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特許7235903心臓情報の取得および解析に役立つ位置特定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】心臓情報の取得および解析に役立つ位置特定システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/367 20210101AFI20230301BHJP
   A61B 5/06 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A61B5/367 100
A61B5/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022025488
(22)【出願日】2022-02-22
(62)【分割の表示】P 2017559317の分割
【原出願日】2016-05-13
(65)【公開番号】P2022075679
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】62/161,213
(32)【優先日】2015-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513228661
【氏名又は名称】アクタス メディカル インク
【氏名又は名称原語表記】Acutus Medical,Inc.
【住所又は居所原語表記】2210 Faraday Ave,Suite 100 Carlsbad CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェルシュ ダニエル ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン マーカス エフ
(72)【発明者】
【氏名】ビーティ グレイドン イー
(72)【発明者】
【氏名】シ キンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ デリック アール
(72)【発明者】
【氏名】ウェアネス ランデル エル
(72)【発明者】
【氏名】フラハティ ジェイ クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】マグレガー マーク
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-506171(JP,A)
【文献】特表2001-522288(JP,A)
【文献】特表2014-514031(JP,A)
【文献】国際公開第2014/137897(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0095105(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06
A61B 5/24 - 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺組織によって定められた体の腔へ1つ以上のカテーテル電極を含む3D電極アレイを送り届けるように構成された少なくとも1つのカテーテルと、
前記体に対して向きが固定されるように構成された、一対以上の位置特定電極を含む複数の位置特定電極であって、前記位置特定電極の各対が、第1座標系を定める第1セットの軸の1つの軸を定める、複数の位置特定電極を備えた患者インターフェースのモジュールと、
心臓情報の操作卓であって、
位置特定信号により前記位置特定電極の各対を駆動して、前記位置特定電極の間に電気的な場を確立し、
前記位置特定電極の前記対における電流出力を処理して、位置特定システムの1つ以上の物理的変数を特定し、
前記カテーテル電極によって感知された位置特定信号を処理して、前記第1座標系における前記3D電極アレイの測定された形状を計算し、
前記第1座標系に基づいて前記組織についての第2座標系を確立するように構成され、前記第1座標系が、前記第2座標系を確立するために操作される、心臓情報の操作卓と
を備え
前記操作は、前記第1座標系を回転すること、および/または前記第1座標系の軸をより長くすること、および/または前記第1座標系の軸をより短くすることを含み、
前記操作は、前記システムの前記物理的変数に基づいて、且つ、前記3D電極アレイの前記計算された測定された形状と、前記3D電極アレイの知られている形状又は決定された形状との比較に基づいたものであることを特徴とする位置特定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の位置特定システムであって、前記3D電極アレイは、径方向に拡張可能および/または圧縮可能な組立体を含み、前記組立体の拡張された状態は、知られている空間的な構成を含むことを特徴とする位置特定システム。
【請求項3】
請求項1に記載の位置特定システムであって、前記腔は心腔であり、前記周辺組織は前記心腔の1つ以上の壁であることを特徴とする位置特定システム。
【請求項4】
請求項1に記載の位置特定システムであって、前記3D電極アレイは、複数のスプラインを含むことを特徴とする位置特定システム。
【請求項5】
請求項1に記載の位置特定システムであって、前記3D電極アレイは、バスケットアレイ、螺旋アレイ、バルーン、径方向に展開可能なアーム、ならびに/または他の拡張可能および圧縮可能な構造であることを特徴とする位置特定システム。
【請求項6】
請求項1に記載の位置特定システムであって、前記心臓情報の操作卓は、前記カテーテル電極の3D電極アレイの電子表示を生成するように構成されていることを特徴とする位置特定システム。
【請求項7】
請求項6に記載の位置特定システムであって、
前記カテーテル電極の3D電極アレイの前記電子表示を表示するように構成されたユーザインターフェースシステムをさらに備えることを特徴とする位置特定システム。
【請求項8】
請求項7に記載の位置特定システムであって、前記ユーザインターフェースシステムは、ユーザが前記3D電極アレイの前記電子表示をグラフィック的に調整および補正するように前記第2座標系を回転および/または拡大縮小することを可能にする機構を含むことを特徴とする位置特定システム。
【請求項9】
請求項1に記載の位置特定システムであって、前記操作は、
前記3D電極アレイの知られている形状に基づいて、前記位置特定信号から特定された電圧データに軸補正因子を適用することと、
前記電圧データの前記軸補正および拡大縮小に基づいて、補正された電圧値を有する各カテーテル電極の位置の値を計算することと、
各カテーテル電極の前記計算された位置の値を知られている3D電極アレイ構成に適合させることとを含むことを特徴とする位置特定システム。
【請求項10】
請求項1に記載の位置特定システムであって、前記第1座標系の少なくとも1つの軸は、前記体の自然軸に非直交であることを特徴とする位置特定システム。
【請求項11】
請求項10に記載の位置特定システムであって、前記第1座標系の非直交の軸に対応する前記第2座標系の軸は、前記体の自然軸と直交するように操作されることを特徴とする位置特定システム。
【請求項12】
請求項1に記載の位置特定システムであって、位置特定電極の各対は、異なる位置特定信号によって駆動されることを特徴とする位置特定システム。
【請求項13】
請求項1に記載の位置特定システムであって、各位置特定信号は、異なる周波数を有することを特徴とする位置特定システム。
【請求項14】
請求項1に記載の位置特定システムであって、前記心臓情報の操作卓は、前記カテーテル電極ごとに、
生体電位信号の経路と前記位置特定信号の経路の間に結合されたDFIB保護回路をさらに備えることを特徴とする位置特定システム。
【請求項15】
請求項1に記載の位置特定システムであって、前記少なくとも1つのカテーテルは、画像データを収集して前記組織の1つ以上の画像を生成するように構成されている超音波電極をさらに備えることを特徴とする位置特定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、心臓の不整脈または他の異常の診断および治療に役立ち得るシステムおよび方法に関連し、詳細には、本発明は、そのような不整脈または他の異常の位置特定を実行するのに役立つシステム、装置、および方法に関連している。
【背景技術】
【0002】
関連出願
本出願は、米国特許法第119条(e)の定めにより、2015年5月13日に出願した「Localization System and Method Useful in the Acquisition and Analysis of Cardiac Information」という名称の米国仮特許出願第62/161,213号の優先権を主張するものであり、その全体を本願に引用して援用する。
【0003】
本出願は、2015年9月25日に出願した「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」という名称の米国特許出願第14/865,435号の優先権を主張するものではないが、これに関連し得るものであり、これは2015年10月27日に発行された「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」という名称の米国特許第9,167,982号(以下、’982特許)の継続であり、これは2014年12月23日に発行された「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」という名称の米国特許第8,918,158号(以下、’158特許)の継続であり、これは2014年4月15日に発行された「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」という名称の米国特許第8,700,119号(以下、’119特許)の継続であり、これは2013年4月9日に発行した「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」という名称の米国特許第8,417,313号(以下、’313特許)の継続であり、これは国際公開第2008/014629号として公表された2007年8月3日に出願した「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」という名称の特許協力条約出願CH2007/000380の米国特許法371条の国内移行手続であり、これは2006年8月3日に出願したスイス特許出願第1251/06号の優先権を主張するものであり、これらの各々は本願に引用して援用する。
【0004】
