(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】ICタグの被着体への取り付け機構、ICタグ付き巻芯及び包装体
(51)【国際特許分類】
B65H 75/18 20060101AFI20230302BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20230302BHJP
B65H 75/10 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B65H75/18 Z
G06K19/077 220
G06K19/077 156
B65H75/10
(21)【出願番号】P 2018217965
(22)【出願日】2018-11-21
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000145987
【氏名又は名称】株式会社昭和丸筒
(74)【代理人】
【識別番号】100141092
【氏名又は名称】山本 英生
(72)【発明者】
【氏名】山口 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】杉本 大
【審査官】前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-167974(JP,A)
【文献】特開2009-249123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/00 - 75/32
G06K 19/00 - 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体と、ICチップと当該ICチップに接続されるアンテナとを
設けたフィルム状のインレット基材を用いて形成されたICタグと、を備えたICタグの被着体への取り付け機構であって、
前記被着体の表面には、前記ICチップを収容可能な凹部が形成されており、
前記ICタグは前記被着体の表面に沿って前記凹部の開口部を跨ぐように設けられ、当該ICタグの前記インレット基材の下面側が当該開口部の外周縁に続く被着体外表面上に接合され、
前記ICチップ
が前記開口部に対応するように取り付けられていることを特徴とするICタグの被着体への取り付け機構。
【請求項2】
前記被着体の凹部は、すり鉢状、もしくは略半球状等、中心部分が深く中心から離れるに連れて浅くなる形状であることを特徴とする請求項1に記載のICタグの被着体への取り付け機構。
【請求項3】
前記凹部の深さは前記ICの厚さの倍以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のICタグの被着体への取り付け機構。
【請求項4】
前記インレット基材は、合成樹脂材や紙材から成ることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のICタグの被着体への取り付け機構。
【請求項5】
前記ICタグは、接合層と、インレット基材の少なくとも一方の面に敷設された前記アンテナに前記ICチップが接続されたインレットと、保護層とを備え、当該保護層は、前記ICタグを保護する第1保護層、または前記ICチップが収容可能な貫通孔を有する第2保護層のうち少なくともどちらか1層からなることを特徴とする
請求項1乃至4の何れかに記載のICタグの被着体への取り付け機構。
【請求項6】
前記被着体が巻芯であり、請求項1から5の何れかに記載のICタグの被着体への取り付け機構により、ICタグが取り付けられているICタグ付き巻芯。
【請求項7】
前記ICタグは、巻芯の端部近傍の外周面に取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載のICタグ付き巻芯。
【請求項8】
請求項6または7に記載のICタグ付き巻芯の外周面にウェブが巻回されたことを特徴とする包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はICタグの被着体への取り付け機構、フィルム、シート、箔、紙、布、糸等のウェブが巻回されるICタグ付き巻芯及び包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ウェブの製品情報の管理のために、ウェブを保管、輸送するための巻芯にICタグが取り付けられている。これにより、製品情報や製造工程における工程ごとの情報が管理されている。しかしながら、ICタグは外部からの衝撃や押圧に弱く、非常に破損しやすい。特に巻芯へのウェブの巻き付け、ウェブの解舒の際の衝撃や輸送時の巻芯どうしの押圧力や衝撃などでの破損が問題となっている。
