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特許7235769マイクロ流体カートリッジ及びマイクロ流体カートリッジを備えるマイクロ流体送達装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】マイクロ流体カートリッジ及びマイクロ流体カートリッジを備えるマイクロ流体送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/14 20060101AFI20230301BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20230301BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20230301BHJP
   B05B 17/04 20060101ALI20230301BHJP
   B05D 1/02 20060101ALI20230301BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20230301BHJP
   B65D 85/00 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A61L9/14
B05C5/00 101
B05C11/10
B05B17/04
B05D1/02 Z
B65D83/00 F
B65D85/00 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020560353
(86)(22)【出願日】2019-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 US2019031004
(87)【国際公開番号】W WO2019221964
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-10-27
(31)【優先権主張番号】15/979,510
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】グリュンバッハー、デイナ・ポール
(72)【発明者】
【氏名】キャノン、ウィリアム・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】フ、フア
(72)【発明者】
【氏名】サリヴァン、ジェイムズ・トーマス
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/021980(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0190174(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00- 9/22
B01J 14/00-19/32
B05C 5/00
B05C 11/10
B05B 17/04
B05D 1/02
B65D 83/00
B65D 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンと、
内部及び外部を有し、第1のエアアウトレット及び流体出口を更に備えるハウジングであって、前記ハウジングの前記内部が、前記ファンから前記第1のエアアウトレットまで延在する空気流チャネルを備え、前記第1のエアアウトレットが、前記ハウジングの前記外部に開口し、前記空気流チャネルが、前記ハウジングの前記内部に露出している第2のエアアウトレットを備え、前記第2のエアアウトレットが前記流体出口に空気流連通し、前記ハウジングが、電源と電気的に接続されたハウジング電気接点を更に備える、ハウジングと、
前記ハウジングと取り外し可能に接続可能なマイクロ流体カートリッジと
を備え、
前記マイクロ流体カートリッジは、流体組成物を収容するためのリザーバと、
第1の端部及び第2の端部を備え、その前記第1の端部が第1の面上に配設され、その前記第2の端部が第2の面上に配設されている電気回路と、
前記第2の面上に配設され、前記電気回路と電気的に連通し、前記リザーバと流体連通している、マイクロ流体ダイと、
を備え、
2のエアフローアウトレットが、前記マイクロ流体ダイと空気流連通し、
前記マイクロ流体ダイから分配された流体組成物が、前記流体出口を通って前記ハウジングから出る、マイクロ流体送達装置。
【請求項2】
前記ファンからの空気流が、前記第1のエアアウトレット及び前記第2のエアアウトレットを通って方向付けられ、
前記第2のエアアウトレットに入る空気流が、前記マイクロ流体ダイに隣接して移動し、前記流体組成物と共に前記流体出口から流出する、
請求項1に記載のマイクロ流体送達装置。
【請求項3】
前記ハウジングが、前記流体出口から前記マイクロ流体ダイに向かって延在する流体チャネルを備える、請求項1又は2に記載のマイクロ流体送達装置。
【請求項4】
前記第1のエアアウトレットを出る前記空気流が、水平に対して上向きの角度で移動する、請求項1~3のいずれか一項に記載のマイクロ流体送達装置。
【請求項5】
前記空気流の大部分が、前記第1のエアアウトレットを出る、請求項1~4のいずれか一項に記載のマイクロ流体送達装置。
【請求項6】
前記流体組成物が、実質的に水平に分配される、請求項1~5のいずれか一項に記載のマイクロ流体送達装置。
【請求項7】
前記マイクロ流体ダイが、
複数の熱排出アクチュエータを備える半導体基板、
流体供給チャネルと、それぞれが流体排出アクチュエータと関連付けられている1つ以上の流体チャンバと、を備える流体流基板、及び
それぞれが流体チャンバと流体連通している1つ以上のノズルを備えるノズルプレート、
を備え、
前記流体組成物が、香料混合物を含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載のマイクロ流体送達装置。
【請求項8】
マイクロ流体ダイから流体組成物を分配する方法であって、
ファンから空気流を生成する工程と、
前記空気流の第1の部分を、ハウジング内の第1のエアアウトレットを通して方向付ける工程と、
前記空気流の第2の部分を、前記ハウジング内の第2のエアアウトレットを通して方向付ける工程と、
流体組成物を、前記ハウジング内の流体オリフィスを通してマイクロ流体ダイから噴射する工程と、
空気流の前記第2の部分を、前記マイクロ流体ダイに隣接させ、流体出口から流出するように方向付け、前記空気流の前記第1の部分が、前記流体出口から噴射された前記流体組成物を、空気中に方向付ける工程と、
を含む方法。
【請求項9】
前記ハウジングが、内部及び外部を備え、
前記第1のエアアウトレットが、前記ハウジングの前記外部に開口し、
前記第2のエアアウトレットが、前記ハウジングの前記内部に開口する、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ハウジングが、前記ファンから前記第1のエアアウトレットまで延在する空気流チャネル空気流を備え、
前記空気流チャネルが前記第2のエアアウトレットを備える、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ハウジングが、前記流体出口から前記マイクロ流体ダイに向かって延在する流体チャネルを含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のエアアウトレットを出る前記空気流が、水平に対して上向きの角度で移動する、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記空気流の大部分が、前記第1のエアアウトレットを出る、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記流体組成物が、前記マイクロ流体ダイから実質的に水平に噴射される、請求項8~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記マイクロ流体ダイが、
複数の熱アクチュエータを備える半導体基板、
流体供給チャネルと、それぞれが流体排出アクチュエータと関連付けられている1つ以上の流体チャンバと、を備える流体流基板、及び
