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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】ガスメータ
(51)【国際特許分類】
   G01F 3/22 20060101AFI20230302BHJP
   G01F 1/66 20220101ALI20230302BHJP
【FI】
G01F3/22 Z
G01F1/66 101
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019137234
(22)【出願日】2019-07-25
(65)【公開番号】P2021021601
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】高鍬 光臣
(72)【発明者】
【氏名】各務 亮
(72)【発明者】
【氏名】浅田 昭治
【審査官】後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】特許第6443902(JP,B1)
【文献】実公昭46-024516(JP,Y1)
【文献】実開昭63-001079(JP,U)
【文献】実開昭52-171702(JP,U)
【文献】実開昭52-145502(JP,U)
【文献】実公昭46-009963(JP,Y1)
【文献】実開昭51-142362(JP,U)
【文献】特開2018-155616(JP,A)
【文献】特開2017-090361(JP,A)
【文献】実公昭49-043921(JP,Y2)
【文献】特開2017-096718(JP,A)
【文献】特開2017-049032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 3/22
G01F 1/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス管から流れ込む水を、ガスの流量計測が可能な範囲で貯留する貯留部を有するガスメータであって、
前記貯留部内に配置されて気体を内包した状態で水没し、前記貯留部内の水が氷になった場合の膨張によって圧縮される圧縮部材を備えるガスメータ。
【請求項2】
前記圧縮部材の体積分を除いて前記貯留部に収容可能な最大量の水が凍結したときの体積増加量より、前記圧縮部材の圧縮による最大の体積減少量の方が大きい請求項1に記載のガスメータ。
【請求項3】
前記圧縮部材は、前記貯留部内に移動可能に収容されている請求項1又は2に記載のガスメータ。
【請求項4】
前記圧縮部材は、発泡樹脂である請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載のガスメータ。
【請求項5】
前記貯留部及びガスの通路を含むガスメータの内部を開放する第1開口と、
前記第1開口を閉塞する蓋体と、
前記第1開口の開口縁と前記蓋体との間に挟まれるパッキンとが備えられ、
前記圧縮部材は、前記パッキンに一体形成されている請求項1又は2に記載のガスメータ。
【請求項6】
前記パッキンには、前記貯留部内に突出しかつ下面に開口を有するフード部が前記圧縮部材として設けられている請求項5に記載のガスメータ。
【請求項7】
前記パッキンには、前記貯留部内に膨出した袋部が前記圧縮部材として設けられている請求項5に記載のガスメータ。
【請求項8】
前記袋部には、発泡樹脂が収容されている請求項7に記載のガスメータ。
【請求項9】
前記貯留部は、区画壁により水平方向で第1分割領域と第2分割領域とに区画され、
前記第1分割領域は、上方から水を受け入れ、
前記第2分割領域は、前記第1分割領域より容量が大きく、上面を閉塞されると共に前記区画壁に形成された連通孔を介して前記第1分割領域から水を受け入れ、
