(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】高濃度VEGF受容体融合タンパク質を含む製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 38/17 20060101AFI20230301BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230301BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230301BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230301BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20230301BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20230301BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230301BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A61K38/17 ZNA
A61K9/08
A61K47/02
A61K47/10
A61K47/18
A61K47/22
A61K47/26
A61P27/02
(21)【出願番号】P 2020563409
(86)(22)【出願日】2019-05-10
(86)【国際出願番号】 US2019031879
(87)【国際公開番号】W WO2019217927
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-05-02
(32)【優先日】2018-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ケネス・エス・グラハム
(72)【発明者】
【氏名】ソーラブ・ワダワ
【審査官】深草 亜子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0244504(US,A1)
【文献】国際公開第2016/208989(WO,A1)
【文献】特表2008-535819(JP,A)
【文献】国際公開第2018/068012(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/129685(WO,A1)
【文献】特表2009-540001(JP,A)
【文献】JOURNAL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES,2017年11月,VOL:106, NR:11,,PAGE(S):3230 - 3241
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00-38/58
A61K 39/00-39/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性医薬製剤であって:
少なくとも約100mg/mlの濃度の、
アフリベルセプト;
約5%のスクロース;
L-アルギニン;
ヒスチジン系緩衝液;および
約0.03%の界面活性剤;
を含み、
該製剤が約5.0~約6.8のpHを有する、
上記製剤。
【請求項2】
硝子体内投与に適する、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
硫酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、グリシン、NaCl、アスパラギン酸ナトリウム、および/またはグルタミン酸ナトリウムをさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
アフリベルセプトが、以下の濃度:
・約100mg/ml;
・約111.5mg/ml;
・約112.0mg/ml;
・約113.3mg/ml;
・約114.3mg/ml;
・約115.6mg/ml;
・約116.3mg/ml;
・約120mg/ml;
・約133mg/ml;
・約140mg/ml;
・約150mg/ml;
・約200mg/ml;または
・約250mg/ml;
である、請求項
1に記載の製剤。
【請求項5】
(i)重量オスモル濃度が、約299~約506mmol/Kgであり;および/または(ii)粘度が、20℃において約6~15cPである、請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
pHが、5.8~6.5である、請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
pHが、約5.8である、請求項
6に記載の製剤。
【請求項8】
界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である、請求項1に記載の製剤。
【請求項9】
非イオン性界面活性剤が、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポロキサマー188、ポリエチレングリコール3350およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項
8に記載の製剤。
【請求項10】
ヒスチジン系緩衝液が、ヒスチジン塩酸塩を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項11】
約10mM~20mMのヒスチジン系緩衝液を含む、請求項
10に記載の製剤。
【請求項12】
L-アルギニンが、L-アルギニン一塩酸塩である、請求項1に記載の製剤。
【請求項13】
アフリベルセプトが、製造および精製直後に約3.5%未満の高分子量種および/または約2~8℃で約24ヶ月間保存した後に約6%以下の高分子量種を有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項14】
水性医薬製剤であって:
少なくとも約100mg/mlの濃度の、
アフリベルセプト;
約10~100mMのL-アルギニン;
スクロース;
ヒスチジン系緩衝液;および
界面活性剤;
を含み、
該製剤が約5.0~約6.8のpHを有し;
該
アフリベルセプトが、製造および精製直後に約3.5%未満の高分子量種および/または約2~8℃で約24ヶ月間保存した後に約6%以下の高分子量種を有する、
上記製剤。
【請求項15】
容器または注射装置に装填されている、請求項
14に記載の製剤。
【請求項16】
注射装置が、プレフィルドシリンジである、請求項
15に記載の製剤。
【請求項17】
請求項
14に記載の製剤を調製するための方法であって、
アフリベルセプト、L-アルギニン、スクロース、ヒスチジン系緩衝液、および界面活性剤を混合して単一の水性組成物とする工程を含む、上記方法。
【請求項18】
ある容量の製剤をシリンジに装填する工程をさらに含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
アフリベルセプトが、以下の濃度:
・約100mg/ml;
・約111.5mg/ml;
・約112.0mg/ml;
・約113.3mg/ml;
・約114.3mg/ml;
・約115.6mg/ml;
・約116.3mg/ml;
・約120mg/ml;
・約133mg/ml;
・約140mg/ml;
・約150mg/ml;
・約200mg/ml;または
・約250mg/ml;
である、請求項
14に記載の製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2019年3月5日に出願された米国仮特許出願第US62/813,882号、2018年11月20日に出願された米国仮特許出願第US62/769,876号、2018年10月29日に出願された米国仮特許出願第US62/752,127号、および2018年5月10日に出願された米国仮特許出願第US62/669,506号の利益を主張し、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書の実施形態は、一般に、眼投与に適した高濃度VEGF受容体融合タンパク質を含む製剤に関する。より具体的には、本明細書の実施形態は、硝子体内投与用の液体医薬製剤を提供し、製剤は40mg/mlを超えるVEGF受容体融合タンパク質を含み、薬学的に許容される効力、安定性、粘度、およびpHを示す。
【0003】
配列表
配列記載書の公式コピーは、明細書と同時にEFS-Webを介して、ファイル名が「10430P1-US_SEQ_LIST_ST25.txt」、作成日が2018年5月9日、サイズが約7KBのASCII形式のシーケンスリストとして電子的に提出される。このASCII形式の文書に含まれている配列記載書は明細書の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
治療上有用な液体製剤の開発には、関心対象の薬物用に機能的で安定した送達媒体を提供するために、異なる量の成分の組み合わせが必要である。これは、薬物がタンパク質であり、さらに抗体である場合に特に当てはまる。抗体の活性と投与には典型的に、薬学的に許容される効力、浸透圧、タンパク質の安定性、粘度、および適切なpHが必要であるため、薬物開発者および製造業者には長い間抗体製剤について課題が提示されてきた。これらの課題は、抗体が製剤中のより高い濃度である、例えば、ほとんどの薬剤として販売されている抗体の濃度である20~40mg/mlを超える場合、悪化する。
【0005】
より高濃度の抗体製剤は、より短い注射時間、より少ない注射容量、より低い抗体投与頻度、およびより効率的な製造および保存ユーティリティを可能にする。しかしながら、上記のように、抗体またはタンパク質の濃度が高いほど、製剤の適切な活性および送達パラメータを維持することがより困難になる。特に、高濃度の抗体およびタンパク質製剤は、タンパク質の凝集および粘度の増加と競合することが多く、その結果、抗体またはタンパク質の全体的な効力が低下し、製造が低下し、保存安定性が低下する。高濃度のタンパク質または抗体製剤に関する問題のために、そのような薬学的に許容される製剤はほとんど開発されていない。適切な効力、安定性、粘度、浸透圧、およびpHを含む高濃度、高安定性、抗体およびタンパク質製剤を調製するための当該技術分野における必要性が存在する。
【0006】
高濃度製剤を必要とするそのようなタンパク質の1つは、血管内皮増殖因子(VEGF、Vascular Endothelial Growth Factor)受容体融合タンパク質である。VEGF受容体融合タンパク質は、多くの眼科用製剤、例えば、EYLEA(登録商標)(Regeneron Pharmaceuticals,Inc.)におけるVEGF機能をブロックするために使用される。高濃度VEGF受容体融合タンパク質含有製剤は、より短い眼注射時間、より少ない注射容量、投与サイクルあたりのより少ない可能な注射、およびより効率的な製造および保存を可能にする可能性がある。
【0007】
本発明は、上記で論じた1つ以上の問題を克服することを目的としている。
【発明の概要】
【0008】
本明細書に記載の様々な実施形態は、高濃度のタンパク質含有製剤(例えば、硝子体内投与に適している)、特に、高濃度の血管内皮増殖因子(VEGF)受容体融合タンパク質含有製剤を包含する。高濃度VEGF受容体融合タンパク質含有製剤は、薬学的に許容される効力、長期の製造および保存安定性、ならびに眼球注射と対応した粘度およびpHを含む、多くの治療的および経済的利益を提供する。高濃度VEGF受容体融合タンパク質含有製剤はまた、眼投与容量の減少、すなわち、限られた容量の眼に対する望ましくない影響を回避するための利点を可能にする。
【0009】
本明細書の実施形態は、VEGF受容体融合タンパク質、緩衝液、熱安定剤、粘度低下剤、および界面活性剤を有する製剤を提供する。他の実施形態では、製剤は、粘度低下剤を含まない。本発明の製剤は、注射、特に治療用眼注射に適したpHおよび粘度を有する。
【0010】
本発明の実施形態において、約100μl未満、約50μl未満、約50μl、約57μl、約60μl、約70μl、または約75μlのVEGF受容体融合タンパク質、緩衝液、任意選択で、熱安定剤および/または粘度低下剤、製剤が約5.0~約6.8(例えば、5.8)のpHを有する界面活性剤の単回投与を含む少なくとも41mg/mlの濃度または濃度のVEGF受容体融合タンパク質(本明細書で論じられる)を有する本発明の医薬製剤が提供される。
【0011】
本発明の一実施形態では、VEGF受容体融合タンパク質濃度は、約30mg/ml、60mg/ml、114mg/ml、120mg/mlまたは140mg/mlである。
【0012】
本発明の一実施形態では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤(例えば、約0.02%~約0.1%、または約0.03%(w/v))であり得る。本発明の一実施形態では、界面活性剤は、ポリオキシエチレン部分、例えば、ポリソルベート20(PS20)、ポリソルベート80(PS80)、ポロキサマー188、ポリエチレングリコール3350またはそれらの混合物を有する非イオン性界面活性剤である。
【0013】
本発明の一実施形態では、緩衝液は、ヒスチジン、ヒスチジンHClまたはヒスチジン酢酸塩などのヒスチジン系緩衝液(例えば、10mMまたは20mM)、リン酸ナトリウム(例えば、10mM)などのリン酸系緩衝液、酢酸ナトリウムおよび酢酸などの酢酸塩系緩衝液、またはクエン酸ナトリウムおよびクエン酸などのクエン酸系緩衝液である。本発明の一実施形態では、緩衝液がリン酸緩衝液である場合、pHは、約5.7~約8.0、約5.8~約8.0、約5.7~約7.0、約5.8~約7.0、約5.9~約7.0または約6.0~約7.0であり、緩衝液がヒスチジン緩衝液である場合、pHは、約5.5~約6.5であり、緩衝液がクエン酸緩衝液である場合、pHは、約3.0~約6.2または約5.0~約6.0であり、緩衝液が酢酸塩緩衝液である場合、pHは約3.7~約5.6または約5.0~約6.0である。
【0014】
本発明の一実施形態では、熱安定剤は、スクロース(例えば、約2.5%、5%または8%、10%または20%(w/v)、例えば、約2~20%)、マンニトール、ソルビトール、またはトレハロースなどの糖、L-プロリン(例えば、約2%、3%または4%(w/v))、グリシン(例えば、約50mM)、グリセロール、タウリン(例えば、約50mM)またはプロパンスルホン酸(例えば、約50mM)、または上記の任意の組み合わせである。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の医薬製剤は、粘度低下剤、例えば、アルギニン塩酸塩(例えば、L-アルギニン一塩酸塩)(例えば、50mM)、リジン、塩化ナトリウム(例えば、40mMまたは50mM)、または塩化マグネシウムを含む。代替的には、他の実施形態では、本発明の製剤は、粘度低下剤を、すべてではないにしても、実質的にすべて具体的に除外する。
【0016】
本発明の一実施形態では、本発明の医薬製剤は、本明細書に記載の製剤A~KKKKのいずれか1つの成分を含むか、それからなるか、または本質的にそれからなる。
【0017】
本明細書の態様では、本発明の医薬製剤は、約60mg/ml、約80mg/ml、約100mg/ml、約113.3mg/ml、約114.3mg/ml、約120mg/ml、約133.3mg/ml、約140mg/ml、約150mg/ml、約200mg/ml、または約250mg/mlを含む、約41mg/ml~約275mg/ml、約80mg/ml~約275mg/ml、約140mg/ml~約159または約150mg/ml、約80mg/ml~約100mg/mlの濃度のVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプトまたはコンベルセプト)を含んでもよい。本発明の一実施形態では、製剤は、約40mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質を含む。
【0018】
本発明の医薬製剤のいくつかの態様は、熱安定剤がタウリンまたはプロパンスルホン酸の場合に、安定剤は約25mM~約100mMの濃度であり、界面活性剤は約0.02%(w/v)~約0.1%(w/v)(例えば、約0.03%)の濃度であり、緩衝液は約5mM~約15mMであることを条件として、約2%(w/v)~約9%(w/v)または約4%(w/v)~約9%の濃度の熱安定剤を含む。
【0019】
VEGF受容体融合タンパク質は、例えば、
・配列番号1の核酸配列または配列番号1のヌクレオチド79~1374または79~1371によってコードされ得、
・配列番号2のアミノ酸または配列番号2のアミノ酸27~457または27~458を含み得、
・
(1)配列番号2のアミノ酸27~129を含むVEGFR1成分、
(2)配列番号2のアミノ酸130~231を含むVEGFR2成分、
(3)配列番号2のアミノ酸232~457または458(配列番号2のC末端アミノ酸、すなわちK458は、VEGF受容体融合タンパク質に含まれる場合もあり、または含まれない場合もある)を含む多量体化成分(「FcΔC1(a)」)を含み得る。配列番号2のアミノ酸1~26は、
・第1のVEGF受容体(例えば、VEGFR1)の免疫グロブリン様(Ig)ドメイン2および第2のVEGF受容体(例えば、VEGFR2)のIgドメイン3を含み、任意選択で、第2のVEGF受容体のIgドメイン4(例えば、VEGFR2)および多量体化成分(例えば、IgGのFcドメイン)を含み、
・コンバセプトであり、または
・アフリベルセプトである、シグナル配列であることに留意されたい。
VEGF Trap
atggtcagctactgggacaccggggtcctgctgtgcgcgctgctcagctgtctgcttctc
acaggatctagttccggaagtgataccggtagacctttcgtagagatgtacagtgaaatc
cccgaaattatacacatgactgaaggaagggagctcgtcattccctgccgggttacgtca
cctaacatcactgttactttaaaaaagtttccacttgacactttgatccctgatggaaaa
cgcataatctgggacagtagaaagggcttcatcatatcaaatgcaacgtacaaagaaata
gggcttctgacctgtgaagcaacagtcaatgggcatttgtataagacaaactatctcaca
catcgacaaaccaatacaatcatagatgtggttctgagtccgtctcatggaattgaacta
tctgttggagaaaagcttgtcttaaattgtacagcaagaactgaactaaatgtggggatt
gacttcaactgggaatacccttcttcgaagcatcagcataagaaacttgtaaaccgagac
ctaaaaacccagtctgggagtgagatgaagaaatttttgagcaccttaactatagatggt
gtaacccggagtgaccaaggattgtacacctgtgcagcatccagtgggctgatgaccaag
aagaacagcacatttgtcagggtccatgaaaaggacaaaactcacacatgcccaccgtgc
ccagcacctgaactcctggggggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggac
accctcatgatctcccggacccctgaggtcacatgcgtggtggtggacgtgagccacgaa
gaccctgaggtcaagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagaca
aagccgcgggaggagcagtacaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctg
caccaggactggctgaatggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaagccctccca
gcccccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagaaccacaggtgtac
accctgcccccatcccgggatgagctgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtc
aaaggcttctatcccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaac
aactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaag
ctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcat
gaggctctgcacaaccactacacgcagaagagcctctccctgtctccgggtaaatga
(配列番号1)
MVSYWDTGVLLCALLSCLLLTGSSSGSDTGRPFVEMYSEIPEIIHMTEGRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKRIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGHLYKTNYLTHRQTNTIIDVVLSPSHGIELSVGEKLVLNCTARTELNVGIDFNWEYPSSKHQHKKLVNRDLKTQSGSEMKKFLSTLTIDGVTRSDQGLYTCAASSGLMTKKNSTFVRVHEKDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
(配列番号2)
AA1~26=シグナル配列
AA27~129=Flt1-D2(VEGFR1-D2)
AA130~231=Flk1-D3(VEGFR2-D3)
AA232~458=FcΔC1
【0020】
本発明の別の実施形態では、約5mM~約25mMの薬学的に許容される緩衝液、約4%(w/v)~約9%(w/v)の薬学的に許容される熱安定剤、約0.02%(w/v)~約0.1%(w/v)の薬学的に許容される界面活性剤、および約41mg/ml~約275mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質の水溶液を含む容器が提供される。熱安定剤がタウリンまたはプロパンスルホン酸のいずれかを含む場合、タウリンまたはプロパンスルホン酸は、約25mM~約100mMの濃度である。水溶液は、約5.0~約6.8のpHを有し、約5.5~約6.2(例えば、5.8)であり得る。いくつかの態様では、容器は、バイアルまたはシリンジである。他の態様では、水溶液は無機塩を含まない。熱安定剤が糖である場合、それは、スクロース、マンニトール、ソルビトール、またはトレハロースであり得、約4%(w/v)~9%(w/v)の間に存在し得、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であり得、容量当たり約0.02%~約0.1重量%(w)、より典型的には、0.02%~約0.04%(w/v)の濃度で、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポロキサマー188、またはポリエチレングリコール3350などのポリオキシエチレン部分を含み得る。本発明の一実施形態では、VEGF受容体融合タンパク質は、配列番号1の核酸配列または配列番号1のヌクレオチド79~1374または79~1371によってコードされ、配列番号2のアミノ酸または配列番号2のアミノ酸27~457または27~458を含み、(1)配列番号2のアミノ酸27~129を含むVEGFR1成分、(2)配列番号2のアミノ酸130~231を含むVEGFR2成分、および(3)配列番号2のアミノ酸232~457(配列番号2のC末端アミノ酸、すなわちK458はVEGF受容体融合タンパク質に含まれる場合もあり、または含まれない場合もある)を含む多量体化成分(「FcΔC1(a)」)を含み、第1のVEGF受容体(例えば、VEGFR1)の免疫グロブリン様(Ig)ドメイン2および第2のVEGF受容体(例えば、VEGFR2)のIgドメイン3を含み、任意選択で、第2のVEGF受容体(例えば、VEGFR2)のIgドメイン4および多量体化成分(例えば、IgGのFcドメイン)をさらに含み、コンベルセプトであり、またはアフリベルセプトである。
