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  • 特許-紐類の締結装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】紐類の締結装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 2/08 20060101AFI20230302BHJP
   A62B 35/00 20060101ALN20230302BHJP
【FI】
F16B2/08 Z
A62B35/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019050638
(22)【出願日】2019-03-19
(65)【公開番号】P2020153398
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】319003518
【氏名又は名称】北村 容一
(74)【代理人】
【識別番号】100083127
【弁理士】
【氏名又は名称】恒田 勇
(72)【発明者】
【氏名】石川 光生
(72)【発明者】
【氏名】北村 容一
(72)【発明者】
【氏名】星野 豊
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】実公昭29-017320(JP,Y1)
【文献】実公昭29-010019(JP,Y1)
【文献】実開昭56-003857(JP,U)
【文献】登録実用新案第3162897(JP,U)
【文献】特開2017-002485(JP,A)
【文献】特開2013-215363(JP,A)
【文献】実開平01-007824(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/08
A62B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼓形に括れた短筒形の外枠と、その外枠に一体化が維持される範囲でやや前後動可能に弛みを有する状態で嵌ることで一体化しており、後端部が大径となる同じく括れ形の中子とからなる組玉に、被結束部材に締結のため手回し得るように中子の前端に長く取り付けられる紐類付きであって、中子は、後端部が外枠の口から突出するとともに外枠の端面とでV溝となる鍔部を有し、また、外枠と中子との組合せの接合面に前後方向の紐通し孔を設けてあって、紐通し孔から引き出された紐類の紐先が前記V溝に巻き付けて保持され得るように構成したことを特徴とする紐類の締結装置。
【請求項2】
紐通し孔が、外枠の内周面に形成した凹溝からなることを特徴とする請求項1記載の紐類の締結装置。
【請求項3】
紐類先がV溝に巻き付けて保持されるように、鍔部に紐類先を食い込ませる切込みを設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の紐類の締結装置。
【請求項4】
紐類の基端に結び玉を設けることによる紐類の取付け手段であって、取付け対象の中子の中心部に紐類の前後通し可能に筒抜けの貫通孔を設けるとともに、該孔内部に抜けを2分する形態で分割壁を設けるとともに後端部では欠如して形成し、分割壁の後端の欠如縁に紐類が嵌り結び玉が掛かる切欠きを設けたことを特徴とする請求項1,2または3記載の紐類の締結装置。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、従来の難しい紐やロープの結び方に代わるものとして、縛る、束ねる等の作業が簡単かつ迅速にできるようにした紐類の締結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場や作業現場では、様々なものを紐やロープで縛る、束ねる、連結するなどの作業が欠かせないが、従来、その結び方は、被結束部材に紐類を回し掛け、紐の交差で輪を作って紐先を通す、というように複雑な紐の細工が作られるものであった。また、紐やロープ以外に他の道具が使用されるものではなく、紐やロープだけであっても絡む複雑な結びであった。
【0003】
なお、結びの用途について、例えば、枝を縛る、束ねる、藁を縛る、束ねる等であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の紐やロープの結び方によれば、引く力が加わると却って結合が強化される巧な結び方であるが、手順を習得する難しさのために新規作業員の活用に適しないだけでなく、習得しても作業に時間がかかり能率的ではないという問題があった。また、細かな作業となるので、手袋の着用のままではできないため、寒さの時節でも素手が強いられることが多かった。しかしこれでは酷であるので、手袋の着用でも結束作業ができる簡単なものが求められていた。
【0005】
この発明は、上記のような実状に鑑みて、特に習得される必要があるほどの難しい技術を要しなく、被結束部材に締結するのに簡単に使用できるにもかかわらず、難しい従来からの紐の結び方に劣らない結合強度を確保できる紐類の締結装置を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、この発明は、鼓形に括れた短筒形の外枠と、その外枠に一体化が維持される範囲でやや前後動可能に弛みを有する状態で嵌ることで一体化しており、後端部が大径となる同じく括れ形の中子とからなる組玉に、被結束部材に締結のため手回し得るように中子の前端に長く取り付けられる紐類付きであって、中子は、後端部が外枠の口から突出するとともに外枠の端面とでV溝となる鍔部を有し、また、外枠と中子との組合せの接合面に前後方向の紐通し孔を設けてあって、紐通し孔から引き出された紐類の紐先が前記V溝に巻き付けて保持され得るように構成したことを特徴とする紐類の締結装置を提供する。
【0007】
