(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】摺動式バースクリーン及びこれを用いた搬送選別装置
(51)【国際特許分類】
B07B 1/12 20060101AFI20230302BHJP
E02B 5/08 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B07B1/12 B
E02B5/08 101A
(21)【出願番号】P 2018162669
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000133032
【氏名又は名称】株式会社タクマ
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100082474
【氏名又は名称】杉本 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】別枝 宏平
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3039894(JP,U)
【文献】実公昭46-012448(JP,Y1)
【文献】米国特許第05117983(US,A)
【文献】特開2004-041892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/00-15/00
E02B 5/08
B09B 1/00- 5/00
B09C 1/00- 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異物が混入している搬送中の粉粒状の搬送物から異物を除去する摺動式バースクリーンであって、複数の長尺状のスクリーンバーを搬送物の搬送方向に沿う姿勢で且つ搬送物の搬送方向と直交する水平方向に所定の間隔を空けて並設したバースクリーンと、前記バースクリーンの各スクリーンバーを
ガタツキを持たせた状態で支持するスクリーン支持手段とを少なくとも備え、異物を含む粉粒状の搬送物が前記バースクリーンの各スクリーンバー上を搬送される構成とし、前記各スクリーンバーには貫通穴が形成されており、前記スクリーン支持手段は、前記スクリーンバーの貫通
穴に挿通される支持軸と、前記支持軸に挿通され、少なくとも前記スクリーンバーの間に設置されるスペーサと、を含み、前記支持軸の外径が、前記貫通
穴の内径よりも小さく、前記スペーサの長さが、前記スクリーンバーの設置間隔よりも短いことを特徴とする摺動式バースクリーン。
【請求項2】
前記バースクリーンは、各スクリーンバーの上面にそれぞれ設けられて異物の噛み込みを防止する案内板を備えており、前記各案内板は、平面形状が長尺状の三角形状を呈し、バースクリーンの上流側から下流側に向けて漸次細くなる形状としたことを特徴とする請求項1に記載の摺動式バースクリーン。
【請求項3】
前記各スクリーンバーには二つの貫通
穴が所定の間隔を空けて形成されており、前記スクリーン支持手段は、前記二つの貫通
穴のそれぞれに挿通される二本の支持軸を備えることを特徴とする請求項1に記載の摺動式バースクリーン。
【請求項4】
前記バースクリーンの各スクリーンバー及び前記各スペーサを二本の支持軸から取り外し可能としたことを特徴とする請求項3に記載の摺動式バースクリーン。
【請求項5】
前記摺動式バースクリーンは、前記バースクリーン及び前記スクリーン支持手段を収容支持し、バースクリーンの各スクリーンバー間から落下した搬送物を排出する搬送物用排出口と、バースクリーンの下流側端から落下した異物を排出する異物用排出口とを有するバースクリーン用ケーシングを更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の摺動式バースクリーン。
【請求項6】
異物が混入している粉粒状の搬送物を搬送するフライトコンベヤと、前記フライトコンベヤのケーシングの底板の一部を切り欠いた箇所に設置された請求項1~4の何れかに記載の摺動式バースクリーンとを備え、前記摺動式バースクリーンの各スクリーンバーの上面がフライトコンベヤのケーシングの底板を切り欠いた位置に配置され、各スクリーンバーの上面をフライトコンベヤのフライトが摺動する構成としたことを特徴とする搬送選別装置。
【請求項7】
異物が混入している粉粒状の搬送物を搬送する傾斜状のシュートと、前記傾斜状のシュートの底板の一部を切り欠いた箇所に設置された請求項1~4の何れかに記載の摺動式バースクリーンとを備え、前記摺動式バースクリーンの各スクリーンバーの上面が傾斜状のシュートの底板を切り欠いた位置に配置され、各スクリーンバーの上面を搬送物が自重により滑り落ちる構成としたことを特徴とする搬送選別装置。
【請求項8】
前記フライトコンベヤは、下流側端部が上流側端部よりも高くなる傾斜姿勢で設置され、また、前記摺動式バースクリーンの各スクリーンバーは、フライトコンベヤのケーシングの下流側端部の底板を切り欠いた箇所に配置される傾斜部と、傾斜部の上流側端部に下向きに連設された上流側垂直部と、傾斜部の下流側端部に下向きに連設されて上流側垂直部よりも長い下流側垂直部と備え、前記上流側垂直部の下端部及び下流側垂直部の下端部にそれぞれスクリーン支持手段を設けたことを特徴とする請求項6に記載の搬送選別装置。
【請求項9】
