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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 33/08 20060101AFI20230302BHJP
【FI】
A01B33/08 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019117831
(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公開番号】P2021003021
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】小澤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】河原 文雄
(72)【発明者】
【氏名】河本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】末平 直土
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 準
(72)【発明者】
【氏名】平本 浩志
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-327218(JP,A)
【文献】実開昭56-027147(JP,U)
【文献】特開2002-291302(JP,A)
【文献】特開2015-039334(JP,A)
【文献】特開2014-195422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 27/00 - 79/02
A01C 11/00 - 14/00
A01D 13/00 - 47/00
B60Q 1/00 - 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体との連結部を含む中央作業体、及び該中央作業体に対して上下方向に回動可能に連結された側方作業体を含むとともに、前記中央作業体及び前記側方作業体が、前記走行機体から伝達された動力により回転する耕耘ロータを有する、作業機であって、
前記側方作業体が折り畳まれた収納状態における背面視において、保安部品が、前記側方作業体よりも高い位置に装着される、作業機。
【請求項2】
前記走行機体は、後方に灯火器を含み、
前記保安部品に含まれる灯火器は、前記走行機体の灯火器に連動して動作する、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記保安部品が、前記収納状態における背面視において、前記側方作業体よりも外側に配置される、請求項1又は2に記載の作業機。
【請求項4】
前記保安部品が、前記側方作業体に対して着脱可能に装着される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の作業機。
【請求項5】
前記保安部品に含まれる灯火器に対し、灯火面を覆う位置に配置可能な可動式の保護部材が設けられた、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の作業機。
【請求項6】
前記保護部材が、前記側方作業体の展開動作又は収納動作に連動する、請求項5に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は農作業に供する作業機に関する。特に、中央作業体に対して回動可能に連結された側方作業体を有する折り畳み式の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタ等の走行機体に農作業用の作業機を装着した状態で公道を走ることについての取り扱いが不明確であった。しかしながら、近年の規制緩和に伴い、一定の要件を満たした保安部品を設置すれば、トラクタに作業機を装着したまま公道を走ることが可能となった。例えば、トラクタに作業機を装着した場合、トラクタの後退灯や制動灯(ブレーキランプ)等が後方から視認できなくなる虞がある。この場合、トラクタの後退灯等(以下、「灯火器類」という)の代わりとなる保安部品を作業機に装着する必要が生じる。また、トラクタよりも全幅(横幅)の大きい作業機を装着する場合は、作業機の大きさ(端部の位置)が分かるように、表示板等を装着する必要が生じる。つまり、大きな作業機ほど一定の要件を満たした保安部品の設置が必要となる場合が多い。
【0003】
他方、農作業用の作業機として、代掻き作業機などに代表される折り畳み式の作業機が知られている。折り畳み式作業機は、作業時は、左右作業部を展開することにより広い範囲の圃場の耕耘処理が可能であり、非作業機時は、左右の作業部を折り畳むことにより移動及び格納に適した大きさとすることが可能である。このような折り畳み式作業機は、作業効率が高いため、大規模な圃場を有する農作業者の需要が高い。
【0004】
しかしながら、折り畳み式作業機は、左右作業部を折り畳むことにより上下方向に高くなり、トラクタの灯火器類を隠してしまう可能性が高い。また、折り畳んだ作業機は、上下方向に高くなることにより重心位置も高くなる。そのため、公道を走行するためにはバランスにも考慮する必要が生じる。さらに、折り畳み式作業機は、元々のサイズが大きいため、左右作業部を折り畳んだとしても、トラクタよりも横幅が大きくなりやすいという問題がある。
【0005】
折り畳み式作業機の横幅の大きさを他の農作業者や通行者に認識させるための技術としては、例えば、特許文献1及び特許文献2が知られている。これらの技術は、作業機の所定の位置に発光手段を設け、発光手段の点灯により作業機の横幅の大きさ等を他の農作業者等に認識させる技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-280217号公報
【文献】特開2014-195422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載された技術は、いずれも周囲が暗くなった場合に作業機の大きさが分かるようにすることを念頭に置いたものであり、公道を走行する際の規制を考慮したものではない。すなわち、前述したようなトラクタの灯火器類が作業機で隠れてしまった場合の対応等は何ら考慮されていなかった。
【0008】
