(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】キャップユニット及びキャップ付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/26 20060101AFI20230302BHJP
B65D 47/24 20060101ALI20230302BHJP
A47J 41/00 20060101ALI20230302BHJP
A47J 41/02 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B65D47/26 120
B65D47/24 110
A47J41/00 304B
A47J41/02 104B
(21)【出願番号】P 2019013101
(22)【出願日】2019-01-29
【審査請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】591261602
【氏名又は名称】サーモス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 雄志
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-073561(JP,U)
【文献】特開2006-124012(JP,A)
【文献】実開昭56-028241(JP,U)
【文献】実開平06-017643(JP,U)
【文献】特開2013-248352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/24 - 47/26
A47J 1/00 - 1/02
A47J 27/21
A47J 41/00 - 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口した容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の上部開口部を閉塞すると共に、前記容器本体の内側と連通される通液孔と、前記通液孔の上部の一端から拡径方向に突出された注ぎ口とが設けられたキャップ本体と、
前記通液孔の内側に回動自在に取り付けられた状態で、前記通液孔を閉塞する第1の位置と、前記通液孔を開放する第2の位置との間で回動操作される中栓と、
前記中栓の回動操作に連動しながら、前記第1の位置にて前記注ぎ口を閉塞し、前記第2の位置にて前記注ぎ口を開放するように開閉操作される蓋体
と、
前記中栓の回動操作に連動して、前記蓋体を開閉操作する蓋開閉機構とを備え、
前記蓋開閉機構は、前記中栓の上部に位置して、
前記蓋体を回動自在に支持する軸受部材と、
前記軸受部材に対して前記蓋体を回動方向の少なくとも一方側に向けて付勢する第1の付勢部材と、
前記軸受部材をスライド自在に支持するスライド軸と、
前記スライド軸に対して前記軸受部材をスライド方向の一方側に向けて付勢する第2の付勢部材とを有し、
前記第1の位置にて、前記第1の付勢部材及び前記第2の付勢部材により付勢された前記蓋体が前記注ぎ口を閉塞した状態から、前記中栓を前記第2の位置に向けて回動操作したときに、前記第1の付勢部材の付勢に抗して前記蓋体が回動方向の他方側に向けて回動されると共に、前記第2の付勢部材の付勢に抗して前記軸受部材がスライド方向の他方側に向けてスライドされることによって、前記第2の位置にて、前記蓋体が前記注ぎ口を開放した状態となることを特徴とするキャップユニット。
【請求項2】
前記中栓の下部側に取り付けられて、前記通液孔を開閉する弁体を備え、
前記中栓は、前記通液孔の内側に螺合により取り付けられることによって、その回動操作により上下方向に移動自在とされており、
前記第1の位置にて、前記弁体が前記通液孔を閉塞した状態から、前記中栓を前記第2の位置に向けて回動操作したときに、前記弁体が前記中栓と共に下方へ移動することによって、前記第2の位置にて、前記弁体が前記通液孔を開放した状態となることを特徴とする請求項
1に記載のキャップユニット。
【請求項3】
上部が開口した容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の上部開口部を閉塞すると共に、前記容器本体の内側と連通される通液孔と、前記通液孔の上部の一端から拡径方向に突出された注ぎ口とが設けられたキャップ本体と、
前記通液孔の内側に回動自在に取り付けられた状態で、前記通液孔を閉塞する第1の位置と、前記通液孔を開放する第2の位置との間で回動操作される中栓と、
前記中栓の回動操作に連動しながら、前記第1の位置にて前記注ぎ口を閉塞し、前記第2の位置にて前記注ぎ口を開放するように開閉操作される蓋体
と、
前記中栓の下部側に取り付けられて、前記通液孔を開閉する弁体とを備え、
前記中栓は、前記通液孔の内側に螺合により取り付けられることによって、その回動操作により上下方向に移動自在とされており、
前記第1の位置にて、前記弁体が前記通液孔を閉塞した状態から、前記中栓を前記第2の位置に向けて回動操作したときに、前記弁体が前記中栓と共に下方へ移動することによって、前記第2の位置にて、前記弁体が前記通液孔を開放した状態となることを特徴とするキャップユニット。
【請求項4】
前記キャップ本体の下端側の外周部に全周に亘って取り付けられたシール部材を備え、
