(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】シートレール装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/07 20060101AFI20230302BHJP
【FI】
B60N2/07
(21)【出願番号】P 2018086702
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000143639
【氏名又は名称】株式会社今仙電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】今村 友亮
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-188071(JP,A)
【文献】特開2007-230331(JP,A)
【文献】国際公開第2013/161620(WO,A1)
【文献】米国特許第06488250(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/02 - B60N 2/08
B60N 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に固定されるロアレールとシートに固定されるアッパーレールとを有し、前記アッパーレールに支持されるローラーが前記ロアレールに設けられる案内部に案内されることで前記アッパーレールが前記ロアレールに対してスライド可能に組み付けられるシートレール装置であって、
前記アッパーレールに固定されて、前記案内部に案内される第2ローラーが支持されるブラケットを備え、
前記案内部には、対向するように配置されて前記ローラーが転がり接触時にいずれか一方に接触する第1面及び第2面と、前記第1面及び前記第2面を連結する連結面とが形成され、
前記ブラケットは、前記アッパーレールに溶接固定される固定部と前記固定部に対して略直角に連なる支持片とを備え、
前記第2ローラーは、前記案内部内に入り込む前
記支持片に支持されて、前記連結面に転がり接触
し、
前記支持片には、前記固定部と前記第2ローラーが支持される位置との間に細幅部が形成され、前記第2ローラーが支持される位置は、前記細幅部に対してスライド方向にて前記固定部から離れる方向にずれて設定されることを特徴とするシートレール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のシートを前後にスライドさせるためのシートレール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のシートを前後にスライドさせるためのシートレール装置として、例えば、下記特許文献1に開示されるシートレール装置が知られている。このシートレール装置は、アッパーレールを構成する第1アッパーレール及び第2アッパーレールのそれぞれに設けられるローラーがロアレールの案内部により案内されるようにして、アッパーレールがロアレールに対してスライドする。これにより、アッパーレールが固定される車両用のシートを、ロアレールが固定される車両用フロアに対して前後方向にスライド可能に支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようにローラーが案内部により案内される構成では、スライド時にがたつく場合があり、低スライド荷重を実現しつつがたつきを抑制するため、案内部により案内されるサイドローラーを追加する案内構造が考えられる。すなわち、アッパーレールに支持されるローラーが案内部に対して上下方向にて転がり接触する際に、サイドローラーが上下方向に直交する左右方向にて案内部に転がり接触するようにアッパーレールに支持されることで、がたつきを抑制することができる。
【0005】
ところで、ローラーとサイドローラーとを互いに直交する方向にて案内部に転がり接触させるためには、例えば、
図12に例示するように、ローラー111が支持されるアッパーレール100の外壁101の一部を切り倒して形成される支持部102にサイドローラー112を支持させる支持構造が考えられる。しかしながら、上述のように外壁101の一部を切り倒して支持部102を形成すると、アッパーレール100の剛性が低下してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、アッパーレールの剛性を低下させることなくがたつき抑制及び低スライド荷重化を図り得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の発明は、