本発明の課題の一つは、公道走行時における保安基準を考慮した作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態による作業機は、中央作業体、及び該中央作業体に対して回動可能に連結された側方作業体を含む作業機であって、前記側方作業体が折り畳まれた収納状態において、保安部品が、前記側方作業体における外側端部に装着される。
【0010】
前記保安部品は、前記収納状態における背面視において、前記側方作業体よりも高い位置に配置されてもよいし、前記側方作業体よりも外側に配置されてもよい。
【0011】
前記保安部品は、前記側方作業体に対して着脱可能に装着されてもよい。
【0012】
前記保安部品に対し、可動式の保護部材が設けられていてもよい。前記保護部材は、前記側方作業体の展開動作又は収納動作に連動してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の実施形態によれば、公道走行時における保安基準を考慮した作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態における作業機の構成を示す斜視図である。
図2】第1実施形態における作業機を走行機体に連結した状態の構成を示す図である。
図3】第2実施形態における作業機において、収納状態の構成を示す側面図である。
図4】第3実施形態における作業機において、保護部材の構成の一例を示す図である。
図5】第4実施形態における作業機において、汚れ除去部材の構成の一例を示す図である。
図6】第5実施形態における作業機において、収納状態の構成を示す側面図である。
図7】第6実施形態における作業機において、収納状態の構成を示す側面図である。
図8】第7実施形態における作業機において、収納状態の構成を示す背面図である。
図9】第8実施形態における作業機において、収納状態の構成を示す側面図である。
図10】第9実施形態における作業機において、収納状態の構成を示す背面図である。
図11】第10実施形態における外側表示板の構成を示す図である。
図12】第11実施形態における作業機において、収納状態の構成を示す側面図である。
図13】第12実施形態において、作業機の高さを確認するための角度計の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の作業機の実施形態について説明する。但し、本発明の作業機は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0016】
なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の記号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。例えば、本発明の作業機が中央作業体、左側作業体及び右側作業体の3つの作業体で構成される場合、それぞれの作業体が有する部分であることを示すために、数字の後に「C」、「L」及び「R」を付すことがある。また、左側作業体及び右側作業体を合わせた総称を「側方作業体」と呼ぶことがある。
【0017】
本願の明細書及び特許請求の範囲において、「上」は圃場から垂直に遠ざかる方向を示し、「下」は圃場に向かって垂直に近づく方向を示す。また、「前」は作業機を基準として走行機体が位置する方向を示し、「後」は前とは180°反対の方向を示す。また、「左」は作業機を基準として走行機体が位置する方向に向かったときの左を示し、「右」は左とは180°反対の方向を示す。
【0018】
また、本願の明細書及び特許請求の範囲において、平面視における農作業機の中心線を基準としたとき、相対的に、中心線に近い側を「内側」と呼び、中心から遠い側を「外側」と呼ぶ。したがって、例えば左右の作業体は、格納状態における外側端部が展開状態では内側端部(中央作業体に向かい合う端部)に位置することとなる。
【0019】
〈第1実施形態〉
[作業機10の構成]
以下、第1実施形態による作業機10の概略の構成について、図1及び図2を用いて詳細に説明する。図1は、第1実施形態における作業機10の構成を示す斜視図である。図2は、第1実施形態における作業機10を走行機体100に連結した状態の構成を示す図である。具体的には、図2(A)は、第1実施形態における作業機10が左側作業体10L及び右側作業体10Rを折り畳んだ状態で走行機体100に連結した構成を示す側面図である。また、図2(B)は、第1実施形態における作業機10が左側作業体10L及び右側作業体10Rを折り畳んだ状態で走行機体に連結した構成を示す背面図である。
【0020】
なお、図2は、図1に対して左側作業体10L及び右側作業体10Rの位置が変化しただけの図であるため、説明の便宜上、図1において既出の符号のいくつかは省略されている。また、図2に示した「200mm」の数値は、走行機体に作業機を装着した状態で公道を走行する際に、保安基準上、路上表面から作業機10の下端までの間に確保すべき最小距離である。
【0021】
図1に示されるように、本実施形態による作業機10は、中央作業体10C、左側作業体10L及び右側作業体10Rを備え、3つに分割された構造となっている。中央作業体10Cは、作業機10の中央部に配置され、作業機本体として機能する。左側作業体10L及び右側作業体10Rは、中央作業体10Cの左右両端部に上下方向に回動可能に取り付けられている。作業機10は、これら左側作業体10L及び右側作業体10Rを斜め上方に回動させることにより中央作業体10Cに重ねて折り畳むことができ、斜め下方に回動させることにより図1に示すように展開することができる。
【0022】
ここで、左側作業体10L及び右側作業体10Rを中央作業体10Cに重ねて折り畳んだ状態を収納状態と呼ぶ。収納状態とは、作業機10の幅が走行機体100の進行方向に対して直交する方向に縮小された状態である。また、左側作業体10L、右側作業体10R及び中央作業体10Cが横に並んだ状態を展開状態と呼ぶ。展開状態とは、作業機10が走行機体100の進行方向に対して直交する方向に延長された状態である。本実施形態において、作業機10を走行機体100に連結した状態で公道を走行する場合、作業機10は収納状態にしておく。当然のことながら、作業機10が農作業を行う場合、展開状態とする。したがって、展開状態は、作業状態と呼ぶこともできる。
【0023】
次に、中央作業体10Cについて説明する。中央作業体10Cは、トラクタ等の走行機体100との連結部として機能するトップマスト12及びロアーリンク連結部14、走行機体100から動力が伝達される入力軸16、左右方向に延び中央作業体10Cを支持する支持フレーム18、伝動フレーム(チェーンケース)20C、ギヤボックス22、中央シールドカバー24C、耕耘ロータ26C(図2(A)参照)、第1中央整地体28C、並びに第2中央整地体30Cを備えている。