前記摺動式バースクリーンは、前記バースクリーン及び前記スクリーン支持手段を収容支持し、バースクリーンの各スクリーンバー間から落下した搬送物を排出する搬送物用排出口と、バースクリーンの下流側端から落下した異物を排出する異物用排出口とを有するバースクリーン用ケーシングを更に備え、前記バースクリーン用ケーシングは、フライトコンベヤのケーシングの底板の一部を切り欠いた箇所の下方位置にフライトコンベヤのケーシングと縁を切った状態で設置されていることを特徴とする請求項6に記載の搬送選別装置。
【請求項10】
前記摺動式バースクリーンは、前記バースクリーン及び前記スクリーン支持手段を収容支持し、バースクリーンの各スクリーンバー間から落下した搬送物を排出する搬送物用排出口と、バースクリーンの下流側端から落下した異物を排出する異物用排出口とを有するバースクリーン用ケーシングを更に備え、前記バースクリーン用ケーシングは、傾斜状のシュートの底板の一部を切り欠いた箇所の下方位置に傾斜状のシュートと縁を切った状態で設置されていることを特徴とする請求項7に記載の搬送選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属類や岩石、陶器片等の異物が混入している粉粒状の搬送物、例えば、ごみ焼却炉から排出された焼却灰から異物を除去する摺動式バースクリーン及びこれを用いた搬送選別装置に係り、特に、異物が混入している焼却灰を搬送するフライトコンベヤや傾斜状のシュートに設置されて焼却灰中の大きな異物を除去する摺動式バースクリーン及びこれを用いた搬送選別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
都市ごみや産業廃棄物等のごみを焼却処理するストーカ式焼却炉や流動層式焼却炉等のごみ焼却炉を備えたごみ処理施設においては、ごみ焼却炉から排出された焼却灰を資源化して再利用することが行われている。例えば、ごみ焼却炉から排出された焼却灰をセメント原料として再利用することが行われている。
【0003】
ところで、都市ごみや産業廃棄物等のごみを、破砕処理や選別処理等の前処理を施さずにごみ焼却炉で焼却処理した場合、ごみ焼却炉から排出される焼却灰中に金属類(針金、金属パイプ、金属板等)、岩石、陶器片、コンクリート片等の異物が多く混入している。
【0004】
そのため、異物が混入している焼却灰を再資源化する際には、焼却灰中の異物が再資源化処理装置内で詰まって再資源化処理装置の故障の原因となるので、焼却灰中の異物を除去する必要がある。特に、焼却灰中に含まれている大きな異物を除去する必要がある。
【0005】
従来、焼却灰中の異物を除去する方法としては、主に下記の方法が用いられて来た。
(a)シュート内にバースクリーン若しくは格子状のスクリーンを設置し、シュート内を 落下して来た焼却灰中の異物をバースクリーン若しくは格子状のスクリーンで捕捉す る方法(例えば、特許文献1の
図3及び
図4)。
(b)ケーシング内に設置した振動スクリーン上に焼却灰を供給し、振動する振動スク リーンによって、異物以外の焼却灰を振動スクリーンからふるい落とす方法(例え ば、特許文献2~5)。
(c)スクリーン状の円筒回転体(トロンメル)の中に焼却灰を供給し、円筒回転体を回 転させることによって、異物以外の焼却灰を円筒回転体からふるい落とす方法(例え ば、特許文献6~8)。
【0006】
しかしながら、バースクリーンや格子状のスクリーン、振動スクリーン、円筒回転体(トロンメル)を用いて焼却灰中の異物を除去する場合には、次のような問題が発生していた。
(1)固定式のバースクリーンや格子状のスクリーンの場合、冷却水により冷却された 湿った焼却灰(湿灰)のように、焼却灰に粘着性があると、バースクリーンや格子状 のスクリーンが目詰まりを引き起こす。
(2)バースクリーンや格子状のスクリーン等で捕捉した針金等の異物がスクリーン等に 絡みついた場合、捕捉した異物の除去作業が困難となる。
(3)高温の焼却灰から異物を除去する場合、バースクリーンや格子状のスクリーン等で 捕捉した異物も高温になっているので、捕捉した異物の除去作業に危険を伴う。
(4)振動スクリーンやスクリーン状の円筒回転体(トロンメル)は、振動スクリーンや 円筒回転体を動かすための動力が必要になる。
(5)振動スクリーンは、振動機器のため、機器騒音が大きい。
(6)振動スクリーンは、振動機器のため、機械の消耗が激しくて維持管理費が高額にな る。
(7)スクリーン状の円筒回転体(トロンメル)は、回転機器のため、機械の消耗が激し くて維持管理費が高額になる。
【0007】
このように、焼却灰中の異物の除去に固定式のバースクリーンや格子状のスクリーン、振動スクリーン、スクリーン状の円筒回転体(トロンメル)を用いると、上述した(1)~(7)に示すような問題を引き起こすことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2003-071405号公報
【文献】特開平11-226504号公報
【文献】特開2007-021432号公報
【文献】特開2008-168208号公報
【文献】特開2015-066500号公報
【文献】特開昭60-241975号公報
【文献】特開2000-167487号公報
