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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/42 20060101AFI20230302BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B41J11/42
B41J15/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018107766
(22)【出願日】2018-06-05
(65)【公開番号】P2019209605
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-05-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000230858
【氏名又は名称】日本金銭機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】599150872
【氏名又は名称】日本トーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉本 剛史
(72)【発明者】
【氏名】調子 公俊
(72)【発明者】
【氏名】井上 直樹
(72)【発明者】
【氏名】稲▲崎▼ 文彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 達也
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-168086(JP,A)
【文献】特開2013-244706(JP,A)
【文献】特開2004-098499(JP,A)
【文献】特開2005-059383(JP,A)
【文献】特開2015-058594(JP,A)
【文献】特開2017-007111(JP,A)
【文献】特開平10-055401(JP,A)
【文献】特開2009-286506(JP,A)
【文献】特開2003-063115(JP,A)
【文献】特開2009-230046(JP,A)
【文献】特開2008-247526(JP,A)
【文献】特開2004-122759(JP,A)
【文献】特開平09-254501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00-11/70
B41J 15/00-15/24
B41J 29/00
B65H 7/00- 7/20
B65H 29/62
B65H 43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に設けられた印刷部と、
画像センサと、
前記筐体の正面に設けられ、印刷用紙を前記筐体の正面に対して略垂直な水平方向に排出するための第1の排出部と、
前記筐体の正面の、前記第1の排出部とは別の場所に設けられ、前記印刷用紙を前記筐体に沿って略上方向に排出するための第2の排出部と、
印刷用紙を搬送するための紙送りローラと、
前記印刷部に印刷用紙に対する印刷を行わせ、前記画像センサを介して印刷後の印刷用紙の画像を取得することによって正常に印刷が実行されたか否かを判断し、正常に印刷が実行された印刷用紙を前記紙送りローラを用いて前記第1の排出部に排出させ、正常に印刷が実行されたと判断されなかった場合は画像の取得および判断を繰り返し、所定回数以上正常に印刷が実行されなかったと判断された印刷用紙を前記紙送りローラを用いて前記第2の排出部に排出させるための制御部と、を備える印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、第1の指示に応じて、前記印刷部にテスト印刷を実行させ、テスト印刷後の印刷用紙を前記紙送りローラを用いて前記第2の排出部に排出させる、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、正常に印刷が実行されなかった印刷用紙を前記紙送りローラを用いて逆方向に搬送し、前記印刷部によって前記印刷用紙に所定の文字または画像の印刷を行ってから、再度前記紙送りローラを用いて前記印刷用紙を前記第2の排出部に排出させる、請求項1または2に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用紙に文字や画像などを印刷するための印刷装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷用紙に文字や画像などを印刷するための印刷装置が知られている。