【0024】
トップマスト12は、中央作業体10Cの前方中央部に設けられ、ロアーリンク連結部14は、中央作業体10Cの前方左右二箇所に設けられている。トップマスト12及び左右二箇所に設けられたロアーリンク連結部14は、走行機体100のトップリンク101a及び左右二箇所に設けられたロアーリンク101bにそれぞれ連結され、作業機10は走行機体100の後部に昇降可能に装着される。なお、図2(A)には、走行機体100のトップリンク101a及びロアーリンク101bに装着されたオートヒッチアーム110を介して作業機10と走行機体100とが連結される例を示している。
【0025】
入力軸16は、中央作業体10Cの前方中央部に設けられたギヤボックス22に設けられ、走行機体100から伝達された動力を作業機10に入力する。入力軸16は走行機体100のPTO軸(図示せず)に連結され、PTO軸からユニバーサルジョイント等(図示せず)を介して動力が伝達される。
【0026】
支持フレーム18は、中央作業体10Cの本体フレームを兼ねており、ギヤボックス22の左右両側に走行機体100の進行方向に対して左右方向に延設されている。ここで、ギヤボックス22と伝動フレーム20Cとの間に配置された支持フレーム18内には、伝動シャフト(図示せず)が内装されている。この伝動シャフトにより、ギヤボックス22から伝動フレーム20Cに対して耕耘ロータ26Cを回転させるための動力が伝達される。
【0027】
中央シールドカバー24Cは、支持フレーム18に沿って設けられ、耕耘ロータ26Cの上方を覆うように配置される。耕耘ロータ26Cで砕かれた土は、中央シールドカバー24Cの内壁に当たってさらに砕土されるとともに、落下して再び圃場に戻る。このように、中央シールドカバー24Cは、耕耘ロータ26Cによって巻き上げられた土の飛散防止機能と砕土機能とを兼ね備えている。
【0028】
中央作業体10Cが有する耕耘ロータ26Cは、中央シールドカバー24Cの下方に回転自在に軸支された回転軸(図示せず)に対して、フランジ又はホルダを用いて複数の耕耘爪を取り付けた構成を有する。入力軸16から入力された動力は、ギヤボックス22内で変速され、支持フレーム18内の伝動シャフト、伝動フレーム20C等を経由して伝達され、耕耘ロータ26Cの回転運動へと変換される。
【0029】
第1中央整地体28Cは、中央シールドカバー24Cに対し、回動可能に取り付けられた部材であり、エプロンとも呼ばれる。第2中央整地体30Cは、第1中央整地体28Cに対し、上下方向へ回動可能に取り付けられた部材であり、レベラとも呼ばれる。第1中央整地体28Cは、中央作業体10Cの耕耘ロータ26Cの回転によって飛散した泥や土を圃場に戻すカバーとしての役割と、第2中央整地体30Cを圃場に押し付けて整地作業を行う整地部材としての役割を担う。第2中央整地体30Cは、直接圃場に接することにより、圃場表面の整地を行う整地部材としての役割を担う。
【0030】
次に、左側作業体10Lについて説明する。左側作業体10Lは、左側シールドカバー24L、左側シールドカバー24Lの下方に配置された耕耘ロータ26L(図2(B)参照)、第1左側整地体28L、第2左側整地体30L、及び左側延長整地体36Lを備えている。左側シールドカバー24L、第1左側整地体28L、及び第2左側整地体30Lの担う役割については、それぞれ前述の中央作業体10Cにおける対応する各要素と同様であるため、ここでの説明は省略する。左側延長整地体36Lは、左側作業体10Lの端部から作業機10の左方向に延長して設けられ、左側作業体10Lの外側の領域の整地作業を担う。第2左側整地体30Lと左側延長整地体36Lとは回動可能に連結されており、左側延長整地体36Lが第2左側整地体30Lに向かって折り畳まれるように回動可能となっている。
【0031】
次に、右側作業体10Rについて説明する。右側作業体10Rは、右側シールドカバー24R、右側シールドカバー24Rの下方に配置された耕耘ロータ26R(図2(B)参照)、第1右側整地体28R、第2右側整地体30R、及び右側延長整地体36Rを備えている。ここで、右側シールドカバー24R、第1右側整地体28R、第2右側整地体30R、及び右側延長整地体36Rの担う役割については、それぞれ前述の左側作業体10Lにおける対応する各要素と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0032】
さらに、本実施形態による作業機10は、中央作業体10C、左側作業体10L、及び右側作業体10Rに、それぞれ中央土寄せ板40Ca及び40Cb、左側土寄せ板40L、並びに右側土寄せ板40Rを備えている。これらは、代掻き作業時に発生する水流(実際には、土を含む水の流れ)をコントロールするための板であり、これら土寄せ板を設けることにより、圃場表面の仕上がりを向上させることができる。
【0033】
例えば、中央土寄せ板40Ca及び40Cbは、作業機10の前方を走行する走行機体100のタイヤ等の轍に土を戻す位置に設けられ、轍によって生じた圃場の起伏の平坦化に寄与する。また、左側土寄せ板40L及び右側土寄せ板40Rは、土を内側に寄せるとともに、各土寄せ板の裏側にその周辺の水流を引き込む。その結果、左側作業体10L及び右側作業体10Rの端部よりも外側に藁などが浮遊していたとしても、水流によってそれぞれの耕耘ロータ内に引き込み、圃場表面の仕上がりの向上に寄与する。
【0034】
以上説明した左側作業体10L及び右側作業体10Rは、中央作業体10Cの両端部に設けられた作業体回動機構44a及び44bを介して回動用シリンダ46a及び46bの作用により回動し、前述の収納状態又は展開状態となる。その際、第1中央整地体28Cと第1左側整地体28L、及び、第1中央整地体28Cと第1右側整地体28Rとは、それぞれ第1連結部48a及び48bとによって連結される。また、第2中央整地体30Cと第2左側整地体30L、及び、第2中央整地体30Cと第2右側整地体30Rとは、それぞれ第2連結部50a及び50bとによって連結される。
【0035】
[保安部品の構成例]
本実施形態の作業機10は、図2に示されるように、左側作業体10L及び右側作業体10Rに保安部品を備えている。本明細書中において「保安部品」とは、トラクタ等の走行機体に作業機を連結した状態で公道を走行する際に、保安基準を満たすために明示すべき部品を指す。保安部品としては、灯火器、反射器、作業機の外端を明示する外側表示板、保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す標識等が含まれる。