前記シール部材は、前記容器本体に前記キャップ本体が取り付けられた状態で、前記容器本体と前記キャップ本体との間を密閉すると共に、前記第1の位置にて前記弁体と密着することによって、前記キャップ本体と前記中栓との間を密閉することを特徴とする請求項
2又は3に記載のキャップユニット。
【請求項5】
前記弁体は、前記中栓に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項
2~4の何れか一項に記載のキャップユニット。
【請求項6】
前記中栓は、その外周面の一部を上下方向に切り欠く通液溝を有し、
前記通液溝は、前記第2の位置にて前記注ぎ口と同じ側に位置することを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載のキャップユニット。
【請求項7】
前記中栓は、前記第1の位置と前記第2の位置との間で90°以下となる角度範囲で回動操作されることを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載のキャップユニット。
【請求項8】
前記中栓の上部を覆った状態で前記中栓に取り付けられたカバー部材を備えることを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載のキャップユニット。
【請求項9】
前記キャップ本体は、前記容器本体に対して螺合により着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載のキャップユニット。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載のキャップユニットと、
前記キャップユニットが取り付けられた容器本体とを備えるキャップ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップユニット及びキャップ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上部が開口した容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニット(栓体)を備えたキャップ付き容器がある(例えば、下記引用文献1,2を参照。)。
【0003】
例えば、下記引用文献1には、栓本体の上部開口部を閉じるカバーに操作レバーを設け、この操作レバーを押し下げることによって、流液経路を閉じる弁体をコイルスプリングの付勢に抗して開方向に押し下げる構造が開示されている。
【0004】
一方、下記引用文献2には、上部が開口した容器本体と、容器本体の口頸部に着脱自在に取り付けられる栓体とを備え、内部栓を回すことによって、内部栓に設けられた凹部が、注ぎ口と外部栓との流液経路を形成する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4697675号公報
【文献】特許第5627732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した特許文献1に記載の構造では、容器本体の転倒時に操作レバーが床やテーブル等に当たってしまった場合、流路が開放されて中の飲料がこぼれてしまう可能性がある。また、注ぎ口が露出しているため、屋外に携行した場合、注ぎ口に砂埃やゴミが付着してしまう可能性がある。
【0007】
一方、上述した特許文献2に記載の構造では、開栓時に流路の開放位置まで内部栓を回す程度が必ずしも明確ではない。このため、容器本体を傾けて容器本体の内部に入った飲料を注ぎ出す際に、流路が狭くて十分な飲料が注げなかったり、内部栓を回し過ぎて外部栓から内部栓が外れてしまったりする可能性がある。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、中栓の回動操作に連動して蓋体を開閉操作する際の操作性を向上させることによって、使い勝手の更なる向上を可能としたキャップユニット、並びにそのようなキャップユニットを備えたキャップ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 上部が開口した容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の上部開口部を閉塞すると共に、前記容器本体の内側と連通される通液孔と、前記通液孔の上部の一端から拡径方向に突出された注ぎ口とが設けられたキャップ本体と、
前記通液孔の内側に回動自在に取り付けられた状態で、前記通液孔を閉塞する第1の位置と、前記通液孔を開放する第2の位置との間で回動操作される中栓と、
前記中栓の回動操作に連動しながら、前記第1の位置にて前記注ぎ口を閉塞し、前記第2の位置にて前記注ぎ口を開放するように開閉操作される蓋体と、
前記中栓の回動操作に連動して、前記蓋体を開閉操作する蓋開閉機構とを備え、
前記蓋開閉機構は、前記中栓の上部に位置して、
前記蓋体を回動自在に支持する軸受部材と、
前記軸受部材に対して前記蓋体を回動方向の少なくとも一方側に向けて付勢する第1の付勢部材と、
前記軸受部材をスライド自在に支持するスライド軸と、
前記スライド軸に対して前記軸受部材をスライド方向の一方側に向けて付勢する第2の付勢部材とを有し、
