(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】中空プロファイル複合技術
(51)【国際特許分類】
B29C 45/14 20060101AFI20230301BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
B29C45/14
B29C45/26
(21)【出願番号】P 2022513955
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(86)【国際出願番号】 EP2020074110
(87)【国際公開番号】W WO2021043683
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-03-01
(32)【優先日】2019-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505422707
【氏名又は名称】ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ・ダイェク
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102008046602(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第19747021(DE,A1)
【文献】特開平08-312757(JP,A)
【文献】国際公開第2019/034208(WO,A1)
【文献】国際公開第01/087568(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03369544(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合部品を製造するためのプロセスにおいて、
a)少なくとも1つの開放可能空洞、及び閉方向の金型寸法(A)、及び金型の閉方向と直角の金型寸法(B)、及び金型寸法(A)と(B)との領域において空洞の円周に対応する空洞円周(UW)、並びに、少なくとも1つの二次空洞を有する射出成形金型を提供することと、
b)中空円筒の形態の少なくとも1つの中空プロファイルを提供することであって、
i)中空プロファイル円周(UH)、壁厚(S)、外径(C)、及び長手方向軸(L)と、
ii)角度(W)を有する少なくとも1つの屈曲部と、
iii)前記長手方向軸(L)に沿った少なくとも1つの穿孔(2)と、
を有し、前記中空プロファイルの非屈曲領域において、
iv)5:1~300:1の範囲である外径(C)の壁厚(S)に対する比率を有し、ここで、金型接触面(K)の領域の外径(C)が、0.1%~5%の範囲で前記金型寸法(A)より大きく、且つ、0.1%~5%の範囲で前記金型寸法(B)より小さく、
v)外径(C)のための数値が、前記中空プロファイルの前記長手方向軸(L)の方向に見て90°の方向に基づき、
vi)前記中空プロファイル円周UH=C・πが、閉状態の前記少なくとも1つの射出成形金型空洞の前記空洞円周(UW)に対応し、
vii)前記金型接触面が、閉状態の前記金型の、前記中空プロファイルとのシール面を指す、
提供することと、
c)前記少なくとも1つの中空プロファイルを前記射出成形金型の前記少なくとも1つの空洞に導入することと、
d)前記射出成形金型の前記少なくとも1つの空洞を閉じて、前記少なくとも1つの空洞の閉方向に前記金型接触面で前記中空プロファイルを圧縮することと、
e)前記中空プロファイルの内部にプラスチックを注入し、同時に、前記中空プロファイルの前記少なくとも1つの穿孔(2)を介して前記少なくとも1つの二次空洞を充填することと、
f)ガス又は流体又はその2つの組合せを注入することによって、前記中空プロファイルの2つの横方向開口のうちの少なくとも1つを通して過剰なプラスチックを外に出すことと、
g)e)において前記中空プロファイル及び前記二次空洞に導入された前記プラスチックの溶融物を冷却することと、
h)前記射出成形金型から完成複合部品を取り出し、任意選択的にスプルーを取り除くことと、
によるプロセスであって、
プロセスステップa)における、金型寸法(A)のための数値、金型寸法(B)のための数値、及び空洞円周(UW)のための数値が、前記中空プロファイルの非屈曲領域がある前記射出成形金型の領域に関するものであり、前記中空プロファイルが、金属又は複合物に基づく、プロセス。
【請求項2】
プロセスステップb)の前、プロセスステップb)の間、又はプロセスステップb)の後に、少なくとも1つの穴又はボ
アの形態の少なくとも1つの穿孔(2)が、外側から、少なくとも1つの機能要素が設けられる位置の中空プロファイルの壁に導入されることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの穴又はボアが、複数の穴又はボアであることを特徴とする、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記中空プロファイルへのプラスチックの射出によって同時に成形される機能要素の、前記中空プロファイルへの接合が、追加の方策によって支援されることを特徴とする、
請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記方策が、前記中空プロファイルの壁へのビード、穴、ボアの導入、又は、追加の固定要素の適用を含むことを特徴とする、
請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
使用される前記金属が、鋼、アルミニウム、又はアルミニウムの合金であることを特徴とする、
請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記中空プロファイルが、円形又は楕円形の断面を有し、楕円形の断面が、円形断面から多くとも10%変化することを特徴とする、
請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記中空プロファイルが、0.1mm~10.0mmの範囲の壁厚(S)を有することを特徴とする、
請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記中空プロファイルが、60mm~2000mmの範囲の長手方向軸(L)を有することを特徴とする、
請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
金属、合金、熱可塑性プラスチック、及び熱硬化性物質の群からの少なくとも1つの材料が、前記中空プロファイルの製造のために使用されることを特徴とする、
請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
使用される前記金属が、鋼、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、亜鉛、鉛、銀、金、黄銅、又は合金であり、使用される前記熱可塑性プラスチックが、ポリアミド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリ塩化ビニルであり、使用される前記熱硬化性物質が、エポキシ樹脂、架橋性ポリウレタン、又は不飽和ポリエステル樹脂であることを特徴とする、
請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
使用される前記ポリアミドが、ナイロン-6であり、使用される前記ポリアルキレンテレフタレートが、ポリブチレンテレフタレート又はポリエチレンテレフタレー
トであることを特徴とする、
請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
使用される前記ポリアルキレンテレフタレートが、ポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
少なくとも1つの補強
材を有する熱可塑性プラスチックが使用されることを特徴とする、
請求項11~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
使用される熱可塑性プラスチックが、前記熱可塑性プラスチックの100質量部あたり10質量部~400質量部の量の補強材を有することを特徴とする、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
使用される前記中空プロファイルが、前記補強材
が繊維マッ
トの織物又はスクリムに基づく、熱可塑性プラスチックをベースとした複合物であることを特徴とする、
請求項14又は15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記繊維マットが、長手方向ガラス繊維又は連続ガラス繊維に基づくガラス繊維マットであることを特徴とする、請求項16に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの円筒形中空プロファイルから構成される少なくとも1つの機能要素と、特定の射出成形法によって中空プロファイルに導入される少なくとも1つのプラスチックと、を有する複合部品を製造するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
今もなお、自動車の組立てにおいては、複合部品を使用する多くの事例がある。それらは通常、少なくとも1つの個別に製造されたプラスチック要素に接合された、金属製の閉じた中空プロファイルから製造される。2つの個別の部品の製造、及び最終的なこれら少なくとも2つの部品の接合は、高いレベルの製造及び組立ての複雑さをもたらす。さらに、プラスチック要素への中空プロファイルの接合のために、ねじ、ナット、リベットなどの形態の追加の接合手段が必要であり、それは、通常、次に、より大きな組立て空間を必要とし、複合部品をより重くする。
【0003】
プラスチックだけから構成される、すなわち、中空プロファイル及びプラスチック要素がどちらもプラスチックから作られる比較可能な複合部品は、許容可能な寸法の断面の場合、より低い強度及び剛性を示すが、金属材料から作られる同等の部品と比較して、急激な応力の下でのエネルギー吸収における欠点も示す。
【0004】
特許文献1は、半完成の管状金属材料のハイドロフォーミングによって金属/プラスチック複合品から成形品を製造するためのプロセスを説明しており、その目的のために、半完成の材料は、成形品の輪郭に対応する金型間隔を有する少なくとも2部品金型に挿入されて、金型は閉じられ、半完成の管状材料は、その開いた端面で耐圧密封され、少なくとも1つの端面からの高分子溶融体により、高圧下で金型間隔に形づくられる。高分子溶融体は、従来の射出成形システムによる射出成形によって半完成の材料に圧入される。金属成形品の壁領域における高分子溶融体の十分な凝固の後、内部のプラスチックコーティングを有する金属成形品を得るように、高分子溶融体は成形品から取り除かれる。
【0005】
特許文献2の発明は、少なくとも1つの中空プロファイル基礎構造と、少なくとも1つの中空プロファイル基礎構造の内部に位置付けられた少なくとも1つの支持要素と、から複合部品を製造するためのプロセスに関する。
【0006】
