(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】モジュール構造の秤量室後部壁を有する電子天秤
(51)【国際特許分類】
G01G 21/28 20060101AFI20230302BHJP
G01G 21/30 20060101ALN20230302BHJP
【FI】
G01G21/28
G01G21/30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019057837
(22)【出願日】2019-03-26
【審査請求日】2022-01-31
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599082218
【氏名又は名称】メトラー-トレド ゲーエムベーハー
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100167243
【氏名又は名称】上田 充
(72)【発明者】
【氏名】アリス・ブーフマン
(72)【発明者】
【氏名】ビート・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ツェンダー
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-174319(JP,A)
【文献】独国実用新案第29912867(DE,U1)
【文献】登録実用新案第3173046(JP,U)
【文献】国際公開第2014/034611(WO,A1)
【文献】特開2017-058204(JP,A)
【文献】特開2007-327972(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10213786(DE,A1)
【文献】実開平02-128530(JP,U)
【文献】特開2001-165760(JP,A)
【文献】特開2006-177951(JP,A)
【文献】特開2010-266435(JP,A)
【文献】実開平04-113029(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0292193(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 21/00-23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子天秤(1)であって、
ベース本体(2)と、
秤量室床(3)と秤量室後部壁(4)とを有する秤量室(10)と、
頂部壁(6)と、第1の側壁(7)と、該第1の側壁(7)に平行に配置される第2の側壁(8)と、前部壁(9)と、を有する風防(5,5’,5’’)と
を備え、
前記秤量室床(3)、前記風防(5,5’,5’’)および前記秤量室後部壁(4)は、前記秤量室(10)を一緒に取り囲み、
前記秤量室後部壁(4)は、ベースモジュール(15)と頂部モジュール(16,16’,16’’)とを備え、
前記ベースモジュール(15)は、前記ベース本体(2)に接続され、
前記頂部モジュール(16,16’,16’’)は、前記風防(5,5’,5’’)の前記頂部壁(6)に接続される
電子天秤。
【請求項2】
電子天秤(1)であって、
ベース本体(2)と、
秤量室床(3)と秤量室後部壁(4)とを有する秤量室(10)と、
頂部壁(6)と、第1の側壁(7)と、該第1の側壁(7)に平行に配置される第2の側壁(8)と、前部壁(9)と、を有する風防(5,5’,5’’)と
を備え、
前記秤量室床(3)、前記風防(5,5’,5’’)および前記秤量室後部壁(4)は、前記秤量室(10)を一緒に取り囲み、
前記秤量室後部壁(4)は、ベースモジュール(15)と頂部モジュール(16,16’,16’’)とを備え、
前記ベースモジュール(15)は、前記ベース本体(2)に接続され、
前記頂部モジュール(16,16’,16’’)は、前記風防(5,5’,5’’)の前記頂部壁(6)に接続され
、
前記頂部モジュール(16,16’,16’’)は、前記ベースモジュール(15)の上方に位置決めされる、
電子天秤。
【請求項3】
電子天秤(1)であって、
ベース本体(2)と、
秤量室床(3)と秤量室後部壁(4)とを有する秤量室(10)と、
頂部壁(6)と、第1の側壁(7)と、該第1の側壁(7)に平行に配置される第2の側壁(8)と、前部壁(9)と、を有する風防(5,5’,5’’)と
を備え、
前記秤量室床(3)、前記風防(5,5’,5’’)および前記秤量室後部壁(4)は、前記秤量室(10)を一緒に取り囲み、
前記秤量室後部壁(4)は、ベースモジュール(15)と頂部モジュール(16,16’,16’’)とを備え、
