(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】発熱モジュール及び発煙装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20230301BHJP
【FI】
A24F40/46
(21)【出願番号】P 2021550136
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(86)【国際出願番号】 CN2020137715
(87)【国際公開番号】W WO2022011969
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】202010692946.4
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521378831
【氏名又は名称】恵州市沛格斯科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】晏 華斌
(72)【発明者】
【氏名】鄭 志良
【審査官】松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-71728(JP,A)
【文献】特開2003-308951(JP,A)
【文献】米国特許第7004234(US,B2)
【文献】中国実用新案第210611028(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第106879091(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110771954(CN,A)
【文献】米国特許第6611660(US,B1)
【文献】特開2019-129820(JP,A)
【文献】国際公開第2020/044187(WO,A1)
【文献】特開昭61-185883(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109259329(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108095194(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱モジュールであって、
支持部品と、少なくとも一部が前記支持部品に設けられる発熱コイルと、を含む加熱アセンブリと、
前記加熱アセンブリの外周側に設けられるハウジングと、を含み、
前記支持部品の外面には、溝が形成され、
前記発熱コイルは、前記溝内に巻き付けられる発熱本体を含
み、
前記溝は、第1溝と、前記第1溝の一端に接続される第2溝と、前記第1溝の他端に接続される第3溝と、を含み、
前記第1溝は、前記支持部品の先端に形成され、
前記第2溝と前記第3溝とは、間隔を空けて、それぞれ前記支持部品の先端から前記支持部品の基端に向かって前記支持部品の外周面を巻き付けるように形成され、
前記発熱本体は、第1発熱セグメントと、前記第1発熱セグメントの一端に接続される第2発熱セグメントと、前記第1発熱セグメントの他端に接続される第3発熱セグメントと、を含み、
前記第1発熱セグメント、前記第2発熱セグメント及び前記第3発熱セグメントは、それぞれ前記第1溝内、前記第2溝内及び前記第3溝内に設けられる、
ことを特徴とする発熱モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の発熱モジュールであって、
前記支持部品は、支持本体と、前記支持本体の外面に設けられる絶縁層と、を含む、
ことを特徴とする発熱モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の発熱モジュールであって、
前記支持本体の熱伝導率は、80W/m・K以上である、
ことを特徴とする発熱モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載の発熱モジュールであって、
前記支持本体の材料は、金属であり、
前記絶縁層の材料は、前記支持本体に形成される金属酸化物を含む、
ことを特徴とする発熱モジュール。
【請求項5】
請求項4に記載の発熱モジュールであって、
前記支持本体の材料は、金、銀、銅、鉄、アルミニウム又はそれらの合金のうちの一種であり、
前記絶縁層の材料は、アルミナセラミックス及びジルコニアのうちの一種を含む、
ことを特徴とする発熱モジュール。
【請求項6】
請求項1に記載の発熱モジュールであって、
前記加熱アセンブリと前記ハウジングとの間に充填される熱伝導性接着剤をさらに含む、
