ部分10bへの移行部により接近している。すべての折返し点をテーパ部分10bの第2のセクション10g内に設けることも考えられる。理解され得るように、テーパ部分10bのみ示されている。
【0035】
[00044]図が見えやすいように、中央部分10aの周囲には比較的少ない数の繊維敷設部のみが示されており、ピッチははるかに大きくてもよいことを、理解されたい。たとえば、繊維撚り糸12a...12nのピッチは8~100ピッチの間でもよく、より狭くして、約40ピッチなど、30~50ピッチの間でもよい。さらに、繊維撚り糸は、連続的に敷設されるものとして説明されたが、そうである必要はない。たとえば、撚り糸12a...12nは、別々の群で敷設されてもよい。
【0036】
[00045]いくつかの実施形態では、また
図3を参照すると、任意選択でフープ(輪)繊維14が単一の連続的な繊維12の上に貼り付けられてもよい。一実施形態では、フープ繊維14は、すべての繊維撚り糸12a...12nの上に貼り付けられてもよい。したがって、繊維撚り糸12a...12nが形成された後、フープ繊維14がバルーン10の種々の部分の一部または全部の周りに半径方向に巻付けられて、被覆繊維層を形成することができる。この作業は望みに応じて繰り返され、繊維撚り糸12a...12nとフープ繊維の交互になる層が、バルーン10のすべてのみ、または一部のみに設けられてもよい。
【0037】
[00046]
図4を参照すると、いくつかの実施形態では、長手方向繊維撚り糸12a...12nは、中央部分10aにおいて、長手方向軸Xに対してある角度で延在してもよい。たとえば、繊維撚り糸12a...12nは、たとえば+/-12度などの+/-5~15など、長手方向軸に対して+/-0~20度の角度で延在してもよい。さらに、1本おきの繊維撚り糸(すなわち交互になる繊維撚り糸の群)が長手方向軸Xに対して逆の正方向/負方向に延在し、それによってバルーン10がねじれるのを防いでもよい。この実施形態では、繊維撚り糸12a...12nは任意選択で図示のように交差してもよく、(すべての繊維撚り糸が同じ角度の配置であり、したがって実質的に平行なままである場合)交差しなくてもよい。
【0038】
[00047]本明細書に記載の繊維12は、樹脂、接着剤、または(TPUなどの)熱溶着可能な材料の内部で延在する複数の繊維など、繊維マトリクスの一部でもよい。樹脂、接着剤、または熱溶着可能な材料は、繊維がベースバルーン11に配置される前、配置されている間、または配置された後に、繊維に塗布することができる。
【0039】
[00048]
図5を参照すると、繊維12は、回転可能に取り付けられたスプール102からバルーンの表面全体にわたって繊維を送達するように構成された自動アプリケータ100を使用してベースバルーン11の上に貼り付けることができ、バルーンは、クランプまたは保持具104によって両方の端部から定位置に保持され得る。貼付け前、または貼付け中、繊維12は、接着剤、用剤、またはその両方を含浸またはコーティングされてもよい。アプリケータ100は回転および並進して、ベースバルーン11と接触するように繊維12を位置決めすることができる。アプリケータ100は表面に対して垂直に圧力を印加して、繊維12があてがわれつつある表面に繊維12を貼付け、かつ/または繊維トウのモノフィラメントを広げる助けとなることができる。
【0040】
[00049]繊維12の貼付けは、ベースバルーン11の1つのテーパ付けされた端部分10b、10cから始まり、次いで、長手方向軸に対して概して平行にアプリケータ100を伸ばしていくことを必要とする場合がある。折返し点を形成するための所望の箇所に到達すると、アプリケータ100は、ベースバルーン11の周りで(所望のピッチに応じた)所定の距離を周方向に移動することができる。したがって、単一の連続的な繊維12は周方向において短い距離だけ貼り付けられ、次いで、アプリケータ100は、第2の敷設部を形成するために長手方向軸に沿って戻り、それにより、繊維が第1の敷設部から第2の敷設部へ方向を変える折返し点を作り出すことができる。この手順は望みに応じて繰り返されてもよく、理解され得るように、長手方向敷設部が長手方向軸Xに対してある角度で延在することになる場合は修正されてもよい。
