(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】光起電用途用ポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 23/08 20060101AFI20230301BHJP
C08F 210/02 20060101ALI20230301BHJP
H01L 31/048 20140101ALI20230301BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20230301BHJP
【FI】
C08L23/08
C08F210/02
H01L31/04 560
C08K3/013
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021009409
(22)【出願日】2021-01-25
(62)【分割の表示】P 2019562313の分割
【原出願日】2018-06-14
【審査請求日】2021-01-25
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511114678
【氏名又は名称】ボレアリス エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】ヘルストレーム シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】コスタ フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ブロエダース ベルト
(72)【発明者】
【氏名】ガルガリ ギリシュ スレシュ
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/041926(WO,A1)
【文献】特開2011-204881(JP,A)
【文献】特表2014-501029(JP,A)
【文献】特開2006-159497(JP,A)
【文献】特表2017-521521(JP,A)
【文献】特表2018-537847(JP,A)
【文献】特開2002-235048(JP,A)
【文献】特開2011-216804(JP,A)
【文献】特開2014-139993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00 -101/14
C08K 3/013
C08F 6/00 -246/00
H01L31/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護用表側層要素、表側封止層要素、光起電要素、裏側封止層要素及び保護用裏側層要素をこの順に備える光起電(PV)モジュールであって
、
前記裏側封止層要素
は1以上の
層からなる層要素(LE)
であり、該層要素(LE)の1層以上が、
(a2)アクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマー若しくは(C1-C6)-アルキルアクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマーから選択される1以上の極性コモノマーを有するエチレンのコポリマーであって、シラン基含有単位を保有するコポリマ
ーを含むポリマー成分と、顔料(b)とを含むポリマー組成物
を含み、
前記ポリマー組成物において、前記顔料(b)の量が、
該ポリマー組成物の量(100重量%)に対して2.00重量%以上であり、
該顔料が無機白色顔料である
、
光起電(PV)モジュール。
【請求項2】
前記顔料(b)の量が、2.00~40.0重量%、である請求項1に記載の光起電(PV)モジュール。
【請求項3】
前記顔料(b)が、二酸化チタンTiO
2製品である請求項1又は請求項2に記載の光起電(PV)モジュール。
【請求項4】
前記エチレンのポリマー(a)が、(a2)アクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマー又は(C1-C6)-アルキルアクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマーから選択される1以上の極性コモノマーを有するエチレンのコポリマーであって、シラン基含有単位を保有するエチレンのコポリマーである請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光起電(PV)モジュール。
【請求項5】
前記エチレンのコポリマー(a2)中の前記極性コモノマーの量が0.5~30.0モル%である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光起電(PV)モジュール。
【請求項6】
エチレンのコポリマー(a2)の前記シラン基含有単
位が、式(I)によって表される加水分解性不飽和シラン化合物であり、
R1SiR2qY3-q (I)
前記式(I)中、
R1は、エチレン性不飽和ヒドロカルビル基、エチレン性不飽和ヒドロカルビルオキシ基又はエチレン性不飽和(メタ)アクリルオキシヒドロカルビル基であり、
各R2は、独立に、脂肪族飽和ヒドロカルビル基であり、
Yは、同じであってもよいし異なっていてもよく、加水分解性有機基であり、
qは0、1又は2である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光起電(PV)モジュール。
【請求項7】
エチレンのコポリマー(a)が、
(ISO 1133に従い190℃及び荷重2.16kgにおいて)20g/10分未満のメルトフローレート、MFR
2、又は
明細書の「測定方法」の箇所に記載したように測定した場合の100℃未満の融点、Tm、のうちの1つ又は任意の順序で2つ有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光起電(PV)モジュール。
【請求項8】
前記ポリマー組成物は、ポリマー(a)単独のレオロジースペクトル指数(RSI
(a))に対するポリマー(a)及び顔料(b)のブレンドのレオロジースペクトル指数(RSI
(a+b))の比が4.0以下である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光起電(PV)モジュール。
【請求項9】
前記
1以上の層からなる層要素(LE)の中のただ1つの層が、前記ポリマー組成物を含む請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の光起電(PV)モジュール。
【請求項10】
前記保護用表側層要素及び前記保護用裏側層要素が、リジッドな層要素である請求項1から9いずれか1項に記載の光起電(PV)モジュール。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の光起電(PV)モジュールの製造方法であって、前記方法が、
(i)保護用表側層要素、表側封止層要素、光起電要素、裏側封止層要素及び保護用裏側層要素を、この順に、光起電モジュール組立体の形態に配置する組み立て工程と、
(ii)前記光起電モジュール組立体を任意に減圧条件のチャンバー中で加熱する加熱工程と、
(iii)前記多層組立体にかかる圧力が、一段階又は多段階で徐々に上昇される圧力ビルドアップ工程と、
(iv)上記圧力が、前記組立体の積層が起こる加熱された状態で、前記多層組立体に対して保たれる圧力保持工程と、
(v)得られた光起電モジュールを、後の使用のために、冷却して取り出す回収工程と
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー組成物、このポリマー組成物を含む物品、好ましくはこのポリマー組成物を含む少なくとも1つの層要素(LE)を備える光起電(PV)モジュールである物品、及び上記物品、好ましくは上記光起電(PV)モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば太陽電池モジュールとしても知られる光起電(PV)モジュールは、当該分野で周知のように、光から電気を作り出し、種々の用途、とりわけ屋外用途で使用される。光起電モジュールの種類は様々でありうる。このモジュールは、典型的には多層構造、すなわち異なる機能を有するいくつかの異なる層要素を有する。光起電モジュールの層要素は、層の材料及び層構造に関しては様々でありうる。最終の光起電モジュールは、リジッド(剛性)であってもよくフレキシブル(柔軟)であってもよい。
【0003】
上で例示された層要素は単層であってもよく、又は多層要素であってもよい。典型的には、PVモジュールの層要素は、それらの機能性の順序で集められ、次いで一緒に積層されて、一体化したPVモジュールが形成される。さらに、1つの要素の複数層の間又は異なる層要素の間に接着剤層が存在してもよい。
【0004】
光起電(PV)モジュールは、例えば、所与の順序で、フレキシブルであってもよくリジッドであってもよい保護用表側層要素(例えば、ガラス層要素)、表側封止層要素、光起電要素、裏側封止層要素、後板層要素(バックシート層要素)とも呼ばれ、リジッドであってもよくフレキシブルであってもよい保護用裏側層要素、及び任意に、例えばアルミニウムフレームを備えることができる。
【0005】
表側封止層要素又は裏側封止層要素等の封止層要素について、エチレンポリマーをベースとするポリマー組成物も使用することができる。例えば接着特性を向上させるために、シラン基含有単位をそのポリマー組成物に導入することができる。このようなシラン含有単位は、a)エチレンポリマーとブレンドされる別個のシラン化合物として、b)α-オレフィンコモノマー(1若しくは複数)若しくはアクリル酸アルキルエステルコモノマー若しくは酢酸ビニルコモノマーのような極性コモノマー(1若しくは複数)を有するエチレンのコポリマー(共重合体)のポリマー(重合体)骨格上にグラフト化されるシラン基含有単位として、又はc)エチレンモノマーを極性コモノマー(1若しくは複数)及びシラン基含有コモノマーと共に共重合して、上記極性コモノマー及び上記シランコモノマーを有するエチレンのコポリマーを提供することにより、加えることができる。
【0006】
このシラングラフト化ポリエチレン又はシラン基含有コモノマーを含有するエチレンのコポリマーは、次に、例えば光起電(PV)モジュールの積層過程の間又は積層過程の後に架橋することができる。ポリエチレンのグラフト化されたシラン基含有単位又はシラン基含有コモノマーの架橋は、周知のように、そしてポリマー分野の文献に記載されているように、過酸化物又はシラン縮合触媒を使用して行うことができる。
【0007】
グラフト化プロセス(b)は、通常、配合装置(compounder)の中で、過酸化物の存在下、融解した状態で行われ、これは当該技術分野で周知である。シラン基をポリエチレン骨格上にグラフト化するためのこのようなプロセスは、例えばSioplas又はMonosil架橋プロセスから公知であり、この架橋プロセスでは、上記グラフト化は、架橋工程の前に行われる、上記プロセスの1つの工程である。Sioplasプロセスは、例えば米国特許第3,646,155号明細書に記載されており、Monosilプロセスは、例えば米国特許第4,117,195号明細書に記載されている。グラフト化を記載するさらなる例として、例えば国際公開第2009/056407号パンフレット、米国特許第3,646,155号明細書及び米国特許第4,117,195号明細書を挙げることができる。
【0008】
さらに、シラン基含有コモノマーを有するエチレンのコポリマーを製造するためのエチレンモノマーとシラン基含有コモノマーとの共重合プロセス(c)は、周知であり、ポリマー分野の技術水準の文献に記載されている。このような共重合プロセス及び得られるシラン基含有コモノマーを有するエチレンのコポリマー、並びにエチレン系ポリマーをベースとする封止層要素に好適なポリマー組成物における上記コポリマーの使用は、例えば米国特許第4,413,066号明細書、国際公開第2010/003503号パンフレット、国際公開第2016/041924号パンフレット及び国際公開第2017/076629号パンフレットに開示されている。
【0009】
従って、PVモジュールの上記層要素の一部又はすべて、例えば上記表側封止層要素及び裏側封止層要素、そして多くの場合は上記後板層、は、典型的には、エチレン酢酸ビニル(EVA)系材料のような高分子材料のものである。