それぞれが流体チャンバと流体連通している1つ以上のノズルを備えるノズルプレート、
を備え、
前記流体組成物が、香料混合物を含む、
請求項8~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体組成物を空気中に分配するためのマイクロ流体ダイを有するマイクロ流体送達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
組成物を表面上又は空気中に送達するためのマイクロ流体カートリッジが存在する。マイクロ流体カートリッジは、流体組成物と、マイクロ流体ダイと、流体組成物を分配するための1つ以上のノズルと、を含み得る。マイクロ流体カートリッジは、マイクロ流体送達装置に対して、取り外し可能に接続可能であってよく、そのマイクロ流体送達装置は、例えば、電源と電気的に連通している電気的接続を有するハウジングを含んでいてもよい。流体組成物は、液滴の形状でマイクロ流体ダイから分配される。一部の液滴は、マイクロ流体ダイからの放出時により小さい液滴に破壊されてもよく、あるいは一部の液滴は、液滴の主部分から破壊されて分離する際に、テール部分を形成し得る。液滴のこれらの小滴又はテール部分は、場合によっては、マイクロ流体ダイ上に落下して、流体組成物をマイクロ流体ダイ上に蓄積させ、ノズルの一部又は全部を潜在的に遮断する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、マイクロ流体ダイから分配された流体組成物を、空気中に進ませ、マイクロ流体ダイに蓄積しないようにすることができるマイクロ流体送達装置を開発することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
「組み合わせ:」
A.ファンと、
内部及び外部を有し、第1のエアアウトレット及び流体出口を更に備えるハウジングであって、ハウジングの内部が、ファンから第1のエアアウトレットまで延在する空気流チャネルを備え、第1のエアアウトレットが、ハウジングの外部に開口し、空気流チャネルが、ハウジングの内部に露出している第2のエアアウトレットを備え、第2のエアアウトレットが流体出口に空気流連通し、ハウジングが、電源と電気的に接続されたハウジング電気接点を更に備える、ハウジングと、
ハウジングと取り外し可能に接続可能なマイクロ流体カートリッジと、
を備え、
マイクロ流体カートリッジは、
流体組成物を収容するためのリザーバと、
第1の端部及び第2の端部を備え、その第1の端部が第1の面上に配設され、その第2の端部が第2の面上に配設されている電気回路と、
第2の面上に配設され、電気回路と電気的に連通し、リザーバと流体連通している、マイクロ流体ダイと、
を備え、
第2のエアフローアウトレットが、マイクロ流体ダイと空気流連通し、
マイクロ流体ダイから分配された流体組成物が、流体出口を通ってハウジングから出る、マイクロ流体送達装置。
B.ファンからの空気流が、第1のエアアウトレット及び第2のエアアウトレットを通って方向付けられ、第2のエアアウトレットに入る空気流が、マイクロ流体ダイに隣接して移動し、流体組成物と共に流体出口から流出する、パラグラフAに記載のマイクロ流体送達装置。
C.ハウジングが、流体出口からマイクロ流体ダイに向かって延在する流体チャネルを備える、パラグラフA又はBに記載のマイクロ流体送達装置。
D.第1のエアアウトレットを出る空気流が、水平に対して上向きの角度で移動する、パラグラフA~Cのいずれか一つに記載のマイクロ流体送達装置。
E.空気流の大部分が、第1のエアアウトレットを出る、パラグラフA~Dのいずれか一つに記載のマイクロ流体送達装置。
F.流体組成物が、実質的に水平に分配される、パラグラフA~Eのいずれか一つに記載のマイクロ流体送達装置。
G.マイクロ流体ダイが、複数の熱排出アクチュエータを備える半導体基板、流体供給チャネルと、それぞれが流体排出アクチュエータと関連付けられている1つ以上の流体チャンバと、を備える流体流基板、及びそれぞれが流体チャンバと流体連通している1つ以上のノズルを備えるノズルプレート、を備え、流体組成物が、香料混合物を含む、パラグラフA~Fのいずれか一つに記載のマイクロ流体送達装置。
H.マイクロ流体ダイから流体組成物を分配する方法であって、
ファンから空気流を生成する工程と、
空気流の第1の部分を、ハウジング内の第1のエアアウトレットを通して方向付ける工程と、
空気流の第2の部分を、ハウジング内の第2のエアアウトレットを通して方向付ける工程と、
流体組成物を、ハウジング内の流体オリフィスを通してマイクロ流体ダイから噴射する工程と、
空気流の第2の部分を、マイクロ流体ダイに隣接させ、流体出口から流出するように方向付け、空気流の第1の部分が、流体出口から噴射された流体組成物を、空気中に方向付ける工程と、
を含む方法。
I.ハウジングが、内部及び外部を備え、第1のエアアウトレットが、ハウジングの外部に開口し、第2のエアアウトレットが、ハウジングの内部に開口する、パラグラフHに記載の方法。
J.ハウジングが、ファンから第1のエアアウトレットまで延在する空気流チャネル空気流を備え、空気流チャネルが第2のエアアウトレットを備える、パラグラフIに記載の方法。
K.ハウジングが、流体出口からマイクロ流体ダイに向かって延在する流体チャネルを含む、パラグラフI又はJに記載の方法。
L.第1のエアアウトレットを出る空気流が、水平に対して上向きの角度で移動する、パラグラフH~Kのいずれか一つに記載の方法。
M.空気流の大部分が、第1のエアアウトレットを出る、パラグラフH~Lのいずれか一つに記載の方法。
N.流体組成物が、マイクロ流体ダイから実質的に水平に噴射される、パラグラフH~Mのいずれか一つに記載の方法。
O.マイクロ流体ダイが、複数の熱アクチュエータを備える半導体基板、流体供給チャネルと、それぞれが流体排出アクチュエータと関連付けられている1つ以上の流体チャンバと、を備える流体流基板、及びそれぞれが流体チャンバと流体連通している1つ以上のノズルを備えるノズルプレート、を備え、流体組成物が、香料混合物を含む、パラグラフH~Nのいずれか一つに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】マイクロ流体カートリッジの詳細をより明確に示すために電気回路及びマイクロ流体ダイを取り除いた、マイクロ流体カートリッジの斜視図である。
図2】線2-2に沿った、図1の断面図である。
図3図1のマイクロ流体カートリッジの別の斜視図である。
図4図1のマイクロ流体カートリッジの底部平面図である。
図5図1のマイクロ流体カートリッジの側面立面図である。
図6】電気回路及びマイクロ流体ダイが図示されている、マイクロ流体カートリッジの斜視図である。
図7図6の部分7の拡大図である。
図8】マイクロ流体ダイの断面図である。
図9】マイクロ流体ダイの一部の平面図である。
図10】ハウジングと取り外し可能に接続されたマイクロ流体カートリッジを有する、マイクロ流体送達装置の斜視図である。
図11図10のマイクロ流体送達装置の別の斜視図である。
図12】マイクロ流体送達装置の内部の要素をより明確に見せるためにマイクロ流体カートリッジが除去された状態の、マイクロ流体送達装置の上面平面図である。
図13】マイクロ流体送達部材のハウジングのレセプタクルの斜視図である。
図14】マイクロ流体カートリッジの側面立面図である。
図15図6のマイクロ流体カートリッジの代替的斜視図である。
図16図13の部分16の拡大図である。
図17】線17-17に沿った、図11の断面図である。
図18図17の部分18の拡大図である。
図19】マイクロ流体送達装置の内部の要素をより明確に示すためにハウジングの一部分が取り除かれた状態の、図11のマイクロ流体送達装置の側面立面図である。
図20】第2のエアアウトレットを示す、図19の代替的斜視図である。
図21】マイクロ流体ダイと、マイクロ流体送達装置のハウジングのフェースプレート内の流体開口部との概略的な側面立面図であり、マイクロ流体ダイから分配されている流体組成物と、流体組成物を流体出口から押し出している空気流とを示している。
【発明を実施するための形態】
【0006】
