IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルテーエス ローマン テラピー−ジステーメ アーゲーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】アセナピンを含有する経皮治療システム
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/407 20060101AFI20230302BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20230302BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230302BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
A61K31/407
A61K9/70 401
A61K47/32
A61P25/18
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019554016
(86)(22)【出願日】2017-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 EP2017083629
(87)【国際公開番号】W WO2018115001
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-09
(31)【優先権主張番号】16205545.3
(32)【優先日】2016-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17178375.6
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・モーア
(72)【発明者】
【氏名】レネ・リーチェル
(72)【発明者】
【氏名】レネ・アイフラー
(72)【発明者】
【氏名】オールガ・ブルクアイン
【審査官】新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/127674(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/027052(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/140087(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/018322(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/018321(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のアセナピンを含有する自己接着性層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着性層構造は:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.アセナピン;および
2.アクリルポリマーから選択されるポリマー;
を含み、
該経皮治療システムは、5cm2から100cm2の放出面積を有し、0.70mg/cm2 から4.0mg/cm 2 のアセナピンを含有マトリックス層の面積重量は、90g/m 2 から230g/m 2 を範囲とする、
前記経皮治療システム。
【請求項2】
少なくとも0.80mg/cm2のアセナピンを含有する
求項1に記載の経皮治療システム。
【請求項3】
マトリックス層組成物は、マトリックス層組成物の50重量%超の量でポリシロキサンおよびポリイソブチレンのいずれも含まない
請求項1または2に記載の経皮治療システム。
【請求項4】
アセナピン含有マトリックス層は、マトリックス層組成物の5重量%の量でミリスチン酸イソプロピルを含まない、および/または
アセナピン含有マトリックス層は、マトリックス層組成物の10~20重量%の量でエチルセルロースを含まない、または
アセナピン含有マトリックス層は、塩化水素を含まない、
請求項1から3のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項5】
マトリックス層組成物におけるアセナピンは、遊離塩基の形態で含まれる、または
マトリックス層組成物は、遊離塩基の形態でアセナピンを組み込むことによって得られる
、および/または
マトリックス層におけるアセナピンの少なくとも90mol%は、遊離塩基の形態で存在する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項6】
マトリックス層組成物におけるアセナピンの量は、マトリックス層組成物の2重量%から20重量%を範囲とする、
請求項1から5のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項7】
ポリマーは、官能基を含むアクリルポリマーから選択される、
請求項1から6のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項8】
官能基は、ヒドロキシル基、カルボン酸基、中和されたカルボン酸基およびそれらの混合物から選択される、
請求項7に記載の経皮治療システム。
【請求項9】
ポリマーは、ヒドロキシル基を含み、かつカルボン酸基を含まないアクリルポリマーから選択される、
請求項8に記載の経皮治療システム。
【請求項10】
ポリマーは、酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマー、アクリル酸メチル、2-エチルヘキシルアクリレートおよびt-オクチルアクリルアミドに基づくコポリマー、または2-エチルヘキシル-アクリレートおよび酢酸ビニルに基づくコポリマーである、
請求項1から6のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項11】
ポリマーは、酢酸ビニルおよび2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマーである、
請求項10に記載の経皮治療システム。
【請求項12】
ポリマーは、架橋剤によって架橋されている、
請求項11に記載の経皮治療システム。
【請求項13】
ポリマーの量は、マトリックス層組成物の60重量%から97重量%の範囲である、または
マトリックス層組成物における総ポリマー含有量は、マトリックス層組成物の75重量%から重量97%の範囲である、請求項1から12のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項14】
マトリックス層組成物は、架橋剤、可溶化剤、充填剤、粘着付与剤、可塑剤、安定剤、軟化剤、スキンケア用物質、浸透増強剤、pH調節剤および保存料からなる群から選択されるさらなる賦形剤または添加剤を含む、
請求項1から13のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項15】
最初の8時間に0μg/(cm2h)から10μg/(cm2h)、
8時間目から24時間目に2μg/(cm2h)から20μg/(cm2h)、
24時間目から32時間目に3μg/(cm2h)から20μg/(cm2h)、
32時間目から48時間目に3μg/(cm2h)から20μg/(cm2h)、
48時間目から72時間目に2μg/(cm2h)から15μg/(cm2h)
の、皮節化されたヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定される場合のアセナピンの皮膚浸透率を提供する、
請求項1から14のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項16】
48時間の時間期間にわたって0.05mg/cm2から1.0mg/cm2の皮節化されたヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定される場合のアセナピンの累積浸透量を提供する、または72時間の時間期間にわたって0.1mg/cm2から2.0mg/cm2の、皮節化されたヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定される場合のアセナピンの累積浸透量を提供する、
請求項1から15のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項17】
統合失調症および/または双極性障害を処置する方法における使用のための、
請求項1から16のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項18】
ヒト患者を処置する方法における使用のための、請求項17に記載の経皮治療システムであって、
舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の低減を提供し、
該ヒト患者は、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患っている、および/または少なくとも1つのアセナピン関連の副作用は、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、もしくはその任意の組合せである、
前記経皮治療システム。
【請求項19】
請求項1から16のいずれか1項に記載の経皮治療システムにおける使用のためのマトリックス層の製造の方法であって:
1)溶媒中で、少なくとも構成成分アセナピンおよびポリマーを組み合わせることで、コーティング組成物を得る工程;
2)該コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナーまたは任意の中間体ライナー上にコーティングする工程;ならびに
3)該コーティングされたコーティング組成物を乾燥させることで、マトリックス層を形成する工程
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体循環へのアセナピンの経皮投与のための経皮治療システム(TTS)、ならびに製造のプロセス、処置の方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
活性薬剤アセナピン(3aRS,12bRS)-rel-5-クロロ-2,3,3a,12b-テトラヒドロ-2-メチル-1H-ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5-c]ピロール)は、四環式構造が、オランザピン、クエチアピンまたはクロザピン(三環式構造)、リスペリドン、ジプラシドンまたはアリピプラゾール(二環式構造)など他の抗精神病薬のものに非関連であるジベンゾ-オキセピノピロールファミリーに属する非定型抗精神病薬である。アセナピンは、後者に対する高い親和性を有するドーパミンD2およびセロトニン5-HT2A受容体でのアンタゴニストであり、双極性障害に関連する統合失調症および急性躁病の処置のためにSchering-Plough/Organonによって開発されてきた。
【0003】
現在、アセナピンは、商標名Sycrest(Swissmedic)およびSaphris(Schering-Plough)の下で、1日2回(BID)2.5mg、5mgまたは10mgの投与量強度で投与される舌下錠の形態で市販されている。
【0004】
舌下投与経路は、経口投与の初回通過代謝を回避することで、生物学的利用能を増加させ、舌下で摂取される場合に35%および経口摂取されるならば<2%である。しかしながら、舌下投与は、苦いまたは不快な味、同様に局所性麻酔効果、吐き気および頭痛によって誘発される舌/口腔粘膜の知覚麻痺に関連する。さらに、10分間舌下投薬した直後に摂食、飲水および喫煙することは許可されていない。これらの不便さは、患者コンプライアンスの低減、および不適切な投与、例えば用量低減、用量飛び越し、不規則な薬物摂取、または意図されたアセナピン摂取からの完全な離脱に至ることがある。舌下投与は、その上、施設に収容された精神医学患者をモニタリングすることが難しく、嚥下が難しい小児、高齢および他の患者に、または自ら薬物療法を受けられない人々に適当でないことがある。
【0005】
アセナピンは、神経遮断薬には珍しくない副作用を示す。傾眠および不安は、非常に共通である(患者の≧10%において観察された)。他の共通の(患者の≧1%から<10%)有害作用としては、体重増加および食欲の増加、神経系障害、例えばジストニア、アカシジア、ジスキネジー、パーキンソン症、鎮静、眩暈、味覚不全;胃腸障害、例えば口腔知覚鈍麻、吐き気、唾液分泌の増加;アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、筋強剛、および疲労(疲労感)における増加が挙げられる。
【0006】
アセナピンは、主にCYP1A2およびUGT1A4(グルクロン酸抱合)を介して肝臓に代謝される。主なヒト代謝物N-脱メチル-アセナピンおよびアセナピンN+グルクロニドの臨床的関連性は、依然として議論の余地がある。少なくとも、代謝物は治療効果に実質的に関与しないように見える。したがって、これらの代謝物の量の減少は一般に望ましく見える。
【0007】
舌下投与に続いて、アセナピンは、0.5時間から1.5時間内に発生するピーク血中血漿濃度で急速に吸収され、(治療用量において)数時間の半減期、続いて、およそ1日またはそれ以上のより長い末端処理半減期を有する、急速な初期の分布相を有する2区画薬物動態を呈する。血中血漿濃度は、したがって、投薬後約1時間にピーク、続いて、定常状態でさえ次の用量の直前に低い点をもたらす濃度減少を有する、ある特定の程度の増減を呈する。相対的に速やかな濃度減少は、その上必然的に、特に慢性状態において不十分な患者コンプライアンスに関連する複数の日用量(現在では1日2回)に至る。
【0008】
こうした増減は、活性物の拡張放出を提供することによって、2つの用量間の血漿濃度減少をある程度防止するアセナピンの経皮投与によって、回避または少なくとも低減することができる。アセナピンの経皮送達は調査されてきたが、アセナピンの受動的経皮送達、および特に長時間期間にわたる一定の放出は難題であるように見える。皮膚を介する経皮治療システム(TTS)からの活性薬剤の受動的輸送は、経皮システムにおけるおよび皮膚の外表面上の活性薬剤の濃度と血流における濃度との間の濃度勾配に基づく駆動力を利用する。こうした受動的輸送は、イオントフォレーシスまたはマイクロポレーションなどの能動的輸送手段を利用するTTSと比較して、TTSの複雑性および投与の便利性の観点から有利である。現在まで、入手可能である市販のアセナピンTTSはない。
【0009】
したがって、当技術分野において、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムの必要がある。
【0010】
その上、より少ない副作用または低い重度の副作用に至るアセナピンの適切な投与の必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
現在のアセナピン投与の上述の不利な点を克服するTTSを提供することは、本発明の目的である。
【0012】
したがって、治療有効用量を達成するのに十分である浸透率を提供する、アセナピンの経皮投与のためのTTSおよび特にマトリックス型TTSを提供することは、本発明の目的である。
【0013】
最大7日まで(例えば3.5日)の患者の皮膚への投与期間中、最大7日間まで治療有効量のアセナピンを提供する、連続的投与におけるアセナピンの経皮投与のためのTTSおよび特にマトリックス型TTSを提供することは、本発明のさらなる目的である。
【0014】
その上、アセナピン血中血漿濃度における増減が、特に定常状態における舌下投与と比較した場合に低減される、アセナピンの経皮投与のためのTTSおよび特にマトリックス型TTSを提供することは、本発明の目的である。
【0015】
サイズおよび厚さの観点から好都合な適用の必要に応じる、ならびに/または製造するのに容易でありコスト効果的である、アセナピンの経皮投与のためのTTSおよび特にマトリックス型TTSを提供することは、本発明の別の目的である。
【0016】
アセナピンの生物学的利用能が改善された、アセナピンの経皮投与のためのTTSおよび特にマトリックス型TTSを提供することは、本発明のある特定の実施形態の目的である。
【0017】
治療有効量のアセナピンが、1日の患者の皮膚への投与期間中、前記経皮治療システムによって1日間提供され、24時間処置において1日1回のTTS交換を可能にする、アセナピンの経皮投与のためのTTSおよび特にマトリックス型TTSを提供することは、本発明のある特定の実施形態の目的である。
【0018】
治療有効量のアセナピンが、3.5日の患者の皮膚への投与期間中、前記経皮治療システムによって3.5日間提供され、24時間処置において週2回のTTS交換を可能にする、アセナピンの経皮投与のためのTTSおよび特にマトリックス型TTSを提供することは、本発明のある特定の実施形態の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
これらの目的および他の目的は、一態様によると治療有効量のアセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着性層構造が:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.アセナピン;および
2.アクリルポリマーから選択されるポリマー;
を含み、
経皮治療システムが、5cmから100cmの放出面積を有する
経皮治療システムに関する本発明によって達成される。
【0020】
第2の態様によると、本発明は、アセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、少なくとも48時間の投与にわたり0.5mg/日から20mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する経皮治療システムに関する。
【0021】
第3の態様によると、本発明は、アセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、20(ng/ml)hから300(ng/ml)h、または300(ng/ml)h超から450(ng/ml)h、好ましくは30(ng/ml)hから200(ng/ml)hのAUC0-48を経皮送達によって提供する経皮治療システムに関する。
【0022】
第4の態様によると、本発明は、アセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、30(ng/ml)hから400(ng/ml)h、または400(ng/ml)h超から600(ng/ml)h、好ましくは50(ng/ml)hから300(ng/ml)hのAUC0-72を経皮送達によって提供する経皮治療システムに関する。
【0023】
第5の態様によると、本発明は、アセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、35(ng/ml)hから450(ng/ml)h、または450(ng/ml)h超から700(ng/ml)h、好ましくは60(ng/ml)hから350(ng/ml)hのAUC0-84を経皮送達によって提供する経皮治療システムに関する。
【0024】
第6の態様によると、本発明は、アセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、2.0未満の、好ましくは1.5未満の、より好ましくは1.3未満の、C48に対するCmax比を経皮送達によって提供する経皮治療システムに関する。
【0025】
第7の態様によると、本発明は、アセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、3.0未満の、好ましくは2.5未満の、より好ましくは2.0未満の、C72に対するCmax比を経皮送達によって提供する経皮治療システムに関する。
【0026】
第8の態様によると、本発明は、アセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、3.5未満の、好ましくは3.0未満の、より好ましくは2.5未満、最も好ましくは2.0未満の、C84に対するCmax比を経皮送達によって提供する経皮治療システムに関する。
【0027】
第9の態様によると、本発明は、治療有効量のアセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着性層構造が:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.遊離塩基の形態におけるアセナピン;および
2.ポリマー;
を含み、
マトリックス層の面積重量が、少なくとも90g/mであり、
アセナピン含有マトリックス層が、パルミチン酸イソプロピルを含まない
経皮治療システムに関する。
【0028】
本発明のある特定の実施形態によると、本発明による経皮治療システムは、特に長時間期間の間の投与中に、処置の方法における使用のため、特に統合失調症および/または双極性障害を処置する方法における使用のためのものである。
【0029】
したがって、本発明のある特定の実施形態によると、本発明による経皮治療システムは、約24時間から約168時間、または1日から7日の投与期間中、統合失調症および/または双極性障害を処置する方法における使用のため、特に、約24時間もしくは1日の、約48時間もしくは2日の、または約84時間もしくは3.5日の投与期間中に、統合失調症および/または双極性障害を処置する方法における使用のためのものである。
【0030】
本発明のある特定の他の実施形態によると、本発明による経皮治療システムは、特に長時間期間の投与中、例えば、約24時間から約168時間、もしくは1日から7日の投与期間中、特に、約24時間もしくは1日の、約48時間もしくは2日の、または約84時間もしくは3.5日の投与期間中に、一般に精神病を処置する方法における使用のため、特に、統合失調症、双極性障害、心的外傷後ストレス症候群、大うつ病性障害、認知症関連の精神病、激越および躁病から選択される1つまたはそれ以上の状態を処置する方法における使用のためのものである。
【0031】
他の実施形態によると、本発明は、長時間期間の間、患者の皮膚へ本発明による経皮治療システムを適用することを含む、処置の方法に、特に統合失調症および/または双極性障害を処置する方法に関する。
【0032】
したがって、ある特定の他の実施形態によると、本発明は、患者の皮膚へ約24時間から約168時間の間、または1日から7日の間、または約24時間、48時間もしくは84時間の間、または1日、2日もしくは3.5日の間、本発明による経皮治療システムを適用することを含む、統合失調症および/または双極性障害を処置する方法に関する。
【0033】
こうした投与モードは、24時間処置において1日1回、2日毎に1回、週2回または週1回のTTS交換を必要とする。
【0034】
本発明のある特定の他の実施形態によると、本発明は、特に長時間期間の間の投与中、例えば約24時間から約168時間、もしくは1日から7日の投与期間中、および特に、約24時間もしくは1日の、約48時間もしくは2日、または約84時間もしくは3.5日の投与期間中に、一般に精神病を処置する方法に、特に、統合失調症、双極性障害、心的外傷後ストレス症候群、大うつ病性障害、認知症関連の精神病、激越および躁病から選択される1つまたはそれ以上の状態を処置する方法に関する。
【0035】
特定の態様によると、本発明は、少なくとも約48時間もしくは2日の、または少なくとも約72時間もしくは3日の投薬間隔の間、アセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピンに関する。
【0036】
さらなる特定の態様によると、本発明は、少なくとも約48時間もしくは2日の、または少なくとも約72時間もしくは3日の投薬間隔の間、ヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムに関する。
【0037】
別の特定の態様によると、本発明は、少なくとも約48時間もしくは2日の、または少なくとも約72時間もしくは3日の投薬間隔の間、アセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法に関する。
【0038】
なお別の特定の態様によると、本発明は:
1)溶媒中で、少なくとも構成成分アセナピンおよびポリマーを組み合わせることで、コーティング組成物を得る工程;
2)コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナーまたは任意の中間体ライナー上にコーティングする工程;ならびに
3)コーティングされたコーティング組成物を乾燥させることで、マトリックス層を形成する工程
を含む、経皮治療システムにおける使用のためのマトリックス層の製造のプロセスに関する。
【0039】
ある特定の実施形態によると、本発明は:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.遊離塩基の形態で含まれるアセナピン;
2.酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマー;ならびに
3.安定剤
を含む自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムにも関する。
【0040】
ある特定の実施形態によると、本発明は:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.マトリックス層組成物の3%から9%の量で、遊離塩基の形態で含まれるアセナピン;
2.マトリックス層組成物の90%から96.5%の量で、酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマー;ならびに
3.マトリックス層組成物の0.1%から2%の量で安定剤;
を含む自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムにも関し、
ここで、マトリックス層の面積重量は、120g/mから170g/mを範囲とする。
【0041】
ある特定の実施形態によると、本発明は:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.遊離塩基の形態で含まれるアセナピン;
2.酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマー;
3.安定剤;ならびに
4.ポリビニルピロリドン
を含む自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムにも関する。
【0042】
ある特定の実施形態によると、本発明は:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.マトリックス層組成物の3%から9%の量で、遊離塩基の形態で含まれるアセナピン;
2.マトリックス層組成物の80%から90%の量で、酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマー;
3.マトリックス層組成物の0.1%から2%の量で安定剤;ならびに
4.マトリックス層組成物の5%から15%の量でポリビニルピロリドン;
を含む自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムにも関し、
ここで、マトリックス層の面積重量は、120g/mから170g/mを範囲とする。
【0043】
ある特定の実施形態によると、本発明は:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.マトリックス層組成物の7%から13%の量で、遊離塩基の形態で含まれるアセナピン;
2.マトリックス層組成物の75%から85%の量で、酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマー;
3.マトリックス層組成物の0.1%から2%の量で安定剤;ならびに
4.マトリックス層組成物の5%から15%の量でポリビニルピロリドン;
を含む自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムにも関し、
ここで、マトリックス層の面積重量は、120g/mから170g/mを範囲とする。
【0044】
ある特定の実施形態によると、本発明は:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.マトリックス層組成物の13%超から20%の量で、遊離塩基の形態で含まれるアセナピン;
2.マトリックス層組成物の65%から82%の量で、酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマー;
3.マトリックス層組成物の0.001%から2%の量で安定剤;ならびに
4.マトリックス層組成物の5%から15%の量でポリビニルピロリドン;
を含む自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムにも関し、
ここで、マトリックス層の面積重量は、120g/mから230g/mを範囲とする。
【0045】
ある特定の実施形態によると、本発明は:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.マトリックス層組成物の7%から20%の量で、遊離塩基の形態で含まれるアセナピン;
2.マトリックス層組成物の75%から85%の量で、酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマー;
3.マトリックス層組成物の0.001%から2%の量で安定剤;ならびに
4.マトリックス層組成物の5%から15%の量でポリビニルピロリドン;
を含む自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムにも関し、
ここで、マトリックス層の面積重量は、170g/mから230g/mを範囲とする。
【0046】
この発明の意味内で、「経皮治療システム」(TTS)という用語は、活性薬剤(アセナピン)が経皮送達を介して体循環に投与されるシステムを指し、患者の皮膚に適用される全体的な個々の投薬単位を指し、これは、自己接着性層構造中に治療有効量のアセナピン、および場合によりアセナピン含有自己接着性層構造の上部に追加の接着剤オーバーレイを含む。自己接着性層構造は、剥離ライナー(剥脱可能な保護層)上に位置することができ、したがって、TTSは、剥離ライナーをさらに含むことができる。この発明の意味内で、「TTS」という用語は、特に、イオントフォレーシスまたはマイクロポレーションを含めた方法のような能動的輸送を排除する受動的経皮送達を提供するシステムを指す。
【0047】
この発明の意味内で、「アセナピン含有自己接着性層構造」または「治療有効量のアセナピンを含有する自己接着性層構造」という用語は、投与中アセナピンのための放出面積を提供する活性薬剤含有構造を指す。接着剤オーバーレイは、TTSの全体的サイズを増やすが、放出面積を増やさない。アセナピン含有自己接着性層構造は、バッキング層および少なくとも1つのアセナピン含有層を含む。
【0048】
この発明の意味内で、「治療有効量」という用語は、TTSによって患者に投与されるならば、前に定義されている長時間期間(例えば1日、3.5日および7日)にわたって1日2回5mgの舌下アセナピンの定常状態投与で得られる血中レベルと比較した場合に同様の範囲(例えば、AUCとして測定される場合の約10%から約1000%)のアセナピン血中レベルを提供するのに十分なTTS中の活性薬剤の定量を指す。TTSは通常、皮膚および体循環に実際に提供されるよりも多くの活性物を該システムに含有する。この過剰量の活性薬剤は、通常、TTSから体循環への受動的輸送手段のための十分な駆動力を提供するために必要である。
【0049】
この発明の意味内で、「活性物」および「活性薬剤」などという用語、同様に「アセナピン」という用語は、任意の薬学的に許容される化学的および形態学的形態ならびに物理的状態におけるアセナピンを指す。これらの形態としては、限定せずに、それの遊離塩基形態におけるアセナピン、プロトン化または部分プロトン化アセナピン、アセナピン塩、および特に、無機酸または有機酸の添加によって形成される酸付加塩、例えば塩酸アセナピンまたはマレイン酸アセナピン、水和物、複合体など、同様にミクロン化、結晶性および/または非晶質であってよい粒子の形態におけるアセナピン、ならびに前に記述の形態の任意の混合物が挙げられる。アセナピンは、溶媒などの媒体に含有される場合、溶解もしくは分散させるまたは一部溶解および一部分散させることができる。
【0050】
アセナピンが、TTSの製造において特別な形態で使用されると記述されている場合、これは、この形態のアセナピンとアセナピン含有自己接着性層構造の他の成分との間の相互作用、例えば、最終TTSにおける塩形成または複合体化を排除しない。これは、アセナピンがそれの遊離塩基形態で含まれるとしても、それは、プロトン化もしくは部分的にプロトン化された形態もしくは酸付加塩の形態で最終TTSに存在することができること、または、それが塩の形態で含まれるならば、それの一部は、最終TTSに遊離塩基として存在することができることを意味する。別段に表示されていない限り、特に、自己接着性層構造におけるアセナピンの量は、TTSの製造中にTTSに含まれるアセナピンの量に関連し、遊離塩基の形態におけるアセナピンに基づいて算出される。例えば、a)0.1mmol(28.6mgに等しい)のアセナピン塩基またはb)0.1mmol(40.2mgに等しい)のマレイン酸アセナピンが製造中にTTSに含まれる場合、自己接着性層構造におけるアセナピンの量は、本発明の意味内で、両方の場合0.1mmolまたは28.6mgである。
【0051】
TTSの製造中にTTSに含まれるアセナピン出発材料は、粒子の形態であってよい。アセナピンは、例えば、粒子の形態および/または溶解された形態で自己接着性層構造に存在することができる。
【0052】
この発明の意味内で、「粒子」という用語は、個々の粒子を含む固体の粒子状材料であって、寸法が材料と比較して無視できる粒子状材料を指す。特に、粒子は、非晶質および結晶性の材料を含めて、プラスチック/変形可能な固体を含めた固体である。
【0053】
この発明の意味内で、「分散させること」という用語は、出発材料(例えばアセナピン)が全体的に溶解されていない工程または工程の組合せを指す。本発明の意味における分散させることは、出発材料の可溶性(例えば、コーティング組成物におけるアセナピンの可溶性)に依存して、出発材料(例えばアセナピン粒子)の一部の溶解を含む。
【0054】
受動的活性薬剤送達を使用するTTSの2つの主な型、即ちマトリックス型TTSおよびリザーバー型TTSがある。マトリックス型TTSにおいて、活性薬剤はマトリックスに含まれ、一方、リザーバー型TTSにおいて、活性薬剤は、液体または半液体リザーバーに含まれる。マトリックス型TTSにおける活性薬剤の放出は、主に、活性薬剤それ自体を含めたマトリックスによって制御される。それと対照的に、リザーバー型TTSは、活性薬剤の放出を制御する速度制御膜を必要とする。マトリックス型TTSは、リザーバー型TTSと比較して、通常、速度決定膜が必要でなく、膜破裂による用量ダンピングが発生し得ないことにおいて有利である。つまり、マトリックス型経皮治療システム(TTS)は、製造においてあまり複雑でなく、患者による使用に容易および好都合である。
【0055】
この発明の意味内で、「マトリックス型TTS」は、活性物がポリマー担体内で均質に溶解および/または分散されているシステムまたは構造、即ち、活性薬剤および場合により残りの成分でマトリックス層を形成するマトリックスを指す。こうしたシステムにおいて、マトリックス層は、TTSからの活性薬剤の放出を制御する。マトリックス型TTSは、速度制御膜も含むことができる。
【0056】
TTSの活性薬剤の放出が速度制御膜によって制御される、速度制御膜および液体または半液体の活性薬剤含有リザーバーを有するTTSは、「リザーバー型TTS」という用語によって言及される。リザーバー型TTSは、本発明の意味内でマトリックス型であると理解されるべきでない。特に、この発明の意味内で、当技術分野においてマトリックス型TTSとリザーバー型TTSとの間の混合物であると考えられるマイクロリザーバーシステム(外部マトリックス相に内部の活性物含有相を有する二相システム)は、本発明の意味内でマトリックス型であると考えられる。マトリックス型TTSは、特に、活性物が圧力感受性接着剤マトリックス内に均質に溶解および/または分散されるシステムを指す「接着剤中薬物」型TTSの形態であってよい。
【0057】
この発明の意味内で、「マトリックス層」という用語は、ポリマー担体内に均質に溶解および/または分散された活性物を含有する任意の層を指す。典型的に、マトリックス層は、活性薬剤含有層としてマトリックス型TTSに存在する。リザーバー型TTSは、リザーバー層および速度制御膜に加えて、皮膚接触層として働く追加の接着剤層を含むことができる。こうしたリザーバー型TTSにおいて、追加の接着剤層は、しばしば、活性薬剤フリー層として製造される。しかしながら、濃度勾配により、活性薬剤は、平衡が達せられるまで時間をかけてリザーバーから追加の接着剤層へ移動する。そのため、こうしたリザーバー型TTSにおいて、暫時の平衡化後、追加の接着剤層は、活性薬剤を含有し、本発明の意味においてマトリックス層とみなされるべきである。
【0058】
マトリックス層は、例えば溶媒含有コーティング組成物をコーティングおよび乾燥させた後に得られる最終固化層である。マトリックス層は、所望の面積重量を提供するために同じ組成物の2つ以上のこうした固化層(例えば、乾燥させた層)を積層することによって製造することもできる。マトリックス層は自己接着性である(感圧接着剤マトリックスの形態で)、またはTTSは、十分な粘着を提供するために感圧接着剤の追加の皮膚接触層を含むことができる。特に、マトリックス層は感圧接着剤マトリックスである。
【0059】