【0041】
[00050]いくつかの実施形態では、繊維12をベースバルーン11に付着させる助けとするために、接着剤、または熱可塑性ポリウレタン(TPU)などの熱溶着可能な材料が塗布されてもよい。接着剤は、繊維12がアプリケータ100を出て行く箇所の隣りでノズル108を通ってリザーバ106から供給され得る。ホットメルト(熱溶融性)接着剤の場合、流動性が良好に保たれることを確実とするために、リザーバ106とノズル108の両方を加熱することができる。
【0042】
[00051]さらに、いくつかの実施形態では、繊維12は貼付け中に、溶媒和された接着剤、またはTPUなどの熱溶着可能な材料に浸されてもよい。いくつかの実施形態では、そのような材料は噴霧することによって塗布されてもよい。溶媒和された熱溶着可能材料と熱溶着可能材料の両方が使用される場合、有利には、そのままの熱溶着可能材料が溶媒和された熱溶着可能材料と交わって、接着剤特性を促進する助けとなることができる。接着剤、または熱溶着可能材料は、繊維の貼付け中に塗布されてもよく、巻付けが終了した後に塗布されてもよい。
【0043】
[00052]さらに、いくつかの実施形態では、繊維層の上に外部層が貼り付けられてもよい。外部層は、たとえば、繊維で被覆されたバルーン10の周りに巻かれる、フィルムの1枚または複数枚のパネル(図示せず)で形成することができる。
【0044】
[00053]本明細書に記載の繊維は、種々の材料から作成することができる。例示的な材料には、Vectran(登録商標)、PBO、Spectra(登録商標)、Conex(登録商標)、Dyneema(登録商標)、Technora(登録商標)、Dacron(登録商標)、Compet(登録商標)、ポリエステル、ナイロン、PEEK、PPS、ボロン繊維、セラミック繊維、Kevlar(登録商標)、無機炭素または炭素繊維、無機ケイ素または高強度繊維ガラス、有機ポリマーまたはアラミド、Twaron(登録商標)、タングステン、モリブデン、ステンレス鋼、ニッケル/コバルト合金、チタン合金、およびニチノール合金が含まれる。
【0045】
[00054]有利には、本明細書に記載の繊維撚り糸12a...12nは、最小限の機械設備を用いて連続的に敷設することができる。プロセスは自動化され、また容易に更新することができる。繊維貼付けプロセスは、特に長手方向軸に対して平行な撚り糸の貼付けでは、迅速に実施することができる。さらに、アプリケータ100の経路はソフトウェアを実行するコンピュータによって制御することができるので、自動化されたプロセスにより、膨張可能バルーンの様々なサイズおよび形状の間での簡単な変更が可能になる。ベースバルーンが装着された後、人間が介在する必要なしに、すべての繊維の貼付けを自動で行うことができる。
【0046】
[00055]本明細書に記載の機器は、最小限の内壁剪断を示す繊維堆積物を有するようにさらに設計され得る。壁剪断は、バルーンが膨張させられたときに繊維、特にフープ繊維がより大きな半径のセクションからより小さな半径のセクションに移動する、繊維の「スランピング(落ち込み)」を引き起こす場合がある。フープ繊維の移動は、バルーンの早期破損をもたらす場合があり、したがってバルーンの最大膨張圧を制限する。本明細書に記載の膨張可能な装置の繊維撚り糸は、たとえば、螺旋パターンで巻かれたバルーンに対して、バルーンの両端における繊維盛り量の減少をさらに可能にする。
【0047】
[00056]
図6を参照すると、中央部分10aに沿って長手方向に延在しかつテーパ部分10b、10cにおける折返しを含む連続的な繊維12を組み込むバルーン10は、カテーテル200の一部として設けられてもよいことが理解され得る。カテーテル200はシャフト202を含み、シャフト202は、バルーン10に膨張流体を提供するため、またガイドワイヤ204を収容するためなどの、複数の内腔を有することができる。理解され得るように、単一の繊維12は、バルーン10の中央部分10aおよびテーパ部分10b、10cに沿ってのみ延在し、したがって首部が(バルーンを製造するプロセス中にさらなるステップとして切断することなどにより)取り除かれてバルーンがシャフト202に取り付けられた後でも、連続性を維持する。
【0048】
