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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】二次電池保護回路及び電池パック
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230302BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20230302BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230302BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/02 H
H01M10/48 P
H01M10/44 P
H02J7/00 302B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020187997
(22)【出願日】2020-11-11
(62)【分割の表示】P 2018227763の分割
【原出願日】2018-12-05
(65)【公開番号】P2021036764
(43)【公開日】2021-03-04
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 剛史
(72)【発明者】
【氏名】元市 芳裕
(72)【発明者】
【氏名】竹下 順司
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-114869(JP,A)
【文献】国際公開第2018/147542(WO,A1)
【文献】特開2014-011917(JP,A)
【文献】特開2017-011775(JP,A)
【文献】国際公開第2016/121273(WO,A1)
【文献】特表2008-529456(JP,A)
【文献】特開2012-009339(JP,A)
【文献】特開2007-335337(JP,A)
【文献】特開2002-345161(JP,A)
【文献】特開2001-136735(JP,A)
【文献】特開2002-354690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H01M 10/42-10/48
H02H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続される第1の二次電池及び第2の二次電池を個々に保護する二次電池保護回路であって、
第1の端子と、
第2の端子と、
第3の端子と、
前記第1の二次電池の負極と前記第1の端子との間の電流経路に直列に挿入される第1のスイッチ回路と、
前記第2の二次電池の負極と前記第2の端子との間の電流経路、又は前記第2の二次電池の正極と前記第3の端子との間の電流経路に直列に挿入される第2のスイッチ回路と、
前記第1のスイッチ回路をオフにすることによって、少なくとも前記第1の二次電池を過放電又は放電過電流から保護する第1の保護ICと、
前記第2のスイッチ回路をオフにすることによって、少なくとも前記第2の二次電池を過放電又は放電過電流から保護する第2の保護ICとを備え、
前記第1のスイッチ回路が前記第1の保護ICによりオンにされ且つ前記第2のスイッチ回路が前記第2の保護ICによりオンにされた状態のとき、前記第1の二次電池の電圧に対応する第1の出力電圧を前記第1の端子と前記第2の端子との間から第1の負荷に出力し、前記第1の出力電圧に前記第2の二次電池の電圧に対応する第2の出力電圧を加算した第3の出力電圧を前記第1の端子と前記第3の端子との間から第2の負荷に出力し、
前記第1のスイッチ回路が前記第1の保護ICによりオフにされ且つ前記第2のスイッチ回路が前記第2の保護ICによりオンにされた状態のとき、前記第1の出力電圧を前記第1の端子と前記第2の端子との間から前記第1の負荷に出力することを停止し、前記第3の出力電圧を前記第1の端子と前記第3の端子との間から出力することを停止し、
記第1のスイッチ回路が前記第1の保護ICによりオンにされ且つ前記第2のスイッチ回路が前記第2の保護ICによりオフにされた状態のとき、前記第1の出力電圧を前記第1の端子と前記第2の端子との間から前記第1の負荷に出力し、前記第3の出力電圧を前記第1の端子と前記第3の端子との間から出力することを停止する、二次電池保護回路。
【請求項2】
前記第1のスイッチ回路が前記第1の保護ICによりオフにされ且つ前記第2のスイッチ回路が前記第2の保護ICによりオンにされた状態のとき、
前記第2の二次電池から前記第1の保護ICを経由して前記第1の負荷に電流出力することを停止し、
前記第1のスイッチ回路が前記第1の保護ICによりオンにされ且つ前記第2のスイッチ回路が前記第2の保護ICによりオフにされた状態のとき、
前記第1の二次電池から前記第2の保護ICを経由して前記第2の負荷に電流出力することを停止する、請求項1に記載の二次電池保護回路。
【請求項3】
前記第1のスイッチ回路と前記第2のスイッチ回路との少なくとも一方のオフ状態を検出するオフ状態検出回路を備える、請求項1又は2に記載の二次電池保護回路。
【請求項4】
前記第1のスイッチ回路は、前記第1の二次電池の負極と前記第1の端子との間の第1の電流経路に直列に挿入されており、
前記第2のスイッチ回路は、前記第2の二次電池の負極と前記第2の端子との間の第2の電流経路に直列に挿入されており、
前記第1の保護ICは、前記第1の端子と前記第1のスイッチ回路との間で前記第1の電流経路に抵抗を介して接続される第1の監視端子と、前記第1の二次電池の正極に接続される第1の電源端子と、前記第1の監視端子から前記第1の電源端子への内部電流経路を形成する第1の保護素子を有し、
前記第2の保護ICは、前記第2の端子と前記第2のスイッチ回路との間で前記第2の電流経路に抵抗を介して接続される第2の監視端子と、前記第2の二次電池の正極に接続される第2の電源端子と、前記第2の監視端子から前記第2の電源端子への内部電流経路を形成する第2の保護素子を有し、
前記オフ状態検出回路は、前記第1のスイッチ回路のオフ状態が検出された場合、前記第1の保護素子に流れる電流を遮断し、前記第2のスイッチ回路のオフ状態が検出された場合、前記第2の保護素子に流れる電流を遮断する、請求項に記載の二次電池保護回路。
【請求項5】
前記オフ状態検出回路は、
前記第1のスイッチ回路のオフ状態が検出された場合、前記第1の監視端子の電位を固定することによって、前記第1の保護素子に流れる電流を遮断し、
前記第2のスイッチ回路のオフ状態が検出された場合、前記第2の監視端子の電位を固定することによって、前記第2の保護素子に流れる電流を遮断する、請求項に記載の二次電池保護回路。
【請求項6】
前記第1のスイッチ回路は、前記第1の二次電池の負極と前記第1の端子との間の第1の電流経路に直列に挿入されており、
前記第2のスイッチ回路は、前記第2の二次電池の正極と前記第3の端子との間の第3の電流経路に直列に挿入されており、
前記第1の保護ICは、前記第1の端子と前記第1のスイッチ回路との間で前記第1の電流経路に抵抗を介して接続される第1の監視端子と、前記第2の二次電池の正極に接続される第1の電源端子と、前記第1の監視端子から前記第1の電源端子への内部電流経路を形成する第1の保護素子を有し、
前記第2の保護ICは、前記第3の端子と前記第2のスイッチ回路との間で前記第3の電流経路に抵抗を介して接続される第2の監視端子と、前記第2の二次電池の負極に接続されるグランド端子と、前記グランド端子から前記第2の監視端子への内部電流経路を形成する第2の保護素子を有し、
前記オフ状態検出回路は、前記第2のスイッチ回路のオフ状態が検出された場合、前記第2の保護素子に流れる電流を遮断する、請求項に記載の二次電池保護回路。
【請求項7】
前記オフ状態検出回路は、
前記第2のスイッチ回路のオフ状態が検出された場合、前記第2の監視端子の電位を固定することによって、前記第2の保護素子に流れる電流を遮断する、請求項に記載の二次電池保護回路。
【請求項8】
前記第1のスイッチ回路は、前記第1の二次電池の負極と前記第1の端子との間の第1の電流経路に直列に挿入されており、
前記第2のスイッチ回路は、前記第2の二次電池の負極と前記第2の端子との間の第2の電流経路に直列に挿入されており、
