(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】タンク
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20230302BHJP
【FI】
B41J2/175 121
(21)【出願番号】P 2019015624
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2021-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】矢森 雄大
(72)【発明者】
【氏名】杉谷 寛
【審査官】井出 元晴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0202877(US,A1)
【文献】特開2011-110828(JP,A)
【文献】特開2007-261051(JP,A)
【文献】特開2005-125738(JP,A)
【文献】特開2010-105239(JP,A)
【文献】特開2001-304943(JP,A)
【文献】特開2006-110764(JP,A)
【文献】特開2012-035564(JP,A)
【文献】特開2015-074167(JP,A)
【文献】特開2018-080544(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0244064(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0326881(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0257303(US,A1)
【文献】米国特許第02887306(US,A)
【文献】国際公開第2018/079473(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第1866473(KR,B1)
【文献】特開2013-018267(JP,A)
【文献】特開2016-190354(JP,A)
【文献】特開2014-094536(JP,A)
【文献】特開2016-033503(JP,A)
【文献】特開2013-248782(JP,A)
【文献】特開2013-111967(JP,A)
【文献】特開2011-037091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部に液体を流入させる流入口と、
前記液体収容部から液体を流出させる流出口とを備え、
前記液体収容部は、鉛直方向における前記液体収容部の底面
の一部を掘り下げて形成され、前記流入口が開口した凹部を有し、
前記凹部は、前記流入口側から前記流出口側へ向かって高くなる傾斜部を有することを特徴とするタンク。
【請求項2】
前記流入口は、前記凹部の下端部に配置されていることを特徴とする請求項
1に記載のタンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容するタンクに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷装置において、顔料インクを使用することがある。顔料インクでは、放置されることにより、顔料粒子の沈降が生じることがある。特に、金属粒子等の比重の大きい顔料を含むインクでは、顔料粒子の沈降が生じやすい。
【0003】
インクの顔料粒子の沈降は、インクの増粘によるインクジェットヘッドにおける吐出不良を招くことがある。また、インクの顔料粒子の沈降は、インクジェットヘッドから吐出されるインクの濃度のバラツキを発生させるおそれがある。このような顔料粒子の沈降による不具合を防ぐために、インクの撹拌が行われている(特許文献1参照)。
【0004】
これに関し、インクを収容したタンクに対してインクを流入、流出させることでタンク内のインクを撹拌する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した技術では、インクがタンクに流入する際に液面に落下すること等により、インクが飛び跳ねることがある。インクが飛び跳ねると、例えば、インクに気泡が混入してインクジェットヘッドにおけるインクの吐出不良を招くといった不都合が生じることがある。このため、インクの飛び跳ねを軽減することが望ましい。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、流入する液体の飛び跳ねを軽減できるタンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のタンクは、液体を収容する液体収容部と、前記液体収容部に液体を流入させる流入口とを備え、前記液体収容部は、前記液体収容部の底面に形成され、前記流入口が開口した凹部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のタンクによれば、流入する液体の飛び跳ねを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係るタンクが設けられた印刷装置の概略構成図である。
