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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】ブラケット
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20230302BHJP
   A47K 4/00 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
E04F11/18
A47K4/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018162542
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020033797
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(73)【特許権者】
【識別番号】394000415
【氏名又は名称】中央化成品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】成海 晶子
(72)【発明者】
【氏名】白石 明遠
(72)【発明者】
【氏名】三上 浩
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-329672(JP,A)
【文献】特開2000-110320(JP,A)
【文献】特開2017-179941(JP,A)
【文献】特開2004-076477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/18
A47K 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延在し、取付部材を被取付部材に固定するためのブラケット本体と、
前記ブラケット本体を覆う第1ブラケットカバーおよび第2ブラケットカバーと、を備え、
前記第1ブラケットカバーおよび前記第2ブラケットカバーの一方の側壁に係合部が設けられ、他方の側壁に前記係合部に係合する被係合部が設けられ、
前記係合部は、前記被係合部に対して前後方向にスライド可能であり、
前記係合部および前記被係合部は、前後方向に延びるように形成され、
前記第1ブラケットカバーおよび前記第2ブラケットカバーは、スライドして互いに係合することで、前記ブラケット本体に組み付けられ
前記係合部は、前記第1ブラケットカバーおよび前記第2ブラケットカバーの他方のスライドをガイドすることを特徴とするブラケット。
【請求項2】
前記第1ブラケットカバーおよび前記第2ブラケットカバーは、前記前後方向に離れた少なくとも2箇所で互いに係合することを特徴とする請求項1に記載のブラケット。
【請求項3】
前記第1ブラケットカバーおよび前記第2ブラケットカバーの少なくともいずれか一方は、前記ブラケット本体に係合することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のブラケット。
【請求項4】
前記第1ブラケットカバーは、前記ブラケット本体の上側に設けられ、
前記第2ブラケットカバーは、前記ブラケット本体の下側に設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のブラケット。
【請求項5】
前記第1ブラケットカバーおよび前記第2ブラケットカバーの一方に係止部が設けられ、他方に前記係止部を係止することで前記被係合部に対する前記係合部のスライドを規制する被係止部が設けられ、
前記係止部および前記被係止部は、スナップフィット構造を構成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のブラケット。
【請求項6】