前記ベースモジュール(15)は、前記ベース本体(2)に接続され、
前記頂部モジュール(16,16’,16’’)は、前記風防(5,5’,5’’)の前記頂部壁(6)に接続され
、
前記頂部モジュール(16,16’,16’’)は、該頂部モジュール(16,16’,16’’)が前記ベースモジュール(15)と重なるように、前記ベースモジュール(15)の前方に位置決めされる、
電子天秤。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の電子天秤(1)であって、
前記ベースモジュール(15)および前記頂部モジュール(16,16’,16’’)は、前記秤量室後部壁(4)を一緒に形成する
電子天秤。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電子天秤(1)であって、
前記ベースモジュール(15)および前記頂部モジュール(16,16’,16’’)は、鉛直方向に少なくとも1つの平滑面を備える前記秤量室後部壁(4)を一緒に形成する
電子天秤。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電子天秤(1)であって、
前記ベースモジュール(15)の幅は、前記ベース本体(2)の幅と少なくとも同じか、それ以上である
電子天秤。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電子天秤(1)であって、
前記ベースモジュール(15)の幅は、前記ベース本体(2)の幅よりも小さい
電子天秤。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電子天秤(1)であって、
前記ベースモジュール(15)は、前記ベース本体(2)に対して垂直に位置決めされる
電子天秤。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の電子天秤(1)であって、
前記ベースモジュール(15)および前記頂部モジュール(16,16’,16’’)は、前記秤量室床(3)に平行に延在する断面において同一の前面プロファイルを有する 電子天秤。
【請求項10】
請求項1、請求項3、並びに請求項2を引用先に含まない請求項4から9のいずれか一項に記載の電子天秤(1)であって、
前記頂部モジュール(16,16’,16’’)は、前記ベースモジュール(15)の上方に位置決めされる
電子天秤。
【請求項11】
請求項1、請求項2、並びに請求項3を引用先に含まない請求項4から9のいずれか一項に記載の電子天秤(1)であって、
前記頂部モジュール(16,16’,16’’)は、該頂部モジュール(16,16’,16’’)が前記ベースモジュール(15)と重なるように、前記ベースモジュール(15)の前方に位置決めされる
電子天秤。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の電子天秤(1)であって、
前記秤量室後部壁(4)は、前記ベースモジュール(15)と前記頂部モジュール(16,16’,16’’)との間に配置される少なくとも1つの追加的なモジュール(18)を備える
電子天秤。
【請求項13】
請求項12に記載の電子天秤(1)であって、
前記頂部モジュール(16,16’,16’’)、前記少なくとも1つの追加的なモジュール(18)および前記ベースモジュール(15)は、前記秤量室後部壁(4)を一緒に形成する
電子天秤。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の電子天秤(1)であって、
前記ベースモジュール(15)、前記少なくとも1つの追加的なモジュール(18)および前記頂部モジュール(16)は、前記秤量室床(3)に平行に延在する断面において同一の前面プロファイルを有する
電子天秤。
【請求項15】
請求項1ないし請求項14のいずれか一項に記載の電子天秤(1)であって、
前記秤量室後部壁(4)の前記頂部モジュール(16,16’,16’’)は、異なる高さの頂部モジュール(16,16’,16’’)に交換可能である
電子天秤。
【請求項16】
請求項1ないし請求項15のいずれか一項に記載の電子天秤(1)であって、
前記風防(5,5’,5’’)は、前記秤量室後部壁(4)の総高さと等しい、異なる高さの風防(5,5’,5’’)に交換可能である