前記第1の位置にて、前記第1の付勢部材及び前記第2の付勢部材により付勢された前記蓋体が前記注ぎ口を閉塞した状態から、前記中栓を前記第2の位置に向けて回動操作したときに、前記第1の付勢部材の付勢に抗して前記蓋体が回動方向の他方側に向けて回動されると共に、前記第2の付勢部材の付勢に抗して前記軸受部材がスライド方向の他方側に向けてスライドされることによって、前記第2の位置にて、前記蓋体が前記注ぎ口を開放した状態となることを特徴とするキャップユニット。
〔2〕 前記中栓の下部側に取り付けられて、前記通液孔を開閉する弁体を備え、
前記中栓は、前記通液孔の内側に螺合により取り付けられることによって、その回動操作により上下方向に移動自在とされており、
前記第1の位置にて、前記弁体が前記通液孔を閉塞した状態から、前記中栓を前記第2の位置に向けて回動操作したときに、前記弁体が前記中栓と共に下方へ移動することによって、前記第2の位置にて、前記弁体が前記通液孔を開放した状態となることを特徴とする前記〔1〕に記載のキャップユニット。
〔3〕 上部が開口した容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の上部開口部を閉塞すると共に、前記容器本体の内側と連通される通液孔と、前記通液孔の上部の一端から拡径方向に突出された注ぎ口とが設けられたキャップ本体と、
前記通液孔の内側に回動自在に取り付けられた状態で、前記通液孔を閉塞する第1の位置と、前記通液孔を開放する第2の位置との間で回動操作される中栓と、
前記中栓の回動操作に連動しながら、前記第1の位置にて前記注ぎ口を閉塞し、前記第2の位置にて前記注ぎ口を開放するように開閉操作される蓋体と、
前記中栓の下部側に取り付けられて、前記通液孔を開閉する弁体とを備え、
前記中栓は、前記通液孔の内側に螺合により取り付けられることによって、その回動操作により上下方向に移動自在とされており、
前記第1の位置にて、前記弁体が前記通液孔を閉塞した状態から、前記中栓を前記第2の位置に向けて回動操作したときに、前記弁体が前記中栓と共に下方へ移動することによって、前記第2の位置にて、前記弁体が前記通液孔を開放した状態となることを特徴とするキャップユニット。
〔4〕 前記キャップ本体の下端側の外周部に全周に亘って取り付けられたシール部材を備え、
前記シール部材は、前記容器本体に前記キャップ本体が取り付けられた状態で、前記容器本体と前記キャップ本体との間を密閉すると共に、前記第1の位置にて前記弁体と密着することによって、前記キャップ本体と前記中栓との間を密閉することを特徴とする前記〔2〕又は〔3〕に記載のキャップユニット。
〔5〕 前記弁体は、前記中栓に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴とする前記〔2〕~〔4〕の何れか一項に記載のキャップユニット。
〔6〕 前記中栓は、その外周面の一部を上下方向に切り欠く通液溝を有し、
前記通液溝は、前記第2の位置にて前記注ぎ口と同じ側に位置することを特徴とする前記〔1〕~〔5〕の何れか一項に記載のキャップユニット。
〔7〕 前記中栓は、前記第1の位置と前記第2の位置との間で略90°となる角度範囲で回動操作されることを特徴とする前記〔1〕~〔6〕の何れか一項に記載のキャップユニット。
〔8〕 前記中栓の上部を覆った状態で前記中栓に取り付けられたカバー部材を備えることを特徴とする前記〔1〕~〔7〕の何れか一項に記載のキャップユニット。
〔9〕 前記キャップ本体は、前記容器本体に対して螺合により着脱自在に取り付けられることを特徴とする前記〔1〕~〔8〕の何れか一項に記載のキャップユニット。
〔10〕 前記〔1〕~〔9〕の何れか一項に記載のキャップユニットと、
前記キャップユニットが取り付けられた容器本体とを備えるキャップ付き容器。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、中栓の回動操作に連動して蓋体を開閉操作する際の操作性を向上させることによって、使い勝手の更なる向上を可能としたキャップユニット、並びにそのようなキャップユニットを備えたキャップ付き容器を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るキャップ付き容器の外観を示す斜視図である。
【
図2】キャップ付き容器が備えるキャップユニットの閉塞状態を示す断面図である。
【
図3】キャップ付き容器が備えるキャップユニットの開放状態を示す断面図である。
【
図4】キャップユニットの構成を示す分解斜視図である。
【
図5】キャップユニットの構成を示す断面斜視図である。
【
図6】キャップユニットが備える蓋開閉機構の構成を示す斜視図である。
【
図7】蓋開閉機構の構成を一方側から見た分解斜視図である。
【
図8】蓋開閉機構の構成を他方側から見た分解斜視図である。
【
図9】蓋開閉機構の一部を切断して示す断面図である。
【
図10】蓋開閉機構による蓋体の開閉動作を順に説明するための平面図である。
【
図11】蓋開閉機構による蓋体の開閉動作を順に説明するための平面図である。
【
図12】蓋開閉機構による蓋体の開閉動作を順に説明するための平面図である。
【
図13】蓋開閉機構による蓋体の開閉動作を順に説明するための平面図である。
【