車体に固定されるロアレール(20)とシートに固定されるアッパーレール(30)とを有し、前記アッパーレールに支持されるローラー(61)が前記ロアレールに設けられる案内部(22a,22b)に案内されることで前記アッパーレールが前記ロアレールに対してスライド可能に組み付けられるシートレール装置(10)であって、
前記アッパーレールに固定されて、前記案内部に案内される第2ローラー(62)が支持されるブラケット(40a~40d,50a,50b)を備え、
前記案内部には、対向するように配置されて前記ローラーが転がり接触時にいずれか一方に接触する第1面(23)及び第2面(24)と、前記第1面及び前記第2面を連結する連結面(25)とが形成され、
前記ブラケットは、前記アッパーレールに溶接固定される固定部と前記固定部に対して略直角に連なる支持片とを備え、
前記第2ローラーは、前記案内部内に入り込む前記支持片(42,54)に支持されて、前記連結面に転がり接触し、
前記支持片には、前記固定部と前記第2ローラーが支持される位置との間に細幅部が形成され、前記第2ローラーが支持される位置は、前記細幅部に対してスライド方向にて前記固定部から離れる方向にずれて設定されることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、アッパーレールに支持されるローラーがロアレールに設けられる案内部に案内されることでアッパーレールがロアレールに対してスライド可能に組み付けられ、案内部には、対向するように配置されてローラーが転がり接触時にいずれか一方に接触する第1面及び第2面と、第1面及び第2面を連結する連結面とが形成される。そして、アッパーレールに固定されて、案内部に案内される第2ローラーが支持されるブラケットが設けられており、第2ローラーは、案内部内に入り込むブラケットの支持片に支持されて、連結面に転がり接触する。
【0009】
これにより、案内部の第1面及び第2面のいずれか一方に対してローラーが転がり接触し、案内部の連結面には第2ローラーが転がり接触するため、スライド時の低スライド荷重を実現しつつ、スライド時のがたつきを抑制することができる。特に、第2ローラーは、ブラケットを介してアッパーレールに支持されるため、アッパーレールの一部を切り倒す必要もないので、アッパーレールの剛性が低下することもない。したがって、アッパーレールの剛性を低下させることなくがたつき抑制及び低スライド荷重化を図ることができる。
【0010】
特に、ブラケットは、アッパーレールに溶接固定される固定部と固定部に対して略直角に連なる支持片とを備え、支持片には、固定部と第2ローラーが支持される位置との間に細幅部が形成され、第2ローラーが支持される位置は、細幅部に対してスライド方向にて固定部から離れる方向にずれて設定される。このため、第2ローラーが案内部の連結面に転がり接触する際、支持片が細幅部を起点に弾性変形し易くなるので、第2ローラーが連結面に対して必要以上に押し付けられることもない。これにより、さらなる低スライド荷重化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るシートスライド装置を示す説明図であり、
図1(A)は、平面図を示し、
図1(B)は、側面図を示す。
【
図2】
図2(A)は、
図1のX1-X1断面を示す断面図であり、
図2(B)は、
図1のX2-X2断面を示す断面図である。
【
図3】
図1(B)からロアレールを除いた状態を示す側面図である。
【
図4】
図3に示すアッパーレール等を分解した状態を示す分解斜視図である。
【
図6】
図5の前側ブラケットの詳細形状を説明する説明図であり、
図6(A)は、平面図を示し、
図6(B)は、側面図を示し、
図6(C)は、背面図を示す。
【
図7】ローラーピッチとロアレール幅との関係を説明する説明図である。
【
図9】
図8の後側ブラケットの詳細形状を説明する説明図であり、
図9(A)は、平面図を示し、
図9(B)は、側面図を示し、
図9(C)は、背面図を示す。
【
図10】本実施形態の第1変形例に係るシートレール装置における補強用ブラケットを説明する斜視図である。
【
図11】本実施形態の第2変形例に係るシートレール装置における補強用ブラケットを説明する斜視図である。
【