たとえば、特開2014-94496号公報(特許文献1)には、宛名札印刷添付装置が開示されている。特許文献1によると、感熱記録ロール紙から感熱紙を引き出して送り出すドラッグローラを有する感熱紙供給手段と、感熱紙に情報を印刷するサーマルヘッド及びプラテンローラから成る印字ユニットと、感熱紙を所定の長さで切断して宛名札にするカッターユニットとを備えた宛名札印刷供給部と、宛名札印刷供給部で作成した宛名札を搬送されている新聞束の上面に添付する宛名札添付部とから構成した宛名札印刷添付装置に於いて、前記感熱紙供給手段のドラッグローラの下流側位置に印字ユニットを配置すると共に、ドラッグローラと印字ユニットとの間に前記カッターユニットを配置し、前記印字ユニットのプラテンローラを感熱紙の走行方向へ回転駆動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-94496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、使い勝手の良い印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明のある態様に従うと、印刷部と、画像センサと、第1の排出部と、第2の排出部と、印刷用紙を搬送するための紙送りローラと、印刷部に印刷用紙に対する印刷を行わせ、画像センサを介して印刷後の印刷用紙の画像を取得することによって正常に印刷が実行されたか否かを判断し、正常に印刷が実行された印刷用紙を紙送りローラを用いて第1の排出部に排出させ、正常に印刷が実行されたと判断されなかった場合は画像の取得および判断を繰り返し、所定回数以上正常に印刷が実行されなかったと判断された印刷用紙を紙送りローラを用いて第2の排出部に排出させるための制御部と、を備える印刷装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
以上のように、本発明によれば、使い勝手の良い印刷装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態に係る印刷装置100の前方斜視図である。
図2】本実施の形態に係る印刷装置100の上部を持ち上げた状態の印刷装置100の前方斜視図である。
図3】本実施の形態に係る印刷装置100の内部構造を示す側面断面イメージ図である。
図4】本実施の形態に係る印刷装置100の制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[第1の実施の形態]
<印刷装置100の構成>
【0009】
図1から図3に示すように、本実施の形態にかかる印刷装置100は、外部からの印刷命令に応じて、感熱ロール紙106から感熱用紙107を引っ張り出して、感熱用紙107に文字や図形を印刷したり、印刷が正常に行われたかを判断したり、印刷後の感熱用紙107を所定の大きさに切断したり、切断後の感熱用紙を所定のエリアに排出したりするものである。
【0010】
より詳細には、印刷装置100は、印刷装置100の各部を制御するための制御基板110を有する。制御基板110には、プログラムや各種データを記憶するためのメモリ112や、メモリ112のプログラムに従って印刷装置100の各部を制御するためのCPU111などが取り付けられる。制御基板110には、CPU111からの指示に応じて、外部の装置とデータを送受信するための通信インターフェイス113やその他の電装部品も取り付けられる。たとえば、CPU111は、通信インターフェイス113を介して印刷命令を受け付けて、後述するサーマルプリンタヘッドに印刷を実行させる。
【0011】
印刷装置100は、感熱ロール紙106を載置するための駆動ローラ141と、感熱ロール紙106が回転しているか否かを判断するための検知ローラ142と、感熱ロール紙106が載置されているか否かを判断するためのセンサ143とを搭載する。駆動ローラ141は、モータ120Aからの駆動力によって駆動される。
【0012】
