(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】摩耗検出付きエネルギー案内チェーン
(51)【国際特許分類】
F16G 13/16 20060101AFI20230302BHJP
H02G 11/00 20060101ALI20230302BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20230302BHJP
G01B 7/00 20060101ALI20230302BHJP
F16L 3/015 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
F16G13/16
H02G11/00 060
H02G3/04 075
G01B7/00 W
F16L3/015
(21)【出願番号】P 2021506044
(86)(22)【出願日】2019-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2019051216
(87)【国際公開番号】W WO2019201482
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-01-04
(31)【優先権主張番号】202018102239.3
(32)【優先日】2018-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ヘーブリング リチャード
(72)【発明者】
【氏名】クリスタ セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】シュメル コンスタンチン
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/129805(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 13/16
H02G 11/00
H02G 3/04
G01B 7/00
F16L 3/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の接続端(F)とそれに対して移動可能な第2の接続端(M)との間でのケーブル
またはホース
である配線の保護された案内のために構成された多数のチェーンリンクと、少なくとも1つのチェーンリンクにおける摩耗を検出するための少なくとも1つの検出ユニット(10、20、30、40、50、120)とを備える摩耗検出付きのエネルギー案内チェーン(1)であって、各チェーンリンクは少なくとも1つのリンクプレート(5)を有し、隣接するチェーンリンクのリンクプレート(5)は
、関節状ジョイントによって長手方向(L)
に各々相互に接続された、エネルギー案内チェーン(1)であって、
前記少なくとも1つの検出ユニット(10、20、30、40、50、120)は、第1のチェーンリンクに所定の配向で取り付けられた第1の電気構成要素(11、41、51、121)と、前記第1のチェーンリンクに関節状に接続された隣接する第2のチェーンリンクに所定の配向で取り付けられた第2の電気構成要素(12、42、52、122)と、を備え、
前記構成要素は、非接触結合によ
り相互作用して、前記第1のチェーンリンクと前記第2のチェーンリンクとの間の前記関節状ジョイントにおける摩耗に起因する径方向及び/又は軸方向の遊びの発生の際に前記結合の変化を検知することを特徴とするエネルギー案内チェーン(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの検出ユニット(120)は、構成要素として、磁石(122)と、該磁石(122)と相互作用するホール素子(121)と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー案内チェーン(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの検出ユニット(10、20、30、50)は、第1の構成要素としての第1のコイル(11、51)と、第2の構成要素としての第2のコイル(12、52)と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー案内チェーン(1)。
【請求項4】
前記第1のコイル(11、51)及び前記第2のコイル(12、52)は、前記関節状ジョイントの基準旋回軸(A)と同軸に互いに対向して配置される、又は、
前記第1のコイル(11、51)及び前記第2のコイル(12、52)は、前記関節状ジョイントの基準旋回軸(A)に垂直に配向された円筒形コイルとして実施されることを特徴とする請求項3に記載のエネルギー案内チェーン(1)。
【請求項5】
前記2つのコイル(11、51、12、52)は
、少なくとも1つの対応付する磁性コア(15)を有することを特徴とする請求項3又は4に記載のエネルギー案内チェーン(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの検出ユニット(40)は、第1の構成要素としての第1の電極(41)と、第2の構成要素としての第2の電極(42)と、を備え、前記電極(41、42)の各々は、前記関節状ジョイント
の基準旋回軸(A)と同軸に配置された対称軸を有することを特徴とする請求項1に記載のエネルギー案内チェーン(1)。
【請求項7】
隣接するチェーンリンク間の前記関節状ジョイントを形成するために、各リンクプレート(5)は、第1の端部領域におけるピン(6A)と、第2の端部領域における対応するレセプタクル(6B)と、を有し、
少なくとも2つの関節状に接続されたリンクプレート(5)の場合に、前記第1の電気構成要素は一方のリンクプレート(5)の前記ピン(6A)上に配置され、及び/又は前記第2の電気構成要素は他方のリンクプレートの前記レセプタクル(6B)上に配置されたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のエネルギー案内チェーン(1)。
【請求項8】
各チェーンリンクは、配線のための受けスペースを画定する2つの対向するリンクプレート(5A、5B)を、前記対向するリンクプレート(5A、5B)の少なくとも一部が横材(7)によって接続された状態で、備え、
前記少なくとも1つの検出ユニット(120)の前記第1の構成要素は、前記第1のチェーンリンクの前記リンクプレート(5)の一方に取り付けられ、前記少なくとも1つの検出ユニット(120)の前記第2の構成要素は、前記第1のチェーンリンクに関節状に接続された前記第2のチェーンリンクの横材(127)に取り付けられたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一
項に記載のエネルギー案内チェーン(1)。
【請求項9】
前記横材(127)は、前記検出ユニット(120)の前記第2の構成要素が搭載された保持アーム(131)を有するホルダ(129)を有し、
前記保持アーム(131)は、前記2つの構成要素が相互作用して前記関節状ジョイントにおける摩耗に起因する径方向及び/又は軸方向の遊びを検知することができるような態様で前記第1の構成要素に対して前記第2の構成要素を位置決めするために、前記横材(127)を横切る方向に延在することを特徴とする請求項8に記載のエネルギー案内チェーン(1)。
【請求項10】
前記リンクプレート(5)は、ピン(6A)及び対応するレセプタクル(6B)を有するオフセットしたリンクプレートとして実施され、
少なくとも一部のリンクプレート(5)は前記エネルギー案内チェーン(1)が転動することを可能とするローラ(8)を有し、及び/又は少なくとも一部のリンクプレート(5)は前記第1の構成要素に対する前記ピン(6A)と同軸の第1の凹部を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のエネルギー案内チェーン(1