[00057]要約すると、本開示は、以下の項目に関連すると考えられ得る。
概して、第1の、第2の、第3の、などの折返し点は、異なる点を指している。したがって、第2の折返し点は第1の折返し点とは異なり、第3の折返し点は第1の折返し点および第2の折返し点とは異なり、などである。
「項目1」
医療用機器であって、
中央部分ならびに上記中央部分に接続された第1のテーパ部分および第2のテーパ部分を含むバルーンであって、長手方向軸を含むバルーンと、
上記バルーンに沿って基本的に長手方向にかつ/または上記バルーンの上記中央部分に沿って少なくとも長手方向に延在する単一の連続的な繊維であって上記第1のテーパ部分における第1の折返し点、上記第2のテーパ部分における第2の折返し点、および上記第1のテーパ部分における第3の折返し点を有する単一の連続的な繊維と
を備える、医療用機器。
「項目2」
項目1に記載の医療用機器であって、
上記単一の連続的な繊維が、
上記第1のテーパ部分における上記第1の折返し点まで上記中央部分に沿って上記長手方向軸に対して実質的に平行に延びる第1の敷設部と、
上記第2のテーパ部分における上記第2の折返し点まで上記中央部分に沿って上記長手方向軸に対して実質的に平行に延びる第2の敷設部と、
上記第1のテーパ部分における上記第3の折返し点まで上記中央部分に沿って上記長手方向軸に対して実質的に平行に延びる第3の敷設部と
を備える、医療用機器。
「項目3」
項目1または2に記載の医療用機器であって、
上記第3の折返し点が上記長手方向軸に沿って上記第1の折返し点から間隔を空けられている、医療用機器。
「項目4」
項目1から3のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記第2のテーパ部分にありかつ上記長手方向軸に沿って上記第1の折返し点から間隔を空けられた第4の折返し点をさらに含む、医療用機器。
「項目5」
項目1から4のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記第1の折返し点が上記第1のテーパ部分の一端に隣接する、医療用機器。
「項目6」
項目1から5のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記第1の折返し点が上記中央部分から上記第1のテーパ部分への移行部に隣接する、医療用機器。
「項目7」
項目1から6のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記単一の連続的な繊維を上記バルーンの外側表面に接着する接着剤をさらに含む、医療用機器。
「項目8」
項目7に記載の医療用機器であって、
上記接着剤がホットメルト接着剤を含む、医療用機器。
「項目9」
項目2から8のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記第1の折返し点と上記第3の折返し点が周方向において揃えられている、医療用機器。
「項目10」
項目1から9のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記第1の折返し点と上記第2の折返し点が周方向においてオフセットされている、医療用機器。
「項目11」
医療用機器であって、
中央部分、上記中央部分に接続された第1のテーパ部分および第2のテーパ部分、ならびに上記第1のテーパ部分および上記第2のテーパ部分のそれぞれに接続された縮径端部分を含むバルーンであって、長手方向軸を含むバルーンと、
上記中央部分ならびに上記第1のテーパ部分および上記第2のテーパ部分に沿って繰り返す形で長手方向に延在するが上記バルーンの上記縮径端部分に沿ってまたは上記バルーンの上記縮径端部分の周りには延在しない単一の連続的な繊維であって、かつ/または上記縮径端部分には上記単一の連続的な繊維がない、単一の連続的な繊維と
を備える、医療用機器。
「項目12」
項目11に記載の医療用機器であって、
上記単一の連続的な繊維が、
上記第1のテーパ部分における第1の折返し点まで上記中央部分に沿って上記長手方向軸に対して実質的に平行に延びる第1の敷設部と、
上記第2のテーパ部分における第2の折返し点まで上記中央部分に沿って上記長手方向軸に対して実質的に平行に延びる第2の敷設部と、