本出願は、2015年10月19日に出願した「Device and Method For the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」という名称の米国特許出願第14/886,449号の優先権を主張するものではないが、これに関連し得るものであり、これは2015年11月24日に発行した「Device and Method For the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」という名称の米国特許第9,192,318号(以下、’318特許)の継続であり、これは米国特許出願公開第2010/0298690号(以下、’690公報)として公表され2013年8月20日に発行された「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」という名称の米国特許第8,512,255号の継続であり、これは国際公開第2009/090547号として公表された「A Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」という名称の2009年1月16日に出願した特許協力条約出願PCT/IB09/00071の米国特許法371条の国内移行手続であり、これは2008年1月17日に出願されたスイス特許出願第00068/08号の優先権を主張するものであり、これらの各々は本願に引用して援用する。
【0005】
本出願は、2013年9月6日に出願した「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」という名称の米国出願第14/003,671号の優先権を主張するものではないが、これに関連し得るものであり、これは国際公開第2012/122517号(以下、’517公報)として公表された「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」という名称の特許協力条約出願PCT/US2012/028593の米国特許法371条の国内移行手続であり、これは米国特許仮出願第61/451,357号の優先権を主張したものであり、これらの各々は本願に引用して援用する。
【0006】
本出願は、2013年12月2日に出願した「Catheter System and Methods of Medical Uses of Same, Including Diagnostic and Treatment Uses for the Heart」という名称の米国意匠出願第29/475,273号の優先権を主張するものではないが、これに関連し得るものであり、これは2013年8月30日に出願した「Catheter System and Methods of Medical Uses of Same, Including Diagnostic and Treatment Uses for the Heart」という名称の特許協力条約出願PCT/US2013/057579の米国特許法371条の国内移行手続であり、2012年8月31日に出願した「System and Method for Diagnosing and Treating Heart Tissue」という名称の米国特許仮出願第61/695,535号の優先権を主張するものであり、これは本願に引用して援用する。
【0007】
本出願は、2015年7月23日に出願した「Expandable Catheter Assembly with Flexible Printed Circuit Board (PCB) Electrical Pathways」という名称の米国出願第14/762,944号の優先権を主張するものではないが、これに関連し得るものであり、これは国際公開第2014/124231号として公表され2014年2月7日に出願された「Expandable Catheter Assembly with Flexible Printed Circuit Board (PCB) Electrical Pathways」という名称の特許協力条約出願PCT/US2014/15261の米国特許法371条の国内移行手続であり、これは2013年2月8日に出願した「Expandable Catheter Assembly with Flexible Printed Circuit Board (PCB) Electrical Pathways」という名称の米国特許仮出願第61/762,363号の優先権を主張するものであり、これは本願に引用して援用する。
【0008】
本出願は、2015年1月14日に出願した「Gas-Elimination Patient Access Device」という名称の特許協力条約出願PCT/US2015/11312の優先権を主張するものではないが、これに関連し得るものであり、これは2014年1月17日に出願した「Gas-Elimination Patient Access Device」という名称の米国特許仮出願第61/928,704号の優先権を主張するものであり、これは本願に引用して援用する。
【0009】
本出願は、2015年3月24日に出願した「Cardiac Analysis User Interface System and Method」という名称の特許協力条約出願PCT/US2015/22187号の優先権を主張するものではないが、これに関連し得るものであり、これは2014年3月28日に出願した「Cardiac Analysis User Interface System and Method」という名称の米国特許仮出願第61/970,027号の優先権を主張するものであり、これは本願に引用して援用する。
【0010】
本出願は、2016年3月2日に出願した「Devices and Methods for Determination of Electrical Dipole Densities on a Cardiac Surface」という名称の米国出願第14/916,056号の優先権を主張するものではないが、これに関連し得るものであり、これは国際公開第2015/038607号として公表され2014年9月10日に出願した「Devices and Methods for Determination of Electrical Dipole Densities on a Cardiac Surface」という名称の特許協力条約出願PCT/US2014/54942の米国特許法371条の国内移行手続であり、これは2013年9月13日に出願した「Devices and Methods for Determination of Electrical Dipole Densities on a Cardiac Surface」という名称の米国特許仮出願第61/877,617号の優先権を主張するものであり、これは本願に引用して援用する。
【0011】
心臓の不整脈の発生点の位置を特定するために、患者の心臓内で電気生理学的手段によって心臓の内面に位置する電気ポテンシャルを測定することは一般的なやり方である。方法の1つは、正常な心臓のリズム中または心臓の不整脈中の心臓の電位を記録するために、心臓の中に電極カテーテルを挿入することである。不整脈が規則的な活性化シーケンスを有する場合、電極の箇所で電圧単位で測定される電気的活性化のタイミングは、電気的活性化の三次元マップを生成するために、不整脈の最中に電極をあちこち動かすときに蓄積することができる。これをすることによって、不整脈源の位置特定とメカニズム、すなわちリエントリー回路との情報について、治療(無線周波数アブレーション)を始めるまたは導くために診断することができる。この情報は、心臓について正常なレベルの協調された活性化を再確立するため、植込み可能なペーシング電極が心臓壁または心腔内の特定の位置に配置される心臓再同期治療を導くために使用することもできる。
【0012】
外部センサを用いる方法は、例えば心電図(ECG)およびベクトル心電図法(VCG)を含む心電図技法を用いて体表から心臓の電気的活性化を測定する。これらの外部センサの技法は、局所的な心電の活性化に関する情報および/またはデータを与えるためにそれらの能力が制限され得る。これらの方法は、心臓内の生体電気現象の位置を特定することもできない可能性もある。
【0013】
心臓の不整脈の位置を特定するために外部センサを用いる方法は、体表マッピングを利用する。この技法では、複数の電極が胸郭全体に取り付けられ、心電図(表面ECG)の情報は、心臓活性化のマップに蓄積される電圧で測定される。電気的活性化は時間依存性であり心筋層全体にわたって空間的に分布しており、心臓内の生体電気現象の位置をやはり特定できないので、この測定は、不確かであり得る。複雑な数学的方法が、心臓モデルの外面(すなわち、心外膜)上の電気的活性化を決定するのに必要とされ、例えば、CTまたはMRIのイメージングから得られたものは、胸腔内の心臓のサイズおよび向きに関する情報を与える。
【0014】
代替として、例えば、胴上の位置における電位の記録は、胴表面にわたる体表電位マップ(BSPM)を与えることができる。BSPMは、従来のECG技法とは異なり得るやり方で局所的な心臓の電気的な活性化を示すことができるが、これらのBSPM技法は、一般に、比較的低い分解能、心イベントの位置(例えば、心臓の不整脈の開始の箇所)の視覚的な検出もしくは特定を助けない心臓の電気的な活性化の平滑な投影、および/または局所的活性化の詳細(例えば、心臓内の不整脈惹起性の病巣の個数および位置)を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
電位を使用することによる心臓の不整脈の位置特定は不正確なので、心臓の不整脈の首尾よい治療は、困難となっており、限られた成功および信頼性を実証してきた。したがって、心臓の不整脈を位置特定し、診断し、治療する改善された方法を必要としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明概念の一態様によれば、周辺組織によって定められた体の腔へ1つ以上の生体電位電極を送り届けるように構成された少なくとも1つのカテーテルと、体に対して向きが固定されるように構成された複数の位置特定電極を備えた患者インターフェースのモジュールと、組織についての操作可能な座標系を確立するように位置特定電極からの位置特定信号を処理するとともに、座標系内で生体電位電極の方位を測定するように生体電位信号を処理するように構成された心臓情報の操作卓とを備える位置特定システムが提供される。
【0017】
様々な実施形態では、腔は心腔であり、周辺組織は心腔の1つ以上の壁である。
【0018】
様々な実施形態では、1つ以上の生体電位電極は、少なくとも1つのカテーテルの遠位端に結合された複数の生体電位電極である。
【0019】
様々な実施形態では、生体電位電極は、3Dアレイに配設(配置)されている。
【0020】
様々な実施形態では、3Dアレイは、複数のスプライン(splines)を含む。
【0021】
様々な実施形態では、3Dアレイは、バスケットアレイ(basket array)、螺旋アレイ(spiral array)、バルーン(balloon)、径方向に展開可能なアーム、ならびに/または他の拡張可能および圧縮可能な構造である。
【0022】
様々な実施形態では、患者インターフェースのモジュールは、患者絶縁(患者隔離)駆動システム(patient isolation drive system)、一組のパッチ電極、および1つ以上の基準電極を備える。
【0023】