【文献】特開2004-298730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、粘着性のある搬送物(例えば、湿った焼却灰)でも目詰まりを起こすことがなく、また、異物の噛み込みが少なく、しかも、バースクリーン自体の動力が不要になる摺動式バースクリーン及びこれを用いた搬送選別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の摺動式バースクリーンは、異物が混入している搬送中の粉粒状の搬送物から異物を除去する摺動式バースクリーンであって、複数の長尺状のスクリーンバーを搬送物の搬送方向に沿う姿勢で且つ搬送物の搬送方向と直交する水平方向に所定の間隔を空けて並設したバースクリーンと、前記バースクリーンの各スクリーンバーをガタツキを持たせた状態で支持するスクリーン支持手段とを少なくとも備え、異物を含む粉粒状の搬送物が前記バースクリーンの各スクリーンバー上を搬送される構成とし、前記各スクリーンバーには貫通穴が形成されており、前記スクリーン支持手段は、前記スクリーンバーの貫通穴に挿通される支持軸と、前記支持軸に相通され、少なくとも前記バースクリーンの間に設置されるスペーサと、を含み、前記支持軸の外径が、前記貫通穴の内径よりも小さく、前記スペーサの長さが、前記スクリーンバーの設置間隔よりも短いことに特徴がある。
【0011】
本発明の請求項2に記載の摺動式バースクリーンは、請求項1に記載の摺動式バースクリーンにおいて、前記バースクリーンは、各スクリーンバーの上面にそれぞれ設けられて異物の噛み込みを防止する案内板を備えており、前記各案内板は、平面形状が長尺状の三角形状を呈し、バースクリーンの上流側から下流側に向けて漸次細くなる形状としたことに特徴がある。
【0012】
本発明の請求項3に記載の摺動式バースクリーンは、請求項1に記載の摺動式バースクリーンにおいて、前記各スクリーンバーには二つの貫通穴が所定の間隔を空けて形成されており、前記スクリーン支持手段は、前記二つの貫通穴のそれぞれに挿通される二本の支持軸を備えることに特徴がある。
【0013】
本発明の請求項4に記載の摺動式バースクリーンは、請求項3に記載の摺動式バースクリーンにおいて、前記バースクリーンの各スクリーンバー及び前記各スペーサを二本の支持軸から取り外し可能としたことに特徴がある。
【0014】
本発明の請求項5に記載の摺動式バースクリーンは、請求項1に記載の摺動式バースクリーンにおいて、前記摺動式バースクリーンは、前記バースクリーン及び前記スクリーン支持手段を収容支持し、バースクリーンの各スクリーンバー間から落下した搬送物を排出する搬送物用排出口と、バースクリーンの下流側端から落下した異物を排出する異物用排出口とを有するバースクリーン用ケーシングを更に備えていることに特徴がある。
【0015】
本発明の請求項6に記載の搬送選別装置は、異物が混入している粉粒状の搬送物を搬送するフライトコンベヤと、前記フライトコンベヤのケーシングの底板の一部を切り欠いた箇所に設置された請求項1~4の何れかに記載の摺動式バースクリーンとを備え、前記摺動式バースクリーンの各スクリーンバーの上面がフライトコンベヤのケーシングの底板を切り欠いた位置に配置され、各スクリーンバーの上面をフライトコンベヤのフライトが摺動する構成としたことに特徴がある。
【0016】
本発明の請求項7に記載の搬送選別装置は、異物が混入している粉粒状の搬送物を搬送する傾斜状のシュートと、前記傾斜状のシュートの底板の一部を切り欠いた箇所に設置された請求項1~4の何れかに記載の摺動式バースクリーンとを備え、前記摺動式バースクリーンの各スクリーンバーの上面が傾斜状のシュートの底板を切り欠いた位置に配置され、各スクリーンバーの上面を搬送物が自重により滑り落ちる構成としたことに特徴がある。
【0017】
本発明の請求項8に記載の搬送選別装置は、請求項6に記載の搬送選別装置において、前記フライトコンベヤは、下流側端部が上流側端部よりも高くなる傾斜姿勢で設置され、また、前記摺動式バースクリーンの各スクリーンバーは、フライトコンベヤのケーシングの下流側端部の底板を切り欠いた箇所に配置される傾斜部と、傾斜部の上流側端部に下向きに連設された上流側垂直部と、傾斜部の下流側端部に下向きに連設されて上流側垂直部よりも長い下流側垂直部と備え、前記上流側垂直部の下端部及び下流側垂直部の下端部にそれぞれスクリーン支持手段を設けたことに特徴がある。
【0018】
本発明の請求項9に記載の搬送選別装置は、請求項6に記載の搬送選別装置において、前記摺動式バースクリーンは、前記バースクリーン及び前記スクリーン支持手段を収容支持し、バースクリーンの各スクリーンバー間から落下した搬送物を排出する搬送物用排出口と、バースクリーンの下流側端から落下した異物を排出する異物用排出口とを有するバースクリーン用ケーシングを更に備え、前記バースクリーン用ケーシングは、フライトコンベヤのケーシングの底板の一部を切り欠いた箇所の下方位置にフライトコンベヤのケーシングと縁を切った状態で設置されていることに特徴がある。
【0019】
本発明の請求項10に記載の搬送選別装置は、請求項7に記載の搬送選別装置において、前記摺動式バースクリーンは、前記バースクリーン及び前記スクリーン支持手段を収容支持し、バースクリーンの各スクリーンバー間から落下した搬送物を排出する搬送物用排出口と、バースクリーンの下流側端から落下した異物を排出する異物用排出口とを有するバースクリーン用ケーシングを更に備え、前記バースクリーン用ケーシングは、傾斜状のシュートの底板の一部を切り欠いた箇所の下方位置に傾斜状のシュートと縁を切った状態で設置されていることに特徴がある。
【発明の効果】
【0020】