【0021】
さらに他の実施形態では、水性ビヒクル中にVEGF受容体融合タンパク質を有する本発明の医薬製剤が提供され、水性ビヒクルは、20℃で約10cP~約15cP、より典型的には20℃で約10cP~約13cP、最も典型的には20℃で約11cP~12cP(例えば、20℃で約6.0、7.3、11.5、または12.0cP)の粘度を有する。本発明の一実施形態では、粘度は、20℃で約12cP~約15cPである。製剤のpHは、約5.8~約6.5(例えば、約5.8)であり得る。場合によっては、製剤は粘度低下剤を含まず、例えば、アルギニン塩酸塩、リジン、塩化ナトリウム、または塩化マグネシウムを含まない。他の場合には、製剤は、10mMのヒスチジン塩酸塩または10mMのヒスチジン酢酸塩を含む。糖は、スクロース、マンニトール、ソルビトール、またはトレハロースであり得、約4%(w/v)~9%(w/v)(例えば、約5%)の間に存在し得、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であり得、容量あたり約0.02%~約0.1重量%(w/v)、より典型的には、0.02%~約0.04%(w/v)(例えば、0.03%)の濃度で、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポロキサマー188、またはポリエチレングリコール3350などのポリオキシエチレン部分を含み得る。さらに、製剤は、タウリンまたはプロパンスルホン酸のいずれかから選択される熱安定剤を、約25mM~約100mMの間、より典型的には約50mM~約70mMの濃度でさらに含み得る。本発明の一実施形態では、製剤は、pH約5.8の、アフリベルセプトなどのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、約41~275mg/ml、約50mg/ml、約100mg/ml、約115mg/ml、約125mg/ml、約150mg/ml、約200mg/mlまたは本明細書で論じられる「高」濃度のいずれか)、約10mMのヒスチジン系緩衝液、約5%(w/v)のスクロース、ポリソルベート、例えば、ポリソルベート20などの約0.03%(w/v)の非イオン性界面活性剤、および約50mMのアルギニン、L-アルギニンまたはL-アルギニン一塩酸塩を含む。本発明の一実施形態では、VEGF受容体融合タンパク質は、配列番号1の核酸配列または配列番号1のヌクレオチド79~1374または79~1371によってコードされ、配列番号2のアミノ酸または配列番号2のアミノ酸27~457または27~458を含み、(1)配列番号2のアミノ酸27~129を含むVEGFR1成分、(2)配列番号2のアミノ酸130~231を含むVEGFR2成分、および(3)配列番号2のアミノ酸232~457(配列番号2のC末端アミノ酸、すなわちK458はVEGF受容体融合タンパク質に含まれる場合もあり、または含まれない場合もある)を含む多量体化成分(「FcΔC1(a)」)を含み、第1のVEGF受容体(例えば、VEGFR1)の免疫グロブリン様(Ig)ドメイン2および第2のVEGF受容体(例えば、VEGFR2)のIgドメイン3を含み、任意選択で、第2のVEGF受容体(例えば、VEGFR2)のIgドメイン4および多量体化成分(例えば、IgGのFcドメイン)を含み、コンベルセプトであり、またはアフリベルセプトである。
【0022】
さらに別の実施形態では、薬学的に許容される緩衝液中に約80mg/ml~約275mg/mlの濃度でVEGF受容体融合タンパク質を含む、本発明の医薬製剤が提供される。場合によっては、安定な医薬製剤はまた、タウリンまたはプロパンスルホン酸を含み得る。製剤は、約2℃~約8℃の温度で約24~36ヶ月間安定であり得る。場合によっては、VEGF受容体融合タンパク質は、これらの温度でこの時間保存される場合、高分子量種で約5%未満の増加を示し、より典型的には、高分子量種で約4.5%未満の増加、高分子量種で約4.0%未満の増加、高分子量種で約3.5%未満の増加、高分子量種で約3.0%未満の増加、高分子量種で約2.5%未満の増加、高分子量種で約2.0%未満の増加および/または高分子量種で約1.5%未満の増加を示す。他の場合では、VEGF受容体融合タンパク質は、製剤がこれらの温度でこの時間保存される場合、高分子量種で2.0%~3.0%未満の増加を示す。
【0023】
本明細書の実施形態はまた、アフリベルセプト、pH緩衝液、糖および界面活性剤を含む本発明の医薬製剤を含み得、アフリベルセプトは、41mg/ml~約275mg/mlの濃度である。代替的には、実施形態は、コンベルセプト、pH緩衝液、糖および界面活性剤を含む安定な液体医薬製剤であり得、コンベルセプトは、41mg/ml~約275mg/mlの濃度である。安定な液体医薬製剤はまた、タウリンまたはプロパンスルホン酸を含み得る。いくつかの態様では、アフリベルセプトまたはコンベルセプトは、80mg/mlまたは150mg/mlのいずれかの濃度である。他の態様では、製剤は、無機塩、例えば、塩化ナトリウムを含まない。
【0024】
いくつかの実施形態は、シリンジが、80mg/mlのアフリベルセプト、コンベルセプト、10mMのヒスチジン塩酸塩、ヒスチジン酢酸塩またはリン酸ナトリウム、5%(w/v)のスクロース、マンニトールソルビトールまたはトレハロース、0.03%(w/v)のポリソルベート20、ポリソルベート80、ポロキサマー188、またはポリエチレングリコール3350、および40mMの塩化ナトリウムを有する水溶液入りのプレフィルド式であるような滅菌シリンジに関する。本明細書の態様は、約25mM~約100mM、より典型的には約50mM~約70mMのタウリンまたはプロパンスルホン酸のいずれかのさらなる添加を含む。いくつかの態様では、シリンジは、80mg/mlのアフリベルセプト、コンベルセプト、10mMのヒスチジンHCl、ヒスチジン酢酸塩またはリン酸ナトリウム、8%(w/v)のスクロース、マンニトール、ソルビトールまたはトレハロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート20、ポリソルベート80、ポロキサマー188、またはポリエチレングリコール3350を有する水溶液入りのプレフィルド式である。本明細書の態様は、約25mM~約100mM、より典型的には約50mM~約70mMのタウリンまたはプロパンスルホン酸のいずれかのさらなる添加を含む。さらに他の態様では、シリンジは、pH約6.2の、150mg/mlのアフリベルセプト、コンベルセプト、10mMのヒスチジン塩酸塩、ヒスチジン酢酸塩、またはリン酸ナトリウム、5%(w/v)のスクロース、マンニトール、ソルビトールまたはトレハロース、0.03%(w/v)のポリソルベート20、ポリソルベート80、ポロキサマー188、またはポリエチレングリコール3350および40mMの塩化ナトリウムを有する水溶液入りのプレフィルド式である。本明細書の態様は、タウリンまたはプロパンスルホン酸のいずれかのさらなる添加を含み得る。さらに他の態様では、シリンジは、pH約6.2の、150mg/mlのアフリベルセプト、コンベルセプト、10mMのヒスチジン塩酸塩、ヒスチジン酢酸塩、またはリン酸ナトリウム、8%(w/v)のスクロース、マンニトール、ソルビトールまたはトレハロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート20、ポリソルベート80、ポロキサマー188、またはポリエチレングリコール3350を有する水溶液入りのプレフィルド式であり、水溶液は無機塩を含まない。態様は、約25mM~約100mM、より典型的には、約50mM~約70mMのタウリンまたはプロパンスルホン酸のいずれかをさらに含み得る。さらに他の態様では、シリンジは、pH約6.2の、150mg/mlのアフリベルセプトまたはコンベルセプト、10mMの酢酸ナトリウムまたは酢酸、5%(w/v)のグリセロールおよび0.03%(w/v)のポリソルベート20、ポリソルベート80、ポロキサマー188、またはポリエチレングリコール3350および40mMの塩化ナトリウムを含む水溶液入りのプレフィルド式である。さらに他の態様では、シリンジは、pH約6.2の、150mg/mlのアフリベルセプトまたはコンベルセプト、10mMの酢酸ナトリウムまたは酢酸、8%(w/v)のグリセロールおよび0.03%(w/v)のポリソルベート20、ポリソルベート80、ポロキサマー188、またはポリエチレングリコール3350および40mMの塩化ナトリウムを含む水溶液入りのプレフィルド式である。
【0025】
本発明はまた、製剤の各成分を単一の組成物に組み合わせるステップを含む、本明細書に記載のいずれかの製剤を作製するための方法を提供する。そのような方法は、得られた製剤をバイアルまたは注射装置に加えるステップを含んでもよい。このような方法の生成物であるいずれかの組成物はまた、本発明の一部を形成する。例えば、本明細書の実施形態はまた、ヒスチジン系、クエン酸塩系、酢酸塩系またはリン酸塩系の緩衝液を、スクロース、ポリソルベート20およびVEGF受容体融合タンパク質、および、任意選択で、例えば、本明細書で論じられるような、1つ以上の追加の構成要素と組み合わせることによって製剤を調製するための方法を含む。場合によっては、製剤は、タウリンまたはプロパンスルホン酸も含むように調製されるが、それがタウリンまたはプロパンスルホン酸を含まない場合、無機塩も含まない場合がある。本明細書の態様では、スクロースは、容量あたりの重量が約4%~約10%であり、ポリソルベート20は、容量あたりの重量が約0.02%~約0.1%であり、受容体融合タンパク質は、濃度が約41mg/ml~約275mg/mlである。製剤がタウリンまたはプロパンスルホン酸を含む場合、それは、例えば、約25mM~約100mMで存在するが、50mM~70mMで含まれることもある。この方法は、その容量が0.1mg~10mgの用量のVEGF受容体融合タンパク質を有するように、所定の容量の調製された製剤を無菌シリンジに装填することを含み得る。
【0026】
本発明はまた、対象の眼に製剤を眼内注射(例えば、硝子体内注射)することを含む、対象(例えば、ヒト)に本発明の製剤を投与するための方法を提供する。本発明はまた、本発明の製剤を含む硝子体内インプラントを対象の硝子体に移植することを含む、本発明の製剤を対象(例えば、ヒト)に投与するための方法を提供する。
【0027】
本明細書の実施形態はまた、少なくとも約2mg(例えば、4mg、6mgまたは8mg)のVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプトまたはコンベルセプト)、例えば、本明細書に記載のいずれかの製剤をそれを必要とする対象の眼に眼内注射することによってそれを必要とする対象における、眼内血管新生性障害、例えば、加齢性黄斑変性症(湿性)、網膜静脈閉塞後の黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症(RVO)、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)分枝網膜静脈閉塞症(BRVO)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、脈絡膜血管新生(CNV)、虹彩血管新生、血管新生緑内障、緑内障の術後線維症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、視板血管新生、角膜血管新生、網膜血管新生、硝子体血管新生、汎血管新生、血管網膜症または糖尿病性網膜症(例えば、非増殖性糖尿病性網膜症および/または増殖性糖尿病性網膜症)を治療するための方法を含む。本発明の一実施形態では、注射容量は100マイクロリットル以下(例えば、100マイクロリットル、50マイクロリットル、または57マイクロリットル)である。この方法は、41mg/ml~約275mg/mlの濃度のVEGF受容体融合タンパク質、薬学的に許容される糖、薬学的に許容される緩衝液、および薬学的に許容される界面活性剤を有する予混合水溶液の硝子体内注射を含む。予混合水溶液を使用する治療方法では、希釈する必要はない。本明細書の態様では、予混合水溶液は、約6.0~約6.5のpHを有し、約10cP~13cPの粘度を有する。
【0028】
治療法の態様では、VEGF受容体融合タンパク質は、配列番号1の核酸配列、配列番号2のアミノ酸27~129、配列番号2の130~231のアミノ酸を含むVEGFR2成分、または配列番号2のアミノ酸232~457を含む多量体化成分、またはそれらの任意の組み合わせによってコードされるVEGFR1R2-FcΔC1(a)を含む。本発明の一実施形態では、VEGF受容体融合タンパク質は、アフリベルセプトまたはコンベルセプトである。
【0029】
本明細書における本開示による他の実施形態は、後述の詳細な説明の精査から明らかとなるであろう。
【0030】
本明細書に開示される実施形態の上記および他の態様、特徴、および利点は、添付の図面を参照することにより、当業者にはより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1A】2℃~8℃で36ヶ月間の過程にわたって、4つの異なる製剤(B、H、DおよびG)におけるVEGF受容体融合タンパク質(アフリベルセプト)の安定性を判定するグラフである。サイズ排除超高速液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)を使用して、VEGF受容体融合タンパク質の安定性を試験して、高分子量(HMW、High Molecular Weight)種の形成(タンパク質分解の兆候)を特定した。
【
図1B】2℃~8℃での36ヶ月間の過程にわたって、4つの製剤(B、H、DおよびG)におけるVEGF受容体融合タンパク質(アフリベルセプト)の安定性を判定するグラフである。SE-UPLCを使用してVEGF受容体融合タンパク質の安定性を試験して、各製剤の主要な種の割合を特定した。
【
図1C】2℃~8℃での36ヶ月間の過程にわたって、4つの製剤(B、H、D、およびG)におけるVEGF受容体融合タンパク質電荷バリアントの形成を示す棒グラフである。酸性種のレベルは、画像化キャピラリー等電点電気泳動(iCIEF、imaged Capillary IsoElectric Focusing)を使用して、製造時(0.0)、12ヶ月、24ヶ月、および36ヶ月で試験された。
【
図1D】2℃~8℃で36ヶ月間の過程にわたって、4つの製剤(B、H、D、およびG)におけるVEGF受容体融合タンパク質電荷バリアントの形成を示す棒グラフである。主な種の特定については、iCIEFを使用して、製造時(0.0)、12ヶ月目、24ヶ月目、および36ヶ月目に試験された。
【
図2A】37℃での28日間の過程にわたるL-アルギニン一塩酸塩の有無による、10mMのリン酸ナトリウム、8%(w/v)のスクロースおよび0.03%のポリソルベート20(w/v)製剤pH6.2での150mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(アフリベルセプト)の安定性を示すグラフである。VEGF受容体融合タンパク質の安定性をSE-UPLCを使用して試験して、HMW種の形成を特定した。
【
図2B】37℃での28日間の過程にわたるL-アルギニン一塩酸塩の有無による、pH6.2での、10mMのリン酸ナトリウム、8%(w/v)のスクロース、および0.03%のポリソルベート20(w/v)製剤における150mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質の安定性を示すグラフである。SE-UPLCを使用してVEGF受容体融合タンパク質の安定性を試験して、各製剤の主要な種の割合を特定した。
【
図3A】155mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質を有し、塩を有しない、10mMのリン酸ナトリウム緩衝化製剤、100mMのアルギニン、200mMのアルギニン、50mMのリジン、200mMのリジン、50mMの塩化ナトリウム、または100mMの塩化ナトリウムの粘度を示す棒グラフである。粘度は20℃においてcPで測定された。
【
図3B】155mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質を有し、塩を有しない、10mMのヒスチジン緩衝化製剤、100mMのアルギニン、200mMのアルギニン、50mMのリジン、200mMのリジン、50mMの塩化ナトリウム、または100mMの塩化ナトリウムの粘度を示す棒グラフである。粘度は20℃においてcPで測定された。
【
図3C】様々な製剤条件(50mMのアルギニン塩酸塩の有無)下での様々な濃度のVEGF受容体融合タンパク質の粘度を示すグラフである。粘度は20℃においてcPで測定された。
【
図4A】5℃での12ヶ月間にわたる50mMのL-アルギニン一塩酸塩の有無による、pH6.2での、10mMのリン酸ナトリウム、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート20における150mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質の安定性を示すグラフである。VEGF受容体融合タンパク質は150mg/mlであった。VEGF受容体融合タンパク質の安定性をSE-UPLCを使用して試験して、HMW種の形成を特定した。
【
図4B】5℃での12ヶ月間にわたる50mMのL-アルギニン一塩酸塩の有無による、pH6.2での、10mMのリン酸ナトリウム、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート20における150mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質の安定性を示すグラフである。VEGF受容体融合タンパク質は150mg/mlであった。SE-UPLCを使用してVEGF受容体融合タンパク質の安定性を試験して、各製剤の主要な種の割合を特定した。
【
図5】20℃での、10mMのリン酸緩衝液または10mMのヒスチジン緩衝液の2つの緩衝液条件下での製剤の粘度を示すグラフである。VEGF受容体融合タンパク質の濃度は、10mg/mlから170mg/mlまで変化する。粘度はmPa-Sで測定した。
【
図6】各々2~10mg/mlのタンパク質を有する、多くの様々な製剤条件についての動的光散乱スクリーンを示す。拡散相互作用パラメータは、タウリンおよびPSA(プロパンスルホン酸)がKdを改善することを示した。
【
図7】5℃で6ヶ月間保存した後のサイズ排除超高速液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)で測定した製剤F1~F9(製剤WW~EEE)中の高分子量(HMW)種の割合を経時的にモニターするグラフである。製剤F1~F9は、本明細書の表7-1に記載されている。
【
図8A】SE-UPLCにより、5℃で3ヶ月間保存した後(A)または37℃で28日間インキュベートした後(B)の高分子量種の割合を示す。製剤F1~F4(EEE、SSS、CCC(140mg/ml)およびTTT)を以下の表8-1に示す。
【
図8B】SE-UPLCにより、5℃で3ヶ月間保存した後(A)または37℃で28日間インキュベートした後(B)の高分子量種の割合を示す。製剤F1~F4(EEE、SSS、CCC(140mg/ml)およびTTT)を以下の表8-1に示す。
【
図9】初期時点での20℃での製剤F1~F12の粘度(cp)を示す。製剤F1~F12を以下の表Aに示す。
【表1】
【
図10】製剤F1~F12(本明細書の表Aに記載)の浸透圧(mmol/Kg)を示す。
【
図11A】は、37℃で最大28日間(A)または5℃で最大3ヶ月間(B)にわたって保存した後の、SE-UPLCによる、製剤F1~F6(製剤GGG、HHH、III、JJJ、LLLおよびKKK)の高分子量種の割合を経時的に示す。
【
図11B】は、37℃で最大28日間(A)または5℃で最大3ヶ月間(B)にわたって保存した後の、SE-UPLCによる、製剤F1~F6(製剤GGG、HHH、III、JJJ、LLLおよびKKK)の高分子量種の割合を経時的に示す。
【
図12】表9-3(GGG~RRR)に示す製剤の初期時点での動的光散乱(拡散係数(cm
2/秒)、半径(nm)および%Pd)を示す。
【
図13A】アフリベルセプト投与前の2つの異なるウサギ(326-OSおよび329-OD)のベースラインFA画像およびOCT(30度レンズ)を示す(OD=Oculus Dexter(右眼)、OS=Oculus Sinister(左眼))。(A)ウサギ326、左眼のFA画像。(B)ウサギ326、左眼のOCT画像。(C)ウサギ329、右眼のFA画像。(D)ウサギ329、右眼のOCT画像。
【
図13B】アフリベルセプト投与前の2つの異なるウサギ(326-OSおよび329-OD)のベースラインFA画像およびOCT(30度レンズ)を示す(OD=Oculus Dexter(右眼)、OS=Oculus Sinister(左眼))。(A)ウサギ326、左眼のFA画像。(B)ウサギ326、左眼のOCT画像。(C)ウサギ329、右眼のFA画像。(D)ウサギ329、右眼のOCT画像。
【
図13C】アフリベルセプト投与前の2つの異なるウサギ(326-OSおよび329-OD)のベースラインFA画像およびOCT(30度レンズ)を示す(OD=Oculus Dexter(右眼)、OS=Oculus Sinister(左眼))。(A)ウサギ326、左眼のFA画像。(B)ウサギ326、左眼のOCT画像。(C)ウサギ329、右眼のFA画像。(D)ウサギ329、右眼のOCT画像。
【
図13D】アフリベルセプト投与前の2つの異なるウサギ(326-OSおよび329-OD)のベースラインFA画像およびOCT(30度レンズ)を示す(OD=Oculus Dexter(右眼)、OS=Oculus Sinister(左眼))。(A)ウサギ326、左眼のFA画像。(B)ウサギ326、左眼のOCT画像。(C)ウサギ329、右眼のFA画像。(D)ウサギ329、右眼のOCT画像。
【
図14A】ヒスチジン緩衝液製剤(30度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(326-OS)についての、1日目(A)、7日目(B)、および14日目(C)のウサギFA画像と1日目(D)、7日目(E)、および14日目(F)のOCTの時間経過を示す。
【
図14B】ヒスチジン緩衝液製剤(30度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(326-OS)についての、1日目(A)、7日目(B)、および14日目(C)のウサギFA画像と1日目(D)、7日目(E)、および14日目(F)のOCTの時間経過を示す。