特許文献3は、中空プロファイルと射出成形要素とから複合部品を製造するためのプロセスを説明しており、射出成形要素は、中空プロファイルが周方向に拘束的に締め付けられるように、中空プロファイル上の外部に成形され、少なくとも1つの形状適合要素が、中空プロファイル内に形成され、中空プロファイルの端部間の形状適合要素が中空プロファイルを与えるために周方向及び長手方向の範囲に関して制限される方法で形づくられる又は成形されるという点で、射出成形動作に含まれる。
【0007】
特許文献2は、少なくとも1つの中空プロファイルと、少なくとも1つの中空プロファイル内に位置付けられる少なくとも1つの支持要素と、から複合部品を製造するためのプロセスに関し、プラスチックは、外側から中空プロファイルに加えられる。
【0008】
特許文献4は、差異が+/-10%の範囲にある、180°で互いに対向する配置の2つのアームによってリングの形態で囲まれる、円筒形中空プロファイルに基づくデモンストレータを説明しており、アームは、射出成形によるプラスチックの外部適用によって中空プロファイル上に取り付けられる。
【0009】
従来技術で説明されるプロセスの欠点は、中空プロファイルへのプラスチックの外部適用は、中空プロファイル壁の局部崩壊、又は、中空プロファイル壁の意図的な穿孔による中空プロファイルへのプラスチックの制御不能の貫入につながる可能性があることである。さらに、大きな欠点は、屈曲部、特に90°の屈曲部を有する中空プロファイルを加工することが可能ではないことである。屈曲部を有する中空プロファイルの場合、特許文献2の場合のような支持体導入、及び、それによる中空プロファイルの崩壊の回避は、射出圧力又は圧縮圧のために可能ではない。さらに、特許文献2のプロセスの欠点は、いずれの場合にも、使用される中空プロファイルに関して、個々に照合及び事前製作しなければならない好適な支持要素の製造のための上流ステップである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際公開第01/87568号
【文献】欧州特許出願公開第3369544号明細書
【文献】国際公開第2009/077026号
【文献】独国実用新案第202018001599号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、少なくとも1つの屈曲部を有する少なくとも1つの薄肉中空プロファイルと、射出成形によって製造される少なくとも1つの機能要素と、に基づき、複合部品を製造するためのプロセスを提供することが本発明の目的であり、少なくとも1つの機能要素は、半径方向に、且つ、軸方向に形状適合して機械的に固定するように、中空プロファイルに接合される。
【0012】
本発明の文脈における「薄肉」は、本発明に従う使用のための中空プロファイルに関して、好ましくは、中空プロファイルの直径の壁厚に対する比率が5:1~300:1の範囲であることを意味する。
【0013】
さらに、本発明に従って製造される複合部品は、製造に関して、又は、強度及び剛性特性に関する欠点、よって、エネルギー吸収特性に関する欠点も、欠点を有するとしても、明確に減少した程度で上記の欠点を有するべきであり、経済的に実行可能な製造におけるシステム又はモジュール形成のために、高度な機能の統合を可能とすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明
目的は、
a)少なくとも1つの開放可能空洞、及び閉方向の金型寸法A、及び金型の閉方向と直角の金型寸法B、及び金型寸法AとBとの領域において空洞の円周に対応する空洞円周UW、並びに、少なくとも1つの二次空洞を有する射出成形金型を提供することと、
b)中空円筒の形態の少なくとも1つの中空プロファイルを提供することであって、
i)中空プロファイル円周UH、壁厚S、外径C、及び長手方向軸Lと、
ii)角度Wを有する少なくとも1つの屈曲部と、
iii)その長手方向軸Lに沿った少なくとも1つの穿孔2と、
を有し、中空プロファイルの非屈曲領域において、
iv)5:1~300:1の範囲である外径Cの壁厚Sに対する比率を有し、ここで、金型接触面の領域の外径Cが、0.1%~5%の範囲で金型寸法Aより大きく、且つ、0.1%~5%の範囲で金型寸法Bより小さく、
v)外径Cのための数値が、中空プロファイルの長手方向軸Lの方向に見て90°の方向に基づき、
vi)中空プロファイル円周UH=C・πが、閉状態の少なくとも1つの金型空洞の空洞円周UWに対応し、
vii)金型接触面Kが、閉状態の金型の、中空プロファイルとのシール面を指す、
提供することと、
c)少なくとも1つの中空プロファイルを射出成形金型の少なくとも1つの空洞に導入することと、
d)射出成形金型の少なくとも1つの空洞を閉じて、少なくとも1つの空洞の閉方向にその金型接触面で中空プロファイルを圧縮することと、
e)中空プロファイルの内部にプラスチックを注入し、同時に、中空プロファイルの少なくとも1つの穿孔2を介して少なくとも1つの二次空洞を充填することと、
f)ガス又は流体又はその2つの組合せを注入することによって、中空プロファイルの2つの横方向開口のうちの少なくとも1つを通して過剰なプラスチックを外に出すことと、g)e)において中空プロファイル及び二次空洞に導入されたプラスチック溶融物を冷却(凝固)することと、
h)射出成形金型から完成複合部品を取り出し、任意選択的にスプルーを取り除くことと、
によって複合部品を製造するためのプロセスであって、
ただし、プロセスステップa)における、金型寸法Aのための数値、金型寸法Bのための数値、及び空洞円周UWのための数値は、中空プロファイルの非屈曲領域がある射出成形金型の領域に関するものであり、中空プロファイルは、金属又は複合物に基づき、少なくとも1つの開放可能空洞は、少なくとも1つの二次空洞とともに、複合部品の輪郭を構成し、開放可能空洞は、少なくとも1つの屈曲部を有する管形状を有する、
プロセスによって達成される。
【0015】
驚くべきことに、本発明のプロセスは、中空プロファイルの崩壊を最初から防ぐ、中空プロファイルの内部に導入されたプラスチック及び中空プロファイルの内壁に加えられたプラスチックを有する中空プロファイルから構成される複合部品の製造を可能にする。中空プロファイルに設けられた少なくとも1つの穿孔2を介して、1つの射出成形動作で中空プロファイルの内部を通して少なくとも1つの二次空洞を充填し、よって、少なくとも1つの機能要素を中空プロファイルに連結することがさらに可能である。さらに、本発明のプロセスは、上記の従来技術によって処理可能ではない少なくとも1つの屈曲部を有する中空プロファイルの使用を可能にする。
【0016】
1つの実施形態において、本発明は、
a)少なくとも1つの開放可能空洞、及び閉方向の金型寸法A、及び金型の閉方向と直角の金型寸法B、及び金型寸法AとBとの領域において空洞の円周に対応する空洞円周UW、並びに、少なくとも1つの二次空洞を有する射出成形金型を提供することと、
b)中空円筒の形態の少なくとも1つの中空プロファイルを提供することであって、
i)中空プロファイル円周UH、壁厚S、外径C、及び長手方向軸Lと、
ii)角度Wを有する少なくとも1つの屈曲部と、
iii)その長手方向軸Lに沿った少なくとも1つの穿孔2と、
を有し、中空プロファイルの非屈曲領域において、
iv)5:1~300:1の範囲である外径Cの壁厚Sに対する比率を有し、ここで、金型接触面の領域の外径Cが、0.1%~5%の範囲で金型寸法Aより大きく、且つ、0.1%~5%の範囲で金型寸法Bより小さく、
v)外径Cのための数値が、中空プロファイルの長手方向軸Lの方向に見て90°の方向に基づき、
vi)中空プロファイル円周UH=C・πが、閉状態の少なくとも1つの金型空洞の空洞円周UWに対応し、
vii)金型接触面Kが、閉状態の金型の、中空プロファイルとのシール面を指す、
提供することと、
c)少なくとも1つの中空プロファイルを射出成形金型の少なくとも1つの空洞に導入することと、
d)射出成形金型の少なくとも1つの空洞を閉じて、少なくとも1つの空洞の閉方向にその金型接触面で中空プロファイルを圧縮することと、
e)中空プロファイルの内部にプラスチックを注入し、同時に、中空プロファイルの少なくとも1つの穿孔2を介して少なくとも1つの二次空洞を充填することと、
f)ガス又は流体又はその2つの組合せを注入することによって、中空プロファイルの2つの横方向開口のうちの少なくとも1つを通して過剰なプラスチックを外に出すことと、
g)e)において中空プロファイル及び二次空洞に導入されたプラスチック溶融物を冷却(凝固)することと、
h)射出成形金型から完成複合部品を取り出し、任意選択的にスプルーを取り除くことと、
によって得ることができる複合部品であって、
ただし、プロセスステップa)における、金型寸法Aのための数値、金型寸法Bのための数値、及び空洞円周UWのための数値は、中空プロファイルの非屈曲領域がある射出成形金型の領域に関するものであり、中空プロファイルは、金属又は複合物に基づき、少なくとも1つの開放可能空洞は、少なくとも1つの二次空洞とともに、複合部品の輪郭を構成し、開放可能空洞は、少なくとも1つの屈曲部を有する管形状を有する、
複合部品に関する。
【0017】
本発明は、特に好ましくは、
a)少なくとも2つの部分の射出成形金型が、
複合部品の輪郭に対応する空洞を有し、
金型接触面(K)を有し、
半金型(4)及び半金型(5)を有し、
開放される少なくとも1つの空洞、及び
閉方向(6)の1つの金型寸法(A)、及び
射出成形金型の閉方向(6)と直角の金型寸法(B)、及び
金型寸法(A)と(B)との領域において少なくとも1つの開放可能空洞の円周に対応する空洞円周(UW)
を有し、
機能要素(3)のための少なくとも1つの二次空洞が設けられ、
b)中空円筒の形の少なくとも1つの中空プロファイルが、
i)中空プロファイル円周(UH)、壁厚(S)、外径(C)、内面(7)、及び長手方向軸(L)と、
ii)角度Wを有する少なくとも1つの屈曲部と、
iii)その長手方向軸Lに沿った少なくとも1つの穿孔(2)と、
を有し、中空プロファイル(1)の非屈曲領域において、
iv)5:1~300:1の範囲である外径Cの壁厚Sに対する比率を有し、ここで、金型接触面(K)の領域の外径(C)が、0.1%~5%の範囲で前記金型寸法(A)より大きく、且つ、0.1%~5%の範囲で金型寸法Bより小さく、
v)外径Cのための数値が、中空プロファイルの長手方向軸Lの方向に見て90°の方向に基づき、
vi)中空プロファイル円周UH=C・πが、閉状態の少なくとも1つの開放可能空洞の空洞円周UWに対応し、
vii)金型接触面(K)が、閉状態の射出成形金型の、中空プロファイル(1)とのシール面を指し、
c)少なくとも1つの中空プロファイル(1)が、射出成形金型の少なくとも1つの開放可能空洞に挿入され、
d)射出成形金型の少なくとも1つの開放可能空洞が、閉じられて、少なくとも1つの開放可能空洞の閉方向にその金型接触面(K)で中空プロファイル(1)を圧縮し、
e)プラスチックが、中空プロファイル(1)の内部に注入され、少なくとも1つの二次空洞が、中空プロファイル(1)の少なくとも1つの穿孔(2)を介して、同時に充填され、中空プロファイル(1)に残るプラスチックが、中空プロファイル(1)の内面(7)上にプラスチックコーティング(11)を残し、
f)過剰なプラスチックが、ガス又は流体又はその2つの組合せを注入することによって、中空プロファイル(1)の2つの横方向開口のうちの少なくとも1つを通して外に出され、