下記の説明では、それぞれが様々な構成要素を有するマイクロ流体カートリッジ及びマイクロ流体送達装置が記載されているが、マイクロ流体カートリッジ及びマイクロ流体送達装置は、下記の説明で明記されるか、又は図面に図示されている構成及び配置に限定されるものではないことを理解されたい。本開示のマイクロ流体カートリッジ及びマイクロ流体送達装置は、他の構成に適用可能であり、あるいは種々の方法で実施若しくは実行されてもよい。例えば、マイクロ流体カートリッジは、流体組成物を空気中に送達するための様々なデバイス又は他のハウジング構成と併用されてもよい。
【0007】
本開示全体をとおして、共通の原点から延在し、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を含む、直交座標系を参照する。また、それぞれの軸と平行に走るX方向、Y方向、及びZ方向に言及する場合もある。マイクロ流体カートリッジは、マイクロ流体送達装置とZ方向に接続されるように構成されている。
【0008】
本発明はマイクロ流体カートリッジを対象とする。マイクロ流体カートリッジは、マイクロ流体送達装置と取り外し可能に接続できるように構成されている。マイクロ流体カートリッジは、内部及び外部を含み得る。マイクロ流体カートリッジの内部は、液体組成物を収容するためのリザーバを備え得る。リザーバは、流体チャネルを含み得るが、その流体チャネルは、リザーバから延在し、マイクロ流体カートリッジの外部に露出した流体開口部で終端するものであり得る。
【0009】
マイクロ流体カートリッジは、3つ以上の面を含み得る。例えば、マイクロ流体カートリッジは、上面と、上面に対向する底面と、上面と底面との間に延在する1つ以上の側面とを備え得る。本開示全体をとおして、マイクロ流体カートリッジは、第1の面、第2の面、第3の面などを有するものとして言及され得る。なお、第1の面というのが、例えば底面、上面、又は側面であってもよいということを理解されたい。ある面に番号を付けて言及する場合、それは単に、例えば、それ以外の面上に存在しない場合がある、単一の面上に存在する特徴について論じたり、区別したりするためである。そして、そのような言及の仕方は、特定の位置又は向きに対応するものとして具体的に定義されない限り、特定の面の位置又は向きを限定することを意図するものではない。
【0010】
流体開口部は、マイクロ流体カートリッジの第2の面に配設され得る。マイクロ流体カートリッジは、第2の面上に配設されたマイクロ流体ダイを含み得る。マイクロ流体ダイは、流体開口部と流体連通し得る。
【0011】
マイクロ流体カートリッジの第1の面は、1つ以上の開口部を含み得る。開口部は、マイクロ流体カートリッジを適切に位置合わせさせ、マイクロ流体送達装置に対してマイクロ流体カートリッジが移動するのを制限し得る。マイクロ流体カートリッジの第1の面には、2種類以上の開口部が存在し得る。例えば、第1の面は、1つ以上の小開口部及び/又は大開口部を含み得る。大開口部は、ユーザーが、マイクロ流体カートリッジをマイクロ流体送達装置と概ね位置合わせし、配向させるのを支援し得る。小開口部は、マイクロ流体送達装置と細かな位置合わせをさせ、安定性を提供し得る。具体的には、小開口部によってもたらされる細かな位置合わせは、マイクロ流体送達装置との電気的接続を、堅牢に行うのを支援し得る。
【0012】
電気回路をマイクロ流体カートリッジ上に配置して、マイクロ流体ダイに電気を提供してもよい。電気回路は、第1の端部、第2の端部、及び、第1の端部と第2の端部とを隔てる中央部により画定され得る。電気回路の第1の端部は、マイクロ流体カートリッジの第1の面上に配設されてもよく、電気回路の第2の端部は、第2の端部上に配設されてもよく、電気回路の中央部は、マイクロ流体カートリッジの第1の面及び第2の面にまたがっていてもよい。電気回路の第1の端部は、マイクロ流体送達装置のハウジングの電気接点と接続するための電気接点を含み得る。電気回路の第2の端部は、マイクロ流体ダイに電気を提供し得る。
【0013】
電気回路の第1の端部は、1つ以上の回路開口部を含み得る。マイクロ流体カートリッジの第1の面に小開口部が設けられている場合、電気回路の第1の端部内の回路開口部は、そのような小開口部と位置合わせされ得る。2つ以上の回路開口部が電気回路の第1の端部に存在する場合、少なくとも2つの回路開口部が、電気接点の両側に配置され、あるいは少なくとも2つの回路開口部が、電気接点によって離間されて、堅牢な電気的接続を提供し得る。小開口部が第1の面に存在しない場合でも、電気回路内の回路開口部が存在してもよい。
【0014】
マイクロ流体ダイは、デリケートな電気部品と、例えばデブリ又は油によって容易に詰まり得る、マイクロサイズのノズルと、を含む。マイクロ流体ダイは、ユーザーが触ったりぶつかったり、マイクロ流体装置のハウジングにぶつかったり、マイクロ流体カートリッジが接触し得る任意の他の面若しくは物体にぶつかったりして、損傷しないよう保護されるようにマイクロ流体カートリッジ上に配置され得る。例えば、マイクロ流体カートリッジの第2の面は、第2の面上の任意の他の点から、X軸から最も遠く離れる方向に延在する、第2の面のX方向の最も外側の点によって画定されてもよい。マイクロ流体ダイは、第2の面の最外部からX方向内側に位置する、第2の面の凹部領域上に配設されてもよい。
【0015】
マイクロ流体送達装置はまた、ハウジング及び電源を備え得る。ハウジングは、マイクロ流体カートリッジを受容するための開口部を有するレセプタクルを含み得る。レセプタクルは、マイクロ流体カートリッジの一部を受容してもよく、あるいはマイクロ流体カートリッジは、レセプタクル内にその全体が完全に配設されてもよい。ハウジングのレセプタクルは、電気接点を含んでもよく、その電気接点は、電源と電気的に接続し、マイクロ流体カートリッジの電気接点と電気的に接続するように構成されているものであってよい。レセプタクルは、1つ以上の小ガイドポスト及び/又は大ガイドポストを含んでもよく、そのような小ガイドポスト及び/又は大ガイドポストは、それぞれ、回路開口部、小開口部、及び/又は大開口部によって受容され得る。
【0016】
マイクロ流体カートリッジは、ユーザーがマイクロ流体カートリッジを、ハウジング内に適切に位置合わせするのを支援する、1つ以上の要素を第3の面上に含んでいてもよい。上記の第3の面は、ユーザーがマイクロ流体カートリッジをハウジング内に挿入する際に、ユーザーに面し得る上面であってもよい。例えば、マイクロ流体カートリッジは、第3の面から延出する1つ以上の突起部を含んでもよい。突起部は、ハウジングのレセプタクル内の凹部領域と位置合わせされ得る。突起部は、X方向に、第3の面の最も外側の点まで延出してもよい。突起部は、第3の面から第4の面上に延出して、突起部が第4の面上でX方向に外向きに延出するようになっていてもよい。
【0017】
マイクロ流体送達装置は、ファンを含んでいてもよく、そのファンは、空気中に流体組成物を送達するのを支援するための空気流を生成するものであってよい。ファンは、流体組成物を空気中に更に押し込むために使用されてもよく、かつ/又は流体組成物がマイクロ流体ダイから分配される方向とは異なる方向に、流体組成物を方向付けるために使用されてもよい。ファンは、マイクロ流体ダイ上に空気を方向付けて、マイクロ流体ダイ上に堆積される流体組成物の量を最小限に抑えるために使用され得る。
【0018】
マイクロ流体送達装置
図1図3を参照すると、マイクロ流体カートリッジ10は、内部12と外部14とを備える。マイクロ流体カートリッジ10の内部12は、リザーバ16と1本以上の流体チャネル18とを備える。リザーバ16は、基部壁20から形成されてもよく、あるいは基部壁20及び1つ以上の側壁22を形成する複数の表面から形成されてもよい。リザーバ16は、マイクロ流体カートリッジ10の蓋24によって密閉されていてもよい。流体チャネル18は、流体開口部50において、リザーバ16からマイクロ流体カートリッジ10の外部14まで延在する。リザーバは、エアベントを含み得る。
【0019】
マイクロ流体カートリッジ10のリザーバ16は、流体組成物を、約5~約50ミリリットル(mL)、代替的に約10~約30mL、また更に代替的に約15~約20mL収容し得る。リザーバ16は、流体組成物を収容するのに好適な任意の材料で製造され得る。容器に好適な材料としては、プラスチック、金属、セラミック、複合材などが挙げられるが、これらに限定されない。マイクロ流体カートリッジは、複数のリザーバを有するように構成されてもよく、その各々が、同じ又は異なる組成物を含有してよい。マイクロ流体送達装置は、それぞれが別個のリザーバを収容する1つ以上のマイクロ流体カートリッジを利用してもよい。