電子天秤。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]本発明は、(典型的にはミリグラムの分数の)非常に高い精度で小さい物体を秤量するのに使用される天秤に関する。天秤が重量をそのように正確に測定することができる感度によって、天秤は秤量パンの領域における空気循環に影響を受けやすくなる。したがって、秤量パン、および、その上の空間は、一般的に風防と称される筐体によって周囲環境から分離される。風防内の空間は、秤量室と称される。この文脈における電子天秤との用語は、風防で囲まれた秤量室を有する任意の高精度秤量器具を意味している。そのような天秤は、化学研究室および製薬研究室、産業品質管理、宝飾品取引、貨幣収集、大気汚染フィルタの秤量、ならびに、多くの他の用途で使用される。
【0002】
[0002]風防が周囲室内空気の通風を排除しているとき、電子天秤の秤量精度および動作速度は、風防の扉が開けられたときの一時的な乱流によって、また、天秤の電気・電子部品からの放熱に起因する秤量室内の対流気流によって、依然として悪影響を受け得る。風防内でのこれらの空気の移動は、秤量室の容積(特に高さ)が大きいほど、強くなるとともに、弱まるのに長時間がかかる傾向にある。したがって、電子天秤に関して最良の精度および動作速度を達成するために、秤量室の容積(特に高さ)は、秤量されている物体を収容するのに必要なのとちょうど同じ大きさ(特に高さ)であるべきである。
【0003】
[0003]秤量室の高さが秤量されるべきサンプルの高さと同じである天秤の要求を満たすために、現在の最新技術は、高さ調節可能な風防筐体を有する天秤を提供している。米国特許第4,893,686号では、2つ以上の中空の本体を有する通風防止装置が提案されている。2つ以上の中空の本体は、秤量パンを取り囲んでおり、互いの内部で入れ子式に摺動されて、通風防止装置を所望の高さに調節することができる。この高さは、係止装置によって維持される。入れ子式の風防の開口した頂部は、必要に応じて、蓋で覆われ得る。米国特許第4,893,686号にしたがった通風防止装置では、秤量物体は、風防の頂部開口を通って秤量パンに入れられ、また、そこから取り出される。このことは、この種の風防を、小さいサンプルの繊細な操作には望ましくないものにする。しかも、風防に蓋を配置すること、または、風防から蓋を取り外すことは、秤量室の内部の空気の乱流の突風を生じさせる。これらの欠点によって、米国特許第4,893,686号の入れ子式風防の実際の用途は、依然として、上述した電子天秤よりも精度階級が低い天秤に非常に限定される。
【0004】
[0004]米国特許出願公開第2010/0288566号に記載された電子天秤用の他の最新技術の通風防止装置は、複数の平面パネル、すなわち、後部壁と、前部壁と、2つの側壁と、頂部カバーと、床と、を有している。これらは、秤量室を一緒に取り囲む。前部壁および側壁は、頂部カバーの縁部から吊り下げられ、天秤のベースハウジングの前部および側部の上に覆い被さる。吊り下げられた前部壁および側壁を有する頂部カバーは、前部壁および側壁がベースハウジングの前部および側部の上を上下に摺動する状態で上下されることができ、それによって、秤量室の高さを調節することができる。勿論、下方に向けた移動の範囲は、前部壁および側壁の底部縁部が、天秤が設置される作業面のレベルに到達する場所で終わる。このため、米国特許出願公開第2010/0288566号に記載された通風防止装置を有する秤量室の高さ調節の可能な範囲は、ある程度制限される。
【0005】
[0005]米国特許出願公開第2013/0068542号において提案されるさらなる解決策によれば、秤量室の天井高さは、水平方向区画パネル(例えば、風防区画内のガラス板)を設置することによって低減され、それによって、風防区画内の空間が、底部のところの実際の秤量室と、頂部のところの停滞空気空間と、に分割される。このコンセプトは、水平方向区画パネルが、頂部から秤量区画へのアクセスを妨害するという欠点を有している。
【0006】
[0006]従来技術の高さ調節可能な秤量室の上述の欠点を考慮して、本願出願人は、工場において、あるいは、現場設置によって、様々な標準化された高さの風防装置とともに備えられるべき所与のベースモデルの電子天秤を可能にするであろう新たな解決策を探し出した。この高さの区別は、秤量室の垂直壁、すなわち、前部壁と後部壁と側壁とに影響を与える。発明者は、特に秤量室の後部壁のモジュール設計によって、製造、棚卸し、および、配送物流における節約を達成できることに思い至った。その結果、互いの頂部にモジュール壁要素を積層することによって、秤量室の様々な高さの後部壁を組み立てることができる。
【0007】
