(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】トレーニング装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20230302BHJP
A61G 5/02 20060101ALI20230302BHJP
A61H 1/02 20060101ALI20230302BHJP
A63B 22/06 20060101ALI20230302BHJP
A63B 23/00 20060101ALI20230302BHJP
A63B 23/04 20060101ALI20230302BHJP
A63B 23/08 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
A61N1/36
A61G5/02 701
A61G5/02 707
A61H1/02 R
A63B22/06 G
A63B22/06 Z
A63B23/00 F
A63B23/04 A
A63B23/04 C
A63B23/04 Z
A63B23/08
(21)【出願番号】P 2019504259
(86)(22)【出願日】2017-03-10
(86)【国際出願番号】 JP2017009659
(87)【国際公開番号】W WO2018163395
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2020-03-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】514069528
【氏名又は名称】医療法人和康会
(73)【特許権者】
【識別番号】899000035
【氏名又は名称】株式会社 東北テクノアーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【氏名又は名称】林 道広
(74)【代理人】
【識別番号】100206911
【氏名又は名称】大久保 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】半田 康延
(72)【発明者】
【氏名】関 和則
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 誠
(72)【発明者】
【氏名】杉田 典大
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】宮部 愛子
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0208392(US,A1)
【文献】特表2006-508707(JP,A)
【文献】特開2015-177927(JP,A)
【文献】特開2003-235668(JP,A)
【文献】特開2005-328980(JP,A)
【文献】特表2008-520338(JP,A)
【文献】米国特許第5254061(US,A)
【文献】特開2003-144556(JP,A)
【文献】特開2008-237583(JP,A)
【文献】半田 康延,機能的電気刺激(FES)を用いた足踏み式車椅子開発のための基礎研究,[オンライン],2004年5月,[検索日2021.06.17],インターネット:<URL:http://hdl.handle.net/10097/41278>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N1/36
A61H1/02
A61G5/02
A63B22/06
A63B23/00
A63B23/04
A63B23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーニング利用者の臀部領域を支持する着座部と、
前記トレーニング利用者の背領域を支持する背凭れ部と、
前記臀部の前方に延び出た両脚によって左右に2つ回転可能に軸支されるクランクと、
該クランクにそれぞれ軸支されるペダルと、
該ペダルの駆動力が伝達される駆動車輪と、
前記トレーニング利用者に貼着される電極と、
前記電極に電気刺激波を出力する制御本体部と、を備え、
前記ペダルを漕ぐ運動行程と、前記電極に電気刺激波を出力する刺激行程と、を同時に実行
し、前記ペダルの駆動力により前記駆動車輪を駆動して走行することが可能な
リハビリ用のトレーニング装置であって、
前記着座部より前方には、前記運動行程時において前記トレーニング利用者の大腿部の背面側が左右交互に当接する延伸座部が延設されているとともに、前記延伸座部
及び前記駆動車輪よりも前方
かつ前記延伸座部よりも下方に前記ペダルが配置され、
前記制御本体部は、前記トレーニング利用者の仙骨両側の直上皮膚部にそれぞれ貼着される
左右一対の前記電極
から、前記トレーニング利用者の脊髄の運動中枢を刺激する連続刺激波または連続性間歇刺激波を出力することを特徴とするトレーニング装置。
【請求項2】
左右の
前記ペダルの移動負荷をそれぞれ計測する計測手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のトレーニング装置。
【請求項3】
前記運動行程時において、前記クランクの回転はフリー位置がない状態で
前記駆動車輪に常時伝達されていることを特徴とする請求項1または2に記載のトレーニング装置。
【請求項4】
前記刺激行程において、左右の電気刺激波の出力を相対的に調整させる調整手段を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のトレーニング装置。
【請求項5】
トレーニング利用者に貼着される電極と、前記電極に電気刺激波を出力する制御本体部と、を備える動作促進装置と、