CPU111は、センサ143からの信号に応じて、駆動ローラ141および検知ローラ142に感熱ロール紙106が載置されているか否かを判断する。そして、CPU111は、定期的に駆動ローラ141の駆動をOFFにして、検知ローラ142が従動されているか否かを判断する。検知ローラ142が従動されている場合には、CPU111は、後述する紙送りローラによって感熱ロール紙106から感熱用紙107が引き出されていると判断し、感熱ロール紙106の回動を補助するために駆動ローラ141の駆動をONにする。一方、検知ローラ142が従動されていない場合には、CPU111は、感熱ロール紙106から感熱用紙107が引き出されていないと判断し、駆動ローラ141の駆動をOFFにする。
【0013】
CPU111は、紙送りローラ121,122,123,124,125,126,127,128,129を正方向(図3における反時計方向)に回動させることによって、感熱用紙107を搬送させる。一方、CPU111は、紙送りローラ121,122・・・を逆方向(図3における時計方向)に回動させることによって、感熱用紙107を逆方向に戻す。より詳細には、紙送りローラ122,124,125,126,127,128,129には、対向する位置に対向ローラ122B,124B,125B,126B,127B,128B,129Bが配置され、これらのローラで感熱用紙107を挟むことによって、感熱用紙107を正方向や逆方向に搬送することができる。
【0014】
なお、本実施の形態においては、紙送りローラ122,124,125,126,127,128,129や対向ローラ122B,124B,125B,126B,127B,128B,129Bが、印刷装置100の左右方向に、複数並べて設けられるものである。
【0015】
印刷装置100は、サーマルプリンタヘッド151を搭載する。CPU111は、サーマルプリンタヘッド151を制御することによって、搬送される感熱用紙107に文字や図形などを印刷する。
【0016】
そして、印刷装置100は、サーマルプリンタヘッド151よりも、感熱用紙107の搬送方向における下流側に、画像センサ162が配置される。画像センサ162は、印刷後の感熱用紙107の表面(印刷面)を撮影し、撮影画像をCPU111に提供する。これによって、CPU111は、メモリ112に記憶されているサーマルプリンタヘッド151に渡した画像データと、実際に印刷された画像データとを比較して、正常に印刷が実行されたか否かを判断することができる。たとえば、CPU111は、2つの画像のマッチング率が所定値以上である場合に、印刷が正常に実行されたと判断する。
【0017】
印刷装置100は、切断ユニット165を搭載する。切断ユニット165は、CPU111からの指示に基づいて、印刷後の感熱用紙107を所定の大きさに切断する。
【0018】
より詳細には、本実施の形態においては、感熱用紙107の裏面、すなわち、サーマルプリンタヘッド151によって印刷されない側の表面に、感熱用紙107の切断位置を示すための基準位置画像が印刷されている。一方、切断ユニット165の、感熱用紙の搬送方向の上流側には、カット位置検出センサ164が配置されている。CPU111は、紙送りローラ121,122・・・を正回転させながら、カット位置検出センサ164からの信号に応じて、基準位置画像を検知したときに、切断ユニット165に感熱用紙107を切断させる。
【0019】
本実施の形態においては、感熱用紙107の裏面は白色であって、基準位置画像は感熱用紙107の裏面の左右両端部に印刷された黒色の長方形の画像である。なお、基準位置画像は感熱用紙107の裏面の左右いずれかの端部に印刷されてもよいし、感熱用紙107に基準位置を示す切欠きなどが形成されていてもよい。CPU111は、カット位置検出センサ164や後述する印刷位置検出センサ161からの信号に基づいて、搬送される感熱用紙107の裏面を撮影しながら、白色エリアを検知した後に所定時間黒色エリアを検知して再度白色エリアを検知した場合に、基準位置画像を検知したと判断する。感熱用紙107の基準位置を検出する方法は、画像センサに限らず、光学反射センサや近接センサ等を用いる方法でも代用できる。
【0020】
印刷装置100は、排出コース切り替えユニット167を搭載する。排出コース切り替えユニット167は、CPU111からの指示に応じて切断後の感熱用紙107の排出エリアを切り替える。本実施の形態においては、印刷装置100は、少なくとも、通常の印刷時に利用される第1の排出部131と、非常時に利用される第2の排出部132とが設けられている。
【0021】