【0010】
出力は、光起電(PV)モジュールの非常に重要なパラメータである。光起電(PV)モジュールの光起電層要素の光電池は光子エネルギーを電気エネルギーに変換する。しかしながら、光起電層要素のセル間隔及びセルが存在しない領域に起因して、いくらかの光子は、太陽電池に当たらない可能性がある。(光起電層要素の受光側の反対側である、光起電層要素の一方の側に)白色の後板層要素を使用して、これらの光子を反射させて、次いで太陽電池に吸収させることができる。後板層要素からの反射の大部分は散乱的であり、これは、光子が角度をもって散らばって戻ることを意味し、このことは、光子は裏側封入材を通過する必要があるので、太陽電池の(光起電層要素の受光側の反対側である)裏側で、光子が「行き詰まった(stuck)」状態になるという問題を引き起こす可能性がある。
【0011】
顔料、典型的には白色顔料を裏側封止層要素に添加することにより、光子はより早期に反射され、光子が太陽電池の背後で「行き詰まった」状態になるというリスクはより低い。封止層要素は、多くの場合、エチレン酢酸ビニル(EVA)ポリマー(重合体)から製造される。このEVAポリマーのメルトフローレート、MFR、は、EVA組成物を上記封止層要素へと押し出せるように、通常高い。高MFRの白色封入材を作製することは、典型的には、その顔料が裏側封止要素から流れて表側封入材へと混合/漏出するという積層の際の欠点を有する。結果として、(白色)顔料は、太陽電池の縁へと漏出することができ、このことは、かえって出力を低下させ、最終のPVモジュールの外観も損なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】米国特許第3,646,155号明細書
【文献】米国特許第4,117,195号明細書
【文献】国際公開第2009/056407号パンフレット
【文献】米国特許第4,413,066号明細書
【文献】国際公開第2010/003503号パンフレット
【文献】国際公開第2016/041924号パンフレット
【文献】国際公開第2017/076629号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
従って、本発明は、
(a1)シラン基(1若しくは複数)含有コモノマーを保有するエチレンのポリマー、
(a2)アクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマー若しくは(C1-C6)-アルキルアクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマーから選択される1以上の極性コモノマーを有するエチレンのコポリマーであって、シラン基(1若しくは複数)含有単位を保有しかつ上記エチレンのポリマー(a1)とは異なるコポリマー、又は
(a3)1以上の(C1-C10)-α-オレフィンコモノマーを有するエチレンのコポリマーであって、エチレンのポリマー(a1)及びエチレンのポリマー(a2)とは異なるコポリマー
から選択されるエチレンのポリマー(a)を含むポリマー成分と、
顔料(b)と
を含むポリマー組成物であって、上記顔料(b)の量が、上記ポリマー組成物の量(100重量%)に対して2.00重量%以上であるポリマー組成物に向けられる。
【0014】
当該ポリマー組成物は、本明細書中で「本発明のポリマー組成物」又は「本発明の組成物」又は「ポリマー組成物」とも呼ばれる。
【0015】
これまでに、これ以降に又は請求項に規定されるエチレンのポリマー(a)は、本明細書中では、短縮して「ポリマー(a)」とも呼ばれる。
【0016】
これまでに、これ以降に又は請求項に規定される、(a1)シラン基(1若しくは複数)含有コモノマーを保有するエチレンのポリマーとの規定は、本明細書中では、短縮して「エチレンのポリマー(a1)」又は「ポリマー(a1)」とも呼ばれる。
これまでに、これ以降に又は請求項に規定される、(a2)アクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマー若しくは(C1-C6)-アルキルアクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマーから選択される1以上の極性コモノマーを有するエチレンのコポリマーであって、シラン基(1若しくは複数)含有単位を保有しかつ上記エチレンのポリマー(a1)とは異なるコポリマーとの規定は、本明細書中では、短縮して「エチレンのコポリマー(a2)」、「コポリマー(a2)」又は「ポリマー(a2)」とも呼ばれる。
【0017】
これまでに、これ以降に又は請求項に規定される、(a3)1以上の(C1-C10)-α-オレフィンコモノマーを有するエチレンのコポリマーであって、エチレンのポリマー(a1)及びエチレンのポリマー(a2)とは異なるコポリマーとの規定は、本明細書中では、短縮して「ポリマー(a3)」とも呼ばれる。
【0018】
周知のように、「コモノマー」は、共重合可能なコモノマー単位を指す。
【0019】
ポリマー(a)は、顔料(b)と組み合わされて、層要素(LE)を製造することができ、この層要素(LE)からの顔料(b)の漏出なしにこの層要素(LE)を基材に積層することができる。従って、ポリマー(a)は、驚くほど効果的に顔料(b)を上記層要素(LE)内に保持する。それゆえ、本発明のポリマー組成物は、例えば積層により2以上の層要素の物品を製造するために、層要素(LE)において使用するのに非常に有用である。なぜなら、ポリマー(a)は、層要素(LE)の周囲への顔料(b)のあふれを防止するからである。
【0020】
本発明のさらなる利点は、所望に応じて、ポリマー(a)が、過酸化物を使用して架橋される必要がないということである。従って、本発明のポリマー組成物により、過酸化物を含まない層要素(LE)を製造することができる。
【0021】
さらに、ポリマー(a)は、例えばEVAと比べてより低いMFRを使用することができ、このことは、本発明の層要素(LE)の積層の間の白色顔料のあふれを防止することにさらに寄与する。出力も、所望に応じて上昇させることができる。
【0022】
さらには、顔料含有の、好ましくは白色顔料含有の本発明のポリマー組成物は、光の光子を驚くほど効果的に反射することができる。このような特性は、例えば光起電用途に非常に有用である。例えば、当該ポリマー組成物が光起電(PV)モジュール中の裏側封止要素として使用される場合、この裏側封止層要素は、セル間ギャップを通る光子の一部を光起電要素のセルの表側へと逆方向に反射する。このようにして、当該ポリマー組成物の裏側層要素は、光子が太陽電池の表側によって吸収される可能性を高め、このことは、より高いモジュール出力につながりうる。さらに、光起電(PV)モジュールの後板が顔料を含有する実施形態と比べて、本発明のポリマー組成物を含み、好ましくは本発明のポリマー組成物からなる顔料含有の裏側封止層要素は、任意に顔料含有の、任意に白色顔料含有の後板層要素と比べて、光子をより早期に反射し、光子が光電池の背後にトラップされてしまうリスクを低減又は排除する。
【0023】
さらに、本発明の組成物の保存安定性は極めて良好である。
【0024】
さらに、好ましくは、本発明のポリマー組成物によって製造される層要素(LE)は、さらに驚くほど良好な接着を有し、換言すれば、顔料(b)は当該組成物の接着特性に何ら悪影響を及ぼさない。
【0025】
さらに、当該ポリマー組成物は、光起電(PV)モジュールのような物品に非常に好適である。例えば、PVモジュールの裏側封止要素としての、本発明のポリマー組成物の層要素(LE)の使用は、光子を光起電要素へと逆方向に反射することにより、PVモジュールの出力を向上させる。好ましくは、例えばPVモジュールの裏側封止要素としての本発明のポリマー組成物の層要素(LE)は、紫外光を吸収し、かつ紫外光の裏側封止層要素を通る後板層要素への透過を妨害することにより、好ましくは、紫外線からの上記PVモジュールのポリマー製の後板層要素の保護に寄与することができる。これは、例えば反射率又は透過率によって示されうる。
【0026】
本発明は、これまでに、これ以降に又は請求項に規定されるポリマー組成物を含む1以上の層、好ましくは1つの層、を備える層要素(LE)を製造するための、本発明のポリマー組成物の使用をさらに提供する。
【0027】
本発明は、1以上の層の層要素(LE)であって、1以上の層、好ましくは1つの層、が、これまでに、これ以降に又は請求項に規定されるポリマー組成物を含む層要素(LE)をさらに提供する。本発明の層要素(LE)は、本明細書中で層要素(LE)とも呼ばれる。
【0028】
層要素(LE)は、本明細書中では、単層要素又は多層要素であって、(PV)モジュール中の封止層要素がとりわけ光起電層要素を保護し、上記光起電層要素の光起電活性に寄与するという機能を果たすように、要素が特定の機能を有する単層要素又は多層要素を意味する。用語「要素」は、技術水準において十分に認められた意味を有する。
【0029】
本発明は、これまでに、これ以降に又は請求項に規定されるポリマー組成物を含む1以上の層、好ましくは1つの層、を備える層要素(LE)を備える物品、好ましくは光起電(PV)モジュール、を製造するための、これまでに、これ以降に又は請求項に規定されるポリマー組成物の使用をさらに提供する。
【0030】
本発明は、1以上の層の層要素(LE)を備える物品であって、1以上の層、好ましくは1つの層、が、これまでに、これ以降に又は請求項に規定されるポリマー組成物を含む物品をさらに提供する。
【0031】
当該物品は、好ましくは、2以上の層要素を備える多層組立体であって、少なくとも1つの層要素が当該層要素(LE)である多層組立体である。
【0032】
当該物品は、より好ましくは、光起電要素及び1以上のさらなる層要素を備える光起電(PV)モジュールであって、少なくとも1つの層要素、好ましくは1つの層要素、がこれまでに、これ以降に又は請求項に規定される層要素(LE)である光起電(PV)モジュールである。
【0033】
本発明は、保護用表側層要素、表側封止層要素、光起電要素、裏側封止層要素及び保護用裏側層要素をこの順に備える光起電(PV)モジュールであって、好ましくは上記裏側封止層要素がこれまでに、これ以降に又は請求項に規定される本発明の層要素(LE)である光起電(PV)モジュールをさらに提供する。
【0034】
本発明は、光起電(PV)モジュールの製造方法であって、
上記光起電要素、上記層要素(LE)及び任意の、そして好ましい、さらなる層要素を光起電(PV)モジュール組立体へと組み立てる工程と、
上記光起電(PV)モジュール組立体の上記層要素を高温で積層し、上記要素を一緒に接着する工程と、
これまでに、これ以降に又は請求項に規定される、得られた光起電(PV)モジュールを回収する工程と
を備える方法をさらに提供する。
【0035】
本発明のポリマー組成物、ポリマー(a)、層要素(LE)、物品、好ましくはPVモジュール、使用及び方法、並びにそれらのさらなる詳細、好ましい実施形態、範囲及び特性は、以降及び請求項に記載されており、これらの好ましい実施形態、範囲及び特性は、いずれの組み合わせであってもよく、任意の順序で組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい実施形態の層要素(分離されている)、つまり光起電モジュールの保護用表側層要素(1)、表側封止層要素(2)、光起電要素(3)、裏側封止層要素(4)及び保護用裏側層要素(5)であって、少なくとも裏側封止層要素(4)が本発明のポリマー組成物を含む層要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
ポリマー組成物
上記シラン基(1又は複数)含有単位は、ポリマー(a)のコモノマーとして、又はポリマー(a)に化学的にグラフト化される化合物として存在することができる。
従って、シラン基(1又は複数)含有単位がコモノマーとしてポリマー(a)に組み込まれる場合、上記シラン基(1又は複数)含有単位は、ポリマー(a)の重合プロセスの間に、コモノマーとしてエチレンモノマーと共重合される。シラン基(1又は複数)含有単位がグラフト化によりポリマーに組み込まれる場合、このシラン基(1又は複数)含有単位は、ポリマー(a)の重合後にポリマー(a)と化学的に反応(グラフト化とも呼ばれる)される。この化学反応、すなわちグラフト化は、典型的には過酸化物等のラジカル形成剤を使用して実施される。このような化学反応は、本発明の積層方法の前又は積層方法の中で行われてもよい。一般に、エチレンへの上記シラン基(1又は複数)含有単位の共重合及びグラフト化は、周知の技法であり、ポリマー分野で十分に文献に記載されており、当業者の能力の範囲内である。