前記圧縮部材は、前記第2分割領域に収容されている請求項1乃至8の何れか1の請求項に記載のガスメータである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガス管に接続されてガスの流量を計測するガスメータに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス管が地中に埋設される場合、その近傍に水道管も埋設されることが多い。そして、地震や地盤沈下によって水道管とガス管とに僅かな亀裂が発生し、水道管から地中に染み出た水がガス管に染み込み、それが水滴になってガスメータ内に流れ込むことが想定される。その想定の下、開発された従来のガスメータとして、ガス管から流れ込む水を、ガスの流量計測が可能な範囲で貯留する貯留部を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6443902号公報(段落[0003],[0034],図4,7~9)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来のガスメータでは、貯留部の水が氷になって膨張した場合に備えた壁部の補強により、重量が増加したことが問題になっていた。このため、従来より軽量でかつ水の凍結による膨張にも耐え得るガスメータの開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、ガス管から流れ込む水を、ガスの流量計測が可能な範囲で貯留する貯留部を有するガスメータであって、前記貯留部内に配置されて気体を内包した状態で水没し、前記貯留部内の水が氷になった場合の膨張によって圧縮される圧縮部材を備えるガスメータである。
【0006】
請求項2の発明は、前記圧縮部材の体積分を除いて前記貯留部に収容可能な最大量の水が凍結したときの体積増加量より、前記圧縮部材の圧縮による最大の体積減少量の方が大きい請求項1に記載のガスメータである。
【0007】
請求項3の発明は、前記圧縮部材は、前記貯留部内に移動可能に収容されている請求項1又は2に記載のガスメータである。
【0008】
請求項4の発明は、前記圧縮部材は、発泡樹脂である請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載のガスメータである。
【0009】
請求項5の発明は、前記貯留部及びガスの通路を含むガスメータの内部を開放する第1開口と、前記第1開口を閉塞する蓋体と、前記第1開口の開口縁と前記蓋体との間に挟まれるパッキンとが備えられ、前記圧縮部材は、前記パッキンに一体形成されている請求項1又は2に記載のガスメータである。
【0010】
請求項6の発明は、前記パッキンには、前記貯留部内に突出しかつ下面に開口を有するフード部が前記圧縮部材として設けられている請求項5に記載のガスメータである。
【0011】
請求項7の発明は、前記パッキンには、前記貯留部内に膨出した袋部が前記圧縮部材として設けられている請求項5に記載のガスメータである。
【0012】
請求項8の発明は、前記袋部には、発泡樹脂が収容されている請求項7に記載のガスメータである。
【0013】
請求項9の発明は、前記貯留部は、区画壁により水平方向で第1分割領域と第2分割領域とに区画され、前記第1分割領域は、上方から水を受け入れ、前記第2分割領域は、前記第1分割領域より容量が大きく、上面を閉塞されると共に前記区画壁に形成された連通孔を介して前記第1分割領域から水を受け入れ、前記圧縮部材は、前記第2分割領域に収容されている請求項1乃至8の何れか1の請求項に記載のガスメータであるである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1のガスメータでは、貯留部内の水が氷になって膨張しても、貯留部内の圧縮部材が圧縮されて、貯留部を包囲する壁部に対する負荷が抑えられる。これにより、本開示のガスメータでは、従来のガスメータより貯留部を包囲する壁部を薄くすることができ、軽量でかつ水の凍結による膨張にも耐えることができる。
【0015】
請求項2のガスメータでは、圧縮部材の体積分を除いて貯留部に収容可能な最大量の水が凍結したときの体積増加量より、圧縮部材の圧縮による最大の体積減少量の方が大きいので、貯留部を包囲する壁部に対する負荷を確実に抑えることができる。
【0016】
請求項3のガスメータでは、圧縮部材を貯留部内の任意の位置に収容するだけでよいので、組み付けを容易に行うことができる。