ことを特徴とする発熱モジュール。
【請求項7】
請求項6に記載の発熱モジュールであって、
前記熱伝導性接着剤は、セラミックス類又はガラスエナメル類の無機接着剤から選ばれる、
ことを特徴とする発熱モジュール。
【請求項8】
請求項1に記載の発熱モジュールであって、
前記発熱コイルは、前記発熱本体に接続されるピンと、前記ピンの外周を被覆する導電層と、をさらに含み、
前記導電層の抵抗率は、前記ピンの抵抗率よりも低い、
ことを特徴とする発熱モジュール。
【請求項9】
請求項8に記載の発熱モジュールであって、
前記ピンの材料は、前記発熱本体の材料と異なり、
前記ピンの抵抗率は、前記発熱コイルの抵抗率よりも低い、
ことを特徴とする発熱モジュール。
【請求項10】
請求項8に記載の発熱モジュールであって、
前記導電層の材料は、銀、銅及び金から選ばれる一種又は少なくとも二種の組み合わせである、
ことを特徴とする発熱モジュール。
【請求項11】
請求項1から1
0のいずれか1項に記載する発熱モジュールを含むことを特徴とする発煙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発煙装置技術に関し、特に発熱モジュール及び発煙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、従来の発熱モジュールは、ハウジングと、ハウジング内に設けられる発熱コイルと、を含む。このような発熱モジュールは、構成が簡単であるが、発熱モジュールの使用中に加熱にむらが発生しやすいため、被加熱品の品質が悪くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施例は、従来の発熱モジュールの使用中に加熱にむらが発生するという技術問題を解決するための発熱モジュール及び発煙装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のある態様によれば、支持部品と、少なくとも一部が前記支持部品に設けられる発熱コイルと、を含む加熱アセンブリと、前記加熱アセンブリの外周側に設けられるハウジングと、を含む発熱モジュールが提供され、前記支持部品の外面には、溝が形成され、前記発熱コイルは、前記溝内に巻き付けられる発熱本体を含む。
【0005】
また、本発明の実施例に記載の発熱モジュールでは、前記支持部品は、支持本体と前記支持本体の外面に設けられる絶縁層とを含む。
【0006】
また、本発明の実施例に記載の発熱モジュールでは、前記支持本体の熱伝導率は、80W/m・K以上である。
【0007】
また、本発明の実施例に記載の発熱モジュールでは、前記支持本体の材料は、金属であり、前記絶縁層の材料は、前記支持本体に形成される金属酸化物を含む。
【0008】
また、本発明の実施例に記載の発熱モジュールでは、前記支持本体の材料は、金、銀、銅、鉄、アルミニウム又はそれらの合金のうちの一種であり、前記絶縁層の材料は、アルミナセラミックス及びジルコニアのうちの一種を含む。
【0009】
また、本発明の実施例に記載の発熱モジュールでは、前記加熱アセンブリと前記ハウジングとの間に充填される熱伝導性接着剤をさらに含む。
【0010】
また、本発明の実施例に記載の発熱モジュールでは、前記熱伝導性接着剤は、セラミックス類又はガラスエナメル類の無機接着剤から選ばれる。
【0011】
また、本発明の実施例に記載の発熱モジュールでは、前記発熱コイルは、前記発熱本体に接続されるピンと、前記ピンの外周を被覆する導電層と、をさらに含み、前記導電層の抵抗率は、前記ピンの抵抗率よりも低い。
【0012】
また、本発明の実施例に記載の発熱モジュールでは、前記ピンの材料は、前記発熱本体の材料と異なり、前記ピンの抵抗率は、前記発熱コイルの抵抗率よりも低い。
【0013】
また、本発明の実施例に記載の発熱モジュールでは、前記導電層の材料は、銀、銅及び金から選ばれる一種又は少なくとも二種の組み合わせである。
【0014】
また、本発明の実施例に記載の発熱モジュールでは、前記溝は、第1溝と、前記第1溝の一端に接続される第2溝と、前記第1溝の他端に接続される第3溝と、を含み、
前記第1溝は、前記支持部品の先端に形成され、
前記第2溝と前記第3溝とは、間隔を空けて、それぞれ前記支持部品の先端から前記支持部品の基端に向かって前記支持部品の外周面を巻き付けるように形成され、
前記発熱本体は、第1発熱セグメントと、前記第1発熱セグメントの一端に接続される第2発熱セグメントと、前記第1発熱セグメントの他端に接続される第3発熱セグメントと、を含み、