この発明の意味内で、「圧力感受性接着剤」という用語は、特に指圧を用いて接着し、恒久的に粘着性であり、強い保持力を発揮し、残留物を残すことなく滑らかな表面から除去可能であるべきである材料を指す。感圧接着剤層は、皮膚と接触している場合、「自己接着性」であり、即ち、皮膚への接着を提供するので、典型的に、皮膚上の固定のためのさらなる助剤は必要とされない。「自己接着性」層構造は、感圧接着剤マトリックスの形態でまたは追加層の形態で提供することができる、皮膚接触のための感圧接着剤層、即ち感圧接着剤皮膚接触層を含む。接着剤オーバーレイもまた、接着を向上させるために用いることができる。
【0060】
この発明の意味内で、「皮膚接触層」という用語は、投与中に患者の皮膚と直接接触するために、TTSに含まれる層を指す。TTSが皮膚接触層を含む場合、他の層は皮膚に接触せず、自己接着特性を必ずしも有さない。上記で概説されている通り、皮膚接触層は、活性薬剤の一部を経時吸収することができ、そこでマトリックス層とみなすことができる。放出面積は、マトリックス層の面積によって提供される。皮膚接触層は、接着を増強するために使用することができる。追加の皮膚接触層およびマトリックス層のサイズは、通常、同延であり、放出面積に対応する。
【0061】
この発明の意味内で、「面積重量」という用語は、g/mで提供される、特定の層の、例えばマトリックス層の乾燥重量を指す。面積重量値は、製造変動により±10%、好ましくは±7.5%の誤差を受ける。
【0062】
別段に示されていない限り、「%」は、重量%を指す。
【0063】
この発明の意味内で、「ポリマー」という用語は、1種またはそれ以上のモノマーを重合することによって得られるいわゆる繰り返し単位からなる任意の物質を指し、モノマーの1つの型からなるホモポリマー、およびモノマーの2つ以上の型からなるコポリマーを含む。ポリマーは、コポリマー、例えば交互コポリマー、統計コポリマー、ブロックコポリマー、またはグラフトポリマーの場合における任意のモノマー配列の、線状ポリマー、スターポリマー、コームポリマー、ブラシポリマーなど任意の構築物であってよい。最小分子量は、ポリマー型に依存して変動し、当技術者に知られている。ポリマーは、例えば、2,000ダルトン超、好ましくは5,000ダルトン超、より好ましくは10,000ダルトン超の分子量を有することができる。それに応じて、2,000ダルトン未満、好ましくは5,000ダルトン未満、またはより好ましくは10,000ダルトン未満の分子量を有する化合物は、通常、オリゴマーと称される。
【0064】
この発明の意味内で、「官能基」という用語は、ヒドロキシ酸基およびカルボン酸基を指す。
【0065】
この発明の意味内で、「架橋剤」という用語は、ポリマー内に含有される官能基を架橋することができる物質を指す。
【0066】
この発明の意味内で、「接着剤オーバーレイ」という用語は、活性薬剤がなく、活性薬剤含有構造よりも面積が大きく、皮膚に接着する追加の面積を提供するが活性薬剤の放出面積を提供しない自己接着性層構造を指す。それによって、それはTTSの全体的接着特性を増強する。接着剤オーバーレイは、バッキング層および接着剤層を含む。
【0067】
この発明の意味内で、「バッキング層」という用語は、例えばアセナピン含有層を支持する層または接着剤オーバーレイのバッキング物を形成する層を指す。TTSにおける少なくとも1つのバッキング層および通常アセナピン含有層のバッキング層は、貯蔵および投与の期間中に、層に含有されている活性薬剤に対して閉塞性、即ち実質的に不浸透性であり、したがって、規制要件に従って活性損失または相互汚染を防止する。
【0068】
本発明によるTTSは、インビトロ皮膚浸透試験において測定される場合のある特定のパラメータを特徴とすることができる。
【0069】
インビトロ浸透試験は、Franz拡散細胞において、ヒトまたは動物の皮膚を用いて、好ましくは800μmの厚さを有する皮節化されたスプリット厚のヒト皮膚および無傷の表皮を用いて、ならびにレセプター媒体が、例えば、60vol-%リン酸緩衝液pH5.5、30vol-%ジプロピレングリコールおよび10vol-%アセトニトリルを含有することができるように最大40vol-%の有機溶媒、例えばエタノール、アセトニトリル、イソプロパノール、ジプロピレングリコール、PEG400の添加の有無におけるリン酸緩衝液pH5.5または7.4(0.1%生理食塩水アジ化物を有する32℃)をレセプター媒体として用いて行われる。
【0070】
別段に示されていない場合、インビトロ浸透試験は、800μmの厚さを有する皮節化されたスプリット厚のヒト皮膚および無傷の表皮を用いて、およびレセプター媒体(0.1%生理食塩水アジ化物を有する32℃)としてリン酸緩衝液pH5.5を用いて行われる。レセプター媒体に浸透させた活性物の量は、サンプル体積を採取することによってUV光度検出器を用いて検証HPLC方法を使用して規則的な間隔で決定される。レセプター媒体は、サンプル体積を採取する時に新鮮な培地によって完全にまたは部分的に置き換えられ、浸透された活性物の測定量は、2つの最後のサンプル採取点の間に浸透された量に関連し、それまでに浸透された総量に関連しない。
【0071】
したがって、この発明の意味内で、「浸透量」というパラメータは、μg/cmで提供され、ある特定の経過時間にてサンプル間隔で浸透された活性物の量に関連する。例えば、レセプター媒体に浸透された活性物の量が例えば0時間目、2時間目、4時間目、8時間目、12時間目および24時間目で測定された、上に記載されている通りのインビトロ浸透試験において、活性物の「浸透量」は、例えば、8時間目から12時間目のサンプル間隔について示されており、12時間目の測定に対応する。
【0072】
浸透量は、ある特定の時点で浸透された活性物の累積量に対応する「累積浸透量」として示すこともできる。例えば、レセプター媒体に浸透された活性物の量が、例えば0時間目、2時間目、4時間目、8時間目、12時間目および24時間目に測定された、上に記載されている通りのインビトロ浸透試験において、12時間目の活性物の「累積浸透量」は、0時間目から2時間目、2時間目から4時間目、4時間目から8時間目、および8時間目から12時間目の浸透量の和に対応する。
【0073】
この発明の意味内で、ある特定の経過時間でのある特定のサンプル間隔についての「皮膚浸透率」というパラメータは、μg/(cmh)で提供され、前記サンプル間隔の時間で割られた、μg/cmで上に記載されている通りのインビトロ浸透試験によって測定された前記サンプル間隔における浸透量から算出される。例えば、レセプター媒体に浸透された活性物の量が、例えば0時間目、2時間目、4時間目、8時間目、12時間目および24時間目に測定される、上に記載されている通りのインビトロ浸透試験での「皮膚浸透率」において、12時間目の「皮膚浸透率」は、4時間で割られた8時間目から12時間目のサンプル間隔における浸透量として算出される。
【0074】
「累積皮膚浸透率」は、累積浸透量を経過時間で割ることによってそれぞれの累積浸透量から算出することができる。例えば、レセプター媒体に浸透された活性物の量が、例えば0時間目、2時間目、4時間目、8時間目、12時間目および24時間目に測定された、上に記載されている通りのインビトロ浸透試験において、12時間目の「累積皮膚浸透率」は、12時間で割られた12時間目についての累積浸透量(上記を参照されたい)として算出される。
【0075】
この発明の意味内で、浸透量および皮膚浸透率(同様に累積浸透量および累積皮膚浸透率)という上記パラメータは、3つのインビトロ浸透試験実験から算出された平均値を指す。
【0076】
本発明によるTTSは、インビボ臨床研究において測定された通りのある特定のパラメータを特徴とすることもできる。
【0077】
この発明の意味内で、「平均放出速度」というパラメータは、活性薬剤がヒト皮膚を介して体循環に放出される投与期間(例えば1日から7日(単数または複数))にわたるμg/h、mg/h、μg/24h、mg/24h、μg/日またはmg/日での平均放出速度を指し、臨床研究における前記投与期間にわたって得られたAUCに基づいている。平均放出速度は、TTSの用量または強度を識別するために使用されるパラメータである。例えば静脈内または経口投与と対照的に、ならびに(上にも記載されている通り)TTSは通常、皮膚および体循環に実際に提供されるよりも多くの活性物をシステムに含有するので、TTSに含有される活性物の量は、用量についてのパラメータとして有意義でない。こういうわけで、TTSについて、用量または強度は通常、時間をかけて対象に送達される活性物の量をより正確に記載する平均放出速度を特徴とする。
【0078】
この発明の意味内で、「長時間期間」という用語は、少なくとももしくは約24時間、少なくとももしくは約48時間、少なくとももしくは約84時間、少なくとももしくは約168時間、少なくとももしくは約1日、少なくとももしくは約3.5日、もしくは少なくとももしくは約7日の期間、または約24時間から約168時間もしくは1日から7日(単数または複数)、もしくは約24時間から約84時間もしくは1日から3.5日(単数または複数)の期間に関する。
【0079】
連続的な薬物処置について、薬物投与の頻度は、好ましくは、治療的に有効な血中血漿濃度を維持するように十分高く保持される。言い換えると、投薬間隔とも呼ばれる2つの剤形投与の間の間隔は、適宜適応される必要がある。本発明の意味内で、「投薬間隔」という用語は、2つの連続したTTS投与の間の時間期間、即ち、TTSが患者の皮膚に適用される2つの連続した時点の間の間隔を指す。一旦適用されると、TTSは通常、全的的な投薬間隔の間、患者の皮膚上に維持され、投薬間隔の終わりに除去されるだけであり、この時点で、新たなTTSが皮膚に適用される。例えば、投薬間隔が168時間または7日であるならば、TTSは、168時間または7日の間、患者の皮膚に適用および維持される。168時間または7日後、TTSは皮膚から除去され、新たなTTSが適用される。したがって、168時間または7日の投薬間隔は、24時間処置における週1回TTS交換モードを可能にする。
【0080】
この発明の意味内で、「室温」という用語は、実験が行われる実験室において室内で見出される非変更温度を指し、通常15℃から35℃、好ましくは約18℃から25℃内にある。
【0081】
この発明の意味内で、「患者」という用語は、処置の必要を示唆する特別な症状(単数または複数)の臨床病態を表している、状態について防止的または予防的に処置される対象または処置されるべき状態と診断された対象を指す。
【0082】
この発明の意味内で、「薬物動態学的パラメータ」という用語は、例えば、健康なヒト対象への活性薬剤TTS、例えばアセナピンTTSの単一用量、多用量または定常状態投与によって、臨床研究において得られた血中血漿曲線、例えばCmax、CおよびAUCt1-t2を記載するパラメータを指す。個々の対象の薬物動態学的パラメータは、算術平均および相乗平均、例えば平均Cmax、平均AUCおよび平均AUCINF、ならびに追加の統計、例えばそれぞれの標準偏差および標準誤差、最小値、最大値、および値のリストがランク付けされる場合の中心値(中央)を使用して要約される。本発明の文脈において、薬物動態学的パラメータ、例えばCmax、CおよびAUCt1-t2は、算術平均値または相乗平均値を指し、好ましくは相乗平均値を指す。臨床研究におけるある特定のTTSについて得られた絶対平均値は、研究毎にある程度変動することは除外できない。研究間の絶対平均値の比較を可能にするため、参照製剤、例えば将来において、本発明に基づく任意の生成物は、内部標準として使用することができる。早期および後期の研究におけるそれぞれの参照生成物の放出面積当たりのAUCの比較は、研究毎の差異を考慮するための補正因子を得るために使用することができる。
【0083】
本発明による臨床研究は、医薬品規制調和国際会議(ICH)ならびに全ての適用可能な現地の優良臨床試験基準(GCP)および規制に完全に遵守して行われる研究を指す。
【0084】
この発明の意味内で、「健康なヒト対象」という用語は、55kgから100kgを範囲とする体重および18から29を範囲とする肥満度指数(BMI)ならびに正常の生理学的パラメータ、例えば血圧などを有する男性または女性の対象を指す。本発明の目的のための健康なヒト対象は、ICHの推奨に基づくとともに従う包含および除外基準に従って選択される。
【0085】
この発明の意味内で、「対象集団」という用語は、少なくとも10人の個々の健康なヒト対象を指す。
【0086】
この発明の意味内で、「相乗平均」という用語は、元のスケールに逆変換された対数変換データの平均を指す。
【0087】
この発明の意味内で、「算術平均」という用語は、観察の合計数で割られた観察の全ての値の和を指す。
【0088】
この発明の意味内で、「AUC」というパラメータは、血漿濃度-時間曲線下の面積に対応する。AUC値は、合計で血液循環に吸収された活性薬剤の量に比例し、それゆえ、生物学的利用能についての尺度である。
【0089】
この発明の意味内で、「AUCt1-t2」というパラメータは、(ng/ml)hで提供され、t1時間目からt2時間目の血漿濃度-時間曲線下の面積に関連し、線形台形方法によって算出される。
【0090】
この発明の意味内で、「Cmax」というパラメータは、(ng/ml)で提供され、活性薬剤の最大観察血中血漿濃度に関連する。
【0091】
この発明の意味内で、「C」というパラメータは、(ng/ml)で提供され、t時間目に観察された活性薬剤の血中血漿濃度に関連する。
【0092】
この発明の意味内で、「tmax」というパラメータは、hで提供され、Cmax値が達せられる時点に関連する。言い換えると、tmaxは、最大観察血漿濃度の時点である。
【0093】
この発明の意味内で、「tlag」というパラメータは、hで提供され、投与の時間(TTSの場合において、TTSが皮膚に最初に適用される時、即ちt=0)と測定可能な血中血漿濃度の出現の時間との間の遅延に関連する。tlagは、測定可能な(即ち非ゼロ)活性薬剤血中血漿濃度が得られる最初の時点の平均算術値として近似的に算出し、中央値によって表すことができる。
【0094】
この発明の意味内で、「平均血漿濃度」という用語は、(ng/ml)で提供され、各時点での、活性薬剤、例えばアセナピンの個々の血漿濃度の平均である。
【0095】
この発明の意味内で、「コーティング組成物」という用語は、溶媒中にマトリックス層の全ての構成成分を含む組成物を指し、これは、バッキング層または剥離ライナーにコーティングされることで、乾燥にてマトリックス層を形成することができる。
【0096】
この発明の意味内で、「溶解する」という用語は、清澄であるとともに裸眼に見えるようないずれの粒子も含有しない溶液を得るプロセスを指す。
【0097】
この発明の意味内で、「溶媒」という用語は、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、塩化メチレン、ヘキサン、n-ヘプタン、トルエンおよびその混合物などの揮発性有機液体である任意の液体物質を指す。
【0098】
この発明の意味内で、および別段に特定されていない限り、「約」という用語は、開示されている量の±10%である量を指す。一部の実施形態において、「約」という用語は、開示されている量の±5%である量を指す。一部の実施形態において、「約」という用語は、開示されている量の±2%である量を指す。
【図面の簡単な説明】
【0099】
図1a】0時間目から72時間目の間の、実施例1a、1b、1cおよび1dに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
図1b】0時間目から168時間目の間の、実施例1a、1b、1cおよび1dに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
図1c】72時間後の、実施例1a、1b、1cおよび1dに従って調製されたTTSのアセナピンの利用を示す図である。
図2a】0時間目から72時間目の間の、実施例2a、2b、2cおよび2dに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
図2b】0時間目から168時間目の間の、実施例2a、2b、2cおよび2dに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
図2c】72時間後の、実施例2a、2b、2cおよび2dに従って調製されたTTSのアセナピンの利用を示す図である。
図2d】0時間目から72時間目の間の、実施例2eから2jに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
図2e】72時間後の、実施例2eから2jに従って調製されたTTSのアセナピンの利用を示す図である。
図3a】実施例3a、3b、3c、3dおよび3eに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
図3b】56時間後の、実施例3a、3b、3c、3dおよび3eに従って調製されたTTSのアセナピンの利用を示す図である。
図4a】0時間目から72時間目の間の、実施例4aおよび4bに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
図4b】0時間目から168時間目の間の、実施例4aおよび4bに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
図4c】72時間および168時間後の、実施例4aおよび4bに従って調製されたTTSのアセナピンの利用を示す図である。
図5a】0時間目から72時間目の間の、実施例5a、5bおよび5cに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
図5b】72時間後の、実施例5a、5bおよび5cに従って調製されたTTSのアセナピンの利用を示す図である。
図6a】0時間目から72時間目の間の、実施例6a、6bおよび6cに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
図6b】72時間後の、実施例6a、6bおよび6cに従って調製されたTTSのアセナピンの利用を示す図である。
図7a】0時間目から72時間目の間の、実施例7a、7bおよび7cに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
図7b】72時間後の、実施例7a、7bおよび7cに従って調製されたTTSのアセナピンの利用を示す図である。
図8a】0時間目から72時間目の間の、実施例8a、8bおよび8cに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
図8b】72時間後の、実施例8a、8bおよび8cに従って調製されたTTSのアセナピンの利用を示す図である。
図9a】0時間目から72時間目の間の、実施例9aおよび9bに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
図9b】72時間後の、実施例9aおよび9bに従って調製されたTTSのアセナピンの利用を示す図である。
図10a】0時間目から72時間目の間の、実施例10に従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
図10b】72時間後の、実施例10に従って調製されたTTSのアセナピンの利用を示す図である。
図11】実施例11a、11b、11cおよび11dに従って調製されたTTSのアセナピン血中血漿濃度を示す図である。
図12a】0時間目から72時間目の間の、実施例12aおよび12bに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
図12b】72時間後の、実施例12aおよび12bに従って調製されたTTSのアセナピンの利用を示す図である。
図13a】0時間目から168時間目の間の、実施例13aおよび13bに従って調製されたTTSのインビボ臨床研究において得られたアセナピン血中血漿濃度(エラーバーとしての標準偏差とともに算術平均値)を示す図である。
図13b】0時間目から84時間目の間の、実施例13aおよび13bに従って調製されたTTSのインビボ臨床研究において得られたアセナピン血中血漿濃度(エラーバーとしての標準偏差とともに算術平均値)を示す図である。
図13c】0時間目から168時間目の間の、実施例13aおよび13bに従って調製されたTTSのインビボ臨床研究において得られたアセナピン-グルクロニド血中血漿濃度(エラーバーとしての幾何学的標準偏差で掛けられた/割られた相乗平均を有する相乗平均値)を示す図である。
図13d】0時間目から96時間目の間の、実施例13aおよび13bに従って調製されたTTSのインビボ臨床研究において得られたアセナピン-グルクロニド血中血漿濃度(エラーバーとしての幾何学的標準偏差で掛けられた/割られた相乗平均を有する相乗平均値)を示す図である。
図13e】0時間目から108時間目の間の、実施例13aおよび13bに従って調製されたTTSのインビボ臨床研究において得られたN-脱メチル-アセナピン血中血漿濃度(エラーバーとしての幾何学的標準偏差で掛けられた/割られた相乗平均を有する相乗平均値)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0100】
TTS構造
本発明は、アセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムに関する。
【0101】
特に、自己接着性層構造は、治療有効量のアセナピンを含むことができる。
【0102】
好ましくは、本発明による自己接着性層構造は、A)バッキング層、およびB)1.アセナピンおよび2.ポリマーを含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層を含む。
【0103】
したがって、本発明のある特定の実施形態によると、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムは、治療有効量のアセナピンを含有する自己接着性層構造を含み、前記自己接着性層構造は:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.アセナピン;および
2.アクリルポリマーから選択されるポリマー;
を含み、
ここで、経皮治療システムは、5cmから100cmの放出面積を有する。
【0104】
本発明の別のある特定の実施形態によると、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムは、治療有効量のアセナピンを含有する自己接着性層構造を含み、前記自己接着性層構造は:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.遊離塩基の形態におけるアセナピン;および
2.ポリマー;
を含み、
ここで、マトリックス層の面積重量は、少なくとも90g/mであり、
アセナピン含有マトリックス層は、パルミチン酸イソプロピルを含まない。
【0105】
バッキング層は、特に、実質的にアセナピン不浸透性である。
【0106】
本発明によるTTSは、マトリックス型TTSまたはリザーバー型TTSであってよく、好ましくはマトリックス型TTSである。
【0107】
こうしたマトリックス型TTSにおいて、アセナピン、好ましくは治療有効量のアセナピンは、アセナピン含有マトリックス層に含まれる。こうしたマトリックス型TTSにおける自己接着性層構造は、皮膚接触層などの1つまたはそれ以上のさらなる層を含むことができる。こうしたさらなる層において、活性薬剤が含まれることがあるまたは含まれることがない。上記で概説されている通り、皮膚接触層は、活性薬剤フリー層として製造されても、平衡化後にアセナピンを含むことができ、そこで(さらなる)マトリックス層とみなすこともできる。さらなる層およびアセナピン含有マトリックス層は、同じポリマーまたは異なるポリマーを含むことができる。アセナピン含有マトリックス層およびさらなる層(単数または複数)のいずれも、互いに直接接触しているまたは速度制御膜などの膜によって分離される。アセナピン含有層が、実質的に同じ組成物である2つのアセナピン含有マトリックス層を積層することによって調製されるならば、結果として得られた二重層は、1つのマトリックス層とみなされるべきである。
【0108】
本発明によるとリザーバー型TTSにおいて、アセナピンは、液体または半液体リザーバーに含まれる。こうしたリザーバー型TTSにおける自己接着性層構造は、皮膚接触層などの1つまたはそれ以上のさらなる層を含むことができる。こうしたさらなる層において、活性薬剤が含まれることがあるまたは含まれることがない。上記で概説されている通り、皮膚接触層は、活性薬剤フリー層として製造されても、平衡化後にアセナピンを含むことができ、そこでマトリックス層とみなすこともできる。リザーバー型TTSは、リザーバーおよび皮膚接触層を分離させる速度制御膜をさらに含む。
【0109】
したがって、ある特定の実施形態において、自己接着性層構造は、バッキング層とマトリックス層との間に位置される追加のリザーバー層、および追加のリザーバー層とマトリックス層との間に位置されるさらなる速度制御膜を含む。
【0110】
特定の実施形態において、本発明による自己接着性層構造は、追加の皮膚接触層を含む。追加の皮膚接触層は、自己接着性であり、投与中に自己接着性層構造と患者の皮膚との間の接着を提供する。
【0111】
こうした実施形態において、自己接着性層構造は、マトリックス層と追加の皮膚接触層との間に位置される膜を含むことがあるまたは含むことがなく、ここで、該膜は、好ましくは速度制御膜である。
【0112】
別の実施形態において、本発明による自己接着性層構造は、追加の皮膚接触層を含まない。投与中の自己接着性層構造と患者の皮膚との間の十分な接着は、そこで、他の手段、例えばアセナピン含有マトリックス層および/または接着剤層によって提供される。
【0113】
したがって、本発明のある特定の実施形態によると、TTSは、接着剤オーバーレイをさらに含むことができるまたは接着剤オーバーレイを含まず、好ましくは接着剤オーバーレイを含まない。この接着剤オーバーレイは、特に、アセナピン含有自己接着性層構造よりも大きく、全体的な経皮治療システムの接着特性を増強するためにそこに付着されている。前記接着剤オーバーレイは、バッキング層も含む。前記接着剤オーバーレイの面積は、TTSの全体的サイズを増やすが、放出面積を増やさない。接着剤オーバーレイは、活性薬剤含有自己接着性層構造に含まれる任意のポリマーまたはポリマー混合物と同一または異なっていてよいアクリルポリマー、ポリイソブチレン、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー、ポリシロキサン、およびその混合物の群から選択される自己接着性ポリマーまたは自己接着性ポリマー混合物を含む。
【0114】
本発明による自己接着性層構造は、通常、剥脱可能な保護層(剥離ライナー)上に位置され、ここから、それは患者の皮膚の表面に適用される直前に除去される。したがって、TTSは、剥離ライナーをさらに含むことができる。このやり方で保護されたTTSは、通常、継ぎ目密閉パウチに貯蔵される。包装は、子供に安全および/または高齢者に優しくあり得る。
【0115】
マトリックス層およびマトリックス層組成物
より詳細に上記で概説されている通り、本発明のある特定の実施形態によるTTSは、マトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層を含む自己接着性層構造を含む。
【0116】
これらの実施形態において、マトリックス層組成物は:
1.アセナピン;および
2.ポリマー
を含む。
【0117】
本発明の特定の実施形態において、マトリックス層組成物は、アセナピンおよびアクリルポリマーから選択されるポリマーを含み、ここで、経皮治療システムは、5cmから100cmの放出面積を有する。
【0118】
本発明のある特定の実施形態において、放出面積は、5cmから100cm、好ましくは10cmから80cm、より好ましくは10cmから25cmもしくは10cmから20cm、25cmから55cmもしくは25cmから35cm、または55cmから65cmを範囲とし、即ち、経皮治療システムは、5cmから100cm、好ましくは10cmから80cm、より好ましくは10cmから25cmもしくは10cmから20cm、25cmから55cmもしくは25cmから35cm、または55cmから65cmの放出面積を有する。
【0119】
本発明の別の特定の実施形態において、マトリックス層組成物は、遊離塩基の形態におけるアセナピン、およびポリマーを含み、ここで、マトリックス層の面積重量は少なくとも90g/mであり、アセナピン含有マトリックス層は、パルミチン酸イソプロピルを含まない。
【0120】
本発明のある特定の実施形態において、マトリックス層の面積重量は、90g/mから230g/m、好ましくは110g/mから210g/m、最も好ましくは120g/mから170g/mを範囲とする。
【0121】
理論によって束縛されることを望まないが、良好なインビトロ皮膚浸透など本発明によるTTSの有利な特色は、とりわけ、マトリックス層などのアセナピン含有層の濃度および/または面積重量を調整することによって双方向に制御することができる、TTSに含有されるアセナピンの量によって達成されると思われる。
【0122】
したがって、本発明のある特定の実施形態において、経皮治療システムは、放出面積当たり少なくとも0.70mg/cm、好ましくは少なくとも0.80mg/cm、より好ましくは少なくとも0.82mg/cm、最も好ましくは少なくとも0.83mg/cmのアセナピンを含有する。本発明のある特定のさらなる実施形態において、経皮治療システムは、放出面積当たり少なくとも0.90mg/cm、少なくとも1.00mg/cm、少なくとも1.2mg/cm、少なくとも1.5mg/cm、または少なくとも2.0mg/cmのアセナピンを含有する。
【0123】
特に、経皮治療システムは、0.70mg/cmから4.0mg/cm、好ましくは0.80mg/cmから3.0mg/cm、より好ましくは0.82mg/cmから2.0mg/cm、最も好ましくは0.83mg/cmから1.7mg/cmのアセナピンを含有する。
【0124】
本発明のある特定の実施形態において、マトリックス層組成物は、圧力感受性接着剤組成物である。マトリックス層組成物は、第2のポリマーを含むことができる、または2種以上のさらなるポリマーを含むことができる。
【0125】
本発明のある特定の実施形態によると、マトリックス層組成物における総ポリマー含有量は、マトリックス層組成物の75%から97%、好ましくは80%から96%、より好ましくは85%から95%を範囲とする。いかなる事象においても、マトリックス層は、十分な密着を提供するために十分な量のポリマーを含む。
【0126】
ある特定の実施形態によると、TTS、特にTTSのマトリックス層に含有されるアセナピンの量は、5mgから100mg、好ましくは10mgから80mg、最も好ましくは15mgから60mgを範囲とする。
【0127】
ある特定の実施形態において、経皮治療システムは、5cmから100cmの放出面積を有し、TTSに含有されるアセナピンの量は、5mgから100mgを範囲とする。
【0128】
本発明のある特定の実施形態において、アセナピン含有マトリックス層は、マトリックス層組成物の10%の量でパルミチン酸イソプロピルを含まず、好ましくはマトリックス層組成物の5~15%の量でパルミチン酸イソプロピルを含まず、最も好ましくはパルミチン酸イソプロピルを含まない。
【0129】
本発明のある特定の実施形態において、アセナピン含有マトリックス層は、マトリックス層組成物の5%の量でミリスチン酸イソプロピルを含まず、好ましくはマトリックス層組成物の1~10%の量でミリスチン酸イソプロピルを含まず、最も好ましくはミリスチン酸イソプロピルを含まない。
【0130】
本発明のある特定の実施形態において、アセナピン含有マトリックス層は、マトリックス層組成物の10~20%の量でエチルセルロースを含まず、好ましくはエチルセルロースを含まない。
【0131】
本発明のある特定の実施形態において、アセナピン含有マトリックス層は、塩化水素を含まない。
【0132】
本発明のある特定の実施形態において、アセナピン含有マトリックス層は、酢酸ナトリウムまたは二酢酸ナトリウムを含まない。なお別の実施形態において、アセナピン含有層は、ジカルボン酸アルカリ塩を含まない。なお別の実施形態において、アセナピン含有層は、マレイン酸アルカリ塩を含まない。
【0133】
本発明のある特定の実施形態において、マトリックス層組成物は、マトリックス層組成物の50%超の量でポリシロキサンおよびポリイソブチレンのいずれも含まない。
【0134】
ある特定の実施形態において、アセナピン含有マトリックス層は、コーティングされたコーティング組成物を乾燥させることによって得られ、ここで、塩酸はコーティング組成物に含まれていない。
【0135】
本発明のある特定の実施形態において、アセナピン含有マトリックス層は、トルエンを含まない。
【0136】
本発明のある特定の実施形態において、アセナピン含有マトリックス層は、トルエンを含まないコーティングされたコーティング組成物を乾燥させることによって得られる。
【0137】
アセナピン
本発明によると、自己接着性層構造は、アセナピンを、特に治療有効量で含有する。
【0138】
ある特定の実施形態において、自己接着性層構造は、アセナピンを含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層を含む。
【0139】
本発明によると、活性薬剤は、プロトン化または遊離塩基形態でTTSに存在することができ、遊離塩基形態が好ましい。
【0140】
したがって、ある特定の実施形態において、マトリックス層組成物におけるアセナピンは、遊離塩基の形態で含まれる。
【0141】
ある特定の実施形態において、マトリックス層組成物は、遊離塩基の形態でアセナピンを組み込むことによって得られる。
【0142】
特に、マトリックス層におけるアセナピンの少なくとも90mol%、好ましくは少なくとも95mol%、より好ましくは少なくとも98mol%、最も好ましくは少なくとも99mol%は、遊離塩基の形態で存在する。
【0143】
マトリックス層におけるアセナピンは、完全に溶解させることができる、またマトリックス層組成物は、好ましくはアセナピン遊離塩基で構成されたアセナピン粒子を含有することができる。
【0144】
上記で概説されている通り、TTSにおけるアセナピンの量は、活性物の良好な放出にとって重要であると思われ、例えば、アセナピン濃度によって調整することができる。したがって、ある特定の実施形態において、マトリックス層組成物におけるアセナピンの量は、マトリックス層組成物の2%から20%、好ましくは3%から15%、より好ましくは4%から12%を範囲とする。
【0145】
ある特定の実施形態において、アセナピンは、定量的HPLCによって決定される場合に少なくとも95%の、好ましくは少なくとも98%の、より好ましくは少なくとも99%の純度を有する。定量的HPLCは、UV検出を用いる逆相HPLCで行うことができる。特に、HPLCが均一濃度で行われるならば、以下の条件が使用される:
カラム: オクタデシル相acc.Ph.Eur. 2.2.29(USP相L1)
Kromasil C18 125mm×4.0mm;5μmまたは同等のもの
移動相: KHPO/メタノール/TEA(45:55:0.1;v:v:v);pH2.5±0.05(TEA=トリエチルアミン)
勾配: 均一濃度
フラックス: 1.0ml
注入体積: 30μl
カラム温度: 40℃
波長: 225nm、270nmおよび3Dフィールド;評価は270nmで行われる
実行時間: 10分
さらに、HPLCが勾配で行われるならば、以下の条件が使用される:
カラム: オクタデシル相acc.Ph.Eur. 2.2.29(USP相L1)
Kinetex C18 EVO 100mm×4.6mm;2.1μmまたは同等のもの
移動相: A:0.02molのKHPO緩衝液/メタノール/TEA(70:30:0.1;v:v:v)pH2.5まで調整
B:0.02molのKHPO緩衝液/メタノール/TEA(30:70:0.1;v:v:v);pH2.5まで調整(TEA=トリエチルアミン)
フラックス: 1.0ml
注入体積: 30μl
カラム温度: 40℃
波長: 225nm、270nmおよび3Dフィールド;評価は225nmで行われる
実行時間: 32分
勾配プロファイル: 0.00分:A:100%B:0%
12.00分:A:40% B:60%
18.00分:A:0% B:100%
27.00分:A:0% B:100%
27.01分:A:100% B:0%
32.00分:A:100% B:0%
【0146】
ポリマー
上記で概説されている通り、本発明の特定の実施形態によるTTSは、マトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層を含む自己接着性層構造を含み、ここで、マトリックス層組成物はポリマーを含む。
【0147】
このポリマーは、マトリックス層の十分な密着を提供する。ある特定の実施形態によると、ポリマーも十分な接着を提供することができる。それらの実施形態において、ポリマーは、感圧接着性ポリマーから選択される。
【0148】
好ましい実施形態において、ポリマーは、圧力感受性接着性ポリマーから選択される。
【0149】
本発明によるポリマーとして適当であるポリマーは、ポリシロキサン、ポリイソブチレン、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーおよびアクリルポリマーである。
【0150】
対応する市販製品は、例えば、Bio-PSAs(ポリシロキサン)、Oppanol B10/B100(ポリイソブチレンポリマー、85:15)、JSR-SIS(スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー)またはDuro-Tak(商標)(アクリルポリマー、詳細については下記を参照されたい)という商標名下で入手可能である。
【0151】
本発明による適当なポリイソブチレンは、Oppanol(登録商標)という商標下で入手可能である。高分子量ポリイソブチレン(B100/B80)および低分子量ポリイソブチレン(B10、B11、B12、B13)の組合せが使用されることがある。低分子量ポリイソブチレン対高分子量ポリイソブチレンの適当な比は、100:1から1:100、好ましくは95:5から40:60、より好ましくは90:10から80:20の範囲である。典型的に、低分子量ポリイソブチレンは、10,000g/molから70,000g/molの粘度平均分子量、および/または10,000g/molから70,000g/molの重量平均分子量を有し、高分子量ポリイソブチレンは、1,000,000g/molから1,200,000g/molの粘度平均分子量、および/または1,400,000g/molから1,600,000g/molの重量平均分子量を有する。ポリイソブチレン組合せのための好ましい例は、85/15または90/10の比におけるB10/B100である。Oppanol(登録商標)B100は、1,110,000の粘度平均分子量M、および1,550,000の重量平均分子量Mを有する。Oppanol(登録商標)B10は、40,000の粘度平均分子量M、および36,000の重量平均分子量Mを有する。ある特定の実施形態において、ポリブテンは、ポリイソブチレンに添加することができる。