【0036】
本実施形態では、保安部品として、灯火器52及び54を装着した例を示す。本実施形態の作業機10が備える灯火器52及び54は、走行機体100の灯火器類(灯火器及び反射器を含む。)102の代わりをなす保安部品である。走行機体100の後部に作業機10を連結して公道を走行する際、作業機10によって走行機体100の灯火器類102が後方の車両に対して隠れてしまう場合がある。そのような場合、灯火器52及び54は、走行機体100の灯火器類102の代わりに、後方の車両に車幅、ブレーキ作動の有無等を伝達する役割を果たす。
【0037】
図2(B)に示されるように、本実施形態の作業機10において、灯火器52は、収納状態における作業機10の左側作業体10Lの外側端部に装着されており、灯火器54は、収納状態における作業機10の右側作業体10Rの外側端部に装着されている。灯火器52の外側の辺は、左側作業体10Lの最も外側の位置から離れていてもよく、最も外側の位置から40cm以内の範囲にあればよい。この点については、灯火器54についても同様である。また、後方の車両に対する視認性を向上させるため、背面視において、側方作業体(左側作業体10L及び右側作業体10R)よりも高い位置に灯火器52及び54を配置することが好ましい。また、図2(B)では、灯火器52及び54が、それぞれ側方作業体から外側に対して突出しないように配置されているが、この例に限らず、背面視において、側方作業体よりも外側の位置に灯火器52及び54を配置してもよい。
【0038】
本実施形態において、灯火器52及び54として、方向指示器、制動灯及び後退灯の3種類のランプを含む例を示すが、この例に限られるものではない。例えば、灯火器52及び54としては、方向指示器、制動灯、尾灯、車幅灯、及び後退灯の少なくともいずれか1つを設けてあってもよい。
【0039】
なお、本実施形態の作業機10では、灯火器52及び54は、走行機体100の灯火器類102に連動して動作する。例えば、灯火器52及び54に含まれる制動灯(ブレーキランプ)は、走行機体100でブレーキが作動した際に点灯するように制御される。この場合、走行機体100の灯火器類102の点灯動作を制御する制御信号を灯火器52及び54の点灯動作を制御する制御信号として用いれば良い。このような制御信号を走行機体100から作業機10に伝送するためには、有線通信を用いてもよいし、無線通信を用いてもよい。例えば、走行機体100には、灯火器類102の制御信号を取り出すための端子が存在するため、そのような端子を利用することも可能である。
【0040】
また、本実施形態では、作業機10に対して灯火器52及び54の2つの灯火器を設けた例を示すが、この例に限らず、例えば、後退灯は1つのみであってもよい。灯火器を1つのみ配置する場合は、特に位置に制限はない。しかしながら、灯火器を2つ配置する場合は、作業機10の端部が認識できるように、左側作業体10L及び右側作業体10Rそれぞれの外側端部近傍に配置することが望ましい。
【0041】
上述した灯火器52及び54は、走行機体100の灯火器類102の代わりをなす保安部品であることから、作業機10を装着しても走行機体100の灯火器類102が後方から視認できる場合は装着する必要がない。そのような場合に備え、本実施形態の作業機10は、灯火器52及び54がそれぞれ左側作業体10L及び右側作業体10Rに対して着脱可能に装着されている。
【0042】
灯火器52及び54を着脱可能に装着する方法に特に制限はなく、例えば、磁石、吸盤、又は固定具(例えば、ボルト及びナット)のいずれかを用いて作業機10の構成要素の一部に固定する方法を採用してもよい。灯火器52及び54を装着可能な構成要素としては、例えば、左側作業体10L又は右側作業体10Rのシールドカバー、チェーンケース、サイドシールド(側板)等が好適である。また、他の構成要素としては、上述の中央土寄せ板40Ca及び40Cbを装着するブラケットや作業機10を搬送する際に使用するスタンドを装着するブラケットを利用してもよい。勿論、保安部品を装着するために、別途ブラケットを設けることも可能である。
【0043】
なお、本実施形態では、灯火器52及び54を着脱可能に装着する例を示したが、着脱不能に固定して装着してもよい。例えば、本実施形態のように、灯火器52を左側作業体10Lの外側端部に配置する場合、展開状態において、左側シールドカバー24Lの前方に、作業機10の進行方向に向かって突出するように灯火器52が固定されることとなる。この場合、灯火器52が特に耕耘作業の支障となることはない。このように、耕耘作業の支障とならない位置に装着する限りは、灯火器52を固定的に装着することも可能である。この点については、灯火器54についても同様である。
【0044】
また、前述のとおり、作業機10を装着しても走行機体100の灯火器類102が後方から視認できる場合は、作業機10に灯火器類(例えば灯火器52及び54)を装着する必要はない。この場合、走行機体100の灯火器類102と作業機10の灯火器類とが一緒に視認できてしまうと問題がある。このような場合、走行機体100の灯火器類102又は作業機10の灯火器類に、後方から視認できないようにするためのカバー部材が設けられてもよい。そのほか、走行機体100の灯火器類102が後方から視認できる場合は、作業機10の灯火器52等を点灯させないようにするなどの制御を行ってもよい。
【0045】
以上のとおり、本実施形態の作業機10は、中央作業体10C、及びその中央作業体10Cに対して回動可能に連結された側方作業体(左側作業体10L及び右側作業体10R)を含み、側方作業体が折り畳まれた収納状態において、保安部品(灯火器52及び54)が、側方作業体における外側端部に装着されている。したがって、走行機体100に作業機10を連結した状態で公道を走行する際、作業機10によって後方の車両に対して走行機体100の灯火器類102が隠れてしまったとしても、保安基準を満たすことができる。このように、本実施形態によれば、公道走行時における保安基準を考慮した作業機10を提供することができる。
【0046】
〈第2実施形態〉