)。
【請求項11】
各チェーンリンクは2つのリンクプレート(5A、5B)を備え、該リンクプレート(5A、5B)は、受けスペースを画定する対向するプレート列を形成し、該プレート列は、前記リンクプレート(5A、5B)を接続する横材(7)によって少なくとも2個毎のチェーンリンクにおいて平行に保持され、
少なくとも2つの関節状に接続されたリンクプレート(5)の場合に、内部部品(123)が前記横材(7)間の前記受けスペースにおいて各々取り付けられ、
前記内部部品(123)は、前記リンクプレート(5)の前記関節状ジョイント
の基準旋回軸(A)上に2つの軸方向に対向する端部領域(124、125)を有し、
前記第1の構成要素は、一方の前記内部部品(123)の前記端部領域(124、125)において取り付けられ、
前記第2の構成要素は、他方の前記内部部品(123)の前記端部領域(124、125)において取り付けられたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のエネルギー案内チェーン(1)。
【請求項12】
長手部分において、連続する多数のチェーンリンクが各々、第1の電気構成要素と第2の電気構成要素とを有
することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のエネルギー案内チェーン(1)。
【請求項13】
多数の検出ユニット(10、20、30、40、50、120)からなる直列カスケードが設けられ、
前記構成要素はコイル(11、12)として実施され、
リンクプレート(5)の前記コイルは、等しくない巻数を
、前記カスケードにおける電圧降下を少なくとも部分的に補償する巻数比で有することを特徴とする請求項12に記載のエネルギー案内チェーン(1)。
【請求項14】
前記検出ユニット(120)は電子回路(133)を有し、
前記磁石(122)は、前記電子回路(133)によって測定可能な前記ホール素子(121)におけるホール電圧を、前記ホール素子(121)に対する前記磁石(122)の相対位置の摩耗に起因する変化を前記電子回路(133)が検知するために、発生させ
ることを特徴とする請求項2に記載のエネルギー案内チェーン(1)。
【請求項15】
前記磁石(122)は、前記第1のチェーンリンクの前記リンクプレート(5)の1つ
に取り付けられ、
前記ホール素子(121)は、前記第2のチェーンリンクの横材(127)
に取り付けられたことを特徴とする請求項14に記載のエネルギー案内チェーン(1)。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載のエネルギー案内チェーンを有する検出システムであって、
評価ユニット(90)が、信号評価のために、前記少なくとも1つの検出ユニット(10、20、30、40、50、120)
に接続されたことを特徴とする検出システム。
【請求項17】
前記評価ユニット(90)は、出力側で出力信号を抽出するために、入力側で前記検出ユニット(10、20、30、40、50)に基準電
圧を供給し、及び/又は基準動作のための設定点範囲を記憶したメモリを有し、前記検出ユニットか
ら抽出された電気信号を前記設定点範囲と比較することを特徴とする請求項16に記載の検出システム。
【請求項18】
連続するチェーンリンク間で基準旋回軸(A)を各々が有する関節状ジョイントを形成するためのピン(6A)及び対応するレセプタクル(6B)を有する摩耗検出付きのエネルギー案内チェーン(1)のためのリンクプレート(5、5A、5B)であって、
第1の電気構成要素が、前記基準旋回軸(A)に対して所定の配向
で前記ピン(6A)の領域に取り付けられ、第2の電気構成要素が、前記基準旋回軸(A)に対して所定の配向
で前記レセプタクル(6B)の領域に取り付けられたことを特徴とするリンクプレート(5、5A、5B)。
【請求項19】
摩耗検出付きのエネルギー案内チェーン(1)のための横材(127)であって、
該横材(127)は、摩耗検出のための電子回路を備える検出ユニット(120)のためのホルダ(129)を有し、該ホルダ(129)は
保持アーム(131)を備え、
該保持アーム(131)は、
前記エネルギー案内チェーンの受けスペースの所定空間位置において前記検出ユニットの電気構成要素(11、41、51、121)を取付けるために、前記横材(127)の長手延在方向に対して垂直に延在するとともに、前記検出ユニット(120)の
前記電気構成要素(11、41、51、121
)を前記保持アームの端部に有す
ることを特徴とする横材(127)。
【請求項20】
摩耗検出付きのエネルギー案内チェーン(1)のための配置であって、
関節状ジョイントによって相互に接続されたエネルギー案内チェーン(1)の一対のチェーンリンクを備え、各チェーンリンクは
2つのリンクプレートを有し、2つの該リンクプレートは前記リンクプレート同士を接続する横材によって平行に保持さ
れ、
各リンクプレートは、一対の前記チェーンリンクの各々において、横材(7)間に取り付けられた内部部品(123)を有し、
2つの前記内部部品(123)は、相互接続された2つの前記チェーンリンクの前記関節状ジョイントの基準旋回軸に対して軸方向に配置される、互いに対向して配置されて、相互作用する共役端部領域(124、125)を有し、
第1の構成要素が一方の前記内部部品(123)の端部領域(124、125)に取り付けられ、第2の構成要素が他の内部部品(123)の前記端部領域(124、125)に取り付けられ、前記2つのチェーンリンク間で前記関節状ジョイントにおける摩耗に起因する径方向及び/又は軸方向の遊びの発生の際に結合の変化を識別することができるように、前記構成要素が容量結合又は誘導結合されたことを特徴とする配置。
【請求項21】
前記内部部品及び/又は前記他の内部部品は各々、前記横材への上部及び底部取付けのための2つの取付け領域を有することを特徴とする請求項20に記載の配置。
【請求項22】
前記関節状ジョイントが、各々、ピン(6A)及び対応するレセプタクル(6B)を備える、請求項1に記載のエネルギー案内チェーン(1)。
【請求項23】
前記磁性コア(15)が、前記関節状ジョイントの基準旋回軸(A)に対して同軸に、前記第1又は第2のチェーンリンクに取り付けられている、請求項5に記載のエネルギー案内チェーン(1)。
【請求項24】
前記磁石(122)は、前記関節状ジョイントの基準旋回軸(A)と同軸に配置された対称軸を有し、
前記ホール素子(121)は、該対称軸に対して偏心して配置されている、請求項14に記載のエネルギー案内チェーン(1)。
【請求項25】
前記磁石(122)は、前記関節状ジョイントのレセプタクル(6B)において取り付けられ、
前記ホール素子(121)は、前記横材を横切る方向に延在する前記横材(127)の保持アーム(131)に取り付けられている、請求項15に記載のエネルギー案内チェーン(1)。
【請求項26】
前記第1の電気構成要素が、前記ピン(6A)と同軸に取り付けられ、
前記第2の電気構成要素が、前記レセプタクル(6B)と同軸に取り付けられている、請求項18に記載のリンクプレート(5、5A、5B)。
【請求項27】
前記電気構成要素(11、41、51、121)がホール素子(121)である、請求項19に記載の横材(127)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略として、エネルギー案内チェーンにおける摩耗検出の問題に対する解決手段に関し、例えば、エネルギー案内チェーンの故障及びそれによる被供給側の機械又は装置の故障を防止することに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なエネルギー案内チェーンは、第1の接続端と第2の接続端の間でケーブル、ホースなどの配線の保護された動的な案内のために作用し、少なくとも1つの接続端は可動に、例えば、水平に離脱可能である。エネルギー案内チェーンは、適切に構成された多数のチェーンリンクから構成され、各チェーンリンクは少なくとも1つのリンクプレートを有し、多くの場合、2つの対向する「サイドプレート」を有する。隣接するチェーンリンクのリンクプレートは、一般に基準旋回軸を有する関節状ジョイントによって回転ジョイントの態様で長手方向に相互接続される。特に、関節状ジョイントは、一方のリンクプレートの一方の端部領域におけるジョイントピン及び隣接するリンクプレートの重複する端部領域における対応するジョイントレセプタクルによって各々形成され得る。この種の関節状の接続は意図された又は基準となる旋回軸を有し、それを中心としてチェーンリンクが、理想的には屈曲アークを形成するように相互に対して屈曲可能又は旋回可能となる。