【0017】
請求項4のガスメータでは、圧縮部材が発泡樹脂であるので安価に製造することができる。
【0018】
請求項5のガスメータでは、第1開口の開口縁と蓋体との間に挟まれるパッキンに圧縮部材が一体形成されているので、部品点数の削減が図られると共に組み立ての手間を削減され、製造コストを抑えることができる。具体的な構造としては、請求項6の構成のように、貯留部内に突出しかつ下面に開口を有するフード部を圧縮部材としてパッキンに一体に設けてもよいし(請求項6の発明)、貯留部内に膨出した袋部を圧縮部材としてパッキンに一体に設けてもよいし(請求項7の発明)。また、袋部に発泡樹脂を収容してもよい(請求項8の発明)。
【0019】
請求項9のガスメータでは、貯留部が、区画壁によって水平方向で第1と第2の分割領域に区画され、それらのうち下流側で氷が閉じこめられ易くかつ容量が大きい第2分割領域に圧縮部材が収容されているので、水が凍ったときの膨張を圧縮部材によって効率良く吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態のガスメータの斜視図
図2】(A)内部に水が貯まったハウジング本体の後面図、(B)貯まった水が凍結した状態のハウジング本体の後面図
図3】第2実施形態のガスメータの分解斜視図
図4】ガスメータの側断面図
図5】第3実施形態のガスメータの分解斜視図
図6】ガスメータの側断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
以下、図1及び図2を参照して、本実施形態のガスメータ10Aについて説明する。本実施形態のガスメータ10Aは、超音波を利用してガスの流量を計測する、所謂、超音波流量計である。このガスメータ10Aのハウジング11は、横方向H1に長く、前後方向H2に扁平の略直方体状をなしている。また、ハウジング11は、前後方向H2で、ハウジング本体12と、前面蓋13と、後面蓋14とに分割されている。
【0022】
ハウジング本体12は、外枠壁15と、外枠壁15内の前寄り位置に配置されて外枠壁15内を前後に区画する前後区画壁16とを備える。そして、ハウジング本体12のうち外枠壁15の前側の開口でもある前面開口31が前面蓋13にて閉塞される一方、ハウジング本体12のうち外枠壁15の後側の開口でもある後面開口32が後面蓋14にて閉塞される。
【0023】
前面蓋13及び後面蓋14は、図示しない螺子によってハウジング本体12に固定される。また、後面蓋14は、略平板状をなす一方、前面蓋13は、前後方向H2に扁平な容器状をなして、内部に電気回路を収容している。さらに、前面蓋13の前面には図示しない表示窓が形成され、電気回路に含まれるディスプレイが表示窓を介して前方に臨んでいる。なお、本実施形態では、外枠壁15の後面開口32が、特許請求の範囲の「第1開口」に相当し、後面蓋14が特許請求の範囲の「蓋体」に相当する。
【0024】
外枠壁15の上壁15Aの横方向H1における両端部からは、ガス管90に接続される1対の筒状の配管接続部17A,17Bが突出して、外枠壁15内における前後区画壁16より後側のハウジング内空間18に連通している。そして、それら1対の配管接続部17A,17Bにガス管90が接続され、図1において右側に示された一方の配管接続部17Aからハウジング内空間18にガスが流れこみ、他方の配管接続部17Bからガスが排出される。
【0025】
ハウジング内空間18には、一方の配管接続部17A寄り位置に、第1横仕切壁19が設けられている。第1横仕切壁19は、外枠壁15の上壁15Aと枠下壁15Bとの間を連絡する板状をなして、ハウジング内空間18全体を横方向H1で2分割している。
【0026】
ハウジング内空間18のうち第1横仕切壁19より他方の配管接続部17B側の下端寄り位置には、上下仕切壁21が設けられている。上下仕切壁21は、水平な板状をなして、第1横仕切壁19と外枠壁15の側壁15Dの下端寄り位置の間を連絡し、ハウジング内空間18のうち第1横仕切壁19より他方の配管接続部17B側を上下方向で2分割している。
【0027】