【0152】
好ましくは、ポリマーはアクリルポリマーから選択され、ここで、アクリルポリマーは、官能基を含むまたは含まない。
【0153】
対応する市販製品は、例えば、Duro-Tak(商標)387-2287(ヒドロキシル基を含むアクリルコポリマー)、Duro-Tak(商標)387-2516(ヒドロキシル基を含むアクリルコポリマー)、Duro-Tak(商標)387-2051(カルボン酸基を含むアクリルコポリマー)、Duro-Tak(商標)387-2353(カルボン酸基を含むアクリルコポリマー)、Duro-Tak(商標)387-4098(官能基を含まないアクリルコポリマー)およびDuro-Tak(商標)387-9301(官能基を含まないアクリルコポリマー)という商標名下で入手可能である。
【0154】
ある特定の実施形態において、ポリマーは、官能基を含むアクリルポリマーから選択され、ここで、官能基は、ヒドロキシル基、カルボン酸基、中和されたカルボン酸基、およびその混合物から選択される。好ましくは、官能基は、ヒドロキシル基に限定される。
【0155】
ある特定の実施形態において、ポリマーは、カルボン酸基もしくは中和されたカルボン酸基または両方の基を含まないアクリルポリマーから選択され、好ましくは、ポリマーは、酸性基を含まないアクリルポリマーから選択される。
【0156】
さらに好ましい実施形態において、ポリマーは、ヒドロキシル基を含むとともにカルボン酸基を含まないアクリルポリマーから選択され、より好ましくは、ポリマーは、酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマーである。
【0157】
酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくこうしたコポリマーは、Duro-Tak(商標)387-2287(架橋剤を有さない、酢酸エチル中の溶液として提供される)およびDuro-Tak(商標)387-2516(チタン架橋剤を有する、酢酸エチル、エタノール、n-ヘプタンおよびメタノール中の溶液として提供される)という商標名下で市販されている。したがって、使用される市販のアクリルポリマーの型に依存して、および架橋剤がコーティング組成物に添加されているかどうかに依存して、最終的なマトリックス層におけるポリマーは、架橋されている(好ましくは、チタン架橋剤によって架橋されている)または架橋剤によって架橋されていない。
【0158】
ある特定の他の実施形態において、ポリマーは、ヒドロキシル基およびカルボン酸基を含まないアクリルポリマーから選択され、好ましくは、ポリマーは、官能基を含まないアクリルポリマーから選択される。
【0159】
さらに好ましい実施形態において、ポリマーは、Duro-Tak(商標)387-9301(酢酸エチル中の溶液として提供される)という商標名下で市販されているコポリマーであり、これは、アクリル酸メチル、2-エチルヘキシルアクリレートおよびt-オクチルアクリルアミドに基づいている。
【0160】
さらに好ましい実施形態において、ポリマーは、Duro-Tak(商標)387-4098(酢酸エチル中の溶液として提供される)という商標名下で市販されている、2-エチルヘキシル-アクリレートおよび酢酸ビニルに基づくコポリマーである。
【0161】
ある特定の好ましい実施形態において、ポリマーの量は、マトリックス層組成物の60%から97%、好ましくは65%から80%、または70%から96%、より好ましくは75%から88%、または91%から96%、最も好ましくは77%から82%、または81%から85%を範囲とする。これらの量は、マトリックス層組成物が任意のさらに追加のポリマー(単数または複数)を含まない場合において、特に好ましい。
【0162】
しかしながら、マトリックス層組成物は、第2のまたはさらに追加のポリマー(単数または複数)を含むこともでき、特に、第2のまたはさらに追加のポリマー(単数または複数)として、前に記述のポリマーの1つを含むことができる。
【0163】
追加のポリマーおよび添加剤は、密着および/または接着を増強するために添加することもできる。
【0164】
ある特定のポリマーは、特に、低温流を低減し、したがって、追加のポリマーとして特に適当である。ポリマー性マトリックスは、低温流を示すことがあり、というのは、こうしたポリマー組成物は、非常に高い粘度にもかかわらず、非常にゆっくり流れるという能力をしばしば呈するからである。したがって、貯蔵中、マトリックスは、バッキング層の端部をある程度流れることがある。これは、貯蔵安定性の問題であり、ある特定のポリマーの添加によって妨げることができる。塩基性アクリレートポリマー(例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートに基づくコポリマーであるEudragit E100)は、例えば、低温流を低減するために使用することができる。したがって、ある特定の実施形態において、マトリックス層組成物は、塩基性ポリマー、特に、例えばEudragit E100などのアミン官能性アクリレートを追加として含む。
【0165】
ある特定の実施形態によると、マトリックス層組成物における総ポリマー含有量は、マトリックス層組成物の60%から97%、好ましくは70%から96%、より好ましくは75%から95%、または75%から90%を範囲とする。一部の実施形態において、マトリックス層組成物における総ポリマー含有量は、マトリックス層組成物の75%から97%、好ましくは80%から96%、より好ましくは85%から95%、最も好ましくは87%から92%、または91%から95%を範囲とする。
【0166】
さらなる添加剤
上記で概説されている通り、本発明の特定の実施形態によるTTSは、マトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層を含む自己接着性層構造を含む。こうした実施形態において、本発明によるTTSのマトリックス層組成物は、架橋剤、可溶化剤、充填剤、粘着付与剤、可塑剤、安定剤、軟化剤、スキンケア用物質、浸透増強剤、即ち、活性薬剤浸透性を増加させるという意味での角質層のバリア特性に影響を及ぼす物質、pH調節剤および保存料からなる群から選択される、さらなる賦形剤または添加剤を含むことができる。特に好ましい添加剤は、粘着付与剤および安定剤である。こうした添加剤は、添加剤当たり、マトリックス層組成物の0.001%から15%の量でアセナピン含有層に存在することができる。ある特定の実施形態において、全ての添加剤の総量は、マトリックス層組成物の0.001%から25%である。後文で、特定の添加剤の量の範囲が示されている場合、こうした範囲は、個々の添加剤当たりの量を指す。
【0167】
医薬製剤において、製剤構成成分は、それらの物理化学的および生理学的特性に従って、およびそれらの機能に従ってカテゴリー化されることが留意されるべきである。これは、特に、1つのカテゴリーに入る物質または化合物が、製剤構成成分の別のカテゴリーに入るのを排除されないことを意味する。例えば、ある特定のポリマーは、結晶化阻害剤であるが、粘着付与剤でもあり得る。一部の物質は、例えば、典型的な軟化剤であるが、同時に浸透増強剤として作用することができる。当技術者は、ある特定の物質または化合物が属する製剤構成成分のカテゴリー(単数または複数)における彼の一般的な知識に基づいて決定することができる。以下において、賦形剤および添加剤に関する詳細が提供されるが、しかしながら、排他的であると理解されるべきでない。本記載に明白にリストされていない他の物質は、本発明に従って同様に使用することができ、製剤構成成分の1つのカテゴリーのために明白にリストされている物質および/または化合物は、本発明の意味において別の製剤構成成分として使用されることから排除されない。
【0168】
架橋剤は、アルミニウムアセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネートまたはポリブチルチタネートなど、アルミニウムおよびチタン架橋剤からなる群から選択することができ、好ましくはチタン架橋剤である。架橋剤の量は、マトリックス層組成物の0.005%から1%、好ましくは0.01%から0.1%の範囲であってよい。マトリックス層組成物は、自己架橋性である、即ち、加熱することで反応するグリシジル基などの架橋性官能基を含むポリマーを含むこともできる。さらなる特定の実施形態によると、マトリックス層組成物は、上記の通りの架橋剤および自己架橋性ポリマーを含む。
【0169】
一実施形態において、マトリックス層組成物は、可溶化剤をさらに含む。可溶化剤は、好ましくは、アセナピン含有層におけるアセナピンの可溶性を改善する。好ましい可溶化剤としては、例えば、中鎖および/または長鎖脂肪酸のグリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、プロピレングリコールエステルおよびポリオキシエチレンエステル、例えばモノリノール酸グリセリル塩、中鎖グリセリドおよび中鎖トリグリセリド、ヒマシ油を酸化エチレンと反応させることによって作製された非イオン性可溶化剤、ならびに脂肪酸または脂肪アルコールをさらに含有することができるその任意の混合物;セルロースおよびメチルセルロースならびにその誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロースおよびヒプロメロースアセテートスクシネート;様々なシクロデキストリンおよびその誘導体;ポロキサマーとして知られているポリオキシエチレンの2つの親水性鎖が側面にあるポリオキシプロピレンの中央疎水性鎖を有する非イオン性トリ-ブロックコポリマー;PVAc-PVCap-PEGとして省略されているとともにSoluplus(登録商標)として知られている、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルカプロラクタムベースのグラフトコポリマー;天然誘導ヒマシ油の、ポリエチレングリコール400の、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80など)のまたはプロピレングリコールの精製グレード;ジエチレングリコールモノエチルエーテル;同様に、下に記述されている可溶性ポリビニルピロリドンのいずれかだけでなく、Kollidon(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL-MおよびKollidon(登録商標)CL-SFなどクロスポビドンとしても知られている不溶性/架橋ポリビニルピロリドン、ならびにKollidon(登録商標)VA64などコポビドンとしても知られているポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマーが挙げられる。
【0170】
しかしながら、その上、下に記述されている浸透増強剤は、可溶化剤として作用することができる。さらに、その上、結晶化阻害剤は、可溶化剤として作用することができる。
【0171】
シリカゲル、二酸化チタンおよび酸化亜鉛などの充填剤は、所望のやり方で、密着および結合強度などある特定の物理的パラメータに影響を及ぼすために、ポリマーと併せて使用することができる。
【0172】
マトリックス層が自己接着特性を有することを必要とされ、十分な自己接着特性を提供しない1種またはそれ以上のポリマーが選択される場合において、粘着付与剤が添加される。粘着付与剤は、ポリビニルピロリドン(水を吸収するというそれの能力により、マトリックス層の接着特性を維持することができ、したがって、広義において粘着付与剤とみなすことができる)、トリグリセリド、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、樹脂、樹脂エステル、テルペンおよびその誘導体、エチレン酢酸ビニル接着剤、ジメチルポリシロキサン、ならびにポリブテン、好ましくはポリビニルピロリドン、より好ましくは可溶性ポリビニルピロリドンから選択することができる。ある特定の実施形態において、マトリックス層組成物は、マトリックス層組成物の5%から15%の量で粘着付与剤を含む。
【0173】
「可溶性ポリビニルピロリドン」という用語は、少なくともエタノール中で、好ましくは水、ジエチレングリコール、メタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、クロロホルム、塩化メチレン、2-ピロリドン、マクロゴール400、1,2プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、グリセリン、トリエタノールアミン、プロピオン酸および酢酸中でも、10%超で可溶性である、ポビドンとしても知られているポリビニルピロリドンを指す。市販されているポリビニルピロリドンの例としては、BASFによって供給されるKollidon(登録商標)12 PF、Kollidon(登録商標)17 PF、Kollidon(登録商標)25、Kollidon(登録商標)30およびKollidon(登録商標)90 F、またはポビドンK90Fが挙げられる。Kollidon(登録商標)の異なるグレードは、ポリビニルピロリドングレードの平均分子量を反映するK値によって定義される。Kollidon(登録商標)12 PFは、12の公称K値に対応する10.2から13.8のK値範囲を特徴とする。Kollidon(登録商標)17 PFは、17の公称K値に対応する15.3から18.4のK値範囲を特徴とする。Kollidon(登録商標)25は、25の公称K値に対応する22.5から27.0のK値範囲を特徴とし、Kollidon(登録商標)30は、30の公称K値に対応する27.0から32.4のK値範囲を特徴とする。Kollidon(登録商標)90 Fは、90の公称K値に対応する81.0から97.2のK値範囲を特徴とする。好ましいKollidon(登録商標)グレードは、Kollidon(登録商標)12 PF、Kollidon(登録商標)30およびKollidon(登録商標)90 Fである。
【0174】
この発明の意味内で、「K値」という用語は、「ポビドン」についてヨーロッパ薬局方(Ph.Eur.)およびUSP研究書に従って水中のポリビニルピロリドンの相対粘度から算出される値を指す。
【0175】
ある特定の実施形態において、マトリックス層組成物は、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸およびそのエステル誘導体、ブチルヒドロキシトルエン、トコフェロールおよびそのエステル誘導体、例えば酢酸トコフェリルおよびリノール酸トコフェリルから、好ましくはトコフェロールおよびそのエステル誘導体、ならびにアスコルビン酸およびそのエステル誘導体から選択される安定剤を含み、より好ましくは脂肪酸のアスコルビルエステルおよびトコフェロールから選択され、最も好ましくはパルミチン酸アスコルビルまたはα-トコフェロールである。その上、特に好ましいのは、トコフェロールおよびパルミチン酸アスコルビルの組合せである。マトリックス層組成物が安定剤を含む場合、安定剤の量は、マトリックス層組成物の0.001%から2%である。
【0176】
一実施形態において、マトリックス層組成物は、軟化剤/可塑剤をさらに含む。例証的な軟化剤/可塑剤としては、6個から20個の炭素原子を有する線状または分岐状、飽和または不飽和のアルコール、トリグリセリドおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0177】
一実施形態において、マトリックス層組成物は、スキンケア用物質をさらに含む。こうした物質は、皮膚応答スコアを使用する皮膚の判定によって決定される通りの皮膚刺激を回避または低減するために使用することができる。スキンケア用の適当な物質としては、ステロール化合物、例えばコレステロール、デクスパンテノール、アルファ-ビサボロールおよび抗ヒスタミン薬が挙げられる。スキンケア用物質は、好ましくは、マトリックス層組成物の1%から10%の量で使用される。
【0178】
ある特定の実施形態において、マトリックス層組成物は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、乳酸ラウリル、ジメチルプロピレン尿素、ならびに脂肪酸のプロピレングリコールモノエステルおよびジエステルの混合物から選択される浸透増強剤を含む。脂肪酸のプロピレングリコールモノエステルおよびジエステルのこうした混合物は、例えば、>90%モノエステルおよび<10%ジエステルの比での脂肪酸のプロピレングリコールモノエステルおよびジエステルの混合物のモノカプリル酸プロピレングリコール(II型)であるCapryolという商標名下で市販されており、ここで脂肪酸は、主にカプリル酸からなる。
【0179】
ある特定の他の実施形態において、マトリックス層組成物は、オレイン酸、トリグリセリド、オレインアルコール、およびその混合物から選択される浸透増強剤を含まず、特に、マトリックス層組成物は、浸透増強剤を全く含まない。別の実施形態において、マトリックス層組成物は、酢酸ナトリウムまたは二酢酸ナトリウムを含まない。なお別の実施形態において、アセナピン含有層は、ジカルボン酸アルカリ塩を含まない。なお別の実施形態において、マトリックス層組成物は、マレイン酸アルカリ塩を含まない。
【0180】
本発明によるマトリックス層組成物は、pH調節剤を含むことができる。好ましくは、pH調節剤は、アミン誘導体、無機アルカリ誘導体、塩基性および酸性官能性をそれぞれ有するポリマーから選択される。
【0181】
放出特徴
本発明によるTTSは、前定義されている長時間期間の間、体循環にアセナピンを経皮投与するように設計される。
【0182】
一態様において、本発明によるTTSは、0.5mg/日から20mg/日、0.5mg/24hから20mg/24h、500μg/日から20,000μg/日、500μg/24hから20,000μg/24h、0.021mg/hから0.833mg/h、または21μg/hから833μg/hの、好ましくは1.0mg/日から15mg/日、1.0mg/24hから15mg/24h、1,000μg/日から15,000μg/日、1,000μg/24hから15,000μg/24h、0.042mg/hから0.625mg/h、または42μg/hから625μg/hの、より好ましくは2.0mg/日から10mg/日、2.0mg/24hから10mg/24h、2,000μg/日から10,000μg/日、2,000μg/24hから10,000μg/24h、0.083mg/hから0.417mg/h、または83μg/hから417μg/hの平均放出速度を、投与の少なくとも24時間にわたって、好ましくは投与の少なくとも48時間にわたって、より好ましくは投与の少なくとも72時間にわたって、最も好ましくは投与の少なくとも84時間にわたって提供する。
【0183】
ある特定の実施形態によると、本発明によるTTSは、1μg/(cmh)から20μg/(cmh)の、好ましくは2μg/(cmh)から15μg/(cmh)の、より好ましくは4μg/(cmh)から12μg/(cmh)の、皮節化ヒト皮膚を用いてFranz拡散細胞において測定される場合の48時間目または72時間目でのアセナピンの累積皮膚浸透率を提供する。
【0184】
本発明の特定の実施形態において、上に記載されている通りの本発明によるTTSは、
最初の8時間に0μg/(cmh)から10μg/(cmh)、
8時間目から24時間目に2μg/(cmh)から20μg/(cmh)、
24時間目から32時間目に3μg/(cmh)から20μg/(cmh)、
32時間目から48時間目に3μg/(cmh)から20μg/(cmh)、
48時間目から72時間目に2μg/(cmh)から15μg/(cmh)
の、皮節化ヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定された場合のアセナピンの皮膚浸透率を提供する。
【0185】
ある特定の実施形態において、本発明による経皮治療システムは、48時間の時間期間にわたって0.05mg/cmから1.0mg/cmの、好ましくは0.1mg/cmから0.7mg/cmの、皮節化ヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定された場合のアセナピンの累積浸透量を提供する。
【0186】
ある特定の実施形態において、本発明による経皮治療システムは、72時間の時間期間にわたって0.1mg/cmから2.0mg/cm、好ましくは0.2mg/cmから1.0mg/cmの、皮節化ヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定された場合のアセナピンの累積浸透量を提供する。
【0187】
処置/医学的使用の方法
本発明の特定の態様によると、本発明によるTTSは、処置の方法における、特にヒト患者を処置する方法における使用のためのものである。
【0188】
ある特定の実施形態において、本発明によるTTSは、好ましくは、精神病を処置する方法における使用のための、より好ましくは統合失調症、双極性障害、心的外傷後ストレス症候群、大うつ病性障害、認知症関連の精神病、激越および躁病から選択される1つまたはそれ以上の状態を処置する方法における使用のための、特にヒト患者における統合失調症および/または双極性障害を処置する方法における使用のための、特にヒト患者における双極性障害の急性躁病または混合エピソードを処置する方法における使用のためのものである。
【0189】
ある特定の実施形態において、本発明によるTTSは、成人または小児患者10歳から17歳における双極性障害の急性躁病または混合エピソードを処置する方法における使用のためのものである。ある特定の実施形態において、本発明によるTTSは、ヒト患者、特に成人における双極性障害を処置する方法におけるリチウムまたはバルプロエートに対する補助的処置としての使用のためのものである。ある特定の実施形態において、本発明によるTTSは、ヒト患者、特に成人における双極性障害を処置する方法における単独治療維持処置としての使用のためのものである。
【0190】
本発明によるTTSは、さらに好ましくは、それを必要とする対象における統合失調症または双極性障害を処置する方法における使用のためのものであり、該方法は、対象に治療有効量のアセナピンを経皮投与することを含み、ここで、アセナピンは、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムに含有され、経皮治療システムは、少なくとも48時間もしくは2日の間、または少なくとも72時間もしくは3日、もしくは約48時間もしくは約2日の間、もしくは約72時間もしくは約3日、もしくは約84時間もしくは約3.5日の間、対象の少なくとも1つの身体表面と接触している。
【0191】
本発明の意味内で、身体表面は、身体の任意の部分に位置することができ、ある特定の実施形態において、上部外腕、上胸部、上背部または胸部側部から選択される。
【0192】
TTSは、さらに、少なくとも24時間もしくは1日、少なくとも48時間もしくは2日、または少なくとも72時間もしくは3日の投薬間隔を用いる、および/または最大168時間もしくは7日まで、最大120時間もしくは5日まで、または最大96時間もしくは4日までの投薬間隔を用いる処置の方法における使用のためのものであってよい。投薬間隔は、特に、24時間もしくは1日、48時間もしくは2日、または84時間もしくは3.5日であってよい。
【0193】
したがって、本発明は、処置の方法における使用のための、特に統合失調症および/または双極性障害、特に双極性障害の急性躁病または混合エピソードを処置する方法における使用のためのTTSであって、1日1回TTS交換モード(24時間または1日の投薬間隔)、週2回TTS交換モード(84時間または3.5日の投薬間隔)または週1回TTS交換モード(168時間または7日の投薬間隔)を用いる24時間処置におけるTTSにも関する。
【0194】
本発明によるTTSは、さらに好ましくは、該経皮治療システムが舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の低減を提供する、患者を処置する方法における使用のためのものである。
【0195】
舌下アセナピンの同等用量に相対してとは、アセナピンの同じ血中血漿曝露に実質的に至る経皮および舌下アセナピンの用量を使用する場合の臨床研究における副作用の発生率および強度における比較として理解されるべきである。
【0196】
別の実施形態において、本発明によるTTSは、舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用を患者において低減する方法における使用のためのものであってもよい。
【0197】
患者を処置するこうした方法においてまたは少なくとも1つのアセナピン関連の副作用を低減するこうした方法においてだけでなく、処置の方法における使用のための全ての経皮治療システム、少なくとも1つのアセナピン関連の副作用を低減する方法における使用のための経皮治療システム、処置の方法および少なくとも1つのアセナピン関連の副作用を低減する方法、同様に、下に記載される通りのヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピンにおいて、以下が一般にさらに適用し得る:
【0198】
(i)少なくとも1つのアセナピン関連の副作用は、特に疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、またはその任意の組合せである。
【0199】
(ii)これらの副作用は低減されるので、一実施形態において、本発明の方法および該方法における使用のための経皮治療システムは、こうした状態をすでに患う、即ち、疲労、傾眠、眩暈、またはその任意の組合せを患うヒト患者に特に適当である。
【0200】
(iiii)さらに、舌下アセナピンの同等用量に相対する少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率は、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減することができる、および/または舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度は低減することができる。副作用の強度は、例えば、「軽度の」、「中程度の」または「重度の」強度を示すスケールで副作用を分類することによって決定することができ、強度の低減は、中央強度を比較することによって定量化することができる。
【0201】
(iv)こうした実施形態において、少なくとも1つのアセナピン関連の副作用は疲労であり得、舌下アセナピンの同等用量に相対する疲労の発生率は、少なくとも約30%もしくは少なくとも約40%低減することができる、および/または舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度は低減することができる。
【0202】
(v)代替として、少なくとも1つのアセナピン関連の副作用は眩暈であり得、舌下アセナピンの同等用量に相対する眩暈の発生率は、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%または少なくとも約80%低減することができる。
【0203】
副作用の型に関して、疲労および傾眠は、臨床的に異なる条件を指定する一方で、共通および/または同様の症状を有し、そのため、特に長期的に続かないならば、区別するのが困難であり得ることが留意されるべきである。
【0204】
別の特定の態様によると、本発明は、処置の方法、特にヒト患者を処置する方法にも関する。
【0205】
本発明は、精神病を処置する方法に、特に、統合失調症、双極性障害、心的外傷後ストレス症候群、大うつ病性障害、認知症関連の精神病、激越および躁病から選択される1つまたはそれ以上の状態を処置する方法に、好ましくはヒト患者における統合失調症および/または双極性障害、特に、ヒト患者の皮膚に本発明による経皮治療システムを適用することを含む、双極性障害の急性躁病または混合エピソードを処置する方法に特に関する。
【0206】
ある特定の実施形態において、本発明は、成人または小児患者10歳から17歳における双極性障害の急性躁病または混合エピソードを処置する方法にも関する。ある特定の実施形態において、本発明は、リチウムまたはバルプロエートに対する補助的処置としてヒト患者、特に成人における双極性障害を処置する方法にも関する。ある特定の実施形態において、本発明は、ヒト患者、特に成人における双極性障害を処置する方法における単独治療維持処置にも関する。
【0207】
本発明は、さらに好ましくは、それを必要とする対象における統合失調症または双極性障害を処置する方法にも関し、該方法は、対象に治療有効量のアセナピンを経皮投与することを含み、ここで、アセナピンはアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムに含有され、経皮治療システムは、少なくとも48時間もしくは2日の間、または少なくとも72時間もしくは3日の間、または約48時間もしくは約2日、もしくは約72時間もしくは約3日、もしくは約84時間もしくは約3.5日の間、対象の少なくとも1つの身体表面(上記で定義されている通り)と接触している。
【0208】
本発明は、ヒト患者の皮膚に少なくとも24時間もしくは1日、少なくとも48時間もしくは2日、もしくは少なくとも72時間もしくは3日の間、および/または最大168時間もしくは7日まで、最大120時間もしくは5日まで、もしくは最大96時間もしくは4日までの間、本発明による経皮治療システムを適用することによる処置の方法にも関する。本発明による経皮治療システムは、特に、ヒト患者の皮膚に24時間もしくは1日、48時間もしくは2日、または84時間もしくは3.5日の間、適用することができる。
【0209】
したがって、本発明は、1日1回TTS交換モード(24時間または1日の投薬間隔)、週2回TTS交換モード(84時間または3.5日の投薬間隔)または週1回TTS交換モード(168時間または7日の投薬間隔)を用いる24時間処置における処置の方法にも関する。
【0210】
こうした方法において、前に概説されている通り、経皮治療システムは、舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の低減を提供することができる。
【0211】
別の実施形態において、本発明は、舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用を患者において低減する方法にも関し、該方法は、本発明による経皮治療システムを投与することを含む。
【0212】
本発明は、舌下アセナピン治療で処置されている患者における少なくとも1つのアセナピン関連の副作用を低減する方法にも関し、該方法は、
a)舌下アセナピン治療を中断すること;および
b)患者の皮膚に本発明による経皮治療システムを投与すること、ここで、経皮治療システムは、舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の低減を提供する
を含む。
【0213】
こうした方法において、経皮治療システムは、舌下アセナピン治療によって元々提供されるアセナピンの量と同等のアセナピンの量を送達することができる。
【0214】
本発明者らは、驚くべきことに、比較的に一定のアセナピン血中血漿濃度が、アセナピンの経皮送達によって長時間期間の間維持されることができることを示した。
【0215】
したがって、1つの特定の態様によると、本発明は、少なくとも48時間もしくは2日の投薬間隔の間、または少なくとも72時間もしくは3日の投薬間隔の間、アセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピンに関する。
【0216】
こうした実施形態において、投薬間隔は、最大168時間もしくは7日まで、最大120時間もしくは5日まで、または最大96時間もしくは4日までであってよく、特に、48時間もしくは2日、または72時間もしくは3日、または84時間もしくは3.5日であってよい。
【0217】
さらに、アセナピンは、好ましくは、精神病を処置する方法における使用のための、特に、統合失調症、双極性障害、心的外傷後ストレス症候群、大うつ病性障害、認知症関連の精神病、激越および躁病から選択される1つもしくはそれ以上の状態を処置する方法における使用のための、または統合失調症および/もしくは双極性障害、より好ましくは双極性障害、特に双極性障害の急性躁病もしくは混合エピソードを処置する方法における使用のためのものである。アセナピンは、好ましくは、成人もしくは小児患者10歳から17歳における双極性障害の急性躁病もしくは混合エピソードを処置する方法における使用のための、リチウムもしくはバルプロエートに対する補助的処置としての使用のための、またはヒト患者、特に成人における双極性障害を処置する方法における単独治療維持処置としての使用のためのものでもある。
【0218】
アセナピンは、さらに好ましくは、それを必要とする対象における統合失調症または双極性障害を処置する方法における使用のためのものであり、該方法は、対象に治療有効量のアセナピンを経皮投与することを含み、ここで、アセナピンは、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムに含有され、経皮治療システムは、少なくとも48時間もしくは2日の間、または少なくとも72時間もしくは3日の間、または約48時間もしくは約2日、もしくは約72時間もしくは約3日、もしくは約84時間もしくは約3.5日の間、対象の少なくとも1つの身体表面(上記で定義されている通り)と接触している。
【0219】
比較的に一定のアセナピン血中血漿濃度は、ヒト対象に対するインビボ臨床研究において得られる場合のいくつかの薬物動態学的パラメータによって記載することができる。
【0220】
したがって、ある特定の実施形態において、本発明は、
少なくとも48時間もしくは2日の投与にわたって、0.5mg/日から20mg/日、0.5mg/24hから20mg/24h、500μg/日から20,000μg/日、500μg/24hから20,000μg/24h、0.021mg/hから0.833mg/h、もしくは21μg/hから833μg/h、好ましくは1.0mg/日から15mg/日、1.0mg/24hから15mg/24h、1,000μg/日から15,000μg/日、1,000μg/24hから15,000μg/24h、0.042mg/hから0.625mg/h、もしくは42g/hから625μg/hの、より好ましくは2.0mg/日から10mg/日、2.0mg/24hから10mg/24h、2,000μg/日から10,000μg/日、2,000μg/24hから10,000μg/24h、0.083mg/hから0.417mg/h、もしくは83μg/hから417μg/hの平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
少なくとも72時間もしくは3日の投与にわたって、0.5mg/日から20mg/日、0.5mg/24hから20mg/24h、500μg/日から20,000μg/日、500μg/24hから20,000μg/24h、0.021mg/hから0.833mg/h、もしくは21μg/hから833μg/h、好ましくは1.0mg/日から15mg/日、1.0mg/24hから15mg/24h、1,000μg/日から15,000μg/日、1,000μg/24hから15,000μg/24h、0.042mg/hから0.625mg/h、もしくは42μg/hから625μg/hの、より好ましくは2.0mg/日から10mg/日、2.0mg/24hから10mg/24h、2,000μg/日から10,000μg/日、2,000μg/24hから10,000μg/24h、0.083mg/hから0.417mg/h、もしくは83μg/hから417μg/hの平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
少なくとも84時間もしくは3.5日の投与にわたって、0.5mg/日から20mg/日、0.5mg/24hから20mg/24h、500μg/日から20,000μg/日、500μg/24hから20,000μg/24h、0.021mg/hから0.833mg/h、もしくは21μg/hから833μg/h、好ましくは1.0mg/日から15mg/日、1.0mg/24hから15mg/24h、1,000μg/日から15,000μg/日、1,000μg/24hから15,000μg/24h、0.042mg/hから0.625mg/h、もしくは42μg/hから625μg/hの、より好ましくは2.0mg/日から10mg/日、2.0mg/24hから10mg/24h、2,000μg/日から10,000μg/日、2,000μg/24hから10,000μg/24h、0.083mg/hから0.417mg/h、もしくは83μg/hから417μg/hの平均放出速度を経皮送達によって提供する、
上に記載されている通りのアセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピンに関する。
【0221】
さらに、ある特定の実施形態において、本発明は、
20(ng/ml)hから300(ng/ml)h、もしくは300(ng/ml)h超から450(ng/ml)h、好ましくは30(ng/ml)hから200(ng/ml)hのAUC0-48を経皮送達によって提供する、または
30(ng/ml)hから400(ng/ml)h、もしくは400(ng/ml)h超から600(ng/ml)h、好ましくは50(ng/ml)hから300(ng/ml)hのAUC0-72を経皮送達によって提供する、または
35(ng/ml)hから450(ng/ml)h、もしくは450(ng/ml)h超から700(ng/ml)h、好ましくは60(ng/ml)hから350(ng/ml)hのAUC0-84を経皮送達によって提供する、
上に記載されている通りのアセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピンに関する。