前記第1発熱セグメント、前記第2発熱セグメント及び前記第3発熱セグメントは、それぞれ前記第1溝内、前記第2溝内及び前記第3溝内に設けられる。
【0015】
本発明のその他の態様によれば、前述した発熱モジュールを含む発煙装置がさらに提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の態様に係る発熱モジュール及び発煙装置によれば、発熱コイルを支持部品に設けることで加熱アセンブリを形成し、加熱アセンブリを発熱源としてハウジングを加熱することにより、発熱モジュール全体の発熱均一性が向上する。また、発熱モジュールとハウジングとの間の隙間を熱伝導性接着剤で充填することにより、発熱モジュールは、ハウジングに熱を均一に伝導することができ、発熱モジュール全体の発熱均一性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の内容をより明確に説明するために、以下、各実施形態の説明に用いられる図面を簡単に説明する。また、図面は、本発明の一部の実施形態に過ぎず、当業者は、これらの図面に基づいて容易に想到し得る他の図面を取得することができる。
【0018】
【
図1】本発明の実施例に係る発熱モジュールの構成概略図である。
【
図2】本発明の実施例に係る発熱モジュールの断面構成概略図である。
【
図3】本発明の実施例に係る発熱モジュールの分解構成概略図である。
【
図4】本発明の実施例に係る発熱モジュールのハウジングの構成概略図である。
【
図5】本発明の実施例に係る発熱モジュールの加熱アセンブリの構成概略図である。
【
図6】本発明の実施例に係る発熱モジュールの加熱アセンブリの分解構成概略図である。
【
図7】本発明の実施例に係る発熱モジュールの支持部品の断面構成概略図である。
【
図8】背景技術に係る発熱モジュールの発熱効果図である。
【
図9A】本発明の実施例に係る発熱モジュールの発熱効果図における支持部品の温度概略図である。
【
図9B】本発明の実施例に係る発熱モジュールの発熱効果図におけるハウジングの温度概略図である。
【
図10】本発明の実施例に係る発熱モジュールの加熱アセンブリの他の構成を示す分解概略図である。
【
図11】本発明の実施例に係る発熱モジュールの加熱アセンブリの他の構成を示す分解概略図である。
【0019】
図8、
図9A、及び
図9Bにおいて、「+」は、対応する発熱モジュールにおける位置を示し、「P0-P13」は、それらのシリアル番号を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の各実施形態の図面を参照しながら、本発明の内容を明確かつ詳細に説明する。これらの実施形態は、本発明の一部の実施形態に過ぎず、全ての実施形態ではない。当業者がこられの実施形態に基づいて容易に想到し得た他の実施形態も、本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【0021】
本発明の説明では、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」等の用語に示される方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものである。これらの用語は、本発明を分かりやすく説明するためのものであり、装置又は要素が具備する特定の方位ではなく、特定の方位で構成され、操作されるものでもなく、本発明を限定するものではない。また、「第1」、「第2」という用語は、説明の目的のみに使用され、相対的な重要性を示し又は暗示し、或いは示された技術的特徴の数を暗示的に示すように理解できない。このため、「第1」、「第2」という用語で定義された特徴は、一つ又は複数の前記特徴を含むことを明示的又は暗示的に示すことができる。本発明の説明では、「複数」は、具体的に限定されない限り、二つ又はそれ以上を意味する。
【0022】
本発明の説明では、明確な規定と限定がない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」という用語は、広い意味で理解されるべきである。例えば、固定接続でもよく、取り外し可能な接続でもよく、一体的な接続でもよい。また、機械接続でもよく、電気接続でもよく、通信接続でもよい。直接接続でもよく、中間媒体を介する間接接続でもよい。二つの素子の内部接続でもよく、二つの素子の相互作用関係でもよい。当業者は、具体的な状況に基づいて前述した用語の本発明における具体的な意味を理解することができる。
【0023】