前記トレーニング利用者の臀部領域を支持する着座部と、前記トレーニング利用者の背領域を支持する背凭れ部と、前記臀部の前方に延び出た両脚によって左右に2つ回転可能に軸支されるクランクと、該クランクにそれぞれ軸支されるペダルと、
該ペダルの駆動力が伝達される駆動車輪と、を有する本体枠を備えた足漕ぎ装置と、を備え、
前記ペダルを漕ぐ運動行程と、前記電極に電気刺激波を出力する刺激行程と、を同時に実行
し、前記ペダルの駆動力により前記駆動車輪を駆動して走行することが可能な
リハビリ用のトレーニング装置であって、
前記着座部より前方には、前記運動行程時において前記トレーニング利用者の大腿部の背面側が左右交互に当接する延伸座部が延設されているとともに、前記延伸座部
及び前記駆動車輪よりも前方
かつ前記延伸座部よりも下方に前記ペダルが配置され、
前記制御本体部は、前記トレーニング利用者の仙骨両側の直上皮膚部にそれぞれ貼着される
左右一対の前記電極
から、前記トレーニング利用者の脊髄の運動中枢を刺激する連続刺激波または連続性間歇刺激波を出力し、
前記動作促進装置の前記制御本体部は、前記足漕ぎ装置に支持されており、
前記制御本体部と前記電極とは、着脱自在な係合手段により電気的に接続可能となっていることを特徴とするトレーニング装置。
【請求項6】
前記動作促進装置の前記制御本体部は、左右の前記電極に対して独立した強度の電気刺激波を出力できることを特徴とする請求項5に記載のトレーニング装置。
【請求項7】
トレーニング利用者に貼着される電極と、前記電極に電気刺激波を出力する制御本体部と、を備える動作促進装置と、
前記トレーニング利用者の臀部領域を支持する着座部と、前記トレーニング利用者の背領域を支持する背凭れ部と、前記臀部の前方に延び出た両脚によって左右に2つ回転可能に軸支されるクランクと、該クランクにそれぞれ軸支されるペダルと、
該ペダルの駆動力が伝達される駆動車輪と、を有する本体枠を備えた足漕ぎ装置と、を備え、
前記ペダルを漕ぐ運動行程と、前記電極に電気刺激波を出力する刺激行程と、を同時に実行
し、前記ペダルの駆動力により前記駆動車輪を駆動して走行することが可能な
リハビリ用のトレーニング装置であって、
前記着座部より前方には、前記運動行程時において前記トレーニング利用者の大腿部の背面側が左右交互に当接する延伸座部が延設されているとともに、前記延伸座部
及び前記駆動車輪よりも前方
かつ前記延伸座部よりも下方に前記ペダルが配置され、
前記制御本体部は、前記トレーニング利用者の仙骨両側の直上皮膚部にそれぞれ貼着される
左右一対の前記電極
から、前記トレーニング利用者の脊髄の運動中枢を刺激する連続刺激波または連続性間歇刺激波を出力し、
前記足漕ぎ装置の両ペダルには、これらペダルに対する足裏の押圧負荷を検出する検出部が設けられていることを特徴とするトレーニング装置。
【請求項8】
前記検出部は、360度に亘る足裏の押圧負荷検出値と、該負荷検出の時刻と、を同時に検出できるようになっていることを特徴とする請求項7に記載のトレーニング装置。
【請求項9】
前記検出部で検出される押圧負荷検出値は、無線により随時端末に送信できるようになっていることを特徴とする請求項7または8に記載のトレーニング装置。
【請求項10】
トレーニング利用者に貼着される電極と、前記電極に電気刺激波を出力する制御本体部と、を備える動作促進装置と、
前記トレーニング利用者の臀部領域を支持する着座部と、前記トレーニング利用者の背領域を支持する背凭れ部と、前記臀部の前方に延び出た両脚によって左右に2つ回転可能に軸支されるクランクと、該クランクにそれぞれ軸支されるペダルと、
該ペダルの駆動力が伝達される駆動車輪と、を有する本体枠を備えた足漕ぎ装置と、を備え、
前記ペダルを漕ぐ運動行程と、前記電極に電気刺激波を出力する刺激行程と、を同時に実行
し、前記ペダルの駆動力により前記駆動車輪を駆動して走行することが可能な
リハビリ用のトレーニング装置であって、
前記着座部より前方には、前記運動行程時において前記トレーニング利用者の大腿部の背面側が左右交互に当接する延伸座部が延設されているとともに、前記延伸座部
及び前記駆動車輪よりも前方
かつ前記延伸座部よりも下方に前記ペダルが配置され、
前記制御本体部は、前記トレーニング利用者の仙骨両側の直上皮膚部にそれぞれ貼着される
左右一対の前記電極
から、前記トレーニング利用者の脊髄の運動中枢を刺激する連続刺激波または連続性間歇刺激波を出力し、
前記足漕ぎ装置の両ペダルには、ペダルに対する足裏の押圧負荷を検出して該検出される押圧負荷検出値を無線により制御本体部に送信する検出部が設けられているとともに、該制御本体部は、足裏の押圧負荷に基づき電気刺激波の強度を調整するようになっていることを特徴とするトレーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の足を使った移動能力を向上させるためのトレーニング方法およびトレーニング装置に関し、特に大腿部の筋力をバランスよく増強する為のトレーニング方法及びそれに用いられるトレーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行能力や走行能力の向上を目指す場合、大腿部の筋力の増強が欠かせず、路上の歩行訓練が一般的である。また大腿部のトレーニング装置としては、代表的なものとして所謂ランニングマシーン等が知られている。