本実施形態では、図2に示した灯火器52及び54を回動可能とした一例を示す。図3は、第2実施形態における作業機10aにおいて、収納状態の構成を示す側面図である。具体的には、図3(A)は、作業機10aの収納状態において、灯火器52を使用している状態を示している。図3(B)は、作業機10aの収納状態において、灯火器52を前方(作業機10aの進行方向)に倒した状態を示している。なお、本実施形態において、第1実施形態で説明した構成要素と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略することがある。また、説明の便宜上、図3(A)及び図3(B)では、土寄せ板等の一部の構成要素の図示を省略している。本実施形態では、灯火器52を例に挙げて説明するが、灯火器54についても同様である。
【0047】
第1実施形態で説明したように、作業機10aを展開状態とした場合、左側シールドカバー24Lの前方に、作業機10の進行方向に向かって突出するように灯火器52が固定される。この場合、作業の支障にはならないが、ランプの灯火面が下方を向き、圃場表面と向かい合う形となる。したがって、そのままでは作業中に土や泥がはねて灯火器52の灯火面が汚れてしまう可能性がある。本実施形態では、そのような場合に備え、図3(B)に示すように、灯火器52を回動させて左側シールドカバー24Lの上方に倒せる構成となっているため、耕耘作業中に左側シールドカバー24Lの上方に灯火器52を倒しておくことにより、灯火面が土や泥で汚れることを防ぐことができる。なお、灯火器52及び54は、電気的に駆動して回動させる構成としても良いし、手動で回動させる構成としてもよい。
【0048】
〈第3実施形態〉
本実施形態では、図2に示した灯火器52及び54に対して可動式の保護部材62を設けた一例を示す。図4は、第3実施形態における作業機10bにおいて、保護部材62の構成の一例を示す図である。具体的には、図4(A)は、作業機10bの収納状態において、灯火器52を使用している状態を示している。図4(B)は、作業機10bの展開状態において、灯火器52の灯火面を保護部材62で覆った状態を示している。図4(C)及び図4(D)は、それぞれ、可動式の保護部材62を備えた灯火器52の具体的な構成を示す側面図及び正面図である。なお、本実施形態において、第1実施形態で説明した構成要素と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略することがある。また、説明の便宜上、図4(A)及び図4(B)では、土寄せ板等の一部の構成要素の図示を省略している。本実施形態では、灯火器52を例に挙げて説明するが、灯火器54についても同様である。
【0049】
図4(A)に示されるように、作業機10bの収納状態において、灯火器52を使用している間は、灯火器52の灯火面を覆わない位置に保護部材62を回動させておく。そして、図4(B)に示されるように、作業機10bの展開状態(作業状態)において、灯火器52を使用しない間は、保護部材62を回動させて、灯火器52の灯火面を覆う位置に配置する。これにより、耕耘作業中に圃場表面から土や泥が跳ねたとしても、灯火器52の灯火面を保護部材62によって土や泥から保護することができる。
【0050】
図4(C)及び図4(D)に示されるように、保護部材62は、灯火器52に対して回動支点62aを中心として回動可能に取り付けられている。本実施形態では、回動支点62aに対して電動モータ62bが連結され、電動モータ62bの動力により保護部材62の回動が制御される構成となっている。ただし、この例に限らず、手動で保護部材62を回動させる構成としてもよい。
【0051】
また、保護部材62は、電動モータ62bによって単独で駆動することも可能であるが、他の構成要素の動作に連動させて開閉動作を行うようにしてもよい。例えば、左側作業体10Lや右側作業体10Rの開閉動作、又は、左側延長整地体36Lや右側延長整地体36Rの開閉動作に連動して、灯火器52の灯火面を遮蔽するように動作してもよい。この場合、保護部材62の開閉動作の駆動力は、他の構成要素の動作に連動して動作するモータであってもよいし、リンク機構であってもよい。
【0052】
本実施形態では、保護部材62を回動させることにより灯火器52及び54の灯火面を覆うことができ、耕耘作業中に灯火面が土や泥で汚れることを防ぐことができる。
【0053】
〈第4実施形態〉
本実施形態では、図2に示した灯火器52及び54に対して汚れ除去部材64を設けた一例を示す。図5は、第4実施形態における作業機10cにおいて、汚れ除去部材64の構成の一例を示す図である。具体的には、図5(A)は、作業機10cの収納状態における側面図である。図5(B)は、作業機10cに設けられた汚れ除去部材64の構成を示す正面図であり、図5(C)は、汚れ除去部材64の構成を示す側面図である。図5(D)は、作業機10cに設けられた汚れ除去部材65の構成を示す正面図である。なお、本実施形態において、第1実施形態で説明した構成要素と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略することがある。また、説明の便宜上、図5(A)では、土寄せ板等の一部の構成要素の図示を省略している。本実施形態では、灯火器52を例に挙げて説明するが、灯火器54についても同様である。
【0054】
図5(A)~図5(C)に示されるように、本実施形態の灯火器52には、汚れ除去部材64が設けられている。本実施形態の汚れ除去部材64は、ワイパー64a及び64b、支持部材64c、回転支点64d並びに電動モータ64eを備えている。ワイパー64a及び64bは、回転支点64dに固定され、電動モータ64eの動力により回転支点64dが回転すると、図5(B)の矢印のように左右方向に振れる。この動作により、汚れ除去部材64は、灯火器52の灯火面に付着した土や泥を拭き取ることができる。
【0055】
また、図5(D)に示されるように、汚れ除去部材65は、汚れ除去部材64のように物理的に土や泥を落とす構成とは異なり、ノズルから水やウォッシャー液を灯火面に噴射して土や泥を落とす構成となっている。
【0056】
〈第5実施形態〉
本実施形態では、図2とは異なる態様で灯火器52及び54を取り付けた作業機の一例を示す。図6は、第5実施形態における作業機10dにおいて、収納状態の構成を示す側面図である。なお、本実施形態において、第1実施形態で説明した構成要素と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略することがある。また、説明の便宜上、図6では、土寄せ板等の一部の構成要素の図示を省略している。本実施形態では、灯火器52を例に挙げて説明するが、灯火器54についても同様である。
【0057】