前記第1の保護ICは、前記第1の端子と前記第1のスイッチ回路との間で前記第1の電流経路に抵抗を介して接続される第1の監視端子と、前記第2の二次電池の正極に接続される第1の電源端子と、前記第1の監視端子から前記第1の電源端子への内部電流経路を形成する第1の保護素子を有し、
前記第2の保護ICは、前記第2の端子と前記第2のスイッチ回路との間で前記第2の電流経路に抵抗を介して接続される第2の監視端子と、前記第2の二次電池の正極に接続される第2の電源端子と、前記第2の監視端子から前記第2の電源端子への内部電流経路を形成する第2の保護素子を有し、
前記オフ状態検出回路は、前記第2のスイッチ回路のオフ状態が検出された場合、前記第2の保護素子に流れる電流を遮断する、請求項に記載の二次電池保護回路。
【請求項9】
前記オフ状態検出回路は、
前記第2のスイッチ回路のオフ状態が検出された場合、前記第2の監視端子の電位を固定することによって、前記第2の保護素子に流れる電流を遮断する、請求項に記載の二次電池保護回路。
【請求項10】
前記オフ状態検出回路は、充電器が前記第1の端子と前記第3の端子に接続されるまで、前記第2の保護素子に流れる電流を遮断した状態を保持する、請求項に記載の二次電池保護回路。
【請求項11】
前記第1のスイッチ回路は、前記第1の二次電池の負極と前記第1の端子との間の第1の電流経路に直列に挿入されており、
前記第2のスイッチ回路は、前記第2の二次電池の正極と前記第3の端子との間の第3の電流経路に直列に挿入されており、
前記第1の保護ICは、前記第1の端子と前記第1のスイッチ回路との間で前記第1の電流経路に抵抗を介して接続される第1の監視端子と、前記第2の二次電池の正極に接続される第1の電源端子と、前記第1の監視端子から前記第1の電源端子への内部電流経路を形成する第1の保護素子を有し、
前記第2の保護ICは、前記第3の端子と前記第2のスイッチ回路との間で前記第3の電流経路に抵抗を介して接続される第2の監視端子と、前記第1の二次電池の負極に接続されるグランド端子と、前記グランド端子から前記第2の監視端子への内部電流経路を形成する第2の保護素子を有する、請求項1又は2に記載の二次電池保護回路。
【請求項12】
前記第1の保護IC及び前記第2の保護ICを複合集積する、請求項1から11のいずれか一項に記載の二次電池保護回路。
【請求項13】
前記第1の保護ICと前記第1のスイッチ回路との対と、前記第2の保護ICと前記第2のスイッチ回路との対との少なくとも一方の対を複合集積する、請求項1から11のいずれか一項に記載の二次電池保護回路。
【請求項14】
直列に接続される第1の二次電池及び第2の二次電池と、
第1の端子と、
第2の端子と、
第3の端子と、
前記第1の二次電池の負極と前記第1の端子との間の電流経路、又は前記第1の二次電池の正極と前記第2の端子との間の電流経路に直列に挿入される第1のスイッチ回路と、
前記第2の二次電池の負極と前記第2の端子との間の電流経路、又は前記第2の二次電池の正極と前記第3の端子との間の電流経路に直列に挿入される第2のスイッチ回路と、
前記第1のスイッチ回路をオフにすることによって、少なくとも前記第1の二次電池を過放電又は放電過電流から保護する第1の保護ICと、
前記第2のスイッチ回路をオフにすることによって、少なくとも前記第2の二次電池を過放電又は放電過電流から保護する第2の保護ICとを備え、
前記第1のスイッチ回路が前記第1の保護ICによりオンにされ且つ前記第2のスイッチ回路が前記第2の保護ICによりオンにされた状態のとき、前記第1の二次電池の電圧に対応する第1の出力電圧を前記第1の端子と前記第2の端子との間から第1の負荷に出力し、前記第1の出力電圧に前記第2の二次電池の電圧に対応する第2の出力電圧を加算した第3の出力電圧を前記第1の端子と前記第3の端子との間から第2の負荷に出力し、
前記第1のスイッチ回路が前記第1の保護ICによりオフにされ且つ前記第2のスイッチ回路が前記第2の保護ICによりオンにされた状態のとき、前記第1の出力電圧を前記第1の端子と前記第2の端子との間から前記第1の負荷に出力することを停止し、前記第3の出力電圧を前記第1の端子と前記第3の端子との間から出力することを停止し、
記第1のスイッチ回路が前記第1の保護ICによりオンにされ且つ前記第2のスイッチ回路が前記第2の保護ICによりオフにされた状態のとき、前記第1の出力電圧を前記第1の端子と前記第2の端子との間から前記第1の負荷に出力し、前記第3の出力電圧を前記第1の端子と前記第3の端子との間から出力することを停止する、電池パック。
【請求項15】
前記第1のスイッチ回路が前記第1の保護ICによりオフにされ且つ前記第2のスイッチ回路が前記第2の保護ICによりオンにされた状態のとき、
前記第2の二次電池から前記第1の保護ICを経由して前記第1の負荷に電流出力することを停止し、
前記第1のスイッチ回路が前記第1の保護ICによりオンにされ且つ前記第2のスイッチ回路が前記第2の保護ICによりオフにされた状態のとき、
前記第1の二次電池から前記第2の保護ICを経由して前記第2の負荷に電流出力することを停止する、請求項14に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池保護回路及び電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直列に接続される複数の二次電池の異常が検出されたとき、それらの二次電池の両端電圧を一つの負荷に対して出力することを停止する保護回路を備えた電池パックが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-9339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電池パックから一種類の電圧値しか負荷に出力されない従来の技術では、負荷が必要とする電圧値が2種類ある場合、一種類の電圧値を二種類の電圧値に負荷側で変換することが求められる。その結果、負荷側で電力の変換損失が発生し、電池パックから負荷側に供給される電力の消費効率が低下する。
【0005】
そこで、本開示は、負荷側に供給される電力の消費効率を高めることが可能な、二次電池保護回路及び電池パックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、
直列に接続される第1の二次電池及び第2の二次電池を個々に保護する二次電池保護回路であって、
第1の端子と、
第2の端子と、
第3の端子と、
前記第1の二次電池の負極と前記第1の端子との間の電流経路に直列に挿入される第1のスイッチ回路と、
前記第2の二次電池の負極と前記第2の端子との間の電流経路、又は前記第2の二次電池の正極と前記第3の端子との間の電流経路に直列に挿入される第2のスイッチ回路と、
前記第1のスイッチ回路をオフにすることによって、少なくとも前記第1の二次電池を過放電又は放電過電流から保護する第1の保護ICと、
前記第2のスイッチ回路をオフにすることによって、少なくとも前記第2の二次電池を過放電又は放電過電流から保護する第2の保護ICとを備え、
前記第1のスイッチ回路が前記第1の保護ICによりオンにされ且つ前記第2のスイッチ回路が前記第2の保護ICによりオンにされた状態のとき、前記第1の二次電池の電圧に対応する第1の出力電圧を前記第1の端子と前記第2の端子との間から第1の負荷に出力し、前記第1の出力電圧に前記第2の二次電池の電圧に対応する第2の出力電圧を加算した第3の出力電圧を前記第1の端子と前記第3の端子との間から第2の負荷に出力し、
前記第1のスイッチ回路が前記第1の保護ICによりオフにされ且つ前記第2のスイッチ回路が前記第2の保護ICによりオンにされた状態のとき、前記第1の出力電圧を前記第1の端子と前記第2の端子との間から前記第1の負荷に出力することを停止し、前記第3の出力電圧を前記第1の端子と前記第3の端子との間から出力することを停止し、
記第1のスイッチ回路が前記第1の保護ICによりオンにされ且つ前記第2のスイッチ回路が前記第2の保護ICによりオフにされた状態のとき、前記第1の出力電圧を前記第1の端子と前記第2の端子との間から前記第1の負荷に出力し、前記第3の出力電圧を前記第1の端子と前記第3の端子との間から出力することを停止する、二次電池保護回路を提供する。
【0008】
また、本開示は、
直列に接続される第1の二次電池及び第2の二次電池と、
第1の端子と、
第2の端子と、
第3の端子と、
前記第1の二次電池の負極と前記第1の端子との間の電流経路、又は前記第1の二次電池の正極と前記第2の端子との間の電流経路に直列に挿入される第1のスイッチ回路と、