【0003】
この種の巻芯としては、マンドレルの表面に紙テープをスパイラル状に巻き付けることにより形成される紙製巻芯の製造工程において、マンドレルに巻き付けられる前の重なり合わされた複数の紙テープのうち、2枚の紙テープの間にICタグを挟み込み、紙製巻芯の層間にICタグを配置させるものが開発されている。この巻芯の製造方法では、一定の時間間隔でICタグを挟み込むことにより、一定間隔でICタグを配置さることができる(例えば、下記特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、紙製巻芯の製造工程において、接着剤が塗布され、マンドレルの表面に重なり合わされた複数の紙テープは、その後、マンドレル上でベルトにより締め付けられることにより、複数の紙テープが接着されて紙製巻芯が形成される。このため、ICタグがベルトを通過する際に、ベルトによる締め付け圧によりICタグが損傷するおそれがあった。また、一定時間間隔でICタグを挟み込んだとしても、生産速度の僅かな変動などにより紙製巻芯の所望する位置にICタグを配置させることが困難であった。さらに、巻芯の層間にICタグが配置されるため、ICタグの視認性に欠けるという問題もあった。
【0005】
また、ICタグを内筒体または外筒体などの別部材に取り付けて、巻芯の外周面や内周面に取り付けることにより、外表面に露出しないようにした巻芯が提案されている。この巻芯によれば、内筒体または外筒体によって、ICタグの損傷を防ぐことができる(例えば、下記特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、内筒体を段差なく巻芯の内周面に取り付けるには、巻芯の内周面を切削加工する必要がある。このため製造工程が複雑であり、別部材である筒体も要するため製造コストが高くなるという問題があった。特に巻芯は、安価であることが強く求められており、上述のように製造コストが高いという問題は決して無視できるものではなかった。さらに、紙製巻芯の場合は切削により発生する紙粉がウェブに悪影響を与えるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-149474号公報
【文献】特開2008-24504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、外部からICチップへ伝達される衝撃力や押圧力を軽減することにより、ICタグの破損を防止できるICタグの被着体への取り付け機構、ICタグ付き巻芯及び包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、本発明に係るICタグの被着体への取り付け機構は、被着体と、ICチップとICチップに接続されるアンテナとを有するICタグとを備えたICタグの被着体への取り付け機構であって、ICチップは、被着体の取り付け表面に対して浮いた状態で取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
これによれば、被着体の取り付け面に対して、ICチップが浮いた状態で取り付けられているため、外部からICチップへ伝達される衝撃力や押圧力を軽減することができ、ICタグの破損を防止できる。
【0011】
また、被着体の表面には、ICチップを収容可能な凹部が形成されているものであってもよい。
【0012】
これによれば、被着体に凹部を形成させて、その上にICタグを取り付けるため、ICチップが浮いた状態で配置される。これにより、外部からICチップへの衝撃力や押圧力を軽減することができ、ICタグの破損を防止できる。さらに、被着体の表面への加工は少なくともICチップが収容できる程度の凹部形成でよいため、容易であり、製造コストを軽減することが可能なICタグ付き被着体を提供することができる。
【0013】
また、ICタグは、接合層と、インレット基材の少なくとも一方の面に敷設されたアンテナにICチップが接続されたインレットと、保護層とを備え、保護層は、ICタグを保護する第1保護層、またはICチップが収容可能な貫通孔を有する第2保護層のうち少なくともどちらか1層からなるものであってもよい。
【0014】
これによれば、インレットに保護層を形成させることによりさらにICタグへの外部からの衝撃力、押圧力を軽減することができる。
【0015】
また、第2保護層は、インレット基材に対してICチップが配置された側に積層されているものであってもよい。
【0016】
これによれば、ICチップに起因する突起を第2保護層の貫通孔に収容できるため、ICチップへの外部からの押圧力を軽減することができる。
【0017】