【0020】
図2を参照すると、リザーバ16はまた、マイクロ流体ダイが動作していないときに流体組成物がマイクロ流体ダイから漏出するのを防ぐために背圧を生成する、スポンジなどの多孔質材料19を含んでもよい。流体組成物は、流体組成物に作用する重力及び/又は毛管力によって、多孔質材料を通過してマイクロ流体ダイへと移動し得る。多孔質材料は、流体通路を形成する複数の相互接続された連続気泡を含有する、金属若しくは布地メッシュ、連続気泡ポリマー発泡体、繊維性ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、又は繊維若しくは多孔質ウィックの2種類の構成要素を含んでもよい。多孔質材料は、メラミン発泡体を含んでもよい。多孔質材料はポリウレタン発泡体を含んでいなくてもよい。多孔質材料は、流体チャネル18の頂部に取り付けられたフィルタ25と密接に接触した状態で保持される。フィルタによって生成される大きな毛管力は、多孔質材料と流体チャネル18との間の流体経路を維持しつつ、空気が流体チャネルに入るのを防止する。この密接な流体接続はまた、マイクロ流体ダイ又は蓋から漏れを起こすことなしに、カートリッジ空洞16内に流体を収容するために必要な負圧を維持するのに役立つ。
【0021】
蓋24は、リザーバ16と一体であってもよく、又はリザーバ16と接続される別個の要素として構成されてもよい。蓋24は、一体に接合されるか、又は一体的に1つの構成要素として形成される1つ以上の要素を備えてもよい。蓋24は、蓋上面92と、1つ以上の蓋側面90とを含んでもよい。蓋24は、リザーバ開口部17のサイズと一致するようにサイズ決めされ得る。あるいは、蓋はリザーバ開口部17よりも大きく、1つ以上の蓋側面90が、リザーバ16の側壁22の全て又は一部分よりもX又はY方向のそれぞれについて外側に遠くに、それぞれ対応する面上に延在するようになっていてもよい。
【0022】
図1及び図3を参照すると、マイクロ流体カートリッジ10の外部12は、2つ、3つ、又はそれ以上の面からなる。各面は、1つ以上の縁部によって境界付けられる。2つの面は、縁部に沿って接続される。各面は、平坦、実質的に平坦、又は様々な輪郭をなしていてもよい。面は互いに接続されて、立方体、円筒形、円錐形、四面体、三角柱、直方体などの様々な形状を形成してもよい。マイクロ流体カートリッジは、プラスチック、金属、ガラス、セラミック、木材、複合材、及びこれらの組み合わせを含む様々な材料から構成されてもよい。マイクロ流体カートリッジの異なる要素は、同じ又は異なる材料から構成されてもよい。
【0023】
図1及び図3を参照すると、マイクロ流体カートリッジ10は、少なくとも第1の面26と、第1の縁部30aに沿って接合された第2の面28とを備え得る。例えば、第1の面26は底面であってもよく、第2の面28は側面であってもよい。マイクロ流体カートリッジ10は、第1の面26に実質的に対向する、例えば上面などの第3の面32を備え得る。Z軸は、第1の面26及び第2の面32をそれぞれ二分し得る。第2の面28は、第2の縁部30bに沿って第3の面32と接合され得る。
【0024】
マイクロ流体カートリッジ10は、1つ以上の側面を含み得る。実質的に立方体形状のマイクロ流体カートリッジ10では、そのマイクロ流体カートリッジ10は、上面と、上面に対向する底面と、上面と底面との間に延在する4つの側面とを含み得る。各接合面は、縁部に沿って接続されていてもよい。例えば円筒形状のマイクロ流体カートリッジでは、そのマイクロ流体カートリッジは、上面と、上面に対向する底面と、上面と底面との間に延在する単一の湾曲した側面とを含み得る。
【0025】
図1及び図3図5を参照すると、マイクロ流体カートリッジ10は、1つ以上の側面を含み得る。例えば、マイクロ流体カートリッジは、第2の面28と、第2の面28に対向する第4の面84と、第2の面28に接合され、第1の面28と第3の面32とを接合する第5の面86と、第2の面28に接合され、第5の面86に対向する第6の面88とを含み得る。第4の面84は、第3の縁部30cで第3の面32と接続されてもよく、第1の面26と第4の縁部30dで接続されてもよい。
【0026】
図2及び図3を参照すると、マイクロ流体カートリッジ10の流体チャネル18は、マイクロ流体カートリッジ10の第2の面28内に配設され得る流体開口部50まで延在して得る。図3図7を参照すると、マイクロ流体カートリッジ10は、第2の面28上に配設されたマイクロ流体ダイ51を含み得る。マイクロ流体ダイ51は、流体開口部50と流体連通し得る。
【0027】
マイクロ流体ダイの主要な構成要素は、半導体基板、流動機能層、及びノズルプレート層である。流動機能層及びノズルプレート層は、2つの別個の層から又は1つの連続した層から形成され得る。半導体基板は、好ましくはシリコンから作製され、様々なパッシベーション層、導電性金属層、抵抗層、絶縁層、及びそのデバイス表面上に堆積された保護層を含む。半導体基板内の流体排出アクチュエータは、急速な圧力インパルスを発生させて、ノズルから流体組成物を排出する。急速な圧力インパルスは、高周波(例えば、マイクロメカニカル作動)で振動する圧電装置、又は流体組成物内の流体組成物の一部を急速加熱サイクル(例えば、マイクロ熱核生成)によって揮発させるヒータ抵抗器によって生成されてもよい。熱アクチュエータの場合、個々のヒータ抵抗器は、抵抗層内に画定され、各ヒータ抵抗器は、ノズルプレート内のノズルに対応して、流体組成物を加熱しノズルから排出させる。
【0028】
図8及び図9を参照すると、マイクロ流体ダイ10の一部の簡略化された図が示されている。マイクロ流体ダイは、図9の簡略化された図に示されるように、複数の流体排出アクチュエータ114を含むシリコン半導体基板112であってもよく、それらの複数の流体排出アクチュエータ114は、基板112のデバイス側116上に形成された圧電デバイス又はヒータ抵抗器などであってよい。流体排出アクチュエータ114として圧電アクチュエータを有するマイクロ流体ダイでは、圧電アクチュエータは、図9に示されるようにノズルに隣接して配設されてもよく、あるいはノズルから離れて配設され、それでもなお圧力パルスをノズルから放出される流体組成物に伝達するようになっていてもよい。流体排出アクチュエータ114が起動されると、半導体基板112内の1つ以上の流体供給ビア118を通じて供給される流体が、流体供給チャネル120を通って、厚膜層124内の流体チャンバ122に流れ、そこで流体が、ノズルプレート128内のノズル126を通じて排出される。流体排出アクチュエータは、周知の半導体製造技術によって、半導体基板112のデバイス側116上に形成される。厚膜層124及びノズルプレート128は、別個の層であってもよく、又は1つの連続した層であってもよい。
【0029】
ノズルプレート128は、約4~200個のノズル126、約6~120個のノズル、又は約8~64個のノズルを含み得る。各ノズル126は、1つの電気発射パルスごとに、約0.5~約35ピコリットル、約1~約20ピコリットル、又は約2~約10ピコリットルの流体組成物を送達し得る。個々のノズル126は、典型的には約0.0024インチ(5~50マイクロメートル)の直径を有し得る。マイクロ流体ダイ51から放出される流体組成物の流量は、約5~約70mg/時の範囲内であってよく、あるいは任意の他の好適な流量又は流量の範囲であってよい。
【0030】
第1の面26は、マイクロ流体カートリッジ10をマイクロ流体装置と接続するための位置合わせ及び堅牢な電気的接続を提供するための1つ以上の要素を含んでもよい。図3及び図4を参照すると、第1の面26は、第1の端部34、第2の端部36、及び第1の端部34と第2の端部36とを隔てる中央部38により、それぞれ画定され得る。第1の面26は、第1の面26内に形成された1つ以上の要素を有し得る。例えば、第1の面26は、1つ以上の小開口部40及び1つ以上の大開口部42などの、1つ以上の開口部を含み得る。以下でより詳細に説明するように、小開口部40の位置は、電気部品の適切な位置合わせを維持するのを支援するために、電気回路などの電子部品の位置と位置合わせされ得る。1つ以上の大開口部42が存在する場合、大開口部は、第1の面26の異なる部分に離間配置されてもよい。例えば、1つの大開口部42が、第1の端部34に配設されてもよく、かつ/又は1つの大開口部42が、第2の端部36に配設されてもよい。大開口部42はまた、電気回路の配置に応じて、中央領域に配置されてもよい。