【
図6】撹拌動作時におけるタンク内のインクの流れの説明図である。
【
図7】インク収容部の凹部にインクが溜まった状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0012】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係るタンクが設けられた印刷装置の概略構成図である。
図2は、タンクの斜視図である。
図3は、タンクの分解斜視図である。
図4は、
図2のA-A線に沿った断面図である。
図5は、タンク本体の平面図である。なお、以下の説明において、
図1の紙面に直交する方向を前後方向とし、紙面表方向を前方とする。また、
図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。ここで、
図1に示す上下方向は鉛直方向である。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態に係る印刷装置1は、印刷部2と、インク供給部3と、制御部4とを備える。
【0015】
印刷部2は、インクジェットヘッド(図示せず)を有し、インクジェットヘッドから用紙にインクを吐出して画像を印刷する。
【0016】
インク供給部3は、インクを撹拌するとともに、印刷部2にインクを供給する。インク供給部3は、インクカートリッジ11と、撹拌部12とを備える。
【0017】
ここで、印刷装置1で印刷に使用されるインクは顔料インクであり、放置されると顔料粒子の沈降が生じるおそれがあるものである。例えば、印刷装置1で印刷に使用されるインクは、磁性体である金属粒子を含むMICR(Magnetic Ink Character Reader)インクである。インクの顔料粒子の沈降は、インクジェットヘッドにおける吐出不良や、吐出されるインクの濃度のバラツキ等の不具合を招く。インクカートリッジ11でインクの顔料粒子が沈降している可能性があるため、印刷装置1では、撹拌部12においてインクの撹拌を行い、顔料粒子が沈降している場合にはそれが解消されるようにする。
【0018】
インクカートリッジ11は、印刷部2による印刷に用いるインクである顔料インクを収容している。インクカートリッジ11は、印刷装置1に着脱可能に構成されている。
【0019】
撹拌部12は、インクカートリッジ11からインクを取得し、取得したインクを撹拌する。また、撹拌部12は、撹拌したインクを印刷部2に供給する。撹拌部12は、タンク21と、大気開放管22と、エアフィルタ23と、インク移送管24と、インク流出管25と、インク移送弁26と、撹拌弁27と、ポンプ28と、インク供給管29と、インク供給弁30とを備える。
【0020】
タンク21は、インクカートリッジ11から取得したインクを撹拌するために収容する。タンク21の詳細は後述する。
【0021】
大気開放管22は、タンク21を大気開放するための空気の流路を形成する。大気開放管22は、一端がタンク21に接続され、他端がエアフィルタ23を介して大気に通じている。エアフィルタ23は、大気開放管22への空気中のゴミ等の進入を防止する。
【0022】
インク移送管24は、インクカートリッジ11とタンク21とを接続する。インク移送管24は、インクカートリッジ11からタンク21へインクを移送する経路である移送経路Rtを構成する。
【0023】
インク流出管25は、タンク21とインク移送管24とを接続する。
【0024】
インク流出管25と、インク移送管24のインク流出管25が接続された地点よりタンク21側の部分とにより、撹拌経路Rsが構成される。撹拌経路Rsは、タンク21内のインクを循環させて撹拌するための経路である。
【0025】
インク移送弁26は、インク移送管24内のインクの流路を開閉する。インク移送弁26は、インク移送管24のインク流出管25が接続された地点よりインクカートリッジ11側の部分に配置されている。
【0026】
撹拌弁27は、インク流出管25内のインクの流路を開閉する。
【0027】
インク移送弁26および撹拌弁27は、移送経路Rtおよび撹拌経路Rsのうち、開通する経路の切り替えを行う。具体的には、インク移送弁26が開放され、撹拌弁27が閉鎖されることにより、移送経路Rtが開通され、撹拌経路Rsが閉鎖された状態となる。また、インク移送弁26が閉鎖され、撹拌弁27が開放されることにより、撹拌経路Rsが開通され、移送経路Rtが閉鎖された状態となる。
【0028】
ポンプ28は、撹拌経路Rsを介してインクをタンク21から流出させてタンク21に戻すように送液することで、タンク21内のインクを撹拌する。また、ポンプ28は、インクカートリッジ11からタンク21へインクを移送するためにも使用される。ポンプ28は、移送経路Rtと撹拌経路Rsとの共通部分に配置されている。具体的には、ポンプ28は、インク移送管24のインク流出管25が接続された地点よりタンク21側の部分に配置されている。