図6に示す作業機10dでは、灯火器52が支持部材66に固定されており、支持部材66は、中央土寄せ板40Caを取り付けるブラケット67に装着されている。つまり、作業機10dは、図1に示した中央土寄せ板40Caを取り付けるためのブラケットを灯火器52の支持するための部材として利用する構成となっている。これにより、灯火器52を固定するためのブラケットを別途設けることなく、既存の作業機に対して保安部品としての灯火器52を装着することができる。
【0058】
なお、図6では、中央土寄せ板40Caを取り付けるためのブラケットを利用する例を示したが、この例に限られない。例えば、作業機10dを走行機体100から取り外したり搬送したりする際にはスタンドを利用するが、このようなスタンドを取り付けるためのブラケットを、灯火器52を装着するためのブラケットとして利用することも可能である。中央土寄せ板40Caを取り付けるためのブラケットがスタンドブラケットを兼ねている場合は、さらに灯火器52を取り付けるためのブラケットも兼用できるため、既存の作業機の構成要素を有効活用することができる。
【0059】
〈第6実施形態〉
本実施形態では、図2とは異なる態様で灯火器52及び54を取り付けた作業機の一例を示す。図7は、第6実施形態における作業機10eにおいて、収納状態の構成を示す図である。具体的には、図7(A)は、作業機10eの収納状態における側面図であり、図7(B)は、図7(A)の灯火器52を上方から見た図である。なお、本実施形態において、第1実施形態で説明した構成要素と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略することがある。また、説明の便宜上、図7(A)では、土寄せ板等の一部の構成要素の図示を省略している。本実施形態では、灯火器52を例に挙げて説明するが、灯火器54についても同様である。
【0060】
図7(A)に示すように、作業機10eが収納状態にあるときは、シールドカバー24の上面に設けた長孔68aに沿わせて最も高い位置で支持ピン69を固定することにより、灯火器52を保安部品として使用することができる。支持ピン69の固定は、例えば図7(B)に示されるノブナット70を用いて行うことができる。
【0061】
また、図示は省略するが、作業機10eが展開状態にあるときは、長孔68aに沿って支持ピン69を移動させることにより、左側シールドカバー24の上方における任意の位置に灯火器52を固定することができる。これにより、作業機10eを展開して耕耘作業を行う際、灯火器52を左側シールドカバー24の上方の位置(例えば、図7(A)の「A」の位置)に固定することができるため、土や泥によって灯火器52の灯火面が汚れることを防ぐことができる。
【0062】
〈第7実施形態〉
本実施形態では、灯火器52及び54に加えて、さらに保安部品として反射器55を装着した作業機の一例を示す。図8は、第7実施形態における作業機10fにおいて、収納状態の構成を示す背面図である。具体的には、図8(A)は、作業機10fの収納状態における全体の構成を示す背面図であり、図8(B)は、図8(A)の反射器55の近傍を拡大した図である。なお、本実施形態において、第1実施形態で説明した構成要素と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略することがある。
【0063】
本実施形態の作業機10fは、図1に示した第2連結部50a及び50bのU字形状の部材72の内側に、反射器55が装着されている。反射器55としては、反射性物質を有しており、外光を反射する機能を備えた部材であれば、如何なる部材を用いても良い。本実施形態における反射器55は、背面側(後方側)から見た場合には赤色に反射し、前方側から見た場合には白色に反射する構成となっている。
【0064】
本実施形態の構成とした場合、作業機10fが収納状態にあるとき、第2左側整地体30Lは、略鉛直方向と平行になるため、U字形状の部材72の内側は、ちょうど後方に対面する形となる。したがって、U字形状の部材72の内側に反射器55を装着しておくことにより、後方の車両に作業機10fの外側端部を認識させることが可能となる。なお、作業機10fが展開状態にあるときは、U字形状の部材72が第2中央整地体30Cの一部に嵌め込まれた構成となるため、反射器55が装着されたままであっても特に動作上の支障にならない。
【0065】
〈第8実施形態〉
本実施形態では、第1実施形態の灯火器52及び54に代えて、他の構成の保安部品を装着した作業機の一例を示す。図9は、第8実施形態における作業機10g及び10hにおいて、収納状態の構成を示す側面図である。具体的には、図9(A)は、作業機10gの収納状態における全体の構成を示す側面図であり、図9(B)は、作業機10hの収納状態における全体の構成を示す側面図である。なお、本実施形態において、第1実施形態で説明した構成要素と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略することがある。
【0066】
図9(A)に示す作業機10gは、保安部品として、拡散板74a及び光ファイバ74bを含む投光器74を備えている。具体的には、本実施形態の投光器74は、拡散板74a及び光ファイバ74bのほか、凸レンズ74c及び凹レンズ74dを含んでいる。
【0067】
本実施形態の作業機10gでは、走行機体100の灯火器類102が発した光を、投光器74を介して後方に伝達する。具体的には、灯火器類102が発した光を凸レンズ74cで集めて光ファイバ74bの一端に伝達する。光ファイバ74bの一端に伝達された光は、他端の先に配置された凹レンズ74dで平行光となり、拡散板74aで後方に向けて拡散される。これにより、走行機体100の灯火器類102が作業機10gによって後方から視認できなくても、灯火器類102から発した光を、投光器74を介して後方に視認させることができる。
【0068】
図9(B)に示す作業機10hは、保安部品として、少なくとも2枚の反射鏡76a及び76bを含む投光器76を備えている。本実施形態の作業機10hでは、走行機体100の灯火器類102が発した光を、投光器76を介して後方に伝達する。具体的には、灯火器類102が発した光を反射鏡76a及び76bを介して後方に向けて伝達する。これにより、走行機体100の灯火器類102が作業機10hによって後方から視認できなくても、灯火器類102から発した光を、投光器76を介して後方に視認させることができる。
【0069】
〈第9実施形態〉
本実施形態では、作業機の全幅(左右方向の幅)が所定の幅を超えて大きい場合に必要となる保安部品について説明する。図10は、第9実施形態における作業機10iにおいて、収納状態の構成を示す背面図である。なお、本実施形態において、第1実施形態で説明した構成要素と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略することがある。