ハウジング内空間18のうち上下仕切壁21より上側には、他方の配管接続部17B寄り位置に、第2横仕切壁20が設けられている。第2横仕切壁20は、上下仕切壁21と外枠壁15の上壁15Aの間を連絡する板状をなしている。
【0028】
また、第1と第2の横仕切壁19,20には、互いに対向するように切欠部19A,20Aが形成されている。それら切欠部19A,20Aは、略四角形をなして、第1及び第2の横仕切壁19,20の後端側が開口している。また、それら切欠部19A,20Aには、角筒状の計測筒25の両端寄り位置が嵌合されている。さらに、それら嵌合部分は、図示しないシール部材によってシールされている。そして、一方の配管接続部17Aからハウジング内空間18に流れ込んだガスの全てが計測筒25内を通過して他方の配管接続部17Bへと向かうように、ハウジング本体12の後面開口32の開口縁と、後面蓋14との間に図示しないパッキンが挟まれている。
【0029】
また、ハウジング本体12の後面のうち後面蓋14によってパッキンが押し付けられるシール面12Sは、外枠壁15の後端面の全体と、上下仕切壁21の後端面の全体と、切欠部20Aを除く第2横仕切壁20の後端面の全体と、第1横仕切壁19のうち上下仕切壁21より上側部分で切欠部19Aを除いた後端面の全体とを含んでなる。また、第1横仕切壁19のうち上下仕切壁21より下側の後端面には、シール面12Sが僅かに延長されていて、そのシール面12Sより下側は、シール面12Sより僅かに前方に位置している。そして、後面蓋14によって後面開口32が閉塞された状態で、第1横仕切壁19と後面蓋14との間に縦に延びたスリット状の連通孔43が形成される。
【0030】
計測筒25には、図示しない1対の超音波センサが取り付けられている。そして、公知な超音波流量計と同様の原理によって計測筒25内を通過するガスの流量を計測する。具体的には、1対の超音波センサは、計測筒25の軸方向に沿って並べられ、超音波を相互に送受波する。そして、一方から他方の超音波流量計への超音波の伝播時間と、他方から一方の超音波センサへの超音波の伝播時間との差分に基づいて特定されるガスの流速と、計測筒25のガスの通過部分の断面積とからガスの流量が演算される。なお、1対の超音波流量計の配線は、前後区画壁16のうち第1横仕切壁19と第2横仕切壁20とに挟まれた部分を貫通する貫通孔16Aを通して前後区画壁16より前側に導出されて、前述の電気回路に接続される。
【0031】
ガスメータ10Aには、ガスの流量計測が可能な範囲で水を貯留する貯留部40が設けられている。具体的には、貯留部40は、ハウジング11のうち第1横仕切壁19より一方の配管接続部17A側で計測筒25より下側部分である第1分割領域41と、ハウジング11のうち上下仕切壁21より下側部分である第2分割領域42とからなり、それら第1と第2の分割領域41,42が前述した連通孔43によって連絡されている。
【0032】
第2分割領域42には、圧縮部材44が収容されている。その圧縮部材44は、第2分割領域42内の空間を、上下方向に略半分にした大きさの扁平の直方体状をなして、第2分割領域42内で上下に移動可能に収容されている。また、圧縮部材44は、気体を内包して、圧縮変形可能になっている。具体的には、圧縮部材44は、例えば、独立気泡構造の発泡ウレタンで構成されている。また、本実施形態の圧縮部材44の圧縮による最大の体積減少量は、圧縮部材44の体積分を除いて貯留部40に収容可能な最大量の水が凍結したときの体積増加量より大きくなっている。
【0033】
なお、圧縮部材44の前記体積減少量は、前記水の凍結による体積増加量より小さくてもよい。また、圧縮部材44は、発泡ウレタンに限定されるものではなく、例えば、空気を内包した状態にブロー成形された袋体であってもよい。
【0034】
本実施形態のガスメータ10Aの構成に関する説明は以上である。次に、本実施形態のガスメータ10Aの作用効果について説明する。
【0035】
ガス管90に亀裂が発生して水がガス管90に水が染みこむような異常が生じた場合、そのガス管90に染み込んだ水は、例えば水滴になってガスと共に一方の配管接続部17Aからガスメータ10Aに少量ずつ流れ込む。
【0036】