【0029】
インク供給管29は、タンク21と印刷部2とを接続する。
【0030】
インク供給弁30は、インク供給管29内のインクの流路を開閉する。インク供給弁30が開放されると、タンク21から印刷部2へインクが供給される。
【0031】
制御部4は、印刷装置1の各部の動作を制御する。制御部4は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0032】
次に、タンク21の詳細について説明する。
【0033】
タンク21は、タンク本体41と、蓋42とを備える。
【0034】
タンク本体41は、インクカートリッジ11から移送されてくるインクを収容する。タンク本体41は、略直方体形状に形成されている。
【0035】
タンク本体41は、インク収容部51(液体収容部に相当)を有する。インク収容部51は、インク(液体に相当)を収容する部分である。インク収容部51は、タンク本体41の上面41aから掘り下げて形成されており、周壁51aと、底面51bとを有する。
【0036】
インク収容部51の周壁51aは、平面視にて、左右方向に細長い略長円形状に形成されている。すなわち、周壁51aは、インク収容部51の左端部および右端部において湾曲した部分を有している。これにより、後述の流入口53a側(右側)から後述の流出口59a側(左側)へインクが流れやすくなり、インクの撹拌効率が向上する。
【0037】
インク収容部51の底面51bは、左下がりに傾斜している。すなわち、底面51bは、流入口53a側(右側)から流出口59a側(左側)へ向かって低くなるように傾斜している。これにより、流入口53a側から流出口59a側へインクが流れやすくなり、インクの撹拌効率が向上する。
【0038】
底面51bの右端部には、凹部51cが形成されている。凹部51cは、底面51bを掘り下げて形成されている。これにより、インク収容部51内のインクが少なくなっても、凹部51cにはインクが溜まった状態となる。凹部51cには、流入口53aが開口している。具体的には、凹部51cの右側の壁51dの下端部に、流入口53aが左向きに開口している。凹部51cの右側の壁51dは、周壁51aの一部により構成されている。
【0039】
凹部51cには、流入口53a側(右側)から流出口59a側(左側)へ向かって高くなる傾斜部51eが形成されている。傾斜部51eは、凹部51cの右側の壁51dの下端から、左側ほど高くなるように形成されている。これにより、流入口53aから流入したインクが左斜め上方向へ流れるように誘導される。
【0040】
傾斜部51eの傾斜角度θは、インク収容部51内の左上部の領域でもインクが十分に流れてインクの滞留が生じないような角度に設定される。傾斜部51eの傾斜角度θは、インクの粘度、流入口53aから流入するインクの流量等に応じて設定されるものであり、例えば、30°~60°の範囲で設定される。
【0041】
凹部51cは、インクの粘度、流入口53aから流入するインクの流量等に応じて、インクの流入時にインクの飛び跳ねが生じないように、平面視における大きさ(前後方向の長さおよび左右方向の長さ)、および深さが設定されている。
【0042】
タンク本体41の右側部には、インク流入ポート52が設けられている。インク流入ポート52は、インク移送管24をタンク本体41に接続するためのものである。インク流入ポート52には、インク流入穴53が形成されている。
【0043】
インク流入穴53は、一端がインク流入ポート52に開口しており、他端がインク収容部51に開口している。これにより、インク流入穴53は、インク収容部51に連通されており、インク移送管24からインク流入穴53を介してインク収容部51にインクが流入するようになっている。インク流入穴53のインク収容部51における開口部が、インク収容部51へインクを流入させる流入口53aになっている。流入口53aは、凹部51cの下端部に配置されている。具体的には、流入口53aは、インク収容部51の凹部51cの右側の壁51dの下端部に、左向きに開口している。
【0044】
タンク本体41の左側部には、インク流出ポート56と、インク供給ポート57と、大気開放ポート58とが設けられている。
【0045】
インク流出ポート56は、インク流出管25をタンク本体41に接続するためのものである。インク流出ポート56には、インク流出穴59が形成されている。
【0046】
インク流出穴59は、一端がインク流出ポート56に開口しており、他端がインク収容部51の周壁51aの下部に開口している。これにより、インク流出穴59は、インク収容部51に連通されており、インク収容部51の下部からインク流出穴59を介してインク流出管25へインクが流出するようになっている。インク流出穴59のインク収容部51における開口部が、インク収容部51からインク流出管25へインクを流出させる流出口59aになっている。流出口59aは、インク収容部51の左端部において、前後方向におけるインク収容部51の中央より後側に配置されている。