また、本発明者は仙骨直上皮膚を連続通電で刺激して、歩行速度、歩行の仕方、歩幅、下肢間接角度および歩行周期を適切に調節して歩行を効率よく促進させる装着型の歩行促進装置(例えば、特開2015-177927号公報参照)を提案しており、例えばこのような歩行促進装置を装着した状態でランニングマシーンを利用することにより、大腿部の筋力の増強を含め、左右の足のバランスも飛躍的に向上させることが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、所謂ランニングマシーン等は、立ち姿勢で利用されるものであることから、走行時には、腰や膝をはじめとする関節を中心に体重の数倍程度の負荷が掛かるばかりか、路上の歩行訓練やランニングマシーン等に利用時に前記したような装着型の歩行促進装置を利用した場合、人それぞれの歩行時の左右脚力バランス、左右脚長の違い、さらには体力差により、歩行促進装置によりもたらされる歩行促進効果に一時的なばらつきが見られることがある。このような個人差による効果のばらつきは、各個人の特性のために、そもそも両足に異なる負荷がかかるためと考えられる。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、腰や膝をはじめとする関節への負担を軽減し、左右両脚の大腿部の筋力をバランスよく増強して歩行能力を効果的に向上することのできるトレーニング方法及びトレーニング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明のトレーニング方法は、
トレーニング利用者の臀部領域を着座部にて支持し、該臀部領域の前方に延び出た両脚によって左右に2つ回転可能に軸支されるクランク及び該クランクにそれぞれ軸支されるペダルを漕ぐ運動行程と、利用者の仙骨の両側の直上皮膚部に電極をそれぞれ貼着し、これら電極に電気刺激波を出力する刺激行程と、を同時に実行することを特徴としている。
この特徴によれば、仙骨の両側の直上皮膚部に貼着された左右一対の電極から出力される電気刺激波により、脊髄の運動中枢が刺激される。その際、臀部領域を着座部にて支持させることで人体の大部分の荷重を支持させた状態でのペダル漕ぎ動作となるため、臀部領域の前方に延び出た両脚に平行かつ前後方向のみの限定された動作が求められることになり、ペダルを漕ぐ動作における左右両脚における大腿部の筋肉をバランスよく効果的に増強できる。加えてペダルを漕ぐ動作において、一方の脚によるペダル移動は他方の脚によるペダル移動と常に互いにリンクした動作となるため、電気刺激波による脊髄の運動中枢への刺激が左右両脚の動作をバランスよく促進することになる。また、利用者は左右2つのペダルを両脚で漕ぐ際に、臀部領域が着座部にて支持されて人体の大部分の荷重が支持された状態となるから、ペダルを漕ぐ動作時における自身の体重による腰や膝をはじめとする関節への負担が少ない。
【0007】
運動行程時において、前記トレーニング利用者の臀部領域は前記着座部により、また背領域は背凭れ部により支持されることを特徴としている。
この特徴によれば、トレーニング利用者の背領域が背凭れ部により支持された状態で両脚によって左右に2つ回転可能に軸支されるペダルが漕がれるため、特に大腿部の上下運動が効率よく促進されることになる。
【0008】
前記運動行程時において、前記トレーニング利用者の大腿部の背面側が前記着座部より前方に延出する延伸座部と左右交互に当接するようになっていることを特徴としている。
この特徴によれば、ペダルを漕ぐ動作において脚を伸ばす方向に動作された一方の脚の大腿部の背面側が延伸座部と当接することで膝の下方への移動が規制されるため、腰の捻じれを抑制して、左右両脚の動作をバランスよく運動させることができる。また、一方の脚に一時的に休憩を与えることができ、トレーニング利用者の運動負担を軽減できる。
【0009】
左右のペダルの移動負荷をそれぞれ計測し、両者の移動負荷バランスを比較することができる比較工程を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、トレーニング時の左右両脚によるペダルを漕ぐ動作のバランス向上効果を適切に判断できる。
【0010】
前記運動行程時において、前記クランクの回転はフリー位置がない状態で駆動車輪に常時伝達されていることを特徴としている。
この特徴によれば、足漕ぎ装置を漕ぐことで走行することができるため、利用者はトレーニング時において疾走感を体感できるとともに、一方の脚によるペダル移動は他方のペダル移動と常時互いにリンクした動作となるため、他方の脚による反動力を検出できる。
【0011】
前記刺激行程において、左右の電気刺激波の出力を相対的に調整させる調整工程を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、トレーニング利用者の左右の脚の状態や変化に合わせて適切な刺激を与えることができる。
【0012】
前記課題を解決するために、本発明のトレーニング装置は、
電極に電気刺激波を出力する制御本体部を備える動作促進装置と、
左右に2つ回転可能に軸支されるクランク及び該クランクにそれぞれ軸支されるペダルと座席部とを有する本体枠を備えた足漕ぎ装置と、を備え、
前記動作促進装置の前記制御本体部は、前記足漕ぎ装置に支持されており、
前記制御本体部と前記電極とは、着脱自在な係合手段により電気的に接続可能となっていることを特徴としている。
この特徴によれば、足漕ぎ装置に着座した利用者の仙骨の両側の直上皮膚部にそれぞれ貼着された電極と制御本体部との電気的な接続を容易に行うことができる。
【0013】
前記動作促進装置の前記制御本体部は、左右の前記電極に対して独立した強度の電気刺激波を出力できることを特徴としている。
この特徴によれば、左右の電極に対して出力する電気刺激波を調整することで、左右両脚をバランスよく増強できる。
【0014】
前記課題を解決するために、本発明のトレーニング装置は、