すると、図2(A)に示すように、ガスメータ10Aに流れ込んだ水滴は、配管接続部17Aの下方のハウジング本体12の内側面を伝わり、計測筒25内には入らずに、その下方の貯留部40に向かう。また、貯留部40に貯まった水は、貯留部40のうち配管接続部17Aの真下の第1分割領域41から連通孔43を介して第1分割領域41の横の第2分割領域42内に浸入する。その第2分割領域42内では、当初は、圧縮部材44を包囲するように水が隙間に入り込み、やがて、圧縮部材44が水に浮いた状態になる。
【0037】
そして、第2分割領域42が満杯になると、第1分割領域41の水面が上下仕切壁21より上昇し、やがて計測筒25内に到達する。それまでの間は、図2(A)の白抜きの矢印に示すように、計測筒25内をガスが正常に流れ、ガスの流量計測を正常に行うことができる。これにより、ガス管90の亀裂の修理に時間を要する場合に、ガスの使用量を計測できない期間を無くすか、減らすことができる。
【0038】
ところで、ガスメータ10Aが、氷点下の環境にある場合には、貯留部40内の水が凍結して膨張する。これに対し、本実施形態のガスメータ10Aには、貯留部40に圧縮部材44が収容されている。そして、図2(B)に示すように、貯留部40内の水が氷になった場合の膨張によって圧縮部材44が圧縮される。具体的には、例えば、圧縮部材44の上下方向の厚さが図2(A)に示されたL1から、図2(B)に示されたL2になるように圧縮部材44が圧縮される。これにより、貯留部40を包囲する壁部に対する負荷が抑えられる。
【0039】
また、本実施形態の圧縮部材44の圧縮による最大の体積減少量が、貯留部40内の水が凍結したときの体積増加量より大きくなっているので、貯留部40を包囲する壁部に対する負荷を確実に抑えることができる。
【0040】
さらに、貯留部40が、第1横仕切壁19によって第1と第2の分割領域41,42に区画され、それらのうち下流側で氷が閉じこめられ易くかつ容量が大きい第2分割領域42に圧縮部材44が収容されているので、水が凍ったときの膨張を圧縮部材44によって効率良く吸収することができる。
【0041】
これらにより、本実施形態のガスメータ10Aでは、従来のガスメータより貯留部40を包囲する壁部を薄くすることができ、軽量でかつ水の凍結による膨張にも耐えることができる。また、圧縮部材44は、単に貯留部40内に収容されているだけなので、組み付けが容易である。しかも、圧縮部材44は発泡樹脂であるので安価に製造することができ、耐久性にも優れる。
【0042】
[第2実施形態]
図3及び図4を参照して本実施形態のガスメータ10Bについて説明する。本実施形態のガスメータ10Bでは、圧縮部材が袋部23A,23Bとしてパッキン22に一体形成されている点で第1実施形態と大きく相違する。以下、本実施形態のガスメータ10Bのうち第1実施形態のガスメータ10Aと相違する点に関してのみ説明する。
【0043】
本実施形態のガスメータ10Bの配管接続部17C,17Dは、外枠壁15の上壁15Aを上下に貫通する貫通孔17Eと、上壁15Aの上面から突出し、貫通孔17Eと同心の環状突条17Fと、上壁15Aの上面のうち環状突条17Fの内側に敷設されたパッキン17Gとを備えてなる。また、上下仕切壁21は、第2横仕切壁20に接続された部分に、第2横仕切壁20と面一の段差面21Dを有する段付き構造をなしている。さらに、図4に示すように、前後区画壁16は、上下仕切壁21より下側部分が下方に向かうに従って前方(前面開口31側)に向かうように傾斜している。
【0044】
図3に示されたハウジング本体12と後面蓋14との間に挟まれるパッキン22は、例えばゴム製であって、後面蓋14に対応した四角形のゴムシートから、ハウジング本体12の前述したシール面12Sに当接する部分、及び、第2分割領域42及び連通孔43に対向する部分を残して、その他を除去した構造になっている。そして、前述した袋部23A,23Bが、パッキン22のうち第2分割領域42に対向する部分から第2分割領域42内に向かって膨出している。
【0045】