【0047】
インク供給ポート57は、インク供給管29をタンク本体41に接続するためのものである。インク供給ポート57には、インク供給穴60が形成されている。
【0048】
インク供給穴60は、一端がインク供給ポート57に開口しており、他端がインク収容部51の周壁51aの下部に開口している。これにより、インク供給穴60は、インク収容部51に連通されており、インク収容部51からインク供給穴60を介してインク供給管29へインクが流出するようになっている。インク供給穴60のインク収容部51における開口部が、インク収容部51からインク供給管29を介して印刷部2へインクを供給する供給口60aになっている。供給口60aは、インク収容部51の左端部において、前後方向におけるインク収容部51の中央より前側に配置されている。
【0049】
大気開放ポート58は、大気開放管22をタンク本体41に接続するためのものである。大気開放ポート58には、大気連通穴61が形成されている。大気連通穴61は、蓋42で覆われたタンク本体41の内部空間(インク収容部51)を大気に連通し、タンク21を大気開放するためのものである。大気連通穴61は、一端が大気開放ポート58に開口しており、他端がタンク本体41の上面41aに開口している。
【0050】
タンク本体41には、シール溝66が形成されている。シール溝66は、インク収容部51を囲むように形成されている。シール溝66は、シール部材67を設置するための溝である。シール部材67は、インク収容部51内のインクがタンク21から漏れるのを防ぐ部材である。
【0051】
蓋42は、タンク本体41の上側を覆うものである。蓋42は、タンク本体41の上面41aに載置される。
【0052】
次に、印刷装置1におけるインクカートリッジ11からタンク21へのインクの移送、および撹拌部12でのインクの撹拌の動作について説明する。
【0053】
タンク21内のインクの液面高さが所定の下限高さ以下になったことがセンサ(図示せず)により検出されると、インクカートリッジ11からタンク21へのインクの移送が行われる。
【0054】
この際、制御部4は、インク移送弁26を開放し、撹拌弁27を閉鎖した状態とする。これにより、移送経路Rtが開通され、撹拌経路Rsが閉鎖された状態となる。ここで、印刷装置1には新しいインクカートリッジ11が装着されている。
【0055】
次いで、制御部4は、ポンプ28の駆動を開始させる。これにより、移送経路Rtを介してインクカートリッジ11からタンク21へインクが移送される。
【0056】
インクカートリッジ11内のすべてのインクがタンク21へ移送されると、制御部4は、インク移送弁26を閉鎖し、撹拌弁27を開放する。これにより、撹拌経路Rsが開通され、移送経路Rtが閉鎖された状態に切り替わる。そして、撹拌経路Rsに沿ってインクが循環され、タンク21内のインクが撹拌される。
【0057】
タンク21内のインクの撹拌が開始されてから規定時間が経過すると、制御部4は、ポンプ28を停止させ、撹拌弁27を閉鎖する。これにより、撹拌部12によるインクの撹拌動作が終了となる。
【0058】
上述のようにタンク21へ移送されて撹拌されたインクは、印刷部2による印刷時に必要に応じて印刷部2に供給される。
【0059】
撹拌部12における撹拌動作は、上述したインクカートリッジ11からタンク21への移送直後以外にも、タンク21内のインクの顔料粒子の沈降を防止するために、例えば、所定時間ごとに定期的に行われる。
【0060】
上述した撹拌動作時において、流入口53aからインク収容部51に流入したインクは、
図6に示すように、凹部51cの傾斜部51eにより、左斜め上方向へ流れるように誘導される。そして、インクは、インク収容部51内を左に向かって流れ、流出口59aから流出する。
【0061】
ここで、本実施の形態とは異なり、流入口53aが上向きに開口し、傾斜部51eがなく、インク収容部51にインクが流入口53aから上方向に流入する構成の場合、流入による左方向への流れはほとんど発生しない。一方、流出口59aからインクが吸引されることによるインクの流れが生じるが、この流れはインク収容部51の下部では強いが、上部では弱い。このため、インク収容部51の左側(流出口59a側)部分の上部の領域において、インクの滞留が生じやすい。この結果、インクの撹拌効率が低くなる。
【0062】
これに対し、本実施の形態では、上述のように、流入口53aから流入したインクが傾斜部51eにより左斜め上方向へ流れるように誘導されることで、インク収容部51の左側部分の上部にもインクの流れが発生する。これにより、インクの滞留が抑えられ、効率よくインクが撹拌される。
【0063】
撹拌動作は、前述のように、インクカートリッジ11からタンク21への移送直後以外にも行われることがある。したがって、インク収容部51内のインクが少なくなった状態で、撹拌動作により流入口53aからインク収容部51にインクが流入することがある。
【0064】