本発明の説明では、明確な規定と限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」に位置すると説明されている場合、第1特徴が第2特徴に直接接触するよう配置されてもよく、直接接触の配置されずに他の特徴を介して配置されてもよい。また、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」、「上面」に位置すると説明されている場合、第1特徴が第2特徴の真上に配置されてもよく、斜め上に配置されてもよく、第1特徴が単に第2特徴より高い位置に配置されてもよい。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」、「下面」に位置すると説明されている場合、第1特徴が第2特徴の真下に配置されてもよく、斜め下に配置されてもよく、第1特徴が単に第2特徴より低い位置に配置されてもよい。
【0024】
以下、本発明の説明では、異なる構造を実現するために複数の実施形態又は実施例が提供される。本発明の開示を簡素化するために、特定の例の部品及び配置を以下に説明する。もちろん、これらの説明は、例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。また、本発明の説明では、異なる例において同じ番号及び/又は文字を付する場合がある。同じ番号及び/又は文字を付することは、簡素化及び明確化のためであり、各実施形態及び/又は配置の間の関係を示すためではない。さらに、本発明は、様々な特定のプロセス及び材料の例を提供するが、当業者は、他のプロセスの適用及び/又は他の材料の使用を認識することができる。
【0025】
図1~
図3を参照されたい。
図1は、本発明の実施例に係る発熱モジュールの構成概略図である。
図2は、本発明の実施例に係る発熱モジュールの断面構成概略図である。
図3は、本発明の実施例に係る発熱モジュールの分解構成概略図である。
【0026】
本実施例において、発熱モジュール100は、加熱アセンブリ10aと、ハウジング10bと、熱伝導性接着剤10cと、固定具10dと、を含む。
【0027】
前記加熱アセンブリ10aは、支持部品11と、発熱コイル12と、を含む。前記発熱コイル12の少なくとも一部は、前記支持部品11に設けられる。
【0028】
前記ハウジング10bは、前記加熱アセンブリ10aの外周側に設けられる。前記熱伝導性接着剤10cは、前記加熱アセンブリ10aと前記ハウジング10bとの間に充填される。
【0029】
ハウジング10bは、固定具10dと嵌合される。固定具10dは、加熱アセンブリ10a及び熱伝導性接着剤10cが設けられるハウジング10bを発煙装置の内部に固定するためのものである。発煙装置は、電子たばこでもよく、非電子たばこであってもよい。本実施例では、発煙装置が電子たばこであることを例として説明するが、これに限られない。
【0030】
本実施例において、発熱モジュール100は、発熱コイル12を支持部品11に設けることで加熱アセンブリ10aを形成し、加熱アセンブリ10aを発熱源としてハウジング10bを加熱することにより、発熱モジュール100全体の発熱均一性が向上する。また、加熱アセンブリ10aとハウジング10bとの間の隙間を熱伝導性接着剤10cで充填することにより、加熱アセンブリ10aは、ハウジング10bに熱を均一に伝導することができ、発熱モジュール100全体の発熱均一性が向上する。
【0031】
本発明の実施例に係る発熱モジュール100において、前記熱伝導性接着剤10cは、セラミックス類又はガラスエナメル類の無機接着剤から選ばれるものである。無機接着剤は、加熱アセンブリ10aとハウジング10bとの間の隙間に充填される。熱伝導性接着剤10cは、加熱アセンブリ10aから放出された熱を素早くハウジング10bに伝導することにより、空気伝導による熱伝導率の低下及び熱均一性の低下を回避するとともに、水と酸素が発熱モジュール100の内部に入り込んで発熱コイル12を侵食することを回避することができる。
【0032】
本実施例に係る発熱モジュール100が発煙装置に適用される場合、熱伝導性接着剤10cは耐熱性の高い無機接着剤である必要がある。
【0033】
また、熱伝導性接着剤10cは、真空脱気プロセス、振動方式、又はこれらの組み合わせにより充填される。これにより、熱伝導性接着剤10c内に気泡がなく、熱伝導性が向上する。
【0034】
図4に示すように、前記ハウジング10bにおいて、ハウジング10bの材料は、セラミックス材料を含むが、これに限られない。ハウジング10bは、順に接続されるテーパー部141と、円柱体部142と、ベース143と、を含む。円柱体部142は、円弧構造によりベース143に接続される。ハウジング10は、一体成形構造であるため、ハウジング10の安定性が向上する。