本発明の摺動式バースクリーンは、バースクリーンを形成する複数のスクリーンバーをスクリーン支持手段によりガタツキを持たせた状態で支持しているため、異物が混入している粘着性のある搬送物、例えば、湿った焼却灰をバースクリーン上で搬送しても、バースクリーンにガタツキを持たせているので、バースクリーンに固着した焼却灰が成長する前に剥離され、バースクリーンの目詰まりを防止することができ、自浄機能を有することになる。
【0021】
また、本発明の摺動式バースクリーンは、各スクリーンバーの上面に異物の噛み込みを防止する案内板をそれぞれ設け、当該案内板をバースクリーンの上流側から下流側に向けて漸次細くなる平面形状が長尺状の三角形状としているため、バースクリーンのスクリーンバー間の間隔が上流側から下流側に行くに従って漸次広くなり、しかも、バースクリーンにガタツキを持たせているので、搬送物中の異物がスクリーンバー間に挟まったとしても、異物が下流側へ押されることによって、スクリーンバー間から簡単に抜けることになり、異物の噛み込みが少なくなる。
【0022】
更に、本発明の摺動式バースクリーンは、バースクリーンを形成する複数のスクリーンバーと、各スクリーンバーにガタツキを持たせる筒状のスペーサとを支持軸から取り外し可能としているため、スクリーンバーの数量及びスペーサの寸法を変更することによって、目開き寸法(隣接するスクリーンバー間の間隔)を任意に調整することができると共に、目開き寸法の調整も容易に行うことができる。また、各スクリーンバーも支持軸に固定していないので、交換も容易に行うことができる。
【0023】
本発明の搬送選別装置は、異物が混入している粉粒状の搬送物を搬送するフライトコンベヤと、前記フライトコンベヤのケーシングの底板の一部を切り欠いた箇所に設置された上述の摺動式バースクリーンとを備え、前記摺動式バースクリーンの各スクリーンバーの上面がフライトコンベヤのケーシングの底板を切り欠いた位置に配置され、各スクリーンバーの上面をフライトコンベヤのフライトが摺動する構成としているため、従来の振動スクリーンやトロンメルのようにそれ自体を動かす動力を必要とすることがなく、摺動式バースクリーン自体の動力が不要になる。
【0024】
また、本発明の搬送選別装置は、異物が混入している粉粒状の搬送物を搬送する傾斜状のシュートと、前記シュートの底板の一部を切り欠いた箇所に設置された上述の摺動式バースクリーンとを備え、前記摺動式バースクリーンの各スクリーンバーの上面が傾斜状のシュートの底板を切り欠いた位置に配置され、各スクリーンバーの上面を搬送物が自重により滑り落ちる構成としているため、従来の振動スクリーンやトロンメルのようにそれ自体を動かす動力を必要とすることがなく、摺動式バースクリーン自体の動力が不要になる。
【0025】
更に、本発明の搬送選別装置は、フライトコンベヤを下流側端部が上流側端部よりも高くなる傾斜姿勢で設置され、また、前記摺動式バースクリーンの各スクリーンバーが、フライトコンベヤのケーシングの下流側端部の底板を切り欠いた箇所に配置される傾斜部と、傾斜部の上流側端部に下向きに連設された上流側垂直部と、傾斜部の下流側端部に下向きに連設されて上流側垂直部よりも長い下流側垂直部と備え、前記上流側垂直部の下端部及び下流側垂直部の下端部にそれぞれスクリーン支持手段を設けているため、スクリーンバー間から落ちかかっている状態でフライトにより搬送されている異物であっても、スクリーン支持手段の支持軸に引っ掛かることなく、バースクリーンの下流側端から落下排出される。
【0026】
更に、本発明の搬送選別装置は、摺動式バースクリーンがバースクリーン及びスクリーン支持手段を収容支持するバースクリーン用ケーシングを更に備え、当該バースクリーン用ケーシングがフライトコンベヤのケーシング又は傾斜状のシュートと縁を切った状態で設置されているため、バースクリーン用ケーシングを振動機で振動させることが可能となり、異物の除去をより効率的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態に係る摺動式バースクリーンを用いた搬送選別装置の概略正面図である。
【
図2】搬送選別装置を構成するフライトコンベヤの縦断面図である。
【
図4】搬送選別装置を構成する摺動式バースクリーンの縦断面図である。
【
図5】摺動式バースクリーン(バースクリーン用ケーシングは図示省略)の斜視図である。
【
図6】バースクリーンを支持するスクリーン支持手段の縦断面図である。
【
図7】バースクリーンを構成するスクリーンバーの平面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る摺動式バースクリーンを用いた搬送選別装置の他の例を示す要部の概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
図1は本発明の実施形態に係る摺動式バースクリーン1を用いた搬送選別装置Aを示し、当該搬送選別装置Aは、金属類や岩石、陶器片等の異物が混入している粉粒状の搬送物を搬送しながら、搬送物中の大きな異物を除去するものである。
【0030】
本実施形態においては、粉粒状の搬送物は、ごみ焼却炉から排出されて冷却水により冷却された異物bを含む粘着性のある焼却灰a(湿灰)としている。
【0031】
尚、粉粒状の搬送物は、焼却灰aに限定されるものではなく、金属類や岩石等の異物bが混入している土砂であっても良く、粉粒状を呈して異物bが混入しているものであれば良い。
【0032】
前記搬送選別装置Aは、
図1~