これに対し、タンク21では、インク収容部51内のインクが少なくなっても、例えば、
図7に示すように、凹部51cにはインクが溜まった状態になっている。このような状態で撹拌動作が行われても、インクに浸かった流入口53aからインクが流入するので、インクの流入時のインクの飛び跳ねが抑えられる。
【0065】
また、タンク21内のインクの液面高さが下限高さ以下になってインクカートリッジ11からタンク21へのインクの移送が行われる際にも、
図7のようにインクに浸かった流入口53aからインクが流入するので、インクの流入時のインクの飛び跳ねが抑えられる。
【0066】
ここで、本実施の形態とは異なり、流入口53aがインクから露出した状態でインクの流入が行われるような構成の場合には、流入したインクが液面に落下すること等でインクの飛び跳ねが生じることがある。
【0067】
インクが飛び跳ねると、インクに気泡が混入するおそれがある。インクに気泡が混入すると、印刷部2のインクジェットヘッドにおけるインクの吐出不良を招く。また、インクが飛び跳ねると、インクが蓋42に付着するおそれがある。インクが蓋42に付着すると、蓋42から大気連通穴61にインクが侵入し、タンク21が大気開放状態ではなくなるおそれがある。
【0068】
これに対し、本実施の形態では、上述のように、インク収容部51内のインクが少なくなっても、凹部51cにインクが溜まっていることで、インクの流入時のインクの飛び跳ねが抑えられている。
【0069】
以上説明したように、印刷装置1では、タンク21のインク収容部51の底面51bに凹部51cが形成され、凹部51cに流入口53aが開口している。これにより、インクに浸かった流入口53aからインク収容部51にインクが流入するので、インクの流入時のインクの飛び跳ねを軽減できる。
【0070】
また、凹部51cが傾斜部51eを有するので、流入口53aから流入したインクが左斜め上方向へ、すなわち流出口59aの上方へ向けて流れるように誘導される。これにより、撹拌動作時におけるインクの滞留を抑制できる。この結果、インクの撹拌効率を向上できる。
【0071】
また、流入口53aが凹部51cの下端部に配置されているので、凹部51cに溜まったインクの液面が流入口53aから流入するインクで乱されてインクが飛び跳ねることが抑えられる。これにより、インク収容部51に流入するインクの飛び跳ねをより軽減できる。
【0072】
なお、上述した実施の形態では、流入口53aが左向きに、すなわち流出口59a側に向けて開口している構成を示したが、流入口53aが上向きに開口していてもよい。この場合でも、傾斜部51eにより、流入口53aから流入したインクの向きが左斜め上方向にも分散されることで、インクの滞留を抑制できる。
【0073】
上述した実施の形態では、流入口53aが凹部51cの下端部に配置されている構成を示したが、凹部51cにおける流入口53aの位置はこれに限らない。例えば、流入口53aが凹部51cの上端部に配置されていてもよい。
【0074】
また、上述した実施の形態では、インク収容部51の底面51bが傾斜している構成を示したが、底面51bが水平であってもよい。また、傾斜部51eは平面状に限らず、少なくとも一部が曲面で形成されていてもよい。
【0075】
また、上述した実施の形態では、顔料粒子の沈降が生じるインクを撹拌する場合について説明したが、撹拌対象のインクは、成分の沈降が生じるものに限らず、例えば、成分の分離が生じるものであってもよい。
【0076】
また、インク以外の液体を収容するタンクにも本発明は適用可能である。
【0077】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0078】
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
【0079】
(付記1)
液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部に液体を流入させる流入口とを備え、
前記液体収容部は、前記液体収容部の底面に形成され、前記流入口が開口した凹部を有することを特徴とするタンク。
【0080】
(付記2)
前記液体収容部から液体を流出させる流出口をさらに備え、
前記凹部は、前記流入口側から前記流出口側へ向かって高くなる傾斜部を有することを特徴とする付記1に記載のタンク。
【0081】
(付記3)
前記流入口は、前記凹部の下端部に配置されていることを特徴とする付記1または2に記載のタンク。
【符号の説明】
【0082】
1 印刷装置
2 印刷部
3 インク供給部
4 制御部
11 インクカートリッジ
12 撹拌部
21 タンク
22 大気開放管
23 エアフィルタ
24 インク移送管
25 インク流出管
26 インク移送弁
27 撹拌弁
28 ポンプ
29 インク供給管
30 インク供給弁
41 タンク本体
42 蓋
51 インク収容部
51a 周壁
51b 底面
51c 凹部
51e 傾斜部
53 インク流入穴
53a 流入口
59 インク流出穴
59a 流出口