上記第1のテーパ部分における第3の折返し点まで上記中央部分に沿って上記長手方向軸に対して実質的に平行に延びる第3の敷設部と
を備える、医療用機器。
「項目13」
項目12に記載の医療用機器であって、
上記第3の折返し点が上記長手方向軸に沿って上記第1の折返し点から間隔を空けられている、医療用機器。
「項目14」
項目11から13のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記第2のテーパ部分にありかつ上記長手方向軸に沿って上記第1の折返し点から間隔を空けられている第4の折返し点をさらに含む、医療用機器。
「項目15」
項目11から14のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記第1の折返し点が上記第1のテーパ部分の一端に隣接する、医療用機器。
「項目16」
項目11から15のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記第1の折返し点が上記中央部分から上記第1のテーパ部分への移行部に隣接する、医療用機器。
「項目17」
項目11から16のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記単一の連続的な繊維を上記バルーンの外側表面に接着するための接着剤をさらに含む、医療用機器。
「項目18」
項目17に記載の医療用機器であって、
上記接着剤がホットメルト接着剤である、医療用機器。
「項目19」
項目12から18のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記第1の折返し点と上記第3の折返し点が周方向において揃えられている、医療用機器。
「項目20」
項目11から19のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記第1の折返し点と上記第2の折返し点が周方向においてオフセットされている、医療用機器。
「項目21」
医療用機器であって、
中央部分、上記中央部分に接続された第1のテーパ部分および第2のテーパ部分、ならびに端部分を含むバルーンであって、長手方向軸を含むバルーンと、
少なくとも上記中央部分に沿って、好ましくは上記バルーンに沿って長手方向に延在する第1の繊維撚り糸であって、上記第1のテーパ部分における第1の折返し点を有する第1の繊維撚り糸と、
少なくとも上記中央部分に沿って、好ましくは上記バルーンに沿って長手方向に延在する第2の繊維撚り糸であって、上記第1のテーパ部分における第2の折返し点を有する第2の繊維撚り糸と
を備え、
上記第1の折返し点と第2の折返し点が上記長手方向軸に沿って互いにずらされている、医療用機器。
「項目22」
項目21に記載の医療用機器であって、
上記第1の繊維撚り糸および上記第2の繊維撚り糸が単一の連続的な繊維によって形成される、医療用機器。
「項目23」
項目21または22に記載の医療用機器であって、
上記第2のテーパ部分における第3の折返し点を有する第3の繊維撚り糸をさらに含む、医療用機器。
「項目24」
項目21から23のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記第2のテーパ部分における第4の折返し点を有する第4の繊維撚り糸をさらに含む、医療用機器。
「項目25」
項目24に記載の医療用機器であって、
上記第3の折返し点と上記第4の折返し点が上記長手方向軸に沿って互いにずらされている、医療用機器。
「項目26」
項目24または25に記載の医療用機器であって、
上記第3の繊維撚り糸と上記第4の繊維撚り糸が単一の連続的な繊維によって形成される、医療用機器。
「項目27」
項目1から26のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記単一の連続的な繊維の上に延在するフープ巻線をさらに含む、医療用機器。
「項目28」
医療用機器であって、
カテーテルシャフトと、
上記カテーテルシャフトに接続されかつ長手方向軸を有する膨張可能バルーンであって、上記長手方向軸に対して概して平行に延在する複数の敷設部を有する単一の連続的な繊維を含む膨張可能バルーンと