【0222】
またさらに、ある特定の実施形態において、本発明は、
2.0未満、好ましくは1.5未満、より好ましくは1.3未満の、C48に対するCmax比を経皮送達によって提供する、または
3.0未満、好ましくは2.5未満、より好ましくは2.0未満の、C72に対するCmax比を経皮送達によって提供する、または
3.5未満、好ましくは3.0未満、より好ましくは2.5未満、最も好ましくは2.0未満の、C84に対するCmax比を経皮送達によって提供する、
上に記載されている通りのアセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピンに関する。
【0223】
またさらに、ある特定の実施形態において、本発明は、
0.5ng/mlから10ng/ml、好ましくは1ng/mlから8ng/mlのCmax値を経皮送達によって提供する
上に記載されている通りのアセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピンに関する。
【0224】
さらなる実施形態において、本発明は、舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が低減される、上記で概説されている通りの、ヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピンにさらに関する。
【0225】
別の特定の態様によると、本発明は、少なくとも48時間もしくは2日の投薬間隔の間、または少なくとも72時間もしくは3日の投薬間隔の間、ヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムに関する。
【0226】
こうした実施形態において、投薬間隔は、最大168時間もしくは7日まで、最大120時間もしくは5日まで、または最大96時間もしくは4日までであってよく、特に、48時間もしくは2日、または72時間もしくは3日、または84時間もしくは3.5日であってよい。
【0227】
上に記載されている通りの、ヒト患者を処置する方法における使用のためのこうした経皮治療システムは、好ましくは、治療有効量のアセナピンを含有する自己接着性層構造を含む。
【0228】
さらに、経皮治療システムは、好ましくは、精神病を処置する方法における使用のための、特に、統合失調症、双極性障害、心的外傷後ストレス症候群、大うつ病性障害、認知症関連の精神病、激越および躁病から選択される1つもしくはそれ以上の状態を処置する方法における使用のための、または統合失調症および/もしくは双極性障害より好ましくは双極性障害、特に双極性障害の急性躁病もしくは混合エピソードを処置する方法における使用のためのものである。経皮治療システムは、好ましくは、成人もしくは小児患者10歳から17歳における双極性障害の急性躁病もしくは混合エピソードを処置する方法における使用のための、リチウムもしくはバルプロエートに対する補助的処置としての使用のための、またはヒト患者、特に成人における双極性障害を処置する方法における単独治療維持処置としての使用のためのものでもある。
【0229】
経皮治療システムは、さらに好ましくは、それを必要とする対象における統合失調症または双極性障害を処置する方法における使用のためのものであり、該方法は、対象に治療有効量のアセナピンを経皮投与することを含み、ここで、アセナピンはアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムに含有され、経皮治療システムは、少なくとも48時間もしくは2日の間、または少なくとも72時間もしくは3日の間、または約48時間もしくは約2日、もしくは約72時間もしくは約3日、もしくは約84時間もしくは約3.5日の間、対象の少なくとも1つの身体表面(上記で定義されている通り)と接触している。
【0230】
したがって、ある特定の実施形態において、本発明は、
少なくとも48時間もしくは2日の投与にわたって、0.5mg/日から20mg/日、0.5mg/hから20mg/24h、500から20,000μg/日、500から20,000μg/24h、0.021mg/hから0.833mg/h、もしくは21μg/hから833μg/h、好ましくは1.0mg/日から15mg/日、1.0mg/24hから15mg/24h、1,000μg/日から15,000μg/日、1,000μg/24hから15,000μg/24h、0.042mg/hから0.625mg/h、もしくは42μg/hから625μg/hの、より好ましくは2.0mg/日から10mg/日、2.0mg/24hから10mg/24h、2,000μg/日から10,000μg/日、2,000μg/24hから10,000μg/24h、0.083mg/hから0.417mg/h、もしくは83μg/hから417μg/hの平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
少なくとも72時間もしくは3日の投与にわたって、0.5mg/日から20mg/日、0.5mg/24hから20mg/24h、500μg/日から20,000μg/日、500μg/24hから20,000μg/24h、0.021mg/hから0.833mg/h、もしくは21μg/hから833μg/h、好ましくは1.0mg/日から15mg/日、1.0mg/24hから15mg/24h、1,000μg/日から15,000μg/日、1,000μg/24hから15,000μg/24h、0.042mg/hから0.625mg/h、もしくは42μg/hから625μg/hの、より好ましくは2.0mg/日から10mg/日、2.0mg/24hから10mg/24h、2,000μg/日から10,000μg/日、2,000μg/24hから10,000μg/24h、0.083mg/hから0.417mg/h、もしくは83μg/hから417μg/hの平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
少なくとも84時間もしくは3.5日の投与にわたって、0.5mg/日から20mg/日、0.5mg/24hから20mg/24h、500μg/日から20,000μg/日、500μg/24hから20,000μg/24h、0.021mg/hから0.833mg/h、もしくは21μg/hから833μg/h、好ましくは1.0mg/日から15mg/日、1.0mg/24hから15mg/24h、1,000μg/日から15,000μg/日、1,000μg/24hから15,000μg/24h、0.042mg/hから0.625mg/h、もしくは42μg/hから625μg/hの、より好ましくは2.0mg/日から10mg/日、2.0mg/24hから10mg/24h、2,000μg/日から10,000μg/日、2,000μg/24hから10,000μg/24h、0.083mg/hから0.417mg/h、もしくは83μg/hから417μg/hの平均放出速度を経皮送達によって提供する、
上に記載されている通りのヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムに関する。
【0231】
さらに、ある特定の実施形態において、本発明は、
20(ng/ml)hから300(ng/ml)h、もしくは300(ng/ml)h超から450(ng/ml)h、好ましくは30(ng/ml)hから200(ng/ml)hのAUC0-48を経皮送達によって提供する、または
30(ng/ml)hから400(ng/ml)h、もしくは400(ng/ml)h超から600(ng/ml)h、好ましくは50(ng/ml)hから300(ng/ml)hのAUC0-72を経皮送達によって提供する、または
35(ng/ml)hから450(ng/ml)h、もしくは450(ng/ml)h超から700(ng/ml)h、好ましくは60(ng/ml)hから350(ng/ml)hのAUC0-84を経皮送達によって提供する、
上に記載されている通りのヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムに関する。
【0232】
またさらに、ある特定の実施形態において、本発明は、
2.0未満、好ましくは1.5未満、より好ましくは1.3未満の、C48に対するCmax比を経皮送達によって提供する、または
3.0未満、好ましくは2.5未満、より好ましくは2.0未満の、C72に対するCmax比を経皮送達によって提供する、または
3.5未満、好ましくは3.0未満、より好ましくは2.5未満、最も好ましくは2.0未満の、C84に対するCmax比を経皮送達によって提供する、
上に記載されている通りのヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムに関する。
【0233】
またさらに、ある特定の実施形態において、本発明は、
0.5ng/mlから10ng/ml、好ましくは1ng/mlから8ng/mlのCmax値を経皮送達によって提供する
上に記載されている通りのヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムに関する。
【0234】
全てのこうした実施形態において、すでに記載されている通り、TTSは、経皮治療システムが舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の低減を提供する、ヒト患者を処置する方法における使用のためのものであってよい。
【0235】
なお別の特定の態様によると、本発明は、少なくとも48時間もしくは2日の投薬間隔の間、または少なくとも72時間もしくは3日の投薬間隔の間、アセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法に関する。
【0236】
こうした実施形態において、投薬間隔は、最大168時間もしくは7日まで、最大120時間もしくは5日まで、または最大96時間もしくは4日までであってよく、特に、48時間もしくは2日、または72時間もしくは3日、または84時間もしくは3.5日であってよい。
【0237】
上に記載されている通りのアセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置するこうした方法は、好ましくは、患者の皮膚に少なくとも48時間もしくは2日の間、少なくとも72時間もしくは3日の間、48時間もしくは2日の間、72時間もしくは3日の間、または84時間もしくは3.5日の間、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムを適用することを含む。
【0238】
アセナピンの経皮投与のためのこうした経皮治療システムは、好ましくは、治療有効量のアセナピンを含有する自己接着性層構造を含む。
【0239】
さらに、上に記載されている方法は、好ましくは、精神病を処置する方法、特に、統合失調症、双極性障害、心的外傷後ストレス症候群、大うつ病性障害、認知症関連の精神病、激越および躁病から選択される1つもしくはそれ以上の状態を処置する方法、または統合失調症および/もしくは双極性障害、より好ましくは双極性障害、特に双極性障害の急性躁病もしくは混合エピソードを処置する方法である。ある特定の実施形態において、該方法は、好ましくは、成人もしくは小児患者10歳から17歳における双極性障害の急性躁病もしくは混合エピソードを処置する方法、またはリチウムもしくはバルプロエートに対する補助的処置としてもしくは単独治療維持処置としてヒト患者、特に成人における双極性障害を処置する方法でもある。
【0240】
ある特定の実施形態において、該方法は、さらに好ましくは、それを必要とする対象における統合失調症または双極性障害を処置する方法であり、該方法は、対象に治療有効量のアセナピンを経皮投与することを含み、ここで、アセナピンはアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムに含有され、経皮治療システムは、少なくとも48時間もしくは2日の間、または少なくとも72時間もしくは3日の間、または約48時間もしくは約2日、もしくは約72時間もしくは約3日、もしくは約84時間もしくは約3.5日の間、対象の少なくとも1つの身体表面(上記で定義されている通り)と接触している。
【0241】
比較的に一定のアセナピン血中血漿濃度は、ヒト対象に対するインビボ臨床研究において得られる場合のいくつかの薬物動態学的パラメータによって記載することができる。
【0242】
したがって、ある特定の実施形態において、本発明は、
少なくとも48時間もしくは2日の投与にわたって、0.5mg/日から20mg/日、0.5mg/24hから20mg/24h、500μg/日から20,000μg/日、500μg/24hから20,000μg/24h、0.021mg/hから0.833mg/h、もしくは21μg/hから833μg/h、好ましくは1.0mg/日から15mg/日、1.0mg/24hから15mg/24h、1,000μg/日から15,000μg/日、1,000μg/24hから15,000μg/24h、0.042mg/hから0.625mg/h、もしくは42μg/hから625μg/hの、より好ましくは2.0mg/日から10mg/日、2.0mg/24hから10mg/24h、2,000μg/日から10,000μg/日、2,000μg/24hから10,000μg/24h、0.083mg/hから0.417mg/h、もしくは83μg/hから417μg/hの平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
少なくとも72時間もしくは3日の投与にわたって、0.5mg/日から20mg/日、0.5mg/24hから20mg/24h、500μg/日から20,000μg/日、500μg/24hから20,000μg/24h、0.021mg/hから0.833mg/h、もしくは21μg/hから833μg/h、好ましくは1.0mg/日から15mg/日、1.0mg/24hから15mg/24h、1,000μg/日から15,000μg/日、1,000μg/24hから15,000μg/24h、0.042mg/hから0.625mg/h、もしくは42μg/hから625μg/hの、より好ましくは2.0mg/日から10mg/日、2.0mg/24hから10mg/24h、2,000μg/日から10,000μg/日、2,000μg/24hから10,000μg/24h、0.083mg/hから0.417mg/h、もしくは83μg/hから417μg/hの平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
少なくとも84時間もしくは3.5日の投与にわたって、0.5mg/日から20mg/日、0.5mg/24hから20mg/24h、500μg/日から20,000μg/日、500μg/24hから20,000μg/24h、0.021mg/hから0.833mg/h、もしくは21μg/hから833μg/h、好ましくは1.0mg/日から15mg/日、1.0mg/24hから15mg/24h、1,000μg/日から15,000μg/日、1,000μg/24hから15,000μg/24h、0.042mg/hから0.625mg/h、もしくは42μg/hから625μg/hの、より好ましくは2.0mg/日から10mg/日、2.0mg/24hから10mg/24h、2,000μg/日から10,000μg/日、2,000μg/24hから10,000μg/24h、0.083mg/hから0.417mg/h、もしくは83μg/hから417μg/hの平均放出速度を経皮送達によって提供する、
上に記載されている通りのヒト患者を処置する方法に関する。
【0243】
さらに、ある特定の実施形態において、本発明は、
20(ng/ml)hから300(ng/ml)h、もしくは300(ng/ml)h超から450(ng/ml)h、好ましくは30(ng/ml)hから200(ng/ml)hのAUC0-48を経皮送達によって提供する、または
30(ng/ml)hから400(ng/ml)h、もしくは400(ng/ml)h超から600(ng/ml)h、好ましくは50(ng/ml)hから300(ng/ml)hのAUC0-72を経皮送達によって提供する、または
35(ng/ml)hから450(ng/ml)h、もしくは450(ng/ml)h超から700(ng/ml)h、好ましくは60(ng/ml)hから350(ng/ml)hのAUC0-84を経皮送達によって提供する、
上に記載されている通りのヒト患者を処置する方法、に関する。
【0244】
またさらに、ある特定の実施形態において、本発明は、
2.0未満、好ましくは1.5未満、より好ましくは1.3未満の、C48に対するCmax比を経皮送達によって提供する、または
3.0未満、好ましくは2.5未満、より好ましくは2.0未満の、C72に対するCmax比を経皮送達によって提供する、または
3.5未満、好ましくは3.0未満、より好ましくは2.5未満、最も好ましくは2.0未満の、C84に対するCmax比を経皮送達によって提供する、
上に記載されている通りのヒト患者を処置する方法に関する。
【0245】
またさらに、ある特定の実施形態において、本発明は、
0.5ng/mlから10ng/ml、好ましくは1ng/mlから8ng/mlのCmax値を経皮送達によって提供する、
上に記載されている通りのヒト患者を処置する方法に関する。
【0246】
上に記載されている通りのこうした方法において、経皮治療システムは、舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の低減を提供することができる。
【0247】
なおさらなる態様において、本発明は、ヒト患者を処置する方法における使用のための、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、
舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の低減を提供し、
ヒト患者が、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患っている、および/または少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、もしくはその任意の組合せである
経皮治療システムに関する。
【0248】
別の態様において、本発明は、アセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法であって、舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が低減され、
ヒト患者が、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患っている、および/または少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、もしくはその任意の組合せである
方法を対象とする。
【0249】
なお別の態様において、本発明は、舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用をヒト患者において低減する方法であって、アセナピンの経皮投与を含み、
ヒト患者が、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患っている、および/または少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、もしくはその任意の組合せである
方法を対象とする。
【0250】
なおさらなる態様において、本発明は、患者、特に、舌下アセナピン治療で処置されているヒト患者における少なくとも1つのアセナピン関連の副作用を低減する方法であって、
a)舌下アセナピン治療を中断すること;および
b)アセナピンの経皮投与
を含み、
患者が、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患っている、および/または少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、もしくはその任意の組合せである、
方法を対象とする。
【0251】
製造のプロセス
本発明は、経皮治療システムおよび対応するマトリックス層構造および対応するTTSにおける使用のためのマトリックス層の製造のプロセスにさらに関する。
【0252】
本発明によると、経皮治療システムにおける使用のためのマトリックス層の製造のプロセスは:
1)溶媒中で、少なくとも構成成分アセナピンおよびポリマーを組み合わせることで、コーティング組成物を得る工程;
2)コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナーまたは任意の中間体ライナー上にコーティングする工程;ならびに
3)コーティングされたコーティング組成物を乾燥させることで、マトリックス層を形成する工程
を含む。
【0253】
製造のこのプロセスにおいて、好ましくは工程1)において、アセナピンが溶解されることで、コーティング組成物を得る。
【0254】
上に記載されているプロセスにおいて、好ましくは、溶媒は、アルコール溶媒、特にメタノール、エタノール、イソプロパノールおよびその混合物から、ならびに非アルコール性溶媒、特に酢酸エチル、ヘキサン、n-ヘプタン、石油エーテル、トルエン、およびその混合物から選択され、より好ましくは、エタノールおよび酢酸エチルから選択される。
【0255】
ある特定の実施形態において、上記プロセスにおけるポリマーは、アクリルポリマー、好ましくは酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマーであり、これは、溶液として、好ましくは酢酸エチル、n-ヘプタン、メタノールまたはエタノール中の溶液として提供され、30重量%から60重量%の固形分を有する。
【0256】
工程3)において、乾燥させることは、好ましくは50℃から90℃、より好ましくは60℃から80℃の温度で行われる。
【0257】
実施例
本発明はここで、添付の実施例を参照して、より詳しく記載される。以下の記載は例示的のみであることが理解されるべきであり、決して本発明の制限として解釈されるべきでない。組成物における成分の量または面積重量に関して実施例に提供されている数値は、製造変動によりわずかに変動することがある。
【0258】
〔実施例1A~D〕
コーティング組成物
実施例1a~dのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表1.1に要約されている。製剤は、表1.1にも示されている通り重量パーセントに基づいている。
【0259】
【表1】
【0260】
コーティング組成物の調製
実施例1a~1cのため、ビーカーにアセナピン塩基および溶媒(酢酸エチル)を充填し、適用可能であれば、ミリスチン酸イソプロピル(実施例1b)またはジエチレングリコールモノエチルエーテル(実施例1c)を添加した。アクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-2287を添加し、次いで、混合物を最大500rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た(撹拌時間は、別段に示されていないならば、実施例全体にわたって60分以上である)。
【0261】
実施例1dのため、ビーカーにおよそ1.41gのアセナピン塩基を充填し、溶媒(酢酸エチル)を添加した。アクリル系感圧接着剤を添加し、混合物をおよそ200rpmでおよそ30分間撹拌した。さらにおよそ0.56gのアセナピン塩基を2回に分けて添加しながら、撹拌をおよそ500rpmでおよそ30分間続けた。
【0262】
コーティング組成物のコーティング、実施例1a
結果として得られたアセナピン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(シリコン処理されている、100μmの厚さ、これは剥離ライナーとして機能することができる)上にコーティングし、およそ10分間室温で、および20分間60℃で乾燥させた。該コーティング厚さは、100.1g/mのマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムの第1の部分にポリエチレンテレフタレートバッキング層(23μmの厚さ)を積層することで、第1のアセナピン含有自己接着性層構造を提供した。乾燥フィルムの第2の非修飾部分は、剥離ライナーを含むがバッキング層を含まない第2のアセナピン含有自己接着性層構造として働く。
【0263】
第1の層構造のポリエチレンテレフタレートフィルム(シリコン処理されている、100μmの厚さ、これは剥離ライナーとして機能することができる)を除去し、第1の層構造の接着剤部位を第2の層構造の接着剤部位上に積層した。これは、バッキング層および剥離ライナーを有する、200.1g/mのマトリックス層の面積重量を有するアセナピン含有自己接着性層構造をもたらした。
【0264】
コーティング組成物のコーティング、実施例1b~d
結果として得られたアセナピン含有コーティング組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(シリコン処理されている、100μmの厚さ、これは剥離ライナーとして機能することができる)上にコーティングし、およそ15分間室温でおよび25分間60℃で乾燥させた。該コーティング厚さは、それぞれ141.5g/m(実施例1b)、136.9g/m(実施例1c)、および149.0g/m(実施例1d)のマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着性層構造が提供された。
【0265】
TTSの調製(全ての実施例に関する)
個々のシステム(TTS)を次いで、アセナピン含有自己接着性層構造から抜き出した。特定の実施形態において、上に記載されている通りのTTSは、活性薬剤がない圧力感受性接着剤マトリックス層を含む、好ましくは丸い角を有する、より大きい表面積のさらなる自己接着性層を設けることができる。これは、TTSが、それの物理的特性単独に基づいて、皮膚に十分に接着しない場合および/またはアセナピン含有マトリックス層が、無駄を回避する目的で目立った角を有する(四角または長方形の形状)場合に利点である。TTSを次いで抜き出し、一次包装材料のパウチ中に密封した。
【0266】
皮膚浸透率の測定
実施例1a~dに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、7.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。スプリット厚のGoettingenミニブタ皮膚(雌性)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.156cmの面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(60%リン酸緩衝液pH5.5、30%ジプロピレングリコールおよび10%アセトニトリルを含有する溶液)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表1.2ならびに図1aおよび1bに示されている。
【0267】
【表2】
【0268】
アセナピンの利用
72時間でのアセナピンの利用を、72時間での累積浸透量および初期のアセナピン含有量に基づいて算出した。結果は、表1.3および図1cに示されている。
【0269】
【表3】
【0270】
〔実施例2A~D〕
コーティング組成物
実施例2a~dのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表2.1に要約されている。製剤は、表2.1にも示されている通り、重量パーセントに基づいている。
【0271】
【表4】
【0272】
コーティング組成物の調製
実施例2a、cおよびdのため、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを溶媒酢酸エチルの前に添加したことを除いて実施例1cに記載されている通りに、コーティング組成物を調製した。
【0273】
実施例2bのため、ビーカーに溶媒(石油エーテル)を最初に充填し、ポリイソブチレン接着剤を添加した。ポリビニルピロリドン(Kollidon(登録商標)90 F)を添加しながら、およそ200rpmで撹拌した。アセナピン塩基を添加しながら、最大1500rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た。
【0274】
コーティング組成物のコーティング、実施例2a~2c
結果として得られたアセナピン含有コーティング組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(シリコン処理されている、100μmの厚さ、これは剥離ライナーとして機能することができる)上にコーティングし、およそ10分間室温でおよび20分間60℃で(実施例2aおよび2c)または90℃で(実施例2b)乾燥させた。該コーティング厚さは、それぞれ91.3g/m(実施例2a)、85.7g/m(実施例2b)、および90.15g/m(実施例2c)のマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着性層構造が提供された。
【0275】
自己接着性層構造の調製、実施例2d
実施例2dのため、実施例2cのために調製された通りに2つの層から出発し、実施例1aのために記載された通りに二重層自己接着性層構造を調製した。これは、バッキング層および剥離ライナーを有する、159.6g/mのマトリックス層の面積重量を有するアセナピン含有自己接着性層構造をもたらした。
【0276】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0277】
皮膚浸透率の測定
実施例2a~dに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、7.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。スプリット厚のGoettingenミニブタ皮膚(雌性)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.145cmの面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表2.2ならびに図2aおよび2bに示されている。
【0278】
【表5】
【0279】
アセナピンの利用
72時間でのアセナピンの利用を、72時間での累積浸透量および初期のアセナピン含有量に基づいて算出した。結果は、表2.3および図2cに示されている。
【0280】
【表6】
【0281】
〔実施例2E~J〕
コーティング組成物
実施例2e~jのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表2.4に要約されている。製剤は、表2.4にも示されている通り、重量パーセントに基づいている。
【0282】
【表7】
【0283】
コーティング組成物の調製
実施例2bのため、ビーカーにポリビニルピロリドン(Kollidon(登録商標)90 F)を最初に充填し、エタノールを添加しながら、およそ100~200rpmで撹拌した。ポリイソブチレン接着剤を次いで添加しながら、およそ400rpmで撹拌した。さらに、アセナピン塩基を添加しながら、およそ400rpmで撹拌し、最終的に、n-ヘプタンを添加しながら、およそ400~500rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た。
【0284】
コーティング組成物のコーティング、実施例2a~2c
結果として得られたアセナピン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(シリコン処理されている、75μmの厚さ、これは剥離ライナーとして機能することができる)上にコーティングし、およそ10分~20分間室温でおよび20分~25分間80℃で乾燥させた。該コーティング厚さは、それぞれ52.8g/m(実施例2e)、129.6g/m(実施例2f)、188.4g/m(実施例2g)、51.6g/m(実施例2h)、128.2g/m(実施例2i)、および185.9g/m(実施例2j)のマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着性層構造が提供された。
【0285】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0286】
皮膚浸透率の測定
実施例2eから2jに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、7.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。美容外科手術からのスプリット厚のヒト皮膚(女性腹部、出生日1969年)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.151cmの面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表2.5および2.6ならびに図2dに示されている。
【0287】
【表8】
【0288】
【表9】
【0289】
アセナピンの利用
72時間でのアセナピンの利用を、72時間での累積浸透量および初期のアセナピン含有量に基づいて算出した。結果は、表2.7および図2eに示されている。
【0290】
【表10】
【0291】
〔実施例3A~E〕
コーティング組成物
実施例3a~eのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表3.1に要約されている。製剤は、表3.1にも示されている通り、重量パーセントに基づいている。
【0292】
【表11】
【0293】
コーティング組成物の調製
実施例3aのコーティング組成物を実施例1cに記載されている通りに調製した。
【0294】
実施例3b、3dおよび3eのため、ビーカーに賦形剤ポリエチレングリコール400、アジピン酸ジイソプロピルまたはモノカプリル酸プロピレングリコールII型を、適用可能な場合および溶媒(酢酸エチル)とともに充填した。アクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-2287を添加し、次いで、混合物を最大500rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た。アセナピン塩基を添加し、混合物を再び最大500rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た。
【0295】
実施例3cのため、ビーカーにアクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-2287を充填した。溶媒(酢酸エチル)を添加し、混合物を最大500rpmで撹拌した。ポリビニルピロリドンを添加し、次いで、混合物をおよそ500rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た。最終的に、アセナピン塩基を添加し、混合物を再び最大500rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た。
【0296】
コーティング組成物のコーティング
コーティングプロセスについて実施例1b~dを参照されたい。該コーティング厚さは、それぞれ137.3g/m(実施例3a)、144.1g/m(実施例3b)、146.05g/m(実施例3c)、152.1g/m(実施例3d)、および147.6g/m(実施例3e)のマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着性層構造を提供した。
【0297】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0298】
皮膚浸透率の測定
実施例3a~eに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、7.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。スプリット厚のGoettingenミニブタ皮膚を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.156cmの面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表3.2および図3aに示されている。
【0299】
【表12】
【0300】
アセナピンの利用
56時間でのアセナピンの利用を、72時間での累積浸透量および初期のアセナピン含有量に基づいて算出した。結果は、表3.3および図3bに示されている。
【0301】
【表13】
【0302】
〔実施例4A、4B〕
コーティング組成物
実施例4aおよび4bのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、以下の表4.1に要約されている。製剤は、表4.1にも示されている通り、重量パーセントに基づいている。
【0303】
【表14】
【0304】
コーティング組成物の調製
実施例4aのため、ビーカーにアクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-2516およびアセナピンを充填した。溶媒酢酸エチルを添加し、次いで、混合物をおよそ500rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た。
【0305】
実施例4bのため、ビーカーにアセナピンおよび溶媒酢酸エチルを充填した。アクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-2287を添加し、次いで、混合物をおよそ500rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た。塩基性ブチル化メタクリレートコポリマーEudragit E100を添加しながら、最大1000rpmで撹拌した。
【0306】
コーティング組成物のコーティング
コーティングプロセスについて実施例1b~dを参照されたい。該コーティング厚さは、それぞれ146.7g/m(実施例4a)および126.85g/m(実施例4b)のマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着性層構造が提供された。