前記取付部材および前記被取付部材の一方は、浴室部品であり、他方は浴室壁部であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付部材を被取付部材に取り付けるためのブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、手すり棒を平面状の被設置部に取り付けるための手すり用ブラケットが開示されている。この手すり用ブラケットは、ブラケット部材およびブラケット部材の上部を覆う外装部材からなるブラケット本体と、ブラケット本体の下部を覆うブラケットカバーとを備える。このブラケットカバーは、ブラケット本体に対してネジ止めにより固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-179941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される技術では、ブラケットカバーをブラケット本体に固定する際にネジ止め作業を要し、余計な作業負担が生じてしまう。
【0005】
本発明のある態様は、ブラケットカバーをブラケット本体にしっかりと固定しつつ、ブラケットカバーの組み付け時の作業負担を軽減できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のブラケットは、前後方向に延在し、取付部材を被取付部材に固定するためのブラケット本体と、ブラケット本体を覆う第1ブラケットカバーおよび第2ブラケットカバーと、を備える。第1ブラケットカバーおよび第2ブラケットカバーは、互いに係合することで、ブラケット本体に組み付けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ブラケットカバーをブラケット本体にしっかりと固定しつつ、ブラケットカバーの組み付け時の作業負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例の浴室ユニットを示す斜視図である。
図2】第2ブラケットの斜視図である。
図3】第2ブラケットの分解図である。
図4図4(a)は、第1ブラケットカバーの側面図であり、図4(b)は、第1ブラケットカバーの背面図である。
図5】第2ブラケットカバーの斜視断面図である。
図6】手すりを第1壁部に取り付けた状態の第2ブラケットについて説明するための図である。
図7】第2ブラケットの前後方向に沿った後方側の部分断面図である。
図8】変形例の第2ブラケットの前後方向に沿った後方側の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施例の浴室ユニット1を示す斜視図である。浴室ユニット1は、浴槽10、洗い場12、エプロン14、浴室壁部15、鏡16、カウンター18、手すり20、棚22、シャワーヘッド24、水栓装置28、第1ブラケット30aおよび第2ブラケット30bを備える。
【0010】
浴槽10は、平面視矩形状であって前後方向に長く、湯を溜めることができる深皿状である。洗い場12は、浴槽10に左右方向に隣り合う位置に設けられる。左右方向は、前後方向に直交する水平な方向である。前後方向は、例えば、第1ブラケット30aおよび第2ブラケット30bが平面視にて延在する方向でもある。
【0011】
浴室ユニット1は、浴室空間を画定する複数の浴室壁部15を備える。複数の浴室壁部15は、浴室空間を前後左右から取り囲む。複数の浴室壁部15には、浴槽10および洗い場12に渡って左右に延在する第1壁部15aが含まれる。エプロン14は、浴槽10の洗い場12側の側面を覆い、浴槽10および洗い場12の境界に位置する。
【0012】
鏡16は、浴室壁部15の第1壁部15aに貼り付けられ、浴槽10側から洗い場12側に渡って左右方向に延在する。カウンター18は、第1壁部15aの洗い場12側の部分から水平に張り出すように平板状に設けられる。カウンター18は、エプロン14の上端とほぼ同じ高さに設けられる。
【0013】
手すり20は、第1ブラケット30aおよび第2ブラケット30b(これらを区別しない場合、「ブラケット30」という)により第1壁部15aに固定される。手すり20は、ブラケット30により第1壁部15aに取り付けられる取付部材の一例であり、第1壁部15aは手すり20の取付相手となる被取付部材に一例である。第1ブラケット30aは、第1壁部15aの正面視にて右側に設けられ、複数の第2ブラケット30bは、左側に設けられる。手すり20は、浴槽10側から洗い場12側に渡って左右方向に延在し、鏡16より下方でカウンター18より上方に位置する。手すり20により、ユーザが浴槽10と洗い場12を行き来する際に把持してスムーズに移動できる。
【0014】
ブラケット30は、取付部材である手すり20を、被取付部材である第1壁部15aに固定する。第1ブラケット30aは、第2ブラケット30bより第1壁部15aからの突出長さが長くなるように設けられる。