を備える、医療用機器。
「項目29」
項目28に記載の医療用機器であって、
上記膨張可能バルーンが、テーパ端部分に接続された中央部分を含み、上記単一の連続的な繊維が、上記テーパ端部分のそれぞれにおける複数の折返し点を有する、医療用機器。
「項目30」
項目28または29に記載の医療用機器であって、
上記折返し点が上記長手方向軸に沿って互いにずらされている、医療用機器。
「項目31」
項目28から30のいずれかに記載の医療用機器であって、
項目1から27に記載の特徴も備えることができる、医療用機器。
「項目32」
医療用機器を形成する方法であって、
中央部分ならびに上記中央部分に接続された第1のテーパ部分および第2のテーパ部分を含むバルーンに単一の連続的な繊維を貼り付けるステップを含み、上記バルーンが長手方向軸を含み、上記単一の連続的な繊維が上記バルーンに沿って長手方向に延在し、上記単一の連続的な繊維が、上記第1のテーパ部分における第1の折返し点、上記第2のテーパ部分における第2の折返し点、および上記第1のテーパ部分における第3の折返し点を有する、方法。
「項目33」
項目31に記載の方法であって、
上記バルーンが、上記テーパ部分の端部に縮径首部を含み、上記単一の連続的な繊維が、上記縮径首部に沿ってまたは上記縮径首部の上に延在しないように貼り付けられる、方法。
「項目34」
項目31に記載の方法であって、
上記単一の連続的な繊維を切断することなしに上記縮径首部を切断するステップをさらに含む、方法。
「項目35」
項目31に記載の方法であって、
上記貼り付けるステップの前にまたは上記貼り付けるステップの間に上記単一の連続的な繊維に接着剤を塗布するステップをさらに含む、方法。
「項目36」
項目31に記載の方法であって、
上記貼り付けるステップが、
上記長手方向軸に対して概して平行にアプリケータを伸ばしていき、上記単一の連続的な繊維を第1の敷設部において上記バルーンに貼り付けるステップと、
上記アプリケータを上記バルーンの周りで所定の距離だけ周方向に移動させて上記周方向において前記繊維を貼り付けるステップと、
上記アプリケータを上記長手方向軸に沿って戻して第2の敷設部を形成し、それによって上記繊維が上記第1の敷設部から上記第2の敷設部へ方向を変える上記折返し点が作り出されるステップと
を含む、方法。
「項目37」
医療用機器であって、
中央部分、上記中央部分に接続された第1のテーパ部分および第2のテーパ部分、ならびに上記第1のテーパ部分および上記第2のテーパ部分のそれぞれに接続された縮径首部を含むバルーンであって、長手方向軸を含むバルーンと、
上記バルーンに沿って長手方向に延在する単一の連続的な繊維であって、上記第1のテーパ部分における第1の折返し点、上記第2のテーパ部分における第2の折返し点、および上記第1のテーパ部分における第3の折返し点を有し、上記中央部分ならびに上記第1のテーパ部分および上記第2のテーパ部分に沿ってのみ延在し上記縮径首部に沿っては延在しない単一の連続的な繊維と
を備える医療用機器。
「項目38」
項目37に記載の医療用機器を含むカテーテルであって、
縮径首部が、バルーンをカテーテルシャフトに取り付けるために取り除かれ、単一の連続的な繊維が、上記バルーンの中央部分ならびに第1のテーパ部分および第2のテーパ部分上に残る、カテーテル。
「項目39」
中央部分、上記中央部分に接続された第1のテーパ部分および第2のテーパ部分、ならびに上記第1のテーパ部分および上記第2のテーパ部分のそれぞれに接続された縮径首部を有し、長手方向軸を含み、かつ繊維が貼り付けられている、医療用バルーンであって、
上記縮径首部には繊維がない、医療用バルーン。
【0049】
[00058]本明細書において使用される、文法的な単数形「a」、「an」、および「the」で記載される以下の用語のそれぞれは、「少なくとも1つの」、あるいは「1つまたは複数の」を意味する。本明細書で「1つまたは複数の」という語句を使用することは、「a」、「an」、または「the」のこの所期の意味を変更するものではない。したがって、そうでないことが本明細書に具体的に定義もしくは記載されていなければ、または文脈から明らかにそうでないことが示されていなければ、本明細書において使用される「a」、「an」、および「the」という用語は、複数の提示された主体または物体も指しかつ包含することができる。たとえば、本明細書において使用される「ユニット」、「装置」、「組立体」、「機構」、「構成要素」、「要素」、および「ステップまたは手順」という語句は、それぞれ複数のユニット、複数の装置、複数の組立体、複数の機構、複数の構成要素、複数の要素、および複数のステップまたは手順も指しかつ包含することができる。