【0307】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0308】
皮膚浸透率の測定
実施例4aおよび4bに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、7.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。スプリット厚のGoettingenミニブタ皮膚(雌性)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.156cmの面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表4.2ならびに図4aおよび4bに示されている。
【0309】
【表15】
【0310】
アセナピンの利用
72時間および168時間でのアセナピンの利用を、72時間での累積浸透量および初期のアセナピン含有量に基づいて算出した。結果は表4.3および図4cに示されている。
【0311】
【表16】
【0312】
〔実施例5A~C〕
コーティング組成物
実施例5a~cのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表5.1に要約されている。製剤は、表5.1にも示されている通り、重量パーセントに基づいている。
【0313】
【表17】
【0314】
コーティング組成物の調製
実施例5aのため、ビーカーにアセナピンおよびアクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-9301を充填した。溶媒酢酸エチルを2回に分けて添加し、次いで、混合物をおよそ200rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た。
【0315】
実施例5bのため、ビーカーにアクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-2287、アクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-4098、アセナピンおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルを充填した。溶媒酢酸エチルを2回に分けて添加し、次いで、混合物をおよそ200rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た。
【0316】
実施例5cのため、ビーカーにポリイソブチレン接着剤Oppanol B10/B100およびアクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-2287を充填した。溶媒酢酸エチルの最初の分量(1.50g)を添加し、次いで、混合物をおよそ100rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た。ジエチレングリコールモノエチルエーテルを添加し、次いで、混合物をおよそ200rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た。アセナピン塩基を添加し、混合物を再びおよそ1000rpmで撹拌し、溶媒酢酸エチルの残りの分量(0.67g)を添加しながら撹拌した。
【0317】
コーティング組成物のコーティング
結果として得られたアセナピン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(シリコン処理されている、100μmの厚さ、これは剥離ライナーとして機能することができる)上にコーティングし、およそ10分間室温でおよび20分間60℃で(実施例5aおよび5b)または90℃で(実施例5c)乾燥させた。該コーティング厚さは、それぞれ99.6g/m(実施例5a)、102.55g/m(実施例5b)、および98.4g/m(実施例5c)のマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着性層構造が提供された。
【0318】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0319】
皮膚浸透率の測定
実施例5a~cに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、7.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。スプリット厚のGoettingenミニブタ皮膚を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.145cmの面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(60%リン酸緩衝液pH5.5、30%ジプロピレングリコールおよび10%アセトニトリルを含有する溶液)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表5.2および図5aに示されている。
【0320】
【表18】
【0321】
アセナピンの利用
72時間でのアセナピンの利用を、72時間での累積浸透量および初期のアセナピン含有量に基づいて算出した。結果は、表5.3および図5bに示されている。
【0322】
【表19】
【0323】
〔実施例6A~C〕
コーティング組成物
実施例6a~cのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表6.1に要約されている。製剤は、表6.1にも示されている通り、重量パーセントに基づいている。
【0324】
【表20】
【0325】
コーティング組成物の調製
ビーカーにアセナピンおよびアクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-2287およびポリシロキサン接着剤Bio-PSAQ7-4301を充填した。溶媒(実施例6aには石油エーテル、ならびに実施例6bおよび6cには酢酸エチル)を添加し、次いで、混合物を最大1500rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た。
【0326】
コーティング組成物のコーティング
結果として得られたアセナピン含有コーティング組成物を、ポリエステルフィルム(フルオロポリマーコーティングされている、75μmの厚さ、これは剥離ライナーとして機能することができる)上にコーティングし、およそ10分間室温でおよび20分間90℃で乾燥させた。該コーティング厚さは、それぞれ93.7g/m(実施例6a)、130.2g/m(実施例6b)、および105.3g/m(実施例6c)のマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着性層構造が提供された。
【0327】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0328】
皮膚浸透率の測定
実施例6a~4cに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、7.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。スプリット厚のGoettingenミニブタ皮膚(雌性)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.145cmの面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表6.2および図6aに示されている。
【0329】
【表21】
【0330】
アセナピンの利用
72時間でのアセナピンの利用を、72時間での累積浸透量および初期のアセナピン含有量に基づいて算出した。結果は、表6.3および図6bに示されている。
【0331】
【表22】
【0332】
〔実施例7A~C〕
コーティング組成物
実施例7a~cのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表7.1に要約されている。製剤は、表7.1にも示されている通り、重量パーセントに基づいている。
【0333】
【表23】
【0334】
コーティング組成物の調製
実施例7aのため、ビーカーにアセナピン塩基を充填し、アクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-2516を添加し、次いで、混合物をおよそ250rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た。溶媒酢酸エチルを添加し、混合物を再び最大400rpmで撹拌した。
【0335】
実施例7bのため、ビーカーにアセナピン塩基および溶媒(酢酸エチル)を充填し、ミリスチン酸イソプロピルを添加した。アクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-2287を添加し、次いで、混合物をおよそ400rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た。
【0336】
実施例7cの第1および第2の層のため、ビーカーにアセナピン塩基および溶媒(酢酸エチル)を充填し、アクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-2287またはポリシロキサン接着剤をそれぞれ添加し、次いで、混合物をおよそ400rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た。
【0337】
実施例7aおよび7bのコーティング組成物のコーティング
結果として得られたアセナピン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(シリコン処理されている、100μmの厚さ、これは剥離ライナーとして機能することができる)上にコーティングし、およそ10分間室温でおよび20分間60℃で(実施例7b)または90℃で(実施例7a)乾燥させた。該コーティング厚さは、それぞれ94.15g/m(実施例7a)および99.85g/m(実施例7b)のマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着性層構造が提供された。
【0338】
実施例7cのコーティング組成物のコーティング
実施例7cのため、結果として得られたアセナピン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(層1について、シリコン処理されている、100μmの厚さ、または層2について、フルオロポリマーコーティングされている、75μmの厚さ、これは剥離ライナーとして機能することができる)上にコーティングし、およそ10分間室温でおよび20分間60℃で(層1)または90℃で(層2)乾燥させた。二重層自己接着性層構造を次いで、実施例1aのために記載されている通りに調製し、層1は皮膚に接触する層であると意図された(即ち、層2の乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(23μmの厚さ)を積層し、層1を非修飾で使用した)。
【0339】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0340】
皮膚浸透率の測定
実施例7a~cに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、7.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。スプリット厚のGoettingenミニブタ皮膚(雌性)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.156cmの面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(60%リン酸緩衝液pH5.5、30%ジプロピレングリコールおよび10%アセトニトリルを含有する溶液)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表7.2および図7aに示されている。
【0341】
【表24】
【0342】
アセナピンの利用
72時間でのアセナピンの利用を、72時間での累積浸透量および初期のアセナピン含有量に基づいて算出した。結果は、表7.3および図7bに示されている。
【0343】
【表25】
【0344】
〔実施例8A~C〕
コーティング組成物
実施例8a~cのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、以下の表8.1に要約されている。製剤は、表8.1にも示されている通り、重量パーセントに基づいている。
【0345】
【表26】
【0346】
コーティング組成物の調製
実施例8aおよび8bのため、ビーカーにアセナピン塩基および溶媒酢酸エチルを充填した。アクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-2516を添加し、次いで、混合物を最大500rpmで(実施例8a)またはおよそ300rpmで(実施例8b)撹拌したのち、均質な混合物を得た。
【0347】
実施例8cのため、ビーカーにアセナピン塩基を充填した。アクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-2516を添加し、次いで、混合物をおよそ300rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た。ポリビニルピロリドンおよび溶媒エタノールを連続して添加しながら、それぞれおよそ300rpmおよびおよそ500rpmで撹拌した。
【0348】
実施例8aおよび8cのコーティング組成物のコーティング
結果として得られたアセナピン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(シリコン処理されている、100μmの厚さ、これは剥離ライナーとして機能することができる)上にコーティングし、およそ15分間室温でおよび25分間75℃で乾燥させた。該コーティング厚さは、それぞれ134.8g/m(実施例8a)および134.9g/m(実施例8c)のマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着性層構造が提供された。
【0349】
実施例8bのコーティング組成物のコーティング
結果として得られたアセナピン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(シリコン処理されている、100μmの厚さ、これは剥離ライナーとして機能することができる)上にコーティングし、およそ15分間室温でおよび25分間75℃で、ならびに追加として25分間75℃で乾燥させた。二重層自己接着性層構造を次いで実施例1aのために記載されている通りに調製した。これは、バッキング層および剥離ライナーを有する168.5g/mのマトリックス層の面積重量を有するアセナピン含有自己接着性層構造をもたらした。
【0350】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0351】
皮膚浸透率の測定
実施例8a~cに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、7.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。美容外科手術からのスプリット厚のヒト皮膚(女性腹部、出生日1954年)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.148cmの面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は表8.2ならびに図8aおよび8bに示されている。
【0352】
【表27】
【0353】
アセナピンの利用
72時間でのアセナピンの利用を、72時間での累積浸透量および初期のアセナピン含有量に基づいて算出した。結果は表8.3および図8cに示されている。
【0354】
【表28】
【0355】
〔実施例9A、9B〕
コーティング組成物
実施例9aおよび9bのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表9.1に要約されている。製剤は、表9.1にも示されている通り、重量パーセントに基づいている。
【0356】
【表29】
【0357】
コーティング組成物の調製
ビーカーに、適用可能ならば、アセナピン塩基およびパルミチン酸アスコルビル(実施例9b)を充填し、アクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-2516を添加した。次いで、混合物をおよそ250rpm(実施例9a)または最大1000rpm(実施例9b)で撹拌したのち、均質な混合物を得た。
【0358】
コーティング組成物のコーティング
実施例9aのため、結果として得られたアセナピン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(シリコン処理されている、100μmの厚さ、これは剥離ライナーとして機能することができる)上にコーティングし、およそ10分間室温でおよび15分間70℃で乾燥させた。実施例9bのため、結果として得られたアセナピン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(シリコン処理されている、75μmの厚さ、これは剥離ライナーとして機能することができる)上にコーティングし、およそ15分間室温でおよび25分間70℃で乾燥させた。該コーティング厚さは、それぞれ85.8g/m(実施例9a)および149.0g/m(実施例9b)のマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着性層構造が提供された。
【0359】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0360】
皮膚浸透率の測定
実施例9aおよび9bに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、7.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。美容外科手術からのスプリット厚のヒト皮膚(女性腹部、出生日1981年)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.149cmの面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表9.2および図9aに示されている。
【0361】
【表30】
【0362】
アセナピンの利用
72時間でのアセナピンの利用を、72時間での累積浸透量および初期のアセナピン含有量に基づいて算出した。結果は、表9.3および図9bに示されている。
【0363】
【表31】
【0364】
〔実施例10〕
コーティング組成物
アセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表10.1に要約されている。製剤は、表10.1にも示されている通り、重量パーセントに基づいている。
【0365】
【表32】
【0366】
コーティング組成物の調製
ビーカーにアセナピン塩基およびα-トコフェロールを充填し、アクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-2516を添加した。次いで、混合物を最大500rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た。
【0367】
コーティング組成物のコーティング
結果として得られたアセナピン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(シリコン処理されている、75μmの厚さ、これは剥離ライナーとして機能することができる)上にコーティングし、およそ15分間室温でおよび25分間70℃で乾燥させた。該コーティング厚さは、148.35g/mのマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着性層構造が提供された。
【0368】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0369】
皮膚浸透率の測定
実施例10に従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、10.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。美容外科手術からのスプリット厚のヒト皮膚(男性腹部、出生日1955年)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.154cmの面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表10.2および図10aに示されている。
【0370】
【表33】
【0371】
アセナピンの利用
72時間でのアセナピンの利用を、72時間での累積浸透量および初期のアセナピン含有量に基づいて算出した。結果は、表10.3および図10bに示されている。
【0372】
【表34】
【0373】
〔実施例11〕
コーティング組成物
実施例11a~dのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表11.1に要約されている。製剤は、表11.1にも示されている通り、重量パーセントに基づいている。
【0374】
【表35】
【0375】
コーティング組成物の調製
実施例11a~11cのため、ビーカーにアセナピン塩基および溶媒(酢酸エチル)を充填し、適用可能ならば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(実施例11c)を添加した。アクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-2516(実施例11a)またはDuro-Tak(商標)387-2287(実施例11bおよび11c)を添加し、次いで、混合物をおよそ500rpm(実施例11aおよび11b)またはおよそ700rpm(実施例11c)で撹拌したのち、均質な混合物を得た。
【0376】
実施例11dのため、ビーカーにアセナピン塩基および溶媒(酢酸エチル)を充填した。アクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-2516を添加し、次いで、混合物をおよそ500rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た。塩基性ブチル化メタクリレートコポリマーEudragit E100を次いで添加しながら、およそ500rpmで撹拌した。
【0377】
コーティング組成物のコーティング
結果として得られたアセナピン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(シリコン処理されている、100μmの厚さ、これは剥離ライナーとして機能することができる)上にコーティングし、およそ15分間室温でおよび25分間60℃(実施例11b~11d)または90℃(実施例11a)で乾燥させた。該コーティング厚さは、それぞれ146.0g/m(実施例11a)、135.7g/m(実施例11b)、137.3g/m(実施例11c)、および140.3g/m(実施例11d)のマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着性層構造が提供された。
【0378】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0379】
Goettingenミニブタを使用するインビボ研究
実施例11a~11dに従って調製されたTTSのインビボ放出および対応する皮膚浸透率を、Goettingenミニブタ(雌性、約6カ月、単純なランダムサンプル方法によってランダム化された)を使用するインビボ実験によって決定した。10cmの面積を有するダイカットをTTSから抜き出し、1つのTTS製剤について1匹のGoettingenミニブタを使用した。ミニブタ当たり、3種の薬物含有TTSおよび1つのプラセボTTS(各10cm)を使用した。ミニブタ(3つの活性物および1つのプラセボの)パッチ当たりの全ての4つのパッチの合計装着時間は、84時間だった。
【0380】
研究中、ミニブタを22±3℃で、40±15%の相対湿度で、6amから6pmに照明し、動物当たり約140~200gのカロリー低減された育種食物ssniffを1日2回用い、および無制限に水を用いて保持した。
【0381】
TTS(3本物および1プラセボ、各10cm)の上記単一用量適用に続き、3mlの血液サンプルを0時間、4時間、8時間、12時間、24時間、32時間、48時間、56時間、72時間、84時間および96時間に採取し、血液サンプルを2000×gで10分遠心分離し、血中血漿を得た。アセナピン血中血漿濃度をMS/MS検出とともにLC方法によって決定した。AUC値を血中血漿濃度から算出した。TTSの除去後、皮膚状態を肉眼的に決定し、Draizeスコアを下記のスコアスキームに基づいて得た。表皮および真皮の組織病理学的検査は、より深い組織層の刺激を示す形態学的または病理学的な変換を明らかにしなかった。組織検査結果は、角質層の病変または除去も示さなかった。アセナピンの残留量を定量的HPLCによって除去TTSにおいて決定し(上記を参照されたい)、アセナピンの経皮送達量をTTSに含まれるアセナピンの初期量に対する差異として算出した。結果は、表11.2、11.3および図11に示されている。
【0382】
【表36】
【0383】
【表37】
【0384】
〔実施例12A、12B〕
コーティング組成物
実施例12aおよび12bのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表12.1に要約されている。製剤は、表12.1にも示されている通り、重量パーセントに基づいている。
【0385】
【表38】
【0386】
コーティング組成物の調製
実施例12aおよび12bのため、ステンレス鋼容器にα-トコフェロール、アセナピンおよびエタノールを充填した。アクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-2516を添加し、混合物を次いで撹拌した(約20分)のち、清澄な溶液を得た。ポリビニルピロリドンをゆっくり添加しながら撹拌し、撹拌下で溶解させたのち、清澄な溶液を得た。
【0387】
実施例12aおよび12bのコーティング組成物のコーティング
結果として得られたアセナピン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(片側がシリコン処理されている、75μmの厚さ、これは剥離ライナーとして機能することができる)上にコーティングし、およそ15分間80℃で乾燥させた。該コーティング厚さは、それぞれ148.6g/m(実施例12a)および149.6g/m(実施例12b)の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着性層構造が提供された。
【0388】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0389】
皮膚浸透率の測定
実施例12aおよび12bに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、7.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。美容外科手術からのスプリット厚のヒト皮膚(女性腹部、出生日1986年)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.154cmの面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表12.2および図12aに示されている。
【0390】
【表39】
【0391】
アセナピンの利用
72時間でのアセナピンの利用を、72時間での累積浸透量および初期のアセナピン含有量に基づいて算出した。結果は、表12.3および図12bに示されている。
【0392】
【表40】
【0393】
〔実施例13A、13B〕
コーティング組成物
実施例13aおよび13bのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表13.1に要約されている。製剤は、表13.1にも示されている通り、重量パーセントに基づいている。
【0394】
【表41】
【0395】
コーティング組成物の調製
実施例13aおよび13bのため、ステンレス鋼容器にα-トコフェロールを充填した。アクリル系感圧接着剤Duro-Tak(商標)387-2516を添加し、混合物を次いで撹拌したのち、清澄な溶液を得た。ポリビニルピロリドンをゆっくり添加しながら撹拌し、撹拌下で溶解させたのち、清澄な溶液を得た。アセナピンをエタノール中に懸濁させ、ステンレス鋼容器に移した。アセナピンの添加後、混合物を撹拌したのち、清澄なわずかに黄色の溶液を得た。
【0396】
実施例13aおよび13bのコーティング組成物のコーティング
結果として得られたアセナピン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(片側がシリコン処理されている、75μmの厚さ、これは剥離ライナーとして機能することができる)上にコーティングし、およそ15分間80℃で乾燥させた。該コーティング厚さは、標識要件に従って約140g/mの面積重量を与えた(後文で、標識値が参照される場合、実際の値は、標識値の±7.5%の許容誤差内であると理解される)。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着性層構造が提供された。残留の溶媒量は、ICHガイドラインQ3C(R3)の要件、即ちメタノール≦3,000ppm、エタノール≦5,000ppm、酢酸エチル≦5,000ppmおよびn-ヘプタン≦5,000ppmを満たした。
【0397】
TTSの調製
10cm(実施例13a)、同様に15cm(実施例13b)の個々のシステム(TTS)を次いで、アセナピン含有自己接着性層構造から抜き出した。
【0398】
〔実施例14〕
インビボ臨床研究
舌下投与と比較して、本発明のTTS(実施例13aおよび13b)の経皮適用後のアセナピンの相対的生物学的利用能を調査するために、インビボ臨床試験を行った。該研究は、ヘルシンキ宣言をその起源とする倫理原理に従って行った。
【0399】
トライアル設計
3つの処置、3つの処置期間、16人の健康な男性および女性対象における固定処置順序を用いて、実施例13aおよび13bにおいて調製されたTTSの単一用量経皮適用後の血漿におけるアセナピンの相対的生物学的利用能を、現在では市場に出ている舌下錠(Sycrest(登録商標)、5mg)と比較する単一施設の第I相非盲検設計において、トライアルを行った。
【0400】
各対象について、トライアルは、以下からなっていた:
・インフォームドコンセントが得られたとともに対象の適格性が判定された外来のスクリーニング期間。スクリーニングの結果に依存して、対象をトライアルに含めた。
・3つの逐次処置期間(各々が数日の長さ)からなる処置および観察期間。
・最後の処置の終了後の外来の追跡調査訪問。
【0401】
3つの逐次の処置期間に関して、対象は、5mgアセナピンb.i.d.(=1日2回)(参照)の舌下錠を期間1の初日に、実施例13aにおいて調製されたTTSの単回用量(各々10cmの3TTS)を期間2中に、および実施例13bにおいて調製されたTTSの単回用量(15cmの1TTS)を期間3中に受けた。
【0402】
トライアル集団の選択
全ての包含基準を満たすとともに除外基準のいずれも満たさない対象のみを処置相に含めた。基準をスクリーニングで判定し、再チェックを期間1の1日目に行った。
【0403】
包含基準
対象は、処置期間における参加に適格であるための以下の基準の全てを満たしていた。
1.研究中の指示を理解し、従うことができる対象。
2.署名されたインフォームドコンセント。
3.白人。
4.年齢≧18歳および≦55歳。
5.非喫煙者。
6.医療および外科手術的病歴、理学的検査、12誘導心電図(ECG)、バイタルサイン、および臨床実験室試験によって決定される場合の全体的に良好な身体的健康。
7.18.0kg/mから29.4kg/m内の肥満度指数(BMI)について認容値による正常範囲内の体重。
8.仰臥位での安静の5分後に測定された正常血圧(収縮期血圧(SBP)≧90mmHg≦139mmHg;拡張期血圧≧55mmHg≦89mmHg)。
9.仰臥位での安静の5分後に測定された≧50b/minおよび≦99b/minの脈拍数。
10.臨床的に有意な異常を有しないECG記録。
11.最初の投与の前に少なくとも7日間の熱性または感染性疾病を有していなかった。
【0404】
除外基準
対象が健康および匹敵する状態であることを確実にするため、以下の除外基準を適用した。
生活様式制限
1.キサンチン消費の過剰を実証している(1日当たり5杯超のコーヒーまたは同等のもの)。
2.中程度を超えるアルコール消費(1日当たり定期的に>35gのエタノールまたは1週当たり定期的に>245g)。
3.アルコールまたは薬物乱用の任意の病歴。
4.菜食主義者。
5.陽性の薬物スクリーン。
6.陽性のアルコール呼気試験。
7.最初の投薬の前48時間以内の、キサンチン含有食品または飲料、同様にグレープフルーツジュースまたはダイダイの消費。
8.最初の投薬の前72時間以内の、炭焼食品、ブロッコリーまたはメキャベツの消費。
事前の薬物療法
9.最初の投薬の前4週以内のホルモン避妊を除く任意の薬物療法(自己薬物療法または処方薬物療法)の使用(またはそれぞれの排出半減期の少なくとも10倍、どちらか長いほう)。
医学的および外科手術的病歴
10.急性または慢性の任意の活動性物理的疾患を実証している。
11.薬物過敏症、喘息、じん麻疹または他の重度のアレルギー性素因の任意の病歴、同様に現在の枯草熱。
12.調査剤形の任意の構成成分の過敏症の任意の病歴。
13.慢性胃炎または消化性潰瘍の任意の病歴。
14.慢性または再発性代謝性疾患、腎性疾患、肝疾患、肺疾患、胃腸疾患、神経性疾患(特にてんかん性痙攣の病歴)、内分泌疾患(特に真性糖尿病)、免疫疾患、精神疾患または心血管疾患、ミオパチー、皮膚疾患、および出血傾向の任意の病歴。
15.ギルバート症候群。
16.最初の投薬の前7日以内の任意の胃腸愁訴。
17.TTS適用部位での任意の瘢痕、黒子、刺青、皮膚過敏または過剰な毛髪成長。
18.過去12カ月におけるC-SSRS(コロンビア自殺重症度評価尺度)で2型から5型の任意の自殺念慮(即ち、能動的な自殺思考、方法を持つ能動的な自殺思考、意図はあるが特定の予定がない能動的な自殺思考、または予定および意図がある能動的な自殺思考)。
実験室検査
19.殊にアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)に関して臨床的に関連する(例えば、不明な疾患を示唆し、調査者によって判定されるさらなる臨床評価を必要とする)参照範囲外の実験室値。
20.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体/p24抗原についての陽性試験。
21.陽性のB型肝炎-ウイルス表面抗原(HBsAg)試験。
22.陽性の抗C型肝炎ウイルス抗体(抗HCV)試験。

23.このトライアルに対するインフォームドコンセントに署名する前30日以内の献血。
24.このトライアルに対するインフォームドコンセントに署名する前の、臨床研究30日の処置相への参加、または前臨床試験の追跡調査期間によって遮断される。
25.産児制限の高度に有効な方法を使用しない出産可能な女性。産児制限の高度に有効な方法は、一貫しておよび正しく使用される(例えば、子宮内装置およびコンドームの組合せ)場合に低い失敗率、即ち1年当たり1%未満をもたらすものとして定義されている。女性対象は、子宮摘出もしくは両側卵管結紮によって外科手術的に不妊にされていない限り、または閉経後少なくとも2年間、出産可能であると考えられる。
26.妊娠中または授乳中の女性。
【0405】
研究中の処置
研究中に投与される処置は、下記の表14.1に要約されており、それらの特徴は、下記に詳述されている。
【0406】
【表42】
【0407】
期間1に投与された参照製剤は、活性成分マレイン酸アセナピンを含有しており、N.V.Organon、Oss、Netherlandsによって商品名Sycrest(登録商標)5mg Sublingualtablettenの下で市場に出ている。ファーマシー・セントラル・ナンバー(PZN)は07728207である。
【0408】
舌下錠の投与(参照)
舌下錠を初日のみ朝夕に投与し、製品特性の摘要に与えられている投与指示に従って2つの投与の間は12時間であった。対象に、舌下錠を溶解させることを可能にするとともに舌下錠を咀嚼または嚥下しないように、少なくとも10分間舌の下に錠剤を置くように指示した。
【0409】
TTSの適用
TTSを上胸部または上背部上の無傷な皮膚に適用した。必要ならば、適用部域上の毛を適用前に剪刀で刈った(剃らなかった)。対象に、皮膚がTTS適用の前に洗剤、油および脂肪のないことを確認するように指示した。TTSを所望の位置に置き、少なくとも30秒間、手指または手掌で押すことで、皮膚表面にTTSを固定化した。必要の場合において、およびさらなる剥脱を回避するため、TTSを活性薬剤のない接着剤オーバーレイで追加的に固定化した。各側が接着剤オーバーレイによって同等に覆われるようなやり方で、任意選択の接着剤オーバーレイをTTSの上部に置いた。その後、TTSを固定化するため、それを再び手指または手掌で少なくとも30秒間押した。TTSを3.5日後(84時間、期間2および期間3)に除去した。除去後、使用されたTTS(適用可能ならば、接着剤オーバーレイを含める)を冷蔵庫において窒素下で取り扱うとともに貯蔵したのち、それらをさらに分析した。
【0410】
各対象について用量のタイミング