図12】アッパーレールの一部を切り倒した支持部にサイドローラーが支持される構造を説明する説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係るシートレール装置について図を参照して説明する。
本実施形態に係るシートレール装置10は、車両用シート(図示略)を前後スライド可能に車両フロア(図示略)に固定する装置である。このシートレール装置10は、
図1~
図4に示すように、主に、車両フロアに固定されるロアレール20と、車両用シートに固定されるアッパーレール30と、ロアレール20とアッパーレール30とを相対移動不能に固定(ロック)可能なロック部材70と、ロック状態でのがたつきを防止するがたつき防止部材80と、をそれぞれ左右一対備えるように構成されている。また、シートレール装置10は、一対のロック部材70によるロアレール20とアッパーレール30とのロック状態とそのロック状態を解除するロック解除状態とを切り替えるために操作される操作部(図示略)を備えている。以下、シートレール装置10の長手方向を前後方向として、シートレール装置10を構成する各要素について詳述する。なお、
図1では、一方のロアレール20及びアッパーレール30等を図示しており、他方のロアレール20及びアッパーレール30等は、便宜上、図示を省略している。
【0013】
ロアレール20は、長尺のレール状に形成されており、
図1及び
図2に示すように、車両フロアに固定される底面部21と、この底面部21の両側にそれぞれ設けられる案内部22a,22bとを有するように形成される。案内部22a,22bは、後述するローラー61及びサイドローラー62を囲うようにして案内するもので、案内部22a,22bには、対向するように配置されてローラー61が転がり接触する上面23及び底面24と、上面23及び底面24を連結する連結面25とがそれぞれ形成されている。また、案内部22a,22bには、それぞれ上面23の端部から垂下するように内面部26が連なっている。なお、上面23及び底面24は、「第1面」及び「第2面」の一例に相当し得る。
【0014】
案内部22aに連なる内面部26には、ロック部材70のロック片71aと嵌合する複数のロック部材嵌合用孔(図示略)が長手方向に沿って形成されている。また、案内部22bに連なる内面部26には、がたつき防止部材80の押圧部81aが挿入可能な複数の押圧部材用溝(図示略)が長手方向に沿って形成されている。
【0015】
アッパーレール30は、左右一対として配置される第1アッパーレール31及び第2アッパーレール32と、第1アッパーレール31及び第2アッパーレール32に対して前後方向から組み付けられる連結部33,34とを備えるように構成されている。
【0016】
図2(A)に示すように、第1アッパーレール31は、案内部22a内に入り込む支持部31aを備え、この支持部31aには、ロアレール20との組み付け時に案内部22aの上面23及び底面24
のいずれか一方に対して転がり接触するローラー61が前側及び後側の2箇所にて回転自在に支持されている。同様に、第2アッパーレール32は、案内部22b内に入り込む支持部32aを備え、この支持部32aには、ロアレール20との組み付け時に案内部22bの上面23及び底面24
のいずれか一方に対して転がり接触するローラー61が前側及び後側の2箇所にて回転自在に支持されている。
【0017】
図4に示すように、第1アッパーレール31の前側及び後側には、それぞれ補強用の前側ブラケット40a及び後側ブラケット50aが溶接固定されている。同様に、第2アッパーレール32の前側及び後側には、それぞれ補強用の前側ブラケット40b及び後側ブラケット50bが溶接固定されている。
【0018】
前側ブラケット40a及び前側ブラケット40bは、
図5に示すように、対象形状であるため、前側ブラケット40aを例に、
図2(B)及び
図6を参照して詳細形状について説明する。
図2(B)及び
図6に示すように、前側ブラケット40aは、第1アッパーレール31の前方内側に溶接固定される固定部41と先端側が案内部22a内に入り込む支持片42とが略直角に連なるように形成されている。支持片42は、その先端側に案内部22aの連結面25に転がり接触する第2ローラーとしてサイドローラー62が回転自在に支持されている。また、支持片42には、固定部41側に対して先端側を弾性変形しやすくするため、固定部41とサイドローラー62が支持される位置との間に細幅部42aが形成されている。
【0019】
前側ブラケット40bも同様に、固定部41と細幅部42aが形成される支持片42とを備え、支持片42の先端側に案内部22bの連結面25に転がり接触するサイドローラー62が回転自在に支持されるように形成されている。