g)プロセスステップe)において、中空プロファイル(1)に、そして、穿孔(2)を通して二次空洞に導入されたプラスチック溶融物が、冷却され、
h)完成複合部品が射出成形金型から取り出され、スプルーが任意選択的に取り除かれ、
ただし、プロセスステップa)における、金型寸法(A)のための数値、金型寸法(B)のための数値、及び空洞円周(UW)のための数値が、中空プロファイル(1)の非屈曲領域が存在する射出成形金型の領域に関するものであり、中空プロファイル(1)が、金属又は複合物に基づき、少なくとも1つの開放可能空洞が、少なくとも1つの二次空洞とともに、複合部品の輪郭を構成し、開放可能空洞が、少なくとも1つの屈曲部を有する管形状を有する
ことを特徴とする、複合部品を製造するためのプロセスに関する。
【0018】
中空プロファイル(1)の内部に注入されたプラスチックの結合、並びに、同時の、中空プロファイルの壁の少なくとも1つの穿孔(2)による少なくとも1つの機能要素(3)の成形及び穿孔(2)をシールする少なくとも1つの二次空洞の充填により、X、Y、及びZ方向の並進移動及びX、Y、及びZ軸を中心とした回転のすべての自由度を阻止した、中空プロファイル(1)の機能要素(3)への形状適合接合が生じ、よって、中空プロファイル(1)に基づく、少なくとも軸方向、好ましくは軸方向及び径方向の、せん断抵抗及びせん断剛性接続が生じる。
【0019】
従来技術のように、支持要素を後で取り除く必要はない。代わりに、過剰なプラスチックは、その中のプラスチックの最終的な凝固の前に、ガス又は液体を再度注入することによって、中空プロファイルの内部から取り除かれる。
【0020】
なお、疑念を避けるために付言すると、一般的な項目において又は好ましい範囲内で言及されるすべての参照される定義及びパラメータは、任意の望ましい組合せで含まれる。本出願の文脈に列記される標準は、出願日において施行されている版を意味すると考えられる。用語「射出成形金型」及び「金型」は、本発明の文脈において同義的に使用される。
【0021】
プロセスステップd)の圧縮は、寸法は増加しないが、単に形状が変化する中空プロファイルの変形を意味する。公差のために中空プロファイル円周(UH)が過大である場合、実質的にもたらされることは、同様に、形状の変化である。本発明の文脈において、金型を閉じる動きの終わり頃に、当業者は、円周のわずかな減少を検出してもよい。
【0022】
本発明の文脈の二次空洞は、中空プロファイル(1)内のプラスチックに接続される機能要素(3)のための、プロセスステップe)において射出成形で充填される少なくとも1つの空洞を意味すると理解される。
【0023】
本発明の文脈の穿孔は、壁における、中空プロファイル(1)の長手方向軸に直角の少なくとも1つの開口、ボア、又は穴を意味すると理解される。本発明によると、中空プロファイルの少なくとも1つの穿孔(2)は、射出成形によって製造される少なくとも1つの機能要素(3)の成形に役立つ。
【0024】
本発明によると、中空円筒の形態の中空プロファイル(1)が使用される。直線状の円柱がその長手方向軸に沿ってボアを有する場合、これは中空円筒と呼ばれる。その長手方向軸に沿ったボアの結果として、本発明に従って使用される中空プロファイルは、本発明の文脈において横方向開口とも呼ばれる、2つの開端面を有する。中空円筒、理想的には、パイプの直線片に関して、長手方向軸(L)及び外径(C)の他の特定のパラメータは、中空プロファイル円周UH=C・及び壁厚(S)である。結果として、本発明の文脈において対応する数値は、本発明に従って使用される中空プロファイルの非屈曲領域に関するものである。本発明に従って使用される中空プロファイル(1)は好ましくは、管である。
【0025】
中空円筒の形態の本発明に従って使用される中空プロファイル(1)は、製作公差の結果として、1つの実施形態において、理想的な円周とは異なることがある。その場合、中空プロファイル円周(UH)の、射出金型空洞の接触面の内周に対する比率は、1.001:1~1.1:1の範囲である。
【0026】
せん断強度は、せん断される材料によって提供される、すなわち、2つの隣接する面を長手方向に移動させようとする力による分離に対する抵抗を記述する物理定数である。せん断強度は、剛性率とも呼ばれるせん断弾性係数によって決定される。本発明の文脈において「せん断抵抗があるように互いに接合される」が意味することは、少なくとも1つの機能要素への中空プロファイルの形状適合接合であり、前記接合は、中空プロファイルの軸方向に、好ましくは、軸方向且つ径方向にせん断剛性がある。
【0027】
せん断剛性は、材料のせん断弾性係数Gと断面積Aとの積である。
せん断剛性=G・A・κ(=G・As)
【0028】
断面依存補正係数κは、断面にわたるせん断応力Τの不均一な分布を考慮している。せん断剛性は、多くの場合、せん断面積Asの観点からも表される。https://de.wikipedia.org/wiki/Steifigkeitを参照。
【0029】
本発明の文脈における形状適合接合は、互いに分離不能接合になる少なくとも2つの接合相手とのかみ合いにより生じ、破壊によってのみ再び互いに分離することができる。https://de.wikipedia.org/wiki/Verbindungstechnikを参照。
【0030】
[本発明の好ましい実施形態]
好ましい又は代替的な実施形態において、プロセスステップb)の前、プロセスステップb)の間、又はプロセスステップb)の後に、穴又はボアの形態で、好ましくは、複数の穴又はボアの形態で、外側から、少なくとも1つの機能要素(3)が設けられる位置の中空プロファイル(1)の壁に、少なくとも1つの穿孔(2)が導入される。この場合、射出金型空洞は、プロセスステップa)の前に同様に適応される。
【0031】
好ましい又は代替的な実施形態において、当業者は、追加の方策によって、中空プロファイル(1)への射出成形によって中空プロファイルに同時に作られる機能要素(3)の接合を自由に支援することができる。そのような方策は、中空プロファイル壁へのビード、穴、若しくは穿孔の導入、又は、追加の固定要素の適用を含む。
【0032】
プロセスステップf)の場合、少なくとも1つのガス又は1つの流体が注入される。ガスが使用される場合には、ガスの注入部位の個別の気密シーリングを必要としないGITプロセス(GIT=ガス注入技術)の利用が優先されるが、それは、プロセスステップe)において、ガス気泡が、好ましくはインジェクタ針によって、射出されるプラスチックの溶融物の高温コアに直接注入されるためである。流体、好ましくは水が使用される場合も同様である。水注入技術は、水内圧射出成形(WID)とも呼ばれる。原則として、水注入技術は、水がガスとは異なるインジェクタを用いて新たに射出されたプラスチックに注入されることを除いて、ガス注入技術と一致する。
【0033】
プロセスステップa)
プロセスステップa)は、少なくとも1つの開放可能空洞、及び閉方向の金型寸法(A)、及び金型の閉方向と直角の金型寸法(B)、及び金型寸法(A)と(B)との領域において空洞の円周に対応する空洞円周(UW)、並びに、少なくとも1つの二次空洞を有する射出成形金型の提供することを含む。本発明によると、閉方向(6)は、使用される射出成形金型に関するものであり、金型寸法(A)、金型寸法(B)、及び空洞円周(UW)のための数値は、中空プロファイルの非屈曲領域がある射出成形金型の領域に関する。
【0034】
好ましくは、本発明に従って使用される射出成形金型は、2つの半金型を有する。しかしながら、製造される複合部品の構成によって、半金型は、好ましい実施形態では、複数セグメントから順番に構成されてもよい。当業者は、製造される複合部品に従って使用される射出成形金型の設計を適応させるであろう。プロセスステップa)において本発明に従って提供される射出成形金型及びその製造業者の概要は、とりわけ、W.Michaeli,G.Menges,P.Mohren,Anleitung zum Bau von Spritzgiesswerkzeugen[How to Make Injection Molds],5th fully revised edition,Carl Hanser Verlag Munich Vienna 1999(English edition 2001)に見出すことができる。
【0035】
好ましくは、すべてのその寸法の及び形状公差を有する本発明に従って使用される中空プロファイル(1)を力をかけずに射出成形金型に挿入できるようにするために、本発明に従って使用される射出成形金型は、以下の特徴を有する。
【0036】
I.射出成形金型は、金型閉時に機能要素が設けられない中空プロファイル(1)の領域に関して、射出金型空洞を閉じるような金型でなければならない。この目的のために、射出成形金型では、射出金型空洞の軸端において、且つ、射出成形される機能要素(3)の周囲において、金型は、その外径(C)から金型寸法(A)まで射出成形金型を閉じる間、中空プロファイルを圧縮する接触面(K)を有する必要があり、それは同時に、その90度の位置で、外径(C)を金型寸法(B)に変える。
【0037】
II.好ましい実施形態では、射出成形金型の中空プロファイル(1)に対する少なくとも2つの半金型の接触面は、中空プロファイルが、I.に記載の圧縮に加えて、金型寸法(A)及び金型寸法(B)の-0.01%~-1%の形状までさらに圧縮されるように作成される。
【0038】
III.I.及びII.で言及された射出成形金型の少なくとも2つの半金型の接触面は、金型を閉じると、その全範囲にわたって非屈曲領域の中空プロファイル(1)を取り囲み、好ましくは、1.0mm~10.0mmの幅、すなわち、中空プロファイル(1)の軸方向に見た範囲を有する。
【0039】
IV.1つの実施形態では、射出成形金型の中空プロファイル(1)に対する少なくとも2つの半金型の接触面は、金型のこれらの領域が硬化インサートによって構成されるように作成される。好ましくは、硬化インサートは、50HRC~62HRCのロックウェル硬さを有する。したがって、硬度は、通例の曲げ及び穿孔工具の範囲内である。
【0040】
https://de.wikipedia.org/wiki/Rockwell_(Einheit)を参照。
【0041】
V.射出成形金型は、中空プロファイル(1)とのその接触面の間の、射出金型空洞の外側の中空プロファイル(1)のまわりに隙間を提供しなければならない。シール面の外側のこの隙間は、名目上の中空プロファイル径の、好ましくは、管径の、好ましくは2%~30%、より好ましくは2%~10%の範囲にある。
【0042】
中空プロファイルとして管が使用される場合、それは本発明に従って好ましく、卵形の金型接触面を提供することが優先される。
【0043】
プロセスステップb)
中空プロファイル(1)は、プロセスステップb)の前に、任意の位置での曲げ力の作用によって形成される。本発明に従って使用される中空プロファイル(1)の少なくとも1つの屈曲部は、プロセスステップa)の前に、射出金型空洞の対応する調整を必要とする。
【0044】
プロセスステップb)において、金属に基づく又は複合物に基づく、特に、金属に基づく、中空円筒の形態の少なくとも1つの中空プロファイルは、
i)中空プロファイル円周(UH)、壁厚(S)、外径(C)、内面(7)、及び長手方向軸(L)と、
ii)角度(W)を有する少なくとも1つの屈曲部と、