期間1の初日、朝食を出さず;対象を朝投与の前に終夜絶食させた。標準化昼食を朝投与の4時間後に、および夕食をおよそ10時間後に与えた。朝投与および夕投与の1時間前から1時間後まで、流体摂取を許可しなかった。食品はTTSと相互作用しないので、対象は、期間2および3中において通例時に在宅日中に標準化の食事および飲料を受けた。在宅日中、対象に、研究ユニットによって提供される食品または飲料を消費することだけを許可した。
【0411】
制限および注意
トライアル中、対象に、体温を増加させ得る全ての活動、即ち、身体的労作、サウナ、熱が多い環境を控えるように指示した。TTSが装着されている時間中、対象に、発汗を増加させる任意の活動などTTSの接着に影響を及ぼし得る任意の活動を行うことを許可しなかった。例えば除外基準に従って、食品および飲料摂取に対するさらなる制限を課した。
【0412】
サンプル回収および血中血漿濃度の決定
血中血漿におけるアセナピンおよびそれの代謝物の濃度の決定のための血液サンプルを、投与後の特定された時点で回収した。
【0413】
検証された内部標準化液体クロマトグラフィータンデム質量分光分析方法を、アセナピン、N-脱メチル-アセナピンおよびアセナピン-グルクロニドの血中血漿濃度の決定のために使用し、これは、GLP(優良実験室規範)認定された実験室によって実施した。アセナピン-グルクロニドの血漿濃度を、結果の妥当性またはトライアル結果の解釈に影響を有さない8人の対象についてのみ決定した。定量化の下限(LLOQ)は、血漿におけるアセナピンおよびN-脱メチル-アセナピンについて0.1ng/ml、およびアセナピン-グルクロニドについて0.25ng/mlであった。
【0414】
有害事象(AE)
有害事象は、非誘導質問を使用する調査者によって確定され、対象によって医療従事者に自発的に報告された場合または剤形の投与後の全ての研究日に任意の測定中に観察された場合に認められ、研究医師によって格付けされた。
【0415】
さらに、自殺リスクをモニタリングした。トライアル中の全ての肯定的報告を有害事象として文書化した。1~3型の自殺念慮を非重篤なAEとして文書化した。4型および5型の自殺念慮ならびにトライアル中の全ての自殺行動を重篤な有害事象(SAE)として文書化し、報告した。
【0416】
AEは、それが発生する前の処置および時点を参照とし、即ち、最初の投薬の前に発生するいかなるAEも、ベースライン愁訴/処置前AEとしてカウントし、下記分析に含まなかった。
【0417】
結果および分析
全ての16人の対象がトライアルの期間1(参照)を完了した。期間1(参照)の後および期間2(実施例13a)を開始する前、1人の対象が脱落した。別の対象は期間3(実施例13b)中に脱落したが、有害事象分析について判定された。安全性実験室パラメータ、バイタルサイン、およびECGパラメータは、医療関連の変化を示さなかった。研究の結果は、表14.2から14.9および図13aから13eに示されている。
【0418】
アセナピンの算術平均血中血漿濃度
期間1の間の全ての16人の対象に基づくとともに期間2および3を完了した15人および14人の対象に基づくアセナピン血中血漿濃度の算術平均値は、それぞれ、標準偏差値ととともに、表14.2、同様に図13aおよび13bに表されている。AUC値を血中血漿濃度から算出した。tlagを、測定可能な(即ち非ゼロ)アセナピン血中血漿濃度を得た時における最初の点の平均算術値として近似的に算出し、結果は表14.2にも示されている。
【0419】
【表43】
【0420】
【表44】
【0421】
アセナピンおよび代謝物の薬物動態学的分析
アセナピンおよび代謝物の血漿濃度時間データに基づき、非区画手順を使用して血漿薬物動態学的パラメータを算出し、結果は、表14.3から14.5に表されており、ここで、Cavは、関連の投薬間隔中(期間1/参照について12時間、ならびに期間2および3/実施例13aおよび13bについて84時間)に観察された平均濃度を表し、tlagは、投与後の最初の定量化可能濃度の時間を表す。参照製剤のCavおよびtlagについて、単に、最初の投薬間隔(0~12時間)を考えた。さらに、代謝物アセナピングルクロニドおよびN-脱メチル-アセナピンの血中血漿濃度プロファイルを相乗平均値として図示し、図13c、13dおよび13eにおけるエラーバーとして幾何学的標準偏差で掛けたおよび割った相乗平均を示している。
【0422】
ウィンドウズのためのSAS SystemのSASソフトウェア、バージョン9.3を使用して、生物測定評価を実施した。Phoenix WinNonlinバージョン6.4を使用して、薬物動態算出を実施した。薬物動態学的算出は、少なくとも2つの処置期間を完了した全ての対象、即ち、参照についてならびにアセナピンおよびN-脱メチル-アセナピンのための実施例13aまたは13bの少なくとも1つについての評価可能なデータを有する全ての対象に基づいた。したがって、対象数は、期間1および2(参照および実施例13a)についてn=15、および期間3(実施例13b)についてn=14であった。アセナピン-グルクロニドについて、対象数は、全ての期間についてn=8であった。LLOQより低い値を、記述統計のためのいずれの算出からも排除した。個々のデータ点の少なくとも1/2がLLOQ以上と測定されたならば、濃度の記述統計を算出した。
【0423】
薬物動態学的特徴の算出は、小数2桁に四捨五入された実際の血液サンプル採取時間[時](対応する投与時間に相対して-予定の血液サンプル採取時間からの許容偏差は3,5%内であった)およびゼロに設定されたマイナスの用量前時間に基づいた。
【0424】
時間ゼロと最初の定量化可能濃度との間の時間差における時点で、LLOQより低い濃度をゼロとして算出した。2つの定量化可能濃度間のLLOQより低い濃度をLLOQの半分で算出した。LLOQより低い後続濃度は、算出に使用しなかった。
【0425】
薬物動態学的パラメータの記述統計を、期間1、2および3の各々について別々に算出した。tmaxについて、頻度表をtmaxの公称時間に基づく処置によって描いた。
【0426】
参照ならびに実施例13aおよび13bの各々について、アセナピンおよび代謝物の薬物動態学的パラメータを、変動(ANOVA)モデルの探索的分析の手段によって比較した。処置間の差異または比など点推定量の算出のために使用される算術および相乗平均を、それぞれ最小二乗平均(LSMEANS)または指数変換LSMEANSとしてANOVAから誘導した。90%信頼区間の包含は、I型誤差についてα=0.05の値を暗示する。α調整を行わなかった。
【0427】
基本的な薬物動態学的関係に基づき、乗法的モデルを全ての濃度関連のパラメータに適用した。これは、これらの特徴が正規分布されたのよりもむしろ対数正規であることを暗示した。ANOVAは、そのため、対数転換後に行った。例証的な結果は、表14.6および7に示されている。
【0428】
アセナピンの血漿濃度プロファイルは、治療濃度が、主要な増減なくTTSの全装着期間にわたって維持されることを示した。舌下投与と比較して、最大濃度は、より低く、経皮適用後もっと後に達せられた。主要な代謝物、N-脱メチル-アセナピンおよびアセナピン-グルクロニドの形成は、舌下投与と比較して顕著に低減された。
【0429】
【表45】
【0430】
【表46】
【0431】
【表47】
【0432】
【表48】
【0433】
【表49】
【0434】
【表50】
【0435】
有害事象(AE)
表14.8および14.9は、異なるカテゴリーで報告された有害事象の数を反映している。
【0436】
舌下錠(参照)についての処置持続期間は、3.5日のTTS適用(実施例13aおよび13b)と比較して12時間(即ち、2回の投与)だけであったが、疲労および眩暈などアセナピン処置の共通の全身性副作用は、TTS適用後にあまり頻繁に観察されず、疲労の場合においては軽度の強度だけであった。舌下投与処置(参照)との比較において、疲労の頻度および強度は、経皮投与後のほうが著しく低く、眩暈はより低い頻度で発生した。
【0437】
参照処置の投与に続いて観察された通りの知覚鈍麻および口渇などの口腔不快症状は、TTS適用(実施例13aおよび13b)下で観察されなかった。
【0438】
適用部位での局所耐性は良好であり、介入なく鎮静した軽度の反応だけが時折観察された(5つのAE)。
【0439】
強度が中程度であった、期間3中に報告された月経困難症は、投与された実施例13bのTTSと関係がなかった。
【0440】
SAEは報告されておらず、どの対象も自殺念慮を有していなかった。
【0441】
全体的に、アセナピンの経皮適用は安全であり、忍容性が良好であった。いずれかのTTS(期間2および3)の投与後に観察されたAEは、大部分が軽度および一過性であり、介入なく消散され、AEの頻度は、参照期間1と比較して、より低くかった。
【0442】
【表51】
【0443】
【表52】
【0444】
本発明は、特に、以下のさらなる項目に関する:
1.治療有効量のアセナピンを含有する自己接着性層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着性層構造が:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.アセナピン;および
2.アクリルポリマーから選択されるポリマー;
を含み、
経皮治療システムが、5cmから100cmの放出面積を有する、
経皮治療システム。
2.少なくとも0.70mg/cm、好ましくは少なくとも0.80mg/cm、より好ましくは少なくとも0.82mg/cm、最も好ましくは少なくとも0.83mg/cmのアセナピンを含有する、
項目1に従った経皮治療システム。
3.0.70mg/cmから4.0mg/cm、好ましくは0.80mg/cmから3.0mg/cm、より好ましくは0.82mg/cmから2.0mg/cm、最も好ましくは0.83mg/cmから1.7mg/cmのアセナピンを含有する、
項目1または2に従った経皮治療システム。
4.マトリックス層の面積重量が、90g/mから230g/m、好ましくは110g/mから210g/m、最も好ましくは120g/mから170g/mを範囲とする、
項目1から3のいずれか1つに従った経皮治療システム。
5.アセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、
少なくとも48時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、
経皮治療システム。
6.少なくとも72時間、好ましくは84時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、
項目5に従った経皮治療システム。
7.少なくとも48時間の投与にわたって1.0mg/日から15mg/日の、好ましくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
少なくとも72時間の投与にわたって1.0mg/日から15mg/日の、好ましくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
84時間の投与にわたって1.0mg/日から15mg/日の、好ましくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、
項目5または6に従った経皮治療システム。
8.アセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、
20(ng/ml)hから300(ng/ml)h、または300(ng/ml)h超から450(ng/ml)hのAUC0-48を経皮送達によって提供する、
経皮治療システム。
9.30(ng/ml)hから200(ng/ml)hのAUC0-48を経皮送達によって提供する、
項目8に従った経皮治療システム。
10.アセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、
30(ng/ml)hから400(ng/ml)h、または400(ng/ml)h超から600(ng/ml)hのAUC0-72を経皮送達によって提供する、
経皮治療システム。
11.50(ng/ml)hから300(ng/ml)hのAUC0-72を経皮送達によって提供する、
項目10に従った経皮治療システム。
12.アセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、
35(ng/ml)hから450(ng/ml)h、または450(ng/ml)h超から700(ng/ml)hのAUC0-84を経皮送達によって提供する、
経皮治療システム。
13.60(ng/ml)hから350(ng/ml)hのAUC0-84を経皮送達によって提供する、
項目12に従った経皮治療システム。
14.アセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、
2.0未満の、C48に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、
経皮治療システム。
15.1.5未満の、好ましくは1.3未満の、C48に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、
項目14に従った経皮治療システム。
16.アセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、
3.0未満の、C72に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、
経皮治療システム。
17.2.5未満の、好ましくは2.0未満の、C72に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、
項目16に従った経皮治療システム。
18.アセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、
3.5未満の、C84に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、
経皮治療システム。
19.3.0未満の、好ましくは2.5未満の、より好ましくは2.0未満の、C84に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、
項目18に従った経皮治療システム。
20.治療有効量のアセナピンを含有する自己接着性層構造を含み、前記自己接着性層構造が:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.アセナピン;および
2.ポリマー
を含む、項目5から19のいずれか1つに従った経皮治療システム。
21.アセナピン含有マトリックス層が、マトリックス層組成物の10%の量でパルミチン酸イソプロピルを含まず、好ましくは、マトリックス層組成物の5~15%の量でパルミチン酸イソプロピルを含まず、最も好ましくはパルミチン酸イソプロピルを含まない、
項目1から4および20のいずれか1つに従った経皮治療システム。
22.治療有効量のアセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着性層構造が:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.遊離塩基の形態におけるアセナピン;および
2.ポリマー;
を含み、
マトリックス層の面積重量が、少なくとも90g/mであり、
アセナピン含有マトリックス層が、パルミチン酸イソプロピルを含まない、
経皮治療システム。
23.少なくとも0.70mg/cm、好ましくは少なくとも0.80mg/cm、より好ましくは少なくとも0.82mg/cm、最も好ましくは少なくとも0.83mg/cmのアセナピンを含有する、
項目5から22のいずれか1つに従った経皮治療システム。
24.0.70mg/cmから4.0mg/cm、好ましくは0.80mg/cmから3.0mg/cm、より好ましくは0.82mg/cmから2.0mg/cm、最も好ましくは0.83mg/cmから1.7mg/cmのアセナピンを含有する、
項目5から23のいずれか1つに従った経皮治療システム。
25.マトリックス層の面積重量が、90g/mから230g/m、好ましくは110g/mから210g/m、最も好ましくは120g/mから170g/mを範囲とする、
項目5から24のいずれか1つに従った経皮治療システム。
26.マトリックス層組成物が、マトリックス層組成物の50%超の量でポリシロキサンおよびポリイソブチレンのいずれも含まない、
項目1から4および20から25のいずれか1つに従った経皮治療システム。
27.ポリマーが、ポリシロキサン、ポリイソブチレン、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーおよびアクリルポリマーから選択される、
項目20から26のいずれか1つに従った経皮治療システム。
28.ポリマーが、アクリルポリマーから選択される、
項目20から26のいずれか1つに従った経皮治療システム。
29.5cmから100cmの放出面積を有する、
項目5から28のいずれか1つに従った経皮治療システム。
30.アセナピン含有マトリックス層が、マトリックス層組成物の5%の量でミリスチン酸イソプロピルを含まず、好ましくはマトリックス層組成物の1~10%の量でミリスチン酸イソプロピルを含まず、最も好ましくはミリスチン酸イソプロピルを含まない、
項目1から4および20から29のいずれか1つに従った経皮治療システム。
31.アセナピン含有マトリックス層が、マトリックス層組成物の10~20%の量でエチルセルロースを含まず、好ましくはエチルセルロースを含まない、
項目1から4および20から30のいずれか1つに従った経皮治療システム。
32.アセナピン含有マトリックス層が、塩化水素を含まない、
項目1から4および20から31のいずれか1つに従った経皮治療システム。
33.アセナピン含有マトリックス層が、トルエンを含まない、
項目1から4および20から32のいずれか1つに従った経皮治療システム。
34.アセナピン含有マトリックス層が、コーティングされたコーティング組成物を乾燥させることによって得られ、ここで、塩酸はコーティング組成物に含まれていない、
項目1から4および20から33のいずれか1つに従った経皮治療システム。
35.アセナピン含有マトリックス層が、トルエンを含まないコーティングされたコーティング組成物を乾燥させることによって得られる、
項目1から4および20から34のいずれか1つに従った経皮治療システム。
36.マトリックス層組成物におけるアセナピンが、遊離塩基の形態で含まれる、
項目1から4および20から35のいずれか1つに従った経皮治療システム。
37.マトリックス層組成物が、遊離塩基の形態でアセナピンを組み込むことによって得られる、
項目1から4および20から36のいずれか1つに従った経皮治療システム。
38.マトリックス層におけるアセナピンの少なくとも90mol%、好ましくは少なくとも95mol%、より好ましくは少なくとも98mol%、最も好ましくは少なくとも99mol%が、遊離塩基の形態で存在する、
項目1から4および20から37のいずれか1つに従った経皮治療システム。
39.マトリックス層におけるアセナピンが、完全に溶解される、
項目1から4および20から38のいずれか1つに従った経皮治療システム。
40.マトリックス層組成物が、好ましくはアセナピン遊離塩基で構成されるアセナピン粒子含有する、
項目1から4および20から39のいずれか1つに従った経皮治療システム。
41.マトリックス層組成物におけるアセナピンの量が、マトリックス層組成物の2%から20%、好ましくは3%から15%、より好ましくは4%から12%を範囲とする、
項目1から4および20から40のいずれか1つに従った経皮治療システム。
42.アセナピンが、定量的HPLCによって決定される場合の少なくとも95%の、好ましくは少なくとも98%の、より好ましくは少なくとも99%の純度を有する、
項目1から41のいずれか1つに従った経皮治療システム。
43.マトリックス層組成物が、圧力感受性接着剤組成物である、
項目1から4および20から42のいずれか1つに従った経皮治療システム。
44.ポリマーが、圧力感受性接着性ポリマーから選択される、
項目1から4および20から43のいずれか1つに従った経皮治療システム。
45.ポリマーが、官能基を含むアクリルポリマーから選択される、
項目1から4および20から44のいずれか1つに従った経皮治療システム。
46.官能基が、ヒドロキシル基、カルボン酸基、中和されたカルボン酸基、およびその混合物から選択される、
項目45に従った経皮治療システム。
47.官能基が、ヒドロキシル基に限定される、
項目46に従った経皮治療システム。
48.ポリマーが、カルボン酸基もしくは中和されたカルボン酸基または両方の基を含まないアクリルポリマーから選択される、
項目1から4および20から47のいずれか1つに従った経皮治療システム。
49.ポリマーが、酸性基を含まないアクリルポリマーから選択される、
項目1から4および20から48のいずれか1つに従った経皮治療システム。
50.ポリマーが、ヒドロキシル基を含むとともにカルボン酸基を含まないアクリルポリマーから選択される、
項目1から4および20から49のいずれか1つに従った経皮治療システム。
51.ポリマーが、酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマーである、
項目50に従った経皮治療システム。
52.ポリマーが、架橋剤によって架橋されている、好ましくはチタン架橋剤によって架橋されている、
項目51に従った経皮治療システム。
53.ポリマーが、架橋剤によって架橋されていない、
項目51に従った経皮治療システム。
54.ポリマーが、ヒドロキシル基およびカルボン酸基を含まないアクリルポリマーから選択される、
項目1から4および20から44のいずれか1つに従った経皮治療システム。
55.ポリマーが、官能基を含まないアクリルポリマーから選択される、
項目54に従った経皮治療システム。
56.ポリマーが、アクリル酸メチル、2-エチルヘキシルアクリレートおよびt-オクチルアクリルアミドに基づくコポリマー、または2-エチルヘキシル-アクリレートおよび酢酸ビニルに基づくコポリマーである、
項目55に従った経皮治療システム。
57.ポリマーの量が、マトリックス層組成物の60%から97%、好ましくは70%から96%、より好ましくは75%から88%または91%から96%を範囲とする、
項目1から4および20から56のいずれか1つに従った経皮治療システム。
58.マトリックス層組成物における総ポリマー含有量が、マトリックス層組成物の75%から97%、好ましくは80%から96%、より好ましくは85%から95%を範囲とする、
項目1から4および20から57のいずれか1つに従った経皮治療システム。
59.5cmから100cm、好ましくは10cmから80cm、より好ましくは10cmから20cm、25cmから35cm、および55cmから65cmの放出面積を有する、
項目1から58のいずれか1つに従った経皮治療システム。
60.経皮治療システムに含有されるアセナピンの量が、5mgから100mg、好ましくは10mgから80mg、最も好ましくは15mgから60mgを範囲とする、
項目1から59のいずれか1つに従った経皮治療システム。
61.5cmから100cmの放出面積を有し、経皮治療システムに含有されるアセナピンの量が5mgから100mgを範囲とする、
項目1から60のいずれか1つに従った経皮治療システム。
62.マトリックス層組成物が、架橋剤、可溶化剤、充填剤、粘着付与剤、可塑剤、安定剤、軟化剤、スキンケア用物質、浸透増強剤、pH調節剤および保存料からなる群から選択されるさらなる賦形剤または添加剤を含む、
項目1から4および20から61のいずれか1つに従った経皮治療システム。
63.粘着付与剤が、ポリビニルピロリドン、トリグリセリド、ジプロピレングリコール、樹脂、樹脂エステル、テルペンおよびその誘導体、エチレン酢酸ビニル接着剤、ジメチルポリシロキサンおよびポリブテン、好ましくはポリビニルピロリドン、より好ましくは可溶性ポリビニルピロリドンから選択される、
項目62に従った経皮治療システム。
64.安定剤が、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸およびそのエステル誘導体、ブチルヒドロキシトルエン、トコフェロールおよびそのエステル誘導体、例えば酢酸トコフェリルおよびリノール酸トコフェリル、同様にトコフェロールおよびパルミチン酸アスコルビルの組合せから、好ましくはトコフェロールおよびそのエステル誘導体ならびにアスコルビン酸およびそのエステル誘導体から選択され、より好ましくは脂肪酸のアスコルビルエステルおよびトコフェロールから選択され、最も好ましくはパルミチン酸アスコルビルもしくはα-トコフェロールまたはその組合せである、
項目62に従った経皮治療システム。
65.浸透増強剤が、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、乳酸ラウリル、ジメチルプロピレン尿素、ならびにプロピレングリコールモノエステルおよび脂肪酸のジエステルの混合物から選択される、
項目62に従った経皮治療システム。
66.マトリックス層組成物が、オレイン酸、トリグリセリド、オレインアルコール、およびその混合物から選択される浸透増強剤を含まない、
項目1から4および20から65のいずれか1つに従った経皮治療システム。
67.マトリックス層組成物が、浸透増強剤を含まない、
項目1から4および20から66のいずれか1つに従った経皮治療システム。
68.マトリックス層組成物が、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートに基づくコポリマーをさらに含む、
項目1から4および20から67のいずれか1つに従った経皮治療システム。
69.少なくとも24時間の投与にわたって、好ましくは少なくとも48時間の投与にわたって、より好ましくは少なくとも72時間の投与にわたって、0.5mg/日から20mg/日の、好ましくは1.0mg/日から15mg/日の、より好ましくは2.0mgから10mg/日の平均放出速度を提供する、
項目1から68のいずれか1つに従った経皮治療システム。
70.1μg/(cmh)から20μg/(cmh)の、好ましくは2μg/(cmh)から15μg/(cmh)の、より好ましくは4μg/(cmh)から12μg/(cmh)の、皮節化されたヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定される場合の48時間目または72時間目のアセナピンの累積皮膚浸透率を提供する、
項目1から69のいずれか1つに従った経皮治療システム。
71.最初の8時間に0μg/(cmh)から10μg/(cmh)、
8時間目から24時間目に2μg/(cmh)から20μg/(cmh)、
24時間目から32時間目に3μg/(cmh)から20μg/(cmh)、
32時間目から48時間目に3μg/(cmh)から20μg/(cmh)、
48時間目から72時間目に2μg/(cmh)から15μg/(cmh)
の、皮節化されたヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定される場合のアセナピンの皮膚浸透率を提供する、
項目1から70のいずれか1つに従った経皮治療システム。
72.48時間の時間期間にわたって0.05mg/cmから1.0mg/cmの、好ましくは0.1mg/cmから0.7mg/cmの、皮節化されたヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定される場合のアセナピンの累積浸透量を提供する、
項目1から71のいずれか1つに従った経皮治療システム。
73.72時間の時間期間にわたって0.1mg/cmから2.0mg/cm、好ましくは0.2mg/cmから1.0mg/cmの、皮節化されたヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定される場合のアセナピンの累積浸透量を提供する、
項目1から72のいずれか1つに従った経皮治療システム。
74.剥離ライナーをさらに含む、
項目1から73のいずれか1つに従った経皮治療システム。
75.接着剤オーバーレイをさらに含むまたは接着剤オーバーレイを含まない、好ましくは接着剤オーバーレイを含まない、
項目1から74のいずれか1つに従った経皮治療システム。
76.バッキング層が、実質的にアセナピン不浸透性である、
項目1から75のいずれか1つに従った経皮治療システム。
77.自己接着性層構造が、追加の皮膚接触層を含まない、
項目1から76のいずれか1つに従った経皮治療システム。
78.自己接着性層構造が、追加の皮膚接触層を含む、
項目1から76のいずれか1つに従った経皮治療システム。
79.自己接着性層構造が、マトリックス層と追加の皮膚接触層との間に位置される膜を含み、ここで膜は、好ましくは速度制御膜である、
項目78に従った経皮治療システム。
80.自己接着性層構造が、バッキング層とマトリックス層との間に位置される追加のリザーバー層、および追加のリザーバー層とマトリックス層との間に位置されるさらなる速度制御膜を含む、
項目1から79のいずれか1つに従った経皮治療システム。
81.マトリックス型TTSである、
項目1から80のいずれか1つに従った経皮治療システム。
82.処置の方法における使用のための、好ましくは精神病を処置する方法における使用のための、より好ましくは統合失調症、双極性障害、心的外傷後ストレス症候群、大うつ病性障害、認知症関連の精神病、激越および躁病から選択される1つまたはそれ以上の状態を処置する方法における使用のための
項目1から81のいずれか1つに従った経皮治療システム。
83.統合失調症および/または双極性障害を処置する方法における使用のための、
項目82に従った経皮治療システム。
84.双極性障害、特に双極性障害の急性躁病または混合エピソードを処置する方法における使用のための、
項目82に従った経皮治療システム。
85.少なくとも24時間もしくは1日、少なくとも48時間もしくは2日、または少なくとも72時間もしくは3日の投薬間隔を用いる処置の方法における使用のための、
項目82から84のいずれか1つに従った経皮治療システム。
86.最大168時間もしくは7日まで、最大120時間もしくは5日まで、または最大96時間もしくは4日までの投薬間隔を用いる処置の方法における使用のための、
項目82から85のいずれか1つに従った経皮治療システム。
87.24時間または1日の投薬間隔を用いる処置の方法における使用のための、
項目85に従った経皮治療システム。
88.48時間または2日の投薬間隔を用いる処置の方法における使用のための、
項目85に従った経皮治療システム。
89.84時間または3.5日の投薬間隔を用いる処置の方法における使用のための、
項目85に従った経皮治療システム。
90.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の低減を提供する、
患者を処置する方法における使用のための、
項目82から89のいずれか1つに従った経皮治療システム。
91.患者が、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患うヒト患者である、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、もしくはその任意の組合せである、または
舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が疲労であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の発生率が、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が眩暈であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して眩暈の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、
患者を処置する方法における使用のための、項目90に従った経皮治療システム。
92.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用を患者において低減する方法における使用のための、
項目1から81のいずれか1つに従った経皮治療システム。
93.患者が、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患うヒト患者である、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、もしくはその任意の組合せである、または
舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が疲労であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の発生率が、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が眩暈であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して眩暈の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、
舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用を患者において低減する方法における使用のための、項目92に従った経皮治療システム。
94.処置の方法、特に精神病を処置する方法、より好ましくは統合失調症、双極性障害、心的外傷後ストレス症候群、大うつ病性障害、認知症関連の精神病、激越および躁病から選択される1つまたはそれ以上の状態を処置する方法であって、
患者の皮膚に項目1から81のいずれか1つに従った経皮治療システムを適用することを含む、
方法。
95.統合失調症および/または双極性障害を処置する方法であって、
患者の皮膚に項目1から81のいずれか1つに従った経皮治療システムを適用することを含む、
方法。
96.双極性障害、特に双極性障害の急性躁病または混合エピソードを処置する方法であって、
患者の皮膚に項目1から81のいずれか1つに従った経皮治療システムを適用することを含む、
方法。
97.患者の皮膚に少なくとも24時間もしくは1日、少なくとも48時間もしくは2日、または少なくとも72時間もしくは3日の間、項目1から81のいずれか1つに従った経皮治療システムを適用することを含む、
項目94から96のいずれか1つに従った処置の方法。
98.患者の皮膚に最大168時間もしくは7日まで、最大120時間もしくは5日まで、または最大96時間もしくは4日までの間、項目1から81のいずれか1つに従った経皮治療システムを適用することを含む、
項目94から96のいずれか1つに従った処置の方法。
99.患者の皮膚に24時間または1日の間、項目1から81のいずれか1つに従った経皮治療システムを適用することを含む、
項目94から96のいずれか1つに従った処置の方法。
100.患者の皮膚に48時間または2日の間、項目1から81のいずれか1つに従った経皮治療システムを適用することを含む、
項目94から96のいずれか1つに従った処置の方法。
101.患者の皮膚に84時間または3.5日の間、項目1から81のいずれか1つに従った経皮治療システムを適用することを含む、
項目94から96のいずれか1つに従った処置の方法。
102.経皮治療システムが、舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の低減を提供する、
項目94から101のいずれか1つに従った処置の方法。
103.患者が、疲労、傾眠、眩暈、またはその任意の組合せを患うヒト患者である、
項目102に従った処置の方法。
104.少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、またはその任意の組合せである、
項目102または103に従った処置の方法。
105.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、および/または舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度が低減される、
項目102から104のいずれか1つに従った処置の方法。
106.少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が疲労であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の発生率が、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が眩暈であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して眩暈の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、
項目105に従った処置の方法。
107.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用を患者において低減する方法であって、項目1から81のいずれか1つに従った経皮治療システムを投与することを含む、方法。
108.患者が、疲労、傾眠、眩暈、またはその任意の組合せを患うヒト患者である、
項目107に従った方法。
109.少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、またはその任意の組合せである、
項目107または108に従った方法。
110.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、および/または舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度が低減される、
項目107から109のいずれか1つに従った方法。
111.少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が疲労であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の発生率が、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%低減される、および/または舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が眩暈であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して眩暈の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、