前記第2の二次電池の負極と前記第2の端子との間の電流経路、又は前記第2の二次電池の正極と前記第3の端子との間の電流経路に直列に挿入される第2のスイッチ回路と、
前記第1のスイッチ回路をオフにすることによって、少なくとも前記第1の二次電池を過放電又は放電過電流から保護する第1の保護ICと、
前記第2のスイッチ回路をオフにすることによって、少なくとも前記第2の二次電池を過放電又は放電過電流から保護する第2の保護ICとを備え、
前記第1のスイッチ回路が前記第1の保護ICによりオンにされ且つ前記第2のスイッチ回路が前記第2の保護ICによりオンにされた状態のとき、前記第1の二次電池の電圧に対応する第1の出力電圧を前記第1の端子と前記第2の端子との間から第1の負荷に出力し、前記第1の出力電圧に前記第2の二次電池の電圧に対応する第2の出力電圧を加算した第3の出力電圧を前記第1の端子と前記第3の端子との間から第2の負荷に出力し、
前記第1のスイッチ回路が前記第1の保護ICによりオフにされ且つ前記第2のスイッチ回路が前記第2の保護ICによりオンにされた状態のとき、前記第1の出力電圧を前記第1の端子と前記第2の端子との間から前記第1の負荷に出力することを停止し、前記第3の出力電圧を前記第1の端子と前記第3の端子との間から出力することを停止し、
記第1のスイッチ回路が前記第1の保護ICによりオンにされ且つ前記第2のスイッチ回路が前記第2の保護ICによりオフにされた状態のとき、前記第1の出力電圧を前記第1の端子と前記第2の端子との間から前記第1の負荷に出力し、前記第3の出力電圧を前記第1の端子と前記第3の端子との間から出力することを停止する、電池パックを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の技術によれば、負荷側に供給される電力の消費効率を高めることが可能な、二次電池保護回路及び電池パックを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一比較形態における電池パックの構成を例示する図である。
図2】一比較形態における電池パックにおいて、放電過電流が低電位側の保護ICで検出された状況を例示する図である。
図3】一比較形態における電池パックにおいて、放電過電流が高電位側の保護ICで検出された状況を例示する図である。
図4】一比較形態における電池パックにおいて、低電位側の二次電池の過放電が低電位側の保護ICで検出された状況を例示する図である。
図5】一比較形態における電池パックにおいて、高電位側の二次電池の過放電が高電位側の保護ICで検出された状況を例示する図である。
図6】第1の実施形態における電池パックにおいて、放電過電流が高電位側の保護ICで検出された状況を例示する図である。
図7】第1の実施形態における電池パックにおいて、放電過電流が高電位側の保護ICで検出される前後の状況を例示するタイミングチャートである。
図8】第1の実施形態における電池パックにおいて、放電過電流が低電位側の保護ICで検出された状況を例示する図である。
図9】第1の実施形態における電池パックにおいて、放電過電流が低電位側の保護ICで検出される前後の状況を例示するタイミングチャートである。
図10】第2の実施形態における電池パックにおいて、放電過電流が高電位側の保護ICで検出された状況を例示する図である。
図11】第2の実施形態における電池パックにおいて、放電過電流が高電位側の保護ICで検出された状況を例示する図である。
図12】第2の実施形態における電池パックにおいて、放電過電流が低電位側の保護ICで検出された状況を例示する図である。
図13】第2の実施形態における電池パックにおいて、放電過電流が低電位側の保護ICで検出される前後の状況を例示するタイミングチャートである。
図14】第3の実施形態における電池パックにおいて、放電過電流が低電位側の保護ICで検出された状況を例示する図である。
図15】第3の実施形態における電池パックにおいて、放電過電流が高電位側の保護ICで検出された状況を例示する図である。
図16】第4の実施形態における電池パックにおいて、放電過電流が高電位側の保護ICで検出された状況を例示する図である。
図17】第4の実施形態における電池パックにおいて、放電過電流が高電位側の保護ICで検出される前後の状況を例示するタイミングチャートである。
図18】第1の実施形態における電池パックの第1の変形例を示す図である。
図19】第1の実施形態における電池パックの第2の変形例を示す図である。
図20】第2の実施形態における電池パックの第1の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態を図面に従って説明する。まず、本開示の実施形態と比較するため、一比較形態における電池パックの構成について説明する。
【0012】
図1は、一比較形態における電池パックの構成を例示する図である。図1に示す電池パック100は、直列に接続される第1の二次電池271及び第2の二次電池272と、第1の二次電池271及び第2の二次電池272を個々に保護する二次電池保護回路110とを備える。
【0013】
以下、第1の二次電池271、第2の二次電池272を、それぞれ、第1のセル271、第2のセル272とも称する。また、第1の二次電池271及び第2の二次電池272を、セル271,272とも称する。
【0014】
セル271,272は、いずれも、充放電可能な電池である。第1のセル271は、第1の端子201と第2の端子202に接続される第1の負荷191に電力を供給する。また、直列に接続されるセル271,272は、第1の端子201と第3の端子203に接続される第2に負荷192に電力を供給する。セル271,272は、第1の端子201と第3の端子203に接続される不図示の充電器によって充電可能である。セル271,272の具体例として、リチウムイオン電池やリチウムポリマ電池などが挙げられる。
【0015】
二次電池保護回路110は、第1の端子201と、第2の端子202と、第3の端子203と、第1のスイッチ回路230と、第2のスイッチ回路240と、第1の保護IC210と、第2の保護IC220とを備える。
【0016】
第1のセル271の負極と第1の端子201との間は、第1の電流経路205によって接続されており、第1の電流経路205には、第1のスイッチ回路230が直列に挿入されている。第1のセル271の正極と第2のセル272の負極とが接続される箇所と、第2の端子202との間は、第2の電流経路204によって接続されている。第2のセル272の正極と第3の端子203との間は、第3の電流経路206によって接続されており、第3の電流経路206には、第2のスイッチ回路240が直列に挿入されている。
【0017】
第1のスイッチ回路230は、例えば、ゲートが充電制御端子211(COUT端子)に接続される充電制御トランジスタ231と、ゲートが放電制御端子212(DOUT端子)に接続される放電制御トランジスタ232とを有する。充電制御トランジスタ231は、第1のセル271の充電電流が流れる第1の電流経路205を遮断し、放電制御トランジスタ232は、第1のセル271の放電電流が流れる第1の電流経路205を遮断する。充電制御トランジスタ231及び放電制御トランジスタ232は、第1の電流経路205の導通/遮断を切り替えるスイッチング素子であり、第1の電流経路205に直列に挿入されている。例えば、充電制御トランジスタ231と放電制御トランジスタ232は、いずれも、NMOSトランジスタである。充電制御トランジスタ231は、ドレイン-ソース間に寄生するダイオードを有する。放電制御トランジスタ232は、ドレイン-ソース間に寄生するダイオードを有する。
【0018】
第2のスイッチ回路240は、例えば、ゲートが充電制御端子221(COUT端子)に接続される充電制御トランジスタ241と、ゲートが放電制御端子222(DOUT端子)に接続される放電制御トランジスタ242とを有する。充電制御トランジスタ241は、第2のセル272の充電電流が流れる第3の電流経路206を遮断し、放電制御トランジスタ242は、第2のセル272の放電電流が流れる第3の電流経路206を遮断する。充電制御トランジスタ241及び放電制御トランジスタ242は、第3の電流経路206の導通/遮断を切り替えるスイッチング素子であり、第3の電流経路206に直列に挿入されている。例えば、充電制御トランジスタ241と放電制御トランジスタ242は、いずれも、PMOSトランジスタである。充電制御トランジスタ241は、ドレイン-ソース間に寄生するダイオードを有する。放電制御トランジスタ242は、ドレイン-ソース間に寄生するダイオードを有する。