図4に示す如く、ごみ焼却炉から排出されて異物bが混入している焼却灰aを低所側から高所側へ搬送するフライトコンベヤ2と、フライトコンベヤ2のケーシング3の下流側底板3e(高所側底板3e)の一部を切り欠いた箇所(焼却灰a及び異物bの排出口3d)の下方位置に設置され、異物bが混入している搬送中の焼却灰aから異物bを除去する摺動式バースクリーン1とを備えており、摺動式バースクリーン1の各スクリーンバー11′の上面がフライトコンベヤ2のケーシング3の底板3eを切り欠いた位置に配置され、各スクリーンバー11′の上面をフライトコンベヤ2のフライト9が摺動する構成となっている。
【0033】
前記フライトコンベヤ2は、
図1及び
図2に示す如く、断面形状が矩形の長尺状のケーシング3と、ケーシング3の一端部内方に回転自在に設けた駆動スプロケット4と、ケーシング3の他端部内方に回転自在に設けた従動スプロケット5と、駆動スプロケット4及び従動スプロケット5に巻き回された対向する一対の無端状のチェーン6と、駆動スプロケット4を回転駆動するモータ7及び伝動機構8と、一対のチェーン6に一定間隔ごとに取り付けられ、ケーシング3内に投入された焼却灰aを掻き取るように搬送する複数のフライト9とを備えている。
【0034】
また、フライトコンベヤ2のケーシング3は、
図1に示す如く、地上付近で水平方向に延びる水平部分3aと、地上付近から高所に向って傾斜方向に延びる傾斜部分3bとを備えており、水平部分3aには、焼却灰aをケーシング3内に受け入れる投入口3cが設けられ、また、傾斜部分3bの高所側端部には、焼却灰a及び異物bを排出する排出口3dが設けられている。前記排出口3dは、ケーシング3の高所側端部(下流側端部)の底板3eをケーシング3の長手方向及び幅方向に沿って切り欠くことにより形成されている。
【0035】
而して、前記フライトコンベヤ2において、投入口3cからケーシング3内に投入された異物bを含む焼却灰aは、ケーシング3内を周回移動するチェーン6に取り付けたフライト9により掻き取られ、ケーシング3の水平部分3a及び傾斜部分3bの底板3e上を連続的に搬送された後、傾斜部分3bの高所側端部に設けた排出口3dから排出される。
【0036】
一方、前記摺動式バースクリーン1は、
図3~
図6に示す如く、フライトコンベヤ2のケーシング3の下流側底板3eの一部を切り欠いた箇所(ケーシング3の排出口3d)の下方位置にフライトコンベヤ2のケーシング3と縁を切った状態で設置されたバースクリーン用ケーシング10と、バースクリーン用ケーシング10内に収容され、複数の長尺状のスクリーンバー11′を焼却灰aの搬送方向に沿う姿勢で且つ焼却灰aの搬送方向と直交する水平方向に所定の間隔を空けて並設したバースクリーン11と、バースクリーン用ケーシング10内に収容支持され、バースクリーン11の各スクリーンバー11′をガタツキを持たせた状態で支持するスクリーン支持手段12とを備えており、異物bを含む焼却灰aがフライトコンベヤ2のフライト9によりバースクリーン11の各スクリーンバー11′上を搬送され、焼却灰aの搬送中にバースクリーン11の目(スクリーンバー11′間の隙間)から焼却灰aが落下すると共に、バースクリーン11の目よりも大きい異物bがバースクリーン11の下流側端から落下するようになっている。
【0037】
具体的には、前記バースクリーン用ケーシング10は、内方にバースクリーン11及びスクリーン支持手段12を収容支持するものであり、上面が開放されて下端部が二股状に形成されたボックス形状を呈している。
【0038】
また、バースクリーン用ケーシング10の二股部分は、
図4に示す如く、何れも下面が開放された筒構造を呈しており、フライトコンベヤ2の搬送方向に沿って並設されている。この二股部分の上流側に位置する筒部分は、バースクリーン11の各スクリーンバー11′間から落下した焼却灰aを排出する搬送物排出用筒部10aとなっており、搬送物排出用筒部10aの下面の開口が焼却灰aを排出する搬送物用排出口10eとなっている。また、二股部分の下流側に位置する筒部分は、バースクリーン11の下流側端から落下した異物bを排出する異物排出用筒部10bとなっており、異物排出用筒部10bの下面の開口が異物bを排出する異物用排出口10fとなっている。
【0039】
更に、バースクリーン用ケーシング10の搬送物排出用筒部10aの内方には、スクリーンバー11′の上流側端部を支持する上流側水平支持部10c(
図4参照)が、また、搬送物排出用筒部10aと異物排出用筒部10bとの境界部分には、スクリーンバー11′の下流側端部を支持する下流側水平支持部10d(
図4参照)がそれぞれ設けられている。
【0040】
そして、バースクリーン用ケーシング10は、上面の開口がフライトコンベヤ2のケーシング3に形成した排出口3dに対向するように、フライトコンベヤ2のケーシング3の下流側端部の下方位置に配置されており、鋼材等の固定側部材に複数本のサポート部材13を介して支持固定されている。
【0041】
このとき、バースクリーン用ケーシング10は、フライトコンベヤ2のケーシング3と縁を切った状態で設置されており、バースクリーン用ケーシング10の上端部とフライトコンベヤ2のケーシング3の下端部との間は、フライトコンベヤ2のケーシング3の下端部に設けたゴム板製の飛散防止プレート14により焼却灰aがバースクリーン用ケーシング10とフライトコンベヤ2のケーシング3との隙間から外部へ飛散しないようにシールされた状態となっている。
【0042】
尚、バースクリーン用ケーシング10の側壁には、内部を点検できるように複数の点検口が形成されており、各点検口は、点検口用扉15により開閉可能となっている。
【0043】