より詳細には、本実施の形態においては、CPU111は、サーマルプリンタヘッド151に渡した画像データと、実際に印刷された画像データとを比較して、正常に印刷が実行されたと判断した場合は、紙送りローラ121,122・・・を正回転させながら、カット位置検出センサ164からの信号に基づいて、切断ユニット165に、印刷後の感熱用紙107を所定の大きさに切断させる。CPU111は、排出コース切り替えユニット167を正位置にセットすることによって、切断後の感熱用紙107を通常の第1の排出部131に排出する。
【0022】
一方、CPU111は、サーマルプリンタヘッド151に渡した画像データと、実際に印刷された画像データとを比較して、正常に印刷が実行されたと判断できなかった場合は、紙送りローラ121,122・・・を逆回転させることによって、感熱用紙107を逆方向に搬送し、サーマルプリンタヘッド151に所定の画像の印刷を実行させる。なお、所定の画像とは、感熱用紙107が無効であることを示すものである。そして、CPU111は、紙送りローラ121,122・・・を正回転させながら、カット位置検出センサ164からの信号に基づいて、切断ユニット165に、印刷後の感熱用紙107を所定の大きさに切断させる。CPU111は、排出コース切り替えユニット167を別の位置にセットすることによって、切断後の感熱用紙107を非常用の第2の排出部132に排出する。
【0023】
なお、本実施の形態にかかる印刷装置100においては、CPU111は、感熱用紙107に対するテスト印字の際においては、以下の処理を実行する。すなわち、CPU111は、通信インターフェイス113を介してテスト印字の命令を受け付けると、紙送りローラ121,122・・・を正回転させながら、サーマルプリンタヘッド151に所定のテスト用の画像の印刷を実行させる。そして、CPU111は、紙送りローラ121,122・・・を正回転させながら、カット位置検出センサ164からの信号に応じて、基準位置画像を検知したときに、切断ユニット165に感熱用紙107を切断させる。この場合も、CPU111は、排出コース切り替えユニット167を別の位置にセットすることによって、切断後の感熱用紙107を非常用の第2の排出部132に排出する。
【0024】
また、本実施の形態にかかる印刷装置100には、サーマルプリンタヘッド151の印刷位置よりも、感熱用紙107の搬送方向の上流側には、印刷位置検出センサ161が配置されている。CPU111は、後述するように、印刷が終了し印刷結果を確認し感熱用紙を切断する度に、紙送りローラ121,122・・・を逆回転させて、印刷位置検出センサ161からの信号に応じて、当該基準位置画像を検知する場所まで、感熱用紙107を感熱ロール紙106の方向へと巻き戻す。
【0025】
より詳細には、CPU111は、後述するように、感熱用紙107を切断する度に、または印刷後の感熱用紙107の表面(印刷面)を撮影および確認後に無効印字を行うために、紙送りローラ121,122・・・を逆回転させて、印刷位置検出センサ161が感熱用紙107の裏面の基準位置画像を検知する場所まで感熱用紙107を逆方向に搬送させる。あるいは、CPU111は、後述するように、感熱用紙107を切断する度に、または印刷後の感熱用紙107の表面(印刷面)を撮影および確認後に無効印字を行うために、紙送りローラ121,122・・・を逆回転させて、印刷位置検出センサ161が感熱用紙107の先端が印刷位置検出センサ161の検知位置に達するまで感熱用紙107を逆方向に搬送させる。
【0026】
そして、次の印刷を実行する際に、CPU111は、印刷位置検出センサ161からの信号に応じて、当該基準位置画像を検知したときに、サーマルプリンタヘッド151に文字や図形の印刷を開始させる。
【0027】
本実施の形態においては、サーマルプリンタヘッド151の位置と印刷位置検出センサ161の位置との距離は1mm以上2cm以下程度、好ましくは2mm以上1cm以下程度に設計されている。または、感熱用紙107の搬送経路における、サーマルプリンタヘッド151による印刷位置と印刷位置検出センサ161による検出位置との距離は1mm以上2cm以下程度、好ましくは2mm以上1cm以下程度に設計されている。これによって、CPU111は、感熱用紙107の裏面の基準位置画像が検知された際に、当該画像の1mm以上2cm以下程度先のエリアからサーマルプリンタヘッド151による印刷を開始させる。
<印刷装置100の制御処理>
【0028】
次に、本実施の形態にかかる印刷装置100にかかる主要な制御処理について説明する。なお、図4は、本実施の形態にかかる印刷装置100にかかる主要な制御処理を示すフローチャートである。
【0029】