【0019】
第1の保護IC210は、第1のセル271の正極と負極との間の電池電圧("セル電圧"とも称する)で動作する集積回路である。第1の保護IC210は、充電制御端子211(COUT端子)、放電制御端子212(DOUT端子)、監視端子218(VM1端子)、電源端子215(VDD端子)及びグランド端子213(VSS端子)を備える。
【0020】
充電制御端子211は、充電制御トランジスタ231のゲートに接続され、充電制御トランジスタ231をオン又はオフさせる信号を出力する。放電制御端子212は、放電制御トランジスタ232のゲートに接続され、放電制御トランジスタ232をオン又はオフさせる信号を出力する。
【0021】
監視端子218は、第1の端子201の電位の監視に使用され、第1の端子201に接続されている。監視端子218は、例えば、保護IC210が負荷191又は不図示の充電器の接続の有無を監視するのに使用され、第1のスイッチ回路230と第1の端子201との間で第1の電流経路205に抵抗214を介して接続されている。
【0022】
電源端子215は、第1の保護IC210の高電位側電源端子であり、第1のセル271の正極及び第2の電流経路204に抵抗237を介して接続されている。グランド端子213は、第1の保護IC210の低電位側電源端子であり、第1のセル271の負極及び第1の電流経路205に接続されている。
【0023】
第1の保護IC210は、第1のスイッチ回路230をオフにすることによって、第1のセル271又はセル271,272の両方を保護する集積回路である。第1の保護IC210は、充電制御トランジスタ231をオフにすることによって、第1のセル271を過充電等の充電異常から保護し、放電制御トランジスタ232をオフにすることによって、第1のセル271を過放電等の放電異常や短絡異常から保護する。
【0024】
第1の保護IC210は、第1のセル271の状態を検出する。第1の保護IC210は、VDD端子とVSS端子との間の電圧である電源電圧Vdをモニタする。VDD端子は第1のセル271の正極に接続され、VSS端子は第1のセル271の負極に接続されているため、電源電圧Vdは、第1のセル271のセル電圧VBATに略等しい。したがって、第1の保護IC210は、電源電圧Vdをモニタすることによって、第1のセル271のセル電圧VBATを検出できる。また、第1の保護IC210は、VSS端子を基準電位とするVM1端子の電圧である監視電圧V-をモニタする。
【0025】
第1の保護IC210は、例えば、所定の過充電検出電圧Vdet1よりも高い電源電圧Vdが検出された場合、過充電検出電圧Vdet1よりも高い電源電圧Vdが検出されたことを表す過充電検出信号を生成する。また、第1の保護IC210は、例えば、所定の過充電復帰電圧Vrel1よりも低い電源電圧Vdが検出された場合、過充電復帰電圧Vrel1よりも低い電源電圧Vdが検出されたことを表す過充電復帰検出信号を生成する。過充電検出電圧Vdet1は、過充電検出用の閾値であり、過充電復帰電圧Vrel1は、過充電復帰検出用の閾値である。
【0026】
第1の保護IC210は、例えば、所定の過放電検出電圧Vdet2よりも低い電源電圧Vdが検出された場合、過放電検出電圧Vdet2よりも低い電源電圧Vdが検出されたことを表す過放電検出信号を生成する。また、第1の保護IC210は、例えば、所定の過放電復帰電圧Vrel2よりも高い電源電圧Vdが検出された場合、過放電復帰電圧Vrel2よりも高い電源電圧Vdが検出されたことを表す過放電復帰検出信号を生成する。過放電検出電圧Vdet2は、過放電検出用の閾値であり、過放電復帰電圧Vrel2は、過放電復帰検出用の閾値である。
【0027】
第1の保護IC210は、例えば、所定の放電過電流検出電圧Vdet3よりも高い監視電圧V-が検出された場合、放電過電流検出電圧Vdet3よりも高い監視電圧V-が検出されたことを表す放電過電流検出信号を生成する。また、第1の保護IC210は、例えば、所定の放電過電流復帰電圧Vrel3よりも低い監視電圧V-が検出された場合、放電過電流復帰電圧Vrel3よりも低い監視電圧V-が検出されたことを表す放電過電流復帰検出信号を生成する。放電過電流検出電圧Vdet3は、放電過電流検出用の閾値であり、放電過電流復帰電圧Vrel3は、放電過電流復帰検出用の閾値である。
【0028】
第1の保護IC210は、例えば、所定の充電過電流検出電圧Vdet4よりも低い監視電圧V-が検出された場合、充電過電流検出電圧Vdet4よりも低い監視電圧V-が検出されたことを表す充電過電流検出信号を生成する。また、第1の保護IC210は、例えば、所定の充電過電流復帰電圧Vrel4よりも高い監視電圧V-が検出された場合、充電過電流復帰電圧Vrel4よりも高い監視電圧V-が検出されたことを表す充電過電流復帰検出信号を生成する。充電過電流検出電圧Vdet4は、充電過電流検出用の閾値であり、充電過電流復帰電圧Vrel4は、充電過電流復帰検出用の閾値である。
【0029】
第1の保護IC210は、第1のセル271の過充電又は充電過電流が検出された場合、所定の遅延時間経過後に、COUT端子の出力状態をハイレベルからローレベルにする。COUT端子の出力状態がローレベルになることにより、充電制御トランジスタ231はオフとなるので、第1のセル271を充電する方向の電流が第1の電流経路205に流れることが禁止される。これにより、第1のセル271の充電が停止し、第1のセル271を過充電又は充電過電流から保護できる。
【0030】
一方、第1の保護IC210は、第1のセル271の過放電又は放電過電流が検出された場合、所定の遅延時間経過後に、DOUT端子の出力状態をハイレベルからローレベルにする。DOUT端子の出力状態がローレベルになることにより、放電制御トランジスタ232はオフとなるので、第1のセル271を放電させる方向の電流が第1の電流経路205に流れることが禁止される。これにより、第1のセル271の放電が停止し、第1のセル271を過放電又は放電過電流から保護できる。
【0031】
第1の保護IC210は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を使用せずにアナログの複数の論理回路を用いて形成される。
【0032】
第2の保護IC220は、第2のセル272の正極と負極との間の電池電圧("セル電圧"とも称する)で動作する集積回路である。第2の保護IC220は、充電制御端子221(COUT端子)、放電制御端子222(DOUT端子)、監視端子228(VM2端子)、電源端子225(VDD端子)及びグランド端子223(VSS端子)を備える。
【0033】
充電制御端子221は、充電制御トランジスタ241のゲートに接続され、充電制御トランジスタ241をオン又はオフさせる信号を出力する。放電制御端子222は、放電制御トランジスタ242のゲートに接続され、放電制御トランジスタ242をオン又はオフさせる信号を出力する。
【0034】
監視端子228は、第3の端子203の電位の監視に使用され、第3の端子203に接続されている。監視端子228は、例えば、保護IC220が負荷192又は不図示の充電器の接続の有無を監視するのに使用され、第2のスイッチ回路240と第3の端子203との間で第3の電流経路206に抵抗224を介して接続されている。
【0035】
電源端子225は、第2の保護IC220の高電位側電源端子であり、第2のセル272の正極及び第3の電流経路206に抵抗247を介して接続されている。グランド端子223は、第2の保護IC220の低電位側電源端子であり、第2のセル272の負極及び第2の電流経路204に接続されている。
【0036】
第2の保護IC220は、第2のスイッチ回路240をオフにすることによって、第2のセル272又はセル271,272の両方を保護する集積回路である。第2の保護IC220は、充電制御トランジスタ241をオフにすることによって、第2のセル272を過充電等の充電異常から保護し、放電制御トランジスタ242をオフにすることによって、第2のセル272を過放電等の放電異常や短絡異常から保護する。
【0037】