図14】蓋開閉機構による蓋体の開閉動作を順に説明するための平面図である。
【
図15】蓋開閉機構による蓋体の開閉動作を順に説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態として、例えば
図1~
図5に示すキャップ付き容器1について説明する。なお、
図1は、キャップ付き容器1の外観を示す斜視図である。
図2は、キャップ付き容器1が備えるキャップユニット3の閉塞状態を示す断面図である。
図3は、キャップ付き容器1が備えるキャップユニット3の開放状態を示す断面図である。
図4は、キャップユニット3の構成を示す分解斜視図である。
図5は、キャップユニット3の構成を示す断面斜視図である。
【0013】
本実施形態のキャップ付き容器1は、
図1に示すように、容器本体2と、容器本体2に着脱自在に取り付けられるキャップユニット3とを備えている。キャップ付き容器1は、真空断熱構造を有する容器本体2によって、容器本体2に収容された飲料(内容物)を保温又は保冷することが可能な卓上ポットである。
【0014】
なお、以下の説明では、後述する取手部9aが設けられた側をキャップ付き容器1の「後側」とし、取手部9aとは反対側に位置する注ぎ口17が設けられた側をキャップ付き容器1の「前側」として説明する。
【0015】
容器本体2は、
図1~
図3に示すように、例えばステンレス等からなる有底筒状の外容器4及び内容器5を有し、外容器4の内側に内容器5を収容した状態で互いの口元部を接合した二重構造の容器により構成されている。また、外容器4と内容器5との間には、真空断熱層6が設けられている。真空断熱層6は、例えば、高真空に減圧(真空引き)されたチャンバー内で、外容器4の底面中央部に設けられた脱気孔を塞ぐことによって形成することができる。
【0016】
容器本体2は、略円形状の底部2aと、底部2aの外周から略円筒状に起立した胴部2bと、胴部2bの上部側において縮径された略円筒状の口頸部2cとを有している。また、口頸部2cの上端部は、容器本体2の上部開口部2dとして、円形状に開口している。また、口頸部2cの内側には、リング状の張出部7が全周に亘って突出して設けられている。
【0017】
また、容器本体2は、底部2aに底部材8と、口頸部2cに肩部材9とが取り付けられた構造を有している。底部材8及び肩部材9は、例えばポリプロピレン(PP)等の耐熱性樹脂からなる。また、それ以外にも、例えばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)等の熱可塑性樹脂や、例えばポリアセタール(POM)等の耐摩耗性に優れた樹脂などを用いることが可能である。
【0018】
底部材8は、全体として有底円筒状に形成されている。底部材8は、容器本体2の底部2aと胴部2bとの間の段差部2eに嵌め付けられることによって、容器本体2の底部2aを覆った状態で取り付けられている。
【0019】
肩部材9は、全体として略円筒状に形成されている。肩部材9は、容器本体2の胴部2bと口頸部2cとの間の段差部2fに嵌め付けられることによって、容器本体2の口頸部2cを覆った状態で取り付けられている。また、肩部材9には、取手部9aが設けられている。取手部9aは、肩部材9の後側の外周部から突出し、下方に延長して設けられている。
【0020】
なお、本実施形態の容器本体2は、全体として略円筒状の外観形状を有しているが、容器本体2の外観形状については、特に限定されるものではなく、サイズやデザイン等に合わせて、適宜変更を加えることが可能である。また、容器本体2の外周面には、塗装や印刷等が施されていてもよい。
【0021】
本実施形態のキャップユニット3は、容器本体2の上部開口部2dを閉塞する栓体を構成するものである。具体的に、このキャップユニット3は、
図2~
図5に示すように、キャップ本体10と、中栓11と、蓋体12と、弁体13とを備えている。
【0022】
キャップ本体10は、例えばPPやABS、POM等の樹脂成形体からなり、上方に向かって漸次拡径されるように、全体として略多段円筒状に形成されている。キャップ本体10は、肩部材9(容器本体2)に対して螺合により着脱自在に取り付けられている。このため、肩部材9の内周面には、雌ネジ部14が設けられている。一方、キャップ本体10の外周面には、この雌ネジ部14と螺合される雄ネジ部15が設けられている。
【0023】
なお、キャップ本体10は、上述した肩部材9に対して着脱自在に取り付けられた構成となっているが、肩部材9が省略された構成の場合、容器本体2の口頸部2cに対してキャップ本体10が螺合により着脱自在に取り付けられた構成とすることも可能である。
【0024】
キャップ本体10は、肩部材9(容器本体2)に取り付けられることによって、容器本体2の上部開口部2dを閉塞する。一方、キャップ本体10は、容器本体2の内側と連通される通液孔16と、通液孔16の上部の前端(一端)から拡径方向に突出された注ぎ口17とを有している。また、キャップ本体10の前面側には、注ぎ口17に対応して切り欠かれた切欠部10aが設けられている。
【0025】
通液孔16は、キャップ本体10の中央部を上下方向(軸線方向)に貫通して設けられている。通液孔16は、上方に向かって漸次拡径されるように、全体として略多段円筒状に形成されている。
【0026】