また、被着体の凹部は、すり鉢状、もしくは略半球状に形成されているものであってもよい。
【0018】
これによれば、凹部が緩やかな形状であるため、凹部の空間で、ICタグが折れ曲がり破損することを防止できる。
【0019】
また、被着体が巻芯であり、上記のICタグの被着体への取り付け機構により、ICタグが取り付けられている。
【0020】
これによれば、簡易な構造でICタグの損傷を防止できるため、安価な巻芯を提供することができる。
【0021】
ICタグは、巻芯の端部近傍の外周面に取り付けられているものであってもよい。
【0022】
これによれば、ウェブを巻き付けた際もICタグの取り付け位置が簡単に視認可能であり、リーダによる管理がしやすいという特徴がある。
【0023】
また、本発明に係る包装体は、本発明に係るICタグ付き巻芯の外周面にウェブが巻回されている。
【0024】
これによれば、簡易な構造でICタグの損傷を防止できるため、ウェブの製品情報の管理を安価に行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、安価に、ICチップへ伝達される衝撃力や押圧力を軽減でき、破損を防止可能なICタグの被着体への取り付け機構、ICタグ付き巻芯及び包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1の実施形態のICタグ付き巻芯の斜視図である。
【
図2】第1の実施形態のICタグ付き巻芯の要部断面図である。
【
図3】第1の実施形態のICタグラベルの概略図である。
【
図5】第2、第3の実施形態のICタグラベルの概略図である。
【
図6】本実施例にかかるICタグラベルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。以下に示す各実施形態は、この発明によるICタグの被着体への取り付け機構を、被着体として巻芯に適用したものである。ここで、ICタグの上下方向は
図3、
図5及び
図6の上下方向とする。
【0028】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について
図1から
図4を参照しつつ説明する。本発明の第1の実施形態のICタグ付き巻芯1は、
図1に示すように、円筒状の巻芯2の外周面にICタグ3が取り付けられている。ICタグ3は、巻芯2の一方の端部の近傍付近の外周面に周方向に取り付けられている。
【0029】
巻芯2の材料は紙である。紙製巻芯2は、複数枚の紙テープに接着剤を塗布し、マンドレル上で螺旋状に巻き付け重ね合わせることにより製造される。例えば、外径96mm、内径76mm、全長480mmからなる。紙としては、紙管原紙、ライナー、上質紙等が挙げられる。巻芯2の特性により適宜、バリア層やクッション層などを設けることができる。
【0030】
図2に示すように、紙製巻芯2の外周面には凹部4が設けられている。凹部4は、中心部分の深さがより深く、中心から離れるにつれて浅くなる半球状の形状を形成している。ICタグ3はICチップ51が凹部4の位置上になるように、貼り付けられている。凹部4の深さはICチップ51の厚みを収容できる深さを有している。また、凹部4の開口部は平面視でICタグ3のICチップ51よりも大きく形成されている。凹部4は、巻芯2の外表面を球状体で押圧することにより形成させることができ、少なくともICチップのみが収容可能な程度の大きさであればよく、形状も限定されるものではない。
【0031】
巻芯2の材料は紙の他、プラスチック、金属などが使用できる。プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ABS、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエステル、FRP、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0032】
図3は、巻芯2に取り付けられるICタグラベルの概略図である。剥離層9と、インレット5と、保護層とを有している。剥離層9とインレット基材53は接合層8を介して形成されている。インレット基材53の上面にはアンテナ52が敷設されており、ICチップ51がアンテナ52と接続されている。ICチップ51とアンテナ52とインレット基材53とでインレット5を形成している。インレット5の上面には接合層8を介して、さらに保護層が形成されている。剥離層9を剥がすことにより、巻芯2に取り付けられる。
【0033】
インレット基材53は、プラスチックフィルムや紙類などが挙げられ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、樹脂含浸紙、コート紙、不織布等の各種の材料を使用できる。インレット基材53の厚みは100μmから600μmが好ましい。