様々な実施形態では、位置特定電極は、一対以上の位置特定電極を含む。
【0024】
様々な実施形態では、位置特定電極は、二対の位置特定電極を含む。
【0025】
様々な実施形態では、位置特定電極の各対は、座標系の軸を定める。
【0026】
様々な実施形態では、位置特定電極は三対の位置特定電極を含み、位置特定電極の各対は座標系の軸の1つを定める。
【0027】
様々な実施形態では、第1の対の位置特定電極は、肋骨の両側に配置された2つのパッチ電極を有し、第2の対の位置特定電極は、腰部に配置された1つのパッチ電極と、上胸部に配置された1つのパッチ電極とを有し、第3の対の位置特定電極は、上背に配置された1つのパッチ電極と、下腹部に配置された1つのパッチ電極とを有する。
【0028】
様々な実施形態では、軸は、体の自然軸(natural axis)に非直交である。
【0029】
様々な実施形態では、複数対の位置特定電極は、軸が原点で交差するとともに原点が心臓内に位置するように配置される。
【0030】
様々な実施形態では、3つの交差する軸の原点は、心房の体積の中心にある。
【0031】
様々な実施形態では、絶縁(隔離)駆動システム(isolation drive system)は、電流の漏洩を防ぐために心臓情報の操作卓からの位置特定信号を切り離すように構成されている。
【0032】
様々な実施形態では、絶縁駆動システムは、位置特定電極の対によって生成された全ての軸の同時出力を維持するように構成されている。
【0033】
様々な実施形態では、位置特定電極の各対は、異なる位置特定信号によって駆動される。
【0034】
様々な実施形態では、各位置特定信号は、異なる周波数を有する。
【0035】
様々な実施形態では、第1の対の電極について生成される信号は、約39kHzの周波数を有し、第2の対の電極について生成される信号は、約48kHzの周波数を有し、第3の対の電極について生成される信号は、約52kHzの周波数を有する。
【0036】
様々な実施形態では、心臓情報の操作卓は、生体電位の3Dアレイの電子表示を調整および補正するように座標系を回転させるようにさらに構成されている。
【0037】
様々な実施形態では、心臓情報の操作卓は、生体電位の3Dアレイの電子表示を調整および補正するように座標系を拡大縮小するようにさらに構成されている。
【0038】
様々な実施形態では、心臓情報の操作卓は、生体電位の3Dアレイの電子表示を生体電位の3Dアレイの知られているまたは決定された幾何学的形状に適合させるようにさらに構成されている。
【0039】
様々な実施形態では、システムは、生体電位電極の3Dアレイおよび座標系を表示するように構成されたユーザインターフェースシステムをさらに備える。
【0040】
様々な実施形態では、ユーザインターフェースシステムは、ユーザが生体電位の3Dアレイの画像をグラフィック的に調整および補正するように座標系を回転および/または拡大縮小することを可能にする機構を含む。
【0041】
様々な実施形態では、心臓情報の操作卓は、電極ごとに、高インピーダンスの入力を有するとともに生体電位電極から生体電位信号を受信するように構成されている生体電位信号の経路、および/または高インピーダンスの入力を有するとともに位置特定電極から位置特定信号を受信するように構成されている位置特定信号の経路をさらに備える。
【0042】
様々な実施形態では、心臓情報の操作卓は、電極ごとに、生体電位信号の経路と位置特定信号の経路の間に結合されたDFIB保護回路をさらに備える。
【0043】
様々な実施形態では、心臓情報の操作卓は、電極ごとに、生体電位信号の経路および位置特定信号の経路の各出力に結合されたADCをさらに備える。
【0044】
様々な実施形態では、心臓情報の操作卓は、処理された生体電位データから心臓活性化のマッピングをもたらすように構成された生体電位信号プロセッサと、生体電位電極の位置を特定するように構成された位置特定信号プロセッサとをADC出力に結合された状態でさらに備える。
【0045】
様々な実施形態では、システムは、電極ごとに、ADCの出力に結合されているとともに受信したデータ信号の大きさおよび位相を分離するように構成されているIQ復調器と、IQ復調器に結合された狭帯域のIIRフィルタと、IIRフィルタに結合されるとともに、時間ベースでデータの部分を選択的にフィルタ除去するように構成された時間フィルタとをさらに備える。
【0046】
様々な実施形態では、IQ復調器ごとに、I部分およびQ部分を備えた1つのIIRフィルタが存在する。
【0047】
様々な実施形態では、複数のIQ復調器に対して1つのマルチチャンネルのIIRフィルタが存在する。
【0048】
様々な実施形態では、システムは、1つ以上の補助カテーテルをさらに備える。
【0049】
様々な実施形態では、1つ以上の補助カテーテルは、アブレーションカテーテル(ablation catheter)または基準カテーテル(reference catheter)のうちの少なくとも1つを備える。
【0050】
様々な実施形態では、少なくとも1つのカテーテルは、画像データを収集して組織の1つ以上の画像を生成するように構成されている超音波電極をさらに備える。
【0051】
様々な実施形態では、心臓情報の操作卓は、高インピーダンスの入力を有するとともに超音波電極から超音波信号を受信するように構成された超音波信号の経路をさらに備える。
【0052】
様々な実施形態では、システムは、少なくとも1つの感知された状態の存在、不存在、および/または変化を示す1つ以上の信号を生成するように構成された1つ以上のセンサを備える。
【0053】
様々な実施形態では、1つ以上のセンサは、少なくとも1つのカテーテルセンサを含む。
【0054】
様々な実施形態では、少なくとも1つのカテーテルセンサは、少なくとも1つのカテーテルのカテーテルハンドル、および/または少なくとも1つのカテーテルの遠位端に結合されたカテーテルアレイに取り付けられたまたは一体になったセンサを含む。
【0055】
様々な実施形態では、少なくとも1つのカテーテルセンサは、血圧センサ、血液ガスセンサ、温度センサ、血糖センサ、pHセンサ、呼吸センサ、平均凝固時間(ACT:average clotting time)センサ、およびこれらの1つ以上の組み合わせからなる群から選択される患者の生理学的センサを含む。
【0056】
様々な実施形態では、1つ以上のセンサは、少なくとも1つの心臓情報の操作卓のセンサを備える。
【0057】
様々な実施形態では、1つ以上のセンサは、少なくとも1つの患者インターフェースシステムのセンサを備える。
【0058】
様々な実施形態では、1つ以上のセンサは、カテーテルセンサ、心臓情報の操作卓のセンサ、患者インターフェースシステムのセンサ、およびこれら1つ以上の組み合わせからなる群から選択される少なくとも2つのセンサを含む複数のセンサを備える。
【0059】
様々な実施形態では、1つ以上のセンサは、力センサ(force sensor)、圧力センサ、歪みゲージ、光学的センサ、撮像センサ、音響センサ、ホール効果センサ、pHセンサ、磁気センサ、温度センサ、およびこれらの1つ以上の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのセンサを備える。
【0060】
様々な実施形態では、撮像センサは、レンズおよび/または光ファイバを含む。
【0061】
様々な実施形態では、音響センサは超音波センサを含む。
【0062】
様々な実施形態では、センサのうちの1つ以上は、加熱要素、冷却要素、振動要素、薬品または他の薬物を送り届ける要素、磁場を発生する要素、光を送り届ける要素、撮像要素、およびこれらの1つ以上の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの変換器を備える。
【0063】
様々な実施形態では、撮像要素は、レンズおよび/または光ファイバを備える。
【0064】
様々な実施形態では、システムは、1つ以上のセンサによって生成された1つ以上の信号を解析するように構成されている。
【0065】
様々な実施形態では、システムは、システムによって感知および/または計算された電圧データ、双極子密度データ、表面電荷データ、および/または解剖学的データを組み合わせて、センサのうちの1つ以上によって生成された1つ以上の信号の解析を実行するように構成されている。
【0066】
様々な実施形態では、1つ以上のセンサからの1つ以上の信号は、システムによって表示された解剖学的画像の改善、システムによって表示される心臓の情報(例えば、双極子密度および/または表面電荷の情報)の改善、システムの不具合の検出、患者の生理学的データの用意、およびこれらの1つ以上の組み合わせからなる群から選択される機能を実行するためにシステムによって使用される。
【0067】
様々な実施形態では、システムによって表示される心臓の情報は、双極子密度の情報および/または表面電荷の情報のうちの少なくとも1つを含む。
【0068】
本発明概念の別の態様によれば、少なくとも1つのカテーテルを用いて周辺組織によって定められた体の腔へ1つ以上の生体電位電極を送り届けるステップと、1つ以上の生体電位電極から生体電位信号を受信するステップと、体に対して固定された向きを有する位置特定電極を用いて組織についての操作可能な座標系を確立するステップと、座標系内で生体電位電極の方位を測定するおよび/または方位を再測定するように生体電位信号を処理するステップとを含む位置特定方法が提供される。
【0069】
様々な実施形態では、腔は心腔であり、周辺組織は心腔の1つ以上の壁である。
【0070】
様々な実施形態では、1つ以上の生体電位電極は、少なくとも1つのカテーテルの遠位端に結合された複数の生体電位電極である。
【0071】
様々な実施形態では、生体電位電極は、3Dアレイに配設(配置)されている。
【0072】
様々な実施形態では、3Dアレイは、複数のスプラインを含む。
【0073】
様々な実施形態では、3Dアレイは、バスケットアレイ、螺旋アレイ、バルーン、径方向に展開可能なアーム、および/または他の拡張可能および圧縮可能な構造である。
【0074】
様々な実施形態では、位置特定電極は、一組のパッチ電極と、1つ以上の基準電極とを含む。
【0075】
様々な実施形態では、位置特定電極は、一対以上の位置特定電極を含む。
【0076】
様々な実施形態では、位置特定電極は、二対の位置特定電極を含む。
【0077】
様々な実施形態では、位置特定電極の各対は、座標系の軸を定める。
【0078】
様々な実施形態では、位置特定電極は三対の位置特定電極を含み、位置特定電極の各対は座標系の軸の1つを定める。
【0079】
様々な実施形態では、第1の対の位置特定電極は、肋骨の両側に配置された2つのパッチ電極を有し、第2の対の位置特定電極は、腰部に配置された1つのパッチ電極と、上胸部に配置された1つのパッチ電極とを有し、第3の対の位置特定電極は、上背に配置された1つのパッチ電極と、下腹部に配置された1つのパッチ電極とを有する。
【0080】
様々な実施形態では、軸は、体の自然軸(natural axis)に非直交である。
【0081】