【0015】
手すり20と第1壁部15aの間には、網状の棚22が設けられる。棚22は、せっけんやシャンプーなどの風呂用品の置き場として利用される。つまり、ブラケット30により取り付けられる取付部材は棚22であってよい。
【0016】
スライドバー26は、鏡16の右側で、第1壁部15aの右端部に棒状に設けられ、上下方向に延在し、スライドバー26にはシャワーヘッド24を着脱可能に支持するフックが設けられる。水栓装置28は、洗い場12側の第1壁部15aに設けられ、カウンター18の上方で手すり20の下方に位置する。水栓装置28は、シャワーヘッド24から出る吐水流量を調節したり、温度を調節したりできる。
【0017】
図2は、第2ブラケット30bの斜視図である。図2(a)は第2ブラケット30bを前方Fから見た図であり、図2(b)は第2ブラケット30bを後方Bから見た図である。また、図3は、第2ブラケット30bの分解図である。第2ブラケット30bは、前後方向に延在するように形成され、手すり20側(前方F)に向かって途中で斜め上向きに延びるように屈曲している。これにより、ユーザが手すり20を把持したときに、第2ブラケット30bがユーザの手に干渉することを抑えることができる。
【0018】
第2ブラケット30bは、ブラケット本体32、第1ブラケットカバー34および第2ブラケットカバー36を備える。ブラケット本体32は、手すり20などの取付部材と浴室壁部15などの被取付部材に固定される。ブラケット本体32は、前後方向に延在するように形成され、手すり20側(前方F)に向かって途中で斜め上向きに延びるように屈曲している。
【0019】
第1ブラケットカバー34および第2ブラケットカバー36は、互いに係合することでブラケット本体32に組み付けられ、ブラケット本体32を覆う。ブラケット本体32は樹脂材料で形成され、第1ブラケットカバー34および第2ブラケットカバー36はメッキを施された樹脂材料または金属材料で形成されてよい。ブラケット本体32を第1ブラケットカバー34および第2ブラケットカバー36で覆うことで、ブラケット30の意匠性を向上できる。
【0020】
第1ブラケットカバー34は、前後方向に延在するように形成され、手すり20側(前方F)に向かって途中で斜め上向きに延びるように屈曲している。第1ブラケットカバー34は、ブラケット本体32の上側に設けられ、第2ブラケットカバー36は、ブラケット本体32の下側に設けられる。これにより、第1ブラケットカバー34は、ブラケット本体32に載置された状態にあるためブラケット本体32から外れにくくなる。第2ブラケットカバー36は、第1ブラケットカバー34に対してスライド可能であり、第1ブラケットカバー34に対してスライドして係合し、第1ブラケットカバー34への組み付けを容易にしている。なお、第1ブラケット30aもブラケット本体と一対のブラケットカバーとを有し、第2ブラケット30bと同様の構成を有する。
【0021】
ブラケット本体32は、第1固定部40、第2固定部42、側方凸部44、側方凹部46、本体係止爪48、第1リブ50a、第2リブ50bおよび第3リブ50cを有する。
【0022】
第1固定部40は、ネジ等の締結部材により手すり20に固定される。第2固定部42は、締結部材により第1壁部15aに固定される。第1固定部40は、正面側(前側)に位置し、手すり20に締結するための孔を有する。第2固定部42は、背面側(後ろ側)に位置し、第1壁部15aに締結するための孔を有する。
【0023】
第1固定部40および第2固定部42は、ブラケット本体32の両端にそれぞれ位置し、ブラケット30は、平面視にて第1固定部40から第2固定部42に向かって長手状に形成される。平面視にて第1固定部40から第2固定部42に向かう方向Bおよび第2固定部42から第1固定部40に向かう方向Fをブラケット30の長手方向FBという。ブラケット30の長手方向FBは、第1壁部15aに略垂直な方向に沿い、第1ブラケットカバー34および第2ブラケットカバー36のスライド方向にほぼ沿っている。ブラケット本体32の下側は開放されており、第1固定部40および第2固定部42を固定する際に、締結部材や工具を下側から差し込むことができる。
【0024】