【0035】
他の実施例において、ハウジング10bは、扁平状の剣状部と、前記剣状部に接続されるベースと、を含む。ハウジング10bは他の構造であってもよく、ここで説明を省略する。
【0036】
図5及び
図6に示すように、前記加熱アセンブリ10aにおいて、前記発熱コイル12の一部は、前記支持部品11の外面に形成される溝13内に設けられる。
【0037】
発熱コイル12は、支持部品11の外面に形成される溝13内に設けられる。これにより、発熱コイル12の位置を規制する機能を発揮し、発熱コイル12が取付過程において移動することを回避することができる。また、溝13と発熱コイル12とは、形状が適合し、互いに密着するため、発熱コイル12と支持部品11との接触面積が大きくなり、支持部品11の発熱効率が向上する。さらに、加熱アセンブリ10aの組立過程において、溝13をガイドとして機能する。即ち、自動巻き取り機により発熱コイル12の線材を溝13に沿って溝13内に巻き付ければよく、簡単で素早く、プロセス効率が向上するとともに、発熱コイル12の巻き線間の短絡を回避することができる。
【0038】
さらに、支持部品11は、略円柱状であってもよい。具体的には、支持部品11は、その先端が円錐台状であり、先端よりも下方に位置する下部が円柱状であるが、これに限られない。例えば、前記支持部品11は、前記支持部品11の先端から前記支持部品11の基端に向かう方向に沿って、面積が漸次大きくなり、例えば、円錐台である。加熱アセンブリ10aがハウジング10b内に挿入されるため、発熱コイル12が支持部品11の基端に向かう方向へ移動することがこのような構成によりさらに防止される。即ち、発熱コイル12の移動を回避することができる。
【0039】
本実施例に係る発熱モジュール100において、
図7に示すように、前記支持部品11は、支持本体111と、前記支持本体111の外面に設けられる絶縁層112と、を含む。絶縁層112を設けることにより、発熱コイル12の短絡を回避することができる。
【0040】
本実施例において、絶縁層112の材料は、支持本体111の材料と異なる。
【0041】
他の実施例において、絶縁層112の材料は、支持本体111の材料と同一であってもよい。具体的には、支持本体111と絶縁層112とは一体成形された絶縁材料、例えばセラミックスで構成される。
【0042】
さらに、前記支持本体111の熱伝導率は、60W/m・K(ワット毎メートル毎ケルビン;Watts per meter-Kelvin)以上である。支持本体111が高熱伝導率の材料からなることにより、発熱コイル12から発生した熱は、支持部品11に素早く均一に伝導される。そして、加熱アセンブリ10aは、全体的に素早く均一に発熱し、当該熱は、熱伝導性接着剤10cを均一に通過し、ハウジング10bに伝導される。これにより、最終的にハウジング10bの各部の温度を均一にすることができる。
【0043】
支持本体111の熱伝導率は、80W/m・K(ワット毎メートル毎ケルビン;Watts per meter-Kelvin)以上であることが好ましい。これにより、加熱アセンブリ10a全体の発熱均一性がさらに向上する。例えば、支持本体111の熱伝導率は90W/m・K、100W/m・K、110W/m・K或いは120W/m・K等であってもよい。
【0044】
さらに、前記支持本体111の材料は金属であるが、これに限られない。例えば、SiC(炭化ケイ素)、グラフェン等の材料であってもよい。前記絶縁層112の材料は、前記支持本体に形成される金属酸化物を含むが、金属酸化物とは限らない。例えば、耐熱性の高い無機材料等であってもよい。
【0045】
さらに、前記支持本体111の材料は、金、銀、銅、鉄、アルミニウム又はそれらの合金のうちの一種である。前記絶縁層112的材料は、アルミナセラミックス、ジルコニアのうちの一種を含む。例えば、前記支持本体111の材料は、アルミニウムであり、前記絶縁層112の材料は、前記支持本体111に形成されるジルコニアを含む。即ち、緻密なジルコニア薄膜層(絶縁層112)が形成されるように、支持本体111の表面に陽極酸化処理が施される。ここで、ジルコニア薄膜の緻密性により、薄膜層は、高い硬度を有するとともに電流の通過を防止する機能を発揮し、発熱コイル12の巻き線間の短絡を回避することができる。また、アルミニウム製の支持本体111が高熱伝導率を有するため、熱を素早く伝導することができる。さらに、アルミニウム製の支持本体111の表面に直接陽極酸化処理を施すことにより絶縁層112が形成され、製造効率が向上する。
【0046】
本実施例において、支持本体111は、他の材料であってもよく、ここで説明を省略する。