様々な実施形態では、複数対の位置特定電極は、軸が原点で交差するとともに原点が心臓内に位置するように配置される。
【0082】
様々な実施形態では、3つの交差する軸の原点は、心房の体積の中心にある。
【0083】
様々な実施形態では、方法は、位置特定電極の対によって生成された全ての軸の同時出力を維持するステップをさらに含む。
【0084】
様々な実施形態では、方法は、異なる位置特定信号を用いて位置特定電極の各対を駆動するステップをさらに含む。
【0085】
様々な実施形態では、各位置特定信号は、異なる周波数を有する。
【0086】
様々な実施形態では、方法は、約39kHzの周波数で第1の対の電極について信号を生成するステップと、約48kHzの周波数で第2の対の電極について信号を生成するステップと、約52kHzの周波数で第3の対の電極について信号を生成するステップとをさらに含む。
【0087】
様々な実施形態では、1つ以上の生体電位電極から生体電位信号を受信するステップは、少なくとも1つのプロセッサを用いて、1つ以上の生体電位電極によって感知されおよび/または記録された生体電位の3Dアレイの電子表示を調整および補正するように座標系を回転させるステップを含む。
【0088】
様々な実施形態では、方法は、少なくとも1つのプロセッサを用いて、生体電位の3Dアレイの電子表示を調整および補正するように座標系を拡大縮小するステップをさらに含む。
【0089】
様々な実施形態では、方法は、生体電位の3Dアレイの電子表示を生体電位の3Dアレイの知られているまたは決定された幾何学的形状に適合させるステップをさらに含む。
【0090】
様々な実施形態では、方法は、ユーザインターフェースシステムの少なくとも1つの表示装置に生体電位電極の3Dアレイおよび座標系を表示するステップをさらに含む。
【0091】
様々な実施形態では、方法は、ユーザインターフェースシステムとのユーザインタラクションに応答して生体電位の3Dアレイの画像をグラフィック的に調整および補正するように座標系を回転および/または拡大縮小するステップをさらに含む。
【0092】
様々な実施形態では、生体電位信号を処理するステップは、受信している生体電位信号に基づいてIおよびQのデータを受信するステップと、IQデータを電圧データへ変換するステップと、電極アレイの知られているおよび/または測定された形状に基づいて軸補正因子を電圧データに適用するステップと、電極アレイの知られているおよび/または測定された形状に基づいて、拡大縮小行列を決定し、感知された電圧データに拡大縮小行列を適用するステップと、電圧データの軸補正および拡大縮小に基づいて、補正された電圧値を有する各電極の位置の値を計算するステップと、各電極の計算された位置の値を知られているバスケット構成に適合させるステップとを含む。
【0093】
様々な実施形態では、方法は、計算された電極位置へ適用、適合、および回転させるステップと、電極位置を更新するステップとをさらに含む。
【0094】
様々な実施形態では、方法は、次の組の生体電位データが存在する場合、次の組の生体電位データについて方法を繰り返すステップをさらに含む。
【0095】
様々な実施形態では、位置特定電極は複数対の位置特定電極を含み、位置特定電極の対ごとに1つの軸が存在し、方法は、電極アレイが所定の形状をとるまで、軸のうちの1つ以上を回転させ、拡大縮小し、および/またはスキュー修正するステップを含む。
【0096】
様々な実施形態では、電極アレイは、3Dバスケットアレイ(3D basket array)である。
【0097】
様々な実施形態では、方法は、ユーザインターフェースサブシステムの表示装置に電極アレイを表示するステップをさらに含む。
【0098】
様々な実施形態では、拡大縮小行列を適用するステップは、電極アレイの長さまたはサイズが正しくない場合、電極アレイの知られているまたは決定された比率に基づいて、電極アレイの知られているまたは決定された比率が実現されるまで電極アレイの軸のうちの1つ以上をより長くまたはより短く拡大縮小させるステップを含む。
【0099】
様々な実施形態では、方法は、電極ごとに、高インピーダンスの入力を有する生体電位信号の経路を介して生体電位電極から生体電位信号を受信するステップ、および/または高インピーダンスの入力を有する位置特定信号の経路を介して位置特定電極から位置特定信号を受信するステップをさらに含む。
【0100】
様々な実施形態では、方法は、電極ごとに、生体電位信号の経路と位置特定信号の経路との間にDFIB保護回路を結合するステップをさらに含む。
【0101】
様々な実施形態では、方法は、電極ごとに、生体電位信号の経路および位置特定信号の経路の各出力をADCに結合するステップをさらに含む。
【0102】
様々な実施形態では、方法は、生体電位信号プロセッサおよび位置特定信号プロセッサをADC出力に結合するステップと、生体電位信号プロセッサを用いて処理された生体電位データから心臓活性化のマッピングを行うステップと、位置特定信号プロセッサを用いて生体電位電極の位置を特定するステップとをさらに含む。
【0103】
様々な実施形態では、方法は、電極ごとに、IQ復調器をADCの出力に結合するとともに、受信した生体電位信号の大きさおよび位相を分離するステップと、狭帯域のIIRフィルタをIQ復調器に結合するステップと、時間フィルタをIIRフィルタに結合するとともに、時間ベースでデータの部分を選択的にフィルタ除去するステップとをさらに含む。
【0104】
様々な実施形態では、IQ復調器ごとに、I部分およびQ部分を備えた1つのIIRフィルタが存在する。
【0105】
様々な実施形態では、複数のIQ復調器に対して1つのマルチチャンネルのIIRフィルタが存在する。
【0106】
様々な実施形態では、方法は、体の腔へ1つ以上の補助カテーテルを送り届けるステップをさらに含む。
【0107】
様々な実施形態では、1つ以上の補助カテーテルは、アブレーションカテーテルまたは基準カテーテルのうちの少なくとも1つを備える。
【0108】
様々な実施形態では、少なくとも1つのカテーテルは、超音波電極をさらに備え、方法は、超音波電極から画像データを収集して組織の画像を生成するステップを含む。
【0109】
様々な実施形態では、方法は、高インピーダンスの入力を有する超音波信号の経路を介して超音波電極から超音波信号を受信するステップをさらに含む。
【0110】
本発明概念の各態様によれば、図示および/または説明されたような位置特定方法が提供される。
【0111】
本発明概念の各態様によれば、図示および/または説明されたような位置特定システムが提供される。
【0112】
本発明概念の各態様によれば、図示および/または説明されたような心臓情報の処理システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0113】
図1】本発明概念の各態様による心臓情報の処理システムの一実施形態のブロック図である。
図2図1の位置特定駆動回路およびUIシステムの一実施形態の回路図である。
図3】本発明概念の各態様による、患者の正面図および背面図、ならびに相対的な電極配置を与える図である。
図4】本発明概念の各態様による心臓情報の処理システムの別の実施形態のブロック図である。
図5】本発明概念の各態様による位置特定信号の処理を実行するように協働する機能要素の一実施形態のブロック図である。
図6】本発明概念の各態様による、図5の手法の一実施としての、位置特定信号の処理を実行するように協働する機能要素の一実施形態のブロック図である。
図7】本発明概念の各態様による、図5の手法の別の実施としての、位置特定信号の処理を実行するように協働する機能要素の一実施形態のブロック図である。
図8】本発明概念の各態様による位置特定方法の一実施形態である。
図9】本発明概念の各態様によるアブレーションカテーテルの概略図である。
図10】本発明概念の各態様による超音波の高い入力インピーダンスのスイッチの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0114】
様々な例示的な実施形態は、いくつかの例示的な実施形態が示されている添付図面を参照して以下により十分に説明される。しかしながら、本発明概念は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書中に記載された例示的な各実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0115】
第1、第2などの用語が様々な要素を説明するために本明細書中に使用されるが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されよう。これらの用語は、ある要素と別の要素を区別するために使用されるが、必要とされる要素の順序を示唆するものではない。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、第1の要素は第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素は第1の要素と呼ぶことができる。本明細書中に使用されるとき、用語「および/または」は、関連して列挙された項目のうちの1つ以上のいずれかおよび全部の組み合わせを含む。そして、関連して列挙された項目の「組み合わせ」は、列挙された項目の全部を含む必要はないが、列挙された項目の全部を含むことができる。
【0116】
ある要素が別の要素「にある」、または別の要素に「取り付けられる」、「接続される」もしくは「結合される」と呼ばれるとき、ある要素は、他の要素に直接あってもよく、または他の要素に直接接続または結合されてもよく、あるいは介在する要素が存在してもよいことが理解されよう。逆に、ある要素が別の要素「に直接ある」、または別の要素に「直接接続される」もしくは「直接結合される」と呼ばれるとき、介在する要素の存在はない。要素間の関係を説明するために使用される他の語は、同じように解釈されるべきである(例えば、「間」と「直接間」、「隣接」と「直接隣接」など)。
【0117】
本明細書中に使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、本発明を限定するものではない。本明細書中に使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明白に他のものを示すのでない限り、複数形も含むものとする。用語「備える、含む、構成される(comprises)」、「備える、含む、構成される(comprising)」、「含む、備える(includes)」、および/または「含む、備える(including)」は、本明細書中に使用されるとき、述べた特徴、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在もしくは追加を除外しないことを理解されよう。
【0118】