注ぎ口17は、取手部9aとは反対側、すなわちキャップ本体10の前側に位置している。注ぎ口17は、斜め上方に向かって傾斜しながら、前方に突出して設けられている。これにより、容器本体2を前方に傾けた際に、この容器本体2から通液孔16を通して流出される飲料(内容物)を注ぎ口17から注ぎ易くすることが可能である。
【0027】
キャップ本体10は、その下端側の外周部からリング状に突出されたフランジ部18を有している。フランジ部18には、止水パッキン19が着脱自在に取り付けられている。止水パッキン19は、張出部7(容器本体2)とキャップ本体10との間を密閉するためのリング状のシール部材である。止水パッキン19は、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどの弾性部材からなる。止水パッキン19は、フランジ部18の外周部に全周に亘って嵌め付けられている。
【0028】
一方、止水パッキン19は、それ自体を弾性変形させる(引っ張り伸ばす)ことによって、フランジ部18の外周部から取り外すことが可能である。これにより、キャップ本体10と止水パッキン19とをそれぞれ別々に洗浄することができ、これらキャップ本体10と止水パッキン19との間を衛生的に保つことが可能である。
【0029】
止水パッキン19は、容器本体2にキャップ本体10が取り付けられた際に、弾性変形しながら容器本体2の張出部7に全周に亘って密着した状態となる。これにより、張出部7とキャップ本体10との間を密閉することが可能となっている。
【0030】
中栓11は、例えばPPやABS、POM等の樹脂成形体からなる。中栓11は、上方に向かって漸次拡径されるように、全体として略有底多段円筒状に形成された周壁部11aと、周壁部11aの上部を閉塞するように、全体として略円板状に形成された上壁部11bとを有している。中栓11は、周壁部11aの上部開口部を上壁部11bが閉塞した状態で一体に構成されている。
【0031】
中栓11は、通液孔16の内側に螺合により着脱自在に取り付けられている。このため、キャップ本体10の内周面には、雌ネジ部20が設けられている。一方、中栓11の外周面には、この雌ネジ部と螺合される雄ネジ部21が設けられている。 また、雌ネジ部20と雄ネジ部21とは、互いに逆ネジを構成するネジ山によって構成されている。
【0032】
これにより、中栓11は、雌ネジ部20と雄ネジ部21との螺合によって、通液孔16の内側に回動自在に取り付けられた状態で、その回動操作により上下方向に移動自在となっている。また、中栓11は、通液孔16の内側に回動自在に取り付けられた状態で、通液孔16を閉塞する第1の位置と、通液孔16を開放する第2の位置との間で回動操作される。
【0033】
第1の位置と第2の位置との間は、略90°となる角度範囲で、雌ネジ部20と雄ネジ部21との螺合する範囲(長さ)が設定されている。なお、第1の位置と第2の位置との間の角度範囲は、上述した90°に必ずしも限定されるものではなく、90°未満としたり、90°超としたりすることも可能である。
【0034】
中栓11は、第2の位置にて注ぎ口17と同じ側に位置するように、周壁部11aの外周面の一部を上下方向に切り欠く通液溝22を有している。一方、通液溝22は、第1の位置にてキャップ本体10の内周面と対向した位置にある。
【0035】
蓋体12は、例えばPPやABS、POM等の樹脂成形体からなり、注ぎ口17の上部を覆う形状を有して、全体として略平板状に形成されている。蓋体12は、中栓11の回動操作に連動しながら、第1の位置にて注ぎ口17を閉塞し、第2の位置にて注ぎ口17を開放するように開閉操作される。
【0036】
本実施形態のキャップユニットは、
図4~
図9に示すように、中栓11の回動操作に連動して、蓋体12を開閉操作する蓋開閉機構23を備えている。なお、
図6は、蓋開閉機構23の構成を示す斜視図である。
図7は、蓋開閉機構23の構成を一方側から見た分解斜視図である。
図8は、蓋開閉機構23の構成を他方側から見た分解斜視図である。
図9は、蓋開閉機構23の一部を切断して示す断面図である。
【0037】
蓋開閉機構23は、中栓11の上部(上壁部11b)に位置して、蓋体12を回動自在に支持する軸受部材24と、軸受部材24に対して蓋体12を回動方向の一方側に向けて付勢する板バネ(第1の付勢部材)25と、軸受部材24をスライド自在に支持するスライド軸26と、スライド軸26に対して軸受部材24をスライド方向の一方側に向けて付勢するコイルバネ(第2の付勢部材)27とを有している。
【0038】
このうち、軸受部材24及びスライド軸26は、例えばPOM等の耐摩耗性に優れた樹脂からなる。一方、板バネ25及びコイルバネ27は、例えばステンレス等の防錆性に優れた金属からなる。
【0039】
軸受部材24は、第1の軸受部28と、第2の軸受部29とを有している。第1の軸受部28には、軸受部材24の面内に対して直交する方向に貫通する断面円形状の第1の軸孔28aと、第1の軸孔28aの周囲を囲む略円板状の回動壁28bとが設けられている。第2の軸受部29は、第1の軸受部28の回動壁28bよりも外側に突出して設けられている。第2の軸受部29には、軸受部材24の面内に対して平行な方向に貫通する断面略十字状の第2の軸孔29aが設けられている。
【0040】