側方凸部44は、ブラケット本体32の側面の下部に突出して一対形成される。側方凹部46は、ブラケット本体32の側面の上部に凹んで一対形成される。本体係止爪48は、ブラケット本体32の側面の中央部に突出して一対形成される。側方凸部44、側方凹部46および本体係止爪48は、いずれも第2固定部42側に形成される。本体溝部49は第1ブラケットカバー34のスライド方向に沿っている。
【0025】
第1リブ50aは、ブラケット本体32の上面に突出して形成され、前後方向に延びる。第2リブ50bおよび第3リブ50cは、ブラケット本体32の側面に突出して形成され、上下方向UDに延び、前後方向に離れて位置する。これらのリブ50a,50b,50cは第1ブラケットカバー34および第2ブラケットカバー36に当接して、第1ブラケットカバー34および第2ブラケットカバー36のガタつきを抑える。
【0026】
第1ブラケットカバー34は、ブラケット本体32の上側からブラケット本体32を覆う。ここで、第1ブラケットカバー34および第2ブラケットカバー36について新たな図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図4(a)は、第1ブラケットカバー34の側面図であり、図4(b)は、第1ブラケットカバー34の背面図である。第1ブラケットカバー34の形状は、上壁と、上壁の両縁から垂下する一対の側壁とにより構成され、断面が略U字形に形成される。第1ブラケットカバー34は、薄肉部52、第1係合部54a、第2係合部54b、被係止部56、内側係止爪58、正面側内方凸部60および背面側内方凸部62を有する。
【0028】
薄肉部52は、第1ブラケットカバー34の外側面を凹ませるように、第1ブラケットカバー34の下部にて薄い板状に形成される。
【0029】
第1係合部54aおよび第2係合部54bは、薄肉部52の外面に突出して形成され、スライド方向に延びる。第1係合部54aおよび第2係合部54bをスライド方向に延ばすことで第2ブラケットカバー36への引っ掛かり代を確保できる。第1係合部54aおよび第2係合部54bは、長手方向および上下方向に離れて位置し、いずれも第1ブラケットカバー34の両外側面にそれぞれ形成される。第1係合部54aは背面側に位置し、第2係合部54bは正面側に位置する。第1係合部54aおよび第2係合部54bは第2ブラケットカバー36のスライドをガイドする。
【0030】
被係止部56は、薄肉部52の外面に爪状に突出して形成され、第1ブラケットカバー34の両側面にそれぞれ形成される。被係止部56は、第1係合部54aより背面側に位置し、スライド方向後方側に位置するため、第2ブラケットカバー36のスライドを終える時に第2ブラケットカバー36に係合する。
【0031】
内側係止爪58は、図4(a)に破線で示す内方に突出する突起を有し、ブラケット本体32の本体係止爪48に係止する。内側係止爪58は、両側に一対形成されており、背面側の位置で下方に延出するように形成されている。よって、内側係止爪58は組み付けの際にブラケット本体32の本体係止爪48に当たって拡開するように撓み可能である。内側係止爪58がブラケット本体32の本体係止爪48に係止することで、第1ブラケットカバー34がブラケット本体32に対してスライド方向および長手方向に移動することを抑えることができる。
【0032】
正面側内方凸部60および背面側内方凸部62は、第1ブラケットカバー34の両側面の内側に突出して一対ずつ形成され、長手方向に離れて位置する。正面側内方凸部60は、本体溝部49に対して前後方向にスライド可能であり、本体溝部49に上下方向に係合する。背面側内方凸部62は図3に示す側方凹部46に対して前後方向にスライド可能であり、側方凹部46に上下方向に係合する。正面側内方凸部60および背面側内方凸部62により、第1ブラケットカバー34がブラケット本体32に対して上下方向および前方へ動くことを規制できる。なお、正面側内方凸部60および背面側内方凸部62のいずれか一方のみで係合した場合、前後両端の1箇所のみの係合となってその係合部分を起点として揺動するように第1ブラケットカバー34がブラケット本体32に対してガタつくおそれがある。正面側内方凸部60がブラケット本体32の本体溝部49に係合して第1ブラケットカバー34の上下方向の動きが規制され、背面側内方凸部62がブラケット本体32の側方凹部46に係合して第1ブラケットカバー34の上下方向および前方への動きが規制され、内側係止爪58がブラケット本体32の本体係止爪48に係合して第1ブラケットカバー34の後方への動きが規制されることで、第1ブラケットカバー34がブラケット本体32に対して上下方向および前後方向に動くことを規制し、第1ブラケットカバー34をブラケット本体32にしっかりと固定できる。