【0003】
本発明は、特に、そのような電気技術的な摩耗検出が追加的に装備されたエネルギー案内チェーンに関する。
【0004】
特許文献1は、リンクプレートの狭域面における重大な摩耗の電気技術的な識別のための種々のアプローチを、例えば、その
図2又は
図8において提案した。
【0005】
特許文献2において、更なる展開が提案された。例えば、狭域面における摩耗に起因する摩滅が、ここでも無線モジュールを用いて無線で検知可能とされ、例えば、エネルギー案内チェーンの当初の要素として、又は更には後付け要素として、チェーンリンク上にモジュラ型摩滅センサとして搭載され得るものである。
【0006】
上記2件の特許の教示は、長い運用寿命にわたってチェーンリンクの外部での摺動摩擦によって起こる摩耗の検出に基づくものである。しかし、このアプローチは、全てのエネルギー案内チェーンに等しく適するものではない。
【0007】
特に、上側ランが下側ラン上を走行するためのローラが装備された長い移動経路のためのエネルギー案内チェーン、すなわち、「ローラチェーン」は、通常は狭域面においてほとんど乃至まったく摩耗を呈さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許出願公開第1521015号明細書
【文献】国際公開第2017/129805号
【文献】国際公開第2007/121713号
【発明の概要】
【0009】
したがって、本発明の目的は、選択的に、特にローラを有するエネルギー案内チェーンにも適した摩耗検出のための代替の解決手段を提案することである。
【0010】
この目的は、請求項1に記載されるエネルギー案内チェーンによって、それとは独立して請求項18に記載されるリンクプレート、請求項19に記載される横材、及び請求項20に記載される内部部品によって達成される。
【0011】
まず、少なくとも1つのチェーンリンクにおける摩耗を検出するための少なくとも1つの検出ユニットを有する一般的なエネルギー案内チェーンを提供することが提案される。
【0012】
一態様によると、第1のチェーンリンクに取り付けられた第1の電気構成要素、及び第1のチェーンリンクに関節状に接続された隣接する第2のチェーンリンクに取り付けられた第2の電気構成要素を備える少なくとも1つの検出ユニットについて、本発明による規定がなされる。本発明によると、これらの構成要素は、非接触で、特に適切な電場結合を用いて相互作用し、例えば、それらは誘導的、磁気的及び/又は容量的に相互作用する。電気構成要素は、特に誘導性又は容量性結合によって、好ましくは、信号伝送を伴って結合され得る。結合は、主に磁気的に生じ得る。このように、第1のチェーンリンクと第2のチェーンリンクの間の関節状ジョイントにおいて摩耗によって径方向及び/又は軸方向の遊びが生じた際の結合の変化が検知可能となり、特に測定装置によって又は他の信号処理によって検知可能となる。
【0013】
結合された構成要素は、特にそれらの電場結合に関して、相互に対して基準となる所定の配向を有する。それらは、関節状ジョイントに対して、例えば、基準旋回軸に対して所定の配向でそれぞれのチェーンリンクに取付け可能となる。
【0014】
本発明の中心となる概念は、従来技術のように、例えばチェーンリンクの狭域面における摩耗を検知するのではなく、チェーンリンク間又はリンクプレート間における関節状ジョイントにおける摩耗を検知することに基づく。
【0015】
最も簡素な実施形態では、共に関節状に接続された一対のチェーンリンクだけに、2つの非接触結合された電気構成要素を備える検出ユニットが装備される。ここでの適切な電気構成要素は、従来的な回路構成要素、特に信号が供給されるコイル若しくはコンデンサ電極であり、又は更には回路外部の純粋受動構成要素、例えば永久磁石などの電磁的に活性な部品である。
【0016】
電気構成要素は、この場合では、特に(静的又は動的な)電界及び/又は磁界における効果に関して、電気技術的効果を有する任意の構成要素であり得る。
【0017】
主な誘導性電場結合若しくは磁界結合又は更には主な容量性電場結合のための構成要素は、この目的に使用され得る。2つの構成要素の各々は、2つのチェーンリンクの一方に、例えば、リンクプレートに、又はチェーンリンク上若しくはチェーンリンク内のアタッチメントに、所定の空間配置及び配向で、例えば、それぞれのチェーンリンクに対して固定されて、取り付けられる。特に、この場合ではそれぞれの電場効果の所定の配向が実現されることになる。
【0018】
したがって、特に、エネルギー案内チェーンの長手方向におけるチェーンリンク間の相対的な動作は、電気構成要素間の対応する相対的な動作をもたらす。構成要素の空間配向は、特に、関節状ジョイントの基準旋回軸に関して、選択されたチェーンリンク間の関節状ジョイントにおける意図しない径方向及び/又は軸方向の遊びがある場合に、基準結合(特に、新しく摩耗のない場合の結合)の変化が確認可能となるような態様で選択され得る。様々な構成要素及び配向が可能である。結合は、非接触で、特に電界、例えば、電磁界又は静電界を介して発生する。電場結合は、この場合、特に、選択されたチェーンリンク間の関節状ジョイントの空間領域において主に発生する。
【0019】
一実施形態では、検出ユニットは、例えば、ホールセンサ原理に従って構成され得る。この場合、磁石、好ましくは永久磁石、及びその磁石と相互作用するホール要素が、電気的に相互作用する主な構成要素として設けられてもよい。
【0020】
更なる実施形態では、検出ユニットは、主に誘導性結合に適合され、この目的のため、第1のコイル及び第2のコイルを構成要素として備え得る。コイルは、例えば、扁平コイルとして実施されてもよく、小型の構成を可能とする。
【0021】
配向に関して、コイルは、相互に独立して、特に関節状ジョイントの基準旋回軸(以下、「基準軸」という)と同軸に対向配置され得る。ここでは、基準軸は、不可避な製造上の遊びとは別に、(ジョイント部品の摩滅/摩耗がない)新品の場合の所望の旋回軸に対応する。同軸配置の場合には、摩耗に起因するジョイントの遊びの影響は、同軸基準位置からの検出可能又は測定可能な二次的なアライメント偏差となる。
【0022】
磁気結合を補強するために、両コイルが、それぞれ対応する磁性コア、例えば、扁平構成のカップコア二分体を有することが有利である。コイルは、共通のコアを共有していてもよい。磁性コアは、選択的に、関節状ジョイントの基準旋回軸と同軸に配置されてもよい。磁性コアは、原理的に、干渉信号に関する磁化率又はEMC適合性も改善する。
【0023】
更なる一実施形態では、第1及び第2のコイルが円筒形コイルとして実施される。これらは、選択的に、関節状ジョイントの基準軸に対して同軸に又は更には垂直に配向され得る。垂直配向の場合、共通の円筒形磁性コア、例えばフェライトコアが、動作位置において円筒形コイル間に配置されるように、基準軸と同軸に第1又は第2のチェーンリンクに取り付けられてもよい。後者の実施形態では、径方向の遊びは、磁性コアとそれに垂直なコイルとの間の必要なエアギャップを直接変えることになる。
【0024】