前記バースクリーン11は、複数の長尺状のスクリーンバー11′を焼却灰aの搬送方向(フライトコンベヤ2のケーシング3の長手方向)に沿う姿勢で且つ焼却灰aの搬送方向と直交する水平方向(フライトコンベヤ2のケーシング3の幅方向)に所定の間隔を空けて並設し、各スクリーンバー11′間に焼却灰aを落下させるスリット状の目(隙間)を形成することにより構成されており、バースクリーン用ケーシング10内に設けた後述するスクリーン支持手段12によりバースクリーン用ケーシング10内にガタツキを持たせた状態で収容支持されている。
【0044】
このバースクリーン11の目の幅は、焼却灰a中に含まれている大きな異物bを除去できるように設定されている。ここで、焼却灰a中の大きな異物bとは、例えば、焼却灰aの搬送中に焼却灰a中の異物bが再資源化処理装置内で詰まって再資源化処理装置の故障の原因となる大きさの異物bを言う。
【0045】
また、各スクリーンバー11′は、
図5、
図7及び
図8に示す如く、長尺状の金属板により形成されており、フライトコンベヤ2のケーシング3の下流側端部の底板3eを切り欠いた箇所(ケーシング3の排出口3d)に配置される傾斜部11aと、傾斜部11aの上流側端部に下向きに連設された上流側垂直部11bと、傾斜部11aの下流側端部に下向きに連設された上流側垂直部11bよりも長い下流側垂直部11cと備えている。
【0046】
更に、各スクリーンバー11′の上流側垂直部11bの下端部及び下流側垂直部11cの下端部には、スクリーン支持手段12の支持軸18が遊嵌状態で挿通される貫通穴11dがそれぞれ形成されている(
図6参照)。また、各スクリーンバー11′の上流側垂直部11bの下端及び下流側垂直部11cの下端には、バースクリーン用ケーシング10に設けた上流側水平支持部10cの上面及び下流側水平支持部10dの上面を摺動し、各スクリーンバー11′を上流側水平支持部10cの上面及び下流側水平支持部10dの上面で起立姿勢に保持するための水平支持板16がそれぞれ設けられている(
図6参照)。
【0047】
そして、前記バースクリーン11は、
図5に示す如く、各スクリーンバー11′の上面にそれぞれ設けられて異物bの噛み込みを防止する案内板17を備えており、前記案内板17は、平面形状が長尺状の三角形状を呈し、バースクリーン11の上流側から下流側に向けて漸次細くなる形状となっている。各スクリーンバー11′に三角形状の案内板17を設けることによって、バースクリーン11の案内板17を設けた部分においては、バースクリーン11の目の幅が上流側から下流側へ向って徐々に広くなるので、スクリーンバー11′間に異物bが挟まり難くなる。
【0048】
本実施形態においては、案内板17は、金属板により平面形状が長尺状の三角形状に形成されており、長さがスクリーンバー11′の傾斜部11aの長さの約半分の長さに設定され、スクリーンバー11′の傾斜部11aの上流側端部から中間部に亘って傾斜部11aの上面と面一になるようにスクリーンバー11′の上面に溶接により固着されている。
【0049】
尚、上記の実施形態においては、バースクリーン11の各スクリーンバー11′を金属板により形成したが、他の実施形態においては、バースクリーン11の各スクリーンバー11′を金属棒又は金属パイプにより形成しても良い。この場合、各スクリーンバー11′の上面に案内板17を設けることは勿論である。
【0050】
前記スクリーン支持手段12は、バースクリーン11の各スクリーンバー11′をガタツキを持たせた状態で支持するものであり、
図5及び
図6に示す如く、バースクリーン11の各スクリーンバー11′に所定の間隔を空けてそれぞれ形成した二つの貫通穴11dに遊嵌状態で挿通され、各スクリーンバー11′を支持する水平姿勢の二本の支持軸18と、前記二本の支持軸18の両端部及び各スクリーンバー11′間に位置する部分にそれぞれ遊嵌状態で嵌合された複数のパイプ状のスペーサ19とを備え、各スクリーンバー11′を二本の支持軸18に沿って所定の距離だけ移動可能としている。
【0051】
前記二本の支持軸18は、その外径が各スクリーンバー11′の貫通穴11dの内径よりも小さく形成されており、バースクリーン用ケーシング10内に設けた上流側水平支持部10cの上方位置及び下流側水平支持部10dの上方位置に配設され、バースクリーン用ケーシング10に水平姿勢で着脱自在に架設されている。
【0052】
即ち、二本の支持軸18は、
図6に示す如く、何れもその両端部がバースクリーン用ケーシング10に形成した貫通穴に遊嵌状態で挿通され、バースクリーン用ケーシング10の外面に着脱自在に設けた軸受23に回転自在且つ抜き差し自在に支持されており、軸受23をバースクリーン用ケーシング10から取り外すことによって、バースクリーン用ケーシング10から取り外せるようになっている。
【0053】
前記軸受23は、
図6に示す如く、バースクリーン用ケーシング10の側壁外面に溶接より固着したタップ座24に螺着しているスタッドボルト25に抜き差し自在に挿着される環状のフランジ部23aと、環状のフランジ部23aの内周縁部に溶接に固着され、支持軸18の端部が回転自在且つ抜き差し自在に挿入される先端が閉塞された筒部23bとを備えており、前記軸受23は、フランジ部23aをスタッドボルト25に挿着し、スタッドボルト25にナット26を締め付けることによって、バースクリーン用ケーシング10の外面に取り付けられ、また、ナット26を緩めることによって、バースクリーン用ケーシング10から取り外すことができる。尚、
図6において、27はタップ座24と軸受23との間に介設した円板状のシール材である。