「すぐ下」、「下方」、「下」、「上方」、「上」等などの空間的に相対的な用語は、例えば、図に示されるような要素および/または特徴の別の要素および/または特徴に対する関係を説明するために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示された向きに加えて、使用時および/または動作時の装置の様々な向きを包含するものであることを理解されよう。例えば、図中の装置がひっくり返された場合、他の要素もしくは特徴の「下」および/または「すぐ下」と説明された要素は、他の要素もしくは特徴の「上方」に向けられる。さもなければ、装置は、(例えば、90度回転して、または他の向きに)向けることができ、本明細書中に使用される空間的に相対的な記載は、それに応じて解釈される。
【0119】
様々な例示的な実施形態は、理想化されたまたは代表的な構造および中間構造の参考図を用いて本明細書中に説明される。したがって、例えば製造技法および/または製造公差の結果として、例示の形状からの変化が予期されよう。したがって、例示的な実施形態は、本明細書中に示された領域の特定の形状に限定されるものと解釈されるべきではなく、例えば製造に起因する形状の逸脱を含むことになる。
【0120】
機能的特徴、動作、および/またはステップが本明細書中に記載されている限りにおいて、またはさもなければ本発明概念の様々な実施形態の範囲内に含まれると理解される限りにおいて、そのような機能的特徴、動作、および/またはステップは、機能的なブロック、ユニット、モジュール、動作、および/または方法に具体化することができる。さらに、そのような機能的なブロック、ユニット、モジュール、動作、および/または方法がコンピュータプログラムコードを含む限りにおいて、そうしたコンピュータプログラムコードは、例えば少なくとも1つのコンピュータのプロセッサによって実行可能である非一時的なメモリおよび媒体などのコンピュータ可読媒体に記憶することができる。
【0121】
次に図1を参照すると、本発明概念の各態様による心臓情報の処理システム100の一実施形態のブロック図が与えられる。心臓情報の処理システム100は、不整脈などの異常の治療などのために心臓のマッピング、診断、および/または治療を実行するように構成されたシステムとすることができまたは備えることができる。加えてまたは代替として、システムは、患者Pの心臓の異常または病気を診断するおよび/または治療する装置および方法を教示および/または確認するために構成されたシステムであってもよい。
【0122】
心臓情報の処理システム100は、カテーテル10と、心臓情報の操作卓20と、心臓情報の処理システム100の様々な機能を遂行するよう協働するように構成することができる患者インターフェースのモジュール50とを備える。好ましくは、心臓情報の処理システム100は、単一の電源(PWR)を備え、この単一の電源(PWR)は、心臓情報の操作卓20と患者インターフェースのモジュール50とによって共有することができる。典型的なシステムとは異なり、このやり方における単一の電源の使用は、漏洩電流が患者インターフェースのモジュール50に伝搬し位置特定の誤差を引き起こす機会を大きく減少させることができる。
【0123】
カテーテル10は、心腔(HC)へ経皮的に送り届けることができる電極アレイ12を備える。電極アレイは、知られている空間的な構成を有する。例えば、拡張した状態において、各電極の物理的関係は、知られており得るまたは確実に仮定され得る。診断用のカテーテル10は、ハンドル14と、ハンドル14から延びる細長い可撓性のシャフト16とも備える。シャフト16の遠位端には、径方向に拡張可能および/または圧縮可能な組立体の形態における3Dアレイのような電極アレイ12が取り付けられる。この実施形態では、電極アレイ12は、バスケットアレイとして示されているが、他の実施形態では、電極アレイは、他の形態をとってもよい。いくつかの実施形態では、拡張可能な電極アレイ12は、2013年8月30日に出願した「System and Method for Diagnosing and Treating Heart Tissue」という名称の出願人の同時係属中の特許協力条約の特許出願第PCT/US2013/057579号を参照して説明されるように構成および配置されており、この出願の内容全体を本願に引用して援用する。他の実施形態では、3Dアレイのような拡張可能な電極アレイ12は、バルーン、径方向に展開可能なアーム、螺旋、および/または他の拡張可能および圧縮可能な構造を備えることができる。
【0124】
シャフト16および拡張可能な電極アレイ12は、身体(例えば、動物の身体、または患者Pの身体などの人体)に挿入され、大腿静脈または他の血管などの身体血管を通じて前進させられるように構成および配置される。例として、シャフト16および電極アレイ12は、電極アレイ12が圧縮された状態にあるときなどに導入器(図示せず)を通じて挿入され、シャフトの内腔を通じて右心房または左心房などの心腔(HC)などの身体空間の中に摺動可能に前進させられるように構成および配置することができる。
【0125】
拡張可能な電極アレイ12は、複数のスプラインをさらに備えることができ、各スプラインは、複数の電極12aを有する。3つのスプラインは図1に見ることができるが、バスケットアレイは3つのスプラインに限定されず、より多くのまたはより少ないスプラインがバスケットアレイに含まれてもよい。各電極12aは、心臓の表面または心腔HC内の位置に存在する電圧などの電圧を記録するように構成することができる。非限定の例として、本実施形態では、3つの電極12aは、スプラインごとに示されている。しかしながら、他の実施形態では、バスケットアレイは、より多くのまたはより少ない電極を備えることができる。
【0126】
カテーテル10は、それぞれコネクタ18aおよび20aを介してカテーテル10を心臓情報の操作卓20に電気的、光学的、および/または電気光学的に接続するように構成されたケーブル18などのケーブルまたは他の導管を備えることができる。
【0127】
患者インターフェースのモジュール50は、(例えば、衝撃または他の不要な電気エネルギーが患者Pに不要に伝達されるのを防ぐために)患者Pから心臓情報の操作卓20の1つ以上の構成要素を電気的に切り離すように構成することができる。患者インターフェースのモジュール50は、心臓情報の操作卓20と統合することができ、および/または患者インターフェースのモジュール50は、図示されるように、別個の分離した構成要素(例えば、別個のハウジング)を備えることができる。心臓情報の操作卓20は、1つ以上のコネクタ20bを備え、各々は、ジャック、プラグ、ターミナル、ポート、または他の特注または標準の電気的、光学的、または電気光学的なコネクタで構成される。同様に、患者インターフェースのモジュール50は、1つ以上のコネクタ50bを備える。少なくとも1つのケーブル52は、コネクタ20bおよび50bを介して患者インターフェースのモジュール50を心臓情報の操作卓20と接続する。
【0128】
患者インターフェースのモジュール50は、患者絶縁(患者隔離)駆動システム(patient isolation drive system)54と、一組の位置特定電極とを備える。この実施形態では、位置特定電極の組は、一組のパッチ電極56と1つ以上の基準電極58とを備える。絶縁駆動システム54は、性能劣化をもたらす電流の漏洩、例えば信号損失を防ぐために、システムの残りから位置特定信号を切り離す。絶縁駆動システム54は、位置特定の位置におけるドリフトを最小限にし、軸間で高い切り離しを維持することができる。さらに、絶縁駆動システム54は、全ての軸の同時出力を維持する一方、各電極位置におけるサンプリングレートも増大させる。いくつかの実施形態では、サンプリングレートは、およそ625kHzのサンプリングレートなどの10kHzから1MHzの間のレートで構成される。
【0129】
この実施形態では、パッチ電極56の組は、三対のパッチ電極、すなわち、肋骨(X1,X2)の両側に配置された2つのパッチ電極を有する「X」対、腰部(Z1)に配置された1つのパッチ電極および上胸部(Z2)に配置された1つのパッチ電極を有する「Z」対、ならびに上背(Y1)に配置された1つのパッチ電極および下腹部(Y2)に配置された1つのパッチ電極を有する「Y」対を含む。パッチ電極56の対は、任意の直交および/または非直交の軸の組に配置することができる。図1の実施形態では、電極の配置は、患者Pに示されており、ここで、背面の電極は、破線で示されている。
【0130】
電極56の配置は、パッチ電極56の対ごとに1つの軸である3つの軸で構成されている座標系を定める。いくつかの実施形態では、軸は、身体の自然軸、すなわち頭部と足指、胸と背、側面と側面(すなわち、肋骨と肋骨)に非直交である。電極は、心臓内に位置する原点などの原点で軸が交差するように配置することができる。例えば、3つの交差する軸の原点は、心房の体積の中心にあり得る。システム100は、(例えば、位置特定された位置で正の電圧から負の電圧へ横断するのを回避するために)結果として生じた電気的なゼロが心臓の外側にあるように基準電極58を設けることなどによって心臓の外側に配置される「電気的なゼロ」を与えるように構成することができる。
【0131】
心臓情報の操作卓20による処理によって、軸は、通常の生理学的な向き、すなわち前後、頭尾、左右から回転することができる。回転された軸は、空間分解能の改善をもたらす。所望の回転が実現されると、各軸は、必要に応じて、拡大縮小、すなわちより長くまたはより短くすることができる。回転および拡大縮小は、期待されるまたは知られている電極アレイ12の形状および相対的な寸法をパッチ電極が確立された座標系における電極アレイの表示と比較することに基づいて実行される。そのような場合には、回転および拡大縮小は、正しくない表示をより正確な表示に導くために実行される。したがって、電極アレイ12の表示を整形および拡大縮小することは、よりいっそう正確な位置特定のために、軸の向きおよび相対的サイズを調整および補正する役割を果たす。
【0132】
基準電極58は、患者の基準としてパッチ電極および/または電気的な基準カテーテルとすることができるまたは含むことができる。パッチ電極は、皮膚に配置することができるとともに、除細動のための電流のためのリターンとして働く。電気的な基準カテーテルは、ベースライン機能およびリストア機能に使用される単極の基準電極を備えることができるとともに、コモンモード除去に使用することができる。電気的な基準カテーテルの別の形態は、内部のアナログ基準電極であり得、これは全ての内部のカテーテル電極のための低雑音「アナログ接地」として働き得る。これらのタイプの各基準電極は、(カテーテルとして)内部の血管における腰部、および/または(パッチとして)腰部の近くなどに比較的に同様の位置に配置することができる。いくつかの実施形態では、システム100は、固定機構(例えば、ユーザにより作動させられる固定機構)を含む基準カテーテル58を備え、この固定機構は、基準カテーテル58の1つ以上の電極の変位(例えば、偶発的またはその他の意図しない動き)を減少させるように構成および配置することができる。固定機構は、螺旋拡張器、球状の拡張器、周方向の拡張器、軸方向に作動する拡張器、回転可能に作動する拡張器、およびこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される機構を備えることができる。