【
図14C】ヒスチジン緩衝液製剤(30度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(326-OS)についての、1日目(A)、7日目(B)、および14日目(C)のウサギFA画像と1日目(D)、7日目(E)、および14日目(F)のOCTの時間経過を示す。
【
図14D】ヒスチジン緩衝液製剤(30度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(326-OS)についての、1日目(A)、7日目(B)、および14日目(C)のウサギFA画像と1日目(D)、7日目(E)、および14日目(F)のOCTの時間経過を示す。
【
図14E】ヒスチジン緩衝液製剤(30度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(326-OS)についての、1日目(A)、7日目(B)、および14日目(C)のウサギFA画像と1日目(D)、7日目(E)、および14日目(F)のOCTの時間経過を示す。
【
図14F】ヒスチジン緩衝液製剤(30度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(326-OS)についての、1日目(A)、7日目(B)、および14日目(C)のウサギFA画像と1日目(D)、7日目(E)、および14日目(F)のOCTの時間経過を示す。
【
図15A】ヒスチジン緩衝液製剤(55度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(326-OS)についての、3週目(A)、4週目(B)、7週目(C)、および8週目(D)でのウサギFA画像、ならび3週目(E)、4週目(F)、7週目(G)、および8週目(H)のOCTの時間的経過を示す。
【
図15B】ヒスチジン緩衝液製剤(55度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(326-OS)についての、3週目(A)、4週目(B)、7週目(C)、および8週目(D)でのウサギFA画像、ならび3週目(E)、4週目(F)、7週目(G)、および8週目(H)のOCTの時間的経過を示す。
【
図15C】ヒスチジン緩衝液製剤(55度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(326-OS)についての、3週目(A)、4週目(B)、7週目(C)、および8週目(D)でのウサギFA画像、ならび3週目(E)、4週目(F)、7週目(G)、および8週目(H)のOCTの時間的経過を示す。
【
図15D】ヒスチジン緩衝液製剤(55度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(326-OS)についての、3週目(A)、4週目(B)、7週目(C)、および8週目(D)でのウサギFA画像、ならび3週目(E)、4週目(F)、7週目(G)、および8週目(H)のOCTの時間的経過を示す。
【
図15E】ヒスチジン緩衝液製剤(55度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(326-OS)についての、3週目(A)、4週目(B)、7週目(C)、および8週目(D)でのウサギFA画像、ならび3週目(E)、4週目(F)、7週目(G)、および8週目(H)のOCTの時間的経過を示す。
【
図15F】ヒスチジン緩衝液製剤(55度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(326-OS)についての、3週目(A)、4週目(B)、7週目(C)、および8週目(D)でのウサギFA画像、ならび3週目(E)、4週目(F)、7週目(G)、および8週目(H)のOCTの時間的経過を示す。
【
図15G】ヒスチジン緩衝液製剤(55度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(326-OS)についての、3週目(A)、4週目(B)、7週目(C)、および8週目(D)でのウサギFA画像、ならび3週目(E)、4週目(F)、7週目(G)、および8週目(H)のOCTの時間的経過を示す。
【
図15H】ヒスチジン緩衝液製剤(55度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(326-OS)についての、3週目(A)、4週目(B)、7週目(C)、および8週目(D)でのウサギFA画像、ならび3週目(E)、4週目(F)、7週目(G)、および8週目(H)のOCTの時間的経過を示す。
【
図16A】リン酸緩衝液製剤(30度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(329-OS)についての、1日目(A)、1週目(B)、および2週目(C)のウサギFA画像、ならびに1日目(D)、1週目(E)、および2週目(F)のOCTの時間的経過を示す。
【
図16B】リン酸緩衝液製剤(30度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(329-OS)についての、1日目(A)、1週目(B)、および2週目(C)のウサギFA画像、ならびに1日目(D)、1週目(E)、および2週目(F)のOCTの時間的経過を示す。
【
図16C】リン酸緩衝液製剤(30度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(329-OS)についての、1日目(A)、1週目(B)、および2週目(C)のウサギFA画像、ならびに1日目(D)、1週目(E)、および2週目(F)のOCTの時間的経過を示す。
【
図16D】リン酸緩衝液製剤(30度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(329-OS)についての、1日目(A)、1週目(B)、および2週目(C)のウサギFA画像、ならびに1日目(D)、1週目(E)、および2週目(F)のOCTの時間的経過を示す。
【
図16E】リン酸緩衝液製剤(30度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(329-OS)についての、1日目(A)、1週目(B)、および2週目(C)のウサギFA画像、ならびに1日目(D)、1週目(E)、および2週目(F)のOCTの時間的経過を示す。
【
図16F】リン酸緩衝液製剤(30度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(329-OS)についての、1日目(A)、1週目(B)、および2週目(C)のウサギFA画像、ならびに1日目(D)、1週目(E)、および2週目(F)のOCTの時間的経過を示す。
【
図17A】リン酸緩衝液製剤(55度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(329-OS)についての、3週目(A)、4週目(B)、7週目(C)、および8週目(D)のウサギFA画像、ならびに3週目(E)、4週目(F)、7週目(G)、および8週目(H)のOCTの時間経過を示す。
【
図17B】リン酸緩衝液製剤(55度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(329-OS)についての、3週目(A)、4週目(B)、7週目(C)、および8週目(D)のウサギFA画像、ならびに3週目(E)、4週目(F)、7週目(G)、および8週目(H)のOCTの時間経過を示す。
【
図17C】リン酸緩衝液製剤(55度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(329-OS)についての、3週目(A)、4週目(B)、7週目(C)、および8週目(D)のウサギFA画像、ならびに3週目(E)、4週目(F)、7週目(G)、および8週目(H)のOCTの時間経過を示す。
【
図17D】リン酸緩衝液製剤(55度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(329-OS)についての、3週目(A)、4週目(B)、7週目(C)、および8週目(D)のウサギFA画像、ならびに3週目(E)、4週目(F)、7週目(G)、および8週目(H)のOCTの時間経過を示す。
【
図17E】リン酸緩衝液製剤(55度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(329-OS)についての、3週目(A)、4週目(B)、7週目(C)、および8週目(D)のウサギFA画像、ならびに3週目(E)、4週目(F)、7週目(G)、および8週目(H)のOCTの時間経過を示す。
【
図17F】リン酸緩衝液製剤(55度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(329-OS)についての、3週目(A)、4週目(B)、7週目(C)、および8週目(D)のウサギFA画像、ならびに3週目(E)、4週目(F)、7週目(G)、および8週目(H)のOCTの時間経過を示す。
【
図17G】リン酸緩衝液製剤(55度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(329-OS)についての、3週目(A)、4週目(B)、7週目(C)、および8週目(D)のウサギFA画像、ならびに3週目(E)、4週目(F)、7週目(G)、および8週目(H)のOCTの時間経過を示す。
【
図17H】リン酸緩衝液製剤(55度レンズ)(7mg/眼)が投与された1匹のウサギ(329-OS)についての、3週目(A)、4週目(B)、7週目(C)、および8週目(D)のウサギFA画像、ならびに3週目(E)、4週目(F)、7週目(G)、および8週目(H)のOCTの時間経過を示す。
【
図18A】SE-UPLCにより分析された37℃(最大1ヶ月間)での製剤UUU~BBBBの純度(在来種の割合)(A)および高分子量(HMW)種の割合(B)を経時的に示す(表11-1を参照)。
【
図18B】SE-UPLCにより分析された37℃(最大1ヶ月間)での製剤UUU~BBBBの純度(在来種の割合)(A)および高分子量(HMW)種の割合(B)を経時的に示す(表11-1を参照)。
【
図19A】(i)5℃または37℃で最大2ヶ月間のインキュベーション後の高分子量種(HMW)(A)および(ii)5℃または37℃で最大2ヶ月間のインキュベーション後の主要種(メインピーク)(B)の割合のサイズ排除クロマトグラフィー測定により、ならびに、37℃で最大28日間のインキュベーション後のサブビジブル微粒子状物質の存在を判定するマイクロフローイメージング(C)により、37℃で最大28日間のインキュベーション後のサブビジブル微粒子状物質の存在を判定する粒子光不明瞭化分析(D)、および37℃で最大28日間のインキュベーション後のサブビジブル微粒子状物質の顕微鏡測定(E)により、10mMのヒスチジン、pH5.8、5%のスクロース、0.03%のポリソルベート20、50mMのアルギニン一塩酸塩で製剤化された114.3mg/mLのVEGFトラップ(アフリベルセプト)を有する製剤の安定性および純度分析を示す。
【
図19B】(i)5℃または37℃で最大2ヶ月間のインキュベーション後の高分子量種(HMW)(A)および(ii)5℃または37℃で最大2ヶ月間のインキュベーション後の主要種(メインピーク)(B)の割合のサイズ排除クロマトグラフィー測定により、ならびに、37℃で最大28日間のインキュベーション後のサブビジブル微粒子状物質の存在を判定するマイクロフローイメージング(C)により、37℃で最大28日間のインキュベーション後のサブビジブル微粒子状物質の存在を判定する粒子光不明瞭化分析(D)、および37℃で最大28日間のインキュベーション後のサブビジブル微粒子状物質の顕微鏡測定(E)により、10mMのヒスチジン、pH5.8、5%のスクロース、0.03%のポリソルベート20、50mMのアルギニン一塩酸塩で製剤化された114.3mg/mLのVEGFトラップ(アフリベルセプト)を有する製剤の安定性および純度分析を示す。
【
図19C】(i)5℃または37℃で最大2ヶ月間のインキュベーション後の高分子量種(HMW)(A)および(ii)5℃または37℃で最大2ヶ月間のインキュベーション後の主要種(メインピーク)(B)の割合のサイズ排除クロマトグラフィー測定により、ならびに、37℃で最大28日間のインキュベーション後のサブビジブル微粒子状物質の存在を判定するマイクロフローイメージング(C)により、37℃で最大28日間のインキュベーション後のサブビジブル微粒子状物質の存在を判定する粒子光不明瞭化分析(D)、および37℃で最大28日間のインキュベーション後のサブビジブル微粒子状物質の顕微鏡測定(E)により、10mMのヒスチジン、pH5.8、5%のスクロース、0.03%のポリソルベート20、50mMのアルギニン一塩酸塩で製剤化された114.3mg/mLのVEGFトラップ(アフリベルセプト)を有する製剤の安定性および純度分析を示す。
【
図19D】(i)5℃または37℃で最大2ヶ月間のインキュベーション後の高分子量種(HMW)(A)および(ii)5℃または37℃で最大2ヶ月間のインキュベーション後の主要種(メインピーク)(B)の割合のサイズ排除クロマトグラフィー測定により、ならびに、37℃で最大28日間のインキュベーション後のサブビジブル微粒子状物質の存在を判定するマイクロフローイメージング(C)により、37℃で最大28日間のインキュベーション後のサブビジブル微粒子状物質の存在を判定する粒子光不明瞭化分析(D)、および37℃で最大28日間のインキュベーション後のサブビジブル微粒子状物質の顕微鏡測定(E)により、10mMのヒスチジン、pH5.8、5%のスクロース、0.03%のポリソルベート20、50mMのアルギニン一塩酸塩で製剤化された114.3mg/mLのVEGFトラップ(アフリベルセプト)を有する製剤の安定性および純度分析を示す。
【
図19E】(i)5℃または37℃で最大2ヶ月間のインキュベーション後の高分子量種(HMW)(A)および(ii)5℃または37℃で最大2ヶ月間のインキュベーション後の主要種(メインピーク)(B)の割合のサイズ排除クロマトグラフィー測定により、ならびに、37℃で最大28日間のインキュベーション後のサブビジブル微粒子状物質の存在を判定するマイクロフローイメージング(C)により、37℃で最大28日間のインキュベーション後のサブビジブル微粒子状物質の存在を判定する粒子光不明瞭化分析(D)、および37℃で最大28日間のインキュベーション後のサブビジブル微粒子状物質の顕微鏡測定(E)により、10mMのヒスチジン、pH5.8、5%のスクロース、0.03%のポリソルベート20、50mMのアルギニン一塩酸塩で製剤化された114.3mg/mLのVEGFトラップ(アフリベルセプト)を有する製剤の安定性および純度分析を示す。
【
図20A】最大6ヶ月間の2~8℃(A)または最大28日間の37℃(B)でのインキュベーション後の高分子量種(HMW)の割合のSE-UPLC測定による、80、100、120、または140mg/mlのアフリベルセプトを有する製剤CCCの安定性および純度分析を示す。
【
図20B】最大6ヶ月間の2~8℃(A)または最大28日間の37℃(B)でのインキュベーション後の高分子量種(HMW)の割合のSE-UPLC測定による、80、100、120、または140mg/mlのアフリベルセプトを有する製剤CCCの安定性および純度分析を示す。
【
図21】500マイクログラムまたは2mgのアフリベルセプトを経時的に投与した場合に、完全な漏れ抑制を有する試験されたウサギの眼の割合を経時的に示す(Gehan-Breslow-Wilcoxon試験(P0.0453))。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、高濃度VEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)を有する製剤を提供し、重大な技術的ハードルにもかかわらず開発された優れた機能的および保存特性を示す。例えば、(例えば、VEGF受容体融合タンパク質のような)ポリペプチド薬剤を含む製剤に適した賦形剤を特定するための一般的な方法は、高温(例えば、37℃)などの加速ストレス条件下でのポリペプチドの安定性の評価によるものである。非ストレス条件(例えば、5℃などの低い温度)下では適さない賦形剤は、典型的には、ストレス下、例えば、タンパク質凝集下にある間、短時間で、不所望の影響を引き起こすであろう。このアプローチは、医薬品を安定化させる可能性が低い賦形剤の除去を促進する限り、バイオテクノロジーおよび製薬業界では一般的である。例えば、Magari,Assessing Shelf Life Using Real-Time and Accelerated Stability Tests,Biopharm Intl.16(11):36-48(2003)を参照されたい。場合によっては、加速安定性データに基づいて生成物が放出される場合もあるが、これはリアルタイムの貯蔵寿命分析(加速されていない)と並行して行われる必要がある。Magari(2003)およびFDA,Guidelines for Submitting Documentation for the stability of Human Drugs and Biologics,Rockville,MD(1987)。しかしながら、ここでは、5℃では、ヒスチジン製剤中のアルギニンの存在は安定していたが、アルギニンは、温度ストレス(37℃)下で安定性を低下させる傾向にあるように見えた。
図8(AおよびB)を参照されたい。本明細書に記載の製剤のこの特性は、開業医がアルギニンを選択するのを遠ざけるように導く技術的困難性を提示したであろう。したがって、開業医が賦形剤としてアルギニンを選択する可能性は低くなったであろう。それにもかかわらず、本明細書に記載の製剤は、このような技術的ハードルの克服から得られ、高い安定性を備えた製剤を達成した。ヒスチジン緩衝液中のVEGFトラップの製剤はまた、リン酸緩衝液製剤で観察されたものと比較して、粘度の有益な減少につながった。硝子体内注射を行うには小さな針穴が好ましいため(患者の不快感と眼の外傷を減少させるため)、比較的低い粘度が望ましい。粘度の低い製剤は、針を通して製剤を押すのに必要な力が少なくてすむため、治療を行う医師にとって針を通る製剤の注射がより容易になる。さらに、ヒスチジンおよびアルギニン含有製剤は、ウサギの眼において十分に許容された。
【0033】
ここで、代表的な実施形態を詳細に参照する。以下の説明が実施形態を1つの好ましい実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。それとは逆に、それらは、添付の特許請求の範囲に記載されているように、説明されている実施形態の精神および範囲に含まれ得るような代替、修正、および同等のものをカバーするように意図されている。
【0034】
別段定義されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語はすべて、本開示が関連する当該技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される場合、「約」との用語は、特定の列挙された数値に関して使用されるとき、その値が列挙された値から1%以下だけ変動し得ることを意味する。例えば、本発明で使用する場合、表現「約100」は、99および101、ならびにその間の全部の値(例えば、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%など)を含む。
【0035】
本発明の実施形態において、本発明の医薬製剤は、眼科用溶液の少容量注射(SVP)のためのUSP<789>に適合し、例えば、1ml当たり直径が10μmを超える粒子が約50固未満含まれ、1ml当たり直径が25μmを超える粒子が約5個未満含まれ、または1ml当たり直径が50μmを超える粒子が約2個未満含まれる。
【0036】
本明細書の目的のために、「硝子体内注射」は、眼の硝子体(眼の後ろの網膜の近く)への注射を指すことに留意されたい。「硝子体内投与に適している」、「硝子体内注射に適している」などの表現は、問題の製剤が、EYLEAの硝子体内注射に関連することが知られている以上の副作用を引き起こすことなく、対象の眼の硝子体に安全に注射できることを意味する。
【0037】
本明細書における「医薬製剤」という用語は、例えば、治療/医学的使用のために対象にVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプトまたはコンベルセプト)を投与するために使用される、薬学的に許容される担体を含む製剤を指す。
【0038】
「薬学的に許容される」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、眼での投与に適している製剤を指す。
【0039】
本明細書における「対象」という用語は、任意の哺乳動物(例えば、ウサギ、マウス、ラットまたはサル)対象、特に、例えば、本明細書に記載の製剤で診断、予後または治療が望まれるヒトを指す。
【0040】
「水性」製剤という用語は、水を含む製剤を指す。
【0041】
「治療する」または「治療」という用語は、望ましくない疾患または障害(例えば、眼内血管新生性障害または癌)を逆転、安定化、または排除する治療手段を指し、それは、例えば、眼内血管新生性障害に関して、臨床的に測定可能な程度によるそのような疾患または障害の1つ以上の症状または徴候の退行、安定化、または除去を引き起こすことにより、糖尿病性網膜症重症度スコア(DRSS)の低下または維持を引き起こすことにより、視力(例えば、最良の矯正視力、例えば、ETDRS文字の増加によって測定される)を改善または維持し、視野を増加または維持し、および/または網膜中心部の厚さを減少または維持することにより、ならびに、癌に関しては、対象の癌細胞の成長、生存および/または転移を停止または逆転させることによるのである。典型的には、治療手段は、疾患または障害を有する対象への治療有効量のVEGF受容体融合タンパク質の1つ以上の用量の投与である。
【0042】
「予防する」または「予防」は、望ましくない疾患または障害(例えば、眼内血管新生性障害)の発症を停止するための予防措置を指す。
【0043】
SE-UPLCは、本発明において、製剤中の高分子量種の存在を定量化するために使用され得る。SEは、サイズ排除クロマトグラフィーを指す。UPLCは、超高速液体クロマトグラフィーを指す。製剤中のVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプトまたはコンベルセプト)のそのようなHMW種を特徴づけるためにUPLCシステムで使用され得る適切なSEカラムは、約10,000~450,000ダルトンの分子量範囲内の分子を分解することができる。例えば、ACQUITY UPLC Protein BEH SEC200Åカラムを参照されたい。本発明の実施形態では、製剤中のHMW種を定量化するときに、そのようなカラムのうちの2つがタンデムに接続される。UPLCは、感度と分解能においてHPLC(高速液体クロマトグラフィー)よりも改善されている。UPLCは、高圧で動作し、HPLCで使用されるものよりも微細な粒子(典型的には、約2.5μm未満)を使用する機器を使用する。さらに、UPLC移動相は、HPLCよりも高い線速度で動作する。
【0044】