【0033】
図5は、第2ブラケットカバー36の斜視断面図である。第2ブラケットカバー36の形状は、下壁と、下壁の両縁から立設する一対の側壁とにより構成され、断面が略U字形に形成される。第2ブラケットカバー36は、薄肉部64、第1溝部66a、第2溝部66b、係止部68および背面側凹部70を有する。
【0034】
薄肉部64は、第2ブラケットカバー36の内側面を凹ませるように、第2ブラケットカバー36の上部にて薄い板状に形成されており、第1ブラケットカバー34の薄肉部52と重なる。
【0035】
第1溝部66aおよび第2溝部66bは、薄肉部64の内面に溝状に形成され、スライド方向に延びる。第1溝部66aおよび第2溝部66bは、長手方向および上下方向に離れて位置し、いずれも第2ブラケットカバー36の両内側面に形成される。第1溝部66aは背面側に位置し、第2溝部66bは正面側に位置する。第1溝部66aは、第1係合部54aに対して前後方向にスライド可能であり、第1係合部54aに係合し、第2溝部66bは、第2係合部54bに対して前後方向にスライド可能であり、第2係合部54bに係合する。第1溝部66aおよび第2溝部66bは、第1係合部54aおよび第2係合部54bに係合される被係合部として機能する。
【0036】
係止部68は、薄肉部64の内面に爪状に突出して形成され、第2ブラケットカバー36の両側面にそれぞれ形成される。係止部68は、第1溝部66aより背面側に位置し、第1ブラケットカバー34の被係止部56に係止し、第2ブラケットカバー36が正面側に、つまり第2ブラケットカバー36が第1ブラケットカバー34から外れる方向にスライドすることを規制する。
【0037】
背面側凹部70は、第2ブラケットカバー36の両内側面に凹んで形成され、ブラケット本体32の側方凸部44にスライドして上下方向に係合する。背面側凹部70が側方凸部44に係合することで、第2ブラケットカバー36がブラケット本体32に対して上下方向に動くことを規制できる。これにより、第2ブラケットカバー36をブラケット本体32にしっかり固定でき、第2ブラケットカバー36をスライドさせれば固定できるため、第2ブラケットカバー36の組み付け時の作業負担を軽減できる。
【0038】
図3に戻り、ブラケット30の取付方法について説明する。ブラケット本体32を第1壁部15aおよび手すり20に取り付ける前に、第1ブラケットカバー34がブラケット本体32に取り付けられる。第1ブラケットカバー34の正面側内方凸部60および背面側内方凸部62が、ブラケット本体32の本体溝部49および側方凹部46にブラケット本体32の背面側からスライドして係合され、内側係止爪58が本体係止爪48に係止することで、第1ブラケットカバー34がブラケット本体32に取り付けられる。
【0039】
側方凹部46が背面側内方凸部62に係合することで、第1ブラケットカバー34の正面側への移動が規制され、本体係止爪48が内側係止爪58に係止することで、第1ブラケットカバー34の背面側への移動が規制される。ブラケット本体32は、第1ブラケットカバー34を組み付けた状態で下側が開放されており、締結部材を挿入可能である。
【0040】
次に、ブラケット本体32は、第1壁部15aおよび手すり20にそれぞれ固定される。第1固定部40に締結部材により手すり20が固定され、第2固定部42が締結部材により第1壁部15aに固定される。
【0041】
次に、第2ブラケットカバー36がブラケット本体32の開放された下部を覆うように、ブラケット本体32および第1ブラケットカバー34の正面側からスライドされる。第2ブラケットカバー36の背面側凹部70は、ブラケット本体32の側方凸部44にスライドして係合する。ユーザは、第2ブラケットカバー36の第1溝部66aおよび第2溝部66bを、第1ブラケットカバー34の第1係合部54aおよび第2係合部54bの位置に合わせ、スライドさせて係合させる。
【0042】
第2ブラケットカバー36を第1ブラケットカバー34に対してさらにスライドさせると、係止部68が突出した被係止部56に当たり、係止部68周りの薄肉部64が拡開するように弾性的に撓み、係止部68が被係止部56を乗り越えると薄肉部64が復元し、係止部68が被係止部56に係止する。つまり、係止部68および被係止部56は、容易に取り付け可能なスナップフィット構造を構成している。これにより、ブラケット30の取り付けが完了する。