【0050】
[00059]本明細書において使用される以下の用語「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、「備える」および「備えている」、ならびにこれらの言語学的/文法的な変化形、派生形、または/および活用形のそれぞれは、「~を含むが限定されない」を意味しており、また提示される構成要素、特徴、特性、パラメータ、整数、またはステップを指定するものと考えられるべきであり、1つもしくは複数の追加の構成要素、特徴、特性、パラメータ、整数、ステップまたはこれらの群を追加することを排除するものではない。これらの用語のそれぞれの意味は、「本質的に~から構成されている」という語句に相当すると考えられる。本明細書において使用される「~から構成されている」および「~から構成される」という語句のそれぞれは、「~を含み、それに限定される」を意味する。「本質的に~から構成されている」という語句は、開示された本発明の例示的な一実施形態の全体もしくは一部であり、または/かつ開示された本発明の例示的な一実施形態を実施するために使用される、提示される主体または項目(システム、システムユニット、システムサブユニット装置、組立体、サブ組立体、機構、構造体、構成要素の要素、または周辺機器ユーティリティ、アクセサリ、または材料、方法もしくはプロセス、ステップもしくは手順、サブステップもしくはサブ手順)が、(システムユニットシステムサブユニット装置、組立体、サブ組立体、機構、構造体、構成要素もしくは要素、または周辺機器ユーティリティ、アクセサリ、または材料、ステップもしくは手順、サブステップもしくはサブ手順である)少なくとも1つの追加の特徴または特性を含んでもよいということを意味するが、これは、こうしたそれぞれの追加の特徴または特性により、特許請求された項目の新規かつ発明的な基本的特性または特別な技術的特徴が著しく変更されない場合に限られる。
【0051】
[00060]本明細書において使用される「方法」という用語は、開示された本発明の関連分野の実務者に知られているか、または開示された本発明の関連分野の実務者により、知られているステップ、手順、方式、手段もしくは/および技法から容易に開発されるステップ、手順、方式、手段または/および技法を含むが限定はされない所与のタスクを行うためのステップ、手順、方式、手段または/および技法を指す。
【0052】
[00061]本明細書において使用される、約、実質的に、ほぼ、という用語などの近似の用語は、提示された数値の±10%を指す。平行または垂直という用語の使用は、そうでないことが指定されていない限り、この条件をほぼ満たすことを意味することを意図している。
【0053】
[00062]説明を明瞭にするために複数の個別の実施形態の文脈またはフォーマットにおいて例示的に説明および提示された本発明のいくつかの態様、特性、および特徴は、単一の実施形態の文脈またはフォーマットにおける任意の適した組合せまたは部分的組合せにおいても例示的に説明および提示され得ることを完全に理解されたい。逆に、単一の実施形態の文脈またはフォーマットにおける組合せまたは部分的組合せにおいて例示的に説明および提示された本発明の種々の態様、特性、および特徴も、複数の個別の実施形態の文脈またはフォーマットにおいて例示的に説明および提示され得る。
【0054】
[00063]特定の例示的な実施形態およびその例によって本開示の本発明を例示的に説明および提示してきたが、その多くの代替形態、変更形態、または/および変形形態が当業者には明らかであろうことは明白である。したがって、こうしたあらゆる代替形態、変更形態、または/および変形形態は、添付の特許請求の範囲に記載の広い範囲の趣旨に含まれ、かつ添付の特許請求の範囲に記載の広い範囲によって包含されることが意図されている。