【0034】
保護層は、ICチップ51を収容可能な貫通孔を有しない第1保護層6と、ICチップ51を収容可能な貫通孔を有している第2保護層7とが形成されている。第2保護層7の厚みはICチップ51の厚みと同等もしくはそれよりも大きく、平面視でICチップ51と同等もしくはそれよりも大きな貫通孔が形成されている。また、第2保護層7は緩衝性のある素材が好ましい。第2保護層7がインレット基材53に対してICチップ51が配置された側に積層されてため、ICチップ51に起因する突起を貫通孔に収容できる。このことによりICチップ51にかかる外部からの押圧力を軽減することができる。
【0035】
保護層は、プラスチックフィルムや紙類などが挙げられ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、樹脂含浸紙、コート紙、不織布等の各種の材料を使用できる。
【0036】
図4は、ICタグ付き巻芯1にフィルム10を巻き付けた包装体11の斜視図である。ICタグ3は、巻芯2の端部の近傍付近の外周面に周方向に取り付けられているため、フィルム10を巻いた際、フィルム10が巻かれていない領域に取り付けられている。このため、包装体としてのICタグ3の視認性が高い。特に、パッシブタグでは、通信距離が短いため、リーダからの電波の受信、リーダへの発信がしやすい。さらにウェブが導電性材料である場合、通信性能の低下を防ぐことができる。
【0037】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係るICタグ付き巻芯1の第2の実施形態について
図5を参照しつつ説明する。以下の説明では、第1の実施形態と異なる構成について説明することとし、同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0038】
図5は、巻芯2に取り付けるICタグラベルの概略図である。巻芯2は、第1の実施例と同じく紙製の巻芯2である。ICタグラベルは、剥離層9、第2保護層7、インレット5、第1保護層6とが接合層8を介して形成されている。剥離層9を剥がし、巻芯2に取り付けられる。ICタグ3が取り付けられる巻芯2の外表面には凹部4が形成されている。インレット基材53の下面にICチップ51とアンテナ52が設けられている。ICタグ3はインレット基材53に対してICチップ51を配置する側に第2保護層7が積層されている。これにより、ICチップ51の突起が貫通孔に収容可能なため、巻芯2への取り付け前や後に、外力によって破損することを防ぐことができる。
【0039】
<第3の実施形態>
次に、本発明に係るICタグ付き巻芯1の第2の実施形態について説明する。第1、第2の実施形態と異なる構成について説明することとし、同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0040】
巻芯2は、第1、第2の実施例と同じく紙製の巻芯2であり、ICタグ3の構成は第2実施形態と同じである。巻芯2の外周面には凹部4が設けられておらず、平坦である。ICタグ3は、インレット基材53の下面にICチップ51とアンテナ52が設けられている。ICタグ3はインレット5と巻芯2の間に第2保護層7が積層されている。第2保護層7の貫通孔により、ICタグ3が巻芯2の表面に対して、浮いた状態で取り付けることができる。
【0041】
上記実施形態において、保護層は、第1保護層6及び第2保護層7の両方を構成させたが、少なくともどちらか一方を1層構成させるだけでもよく、また、第1保護層6と第2保護層7を2層以上構成させてもよく、異なる素材を用いてもよい。
【0042】
被着体2として巻芯について説明したが、特に巻芯に限定されるものではない。例えば、包装資材、梱包資材、包装容器などにも適用できる。
【0043】
次に本発明の効果を明らかにするために実施例を説明する。
[実施例1]
巻芯として紙製巻芯(外径96.2mm、内径76.2mm)を所定の全長に切断し使用した。巻芯の外表面の端部から所定の位置に凹部を形成させ、ICタグのICチップが巻芯の凹部の上方になるように巻芯の周方向に貼付した。凹部の大きさは開口部の直径7mm、深さ0.48mmとした。
ICタグのラベルサイズは、幅10mm、全長70mmとした。ICタグラベルは、
図6に示す構成のものを使用した。剥離層、インレイ、第1保護層とが接合層を介して積層されており、剥離層を剥がして巻芯に取り付けられている。インレイ基材としてPETフィルム(160μm)を使用し、その基材の上面にアンテナを設け、ICチップと接続した。アンテナサイズは4mm×60mmとした。第1保護層はPETフィルム(110μm)を使用した。