項目110に従った方法。
112.舌下アセナピン治療で処置されている患者における少なくとも1つのアセナピン関連の副作用を低減する方法であって:
a)舌下アセナピン治療を中断すること;および
b)患者の皮膚に項目1から81のいずれかに従った経皮治療システムを投与すること
を含み、
経皮治療システムが、舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の低減を提供する、
方法。
113.経皮治療システムが、舌下アセナピン治療によって元々提供されるアセナピンの量と同等のアセナピンの量を送達する、項目112の方法。
114.少なくとも48時間または2日の投薬間隔の間、アセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピン。
115.少なくとも72時間または3日の投薬間隔の間、アセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピン。
116.投薬間隔が、最大168時間もしくは7日まで、最大120時間もしくは5日まで、または最大96時間もしくは4日までである、項目114または115に従ったヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピン。
117.投薬間隔が、48時間もしくは2日、または72時間もしくは3日、または84時間もしくは3.5日である、
項目114または115に従ったヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピン。
118.精神病を処置する方法における使用のための、特に、統合失調症、双極性障害、心的外傷後ストレス症候群、大うつ病性障害、認知症関連の精神病、激越および躁病から選択される1つもしくはそれ以上の状態を処置する方法における使用のための、または
統合失調症および/もしくは双極性障害、好ましくは双極性障害、特に双極性障害の急性躁病もしくは混合エピソードを処置する方法における使用のための、
項目114から117のいずれか1つに従ったヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピン。
119.少なくとも48時間もしくは2日の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日、好ましくは1.0mg/日から15mg/日の、より好ましくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
少なくとも72時間もしくは3日の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日、好ましくは1.0mg/日から15mg/日の、より好ましくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
少なくとも84時間もしくは3.5日の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日、好ましくは1.0mg/日から15mg/日の、より好ましくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、
項目114から118のいずれか1つに従ったヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピン。
120.20(ng/ml)hから300(ng/ml)h、もしくは300(ng/ml)h超から450(ng/ml)h、好ましくは30(ng/ml)hから200(ng/ml)hのAUC0-48を経皮送達によって提供する、または
30(ng/ml)hから400(ng/ml)h、もしくは400(ng/ml)h超から600(ng/ml)h、好ましくは50(ng/ml)hから300(ng/ml)hのAUC0-72を経皮送達によって提供する、または
35(ng/ml)hから450(ng/ml)h、もしくは450(ng/ml)h超ら700(ng/ml)h、好ましくは60(ng/ml)hから350(ng/ml)hのAUC0-84を経皮送達によって提供する
項目114から119のいずれか1つに従ったヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピン。
121.2.0未満の、好ましくは1.5未満の、より好ましくは1.3未満のC48に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、または
3.0未満の、好ましくは2.5未満の、より好ましくは2.0未満の、C72に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、または
3.5未満の、好ましくは3.0未満の、より好ましくは2.5未満の、最も好ましくは2.0未満の、C84に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、
項目114から120のいずれか1つに従ったヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピン。
122.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が低減される、
項目114から121のいずれか1つに従ったヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピン。
123.ヒト患者が、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患っている、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、もしくはその任意の組合せである、または
舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が疲労であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の発生率が、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が眩暈であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して眩暈の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される
項目122に従ったヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピン。
124.少なくとも48時間または2日の投薬間隔の間、ヒト患者を処置する方法における使用のための
アセナピンの経皮投与のための経皮治療システム。
125.少なくとも72時間または3日の投薬間隔の間、ヒト患者を処置する方法における使用のための
アセナピンの経皮投与のための経皮治療システム。
126.投薬間隔が、最大168時間もしくは7日まで、最大120時間もしくは5日まで、または最大96時間もしくは4日までである、
項目124または125に従ったヒト患者を処置する方法における使用のための経皮治療システム。
127.投薬間隔が、48時間もしくは2日、または72時間もしくは3日、または84時間もしくは3.5日である、
項目124または125に従ったヒト患者を処置する方法における使用のための経皮治療システム。
128.治療有効量のアセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、
項目124から127のいずれか1つに従ったヒト患者を処置する方法における使用のための経皮治療システム。
129.精神病を処置する方法における使用のための、特に統合失調症、双極性障害、心的外傷後ストレス症候群、大うつ病性障害、認知症関連の精神病、激越および躁病から選択される1つもしくはそれ以上の状態を処置する方法における使用のための、または
統合失調症および/もしくは双極性障害、好ましくは双極性障害、特に双極性障害の急性躁病もしくは混合エピソードを処置する方法における使用のための、
項目124から128のいずれか1つに従ったヒト患者を処置する方法における使用のための経皮治療システム。
130.少なくとも48時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日、好ましくは1.0mg/日から15mg/日の、より好ましくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
少なくとも72時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日、好ましくは1.0mg/日から15mg/日の、より好ましくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
少なくとも84時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日、好ましくは1.0mg/日から15mg/日の、より好ましくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、
項目124から129のいずれか1つに従ったヒト患者を処置する方法における使用のための経皮治療システム。
131.20(ng/ml)hから300(ng/ml)h、もしくは300(ng/ml)h超から450(ng/ml)h、好ましくは30(ng/ml)hから200(ng/ml)hのAUC0-48を経皮送達によって提供する、または
30(ng/ml)hから400(ng/ml)h、もしくは400(ng/ml)h超から600(ng/ml)h、好ましくは50(ng/ml)hから300(ng/ml)hのAUC0-72を経皮送達によって提供する、または
35(ng/ml)hから450(ng/ml)h、もしくは450(ng/ml)h超から700(ng/ml)h、好ましくは60(ng/ml)hから350(ng/ml)hのAUC0-84を経皮送達によって提供する、
項目124から130のいずれか1つに従ったヒト患者を処置する方法における使用のための経皮治療システム。
132.2.0未満の、好ましくは1.5未満の、より好ましくは1.3未満の、C48に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、または
3.0未満の、好ましくは2.5未満の、より好ましくは2.0未満の、C72に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、または
3.5未満の、好ましくは3.0未満の、より好ましくは2.5未満の、最も好ましくは2.0未満の、C84に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、
項目124から131のいずれか1つに従ったヒト患者を処置する方法における使用のための経皮治療システム。
133.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の低減を提供する、
患者を処置する方法における使用のための、
項目124から132のいずれか1つに従った経皮治療システム。
134.患者が、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患うヒト患者である、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、もしくはその任意の組合せである、または
舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が疲労であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の発生率が、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が眩暈であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して眩暈の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、
患者を処置する方法における使用のための項目133に従った経皮治療システム。
135.少なくとも48時間もしくは2日の投薬間隔の間、アセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法。
136.少なくとも72時間または3日の投薬間隔の間、アセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法。
137.投薬間隔が、最大168時間もしくは7日まで、最大120時間もしくは5日まで、または最大96時間もしくは4日までである、
項目135または136に従ったアセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法。
138.投薬間隔が、48時間もしくは2日、または72時間もしくは3日、または84時間もしくは3.5日である、
項目135または136に従ったアセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法。
139.患者の皮膚に少なくとも48時間もしくは2日の間、少なくとも72時間もしくは3日の間、48時間もしくは2日の間、72時間もしくは3日の間、または84時間もしくは3.5日の間、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムを適用することを含む、
項目135から138のいずれか1つに従ったアセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法。
140.アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムが、治療有効量のアセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、
項目135から139のいずれか1つに従ったアセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法。
141.項目135から140のいずれか1つに従った、精神病を処置する方法、特に統合失調症、双極性障害、心的外傷後ストレス症候群、大うつ病性障害、認知症関連の精神病、激越および躁病から選択される1つまたはそれ以上の状態を処置する方法、または統合失調症および/もしくは双極性障害を処置する方法。
142.項目135から141のいずれか1つに従った、統合失調症および/または双極性障害、好ましくは双極性障害、特に双極性障害の急性躁病または混合エピソードを処置する方法。
143.少なくとも48時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日、好ましくは1.0mg/日から15mg/日の、より好ましくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
少なくとも72時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日、好ましくは1.0mg/日から15mg/日の、より好ましくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
少なくとも84時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日、好ましくは1.0mg/日から15mg/日の、より好ましくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、
項目135から142のいずれか1つに従ったヒト患者を処置する方法。
144.20(ng/ml)hから300(ng/ml)h、もしくは30(ng/ml)h超から450(ng/ml)h、好ましくは30(ng/ml)hから200(ng/ml)hのAUC0-48を経皮送達によって提供する、または
30(ng/ml)hから400(ng/ml)h、もしくは400(ng/ml)h超から600(ng/ml)h、好ましくは50(ng/ml)hから300(ng/ml)hのAUC0-72を経皮送達によって提供する、または
35(ng/ml)hから450(ng/ml)h、もしくは450(ng/ml)h超から700(ng/ml)h、好ましくは60(ng/ml)hから350(ng/ml)hのAUC0-84を経皮送達によって提供する、
項目135から143のいずれか1つに従ったヒト患者を処置する方法。
145.2.0未満の、好ましくは1.5未満の、より好ましくは1.3未満の、C48に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、または
3.0未満の、好ましくは2.5未満の、より好ましくは2.0未満の、C72に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、または
3.5未満の、好ましくは3.0未満の、より好ましくは2.5未満の、最も好ましくは2.0未満の、C84に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、
項目135から144のいずれか1つに従ったヒト患者を処置する方法。
146.経皮治療システムが、舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の低減を提供する、
項目135から145のいずれか1つに従ったヒト患者を処置する方法。
147.ヒト患者が、疲労、傾眠、眩暈、またはその任意の組合せを患う、
項目146に従ったヒト患者を処置する方法。
148.少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、またはその任意の組合せである、
項目146または147に従ったヒト患者を処置する方法。
149.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、および/または舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度が低減される、
項目146から148のいずれか1つに従ったヒト患者を処置する方法。
150.少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が疲労であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の発生率が、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が眩暈であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して眩暈の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、
項目149に従ったヒト患者を処置する方法。
151.ヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、
舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の低減を提供し、
ヒト患者が、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患っている、および/または少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、もしくはその任意の組合せである、
経皮治療システム。
152.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が疲労であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の発生率が、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が眩暈であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して眩暈の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、
ヒト患者を処置する方法における使用のための項目151に従った経皮治療システム。
153.アセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法であって、
舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が低減され、
ヒト患者が、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患っている、および/または少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、もしくはその任意の組合せである、
方法。
154.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が疲労であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の発生率が、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が眩暈であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して眩暈の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、
項目153に従ったヒト患者を処置する方法。
155.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用をヒト患者において低減する方法であって、アセナピンの経皮投与を含み、
ヒト患者が、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患っている、および/または少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、もしくはその任意の組合せである、
方法。
156.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が疲労であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の発生率が、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が眩暈であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して眩暈の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、
項目155に従ったヒト患者を処置する方法。
157.舌下アセナピン治療で処置されている患者において少なくとも1つのアセナピン関連の副作用を低減する方法であって:
a)舌下アセナピン治療を中断すること;および
b)アセナピンの経皮投与
を含み、
患者が、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患っている、および/または少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、もしくはその任意の組合せである、
方法。
158.経皮治療システムが、舌下アセナピン治療によって元々提供されるアセナピンの量と同等のアセナピンの量を送達する、項目157の方法。
159.項目1から4、および20から89、および124から134のいずれか1つに従った経皮治療システムにおける使用のためのマトリックス層の製造のプロセスであって:
1)溶媒中で、少なくとも構成成分アセナピンおよびポリマーを組み合わせることで、コーティング組成物を得る工程;
2)コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナーまたは任意の中間体ライナー上にコーティングする工程;ならびに
3)コーティングされたコーティング組成物を乾燥させることで、マトリックス層を形成する工程
を含む、
マトリックス層の製造のプロセス。
160.工程1において、アセナピンが溶解されることで、コーティング組成物を得る、
項目159に従ったマトリックス層の製造プロセス。
161.好ましくは、溶媒が、アルコール溶媒、特にメタノール、エタノール、イソプロパノールおよびその混合物から、ならびに非アルコール性溶媒、特に酢酸エチル、ヘキサン、n-ヘプタン、石油エーテル、トルエン、およびその混合物から選択され、より好ましくは、エタノールおよび酢酸エチルから選択される、
項目159または160に従ったプロセス。
162.ポリマーが、アクリルポリマー、好ましくは、酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマーであり、これが、溶液として、好ましくは酢酸エチル、n-ヘプタン、メタノール、エタノール、またはその任意の混合物中の溶液として提供され、30重量%から60重量%の固形分を有する、項目159から161のいずれか1つに従ったプロセス。
163.乾燥させることが、50℃から90℃、より好ましくは60℃から80℃の温度で行われる、項目159から162のいずれか1つに従ったプロセス。
164.アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.遊離塩基の形態で含まれるアセナピン;
2.酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマー;ならびに
3.安定剤
を含む自己接着性層構造を含む、
経皮治療システム。
165.アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.マトリックス層組成物の3%から9%の量で、遊離塩基の形態で含まれるアセナピン;
2.マトリックス層組成物の90%から96.5%の量で、酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマー;ならびに
3.マトリックス層組成物0.1%から2%の量で安定剤;
を含む自己接着性層構造を含み、
マトリックス層の面積重量が、120g/mから170g/mを範囲とする、
経皮治療システム。
166.アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.遊離塩基の形態で含まれるアセナピン;
2.酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマー;
3.安定剤;ならびに
4.ポリビニルピロリドン
を含む自己接着性層構造を含む、
経皮治療システム。
167.アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.マトリックス層組成物の3%から9%の量で、遊離塩基の形態で含まれるアセナピン;
2.マトリックス層組成物の80%から90%の量で、酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマー;
3.マトリックス層組成物の0.1%から2%の量で安定剤;ならびに
4.マトリックス層組成物の5%から15%の量でポリビニルピロリドン;
を含む自己接着性層構造を含み、
マトリックス層の面積重量が、120g/mから170g/mを範囲とする、
経皮治療システム。
168.アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.マトリックス層組成物の7%から13%の量で、遊離塩基の形態で含まれるアセナピン;
2.マトリックス層組成物の75%から85%の量で、酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマー;
3.マトリックス層組成物の0.1%から2%の量で安定剤;ならびに
4.マトリックス層組成物の5%から15%の量でポリビニルピロリドン;
を含む自己接着性層構造を含み、
マトリックス層の面積重量が、120g/mから170g/mを範囲とする、
経皮治療システム。
169.アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.マトリックス層組成物の13%超から20%の量で、遊離塩基の形態で含まれるアセナピン;
2.マトリックス層組成物の65%から82%の量で、酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマー;
3.マトリックス層組成物の0.001%から2%の量で安定剤;ならびに
4.マトリックス層組成物の5%から15%の量でポリビニルピロリドン;
を含む自己接着性層構造を含み、
マトリックス層の面積重量が、120g/mから230g/mを範囲とする、
経皮治療システム。
170.アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって:
A)バッキング層;
B)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
1.マトリックス層組成物の7%から20%の量で、遊離塩基の形態で含まれるアセナピン;
2.マトリックス層組成物の75%から85%の量で、酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマー;
3.マトリックス層組成物の0.001%から2%の量で安定剤;ならびに
4.マトリックス層組成物の5%から15%の量でポリビニルピロリドン;
を含む自己接着性層構造を含み、
マトリックス層の面積重量が、170g/m超から230g/mを範囲とする、
経皮治療システム。
【0445】
本発明は、特に以下のさらなる実施形態に関する:
1.治療有効量のアセナピンを含有する自己接着性層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着性層構造が:
a)バッキング層;
b)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
i)アセナピン;および
ii)少なくとも1種のアクリルポリマー;
を含み、
経皮治療システムが、5cmから100cmの放出面積を有する、
経皮治療システム。
2.アセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、
少なくとも48時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、
経皮治療システム。
3.少なくとも72時間もしくは84時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、および/または
少なくとも48時間の投与にわたって1.0mg/日から15mg/日の、もしくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、
実施形態2による経皮治療システム。
4.アセナピンを含有する自己接着性層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、
20(ng/ml)hから300(ng/ml)h、または300(ng/ml)h超から450(ng/ml)hのアセナピンAUC0-48
30(ng/ml)hから400(ng/ml)h、または400(ng/ml)h超から600(ng/ml)hのアセナピンAUC0-72
35(ng/ml)hから450(ng/ml)h、または450(ng/ml)h超から700(ng/ml)hのアセナピンAUC0-84
2.0未満の、アセナピンのC48に対するCmaxの比、
3.0未満の、アセナピンのC72に対するCmaxの比、
3.5未満の、アセナピンのC84に対するCmaxの比、および
0.5から10ng/mlの、アセナピンCmax
からなる群から選択される1つまたはそれ以上の薬物動態学的パラメータ(単数または複数)を経皮送達によって提供する、
経皮治療システム。
5.治療有効量のアセナピンを含有する自己接着性層構造を含み、前記自己接着性層構造が:
a)バッキング層;
b)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
i)アセナピン;および
ii)ポリマー
を含む、
実施形態2から4のいずれか1つによる経皮治療システム。
6.治療有効量のアセナピンを含有する自己接着性層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着性層構造が:
a)バッキング層;
b)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
i)アセナピン遊離塩基;および
ii)ポリマー;
を含み、
アセナピン含有マトリックス層が、少なくとも90g/mである面積重量を有し、
アセナピン含有マトリックス層が、パルミチン酸イソプロピルを含まない、
経皮治療システム。
7.少なくとも0.70mg/cm、少なくとも0.80mg/cm、少なくとも0.82mg/cmもしくは少なくとも0.83mg/cmのアセナピンを含有する、および/または
0.70mg/cmから4.0mg/cm、0.80mg/cmから3.0mg/cm、0.82mg/cmから2.0mg/cm、もしくは0.83mg/cmから1.7mg/cmのアセナピンを含有する、および/または
アセナピン含有マトリックス層が、90g/mから230g/m、110g/mから210g/m、もしくは120g/mから170g/mを範囲とする面積重量を有する、
実施形態1から6のいずれか1つによる経皮治療システム。
8.アセナピン含有マトリックス層組成物が、アセナピン含有マトリックス層組成物の50%超の量でポリシロキサンおよびポリイソブチレンのいずれも含まない、
実施形態1および5から7のいずれか1つによる経皮治療システム。
9.アセナピン含有マトリックス層が、アセナピン含有マトリックス層組成物の5%の量でミリスチン酸イソプロピルを含まない、アセナピン含有マトリックス層組成物の1~10%の量でミリスチン酸イソプロピルを含まない、もしくはミリスチン酸イソプロピルを含まない、および/または
アセナピン含有マトリックス層が、アセナピン含有マトリックス層組成物の10~20%の量でエチルセルロースを含まない、もしくはエチルセルロースを含まない、または
アセナピン含有マトリックス層が、塩化水素を含まない、
実施形態1および5から8のいずれか1つによる経皮治療システム。
10.アセナピン含有マトリックス層組成物におけるアセナピンが、遊離塩基の形態で含まれる、または
アセナピン含有マトリックス層組成物が、アセナピン遊離塩基を組み込むことによって得られる、および/または
アセナピン含有マトリックス層におけるアセナピンの少なくとも90mol%、好ましくは少なくとも95mol%、より好ましくは少なくとも98mol%、最も好ましくは少なくとも99mol%が、遊離塩基の形態で存在する、および/または
アセナピン含有マトリックス層組成物におけるアセナピンの量が、アセナピン含有マトリックス層組成物の2%から20%、3%から15%、もしくは4%から12%の範囲である、
実施形態1および5から9のいずれか1つによる経皮治療システム。
11.アクリルポリマーが、酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマー、アクリル酸メチル、2-エチルヘキシルアクリレートおよびt-オクチルアクリルアミドに基づくコポリマー、または2-エチルヘキシル-アクリレートおよび酢酸ビニルに基づくコポリマーから選択される、
実施形態1から3のいずれか1つによる経皮治療システム。
12.ポリマーが、アクリルポリマーから、または酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレートおよびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマー、アクリル酸メチル、2-エチルヘキシルアクリレートおよびt-オクチルアクリルアミドに基づくコポリマー、もしくは2-エチルヘキシル-アクリレートおよび酢酸ビニルに基づくコポリマーから選択される、
実施形態5から10のいずれか1つによる経皮治療システム。
13.ポリマーの量が、アセナピン含有マトリックス層組成物の60%から97%、70%から96%、75%から88%、もしくは91%から96%を範囲とする、または
アセナピン含有マトリックス層組成物における総ポリマー含有量が、アセナピン含有マトリックス層組成物の75%から97%、80%から96%、もしくは85%から95%を範囲とする、
実施形態1および5から12のいずれか1つによる経皮治療システム。
14.アセナピン含有マトリックス層組成物が、架橋剤、可溶化剤、充填剤、粘着付与剤、可塑剤、安定剤、軟化剤、スキンケア用物質、浸透増強剤、pH調節剤および保存料からなる群から選択されるさらなる賦形剤または添加剤を含む、
実施形態1および5から13のいずれか1つによる経皮治療システム。
15.粘着付与剤が、ポリビニルピロリドン、トリグリセリド、ジプロピレングリコール、樹脂、樹脂エステル、テルペンおよびその誘導体、エチレン酢酸ビニル接着剤、ジメチルポリシロキサンおよびポリブテン、好ましくはポリビニルピロリドン、より好ましくは可溶性ポリビニルピロリドンから選択される、
安定剤が、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸およびそのエステル誘導体、ブチルヒドロキシトルエン、トコフェロールおよびそのエステル誘導体、例えば酢酸トコフェリルおよびリノール酸トコフェリル、同様にトコフェロールおよびパルミチン酸アスコルビルの組合せから、好ましくはトコフェロールおよびそのエステル誘導体、ならびにアスコルビン酸およびそのエステル誘導体から選択され、より好ましくは、脂肪酸のアスコルビルエステルおよびトコフェロールから選択され、最も好ましくはパルミチン酸アスコルビルもしくはα-トコフェロール、もしくはその組合せである、または
浸透増強剤が、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、乳酸ラウリル、ジメチルプロピレン尿素、ならびにプロピレングリコールモノエステルおよび脂肪酸のジエステルの混合物から選択される、