第2の保護IC220は、第2のセル272の状態を検出する。第2の保護IC220は、VDD端子とVSS端子との間の電圧である電源電圧Vdをモニタする。VDD端子は第2のセル272の正極に接続され、VSS端子は第2のセル272の負極に接続されているため、電源電圧Vdは、第2のセル272のセル電圧VBATに略等しい。したがって、第2の保護IC220は、電源電圧Vdをモニタすることによって、第2のセル272のセル電圧VBATを検出できる。また、第2の保護IC220は、VDD端子を基準電位とするVM2端子の電圧である監視電圧V+をモニタする。
【0038】
第2の保護IC220が、過充電又は過放電を検出する方式は、第1の保護IC210の上述の閾値を用いた検出方式と同じでよい。
【0039】
第2の保護IC220は、例えば、所定の放電過電流検出電圧Vdet3よりも低い監視電圧V+が検出された場合、放電過電流検出電圧Vdet3よりも低い監視電圧V+が検出されたことを表す放電過電流検出信号を生成する。また、第2の保護IC220は、例えば、所定の放電過電流復帰電圧Vrel3よりも高い監視電圧V+が検出された場合、放電過電流復帰電圧Vrel3よりも高い監視電圧V+が検出されたことを表す放電過電流復帰検出信号を生成する。
【0040】
第2の保護IC220は、例えば、所定の充電過電流検出電圧Vdet4よりも高い監視電圧V+が検出された場合、充電過電流検出電圧Vdet4よりも高い監視電圧V+が検出されたことを表す充電過電流検出信号を生成する。また、第2の保護IC220は、例えば、所定の充電過電流復帰電圧Vrel4よりも低い監視電圧V+が検出された場合、充電過電流復帰電圧Vrel4よりも低い監視電圧V+が検出されたことを表す充電過電流復帰検出信号を生成する。
【0041】
第2の保護IC220は、第2のセル272の過充電又は充電過電流が検出された場合、所定の遅延時間経過後に、COUT端子の出力状態をハイレベルからローレベルにする。COUT端子の出力状態がローレベルになることにより、充電制御トランジスタ241はオフとなるので、第2のセル272を充電する方向の電流が第1の電流経路205に流れることが禁止される。これにより、第2のセル272の充電が停止し、第2のセル272を過充電又は充電過電流から保護できる。
【0042】
一方、第2の保護IC220は、第2のセル272の過放電又は放電過電流が検出された場合、所定の遅延時間経過後に、DOUT端子の出力状態をハイレベルからローレベルにする。DOUT端子の出力状態がローレベルになることにより、放電制御トランジスタ242はオフとなるので、第2のセル272を放電させる方向の電流が第3の電流経路206に流れることが禁止される。これにより、第2のセル272の放電が停止し、第2のセル272を過放電又は放電過電流から保護できる。
【0043】
第2の保護IC220は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を使用せずにアナログの複数の論理回路を用いて形成される。
【0044】
ここで、第1のスイッチ回路230が第1の保護IC210によりオンにされ且つ第2のスイッチ回路240が第2の保護IC220によりオンにされた状態を、"正常状態"と定義する。二次電池保護回路110は、正常状態のとき、第1のセル271の電圧に対応する第1の出力電圧Vo1を第1の端子201と第2の端子202との間から第1の負荷191に出力する。また、二次電池保護回路110は、正常状態のとき、第1の出力電圧Vo1に、第2のセル272の電圧に対応する第2の出力電圧Vo2を加算した第3の出力電圧Vo3を、第1の端子201と第3の端子203との間から第2の負荷192に出力する。
【0045】
また、第1のスイッチ回路230が第1の保護IC210によりオフにされ且つ第2のスイッチ回路240が第2の保護IC220によりオンにされた状態を、"第1の保護状態"と定義する。二次電池保護回路110は、第1の保護状態のとき、第1の出力電圧Vo1を第1の端子201と第2の端子202との間から第1の負荷191に出力することを停止し、第3の出力電圧Vo3を第1の端子201と第3の端子203との間から出力することを停止する。正常状態から第1の保護状態に遷移すると、第1の端子201の電位は、第1のセル271の負極の電位から第2のセル272の正極の電位に変化するからである。
【0046】
また、第1のスイッチ回路230が第1の保護IC210によりオンにされ且つ第2のスイッチ回路240が第2の保護IC220によりオフにされた状態を、"第2の保護状態"と定義する。二次電池保護回路110は、第2の保護状態のとき、第1の出力電圧Voを第1の端子201と第2の端子202との間から第1の負荷191に出力し、第3の出力電圧Vo3を第1の端子201と第3の端子203との間から出力することを停止する。正常状態から第2の保護状態に遷移すると、第3の端子203の電位は、第2のセル272の正極の電位から第1のセル271の負極の電位に変化する一方、第1の端子201及び第2の端子202の電位は、変化しないからである。
【0047】
このように、一比較形態によれば、セル271,272の保護機能を備えるだけでなく、第1の負荷191には第1の出力電圧Voを出力でき、第2の負荷192には第3の出力電圧Vo3を出力できる。したがって、電池パック100から電力供給を受ける機器(第1の負荷191及び第2の負荷192を備える機器)側で、電圧変換の必要性がなくなるため、当該機器の電力効率が改善する。つまり、電池パック100から当該機器に供給される電力の消費効率を高めることができる。
【0048】
ところで、第1の保護IC210は、監視端子218から電源端子215への内部電流経路を形成する第1の保護素子236を有する場合がある。同様に、第2の保護IC220は、グランド端子223から監視端子228への内部電流経路を形成する第2の保護素子246を有する場合がある。保護素子236,246は、例えば、静電気対策用のダイオード素子である。このような、保護素子236,246が存在する形態では、第1の保護状態又は第2の保護状態において、保護素子236又は保護素子246に順方向電圧が印加される場合が存在する。順方向電圧が印加された保護素子には、電流の経路が形成され、その保護素子に電流が流れ続けてしまう。
【0049】
次に、第1の保護状態又は第2の保護状態において、保護素子236又は保護素子246に順方向電圧が印加される場合について、図2~5を参照して説明する。なお、図2~5は、正常状態において、セル271,272の電圧が、それぞれ、4Vの場合を例示する。
【0050】
図2は、一比較形態における電池パック100において、放電過電流が低電位側の第1の保護IC210で検出された状況を例示する図である。第1の保護IC210は、第2の負荷192のショート等の発生により流れる放電過電流を検出すると、放電制御トランジスタ232をオフにする(第1の保護状態)。この第1の保護状態では、第1の端子201の電位が0Vから8Vに変化する。その結果、図2に示すように、第1の保護素子236を経由する内部電流経路が形成されるため、意図しない電流が流れるおそれがある。
【0051】
図3は、一比較形態における電池パック100において、放電過電流が高電位側の第2の保護IC220で検出された状況を例示する図である。第2の保護IC220は、第2の負荷192のショート等の発生により流れる放電過電流を検出すると、放電制御トランジスタ242をオフにする(第2の保護状態)。この第2の保護状態では、第3の端子203の電位が8Vから0Vに変化する。その結果、図3に示すように、第2の保護素子246を経由する内部電流経路が形成されるため、意図しない電流が流れるおそれがある。
【0052】
図4は、一比較形態における電池パック100において、低電位側の第1のセル271の過放電が低電位側の第1の保護IC210で検出された状況を例示する図である。第1の保護IC210は、第1のセル271の過放電を検出すると、放電制御トランジスタ232をオフにする(第1の保護状態)。この第1の保護状態では、第1の端子201の電位が0Vから8Vに変化する。その結果、図4に示すように、第1の保護素子236を経由する内部電流経路が形成されるため、意図しない電流が流れるおそれがある。
【0053】