一方、蓋体12の基端側の上面には、上側支軸12aと、ガイド壁12bと、一対の係止片12cとが設けられている。上側支軸12aは、蓋体12の基端側の上面中央部に位置して、第1の軸孔28aに挿入されている。ガイド壁12bは、第1の軸受部28の回動壁28bを囲むように、円弧状に立ち上がり形成されている。一対の係止片12cは、ガイド壁12bを挟んだ両側に位置して、第1の軸受部28の回動壁28bを係止しながら、第1の軸孔28aに上側支軸12aが挿入された状態を保持している。
【0041】
また、蓋体12の基端側の下面には、下側支軸12dが設けられている。下側支軸12dは、蓋体12の基端側の下面中央部に位置して、上側支軸12aと同軸に設けられている。下側支軸12dは、中栓11の上壁部11bに設けられたスライド溝30に係合されている。スライド溝30は、上壁部11bの中央部に前後方向に亘って直線状に切り欠かれている。
【0042】
板バネ25は、上側支軸12aの周囲に沿って円弧状に折り曲げられた円弧部25aと、円弧部25aの両端から互いに離間する方向に向かって延長された一対の弾性片25bとを有している。
【0043】
一方、軸受部材24には、板バネ25が収容される収容凹部31が設けられている。また、蓋体12の基端側の上面には、一対の弾性片25bが係止される一対の係止突起12eが設けられている。
【0044】
これにより、蓋体12は、第1の軸受部28(軸受部材24)を介して軸受部材24に対して回動自在に支持されている。また、蓋体12は、板バネ25により回動方向の少なくとも一方側(本実施形態では両側)に向けて付勢された状態となっている。
【0045】
本実施形態の蓋開閉機構23では、板バネ25の付勢に抗して蓋体12を回動方向の一方側(本実施形態では右回り方向)に回動させることができる。このとき、一対の係止突起12eに係止された一対の弾性片25bのうち、蓋体12の回動方向に位置する一方の弾性片25bが、収容凹部31内で押圧されることによって、蓋体12の回動方向とは反対方向に弾性変形しながら、一方の係止突起12eから離間した状態となる。
【0046】
一方、蓋体12は、この状態から、一方の弾性片25bが一方の係止突起12eに係止される位置まで弾性復帰することで、板バネ25の付勢により回動方向の他方側(本実施形態では左回り方向)に回動しながら、元の位置へと戻ることができる。
【0047】
なお、本実施形態の蓋開閉機構23では、板バネ25の付勢に抗して蓋体12を回動方向の他方側(左回り方向)に回動させることも可能である。この場合、一対の係止突起12eに係止された一対の弾性片25bのうち、蓋体12の回動方向に位置する他方の弾性片25bが、蓋体12の回動方向とは反対方向に弾性変形しながら、他方の係止突起12eから離間した状態となる。一方、蓋体12は、この状態から、他方の弾性片25bが他方の係止突起12eに係止される位置まで弾性復帰することで、板バネ25の付勢により回動方向の一方側(右回り方向)に回動しながら、元の位置へと戻ることができる。
【0048】
スライド軸26は、断面略十字状を有する直線状の軸部26aと、軸部26aの基端側に設けられた固定部26bとを有している。
【0049】
一方、中栓11には、前側を除く上壁部11bの周囲に沿って立ち上がる外周壁11cと、外周壁11cの前側を切り欠く切欠部11dと、外周壁11cの後側を貫通する固定孔11eとが設けられている。スライド軸26は、固定孔11eに固定部26bの一部が挿入されることによって、軸部26aがスライド溝30と平行となるように、中栓11の上部(上壁部11b)に取り付けられている。
【0050】
コイルバネ27は、軸部26aを貫通させた状態で、スライド軸26に取り付けられている。また、コイルバネ27を貫通した軸部26aの先端部は、第2の軸孔29aに挿入されている。
【0051】
これにより、蓋体12は、第2の軸受部29(軸受部材24)を介してスライド軸26に対してスライド自在に支持されている。また、蓋体12は、コイルバネ27によりスライド方向の一方側(本実施形態では前側)に向けて付勢された状態となっている。このとき、スライド溝30に係合された下側支軸12dは、スライド溝30の前端側と当接した状態となっている。
【0052】
本実施形態の蓋開閉機構23では、コイルバネ27の付勢に抗して蓋体12をスライド方向の他方側(本実施形態では後側)にスライドさせることができる。このとき、蓋体12と共に軸受部材24がスライドしながら、第2の軸受部29と固定部26bとの間でコイルバネ27が圧縮された状態となる。また、スライド溝30に係合された下側支軸12dは、スライド溝30の後端側へとスライドされる。
【0053】
一方、蓋体12は、この状態から、コイルバネ27が弾性復帰することで、このコイルバネ27の付勢によりスライド方向の一方側(前側)にスライドしながら、元の位置へと戻ることができる。
【0054】
以上のような構成を有する蓋開閉機構23による蓋体12の開閉動作について、
図10~
図15を参照しながら説明する。なお、
図10~
図15は、蓋開閉機構23による蓋体12の開閉動作を順に説明するための平面図である。
【0055】
本実施形態の蓋開閉機構23では、
図10に示すように、第1の位置にて、板バネ25及びコイルバネ27により付勢された蓋体12が注ぎ口17を閉塞した状態にある。