【0133】
図1には、心臓情報の操作卓20の受信機の構成要素の態様が示されている。心臓情報の操作卓20は、カテーテル10から心臓の情報を受信するように構成されているコネクタ20aに接続された入力除細動保護モジュール22を備える。DFIB保護モジュール22は、正確な制限電圧および最小静電容量を有するように構成されている。機能的には、DFIB保護モジュール22は、サージ保護装置として働く。
【0134】
DFIB保護モジュール22は、生体電位(BIO)信号の経路30および位置特定(LOC)信号の経路40という2つの信号の経路に結合されている。概して、BIOの経路30は、雑音をフィルタ処理し、測定された生体電位データを保存し、生体電位信号が除去されている間に読み込まれることも可能にするものであり、他のシステムではこのようにはならない。概して、LOCの経路40は、受信した位置特定データから雑音をフィルタ処理しつつ高電圧の入力を可能にする。
【0135】
BIO信号の経路30は、DFIB保護モジュール22に結合されたRFフィルタ31を備える。この実施形態では、RFフィルタ31は、高い入力インピーダンスを有するローパスフィルタとして動作する。高い入力インピーダンスは、それが例えばカテーテル10などの源からの電圧の損失を最小にし、それによって受信した信号のより良い保存をするので本実施形態において好ましい。RFフィルタ31は、カテーテル10にある電極12aからの生体電位信号が、例えば、0.1Hzから500Hzの範囲内の周波数などの500Hz未満の周波数を通過することを可能にするように構成されている。しかしながら、アブレーション等からの高電圧は、生体電位信号の経路30からフィルタ除去される。RFフィルタ31は、10kHzと12kHzの間の帯域幅を備えることができる。
【0136】
BIO増幅器32は、RFフィルタ処理済みの信号を増幅する低雑音のシングルエンド入力増幅器であることが好ましい。BIOフィルタ33は、増幅済みの信号から雑音をフィルタ処理する。BIOフィルタ33は、およそ3kHzのフィルタで構成することができる。いくつかの実施形態では、例えば心臓のペーシングに対応する(例えば、心臓のペーシングの最中のかなり大きい信号損失および/または劣化を回避する)ようにシステム100が構成されるとき、BIOフィルタ33は、およそ7.5kHzのフィルタで構成される。
【0137】
LOC信号の経路40は、DFIB保護モジュール22に結合された高電圧バッファ41を備える。この実施形態では、高電圧バッファ41は、RFアブレーションなどの治療技法に使用される比較的高いRF電圧に対応するように構成されている。例えば、高電圧バッファは、100個の電圧レールを有することができる。高電圧バッファ41は、高電圧バッファ41が前置フィルタの段を含まないときなどに高い入力インピーダンスも有し、高周波で良好な性能を有する。高周波帯域通過フィルタ42は、高電圧バッファ41に結合され、位置特定に使用するために約20kHzから80kHzの通過帯域周波数の範囲を有する。好ましくは、フィルタ42は、良好な利得、例えば1の利得と共に低雑音を有する。
【0138】
AD(アナログ/デジタル)コンバータADC24は、BIO信号の経路30のBIOフィルタ33とLOC信号の経路40の高周波フィルタ42とに結合されている。ADC24は、例えば、約625kHzのオーバーサンプリングレートで雑音の波形整形およびフィルタリングを可能にするように高いオーバーサンプリングを有する。いくつかの実施形態では、サンプリングは、システム100のナイキスト周波数またはそれよりも上で実行される。ADC24は、BIO信号とLOC信号を合成することができるまたはBIO信号とLOC信号を別々に維持することができるマルチチャンネル回路である。一実施形態では、マルチチャンネル回路として、ADC24は、合計80個のチャンネルのために、(例えば、アブレーションまたは他の処理のために)48個の生体電位電極12aと32個の補助電極とを収容するように構成することができる。他の実施形態では、より多くのまたはより少ないチャンネルが設けられてもよい。図1では、例えば、心臓情報の操作卓20のほとんど全ての要素は、例えば、UIシステム27を除いて、チャンネルごとにそっくり同じであり得る。例えば、心臓情報の操作卓20は、チャンネルごとに別個のADC、または80個のチャンネルADCを備えることができる。
【0139】
2つの異なる信号および信号の経路30、40と一致して、各経路からの信号情報は、ADC24の様々なチャンネルに入力されたりそこから出力されたりする。ADC24のチャンネルからの出力は、以下本明細書中に説明されるような続く処理のためにそれらのそれぞれの信号を前処理するBIO信号の処理モジュール34またはLOC信号の処理モジュール44のいずれかに結合される。いずれの場合にも、後述されるそれらのそれぞれの専用プロセッサによる処理のために、前処理が受信した信号を準備する。いくつかの実施形態では、BIO信号の処理モジュール34およびLOC信号の処理モジュール44は、全部または一部がファームウェアにおいて実施することができる。
【0140】
生体電位信号の処理モジュール34は、利得およびオフセットの調整、ならびに非分散のローパスフィルタおよび中間の周波数帯域を有するデジタルRFフィルタリングを行うことができる。中間の周波数帯域は、アブレーション信号および位置特定信号をなくすことができる。さらに、生体電位信号の処理は、ペースブランキングを含むこともでき、このペースブランキングは、例えば医師が心臓を「ペーシング」しているときに時間フレーム中に受信した情報のブランキングである。心臓のペーシングは、標準的な手段によって臨床的に適用される。ペーシングは、心臓のリズムを一時的に変えて心臓壁上の特定の位置から心臓の鼓動を誘発するために、またはペーシングパルスの伝搬速度で見ることによって心臓の組織の健康を検査するために使用することができる。
【0141】
前述のことを達成するために、能動的および受動的なペーシングのトリガ、および入力アルゴリズムのトリガの決定が行われ得る。アルゴリズムのトリガの決定は、ペーシングが生じているか決定するためにチャンネルの部分セット、エッジ検出、および/またはパルス幅検出を使用することができる。生体電位信号の処理モジュール34は、最適化された出力サンプルレートを有する非分散のローパスフィルタであり得るデジタルの生体電位フィルタリングを含むこともできる。
【0142】
位置特定信号の処理モジュール44は、以下本明細書中に説明されるように、個々のチャンネル/周波数利得の較正、調節された復調の位相を有するIQ復調、同期および連続的な復調(多重化ではない)、狭帯域のIIRフィルタリング、および時間フィルタリング(インターリービング、ブランキングなど)を行うことができる。
【0143】
複数タイプの処理回路(例えば、マイクロプロセッサ)およびメモリのうちの1つ以上を備え得るデータプロセッサ26は、BIO信号の処理モジュール34および位置特定信号の処理モジュール44からの前処理した信号の処理を実行するのに必要なコンピュータの命令を実行する。データプロセッサ26は、計算を実行するとともに心臓情報の処理システム100の機能を実行するのに必要なデータの記憶および検索を実行するように構成することができる。
【0144】
この実施形態では、データプロセッサ26は、生体電位(Bio)プロセッサ36と、位置特定(LOC)プロセッサ46とを備える。生体電位プロセッサ36は、測定された生体電位の処理を実行することができる。LOCプロセッサ46は、位置特定信号の処理を実行することができる。
【0145】
生体電位プロセッサ36は、様々な計算を実行するように構成することができる。例えば、BIOプロセッサ36は、強化されたコモンモード除去フィルタを備えることができ、これは、歪みを最小にするように双方向性であり得るとともにコモンモード信号が導入され得る。BIOプロセッサ36は、最適化された超音波除去フィルタを備えることもできるとともに、選択可能な帯域幅のフィルタリングのために構成することができる。
【0146】
位置特定プロセッサ46は、様々な計算を実行するように構成することができる。以下により詳細に説明されるように、LOCプロセッサ46は、電極アレイ12の知られている形状に基づいて軸の補正を電子的に行い(計算し)、電極アレイ12の知られている形状に基づいて1つ以上の軸の拡大縮小の補正を行い、測定された電極位置を知られている可能性のある構成と整合するように「適合」を実行することができ、これは、1つ以上の制約(例えば、単一のスプライン上の2つの電極12aの間の距離、2つの異なるスプライン上の2つの電極12a間の距離、2つの電極12a間の最大距離、2つの電極12a間の最小距離、背部の最小および/または最大の湾曲などの物理的制約)を用いて最適化され得る。
【0147】
心臓情報の操作卓20は、位置特定信号の発生器28と位置特定駆動電流の監視回路29とを含む位置特定駆動回路も備える。位置特定駆動回路は、高周波の位置特定駆動信号(例えば、10kHz~100kHzなどの10kHz~1MHz)を供給する。これらの高周波における駆動信号を用いる位置特定によって、例えば血球の変形に基づく細胞応答の位置特定データに対する影響を低減し、および/またはより高い駆動電流が例えばより良い信号対雑音比を実現することを可能にする。信号発生器28は、超低位相雑音のタイミングで駆動信号(例えば、正弦波)の高分解能のデジタル合成をもたらす。駆動電流の監視回路は、高電圧で広帯域の電流源を与え、これは患者Pのインピーダンスを測定するために監視される。
【0148】