【0038】
「シラン基(1又は複数)含有コモノマー」は、本明細書中これまで、これ以降又は請求項では、上記シラン基(1又は複数)含有単位がコモノマーとして存在することを意味する。エチレンモノマーとシラン基(1又は複数)含有コモノマーとの共重合の一般に認知された技術は、後ほど、高圧を使用する重合プロセスについての一般的記載のところ、及びポリマー(a)の重合を記載する実験項のところでもさらに記載される。このような共重合プロセスについてのさらなる参照として、例えば特許文献米国特許第4,413,066号明細書を挙げることができる。
【0039】
シラン基(1又は複数)含有単位をエチレンポリマーの骨格にグラフト化することの一般に認知された技術に関しては、例えばSioplasプロセス及びMonosilプロセスを挙げることができる。Sioplasプロセスは例えば米国特許第3,646,155号明細書に記載されており、Monosilプロセスは例えば米国特許第4,117,195号明細書に記載されている。グラフト化技術を記載するさらなる例として、例えば国際公開第2009/056407号パンフレット、米国特許第3,646,155号明細書及び米国特許第4,117,195号明細書を挙げることができる。
【0040】
一般的な共重合及びグラフト化のプロセスは、Polymeric Materials Encyclopedia、第2巻、CRC Press、1996(ISBN 0-8493-2470-X)、1552-1565頁にも記載されている。
【0041】
グラフト化実施形態における過酸化物の使用は、同時に起こる架橋反応に起因して、エチレンポリマーのメルトフローレート(MFR)を下げるということも周知である。結果として、このグラフト化実施形態は、出発ポリマーとしてのポリマー(a)のMFRの選択に制約を課する可能性があり、このMFRの選択が最終用途におけるポリマーの品質に悪影響を及ぼす可能性がある。さらには、グラフト化プロセスの間に過酸化物から生成する副生成物が、最終用途における当該ポリマー組成物の使用寿命に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0042】
ポリマー骨格へのシラン基(1又は複数)含有コモノマーの共重合は、その単位のグラフト化と比べて、その単位のより均一な組み込みをもたらす。さらに、グラフト化と比べて、共重合は、ポリマーが生成した後に、過酸化物の添加を必要としない。
【0043】
このように、好ましくは、上記シラン基(1又は複数)含有単位は、好ましくはコモノマーとしてポリマー(a)中に存在する。すなわち、ポリマー(a1)の場合は、シラン基(1又は複数)含有単位は、ポリマー(a1)の重合プロセスの中でコモノマーとしてエチレンモノマーと共に共重合される。ポリマー(a2)の場合は、シラン基(1又は複数)含有単位は、ポリマー(a2)の重合プロセスの中でコモノマーとして極性コモノマー及びエチレンモノマーと共に共重合される。
【0044】
エチレンのポリマー(a)のシラン基(1又は複数)含有単位、好ましくはシラン基(1又は複数)含有コモノマーは、好ましくは式(I)によって表される加水分解性不飽和シラン化合物である。
R1SiR2qY3-q (I)
上記式(I)中、
R1は、エチレン性不飽和ヒドロカルビル基、エチレン性不飽和ヒドロカルビルオキシ基又はエチレン性不飽和(メタ)アクリルオキシヒドロカルビル基であり、
各R2は、独立に、脂肪族飽和ヒドロカルビル基であり、
Yは、同じであってもよいし異なっていてもよく、加水分解性有機基であり、
qは0、1又は2である。
【0045】
さらに好適なシラン基(1又は複数)含有コモノマーは、例えばγ-(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、及びビニルトリアセトキシシラン、又はこれらのうちの2以上の組み合わせである。
【0046】
式(I)の化合物の1つの好適な下位群は、式(II)の不飽和シラン化合物、好ましくは、コモノマーである。
CH2=CHSi(OA)3 (II)
上記式(II)中、各Aは、独立に、炭素原子数1~8、好適には炭素原子数1~4のヒドロカルビル基である。
【0047】
本発明のシラン基(1又は複数)含有単位、又は好ましくはコモノマーは、好ましくは、ビニルトリメトキシシラン、ビニルビスメトキシエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、より好ましくはビニルトリメトキシシランー又はビニルトリエトキシシラン、より好ましくはビニルトリメトキシシラン、コモノマーである式(II)の化合物である。
【0048】
ポリマー(a)中に存在する、好ましくはコモノマーとして存在するシラン基(1又は複数)含有単位の量(モル%)は、「測定方法」のところで後述する「コモノマー含有量」に従って求める場合、好ましくは0.01~2.0モル%(すなわち0.01モル%以上2.0モル%以下)、好ましくは0.01~1.00モル%、好適には0.05~0.80モル%、好適には0.10~0.60モル%、好適には0.10~0.50モル%である。
【0049】
1つの実施形態A1では、ポリマー(a)は、シラン基(1又は複数)含有コモノマーを保有するエチレンのポリマー(a1)である。この実施形態A1では、ポリマー(a1)は、ポリマー(a2)について規定される極性コモノマーを含有しない、すなわち有しない。好ましくは、上記シラン基(1又は複数)含有コモノマーは、ポリマー(a1)中に存在する唯一種のコモノマーである。従って、ポリマー(a1)は、好ましくは、シラン基(1又は複数)含有コモノマーの存在下で、ラジカル開始剤を使用して高圧重合プロセスでエチレンモノマーを共重合することにより製造されている。好ましくは、このシラン基(1又は複数)含有コモノマーは、エチレンのポリマー(a1)中に存在する唯一種のコモノマーである。
【0050】
上記1つの好ましい実施形態(A1)では、ポリマー(a1)は、これまでに又は請求項に規定されるとおり、好ましくは、式(I)に係るシラン基(1又は複数)含有コモノマーを有するエチレンのコポリマー、より好ましくは式(II)に係るシラン基(1又は複数)含有コモノマーを有するエチレンのコポリマー、より好ましくはビニルトリメトキシシランコモノマー、ビニルビスメトキシエトキシシランコモノマー、ビニルトリエトキシシランコモノマー又はビニルトリメトキシシランコモノマーから選択される式(II)に係るシラン基(1又は複数)含有コモノマーを有するエチレンのコポリマーである。最も好ましくは、ポリマー(a1)は、ビニルトリメトキシシランコモノマー、ビニルビスメトキシエトキシシランコモノマー、ビニルトリエトキシシランコモノマー又はビニルトリメトキシシランコモノマーを有するエチレンのコポリマー、好ましくはビニルトリメトキシシランコモノマー又はビニルトリエトキシシランコモノマーを有するエチレンのコポリマー、最も好ましくはビニルトリメトキシシランコモノマーを有するエチレンのコポリマーである。
【0051】
別の実施形態(A2)では、ポリマー(a)は、アクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマー又は(C1-C6)-アルキルアクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマーから選択される1以上の極性コモノマーを有するエチレンのコポリマー(a2)であって、シラン基(1又は複数)含有単位を保有するコポリマー(a2)である。この実施形態(A2)では、ポリマー(a2)は、アクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマー又は(C1-C6)-アルキルアクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマーから選択される1以上の、好ましくは1つの極性コモノマー、及びシラン基(1又は複数)含有コモノマーを有するエチレンのコポリマーである。好ましくは、エチレンのポリマー(a2)の極性コモノマーは、アクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマーのうちの1つから、好ましくはアクリル酸メチルコモノマー、アクリル酸エチルコモノマー又はアクリル酸ブチルコモノマーから選択される。より好ましくは、ポリマー(a2)は、アクリル酸メチルコモノマー、アクリル酸エチルコモノマー又はアクリル酸ブチルコモノマーから選択される極性コモノマー及びシラン基(1又は複数)含有コモノマーを有するエチレンのコポリマーである。ポリマー(a2)は、最も好ましくは、アクリル酸メチルコモノマー、アクリル酸エチルコモノマー又はアクリル酸ブチルコモノマーから選択される極性コモノマー及び式(I)の化合物のシラン基(1又は複数)含有コモノマーを有するエチレンのコポリマーである。好ましくは、この実施形態では、上記極性コモノマー及び好ましいシラン基(1又は複数)含有コモノマーだけが、エチレンのコポリマー(a2)中に存在するコモノマーである。
【0052】
別の実施形態(A3)では、ポリマー(a)は、(C1-C8)-α-オレフィンコモノマーから選択される1以上の、好ましくは1つのコモノマーを有するエチレンのポリマーであることが好ましいポリマー(a3)である。この実施形態では、ポリマー(a3)は、好ましくはシラン基(1又は複数)含有単位を含有し、このシラン基(1又は複数)含有単位はポリマー(a3)の骨格にグラフト化されている。
【0053】
最も好ましくは、ポリマー(a)は、ポリマー(a1)又は(a2)から選択される。
【0054】
ポリマー(a2)中に存在する極性コモノマーの含有量は、「測定方法」のところで後述する「コモノマー含有量」に従って測定する場合、好ましくは0.5~30.0モル%、2.5~20.0モル%、好ましくは4.5~18モル%、好ましくは5.0~18.0モル%、好ましくは6.0~18.0モル%、好ましくは6.0~16.5モル%、より好ましくは6.8~15.0モル%、より好ましくは7.0~13.5モル%である。
【0055】
上記別の好ましい実施形態(A2)では、ポリマー(a2)は、好ましくは、これまでに、これ以降に又は請求項に規定される極性コモノマー、及びこれまでに又は請求項に規定される式(I)に係るシラン基(1又は複数)含有コモノマー、より好ましくは式(II)に係るシラン基(1又は複数)含有コモノマー、より好ましくはビニルトリメトキシシランコモノマー、ビニルビスメトキシエトキシシランコモノマー、ビニルトリエトキシシランコモノマー又はビニルトリメトキシシランコモノマーから選択される式(II)に係るシラン基(1又は複数)含有コモノマーを有するエチレンのコポリマーである。好ましくは、ポリマー(a2)は、アクリル酸メチルコモノマー、アクリル酸エチルコモノマー又はアクリル酸ブチルコモノマー、及びビニルトリメトキシシランコモノマー、ビニルビスメトキシエトキシシランコモノマー、ビニルトリエトキシシランコモノマー又はビニルトリメトキシシランコモノマー、好ましくはビニルトリメトキシシランコモノマー又はビニルトリエトキシシランコモノマーを有するエチレンのコポリマーである。より好ましくは、ポリマー(a2)は、アクリル酸メチルコモノマー、及びビニルトリメトキシシランコモノマー、ビニルビスメトキシエトキシシランコモノマー、ビニルトリエトキシシランコモノマー又はビニルトリメトキシシランコモノマー、好ましくはビニルトリメトキシシランコモノマー又はビニルトリエトキシシランコモノマー、より好ましくはビニルトリメトキシシランを有するエチレンのコポリマーである。
【0056】
従って、ポリマー(a2)は、最も好ましくは、アクリル酸メチルコモノマーをこれまでに、これ以降に又は請求項に規定されるシラン基(1又は複数)含有コモノマーと共に有するエチレンのコポリマー、好ましくは、アクリル酸メチルコモノマー、及びビニルトリメトキシシランコモノマー又はビニルトリエトキシシランコモノマーを有するエチレンのコポリマー、好ましくはアクリル酸メチルコモノマー及びビニルトリメトキシシランコモノマーを有するエチレンのコポリマーである。