CPU111は、印刷の指示を受け付けると、図4に示すような処理を実行する。まず、CPU111は、モータ120A,120Bを駆動することによって、紙送りローラ121,122・・・を駆動して、感熱用紙107を正方向に搬送する。CPU111は、印刷位置検出センサ161からの信号に基づいて、感熱用紙107の裏面の基準位置画像をサーチする(ステップS102)。
【0030】
CPU111は、基準位置画像を検出すると、サーマルプリンタヘッド151に、感熱用紙107の表紙に文字や図形などを印刷させる(ステップS104)。CPU111は、紙送りローラ121,122・・・を駆動して、印刷後の感熱用紙107をさらに正方向に搬送して、画像センサ162に感熱用紙107の表面を撮影させる(ステップS106)。CPU111は、今回撮影された画像データと、サーマルプリンタヘッド151に受け渡された印刷用の画像データとが同じであるか否かを判断する(ステップS108)。たとえば、CPU111は、撮影画像と印刷用画像とが95%以上マッチングしていれば、印刷が正常に終了したと判断する(ステップS108)。
【0031】
印刷が正常に終了したと判断した場合(ステップS108にてYESである場合)、CPU111は、紙送りローラ121,122・・・を駆動して、感熱用紙107をさらに正方向に搬送して、カット位置検出センサ164からの信号に基づいて、感熱用紙107の裏面の基準位置画像をサーチする(ステップS110)。CPU111は、基準位置画像を検出すると、切断ユニット165によって、感熱用紙107を切断する(ステップS112)。CPU111は、所定のサイズに切断された感熱用紙107をさらに正方向に搬送して、通常の第1の排出部131に排出する(ステップS114)。
【0032】
CPU111は、モータ120A,120Bを駆動することによって、紙送りローラ121,122・・・を駆動して、残った感熱用紙107を逆方向に搬送する(ステップS116)。CPU111は、印刷位置検出センサ161からの信号に基づいて、感熱用紙107の裏面の基準位置画像をサーチする(ステップS118)。CPU111は、基準位置画像を検出すると、印刷用の待機位置に達したと判断して、感熱用紙107の搬送を停止する(ステップS120)。CPU111は、次の印刷命令を待ち受ける。
【0033】
一方、印刷が正常に終了しなかったと判断した場合(ステップS108にてNOである場合)、CPU111は、印刷が正常に終了しなかったと判断された回数が所定値、たとえば3回など、を超えたか否かを判断する(ステップS109)。印刷が正常に終了しなかったと判断された回数が所定値を超えていない場合(ステップS109にてNOである場合)、CPU111は、紙送りローラ121,122・・・を駆動して、感熱用紙107を画像センサ162による撮影開始位置よりも前まで逆搬送してから、ステップS106からの処理を繰り返す。なお、エラーの回数や、撮影および判断のリトライ回数は、任意に設定可能である。
【0034】
そして、印刷が正常に終了しなかったと判断された回数が所定値を超えた場合(ステップS109にてYESである場合)、つまり印刷画像の撮影(ステップS106)と判断(ステップS108)とを何度か繰り返しても正常な結果が得られなかった場合、CPU111は、モータ120A,120Bを駆動することによって、紙送りローラ121,122・・・を逆方向に駆動して、感熱用紙107を逆方向に搬送する(ステップS122)。CPU111は、印刷位置検出センサ161からの信号に基づいて、感熱用紙107の裏面の基準位置画像をサーチする(ステップS124)。
【0035】
CPU111は、基準位置画像を検出すると、紙送りローラ121,122・・・を正方向に駆動しながら、サーマルプリンタヘッド151によって、感熱用紙107の表紙に感熱用紙107が無効であることを示す文字や図形などを印刷する(ステップS126)。CPU111は、感熱用紙107を正方向に搬送して、カット位置検出センサ164からの信号に基づいて、感熱用紙107の裏面の基準位置画像をサーチする(ステップS128)。CPU111は、基準位置画像を検出すると、切断ユニット165によって、感熱用紙107を切断する(ステップS130)。CPU111は、印刷および切断後の感熱用紙107をさらに正方向に搬送して、第2の排出部132に排出する(ステップS132)。なお、このときに、CPU111は、異常が発生した旨の情報を、通信インターフェイス113を介して、他の装置に通知することが好ましい。
【0036】