左右に2つ回転可能に軸支されるクランク及び該クランクにそれぞれ軸支されるペダルと座席部とを有する本体枠を備えた足漕ぎ装置を備え、前記足漕ぎ装置の両ペダルには、これらペダルに対する足裏の押圧負荷を検出する検出部が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、ペダルに対する足裏の押圧負荷をクランクの回動角度に対応させて検出し、検証することで脚の運動能力の向上を計測できる。
【0015】
前記検出部は、360度に亘る足裏の押圧負荷検出値と、該負荷検出の時刻と、を同時に検出できるようなっていることを特徴としている。
この特徴によれば、360度に亘り左右足裏にかかる押圧負荷を、それぞれの負荷検出時刻に基づき出力することにより、左右両脚が同時にペダル運動を実施した場合の運動能力を把握でき、左右両脚の能力をバランスよく増強させる対応を採ることができる。
【0016】
前記検出部で検出される押圧負荷検出値は、無線により随時端末に送信できるようになっていることを特徴としている。
この特徴によれば、モニターなどを用いてリアルタイムのトレーニング検証が可能となる。
【0017】
前記課題を解決するために、本発明のトレーニング装置は、
電極に電気刺激波を出力する制御本体部を備える動作促進装置と、
左右に2つ回転可能に軸支されるクランク及び該クランクにそれぞれ軸支されるペダルと座席部とを有する本体枠を備えた足漕ぎ装置を備え、該足漕ぎ装置の両ペダルには、ペダルに対する足裏の押圧負荷を検出して該検出される押圧負荷検出値を無線により制御本体部に送信する検出部が設けられているとともに、該制御本体部は、足裏の押圧負荷に基づき電気刺激波の強度を調整するようになっていることを特徴としている。
この特徴によれば、左右両脚が同時にペダル運動を実施した場合の運動能力を把握しつつ、電気刺激波の強度を調整して、左右両脚の能力をバランスよく増強できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施例1におけるトレーニング装置を示す斜視図である。
【
図6】電極が利用者の仙骨の中央両側の直上皮膚部に貼着された様子を示す図である。
【
図7】利用者が足漕ぎ装置に着座し、ペダルを漕ぐ様子を示し、右脚が上げられた時点を示す図である。
【
図8】利用者が足漕ぎ装置に着座し、ペダルを漕ぐ様子を示し、右脚が前方に押し出された時点を示す図である。
【
図9】ペダル漕ぎ運動を行う際の臀部領域及び左右両脚の大腿部と下方シート部材との関係を示す図である。
【
図11】検出装置にて検出された移動負荷の測定値をグラフ化したものを示す図である。
【
図12】実施例2におけるトレーニング装置の動作促進装置を示す概略図である。
【
図13】実施例3におけるトレーニング装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るトレーニング方法及びトレーニング装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0020】
以下、本発明の実施例1に係るトレーニング装置につき、
図1から
図9を参照して説明する。
図1に示されるように、トレーニング装置1は、足漕ぎ装置2と動作促進装置3とから主に構成されている。
【0021】
図1から
図3に示されるように、足漕ぎ装置2は、前後方向に伸びるメインフレーム4を備え、このメインフレーム4の前端部には足漕ぎクランク5,5(クランク)が回動自在に取り付けられており、足漕ぎクランク5,5の若干後方には、前輪支持部6を介して前輪7が取付けられている。メインフレーム4の後方部には後輪支持部8を介して後輪9が取付けられている。図にて詳述しないが前輪支持部6と後輪支持部8とは、メインフレーム4に対して水平方向に回転可能に軸支されており、後述する駆動車輪20と従動車輪21による旋回時に前輪7と後輪9とが旋回方向に向くようになっている。
【0022】
また、メインフレーム4の長手方向の略中央部には、幅方向外側方に延びる前部クロスバー10が一体に取り付けられ、長手方向の後方側には、幅方向外側方に延びる後部クロスバー11が固定されている。メインフレーム4には、このメインフレーム4を左右に挟むように側部フレーム12,12が固定されている。
【0023】
側部フレーム12,12は、その下方中央側が前部クロスバー10により連結され、下方後方側が後部クロスバー11により連結されている。側部フレーム12は、上部杆部材12Aと下部杆部材12Bとが一体に固定されて構成されており、上部杆部材12Aは前後方向に延びる横杆部12aと、横杆部12aの後方側端部から上方に向け立ち上がる縦杆部12bとを備え、縦管部12bの上端には、後方に向け屈曲して延びるハンドル部12cが形成されている。
【0024】
側部フレーム12の長手方向の後部には補助輪支持部13を介して補助輪14が取付けられている。また、後部クロスバー11と補助輪支持部13とは杆部材15により連結されている。図にて詳述しないが補助輪支持部13は、上下に分割構造となっており、分割構造の部材が互いに水平方向に回転可能に連結されており、駆動車輪20と従動車輪21による旋回時に補助輪14が後述する旋回方向に向くようになっている。
【0025】
左右の側部フレーム12,12の横杆部12a,12aには、ベルト状の固定手段16,16,…により下方シート部材17が固定されており、縦杆部12b,12bには、同じくベルト状の固定手段16,16,…により上方シート部材18が固定されている。下方シート部材17と上方シート部材18とは座席部を構成し、下方シート部材17の後方側17aが利用者の臀部領域を支える着座部として機能し、上方シート部材18が利用者の背中を支える背凭れ部として機能している。
【0026】
また、左右の側部フレーム12,12の縦杆部12b,12bには肘掛け24,24がそれぞれ固定手段25,25により固定されている。更に、