誘導性結合のための構成に対する代替例として、又は選択的にそれに加えて、1つの又は各々の検出ユニットは、コンデンサを形成するために、第1の電極(又はコンデンサ電極)及び第2の電極を構成要素として備えていてもよく、電極は各々、基準軸と同軸に配置される対称軸を有する。電極は、ジョイントピン又はジョイントレセプタクルを囲むために、特に円盤形状であってもよい。用途に応じて容量性結合又は誘導性結合が用いられる。比較的長い長手部分が監視される場合、誘導性結合がカスケード回路の形態で低コストに設置され得る。
【0025】
エネルギー案内チェーン全体にわたるカスケード回路は、n番目毎又は全ての関節状ジョイントにわたって、摩耗検出に加えて又はそれに代えて、破断検出、すなわち、チェーン破断の監視も可能とする。この場合も、軸方向のオフセットは、一般に非常に大きく変動する。
【0026】
標準的なエネルギー案内チェーンでは、隣接するチェーンリンク間に関節状ジョイントを形成するために、各リンクプレートは、ピン/穴タイプの回転ジョイントを形成するために、ピンを第1の端部領域に、ピンに対応するレセプタクルを第2の端部領域に各々有する。このようなチェーンでは、少なくとも2つの関節状に接続されたリンクプレートの場合、第1の電気構成要素が一方のリンクプレートのピン上に配置され、第2の電気構成要素が他方のリンクプレートのレセプタクル上に配置され得る。したがって、構成要素は、直接的に関節状ジョイントにあり、又は選択的に関節状ジョイント内にある。
【0027】
特に、複数の誘導結合する検出ユニットがある場合、エネルギー案内チェーンの少なくとも1つの主要な長手部分又はエネルギー案内チェーンの全長が、ジョイントの摩耗に関して監視され得る。1つの長手部分において、連続する多数のチェーンリンクは、この目的のため、多数の検出ユニットから直列カスケードを形成するために、第1の電気構成要素及び第2の電気構成要素を各々有し得る。この目的のため、連続する多数のリンクプレートが、例えば長手部分に設けられてもよく、その各々は、ピン上の1つの第1の電気構成要素及びレセプタクル上の1つの第2の電気構成要素をそれぞれ有する。リンクプレートは、2つの構成要素を回路に接続する導電体を有し得る。このように、カスケードは、多数の「直列」結合された検出ユニットから形成され得る。複数の検出ユニットを有するカスケード回路は、個々の関節状ジョイントの摩耗の増加が出力信号に加算的に影響するという効果を有する。
【0028】
検出ユニット数とは可能な限り無関係となる信号伝送を実現するために、構成要素は複数のコイルとして実施されてもよく、例えば1つのリンクプレート内の複数のコイルは異なる巻数を有する。この場合、巻数比は、特に、カスケードにおけるオーム電圧降下が少なくとも部分的に補償され得るように選択され得る。
【0029】
本発明は、それだけではないが特に、長い移動経路のためのローラチェーンの形態のエネルギー案内チェーンに適する。この場合、少なくとも一部のリンクプレート、特にn番目毎のリンクプレートは、チェーンランが相互に転動できるようにローラを有する。
【0030】
検出ユニット又はその構成要素は、少なくとも一方のプレート列の、又は対向する両プレート列のリンクプレートに含まれてもよい。この目的のため、少なくとも一部のリンクプレートについて、第1の構成要素に対するピンと同軸に第1の凹部を、第2の構成要素に対するレセプタクルと同軸に第2の凹部を有するように準備がなされてもよい。
【0031】
一方、検出ユニット又はその構成要素が、チェーンリンクに選択的に適合され得る追加の構成要素上又はその構成要素内に少なくともある程度含まれる場合に、既存のエネルギーチェーンの後付けは、より簡素に実現され得る。同じことが、エネルギーチェーンの当初の装備又は新たな製造にも当てはまる。
【0032】
標準的なチェーンリンク設計の場合、すなわちプレート列を形成する対向リンクプレート及びその間の配線受けスペースから構成される場合、プレート列は、リンクプレートを接続する横材によって、少なくとも一部のチェーンリンク、例えば、2個毎のチェーンリンクにおいて平行に保持される。
【0033】
横材は、内部空間を区分けするための分離ウェブの場合のように、モジュラ型検出ユニットを後付けするのに使用され得る。この目的のため、少なくとも2つの関節状に接続されたリンクプレートの場合には、1つの内部部品が、横材間に受けスペースにおける分離ウェブの態様で各々取り付けられるものとしてもよい。
【0034】
またさらに、検出ユニット又はそれらの構成要素は、少なくともある程度、チェーンリンクの横材上に配置されてもよい。一実施形態では、第1の構成要素と第2の構成要素の間で(これらが新品の場合に)所定の配向が実現されるように、検出ユニットの第1の構成要素は第1のチェーンリンクのリンクプレートの1つに、特に基準旋回軸に対して同軸に取り付けられ、少なくとも1つの検出ユニットの第2の構成要素は第2のチェーンリンクの横材に取り付けられてもよい。第1の構成要素は、特に関節状ジョイントのレセプタクルに配置されてもよく、これにより、安定性を損なうことなく製造の手間が軽減される。
【0035】
適切な横材は、好ましくは、検出ユニットの第2の構成要素を受けて取り付けるためのホルダを有する。ホルダは、特に、横材に垂直に、特にエネルギー案内チェーンの長手方向及びプレート高さ(リンクプレートの上側狭域面と下側狭域面の間の距離)の方向に延在する保持アームを備え得る。検出ユニットの第2の構成要素は、この場合、保持アームの端部領域に取り付けられてもよく、保持アームの幾何形状の結果として所定の空間配置又は配向を本質的に実現する。したがって、保持アームは、第1及び第2の構成要素が非接触で相互作用して関節状ジョイントにおける摩耗に起因する径方向及び/又は軸方向の遊びの発生を検知するように、第1の構成要素に対して所定の配向にある第2の構成要素を位置決めするように作用し得る。
【0036】
2つの構成要素の少なくとも一方は、関節状ジョイントの基準旋回軸に対して同軸に配置され得る。検出ユニットの2つの構成要素は、関節状ジョイントの基準旋回軸と同軸に配列されてもよい。
【0037】
特に、ホール原理による非接触結合の用途において、一方の構成要素が基準旋回軸と同軸に配置されて、他方の構成要素が基準旋回軸に対して径方向距離、すなわち偏心オフセットを有して配置されてもよい。検出ユニットは、ホールセンサ(ホール効果センサ)を備えていてもよいし、ホールセンサのように構成されていてもよい。ホールセンサの検出ユニットの2つの構成要素の一方は、磁石、特に永久磁石を備えていてもよいし、磁石であってもよい。検出ユニット又はホールセンサの他方の構成要素は、ホール素子を備えていてもよい。これに関して、ホール素子の動作電流は、特にホール素子に電気的に接続されるとともに、好ましくは横材上のホルダに保持された電気回路によって給電され得る。
【0038】
基準動作状態において、ホール素子は、磁石に対して、非接触結合の目的のために磁石の磁界に位置するように、又は磁界に貫通されるように、配置され得る。磁界はホール素子におけるホール電圧を発生させ、その電圧はホール素子に関して磁石の相対位置の変化がある場合に変化する。このホール電圧の変化は、ホールセンサの電子回路によって監視又は記録され、例えば、信号評価のための評価ユニットに転送されてもよい。この場合、ホール電圧が軸位置変動として測定可能に変化するように、磁石は、好ましくは、関節状ジョイントの基準旋回軸と同軸に配置されたその基準電場に対する対称軸を有する。
【0039】