CPU111は、モータ120A,120Bを駆動することによって、紙送りローラ121,122を駆動して、残った感熱用紙107を逆方向に搬送する(ステップS116)。CPU111は、印刷位置検出センサ161からの信号に基づいて、感熱用紙107の裏面の基準位置画像をサーチする(ステップS118)。CPU111は、基準位置画像を検出すると、印刷用の待機位置に達したと判断して、感熱用紙107の搬送を停止する(ステップS120)。CPU111は、次の印刷命令を待ち受ける。
【0037】
以上のように、本実施の形態にかかる印刷装置100においては、印刷後の感熱用紙107が、印刷位置検出センサ161の近傍の待機位置まで戻ってから、次の印刷まで待機する。そして、次の印刷を開始する直前に、再度、印刷の開始位置を検知してから印刷を実行するため、正常な位置に印刷できる可能性が高くなる。
【0038】
また、本実施の形態においては、印刷が正常に行われなかった用紙には、無効を示す文字や画像が印刷されたり、通常とは異なる排出部に排出されたりするためユーザが無効の用紙を取り扱い易い。また、テスト印刷が行われた用紙も、通常とは異なる排出部に排出されるためユーザがテスト印刷の用紙を取り扱い易い。
[第2の実施の形態]
【0039】
上記の実施の形態においては、印刷開始位置を特定するための基準位置画像と切断位置を特定するための基準位置画像とが同じ画像で共用されるものあったが、印刷開始位置を特定するための基準位置画像と切断位置を特定するための基準位置画像とが別々のものであってもよい。
[第3の実施の形態]
【0040】
上記の実施の形態においては、感熱式の印刷装置100に関して説明をおこなったが、上記の技術は感熱式以外の印刷装置にも適用可能である。
[第4の実施の形態]
【0041】
上記の実施の形態においては、ロール紙に印刷する印刷装置100に関して説明をおこなったが、上記の技術はロール紙以外の印刷装置にも適用可能である。
[まとめ]
【0042】
上記の実施の形態においては、印刷部151と、画像センサ162と、第1の排出部131と、第2の排出部132と、印刷用紙107を搬送するための紙送りローラ121,122・・・と、印刷部151に印刷用紙107に対する印刷を行わせ、画像センサ162を介して印刷後の印刷用紙107の画像を取得することによって正常に印刷が実行されたか否かを判断し、正常に印刷が実行された印刷用紙107を紙送りローラ121,122を用いて第1の排出部131に排出させ、正常に印刷が実行されたと判断されなかった場合は画像の取得および判断を繰り返し、所定回数以上正常に印刷が実行されなかったと判断された印刷用紙107を紙送りローラ121,122・・・を用いて第2の排出部132に排出させるための制御部110と、を備える印刷装置100が提供される。
【0043】
好ましくは、制御部110は、第1の指示に応じて、印刷部151にテスト印刷を実行させ、テスト印刷後の印刷用紙107を紙送りローラ121,122・・・を用いて第2の排出部132に排出させる。
【0044】
好ましくは、制御部110は、正常に印刷が実行されなかった印刷用紙107を紙送りローラ121,122・・・を用いて逆方向に搬送し、印刷部151によって印刷用紙107に無効を示す文字または画像の印刷を行ってから、再度紙送りローラ121・122・・・を用いて印刷用紙107を第2の排出部132に排出させる。
【0045】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0046】
100 :印刷装置
106 :感熱ロール紙
107 :印刷用紙
110 :制御基板
111 :CPU
112 :メモリ
113 :通信インターフェイス
120A :モータ
120B :モータ
121 :紙送りローラ
122 :紙送りローラ
122B :対向ローラ
123 :紙送りローラ
124 :紙送りローラ
124B :対向ローラ
125 :紙送りローラ
125B :対向ローラ
126 :紙送りローラ
126B :対向ローラ
127 :紙送りローラ
127B :対向ローラ
128 :紙送りローラ
128B :対向ローラ
129 :紙送りローラ
129B :対向ローラ
131 :第1の排出部
132 :第2の排出部
141 :駆動ローラ
142 :検知ローラ
143 :センサ
151 :サーマルプリンタヘッド
161 :印刷位置検出センサ
162 :画像センサ
164 :カット位置検出センサ
165 :切断ユニット
167 :排出コース切り替えユニット
図1
図2
図3
図4