図2に示されるように、正面視右側の側部フレーム12の横杆部12aには、固定手段27を介して把持操作可能なブレーキ装置26が固定されている。尚、説明の便宜上、ブレーキ装置26は
図2にのみ図示し、他の図では図示を省略した。
【0027】
また、
図1に示されるように、正面視右側の縦杆部12bには、後述する動作促進装置3の制御本体部30がここでは図示しない支持手段により着脱自在に固定されている。更に、下方シート部材17側には、後述する動作促進装置3の電極装置31が引き出されて配置可能となっている。尚、説明の便宜上、電極装置31は
図1にのみ図示し、他の図では図示を省略した。
【0028】
一方側(図では正面視左側)の側部フレーム12における下部杆部材12Bの前端部には駆動車輪20が回動可能に軸支されており、他方側(図では正面視右側)の側部フレーム12における下部杆部材12Bの前端部には従動車輪21が回動可能に軸支されている。
【0029】
足漕ぎクランク5,5にはペダル19,19がそれぞれ軸支されている。メインフレーム4の略中央部には、軸部材22の長手方向一方側が軸支されており、軸部材22の他方側には駆動車輪20が固定されている。軸部材22と足漕ぎクランク5,5とは、伝動装置23により伝動関係となっている。これによれば、足漕ぎクランク5,5を回転させることによりクランクの駆動力が軸部材22に伝動され、軸部材22に固定された駆動車輪20が回動するようになっている。伝動装置23は、フリーホイールを備えない所謂、固定ギアとなっており、足漕ぎクランク5,5の回転はフリー位置がない状態で軸部材22を介して駆動車輪20に常時伝達されるようになっている。
【0030】
足漕ぎ装置2は、上述したように下方シート部材17と上方シート部材18とを備えているととともに、ペダル19,19は下方シート部材17より前方に設けられている。そのため、利用者がペダル19,19を押した際の反力を特に上方シート部材18に支えられた腰や背中で受けることができることから、ペダル漕ぎ動作は脚を前に突き出す動作により行われるため、ペダル19,19を押す際に体重を掛けない構造となっている。そのため、脚力の伝達効率が安定し、腰や膝をはじめとする関節への負担が少なく、かつ大腿部の筋力を集中して増強することができる。また、臀部領域を支える下方シート部材17に加えて腰や背中を上方シート部材18で支えることから、広い範囲に体重を分散でき、長時間利用しても負担が少なく、トレーニングに適している。
【0031】
続いて動作促進装置3について
図1及び
図4から
図6を用いて説明する。
図1及び
図4に示されるように、動作促進装置3は、制御本体部30と電極装置31とから主に構成されている。
図4に示されるように、制御本体部30は、箱型の外装部材32の内部にバッテリーである電源部33と中央制御装置34と出力部35とを備えている。
【0032】
また、制御本体部30は外装部材32の外側に露出する電源スイッチ36と調整ダイアル37と切替スイッチ38とを更に備え、電源スイッチ36は電源部33と中央制御装置34とに電気的に接続され、調整ダイアル37と切替スイッチ38とは中央制御装置34にそれぞれ電気的に接続されている。
【0033】
電極装置31は、配線39と電極装置40A,40Bとから主に構成されている。配線39は出力部35と接続され、長手方向の途中で二股に分かれており、それぞれの先端にコネクタ41,41を備えている。
【0034】
以下、電極装置40Aと電極装置40Bとは略同一の構造であるため、電極装置40Aについて説明し、電極装置40Bの説明を省略する。電極装置40Aは、皮膚に貼り付けられるパッド部40aと、パッド部40aから延設される配線部40bとを備えたシート形状である。配線部40bは、導電性のシート40dが不織布等で挟まれて構成されており、パッド部40aの表面には配線部40bの導電性のシート40dと連続する導電性の電極40cが露出しているとともに、この電極40cを覆うように導電性の粘着部材(図示せず)の一方面が貼着されており、他方面が皮膚に貼り付けられる構成となっている。導電性の粘着部材は皮膚の分泌物等の付着により性能が低下するので、適宜新品と交換できるようになっている。
【0035】
コネクタ41は所謂クリップのような構造であり、電極装置40Aの配線部40bの端部を挟持することで配線39と配線部40bとを固定するとともに電気的に接続する。このように、コネクタ41は配線部40bの挟持状態と解除状態との切換を容易に行えるようになっている。
【0036】
中央制御装置34は、中央制御装置34で決定された出力でD/A変換器を有する出力部35から電極装置31に電気刺激信号を送ることができるようになっている。調整ダイアル37は中央制御装置34に働きかけ出力部35から出力される電気刺激の強弱の調整を行う操作部であり、切替スイッチ38は、中央制御装置34に働きかけ出力部35から出力される電気刺激を0.5~3Hzの範囲の周波数と、20Hz~5kHzの範囲の周波数とに切り替える操作部である。
【0037】
図6は、動作促進装置3の電極装置40A,40Bのパッド部40a,40aを電極40c,40cが利用者の仙骨の中心線を挟む両側に位置するように皮膚にそれぞれ直接貼り付けた状態を示している。人間の骨盤は男女を問わず左右一対の腸骨(腸骨と恥骨と座骨を含めて寛骨と称する。)に挟まれた略逆三角形状の仙骨Bとからなるのが通例である。出力部35から出力され電極40c,40cに与えられる電気刺激波は、パルス幅1~500μ秒の単極性負性矩形波又は双極性矩形波であり、連続刺激あるいは連続性間歇刺激である。
【0038】