【0056】
この状態から、
図11及び
図12に示すように、第2の位置に向けて中栓11を一の方向(本実施形態では左回り)に回動操作することによって、蓋体12は、切欠部10aの一端側に当接されながら、板バネ25の付勢に抗して回動方向の一方側(右回り方向)に回動される。同時に、蓋体12は、コイルバネ27の付勢に抗してスライド方向の他方側(後側)にスライドされる。
【0057】
この状態から、
図13及び
図14に示すように、更に第2の位置に向けて中栓11を回動操作することによって、蓋体12は、切欠部10aから外周壁11cの内側へと進入し、この外周壁11cの内周面と摺接しながら、コイルバネ27の付勢に抗してスライド方向の他方側(後側)へとスライドされる。
【0058】
この状態から、
図15に示すように、第2の位置まで中栓11を回動操作する。これにより、第2の位置にて、蓋体12が注ぎ口17を開放した状態とすることができる。
【0059】
一方、本実施形態の蓋開閉機構23では、上述した動作とは逆の動作、すなわち中栓11を第2の位置から第1の位置まで他の方向(本実施形態では右回り)に回動操作することによって、第1の位置にて、蓋体12が注ぎ口17を閉塞した状態とすることができる。
【0060】
弁体13は、
図2~
図5に示すように、例えばポリプロピレン等の耐熱性樹脂からなり、全体として略円板状に形成されている。弁体13は、中栓11の下部側に着脱自在に取り付けられている。
【0061】
具体的に、中栓11の下端部には、ヒンジ部36aを介して取付レバー36が回動自在に取り付けられている。取付レバー36は、下方に伸びた位置と、後方に折り曲げられた位置との間で回動可能となっている。また、中栓11の下端部には、ヒンジ部36aの周囲を切り欠く一対のガイド溝11gが設けられている。一対のガイド溝11gは、ヒンジ部36aを挟んで互いに対称となる位置に略90°の角度範囲で切り欠き形成されている。さらに、ガイド溝11gの上部には、Oリング37が着脱自在に取り付けられている。
【0062】
一方、弁体13の中央部には、ヒンジ部36a及び取付レバー36を貫通させる断面長方形状の貫通孔13aが設けられている。弁体13の上面には、貫通孔13aの周囲を囲む円筒状のリング壁13bが突出して設けられている。また、リング壁13bの内側には、貫通孔13aを挟んだ両側から一対のストッパー凸部13cが突出して設けられている。弁体13の下面には、貫通孔13aを挟んだ両側から一対のストッパー壁13dが突出して設けられている。
【0063】
弁体13を中栓11の下部側に取り付ける際は、貫通孔13aからヒンジ部36a及び取付レバー36を貫通させた状態で、一対のストッパー凸部13cが一対のガイド溝11gに沿って案内される方向(本実施形態では左回り)に、弁体13を略90°回転させる。その後、取付レバー36を後方に折り曲げながら、一対のストッパー壁13dの間に位置させる。これにより、リング壁13bをOリング37に密着させた状態で、弁体13を中栓11の下端部に取り付けることが可能となっている。
【0064】
一方、上述した動作とは逆の動作によって、弁体13を中栓11の下端部から取り外すことが可能である。また、この状態から、キャップ本体10に対して中栓11を取り外すことが可能である。これにより、キャップ本体10と中栓11と弁体13とをそれぞれ別々に洗浄することができ、これらキャップ本体10と中栓11と弁体13との間を衛生的に保つことが可能である。
【0065】
中栓11の下端部に取り付けられた弁体13は、中栓11の回動操作により中栓11が上下方向に移動することで、中栓11と共に上下方向に移動する。また、中栓11は、上述した逆ネジを構成する雌ネジ部20と雄ネジ部21との螺合によって、通液孔16の内側に取り付けられている。
【0066】
したがって、弁体13は、中栓11を回動操作することで、通液孔16を開閉することが可能となっている。具体的に、第2の位置から第1の位置に向けて中栓11を右回りに回動操作した場合、中栓11は、上方に向かって移動する。これにより、第1の位置にて、弁体13が止水パッキン19と密着することで、キャップ本体10と中栓11との間を密閉する、すなわち通液孔16を閉塞することができる。
【0067】
一方、第1の位置から第2の位置に向けて中栓11を左回りに回動操作した場合、中栓11は、下方に向かって移動する。これにより、第2の位置にて、弁体13が止水パッキン19から離間することで、通液孔16を開放することができる。
【0068】
本実施形態のキャップユニット3は、
図4、
図7及び
図8に示すように、第1の位置と第2の位置との何れか一方又は両方(本実施形態では両方)の位置にてクリック感を付与するクリック機構32を備えている。クリック機構32は、固定部26bのキャップ本体10と対向する面(基端面)から突出された係合凸部32aと、キャップ本体10の内周面から突出された第1の被係合凸部32b及び第2の被係合凸部32cとを有している。
【0069】
クリック機構32では、上述した
図11に示すように、キャップ本体10と中栓11との間で通液口16を閉塞する際に、中栓11が第1の位置まで回動操作されることによって、係合凸部32aが第1の被係合凸部32bを乗り越えながら、
図10に示す第1の位置にて、係合凸部32aが第1の被係合凸部32bに係合された状態となる。