本明細書の実施形態は、高濃度(例えば、約60mg/ml、約80mg/ml、約90mg/ml、約100mg/ml、約113.3mg/ml、約114.3mg/ml、約120mg/ml、約133.3mg/ml、約140mg/ml、約150mg/ml、約200mg/m、lまたは約250mg/ml)のVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプトまたはコンベルセプト)を含む製剤を含む。本明細書に含まれる適切な製剤は、高濃度VEGF受容体融合タンパク質、緩衝液、熱安定剤および界面活性剤を含む。いくつかの態様では、適切な製剤は、粘度低下剤をさらに含む。他の態様では、適切な製剤は、すべての粘度低下剤を実質的に除外している。典型的な製剤は、約5.0~約6.8(例えば、5.8)のpHを有するが、対象の眼へのVEGF受容体融合タンパク質の投与に有用な任意のpHを含み得る。
【0045】
本発明は、1つ以上のさらなる治療薬(例えば、Ang-2阻害剤(例えば、抗ANG2抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたはネスバクマブ)、Tie-2受容体活性化因子、抗PDGF、PDGF受容体またはPDGF受容体ベータ抗体またはそれらの抗原結合フラグメント、および/またはベバシズマブ、ラニビズマブ、ペガプタニブ、もしくはFc融合タンパク質として表される細胞外ドメイン1~3を含むヒト血管内皮増殖因子受容体-3(VEGFR-3)の可溶性形態などの追加のVEGFアンタゴニスト)と関連するVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプトまたはコンベルセプト)を含む製剤、ならびに本明細書で論じられるような製剤の投与を含む予防または治療の方法を含む。本発明の実施形態では、本発明の製剤は、アフリベルセプトなどのVEGF受容体融合タンパク質を含むが、さらなる治療薬(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメントである)を除外する。
【0046】
「関連する」という用語は、製剤およびさらなる治療薬が、例えば、同時送達のために単一の組成物に製剤化され得るか、または2つ以上の組成物(例えば、キット)に別々に製剤化され得ることを示す。さらなる治療薬はそれ自体、それ自体の医薬製剤に製剤化されてもよい。各々は、他と同時にまたは他が投与されるときとは異なる時間に対象に投与すされ得、例えば、各投与は、所与の期間にわたって間隔を置いて非同時に(例えば、別個にまたは連続的に)与えられてもよい。さらに、製剤およびさらなる治療薬は、同じ経路または異なる経路によって対象に投与されてもよい。
【0047】
本発明の実施形態では、本発明の製剤は、硫酸ナトリウム(例えば、50mM)、チオシアン酸ナトリウム(例えば、50mM)、クエン酸ナトリウム(例えば、40mM)、グリシン(例えば、50mM)、塩化ナトリウム(例えば、50mM)、リシン(例えば、50mM)、アスパラギン酸ナトリウム(例えば、50mM)、および/またはグルタミン酸ナトリウム(例えば、50mM)のうちの任意の1つ以上を含む。例えば、実施形態では、製剤は、クエン酸ナトリウム(例えば、50mM)およびアルギニン塩酸塩(例えば、50mM)、グリシン(例えば、50mM)およびアルギニン塩酸塩(例えば、50mM)、アスパラギン酸ナトリウム(例えば、50mM)およびアルギニン塩酸塩(例えば、50mM)、またはグルタミン酸ナトリウム(例えば、50mM)およびアルギニン塩酸塩(例えば、50mM)の組み合わせを含む。
【0048】
VEGF受容体融合タンパク質および他のVEGF阻害剤
本明細書の目的のために、「VEGF受容体融合タンパク質」は、VEGFと天然VEGF受容体との間の相互作用を妨害する、別のポリペプチドに融合された1つ以上のVEGF受容体またはそのドメインを含む分子を指し、例えば、このような融合ポリペプチドのうちの2つが結合し、それによってホモ二量体または他の多量体を形成する。このようなVEGF受容体融合タンパク質は、「VEGFトラップ」または「VEGFトラップ」と呼ばれる場合もある。この定義に含まれる本開示の文脈内のVEGF受容体融合タンパク質には、VEGFR1(Flt1としても知られる)および/またはVEGFR2(Flk1またはKDRとしても知られる)などのVEGF受容体の2つ以上の免疫グロブリン(Ig)様ドメインを含むキメラポリペプチドが含まれ、また、多量体化ドメイン(例えば、Fcドメイン)を含む場合もある。
【0049】
例示的なVEGF受容体融合タンパク質は、配列番号1の核酸配列またはそのヌクレオチド79-1374または79-1371によってコードされるVEGF1R2-FcΔC1(a)と呼ばれる分子である。
【0050】
VEGF1R2-FcΔC1(a)は3つの成分、すなわち、
(1)配列番号2のアミノ酸27~129を含むVEGFR1成分、
(2)配列番号2のアミノ酸130~231を含むVEGFR2成分、および
(3)配列番号2のアミノ酸232~457を含む多量体化成分(「FcΔC1(a)」)(配列番号2のC末端アミノ酸、すなわち、K458は、VEGF受容体融合タンパク質に含まれる場合と含まれない場合があり、あらゆる目的のために本明細書に組み込まれる米国特許第7,396,664号または同第7,354,579号を参照されたい)、を含む。配列番号2のアミノ酸1~26がシグナル配列であることに留意されたい。
本発明の実施形態では、VEGF受容体融合タンパク質は、配列番号2のアミノ酸27~458または27~457を含む。
【0051】
本発明の実施形態では、VEGF受容体融合タンパク質は、
(1)第1のVEGF受容体(例えば、VEGFR1)の免疫グロブリン様(Ig)ドメイン2、および
(2)第2のVEGF受容体(例えば、VEGFR2)のIgドメイン3、
(3)および、必要に応じて、第2のVEGF受容体(例えば、VEGFR2)のIgドメイン4をさらに含み、
(4)多量体化成分(例えば、IgGのFcドメイン)、を含む。
例えば、本発明の実施形態では、VEGF受容体融合タンパク質は、前記ドメインの以下の配置を有する:
・[VEGFR1 Igドメイン2]-[VEGFR2 Igドメイン3]-[MC](例えば、そのホモ二量体)または
・[VEGFR1 Igドメイン2]-[VEGFR2 Igドメイン3]-[VEGFR2 Igドメイン4]-[MC](例えば、そのホモ二量体)。
【0052】
本発明の実施形態では、VEGF受容体融合タンパク質は、例えば、短縮型多量体化成分(例えば、Fc)を有するVEGFトラップ分子であるVEGFミニトラップであり、例えば、ミニトラップは、依然としてFcヒンジ領域を含む。例えば、WO2005/00895または米国特許第7,396,664号を参照されたい。
【0053】
本開示はまた、その範囲内に、VEGF受容体融合タンパク質の代わりに、VEGF結合分子および抗VEGF抗体ならびにそれらの抗原結合フラグメント、すなわち、
・ベバシズマブ(例えば、約80~90または88mg/mlの濃度)、
・ラニビズマブ(例えば、約20~40mg/mlの濃度、例えば、21~35、21または35mg/ml)、
・ペガプタニブ(例、ペガプタニブナトリウム)などの抗VEGFアプタマー、
・ブロルシズマブなどの一本鎖(例えば、VL-VH)抗VEGF抗体(例えば、約200~400または200、210、400または420mg/mlの-*--*---------濃度)、
・アビシパーペゴルDARPin(例えば、約70~140、70または140mg/mlの濃度で)などの抗VEGFダーピン、または
・RG7716などのANG2にも結合する二重特異性抗VEGF抗体(例えば、約100~400、100、105、400または420mg/mlの濃度)、を含む高濃度製剤を含むことに留意されたい。
本明細書で論じられる実施形態の反復性を最小限にするために、本明細書で論じられる製剤のいずれかが、VEGF受容体融合タンパク質の代わりに、抗VEGF抗体もしくは抗体フラグメントまたは本明細書で論じられる濃度のいずれかでの本明細書で論じられる(例えば、抗VEGF DARPinで置換された)他のVEGF結合分子を含む実施形態を、本発明の範囲が含むことが企図される。例えば、本発明は、35または80mg/mlのラニビズマブ、緩衝液、熱安定剤、粘度低下剤および界面活性剤を有する製剤を含む。
【0054】
DARPinは設計されたアンキリンリピートタンパク質である。DARPinには、一般に、約33個のアミノ酸残基の密に詰まったリピート3~4つが含まれ、各リピートにはβターンおよび2つの逆平行αヘリックスが含まれる。この堅固なフレームワークは、タンパク質の安定性を提供すると同時に、ターゲット認識のために、通常はリピート毎に6つのアミノ酸残基を含む可変領域の提示を可能にする。
【0055】
「抗VEGF」抗体または抗体の抗原結合フラグメントは、VEGFに特異的に結合する抗体またはフラグメントを指す。
【0056】
例示的なVEGF受容体融合タンパク質には、アフリベルセプト(EYLEA(登録商標)、Regeneron Pharmaceuticals,Inc.)またはコンベルセプト(Chengdu Kanghong Biotechnology Co.,Ltd.によって商業的に販売されている)が含まれる。国際特許出願公開番号WO2005/121176またはWO2007/112675を参照されたい。「アフリベルセプト」および「コンベルセプト」という用語は、それらのバイオシミラーバージョンを含む。参照生成物(例えば、アフリベルセプト)のバイオシミラーバージョンは、一般に、同一のアミノ酸配列を含む生成物を指すが、米国生物製剤価格競争および革新法の下でバイオシミラーである生成物を含む。
【0057】
本発明の医薬製剤は「高濃度」である。本発明の高濃度医薬製剤は、少なくとも41mg/ml、少なくとも80mg/ml、少なくとも100mg/ml、少なくとも125mg/ml、少なくとも140mg/ml、少なくとも150mg/ml、少なくとも175mg/ml、少なくとも200mg/ml、少なくとも225mg/ml、少なくとも250mg/ml、または少なくとも275mg/mlの濃度のVEGF受容体融合タンパク質を含む。代替的には、「高濃度」は、約140mg/ml~約160mg/ml、少なくとも約140mg/ml、しかし160mg/ml未満、41mg/ml~約275mg/ml、約70mg/ml~約75mg/ml、または約80mg/ml~約250mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質の濃度を含む製剤を指し得る。いくつかの態様では、製剤中のVEGF受容体融合タンパク質の濃度は、41mg/ml、42mg/ml、43mg/ml、44mg/ml、45mg/ml、46mg/ml、47mg/ml、48mg/ml、49mg/ml、50mg/ml、51mg/ml、52mg/ml、53mg/ml、54mg/ml、55mg/ml、56mg/ml、57mg/ml、58mg/ml、59mg/ml、60mg/ml、61mg/ml、62mg/ml、63mg/ml、64mg/ml、65mg/ml、66mg/ml、67mg/ml、68mg/ml、69mg/ml、70mg/ml、71mg/ml、72mg/ml、73mg/ml、74mg/ml、75mg/ml、76mg/ml、77mg/ml、78mg/ml、79mg/ml、80mg/ml、81mg/ml、82mg/ml、83mg/ml、84mg/ml、85mg/ml、86mg/ml、87mg/ml、88mg/ml、89mg/ml、90mg/ml、91mg/ml、92mg/ml、93mg/ml、94mg/ml、95mg/ml、96mg/ml、97mg/ml、98mg/ml、99mg/ml、100mg/ml、101mg/ml、102mg/ml、103mg/ml、104mg/ml、105mg/ml、106mg/ml、107mg/ml、108mg/ml、109mg/ml、110mg/ml、111mg/ml、112mg/ml、113mg/ml、113.3mg/ml、114mg/ml、114.1mg/ml、114.2mg/ml、114.3mg/ml、114.4 mg/ml、114.5mg/ml、114.6mg/ml、114.7mg/ml、114.8mg/ml、114.9mg/ml、115mg/ml、116mg/ml、117mg/ml、118mg/ml、119mg/ml、120mg/ml、121mg/ml、122mg/ml、123mg/ml、124mg/ml、125mg/ml、126mg/ml、127mg/ml、128mg/ml、129mg/ml、130mg/ml、131mg/ml、132mg/ml、133mg/ml、133mg/ml、133.3mg/ml、133.4mg/ml、134mg/ml、135mg/ml、136mg/ml、137mg/ml、138mg/ml、139mg/ml、140mg/ml、141mg/ml、142mg/ml、143mg/ml、144mg/ml、145mg/ml、146mg/ml、147mg/ml、148mg/ml、149mg/ml、150mg/ml、151mg/ml、152mg/ml、153mg/ml、154mg/ml、155mg/ml、156mg/ml、157mg/ml、158mg/ml、159mg/ml、160mg/ml、161mg/ml、162mg/ml、163mg/ml、164mg/ml、165mg/ml、166mg/ml、167mg/ml、168mg/ml、169mg/ml、170mg/ml、171mg/ml、172mg/ml、173mg/ml、174mg/ml、175mg/ml、176mg/ml、177mg/ml、178mg/ml、179mg/ml、180mg/ml、181mg/ml、182mg/ml、183mg/ml、184mg/ml、185mg/ml、186mg/ml、187mg/ml、188mg/ml、189mg/ml、190mg/ml、191mg/ml、192mg/ml、193mg/ml、194mg/ml、195mg/ml、196mg/ml、197mg/ml、198mg/ml、199mg/ml、200mg/ml、201mg/ml、202mg/ml、203mg/ml、204mg/ml、205mg/ml、206mg/ml、207mg/ml、208mg/ml、209mg/ml、210mg/ml、211mg/ml、212mg/ml、213mg/ml、214mg/ml、215mg/ml、216mg/ml、217mg/ml、218mg/ml、219mg/ml、220mg/ml、221mg/ml、222mg/ml、223mg/ml、224mg/ml、225mg/ml、226mg/ml、227mg/ml、228mg/ml、229mg/ml、230mg/ml、231mg/ml、232mg/ml、233mg/ml、234mg/ml、235mg/ml、236mg/ml、237mg/ml、238mg/ml、239mg/ml、240mg/ml、241mg/ml、242mg/ml、243mg/ml、244mg/ml、245mg/ml、246mg/ml、247mg/ml、248mg/ml、249mg/ml、250mg/ml、251mg/ml、252mg/ml、253mg/ml、254mg/ml、255mg/ml、256mg/ml、257mg/ml、258mg/ml、259mg/ml、260mg/ml、261mg/ml、262mg/ml、263mg/ml、264mg/ml、265mg/ml、266mg/ml、267mg/ml、268mg/ml、269mg/ml、270mg/ml、271mg/ml、272mg/ml、273mg/ml、274mg/ml、または275mg/mlの濃度のいずれかについてである。濃度が本明細書の実施形態に従って機能する限り、他のVEGF受容体融合タンパク質濃度は本明細書において企図される。
【0058】
本発明の実施形態において、本発明の医薬製剤は、約4、6、8、10、12、14、16、18、もしくは20mgのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)を含むような濃度のものであり、または、約100μl以下、約75μl以下もしくは約70μl以下、例えば、約50μl、51μl、52μl、53μl、54μl、55μl、56μl、57μl、58μl、59μl、60μl、61μl、62μl、63μl、64μl、65μl、66μl、67μl、68μl、69μl、70μl、71μl、72μl、73μl、74μl、75μl、76μl、77μl、78μl、79μl、80μl、81μl、82μl、83μl、84μl、85μl、86μl、87μl、88μl、89μl、90μl、91μl、92μl、93μl、94μl、95μl、96μl、97μl、98μl、99μl、または100μlの、本明細書で論じられるその許容可能な用量のいずれかにおけるそのようなタンパク質の量である。
【0059】
本発明は、本明細書の「例示的な製剤」に記載される製剤のいずれかを含むが、VEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)の濃度は、このセクションに記載されている濃度(「VEGF受容体融合タンパク質および他のVEGF阻害剤」)で置換される。
【0060】
緩衝液
本明細書で使用するための緩衝液は、酸塩基結合体の使用によるpH変化に抵抗する溶液を指す。緩衝液は、約5.0~約6.8、より典型的には約5.8~約6.5、最も典型的には約6.0~約6.5の範囲でpHを維持することができる。場合によっては、本発明の製剤のpHは、約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、または約6.8である。本明細書における製剤に含めるための例示的な緩衝液には、ヒスチジン系緩衝液、例えば、ヒスチジン、ヒスチジン塩酸塩、およびヒスチジン酢酸塩が含まれる。本明細書の製剤に含めるための緩衝液は、代替的には、リン酸系緩衝液、例えばリン酸ナトリウム、酢酸塩系緩衝液、例えば酢酸ナトリウムまたは酢酸であり得、またはクエン酸系、例えば、クエン酸ナトリウムまたはクエン酸であり得る。緩衝液が上記のpH範囲で製剤を緩衝化するように機能する限り、緩衝液は上記の混合物であり得ることも認識される。場合によっては、緩衝液は約5mM~約25mM、またはより典型的には約5mM~約15mMである。緩衝液は、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mMであり得る。、約17mM、約18mM、約19mM、約20mM、約21mM、約22mM、約23mM、約24mM、または約25mMであり得る。
【0061】
本発明の一実施形態では、ヒスチジン系緩衝液は、ヒスチジンおよびヒスチジン一塩酸塩を使用して調製される。
【0062】
界面活性剤
本明細書で使用するための界面活性剤は、様々な表面および界面によって誘発されるストレスから高濃度VEGF受容体融合タンパク質を保護する成分を指す。そのため、界面活性剤は、VEGF受容体融合タンパク質の凝集を制限または最小化し、タンパク質の溶解性を促進するように使用され得る。本明細書の適切な界面活性剤は、非イオン性であることが示されていて、ポリオキシエチレン部分を有する界面活性剤を含み得る。このカテゴリーにおける例示的な界面活性剤には、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポロキサマー188、ポリエチレングリコール3350、およびそれらの混合物が含まれる。製剤中の界面活性剤は、容量あたり約0.02%~約0.1%の重量(w/v)、より典型的には、約0.02%~約0.04%(w/v)で存在し得る。場合によっては、界面活性剤は、約0.02%(w/v)、約0.03%(w/v)、約0.04%(w/v)、約0.05%(w/v)、約0.06%(w/v)、約0.07%(w/v)、約0.08%(w/v)、約0.09%(w/v)、または約0.1%(w/v)である。
【0063】
熱安定剤
本明細書で使用するための熱安定剤は、VEGF受容体融合タンパク質の熱変性に対して熱安定性を提供し、ならびにVEGF受容体融合タンパク質の効力または活性の喪失から保護する成分を指す。適切な熱安定剤には糖が含まれ、スクロース、トレハロース、ソルビトールまたはマンニトールであり得るか、またはアミノ酸、例えば、L-プロリン、L-アルギニン(例えば、L-アルギニン一塩酸塩)、またはタウリンであり得る。さらに、熱安定剤はまた、置換アクリルアミドまたはプロパンスルホン酸を含み得るか、またはグリセロールのような化合物であり得る。
【0064】
場合によっては、本明細書の製剤は、糖およびタウリン、糖およびアミノ酸、糖およびプロパンスルホン酸、糖およびタウリン、グリセロールおよびタウリン、グリセロールおよびプロパンスルホン酸、アミノ酸およびタウリン、またはアミノ酸およびプロパンスルホン酸の両方を含む。さらに、製剤には、糖、タウリンおよびプロパンスルホン酸、グリセロール、タウリンおよびプロパンスルホン酸、ならびにL-プロリン、タウリンおよびプロパンスルホン酸を含み得る。
【0065】
本明細書の実施形態は、典型的には、単独で存在する熱安定剤を有し、各々は独立して、約2%(w/v)~約10%(w/v)もしくは4%(w/v)~約10%(w/v)、または約4%(w/v)~約9%(w/v)、または約5%(w/v)~約8%(w/v)で存在する。製剤中の熱安定剤は、約2%(w/v)、約2.5%(w/v)、約3%(w/v)、約4%(w/v)、約5%(w/v)、約6%(w/v)、約7%(w/v)、約8%(w/v)、約9%(w/v)、約10%(w/v)、または約20%(w/v)の濃度であり得る。
【0066】
タウリンおよびプロパンスルホン酸に関して、本発明の一実施形態では、これらの熱安定剤は、製剤中に約25mM~約100mM、より典型的には約50mM~約75mMで存在し得る(他の熱安定剤と比較して)。
【0067】
粘度低下剤
粘度低下剤は、典型的には、タンパク質の凝集を低減または防止するために使用される。本明細書に含めるための粘度低下剤には、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、D-またはL-アルギニン(例えば、L-アルギニン一塩酸塩)、リジン、またはそれらの混合物が含まれる。本明細書に存在する場合、粘度低下剤は、約10mM~約100mM、より典型的には約30mM~約75mM、さらにより典型的には約40mM~約70mMで存在し得る。場合によっては、粘度低下剤は、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM、または約100mMで存在する。
【0068】
製剤の粘度
本明細書の実施形態による製剤はまた、眼内投与、例えば硝子体内注射のために薬学的に許容される粘度を有し得る。粘度は、一般に、剪断応力または引張応力のいずれかによって変形されている流体の抵抗の尺度(典型的には、例えば、当該技術分野で知られている技術、粘度計またはレオメーターによって測定される)を指す。本明細書の実施形態による製剤の典型的な粘度は、約5.0cP(センチポアズ)~約15cP、約11cP~約14cP、約12cP~約15cP、または約11cP~約12cPである。したがって、本明細書の製剤の粘度は、約5.0cP、約6.0、約7.1cP、約7.2cP、約7.3cP、約7.4cP、約7.5cP、約7.6cP、約10cP、約10.5cP、約11.0cP、約11.5cP、約12.0、約12.5cP、約13.0cP、約13.5cP、約14.0cP、約14.5cP、または約15.0cP(例えば、20℃で測定した場合)であり得る。
【0069】
本明細書の様々な実施形態は、これらの非常に有用な粘度を維持するために、無機塩または他の粘度低下剤を含めることを必要としない。典型的には、高濃度のタンパク質溶液は、タンパク質の凝集および高粘度を回避するために粘度低下剤を必要とし、硝子体内注射を困難にし、VEGF受容体融合タンパク質の効力を低下させる。したがって、本明細書の実施形態には、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化マグネシウム(MgCl2)、D-またはL-アルギニン塩酸塩、リシンまたは他の粘度低下剤を実質的に全く有しないまたは全く添加していない製剤が含まれる。