【0054】
前記パイプ状のスペーサ19は、その内径が支持軸18の内径よりも大きく設定されていると共に、その外径が各スクリーンバー11′に形成した貫通穴11dの内径よりも大きく設定されている。
【0055】
尚、二本の支持軸18の両端部に嵌合されるパイプ状のスペーサ19の長さは、バースクリーン用ケーシング10の側壁と前記側壁に隣接するスクリーンバー11′との間隔よりも短くなるように設定され、また、二本の支持軸18の各スクリーンバー11′間に位置する部分に嵌合されるパイプ状のスペーサ19の長さは、各スクリーンバー11′の設置間隔よりも短くなるように設定されている。
【0056】
本実施形態においては、二本の支持軸18の両端部に嵌合されるスペーサ19の長さは、バースクリーン用ケーシング10の側壁と前記側壁に隣接するスペーサ19との間に10mmの間隔が形成されると共に、前記スペーサ19と当該スペーサ19に隣接するスクリーンバー11′との間に10mmの間隔が形成されるように設定されている。また、二本の支持軸18の各スクリーンバー11′間に位置する部分に嵌合される各スペーサ19の長さは、各スペーサ19と各スクリーンバー11′との間に10mmの間隔がそれぞれ形成されるように設定されている。
【0057】
そして、前記スクリーン支持手段12は、二本の支持軸18に所定の数のスペーサ19とスクリーンバー11′とを交互に嵌合し、二本の支持軸18の両端部をバースクリーン用ケーシング10の対向する側壁外面に設けた軸受23に回転自在に支持させることによって、バースクリーン11の各スクリーンバー11′をガタツキを持たせた状態で二本の支持軸18に支持することができる。
【0058】
上述した搬送選別装置Aにおいて、フライトコンベヤ2の投入口3cからケーシング3内に投入された異物bを含む焼却灰aは、ケーシング3内を周回移動するチェーン6に取り付けたフライト9により掻き取られ、ケーシング3の水平部分3a及び傾斜部分3bの底板3e上を連続的に搬送される。
【0059】
フライトコンベヤ2の排出口3d側へ搬送された異物bを含む焼却灰aは、バースクリーン11上を摺動移動するフライト9によりバースクリーン11上を移動し、その移動中においてバースクリーン11の目(各スクリーンバー11′間の間隔)及び両側端に位置するスクリーンバー11′とバースクリーン用ケーシング10の側壁との間隔よりも細かい焼却灰a及び異物bが各スクリーンバー11′の間及び両側端に位置するスクリーンバー11′とバースクリーン用ケーシング10の側壁との間から落下し、バースクリーン用ケーシング10の搬送物用排出口10eから排出され、灰シュート28を流下して灰ピット20に貯留される。
【0060】
また、バースクリーン11上に残ったバースクリーン11の目よりも大きい異物bは、フライト9により押されてバースクリーン11上を移動し、バースクリーン11の下流側端から落下し、バースクリーン用ケーシング10の異物用排出口10fから排出され、異物シュート29を流下して異物ピット21に貯留される。
【0061】
ところで、冷却水により冷却された湿った焼却灰aのように、焼却灰aに粘着性があると、従来の固定式バースクリーンの場合には、固定式バースクリーンの隙間に焼却灰aが徐々に固着、成長し、目詰まりを起こすことになる。そのため、定期的に固定式バースクリーンの隙間に固着した焼却灰aを除去する作業が必要になる。
【0062】
しかし、上述した搬送選別装置Aにおいては、バースクリーン11を形成する複数のスクリーンバー11′をスクリーン支持手段12によりガタツキを持たせた状態で支持しているため、異物bが混入している粘着性のある湿った焼却灰aをバースクリーン11上で搬送しても、バースクリーン11にガタツキを持たせているので、バースクリーン11に固着した焼却灰aが成長する前に剥離され、バースクリーン11の目詰まりを防止することができ、自浄機能を有することになる。
【0063】
また、各スクリーンバー11′の上面に異物bの噛み込みを防止する案内板17をそれぞれ設けているため、バースクリーン11のスクリーンバー11′間の間隔が上流側から下流側に行くに従って漸次広くなり、しかも、バースクリーン11にガタツキを持たせているので、焼却灰a中の異物bがスクリーンバー11′間に挟まったとしても、異物bが下流側へ押されることによって、スクリーンバー11′間から簡単に抜けることになり、異物bの噛み込みが少なくなる。
【0064】
更に、バースクリーン11を形成する複数のスクリーンバー11′と、各スクリーンバー11′にガタツキを持たせる筒状のスペーサ19とを支持軸18から取り外し可能としているため、スクリーンバー11′の数量及びスペーサ19の寸法を変更することによって、目開き寸法(隣接するスクリーンバー11′間の間隔)を任意に調整することができると共に、目開き寸法の調整も容易に行うことができる。しかも、スクリーンバー11′を二本の支持軸18に固定していないので、交換も容易に行うことができる。
【0065】
加えて、フライトコンベヤ2の排出口3dの下方位置に摺動式バースクリーン1を設置し、摺動式バースクリーン1の各スクリーンバー11′の上面をフライトコンベヤ2のフライト9が摺動するようにしているため、従来の振動スクリーンやトロンメルのようにそれ自体を動かす動力を必要とすることがなく、摺動式バースクリーン1自体の動力が不要になる。
【0066】
図9は本発明の実施形態に係る摺動式バースクリーン1を用いた搬送選別装置Aの他のを示し、当該搬送選別装置Aは、