紐類の締結装置を上記のように構成したから、これを使用するには、組玉から出ている紐類を被結束部材に手回し(1回又は数回)、反転して戻した紐先を組玉の紐通し孔に通してV溝に引き出しながら、紐先を強く引っ張り出す(矢印a)。そうすると、紐類で被結束部材を締め付けると同時に中子を前方へ(矢印c)引き出し、これでV溝が閉まるので、同時に紐先を変えて引きながら(矢印b)、V溝に巻きつけて締め付ける。
【0008】
これで結束の仕事が一つ完成する。後で結束が不要となって解体する場合はV溝で紐先を巻き戻してから紐類を通し孔から引き出す。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、この発明の紐類の締結装置によれば、結束作業や解体作業等に簡便に使用でき、これには特に習得するほどの難しい技術を要しなく、使用が簡単であるばかりでなく、V溝に巻かれる締め付けにより弛むことがないので、難しい紐の結び方に劣らない結合強度を確保でき、不慣れな者でも結束作業ができることから人手不足の解消に適するという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明を支柱部材に締結する場合について示す斜視図である。
図2図1に類する使用において垂れ幕を横に連結する場合を示す紐類の締結装置を示す平面図である。
図3図2のA-A線矢視の拡大断面図である。
図4図3のB-B線矢視の断面図である。
図5】V溝に紐類が巻き付けられる状態を示す一部拡大断面図である。
図6】切込みを示す中子の正面図である。
図7】結び目による紐類の取付け手段を示す組玉の断面図である。
図8】同手段を結び玉の止め方において示す中子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明の紐類の締結装置は、切り枝や藁等を結束するのに多用でき、また、支柱部材に締結する場合に使用するほか(図1)、垂れ幕を横に連結する場合(図2)についても使用することができる。いずれも、この発明の紐類の締結装置Pは、枠体3に中子5を組み込んだ組玉1に被結束部材Mを締結する紐類2を取り付けたものである。図面では、被結束部材Mとして代表的にパイプ材からなる支柱を示す。そのほか、棒材、藁、切枝などの様々な束が対象となる。
【実施例1】
【0012】
図1ないし図6は一実施例を示したもので、そのうち図1および図2はそれぞれ特殊な使用例を示す。紐類の締結装置Pは、大きさは限定するものではないが、例えて言えば握り可能な大きさの組玉1に紐類2が取り付けられている。また、組玉は、それぞれプラスチックで成形された外枠3とそれに嵌る中子5とからなる。そのうちの中子5の前端に紐類2が結着される。
【0013】
外枠3は、取り扱いの基盤となるもので、短筒形ではあるが、括れ状に中間部が小径に形成される。内周面には、紐類2の通し溝が形成され、中子5との合体において紐通し孔7となる溝が複数において形成される。複数ではなく1条でもよい。いずれも溝は外枠3の両端面に入口13、出口14として開口する。図5に一点鎖線で示すように緩い螺進形状において紐の弛み止めとなるよう蛇行傾斜した紐通し孔7aとすることもある。
【0014】
これに対して、中子5は、端軸状ではあるが、これも括れ形であって、外枠3と少し前後する弛みで一体化している。なお、この弛みはV溝11の開閉幅に影響する。中子5の後端部は、急激な膨出形状により鍔部9として形成され、鍔部9の内側斜面と外枠3の端面との間がV溝11となっているからである。そして、通し孔7の出口14がこのV溝11内に開口しているので、ここから引き出した紐類2は、直ちに方向を変えて(a→b)V溝に巻きこませることができる。なお、紐類3の引きの力は、中子5を前進させる(c)力として作用し、これでV溝11が微小に締るために紐類2の巻き付け2aは圧縮され固定される。
【0015】
V溝11に紐類2の巻付け2aを保持するために、中子5の後端の鍔部9に紐類2を掛ける切込み15が案内突起17と合わせて設けられる。これで紐類2の弛みが確実に防止される。しかし解こうとすれば、それを容易に外すことができる。
【0016】
図2は、被結束部材Mが支柱の場合(図1)の使用を発展させたもので、支柱間に垂れ幕19,19を配置し連結するために、紐類2を利用するものである。つまり、垂れ幕19、19の端に連結ループ21,21を設け、紐類2を両方の連結ループ21,21に通し交差により輪23を作る。こうすれば、前記したように紐類2を支柱(M)に締め付けると交差による輪23が閉じるので、ループ21、21が一体に結合し、これで左右垂れ幕19,19が連結される。
【0017】
従来、ロープで支柱とループを縛っていたので、その作業が複雑であって、作業能率が得られなかったが、以上説明したように、本願の紐類の締結装置を有効に利用できた。
【実施例2】
【0018】
図7および図8は、紐類2に結び玉25を設けた場合における紐類の取付け手段に関する。図7は組玉1を示す断面図であって、前記実施例におけると同様に、外枠3に中子5が僅かに前後動を許容する範囲ではまっており、その動きでV溝11がわずかに開閉するようになっている。なお、紐類2が開閉動作にも関与している。
【0019】
紐類2は、中子5の中心部に取り付けられるよう、その中心部に貫通孔27が設けられるとともに、それが二つ分けするように分割壁29が形成される。この分けられたいずれかの分割通り27aに紐類2を通すことになる。しかし、後端では分割壁29が欠如し、分割壁29の端に紐類2が掛かる幅の切欠き31が設けられているので、紐類2の結び玉25を貫通孔27の片側に窮屈に嵌る抜けがたい状態に掛け止めることができる。こうして、紐類2が貫通孔27の前端口から引き出される安定した取付け状態が得られる。また、紐類2の取付けが容易で迅速になしうる。
【符号の説明】
【0020】
P 紐類の締結装置
M 被結束部材
1 組玉
2 紐類
3 外枠
5 中子
7、7a 紐通し孔
9 鍔部
11 V溝
13,14 開口
15 切込み
17 案内突片
19 垂れ幕
21 ループ
23 連結輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8