【0057】
何らかの理論に結びつけられるわけではないが、アクリル酸メチル(MA)は、エステル熱分解反応を受けることがない唯一のアクリル酸エステルである。なぜならアクリル酸メチル(MA)は、この反応経路を持たないからである。それゆえ、MAコモノマーを有するポリマー(a2)は、高温で、有害な遊離酸(アクリル酸)分解生成物を何ら生成せず、これによりエチレン及びアクリル酸メチルコモノマーのポリマー(a2)は、その最終物品の良好な品質及び製品寿命に寄与する。これは、例えばEVAの酢酸ビニル単位には当てはまらない。なぜなら、高温でEVAは有害な酢酸分解生成物を生成するからである。さらに、アクリル酸エチル(EA)又はアクリル酸ブチル(BA)等の他のアクリル酸エステルは、エステル熱分解反応を受ける可能性があり、分解したときには、揮発性のオレフィン性副生成物を生成する可能性がある。
【0058】
上記中間層要素中に存在するポリマー(a)では、所望に応じて、先行技術と比べてポリマー(a)のMFRを低下させることが可能であり、従って、本発明の好ましい層要素(LE)の製造の間により高い流動抵抗をもたらす。その結果として、好ましいMFRは、所望に応じて、当該層要素(LE)の品質、及び当該層要素(LE)を備える物品にさらに寄与することができる。
【0059】
当該ポリマー組成物、好ましくはポリマー(a)のメルトフローレート、MFR2は、(ISO 1133に従い、190℃及び荷重2.16kgにおいて)好ましくは20g/10分未満、好ましくは15g/10分未満、好ましくは0.1~13g/10分、好ましくは0.2~10g/10分、好ましくは0.3~8g/10分、より好ましくは0.4~6g/10分である。
【0060】
当該ポリマー組成物、好ましくはポリマー(a)は、「測定方法」のところで後述する「レオロジー特性:動的剪断測定(周波数掃引測定)」に従って測定する場合、好ましくは30.0~100.0、好ましくは40.0~80.0の剪断減粘指数(shear thinning index)、SHI0.05/300、を有する。
【0061】
好ましいSHI範囲は、上記中間層のポリマー組成物の優位なレオロジー特性にさらに寄与する。
【0062】
従って、ポリマー(a)の好ましいMFR範囲及び好ましいSHI範囲の組み合わせは、本発明の好ましい層要素(LE)の品質にさらに寄与しうる。結果として、当該ポリマー組成物、好ましくはポリマー(a)の好ましいMFRは、所望に応じて、本発明の好ましい層要素(LE)の品質に、物品に、好ましくは上記好ましい層要素(LE)を備える物品にさらに寄与しうる。さらに、本発明のポリマー(a)は、所望に応じて、低MFR、例えば光起電(PV)モジュールの分野で従来使用されているMFRよりも低いMFRを有することができる。なぜなら、ポリマー(a)は、非常に有望な接着特性と組み合わせて優位な流動特性及び加工特性を有するからである。
【0063】
緩和スペクトル指数(RSI)は、ポリマーの長緩和時間挙動に対するカップリングの効果を定量するために使用することができる。このように、レオロジースペクトル指数(RSI)は、ポリマー材料のとりわけ流動性の指標として当該技術分野で使用することができるレオロジー的なパラメータである。本発明では、RSIパラメータは、本発明の組成物の非常に有益なレオロジー挙動を記述するために使用され、(ポリマー(a)単独のRSI)(RSI(a))に対する(ポリマー(a)及び顔料(b)のブレンドのRSI)(RSI(a+b))の比(本明細書中で、「ポリマー(a)+顔料(b)のRSI)/(ポリマー(a)のRSI」とも呼ばれる)又は「RSI(a+b)/RSI(a)」として表される。(ポリマー(a)単独のRSI)に対する(ポリマー(a)及び顔料(b)のブレンドのRSI)の比は、好ましくは4.0以下、好ましくは1.1~3.0、好ましくは1.2~2.5である。好ましいRSIは、所望に応じて、好ましい流動特性にさらに寄与する。RSI測定方法は、「測定方法」のところで後述される。
【0064】
当該組成物、好ましくはポリマー(a)は、「測定方法」のところで記載されるASTM D3418に従って測定する場合、好ましくは120℃以下、好ましくは110℃以下、より好ましくは100℃以下、最も好ましくは95℃以下の融点を有する。好ましくは、当該組成物、より好ましくはポリマー(a)の融点は、「測定方法」のところで後述するように測定する場合、70℃以上、より好ましくは75℃以上、さらにより好ましくは78℃以上である。上記好ましい融点は、例えば本発明の好ましい層要素(LE)の積層方法にとって有益である。なぜなら、溶融/軟化工程の時間を短縮できるからである。
【0065】
典型的には、そして好ましくは、中間層要素の当該組成物、好ましくはエチレンのポリマー(a)の密度は、860kg/m3超である。好ましくは、上記密度は、「測定方法」のところで後述するISO1872-2によると、970kg/m3以下であり、好ましくは920~960kg/m3である。
【0066】
好ましいポリマー(a)は、ビニルトリメトキシシランコモノマーを有するエチレンのポリマー(a1)又はアクリル酸メチルコモノマー及びビニルトリメトキシシランコモノマーを有するエチレンのコポリマー(a2)である。最も好ましいポリマー(a)は、アクリル酸メチルコモノマー及びビニルトリメトキシシランコモノマーを有するエチレンのコポリマー(a2)である。
【0067】
当該組成物のポリマー(a)は、例えば市販されていることもあり、又は化学文献に記載される公知の重合プロセスに従って、若しくはそのような重合プロセスと同様にして調製することができる。
【0068】
好ましい実施形態では、ポリマー(a)、すなわちポリマー(a1)又は(a2)は、フリーラジカル重合を使用する高圧(HP)プロセスで、1以上の開始剤の存在下で、及び任意にポリマーのMFRを制御するために連鎖移動剤(CTA)を使用して、好適にはエチレンを上で定義されたとおりのシラン基(1又は複数)含有コモノマー(=コモノマーとして存在するシラン基(1又は複数)含有単位)とともに重合すること、並びにポリマー(a2)の場合にはさらに極性コモノマー(1又は複数)とともに重合することにより製造される。HP反応器は、例えば周知の管型反応器若しくはオートクレーブ反応器又はこれらの組み合わせであってもよく、好適には管型反応器であることができる。上記高圧(HP)重合及び所望の最終用途に応じて上記ポリマーの他の特性をさらに適合させるためのプロセス条件の調整は、周知であり、文献に記載されており、当業者が容易に使用することができる。好適な重合温度は、400℃以下、好適には80~350℃の範囲であり、圧力は70MPa以上、好適には100~400MPa、好適には100~350MPaである。高圧重合は、一般に100~400MPaの圧力及び80~350℃の温度で実施される。このようなプロセスは周知であり、十分に文献に記載されており、以降でもさらに説明される。
【0069】
上記コモノマー(1又は複数)が存在する場合、コモノマーとしてのシラン基(1又は複数)含有単位の好ましい形態を含めて上記コモノマー(1又は複数)の上記エチレンモノマーへの組み込み、及び上記コモノマー(1又は複数)の所望の最終含有量を得るためのコモノマー供給量の制御は、周知の手法で実施することができ、これは当業者の能力の範囲内である。
【0070】
高圧ラジカル重合によるエチレン(共)重合体の製造のさらなる詳細は、とりわけ、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、第6巻(1986)、383-410頁及びEncyclopedia of Materials: Science and Technology、2001、Elsevier Science Ltd.中の「Polyethylene: High-pressure」、R.Klimesch,D.Littmann及びF.-O.Maehling、7181-7184頁に見出すことができる。
【0071】
このようなHP重合は、いわゆるエチレンの低密度ポリマー(LDPE)をもたらし、本明細書ではポリマー(a1)又はポリマー(a2)をもたらす。用語「LDPE」は、ポリマー分野で周知の意味を有し、HPで製造されるポリエチレンの性質、すなわち、オレフィン重合触媒(配位触媒としても知られる)の存在下で製造されるPEからLDPEを区別するための典型的特徴、例えば異なる分岐構造を説明する。用語「LDPE」は低密度ポリエチレンの略語であるが、この用語は、密度範囲を限定しないと理解され、低密度、中密度及び高密度のLDPE様のHPポリエチレンに及ぶ。
【0072】
ポリマー(a3)は、市販されていることもあり、又は十分に文献に記載されているように、配位触媒、典型的にはZiegler-Natta触媒若しくはシングルサイト触媒を使用する重合プロセスで調製することができる。プロセス、プロセス条件及び触媒の選択は当業者の能力の範囲内である。
【0073】
以降では、「本発明のポリマー組成物の量(100重量%)に対する」量は、本発明のポリマー組成物中に存在する構成成分の量が全体で100重量%になることを意味する。
【0074】
ポリマー(a)の量は、当該組成物の全量(100重量%)に対して、好ましくは50.0~98.0重量%、好ましくは60.0~98.0、好ましくは70.0~97.5重量%、好ましくは75.0~97.5重量%、好ましくは80.0~97.0重量%、好ましくは85.0~97.0重量%である。
【0075】
顔料(b)は、好ましくは無機顔料、好ましくは無機白色顔料から選択される。より好ましくは、顔料(b)は二酸化チタン、TiO2である。この二酸化チタン、TiO2は、好ましくはルチル(金紅石)の形態にある。ルチルは、当該技術分野で周知のとおり、主として二酸化チタンに基づき、正方晶系の単位格子構造を有する鉱物である。
【0076】
顔料(b)の量は、当該組成物の全量(100重量%)に対して、好ましくは2.00~40.0重量%、好適には2.00~40.0重量%、好ましくは2.20~30.0重量%、好ましくは2.50~25.0重量%、好ましくは2.50~20.0重量%、より好ましくは2.50~15.0重量%である。
【0077】
顔料(b)は、好ましくはクローノスインターナショナル(Kronos International)のような供給業者によって提供される市販の顔料製品である。例えばKronos 2220は、好適な市販の二酸化チタン製品の単なる一例である。従って、顔料(b)の量(重量%)は、供給業者によって提供される顔料製品の量である。市販の二酸化チタン製品(顔料(b))は、担体媒質、例えば担体ポリマーのような他の成分を含有してもよい。上記のとおり、顔料のいずれのこのような他の成分も、当該ポリマー組成物の量(100重量%)に対する顔料(b)の量にカウントされる。すなわち、例えば顔料(b)の任意の担体ポリマーは、本発明の「ポリマー成分」にはカウントされず、顔料(b)の量にカウントされる。
【0078】
1つの実施形態では、本発明の組成物は、好適には、顔料(b)とは異なる添加剤(1又は複数)を含む。好ましくは、当該組成物は、当該組成物の全量(100重量%)に対して、
0.0001~10重量%の添加剤、好ましくは0.0001重量%及び5.0重量%、例えば0.0001重量%及び2.5重量%の、顔料(b)とは異なる添加剤
を含む。
【0079】
当然、この任意で好ましい添加剤はポリマー(a)とは異なる。
【0080】
上記任意の添加剤は、例えば所望の最終用途に好適な従来の添加剤であり、当業者の能力の範囲内であり、その例としては、限定はされないが、好ましくは少なくとも酸化防止剤(1又は複数)、紫外光安定剤(1又は複数)及び/又は紫外光吸収剤が挙げられ、金属不活性化剤(1又は複数)、清澄剤(1又は複数)、光沢剤(1又は複数)、酸スカベンジャー(1又は複数)及びスリップ剤(1又は複数)なども挙げてよい。各添加剤は、例えば従来の量で使用することができ、本発明のポリマー組成物中に存在する添加剤の全量は、好ましくは、上で規定されたとおりである。このような添加剤は、一般に市販されており、例えば、Hans Zweifelの「Plastic Additives Handbook」、第5版、2001に記載されている。
【0081】
従って、1つの好ましい実施形態では、当該ポリマー組成物は、
(a1)シラン基(1若しくは複数)含有単位を保有するエチレンのポリマー、又は