図9に示す搬送選別装置Aのフライトコンベヤ2に替えて傾斜状のシュート22を用いたものである。
【0067】
即ち、前記搬送選別装置Aは、異物bが混入している粉粒状の搬送物(異物bを含む焼却灰a)を搬送する傾斜状のシュート22と、前記傾斜状のシュート22の底板22aの一部を切り欠いた箇所に設置され、異物bが混入している搬送中の焼却灰aから異物bを除去する摺動式バースクリーン1とを備えており、摺動式バースクリーン1の各スクリーンバー11′の上面が傾斜状のシュート22の底板22aを切り欠いた位置に配置され、各スクリーンバー11′の上面を搬送物が自重により滑り落ちる構成となっている。
【0068】
前記傾斜状のシュート22は、ごみ焼却炉から排出されて冷却された異物bを含む焼却灰aを受け入れて自重により搬送するものであり、シュート22の下流側端部(低所側端部)の底板22aが切り欠かれて排出口22bとなっている。
【0069】
一方、前記摺動式バースクリーン1は、
図4及び
図5に示す摺動式バースクリーン1と同様構造に構成されており、バースクリーン用ケーシング10と、バースクリーン用ケーシング10内に収容され、複数の長尺状のスクリーンバー11′焼却灰aの搬送方向に沿う姿勢で且つ焼却灰aの搬送方向と直交する水平方向に所定の間隔を空けて並設したバースクリーン11と、バースクリーン用ケーシング10内に収容支持され、バースクリーン11の各スクリーンバー11′をガタツキを持たせた状態で支持するスクリーン支持手段12とを備えている。
【0070】
前記バースクリーン用ケーシング10は、バースクリーン11の各スクリーンバー11′間から落下した焼却灰aを排出する搬送物用排出口10eと、バースクリーン11の下流側端から落下した異物bを排出する異物用排出口10fとを有しており、傾斜状のシュート22の底板22aの一部を切り欠いた箇所(排出口22b)の下方位置に傾斜状のシュート22と縁を切った状態で設置されている。
【0071】
また、バースクリーン11及びスクリーン支持手段12は、
図4~
図6に示すバースクリーン11及びスクリーン支持手段12と同様構造に構成されており、
図4~
図6に示すバースクリーン11及びスクリーン支持手段12と同じ部位・部材には、同一の参照番号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0072】
図9に示す搬送選別装置Aにおいては、傾斜状のシュート22内を自重により高所側から低所側へ滑り落ちて来た異物bを含む焼却灰aは、傾斜状のシュート22の底板22aからバースクリーン11上に載り、バースクリーン11上を滑り落ちる間にバースクリーン11の目(各スクリーンバー11′間の間隔)よりも細かい焼却灰a及び異物bが各スクリーンバー11′の間から落下し、バースクリーン用ケーシング10の搬送物用排出口10eから排出され、灰シュート(図示省略)を流下して灰ピット(図示省略)に貯留される。
【0073】
また、バースクリーン11上に残ったバースクリーン11の目よりも大きい異物bは、自重によりバースクリーン11上を滑り落ち、バースクリーン11の下流側端から落下し、バースクリーン用ケーシング10の異物用排出口10fから排出され、異物シュート(図示省略)を流下して異物ピット(図示省略)に貯留される。
【0074】
図9に示す上述した搬送選別装置Aにおいても、バースクリーン11を形成する複数のスクリーンバー11′をスクリーン支持手段12によりガタツキを持たせた状態で支持し、また、各スクリーンバー11′の上面に異物bの噛み込みを防止する案内板17をそれぞれ設けているため、バースクリーン11の目詰まりを防止することができて自浄機能を有すると共に、異物bの噛み込みが少なくなる。
【0075】
また、各スクリーンバー11′及びスペーサ19を支持軸18から取り外し可能としているため、スクリーンバー11′の数量及びスペーサ19の寸法を変更することによって、目開き寸法(隣接するスクリーンバー11′間の間隔)を任意に調整することができると共に、目開き寸法の調整も容易に行うことができる。しかも、スクリーンバー11′を二本の支持軸18に固定していないので、交換も容易に行うことができる。
【0076】
更に、摺動式バースクリーン1の各スクリーンバー11′の上面が傾斜状のシュート22の底板22aを切り欠いた位置に配置され、各スクリーンバー11′の上面を焼却灰aが自重により滑り落ちる構成としているため、従来の振動スクリーンやトロンメルのようにそれ自体を動かす動力を必要とすることがなく、摺動式バースクリーン1自体の動力が不要になる。
【0077】
尚、
図3及び
図9に示す各搬送選別装置Aにおいては、バースクリーン用ケーシング10をフライトコンベヤ2のケーシング3又は傾斜状のシュート22と縁を切った状態で設置しているため、バースクリーン用ケーシング10を振動機(図示省略)で振動させることが可能となる。この場合には、異物bの除去をより効率的に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0078】
Aは搬送選別装置
1は摺動式バースクリーン
2はフライトコンベヤ
3はケーシング
3eは底板
10はバースクリーン用ケーシング
10eは搬送物用排出口
10fは異物用排出口
11はバースクリーン
11′はスクリーンバー
11aは傾斜部
11bは上流側垂直部
11cは下流側垂直部
12はスクリーン支持手段
18は支持軸
19はスペーサ
22はシュート
22aは底板