iii)その長手方向軸Lに沿った少なくとも1つの穴(2)と、
を有し、中空プロファイルの非屈曲領域において、
iv)5:1~300:1の範囲である外径(C)の壁厚(S)に対する比率を有し、ここで、金型接触面(K)の領域の外径(C)が、0.1%~5%の範囲で前記金型寸法(A)より大きく、且つ、0.1%~5%の範囲で金型寸法(B)より小さく、
v)外径(C)のための数値が、中空プロファイルの長手方向軸(L)の方向に見て90°の方向に基づき、
vi)中空プロファイル円周UH=C・πが、閉状態の少なくとも1つの開放可能空洞の空洞円周(UW)に対応し、
vii)金型接触面(K)が、閉状態の射出成形金型の、中空プロファイルとのシール面を指す。
【0045】
本発明に従って使用される中空プロファイル(1)は、さまざまな方法で製造することができ、さまざまな断面形状を有し、さまざまな材料からなる。それは好ましくは、以下の技術のうちの少なくとも1つを使用して製造される:ストランドプレス、ストランド引き抜き、シームレス引き抜き、長手方向溶接、スパイラル溶接、ワインディング、及び引出成形。複合物ベースの中空プロファイルに関して、その製造のために優先的に採用される方法は、RTM(レジントランスファ成形)、真空注入、及び圧縮成形を含む。本発明に従って優先的に使用される中空プロファイル(1)は、円形又は楕円形の中空プロファイル円周(UH)を有する。本発明に従って使用される中空プロファイルのための楕円形の中空プロファイル円周は、理想的な円形中空プロファイル円周から多くとも10%変化する。直径10cmの円形中空プロファイル円周に基づくと、これは、本発明に従って使用される楕円形の中空プロファイルで最高11cmまでの主軸及び最高9cmまでの副軸が測定されることを意味する。好ましくは、プロセスステップb)において提供される少なくとも1つの屈曲部を有する中空プロファイルは、0.1mm~10.0mmの壁厚Sを有する。本発明に従って使用される中空プロファイル、並びに、端面の2つの開口は、さらに、少なくとも1つの二次空洞を充填するために、その長手方向軸(L)に沿って少なくとも1つの穿孔(2)を有する。
【0046】
好ましくは、本発明に従って使用される、金属に基づく又は複合物に基づく中空プロファイルは、少なくとも1つの機能要素を有する複合部品として自動車に装着可能である中空プロファイルのために、60mm~2000mmの長さを有する長手方向軸(L)を有する。屈曲した中空プロファイルに長さの数値を与えるとき、当業者は「非屈曲長さ」に言及する。非屈曲長さは、屈曲前の直管の長さである。したがって、原則として、より長い非屈曲長さを有する中空プロファイルは、本発明のより長い複合部品を製造するために、本発明に従って代替的に使用可能である。金属ベースの中空プロファイルのために、鋼、アルミニウム、又はアルミニウムの合金の使用が特に優先される。
【0047】
本発明の文脈における用語「複合物」は、塑性変形可能な構成要素と少なくとも1つの補強材との組合せ、マトリックスプラスチックに関する。複合物の幾何学的形状に応じて、当業者は、粒子複合材と、繊維複合材と、積層材と、浸透複合材と、構造用複合材と、を区別するであろう。繊維複合材は、短繊維、長繊維、及び連続繊維複合材に分けられる。複合物の構成要素は、それ自体再び、複合材料であってもよい。粒子複合材及び繊維複合材の場合、粒子又は繊維は、複合物の他の構成要素に埋め込まれ、マトリックスと呼ばれる。繊維複合材において、繊維は、1つ又は複数の特定の方向に伸びてもよく、又は、優先方向を有してもよい。
【0048】
繊維複合材は、重ねて製造されてよいが、結果として、連続層が同じ種類である場合、積層材ではない。しかしながら、用語「積層材」もここで使用される。積層材は、さまざまな数の重ね合わせ層からなる。
【0049】
複合物ベースの中空プロファイルの場合、マトリックスポリマとして熱可塑性プラスチック又は熱硬化性物質に基づくものが本発明に従って優先される。使用されるプラスチックは、好ましくは、ポリアミド(PA)、ポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、又はポリ塩化ビニル(PVC)である。本発明の複合物ベースの中空プロファイルのために使用される熱可塑性材料は好ましくは、ポリアミド又はポリアルキレンテレフタレートである。使用されるポリアミドは好ましくは、ナイロン-6である。使用されるポリアルキレンテレフタレートは、好ましくは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はポリエチレンテレフタレート(PET)、特にPBTである。好ましい熱硬化性物質は、エポキシ樹脂、架橋性ポリウレタン、又は不飽和ポリエステル樹脂である。
【0050】
複合物に基づく中空プロファイルは、少なくとも1つの補強材、並びに、マトリックスとして使用されるプラスチックを備える。補強材としてガラス繊維の使用が優先される。特に好ましくは、補強材は、熱可塑性プラスチックの100質量部あたり、10質量部~400質量部の量で使用される。1つの実施形態において、本発明に従って使用される中空プロファイルは、補強材が、実質的に繊維マットの織物又はスクリム、特に、長ガラス繊維又は連続ガラス繊維に基づくガラス繊維マットを備える、熱可塑性材料をベースとした複合物に基づく(GFRP)。しかしながら、代替形態として、炭素繊維強化プラスチックをベースとした複合物(CFRP)、アラミド繊維強化プラスチックをベースとした複合物(AFRP)、天然繊維強化プラスチックをベースとした複合物(NFRP)、及び木材プラスチック複合材(WPC)を使用することも可能である。本発明によると、複合物をベースとした中空プロファイルは、好ましくは、多層複合材料管、特に、アルミニウムコアが接合層によって両側の架橋プラスチックによって囲まれるそれらの多層複合材料管である。https://de.wikipedia.org/wiki/Mehrschichtverbundrohrは、ポリエチレン(PE-XE)を挙げている。
【0051】
複合物をベースとした中空プロファイルの場合、射出成形プロセスによって、100質量部のポリアミドあたり10質量部~233質量部のガラス繊維を有するガラス繊維強化ナイロン-6から製造されるものが特に好ましい。
【0052】
複合物をベースとした中空プロファイルのために使用されるポリアミド(PA)は、異なるユニットから合成されてもよく、そして、さまざまな方法で製造されてもよい。特定の用途において、この目的のために使用されるポリアミドは、単独で使用されてもよく、又は、特に調整された組合せの特性を有する材料を与えるように、当業者に知られている方法で修正されてもよい。他のポリマの画分を有する、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)の画分を有するPA混合物も好適であり、その場合、そのような混合物で生じる相の不整合を補償する1つ又は複数の相容化剤を使用することが任意選択的に可能である。ポリアミドの特性は、エラストマの添加によって、必要に応じて改良することができる。
【0053】
ポリアミドの製造のための多数の手順が知られている。望ましい最終生成物に応じて、異なるモノマー単位又はさまざまな連鎖移動剤が、目標分子量を確立するために使用され、又は、他に、その後の意図された後処理のために反応基を有するモノマーが使用される。
【0054】
ポリアミドをベースとした複合物のために優先して使用されるポリアミドは、溶融物における重縮合によって調製される。本発明の文脈において、ラクタムの加水分解重合も、重縮合とみなされる。
【0055】
複合物をベースとした中空プロファイルの製造のために本発明に従って優先して使用されるポリアミドは、少なくとも5つの環員又は対応するアミノ酸を有する、ジアミン及びジカルボン酸及び/又はラクタムに基づく。有用な反応物は、好ましくは、脂肪族及び/又は芳香族ジカルボン酸、より好ましくは、アジピン酸、2,2,4-トリメチルアジピン酸、2,4,4-トリメチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、脂肪族及び/又は芳香族ジアミン、特に好ましくは、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、異性体のジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、アミノカルボン酸、特に、アミノカプロン酸、又は対応するラクタムを含む。複数の言及されたモノマーのコポリアミドが含まれる。
【0056】
複合物をベースとした中空プロファイルで使用される熱可塑性材料は、より好ましくは、ラクタムから形成されるポリアミドである。この目的のために、カプロラクタム、特に好ましくは、ε-カプロラクタムの使用が非常に特に優先される。
【0057】
活性化アニオン重合によって調製されるポリアミド、又は主成分としてのポリカプロラクタムとともに活性化アニオン重合によって調製されるコポリアミドは、複合物をベースとした中空プロファイルのためのマトリックスポリマとして、本発明に従って使用されてもよい。ポリアミドをもたらすラクタムの活性化アニオン重合は、第一に、任意選択的に、耐衝撃性改良剤とともに、触媒のラクタム中の溶液を調製し、第二に、活性化剤のラクタム中溶液を調製することによって、工業的スケールで実施され、2つの溶液は通常、等しい比率の組合せが所望の全体的な処方をもたらすような組成を有する。任意選択的に、さらなる添加剤がラクタム溶融物に加えられてもよい。80℃~200℃の温度範囲、好ましくは、100℃~140℃の温度範囲で、総合的な処方をもたらすように個々の溶液を混合することによって、重合は行われる。有用なラクタムは、6個~12個の炭素原子を有する環状ラクタム、好ましくは、ラウロラクタム又はε-カプロラクタム、より好ましくは、ε-カプロラクタムを含む。その触媒は、好ましくは、ラクタム中の溶液の形態のアルカリ金属又はアルカリ土類金属ラクタメート、特に好ましくは、ε-カプロラクタム中のナトリウムカプロラクタメートである。本発明の文脈において使用される活性化剤は、N-アシルラクタム又は酸塩化物、又は好ましくは、脂肪族イソシアネート、より好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートのオリゴマーであってもよい。使用される活性化剤は、純物質、又は、好ましくは溶液、好ましくはN-メチルピロリドン中の溶液であってもよい。
【0058】
マトリックスポリマとしての、複合物をベースとした中空プロファイルの製造のための特に好適なポリアミドは、m-クレゾール中、2.0~4.0の範囲、好ましくは2.2~3.5の範囲、非常に特には2.4~3.1の範囲の相対溶液粘度を有するものである。本発明の文脈における相対溶液粘度ηrelの数値は、EN ISO 307に従って与えられる。25℃におけるm-クレゾールに溶解させたポリアミドの流出時間tの、m-クレゾール溶媒の流出時間t(0)に対する比率から、式ηrel=t/t(0)によって相対溶液粘度が得られる。
【0059】