【0031】
図6及び図7を参照すると、マイクロ流体カートリッジ10は電気回路52を備える。電気回路52は、フレキシブル回路基板、剛性部分及び可撓性部分を有する半フレキシブル回路基板、あるいは剛性回路基板の形態であり得る。電気回路52は、第1の端部54、第2の端部56、及び、第1の端部54と第2の端部56とを隔てる中央部58により、それぞれ画定され得る。電気回路52の第1の端部54は、マイクロ流体カートリッジ10の第1の面26上に配設されてもよく、電気回路52の第2の端部56は、マイクロ流体カートリッジ10の第2の面28上に配設されてもよく、電気回路52の中央部58は、マイクロ流体カートリッジ10の第1の面26及び第2の面28にそれぞれまたがっていてもよい。電気回路52の第1の端部54は、マイクロ流体送達装置のハウジングの電気接点と接続するための電気接点60を含み得る。電気回路52の第2の端部56は、マイクロ流体ダイ51と電気的に連通していてもよい。
【0032】
電気回路52の第1の端部54は、1つ以上の回路開口部62を含んでもよい。電気回路52の第1の端部54内の回路開口部62は、マイクロ流体カートリッジ10の第1の面26内の小開口部40と位置合わせされ得る。第1の面26の小開口部40と同様に、電気回路52の第1の端部54内の回路開口部62は、比較的小さい、細かな位置合わせ用開口部であり得る。小開口部40に対して電気回路52の位置が少しぐらいずれていても許容されるようにするために、小開口部40は、回路開口部62の開口面積よりも小さな開口面積を有してもよい。
【0033】
図4及び図6図7を参照すると、第1の面26の小開口部40は、電気回路52内の回路開口部62と常時位置合わせされ得るか、あるいは、第1の面26内の小開口部40は、マイクロ流体カートリッジ10の更に細かな位置合わせを提供するために、電気回路52から離れて配設され得る。
【0034】
回路開口部62は、小開口部が存在しない構成においても存在し得る。
【0035】
回路開口部62を電気回路52上に直接配置することにより、マイクロ流体カートリッジ10をマイクロ流体送達装置と接続する際に、マイクロ流体カートリッジ10とマイクロ流体送達装置との間に、堅牢な電気的接続が提供され得る。2つ以上の回路開口部62が、電気回路52の第1の端部54内に存在する場合、少なくとも2つの回路開口部62が、電気接点60の両側に配設されてもよく、又は電気接点60によって離間されてもよい。電気回路52の電気接点60の両側に回路開口部62を配置することにより、マイクロ流体カートリッジ10とマイクロ流体装置との間に、堅牢な電気的接続を提供し得る。電気回路52上に2つ以上の回路開口部62を有することにより、マイクロ流体カートリッジが、X方向及びY方向に移動するのを制限することができる。
【0036】
第1の面26が、少なくとも2つの小開口部40を備えるか、又は少なくとも1つの小開口部40と少なくとも1つの大開口部42とを備えるか、又は少なくとも2つの小開口部40を少なくとも1つの大開口部42と組み合わせて備えるかすることにより、マイクロ流体送達装置のハウジングに対してマイクロ流体カートリッジ10がX方向及びY方向に移動するのを防止することができる。第1の面の大開口部42及び/又は第1の面の小開口部40を、第1の面26の第1の端部34及び第2の端部36のそれぞれに配置することにより、開口部が第1の端部34及び第2の端部36のうちの1つにのみ存在する場合よりも、より高い安定性を実現することができる。
【0037】
図10図13を参照すると、マイクロ流体カートリッジ10は、マイクロ流体送達装置44と取り外し可能に接続できるように構成されてもよい。マイクロ流体送達装置44はまた、ハウジング46及び電源48を備え得る。ハウジング46は、マイクロ流体カートリッジ10を受容するための開口部66を有するレセプタクル64を含み得る。レセプタクル64は、マイクロ流体カートリッジ10の一部を受容してもよく、あるいはマイクロ流体カートリッジ10は、レセプタクル64内にその全体が完全に配設されてもよい。ハウジング46のレセプタクル64は、マイクロ流体カートリッジ10の電気接点60と電気的に接続するように構成された電気接点68を含み得る。以下でより詳細に説明するように、電気接点68は、マイクロ流体カートリッジ10上の電気接点60と堅牢に電気的接続されるように、ばね荷重をかけられていてもよい。
【0038】
レセプタクル64は、回路開口部62及び/又はマイクロ流体カートリッジ10の小開口部40によって受容されるように構成された、1つ以上の小ガイドポスト70を含み得る。レセプタクル64は、マイクロ流体カートリッジ10の大開口部42によって受容されるように構成された、1つ以上の大ガイドポスト72を含み得る。小ガイドポスト70は、回路開口部62及び/又は小開口部40内に嵌合するような大きさ及び形状であり、小ガイドポスト70と、回路開口部62及び/又は小開口部40との間に、最小限の隙間を提供するような寸法及び形状である。大ガイドポスト72は、大開口部42内に嵌合するような大きさ及び形状であり、大ガイドポスト72と大開口部42との間に最小限の隙間を提供する。
【0039】
ハウジング46は、ハウジング46の前側に配設されたフェースプレート47を含み得る。ハウジング46はまた、流体組成物をマイクロ流体カートリッジ10から空気中に放出するための流体出口74を含み得る。ハウジング46は、分配された流体組成物に向かって空気を方向付けて、流体組成物を上方及び/又は外側に、周囲の空間内に向けるための第1のエアアウトレット76を含んでもよい。流体出口74及び第1のエアアウトレット76は、フェースプレート47内に配設されてもよい。
【0040】
図4図7及び図13を参照すると、小開口部40、回路開口部62、及び/又は大開口部42は、マイクロ流体送達装置44のハウジングに対して、マイクロ流体カートリッジ10を位置合わせし、その移動を制限するために使用されてもよい。小開口部40及び大開口部42は、異なる開口面積を有し得る。大開口部42は、小開口部40の開口面積よりも大きな開口面積を有してもよく、マイクロ流体カートリッジ10を、マイクロ流体送達装置44のハウジング46内の1つ以上の大ガイドポスト72と大まかに位置合わせするのに使用されてもよい。マイクロ流体カートリッジ10内の小開口部40及び/又は回路開口部62は、マイクロ流体カートリッジ10を、ハウジング46内の1つ以上の小ガイドポスト70と、小さい細かな位置合わせをするために使用されてもよい。マイクロ流体カートリッジ10の細かな位置合わせを提供することにより、ハウジング46とマイクロ流体カートリッジ10との間に、堅牢な電気的接続を提供することが可能になる。大まかな位置合わせは、ユーザーがマイクロ流体カートリッジ10を、ハウジング46に対して適切な向きに挿入し、位置合わせするのを支援し得る。大開口部42によってユーザーは、マイクロ流体カートリッジ10をハウジング46と接続する際に、ハウジング46と必ず適切に電気的接続できるようになり、マイクロ流体ダイ51を必ず適切な発射方向に位置合わせできるようになる。マイクロ流体カートリッジ10の小開口部40及び/又は回路開口部62を、ハウジング46の小ガイドポスト70と嵌合させることにより、マイクロ流体送達装置44のハウジング46に対して、マイクロ流体カートリッジ10がX方向及びY方向へ移動するのを防止することができる。マイクロ流体カートリッジ10の大開口部42をハウジング46の大ガイドポスト72と嵌合させることにより、マイクロ流体送達装置44のハウジング46に対して、マイクロ流体カートリッジ10がX方向及びY方向に移動するのを制限してもよい。
【0041】