【0020】
サイドローラー62は、細幅部42aを起点とする支持片42の弾性変形を利用して、連結面25に対して内側に押し込まれて転がり接触するように支持片42に組み付けられている。すなわち、
図7に示すように、案内部22aの連結面25と案内部22bの連結面25との距離をロアレール幅W、転がり接触する前の前側ブラケット40aのサイドローラー62の外側面と前側ブラケット40bのサイドローラー62の外側面との距離をローラーピッチPとするとき、サイドローラー62は、ローラーピッチPがロアレール幅Wよりもわずかに長くなるように支持片42に組み付けられる。このため、サイドローラー62が連結面25に転がり接触する際、支持片42が細幅部42aを起点として
図7の矢印F方向に弾性変形するため、サイドローラー62が適切な押圧力にて連結面25に対して押し付けられる。
【0021】
後側ブラケット50a及び後側ブラケット50bは、
図8に示すように、対象形状であるため、後側ブラケット50aを例に、
図9を参照して詳細形状について説明する。
後側ブラケット50aは、第1アッパーレール31の後方内側に溶接固定される第1固定部51と、後方外側に溶接固定される第2固定部52と、第1固定部51と第2固定部52とを連結する連結部53と、先端側が案内部22a内に入り込む支持片54とを備えるように形成されている。第2固定部52には、溶接用の開口52aが2つ形成されている。支持片54は、その先端側に案内部22aの連結面25に転がり接触する第2ローラーとしてサイドローラー62が回転自在に支持されている。この支持片54には、連結部53側に対して先端側を弾性変形しやすくするため、連結部53とサイドローラー62が支持される位置との間に細幅部54aが形成されている。
【0022】
後側ブラケット50bも同様に、第1固定部51、第2固定部52及び連結部53と、細幅部54aが形成される支持片54とを備え、支持片54の先端側に案内部22bの連結面25に転がり接触するサイドローラー62が回転自在に支持されるように形成されている。
【0023】
後側ブラケット50a及び後側ブラケット50bにおけるサイドローラー62は、細幅部54aを起点とする支持片54の弾性変形を利用して、連結面25に対して内側に押し込まれて転がり接触するように支持片54に組み付けられている。すなわち、前側ブラケット40a及び前側ブラケット40bにおけるサイドローラー62と同様に、後側ブラケット50a及び後側ブラケット50bにおけるサイドローラー62は、ローラーピッチがロアレール幅よりもわずかに長くなるように支持片54に組み付けられる。このため、サイドローラー62が連結面25に転がり接触する際、支持片54が細幅部54aを起点として上記支持片42と同様に弾性変形するため、サイドローラー62が適切な押圧力にて連結面25に対して押し付けられる。
【0024】
なお、第1アッパーレール31の支持部31aには、溶接固定された前側ブラケット40aのサイドローラー62や溶接固定された後側ブラケット50aのサイドローラー62との干渉をさけるために、2つの開口31bが形成されている。同様に、第2アッパーレール32の支持部32aには、溶接固定された前側ブラケット40bのサイドローラー62や溶接固定された後側ブラケット50bのサイドローラー62との干渉をさけるために、2つの開口32bが形成されている。
【0025】
また、第1アッパーレール31及び第2アッパーレール32には、連結部33,34を利用した組み付け時に面接触する連結片31d~31g及び連結片32d~32gがそれぞれ設けられている。
【0026】
連結部33には、車両用シートを固定するための固定部33aと、面接触した連結片31d及び連結片32dが嵌まり込む係合穴33bと、面接触した連結片31e及び連結片32eが嵌まり込む係合穴33cとが形成されている。また、連結部34には、車両用シートを固定するための固定部34aと、面接触した連結片31f及び連結片32fが嵌まり込む係合穴34bと、面接触した連結片31g及び連結片32gが嵌まり込む係合穴34cとが形成されている。
【0027】
ロック部材70は、