【0070】
製剤の浸透圧
浸透圧は、注射可能な製剤の重要な属性である。生成物が生理学的浸透条件に一致することが望ましい。さらに、浸透圧は溶液中の可溶性含有量の確認を提供する。本発明の実施形態では、本発明の製剤の浸透圧は、約506mmol/Kg以下または約250~約506mmol/Kg、例えば、約250、260、270、280、290、299、300、310、314、315、316、324、343、346、349、369、384、403、426、430または506mmol/Kgである。本発明の一実施形態では、浸透圧は約250mmol/Kgよりも低い。
【0071】
製剤の純度と安定性
本明細書に記載の高濃度VEGF受容体融合タンパク質を含む製剤は、製造および保存中に安定している。本明細書における「安定」という用語は、製剤の製造および保存の期間にわたって化学的および物理的安定性の両方を保持する、例えば、完全性を維持し、分解、変性(denaturation)、または変性(unfolding)を最小限に抑えるVEGF受容体タンパク質を含む製剤を指す。VEGF受容体タンパク質の安定性は、異なる温度および異なる期間にわたって当該技術分野で利用可能な分析技術を使用して判定され得る。特に、VEGF受容体の化学的安定性(効力)は、様々なバイオアッセイ(例えば、本明細書のVEGF受容体融合タンパク質によるVEGF165結合を判定するために使用されるBAF/3VEGFR1/EPOR細胞株)を使用して判定され得、物理的安定性は、サイズ排除(SE)クロマトグラフィー分析、UPLC(Ultra-Performance Liquid Chromatography、超高性能液体クロマトグラフィー)サイズ排除(SE、Size Exclusion)クロマトグラフィー、外観、OD、pH、電荷バリアント形成、および高分子量(HMW、High Molecular Weight)種形成率によって判定され得る。安定したVEGF受容体融合タンパク質は、そのOD、pH、電荷バリアントの形成、およびHMW種の形成において限定的な変化を示すものである。
【0072】
本明細書で使用される「高分子量」(HMW)種は、所与のVEGF Trap(例えば、アフリベルセプト)を含む製剤に関して、VEGF Trapポリペプチドおよび/またはそのホモ二量体より先の(例えば、より高い高分子量の)サイズ排除カラム(例えば、SE-UPLC)から溶出する製剤中の任意の種のポリペプチドまたはポリペプチド複合体を指す。HMW種の割合は、例えば、SE-UPLC分析による、製剤中のポリペプチドの総量に対するそのような種の割合を指す。
【0073】
本発明の実施形態では、以下の実施例においてより完全に論じられるように、安定な製剤は、約2℃~約8℃で保存される場合に、最大12ヶ月、最大24ヶ月、および/または最大36ヶ月の期間にわたって、有意なVEGF受容体融合タンパク質効力および物理的安定性を示す。
【0074】
本発明の実施形態では、本発明の製剤は以下のようなものである:
・約37℃で約28日後、高分子量種において約3、5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、30、35、または37%(または10~15%または15~20%または10~20%)の増加を有する(例えば、SE-UPLCまたはSECによって測定する場合)
・約37℃で約28日後、主要種において約5、6、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、または22%(または5~20%または5~10%または10~15%または15%~20%)の減少を有する(例えば、SE-UPLCまたはSECによって測定する場合)
・約37℃で約28日後、主要種として約80、81、82、83、84、85、86または87%(または80~85%)以上のタンパク質を有する(例えば、SE-UPLCまたはSECによって測定する場合)
・約37℃で約28日後、低分子量種において約1または1.5または2%(または1~2%)の増加を有する(例えば、SE-UPLCまたはSECによって測定する場合)
・約37℃で約1ヶ月後、高分子量種において約16%の増加、および/もしくは主要種において約17%の減少および/もしくは低分子量種において約0.5%または<1%の増加、ならびに/または約5℃で約2ヶ月後、主要種において約1%の減少、および/もしくは高分子量種において約1%の増加および/もしくは低分子量(LMW)種において有意なまたは検出可能な量はなく、ならびに/または約5℃で約2ヶ月後、約97%の主要種を有する(例えば、SE-UPLCまたはSECによって測定する場合)
・約2~8℃で約12ヶ月後、高分子量種において約3~3.5%の増加を有する(例えば、SE-UPLCまたはSECによって測定する場合)
・約2~8℃で約12ヶ月後、主要種において約1%または1、2、3もしくは4%(例えば、1~4%または3~4%)の減少を有する(例えば、SE-UPLCまたはSECによって測定する場合)
・約2~8℃で約12ヶ月後、主要種として約94または95%以上のタンパク質を有する(例えば、SE-UPLCまたはSECによって測定する場合)
・約2~8℃で約3ヶ月後、高分子量種において約1または2%の増加を有する(例えば、SE-UPLCまたはSECによって測定する場合)
・約2~8℃で約6ヶ月後、高分子量種において約<1、1または2%の増加を有する(例えば、SE-UPLCまたはSECによって測定する場合)
・約5℃で51/2または6ヶ月後、約2.5、3.0もしくは3.5(または2.5~3.5%)の総高分子量種を有する(例えば、SE-UPLCまたはSECによって測定する場合)
・約2~8℃で約6ヶ月後、主要種において約1%または1もしくは2%(または約0.5~2%もしくは1~2%)の減少を有する(例えば、SE-UPLCまたはSECによって測定する場合)
・約2~8℃で約6ヶ月後、主要種として約96もしくは97%もしくは98%(または96~98%)以上のタンパク質を有する(例えば、SE-UPLCまたはSECによって測定する場合)
・約2~8℃で約24ヶ月または36ヶ月後、高分子量種において約5もしくは6もしくは7%(例えば、約1.5、2、3、4もしくは5%)(または1.5~5%もしくは1.5~2.5%)の増加、および/または約3.0、3.25、4.0、4.5もしくは5%の総高分子量種、および/または約2もしくは3%(または2~3%)の主要種の減少、および/または約95もしくは96%以上(または95~96%)の主要種の総量を有する(例えば、SE-UPLCまたはSECによって測定する場合)
・約37℃で約1ヶ月後、RP-HPLCによって回復可能である製剤中アフリベルセプトの約97、98、99もしくは100%(または97~100%)を有する
・製造および精製直後、約1.5、2、2.5、3.0または3.5%未満の高分子量種を有する(例えば、SE-UPLCまたはSECによって測定する場合)
・約37℃で約6ヶ月後、主要種/主ピークとしてアフリベルセプトの少なくとも約70%または75%(例えば、70~75%)を有する(例えば、キャピラリー等電点電気泳動(clEF)または画像化キャピラリー等電点電気泳動によって測定する場合)(非酸性および非塩基性種)
・約2~8℃で約36ヶ月後、酸性種において約1もしくは2%(または1~2%)の増加を有する(例えば、キャピラリー等電点電気泳動(clEF)または画像化キャピラリー等電点電気泳動によって測定する場合)
・約2~8℃で約36ヶ月後、主要種/主ピークにおいて約1%以下の減少を有する(例えば、キャピラリー等電点電気泳動(clEF)または画像化キャピラリー等電点電気泳動によって測定する場合)
・約2~8℃で約36ヶ月後、約78~79%の主要種/主ピークを有する(例えば、キャピラリー等電点電気泳動(clEF)または画像化キャピラリー等電点電気泳動によって測定する場合)
ならびに/または
・ヒトまたはウサギまたはマウスなどの哺乳動物(例えば、湿性AMDなどの眼内血管新生性障害を有する)に硝子体内投与される場合、EYLEAについて観察されたものと臨床的に異なるいずれかの有害事象を引き起こさず(例えば、EYLEAが0.5または2.0mg、硝子体内投与される場合)、または、眼に臨床的に重大な炎症、眼圧(IOP)の長期的上昇、血圧の長期的上昇または低下、および/または網膜剥離を引き起こさない。
【0075】
さらに、本発明の実施形態では、高濃度VEGF受容体融合タンパク質は、製造および保存の過程にわたって酸性電荷バリアントの形成をほとんどまたは全く示さないので、例えば、画像化キャピラリー等電点電気泳動によって試験されるように電荷バリアントの形成をほとんどまたは全く示さないので、安定である。
【0076】
本発明の実施形態では、本発明の製剤は、約8%以下の低分子量(LMW)種を示す。
【0077】
本発明の実施形態では、本発明の製剤は、約0.2、0.4または0.5EU(エンドトキシン単位)/ml未満のエンドトキシンを有する。
【0078】
本発明の実施形態では、本発明の製剤は、粒子状物質またはサイズが約1、2、5、10、25、もしくは50マイクロメートル(またはそれ以上)の粒子状物質を本質的に含まない。
【0079】
本発明の実施形態では、本発明の製剤を非還元CE-SDS(SDSキャピラリーゲル電気泳動)によって分析する場合、総ピーク面積の少なくとも97%が主ピークである。
【0080】
本発明の実施形態では、本発明の製剤をサイズ排除UPLC(SE-UPLC)によって分析する場合、総ピーク面積の少なくとも93、94、または95%が主ピークであり、3.5、4、5、または6%以下が集合体である。
【0081】
本発明の実施形態では、本発明の製剤は、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、または8℃、2~8℃(例えば、平均温度が5℃)、23℃、25℃、30℃、または37℃である。
【0082】
例示的な製剤
例示的な高濃度VEGF受容体融合タンパク質含有製剤には、以下が含まれる:
製剤A:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのアフリベルセプト、10mMのヒスチジン系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤B:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのアフリベルセプト、10mMのリン酸塩系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤C:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのアフリベルセプト、10mMのクエン酸系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤D:pH6.2を有する、80mg/mlのアフリベルセプト、10mMのヒスチジン系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート80、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤E:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのアフリベルセプト、10mMのリン酸塩系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート80、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤F:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのアフリベルセプト、10mMのクエン酸系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート80、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤G:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのアフリベルセプト、10mMのヒスチジン系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート20であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤H:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのアフリベルセプト、10mMのリン酸塩系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート20であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤I:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのアフリベルセプト、10mMのクエン酸系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート20であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤J:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのアフリベルセプト、10mMのヒスチジン系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート80であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤K:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのアフリベルセプト、10mMのリン酸塩系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート80であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤L:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのアフリベルセプト、10mMのクエン酸系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート80であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤M:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのアフリベルセプト、10mMのヒスチジン系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤N:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのアフリベルセプト、10mMのリン酸塩系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤O:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのアフリベルセプト、10mMのクエン酸系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤P:pH6.2を有する、150mg/mlのアフリベルセプト、10mMのヒスチジン系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート80、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤Q:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのアフリベルセプト、10mMのリン酸塩系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート80、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤R:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのアフリベルセプト、10mMのクエン酸系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート80、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤S:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのアフリベルセプト、10mMのヒスチジン系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート20であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤T:pH5.8~6.2(例えば、6.2)を有する、150mg/mlのアフリベルセプト、10mMのリン酸塩系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート20であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤U:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのアフリベルセプト、10mMのクエン酸系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート20であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤V:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのアフリベルセプト、10mMのヒスチジン系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート80であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤W:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのアフリベルセプト、10mMのリン酸塩系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート80であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤X:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのアフリベルセプト、10mMのクエン酸系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート80であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤Y:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのコンベルセプト、10mMのヒスチジン系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤Z:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのコンベルセプト、10mMのリン酸塩系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤AA:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのコンベルセプト、10mMのクエン酸系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤BB:pH6.2を有する、80mg/mlのコンベルセプト、10mMのヒスチジン系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート80、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤CC:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのコンベルセプト、10mMのリン酸塩系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート80、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤DD:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのコンベルセプト、10mMのクエン酸系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート80、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤EE:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのコンベルセプト、10mMのヒスチジン系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート20であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤FF:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのコンベルセプト、10mMのリン酸塩系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート20であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤GG:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのコンベルセプト、10mMのクエン酸系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート20であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤HH:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのコンベルセプト、10mMのヒスチジン系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート80であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤II:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのコンベルセプト、10mMのリン酸塩系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート80であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤JJ:pH5.8~6.2を有する、80mg/mlのコンベルセプト、10mMのクエン酸系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート80であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤KK:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのコンベルセプト、10mMのヒスチジン系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤LL:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのコンベルセプト、10mMのリン酸塩系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤MM:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのコンベルセプト、10mMのクエン酸系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤NN:pH6.2を有する、150mg/mlのコンベルセプト、10mMのヒスチジン系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート80、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤OO:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのコンベルセプト、10mMのリン酸塩系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート80、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤PP:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのコンベルセプト、10mMのクエン酸系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート80、および40mMの塩化ナトリウム、