[0007]秤量室の前部壁および側壁以上に秤量室後部壁に特別な注意を払うことは、後部壁が金属から製造される一方で、風防壁は、ガラスパネルとして構成されることに起因している。なぜなら、様々な高さの後部壁の製造の物流は、様々な寸法のガラスパネルを提供するよりも非常に複雑だからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[0008]したがって、本発明の目的は、互いの頂部にモジュール壁要素を積層することによって様々な高さで構成され得る秤量室後部壁を有する電子天秤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0009]この課題は、独立請求項1にしたがったモジュール構造の秤量室後部壁を有する電子天秤によって解決される。本発明の有利な実施形態および詳細な特徴は、従属請求項に記載されている。
【0010】
[0010]本発明に関するタイプの電子天秤は、ベース本体と、秤量室床と秤量室後部壁とを有する秤量室と、を有している。秤量室後部壁に加えて、頂部壁と、第1の側壁と、第1の側壁に平行に延在する第2の側壁と、前部壁と、を有する風防がある。秤量室床、風防および秤量室後部壁は、秤量室を一緒に取り囲む。本発明によれば、秤量室後部壁は、モジュール構造を有している、すなわち、ベースモジュールと少なくとも1つの頂部モジュールとを少なくとも備える2つ以上のモジュール要素のアセンブリとして構成される。ベースモジュールは、ベース本体に接続され、頂部モジュールは、風防の頂部壁に接続される。
【0011】
[0011]本文脈における前部、後部、側部、頂部および床との用語は、その動作条件において設定される天秤のユーザに対して存在する秤量室に関する。したがって、空間的な方向および寸法は、天秤の前に座る人によって見られる場合の幅、高さおよび深さとして定義される。
【0012】
[0012]本発明の第1実施形態によれば、頂部モジュールは、様々な高さの複数の利用可能な頂部モジュールから選択可能である。ベールモジュールおよび選択された頂部モジュールは、秤量室後部壁を一緒に形成する。したがって、様々な高さの秤量室後部壁は、電子天秤の意図される使用のために、必要に応じて組み立てられ得る。
【0013】
[0013]好ましい実施形態では、ベールモジュールおよび頂部モジュールは、鉛直方向に少なくとも1つの平滑面を有する秤量室後部壁を一緒に形成する。その結果、モジュールは、鉛直方向に連続面を有する秤量室後部壁を形成する。ただし、水平方向において、秤量室後部壁が縁部を示してもよい。
【0014】
[0014]本発明の好ましい実施形態では、ベールモジュールの幅、すなわち、天秤のユーザの視方向に対して直交する水平方向寸法は、ベース本体の幅と少なくとも同じか、それ以上である。
【0015】
[0015]好ましい実施形態におけるベース本体は、平坦な低プロファイルの水平方向ボックスの形状を有しており、(電子天秤の通常動作位置における)その最大寸法は、(上述した用語における)深さおよび幅であること、および、秤量室後部壁は、同様に平坦な構成を有しているが、その主要延長は、高さおよび幅の方向であることが考えられる。ただし、それによって限定が暗示されるものではない。較正分銅、電力および信号を伝導するケーブル、モータなどの構成部品をベース本体内に配置することが考えられる。本発明の好ましい実施形態では、秤量室後部壁のベースモジュールは、その高さおよび幅がベース本体の深さ方向に対して直角に向けられた状態で位置決めされる。そのような配置は、風防を受け入れて支持するための必要なフレームワークを提供し、それによって、明確に区切られた容積の秤量室が形成される。
【0016】
[0016]本発明の好ましい実施形態では、ベースモジュールおよび頂部モジュールは、それらの幅方向において一致面プロファイルを有している。特に、ベースモジュールおよび頂部モジュールは、秤量室床に平行に延在する断面において同一の前面プロファイルを有している。上述の特徴は、秤量室後部壁が、より平らに見えるとともに審美的に魅力的に見えるようにすることに加えて、ベースモジュールと頂部モジュールとの間の完全な整合を提供する。
【0017】
[0017]頂部モジュールは、好ましくは、ベースモジュールの上方に位置決めされるとともに、ベースモジュールと鉛直方向に整合される。代替的に、頂部モジュールは、頂部モジュールがベースモジュールの前面の一部分と重なるか、あるいは、当該一部分の上に覆い被さるように、ベースモジュールの前方に位置決めされてもよい。そのような配置は、特に、高分解能を提供する、より小さな秤量室容積を必要とする用途で天秤が使用される場合に好ましい。
【0018】
[0018]本発明のコンセプトの他の有利な実施形態では、秤量室後部壁は、ベースモジュールと頂部モジュールとの間に鉛直方向に配置される少なくとも1つの追加的なモジュールを備えている。その結果、頂部モジュール、少なくとも1つの追加的なモジュール、および、ベースモジュールは、秤量室後部壁を一緒に形成する。追加的なモジュールを備えることの可能性は、より大きな秤量室容積を必要とする用途に適合するように天秤を適合させる助けになる。