図4に示すように、複数のロック片71aを有するロック片部材71と、このロック片部材71を可動させるための可動部材72と、第1アッパーレール31に支持されてロック片部材71及び可動部材72を回動可能に支持する固定部材73と、を備えている。このロック部材70は、操作部が操作されない状態では、各ロック片71aがそれぞれロック部材嵌合用孔に嵌合することで、ロアレール20とアッパーレール30とをスライド不能にロックするように機能する。そして、ロック部材70は、操作部の操作に応じて可動部材72が回動して各ロック片71aとロック部材嵌合用孔との嵌合が解除されることで、アッパーレール30をロアレール20に対して前後にスライド可能な状態とするように機能する。
【0028】
がたつき防止部材80は、
図4に示すように、ロアレール20の押圧部材用溝の上辺に押圧してがたつきを防止する押圧部材81と、この押圧部材81の上下の位置をコントロールする回動板部材82と、この回動板部材82を第2アッパーレール32に対して回動可能に支持する軸支部材83とを、前後一対備えている。このがたつき防止部材80は、操作部が操作されない状態では、回動板部材82から押圧を受ける押圧部材81の押圧部81aが押圧部材用溝に強く押し付けられることで、ロアレール20に対するアッパーレール30のがたつきを抑制するように機能する。そして、がたつき防止部材80は、操作部の操作に応じて回動板部材82により押圧部材81が押し下げられて押圧部材用溝への押圧が解除されることで、スライド可能状態でのロアレール20に対するアッパーレール30のがたつき抑制を解除するように機能する。
【0029】
次に、シートレール装置10の製造工程について説明する。
まず、
図4に示すように、第1アッパーレール31に対して前側ブラケット40a及び後側ブラケット50aを溶接固定するとともに、第2アッパーレール32に対して前側ブラケット40b及び後側ブラケット50bを溶接固定する。この溶接は、アッパーレール30の剛性を高めるためのものであり、具体的には、サイドローラー62が組み付けられた前側ブラケット40aは固定部41にて第1アッパーレール31の前方内側にスポット溶接等を利用して溶接固定され、サイドローラー62が組み付けられた前側ブラケット40bは固定部41にて第2アッパーレール32の前方内側にスポット溶接等を利用して溶接固定される。また、サイドローラー62が組み付けられた後側ブラケット50aは、第1固定部51が第1アッパーレール31の後方内側にてスポット溶接され、第2固定部52が第1アッパーレール31の後方外側にて2箇所の開口52aを利用して溶接されることで、第1アッパーレール31に溶接固定される。また、サイドローラー62が組み付けられた後側ブラケット50bは、第1固定部51が第2アッパーレール32の後方内側にてスポット溶接され、第2固定部52が第2アッパーレール32の後方外側にて2箇所の開口52aを利用して溶接されることで、第2アッパーレール32に溶接固定される。
【0030】
その後、前側ブラケット40aや後側ブラケット50aが溶接固定された第1アッパーレール31に対して、2つのローラー61とロック部材70とが組み付けられ、前側ブラケット40bや後側ブラケット50bが溶接固定された第2アッパーレール32に対して、2つのローラー61とがたつき防止部材80とが組み付けられる。
【0031】
そして、ロック部材70等を組み付けた第1アッパーレール31の連結片31d~31gと、がたつき防止部材80等が組み付けられた第2アッパーレール32の連結片32d~32gとを面接触させた状態で、連結部33及び連結部34を組み付ける。そして、係合穴33bから飛び出る連結片31d及び連結片32d、係合穴33cから飛び出る連結片31e及び連結片32e、係合穴34bから飛び出る連結片31f及び連結片32f、係合穴34cから飛び出る連結片31g及び連結片32gをそれぞれ溶着する(
図3のハッチング領域参照)。
【0032】
これにより、
図3に示すように、各ブラケット40a,40b,50a,50bやロック部材70及びがたつき防止部材80等が組み付けられた状態のアッパーレール30が組み立てられる。この状態で、ローラー61及びサイドローラー62をロアレール20の案内部22a,22bに案内させるように組み付けることで、ロアレール20に対するアッパーレール30の組み付けが完了する。
【0033】
このように構成されるシートレール装置10では、案内部22aの前後方向2箇所にて上面23及び底面24のいずれか一方に対してローラー61が転がり接触し、案内部22bの前後方向2箇所にて上面23及び底面24のいずれか一方に対してローラー61が転がり接触する。また、案内部22aの前後方向2箇所にて連結面25に対してサイドローラー62が転がり接触し、案内部22bの前後方向2箇所にて連結面25に対してサイドローラー62が転がり接触する。このような転がり接触によりスライド時の低スライド荷重を実現しつつ、スライド時のがたつきが抑制される。