【0047】
本実施例に係る発熱モジュール100において、
図6に示すように、前記発熱コイル12は、発熱本体121と、前記発熱本体121に接続されるピン122と、前記ピン122の外周を被覆する導電層123と、を含む。
【0048】
前記発熱本体121は、前記溝13内に収容されるように前記支持部品11の外面に巻き付けられる。発熱本体121を溝13内に巻き付けて設けることにより、発熱本体121と支持部品11との接触面積が大きくなり、支持部品11の発熱効率が向上する。
【0049】
さらに、発熱本体121を支持部品11に螺旋状に巻き付けることにより、加熱アセンブリ10aの発熱均一性が向上する。
【0050】
さらに、発熱本体121を前記支持部品11に均一に巻き付けることにより、加熱アセンブリ10aの発熱均一性が向上する。発熱本体121を前記支持部品11に非均一に巻き付けてもよい。
【0051】
また、本実施例に係る加熱アセンブリ10aにおいて、導電層123の抵抗率は、前記ピン122の抵抗率よりも低い。
【0052】
現在、発熱コイルへの電力供給は、ほとんどパルス幅変調(PWM)によるものである。そして、PWMは高周波交流とみなされ、電流のほとんどは発熱コイルの「肌」部分に集中し、つまり、電流は発熱コイルの外面の薄い層に集中する。発熱コイルの表面に近づけば近づくほど、電流密度が高くなる。このため、発熱コイル12のピン122の表面に低抵抗率を有する材料からなる層を形成することにより、発熱コイル12のピンセグメント(ピン122と導電層123との結合部分)の表面の抵抗値が極めて小さくなり、ピンセグメントから発生する熱が大幅に減少する。
【0053】
また、TCR温度制御は、発熱コイルの全体部分(ピンセグメント+発熱本体121)の抵抗を検出し、ピンセグメントの抵抗を減少させることにより、発熱本体121の抵抗の割合を増加させ、温度制御をより正確にし、発熱コイルの実際の状況をより良好に反映することができる。
【0054】
さらに、前記導電層123の材料は、銀、銅及び金から選ばれる一種又は少なくとも二種の組み合わせであるが、これに限られない。また、導電層123は、電気めっき、蒸着めっき又は原子堆積によって前記ピン122に形成される。
【0055】
また、温度制御をより正確にするために、本実施例に係る発熱本体121の材料は、ピン122の材料と異なる。ピン122の抵抗率は、発熱本体121の抵抗率よりも低い。発熱本体121は、ピン122に溶接されて設けられる。
【0056】
実施例において、発熱本体121とピン122とは一体成型構造であってもよい。両者は、材料が同一であり、その材料は、ニッケル、鉄ニッケル合金又はその他の導電性材料である。
【0057】
具体的には、
図5及び
図6に示すように、本実施例に係る加熱アセンブリ10aにおいて、前記溝13は、第1溝131と、前記第1溝131の一端に接続される第2溝132と、前記第1溝131の他端に接続される第3溝133と、を含む。
【0058】
前記第1溝131は、前記支持部品11の先端に形成される。前記第2溝132及び前記第3溝133は、それぞれ前記支持部品11の先端から前記支持部品11の基端に向かって前記支持部品11の外周面を巻き付けるように形成される。前記第2溝132と前記第3溝133とは、間隔をあけて円柱状の支持部品11の外周面に螺旋状に形成される。
【0059】
前記発熱本体121は、第1発熱セグメント1211と、前記第1発熱セグメント1211の一端に接続される第2発熱セグメント1212と、前記第1発熱セグメント1211の他端に接続される第3発熱セグメント1213と、を含む。
前記第1発熱セグメント1211、前記第2発熱セグメント1212及び前記第3発熱セグメント1213は、それぞれ前記第1溝131内、前記第2溝132内及び前記第3溝133内に設けられる。
【0060】
ここで、支持部品11の先端に第1溝131を形成し、発熱本体121の第1発熱セグメント1211を第1溝131内に設けることにより、発熱コイル12の具体的な位置を位置決めする効果を奏する。即ち、加熱アセンブリ10aの組立過程において発熱コイル12が水平面上で変位することを回避することができる。
【0061】
さらに、第1溝131を支持部品11の先端の中心線位置に形成することにより、発熱コイル12を支持部品11の中心位置に位置決めすることができ、加熱アセンブリ10aの発熱均一性が向上する。
【0062】
なお、前記中心線は、支持部品11を2つの同じ部分に分割する線である。例えば、支持部品11が円柱状であり、その先端の頂面が円形である場合、当該頂面の円心を通過する径方向の直線は、前記中心線となる。支持部品11が角柱状であり、その先端の頂面が長方形である場合、当該頂面の中心を通過する中心線又は対角線は、前記中心線となる。