【0070】
現行の保安基準では、作業機の全幅が2.5mを超える場合に、一定の条件を満たすよう保安部品で作業機の全幅と運行速度とを明示することが定められている。本実施形態では、作業機10iの収納状態における全幅が2.5mを超えている場合を想定している。
【0071】
本実施形態の作業機10iは、図2に示した灯火器52及び54に加えて、作業機の外端を明示する外側表示板80及び81、作業機の外端を明示する灯火器82及び83、並びに、作業機の外端を明示する反射器84及び85を有する。さらに、作業機10iは、保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す標識86として、作業機の全幅、運行速度等を明示した表示板を設けている。
【0072】
外側表示板80及び81は、赤色と白色のストライプ模様の表示板であり、左側作業体10Lの外側端部及び右側作業体10Rの外側端部に設けられている。灯火器82及び83は、作業機10iの端部を明示するように、左側作業体10Lの外側端部及び右側作業体10Rの外側端部よりも外側に突出して設けられている。さらに、反射器84及び85は、それぞれ外側表示板80及び81の外側端部近傍に設けられている。ただし、反射器84及び85は、外側表示板80及び81ではなく、左側作業体10L及び右側作業体10Rの他の部位に設けても良い。なお、灯火器82及び83と反射器84及び85は、いずれも背面側(後方)から見た場合は赤色に視認され、前方から見た場合は白色に視認されるようになっている。
【0073】
標識86は、作業機の全幅や運行速度など、作業機の機種や走行機体と作業機の組み合わせによって内容が変わる場合がある。そのため、作業機の機種等に応じて任意の内容に、容易に変更可能な構成とすることが望ましい。例えば、数字の部分を、はめ込みタイプのパネルやマグネットを備えたパネルにすることにより、パネルを付け替えるだけで容易に内容を変更することが可能となる。また、標識86を液晶パネル等の表示装置に表示することにより、表示内容を変更できるようにしてもよい。
【0074】
本実施形態のように、作業機10iの全幅が所定の幅を超えていた場合であっても、一定の条件を満たす保安部品を作業機10iに装着することにより、走行機体100に連結した状態で公道を走行することができる。
【0075】
〈第10実施形態〉
本実施形態では、第9実施形態の作業機の外端を明示する外側表示板80及び81を折り畳み可能とした一例を示す。図11は、第10実施形態における外側表示板80a及び80bの構成を示す図である。なお、本実施形態では、外側表示板80を例に挙げて説明するが、外側表示板81についても同様である。
【0076】
図11(A)に示す例では、外側表示板80aが、各辺に対して斜めに設けられた線分a、線分b及び線分cに沿って折り畳まれる様子を示している。図11(B)に示す例では、外側表示板80bが、各辺に対して垂直または平行に設けられた線分a、線分b及び線分cに沿って折り畳まれる様子を示している。
【0077】
以上のように、外側表示板80及び81を折り畳み可能とすることにより、耕耘作業中など明示する必要がない場合にコンパクトな収納が可能となる。
【0078】
〈第11実施形態〉
本実施形態では、第9実施形態において図10に示した標識86を、第9実施形態とは異なる態様で明示した作業機10j、10k及び10mの一例を示す。図12は、第11実施形態における作業機10j、10k及び10mにおいて、収納状態の構成を示す側面図である。具体的には、図12(A)、図12(B)及び図12(C)は、それぞれ作業機10j、10k及び10mの収納状態における全体の構成を示す側面図である。なお、本実施形態において、第1実施形態で説明した構成要素と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略することがある。
【0079】
図12(A)に示す作業機10jは、走行機体100の後方(例えば、走行機体100の後方窓)に電光掲示板87が設けられている。作業機10jは、作業機10jが保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す情報を電光掲示板87に表示することができる。
【0080】
図12(B)に示す作業機10kは、走行機体100の後方にスクリーン88が設けられ、作業機10kに投射機(プロジェクタ)89が設けられている。作業機10kは、作業機10kが保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す情報を、投射機89を用いてスクリーン88に表示することができる。
【0081】
図12(C)に示す作業機10mは、走行機体100の後方に反転フラップ式表示機90が設けられている。作業機10mは、作業機10mが保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す情報を、反転フラップ式表示機90を用いて表示することができる。
【0082】
以上のように、本実施形態の作業機10j、10k及び10mは、走行機体100の後方窓に保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す標識等を表示することにより、全幅が2.5mを超えていても、走行機体100に連結された状態で公道を走行することができる。
【0083】
〈第12実施形態〉
第1実施形態において図2に示したように、走行機体100に対して作業機10を連結した状態で公道を走行する場合、保安基準上、路上表面から作業機10の下端までの間には200mm以上の距離を確保するよう定められている。この場合、走行機体100に対して作業機10を連結した後、作業機10を200mm以上の高さまでリフトする(持ち上げる)ためには、走行機体100の側でリフトレバー等を操作することが必要となる。しかしながら、作業者にとって、走行機体100の運転席に座ったまま作業機10が200mm以上の高さまでリフトされたか否かを判断することは困難である。
【0084】