【0019】
[0019]好ましくは、ベースモジュール、少なくとも1つの追加的なモジュール、および、頂部モジュールは、それらの幅方向に一致面プロファイルを有している。特に、ベースモジュール、追加的なモジュールおよび頂部モジュールは、秤量室床に平行に延在する断面において同一の前面プロファイルを有している。上述の特徴は、秤量室後部壁が、より平らに見えるとともに審美的に魅力的に見えるようにすることに加えて、ベースモジュールと追加的なモジュールと頂部モジュールとの間の完全な位置整合を提供する。
【0020】
[0020]好ましくは、ベースモジュール、少なくとも1つの追加的なモジュール、および、頂部モジュールは、秤量室後部壁を一緒に形成し、それによって、秤量室壁は、少なくとも1つの平滑面を鉛直方向に備える。有利には、秤量室後部壁は、鉛直方向の少なくとも1つの平滑面からなる。ただし、秤量室後部壁は、鉛直方向の2つ以上の平滑面からなっていてもよい。
【0021】
[0021]ベースモジュールと追加的なモジュールと頂部モジュールとを有する秤量室後部壁の構成において、少なくとも1つの追加的なモジュール、および/または、少なくとも1つの頂部モジュールは、複数の利用可能な追加的なモジュールおよび/または異なる高さを有する頂部モジュールから選択可能であってもよい。有利には、少なくとも1つの追加的なモジュール、および、少なくとも1つの頂部モジュールは、少なくとも1つの追加的なモジュールが少なくとも1つのベースモジュールの頂部上に適合するときに、頂部モジュールの各々が少なくとも1つの追加的なモジュールの頂部に均等に適合するように構成される。それによって、組み立てることができる、異なる高さの秤量室後部壁の数は、更に拡張される。例えば、1つのベースモジュールと、1つの追加的なモジュールと、異なる高さを有する3つの頂部モジュールと、を有する秤量室後部壁のモジュールデザインでは、電子天秤の意図される使用の異なる要件を最適に満たすために、合計6つの、異なる高さの秤量室後部壁を組み立てることができる。
【0022】
[0022]有利には、本発明にしたがった電子天秤のデザインは、異なる高さを有する複数の風防を備えている。これらの風防の高さは、異なる高さを有する複数の秤量室後部壁の高さとそれぞれ一致する。風防は、追加的なモジュールなしで、あるいは、利用可能であれば、ベースモジュールと頂部モジュールとの間に挿入された1つ以上の追加的なモジュールとともに、ベースモジュールおよび利用可能な頂部モジュールとともに組み立てられ得る。1つの高さの風防は、秤量室後部壁の総高さと等しい、異なる高さの風防に交換可能である。
【0023】
[0023]本発明にしたがった秤量室後部壁を有する電子天秤は、図面に概略的に示される実施形態によって以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明にしたがった後部壁を有する秤量室を備える電子天秤の第1実施形態を示している。
【
図3】
図3Aはその組み立てられた状態の
図2の秤量室後部壁の前側を示している。
図3Bは互いに分離された頂部モジュールとベースモジュールとを有する
図2の秤量室後部壁の前を向いた側を斜視図で示している。
図3Cは互いに分離された頂部モジュールとベースモジュールとを有する
図2の秤量室後部壁の前側を示している。
【
図4】本発明にしたがった後部壁を有する秤量室を備える電子天秤の第2実施形態を示している。
【
図6】
図6Aは
図5の秤量室後部壁の頂部モジュール、追加的なモジュールおよびベースモジュール、ならびに、追加的なモジュールおよびベースモジュールのためのカバーの前側を示している。
図6Bは
図5の秤量室後部壁の頂部モジュール、追加的なモジュールおよびベースモジュール、ならびに、追加的なモジュールおよびベースモジュールのためのカバーの前を向いた側を斜視図で示している。
【
図7】本発明にしたがった後部壁を有する秤量室を備える電子天秤の第3実施形態を示している。
【
図9】
図9Aは頂部モジュール、ベースモジュール、および、
図8の秤量室後部壁のベースモジュールのためのカバーの前側を示している。
図9Bは頂部モジュール、ベースモジュール、および、
図8の秤量室後部壁のベースモジュールのためのカバーの前を向いた側を斜視図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[0024]