さらに、複合物をベースとした中空プロファイルの製造のための特に好適なポリアミドは、マトリックスポリマとして、25mmol/kg~90mmol/kgの範囲、好ましくは30mmol/kg~70mmol/kgの範囲、非常に特には35mmol/kg~60mmol/kgの範囲のアミノ末端基数を有するものである。アミノ末端基は、伝導度測定法によって決定することができる。この件については、Eidgenoessische Materialpruefungs- und Versuchsanstalt fuer Industrie,Bauwesen und Gewerbe,Zuerich/St.Gallen,Dr.W.Schefer,Report No.157,1954を参照。
【0060】
複合物をベースとした中空プロファイルの製造のために、マトリックスポリマとして、半晶質のポリアミド又はそれをベースとする化合物の使用が非常に特に優先される。独国特許出願公開第102011084519号明細書によると、半晶質のポリアミドは、ISO11357によるDSC法で2回目の加熱実行及び融解ピークの積分により測定される4J/g~25J/gの範囲の融解エンタルピーを有する。対照的に、非晶質のポリアミドは、ISO11357によるDSC法で2回目の加熱実行及び融解ピークの積分により測定される4J/g未満の融解エンタルピーを有する。
【0061】
複合物をベースとした中空プロファイルの製造のために、本発明に従って使用されるポリアミドは、ナイロン-6[CAS No.25038-54-4]又はナイロン-6,6[CAS No.32131-17-2]である。どちらも、Durethan(登録商標)の名で、Lanxess Deutschland GmbH,Cologneから得られる。
【0062】
1つの実施形態において、複合物をベースとした中空プロファイルの製造のために使用される熱可塑性材料は、少なくともポリエチレン(PE)である。ポリエチレン[CAS No.9002-88-4]は、半結晶及び非極性の熱可塑性材料である。重合条件の選択により、モル質量、モル質量分布、平均連鎖長、及び分枝度を調整することが可能である。異なる密度に基づいて、主に4つの種類に分けられるが、略記は必ずしも一律に使用されない。
・高密度ポリエチレン、PE-HD又はHDPE
・中密度ポリエチレン、PE-MD又はMDPE
・低密度ポリエチレン、PE-LD又はLDPE
・直鎖状低密度ポリエチレン、PE-LLD又はLLDPE。
【0063】
本発明に従うマトリックスポリマとして使用されるポリエチレンは、最も好ましくは、HDPE又はLDPEである。
【0064】
1つの実施形態において、複合物をベースとした中空プロファイルの製造のために使用される熱可塑性材料は、少なくともポリプロピレン(PP)である。PP[CAS No.9003-07-0]は、半晶質の熱可塑性材料であり、ポリオレフィンの群の一部を形成する。ポリプロピレンは、触媒を用いた、モノマープロペンの重合によって得られる。
【0065】
1つの実施形態において、複合物をベースとした中空プロファイルの製造のために使用されるマトリックス熱可塑性材料は、少なくとも1つのポリカーボネート(PC)である。2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)、ジヒドロキシジフェニルスルフィド、テトラメチルビスフェノールA、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(BPTMC)、又は、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)に基づくポリカーボネートの使用が特に優先される。ビスフェノールAに基づくPCの使用は特に好ましい。本発明に従う使用のためのPCは、たとえば、Makrolon(登録商標)の名で、Covestro Ag,Leverkusenから入手可能である。
【0066】
1つの実施形態において、複合物をベースとした中空プロファイルの製造のために使用されるマトリックス熱可塑性材料マトリックスは、少なくともポリブチレンテレフタレート(PBT)[CAS No.24968-12-5]である。PBTは、ビス(4-ヒドロキシブチル)テレフタル酸塩中間体の重縮合を通して形成する。ビス(4-ヒドロキシブチル)テレフタル酸塩中間体は、ブタン-1,4-ジオール及びテレフタル酸のエステル化によって、又は、エステル交換触媒、たとえば、テトライソプロピルチタネートの存在下での、ブタン-1,4-ジオールとのテレフタル酸ジメチルの触媒エステル交換反応によって、調製することができる。特に優先して使用されるPBTは、少なくとも80mol%、好ましくは少なくとも90mol%の、ジカルボン酸に基づく、テレフタル酸酸残基、及び、少なくとも80mol%、好ましくは少なくとも90mol%の、ジオール成分に基づく、ブタン-1,4-ジオールグリコール残基を含有する。本発明に従う使用のためのPBTは、たとえば、Pocan(登録商標)の名で、Lanxess Deutschland GmbH,Cologneから入手可能である。
【0067】
1つの実施形態において、複合物をベースとした中空プロファイルの製造のために使用されるマトリックス熱可塑性材料は、少なくとも1つのポリエチレンテレフタレート(PET)である。PET[CAS No.25038-59-9]は、モノマーエチレングリコール及びテレフタル酸に基づくポリエステル類の族から、重縮合によって調製される熱可塑性ポリマである。特に優先して使用されるPETは、少なくとも80mol%、好ましくは少なくとも90mol%の、ジカルボン酸に基づく、テレフタル酸酸残基、及び、少なくとも80mol%、好ましくは少なくとも90mol%の、ジオール成分に基づく、エチレングリコール残基を含有する。PETは、たとえば、SulzbachのTicona GmbHから調達できる。
【0068】
1つの実施形態において、複合物をベースとした中空プロファイルの製造のために使用される熱可塑性材料は、少なくともポリ塩化ビニル(PVC)[CAS No.9002-86-2]である。非晶質熱可塑性材料であるので、PVCは硬脆であり、可塑剤及び安定剤の添加によってのみ、軟かく、成形可能で、工業用途に好適に作られる。PVCは、床材での使用、窓用形材、管、ケーブル絶縁及び被覆、並びに、レコードで知られている。通常はパイプ及び形材のために使用される硬質PVC(PVC-U)の使用が、本発明に従って優先される。中空プロファイルとしての硬質PVC管は、たとえば、ThyssenKrupp Plastics Germany,Cologneから入手可能である。
【0069】
少なくとも1つの屈曲部Wは好ましくは、プロセスステップc)の前に、穿孔2の導入の前後どちらかに提供される中空プロファイル、好ましくは、管に導入される。少なくとも1つの屈曲部Wは好ましくは、直線状の長手方向軸Lから1°~180°の範囲の振れ有する。しかしながら、射出成形金型の調整により、180°を超える直線状の長手方向軸からの振れも、ねじ又は弧状構造の形態の複合部品を達成するために可能である。一例として、管の成形は、すでに上で言及された独国特許出願公開第19946011号明細書、又は、独国特許出願公開第102013212758号明細書に記載されている。
【0070】
プロセスステップc)
プロセスステップc)において、中空プロファイル(1)は、射出成形金型の少なくとも1つの空洞に挿入される。
【0071】
本発明によるプロセス、特に、金型空洞の挿入及びシーリングが、支障なく機能するために、プロセスステップb)で提供される中空プロファイル(1)の構成だけでなく、プロセスステップa)で提供される射出成形金型の構成も同様に重要である。
【0072】
ここで、中空プロファイル(1)は、その拡大なしに、空洞に挿入される。中空プロファイル(1)と射出成形金型の空洞との間の連結のシーリングは、中空プロファイル円周(UH)の形状の変化のみによってもたらされ、中空プロファイル自体の円周は同じままである。
【0073】
円形の中空プロファイル円周を有する、すなわち、管の形態の中空プロファイルを優先的に使用する場合、好ましくは楕円に形状が変化する。楕円形の中空プロファイル円周を有する中空プロファイルを使用する場合、好ましくは円形の円周に形状が変化する。少なくとも1つのブラケットによる、管の形態で使用される中空プロファイルの射出成形金型への固定が優先される。
【0074】
好ましくは、中空プロファイル円周(UH)の、金型接触面(K)における射出成形金型の空洞円周(UW)に対する比率は、1:1~1.1:1の範囲である。
【0075】
公差のために、空洞円周(UW)と比較して中空プロファイル円周(UH)が過大である場合でさえ、隙間又は連結は確実に閉じられ、よって、射出成形動作に関してシールされることは当業者には非常に驚きである。公差の理由による過大さは、本発明のプロセスにおいて重要ではない。
【0076】
プロセスステップe)における中空プロファイル(1)へのプラスチックの本発明の射出のために、過剰なプラスチック材料は、射出成形金型の分離面に射出されない。中空プロファイル(1)に少なくとも1つの機能要素(3)を同時に構成するために、中空プロファイル壁に設けられる少なくとも1つの穿孔2のために、初めに、プラスチックは、その目的を意図した空洞(単数又は複数)を充填する。本発明のプロセスのこの特性、射出成形金型を閉じることによる中空プロファイル(1)の形状の変化、及び、それによる、中空プロファイル外面に対する射出金型空洞の同時のシーリングにより、中空プロファイル(1)の内面(7)を被覆する加えられたプラスチックに固定的に接合される機能要素(単数又は複数)(3)を同時に構成することができる。従来技術と比較して、追加のプロセスステップは必要なく、サイクルタイムは大幅に短くなる。
【0077】
好ましくは、本発明に従って使用される射出成形金型、さらに、本発明に従って使用される中空プロファイル(1)は、すべてのその寸法の及び形状公差を有する中空プロファイル(1)をプロセスステップa)で提供される金型に力をかけずに挿入できるようにするために、以下の特徴を有する。
【0078】
I.射出成形金型の特性は、金型が閉じられると、金型が機能要素のための第2の空洞をシールするような特性でなければならない。この目的のために、二次空洞の軸方向端部において射出成形金型に接触面が必要であり、接触面は、射出成形金型を閉方向に閉じる間に、外径(C)から金型寸法(A)まで中空プロファイル(1)を圧縮し、同時に、閉方向に直角の位置で外径(C)を金型寸法(B)に変える。
【0079】
II.1つの実施形態において、射出成形金型の中空プロファイル(1)に対する射出成形金型の少なくとも2つの半分の接触面は、中空プロファイル(1)が、I.に記載の圧縮に加えて、金型寸法(A)及び金型寸法(B)の-0.01%~-1%の形状までさらに圧縮されるように作成される。
【0080】
III.I.及びII.で言及された射出成形金型の少なくとも2つの射出成形半金型の接触面は、金型を閉じると、その全範囲にわたって中空プロファイル(1)を取り囲み、好ましくは、1.0mm~10.0mmの幅、すなわち、中空プロファイルの軸方向に見た範囲を有する。
【0081】
IV.1つの実施形態において、射出成形金型の中空プロファイルに対する少なくとも2つの射出半金型の接触面は、射出成形金型のこれらの領域が硬化インサートによって構成されるように作成される。硬化インサートは好ましくは、50HRC~62HRCのロックウェル硬さを有する。したがって、硬度は、通例の曲げ及び穿孔工具の範囲内である。https://de.wikipedia.org/wiki/Rockwell_(Einheit)を参照。