製剤QQ:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのコンベルセプト、10mMのヒスチジン系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート20であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤RR:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのコンベルセプト、10mMのリン酸塩系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート20であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤SS:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのコンベルセプト、10mMのクエン酸系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート20であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤TT:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのコンベルセプト、10mMのヒスチジン系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート80であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤UU:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのコンベルセプト、10mMのリン酸塩系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート80であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤VV:pH5.8~6.2を有する、150mg/mlのコンベルセプト、10mMのクエン酸系緩衝液、8%(w/v)のスクロース、および0.03%(w/v)のポリソルベート80であり、必要に応じて、特に粘度低下剤を含まない、
製剤WW:pH5.8を有する、140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、10mMのヒスチジン系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および50mMのタウリン、
製剤XX:pH5.8を有する、140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、20mMのヒスチジン系緩衝液、4%(w/v)のプロリン、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および50mMのアルギニン塩酸塩、
製剤YY:pH5.8を有する、140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、20mMのヒスチジン系緩衝液、2.5%(w/v)のスクロース、2.0%(w/v)のプロリン、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および50mMのタウリン、
製剤ZZ:pH5.8を有する、140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、10mMのヒスチジン系緩衝液、2.5%(w/v)のスクロース、2.0%(w/v)のプロリン、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および50mMのアルギニン塩酸塩、
製剤AAA:pH5.8を有する、140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、20mMのヒスチジン系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および50mMのPSA、
製剤BBB:pH5.8を有する、140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、20mMのヒスチジン系緩衝液、2.5%(w/v)のスクロース、2.0%(w/v)のプロリン、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および50mMのPSA、
製剤CCC:pH5.8を有する、80、100、120、または140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、20mMのヒスチジン系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および50mMのアルギニン塩酸塩、
製剤DDD:pH5.8を有する、140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、10mMのヒスチジン系緩衝液、4%(w/v)のプロリン、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および50mMのPSA、
製剤EEE:pH5.8を有する、140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、20mMのヒスチジン系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート20であり、必要に応じて、熱安定剤なし、
製剤FFF:pH6.2を有する、140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、10mMのリン酸ナトリウム、5%(w/v)のスクロースおよび0.03%のポリソルベート20、
製剤GGG:140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、pH5.8の20mMのヒスチジン、5%のスクロース、0.03%のポリソルベート20、50mMの硫酸ナトリウム、
製剤HHH:140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、pH5.8の20mMのヒスチジン、5%のスクロース、0.03%のポリソルベート20、50mMのチオシアン酸ナトリウム、
製剤III:140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、pH5.8の20mMのヒスチジン、5%のスクロース、0.03%のポリソルベート20、40mMのクエン酸ナトリウム、
製剤JJJ:140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、pH5.8の20mMのヒスチジン、5%のスクロース、0.03%のポリソルベート20、50mMのグリシン、
製剤KKK:140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、pH5.8の20mMのヒスチジン、5%のスクロース、0.03%のポリソルベート20、50mMの塩化ナトリウム、
製剤LLL:140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、pH5.8の20mMのヒスチジン、5%のスクロース、0.03%のポリソルベート20、50mMのリジン、
製剤MMM:140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、pH5.8の20mMのヒスチジン、5%のスクロース、0.03%のポリソルベート20、50mMのアスパラギン酸ナトリウム、
製剤NNN:140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、pH5.8の20mMのヒスチジン、5%のスクロース、0.03%のポリソルベート20、50mMのグルタミン酸ナトリウム、
製剤OOO:140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質、pH5.8の20mMのヒスチジン、5%のスクロース、0.03%のポリソルベート20、50mMのクエン酸ナトリウム、50mMのアルギニン塩酸塩、
製剤PPP:140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、pH5.8の20mMのヒスチジン、5%のスクロース、0.03%のポリソルベート20、50mMのグリシン、50mMのアルギニン塩酸塩、
製剤QQQ:140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、pH5.8の20mMのヒスチジン、5%のスクロース、0.03%のポリソルベート20、50mMのアスパラギン酸ナトリウム、50mMのアルギニン塩酸塩、
製剤RRR:140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、pH5.8の20mMのヒスチジン、5%のスクロース、0.03%のポリソルベート20、50mMのグルタミン酸ナトリウム、50mMのアルギニン塩酸塩、
製剤SSS:140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、pH5.8の20mMのHis、5%のスクロース、0.03%のポリソルベート20、10mMのL-アルギニン塩酸塩、
製剤TTT:140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、pH5.8の20mMのHis、5%のスクロース、0.03%のポリソルベート20、100mMのL-アルギニン塩酸塩、
製剤UUU:pH6.2の、30mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、10%のスクロース、10mMのリン酸塩、0.03%のポリソルベート20、
製剤VVV:pH6.2の、30mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、20%のスクロース、10mMのリン酸塩、0.03%のポリソルベート20、
製剤WWW:pH6.2の、60mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、10%のスクロース、10mMのリン酸塩、0.03%のポリソルベート20、
製剤XXX:pH6.2の、60mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、20%のスクロース、10mMのリン酸塩、0.03%のポリソルベート20、
製剤YYY:pH6.2の、120mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、10%のスクロース、10mMのリン酸塩、0.03%のポリソルベート20、
製剤ZZZ:pH6.2の、120mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、20%のスクロース、10mMのリン酸塩、0.03%のポリソルベート20、
製剤AAAA:pH6.2の、120mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、10%のスクロース、10mMのリン酸塩、0.03%のポリソルベート20、50mMのNaCl、
製剤BBBB:pH6.2の、120mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、20%のスクロース、10mMのリン酸塩、0.03%のポリソルベート20、50mMのNaCl、
製剤CCCC:pH6.2の、140mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、10mMのリン酸ナトリウム、5%のスクロース、40mMの塩化ナトリウム、0.03%のPS20、
製剤DDDD:pH5.8を有する、80mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)、20mMのヒスチジン系緩衝液、5%(w/v)のスクロース、0.03%(w/v)のポリソルベート20、および50mMのL-アルギニン一塩酸塩、
製剤EEEE:pH5.8(例えば、5.6~6.0または5.5~6.1)を有する、120.0mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)(例えば、+12mg/ml)、20mMのヒスチジン系緩衝液(例えば、+2mM)、5%(w/v)のスクロース(例えば、+0.5%)、0.03%(w/v)のポリソルベート20(例えば、0.02~0.04%)、および50mMのL-アルギニン一塩酸塩(例えば、+5mM)、
製剤FFFF:pH5.8(例えば、5.6~6.0または5.5~6.1)を有する、113.3mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)(例えば、102~125mg/ml)、20mMのヒスチジン系緩衝液(例えば、+2mM)、5%(w/v)のスクロース(例えば、+0.5%)、0.03%(w/v)のポリソルベート20(例えば、0.02~0.04%)、および50mMのL-アルギニン一塩酸塩(例えば、+5mM)、
製剤GGGG:pH5.8(例えば、5.6~6.0または5.5~6.1)を有する、114.3mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)(例えば、103~126mg/ml)、10mMのヒスチジン系緩衝液(例えば、+1mM)、5%(w/v)のスクロース(例えば、+0.5%)、0.03%(w/v)のポリソルベート20(例えば、0.02~0.04%)、および50mMのL-アルギニン一塩酸塩(例えば、+5mM)、
製剤HHHH:pH5.8(例えば、5.6~6.0または5.5~6.1)を有する、100.0mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)(例えば、+10mg/ml)、20mMのヒスチジン系緩衝液(例えば、+2mM)、5%(w/v)のスクロース(例えば、+0.5%)、0.03%(w/v)のポリソルベート20(例えば、0.02~0.04%)、および50mMのL-アルギニン一塩酸塩(例えば、+5mM)、
製剤IIII:pH5.8(例えば、5.6~6.0または5.5~6.1)を有する、133.3mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)(例えば、+13mg/ml)、20mMのヒスチジン系緩衝液(例えば、+2mM)、5%(w/v)のスクロース(例えば、+0.5%)、0.03%(w/v)のポリソルベート20(例えば、0.02~0.04%)、および50mMのL-アルギニン一塩酸塩(例えば、+5mM)、
製剤JJJJ:pH6.2(例えば、6.0~6.4または5.9~6.5)を有する、150mg/mlのアフリベルセプト(例えば、アフリベルセプト)(例えば、+15mg/ml)、10mMのリン酸ナトリウム、8%(w/v)のスクロース(例えば、+0.8%)、0.03%(w/v)のポリソルベート20(例えば、0.02~0.04%)および50mMのL-アルギニン塩酸塩、
製剤KKKK:pH5.8(例えば、5.6~6.0または5.5~6.1)を有する、114.3mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)(例えば、+14mg/ml)、20mMのヒスチジン系緩衝液(例えば、+2mM)、5%(w/v)のスクロース(例えば、+0.5%)、0.03%(w/v)のポリソルベート20(例えば、0.02~0.04%)、および50mMのL-アルギニン一塩酸塩(例えば、+5mM)、
または本明細書に記載されているいずれかの製剤。
【0083】
本発明の実施形態では、上記に列挙された、または本明細書で論じられた任意の製剤成分(例えば、すべての成分)(例えば、製剤A~KKKKのいずれか1つ)の濃度は、特に言及された濃度の+約3%、5%または約10%である。
【0084】
製造方法
本明細書の実施形態は、VEGF受容体融合タンパク質(例えば、本明細書に記載の製剤A~KKKKのいずれか)を含む本発明の医薬製剤を製造する方法を含み、製剤の成分を単一の組成物に組み合わせ、必要に応じて、容器または装置、例えば、バイアル、または送達装置、例えば、プレフィルドシリンジ内に製剤を導入することを含む。そのような方法の生成物である製剤、バイアルまたは装置は、本発明の一部である。
【0085】
本発明の実施形態では、本発明の医薬製剤(例えば、本明細書に記載の製剤A~KKKKのいずれか)を含むVEGF受容体融合タンパク質を製造する方法は、培養培地中およびタンパク質が発現される条件下で、VEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含む宿主細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞)を培養するステップと、宿主細胞および/または培養培地からタンパク質を精製し、タンパク質の一部を本明細書に記載の医薬製剤の賦形剤と組み合わせるステップと、を含む。この場合も、そのような方法の生成物である製剤、バイアル、または装置は、本発明の一部である。
【0086】
本発明の実施形態では、それを高濃度にするために、かつその最終用途のために、製剤に必要とされるVEGF受容体融合タンパク質の量および種類に関して判定がなされる。緩衝液の量および種類、界面活性剤の量および種類、熱安定剤の量および種類、ならびに粘度低下剤の含有または特定の除外に関して、同じ判定がなされる。これらの成分を組み合わせて混合し、製剤のpHが所望の値、例えば、約5.0~約6.8(例えば5.8)であること、および/または粘度が所望の値、例えば、20℃で約6.0、7.3、11.5または12.0cPであることを確認する。本発明の実施形態では、高濃度のVEGF受容体融合タンパク質を含む製剤を、安定した状態で、例えば、2~8℃(5℃)で最大24または36ヶ月間滅菌および保存し得る。
【0087】
例えば、Hardman,et al.(2001)Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,McGraw-Hill,New York,N.Y.、Gennaro(2000)Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Lippincott,Williams,and Wilkins,New York,N.Y.、Avis,et al.(eds.)(1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications,Marcel Dekker,NY、Lieberman,et al.(eds.)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Marcel Dekker,NY、Lieberman,et al.(eds.)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems,Marcel Dekker,NY、Weiner and Kotkoskie(2000)Excipient Toxicity and Safety,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Yを参照されたい。
【0088】
眼内血管新生性障害と癌
VEGF受容体融合タンパク質を含む本発明の医薬製剤(例えば、医薬製剤A~KKKKのいずれか)は、本発明の製剤中の治療有効量のVEGF受容体融合タンパク質を、それを必要とする対象に、例えば硝子体内注射により投与することによって、いずれかの眼内血管新生性障害の治療または予防に使用され得る。本明細書における眼内血管新生性障害は、血管の成長もしくは増殖によってまたはそれに関連して、および/または血管漏出によって引き起こされる眼の任意の疾患を指す。本明細書の製剤および方法を使用して治療可能または予防可能な眼内血管新生性障害の非限定的な例には、以下が含まれる:
・加齢性黄斑変性症(湿性)、
・黄斑浮腫、
・網膜静脈閉塞症後の黄斑浮腫、
・網膜静脈閉塞症(RVO)、
・網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、
・網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)、
・糖尿病性黄斑浮腫(DME)、
・脈絡膜血管新生(CNV)、
・虹彩血管新生、
・血管新生緑内障、
・緑内障の術後線維症、
・増殖性硝子体網膜症(PVR)、
・視神経乳頭血管新生、
・角膜血管新生、
・網膜血管新生、
・硝子体血管新生、
・パンヌス、
・翼状片、
・血管性網膜症、
・糖尿病性網膜症(例えば、非増殖性糖尿病性網膜症(例えば、約47または53の糖尿病性網膜症重症度スケール(DRSS)レベルを特徴とする)または増殖性糖尿病性網膜症、例えば、DMEに罹患していない対象)、および
・糖尿病性黄斑浮腫(DME)患者の糖尿病性網膜症。
【0089】
VEGF受容体融合タンパク質を含む本発明の医薬製剤(例えば、医薬製剤A~KKKKのいずれか)は、本発明の製剤中の治療有効量のVEGF受容体融合タンパク質のそれを必要とする対象への、例えば、筋肉内、腫瘍内、皮下または静脈内注射による投与によって任意の癌の治療または予防に使用され得る。癌には、その成長、増殖、生存および/または転移がある程度血管新生に依存している癌が含まれる。本発明の実施形態では、癌は、結腸直腸癌、肺癌、皮膚癌、乳癌、脳癌、胃癌、腎癌、前立腺癌、肝臓癌または膵臓癌である。