【0043】
このように、第1ブラケットカバー34および第2ブラケットカバー36をスライドさせて一体化させて筒状体にすることで、ブラケット本体32に容易に組み付けることができる。
【0044】
第1ブラケットカバー34は、正面側内方凸部60および背面側内方凸部62と本体溝部49および側方凹部46とによりブラケット本体32に係合し、第2ブラケットカバー36は、背面側凹部70と側方凸部44によりブラケット本体32に係合する。これにより、第1ブラケットカバー34が上方に動くこと、第2ブラケットカバー36が下方に動くことを規制でき、一体に係合されている第1ブラケットカバー34および第2ブラケットカバー36がブラケット本体32に対してガタつくことを抑えることができる。
【0045】
また、第1ブラケットカバー34をブラケット本体32の背面側からスライドして背面側内方凸部62と側方凹部46とを係合させ、第2ブラケットカバー36をブラケット本体32の正面側からスライドして背面側凹部70と側方凸部44とを係合させることで、第1ブラケットカバー34および第2ブラケットカバー36がブラケット本体32に対して水平方向および上下方向に動くことを規制できる。
【0046】
図6は、手すり20を第1壁部15aに取り付けた状態の第2ブラケット30bについて説明するための図である。図6では第2ブラケット30bの側面を前後方向に沿って薄く切り欠いた状態を示す。
【0047】
第1ブラケットカバー34の第1係合部54aおよび第2係合部54bが第2ブラケットカバー36の第1溝部66aおよび第2溝部66bに上下方向UDに係合している。第1ブラケットカバー34の係合部と第2ブラケットカバー36の溝部が長手方向(前後方向FB)に離れて2箇所で係合することで、係合部と溝部の係合を上下に離れて設けることができ、立ち上がるように屈曲した第1ブラケットカバー34に対して両端側で係合させることができ、第1ブラケットカバー34および第2ブラケットカバー36のガタつきを抑えることができる。水平に延びる係合部と溝部の係合により、第1ブラケットカバー34および第2ブラケットカバー36が上下方向UDには外れないようにできる。
【0048】
図7は、第2ブラケット30bの前後方向に沿った後方側の部分断面図である。第2ブラケットカバー36の係止部68および第1ブラケットカバー34の被係止部56は、水平方向に係止しており、第2ブラケットカバー36が前方Fに移動することを規制している。これにより、第2ブラケットカバー36が第1ブラケットカバー34から外れるようにスライドすることを規制できる。
【0049】
第1ブラケットカバー34の内側係止爪58は、ブラケット本体32の本体係止爪48に水平方向に係止しており、第1ブラケットカバー34が後方Bに移動することを規制している。これにより、第1ブラケットカバー34がブラケット本体32から外れるようにスライドすることを規制できる。
【0050】
図8は、変形例の第2ブラケット30bの前後方向に沿った後方側の部分断面図である。変形例の第2ブラケット30bは、図7に示す第2ブラケット30bと比べて、被係止部56および係止部68とは別の被係止部57および係止部69を有する点で異なる。
【0051】
別の被係止部57は、被係止部56と同様に、薄肉部52の外面に爪状に突出して形成され、第1ブラケットカバー34の両側面にそれぞれ形成される。別の係止部69は、係止部68と同様に、薄肉部64の内面に爪状に突出して形成され、第2ブラケットカバー36の両側面にそれぞれ形成される。別の被係止部57および係止部69は、第2ブラケットカバー36が第1ブラケットカバー34から外れる方向にスライドすることを規制する点で、被係止部56および係止部68と同じであるが、被係止部56および係止部68と比べて配置が異なっている。
【0052】
被係止部56および係止部68は、第2ブラケット30bの後方B側で湾曲した両側面に形成されるのに対し、別の被係止部57および係止部69は、被係止部56および係止部69より前方F側で前後方向FBに略平行な両側面に形成される。これにより、加工精度のよい平面部分に被係止部57および係止部69を形成することができ、係止を外れにくくでき、第2ブラケットカバー36が第1ブラケットカバー34から外れる方向のスライドを安定して規制できる。