【0070】
また、係合凸部32aが第1の被係合凸部32bを乗り越える際は、固定孔11eに挿入された固定部26b(スライド軸26)がコイルバネ27の付勢に抗して前側へとスライドされた後、コイルバネ27に付勢された状態で元の位置へと戻ることになる。
【0071】
クリック機構32では、このような係合凸部32aが第1の被係合凸部32bを乗り越えるときに得られるクリック感によって、中栓11が第1の位置まで回動されたこと、すなわち、キャップ本体10と中栓11との間で通液口16を閉塞したことを容易に確認することができる。
【0072】
一方、クリック機構32では、上述した
図14に示すように、キャップ本体10と中栓11との間で通液口16を開放する際に、中栓11が第2の位置まで回動操作されることによって、係合凸部32aが第2の被係合凸部32cを乗り越えながら、
図15に示す第2の位置にて、係合凸部32aが第2の被係合凸部32cに係合された状態となる。
【0073】
また、係合凸部32aが第2の被係合凸部32cを乗り越える際は、固定孔11eに挿入された固定部26b(スライド軸26)がコイルバネ27の付勢に抗して前側へとスライドされた後、コイルバネ27に付勢された状態で元の位置へと戻ることになる。
【0074】
クリック機構32では、このような係合凸部32aが第2の被係合凸部32cを乗り越えるときに得られるクリック感によって、中栓11が第2の位置まで回動されたこと、すなわち、キャップ本体10と中栓11との間で通液口16を開放したことを容易に確認することができる。
【0075】
中栓11の上部には、
図5に示すように、カバー部材33が取り付けられている。カバー部材33は、例えばPPやABS、POM等の樹脂成形体からなる。カバー部材33は、キャップ本体10及び中栓11の上部を覆う略ドーム状の天壁部33aと、天壁部33aの外周部から下方に突出された略円筒状の外周壁部33bと、外周壁部33bの内側に位置して天壁部33aの下面から外周壁部33bとは同心円状に突出された略円筒状の内周壁部33cと、内周壁部33cの内周面から全周に亘って突出された係止凸部33dとを有している。
【0076】
一方、外周壁11cの外周面には、係止凹部11fが全周に亘って設けられている。カバー部材33は、この係止凹部11fに係止凸部33dが係止されることによって、キャップ本体10及び中栓11の上部を覆った状態で、中栓11に一体に取り付けられている。また、カバー部材33は、内周壁部33cの一部が外周壁11cの切欠部11dに係合されることによって、中栓11に対する回り止めがなされている。したがって、このカバー部材33を回動操作することによって、中栓11を一体に回動操作することが可能となっている。
【0077】
本実施形態のキャップユニット3は、
図2及び
図3に示すように、第1の位置にてキャップ本体10に対して中栓11を固定する固定機構34を備えている。固定機構34は、キャップ本体10の後側にヒンジ部35aを介して上下方向に回動自在に取り付けられたロック部材35を有している。ロック部材35は、カバー部材33と対向する面から突出された固定ピン35bを有している。一方、カバー部材33には、外周壁部33bの後側を切り欠く固定溝33eが設けられている。
【0078】
固定機構34では、第1の位置にてロック部材35をカバー部材33側に回動させながら、固定ピン35bを固定溝33eに係合させることによって、キャップ本体10に対して中栓11を固定することが可能となっている。
【0079】
以上のように、本実施形態のキャップユニット3では、上述した蓋開閉機構23によって、中栓11の回動操作に連動して蓋体12を開閉操作する際の操作性を向上させることが可能である。また、蓋体12が注ぎ口17を閉塞することで、この注ぎ口17を衛生的に保つことが可能である。さらに、蓋体12を開閉操作する際の中栓11の回動操作する範囲を略90°となる角度範囲で設定することが可能である。
【0080】
したがって、このような本実施形態のキャップユニット3を備えた蓋付き容器1では、使い勝手の更なる向上を図ることが可能である。
【0081】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、上述した卓上ポットに適用したキャップ付き容器1を例示しているが、容器本体の口頸部に着脱自在に取り付けられるキャップユニットを備えたキャップ付き容器に対して、本発明を幅広く適用することが可能である。
【0082】
また、上記実施形態では、上述した真空断熱構造を有する容器本体2によって保温・保冷機能を持たせたキャップ付き容器1を例示しているが、真空断熱構造を持たない容器本体を備えたキャップ付き容器に対して、本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0083】
1…キャップ付き容器 2…容器本体 2d…上部開口部 3…キャップユニット 10…キャップ本体 11…中栓 12…蓋体 13…弁体 16…通液孔 17…注ぎ口 19…止水パッキン(シール部材) 22…通液溝 23…蓋開閉機構 24…軸受部材 25…板バネ(第1の付勢部材) 26…スライド軸 27…コイルバネ(第2の付勢部材) 32…クリック機構 33…カバー部材 34…固定機構