(a2)アクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマー若しくは(C1-C6)-アルキルアクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマーから選択される1以上の極性コモノマーを有するエチレンのコポリマーであって、シラン基(1若しくは複数)含有単位を保有しかつ上記エチレンのポリマー(a1)とは異なるコポリマー;
から選択されるエチレンのポリマー(a)を含むポリマー成分と、
顔料(b)であって、この顔料(b)の量は、当該ポリマー組成物の量(100重量%)に対して2.00重量%以上である顔料(b)と、
任意に、添加剤、好ましくは0.0001~10重量%の添加剤、好ましくは0.0001重量%及び5.0重量%、例えば0.0001重量%及び2.5重量%、の顔料(b)とは異なる添加剤と
を含み、好ましくはこれらの成分からなる。
【0082】
本発明の1つの好ましい実施形態では、当該ポリマー組成物は、当該組成物の全量(100重量%)に対して、
50.0~98.0重量%(50.0重量%以上98.0重量%以下)、好ましくは60.0~98.0重量%、好ましくは70.0~97.5重量%、好ましくは75.0~97.5重量%、好ましくは80.0~97.0重量%、好ましくは85.0~97.0重量%、のポリマー成分であって、
(a1)シラン基(1若しくは複数)含有単位を保有するエチレンのポリマー、又は
(a2)アクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマー若しくは(C1-C6)-アルキルアクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマーから選択される1以上の極性コモノマーを有するエチレンのコポリマーであって、シラン基(1若しくは複数)含有単位を保有しかつ上記エチレンのポリマー(a1)とは異なるコポリマー
から選択されるエチレンのポリマー(a)を含み、好ましくはこのエチレンのポリマー(a)からなるポリマー成分と、
2.00重量%以上、好ましくは2.00~40.0重量%(2.00重量%以上40.0重量%以下)、好適には2.00~40.0重量%、好ましくは2.20~30.0重量%、好ましくは2.50~25.0重量%、好ましくは2.50~20.0重量%、より好ましくは2.50~15.0重量%、の顔料(b)と、
0~10.0重量%、好ましくは0.0001~10重量%(0.0001重量%以上10重量%以下)の添加剤、好ましくは0.0001重量%及び5.0重量%、例えば0.0001重量%及び2.5重量%、の顔料(b)とは異なる添加剤と
を含み、好ましくはこれらの成分からなる。
【0083】
好ましい実施形態では、当該ポリマー組成物は、唯一のポリマー成分としてのポリマー(a)からなる。「ポリマー成分」は、本明細書中では、任意の添加剤のあらゆる担体ポリマー(1又は複数)、例えば顔料(b)又は当該組成物に存在してもよい添加剤(1又は複数)のマスターバッチで使用される担体ポリマーを除外する。このような任意の担体ポリマー(1又は複数)は、ポリマー組成物の量(100重量%)に対するそれぞれの添加剤の量に算入される。
【0084】
当該ポリマー組成物、好ましくはポリマー(a)は、所望に応じて、架橋されていてもよい。当該ポリマー組成物、好ましくはポリマー(a)は、好ましくは、過酸化物を使用して架橋されていない。好ましくは、当該ポリマー組成物は過酸化物を含まない。
【0085】
所望に応じて、最終用途によっては、当該ポリマー組成物、好ましくは当該層要素(LE)のポリマー組成物、好ましくはポリマー(a)は、本発明の積層方法の前又は本発明の積層方法の間にシラノール縮合触媒(SCC)を使用してシラン基(1又は複数)含有単位を介して架橋されていてもよく、このシラノール縮合触媒(SCC)は、好ましくは、スズ、亜鉛、鉄、鉛若しくはコバルトのカルボン酸塩又は芳香族有機スルホン酸の群から選択される。このようなSCCは例えば、市販されている。
【0086】
上で規定したSCCは、架橋の目的で従来から供給されているシラノール縮合触媒であるということを理解されたい。
【0087】
上記シラノール縮合触媒(SCC)は、任意に当該ポリマー組成物、好ましくは当該層要素(LE)のポリマー組成物中に存在してもよいが、このシラノール縮合触媒(SCC)は、より好ましくは、スズ、亜鉛、鉄、鉛及びコバルト等の金属のカルボン酸塩からなる群Cから、ブレンステッド酸に対して加水分解性である基を保有するチタン化合物(好ましくは、Borealis(ボレアリス)の国際公開第2011/160964号パンフレットに記載されるもの、この特許文献は参照として本明細書中に援用される)から、有機塩基から、無機酸から、並びに有機酸から選択され、好ましくは、スズ、亜鉛、鉄、鉛及びコバルト等の金属のカルボン酸塩から、ブレンステッド酸に対して加水分解性である基を保有するチタン化合物から、又は有機酸から選択され、好ましくは、ジブチルスズジラウレート(DBTL)、ジオクチルスズジラウレート(DOTL)、特にDOTL、又は芳香族有機スルホン酸から選択される。この芳香族有機スルホン酸は、好適には、下記の構造要素を含む有機スルホン酸である。
Ar(SO3H)x (II)
上記式(II)中、Arは置換又は非置換のアリール基であり、置換されている場合、好適には少なくとも1つの炭素原子数50以下のヒドロカルビル基で置換されており、xは少なくとも1である。あるいは、上記芳香族有機スルホン酸は、好適には、式(II)のスルホン酸の酸無水物を含めた式(II)のスルホン酸の前駆体、又は加水分解性の保護基(1又は複数)、例えば加水分解によって除去可能なアセチル基を備える式(II)のスルホン酸である。このような有機スルホン酸は、例えば欧州特許第736065号明細書、あるいは欧州特許第1309631号明細書及び欧州特許第1309632号明細書に記載されている。
【0088】
上記任意の架橋剤(SCC)が存在する場合、上記任意の架橋剤(SCC)の量は、エチレンのポリマー(a)1kgあたり、好ましくは0~0.1モル、例えば0.00001~0.1モル、好ましくは0.0001~0.01モル、より好ましくは0.0002~0.005モル、より好ましくは0.0005~0.005モルである。上記のとおり、好ましくは、当該ポリマー組成物中には架橋剤(SCC)は存在しない。
【0089】
本発明の好ましい実施形態では、シラン縮合触媒(SCC)は、スズ-有機触媒又は芳香族有機スルホン酸からなる群CのSCC群から選択されるが、このシラン縮合触媒(SCC)はポリマー組成物中には存在しない。さらに好ましい実施形態では、上で規定された過酸化物もシラン縮合触媒(SCC)も、当該ポリマー組成物中には存在しない。すなわち、好ましくは、当該ポリマー組成物は、過酸化物を含まず「群Cのシラン縮合触媒(SCC)」を含まない。すでに記載したとおり、本発明の当該ポリマー組成物については、これまで、これ以降に又は請求項で触れる従来のSCC又は過酸化物を使用した当該ポリマー組成物の架橋を回避することができ、このことは、その最終用途、例えば本発明の層要素(LE)の良好な品質を成し遂げるために寄与する。
【0090】
本発明は、当該ポリマー組成物を含む1以上の層を備える層要素(LE)を製造するための、先行する請求項のいずれか一項に記載のポリマー組成物の使用を提供する。
【0091】
本発明は、当該層要素(LE)を備える物品を製造するための当該ポリマー組成物の使用も提供する。
【0092】
本発明の層要素(LE)及びその最終用途
本発明は、1以上の層を備える層要素(LE)であって、少なくとも1つの層、好ましくは1つの層、が、
(a1)シラン基(1若しくは複数)含有単位を保有するエチレンのポリマー、
(a2)アクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマー若しくは(C1-C6)-アルキルアクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマーから選択される1以上の極性コモノマーを有するエチレンのコポリマーであって、シラン基(1若しくは複数)含有単位を保有しかつ上記エチレンのポリマー(a1)とは異なるコポリマー、又は
(a3)1以上の(C1-C10)-α-オレフィンコモノマーを有するエチレンのコポリマーであって、エチレンのポリマー(a1)及びエチレンのポリマー(a2)とは異なるコポリマー
から選択されるエチレンのポリマー(a)を含むポリマー成分と、
顔料(b)と
を含むポリマー組成物であって、顔料(b)の量が、このポリマー組成物の量(100重量%)に対して2.00重量%以上である本発明のポリマー組成物を含み、好ましくはこの本発明のポリマー組成物からなる層要素(LE)も提供する。
【0093】
当該層要素(LE)は、
これまでに、これ以降に若しくは請求項に規定されるポリマー組成物を含む単層要素、又は
少なくとも1つの層が、これまでに、これ以降に若しくは請求項に規定されるポリマー組成物を含む多層要素
から選択される。
【0094】
好ましくは、本発明の層要素(LE)の1以上の層は、本発明のポリマー組成物からなる。より好ましくは、上記層要素(LE)の1つの層は、当該ポリマー組成物を含み、好ましくは当該ポリマー組成物からなる。
【0095】
本発明は、
(a1)シラン基(1若しくは複数)含有単位を保有するエチレンのポリマー、
(a2)アクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマー若しくは(C1-C6)-アルキルアクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマーから選択される1以上の極性コモノマーを有するエチレンのコポリマーであって、シラン基(1若しくは複数)含有単位を保有しかつ上記エチレンのポリマー(a1)とは異なるコポリマー、又は
(a3)1以上の(C1-C10)-α-オレフィンコモノマーを有するエチレンのコポリマーであって、エチレンのポリマー(a1)及びエチレンのポリマー(a2)とは異なるコポリマー
から選択されるエチレンのポリマー(a)を含むポリマー成分と、
顔料(b)と
を含むポリマー組成物であって、顔料(b)の量が、このポリマー組成物の量(100重量%)に対して2.00重量%以上である本発明のポリマー組成物を含み、好ましくはこの本発明のポリマー組成物からなる層要素(LE)を備える物品も提供する。
【0096】
当該層要素(LE)は、上記物品の一部分、例えば任意の形状の物品、例えば成形品、例えば瓶(ボトル)若しくは容器(コンテナ)の一層であることができるし、又はこの物品は、例えば包装若しくは熱成形用の単層フィルム若しくは多層フィルムである層要素(LE)である、すなわち層要素(LE)からなるか、又はこの物品は、2以上の層要素の多層組立体であって、1つの層要素が本発明の層要素(LE)である多層組立体である。
【0097】
本発明の組立体の当該層要素の一部又は各々は、典型的には、そして好ましくは、上記組立体に異なる機能性をもたらすということを理解されたい。
【0098】
好ましい層要素(LE)、好ましくは当該物品の当該層要素(LE)は、これまでに、これ以降に又は請求項に規定されるポリマー組成物を含み、好ましくはこのポリマー組成物からなる単層要素である。
【0099】
上記物品は、好ましくは、2以上の層要素を備える多層組立体であって、少なくとも1つの層要素が当該層要素(LE)である多層組立体である。光起電(PV)モジュールは、当該分野で周知であり当業者にとっては明らかであるとおり、異なる機能性の層要素を備えるこのような多層組立体の一例である。
【0100】
従って、当該物品、好ましい組立体、は、好ましくは、光起電要素及び1以上のさらなる層要素を備える光起電(PV)モジュールであって、少なくとも1つの層要素が、
(a1)シラン基(1若しくは複数)含有単位を保有するエチレンのポリマー、
(a2)アクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマー若しくは(C1-C6)-アルキルアクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマーから選択される1以上の極性コモノマーを有するエチレンのコポリマーであって、シラン基(1若しくは複数)含有単位を保有しかつ上記エチレンのポリマー(a1)とは異なるコポリマー、又は