詳細には、一方の袋部23Aは、段付き形状の上下仕切壁21のうち上段部分の下方に配置される一方、他方の袋部23Bは、上下仕切壁21の下段部分の下方に配置されている。また、袋部23A,23Bは、共に横長の直方体状をなし、後面蓋14側に開口を有している。さらに、後面蓋14のうち連通孔43に対向する部分は、シール面12Sに対向する部分と面一の平坦面になっていて、そこにパッキン22における袋部23Aの開口縁が密着するようになっている。また、袋部23A,23Bには、発砲樹脂ブロック24A,24Bが収容されている。それら発砲樹脂ブロック24A,24Bは、独立気泡構造の発砲樹脂で形成されている。
【0046】
本実施形態のガスメータ10Bによって、第1実施形態のガスメータ10Aと同様の作用効果を奏する。なお、本実施形態のパッキン22は、第2分割領域42と対向する部分は残され、第1分割領域41に対向する部分は除去されていたが、第1分割領域41と対向する部分を残してもよいし、除去部分がなく、パッキン22が後面開口32の全体を覆っていてもよい。
【0047】
[第3実施形態]
図5及び図6を参照して本実施形態のガスメータ10Cについて説明する。本実施形態のガスメータ10Cは、前述の袋部23A,23Bに代わりに、圧縮部材としてパッキン22に、フード部25A,25Bが一体形成されている点で第2実施形態と大きく相違する。以下、本実施形態のガスメータ10Bのうち第1及び第2の実施形態のガスメータ10A,10Bと相違する点に関してのみ説明する。
【0048】
図5に示すように、本実施形態のガスメータ10Cのパッキン22には、第2分割領域42との対向面に、フード部25A,25Bが一体形成されている。図6に示すように、フード部25A,25Bは、横方向H1から見た断面が三角形のフード構造をなし、下面のみが開口している。そして、第2分割領域42に貯まった水によってフード部25A,25Bの下面開口25Cが閉塞されて、フード部25A,25B内に空気が内包される。また、水が凍結したときの膨張によってフード部25A,25Bが圧縮され、これにより貯留部40を包囲する壁部に対する負荷が抑えられる。
【0049】
[他の実施形態]
【0050】
(1)前記各実施形態のガスメータ10A,10B,10Cは、すべて超音波流量計であったが、例えば、膜式ガスメータ等のように、超音波流量計とは違う原理でガスの流量を計測するガスメータに、上記した圧縮部材44や袋部23A,23Bやフード部25A,25Bを備えてもよい。
【0051】
(2)圧縮部材44や袋部23A,23Bやフード部25A,25Bは、上記した形状に限定されるものではない。また、袋部23A,23B内に発砲樹脂ブロック24A,24Bを備えなくてもよい。
【0052】
(3)前記第1実施形態の圧縮部材44は、第2分割領域42内に1つだけ収容されていたが、第2分割領域42内に複数の圧縮部材44が収容されていてもよい。
【0053】
(4)また、前記第1実施形態の圧縮部材44は、第2分割領域42内に移動可能に収容されていたが、第2分割領域42の内面に圧縮部材44が固定されていてもよい。
【0054】
(5)また、前記各実施形態のガスメータ10A,10B,10Cでは、一方の配管接続部17Aから流れ込んだ水のみが貯留される構造になっていたが、両方の配管接続部17A,17Bから流れ込んだ水が貯留される構造にしてもよい。具体的には、例えば、貯留部40を略左右対称に形成して、それらの中心部に区画壁を設け、両方の配管接続部17A,17Bから流れ込む水を貯留することができる構成としてもよい。
【0055】
(6)第3実施形態のガスメータ10Cにおいて、パッキン22からフード部25A,25Bを排除しかつ、後面蓋14のうち第2分割領域42に対向する部分に貫通孔を設けるか凹部を設けて、パッキン22が部分的に外側に膨出変形する構造にしてもよい。また、第1分割領域41に関しても同様の構造にしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10A,10B,10C ガスメータ
22 パッキン
23A,23B 袋部
24A,24B 発砲樹脂ブロック
25A,25B フード部
25C 下面開口
40 貯留部
41 第1分割領域
42 第2分割領域
43 連通孔
44 圧縮部材
90 ガス管
図1
図2
図3
図4
図5
図6