磁石は、特に、旋回可能に相互接続された2つのチェーンリンクの第1のチェーンリンクのリンクプレートの1つに、好ましくはジョイントレセプタクルに取り付けられてもよい。ホールセンサのホール素子及び電子回路は、好ましくは、第2のチェーンリンクの横材に取り付けられてもよい。電子回路及び/又はホール素子は、エネルギー案内チェーンの長手方向及びリンクプレートのプレート高さ方向に延在する保持アームを備える適宜のホルダによって横材に取り付けられてもよい。保持アームは、横材の一方の長手端部において横材に接続されるとともに1つの自由端を有していてもよい。ホール素子は、保持アームの自由端に、好ましくは、磁石が配置されるリンクプレートにその活性面又は広域面を略平行にして、配置されてもよい。保持アームは、エネルギー案内チェーンの長手方向に横材の長手延在方向に垂直な1つの方向性構成要素、並びにエネルギー案内チェーンの長手方向に垂直でかつ横材の長手延在方向に垂直な又はプレート高さの方向に第2の方向性構成要素を有して延在していてもよい。ホール素子は、特に関節状ジョイントの基準旋回軸に垂直なその活性面を有して、好ましくは、基準旋回軸とホール素子の活性面の重心との間に径方向距離、すなわちオフセットが存在するように、配置されてもよい。またさらに、ホルダは、ホールセンサの電子回路を横材上に保持し、ホール素子及び電子回路に対する配線のための保護案内路を与えてもよい。したがって、回路と評価ユニットの間の接続線は、エネルギーチェーンにおいても搬送され得る。
【0040】
本発明は、特に、当初の要素として又は後付け要素として適切な上記横材自体に関するものでもある。本発明による横材は、特に、例えばホール素子用の電子回路とともに、少なくとも摩耗検出用の検出ユニットの構成要素を受けるために使用可能なホルダを有する。ホルダは、エネルギー案内チェーンの受けスペースにおける所定の空間位置に、検出ユニットの構成要素、例えばホール素子を取り付けるための、好ましくは横材の長手延在方向に垂直な、横材の一方の長手端部から延在する保持アームを有していてもよい。特に、保持アームは、検出ユニットの2つの構成要素の一方を隣接関節状ジョイントの基準旋回軸に対して所定の位置に取り付けるのに使用されてもよく、その態様は、それが検出ユニットの他方の構成要素と作用して関節状ジョイントの摩耗を検出し得るものである。好ましくは、保持アームは、プレート列のリンクプレート同士を接続する隣接関節状ジョイントの基準旋回軸に対する径方向距離、すなわちオフセットを有して検出ユニットの構成要素を搭載する役割を果たす。横材は、横材及びそのアタッチメントに適合するモジュラ型アダプタ状ホルダを有する複数部品構成のものであってもよい。
【0041】
本発明は、追加構成要素としての、特に当初の要素又は後付け要素としての、モジュラ型内部部品に関するものでもある。これは2つの共役的に配置された端部領域を長手方向に有し、その各々は、同一構成の更なる内部部品の対応の端部領域に対向して相互接続されたチェーンリンクの関節状ジョイントの基準旋回軸に関して軸方向に来る。これに関して、各端部領域は所望の電場結合のための2つの電気構成要素の一方を有し、その態様は第1の構成要素が一方の内部部品の端部領域に取り付けられるとともに、相互作用する第2の構成要素が他方の内部部品の対向端部領域に取り付けられるものとなる。その配置は、それらが各々同一構成の内部部品の対応の構成要素と容量結合又は誘導結合可能となるように、選択される。またさらに、内部部品は、それ自体は公知の態様で、横材に取り付けられるための2つの取付け領域を上部及び底部に有する。内部部品の対向する端部領域は、基準旋回軸と同軸に更なる関節状ジョイントを選択的に形成し得るが、これは必須ではない。
【0042】
また、特に、少なくとも1つの検出ユニットが上記実施形態の1つによって装備されたエネルギー案内チェーンを有する、関節状ジョイントにおける重大な摩耗の早期検出のための検出システムが提案される。これに関して、信号評価のための評価ユニットは、少なくとも1つの検出ユニット、特に検出ユニットのカスケードに接続される。これは、有線で、又は例えば無線モジュールを介して行われ得る。評価ユニットは、信号評価によって第1の構成要素と第2の構成要素の間の結合の変化を識別することができるので、検討中の関節状ジョイントの摩耗又は摩滅状態に関する定量的表現を可能とする。入力側において、評価ユニットは、基準電圧、特に交流電圧を検出ユニットに供給することができる。出力側において、評価ユニットは、出力信号を抽出することができる。評価の目的のため、それは、例えば、基準動作についての設定点範囲を記憶したメモリを有し、検出ユニット又はカスケード状の検出ユニットから取得又は抽出された電気信号を、好ましくは信号フィルタリング後に、設定点範囲と比較することができる。不可避な誤差を任意で考慮した後に、これが大幅に外れる場合、それは過度の摩耗を示すものである。
【0043】
検出ユニット自体は、例えばホール素子を用いる場合、結合された主構成要素に加えて電子回路を備えていてもよく、その電子回路に構成要素の少なくとも1つが接続される。
【0044】
最後に、本発明は、摩耗検出付きの個々のリンクプレートに関するものでもある。連続するチェーンリンク間に基準旋回軸を有する関節状ジョイントを形成するためのピン及び対応するレセプタクルを有するリンクプレートの場合、本発明によると、適宜の更なる電気構成要素と非接触に結合可能な関節状ジョイントの領域に少なくとも1つの電気構成要素が設けられる。この目的のため、特に、第1の電気構成要素が、特にピンと同軸に基準旋回軸に対して所定の配向でピンの領域に取り付けられ、第2の電気構成要素が、特にレセプタクルと同軸に基準旋回軸に対して所定の配向でレセプタクルの領域に取り付けられ得る。
【0045】
特に、検出ユニットを構成するか又は構成要素を配置するために好適なものとして上述した特徴は、リンクプレート及び横材の双方に、並びに内部部品に適用可能である。
【0046】
本発明の更なる詳細、特徴及び効果が、添付図面を参照してなされる以下の好適な実施形態の詳細な説明によって限定されることなく、明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図2A】特許文献3によるエネルギー案内チェーンのそれ自体は公知の構成に関する、リンクプレートの斜視図を示す。
【
図2B】特許文献3によるエネルギー案内チェーンのそれ自体は公知の構成に関する、複数のリンクプレートの列の一部分を示す図である。
【
図3】エネルギー案内チェーンのプレート列の長手部分の平面視における、誘導性検出を伴う本発明の第1の例示的実施形態の概略図である。
【
図4】誘導性検出を伴う本発明の第2の例示的実施形態の平面視における概略図である。
【
図5】誘導性検出を伴う本発明の第3の例示的実施形態の平面視における概略図である。
【
図6】容量性検出を伴う本発明の第4の例示的実施形態の平面視における概略図である。
【
図7】
図3~5に示す本発明の例の1つによる複数の検出ユニットの直列カスケードを示す回路図である。
【
図8】
図4に記載のカップコアを有する検出ユニットの模式斜視図である。
【
図9】検出ユニット及びこれに接続された評価ユニットを有するエネルギー案内チェーンを有するシステムの模式側面図である。
【
図10】誘導性検出を伴う本発明の第5の例示的実施形態を示すものであり、検出ユニットは、エネルギー案内チェーンの受けスペースにおける分離ウェブの態様で配置され得る内部部品に設けられる。
【
図11】
図2A、
図2Bによって構成されたエネルギー案内チェーンのための2つのリンクプレート及び2つの横材からなるチェーンリンクの斜視図を示す。
【
図12A】検出ユニットの一方の構成要素がリンクプレートに取り付けられ、第2の構成要素が隣接リンクプレートの横材に取り付けられる例示的実施形態を示す斜視図である。
【
図12B】検出ユニットの一方の構成要素がリンクプレートに取り付けられ、第2の構成要素が隣接リンクプレートの横材に取り付けられる例示的実施形態を示す平面図である。
【
図12C】検出ユニットの一方の構成要素がリンクプレートに取り付けられ、第2の構成要素が隣接リンクプレートの横材に取り付けられる例示的実施形態を示す側面図である。
【
図12E】ホールセンサタイプの検出ユニットを有する本発明の例示的実施形態を(内部側面図で)示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1に示すように、エネルギー案内チェーン1は、変位動作において、上側ラン2、下側ラン3、並びに2つのラン2及び3を可変に接続する屈曲アーク4を形成する。上側ラン2は、その端部で移動端M、例えば、水平方向に移動する機械に取り付けられる。下側ラン3は、その端部で固定点Fに固定される。エネルギー案内チェーン1は、それ以上の詳細を図示しない供給線、例えば、電力及び/又は信号のためのケーブルを固定点Fから移動端Mまで案内及び保護する。