大開口部42は、マイクロ流体カートリッジ10の移動によって引き起こされるいかなる力をも吸収することができ、マイクロ流体カートリッジ10の移動によって生じる過度の力を、小ガイドポスト(複数可)70又は電気回路52が受けないように保護する。したがって、少なくとも1つの小開口部40及び少なくとも1つの大開口部42を有することにより、マイクロ流体カートリッジ10は、ユーザーが位置合わせを簡単にすることが可能になり、ハウジングとの電気的接続を堅牢なものとすることが可能になり、マイクロ流体カートリッジ10の移動から電気回路52及び小ガイドポスト(複数可)70を保護する力の分布を提供することが可能になる。
【0042】
図6を参照すると、第1の面26内に小開口部が存在しない場合でも、電気回路52内の回路開口部62が存在してもよい。そのような構成では、小ガイドポスト70は、電気回路52内の回路開口部62によってのみ受容される。
【0043】
大開口部42は、他の大開口部42と互いに同じ形状を有するように構成されてもよく、あるいは少なくとも1つの大開口部が異なる形状を有するように構成されてもよい。
【0044】
例えば、図4を参照すると、第1の大開口部42aが、第1の形状を有してもよく、第2の大開口部42bが、第1の形状とは異なる第2の形状を有してもよい。あくまでも例に過ぎないが、第1の大開口部42aは円形であってもよく、第2の開口部42bは、角丸長方形又はスタジアムのような形であってもよい。異なる形状の大開口部42を有することにより、マイクロ流体カートリッジ10は、マイクロ流体送達装置44のハウジング46と、1つの配向でのみ接続することができ、それにより、マイクロ流体ダイ51に適切な電気的接続がなされ、マイクロ流体ダイ51が適切に機能することができる。複数の大開口部42のために互いに異なる形状が選択され、大ガイドポスト72が、大開口部42のうちの1つにのみ嵌合するようにしてもよい。例えば、図4及び図13を参照すると、円形の大ガイドポスト72は、円形の大開口部42内にのみ嵌合することができ、角丸長方形の大ガイドポスト72は、角丸長方形の大開口部42内にのみ嵌合することができる。
【0045】
大開口部42に加えて又はそれに代えて、複数の小開口部40及び/又は複数の回路開口部62も、互いに小開口部40同じ形状を有するように構成されてもよく、又は少なくとも1つの小開口部40が異なる形状を有するように構成されてもよい。
【0046】
図3及び図6図7を参照すると、第1の面26及び/又は第2の面28は、電気回路52がマイクロ流体カートリッジ10と接合されている位置に、挿入領域78を含んでもよい。挿入領域78は、電気回路52が挿入領域78内に嵌合できるような大きさであり得る。図6図7を参照すると、挿入領域78は、電気回路52がマイクロ流体カートリッジ10と接合されるとき、電気回路52が、その周囲の、第1の面26の第1の端部34及び第2の端部36の表面とそれぞれ面一になるような大きさであってよい。
【0047】
あくまでも例に過ぎないが、図4及び図7に示される電気回路は、第1の面26の中央領域38に配設され、第1の面26の中央領域38は、第1の端部34及び第2の端部36それぞれに対して、Z方向に凹んでいる。したがって、電気回路52は、第1の端部34のZ方向高さ及び第2の端部36のZ方向高さとそれぞれ、相対的に面一になる。
【0048】
マイクロ流体カートリッジ10が適切に配向されることを確実にするために、マイクロ流体カートリッジ10が、大ガイドポスト72と最初に位置合わせされるように、小開口部40が、第1の面26上に、大開口部42に対してZ方向に挿入されてもよい。ひとたび大開口部42が大ガイドポスト72を受容し始めると、回路開口部62及び/又は小開口部40は、小ガイドポスト70を受容することができ、マイクロ流体カートリッジ10上の電気接点60とハウジング46上の電気接点68との、細かく精密な位置合わせをすることができる。同様の結果を実現するであろう別の構成は、大開口部42及び小開口部40を、第1の面26上に、同じ相対的Z方向高さとすることを含むが、しかし、ハウジング46上の大ガイドポスト72を、小ガイドポスト70よりも遠くに延在させ、マイクロ流体カートリッジ10がハウジングに接続されるにつれて、小ガイドポスト70が小開口部40と接続し始める前に、大ガイドポスト72が大開口部42と接続し始めるようにすることを含む。あるいは、大開口部40及び小開口部42は、第1の面26上に、Z方向について同じ相対的高さで配設されてもよく、大ガイドポスト70及び小ガイドポスト72は、第1の面26上の大開口部40及び小開口部42と同時に接続されてもよい。
【0049】
マイクロ流体ダイ51は、マイクロ流体カートリッジ10上に配置されてもよく、それにより、マイクロ流体ダイ51が、ユーザーにより、マイクロ流体装置のハウジングにより、又はマイクロ流体カートリッジ10が接触し得る任意の他の表面若しくは物体により触れられたり、ぶつかられたりすることから保護されるようにしてもよい。例えば、図3及び図5を参照すると、マイクロ流体カートリッジ10の第2の面28は、第2の面28上のいかなるの他の点から、X軸から最も離れる方向に延在する、第2の面のX方向の最も外側の点80によって画定されてもよい。図6を参照すると、マイクロ流体ダイ51は、第2の面の最も外側の点80からX方向内側に位置する、第2の面28の領域上に配設されてもよい。
【0050】
図5及び図14を参照すると、第2の面の最も外側の点80は、蓋側面90上に位置し得る。あるいは、第2の面の最も外側の点80はまた、第2の面28の側壁22上に配設されてもよい。
【0051】
図3及び図5を参照すると、マイクロ流体ダイ51を、X方向の第2の面の最も外側の点80から内側にある表面に配置するために、第2の面28は、第1の面26及び第2の面28がそれぞれ接合する縁部30から第2の面28内へと延在する凹部領域82を含んでもよい。接触されたり又はぶつかられたりすることからマイクロ流体ダイ51を保護するために、マイクロ流体ダイ51は、凹部領域82上に配設され得る。凹部領域82は、第5の面86における第5の縁部30eから第6の面88における第6の縁部30fまで、第2の面28のY次元全体にわたって連続的に延在し得る。凹部領域82は、第2の面28のY次元の一部にわたってのみ延在してもよい。
【0052】
凹部領域82は、凹部領域82がマイクロ流体ダイ51に嵌合するのに十分大きい限り、第3の面32に向かって様々な長さで延在してもよい。
【0053】
以下でより詳細に説明するように、凹部領域82が第2の面28のY次元全体にわたって連続的に延在することにより、ファンからの空気がマイクロ流体ダイ51上に向けられている場合に、小さい乱流の渦巻が形成されるのを低減することができる、その結果、流体出口74から出る空気が、実質的な層流をなすことになる。空気流の方向の小さい転換又は変化は、乱流の渦巻の発生を引き起こす可能性がある。したがって、Y次元全体にわたる単一の連続表面エリアとして凹部領域82を有することにより、空気がダイ上、更には流体出口74を通って流れるにつれて空気流が経験する方向変化の量を減少させることができる。
【0054】
凹部領域78を有することにより、リザーバ16の基部壁部20及び側壁22を単一の部品として型成形することも可能となり得る。凹部領域78が存在しない場合には、リザーバ16から流体開口部50まで延在する流体チャネル18は、長すぎて単一片として型成形するのが困難なものとなり得る。マイクロ流体カートリッジ10内に凹部領域78を有することによって流体チャネル18の長さを短くして、リザーバ16を、単一の、型成形された材料片として構成してもよい。蓋24は、別個の要素であってもよく、又はリザーバ16と同一の部品であってもよい。
【0055】
図3及び図6を参照すると、挿入領域78及び凹部領域82は、第2の面28上に重なっていてもよい。例えば、第2の面28上の挿入領域78の表面が、第2の面28上で、凹部領域82からX方向内側に配設されるように、第2の面28上の挿入領域78は、凹部領域82に対して凹んでいてよい。このようにして、第2の面28上に配置された電気回路52は、その周りの第2の面28の凹部領域82と、実質的に面一になる。
【0056】