【0082】
V.射出成形金型は好ましくは、空洞の外側の、その接触面(K)の間の中空プロファイル(1)のまわりに隙間を提供する。この隙間は好ましくは、1.0mm~10.0mmの範囲にある。
【0083】
プロセスステップd)
プロセスステップd)において、射出成形金型は閉じられ、中空プロファイル(1)は、中空プロファイル(1)のために設けられた少なくとも1つの空洞の閉方向に圧縮される。好ましくは、プロセスステップc)のI.に関する説明において記載された二次空洞(単数又は複数)とともに、接触面において圧縮される。
【0084】
プロセスステップd)において、射出金型空洞に中空プロファイル(1)を明確に固定又は位置付けるために、射出成形金型へのブラケットの挿入が優先される。射出成形におけるブラケットの使用は、たとえば、独国特許出願公開第3638958号明細書により当業者には知られている。
【0085】
射出成形金型の、プロセスステップc)に記載の接触面(K)によって、プロセスステップd)における中空プロファイル(1)は、射出成形金型の空洞内に明確に保持され、射出成形のために提供される中空プロファイル(1)の空洞はシールされる。
【0086】
射出成形金型を閉じること及びプロセスステップd)における圧縮は、中空プロファイルのための少なくとも1つの空洞及び任意選択的に少なくとも1つの機能要素(3)のための少なくとも1つの二次空洞をシールするために、その金型接触面(K)における中空プロファイル(1)を射出成形金型の空洞の構成によって画定される新しい形状に押圧する圧縮力、及び射出成形プロセスのための閉じ力を必要とする。プロセスステップd)において費やされる圧縮力のレベルは、プロセスステップb)において提供される中空プロファイル(1)の形状によって導かれる。さらに、本発明に従って使用される中空プロファイルの形状、寸法、及び材料特性は、プロセスステップd)で加えられる圧縮力の事前計算のために重要であり、それは、本発明によるプロセスの設計において、当業者によって考慮されなければならない。
【0087】
従来技術と対照してみると、本発明のプロセスにおいては、機能要素(3)は、中空プロファイルの内部から直接同時に形成されるので、射出成形金型の閉じ力のレベルは、加えられるプラスチックの投影面積によって導かれない。
【0088】
1つの実施形態において、プロセスステップd)で圧縮のために加えられる圧縮力は、射出成形金型の閉じ力未満である。
【0089】
好ましくは、本発明に従って、プロセスステップd)の圧縮は、以外径(C)が金型寸法(A)に一致するまで、もたらされる。この寸法は常に、完全に閉じた金型の場合に確定される。これは、任意の耐性をもたらさない。
【0090】
より好ましくは、プロセスステップd)の圧縮は、外径(C)が金型寸法(A)に一致するまでもたらされ、外径(C)は、閉方向に直角において金型寸法(B)まで圧縮される。ここで、中空プロファイル円周(UH)は、金型の空洞円周(UW)に一致する。この場合、空洞は、中空プロファイルに対して周方向にシールされる。
【0091】
外径(C)があまりに小さい、又は、金型の空洞円周UWがあまりに大きい、且つ、射出成形金型による変形が中空プロファイル円周(UH)=空洞円周(UW)の結果を達成するには不十分であることが事実である場合、これは隙間を残す。この場合、この事態が生じないように、中空プロファイルの公差を選択しなければならない。
【0092】
中空プロファイルの選択された外径(C)があまりに大きい場合、金型が完全に閉じられる前に、外径(C)が金型寸法(B)に到達し、それは、中空プロファイル壁の接線方向の圧縮をもたらす。したがって、この場合も、圧縮が材料の圧縮膨張の最大限まで生じるが、射出成形金型の分離面の間の空洞への中空プロファイル壁の撓みが発生しないように、中空プロファイル(1)の公差を選択しなければならない。
【0093】
本発明によると、外面は、接触面上の圧縮を介して、中空プロファイル(1)の端部にシールされる。
【0094】
プロセスステップe)
プロセスステップe)において、プラスチックは、溶融物の形態で射出される。中空プロファイル(1)の2つの端面又は横方向開口の少なくとも1つからの、又は、少なくとも1つの穿孔(2)を通しての射出が優先される。これは、内部から射出成形金型の壁上に、中空プロファイル(1)を押す。中空プロファイルへのプラスチックの外部適用を通して従来技術では起こる可能性がある中空プロファイル(1)の崩壊は、本発明のプロセスによって除外される。
【0095】
本発明のプロセスにおいて、プロセスステップe)では、中空プロファイル(1)内の溶融プラスチックは、内面(7)のその壁に沿って少なくとも1つの二次空洞に、そして、その長手方向軸(L)に沿って少なくとも1つの穿孔(2)を通って流れる。このようにして、プロセスステップe)では、中空プロファイル(1)の空洞及び少なくとも1つの二次空洞は、一動作で塑性化プラスチックが充填される。穿孔2を通しての射出の場合、二次空洞の充填のために、少なくとも1つのさらなる穿孔(2)が必要である。
【0096】
プロセスステップe)において採用される中空プロファイルへのプラスチックの導入に関する圧力、温度、及び容量は、使用されるプラスチック材料及びプラスチックで満たされる中空プロファイルの幾何学的形状、並びに、プラスチックで満たされる二次空洞(単数又は複数)に依存する。使用されるプラスチックの量は、本発明の射出成形プロセスの設計において、当業者によって前もって考慮又は計算されなければならない。中空プロファイル(1)をプラスチック材料で満たすために必要とされる射出圧力は、中空プロファイル(1)の壁の内面(7)に作用する。金型接触面(K)は、外側から補強される。射出成形金型は好ましくは、空洞の外側の接触面の間に、1.0mm~10.0mmの隙間を提供する。中空プロファイル(1)の寸法は好ましくは、金型接触面(K)の間の空洞の外側で射出圧力の結果として破裂が起きないような寸法である、又は、隙間の寸法は、中空プロファイル材料の破断伸びが達成されないような寸法である。
【0097】
射出成形金型を閉じる間の、特に、プロセスステップc)に記載の金型接触面(K)による、プロセスステップd)における中空プロファイル(1)の圧縮は、プロセスステップe)で導入されるプラスチックの漏れに対するシーリングを実現する。1つの実施形態において、金型接触面(K)は、金型のこれらの領域が硬化インサートによって構成されるような方法で作成される。
【0098】
代替的な又は好ましい実施形態において、適切な配置の二次空洞(単数又は複数)によって、中空プロファイル(1)の屈曲部は、中空プロファイルの少なくとも1つの穿孔(2)を介して、内外からプラスチックで満たされる。この二次空洞(単数又は複数)の適切な構成の場合、このようにして、中空プロファイル(1)の内側又は外側から、中空プロファイル(1)の屈曲部をプラスチックで被覆することが可能であり、それにより、特に、曲げ位置において、屈曲部を有する複合部品がさらに安定する。
【0099】
プロセスステップc)の項目IVの詳細に記載された硬化金型インサートの実行は、プロセスステップe)において、金型接触面(K)上の摩耗の減少に役立つが、これは、これらが、射出成形金型と中空プロファイル(1)との間の唯一の接触部位であり、硬化金型インサートが好ましくは、中空プロファイルの材料より明確に高い硬度を有するためである。
【0100】
プロセスステップe)における中空プロファイル(1)へのプラスチックの導入の間、圧力は、中空プロファイル(1)内で高められ、それは、中空プロファイル(1)の外壁を金型接触面(K)に押しつける。中空プロファイル(1)自体が、湯道として働き、複合部品の機能要素(3)のための少なくとも1つの二次空洞が、内外からプラスチックで同様に充填されているとき、主分配器チャネルとして働く。本発明によると、プラスチックは、射出成形によって中空プロファイル(1)に導入される。
【0101】
代替的な実施形態において、プロセスステップe)では、プラスチックは、中空プロファイルの少なくとも1つの穿孔(2)を通して射出され、ガス及び/又は流体のみの注入が、中空プロファイル(1)の端面の少なくとも1つから行われ、後続のプロセスステップf)において、反対側の端面でプラスチックがオーバフローする。
【0102】
少なくとも1つの穿孔(2)による射出成形によって成形できる機能要素(3)は、好ましくは、取り付けられる装着可能な構成要素又は複合部品自体のための、構造又は固定若しくは保持要素であり、特に、ねじボス、スナップフィットフック、溶接又はシール面、管路又はホースのアセンブリのための結合要素、軸受部位、軸、ハウジング、ハウジング半部、位置決め補助装置、組立用補助装置、ペグ、スタッド、コーン、ロータリ、アングリング、及び、キャップ、蓋、又は弁のためのヒンジ要素であるが、この列挙は決定的なものではない。
【0103】
射出成形
DIN8580によると、幾何学的固体の製造のための製造工程は、6つの主グループに分けられる。射出成形は、主グループ2である、一次成形に割り振られている。それは、特に、大量に生産される物品に好適である。射出成形の場合、再加工は少ない、又は、完全に省くことができる、複雑な形状及び輪郭でさえ、一作業で製造することができる。プラスチック加工の製造方法としての射出成形は、原則として当業者に知られている。https://de.wikipedia.org/wiki/Spritzgie%C3%9Fenを参照。
【0104】
射出成形では、射出成形機は、加工するプラスチックを液化又は塑性化するために使用され、圧力下で、それを金型、射出成形金型に射出するために使用される。本発明の文脈においては単に金型とも呼ばれる射出成形金型では、塑性化プラスチックは、冷却の結果として、又は、架橋反応の結果として固体状態に戻り、金型を開けた後、完成部品として取り外される。本発明の複合部品において、最終製品に固化されたプラスチックの形状及び表面構造を決定するものが、使用される金型の空洞である。今日では、10分の数グラムから150kgのオーダーの範囲の重量の製品を、射出成形によって製造することができる。
【0105】
射出成形、特に、拡張された特殊な射出成形法は、形状及び表面構造、特に、平滑面、触覚に配慮した領域のための粒子、パターン、彫刻、及び色彩効果を実質的に自由に選択できる。その経済的な実行可能性とともに、このことが、射出成形を、実質的にすべての領域におけるプラスチック部品の大量生産のための最も一般的に使用される工程にしている。
【0106】
射出成形装置は、少なくとも以下の構成要素を備える。1.スクリュー、2.充填漏斗、3.ペレット、4.可塑化バレル、5.加熱要素、6.金型。
【0107】
以下のステップが、射出成形装置内でもたらされる。1.塑性化及び計量、2.射出、3.保持圧力の維持及び冷却、並びに、4.成形品の取り出し。
【0108】
1.塑性化及び計量
本発明の文脈において射出成形のために優先して使用される熱可塑性材料は、粒状体の形態で回転スクリューのフライトに少しずつ入る。粒状体は、スクリュー先端の方向に搬送され、バレルの加熱、並びに、材料の分割及びせん断で起こる摩擦熱によって加熱及び溶融される。出口ノズルは最初閉じられているので、溶融物はスクリュー先端の前方に集まる。スクリューは、軸方向に移動可能であるので、圧力及びスクリューの結果として、コルク栓抜のように、材料から後退する。後方への運動は、水圧シリンダーによって、又は、電気的手段によって減衰し、それにより、背圧が溶融物内で増大する。この背圧は、スクリュー回転とともに、射出成形材料として射出されるプラスチックを圧縮及び均質化する。