上述のような場合、例えば、あらかじめ目盛り又は目印が付いた棒状部材を用意しておき、走行機体100の後方窓を開けて、棒状部材を路上表面に立てることにより、作業機10の路上表面からの高さを知ることができる。具体的には、作業機10の下端が路上表面から200mmの位置にある場合に、棒状部材を路上表面に立て、トップマスト12の上端と同じ高さの位置に目印を付しておく。これにより、走行機体100の後部窓から棒状部材を路上表面に立て、目印の位置とトップマスト12の上端の位置とが一致するまで作業機10をリフトすれば、作業機10を路上表面から200mmの高さまでリフトすることができる。
【0085】
また、他の方法として、例えば高さ200mmの矩形状の部材を用意しておき、作業機10を十分な高さまでリフトした後、作業機10の下方に矩形状の部材を配置する。その後、作業機10の下端が矩形状の部材に当たるまで作業機10を下げることにより、作業機10を路上表面から200mmの高さにリフトした状態を維持することができる。
【0086】
さらに他の方法として、角度計を用いた方法がある。図13は、第12実施形態において、作業機10の高さを確認するための角度計92及び93の構成を示す図である。
【0087】
図13(A)に示す角度計92は、筐体92aに、目盛りゲージ92b、マーカ92c及び指針92dが設けられている。マーカ92cは、目盛りゲージ92bの任意の位置に移動させることができ、マーカ92cに指針92dの指し示す方向を合わせることにより、角度計92が所定の角度で傾いていることを認識することができる。具体的には、指針92dは、先端92eに錘が内蔵されており、重力方向を常に指し示す。したがって、マーカ92cを、例えば角度20度の位置に移動させておき、指針92dの指し示す方向がマーカ92cの位置に一致した場合、角度計92が20度の角度で傾いていることが分かる。
【0088】
同様に、図13(B)に示す角度計93は、筐体93aに、目盛りゲージ93b、マーカ93c及び指針93dが設けられている。また、指針93dの先端93eとは逆の端部93fには、錘が内蔵されている。この場合も、マーカ93cの位置に指針93dの指し示す方向を合わせることにより角度計93が所定の角度で傾いていることを認識することができる。
【0089】
図13(C)は、図13(A)に示した角度計92を装着した作業機10nの一例である。図13(C)に示されるように、作業機10nは、構成要素の一部(ここでは、トップマスト12)に角度計92が装着されている。図13(C)に示す例では、事前に作業機10nの下端が路上表面から200mmの高さとなるまでリフトした状態で、角度計92のマーカ92cと指針92dとが一致するように合わせておく。これにより、作業者が走行機体のキャビン内から角度計92を見ながらマーカ92cと指針92dとを合わせることにより、作業機10nを路上表面から200mmの高さとなるまでリフトすることができる。
【0090】
〈第13実施形態〉
本実施形態では、保安部品の制御信号として、一般社団法人日本農業機械工業会が定める通信制御の共通化規格である「AG-PORT」を用いる例を示す。例えば、第1実施形態において「AG-PORT」を用いることにより、走行機体100と作業機10との間で双方向通信により制御信号をやり取りすることが可能となる。これにより、作業機10又は走行機体100で検知した信号に基づいて、保安部品の制御を行うことが可能となる。
【0091】
例えば、「AG-PORT」を用いて、走行機体100又は作業機10が公道を走行する準備段階にあることを検知し、そのような検知信号に基づいて、保安部品の移動制御、点灯制御等を行うことが可能である。走行機体100が公道を走行する準備段階にあることを検知する信号としては、変速レバーが「High」に入ったことを検知する信号、全地球衛星航法システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)により走行機体100が公道に入ったこと(又は、入ること)を検知する信号等が挙げられる。また、作業機10が公道を走行する準備段階にあることを検知する信号としては、PTO軸の稼働状況を検知する信号や左右のブレーキペダルが連結されたことを検知する信号等が挙げられる。
【0092】
以上のように、「AG-PORT」を用いて走行機体100又は作業機10の現在の状況を検知し、保安部品の動作の制御に利用することにより、例えば走行機体100及び作業機10が、自動走行により公道を走るような場合においても保安基準を満たすように保安部品を明示することが可能となる。
【0093】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0094】
また、上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0095】
10、10a~10k、10m、10n…作業機、10C…中央作業体、10L…左側作業体、10R…右側作業体、12…トップマスト、14…ロアーリンク連結部、16…入力軸、18…支持フレーム、20C…伝動フレーム、22…ギヤボックス、24C…中央シールドカバー、24L…左側シールドカバー、24R…右側シールドカバー、26C、26L、26R…耕耘ロータ、28C…第1中央整地体、28L…第1左側整地体、28R…第1右側整地体、30C…第2中央整地体、30L…第2左側整地体、30R…第2右側整地体、36L…左側延長整地体、36R…右側延長整地体、40Ca、40Cb…中央土寄せ板、40L…左側土寄せ板、40R…右側土寄せ板、44a…作業体回動機構、46a…回動用シリンダ、48a…第1連結部、50a…第2連結部、52、54…灯火器、55…反射器、62…保護部材、62a…回動支点、62b…電動モータ、64…汚れ除去部材64a…ワイパー、64c…支持部材、64d…回転支点、64e…電動モータ、65…汚れ除去部材、66…支持部材、67…ブラケット、68a…長孔、69…支持ピン、70…ノブナット、72…U字形状の部材、74…投光器、74a…拡散板、74b…光ファイバ、74c…凸レンズ、74d…凹レンズ、76…投光器、76a…反射鏡、80、80a、80b、81…外側表示板、82…灯火器、84…反射器、86…保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す標識、87…電光掲示板、88…スクリーン、89…投射機、90…反転フラップ式表示機、92、93…角度計、92a、93a…筐体、92b、93b…目盛りゲージ、92c、93c…マーカ、92d、93d…指針、92e、93e…先端、93f…端部、100…走行機体、101a…トップリンク、101b…ロアーリンク、102…灯火器類、110…オートヒッチアーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13