【0090】
したがって、本発明は、治療有効量のVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)(例えば、約4、6、または8.0、8.1、8.4または8.5mg)を、例えば、本発明による医薬製剤において、眼内、例えば、対象の眼の硝子体に投与することを含む、それを必要とする対象における眼内血管新生性障害を治療または予防する方法を提供する。本発明の実施形態では、両眼にVEGF受容体融合タンパク質が投与される。本発明の実施形態では、治療有効用量のVEGF受容体融合タンパク質が、約2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間、または24週間毎に投与される。本発明の実施形態では、そのような治療または予防の方法は、血圧の著しい上昇(収縮期および/または拡張期)および/または高血圧(例えば、グレード1、グレード2、またはグレード3)の発生および/または対象における異常に高い眼圧がない状態で行われる。本発明の実施形態では、この方法は、前記投与に続いて、血圧の著しい上昇(収縮期および/または拡張期)および/または高血圧の発生(例えば、グレード1、グレード2、またはグレード3)および/または異常に高い眼圧について対象を監視するステップを含む。
【0091】
投与のモード
VEGF受容体融合タンパク質を含む本発明の医薬製剤は、既知の医学的に承認された送達システムに従って投与されてもよい。本明細書の実施形態では、これらの送達システムは、眼、眼内、脈絡膜内、硝子体内または結膜下の注射によって製剤を患者に投与することを含んでもよい。代替的には、本発明の医薬製剤はまた、局所経路、例えば、点眼薬、眼球ゲル、眼軟膏などによって患者に投与され得る。本明細書における製剤の他の可能な送達経路には、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外および経口が含まれる。
【0092】
本発明の実施形態では、本発明の医薬製剤の硝子体内注射は、製剤を含むシリンジおよび針(例えば、30ゲージ注射針)で眼を刺し、製剤(例えば、約100マイクロリットル(約40、50、55、56、57、57.1、58、60、70または75マイクロリットル)以下)を眼の硝子体内に注射する(例えば、治療上有効な量のVEGF受容体融合タンパク質、例えば、約4、5、6、7、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8または8.9、9、10、12、14、16、18または20mgのVEGF受容体融合タンパク質を送達するのに十分な容量で)ステップを含む。任意選択で、この方法は、局所麻酔薬(例えば、プロパラカイン、リドカインまたはテトラカイン)、抗生物質(例えば、フルオロキノロン)、消毒剤(例えば、ポビドンヨード)および/または瞳孔拡張剤を注入される眼に投与するステップを含む。本発明の実施形態では、注射される眼の周りの無菌領域が、注射の前に確立される。本発明の実施形態では、硝子体内注射に続いて、対象は、眼圧および/または血圧の上昇について監視される。本発明の実施形態では、他の眼も同じ手順によって注射される。
【0093】
投与されるVEGF受容体融合タンパク質の量
治療の過程にわたる対象への高濃度VEGF受容体融合タンパク質の各用量は、同じまたは実質的に同じ量の融合タンパク質を含んでもよい。代替的には、任意の1回の投与量は、治療過程にわたって異なってもよく、または変動してもよい。
【0094】
癌(例えば、少なくとも部分的に血管新生によって媒介される)または眼内血管新生性障害を治療または予防するための有効なまたは治療的に有効な量のVEGF受容体融合タンパク質が、例えば、臨床的に測定可能な任意の程度までの癌または眼内血管新生性障害の1つ以上の症状または徴候を退行、安定化または排除することにより、例えば、眼内血管新生性障害に関して、糖尿病性網膜症重症度スコア(DRSS)の低下または維持を引き起こすことにより、視力を改善または維持すること(例えば、ETDRS文字の増加によって測定されるように、最良の矯正視力において)、視野を拡大または維持すること、および/または中心網膜の厚さを低下または維持すること、ならびに、癌に関して、対象の癌細胞の成長、生存および/または転移を停止または逆転させることによって、癌または眼内血管新生性障害の退行、安定化または排除を引き起こすのに十分なVEGF受容体融合タンパク質の量を指す。本発明の実施形態では、眼内血管新生性障害を治療または予防するためのVEGF受容体融合タンパク質の有効なまたは治療的に有効な量は、用量あたり約0.5mg~約10mgまたは0.5mg~約20mgであり、以下を含む:約0.5mg以上、または約2mg以上、例えば、約2.1mg、2.2mg、2.3mg、2.4mg、2.5mg、2.6mg、2.7mg、2.8mg、2.9mg、3.0mg、3.1mg、3.2mg、3.3mg、3.4mg、3.5mg、3.6mg、3.7mg、3.8mg、3.9mg、4.0mg、4.1mg、4.2mg、4.3mg、4.4mg、4.5mg、4.6mg、4.7mg、4.8mg、4.9mg、5.0mg、5.1mg、5.2mg、5.3mg、5.4mg、5.5mg、5.6mg、5.7mg、5.8mg、5.9mg、6.0mg、6.1mg、6.2mg、6.3mg、6.4mg、6.5mg、6.6mg、6.7mg、6.8mg、6.9mg、7.0mg、7.1mg、7.2mg、7.3mg、7.4mg、7.5mg、7.6mg、7.7mg、7.8mg、7.9mg、8.0mg、8.1mg、8.2mg、8.3mg、8.4mg、8.5mg、8.6mg、8.7mg、8.8mg、8.9mg、9mg、9.1mg、9.2mg、9.3mg、9.4mg、9.5mg、9.6mg、9.7mg、9.8mg、9.9mg、10.0mg、10.1mg、10.2mg、10.3mg、10.4mg、10.5mg、10.6mg、10.7mg、10.8mg、10.9mg、11mg、11.1mg、11.2mg、11.3mg、11.4mg、11.5mg、11.6mg、11.7mg、11.8mg、11.9mg、12mg、12.1mg、12.2mg、12.3mg、12.4mg、12.5mg、12.6mg、12.7mg、12.8mg、12.9mg、13mg、13.1mg、13.2mg、13.3mg、13.4mg、13.5mg、13.6mg、13.7mg、13.8mg、13.9mg、14mg、14.1mg、14.2mg、14.3mg、14.4mg、14.5mg、14.6mg、14.7mg、14.8mg、14.9mg、15mg、15.1mg、15.2mg、15.3mg、15.4mg、15.5mg、15.6mg、15.7mg、15.8mg、15.9mg、16mg、16.1mg、16.2mg、16.3mg、16.4mg、16.5mg、16.6mg、16.7mg、16.8mg、16.9mg、17mg、17.1mg、17.2mg、17.3mg、17.4mg、17.5mg、17.6mg、17.7mg、17.8mg、17.9mg、18mg、18.1mg、18.2mg、18.3mg、18.4mg、18.5mg、18.6mg、18.7mg、18.8mg、18.9mg、19mg、19.1mg、19.2mg、19.3mg、19.4mg、19.5mg、19.6mg、19.7mg、19.8mg、19.9mg、または20mg。本発明の実施形態では、癌を治療または予防するためのVEGF受容体融合タンパク質の有効なまたは治療上有効な量は、約4mg/kg(例えば、静脈内)である。この用量は、例えば、2週間毎に投与されてもよい。
【0095】
本発明の実施形態では、VEGF受容体融合タンパク質は、例えば、上記のように、所望の用量の融合タンパク質を送達するのに十分な容量で投与される。本発明の実施形態では、送達される容量(例えば、硝子体内注射による眼内血管新生性障害の治療または予防のための)は、約100マイクロリットル以下(例えば、およそいずれかの以下の容量:25マイクロリットル、26マイクロリットル、27マイクロリットル、28マイクロリットル、29マイクロリットル、30マイクロリットル、31マイクロリットル、32マイクロリットル、33マイクロリットル、34マイクロリットル、35マイクロリットル、36マイクロリットル、37マイクロリットル、38マイクロリットル、39マイクロリットル、40マイクロリットル、41マイクロリットル、42マイクロリットル、43マイクロリットル、44マイクロリットル、45マイクロリットル、46マイクロリットル、47マイクロリットル、48マイクロリットル、49マイクロリットル、50マイクロリットル、51マイクロリットル、52マイクロリットル、53マイクロリットル、54マイクロリットル、55マイクロリットル、56マイクロリットル、57マイクロリットル、58マイクロリットル、59マイクロリットル、60マイクロリットル、61マイクロリットル、62マイクロリットル、63マイクロリットル、64マイクロリットル、65マイクロリットル、66マイクロリットル、67マイクロリットル、68マイクロリットル、69マイクロリットル、70マイクロリットル、71マイクロリットル、72マイクロリットル、73マイクロリットル、74マイクロリットル、75マイクロリットル、76マイクロリットル、77マイクロリットル、78マイクロリットル、79マイクロリットル、80マイクロリットル、81マイクロリットル、82マイクロリットル、83マイクロリットル、84マイクロリットル、85マイクロリットル、86マイクロリットル、87マイクロリットル、88マイクロリットル、89マイクロリットル、90マイクロリットル、91マイクロリットル、92マイクロリットル、93マイクロリットル、94マイクロリットル、95マイクロリットル、96マイクロリットル、97マイクロリットル、98マイクロリットル、または99マイクロリットル)である。
【0096】
本発明の実施形態では、製剤は、約60マイクロリットル以下、約70マイクロリットル以下、または約75マイクロリットル以下または約100マイクロリットル以下の容量で投与される(例えば、硝子体内注射による眼内血管新生性障害の治療または予防のために)。例えば、本発明の実施形態では、約2、4、6、8.0、8.1、8.0~8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8または8.9、9.0または10mgのVEGF受容体融合タンパク質が、約50、60、70または75マイクロリットルで投与される。
【0097】
本発明の範囲はまた、50μl未満など(例えば、約1、5、10、17、17.5、18、18.5、20、30、40、または45μl)の低容量で本発明の医薬製剤において、0.5または2mgのVEGF受容体融合タンパク質を(例えば、硝子体内注射によって、眼内血管新生性障害を治療または予防するために)送達するための方法を包含する。
【0098】
本発明はまた、本発明の医薬製剤の「単回投与容量」、すなわち、本発明の医薬製剤中の単回投与のVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)を含む容量(例えば、約50μlまたは60μl、70μlまたは75μl、または約4、6、8、または10mgのVEGF受容体融合タンパク質を含む任意の容量)を含む、またはそれからなる、または本質的にそれからなる組成物を含む。以下に論じるように、単回投与容量を含み、必要に応じて少量の過剰充填容量の製剤を含む容器(例えば、バイアルまたは注射装置)もまた、本発明の一部である。
【0099】
容器および注射装置
本明細書の実施形態による高濃度VEGF受容体融合タンパク質製剤(例えば、製剤A~KKKKのいずれか)は、様々な有用な容器および注射装置に事前にパッケージングまたは事前に装填され得る。したがって、本発明は、そのような製剤を含む容器および注射装置を含む。本明細書の一実施形態では、容器は、無菌であり得るバイアルである。本明細書の別の実施形態では、容器は、無菌であり得る試験管である。本発明の実施形態では、注射装置(無菌であり得る)は、シリンジ(例えば、プレフィルドシリンジまたは自動注射器)である。本発明の実施形態では、注射装置は、硝子体内インプラント、例えば、詰め替え可能な硝子体内インプラントである。
【0100】
「プレフィルド」シリンジは、医師または患者による販売または使用の前に、本発明の製剤が充填されたシリンジである。
【0101】
本明細書における「無菌」は、無菌であるか、または実質的にすべて、またはすべての生きている微生物およびそれらの胞子を含まないことを指す。
【0102】
本明細書で使用されるシリンジには、例えばガラスまたはポリマー、例えば、あらゆる目的のために本明細書に組み込まれる米国特許公開第2017/0232199号に記載されるシクロオレフィンからなるバレル、プランジャーおよび針が含まれる。
【0103】
容器および注射装置は、シリコーン(例えば、シリコーンオイルまたは焼成シリコーン(例えば、<40μgまたは<100μg))でコーティングされてもよい。
【0104】
本発明の実施形態では、容器または注射装置は、実質的に金属を含まないか、実質的にタングステンを含まないか、または低タングステンである。
【0105】
本発明の実施形態では、シリンジは、1つ以上の用量ライン目盛りを含み、および/または用量計量システムである。
【0106】
本明細書の実施形態による容器は、高濃度VEGF受容体融合タンパク質製剤を保持し得る。いくつかの態様では、容器または注射装置は、使用の表示を記載するラベルを含み得る。場合によっては、本明細書の容器または注射装置は、本明細書全体に記載されている使用についての説明書を含む添付文書を含み得る。
【0107】
他の実施形態では、上記のように、高濃度VEGF受容体融合タンパク質(例えば、用量が2mg、4mg、6mg、8mg、または10mgのVEGF受容体融合タンパク質である場合)の単回用量または複数回用量(例えば、2つまたは2つ以上)を含む容量が、例えば、使用するまでの保存のために、容器または注射装置、例えば、滅菌シリンジに事前にパッケージングされ得る。一例では、容器内の容量は、必要に応じて、少量の過剰充填容量をさらに含むVEGF受容体融合タンパク質の単回投与を含む。無菌の事前に充填されたシリンジは、保存条件下(例えば、2℃~8℃)で、例えば、最大12ヶ月、24ヶ月または36ヶ月間維持され得る。過剰充填は、適切な容量の回収および/または投与を可能にするのに十分であることを意味する過剰容量である。本発明の実施形態では、容器は、単回投与容量または複数回投与容量、および約5%~10%の過充填容量を有する。
【0108】
シリンジのサイズは、例えば、0.3cc、0.5cc、または1ccであり得る。無菌シリンジは、典型的には、長さが典型的に約1/2インチ、または12.5mm~16mmである、眼注射に有用な針を含み、患者および医療専門家の好みに基づいて、29ゲージ、30ゲージ、31ゲージ、32ゲージ、または33ゲージであり得る。針が硝子体内注射を達成するのに効果的である限り、他の針の長さおよびゲージが使用され得る。
【0109】
本発明については特に、複数の実施形態を参照して示され、説明されてきたが、形態および詳細の変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に開示されている様々な実施形態に対して行われ得ること、および本明細書に開示されている様々な実施形態が、特許請求の範囲に対する制限として機能することを意図していないことを当業者は理解するであろう。
【0110】
さらなる製剤
本発明には、40mg/mlを超えるVEGF受容体融合タンパク質(例えば、アフリベルセプトまたはコンベルセプト)および以下を含む以下の製剤が含まれる:
【0111】
(a)ヒスチジン塩(例えば、ヒスチジン-HClまたはヒスチジン酢酸塩、例えば、10mM~50mM)を含み、5.7~6.2の範囲のpHを有する緩衝液;スクロース、トレハロース、マンニトールまたはグルコースなどの糖(例えば、6%~10%);ポリソルベート20およびポリソルベート80からなる群から選択される界面活性剤(例えば、0%~0.1%);
【0112】
(b)L-ヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩(例えば、10mM)などのヒスチジン含有緩衝液;例えば、pH6.0~6.5(例えば、6.2または6.5)の、ポリソルベート20などの非イオン性界面活性剤(例えば、0.03%)、NaClなどの無機塩(例えば、40mM)、およびスクロースなどの炭水化物(例えば、5%);
【0113】
(c)クエン酸(例えば、5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、または30mM)、スクロース(例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%)、アルギニン(例えば、5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mMまたは50mMまたは100mM)、およびポリソルベート20(例えば、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、または0.10%);
【0114】
(d)リン酸塩、ヒスチジン、酢酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、グルタメート、および/または乳酸塩などの緩衝液(例えば、5~20または5~50mM);ポリソルベート(例えば、PS20またはPS80)、ポリエチレングリコールドデシルエーテル、ポロキサマー、4-(l,l,3,3-テトラメチルブチル)フェニル-ポリエチレングリコール、アルキルサッカライドまたはアルキルグリコシド、ポリオールまたはアミノ酸などの等張化剤、例えば、スクロース、トレハロース、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、プロリン、アルギニン、メチオニン、グリシン、またはリジン、ここで、非イオン性界面活性剤、などの強壮剤であり、製剤は、約300mOsm/kgの最終浸透圧を有し、塩化物アニオンの濃度は、約10mM未満であり、pHは5.0~6.5である;または
【0115】
(e)pH6.2の、10mMのリン酸ナトリウム、40mMの塩化ナトリウム、0.03%のポリソルベート20、および5%のスクロース。
【実施例】
【0116】
以下の実施例は、例示目的のために提供されていて、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。使用される数値に関して正確性を確保するための努力はなされたが、いくつかの実験上の誤差および偏差が考慮されるべきである。これらの実施例において記載されている任意の製剤は、本発明の一部である。
【0117】
これらの実施例では、実験が2~8℃で行われる場合、温度については、5℃を標的とし、公差は+3℃変動である。
【0118】
実施例1:80mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質製剤は、36ヶ月の期間にわたって効力、物理的安定性および電荷を維持する。
80mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質(アフリベルセプト)を有する一連の4つの異なる製剤を、長期間の効力、物理的安定性、および電荷バリアントの発生について試験した。4つの製剤の各々の成分リストを表1-1に示す。各製剤について、2℃~8℃で36ヶ月間保存する過程にわたるVEGF受容体融合タンパク質HMW種の形成、ならびにSE-UPLCによる主要種の割合を評価した。各VEGF受容体融合タンパク質を含む製剤についても、同じ時間および温度の過程にわたって画像化キャピラリー等電点電気泳動を使用して評価した。最後に、各製剤の効力は、同じ時間および温度の過程にわたってバイオアッセイによって試験した。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0119】
データを
図1A、
図1B、
図1C、および
図1Dに示す。
図1Aは、4つの製剤の各々について形成されたVEGF受容体融合タンパク質のHMW種の割合を示す。VEGF TRAPは、製剤がヒスチジン系である場合に、リン酸ナトリウムと比較して、HMW種の形成速度がわずかに遅いことを示している。
図1Aに示すように、2~8℃で36ヶ月間保存した後のHMW種の割合は、ヒスチジン緩衝液(製剤3および4)における1.6~1.9%の増加と比較して、リン酸ナトリウム製剤(製剤1および2)では2.6%だけ増加した。
図1Bに示すように、データが確認され、SE-UPLCを使用して、同じ時間枠および温度範囲にわたって存在するVEGF受容体融合タンパク質の主要種の割合が特定された。比較ポイントとして、10mMのリン酸ナトリウムを有する現在のEYLEA(登録商標)製剤(40mg/ml)でアッセイを実行したところ、2~8℃で36ヶ月間保存した後に、HMW種の割合は1.2%増加したことが示されている。さらに、4つの80mg/mlのVEGF TRAP製剤の各々を効力について試験し、EYLEA(登録商標)活性と比較した(図示せず)。効力は、4つの製剤すべておよびEYLEA(登録商標)についてのバイオアッセイによって維持された。これらのデータは、本明細書の製剤が、EYLEA(登録商標)に匹敵するVEGF受容体融合タンパク質の安定性を維持できることを示す。
【0120】
図1Cおよび
図1Dを参照すると、2~8℃で36ヶ月間保存した後に形成されたVEGF TRAP電荷バリアントの割合も試験された。
図1Cは、製剤1~4のVEGF TRAPが、36ヶ月間の過程にわたって酸性種の割合において有意な変化が示されなかったことを示し、
図1Dは、36ヶ月間の経過で主要種の割合について同じ結果を示している。VEGF TRAPが保存中に電荷バリアントを維持したとの結果は、VEGF TRAPの品質が維持され、脱アミノ化、N末端ピログルタミン酸形成、異性化、凝集などのプロセスが保存パラメータの過程において起こらなかったことを示している。
【0121】
実施例1のデータは、EYLEA(登録商標)に見られる2倍のVEGF TRAP濃度を有する製剤が、2~8℃での36ヶ月間の過程にわたって物理的安定性、品質および効力を維持し得ることを示している。さらに、4つの製剤すべてがこの期間にわたって同様の効力を示したが、ヒスチジン含有製剤はHMW種形成においてわずかに小さい増加(タンパク質分解の兆候)をもたらし、状況によってはヒスチジンが緩衝液の選択肢である場合があることを示している。しかしながら、ヒスチジンおよびリン酸塩系緩衝液の両方の結果は、試験の過程にわたって優れた安定性を示した。
【0122】
実施例2:リン酸ナトリウム緩衝液/スクロース製剤における150mg/mlのVEGF TRAP安定性。
2つのリン酸ナトリウム製剤について、37℃で28日間、150mg/mlのVEGF Trap(アフリベルセプト)の物理的安定性を試験した。2つの製剤の各々の成分リストを表2-1に示す。各製剤について、37℃で28日間の保存過程にわたってHMW種の形成、およびSE-UPLCによる主要種の割合を評価した。
【表7】
【表8】
【表9】
【0123】
図2Aは、37℃で28日間の保存中に、2つの製剤間で形成されたHMW種(%)に有意差がなかったことを示し、これは、SE-UPLCによる主要種の割合によって確認された(
図2B)。28日間の過程にわたって、2つの製剤の外観、濁度、またはpHに変化はなかった(図示せず)。
【0124】