図5は、一比較形態における電池パック100において、高電位側の第2のセル272の過放電が高電位側の第2の保護IC220で検出された状況を例示する図である。第2の保護IC220は、第2のセル272の過放電を検出すると、放電制御トランジスタ242をオフにする(第2の保護状態)。この第2の保護状態では、第3の端子203の電位が8Vから0Vに変化する。その結果、図5に示すように、第2の保護素子246を経由する内部電流経路が形成されるため、意図しない電流が流れるおそれがある。
【0054】
次に、保護素子236,246のような保護素子が存在する場合でも、上記のような意図しない電流の流れを防止可能な実施形態について、図6等を参照して説明する。
【0055】
図6は、第1の実施形態における電池パックの構成を例示する図であり、放電過電流が高電位側の保護ICで検出された状況を例示している。なお、第1の実施形態において、上述の比較形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで省略又は簡略する。
【0056】
図6に示す電池パック101は、直列に接続される第1の二次電池71及び第2の二次電池72と、第1の二次電池71及び第2の二次電池72を個々に保護する二次電池保護回路111とを備える。二次電池保護回路111は、直列に接続される第1の二次電池及び第2の二次電池の個々の電圧と、当該個々の電圧同士を加算した電圧とを出力する。
【0057】
以下、第1の二次電池71、第2の二次電池72を、それぞれ、第1のセル71、第2のセル72とも称する。また、第1の二次電池71及び第2の二次電池72を、セル71,72とも称する。
【0058】
二次電池保護回路111は、第1の端子1と、第2の端子2と、第3の端子3と、第1のスイッチ回路30と、第2のスイッチ回路40と、第1の保護IC10と、第2の保護IC20とを備える。第1の端子1は、第1の二次電池の負極に接続される第1の出力端子の一例である。第2の端子2は、第1の二次電池の正極及び第2の二次電池の負極に接続される第2の出力端子の一例である。第3の端子3は、第2の二次電池の正極に接続される第3の出力端子の一例である。
【0059】
第1のセル71の負極と第1の端子1との間は、第1の電流経路5によって接続されており、第1の電流経路5には、第1のスイッチ回路30が直列に挿入されている。第1のセル71の正極と第2のセル72の負極とが接続される箇所と、第2の端子2との間は、第2の電流経路4によって接続されている。第2のセル72の正極と第3の端子3との間は、第3の電流経路6によって接続されており、第3の電流経路6には、第2のスイッチ回路40が直列に挿入されている。
【0060】
第1のスイッチ回路30は、例えば、ゲートが充電制御端子11(COUT端子)に接続されるスイッチである充電制御トランジスタ31と、ゲートが放電制御端子12(DOUT端子)に接続されるスイッチである放電制御トランジスタ32とを有する。
【0061】
第2のスイッチ回路40は、例えば、ゲートが充電制御端子21(COUT端子)に接続されるスイッチである充電制御トランジスタ41と、ゲートが放電制御端子22(DOUT端子)に接続されるスイッチである放電制御トランジスタ42とを有する。放電制御トランジスタ42は、放電経路に設けられる第2のスイッチの一例である。
【0062】
第1の保護IC10は、第1の端子1と第1のスイッチ回路30との間で第1の電流経路5に抵抗14を介して接続される第1の監視端子18(VM1端子)と、第2のセル72の正極に抵抗37を介して接続される第1の電源端子15(VDD端子)とを備える。また、第1の保護IC10は、充電制御端子11(COUT端子)、放電制御端子12(DOUT端子)、セル電圧入力端子16(VH端子)及びグランド端子13(VSS端子)を備える。さらに、第1の保護IC10は、第1の監視端子18から第1の電源端子15への内部電流経路を形成する第1の保護素子36を有する。第1の保護IC10は、放電経路に設けられる第1のスイッチによって、第1の二次電池を過放電又は放電過電流から保護する第1の保護回路の一例である。
【0063】
第2の保護IC20は、第3の端子3と第2のスイッチ回路40との間で第3の電流経路6に抵抗24を介して接続される第2の監視端子28(VM2端子)と、第2のセル72の負極に接続されるグランド端子23(VSS端子)とを備える。また、第2の保護IC20は、充電制御端子21(COUT端子)、放電制御端子22(DOUT端子)、及び、第2のセル72の正極に抵抗47を介して接続される第2の電源端子25(VDD端子)を備える。さらに、第2の保護IC20は、グランド端子23から第2の監視端子28への内部電流経路を形成する第2の保護素子46を有する。第2の保護IC20は、放電経路に設けられる第2のスイッチによって、第2の二次電池を過放電又は放電過電流から保護する第2の保護回路の一例である。
【0064】
オフ状態検出回路80は、第2のスイッチ回路40のオフ状態が検出された場合、第2の監視端子28の電位を固定することによって、第2の保護素子46に流れる電流を遮断する。オフ状態検出回路80は、スイッチ83とスイッチ84と抵抗81とを有する。スイッチ83,84は、例えば、PMOSトランジスタである。
【0065】
スイッチ83は、抵抗24と第3の端子3との間に直列に挿入されている。スイッチ83のゲートは、第2の端子2に接続されている。抵抗81は、スイッチ83に並列に接続されている。スイッチ83は、第2の端子2と第3の端子3の電位の上下関係を検出し、その上下関係が逆転すると、電流を遮断する(つまり、オンからオフとなる)素子である。
【0066】
スイッチ84は、一端が監視端子28に接続され他端が第2の端子2に接続されている。スイッチ84のゲートは、第3の端子3に接続されている。スイッチ84は、スイッチ83と反転した動きをする素子であり、スイッチ83による電流遮断時のVM2端子の電位を固定するための素子である。
【0067】
抵抗81は、スイッチ83がオフすることで、第3の端子3がVM2端子から切り離されるので、第2の保護IC20がVM2端子によって第3の端子3の電位をモニタできるようにするための素子である。
【0068】
図6は、第1の実施形態における電池パック101において、放電過電流が高電位側の第2の保護IC20で検出された状況を例示する図である。第2の保護IC20は、第2の負荷92のショート等の発生により流れる放電過電流を検出すると、放電制御トランジスタ42をオフにする(第2の保護状態)。図7は、第1の実施形態における電池パック101において、放電過電流が高電位側の第2の保護IC20で検出される前後の状況を例示するタイミングチャートである。図7において、SW42、SW83、SW84は、それぞれ、放電制御トランジスタ42、スイッチ83、スイッチ84を表し、Vthは、スイッチ83,84の各々の閾値電圧を表す。
【0069】
状態1:放電可能な通常状態(正常状態)において、第2の負荷92のショートにより放電過電流が検出されると、第2の保護IC20は、過電流検出遅延時間後に、放電制御トランジスタ42をオフし、放電を遮断する。
【0070】
状態2:放電制御トランジスタ42のオフにより、第3の端子3の電位V3が8Vから0Vに変化する。これにより、スイッチ83がオンからオフ、スイッチ84がオフからオンになる。つまり、オフ状態検出回路80は、第3の端子3の電位V3が8Vから0Vに変化することを検知して、第2のスイッチ回路40のオフ状態を検出する。スイッチ83がオンからオフ、スイッチ84がオフからオンになることで、保護IC20の監視端子28の電位は、グランド端子23の電位と略等しくなるので、保護素子46への電流は発生しない。一方、放電過電流が検出されると、VM2端子は抵抗45を介してVDD端子にプルアップ(接続)される。
【0071】
状態3:第2の負荷92が第3の端子3から解放されると、第3の端子3の電位は、抵抗45,24,81の存在により、0Vから第2の端子2の電位付近まで上昇する。このとき、VM2端子をVSS端子にショートしていたスイッチ84がオンからオフとなる。さらに、第3の端子3の電位が上昇すると、スイッチ83がオフからオンとなる。さらに、第3の端子3の電位が上昇すると、VM2端子の電位が、抵抗45の存在により、VSS端子のレベルからVDD端子のレベルに変化することを保護IC20により検出される。その結果、第2の保護IC20は、放電制御トランジスタ42をオフからオンにするので、保護回路の状態は、第2の保護状態から正常状態に復帰される。
【0072】