図11図12図15、及び図16を参照すると、マイクロ流体カートリッジ10は、ユーザーがマイクロ流体カートリッジ10をハウジング内に適切に位置合わせするのを支援する1つ以上の要素を、第3の面32上に含んでもよい。第3の面32は、ユーザーがマイクロ流体カートリッジ10をハウジング46内に挿入する際に、ユーザーの視界内にある上面であり得る。例えば、マイクロ流体カートリッジ10は、第3の面32から延出する1つ以上の突起部94を含んでもよい。突起部94は、ハウジング46のレセプタクル64内の凹部領域100と位置合わせされてもよい。突起部94は、X方向に、第3の面の最も外側の点98まで延在してもよい。突起部94は、第3の面32から第4の面84上に延出して、突起部94が第4の面84上でX方向に外向きに延出するようになっていてもよい。
【0057】
突起部94は、様々な異なる形状を取り得る。例えば、突起部94は、半円形のような弓状であってもよく、正方形、矩形などであってもよい。
【0058】
突起部は、第3の面から隣接する面まで延出してもよい。例えば、突起部94は、第3の面32及び第4の面84上で、X方向外向きに延出してもよい。あるいは、突起部94は、第3の面32及び第2の面28上でX方向外向きに延出してもよい。代わりに、突起部94は、第3の面32及び第5の面86又は第6の面88上でY方向に延出するように構成されてもよい。
【0059】
図11図15、及び図17を参照すると、突起部94を、第3の面32から第4の面84まで延出させることにより、ハウジング46のフェースプレート47とマイクロ流体カートリッジ10のリザーバ16との間の離間を小さくすることが可能となる。例えば、突起部94が、第3の面32から第2の面28に配設される場合、より大きな間隔を、フェースプレート47とマイクロ流体カートリッジ10のリザーバ16との間に設定して、突起部94のための空間を作る必要がある。
【0060】
突起部94又は突起部94の一部は、蓋24内に形成されてもよい。図15を参照すると、突起部94は、蓋24内及びリザーバ16の側壁22内に形成されてもよい。
【0061】
図13図15、及び図16を参照すると、マイクロ流体カートリッジ10及びハウジング46は、マイクロ流体カートリッジ10がハウジング46と接続されるときに、マイクロ流体カートリッジ10をハウジング46に固定するためのコネクタを含んでもよい。例えば、ハウジング46が第1のコネクタ102を含んでもよく、マイクロ流体カートリッジ10が第2のコネクタ104を含んでもよい。第1のコネクタ102は雄コネクタであってもよく、第2コネクタ104は雌コネクタであってもよく、又はその逆であってもよい。第1のコネクタ102及び第2のコネクタ104は、ハウジング46とマイクロ流体カートリッジ10との間に、Z方向の、確実でありかつ安定した電気的接続を提供する。
【0062】
図12図13、及び図15を参照すると、第2のコネクタ104は、マイクロ流体カートリッジ10内の突起部94に配設されてもよい。ハウジング46内の第1のコネクタ102は、マイクロ流体カートリッジ10の突起部94が、ハウジング46と嵌合する凹部領域100に配置されてもよい。
【0063】
第1のコネクタ102は、凹部領域100から離れて配置されてもよく、かつ/又は第2のコネクタ104は、突起部94から離れて配設されてもよい。
【0064】
図4図7図15、及び図16を参照すると、マイクロ流体カートリッジ10が、1つ以上の開口部(例えば、小開口部40、回路開口部62、及び/又は大開口部42)を、第2のコネクタ104と組み合わせて有することにより、マイクロ流体カートリッジ10がマイクロ流体送達装置44のハウジング46に固定された際に、X方向、Y方向、及びZ方向の安定性を有するマイクロ流体カートリッジ10が提供される。
【0065】
図13を参照すると、マイクロ流体カートリッジ10は、ユーザーがマイクロ流体カートリッジ10をマイクロ流体送達装置から容易に取り外すことができるように、ハウジング46に対してばね荷重をかけられていてもよい。例えば、ハウジング46のレセプタクル64は、1つ以上のバネ106を含んでもよく、そのようなバネ106は、マイクロ流体カートリッジ10の第2のコネクタ104が、ハウジング46の第1のコネクタ102と接合されて、マイクロ流体カートリッジ10をハウジング46と固定する際に圧縮され得る。マイクロ流体カートリッジ10を取り外すためには、マイクロ流体カートリッジ10を押して、第1のコネクタ102と第2のコネクタ104との間の接続を解除すればよい。上記の接続が解除されると、バネ106がマイクロ流体カートリッジ10を、マイクロ流体送達装置の上方かつ外へ向けて押し出すようになっていてよい。
【0066】
前述したように、ハウジング46の電気接点68は、マイクロ流体カートリッジ10と堅牢に電気的接続されるように、ばね荷重をかけられていてもよい。ばね荷重をかけられた電気接点68と、第1のコネクタ102及び第2のコネクタ104とは、それぞれ、マイクロ流体カートリッジ10上の電気接点60によってハウジング46上の電気接点68にあるレベルの力が印加されるように設計されていてもよい。第1のコネクタ102及び第2のコネクタ104は、ハウジング46上の電気接点68が約1~約2mm圧縮されるように構成されてもよい。
【0067】
マイクロ流体カートリッジは、マイクロ流体カートリッジ10をハウジング46から取り外すための解放ボタンを有してもよい。あるいは、マイクロ流体カートリッジ10は、ハウジング46に向かって押されることにより、マイクロ流体カートリッジ10をハウジング46から係合及び/又は係合解除することができるようになっていてよい。マイクロ流体カートリッジ10は、マイクロ流体カートリッジ10をハウジング46に接続するための締結具又はクリップと係合することができる。
【0068】
レセプタクル64は、マイクロ流体カートリッジ10をレセプタクル64内に方向付けるための1本以上のガイドレールを含んでもよい。
【0069】
マイクロ流体送達装置は、コンパクトで、容易に携帯できるように構成され得る。そのような場合、マイクロ流体送達装置は、電池で動作し得る。マイクロ流体送達装置は、9ボルト電池、「A形」、「単3形」、「単4形」、「単2形」、及び「単1形」電池などの従来式の乾電池、ボタン電池、時計用電池、太陽電池、並びに再充電ベース部を備える充電式電池などの電源と併用することが可能であり得る。
【0070】
マイクロ流体送達装置は、ファンを含んでいてもよく、そのファンは、空気中に流体組成物を送達するのを支援するための空気流を生成するものであってよい。マイクロ流体送達装置の所望の空気流速度、サイズ、及び電力要件を提供する任意のファンが使用され得る。ファンは、流体組成物を空気中に更に押し込むために使用されてもよく、かつ/又は流体組成物がマイクロ流体ダイから分配される方向とは異なる方向に、流体組成物を方向付けるために使用されてもよい。ファンは、ハウジングの内部に、又は少なくとも部分的にハウジングの内部に、又はハウジングの外部に配設され得る。ファンはまた、マイクロ流体ダイ51の上に空気を方向付けるために使用されて、マイクロ流体ダイ51上に堆積される流体組成物の量を最小限に抑えることもできる。
【0071】
図17を参照すると、ファン130は、ハウジング46の内部12内に配設され得る。ファンは、空気流の所望の方向に応じて、様々な角度で配設され得る。図17は、単に非限定的な例を挙げるためであるが、空気流がX軸から上向きの角度で方向付けられるように、ファンがX軸に対して上向きに角度付けされ得るということを示す。ファン130は、空気流チャネル110と空気流連通しているが、その空気流チャネル110は、ファン130によって生成される空気流の通路として機能する。
【0072】