【0053】
なお実施例はあくまでも例示であり、各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0054】
実施例では、ブラケット30により取り付ける取付部材として手すり20および棚22を示したが、この態様に限られない。例えば、ブラケット30によりカウンター18を取り付けてよい。また、被取付部材として第1壁部15aを示したが、浴室壁部15のいずれの壁であってよく、またエプロン14であってもよい。
【0055】
実施例では、第1ブラケットカバー34に突出した第1係合部54aおよび第2係合部54bを形成し、第2ブラケットカバー36に第1溝部66aおよび第2溝部66bを形成する態様を示したが、この態様に限られない。例えば、凹凸関係は逆であってよく、第1ブラケットカバー34に第1溝部および第2溝部を形成されてよい、第2ブラケットカバー36に第1係合部および第2係合部が形成されてよい。
【0056】
また、正面側内方凸部60および背面側内方凸部62と本体溝部49および側方凹部46との凹凸関係が逆であってよく、背面側凹部70と側方凸部44との凹凸関係が逆であってよい。
【0057】
第2態様のブラケットは第1態様において、前記第1ブラケットカバーおよび前記第2ブラケットカバーは、前記前後方向に離れた少なくとも2箇所で互いに係合してよい。
これにより、1箇所のみの係合となってその係合部分を起点として揺動するように第1ブラケットカバーと第2ブラケットカバーがガタつくことを抑えることができる。
【0058】
第3態様のブラケットは第1態様または第2態様において、前記第1ブラケットカバーおよび前記第2ブラケットカバーの一方に係合部が設けられ、他方に前記係合部に係合する被係合部が設けられ、前記係合部は、前記被係合部に対してスライド可能であってよい。
これにより、第2ブラケットカバーを第1ブラケットカバーに組み付ける際にスライド方向にガイドさせることができる。
【0059】
第4態様のブラケットは第1態様から第3態様のいずれかにおいて、前記第1ブラケットカバーおよび前記第2ブラケットカバーの少なくともいずれか一方は、前記ブラケット本体に係合してもよい。
これにより、一体化した第1ブラケットカバーおよび第2ブラケットカバーと、ブラケット本体との位置ずれを抑えることができる。
【0060】
第5態様のブラケットは第1態様から第4態様のいずれかにおいて、前記第1ブラケットカバーは、前記ブラケット本体の上側に設けられ、前記第2ブラケットカバーは、前記ブラケット本体の下側に設けられてもよい。
これにより、上側の第1ブラケットカバーがブラケット本体から外れないように構成でき、例えば第2ブラケットカバーを第1ブラケットカバーに対して係合部と溝部の係合による下方向の外れを十分に規制することで、第1ブラケットカバーおよび第2ブラケットカバーをブラケット本体32から外れにくくできる。
【0061】
第6態様のブラケットは第1態様から第5態様のいずれかにおいて、前記第1ブラケットカバーおよび前記第2ブラケットカバーの一方に係止部が設けられ、他方に前記係止部を係止することで前記被係合部に対する前記係合部のスライドを規制する被係止部が設けられ、前記係止部および前記被係止部は、スナップフィット構造を構成してもよい。
これにより、ユーザが第2ブラケットカバー36を第1ブラケットカバー34に対してスライド方向に押せば、係止部および被係止部を係止させることができ、容易に組み付けできる。また、係合部および被係合部のスライドを規制することで、係合部および被係合部の係合を外れないようにできる。
【0062】
第7態様のブラケットは、第1態様から第6態様にいずれかにおいて、取付部材および被取付部材の一方は、浴室部品であり、他方は浴室壁部であってよい。
ブラケットにより浴室部品を浴室壁部に容易に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0063】
30a 第1ブラケット、 30b 第2ブラケット、 30 ブラケット、 32 ブラケット本体、 34 第1ブラケットカバー、 36 第2ブラケットカバー、 56 被係止部、 68 係止部。
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図8