図1は、本発明にしたがった電子天秤1を3次元図で示している。電子天秤1の主要な部品は、ディスプレイコンソールD、ベース本体2、秤量室10およびハウジング11である。秤量パン14(ここでは、格子形状の秤量プラットフォーム14として示される)は、秤量室10の内部に収容されている。秤量プラットフォーム14は、秤量セル12に機械的に接続される。秤量セル12は、ハウジング11によって取り囲まれており、ハウジング11によって視界から遮られている。秤量室10は、秤量室床3を介してベース本体2に接合され、秤量室後部壁4を介してハウジング11に接合され、透明の風防5によって周囲空気空間に対して隔離されている。
【0026】
[0025]
図2は、本発明の第1実施形態における秤量室10を単独で示している。秤量室後部壁4は、モジュール構造を有しており、ベースモジュール15と頂部モジュール16とを備えている。風防5の壁(通常、矩形の透明なガラスパネル)は、頂部壁6と左側壁7と右側壁8と前部壁9とを備えている。秤量室後部壁4のベースモジュール15はベース本体2に接続され、一方、頂部モジュール16は風防5の頂部壁6に接続される。
【0027】
[0026]
図3Aは、前側から、すなわち、風防5の側から見た
図2の秤量室後部壁4を、その組み立てられた状態で示している。ベースモジュールの鉛直方向スリット31は、上述の機械的な接続の非接触通路のための開口であり、鉛直方向スリット31を通って秤量力が秤量パン14から秤量セル12に伝達される。
図3Bの斜視図は、同じ秤量室後部壁4の前を向いた側で方向付けられており、頂部モジュール16およびベースモジュール15は、互いから分離されている。この図は、特に、頂部モジュール16の下部がベースモジュール15の上部に部分的に重なるようにするために頂部モジュール16がどのようにして構成されているのかを示している。
図1,2,3Bの秤量室後部壁4の斜視図からさらに明らかなように、頂部モジュール16およびベースモジュール15の前側は、一致面プロファイルを有している。その結果、分離結合部を横切って同一面移行が存在する。
図3Cは、同じ秤量室後部壁4の前側を示しており、頂部モジュール16およびベースモジュール15は、互いから分離されている。
【0028】
[0027]
図4は、
図1に類似の電子天秤1を示しているが、モジュール式秤量室後部壁4の第2実施形態を示している。この秤量室後部壁4は、同じベースモジュール15を使用するが、追加的なモジュール18(
図5参照)が、ベースモジュール15と頂部モジュール16’との間に挿入されている。その結果、風防5’(その高さは
図1~3の風防5とは異なっていてもよい)が調整され得る。
【0029】
[0028]秤量室10のモジュール式後部壁4のこの第2実施形態を構成する部品は、前からの視野で
図6Aに示されており、また、上からおよび右からの角度で見られる同じ部品のセットの前側を示す
図6Bに示されている。
図1~3の第1実施形態の構成に代えて、頂部モジュール16のうちの下方に向けて延在する部分が、ベースモジュール15と重なり、それによって、ベースモジュール15の凹部を覆う場合には、追加的なモジュール18および頂部モジュール16’は、そのような下方に向けて延在する部分を有していない。その代わりに、ベースモジュール15の凹部は、カバー70によって閉じられ、追加的なモジュールの凹部は、カバー71によって閉じられる。
【0030】
[0029]
図7,8,9A,9Bは、秤量室10のモジュール式秤量室後部壁4の発明概念によって、
図4の電子天秤1が、どのようにして、風防5’よりも低い高さの風防5’’に適合されるかを示している。追加的なモジュール18上にあるのと同じベースモジュール15と、ベースモジュール15上に均等に適合する頂部モジュール16’’と、を使用して、2つの異なる高さの後部壁4が、単に、追加的なモジュール18およびカバー71を備えるか、または、それらを省略することによって、モジュール15,16’’,18およびカバー70,71の単一のセットから製造され得る。風防5’’の下部前部パネルおよび側壁パネルのための調達および在庫管理の追加的なコストは、任意の場合において、異なる高さの単一部品の秤量室後部壁を製造するコストよりも実質的に小さくなるであろう。さらに、モジュール式秤量室後部壁4のモジュールは、天秤が使用される用途の種類に応じて構成され得る。
【0031】
[0030]モジュール構造の秤量室後部壁の特定の実施形態の提示によって本発明を説明してきたが、多数の追加的な変形形態が本発明の教示によって包含され、それには、より多数の壁モジュールを有する、あるいは、異なる構成の壁モジュールを有する、あるいは、壁モジュールのいずれかに付加される追加的な要素および構造を有するモジュール式秤量室後部壁が含まれることが自明であると考えられる。本願で説明され、特許請求の範囲に記載された秤量室後部壁のモジュールコンセプトのそのような組合せおよび変形は、例外なく、それによって本発明のために求められる保護範囲内にあると考えられる。