図1に示すエネルギー案内チェーン1は長い移動経路用に設計されており、上側ラン2は下側ラン3上を摺動又は転動することができる。
【0049】
長い移動経路用に、ここでは具体的には下側ラン3上での上側ラン2の転動用に設計されたエネルギー案内チェーン1は、例えば、特許文献3から知られており、
図2A及び
図2Bにおいて例として完全に示されている。このエネルギー案内チェーン1では、各チェーンリンク(
図11参照)は、平面視で見た場合、オフセット構成の2つの鏡面対称のサイドプレート、すなわちリンクプレート5(
図2A参照)を有する。各リンクプレート5は、一方の端部領域に円筒形のピン6Aを有する。対向端部領域において、ピン6Aの回転可能な搭載のために寸法採りされた円筒形のレセプタクル6Bが、リンクプレート5の本体に設けられる。相互作用可能なピン6A及びレセプタクル6Bの対は、ここでは基準軸Aとして示す回転の基準軸を有する回転ジョイントを各々形成する。基準軸Aは、(ピン6A又はレセプタクル6Bに摩耗がなく)新品の場合、技術上の理由のために必要な任意のギャップ寸法を開けて、ピン6A及びレセプタクル6Bのジョイント形成対の中心軸に対応し、又は新品の場合にその回転軸に対応する。基準軸Aを中心とする回転又は旋回角度は、リンクプレート5における角度ストッパ(
図2B参照)によって規定される。個々のチェーンリンクは、リンクプレート5及びそれらを長手方向Lに垂直に接続する横材7(
図11参照)から構成され、所定の半径の屈曲アーク4(
図1)を形成し得る。
【0050】
ここで、チェーンリンクの構成に関して、特許文献3の教示を参照する。少なくとも一部のリンクプレート5は、この場合、対向するラン2又は3において走行面9上をそれぞれ転動して摩擦を低減するために、リンクプレート5の狭域面から突出するローラ8を有する。
図2A~2Bは、単なる例示として、ローラチェーンの可能な設計を示す。
図2Bは、プレート列の長手部分を単に示す。エネルギー案内チェーン1の各面において、関節状に連結されたリンクプレート5の列が設けられる。2列の対向するリンクプレート5は、通常は鏡面対称となる(
図11参照)。
【0051】
一方、本発明は、柔軟なジョイントコネクタ(国際公開第02/086349号参照)又は更には例えば欧州特許第1616376号明細書による空間的に屈曲可能な配線ガイドを有する(オフセットされていない)内部プレート及び外部プレートを有するリンクプレートを含む任意の所望のエネルギー案内チェーン1にも原理的に適する。本発明は、例えば、垂直に連架されたランを含む任意の所望の空間配置にも適する。それは、ローラ8を有する低摩耗エネルギー案内チェーン1に特に適する。
【0052】
図3は、第1の例示的実施形態の平面視における模式図である。少なくとも1列のリンクプレート5が、複数の電気技術的検出ユニット10を有する。検出ユニット10の各々は、第1の電気構成要素、
図3では第1のコイル11、及び第2の電気構成要素、
図3では第2のコイル12から主に構成される。ここで、第1のコイル11は、例えば、2つの関節状に接続されたオフセットリンクプレート5の外側端部領域に位置し、第2のコイル12は対向する内側端部領域に位置する。
図9に示すように、多数の検出ユニット10が、エネルギー案内チェーン1の少なくとも1つの長手部分にわたって設けられる。ピン6A及びレセプタクル6Bからなる関節状ジョイントの摩耗に対して経験上最も影響される長手部分は、好ましくは、例えば、移動端Mから先頭の3分の1内にある。
【0053】
コイル11及び12は、基準軸A、すなわち、2つの接合されたリンクプレート5の間の意図する旋回軸に対して所定の配向を有する。
図3によると、コイル11及び12は、基準軸Aと同軸な巻線を有して配向される。コイル11及び12は、例えば、連動的及び/若しくは非連動的に又は接着結合若しくは成型によって、それぞれのリンクプレート5に対するピン6A又はレセプタクル6Bの領域においてリンクプレート5の対応する端部領域に各々固定して適宜恒久的に取り付けられる。別個の巻線構成要素の代わりに、コイルを印刷することも可能である。ここで図示するコイル11及び12は、例えば、単に模式的に扁平コイルの形態をとるものであってもよく、リンクプレート5においてピン6A又はレセプタクル6Bを周回的に囲む凹部(それ以上の詳細は図示していない)に別個の構成要素として一体化されてもよい。
【0054】
1つの検出ユニット10のコイル11及び12は、所望の又は意図する誘導性結合(相互誘導)が実現されるように配置される。特に、コイル11及び12は、適宜のコイル幾何形状によって、及び基準軸Aに対する固定的所定配向、ここでは、基準軸Aと同軸に配列された配向に起因して、例えば大きさの観点で絶対値ABS(k)>0.5の比較的高い結合係数(k)が存在するように誘導結合される。結合係数(k)は、特に、コイル11及び12の軸方向に配列された相対位置に依存する。各検出ユニット10は、結合係数(k)の変化又は基準結合係数(k)に対する誘導性信号伝送若しくは基準信号伝送の品質の変化が測定装置によって検知されることを可能とする。それに対する基準値は、例えば、新品の場合に較正若しくは入力されるか、又は必要に応じて(例えば、グラフ、スケーリング、関数パラメータなどの形態で)現パラメータの適合によって修正され得る。
【0055】
本発明によると、2つの接続されたリンクプレート5(及びしたがってチェーンリンク)の間のピン6A及び/又はレセプタクル6Bからなるそれぞれの関節状ジョイントにおいて摩耗に起因する径方向及び/又は軸方向の遊びが生じた場合、関係する検出ユニット10の非接触結合の品質が、
図3において、2つの結合されたコイル11とコイル12の間の誘導性結合、すなわち、結合係数(k)を変化させる。
【0056】
径方向の遊びは、例えば、ピン6A又はレセプタクル6Bの相互作用する摺動面の累積的摩耗又は摩滅とともに生じて増大する。したがって、長期間の動作によって増加するアライメント誤差は、一般的には旋回ジョイントにおいて発生し、それゆえ、検出ユニット10の2つの接合されたリンクプレートの一方に各々固定された2つのコイル11とコイル12の間で発生する。新品の場合、その基準位置に対する偏差によって結合係数(k)が変化する。
【0057】
このように、結合の変化は、ジョイントの摩耗発生の関数として発生し、その変化は設定点信号範囲に対する出力信号の変化として測定装置によって検知可能である。エネルギー案内チェーン1が前後に変位する場合、急激に変化するアライメント偏差も発生し、それは、推力又は張力がかかるかに応じて、摩耗が増加するとより顕著となる。それらの偏差は、設定点信号及び(例えば、新品の関節状ジョイントとしての製造誤差に起因する)信号変動に対しても、適宜の電子フィルタによって、例えばDSPを用いて高い信頼性で区別され得る。
【0058】
軸方向ギャップ寸法も結合係数(k)に影響するため、コイル11とコイル12の間の軸方向距離の望ましくない増加も高い信頼性で識別可能である。望ましくない軸方向の遊びは、例えば、(例えば、エネルギー案内チェーン1の移動経路における障害物又はガイド溝における外部干渉などによる)リンクプレート5に対する損傷又はプレート列における過負荷がある場合に発生し得る。関連する検出ユニット10は、ピン6A及びレセプタクル6Bからなるジョイントの望ましくない離脱も検出し得る。
【0059】
図3による誘導結合されたコイル11及び12を有する検出ユニット10は、入力信号を入力部(
図7のINを参照)から出力部(
図7のOUTを参照)に伝送するために、複数のリンクプレート5にわたって直列に又はカスケード状に接続され得る。この目的のため、同じリンクプレート5における第1のコイル11及び第2のコイル12は、