また、動作促進装置3は、例えば歩行障害者あるいは歩行困難者には0.5~3Hzの範囲内の電気刺激周波数を用い、健常者等には20Hz~5kHzの電気刺激周波数を用いるように、切替スイッチ38の切換を行って利用され、かつ利用者の体格や運動能力に合わせて調整ダイアル37を適宜操作し、電気刺激周波数を調整される。このとき出力部は20~80ボルトで最大100ボルトの刺激出力を与えるようになっている。
【0039】
同じ被験者に対して動作促進装置3を用いた場合と動作促進装置を用いていない場合とで、それぞれ足漕ぎ装置2を利用した際の1分当たりのペダル19,19の回転数を計測する実験を行ったところ、動作促進装置3を用いた場合は、動作促進装置3を用いていない場合に比べて回転数が多いという結果が得られた。この実験によれば、動作促進装置3を用いることで、電極40c,40cに与えられる電気刺激波が仙骨Bの中央両側に出力されることにより、脊髄の運動中枢が刺激され、ペダル19,19を漕ぐ動作、すなわち脚を引き上げた後に前方に押し出す動作をそれぞれ促進させることができることがわかった。
【0040】
続いて、トレーニング装置1を実際に利用する際の態様の一例について、
図7及び
図8を用いて説明する。まず利用者は、仙骨Bの中央両側の直上皮膚部に電極装置40A,40Bのパッド部40a,40aをそれぞれ貼着させた状態(
図6参照)で、足漕ぎ装置2の下方シート部材17の後方側17a(着座部)に臀部領域を載せ、上方シート部材18に背中を預けて着座する。
【0041】
次いで、足漕ぎ装置2に支持された制御本体部30から延びる配線39の端部に設けられたコネクタ41,41により電極装置40A,40Bの配線部40b,40bの端部をそれぞれ挟持させ、電極装置40A,40Bと制御本体部30を電気的に接続する。この状態で、制御本体部30の電源スイッチ36をONとし、切替スイッチ38と、調整ダイアル37を適宜操作し、出力部35から電気刺激波を出力させる(刺激行程)。この電気刺激波を出力させ状態で左右2つのペダル19,19に両足を載せ、ペダル漕ぎ動作を開始する。
【0042】
ペダル漕ぎ動作は、
図7と
図8に示されるように、一方の脚を上方に引き上げた後に、前方に押し出す動作を左右交互に行う動作である(運動行程)。ペダル漕ぎ動作時には、利用者は臀部領域を下方シート部材17の後方側17a(着座部)にて支持させることで人体の大部分の荷重を支持させた状態となるため、臀部領域の前方に延び出た両脚に平行かつ前後方向のみの限定された動作が求められることになり、ペダル19,19を漕ぐ動作における左右両脚における大腿部の筋肉をバランスよく効果的に増強できる。
【0043】
これによれば、利用者は足漕ぎ装置2の左右2つのペダル19,19を両脚で漕ぐ際に、仙骨Bの中央両側の直上皮膚部に貼着された左右一対の電極40c,40c(
図6参照)から出力される電気刺激波により、脊髄の運動中枢が刺激され、ペダル19,19を漕ぐ動作における左右両脚をそれぞれ交互に引き上げる動作(
図7では右脚を上方に引き上げている)と、左右両脚をそれぞれ交互に前方に押し出す動作(
図8では右脚を前方に押し出している)とをそれぞれ促進させることができ、ペダル19,19を漕ぐ動作により左右両脚の大腿部の筋力をバランスよく増強することができる。特に、利用者が両足の不自由な方でも動作促進装置3を用いることにより、左右両脚でペダル19,19を漕ぐことができるようになり、従来リハビリで歩行を行っていた場合と比べて、左右両脚の大腿部の筋力をバランスよく増強することができる。
【0044】
また、
図9に示されるように、臀部領域Hを下方シート部材17の後方側17a(着座部)にて支持させることで人体の大部分の荷重を支持させた状態でのペダル漕ぎ動作となるため、臀部領域Hの前方に延び出た両脚に平行かつ前後方向のみの限定された動作が求められることになり、ペダル19,19を漕ぐ動作における左右両脚における大腿部の筋肉をバランスよく効果的に増強できる。また、ペダル19,19を押した際の反力を特に上方シート部材18に支えられた腰や背中で受けることができることから、臀部領域Hが前後方向に移動せず、特に大腿部の上下運動が効率よく促進されることになる。尚、図中のHは座骨の左右の先端部I,Iを中心として下方シート部材17の後方側17a(着座部)に荷重を与えている臀部の領域を指している。
【0045】
更に、クランク5,5は回転方向の相対位置が変化しない構造であることから、ペダル19,19を漕ぐ動作において、一方の脚によるペダル移動は他方の脚によるペダル移動と常に互いにリンクした動作となる。すなわち、右脚で前方に押す動作は左脚には後方に押す動作となり、これらリンクした動作に相俟って、電気刺激波による脊髄の運動中枢への刺激が与えられることとなり、トレーニング効果が向上する。
【0046】
また、
図9(a)では右脚でペダル19を前方に押し出している様子を示しており、このとき、トレーニング利用者の大腿部の裏側T1が下方シート部材17の後方側17aから前方に延出する前方側17b(延伸座部)と左右交互に当接するようになっている。尚、
図9(b)は、右脚でペダル19を前方に押し出し、大腿部の裏側T2が前方側17bに当接している様子を示している。そのため、ペダル漕ぎ動作において脚を伸ばす方向に動作された一方の脚の大腿部の背面側1が前方側17bと当接することで膝の下方への移動が規制されるため、腰の捻じれを抑制して、左右両脚の動作をバランスよく運動させることができる。また、一方の脚に一時的に休憩を与えることができ、トレーニング利用者の運動負担を軽減できる。
【0047】
また、
図7及び
図8に示されるように、利用者の着座時には、足漕ぎ装置2の下方シート部材17と上方シート部材18とが交わる位置と利用者の仙骨Bが位置する部分とが若干離間し、空間Sが形成される。これによれば、動作促進装置3のパッド部40a,40aは、仙骨Bの中央両側の直上皮膚部に貼着されることから、この空間S内に配置されるため、トレーニング中にパッド部40a,40aが衣服を介して下方シート部材17又は上方シート部材18に接触して剥がれてしまうことがないばかりか、パッド部40a,40aが体に押し付けられることによる違和感がなく、トレーニングに集中することができる。