【0034】
以上説明したように、本実施形態に係るシートレール装置10では、アッパーレール30に支持されるローラー61がロアレール20に設けられる案内部22a,22bに案内されることでアッパーレール30がロアレール20に対してスライド可能に組み付けられ、案内部22a,22bには、対向するように配置されてローラー61が転がり接触時にいずれか一方に接触する上面23及び底面24と、上面23及び底面24を連結する連結面25とが形成される。そして、アッパーレール30に固定されて、案内部22a,22bに案内されるサイドローラー62が支持される前側ブラケット40a,40b及び後側ブラケット50a,50bが設けられており、サイドローラー62は、案内部22a,22b内に入り込む支持片42,54に支持されて、連結面25に転がり接触する。
【0035】
これにより、案内部22a,22bの上面23及び底面24のいずれか一方に対してローラー61が転がり接触し、案内部22a,22bの連結面25にはサイドローラー62が転がり接触するため、スライド時の低スライド荷重を実現しつつ、スライド時のがたつきを抑制することができる。特に、サイドローラー62は、ブラケット40a,40b,50a,50bを介してアッパーレール30に支持されるため、アッパーレール30の一部を切り倒す必要もないので、アッパーレール30の剛性が低下することもない。したがって、アッパーレール30の剛性を低下させることなくがたつき抑制及び低スライド荷重化を図ることができる。
【0036】
特に、支持片42には、アッパーレール30に溶接固定される位置とサイドローラー62が支持される位置との間に細幅部42aが形成され、支持片54には、アッパーレール30に溶接固定される位置とサイドローラー62が支持される位置との間に細幅部54aが形成される。このため、サイドローラー62が案内部22a,22bの連結面25に転がり接触する際、支持片42,54が細幅部42a,54aを起点に弾性変形し易くなるので、サイドローラー62が連結面25に対して必要以上に押し付けられることもない。これにより、さらなる低スライド荷重化を図ることができる。
【0037】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)サイドローラー62を支持する構成として一対の前側ブラケット40a及び前側ブラケット40bを採用することに限らず、前側ブラケット40aと前側ブラケット40bとを一体とした補強用ブラケットを採用してもよい。例えば、本実施形態の第1変形例として、
図10に示す補強用のブラケット40cのように、細幅部42aの先端側にそれぞれサイドローラー62が支持される2つの支持片42と、第1アッパーレール31及び第2アッパーレール32の双方に溶接固定される1つの固定部44とを備えるような補強用ブラケットが採用されてもよい。また、例えば、本実施形態の第2変形例として、
図11に示す補強用のブラケット40dのように、補強用のブラケット40cに対して細幅部42aの長さを長くした補強用ブラケットが採用されてもよい。同様に、サイドローラー62を支持する構成として一対の後側ブラケット50a及び後側ブラケット50bを採用することに限らず、ブラケット40cやブラケット40dのように、後側ブラケット50aと後側ブラケット50bとを一体とした補強用ブラケットを採用してもよい。
【0038】
(2)サイドローラー62は、前側ブラケット40a及び前側ブラケット40bのように、1つのブラケットに対して1つ設けられることに限らず、1つのブラケットに対して複数設けられてもよい。同様に、サイドローラー62は、後側ブラケット50a及び後側ブラケット50bのように、1つのブラケットに対して1つ設けられることに限らず、1つのブラケットに対して複数設けられてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10…シートレール装置
20…ロアレール
22a,22b…案内部
23…上面(第1面)
24…底面(第2面)
25…連結面
30…アッパーレール
31…第1アッパーレール
32…第2アッパーレール
40a,40b…前側ブラケット(ブラケット)
40c,40d…ブラケット
42…支持片
50a,50b…後側ブラケット(ブラケット)
54…支持片
61…ローラー
62…サイドローラー(第2ローラー)