図17図21を参照すると、ファン130からの空気流は、空気流チャネル110を通って、マイクロ流体送達装置の外部に開口する第1のエアアウトレット76又はマイクロ流体送達装置の内部を加圧する第2のエアアウトレット108のいずれかに移動する。第1のエアアウトレット76は、ハウジング46のフェースプレート47内に配設されてもよい。図19を参照すると、第2のエアアウトレット108は、ハウジング46の内部12に開口する。ファン130からの空気流は、次に2つの経路のうちの1つの中を移動するが、常に、抵抗の小さい方の経路を通るようになっている。第1のエアアウトレット76又は第2のエアアウトレット108を通って出る空気の量を制御するために、第1のエアアウトレット76及び/又は第2のエアアウトレット108における背圧を適宜設計することができる。例えば、第1のエアアウトレット76から出る空気の体積を大きくしたければ、第1のエアアウトレット76の背圧は、第2のエアアウトレット108における背圧よりも低くすればよい。空気流の第1の部分は、マイクロ流体ダイから分配された流体組成物を空気中に押し出すために、第1のエアアウトレット76から出るように移動し得る。空気流の第2の部分は、第2のエアアウトレット108を通って、ハウジング46の内部12を通って、マイクロ流体ダイ51の上方を移動し、流体出口74から流出し得る。空気流の第2の部分は、流体組成物21が流体出口74を出てからも、流体組成物21の液滴が実質的に層流として移動するように維持するとともに、流体組成物21の液滴がマイクロ流体ダイ51又はその周囲の表面上に戻って堆積するのを防止する助けとなり得る。空気流の第1の部分は、分配された流体組成物を空気中に外向きに押し出し、かつ/又は上向きに押し上げる助けとなり得る。
【0073】
図20及び図21を参照すると、ハウジング46の内部12内に移動する空気流の第2の部分は、ハウジング46の内部12を加圧するように作用する。空気は、第2のエアアウトレット108から、内部12を通り、流体出口74へと移動する。流体出口74は、空気が通過することが意図されるハウジング46の外部14への開口部としては最も高圧のものであり、空気は、ハウジング46の内部12内の任意の開放空間を通って移動して流体出口74に到達する。したがって、図21に示されるように、空気は、マイクロ流体ダイ51の上方を、全ての方向から移動し、流体出口74から出る。
【0074】
流体組成物がハウジングを出て、実質的に層流で空気中に分散する能力に影響を及ぼし得る乱流の渦が形成され得るため、ハウジング46の内部12内で流体組成物と混合される空気流の体積を、最小に保つことが有益であり得る。空気流の大部分が別個の空気流出口を出るようにして、ハウジング46の外部14で流体組成物と合流させることは、分配された流体組成物を、外向き、上方及び/又はマイクロ流体送達装置から離れる方向に移動させるのを助ける。したがって、ファン130によって生成された空気の大部分は、第1のエアアウトレット76を出ることができる。ファンによって生成された空気の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、又は少なくとも90%が、第1のエアアウトレットを出る。第1のエアアウトレット76は、第2のエアアウトレット108で生成される背圧よりも低い背圧を生成するように設計され得る。
【0075】
図21を参照すると、ハウジングは、流体出口74に隣接する流体チャネル111を含んでもよい。流体チャネル111を通過する空気は、実質的に層流の空気を用いて、マイクロ流体ダイ51からの流体組成物21の液滴を、流体出口74内で中心に維持しておく助けとなることができる。流体組成物の液滴が流体出口74を通過する際に、その中心に維持されることにより、液滴がハウジング上に堆積するのを防ぐことができる。流体チャネル111は、マイクロ流体ダイ51に隣接して配設され得る。間隙119が、流体チャネル111とマイクロ流体ダイ51とを離間させてもよい。間隙119は、マイクロ流体ダイ51から、流体チャネル111を離間させ得るが、その離間させる長さは、マイクロ流体ダイ51のノズルから、約0.75~約5mm、より好ましくは約1.0~約3mmであり得る。流体チャネル111は、約2~約6mmの長さを有してもよい。なお、間隙119及び/又は流体チャネル111の長さは、X方向に測定され得る。
【0076】
流体組成物と空気流とが合流する点における空気流の平均速度は、約0.25メートル/秒(「m/秒」)~約15m/秒の範囲内であってよい。上記の空気流の平均速度は、噴射された流体組成物に対してどんな影響を及ぼしたいかに応じて変化し得る。上述のように、空気流チャネル34、エアアウトレット28、及びファン32は、流体組成物の方向を変化させるために、空気流及び流体組成物が合流する時点で、流体組成物の運動量よりも大きい空気流の平均運動量を生成するように設計されてもよい。本明細書で使用するとき、空気流の「平均速度」は、空気流のストリーム全体にわたる速度の平均値であるが、それは空気流のストリームが、空気流のチャネルの表面付近でより低い速度を有し、かつ空気流のストリームの中心でより高い速度を有するためである。同様に、本明細書で使用するとき、「平均運動量」は、空気流ストリーム全体にわたる運動量の平均値である。
【0077】
流体出口74を出る空気流は、約0.25~約4m/秒、最も好ましくは0.5~2m/秒の速度を有し得る。第1のエアアウトレット76を出る空気流は、約1~約15m/秒、最も好ましくは1~5m/秒の速度を有し得る。
【0078】
第2のエアアウトレット108の開口面積、形状、及び向きは、空気流によって流体組成物に対してどのような影響を及ぼしたいかに応じて、任意のサイズ、形状、又は向きから選択され得る。
【0079】
流体組成物
マイクロ流体送達装置内で十分に動作するように、流体組成物の多くの特性が考慮される。いくつかの要因としては、マイクロ流体送達部材から放出するのに最適な粘度を有する流体組成物を配合すること、マイクロ流体送達部材を詰まらせる懸濁固体を制限された量有する、又は全く有しない流体組成物を配合すること、乾燥してマイクロ流体送達部材を詰まらせないように、十分に安定した流体組成物を配合すること、引火性でない流体組成物を配合することなどが挙げられる。マイクロ流体ダイから適切な分配を行うために、空気を清涼化する又は悪臭を低減する組成物の適切な霧化及び効果的な分配が、流体組成物の設計において考慮され得る。
【0080】
流体組成物は、1種類以上の香料原材料を含む香料組成物を含み得る。香料原材料は、心地良さや芳香に関わる利益をもたらす。流体組成物は、流体組成物の重量基準で約50%超、代替的に約60%超、代替的に約70%超、代替的に約75%超、代替的に約80%超、代替的に約50~約100%、代替的に約60~約100%、代替的に約70~約100%、代替的に約80~約100%、代替的に約90~約100%の量で存在する香料混合物を含有し得る。流体組成物は、全て香料混合物(すなわち100重量%)からなってもよい。
【0081】
流体組成物は、粒子状物質が液体マトリックス内に分散された混合物中に存在する懸濁固体又は固体粒子を実質的に含まなくてもよい。流体組成物は、5重量%未満の懸濁固体、代替的に4重量%未満の懸濁固体、代替的に3重量%未満の懸濁個体、代替的に2重量%未満の懸濁固体、代替的に1重量%未満の懸濁固体、代替的に0.5重量%未満の懸濁固体を有してもよく、又は懸濁固体を含まなくてもよい。懸濁固体は、いくつかの香料物質の特性である溶解物質と区別される。
【0082】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0083】
本明細書全体をとおして記載される全ての最大数値限定は、それよりも低い全ての数値限定を、かかるより低い数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように包含することを理解すべきである。本明細書の全体をとおして与えられる全ての最小数値限定は、それよりも高い全ての数値限定を、かかるより高い数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書の全体をとおして与えられる全ての数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に含まれるより狭い全ての数値範囲を、かかるより狭い数値範囲があたかも全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0084】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0085】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲に網羅することが意図されている。
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