(a3)1以上の(C1-C10)-α-オレフィンコモノマーを有するエチレンのコポリマーであって、エチレンのポリマー(a1)及びエチレンのポリマー(a2)とは異なるコポリマー
から選択されるエチレンのポリマー(a)を含むポリマー成分と、
顔料(b)と
を含むポリマー組成物であって、顔料(b)の量が、このポリマー組成物の量(100重量%)に対して2.00重量%以上である当該ポリマー組成物を含み、好ましくはこのポリマー組成物からなる本発明の層要素(LE)である。
【0101】
好ましくは、本発明の光起電(PV)モジュールは、保護用表側層要素、表側封止層要素、光起電要素、裏側封止層要素及び保護用裏側層要素をこの順に備え、少なくとも1つの層要素は本発明の層要素(LE)である。
【0102】
本明細書中では、当該PVモジュールの上記保護用表側層要素及び上記表側封止層要素は当該光起電(PV)モジュールの受光側にあると理解されたい。
【0103】
上記保護用裏側層要素は、本明細書中では後板層要素とも呼ばれる。
【0104】
「光起電要素」は、光起電活性を有する要素を意味する。この光起電要素は、例えば当該技術分野で周知の意味を有する光電池(1又は複数)の素子であることができる。ケイ素系材料、例えば結晶性ケイ素は、光電池(1又は複数)で使用される材料の限定を意図しない例である。結晶性ケイ素材料は、当業者にとっては周知であるとおり、結晶性及び結晶サイズに関して様々であってもよい。あるいは、この光起電要素は、基材層であって、この基材層の1つの表面の上に光起電活性を有するさらなる層若しくは堆積物が供される基材層、例えば一方の側に光起電活性を有するインク材料がプリントされているガラス層であってもよく、又は一方の側に光起電活性を有する材料が堆積される基材層であってもよい。例えば、光起電要素(光起電力素子)の周知の薄膜法では、例えば光起電活性を有するインクが、典型的にはガラス基材である基材の一方の側に印刷される。
【0105】
上記光起電要素は、最も好ましくは光電池の素子である。
【0106】
「光電池(1又は複数)」は、本明細書中では、コネクタを伴うこれまでに説明した光電池の層要素(1又は複数)を意味する。
【0107】
上記PVモジュールは、任意に、後板層要素の後のさらなる層要素として保護カバーをこの順に備えてもよく、この保護カバーは、例えば金属フレーム、例えば(接続箱を備える)アルミニウムフレームであってもよい。
【0108】
すべての上記用語は、当該技術分野で周知の意味を有する。
【0109】
当該層要素(LE)の当該ポリマー組成物以外の上記の要素の材料は、先行技術において周知であり、所望のPVモジュールに応じて当業者が選ぶことができる。
【0110】
周知のように、本発明の光起電モジュールの要素及び層構造は、当該PVモジュールの所望のタイプに応じて変わりうる。上記光起電モジュールは、リジッドであってもよくフレキシブルであってもよい。リジッドな光起電モジュールは、例えば、リジッドな保護用表側層要素、例えばガラス要素、リジッド又は典型的にはフレキシブルな表側封止層要素、光起電層要素、リジッド又は典型的にはフレキシブルな裏側封止層要素、及びリジッドであってもよくフレキシブルであってもよい後板層要素を含有することができる。フレキシブルなモジュールでは、上記の要素はすべてフレキシブルであり、これにより保護用の表側層要素及び裏側層要素並びに表側封止層要素及び裏側封止層要素は、典型的には、ポリマー製の層要素に基づく。
【0111】
さらに、当該PVモジュールの上記の層要素のうちのいずれも、単層要素であってもよく多層要素であってもよい。好ましくは、当該PVモジュールの表側封止層要素及び裏側封止層要素のうちの少なくとも1つ、好ましくは両方は、封止単層要素である。
【0112】
本発明の物品としての当該光起電(PV)モジュールの最も好ましい実施形態は、保護用表側層要素、表側封止層要素、光起電要素、裏側封止層要素及び保護用裏側層要素をこの順に備える光起電(PV)モジュールであって、この裏側封止層要素は本発明の層要素(LE)である。
【0113】
この実施形態では、当該PVモジュールの他の層要素は、好ましくは当該層要素(LE)とは異なる。すなわち、この他の層要素は、上記裏側封止層要素としての当該層要素(LE)のポリマー組成物と比べて異なるポリマー組成物からなる。
【0114】
保護用裏側層要素のような他の層要素も、当該層要素(LE)を備えることも可能である。好ましくは、上記裏側封止要素のみが、本発明のポリマー組成物を含み、好ましくは本発明のポリマー組成物からなる本発明の層要素(LE)である。
【0115】
より好ましくは、上記裏側封止要素は、好ましくは本発明の組成物を含み、好ましくは本発明の組成物からなる単層要素である層要素(LE)であることが好ましい。
【0116】
限定を意図しない例のみとして、上記表側封止層要素及び裏側封止層要素の厚さは、典型的には2mm以下、好ましくは1mm以下、典型的には0.3~0.6mmである。
【0117】
限定を意図しない例のみとして、上記リジッドな保護用表側層要素、例えばガラス層の厚さは、典型的には10mm以下、好ましくは8mm以下、好ましくは2~4mmである。限定を意図しない例のみとして、上記フレキシブルな保護用表側層要素、例えばポリマー製の(多)層要素の厚さは、典型的には700μm以下、例えば90~700μm、好適には100~500μm、例えば100~400μmである。
【0118】
限定を意図しない例のみとして、光起電要素、例えば単結晶光電池の素子の厚さは、典型的には100~500ミクロン(100~500μm)である。
【0119】
いくつかの実施形態では、当該技術分野で周知のとおり、組立体、好ましくは本発明のPVモジュールの異なる層要素の間、及び/又は当該層要素(LE)のような層要素(1若しくは複数)の多層要素の複数の層の間に接着剤層が存在してもよい。このような接着剤層は、2つの要素の間の接着を向上する機能を有し、積層分野で周知の意味を有する。当業者には明らかなように、この接着剤層は、当該PVモジュールの他の機能的層要素、例えばこれまで、これ以降又は請求項に特定される機能的層要素とは区別されるものである。好ましくは、保護用表側層要素と表側封止層要素との間に接着剤層は存在せず、かつ/又は、好ましくは、保護用裏側層要素と裏側封止層要素との間に接着剤層は存在しない。好ましくは、裏側封止要素としての層要素(LE)と上記PVモジュールの光起電要素との間に接着剤層は存在しない。さらに好ましくは、当該層要素(LE)の任意の多層要素の複数の層の間に接着剤層は存在しない。1つの好ましい実施形態では、当該層要素(LE)は単層要素である。
【0120】
PVモジュールの別個の層要素は、光起電の分野で周知のやり方で、若しくは文献から製造することができるし、又はPVモジュール用の層要素としてすでに市販されている。当該層要素(LE)、好ましくは裏側封止層要素としての層要素(LE)のPV層要素は、後述するようにして製造できる。
【0121】
上記層要素の一部分は、一体的な形態にあってもよく、すなわち、上記PV要素のうちの2以上は、後述する本発明の好ましい積層方法に供される前に、例えば積層により一体化されてもよいということも理解される。
【0122】
図1は、保護用表側層要素(1)、表側封止層要素(2)、光起電要素(3)、裏側封止層要素(4)及び保護用裏側層要素(5)を備える本発明の代表的なPVモジュールの模式図である。この好ましい実施形態では、裏側封止層要素(4)が本発明の層要素(LE)である。
【0123】
本発明は、層要素(LE)の製造方法であって、この層要素(LE)が、典型的には文献に記載されている従来の押出機を使用する押出によって製造される方法をさらに提供する。好ましくは、層要素(LE)としての単層要素又は多層要素の層要素、好ましくは単層要素がキャストフィルム押出によって製造される。
【0124】
本発明は、本発明の物品の製造方法、好ましくはこれまでに、これ以降に又は請求項に規定される組立体の、積層による製造方法であって、
ポリマー製層要素(LE)は、
(a)ポリマー
を含むポリマー組成物を含み、
当該方法は、
(i)上記少なくとも1つの基材要素及び上記少なくとも1つのポリマー製層要素(LE)を多層組立体の形態に配置する組み立て工程と、
(ii)この多層組立体を任意に減圧条件のチャンバー中で加熱する加熱工程と、
(iii)上記多層組立体にかかる圧力が、一段階又は多段階で徐々に上昇される圧力ビルドアップ(増大)工程と、
(iv)上記圧力が、上記組立体の積層が起こる加熱された状態で、上記多層組立体に対して保たれる圧力保持工程と、
(v)得られた多層積層体を、後の使用のために、冷却して取り出す回収工程と
を備える方法をさらに提供する。
【0125】
上記積層方法の下記のプロセス条件は、本発明の光起電(PV)モジュールを製造するために好ましく、それらは任意の順序で組み合わせることができる。
【0126】
本発明のPVモジュールの好ましい製造方法は、当該PVモジュールの異なる機能的層要素、典型的には予め作製された層要素が積層され、一体化された最終のPVモジュールが形成される積層方法である。
【0127】
このように、本発明は、保護用表側層要素、表側封止層要素、光起電要素、裏側封止層要素及び保護用裏側層要素をこの順に備える光起電(PV)モジュールを製造するための好ましい積層方法であって、少なくとも上記裏側封止層要素が、好ましくは上記裏側封止層要素だけが、
(a1)シラン基(1若しくは複数)含有単位を保有するエチレンのポリマー、
(a2)アクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマー若しくは(C1-C6)-アルキルアクリル酸(C1-C6)-アルキルコモノマーから選択される1以上の極性コモノマーを有するエチレンのコポリマーであって、シラン基(1若しくは複数)含有単位を保有しかつ上記エチレンのポリマー(a1)とは異なるコポリマー、又は
(a3)1以上の(C1-C10)-α-オレフィンコモノマーを有するエチレンのコポリマーであって、エチレンのポリマー(a1)及びエチレンのポリマー(a2)とは異なるコポリマー
から選択されるエチレンのポリマー(a)を含むポリマー成分と、
顔料(b)と
を含む当該ポリマー組成物であって、上記顔料(b)の量が、上記ポリマー組成物の量(100重量%)に対して2.00重量%以上である
当該ポリマー組成物を含み、好ましくはこのポリマー組成物からなる本発明の層要素(LE)であり、
当該方法は、
(i)保護用表側層要素、表側封止層要素、光起電要素、裏側封止層要素及び保護用裏側層要素を、与えられた順)に、光起電モジュール組立体の形態に配置する組み立て工程と、
(ii)この光起電モジュール組立体を任意に減圧条件のチャンバー中で加熱する加熱工程と、
(iii)上記多層組立体にかかる圧力が、一段階又は多段階で徐々に上昇される圧力ビルドアップ(増大)工程と、
(iv)上記圧力が、上記組立体の積層が起こる加熱された状態で、上記多層組立体に対して保たれる圧力保持工程と、
(v)得られた光起電モジュールを、後の使用のために、冷却して取り出す回収工程と
を備える方法も提供する。
【0128】
上記積層方法は、例えば積層されるべき多層積層体に好適であるいずれの従来のラミネーターであってもよいラミネーター設備において実施される。ラミネーターの選択は、当業者の能力の範囲内である。典型的には、このラミネーターは、上記加熱、任意の、及び好ましい、減圧、プレス及び被覆(冷却を含む)の工程(ii)~(iv)が行われるチャンバーを備える。
【0129】
本発明の好ましい積層方法では、下記のとおりである。
【0130】
圧力ビルドアップ工程(iii)は、好ましくは、少なくとも1つのポリマー製層要素(LE)が上記ポリマー製層要素(LE)のポリマー(a)、好ましくはポリマー(a1)又はポリマー(a2)の融点よりも3~10℃高い温度に到達したとき、開始される。
【0131】
圧力ビルドアップ工程(iii)は、好ましくは、少なくとも1つのポリマー製層要素(LE)が少なくとも85℃、好適には85~150℃、好適には85~148℃の温度に到達したときに、開始される。
【0132】
プレス工程(iii)で使用される圧力は、好ましくは1000mbar以下、好ましくは500~900mbarである。上記の好ましい範囲の規定は、圧力保持工程(iv)の最後で、圧力が、回収工程(v)の前に0mbarであるように低下されてもよいことを意味する。