【0048】
また、前述したように、足漕ぎ装置2はペダル19,19の駆動力を伝達可能な駆動車輪20を備え、走行することができるため、利用者はトレーニング時において疾走感を体感でき、飽きずに長時間利用することができる。
【0049】
また、動作促進装置3の制御本体部30から延びる配線39と電極装置40A,40Bとは、着脱自在な係合手段であるコネクタ41,41を用いて電気的に接続可能となっているため、利用者は足漕ぎ装置2に着座した状態で、予め仙骨Bの中央両側の直上皮膚部にそれぞれ貼着された電極装置40A,40Bと制御本体部30との接続を容易に行うことができる。
【0050】
図10に示されるように、足漕ぎ装置2の両ペダル19,19には、ペダル19に掛かる移動負荷の計測値、すなわち360度に亘る足裏の押圧負荷検出値と、負荷検出の時刻と、を同時に検出する検出装置45,45がそれぞれ取付けられている。検出部45aは例えばストレンゲージであり、前記足裏の押圧負荷検出値は検出部45aで計測され、この計測された時刻は同時に検出装置45,45内のクロックで計測されるようになっている。そして、検出部45aにて検出した足裏の押圧負荷検出値と検出装置45、45内のクロックで検出された負荷検出の時刻は出力端子45bを介して取り出すことができるようになっている。出力端子45bを介して取り出された計測値から、ペダル漕ぎ動作による左右の脚の運動能力を比較検証することで、左右両脚をバランスよく増強させる対応を行うことができる。
【0051】
検出装置45で検出された移動負荷の計測値(足裏の押圧負荷検出値と負荷検出の時刻)は、出力端子45bとケーブル等で接続されたコンピュータによりグラフ化される。
図11に示されるグラフではペダル19がクランク5を一回転させた際における移動負荷が中心点Oを中心として円形に分布されて表現されており、中心点Oからの距離と移動負荷の値とが比例するように表現されている。
【0052】
クランク5を一回転させた際の、一方側の脚(ここでは左のクランク)の移動負荷としては、ペダル19が上端付近に位置において、大きく前方へ押し出される力すなわち大きな移動負荷が求められ、ペダル19が下端に向かうに連れて徐々に必要な力すなわち移動負荷が減少する。更に、足漕ぎクランク5,5の回転はフリー位置がない状態で軸部材22を介して駆動車輪20に常時伝達されるようになっており、一方の脚によるペダル移動は他方のペダル移動と常時互いにリンクした動作となることから、一方側の脚(ここでは左のクランク)が上端付近に位置している際には、他方側の脚(ここでは右のクランク)は下端付近に位置しており、他方側の脚は一方側の脚のペダル漕ぎ動作による駆動力で上端方向に回動されることになるため、移動負荷が小さくなる。そのため、左右両脚がバランスよくペダル漕ぎ動作を行った場合には、
図11(a)のような滑らかな曲線の略涙型の形状となる。
【0053】
反対に左右両脚のペダル漕ぎ動作のバランスが悪い場合、例えば、他方の脚がペダル19を前方へ押し出す際に、一方の脚が他方の脚とバランスせず正常に動かなかった場合には、一方の脚が他方の脚の漕ぎ動作を阻害する反動力として作用し、グラフの形状が崩れる(
図11(b)参照)。そのため、このグラフを検証し、
図11(a)のような滑らかな曲線の略涙型の形状との近似度合いにより、利用者の足漕ぎ動作において、大腿部の歩行に必要な筋力をバランスよく働かせている理想的な足漕ぎ動作に近いか否かを判断することができる。
【0054】
尚、検出装置45,45とコンピュータとが無線通信等により接続され、検出装置45,45にて検出された移動負荷の測定値が瞬時にコンピュータに送信されるように構成してもよい。このような構成である場合には、予め設定された左右両脚がバランスよくペダル漕ぎ動作を行った場合の移動負荷の測定値のデータと、実際に検出された移動負荷の測定値のデータとの間の差分が予め定められた値を超える場合には、足裏の押圧負荷に基づいて電気刺激波の強度を調節し差分を縮小して、左右両脚がバランスよくペダル漕ぎ動作を行う移動負荷とすることができる。これによれば、左右両脚が同時にペダル運動を実施した場合の運動能力を把握しつつ、電気刺激波の強度を調整して、左右両脚の能力をバランスよく増強できる。また、予め設定された左右両脚がバランスよくペダル漕ぎ動作を行った場合の移動負荷の測定値のデータと、実際に検出された移動負荷の測定値のデータとの間の差分が予め定められた値を超える場合には、コンピュータが例えば音声や表示等で大腿部の歩行に必要な筋力をバランスよく働かせている理想的なの足漕ぎ動作から離れている旨を示す報知を行えるようにしても良い。これによれば、利用者は大腿部の歩行に必要な筋力を鍛える上で理想的な足漕ぎ動作ができていないことを即座に認識することができ、足漕ぎ動作の改善を迅速に行うことができる。
【0055】
また、左右の電気刺激波の出力を相対的に調整するには、トレーニング利用者の膝または足首に加速度センセー(図示せず)を巻き付け、駆動車輪20と従動車輪21の位置を検出するエンコーダ(図示せず)を設けるようにしても良い。これによれば、左右脚のペダル踏み込み時の加速度分布を求めることができるので、加速度センサー及びエンコーダにて検出された測定値が瞬時にコンピュータに送信されるように構成すると、予め設定された左右両脚がバランスよくペダル漕ぎ動作を行った場合のペダル踏み込み時の加速度分布のデータと、実際に検出されたペダル踏み込み時の加速度分布データとの間の差分が予め定められた値を超える場合には、電気刺激波の出力を調節し差分を縮小して、左右両脚がバランスよくペダル漕ぎ動作を行うことができる。