[実施例2]
巻芯として紙製巻芯(外径96.2mm、内径76.2mm)を所定の全長に切断し使用した。巻芯の外表面の端部から所定の位置に凹部を形成させ、ICタグのICチップが巻芯の凹部の上方になるように巻芯の周方向に貼付した。凹部の大きさは開口部の直径7mm、深さ0.48mmとした。
ICタグのラベルサイズは、幅10mm、全長70mmとした。ICタグラベルは、
図4に示す構成のものを使用した。剥離層、インレイ、第1保護層、第2保護層とが接合層を介して積層されており、剥離層を剥がして巻芯に取り付けられている。インレイ基材としてPETフィルム(160μm)を使用し、その基材の上面にアンテナを設け、ICチップと接続した。アンテナサイズは4mm×60mmとした。第1保護層はPETフィルム(110μm)を使用した。第2保護層はエポキシ含有ポリエステル不織布(180μm)を用い、直径6mmの貫通孔が形成されている。
[実施例3]
巻芯として紙製巻芯(外径96.2mm、内径76.2mm)を所定の全長に切断し使用した。巻芯の外表面の端部から所定の位置に凹部を形成させ、ICタグのICチップが巻芯の凹部の上方になるように巻芯の周方向に貼付した。凹部の大きさは開口部の直径7mm、深さ0.48mmとした。
ICタグのラベルサイズは、幅10mm、全長70mmとした。ICタグラベルは、
図5に示す構成のものを使用した。剥離層、第2保護層、インレイ、第1保護層とが接合層を介して積層されており、剥離層を剥がして巻芯に取り付けられている。インレイ基材としてPETフィルム(160μm)を使用し、その基材の下面にアンテナを設け、ICチップと接続した。アンテナサイズは4mm×60mmとした。第1保護層はPETフィルム(110μm)を使用した。第2保護層はエポキシ含有ポリエステル不織布(180μm)を用い、直径6mmの貫通孔が形成されている。
[比較例1]
巻芯とICタグは実施例1と同じものを使用した。ただし、巻芯には凹部を形成させず、平坦のものを使用した。ICタグを巻芯の外周面の端部から所定の位置に周方向に貼付した。
【0044】
<落錘衝撃試験>
巻芯は、全長100mm、重量約220gのものを使用した。実施例1、2、3の巻芯に形成される凹部は端部から50mmの位置に設けた。実施例1、2、3及び比較例1の巻芯を0.3m、1m、1.5m、2m、3mの高さから落下させたことを想定した落錘衝撃試験を行った。それぞれの落下衝撃エネルギーを算出し、それに相当する錘を算出した高さから紙管外周面に取り付けたICタグに向かって落下させた。試験後、リーダ(東北システムズ・サポート製:DOTR-910J)を用いて、ICタグの損傷の有無を確認した。試験サンプル数は各N=3とした。その結果を表1に示す。
【0045】
表1に示すように、本願発明による実施例1、2、3は、3m相等からの落錘衝撃試験においてもICタグの損傷は認められなかった。一方、比較例1は、0.3m相等からの落錘衝撃試験では破損は認められなかったが、1.0m相等で損傷が認められた。
【0046】
【0047】
<落下衝撃試験>
巻芯は、全長480mm、重量約1045gのものを使用した。実施例1、2、3の巻芯に形成される凹部は端部から10mmの位置に設けた。実施例1、2、3及び比較例1を高さ0.3m、0.5m、1.0m、1.5mから落下させた。巻芯の軸方向を水平にして、落下箇所がICタグとなるように落下させた。リーダ(東北システムズ・サポート製:DOTR-910J)を用いて、ICタグの損傷の有無を確認した。試験サンプル数は各N=3とした。その結果を表2に示す。落下試験機は(安田精機製作所製:DT-100B)を使用した。
【0048】
表2に示すように、本願発明による実施例1、2、3は、落下高さ1.5mでもICタグの損傷は認められなかった。一方、比較例1は、落下高さ0.3mでは破損は認められなかったが、0.3mを超えると損傷が認められた。
【0049】
【0050】
よって、実施例1、2、3は、落錘衝撃試験、落下衝撃試験ともにICタグに損傷が認められなかったが、比較例1は、ICタグに損傷が認められた。実施例1、2、3では、ICチップへの直接的、間接的な押圧力や衝撃力を軽減することができるため、ICタグの損傷を防ぐことができた。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 ICタグ付き巻芯(ICタグ付き被着体)
2 巻芯(被着体)
3 ICタグ
4 凹部
5 インレット
51 ICチップ
52 アンテナ
53 インレット基材
6 第1保護層
7 第2保護層
8 接合層
9 剥離層
10 フィルム