【0133】
加熱工程(ii)の継続時間は、好ましくは0.5~7分、好ましくは1~6分、好適には1.5~5分である。加熱工程(ii)は、段階的に行うことができ、典型的には段階的に行われる。
【0134】
圧力ビルドアップ工程(iii)の継続時間は、好ましくは0.01~10分、好ましくは0.01~5分、好ましくは0.01~3分である。圧力ビルドアップ工程(iii)は、一段階で行うことができるし、多段階で行うこともできる。
【0135】
圧力保持工程(iv)の継続時間は、好ましくは0.5~20分、好ましくは0.7~15分である。
【0136】
好ましくは、圧力ビルドアップ工程(iii)の継続時間及び圧力保持工程(iv)の継続時間の和は、好ましくは0.5~20分、好ましくは0.5~18分、好ましくは0.5~15分である。
【0137】
加熱工程(ii)の継続時間、圧力ビルドアップ工程(iii)の継続時間及び圧力保持工程(iv)の継続時間の和は、好ましくは25分未満、好ましくは2~22分、好ましくは5~22分である。
【実施例】
【0138】
測定方法
説明部分又は実験項に特段の記載がない限り、本文又は実験項に明記したポリマー組成物、極性ポリマー及び/又はそれらのあらゆる試料調製物の特性の決定については、以下の方法を使用した。
【0139】
メルトフローレート
メルトフローレート(MFR)は、ISO1133に従って測定し、g/10分単位で示す。MFRは、ポリマーの流動性、従って加工性の指標である。メルトフローレートが高いほど、ポリマーの粘度は低い。このMFRは、ポリエチレンについては190℃で測定した。MFRは、2.16kg(MFR2)又は5kg(MFR5)等の異なる荷重で測定されてもよい。
【0140】
密度
低密度ポリエチレン(LDPE):ポリマーの密度を、ISO 1183-2に従って測定した。試料調製は、ISO 1872-2 表3 Q(圧縮成形)に従って行った。
【0141】
コモノマー含有量:
ポリマー中に存在する極性コモノマーの含有量(重量%及びモル%)並びにポリマー組成物中(好ましくはポリマー中)に存在するシラン基(1又は複数)含有単位(好ましくはコモノマー)の含有量(重量%及びモル%):
定量的核磁気共鳴(NMR)分光法を使用して、本文中のこれまでに又はこれ以降に与えられるポリマー組成物又はポリマーのコモノマー含有量を定量した。
定量的1H NMRスペクトルは、400.15MHzで動作するBruker Advance III 400 NMR分光計を使用して溶液状態で記録した。すべてのスペクトルを、100℃の標準的なブロードバンドインバース(broad-band inverse)5mmプローブヘッドを使用し、すべての空圧について窒素ガスを使用して記録した。およそ200mgの物質をジ-tert-ブチルヒドロキシトルエン(BHT)(CAS 128-37-0)を安定剤として使用して、1,2-テトラクロロエタン-d2(TCE-d2)に溶解させた。30°パルス、緩和遅延3秒及び試料回転なしを利用して標準的なシングルパルス励起を採用した。2回のダミースキャンを使用して1スペクトルあたり全部で16の過渡信号を取得した。サンプリング間隔60μsで、1FIDあたり全部で32,000のデータポイントを集め、これは約20ppmのスペクトル窓に対応した。次いでこのFIDを64,000データポイントまでゼロ埋めし、指数窓関数を0.3Hzのラインブロードニングで適用した。同じポリマー中に存在する場合にアクリル酸メチル及びビニルトリメチルシロキサン共重合から生じる定量的シグナルを分解することができることを主な理由として、この設定を選んだ。
【0142】
定量的1H NMRスペクトルを処理し、積分し、カスタムスペクトル解析自動化プログラムを使用して定量的特性を決定した。すべての化学シフトは、5.95ppmの残留するプロトン化溶媒のシグナルを内部標準とした。
【0143】
存在する場合、種々のコモノマー配列での酢酸ビニル(VA)、アクリル酸メチル(MA)、アクリル酸ブチル(BA)及びビニルトリメチルシロキサン(VTMS)の組み込みから生じる特徴的なシグナルを観測した(Randell89)。すべてのコモノマー含有量を、ポリマー中に存在するすべての他のモノマーに対して算出した。
【0144】
酢酸ビニル(VA)組み込みは、*VA部位に帰属される4.84ppmのシグナルの積分値を使用し、コモノマーあたりの報告する核の数を考慮し、存在する場合のBHT由来のOHプロトンの重なりについて補正して定量した。
VA=(I*VA-(IArBHT)/2)/1
【0145】
アクリル酸メチル(MA)組み込みは、1MA部位に帰属される3.65ppmのシグナルの積分値を使用し、コモノマーあたりの報告する核の数を考慮して定量した。
MA=I1MA/3
【0146】
アクリル酸ブチル(BA)組み込みは、4BA部位に帰属される4.08ppmのシグナルの積分値を使用し、コモノマーあたりの報告する核の数を考慮して定量した。
BA=I4BA/2
【0147】
ビニルトリメチルシロキサン組み込みは、1VTMS部位に帰属される3.56ppmのシグナルの積分値を使用し、コモノマーあたりの報告する核の数を考慮して定量した。
VTMS=I1VTMS/9
【0148】
安定剤としてのBHTの付加的な使用から生じる特徴的なシグナルを観測した。BHT含有量は、ArBHT部位に帰属される6.93ppmのシグナルの積分値を使用し、1分子あたりの核の数を考慮して定量した。
BHT=IArBHT/2
【0149】
エチレンコモノマー含有量は、0.00~3.00ppmの混ざり合った脂肪族(バルク)シグナルの積分値を使用して定量した。この積分値は、分離した酢酸ビニル組み込み由来の1VA(3)部位及びαVA(2)部位、分離したアクリル酸メチル組み込み由来の□MA部位及びαMA部位、分離したアクリル酸ブチル組み込み由来の1BA(3)部位、2BA(2)部位、3BA(2)部位、□BA(1)部位及びαBA(2)部位、分離したビニルシラン組み込み由来の□VTMS部位及びαVTMS部位、並びにBHT由来の脂肪族部位、並びにポリエチレン配列由来の部位を含みうる。全エチレンコモノマー含有量は、上記バルク積分値に基づいて、かつ観測したコモノマー配列及びBHTを補正して算出した。
E=(1/4)×[Iバルク-5×VA-3×MA-10×BA-3×VTMS-21×BHT]
【0150】
上記バルクシグナル中のαシグナルの半分はエチレンを表しコモノマーを表さないこと、及び関連する分岐部位がない2つの飽和鎖の末端(S)について補正することは不可能であるためわずかの誤差が導入されることに留意されたい
ポリマー中の所定のモノマー(M)の全モル分率は、下記のように算出した。
fM=M/(E+VA+MA+BA+VTMS)
【0151】
モルパーセント単位の所定のモノマー(M)の全コモノマー組み込み率は、標準的なやり方でモル分率から算出した。
M[モル%]=100×fM
【0152】
重量パーセント単位での所定のモノマー(M)の全コモノマー組み込み率は、標準的なやり方でモル分率及び上記モノマーの分子量(MW)から算出した。
M[重量%]=100×(fM×MW)/((fVA×86.09)+(fMA×86.09)+(fBA×128.17)+(fVTMS×148.23)+((1-fVA-fMA-fBA-fVTMS)×28.05))
randall89: J.Randall、Macromol.Sci.、Rev.Macromol.Chem.Phys.1989、C29、201。
【0153】
他の特定の化学種由来の特徴的なシグナルが観測される場合、定量化及び/又は補正のロジックは、具体的に記載した化学種について使用するロジックと同様に拡張することができる。つまり、特徴的なシグナルの特定、特定のシグナル(1又は複数)の積分による定量化、報告する核の数の決定、並びにバルク積分値及び関連する計算における補正。このプロセスは注目する特定の化学種に対して特定のものであるが、このアプローチはポリマーの定量的NMR分光法の基本原理に基づいており、従って、当業者が必要に応じて実行することができる。
【0154】
接着試験
接着試験は、積層した細片に対して実施し、封止材フィルム及び後板を引張試験設備中で剥がし、その間、このために必要な力を測定する。
ガラス、2枚の封入材フィルム及び後板からなる積層体を最初に積層する。このガラスと第1封止材フィルムとの間に、テフロン(登録商標)の小さいシートを一方の端部に挿入する。これにより、ガラスに接着されない封止材及び後板の小部分を生成することになる。この部分を、引張試験装置のための固定点として使用することになる。
【0155】
次に、この積層体を、積層体に沿って切断し、15mm幅の細片を形成し、この切断は、ガラス表面まで後板及び封入材フィルムをすべて貫通する。
【0156】
この積層体を引張試験設備の中に載置し、引張試験装置のクランプを上記細片の末端に取り付ける。
【0157】
引張角は、上記積層体に対して90°であり、引張速度は、14mm/分である。
【0158】
細片に沿って25mmから開始して50mmの剥離の間の平均として引張力を測定する。
【0159】
50mmにわたる平均力を上記細片の幅(15mm)で除し、接着強度(N/cm)として提示する。
【0160】
レオロジー特性:
動的剪断測定(周波数掃引測定)
本文中にこれまでに又はこれ以降に与えられるポリマー組成物又はポリマーの融液(melt)の動的剪断測定による特性解析は、ISO規格6721-1及び6721-10に従う。測定は、25mm平行平板の配置を備えるAnton Paar MCR501応力制御型回転レオメータで実施した。測定は、窒素雰囲気を使用し、歪みを線形粘弾性領域内に設定して圧縮成形平板で行った。振動剪断試験は、0.01~600rad/sの周波数範囲を適用し、ギャップを1.3mmに設定して190℃で行った。
【0161】
動的剪断実験では、正弦波的に変化する剪断歪み又は剪断応力(それぞれ歪み及び応力を制御したモード)でプローブを均一な変形に供する。制御歪み実験では、下記式で表すことができる正弦波歪みにプローブを供する。
γ(t)=γ0sin(ωt) (1)
加えた歪みが線形粘弾性領域の範囲内にあれば、得られる正弦波応力応答は下記式で与えられうる。
σ(t)=σ0sin(ωt+δ) (2)
上記式中、
σ0及びγ0はそれぞれ応力振幅及び歪み振幅であり、
ωは角周波数であり、
δは位相差(加えた歪みと応力応答との間の損失角)であり、
tは時間である。
【0162】
動的試験結果は、典型的にはいくつかの異なるレオロジー関数、つまり剪断貯蔵弾性率G’、剪断損失弾性率G”、複素剪断弾性率G*、複素剪断粘度η*、動的剪断粘度η’、複素剪断粘度の異相成分η”及び損失正接tanδによって表され、上記レオロジー関数は以下のとおりに表すことができる。
【0163】
【0164】
上述のレオロジー関数に加えて、いわゆる弾性指数EI(x)等の他のレオロジーパラメータを決定することもできる。弾性指数EI(x)はxkPaの損失弾性率G”の値に対して決定された貯蔵弾性率G’の値であり、式(9)によって記述することができる。
EI(x)=(G”=xkPa)に対するG’[Pa] (9)
【0165】
例えば、EI(5kPa)は、5kPaに等しいG”の値に対して決定される貯蔵弾性率G’の値によって定義される。
【0166】
剪断減粘指数(SHI0.05/300)は、周波数0.05rad/s及び300rad/sで測定される2つの粘度の比、μ0.05/μ300として定義される。
【0167】
参考文献
[1]「Rheological characterization of polyethylene fractions」、Heino,E.L.,Lehtinen,A.,Tanner J.,Seppala,J.,Neste Oy,Porvoo,Finland,Theor.Appl.Rheol.,Proc.Int.Congr.Rheol,11th(1992),1,360-362
[2]「The influence of molecular structure on some rheological properties of polyethylene」、Heino,E.L.,Borealis Polymers Oy,Porvoo,Finland,Annual Transactions of the Nordic Rheology Society,1995.).