図3に示すように、リンクプレート5に一体化された導電体13を介して回路に接続される。複数の検出ユニット10の誘導性カスケードの1つの有利な効果は、コイル11及び12の複数の相互作用対の基準軸Aからの摩耗に起因する径方向偏差が出力信号において加算的影響を有することである。これによって検出が簡素化される。経験上、連続する複数のリンクプレート5にわたる-少なくとも最も重い牽引/推力負荷の長手部分における-ジョイントの摩耗は、個々のジョイント6A、6Bで別個独立に発生することはほとんどなく、一般的には複数のジョイント6A、6Bにわたって同様の程度で発生する。したがって、それは1つの関節状ジョイント6A、6Bだけの問題ではないことが多く、すなわち、摩耗に起因する径方向及び/又は軸方向の遊びがある場合の結合されたコイル11とコイル12の間の結合係数(k)の変化も、検出ユニット10のカスケードを有する複数のジョイントにわたってより高い信頼性で評価される。1つの検出ユニット10の(又は装備されたリンクプレート5の)2つのコイル11及び12は、同方向又は反対方向に巻回されたエアコアコイル(
図7参照)であってもよく、エアトランスを形成し得る。
【0060】
図4は、検出ユニット20の更なる例示的実施形態を示す。
図4に模式的に示すように、それぞれに対応する低背磁気カップコア二分体14A及び14Bをコイル11及び12の各々に対して有する。各カップコア二分体14A、14Bは、対応するコイル11、12に対して円筒形レセプタクル(不図示)を有し、軟磁性材料からなる。磁気カップコア二分体14A及び14Bは、中心軸を有し、同様に基準軸Aに対してリンクプレート5に取り付けられる。カップコア二分体14A及び14Bは、技術的に実行可能な最小のエアギャップを以て同軸に相互に対向して位置し、エアギャップはリンクプレート5の重複端部領域間で旋回するのに必要な遊びに対応する。
図8に、それぞれのカップコア二分体14A及び14Bにおけるコイル11及び12を有する検出ユニット20の拡大図を模式的に示す。磁気コアによって、わずかな偏差がより容易に検出されるように磁束及び基準結合係数が増強される(相対測定誤差を参照)。さらに、コイル11及び12の小型化が可能となる。小型カップコア二分体14A及び14Bを有するコンパクトな検出ユニット20は、例えば、ピン6Aの対向する端面又はレセプタクル6Bの底部における中央突出位置に一体化され得る(
図2B参照)。
【0061】
図5による検出ユニット30の更なる実施形態では、1つの円筒形磁性コア15のみが、基準軸Aと同軸に取り付けられ、例えば、レセプタクル6Bの中央で突出する。
図5による検出ユニット30のコイル51及び52は、ここでは、基準軸Aに対してコイル軸の径方向に、かつコア15に対して空間的に可能な限り近くに配置される。この配置は、コイル51及び52の少なくとも1つとコア15との間の径方向のエアギャップの付随的変化に起因する、ピン6A及びレセプタクル6Bからなる関節状ジョイントにおける径方向の遊びの増加の検出を可能とする。この配置においても、好ましくは、複数の検出ユニット30のカスケードが設けられる。リンクプレート5の側面図を平面視で見た場合、コイル51及び52の軸は、好ましくは、その延長位置において略平行であるか、又は屈曲アーク4において顕著に強い磁気結合が生じないように位置する。
【0062】
図5に類似する更なる変形例として、コンパクトな永久磁石15が一方のリンクプレート5のピン6A上に基準軸と同軸に配置されてもよく、その位置は、位置変位を識別するために、他方のリンクプレート5のレセプタクル6B又はその周囲のホールセンサ(不図示)を用いて監視される。
【0063】
図6は、配置の観点で、
図3~5に類似する解決手段を例示として示す。
図6では、例示として、2つだけの容量的に動作する検出ユニット40が設けられ、その各々は2つの、例えば、円盤形状の結合電極41及び42を有する。第1の電極41は、ここでも、基準軸Aと同軸にリンクプレート5に取り付けられる。第2の電極42も、同様に、基準軸Aと同軸に隣接リンクプレート5に取り付けられる。電極41及び42は、ここでは、信号伝送のために容量結合される。検出ユニット40の場合、摩耗に起因する径方向の遊びによって、又は更にはピン6A及びレセプタクル6Bからなる関節状ジョイントにおける軸方向の遊びによって、容量性結合の変化ももたらされる。複数のチェーンリンク又はリンクプレート5にわたるカスケードが望ましくない又は不要な場合に、容量性結合を有する検出ユニット40が検討される。例えば、導電接続された2つの第1の電極41は各々、導電接続された2つの第2の電極42とともに、その容量が測定されるコンデンサを形成する。容量の原理で動作する検出ユニット40は、より軽い構成のものであり、一般的に体積もより小さい。加算法を用いたアプリケーション又は印刷によるアプリケーションは、一層簡素となり得る。
【0064】
エネルギー案内チェーン1の選択された離れたチェーンリンク又は1つのみのチェーンリンクにおいて、各々1つのみの誘導性検出ユニット10、20、30又は各々1つのみの容量性検出ユニット40を有する配置は、本発明の範囲内にある。
【0065】
図7は、
図3~5及び
図10における例について、異なる巻数として、第1のコイル11又は51に対してそれぞれn+xを、第2のコイル12又は52に対してそれぞれnを示す。コイル11、12又はコイル51、52の巻数比(n+x)/nは、カスケードにおけるオーム電圧降下が少なくとも部分的に補償されることによって比較的多数のチェーンリンク(
図11)にわたる場合でも検出デバイス10、20、30、50のカスケード回路を可能とするように、選択される。さらに、
図7は、所定の交流電圧、例えば、正弦波電圧が基準信号として印加されるカスケード状の検出デバイス10、20、30、50の回路配置の入力部INを示す。それぞれコイル11とコイル12の間又はコイル51とコイル52の間における誘導性伝送又は磁気結合によって、出力信号が、出力部OUTにおいて抽出可能となる。出力部OUTにおける電圧の振幅は、特に、連結された又はカスケード状の検出デバイス10、20、30、50の数nのそれぞれの結合係数k(n)並びにそれによるピン6A及びレセプタクル6Bからなる関節状ジョイントにおける望ましくない摩耗に起因する遊びにも依存する。出力信号は、選択的に評価ユニット90でフィルタリングされ(
図9参照)、所定の基準範囲と適宜比較され、例えば、調整試験において学習される。このように、関節状ジョイント6A-6Bの摩耗の増加は、評価ユニット90について電気技術的に、特に出力部OUTにおける出力信号の電圧の振幅の低減として測定可能となる。
【0066】
図9は、移動端Mにおけるエネルギー案内チェーン1の先頭の3分の1内の選択されたリンクプレート5においてn個の検出ユニット10からなるカスケードを有する信号線93を介した評価ユニット90の有線接続を示すブロック図を示す。信号線93も、エネルギー案内チェーン1において案内される。例えば、適宜の無線モジュールを介して無線接続も可能である。
【0067】
図10は、既存のエネルギー案内チェーン1の後付けを可能とするか、又はリンクプレート5に対していかなる変更も要しない検出デバイス50についての実施形態を示す。この場合、特殊な内部部品123が設けられ、それは、
図3又は
図4に原理的に示すような各々1つの対応するコイル11、12に対するレセプタクルを有する対向する端部領域124、125を有する。内部部品123は、コイル11及び12の高い度合いの結合又は高い結合係数(k)を実現するために、端部領域124及び125が基準軸A上で最小の軸方向間隔を以て対向して相互に隣接するように、平面視においてわずかにオフセットされている。上記とは別に、内部部品123は、チェーンリンクにおける内部又は受けスペースの水平区分けのための、それ自体公知の分離ウェブとして同様に構成され(