このように、第1の実施形態では、第2の保護状態のとき、第1のセル71から保護素子46へ電流が流れない。よって、二次電池保護回路111は、第2の保護状態のとき、第1のセル71から第2の保護IC20を経由して、第2の負荷92及び第1の負荷91に電流出力することを停止する。
【0073】
図8は、第1の実施形態における電池パック101において、放電過電流が低電位側の第1の保護IC10で検出された状況を例示する図である。第1の保護IC10は、第1の負荷91のショート等の発生により流れる放電過電流を検出すると、放電制御トランジスタ32をオフにする(第1の保護状態)。図9は、第1の実施形態における電池パック101において、放電過電流が低電位側の第1の保護IC10で検出される前後の状況を例示するタイミングチャートである。図8において、SW32は、放電制御トランジスタ32を表す。
【0074】
状態1:放電可能な通常状態(正常状態)において、第1の負荷91のショートにより放電過電流が検出されると、第1の保護IC10は、過電流検出遅延時間後に、放電制御トランジスタ32をオフし、放電を遮断する。
【0075】
状態2:放電制御トランジスタ32のオフにより、第1の端子1及びVM1端子の電位が0Vから4~8Vに変化する。この場合、第1の保護IC10の電源電圧は、第1のセル71の負極と第2のセル72の正極との間の電位差に略等しいから、VM2端子の電位範囲に関しては問題にならない。
【0076】
このように、第1の実施形態では、第1の保護状態のとき、第2のセル72から保護素子36へ電流が流れない。よって、二次電池保護回路111は、第1の保護状態のとき、第2のセル72から第1の保護IC10を経由して、第2の負荷92及び第1の負荷91に電流出力することを停止する。
【0077】
図10は、第2の実施形態における電池パック102において、放電過電流が高電位側の保護ICで検出された状況を例示する図である。図11は、第2の実施形態における電池パック102において、放電過電流が高電位側の保護ICで検出された状況を例示する図である。図12は、第2の実施形態における電池パック102において、放電過電流が低電位側の保護ICで検出された状況を例示する図である。図13は、第2の実施形態における電池パック102において、放電過電流が低電位側の保護ICで検出される前後の状況を例示するタイミングチャートである。なお、第2の実施形態において、上述の実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで省略又は簡略する。
【0078】
図10に示す電池パック102は、直列に接続される第1の二次電池71及び第2の二次電池72と、第1の二次電池71及び第2の二次電池72を個々に保護する二次電池保護回路112とを備える。
【0079】
第1の保護IC10は、第1の端子1と第1のスイッチ回路30との間で第1の電流経路5に抵抗14を介して接続される第1の監視端子18(VM1端子)と、第2のセル72の正極に接続される第1の電源端子15(VDD端子)とを備える。また、第1の保護IC10は、充電制御端子11(COUT端子)、放電制御端子12(DOUT端子)、セル電圧入力端子16(VC1端子)及びグランド端子13(VSS端子)を備える。さらに、第1の保護IC10は、第1の監視端子18から第1の電源端子15への内部電流経路を形成する第1の保護素子36を有する。
【0080】
第2の保護IC20は、第3の端子3と第2のスイッチ回路40との間で第3の電流経路6に抵抗24を介して接続される第2の監視端子28(VM2端子)と、第2のセル72の負極に接続されるグランド端子23(VSS端子)とを備える。また、第2の保護IC20は、充電制御端子21(COUT端子)、放電制御端子22(DOUT端子)、セル電圧入力端子26(VC2)及び第2の電源端子25(VDD端子)を備える。さらに、第2の保護IC20は、グランド端子23から第2の監視端子28への内部電流経路を形成する第2の保護素子46を有する。
【0081】
第2の実施形態の場合、保護IC10,20の電源電圧は、いずれも、セル71の負極とセル72の正極との間の電位差である。したがって、第1の保護状態又は第2の保護状態に遷移しても、監視端子18,28の電圧をICの許容電圧範囲内で使用できるので、監視端子の電位範囲に関しては問題にならない。
【0082】
図14は、第3の実施形態における電池パック103において、放電過電流が低電位側の保護ICで検出された状況を例示する図である。図15は、第3の実施形態における電池パック103において、放電過電流が高電位側の保護ICで検出された状況を例示する図である。なお、第3の実施形態において、上述の実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで省略又は簡略する。
【0083】
図14に示す電池パック103は、直列に接続される第1の二次電池71及び第2の二次電池72と、第1の二次電池71及び第2の二次電池72を個々に保護する二次電池保護回路113とを備える。
【0084】
二次電池保護回路113は、第1の端子1と、第2の端子2と、第3の端子3と、第1の電池パック部103Aと、第2の電池パック部103Bとを備える。また、第1の電池パック部103Aは、第1のスイッチ回路30と、第1の保護IC10とを備え、第2の電池パック部103Bは、第2のスイッチ回路60と、第2の保護IC50とを備える。
【0085】
第1のセル71の負極と第1の端子1との間は、第1の電流経路5によって接続されており、第1の電流経路5には、第1のスイッチ回路30が直列に挿入されている。第1のセル71の正極と第2の端子2との間は、第2の電流経路4Aによって接続されている。第2のセル72の負極と第2の端子2との間は、第2の電流経路4Bによって接続されており、第2の電流経路4Bには、第2のスイッチ回路60が直列に挿入されている。第2のセル72の正極と第3の端子3との間は、第3の電流経路6によって接続されている。
【0086】
第1のスイッチ回路30は、例えば、ゲートが充電制御端子11(COUT端子)に接続されるスイッチである充電制御トランジスタ31と、ゲートが放電制御端子12(DOUT端子)に接続されるスイッチである放電制御トランジスタ32とを有する。放電制御トランジスタ32は、放電経路に設けられる第1のスイッチの一例である。
【0087】
第2のスイッチ回路60は、例えば、ゲートが充電制御端子51(COUT端子)に接続されるスイッチである充電制御トランジスタ61と、ゲートがスイッチである放電制御端子52(DOUT端子)に接続される放電制御トランジスタ62とを有する。放電制御トランジスタ62は、放電経路に設けられる第2のスイッチの一例である。
【0088】
第1の保護IC10は、第1の端子1と第1のスイッチ回路30との間で第1の電流経路5に抵抗14を介して接続される第1の監視端子18(VM1端子)と、第1のセル71の正極に抵抗37を介して接続される第1の電源端子15(VDD端子)とを備える。また、第1の保護IC10は、充電制御端子11(COUT端子)、放電制御端子12(DOUT端子)及びグランド端子13(VSS端子)を備える。さらに、第1の保護IC10は、第1の監視端子18から第1の電源端子15への内部電流経路を形成する第1の保護素子36を有する。第1の保護IC10又は第1の電池パック部103Aは、放電経路に設けられる第1のスイッチによって、第1の二次電池を過放電又は放電過電流から保護する第1の保護回路の一例である。
【0089】
第2の保護IC50は、第2の端子2と第2のスイッチ回路60との間で第2の電流経路4Bに抵抗54を介して接続される第2の監視端子58(VM2端子)と、第2のセル72の正極に抵抗67を介して接続される第2の電源端子55(VDD端子)とを備える。また、第2の保護IC50は、充電制御端子51(COUT端子)、放電制御端子52(DOUT端子)及びグランド端子53(VSS端子)を備える。さらに、第2の保護IC50は、第2の監視端子58から第2の電源端子55への内部電流経路を形成する第2の保護素子66を有する。第2の保護IC50又は第2の電池パック部103Bは、放電経路に設けられる第2のスイッチによって、第2の二次電池を過放電又は放電過電流から保護する第2の保護回路の一例である。
【0090】
オフ状態検出回路80Aは、第1のスイッチ回路30のオフ状態が検出された場合、第1の監視端子18の電位を固定することによって、第1の保護素子36に流れる電流を遮断する。オフ状態検出回路80Aは、スイッチ83Aとスイッチ84Aと抵抗81Aとを有する。スイッチ83A,84Aは、例えば、NMOSトランジスタである。