【0063】
以上により、本実施例に係る発熱モジュール100において、発熱本体121を支持部品11の溝13内に巻き付けるとともに、ハウジング10bと加熱アセンブリ10aとの間を熱伝導性接着剤10cで充填することにより、発熱モジュール100の発熱均一性が向上する。
【0064】
具体的には、
図8を参照されたい。
図8は、背景技術に係る発熱モジュールの発熱効果図である。
図8からわかるように、従来技術に係る発熱モジュール内の任意の2箇所間の最小温度差は、摂氏12.92度(℃)であり、最大温度差は、摂氏148.75度(℃)である。即ち、発熱モジュールの発熱は、非均一となる。
【0065】
これに対し、本実施例に係る発熱モジュール100については、
図9A及び
図9Bを参照されたい。
図9Aにおいて、発熱モジュール100における支持部品11の任意の2箇所間の最大温度差は、摂氏2.65度(℃)である。
図9Bにおいて、発熱モジュール100におけるハウジング10bの任意の2箇所間の最大温度差は、摂氏1.87度(℃)である。
図8に比べ、本発熱モジュール100の発熱効果は、明らかにより均一となる。
【0066】
【0067】
実施例において、
図10に示すように、本実施例に係る加熱アセンブリ10aに比べ、加熱アセンブリ20aは、以下の点で本実施例に係る加熱アセンブリ10aと相違する。支持部品21の先端には、溝が形成されない。即ち、支持部品21の外周面には、第1溝231と第2溝232とが形成される。第1溝231及び第2溝232は、それぞれ前記支持部品21の先端から前記支持部品21の基端に向かって前記支持部品21の外周面を巻き付けるように形成される。前記第1溝231と前記第2溝232とは、間隔をあけて円柱状の支持部品21の外周面に螺旋状に形成される。
【0068】
発熱コイル22は、発熱本体221と、発熱本体221に接続されるピン222と、前記ピン222を被覆する導電層(図示せず)と、を含む。
【0069】
前記発熱本体221は、第1発熱セグメント2211と、前記第1発熱セグメント2211の一端に接続される第2発熱セグメント2212と、前記第1発熱セグメント2211の他端に接続される第3発熱セグメント2213と、を含む。
【0070】
前記第1発熱セグメント2211は、支持部品21の先端に突設される。前記第2発熱セグメント2212は、第1溝231内に設けられる。第3発熱セグメント2213は、第2溝232内に設けられる。
【0071】
発熱コイル12の巻き付け方は、前述した実施例と異なる巻き付け方であってもよく、例えば、前述した二重螺旋巻き付け方と異なる一重螺旋巻き方であってもよい。
図11に示すように、加熱アセンブリ30aは、支持部品31と、支持部品31に巻き付けられる発熱コイル32と、を含む。発熱コイル32は、発熱本体321と、発熱本体321に接続されるピン322と、前記ピン322を被覆する導電層(図示せず)と、を含む。
【0072】
支持部品31は、支持部品31を貫通する通孔311を有する。当該通孔311の深さ方向は、支持部品31の延在方向である。
【0073】
支持部品31の周壁には、螺旋状の溝33が形成される。発熱本体321は、前記溝33内に巻き付けられる。発熱コイル32の一方のピン322は、発熱本体321の一端に接続されるとともに支持部品31から露出するように前記通孔311を貫通する。発熱コイル32の他方のピン322は、発熱本体321の他端に接続されるとともに前記支持部品31から露出する。
【0074】
本発明は、前述した任意の実施例に係る発熱モジュールを含む発煙装置を提供する。
【0075】
本発明の発熱モジュール及び発煙装置によれば、発熱コイルを支持部品に設けることで加熱アセンブリを形成し、加熱アセンブリを発熱源としてハウジングを加熱することにより、発熱モジュール全体の発熱均一性が向上する。また、発熱モジュールとハウジングとの間の隙間を熱伝導性接着剤で充填することにより、発熱モジュールは、ハウジングに熱を均一に伝導することができ、発熱モジュール全体の発熱均一性が向上する。
【0076】
以上、本発明の各実施形態に係る発熱モジュール及び発煙装置については、詳細に説明した。また、本発明の原理及び実施形態を具体例により説明したが、これらの実施形態の説明は、本発明の技術手段及び技術思想の理解に用いられるものに過ぎない。さらに、当業者にとって、本発明の技術手段及び技術思想によって、他の様々な対応する変更及び変形を行うことができ、これらのすべての変更及び変形は、いずれも本発明の特許請求の範囲の保護範囲に属するべきである。