次に、結果を、40mg/mlのEYLEA(登録商標)を含む製剤、および実施例1の製剤1(リン酸ナトリウム緩衝液中の80mg/mlのVEGF TRAP)と比較した。予想通り、150mg/mlのVEGF TRAP製剤は、EYLEA(登録商標)製剤と比較してHMW種形成の割合が高く、実施例1の製剤1と比較してHMW種形成の割合がやや高かった。
【0125】
高濃度のVEGF TRAP含有製剤に関してさらなる試験を実施し、ヒスチジン含有製剤は、リン酸ナトリウムに基づく製剤よりもこれらの分子のより良い保護を示した。さらに、試験された製剤の各々に塩化ナトリウムを含めることで、実際には37℃でVEGF TRAPの不安定化がもたらされた。実施例2のデータは、高濃度の150mg/mlのVEGF受容体融合タンパク質、およびかなり極端な温度での保存においてさえ、本明細書の製剤が物理的安定性に対して優れた保護を提供することを示す。
【0126】
実施例3:薬学的に許容される製剤粘度は、150mg/mlのVEGF TRAPで達成され得る。
複数のVEGFトラップ(アフリベルセプト)を含む製剤について、それらの粘度挙動を試験した。10mg/ml~160mg/mlのVEGF Trapを有する製剤を、様々な粘度低下剤の存在下および非存在下で試験した。
【0127】
図3Aは、粘度にほとんど差が見られない無機塩、アルギニン、リジン、塩化ナトリウム、塩化マグネシウムを有する組み合わせで、10mMのリン酸ナトリウム緩衝液中の155mg/mlのVEGF Trap、5%のスクロース、pH6.2を有する製剤を示す。各々の場合に、粘度は、20℃においてcPで測定された。約17cP(無機塩なし)~15cP(100mMの塩化マグネシウム)の粘度の範囲が観察され、どちらの粘度低下剤が使用されたかではほとんど変化がなく、または粘度低下剤は全く存在しなかった。
図3Bは、基本的な緩衝液が10mMのヒスチジンおよびpH5.8であることを除いて、同様の一連の製剤を示す。ここでは、無機塩がないため、11.5cPの粘度を有し、する製剤、50mMのリジンが14cPの粘度である製剤が提供された。ヒスチジン含有緩衝液は、他の低濃度の生物学的注射剤と一致する優れた粘度を提供しました。
【0128】
図3Cは、10mg/ml~160mg/mlの濃度で、10mMのリン酸ナトリウム、5%のスクロース、pH6.2、アルギニンなし、および50mMのアルギニン塩酸塩でのVEGFトラップの粘度を示しています。粘度低下剤を含めると、試験したすべてのVEGFトラップ濃度で同様の粘度が得られた。
図3Aおよび
図3Bに示すように、粘度低下剤は、タンパク質濃度が高くても、製剤の粘度に対してほとんどプラスの効果を有しなかった。アルギニンおよび他の粘度低下剤が高濃度のタンパク質の粘度に対して有益な特性を有することが以前に示されているので、これは驚くべき結果である。
【表10】
【表11】
【0129】
実施例4:アルギニン塩酸塩は、リン酸ナトリウム緩衝液/スクロース製剤中の150mg/mlのVEGF TRAPの安定性を改善する。
2つのリン酸ナトリウム製剤について、2~8℃で12日間、150mg/mlのVEGF Trap(アフリベルセプト)の物理的安定性を試験した。2つの製剤の各々の成分リストを表4-1に示す。製剤2はさらに50mMのアルギニン塩酸塩を含む。各製剤について、37℃で12ヶ月間保存する過程にわたってHMW種の形成およびSE-UPLCによる主要種の割合を評価した。
【表12】
【0130】
図4Aは、製剤に50mMのアルギニン塩酸塩を含めることにより、VEGF TRAPの物理的安定性が改善されたことを示している。VEGF TRAPのこの安定化属性は、
図4Bで確認され、50mMのアルギニン塩酸塩の存在下ではVEGF TRAPの主要種の割合は高いままである。このデータは、アルギニン塩酸塩の添加が保存されたVEGF TRAPに安定化効果を提供する状況があることを示している。表形式のサイズ排除クロマトグラフィーデータを表4-2および表4-3に示す。
【表13】
【表14】
【0131】
実施例5:ヒスチジンおよびリン酸塩緩衝液中の10mg/ml~170mg/mlのVEGF TRAPの粘度
図5は、10mMのリン酸緩衝液および10mMのヒスチジン緩衝液の両方が、VEGF TRAP(アフリベルセプト)濃度の範囲に対して高い有用な粘度を有することを示している。より高いVEGF TRAP濃度では、ヒスチジン緩衝液は粘度の改善を示した(リン酸塩と比較して)。粘度を20℃で測定した。
【0132】
実施例6:タウリンおよびプロパンスルホン酸は、高濃度のVEGF TRAP(アフリベルセプト)製剤に対して改善された安定性を提供する。
複数の製剤の組み合わせによるタンパク質の安定性への効果を判定するために実験を行った。
図6は、2mg/mlのタンパク質~10mg/mlのタンパク質(アフリベルセプト)までのタンパク質のいずれかを有する製剤についての動的光散乱プロットを示す。70mMのタウリンまたは70mMのPSAを含む製剤は、高濃度で自己相互作用の低下を示した。これらのデータは、タウリンおよびPSAが、この場合に問題となっているもののように、高濃度のタンパク質製剤に有用な含有物であり得ることを示している。
【0133】
実施例7:様々なヒスチジン含有製剤の安定性の長期試験。
合計9つの異なるアフリベルセプト製剤を、様々な緩衝液濃度、熱安定剤、および疎水性塩を用いて試験した。9つの製剤F1~F9について、以下の表7-1に要約している。
【表15】
【0134】
各製剤の14mMを15mLのファルコンチューブに配合した。次に、0.22μMのシリンジフィルターを使用して製剤を滅菌濾過し、無菌の2mLタイプ1ガラスバイアル内に充填した。層流フード内で、各製剤について8つのバイアルに0.4mLの容量を充填した。
【0135】
SE-UPLC(分子量種)をすべてのサンプルで実行して、各製剤の化学的安定性を判定した。
【0136】
製剤F1~F9の各々についてのHMW種の割合を経時的に
図7に示す(表7-2も参照)。製剤F4および製剤F7においては、5℃で4ヶ月後にHMW種の割合が最も低くなった。アルギニンおよびプロリンなどの賦形剤の添加がVEGF Trap製剤におけるHMW種(%)の形成速度を大幅に低下させる結果が示された。
【表16】
【表17】
【表18】
【0137】
実施例8:アルギニン濃度を変化させた140mg/mLのVEGF Trapプの安定性試験。
4つの140mg/mlのVEGF Trap(アフリベルセプト)eye医薬品製剤の安定性に対するアルギニン-HClの濃度の変化の影響について試験した。安定性の評価は2~8℃の保存条件で行った。医薬品(DP、Drug Product)もストレス(37℃)条件下でインキュベートした。この安定性試験で評価している4つの製剤(F1~F4)について、以下の表8-1に記載する。
【表19】
【0138】
187mg/mLのVEGF Trapヒスチジン製剤の約145mLを解凍した。F3を除く各製剤の36mLを配合し、39mLのバルクF3を配合した。各製剤を、充填前に0.22μmのDurapore PVDF滅菌フィルターを使用してLFH(Laminar Flow Hood、層流フード)内でフィルター滅菌した。13mm血清ストッパー(S2-F451 4432/50B2-40)で栓をした清浄な脱パイロジェン2mLタイプI Schottガラスバイアルを使用して、安定性試験を行った。
【0139】
製剤のSE-UPLC分析は上記のように行った。SE-UPLCを使用して、各製剤におけるHMW測定値(%)を経時的に
図8(AおよびB)に示す。表8-2および表8-3も参照されたい。
【0140】
5℃で保存された場合、これらの製剤は、アルギニン-HClの濃度に比例したHMW種(%)の形成速度の低下を示した。しかしながら、ストレス下では、この影響は逆転した。製剤は、37℃で、アルギニン-HClの濃度に比例したHMW種(%)の明らかな増加を示した。この特性により、ヒスチジン緩衝液の存在下でのアフリベルセプトに対するアルギニンの有益な効果の発見はほとんどあり得なかった。典型的には、バイオテクノロジー業界での製剤開発では、薬剤に対する様々な賦形剤の影響が、最初にストレス(例えば、37℃などの高温)下で短時間スクリーニングされる。このアプローチの目的は、ストレスがない(例えば、5℃などの低温)場合では長期間にわたってうまく機能しない可能性が高い賦形剤を迅速に排除することである。ここで、アルギニンは、37℃での安定性に影響を与えるにもかかわらず、有用な賦形剤として特定された。製剤化された医薬品は、典型的に、製造後4~5℃で数か月間保存されるため、アルギニンおよびヒスチジン緩衝液中のアフリベルセプトは、長期間の安定した医薬品を保存するための価値の高い製剤である。
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【0141】
実施例9:ホフマイスターシリーズおよび他の賦形剤からの対イオンの存在下でのVEGF Trapの安定性。
いくつかの製剤の安定性に対する様々な対イオンおよび他の賦形剤の効果について判定した。
【0142】
A.対イオンスクリーニング
対イオン(例えば、硫酸塩、チオシアン酸塩、およびクエン酸塩)を、高濃度のVEGF Trap(アフリベルセプト)製剤(140mg/ml)を有するナトリウム塩の形態で試験した。さらに、他のアミノ添加賦形剤(例えば、グリシンおよびリジン)も試験した。
【0143】
187mg/mlのVEGF Trap eye薬剤物質の約42mlを解凍した。140mg/mlの製剤化薬剤物質の110%の濃度および標的賦形剤濃度(対イオン、グリシンおよびリジンを除く)を有する50mlの中間製剤化薬剤物質(155.56mg/ml)を調製した。
【0144】
中間製剤化薬剤物質を、0.5Mの賦形剤源液(対イオン、グリシンまたはリジン)でさらに希釈して、以下の表9-1に列挙した140mg/mlの薬剤物質製剤を製造した。各最終製剤を、層流フード内で0.22μmPVDFシリンジフィルターでフィルター滅菌した後、13mmの血清ストッパーS2-F451 4432/50 82-40(ELNアイテム番号19700004Wash番号0000078949)で栓をした清浄な脱パイロジェン2mLタイプISchottガラスバイアルに充填した。60個のバイアルを0.5mlの各製剤で充填した。6個のバイアルに1.5mlを充填した。
【表24】
【0145】
B.グルタミン酸塩およびアスパラギン酸塩のスクリーニング
アルギニン塩酸塩と組み合わせた有機対イオンの存在下でのVEGF Trap(アフリベルセプト)高濃度製剤(140mg/ml)の安定性を試験した。さらに、2つの新しい対イオン(グルタミン酸塩およびアスパラギン酸塩)が、高濃度のVEGF Trap(アルギニン塩酸塩との組み合わせおよび非組み合わせ)との適合性について試験した。試験した製剤を以下の表9-2に要約する。
【0146】
187mg/mlのVEGF Trap薬剤物質の約50mlを解凍した。140mg/mlの製剤化薬剤物質の110%および目標賦形剤濃度(対イオン、クエン酸塩、グリシン、グルタミン酸塩、およびアスパラギン酸塩以外)を有する60mlの中間製剤化薬剤物質(155.56mg/ml)を調製した。
中間製剤化薬剤物質を1Mのストック賦形剤溶液(アルギニン塩酸塩、クエン酸ナトリウム、グリシン、グルタミン酸ナトリウム、およびアスパラギン酸ナトリウム)でさらに希釈して、以下の表に列挙する140mg/mlの薬剤物質を製造した。各最終製剤を、層流フード内で0.22μmPVDFシリンジフィルターでフィルター滅菌した後、13mm血清ストッパーS2-F451 4432/50 B2-40(ELNアイテム番号19700004Wash番号0000078949)で栓をした清浄な脱パイロジェン2mLタイプISchottガラスバイアルに充填した。60個のバイアルを0.5mlの各製剤で充填した。6個のバイアルに1.5mlを充填した。
【表25】
【0147】
粘度試験を、RHEOSENSEm-VROC(登録商標)粘度計を使用して行った。約0.5mLの未希釈試料をガラスシリンジに充填した。試料を所望の温度に平衡化し、チップまたは測定セルにロードした。粘度は、チップの壁におけるせん断応力に相関する入口から出口への圧力降下を測定することによって計算された。結果はmPas-1またはcpとして表される。
図9および表9-3を参照されたい。
【0148】
浸透圧試験を、VAPRO蒸気圧浸透圧計を使用して行った。約10μLの未希釈試料を紙のディスクに接種した。溶液の蒸気圧の関数である露点温度の低下は、高感度の熱電対を介して測定され、溶液の浸透圧として報告された。結果は、mmol/kgまたはmOsmとして表される。
図10および表9-3を参照されたい。
【0149】
37℃または5℃で保存した後の特定の製剤中の高分子量種を経時的にSE-UPLCで評価した。
図11(AおよびB)および表9-4および表9-5を参照されたい。
【0150】
動的光散乱実験を、DynaPro(登録商標)プレートリーダーIIを使用して行った。約100μLの未希釈試料を96ウェルプレートに充填した。25℃で各ウェルについて35回の取得を行った。正則化を使用した自己相関関数の分析を、DYNAMICSv7.1ソフトウェア上行った。半径(nm)対%強度プロットおよび%質量対半径(nm)プロットを生成して、各サンプルについての平均分子半径および%多分散値(%Pd)を導出した。
図12を参照されたい。
【表26】
【表27】
【表28】
【表29】
【0151】
実施例10:正常ウサギにおける高用量VEGF Trap(140mg/ml)のIVT送達の忍容性。
硝子体内注射を介して投与される抗VEGF治療薬は、現在、新生血管の加齢性黄斑変性症、糖尿病性黄斑浮腫、および網膜血管閉塞性疾患の治療のための標準治療である。しかしながら、毎月または隔月の硝子体内注射は、患者、介護者、および医師に重大な治療負担をもたらす。臨床診療において、より効果的で耐久性のある治療法が急務となっている。この試験は、正常なニュージーランドホワイトウサギの眼において、安定して製剤化された高用量VEGF Trap(140mg/ml、臨床用量の14倍に相当)の忍容性を調査することである。
【0152】
ヒスチジン緩衝液またはリン酸緩衝液中の高用量VEGF Trap(アフリベルセプト)の2つの製剤を試験した。コホートあたり3匹のウサギに、各製剤の片側硝子体内注射により、50uLで7mgのVEGF Trapが投与された。眼の炎症の兆候は、細隙灯、光コヒーレンストモグラフィー(OCT)、および眼底血管造影によって、硝子体内投与後1日目、4日目、1週目、その後毎週12週目までモニターされた。眼圧は、硝子体内注射前ならびに10分後および30分後、その後はすべてのフォローアップ時点でトノペンを使用して測定した。動物は12週目に安楽死させた。
【0153】
ウサギの目には次のいずれかを投与した:
(1)140mg/mlのアフリベルセプト、20mMのヒスチジン、5%のスクロース、50mMのアルギニンHCl、0.03%のPS20、pH5.8、
もしくは
(2)140mg/mlのアフリベルセプト、10mMのリン酸ナトリウム、5%のスクロース、40mMの塩化ナトリウム、0.03%のPS20、pH6.2。
【0154】
ヒスチジン緩衝液群の6眼のうち2眼において、IVT後8週間まで硝子体に暗い影が示され、細隙灯検査により、後部水晶体損傷による局所白内障であることが確認された(手順関連)。リン酸緩衝液群の6眼のうちの1眼において、IVT後8週間まで硝子体に暗い影が示され、細隙灯検査により、後部水晶体損傷による局所白内障であることが確認された(手順関連)。
【0155】
試験した高用量VEGF Trap(140mg/ml)製剤は、単回硝子体内投与後12週間以内に、正常なニュージーランドホワイトウサギの眼で十分に許容された。7mgのVEGF Trapの単回硝子体内注射後に、胃底に異常や炎症の兆候は見られなかった。硝子体は透明であり、網膜血管パターンは正常に見えた。網膜剥離、出血または視神経乳頭の変化は見られなかった。ベースラインと比較して眼圧の変化はなかった。ウサギの眼のベースライン蛍光眼底血管造影(Fluorescein Angiography、FA)およびOCT画像を
図13(A~D)に示す。8週間にわたる各治療群のウサギの眼のFAおよびOCT画像の経時変化を
図14、
図15、
図16、および
図17に示す。ウサギ326および329の左眼(OS)または右眼(OD)からのデータが示されている。
【0156】
実施例11:製剤UUU~BBBBの安定性の評価
この試験では、37℃で最大6ヶ月間インキュベートした場合の10mMのリン酸塩、10%または20%のスクロース(Suc)、0または50mMのNaCl、0.03%のポリソルベート20、pH6.2での60mg/mlおよび120mg/mlのVEGF Trap(アフリベルセプト)の安定性を調べた。この安定性試験の製剤を以下の表11-1に示す。
【表30】
【0157】
製剤を、分注する前に、層流フード内でPVDF0.2μmフィルターを使用してフィルター滅菌した。
【0158】
各製剤を含有するバイアルを37℃で1ヶ月間保存した。
【表31】
【表32】
【0159】
製剤のすべてが、目視検査および光学的密度測定によって本質的に粒子を含まなかった。37℃で1ヶ月後のRP-HPLCによる回収では、タンパク質の著しい損失はなく(表11-2)、この傾向は6ヶ月まで続いた。
【0160】
VEGF Trapの主な分解経路は、これらの条件下での凝集であった(
図18(AおよびB)、表11-3)。VEGF Trapの安定性は、タンパク質およびスクロースの濃度に依存していた。より低い濃度のVEGF Trapのおよびより高い濃度のスクロースを有する製剤は、より安定していた。同じタンパク質対スクロース比を維持しても、同じ分解速度は得られなかった。例えば、F1およびF4は同じタンパク質対スクロース比3:1を有するが、そのタンパク質濃度が高いためにF4はF1よりも安定性が低かった。同様の傾向が6か月まで観察された。
【0161】
実施例12:異なるアフリベルセプト製剤を用いたサルにおける反復投与硝子体内毒性試験。
この実施例では、カニクイザルの様々な製剤の安全性を評価する。合計7回の硝子体内投与が、群1~3に対して略4週間に1回両眼に投与され、合計3回の硝子体内投与が、群4~9に対して略4週間に1回両眼に投与される。最終剖検は最終投与の約1週間後に行われ(N=3/性別/群)、回復剖検(2/性別/群)は最週投与の約12週間後に行われる。
【0162】
次の評価が行われる:
・臨床徴候、体重、バイタルサイン、心電図データ(投与前の治療終了および回復終了)、血圧測定(テールカフ経由)、臨床および解剖学的病理学に基づく安全性評価
・細隙灯顕微鏡検査、間接検眼鏡検査、眼圧測定を含む投与・回復期間中の定期的な総合眼科検査
・前処理時、試験の9週目(全群)、26週目(群1~3のみ)、回復期終了時の眼底撮影、蛍光眼底血管造影、網膜電図
・生物分析、ADA分析およびトキシコキネティクス評価のための血液および硝子体試料(終了時)
【表33】
【0163】
群1、2、3、4、5、6、7、8、および/または9のいずれか1つ以上で試験された製剤は、上記の評価において測定されたように、カニクイザルにおけるEYLEAに匹敵する安全性プロファイルを有すると判定されると予想される。
【0164】
実施例13:VEGF Trap生成物を用いた安定性試験。
114.3mg/mLのVEGF Trap(アフリベルセプト)および10mMのヒスチジン、pH5.8、5%のスクロース、0.03%のポリソルベート20、50mMのアルギニン一塩酸塩を含む製剤を、充填前に0.22μmのDurapore PVDF無菌フィルターを使用してLFH(層流フード)内で調製した。清浄な脱パイロジェン3mLタイプISchottガラスバイアルに0.3mLの医薬品を充填し、13mmの血清ストッパー(S2-F4514432/50B2-40)で栓をした。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって37℃または5℃で保存した後の様々な時点で試料を分析して、高分子量種(HMW)、低分子量種(LMW)、および主ピーク(主)の存在を判定し、ならびに、マイクロフローイメージング、HIAC液体粒子カウント(光の隠蔽による)、および顕微鏡によって様々なサイズの粒子の存在を判定した。
【0165】
37℃、25℃、2~8℃で保存した後の安定性および純度のデータを
図19(A~E)に示す。表13-1~表13-4も参照されたい。
【表34】
【表35】
【表36】
【表37】
【0166】
実施例14:様々なVEGF Trapの濃度を用いた安定性試験。
4つのVEGF Trap(アフリベルセプト)eye医薬品製剤の安定性に対するVEGF Trapの濃度の変化の影響について試験した。濃度は80~140mg/mLの範囲であった。安定性の評価は2~8℃の保存条件で行った。医薬品(DP)もストレス(37℃)条件下でインキュベートした。この安定性試験で評価されている4つの製剤(これらの各々が本明細書では「CCC」と名付けられている)を、以下に示す表14-1に記載している。
【0167】
約27mLの各製剤を、充填前に0.22μmのDurapore PVDF滅菌フィルターを使用してLFH(Laminar Flow Hood、層流フード)内で調製した。清浄な脱パイロジェン2mLタイプISchottガラスバイアルに充填し、13mmの血清ストッパー(S2-F4514432/50B2-40)で栓をした。サイズ排除超高速液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)により、37℃または2~8℃で保存した後の様々な時点でサンプルを分析して、高分子量種(HMW)の存在(%)および主ピーク(主)を判定した。
【0168】
2~8℃または37℃で最大6ヶ月間インキュベートした後のHMWの割合を示すデータを
図20(AおよびB)に示す。表14-2および表14-3も参照されたい。37℃および5℃で保存した場合、これらの製剤は、VEGF Trapの濃度に対するHMW形成率の正の相関を示した。140mg/mLの製剤は、最高のHMW種形成率(%)を示した。
【表38】
【表39】
【表40】
【0169】
実施例15:高用量のEyleaについては、持続性新生血管漏出のD、L~AAAモデルにおける作用期間が延長された。
この実施例では、D、L~AAAモデルにおいて慢性網膜血管漏出を阻害するためのアフリベルセプトの作用の持続時間に対する用量において4倍の効果の増加があると判定された。
【0170】
使用した動物は、DL-AAA(DL-α-アミノアジピン酸)疾患誘発の3ヶ月後のニュージーランド白ウサギであった。治療群は次の通りである。
・プラセボ(製剤緩衝液)50mcl/眼、n=6眼
・50mclにおいてアフリベルセプト500mcg、n=7眼
・50mclにおいてアフリベルセプト2mg、n=8眼
【0171】
各治療群で使用された製剤は、pH5.8の、10mMのヒスチジン、8%のスクロース、0.03%のPS20であった。ベースラインならびに1、2、4、6、7、9、10、11、13、および18週目に実施された眼の検査は、眼圧(IOP)、赤みのない(RF、red-free)イメージング(血管形態を判定するための)、蛍光眼底血管造影(FA;血管漏出を判定するための)、光コヒーレンストモグラフィー(Optical Coherence Tomography,OCT;硝子体炎症を特定するための)であった。血清(ADA)および血漿(薬剤レベル)は、ベースラインおよび1、2、4、6、および9週目に収集された。
【0172】
各群のFA試験のデータを
図21に示す。これらのデータは、高用量のアフリベルセプトを投与された動物の網膜における血管漏出抑制が、低用量を投与された動物のそれよりも長く続いたことを示した。血管透過性が完全に阻害された治療眼の数は、投与後18週間までのすべてのサンプリング時間で、2mg投与群で有意に多かった。
【配列表】