心臓情報の操作卓20は、位置特定および生体電位の処理の結果を出力するように構成されたユーザインターフェース(UI)のサブシステム27を備えることもできる。UIサブシステム27は、2D、3D,またはそれらの組み合わせでそのような結果をグラフィック的に描画する少なくとも1つの表示装置27aを備えることもできる。ユーザインターフェースシステム27は、生体電位の3Dアレイの画像をグラフィック的に調整および補正するために、ユーザが座標系を回転および/または拡大縮小することを可能にする1つ以上の機構を備えることもできる。そのような機構は、タッチスクリーン、マウス、キーボード、ライトペン、トラックボール、マイクロフォンなどを含み得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、図1にそれぞれ示されるように、システム10は、信号をそれぞれが生成するように構成された1つ以上のセンサ、カテーテル10のセンサ(例えば、ハンドル14のセンサ14a、またはアレイ12のセンサ12c)、心臓情報の操作卓20のセンサ20b、および/または患者インターフェースのモジュール50のセンサ50aを備える。いくつかの実施形態では、システム10は、センサ12c、14a、20b、および/または50aのうちの2つ以上を備える。いくつかの実施形態では、センサ12c、14a、20b、および/または50aは、力センサ、圧力センサ、歪みゲージ、光学的センサ、撮像センサ(例えば、レンズまたは光ファイバ)、超音波センサなどの音響センサ、ホール効果センサ、pHセンサ、磁気センサ、温度センサ、およびこれらの1つ以上の組み合わせからなる群から選択されるセンサを備える。いくつかの実施形態では、センサ12cは、血圧センサ、血液ガスセンサ、温度センサ、血糖センサ、pHセンサ、呼吸センサ、平均凝固時間(ACT)センサ、およびこれらの1つ以上の組み合わせからなる群から選択されるセンサなどの患者の生理学的センサを含む。いくつかの実施形態では、システム10は、センサ12c、14a、20b、および/または50aのうちの1つ、2つ、またはそれ以上によって生成された信号を解析するように構成されている。いくつかの実施形態では、システム10(例えば、心臓情報の操作卓20)は、電圧データ、双極子密度データ、表面電荷データ、および/または解剖学的データ(例えば、1つ以上の超音波変換器133によって収集された解剖学的データ)と組み合わせて、センサ12c、14a、20b、および/または50aのうちの1つ、2つ、またはそれ以上によって生成された1つ以上の信号の解析を実行するように構成されている。いくつかの実施形態では、1つ以上のセンサ12c、14a、20b、および/または50aからの信号は、システム10によって表示された解剖学的画像の改善、システム10によって表示される心臓の情報(例えば、双極子密度および/または表面電荷の情報)の改善、システム10の不具合の検出、患者の生理学的データの用意、およびこれらの1つ以上の組み合わせからなる群から選択される機能を実行するためにシステム10によって使用される。いくつかの実施形態では、センサ12c、14a、20b、および/または50aのうちの1つ以上は、(例えば、センサの代替としてまたはセンサに加えて)加熱要素、冷却要素、振動要素、薬品または他の薬物を送り届ける要素、磁場を発生する要素、光を送り届ける要素、(レンズおよび/または光ファイバなどの)撮像要素、およびこれらの1つ以上の組み合わせからなる群から選択される変換器などの変換器を備えることができる。
【0150】
図2は、図1の位置特定駆動回路およびUIシステムの一実施形態の回路図を与える。図2は、図1のUIサブシステム27、位置特定信号の発生器28、および位置特定駆動電流の監視回路29の部分を示す。
【0151】
位置特定信号の発生器28は、正弦波などの位置特定のための波形を発生させるDDS(ダイレクトデジタルシンセサイザ)である。1つの波形は、「軸」ごとに発生する(現在、3軸システム)。高い周波数の正弦波が、異なる周波数の3つの正弦波のように軸ごとに発生する。例えば、X対の電極のために発生する信号は、39kHzにおけるものとすることができ、Y対の電極のために発生する信号は、48kHzにおけるものとすることができ、Z対の電極のために発生する信号は、52kHzにおけるものとすることができる。
【0152】
駆動電流の監視回路29は、出力としてADCを用いて位置特定システムによって患者Pへ送り届けられる電流を監視し維持するためのフィードバックシステムを与える。駆動電流の監視回路29は、電流出力を監視し、身体のインピーダンスなどのシステムの物理的変数、パッチ配置に関する問題、物理的変数の変化、ならびに/あるいはハードウェアの誤差および/または故障を決定することができる。
【0153】
この実施形態では、心臓情報の操作卓20および患者インターフェースのモジュール50は、単一の電源の使用によって共通の接地を共有する。示されるように、患者インターフェースのモジュール50は、変圧器を用いて位置特定ドライバの切り離しを行う。これは、異なる電極対を駆動する(例えば、現在3つの電極対が3つの異なる周波数を用いて同時に駆動されている)一方で、より良い切り離しをもたらす。
【0154】
図2には、電極対における2つの電極間のインピーダンスが、「Z」(インピーダンスについての通例の記号)によって示されている。
【0155】
図3は、本発明概念の各態様による患者の正面図および背面図、ならびに相対的な電極配置を与える図である。この図は、上述したような好ましいパッチ電極の配置を示す。図1には、例えば、X電極X1およびX2はそれぞれパッチ電極1および2として示されており、Z電極Z1およびZ2はそれぞれパッチ電極3および4として示されており、Y電極Y1およびY2はそれぞれパッチ電極5および6として示されている。このようにして、パッチ1および2は肋骨に配置され、身体内でX軸を形成し、パッチ3および4は(それぞれ)腰部および上胸部に配置され、Z軸を形成し、パッチ5および6は(それぞれ)上背および下腹部(胴)に配置され、Y軸を形成する。3つの軸は、同様の長さであり、身体の「自然」軸(すなわち、頭部と足指、胸と背、および側面と側面)と整合されていない。
【0156】
基準のパッチ電極58は、腰部/臀部に配置することができる。加えてまたは代替として、基準カテーテルは、身体血管内の同様の位置に配置することができる。
【0157】
上述したように、パッチ対は、差動的に動作することができ、すなわち、対内のどちらのパッチ56も基準電極として動作せず、2つの間の電気的な場を発生させるためにシステム100によって共に駆動されている。代替としてまたは加えて、パッチ電極56の1つ以上は、基準電極58として働くことができ、それらはシングルエンドモードで動作するようになっている。任意の対のパッチ電極56の1つは、シングルエンドパッチ対を形成するそのパッチ対のために基準電極58として働くことができる。1つ以上のパッチ対は、独立してシングルエンドであるように構成することができる。パッチ対の1つ以上は、シングルエンドの基準としてパッチを共有することができ、または電気的に接続された1つのパッチ対よりも多くの基準パッチを有することができる。
【0158】
心臓情報の操作卓20によって実行される処理を通じて、軸は、電極56の配置に基づく第1の向き、例えば非生理学的な向きから第2の向きへ変換、例えば回転することができる。第2の向きは標準的な左・後・上(LPS:Left-Posterior-Superior)の解剖学的向きを含むことができ、すなわち「x」軸は患者の右から左へ向けられ、「y」軸は患者の前から後ろへ向けられ、「z」軸は患者の尾から頭へ向けられる。パッチ電極56の配置およびそれによって定められた非標準的な軸は、パッチ電極の配置と比較するときに空間分解能の改善をもたらすように選択することができ、その結果、例えば、非標準的な向きの電極56間の好ましい組織の特徴により、結果として得られた軸の通常の生理学的な向きになる。例えば、非標準的な電極の配置によって、位置特定の場での肺の低インピーダンスの体積の影響が減少することになり得る。さらに、電極の配置は、同様または同等の長さの経路に沿って患者の身体を貫通する軸を作り出すように選択することができる。同様の長さの軸は、体内の単位距離あたりより多くの同様のエネルギー密度を有し、そのような軸に沿ってより均一な空間分解能をもたらす。非標準的な軸を標準的な向きに変換することによって、より分かりやすい表示装置の環境をユーザに提供することができる。所望の回転が実現されると、各軸は、必要に応じて、拡大縮小、すなわちより長くまたはより短くされ得る。回転および拡大縮小は、所定の、例えば予期されたまたは知られている電極アレイ12の形状および相対的な寸法をパッチ電極によって確立された座標系内の電極アレイの形状および相対的な寸法に対応する測定値と比較することに基づいて実行される。例えば、回転および拡大縮小は、比較的不正確な表示、例えば、未較正の表示をより正確な表示に変換するように実行することができる。電極アレイ12の表示の整形および拡大縮小によって、もっとより正確な位置特定のために、軸の向きおよび相対的なサイズを調整、整合、および/または他の方法で改善することができる。
【0159】
基準電極58は、患者の基準としてパッチ電極および/または電気的な基準カテーテルとすることができるまたは含むことができる。パッチ電極58は、皮膚に配置することができるとともに、除細動のための電流のためのリターンとして働く。電気的な基準カテーテルは、コモンモード除去を向上させるために使用される単極の基準電極を備えることができる。基準カテーテル上の単極の基準電極または他の電極は、生理学的、機械的、電気的、または計算的な心臓の信号中のアーティファクトを測定し、追跡し、補正し、または較正するために使用することができる。いくつかの実施形態では、これらのアーティファクトは、呼吸、心臓の動き、フィルタなどの信号処理の適用によって引き起こされるアーティファクトによるものであり得る。電気的な基準カテーテルの別の形態は、内部のアナログの基準電極であり得、これは全ての内部のカテーテル電極についての低雑音の「アナログの接地」として働くことができる。これらのタイプの各基準電極は、(カテーテルのとき)内部の血管における腰部の近くおよび/または(パッチのとき)腰部の上などの比較的同様の位置に配置することができる。いくつかの実施形態では、システム100は、固定機構(例えば、ユーザにより作動させられる固定機構)を含む基準カテーテル58を備え、この固定機構は、基準カテーテル58の1つ以上の電極の変位(例えば、偶発的またはその他の意図しない動き)を減少させるように構成および配置することができる。固定機構は、螺旋拡張器、球状の拡張器、周方向の拡張器、軸方向に作動する拡張器、回転可能に作動する拡張器、およびこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される機構を備えることができる。
【0160】
次に、図4を参照すると、本発明概念の各態様による心臓情報の処理システム400の一実施形態のブロック図が与えられる。図4のシステム400は、図4においてカテーテルが電極12aと共にバスケット電極アレイ12のスプラインにここでは位置する超音波変換器12bを備えることを除いて、図1のシステム100のものと同様である。この実施形態では、(例えば、位置特定のための)単一の電極12aは、(例えば、解剖学的表示のための)超音波変換器12bと対を成している。一実施形態では、電極アレイ12上にそのような対が48個存在する。他の実施形態では、システムは、AUXカテーテルおよび/またはアレイ上に電極だけを有するカテーテルなどを用いて、変換器と対を成していない電極の位置を特定することもできる。カテーテル10は、図1に示されるように、心臓情報の操作卓20にやはり接続する。
【0161】
複数「対」の電気的な構成要素に関して、例えば、少なくとも1つの対は、電極12aと、超音波変換器12bとを備える。各電極12aは、心臓の表面または心腔HC内の位置に存在する電圧などの電圧(または生体電位)を記録するように構成することができる。各超音波変換器12bは、心臓または他の患者の解剖学的位置の少なくとも一部の組織の解剖学的画像を生成等するために、超音波信号を送信および/または受信するように構成することができる。そのような情報が経時的に複数の対12a、12bについて蓄積されるとき、心臓の解剖学的画像とともに心臓活性化の重ね合わされたマッピングが、USサブシステム27を介して表示装置のために生成され得る。
【0162】