【0109】
スクリュー位置が測定され、ワークピース体積に十分な射出成形材料の量が収集されるとすぐに、計量動作は終了し、スクリュー回転が止められる。同様に、スクリューに対する応力は、能動的又は受動的に解放され、それにより、溶融物は減圧される。
【0110】
2.射出
射出フェーズにおいて、射出ユニットは閉塞ユニットの方へ移動され、出口ノズルはそれに押しつけられ、スクリューは圧力下で逆側に置かれる。これにより、高圧下で、好ましくは、300bar~2000barの圧力下で、開かれた出口ノズル及び射出成形金型のランナー又はランナーシステムを通して、成形形空洞に溶融物を押し出す。逆止バリアは、受入漏斗方向への溶融物の逆流を防ぐ。
【0111】
射出中、溶融物の非常に実質的に層状の流れ特性を達成することが試みられる。これは、溶融物が冷却された金型壁に触れて、凝固された形態で「動かなくなる」射出成形金型内ですぐに冷却されることを意味する。後続の溶融物は、結果として狭くなっている溶融物チャネルを、さらにより高い速度で、さらによりせん断変形しながら強制的に通過させられ、メルトフロントで縁部の方へ膨張変形を受ける。金型壁を介しての熱の除去は、せん断発熱による熱の供給と同時に発生する。高い射出速度は、溶融物をより簡単に流すことができる溶融物内のせん断速度を発生させる。高いせん断速度は、プラスチック内の分子分解を増加させる可能性があるので、急速な射出は目標としない。射出成形によって製造される製品の表面、その外観、及び、最終的に、プラスチック分子の向きの状態も、射出フェーズの影響を受ける。
【0112】
3.保持圧力の維持及び冷却
金型がプラスチック材料より冷たく、金型は好ましくは20℃~120℃の温度を有し、プラスチック材料は好ましくは200℃~300℃の温度を有するので、溶融物は、金型内で冷たくなり、使用される特定のプラスチックの、好ましくは、熱可塑性材料又は熱可塑性材料をベースとした化合物の凝固点への到達時に凝固する。
【0113】
コンパウンディングは、プラスチック工業界からの用語で、プラスチック加工と同義であり、特性のプロファイルの特定の最適化のために添加剤(充填剤、添加剤など)を混合することによって、プラスチックの品質向上プロセスを表す。コンパウンディングは好ましくは、押出機内で行われ、搬送、溶融、分散、混合、脱気、及び圧力増大のプロセス操作を含む。https://de.wikipedia.org/wiki/Compoundierungを参照。したがって、化合物は、充填剤又は添加剤が添加された熱可塑性プラスチック又は熱硬化性物質を指す。
【0114】
各場合に使用されるプラスチックの凝固点への到達時の冷却は、製造される製品のスケールの正確さ及び表面性状に対する悪影響を有する容積の減少が伴う。この収縮を部分的に補償するために、中空プロファイル及び少なくとも1つの二次空洞を充填した後にさえ、さらなるプラスチック材料の流入、及び収縮の補償を可能とするために、減圧も維持される。スプルーが固化するまで、この保持圧力は維持することができる。
【0115】
保持圧力フェーズの終了後、出口ノズルを閉じることができ、次の成形のための可塑化及び計量動作は、射出ユニットにおいて、すでに始めることができる。中空プロファイル内及び少なくとも1つの機能要素の構成内のプラスチック材料は、中心、つまり、プラスチックの液体コアが凝固し、成形品の取り出しに十分な剛性を実現するまで、残りの冷却時間でさらに冷やされる。この操作は凝固とも呼ばれる。
【0116】
プラスチックはスプルーから逃れることはできないので、次いで、射出成形ユニットは、閉塞ユニットから移動する可能性がある。この目的は、より温かい出口ノズルからより冷たいスプルーへの熱伝達を防ぐことである。
【0117】
4.成形品の取り出し
少なくとも1つの屈曲部及び少なくとも1つの機能要素を有する複合部品の成形品の取り出しのために、空洞は開けられ、製品は、空洞に貫入するピンによって取り出される。複合部品は、射出成形金型(多量の材料)から落下する、又は、取扱装置によって射出成形金型から取り外され、整列された状態で配置される、又は、さらなる加工に直接送られる。好ましくは、この目的のために、射出成形金型は、エジェクタ側に設けられる。
【0118】
射出成形において必然的に得られるスプルーは、別個の加工によって取り除かなければならない、又は、成形品の取り出し動作において自動的に切断される。スプルーレス射出成形は、ランナーシステムが常に、使用されるプラスチック、好ましくは、熱可塑性プラスチック、熱硬化性物質、又は化合物の凝固温度より高いままであり、したがって、存在する材料が次のショットのために使用することができる、ホットランナーシステムでも可能である。
【0119】
射出成形によって加工されるプラスチック
本発明の射出成形プロセスにおいて、中空プロファイルへのプラスチックの導入のために使用されるプラスチックは、好ましくは、熱可塑性プラスチック又は熱硬化性物質、より好ましくは、熱可塑性プラスチックである。
【0120】
好ましい熱可塑性プラスチックは、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、及びポリ塩化ビニル(PVC)である。本発明に従って使用される中空プロファイルのために使用される熱可塑性プラスチックは、より好ましくは、ポリアミド又はポリエステルである。使用されるポリアミドは好ましくは、ナイロン-6である。使用されるポリエステルは、好ましくは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はポリエチレンテレフタレート、特にPBTである。好ましい熱硬化性物質は、エポキシ樹脂、架橋性ポリウレタン、又は不飽和ポリエステル樹脂である。
【0121】
熱可塑性プラスチック又は熱硬化性物質は好ましくは、化合物の形態で使用される。
【0122】
より好ましくは、プロセスステップe)において使用されるプラスチックは、少なくとも1つの補強材を有する熱可塑性プラスチックから製造される。補強材としてガラス繊維の使用が優先される。特に好ましくは、補強材は、熱可塑性プラスチックの100質量部あたり、0.1質量部~567質量部の量で使用される。使用される補強材は、最も好ましくは、短ガラス繊維又は長ガラス繊維である。特に好ましくは、補強材は、熱可塑性プラスチックの100質量部あたり、10質量部~400質量部の量で使用される。
【0123】
特に好ましくは、プロセスステップe)において、ポリアミドの100質量部あたり10質量部~400質量部のガラス繊維を有するガラス繊維強化ナイロン-6が、射出成形プロセスで使用される。この種類の化合物は、Lanxess Deutschland GmbH,Cologneから、Durethan(登録商標)の名で入手可能である。
【0124】
プロセスステップe)において、熱硬化性物質から構成されるプラスチック溶融物を使用することが、代替的に可能である。この場合、エポキシ樹脂、架橋性ポリウレタン、及び不飽和ポリエステル樹脂の使用が優先される。
【0125】
プロセスステップe)において、少なくとも1つの補強材とともに、熱硬化性物質を使用することが優先される。この場合、使用される補強材は、好ましくは、ガラス繊維又は炭素繊維、特に、ガラス繊維である。
【0126】
特に好ましくは、熱硬化性物質の100質量部あたり10質量部~100質量部のガラス繊維又は炭素繊維が補強材として使用される。
【0127】
プロセスステップf)
プロセスステップf)において、過剰なプラスチックは、ガス又は流体の注入によって、中空プロファイル(1)の2つの横方向オリフィス又は端面のうちの少なくとも1つを通して外に出される。この目的のために、少なくとも1つの端面は、ガス又は流体注入ユニットを有する。好ましくは、このガス又は流体注入ユニットは、射出成形ユニットを有する端面に対して中空プロファイルの反対側の端面にある。中空プロファイルが完全に充填された後のガス又は流体の供給により、プラスチック材料を射出成形ユニットに押し戻し、よって、次のサイクルで再び利用可能になる。ガス又は流体に関して加えられる圧力は、50bar~500barである。このガス注入技術(GIT)又は流体注入技術(FIT)のためのプロセスが、独国特許出願公開10024224号明細書により当業者に知られており、又は、自動車の前端の製造のためのプロセスが、独国特許出願公開第102011112913号明細書により知られている。流体としての水の使用が優先され、そのための、用語「水注入技術(WIT)」はよく使用されている。プロセスステップf)の結果として、中空プロファイル(1)の内面(7)の壁に加えられたプラスチックで被覆された複合部品が得られる。プラスチックの外部局所適用を有する従来技術と比べて、本発明のプロセスによる中空プロファイル(1)、したがって、複合部品は、その長手方向軸全体(L)にわたる中空プロファイルの内面(7)の壁へのプラスチックの適用によって、安定がもたらされる。したがって、本発明の複合部品は、上記の従来技術による複合部品より非常に安定している。
【0128】
好ましい実施形態では、プロセスステップf)において、好ましくはFITに加えて、プロジェクタイル射出技術(PIT)を採用することが可能である。PITは、特別なFIT法であり、その方法では、流体に射出されるプロジェクタイルを用いて、まだ溶融又は塑性化されているプラスチックが、空洞を形成するために、中空プロファイルの2つの横方向開口又は端面のうちの少なくとも1つを通して、外に押し戻される。流体は、塑性化プラスチック内で、プロジェクタイルを前方に駆動する。結果として得られるプラスチック壁厚は、厳密に画定され、プロジェクタイルによって均一に作られる。このプロセスの重要な特徴は、材料の堆積の回避による短いサイクルタイム、及び、中空プロファイル(1)の内面(7)の壁に沿った一定の空洞断面である。好ましくは、機能要素の構成のために、管分岐を形成する可能性は維持される。技術記事「Projektil-Injektionstechnik geht in Serie[Projectile Injection Technology Achieves Mass Production],Kunststoffe 11/2006」を参照。PITの場合、プロセスステップf)では、ガス又は液体は、中空プロファイル(1)の2つの横方向開口又は端面のうちの1つを介してのみ注入される。独国特許出願公開第102014226500号明細書も参照。
【0129】
プロセスステップe)が、好ましい実施形態において、射出成形プロセスで、ポリアミドの100質量部あたり15質量部~150質量部のガラス繊維を含有するガラスの繊維強化ナイロン-6によって実行される場合、300bar spec.~1200bar spec.、好ましくは、500bar spec.~800bar spec.の噴霧圧が採用される。ポリアミド成形コンパウンドの溶融温度は、好ましくは、260℃~300℃であり、金型温度は、好ましくは、70℃~90℃である。射出成形機の液圧導管の圧力は液圧である。回転スクリューを介してプラスチック溶融物に作用する圧力は、面圧(specific pressure)である(specと略される)。