[3]Definition of terms relating to the non-ultimate mechanical properties of polymers、Pure & Appl.Chem.、第70巻、第3号、701-754頁、1998年。
【0168】
RSIを決定するための周波数掃引測定
動的振動剪断実験を、Anton Paar(アントンパール)レオメータ型式:MCR 501Aを用い、ISO規格6721-1及び10の方法を使用して行った。190℃及び25mm平行板モードでの周波数掃引実験を、窒素下、0.1~100sec-1で実行した。試料は、典型的には、厚さ1.3mmであり、この試料が上側のプラテン(圧盤)と下側のプラテンとの間の隙間を完全に埋めるのを確実にするように注意した。個別の緩和スペクトルを、市販のRSI TAソフトウェアOschestrator(商標)ソフトウェアパッケージを用いて算出した。
【0169】
報告する試料について算出した緩和モードの数は、典型的には、非線形方法を用いて2(N=2;すなわちディケードあたりの緩和回数の数)であった。
緩和スペクトルの第1モーメント- λI
貯蔵弾性率及び損失弾性率のデータ(G’、G”(□))からの個別の緩和時間スペクトルの決定は、IRIS Rheo Hub 2008を使用することにより行った。線形の粘弾性データ(G’、G”(□))を、25mm平行板と組み合わせたAnton Paar MCR 501で、1.3mmの隙間を与え、線形粘弾性領域内の歪みを与えて190℃で行った周波数掃引測定により得た。個別の緩和スペクトルの決定のために使用した基本的な算出原理は、別の書物に記載されている[1]。
【0170】
IRIS RheoHub 2008は、緩和時間スペクトルを、N個のマクスウェル(Maxwell)モードの和として表現する。
【数2】
上記式中、g
i及びλ
iは物質パラメータであり、G
eは平衡弾性率である。
【0171】
個別の緩和スペクトルの測定のために使用するモードの最大数Nの選択は、IRIS RheoHub 2008のオプション「optimum(最適)」を使用することにより行った。平衡弾性率Geはゼロに設定した。
【0172】
緩和スペクトルのいわゆる第1モーメントλ
Iは、参考文献[2]によれば、下式のように記述できる。
【数3】
上記式中、η
0及びG
N
0の値は、上記の手順を使用して、緩和スペクトルの算出後に、IRIS RheoHub 2008によって読み出された「Rheological Constants」表から採用した。
【0173】
参考文献
1.Baumgaertel M、Winter HH、「Determination of the discrete relaxation and retardation time spectra from dynamic mechanical data」、Rheol Acta 28:511519(1989)。
2.Structure and Rheology of Molten Polymers,John Dealy & Ronald G.Larson,Hanser 2006、119頁。
【0174】
融点、結晶化温度(Tcr)、及び結晶化度
使用したポリマーの融点Tmは、ASTM D3418に従って測定した。Tm及びTcrは、Mettler TA820示差走査熱量測定(DSC)を用いて3±0.5mgの試料に対して測定した。結晶化曲線及び融解曲線はともに、-10~200℃の間の10℃/分の冷却及び加熱の走査の間に得た。融点及び結晶化温度は、吸熱及び発熱のピークと解釈した。結晶化度は、同じポリマー種の完全結晶性ポリマーの融解熱、例えばポリエチレンについては290J/gとの比較によって算出した。
【0175】
光学測定:反射率及び透過率
透過率及び反射率を、モノクロメーター及び150mm積分球を備えるBentham PVE300を使用して、試料被検査物(厚さ0.45mmの単層フィルム)の層要素に対して直接測定した。検討対象の層要素を、透過率測定についてはこの積分球の前に置き、又は反射率測定についてはこの球の背後に置き、300~1100nmの光の波長に対し5nm間隔で測定を実施した。300~400nmの光の波長の太陽加重透過率及び400~1100nmの光の波長の太陽加重反射率を、式1に従う算出により得た。式1中、τ
wは加重透過率又は加重反射率を指し、τは被検査物の測定された透過率又は反射率を指し、λは光の波長を指し、E
pλは基準スペクトル光子照度(reference spectral photon irradiance)(IEC 60904-3に与えられる)を指す。本明細書では、反射率を測定し、試料被検査物の値を下記実験項で与える。
【数4】
【0176】
実験項
本発明のポリマー実施例の調製(アクリル酸メチルコモノマー及びビニルトリメトキシシランコモノマーを有するエチレンのコポリマー)
本発明の層要素(LE)IE1~IE4及び顔料(b)を有しない基準層要素CE1のポリマー(a)の重合
本発明のポリマー(a)を、市販の高圧管型反応器中、圧力2500~3000bar及び最高温度250~300℃で、従来の過酸化物開始剤を使用して製造した。エチレンモノマー、アクリル酸メチル(MA)極性コモノマー及びビニルトリメトキシシラン(VTMS)コモノマー(シラン基(1又は複数)含有コモノマー(b))を、従来のやり方でこの反応器系に加えた。当業者にとって周知のように、MFRを制御するためにCTAを使用した。本発明の最終ポリマー(a)について所望される特性バランスの情報を得た後で、当業者は、本発明のポリマー(a)を得るために、上記方法を制御することができる。
ビニルトリメトキシシラン単位VTMS、(=シラン基(1又は複数)含有単位)の量、MAの量及びMFR2を表1に与える。
下表中の特性を、上記反応器から、又は下に示すような層試料から得たポリマー(a)から測定した。
【0177】
【0178】
上記表1及び以降において、MAはポリマー中に存在するアクリル酸メチルコモノマーの含有量を表し、VTMS含有量は、ポリマー中に存在するビニルトリメトキシシランコモノマーの含有量を表す。ポリマー(a)を、以降の試験で使用した。
【0179】
顔料(b):ルチル形態の二酸化チタンTiO2製品であるKronos 2220製品を顔料(b)として使用した。つまり、Kronos 2220は、塩化物プロセスによって製造されるルチル顔料であり、CAS No.13463-67-7、TiO2含有量(DIN EN ISO 591)92.5%以上であり、Kronos Internationalによって供給されている。
【0180】
基準ポリマー組成物CE1からなる(顔料(b)なし)層要素(LE)(単層フィルム)試料及び本発明のポリマー組成物IE1~IE4(同じベースポリマーを有し異なる量の顔料(b)を有する)からなる層要素(LE)(単層フィルム)試料の調製。
【0181】
【0182】
ポリマー(a)及び顔料(b)の重量%は、層要素(フィルム)試料について使用したポリマー組成物の全量に対する値である。
【0183】
本発明の組成物及び比較例の組成物を、CE1の場合には顔料(b)を含まないポリマー(a)を上記押出機に加えることにより、及びIE1~IE4の場合にはポリマー(a)を上に与えた量の顔料(b)と合わせることにより、フィルムキャスト押出ラインで製造し、次いでそれらの組成物の層要素(単層フィルム)試料を製造した。設備並びに押出及び層要素製造条件は下記のとおりである。
【0184】
設備:「Plastikmaschinenbau PM30」ライン
使用した設備設定及び調製条件:
ダイギャップ:0.5mm
スクリュー回転数:98rpm(51~53kg/h)
ライン速度:2.9m/分
スクリーン:400/900/2500/900/400
冷却ロール温度:10℃~15℃
温度プロファイル:
【数5】
試料の膜厚:450μm
フィルム幅:550mm
試料の溶融温度:140℃
試料の溶融圧力:50~53bar スループット
試料のスループット:51~53kg/h
【0185】
フィルム試料それ自体から反射率を測定した。測定方法は、「測定方法」のところに記載されている。
【0186】
【0187】
積層
保護用表側層要素(ガラス層)/表側封止層要素(透明であり、CE1として調製したポリマー(a)のみからなる)/光起電要素(はんだ付けしたSi-セル/裏側封止層要素(試験層要素、すなわちCE1(顔料(b)を含まない透明なポリマー(a))又はIE1~IE4(白色であり、上で与えた量の顔料(b)を含む))/保護用裏側層要素(ガラス層)、すべてで5層要素、を、以下の積層条件、温度145℃及び圧力800mbarにおいて、ピンアップ時間(pins-up time):2分、排気時間:5分、プレス時間:3分、保持時間:7分、を使用して、真空ラミネーター(ICOLAM 25/15、Meier Vakuumtechnik GmbH製)中で積層することにより光起電モジュールを調製した。ガラス層要素、つまり1670×983mmの寸法及び厚さ2mmを有するFISolar製TVG Z-704-194を保護用表側層要素及び保護用裏側層要素として使用した。PVセル要素としての太陽電池は、10セルがセル間距離1.5mmで直列に自動的に接続されていた(stringed)。上で規定した表側封入材要素を表側保護用ガラス要素の上に置いた後、この太陽電池を、上記表側封入材要素上に各列10セルの6列に、列間距離±2.5mmで置き、標準モジュールとしてのソーラーモジュールに全部で60セルが存在するようにした。次に、PVモジュール製造業者には周知のように、この太陽電池の端部を一緒にはんだ付けし、完全に一体化した接続を有するようにした。積層モジュールあたり、はんだ付けされ直列に接続された(6×10セル)全部で60個のSiセルを使用した。次に、この太陽電池要素の他の側に、上で規定した裏側封止要素を供し、この裏側封止要素の他の側に保護用裏側層要素(ガラス層)を合わせた。上記の積層の後、このモジュールに接続箱を取り付け、電流-電圧測定を容易にした。得られた積層体試料を、後述する出力測定で使用した。
【0188】
出力測定
2msのフラッシュパルス及び1000W/m2の光強度を有するBerger Lichttechnikソーラシミュレータを使用して、電流-電圧特性を得た。
上記モジュールを、ランプから約3.5mのところに置かれた構造体上に鉛直方向に載置した。ランプと及びモジュールとの間の領域及びモジュールの背後の領域は、反射を回避するために、黒い壁及び黒いカーテンで覆った。上記モジュールの平面視における照度を、上記モジュールのそばに置いた基準セルを使用して測定し、温度を、測定領域に置いた温度計を使用して測定した。これらのパラメータ(照度及び温度)は、IEC60904規格が要求するとおり、得られたIV曲線をSTC状態(25℃及び1000W/m2)に補正するために使用した。
【0189】
表4は、基準PVモジュール試料と比べて、本発明のPV試験モジュール試料の短絡電流の有意な増加を示す。この増加は、上で論じた白色の裏側封止層要素からの光子の反射に起因すると考えられる。これらの結果は、3つの基準PVモジュール及び各本発明のPVモジュールの3つのモジュールからの平均値である。
【0190】
【0191】
保存安定性
30℃での本発明のポリマー組成物の極めて良好な保存安定性を表5に示す。
【0192】
【0193】
緩和スペクトル指数(RSI)
表6で見られるように、顔料を含有する場合、本発明に係るポリマー組成物は、より高い緩和スペクトル指数(Relaxation Spectrum Index:RSI)を示す。このように、顔料はポリマー組成物の流動性を向上させる。
【0194】