【0091】
オフ状態検出回路80Bは、第2のスイッチ回路60のオフ状態が検出された場合、第2の監視端子58の電位を固定することによって、第2の保護素子66に流れる電流を遮断する。オフ状態検出回路80Bは、スイッチ83Bとスイッチ84Bと抵抗81Bとを有する。スイッチ83B,84Bは、例えば、NMOSトランジスタである。
【0092】
オフ状態検出回路80A,80Bは、上述の第1の実施形態のオフ状態検出回路80と同じ機能を有する。つまり、オフ状態検出回路80Aは、第1のスイッチ回路30のオフ状態が検出された場合、第1の保護素子36に流れる電流を遮断し、オフ状態検出回路80Bは、第2のスイッチ回路60のオフ状態が検出された場合、第2の保護素子66に流れる電流を遮断する。オフ状態検出回路80A,80Bは、上述のオフ状態検出回路80に対して、PMOSの構成がNMOSの構成に変わっただけなので、詳細な説明については上述の説明を援用することで省略する。
【0093】
図16は、第4の実施形態における電池パック104において、放電過電流が高電位側の保護ICで検出された状況を例示する図である。図17は、第4の実施形態における電池パック104において、放電過電流が高電位側の保護ICで検出される前後の状況を例示するタイミングチャートである。なお、第4の実施形態において、上述の実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで省略又は簡略する。
【0094】
過電流検出後に保護状態から復帰する方式には、負荷を解放することで保護状態から復帰する負荷解放復帰方式と、充電器を接続することで保護状態から復帰する充電器接続復帰方式とがある。第4の実施形態では、充電器接続復帰方式を示す。
【0095】
図16に示す電池パック104は、直列に接続される第1の二次電池71及び第2の二次電池72と、第1の二次電池71及び第2の二次電池72を個々に保護する二次電池保護回路114とを備える。
【0096】
第1の保護IC10は、第1の端子1と第1のスイッチ回路30との間で第1の電流経路5に抵抗14を介して接続される第1の監視端子18(VM1端子)と、第2のセル72の正極に接続される第1の電源端子15(VDD端子)とを備える。また、第1の保護IC10は、充電制御端子11(COUT端子)、放電制御端子12(DOUT端子)、セル電圧入力端子16(VC端子)及びグランド端子13(VSS端子)を備える。さらに、第1の保護IC10は、第1の監視端子18から第1の電源端子15への内部電流経路を形成する第1の保護素子36を有する。
【0097】
第2の保護IC50は、第2の端子2と第2のスイッチ回路60との間で第2の電流経路4Bに抵抗54を介して接続される第2の監視端子58(VM2端子)と、第2のセル72の正極に抵抗67を介して接続される第2の電源端子55(VDD端子)とを備える。また、第2の保護IC50は、充電制御端子51(COUT端子)、放電制御端子52(DOUT端子)及びグランド端子53(VSS端子)を備える。さらに、第2の保護IC50は、第2の監視端子58から第2の電源端子55への内部電流経路を形成する第2の保護素子66を有する。
【0098】
オフ状態検出回路82は、第2のスイッチ回路60のオフ状態が検出された場合、第2の監視端子58の電位を固定することによって、第2の保護素子66に流れる電流を遮断する。また、オフ状態検出回路82は、充電器が第1の端子1と第3の端子3に接続されるまで、第2の保護素子66に流れる電流を遮断した状態を保持する。オフ状態検出回路82は、スイッチ83,86,87と抵抗85とを有する。スイッチ83は、例えば、PMSトランジスタであり、スイッチ86,87は、例えば、NMOSトランジスタである。
【0099】
スイッチ83は、第3の電流経路6に直列に挿入されている。抵抗85は、スイッチ83のゲートとソース間に接続されている。スイッチ86,87は、互いに直列に接続されており、それぞれのゲートは、放電制御端子52に共通に接続されている。スイッチ86のソースは、スイッチ83のゲートに接続され、スイッチ87のソースは、第2の端子2に接続されている。
【0100】
第4の実施形態では、第2の保護IC50は、第1の負荷91に流れる放電過電流が検出されると、スイッチ64により、VM2端子は抵抗65を介してVDD端子にプルアップ(接続)される。これにより、第1の負荷91が解放されても、第2の保護状態は維持される。正常状態へ復帰させるためには、充電器を接続することにより、VM2端子の電位をVSS端子のレベルに引き下げる。その結果、第2の保護状態から正常状態へ復帰できる。
【0101】
以上、二次電池保護回路及び電池パックを実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
【0102】
例えば、図14,16の構成において、第1のスイッチ回路30は、第1の二次電池71の正極と第2の端子2との間の第2の電流経路4Aに直列に挿入されてもよい。また、図14,16の構成において、第2のスイッチ回路60は、第2の二次電池72の正極と第3の端子3との間の第3の電流経路6に直列に挿入されてもよい。
【0103】
図18は、第1の実施形態における電池パックの第1の変形例を示す図である。二次電池保護回路111は、第1の保護IC10と第2の保護IC20とを内蔵(複合集積)する複合集積回路121を備える。複合集積回路121は、第1の保護IC10と第2の保護IC20とが一つのパッケージ内にパッケージされたマルチチップである。2つの部品を一つのパッケージに収めることで、基板実装の容易性が向上し、実装面積が低減する。複合集積回路121は、第1の保護IC10と第1のスイッチ回路30との対と、第2の保護IC20と第2のスイッチ回路40との対との少なくとも一方の対を複合集積してもよい。
【0104】
図19は、第1の実施形態における電池パックの第2の変形例を示す図である。二次電池保護回路111は、第2の保護IC20と第2のスイッチ回路40とスイッチ83を内蔵(複合集積)する複合集積回路122を備える。複合集積回路122は、第2の保護IC20と第2のスイッチ回路40とスイッチ83が一つのパッケージ内にパッケージされたマルチチップである。3つの部品を一つのパッケージに収めることで、基板実装の容易性が向上し、実装面積が低減する。
【0105】
図20は、第2の実施形態における電池パックの第1の変形例を示す図である。二次電池保護回路112は、第1の保護IC10と第2の保護IC20とを内蔵(複合集積)する複合集積回路123を備える。複合集積回路123は、第1の保護IC10と第2の保護IC20とが一つのパッケージ内にパッケージされたマルチチップである。2つの部品を一つのパッケージに収めることで、基板実装の容易性が向上し、実装面積が低減する。複合集積回路123は、第1の保護IC10と第1のスイッチ回路30との対と、第2の保護IC20と第2のスイッチ回路40との対との少なくとも一方の対を複合集積してもよい。
【0106】
また、各実施形態において、充電制御トランジスタ31と放電制御トランジスタ32とのうち少なくとも一方は、第1の保護IC10と同じチップ上に複合集積されてもよい。同様に、充電制御トランジスタ41と放電制御トランジスタ42とのうち少なくとも一方は、第2の保護IC20と同じチップ上に複合集積されてもよい。同様に、充電制御トランジスタ61と放電制御トランジスタ62とのうち少なくとも一方は、第2の保護IC50と同じチップ上に複合集積されてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 第1の端子
2 第2の端子
3 第3の端子
4 第2の電流経路
5 第1の電流経路
6 第3の電流経路
10,20,50,210,220 保護IC
30,230 第1のスイッチ回路
36 第1の保護素子
40,60,240 第2のスイッチ回路
46,66 第2の保護素子
71,171 第1の二次電池
72,172 第2の二次電池
80,80A,80B,82 オフ状態検出回路
91,191 第1の負荷
92,192 第2の負荷
100~104 電池パック
110~114 二次電池保護回路
121,122,123 複合集積回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20