図11参照)、内部部品123の頭部と脚部において、特に対向する取付け領域126を各々有し、それは、横材7(
図11参照)の間の安定した固定係止を可能とするので、エネルギー案内チェーン1の長手方向Lにおいて静止する安定した位置の固定を可能とする。この設計は、既存の構成要素が修正されることを要さずに、複数の既存のエネルギー案内チェーン1における後付けを可能とする。
【0068】
図11は、2本の平行横材7を介して相互に強固に接続された2つの鏡面対称サイドプレート5A及び5Bからなる個々のチェーンリンクを単に例示として示す。本発明は、例えば、1列のみのプレートを有する他のタイプの配線ガイド(欧州特許第1340299号明細書参照)にも適用可能である。
【0069】
図12A~12Dは、横材を用いて検出ユニット120をチェーンリンク又はサイドプレートに取り付けるコンセプトを示す。このコンセプトは、
図12Eによる検出ユニット120について具体的に
図12A~12Dに示されるが、
図1~9による検出ユニット10、20、30、40、50にも同様に適する。
【0070】
図12A~12Cは、検出ユニット120の2つの基本的な電気的センサ構成要素の一方の取付け及び所定の配向について使用され得る特殊な横材127を示す。横材127は、一方の長手端部にホルダ129を有し、そのホルダは検出ユニット120の構成要素を受ける。ホルダ129は、構成要素121(
図12E参照)のための保持アーム131及び電子回路133のためのレセプタクル132を備え、それによって構成要素121が接続される。保持アーム131は、横材127の長手延在方向に垂直に延在し、構成要素121が搭載される1つの自由端を有する。横材127は、リンクプレート5A及び5B(
図11参照)の従来的な係止ラグ141に取り付けられるための係止凹部139をその2つの長手端部に有する。
【0071】
ホルダ129は、
図12A~12Cに示すように、横材127と一体に作製され得る。あるいは、ホルダ129は、特に、配線受けスペース(不図示)よりも内部に連動的に及び/又は非連動的に搭載された横材7に取り付けられるために、従来的な横材7(
図11参照)に対する装着又は後付けのための別個の構成要素の形態をとるものであってもよい。
【0072】
図12Dは、既存の横材7に対するホルダ129Dの例を変形例として示す。ホルダ129Dは、サイドプレート5の従来的な係止ラグ141と同じ構造の係止ラグ141Dを一方の長手端部に有する。係止ラグ141Dは、対応する係止凹部139との従来的な横材7の取付けを可能とする。横材7には、ホルダ129Dの他方の長手端部において、従来的な係止凹部139と同じ構造の係止凹部139Dが設けられる。このように、ホルダ129Dは、横材7をリンクプレート5の係止ラグ141に接続するためのアダプタ又は中間片として用いられ得る。横材の長手方向におけるホルダ129の寸法は、この場合、従来的な横材7の規格寸法(連続する横材構造サイズ間の長さの差)に対応していてもよく、その態様は、ホルダ129Dを有する短い方の横材7が、次に長い横材の標準長に対応するようなものである。
【0073】
図12A~12Dに原理的に示すホルダ129、129Dは、ここに提案された全ての検出ユニット10、20、30、40、50及び120に対して使用され得る。
図12Eは、内部側面図において2つの関節状に相互接続されたリンクプレート5の一方に取り付けられたホルダ129又は129Dを示す(隠れる要素を破線で示す)。保持アーム131は、横材127の長手延在方向に垂直でかつリンクプレートの狭域面56間の中央部高さ領域の内側を向く、すなわち、リンクプレートの広域面54に概ね平行な2つの方向性構成要素を有して延在する。保持アーム131の自由端領域は、ここでは、リンクプレート5の広域面54に対して(及び概ね
図12Eの図面の平面に対して)垂直な基準軸Aに関して、基準軸Aからわずかな径方向距離、すなわち偏心オフセットを有して配置又は配向される。
【0074】
図12Eは、ホールセンサの原理によって構成された検出ユニット120をさらに示す。これは、ホールセンサの2つの主構成要素の一方としてホール要素121、及びホールセンサ120の第2の主構成要素として永久磁石122を備える。永久磁石122は、例えば、(両磁極を通る)磁界の対称軸を有する円盤の形態で構成される。永久磁石122は、ここでは、例えば、連動的及び/若しくは非連動的に又は接着結合若しくは成型によって一方の(
図12Eで左側の)リンクプレート5のレセプタクル6Bに取り付けられ、その磁界が関節状ジョイントの基準軸Aに同軸かつ対称に配向されるように、配向される。
【0075】
永久磁石122と相互作用するホール素子121は、第2のチェーンリンクに、すなわち、保持アーム131の自由端に取り付けられる。配置及び配向は、少なくともエネルギー案内チェーン1が新品の場合の基準位置において、ホール素子121が永久磁石122の磁界に対する活性面により適切に配向されるようなものである。ホール素子121の活性面は、例えば、磁界の対称軸に垂直に配向され得る。またさらに、配置は、関節状ジョイントの基準軸Aがホール素子121の活性面の重心からのわずかなオフセット、すなわち径方向距離を有して延在するように、選択される。ホールセンサの電子回路133は、横材127のホルダ129のレセプタクル132に取り付けられる。ホルダ129は、電子回路133を評価ユニット90に接続する配線のための案内路135をさらに有する。ホール素子への接続線は、保持アーム131内で案内される。作動時において、動作電流がホール素子121に流れ、その電流は、少なくとも基準位置において、例えば磁石122の磁力線に垂直に流れる。磁界によってもたらされるホール素子121でのホール電圧は、測定装置を用いてホールセンサの電子回路133によって検知されるとともに評価されるか、又は例えば評価ユニット90に転送される。ピン6A又はレセプタクル6Bの摺動面の摩耗が進むと、旋回ジョイントにおいて、上述したようにアライメント誤差が増加的に発生し、その態様は、例えば、磁石からのホール素子の軸方向及び/若しくは径方向の距離並びに/又は磁界に対するホール素子の配向の変化によって、基準軸Aの位置又はホール素子121に対する磁石122の位置が、新品の場合の基準位置からずれるようなものである。これはホール素子121におけるホール電圧の変化をもたらし、それは電子回路133によって識別され、又は評価ユニット90に伝達される。
【0076】
リンクプレート5の構成は、上記以外の場合には、これに関して参照がなされる欧州特許第2010800号明細書の教示に対応し得る。検出ユニット120は、ここでは、好ましくはローラなしでリンクプレート5に設けられる。
【0077】
エネルギー案内チェーン1の複数の関節状ジョイントには、検出ユニット120としてのホールセンサが装備されてもよく、異なるチェーンリンクのホールセンサが、より良好な信号識別又は摩耗検出のために評価ユニット90に接続される。
【符号の説明】
【0078】
1 エネルギー案内チェーン
2 上側ラン
3 下側ラン
4 屈曲アーク
5 リンクプレート
5A、5B サイドプレート(チェーンリンク)
54 リンクプレートの広域面
56 リンクプレートの狭域面
6A ピン
6B レセプタクル
7、127 横材
8 ローラ
9 走行面
10、20、30、40、50、120 検出ユニット
11、51 第1のコイル
12、52 第2のコイル
13 導体
14A、14B カップコア二分体
15 磁性コア
41 第1の結合電極
42 第2の結合電極
90 評価ユニット
93 信号線
121 ホール素子
122 磁石
123 内部部品
124、125 端部領域
126 取付け領域
129、129D ホルダ
131 保持アーム
132 レセプタクル
133 電子回路
135 案内路
137 位置決めマーカ
139 係止凹部
141 係止ラグ
A 基準軸
F 固定点
IN 信号入力部
OUT 信号出力部
M 移動端(機械)
L 長手方向