【0130】
プロセスステップg)
プロセスステップg)において、プラスチックは冷やされ、凝固とも呼ばれる。用語「凝固」は、固体を与える冷却又は化学架橋の結果としての、プロセスステップe)において中空プロファイル(1)に導入された塑性化又は溶融プラスチックの硬化について記載する。結果は、中空プロファイル(1)の内面(7)の壁における、中空プロファイル(1)からの少なくとも1つの穿孔(2)を通るプラスチックの流出を介した、少なくとも1つの二次空洞で形成された少なくとも1つの機能要素(3)の直接取付けによる、せん断剛性、せん断抵抗のある、高耐久性の形状適合接合である。
【0131】
プロセスステップg)のさらなる詳細は、上の「保持圧力の維持及び冷却」セクションにおいてすでに記載されている。
【0132】
プロセスステップh)
プロセスステップh)において、プラスチック溶融物の凝固により、プラスチック成分内の圧力がもはや存在せず、閉じ力が射出成形金型を開けることで消散した後、完成した複合部品は、射出成形金型から取り外される。さらなる詳細は、上の「成形品の取り出し」セクションですでに説明された。
【0133】
GITプロセスのために大きい寸法のスプルー断面を処理する必要があるので、プロセスステップh)において、少なくともプラスチックの射出点において、且つ、1つの実施形態においては、ガス気泡の反対側の端部においても、任意選択的に、そのようなスプルーの除去もある。
【0134】
複合部品
本発明に従って製造される複合部品は、好ましくは、自動車両の構成のために、特に、自動車の構成において、対応する構成で使用される。これらは、好ましくは、車体部品、特に、ダッシュボードクロスビームとも呼ばれるクロスカービーム(CCB)、前端、エンジンベアリング、スタビライザ、2点リンク、3点リンク、(横)ショックアブソーバ、構造機能を有するクラッシュ要素、好ましくはドアシル領域における構造機能、フェンダーサポート、又は、ペダルであり、この列挙は不完全である。ダッシュボードクロスビームは、たとえば、米国特許第5934744号明細書又は米国特許第8534739号明細書で知られている。
【0135】
本発明の複合部品では、内壁に加えられる中空プロファイル及びプラスチックは、互いに強化及び補強する。好ましい実施形態において、中空プロファイル(1)の、特に屈曲部の、少なくとも1つの穿孔(2)を通って外側へと、内部から外壁に加えられるプラスチックは、さらに、屈曲した複合部品を安定させるように働く。本発明のプロセスは、ホットランナーとしての中空プロファイルの利用により、少なくとも1つの機能要素の同時の構成をさらに可能にし、プラスチック構造又はプラスチック面の取付けのためのシステム又はモジュール形成という意味における機能の一体化を同時に可能とする。
【0136】
本発明に従って使用される中空プロファイル(1)の好ましい実施形態は、少なくとも1つの穿孔(2)とともに、ビード若しくは類似の変形及び/又はボア若しくは類似の開口を有する。
【0137】
特に好ましい実施形態は、後に続く図面に関して説明され、複合部品は常に、少なくとも1つの屈曲部及び中空プロファイル(1)の内部(7)に加えられるプラスチックコーティングを有する、中空円筒の形態の中空プロファイル(1)から形成されるものであり、中空プロファイル(1)は、中空プロファイル(1)の少なくとも1つの穿孔(2)を介して、中空プロファイルの内部に、GIT又はFIT又はGIT及びFITの組合せによって導入されるプラスチックコーティングに直接接続される少なくとも1つの機能要素(3)を有する。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【
図1】中心軸(L)、外径(C)、壁厚(S)、穿孔(2)、及び中空プロファイル円周UHを有する中空円筒の形態の、本発明に従って使用される中空プロファイル(1)の非屈曲断面を示す。
【
図2】その中心軸(L)に沿った角度(W)を有する屈曲部と、穿孔(2)と、を有する、中空プロファイル(1)として使用される中空円筒を示す。
【
図3】中空プロファイル(1)上にモールドオンされた機能要素(3)及び金型接触面(K)を有する、
図2による中空プロファイル(1)に基づく、本発明の複合部品を示す。
【
図4】接触面の本発明に従って使用される射出成形金型の断面を示し、半金型(4)及び半金型(5)は閉状態である。金型寸法(A)は外径(C)より0.1%~5%小さく、金型寸法(B)は外径(C)より0.1%~5%大きく、空洞円周(UW)は中空プロファイル円周(UH)と等しい。ここで、UH=C・πである。
【
図5】本発明に従って使用される射出成形金型の断面を示し、半金型(4)及び(5)が金型接触面において開状態であり、中空プロファイル(1)が挿入されており、その内面(7)はプラスチックを吹きつけることによってコーティングされる。(6)は金型閉方向を表す。中空プロファイル円周については、UH=C・πである。金型寸法(B)は、外径(C)より0.1%~5%大きい。
【
図6】中空プロファイル(1)が半金型(4)及び(5)を有する本発明の金型と初めて接触するときの、金型閉時の金型接触面における本発明に従って使用される中空プロファイル(1)の位置を示す。この時点では、金型隙間(8)は、まだ開いている。
【
図7】金型が完全に閉じられたときの、半金型(4)及び(5)を有する本発明の金型に対する、金型接触面の本発明に従って使用される中空プロファイル(1)の位置及び形状を示す。元の外径Cを有する中空プロファイル1は、金型接触面(K)において、金型寸法(A)及び金型寸法(B)を有する金型空洞に圧縮された。
【
図8】本発明に従って、プロセスステップb)の前に設けられる折曲部分はないが、少なくとも1つの機能要素(3)上の成形のための円形穿孔2を有する、中空プロファイル(1)の断面を示す。
【
図9】
図8の代替の実施形態を示し、プロセスステップb)の前に設けられる長方形の穿孔(2)を有する中空プロファイル(1)の非屈曲領域を示す。プロセスステップe)において中空プロファイル(1)に注入されるプラスチックとの形状適合の改善を確実にするために、長方形の開口の短辺は、内向きに曲げられている。
【
図10】
図8の表現に実質的に対応して、円形穿孔(2)を示し、プロセスステップe)において中空プロファイル(1)に注入されるプラスチックとの形状適合の改善を確実にするために、その縁は内向きに曲げられている。
【
図11】
図8の表現に実質的に対応して、円形穿孔(2)を示し、プロセスステップe)において中空プロファイル(1)に注入されるプラスチックとの形状適合の改善を確実にするために、その縁は外向きに曲げられている。
【
図12】円形穿孔(2)及びモールドオンされた機能要素(3)を有する中空プロファイル(1)に基づく、湾曲部のない複合部品の領域を示す。プラスチックの射出及びプロセスステップf)におけるガスによる過剰なプラスチックを吹き飛ばした後、内側のプラスチックコーティング(11)は、中空プロファイル内に、すなわち、内面(7)の壁上に残っている。
【
図13】円形穿孔(2)及びモールドオンされた機能要素(3)を有する中空プロファイル(1)に基づく、湾曲部のない複合部品の領域を示す。プラスチックの射出及びプロセスステップf)におけるガスによる過剰なプラスチックの除去の後、内側のプラスチックコーティング(11)は、中空プロファイル内に、すなわち、内面(7)の壁上に残っている。モールドオンされた機能要素(3)も、
図13の表現に従って吹き飛ばされている。
【
図14a】4つの屈曲部及び多数の穿孔(2)を有する中空プロファイル1を示す。
【
図14b】4つの屈曲部及び6つのモールドオンされた機能要素(3)を有する
図14aによる中空プロファイル(1)に基づくダッシュボードクロスビームとして構成される、本発明の複合部品を示し、そのうち、(3i)はAピラー(左右)に対する固定要素を表し、(3ii)はバルクヘッドに対するブレースを表し、(3iii)はステアリングコラムのための固定要素を表し、(3iiii)はインフォテインメント及び環境制御システムのための一体型レセプタクルを有するセンタコンソールに対するブレースを表し、(3iiiii)はグローブボックス及びエアバッグのためのマウント及びレセプタクルを表す。
【実施例】
【0139】
以下のパラメータは、プロセスステップe)で使用されるプラスチックとしてのDurethan(登録商標)BKV30(Lanxess Deutschland GmbH,Cologneの30重量%のガラス繊維強化ナイロン-6)による、中空プロファイルの形態の管状試験用射出成形金型の実験V1において、プロセスステップf)のGITプロセスのために採用される。射出圧力約700bar spec.、溶融温度280℃、金型温度80℃、射出速度最大150mm/s、サイクルタイム94秒。
【0140】
ガス注入パラメータ:3.5秒のガス注入遅れ、80barで3秒間、金型に吹きつける、175barで45秒間、ガス圧を保持する、20秒を超えるガス圧低下。
【0141】
GITプロセス手順ステップ:
1.ガス導入遅れ
2.設定圧力での成形への吹きつけ
3.ガス保持圧力の増大/解放
4.ガス圧の維持
5.ガス圧の解放
6.成形品からの圧力の除去
【0142】
実験V2、V3、V4、及びV5は、以下のWITプロセス手順ステップによるWITプロセスによって、プロセスステップe)で使用されるプラスチックとしてのDurethan(登録商標)BKV30(Lanxess Deutschland GmbH,Cologneの30重量%のガラス繊維強化ナイロン-6)による、中空プロファイルの形態の、V1と同じ方法で製造された管状試験用金型で行われた。
1.入口弁までの水圧の増大。
2.設定圧力での成形品への水圧の導入
3.水保持圧力の増大/解放
4.水圧の維持
5.水圧の解放
6.成形品からの水の除去
【0143】
【0144】
表1は、水注入及びガス注入のための(Maximatorの)圧力発生ユニットにおける、圧力の実験用設定及び圧力プロファイルを示す。
【0145】
【0146】
表2は、2つの吹出用空洞及びスプルーゲートを制御するコア引張システムの作動のための、水圧(<圧力>)及び時間(<遅延時間>)の実験パラメータを示す。
【0147】
使用される材料:
材料1:Durethan(登録商標)KU2-2224/30 H2.0,Pt.30CD4C0560;Fb.900116
材料2:Durethan(登録商標)KU2-2224/30 H2.0,Pt.30CD2N0630;Fb.901510
材料3:Durethan(登録商標)KU2-2224/30 H2.0,JADE 3576 B
【0148】
材料1は、GIT及びWIT法で比較された。材料2及び3は、WIT法で互いと比較された。表1は、コメントの下でのそれぞれの実験への材料の割当を説明する。
【0149】
GIT設定についてのコメント:
GITプラントのための設定パラメータの変化は、GIT管の内面に改善をもたらさなかった。均一な品質で完全に自動化されたサイクルを実行することは可能であった。
【0150】
WIT設定についてのコメント:
最も短いサイクルタイムは、実験プロトコルのV5に対するWIT設定で達成された。分配器のゲート形成は、V3及びV4の材料では非常に珍しかった。大きな個別のガス気泡の結果として拒絶された材料はここでは観察されなかった。完全に自動化されたサイクルを実行することは可能であった。