<付記>
[形態1]
電子天秤(1)であって、
ベース本体(2)と、
秤量室床(3)と秤量室後部壁(4)とを有する秤量室(10)と、
頂部壁(6)と、第1の側壁(7)と、該第1の側壁(7)に平行に配置される第2の側壁(8)と、前部壁(9)と、を有する風防(5,5’,5’’)と
を備え、
前記秤量室床(3)、前記風防(5,5’,5’’)および前記秤量室後部壁(4)は、前記秤量室(10)を一緒に取り囲み、
前記秤量室後部壁(4)は、ベースモジュール(15)と頂部モジュール(16,16’,16’’)とを備え、
前記ベースモジュール(15)は、前記ベース本体(2)に接続され、
前記頂部モジュール(16,16’,16’’)は、前記風防(5,5’,5’’)の前記頂部壁(6)に接続される
電子天秤。
[形態2]
形態1に記載の電子天秤(1)であって、
前記ベースモジュール(15)および前記頂部モジュール(16,16’,16’’)は、前記秤量室後部壁(4)を一緒に形成する
電子天秤。
[形態3]
形態1または形態2に記載の電子天秤(1)であって、
前記ベースモジュール(15)および前記頂部モジュール(16,16’,16’’)は、鉛直方向に少なくとも1つの平滑面を備える前記秤量室後部壁(4)を一緒に形成する
電子天秤。
[形態4]
形態1ないし形態3のいずれか一項に記載の電子天秤(1)であって、
前記ベースモジュール(15)の幅は、前記ベース本体(2)の幅と少なくとも同じか、それ以上である
電子天秤。
[形態5]
形態1ないし形態4のいずれか一項に記載の電子天秤(1)であって、
前記ベースモジュール(15)の幅は、前記ベース本体(2)の幅よりも小さい
電子天秤。
[形態6]
形態1ないし形態4のいずれか一項に記載の電子天秤(1)であって、
前記ベースモジュール(15)は、前記ベース本体(2)に対して垂直に位置決めされる
電子天秤。
[形態7]
形態1ないし形態6のいずれか一項に記載の電子天秤(1)であって、
前記ベースモジュール(15)および前記頂部モジュール(16,16’,16’’)は、前記秤量室床(3)に平行に延在する断面において同一の前面プロファイルを有する 電子天秤。
[形態8]
形態1ないし形態7のいずれか一項に記載の電子天秤(1)であって、
前記頂部モジュール(16,16’,16’’)は、前記ベースモジュール(15)の上方に位置決めされる
電子天秤。
[形態9]
形態1ないし形態8のいずれか一項に記載の電子天秤(1)であって、
前記頂部モジュール(16,16’,16’’)は、該頂部モジュール(16,16’,16’’)が前記ベースモジュール(15)と重なるように、前記ベースモジュール(15)の前方に位置決めされる
電子天秤。
[形態10]
形態1ないし形態9のいずれか一項に記載の電子天秤(1)であって、
前記秤量室後部壁(4)は、前記ベースモジュール(15)と前記頂部モジュール(16,16’,16’’)との間に配置される少なくとも1つの追加的なモジュール(18)を備える
電子天秤。
[形態11]
形態10に記載の電子天秤(1)であって、
前記頂部モジュール(16,16’,16’’)、前記少なくとも1つの追加的なモジュール(18)および前記ベースモジュール(15)は、前記秤量室後部壁(4)を一緒に形成する
電子天秤。
[形態12]
形態10または形態11に記載の電子天秤(1)であって、
前記ベースモジュール(15)、前記少なくとも1つの追加的なモジュール(18)および前記頂部モジュール(16)は、前記秤量室床(3)に平行に延在する断面において同一の前面プロファイルを有する
電子天秤。
[形態13]
形態1ないし形態12のいずれか一項に記載の電子天秤(1)であって、
前記秤量室後部壁(4)の前記頂部モジュール(16,16’,16’’)は、異なる高さの頂部モジュール(16,16’,16’’)に交換可能である
電子天秤。
[形態14]
形態1ないし形態13のいずれか一項に記載の電子天秤(1)であって、
前記風防(5,5’,5’’)は、前記秤量室後部壁(4)の総高さと等しい、異なる高さの風防(5,5’,5’’)に交換可能である
電子天秤。
【符号の説明】
【0032】
1…電子天秤
2…ベース本体
3…秤量室床
4…秤量室後部壁
5,5’,5’’…風防
6…頂部壁
7…左側壁
8…右側壁
9…前部壁
10…秤量室
11…ハウジング
12…秤量セル
14…秤量パン
15…ベースモジュール
16,16’,16’’…頂部モジュール
18…追加的なモジュール
31…鉛直方向スリット
70,71…カバー
D…ディスプレイ