この実施形態では、心臓情報の操作卓20は、図1を参照して上述された同じ生体電位信号の経路30および位置特定信号の経路40を備えるとともに、DFIB保護モジュール22およびADC24を備える。BIO信号の処理モジュール34またはLOC信号の処理モジュール44は、心臓情報の操作卓20内ならびにUIサブシステム27内にやはり含まれる。BIOプロセッサ36およびLOCプロセッサ44を含む電源PWRおよびプロセッサ26を備えることもできる。
【0163】
図1とは異なり、US切り離しMUX61、US変圧器62、およびUS発生および検出のモジュール63を備えた超音波(US)信号の経路60が与えられている。US切り離しMUX61は、DFIB保護モジュール22に接続されているとともに、所定の順序またはパターン等でUS変換器12bをオンオフするために使用される。US切り離しMUX61は、開放時に、USシステムおよび残りのUS信号の経路の要素を切り離し、LOCの経路およびBIOの経路の入力から(変換器およびUS信号の経路60を通じて)インピーダンスと接地の結合を解除する一組の高い入力インピーダンスのスイッチとすることができる。US切り離しMUX61は、1つの送受信回路をカテーテル10上の1つ以上の複数の変換器12bに多重化もする。US変圧器62は、US切り離しMUX61とUS発生および検出のモジュール63の間で両方向に動作する。US変圧器62は、US変換器12bによる超音波の送受信中にモジュール63内のUS送受信回路によって生成された電流から患者を切り離す。US変圧器62のスイッチは、変換器12bの動作モードに基づいて、所定の順序またはパターン等で関連した変換器12bのうちの1つ以上を作動させるように、モジュール63の送信および/または受信の電子回路を選択的に係合する。すなわち、送信モードでは、モジュール63は、US信号の生成を作動させ送信増幅器の出力をUS変圧器62に接続する(データプロセッサ26内の)USプロセッサから制御信号を受信する。US変圧器62は、US変換器12bを選択的に作動させるUS切り離しMUX61に信号を結合する。受信モードでは、US切り離しMUX61は、変換器12bのうちの1つ以上から反射信号を受信し、これはUS変圧器62へ送られる。US変圧器62は、US発生および検出のモジュール63の受信の電子回路に信号を結合し、これは次にユーザインターフェースシステム27および表示装置27aによる処理および使用のために反射データ信号をUSプロセッサへ送信する。
【0164】
この実施形態では、ADCおよび信号処理は、BIO、LOC、および超音波のために心臓情報の操作卓20内に全て収容されている。ADCへの出力は、電極ごとの一連の個々の生体電位の電圧点である。以下に説明されるように、これらは、フィルタ処理されており、CMRRは、独立して扱われるチャンネルごとにチャンネル毎ベースで改善および正規される。ADCへの出力は、各パッチ電極の軸ごとの一連の位置特定の電圧点でもある。そして、ADC24への出力は、超音波について単一時間で測定された一群の(本実施形態では)48個の反射距離でもある。
【0165】
アルゴリズムの計算は、心臓情報の操作卓20においてなされるものであり、48個または80個のチャンネルを一度に処理し、信号間の伝搬の遅延を測定し、x、y、zのデータを電極の位置の空間分布に変え、一群の位置を計算しこの位置の補正を適用し、および/または個々の距離を点群に変え、この点群を操作することを含む。
【0166】
図5は、本発明概念の各態様による位置特定信号の処理を実行するように協働する機能要素の一実施形態のブロック図である。IQ復調器502は、ADC24から出力を受信し、受信した信号の大きさおよび位相を解析する。この実施形態では、IQ復調を用いることによって、最大の雑音除去をもたらす。狭帯域フィルタ504は、干渉を最小にし、時間フィルタ506は、任意の期間からの信号の選択的フィルタリングを可能にすることによって超音波パルスとの相互変調を防ぐ。例として、時間フィルタ506は、信号、例えばマッピングの信号、位置特定の信号、および/または超音波撮像の信号をブランキングおよびインターリービングするために使用することができる。
【0167】
データプロセッサ508は、位置特定信号の処理に使用されるグローバルデータセットに適用される計算アルゴリズムを実行するように構成することができる。
【0168】
図6は、本発明概念の各態様による、図5の手法の別の実施としての、位置特定信号の処理を実行するように協働する機能要素の一実施形態のブロック図である。
【0169】
図6の実施形態は、ADC24と時間フィルタ506の間に形成された並列構成における複数の周波数の同時復調を示す。この実施形態は、位置特定について最高のスループットをもたらすとともに、雑音を低減するためにオーバーサンプリングを可能にする。ADC24から来るチャンネルごとにIQ復調器502a、502b、502cが存在する。図示されるように、IおよびQの構成要素についての独立したIIRフィルタリングが存在する。この手法は、可能である最高の信号完全性を与え、最も狭い帯域通過を可能にし、最も短いリアルタイム遅延となる。時間フィルタ506は、超音波パルスとの相互変調を防ぐ。
【0170】
この手法は、総同期処理のチェーンをもたらし、簡単な時間/状態依存性のフィルタを可能にする。
【0171】
図7は、本発明概念の各態様による、図5の手法の別の実施としての、位置特定信号の処理を実行するように協働する機能要素の一実施形態のブロック図である。
【0172】
図7の実施形態は、IおよびQごとの専用IIRフィルタが存在しないことを除いて、図6の実施形態と同様である。代わりに、IQ復調器からマルチチャンネルIIRフィルタ504へのスイッチを用いたIQ構成要素の時間多重化が存在する。マルチチャンネルIIRフィルタ504は、全てのIおよびQに対応するように十分な個数のチャンネルを備える。他の実施形態では、IIRフィルタ504の個数は、1よりも大きくすることができるとともに、IおよびQの個数よりも少なくすることができる。
【0173】
この手法は、追加の時間遅延なしで計算資源を減少させる。
【0174】
図8は、本発明概念の各態様による位置特定方法の一実施形態である。図8の方法800は、本明細書中に説明された様々なシステムによって実施することができる。
【0175】
ステップ802において、処理されたIおよびQデータが、信号処理のモジュールから受信される。ステップ804において、IQデータは、電圧データに変換される。いくつかの実施形態では、電圧データは異常信号および/または外れ値データについてフィルタ処理され、このデータは、さらなる計算から除外することができる。ステップ806において、48個の電極アレイ12などの電極アレイの知られているまたは測定された形状に基づき得る軸補正因子が、決定され適用される。位置特定電極、例えば基準電極56の対ごとに1つの軸が存在する。例えば、バスケットの形状が正しくない場合、1つ以上の軸は、バスケットが適切な形状をとるまで回転、拡大縮小、および/またはスキュー修正することができ、これは、UIサブシステム27の表示装置上で見ることができ、およびユーザインターフェースモジュール27の操作可能なユーザ機構であり得る。ステップ808において、拡大縮小行列は、電極アレイの知られているまたは測定された形状にやはり基づいて決定され、電圧値に適用される。ここで、アレイの長さまたはサイズが正しくない場合、電極アレイの知られているまたは決定された比率に基づいて、軸のうちの1つ以上は、適切なサイズが実現されるまで拡大縮小(より長くまたはより短く)され得る。
【0176】
ステップ810において、電極アレイ(例えば、電極アレイ12)における電極の位置の値は、決定可能であり、ステップ806および808に基づいて補正される電圧値を有する。ステップ812において、適合アルゴリズムは、計算された電極位置を知られているバスケット構成へ適合させるように実行され得る。さらに、ステップ814において、さらなる適合および回転が計算された電極位置に適用されてもよく、電極アレイ上の電極位置が更新され得る。この適合ステップは、第1の適合ステップよりも正確であり、したがってより良い位置特定の精度をもたらす。ステップ816において、次のデータセットが読み込まれ、この方法は、さらなる処理のためにステップ804に戻る。
【0177】
図9は、本発明概念の各態様によるアブレーションシステムおよびアブレーションカテーテルの一実施形態の概略図である。アブレーションカテーテル512に結合されたアブレーションシステム510が存在する。アブレーション先端514は、アブレーションカテーテル512の遠位端に位置する。アブレーション先端514は、アブレーションエネルギー、例えばRFアブレーションエネルギーを組織へ送り届ける。
【0178】
この実施形態では、「電力の経路」の変更はなく、例えば、電力の経路のフィルタリングはなく、したがってインピーダンスがチェーンに加えられず、アブレーションの電力はフィルタにおいて浪費されない。非アブレーション電極、例えば位置特定システムの一部として使用される電極に接続されたフィルタ520が存在する。高い入力インピーダンスが、位置特定システムのために維持され、位置特定システムは、アブレーションエネルギーを送り届ける最中に位置特定を可能にする。さらに、この実施形態では、アブレーションシステム510と接地パッチ516の間の戻り経路におけるフィルタの代替構成におけるよりも少ないアブレーション雑音またはアーティファクトが、BIOおよび/またはLOC信号に結合される。
【0179】
図10は、本発明概念の各態様による超音波の高い入力インピーダンスのMUX61を含む超音波回路の一実施形態の概略図である。超音波の高い入力インピーダンスのスイッチは、超音波切り離しスイッチ1010(図示の単一のスイッチ)を含む。超音波切り離しスイッチ1010は、上述の除細動(DFIB)保護のモジュール22の前面に接続するとともに、別個のDFIB保護回路1020を有し、DFIB保護回路1020は、位置特定、マッピング、および補助カテーテル(例えば、アブレーションカテーテル)が接続されるポートに接続する(例えば、図1のコネクタ20a参照)。
【0180】
この手法は、BIO信号およびLOC信号から超音波を切り離すことをもたらす。この手法は、最小静電容量の実施であり、高電圧バイアスは静電容量を減少させ、対称スイッチは電荷注入を最小にする。高電圧は、スイッチが「オン」状態に到達するための時間も短くし、生体電位および位置特定信号についての歪みの時間を最小にする。一実施形態では、オプトFETは、DFIB保護回路1020から制御電子回路を切り離す。
【0181】
上記のものは最良の形態および/または他の好ましい実施形態であるとみなされるものを記載したが、そこに様々な変形がなされてもよく、1つのまたは複数の本発明は様々な形態および実施形態において実施することができ、それらは多数の応用に適用することができ、それらのうちのほんの一部が本明細書中に記載されていることが理解される。各請求項の範囲内に含まれる全ての変形および変更を含む文字通り記載されているものおよびその全ての均等物の権利を主張することが、添付の特許請求の範囲によって意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10