【実施例2】
【0056】
次に、実施例2に係るトレーニング装置につき、
図12を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0057】
図12に示されるように、動作促進装置103における制御本体部130は、電極装置40Aに出力する電気刺激の強弱の調整を行う調整ダイアル137Aと、中央制御装置34で決定された出力で電極装置40Aに出力する出力部135Aと、電極装置40Bに出力する電気刺激の強弱の調整を行う調整ダイアル137Bと、中央制御装置34で決定された出力で電極装置40Bに出力する出力部135Bとを備えている。そのため、調整ダイアル137A及び調整ダイアル137Bをそれぞれ操作することで、電極装置40A及び電極装置40Bに出力する電気刺激の強弱をそれぞれ調整する(調整工程)ことができるようになっている。
【0058】
尚、検出装置45,45と動作促進装置3の中央制御装置34とを無線により接続してもよく、これによれば、左右のペダル19,19に取付けられた検出装置45,45で検出された移動負荷の測定値と予め設定された左右両脚がバランスよくペダル漕ぎ動作を行った場合の移動負荷の測定値のデータとの間の差分が予め定められた値を超える場合には、一方又は双方の電極装置40A,40Bへ出力される電気刺激波の周波数を中央制御装置34により自動的に調整させることができる。
【実施例3】
【0059】
次に、実施例3に係るトレーニング装置につき、
図11を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0060】
図13に示されるように、トレーニング装置111の下方シート部材17の前方側17b(延伸座部)には、右脚の大腿部の下方と左脚の大腿部の下方とに位置する場所に、それぞれセンサー100A,100B(押圧式起動部)が内蔵されている。これらセンサー100A,100Bは、それぞれ動作促進装置3に接続されており、利用者が下方シート部材17の上に着座し、足漕ぎ動作を開始した際に左右両脚の大腿部の下方によりセンサー100A,100Bの両方が押圧されると、センサー100A,100Bは動作促進装置3の中央制御装置34に検出情報を送信し、中央制御装置34は受信した検出情報に基づき電気刺激波の出力を開始する処理を行うようになっている。これによれば、着座するだけで電気刺激波の出力が自動的に開始され、制御本体部30の操作の手間を省くことができる。
【0061】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0062】
例えば、前記実施例において、足漕ぎ装置2はペダル19,19の駆動力を伝達可能な駆動車輪20を備え、走行することができる構成となっているが、トレーニング上は必ずしも走行可能でなくてもよく、例えばクランク5,5の回転に抵抗を与えるブレーキやギア等の抵抗手段を設けることで伝動装置23や駆動車輪20を始めとする車輪を省略してもよい。また、抵抗手段を回生モーターとし、この回生モーターで発電した電力を検出部45,45や動作促進装置3等の電源としてもよい。
【0063】
前記実施例では、動作促進装置3を備えたトレーニング装置1において、足漕ぎ装置2の両ペダル19,19に検出装置45,45を設けたが、動作促進装置3を備えていないトレーニング装置1において、足漕ぎ装置2の両ペダル19,19に検出装置45,45を設けても良い。
【0064】
また、動作促進装置3の電源部33としては、充電可能なバッテリーを用いているがこれに限らず各種電池形状の電池でもよい。尚、駆動車輪20を備えない構成である場合には、電源部を内蔵せずに外部電力を用いてもよい。
【0065】
また、仙骨Bの中央線を隔てて対称に配置される一対のパッド部40a,40aは別体に限らず、1つの電極パッドに2つの電極が組み込まれて構成されていてもよい。
【0066】
また、前記実施例において電極装置31は、配線39と電極装置40A,40Bとがコネクタ41,41により着脱自在な係合されて構成されているが、これに限らず、例えば制御本体部の出力部に接続端子を備え、電極装置の電極装置の端部に設けた接続端子を出力部の接続端子に対して着脱自在に直接接続できるように構成することで、配線及びコネクタを省略してもよい。
【0067】
また、下方シート部材17は臀部領域Hを支持する後方側17a(着座部)と大腿部の裏側T1,T2が当接する前方側17b(延伸座部)とで構成されているが、これに限らず、例えば着座部と延伸座部とを別体のシート部材により構成してもよい。
【0068】
また、検出装置はペンダル部19,19に設けられる所謂ストレンゲージを用いた構成に限らず、例えば足漕ぎクランク5,5に設けられ、クランク5,5の回転時の移動負荷を検出するストレンゲージにより構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 トレーニング装置
2 足漕ぎ装置
3 動作促進装置
4 メインフレーム
5,5 足漕ぎクランク(クランク)
7 前輪
9 後輪
10 前部クロスバー
11 後部クロスバー
12,12 側部フレーム
17 下方シート部材
17a 後方側(着座部)
17b 前方側(延伸座部)
18 上方シート部材(背凭れ部)
19,19 ペダル
20 駆動車輪
22 軸部材
23 伝動装置
30 制御本体部
31 電極装置
33 電源部
34 中央制御装置
35 出力部
37 調整ダイアル
38 切替スイッチ
39 配線
40A,40B 電極装置
40a パッド部
40b 配線部
40c 電極
41,41 コネクタ
45,45 検出部
B 仙骨
H 臀部領域
S 空間