実施形態14による経皮治療システム。
16.最初の8時間に0μg/(cmh)から10μg/(cmh)、
8時間目から24時間目に2μg/(cmh)から20μg/(cmh)、
24時間目から32時間目に3μg/(cmh)から20μg/(cmh)、
32時間目から48時間目に3μg/(cmh)から20μg/(cmh)、
48時間目から72時間目に2μg/(cmh)から15μg/(cmh)
の、皮節化されたヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定される場合のアセナピンの皮膚浸透率を提供する、または
48時間の時間期間にわたって0.05mg/cmから1.0mg/cm、もしくは0.1mg/cmから0.7mg/cmの、皮節化されたヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定される場合のアセナピンの累積浸透量を提供する、または
72時間の時間期間にわたって0.1mg/cmから2.0mg/cmの、もしくは0.2mg/cmから1.0mg/cmの、皮節化されたヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定される場合のアセナピンの累積浸透量を提供する、
実施形態1から15のいずれか1つによる経皮治療システム。
17.処置の方法における使用のための、精神病を処置する方法における使用のための、統合失調症、双極性障害、心的外傷後ストレス症候群、大うつ病性障害、認知症関連の精神病、激越および躁病から選択される1つもしくはそれ以上の状態を処置する方法における使用のための、統合失調症および/もしくは双極性障害を処置する方法における使用のための、または双極性障害を処置する方法、特に双極性障害の急性躁病もしくは混合エピソードにおける使用のための、
実施形態1から16のいずれか1つによる経皮治療システム。
18.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の低減を提供する、
患者を処置する方法における使用のための
実施形態17による経皮治療システム。
19.患者が、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患うヒト患者である、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、もしくはその任意の組合せである、または
舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が疲労であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の発生率が、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が眩暈であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して眩暈の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、
患者を処置する方法における使用のための、実施形態18による経皮治療システム。
20.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用を患者において低減する方法における使用のための、
実施形態17による経皮治療システム。
21.患者が、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患うヒト患者である、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、またはその任意の組合せである、または
舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が疲労であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の発生率が、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が眩暈であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して眩暈の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される
舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用を患者において低減する方法における使用のための、実施形態20による経皮治療システム。
22.処置の方法、精神病を処置する方法、統合失調症、双極性障害、心的外傷後ストレス症候群、大うつ病性障害、認知症関連の精神病、激越および躁病から選択される1つもしくはそれ以上の状態を処置する方法、統合失調症および/もしくは双極性障害を処置する方法、または双極性障害、特に双極性障害の急性躁病もしくは混合エピソードを処置する方法であって、
患者の皮膚に実施形態1から16のいずれか1つによる経皮治療システムを適用することを含む、
方法。
23.経皮治療システムが、舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の低減を提供する、
実施形態22による処置の方法。
24.患者が、疲労、傾眠、眩暈、またはその任意の組合せを患うヒト患者である、
実施形態23による処置の方法。
25.少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、またはその任意の組合せである、
実施形態23による処置の方法。
26.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、および/または舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度が低減される、
実施形態23による処置の方法。
27.少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が疲労であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の発生率が、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が眩暈であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して眩暈の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%または少なくとも約80%低減される、
実施形態26による処置の方法。
28.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用を患者において低減する方法であって、実施形態1から16のいずれか1つによる経皮治療システムを投与することを含む、方法。
29.患者が、疲労、傾眠、眩暈、またはその任意の組合せを患うヒト患者である、
実施形態28による方法。
30.少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、またはその任意の組合せである、
実施形態28または29による方法。
31.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、および/または舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度が低減される、
実施形態28から30のいずれか1つによる方法。
32.少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が疲労であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の発生率が、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が眩暈であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して眩暈の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、
実施形態31による方法。
33.舌下アセナピン治療で処置されている患者における少なくとも1つのアセナピン関連の副作用を低減する方法であって:
a)舌下アセナピン治療を中断すること;および
b)患者の皮膚に実施形態1から16のいずれかによる経皮治療システムを投与すること、ここで、経皮治療システムは、舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の低減を提供する
を含む、
方法。
34.経皮治療システムが、舌下アセナピン治療によって元々提供されるアセナピンの量と同等のアセナピンの量を送達する、実施形態33の方法。
35.少なくとも48時間または2日の投薬間隔の間、アセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピン。
36.投薬間隔が、少なくとも72時間もしくは3日、最大168時間もしくは7日まで、最大120時間もしくは5日まで、もしくは最大96時間もしくは4日までである、または
投薬間隔が、48時間もしくは2日、もしくは72時間もしくは3日、もしくは84時間もしくは3.5日である、および/または
少なくとも48時間もしくは2日の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日の、1.0mg/日から15mg/日、もしくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
少なくとも72時間もしくは3日の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日の、1.0mg/日から15mg/日、もしくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
少なくとも84時間もしくは3.5日の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日の、1.0mg/日から15mg/日、もしくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
20(ng/ml)hから300(ng/ml)h、300(ng/ml)h超から450(ng/ml)h、もしくは30(ng/ml)hから200(ng/ml)hのAUC0-48を経皮送達によって提供する、または
30(ng/ml)hから400(ng/ml)h、400(ng/ml)h超から600(ng/ml)h、もしくは50(ng/ml)hから300(ng/ml)hのAUC0-72を経皮送達によって提供する、または
35(ng/ml)hから450(ng/ml)h、450(ng/ml)h超から700(ng/ml)h、もしくは60(ng/ml)hから350(ng/ml)hのAUC0-84を経皮送達によって提供する、または
2.0未満、1.5未満もしくは1.3未満の、C48に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、または
3.0未満、2.5未満もしくは2.0未満の、C72に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、または
3.5未満、3.0未満、2.5未満もしくは2.0未満の、C84に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、または
0.5ng/mlから10ng/ml、もしくは1ng/mlから8ng/mlのCmax値を経皮送達によって提供する、
実施形態35によるヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピン。
37.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が低減される、
実施形態35または36によるヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピン。
38.ヒト患者が、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患っている、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、もしくはその任意の組合せである、または
舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が疲労であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の発生率が、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が眩暈であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して眩暈の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、
実施形態37によるヒト患者を処置する方法における使用のためのアセナピン。
39.少なくとも48時間もしくは2日の投薬間隔の間、ヒト患者を処置する方法における使用のための、
アセナピンの経皮投与のための経皮治療システム。
40.少なくとも72時間もしくは3日、最大168時間もしくは7日まで、最大120時間もしくは5日まで、もしくは最大96時間もしくは4日までの投薬間隔の、または
投薬間隔が、48時間もしくは2日、または72時間もしくは3日、もしくは84時間もしくは3.5日である、および/または
少なくとも48時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日の、1.0mg/日から15mg/日、もしくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
少なくとも72時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日の、1.0mg/日から15mg/日、もしくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
少なくとも84時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日の、1.0mg/日から15mg/日、もしくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
20(ng/ml)hから300(ng/ml)h、300(ng/ml)h超から450(ng/ml)h、もしくは30(ng/ml)hから200(ng/ml)hのAUC0-48を経皮送達によって提供する、または
30(ng/ml)hから400(ng/ml)h、400(ng/ml)h超から600(ng/ml)h、もしくは50(ng/ml)hから300(ng/ml)hのAUC0-72を経皮送達によって提供する、または
35(ng/ml)hから450(ng/ml)h、450(ng/ml)h超から700(ng/ml)h、もしくは60(ng/ml)hから350(ng/ml)hのAUC0-84を経皮送達によって提供する、または
2.0未満、1.5未満もしくは1.3超の、C48に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、または
3.0未満、2.5未満もしくは2.0未満の、C72に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、または
3.5未満、3.0未満、2.5未満もしくは2.0未満の、C84に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、または
0.5ng/mlから10ng/ml、もしくは1ng/mlから8ng/mlのCmax値を経皮送達によって提供する、
実施形態39によるヒト患者を処置する方法における使用のための経皮治療システム。
41.経皮治療システムは、舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の低減を提供する、
患者を処置する方法における使用のための、
実施形態39または40による経皮治療システム。
42.患者が、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患うヒト患者である、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、もしくはその任意の組合せである、または
舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が疲労であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の発生率が、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が眩暈であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して眩暈の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、
患者を処置する方法における使用のための、実施形態41による経皮治療システム。
43.少なくとも48時間もしくは2日の投薬間隔の間、アセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法。
44.少なくとも72時間もしくは3日、最大168時間もしくは7日まで、最大120時間もしくは5日まで、もしくは最大96時間もしくは4日までの投薬間隔の間、または
投薬間隔が、48時間もしくは2日、もしくは72時間もしくは3日、もしくは84時間もしくは3.5日である、および/または
少なくとも48時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日の、1.0mg/日から15mg/日、もしくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
少なくとも72時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日の、1.0mg/日から15mg/日、もしくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
少なくとも84時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日の、1.0mg/日から15mg/日、もしくは2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、または
20(ng/ml)hから300(ng/ml)h、300(ng/ml)h超から450(ng/ml)h、もしくは30(ng/ml)hから200(ng/ml)hのAUC0-48を経皮送達によって提供する、または
30(ng/ml)hから400(ng/ml)h、400(ng/ml)h超から600(ng/ml)h、もしくは50(ng/ml)hから300(ng/ml)hのAUC0-72を経皮送達によって提供する、または
35(ng/ml)hから450(ng/ml)h、450(ng/ml)h超から700(ng/ml)h、もしくは60(ng/ml)hから350(ng/ml)hのAUC0-84を経皮送達によって提供する、または
2.0未満、1.5未満もしくは1.3未満の、C48に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、または
3.0未満、2.5未満もしくは2.0未満の、C72に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、または
3.5未満、3.0未満、2.5未満もしくは2.0未満の、C84に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、または
0.5ng/mlから10ng/ml、もしくは1ng/mlから8ng/mlのCmax値を経皮送達によって提供する、
実施形態43によるアセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法。
45.アセナピンの経皮投与が、舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の低減を提供する、
実施形態43または44によるヒト患者を処置する方法。
46.ヒト患者が、疲労、傾眠、眩暈、またはその任意の組合せを患っている、
実施形態45によるヒト患者を処置する方法。
47.少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、またはその任意の組合せである、
実施形態45または46によるヒト患者を処置する方法。
48.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、および/または舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度が低減される、
実施形態45から47のいずれか1つによるヒト患者を処置する方法。
49.少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が疲労であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の発生率が、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が眩暈であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して眩暈の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、
実施形態48によるヒト患者を処置する方法。
50.ヒト患者を処置する方法における使用のための、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、
舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の低減を提供し、
ヒト患者が、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患っている、および/または少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、またはその任意の組合せである、
経皮治療システム。
51.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が疲労であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の発生率が、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が眩暈であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して眩暈の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、
ヒト患者を処置する方法における使用のための、実施形態50による経皮治療システム。
52.アセナピンの経皮投与によってヒト患者を処置する方法であって、
舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が低減され、
ヒト患者が、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患っている、および/または少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、もしくはその任意の組合せである、
方法。
53.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が疲労であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の発生率が、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が眩暈であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して眩暈の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、
実施形態52によるヒト患者を処置する方法。
54.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用をヒト患者において低減する方法であって、アセナピンの経皮投与を含み、
ヒト患者が、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患っている、および/または少なくとも1つのアセナピン関連の副作用は、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、もしくはその任意の組合せである、
方法。
55.舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して少なくとも1つのアセナピン関連の副作用の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が疲労であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の発生率が、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%低減される、および/もしくは舌下アセナピンの同等用量に相対して疲労の強度が低減される、または
少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が眩暈であり、舌下アセナピンの同等用量に相対して眩暈の発生率が、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%低減される、
実施形態54によるヒト患者を処置する方法。
56.舌下アセナピン治療で処置されている患者における少なくとも1つのアセナピン関連の副作用を低減する方法であって:
a)舌下アセナピン治療を中断すること;および
b)アセナピンの経皮投与
を含み、
患者が、疲労、傾眠、眩暈、もしくはその任意の組合せを患っている、および/または少なくとも1つのアセナピン関連の副作用が、疲労、傾眠、眩暈、口腔知覚鈍麻、もしくはその任意の組合せである、
方法。
57.実施形態1および5から16のいずれか1つによる経皮治療システムにおける使用のためのマトリックス層の製造のプロセスであって:
1)溶媒中で、少なくとも構成成分アセナピンおよびポリマーを組み合わせることで、コーティング組成物を得る工程;
2)コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナーまたは任意の中間体ライナー上にコーティングする工程;ならびに
3)コーティングされたコーティング組成物を乾燥させることで、マトリックス層を形成する工程
を含む、
マトリックス層の製造のプロセス。
58.マトリックス層組成物が:
i)アセナピン遊離塩基3重量%から9重量%;
ii)酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレート、およびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマー80重量%から90重量%;
iii)トコフェロール0.1重量%から2重量%;ならびに
iv)ポリビニルピロリドン5重量%から15重量%
を含む、実施形態1、5~17、および22のいずれか1つによる経皮治療システム。
59.マトリックス層組成物が:
i)アセナピン遊離塩基約6重量%;
ii)アクリルポリマー約83.5重量%;
iii)トコフェロール約0.5重量%;および
iv)ポリビニルピロリドン約10重量%
を含む、実施形態1、5~17、22、および58のいずれか1つによる経皮治療システム。
60.マトリックス層組成物が:
i)アセナピン遊離塩基7重量%から13重量%;
ii)酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレート、およびグリシジル-メタクリレートに基づくコポリマー75重量%から85重量%;
iii)トコフェロール0.1重量%から2重量%;ならびに
iv)ポリビニルピロリドン5重量%から15重量%
を含む、実施形態1、5~17、および22のいずれか1つによる経皮治療システム。
61.マトリックス層組成物が:
i)アセナピン遊離塩基約10重量%;
ii)アクリルポリマー77重量%から82重量%;
iii)トコフェロール約0.5重量%;および
iv)ポリビニルピロリドン約10重量%
を含む、実施形態1、5~17、22、および60のいずれか1つによる経皮治療システム。
62.それを必要とする患者における統合失調症を処置する方法であって、自己接着性層構造を含む経皮治療システムを患者に投与することを含み、自己接着性層構造が:
a)バッキング層;
b)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
i)治療有効量のアセナピン;および
ii)アクリルポリマー
を含む、
方法。
63.経皮治療システムが、少なくとも48時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、実施形態62による方法。
64.経皮治療システムが、少なくとも84時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、実施形態62または63のいずれかによる方法。
65.経皮治療システムが、少なくとも48時間の投与にわたって1.0mg/日から15mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、実施形態62~64のいずれかによる方法。
66.経皮治療システムが、少なくとも48時間の投与にわたって2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、実施形態62~65のいずれかによる方法。
67.経皮治療システムが、
20(ng/ml)hから300(ng/ml)h、または300(ng/ml)h超から450(ng/ml)hのアセナピンAUC0-48
30(ng/ml)hから400(ng/ml)h、または400(ng/ml)h超から600(ng/ml)hのアセナピンAUC0-72
35(ng/ml)hから450(ng/ml)h、または450(ng/ml)h超から700(ng/ml)hのアセナピンAUC0-84
2.0未満の、アセナピンのC48に対するCmaxの比、
3.0未満の、アセナピンのC72に対するCmaxの比、
3.5未満の、アセナピンのC84に対するCmaxの比、および
0.5ng/mlから10ng/mlのアセナピンCmax
からなる群から選択される1つまたはそれ以上の薬物動態学的パラメータ(単数または複数)を経皮送達によって提供する、実施形態62~66のいずれか1つによる方法。
68.アセナピン含有マトリックス層が、少なくとも90g/mである面積重量を有する、実施形態62~67のいずれか1つによる方法。
69.経皮治療システムが、少なくとも0.70mg/cmのアセナピンを含有する、実施形態62~68のいずれか1つによる方法。
70.アセナピン含有マトリックス層が、90g/mから230g/mを範囲とする面積重量を有する、実施形態62~69のいずれか1つによる方法。
71.アセナピン含有マトリックス層組成物におけるアセナピンが、アセナピン遊離塩基である、実施形態62~70のいずれか1つによる方法。
72.アセナピン含有マトリックス層におけるアセナピンの少なくとも90mol%が、アセナピン遊離塩基である、実施形態62~71のいずれか1つによる方法。
73.マトリックス層組成物が、架橋剤、可溶化剤、充填剤、粘着付与剤、可塑剤、安定剤、軟化剤、スキンケア用物質、浸透増強剤、pH調節剤および保存料からなる群から選択されるさらなる賦形剤または添加剤を含み、
ここで、
粘着付与剤は、ポリビニルピロリドン、トリグリセリド、ジプロピレングリコール、樹脂、樹脂エステル、テルペンおよびその誘導体、エチレン酢酸ビニル接着剤、ジメチルポリシロキサン、ならびにポリブテンから選択され;
安定剤は、トコフェロールおよびそのエステル誘導体、ならびにアスコルビン酸およびそのエステル誘導体から選択され;
浸透増強剤は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、乳酸ラウリル、ジメチルプロピレン尿素、ならびにプロピレングリコールモノエステルおよび脂肪酸のジエステルの混合物から選択される、
実施形態62~72のいずれか1つによる方法。
74.経皮治療システムが、
最初の8時間に0μg/(cmh)から10μg/(cmh)、
8時間目から24時間目に2μg/(cmh)から20μg/(cmh)、
24時間目から32時間目に3μg/(cmh)から20μg/(cmh)、
32時間目から48時間目に3μg/(cmh)から20μg/(cmh)、または
48時間目から72時間目に2μg/(cmh)から15μg/(cmh)
の、皮節化されたヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定される場合のアセナピンの皮膚浸透率を提供する、実施形態62~73のいずれか1つによる方法。
75.経皮治療システムが、少なくとも48時間もしくは2日の投薬間隔で投与される、実施形態62~74のいずれか1つによる方法。
76.経皮治療システムが、少なくとも48時間もしくは2日の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、実施形態62~75のいずれか1つによる方法。
77.経皮治療システムが、20(ng/ml)hから300(ng/ml)h、または300(ng/ml)h超から450(ng/ml)hのAUC0-48を経皮送達によって提供する、実施形態62~76のいずれか1つによる方法。
78.経皮治療システムが、2.0未満の、C48に対するCmaxの比を経皮送達によって提供する、実施形態62~77のいずれか1つによる方法。
79.マトリックス層組成物が:
i)アセナピン遊離塩基4重量%から12重量%;
ii)アクリルポリマー75重量%から88重量%;
iii)トコフェロール0.01重量%から1.0重量%;および
iv)ポリビニルピロリドン7重量%から13重量%
を含む、実施形態62~78のいずれか1つによる方法。
80.マトリックス層組成物が:
i)アセナピン遊離塩基約6重量%;
ii)アクリルポリマー81重量%から85重量%;
iii)トコフェロール約0.5重量%;および
iv)ポリビニルピロリドン約10重量%
を含む、実施形態62~79のいずれか1つによる方法。
81.マトリックス層組成物が:
i)アセナピン約10重量%;
ii)アクリルポリマー77から82重量%;
iii)トコフェロール約0.5重量%;および
iv)ポリビニルピロリドン約10重量%
を含む、実施形態62~80のいずれか1つによる方法。
82.それを必要とする患者における双極性障害を処置する方法であって、自己接着性層構造を含む経皮治療システムを患者に投与することを含み、前記自己接着性層構造が:
a)バッキング層;ならびに
b)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
i)治療有効量のアセナピン;および
ii)アクリルポリマー
を含む、
方法。
83.双極性障害が、双極性障害の急性躁病エピソードである、実施形態82による方法。
84.双極性障害が、双極性障害の混合エピソードである、実施形態82による方法。
85.経皮治療システムが、少なくとも48時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、実施形態82~84のいずれかによる方法。
86.経皮治療システムが、少なくとも84時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、実施形態82~85のいずれかによる方法。
87.経皮治療システムが、少なくとも48時間の投与にわたって1.0mg/日から15mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、実施形態82~86のいずれかによる方法。
88.経皮治療システムが、少なくとも48時間の投与にわたって2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、実施形態82~87のいずれかによる方法。
89.経皮治療システムが、
20(ng/ml)hから300(ng/ml)h、または300(ng/ml)h超から450(ng/ml)hのアセナピンAUC0-48
30(ng/ml)hから400(ng/ml)h、または400(ng/ml)h超から600(ng/ml)hのアセナピンAUC0-72
35(ng/ml)hから450(ng/ml)h、または450(ng/ml)h超から700(ng/ml)hのアセナピンAUC0-84
2.0未満の、アセナピンのC48に対するCmaxの比、
3.0未満の、アセナピンのC72に対するCmaxの比、
3.5未満の、アセナピンのC84に対するCmaxの比、および
0.5から10ng/mlのアセナピンCmax
からなる群から選択される1つまたはそれ以上の薬物動態学的パラメータ(単数または複数)を経皮送達によって提供する、実施形態82~88のいずれか1つによる方法。
90.アセナピン含有マトリックス層が、少なくとも90g/mである面積重量を有する、実施形態82~89のいずれか1つによる方法。
91.経皮治療システムが、少なくとも0.70mg/cmのアセナピンを含有する、実施形態82~90のいずれか1つによる方法。
92.アセナピン含有マトリックス層が、90g/mから230g/mを範囲とする面積重量を有する、実施形態82~91のいずれか1つによる方法。
93.アセナピン含有マトリックス層組成物におけるアセナピンが、アセナピン遊離塩基である、実施形態82~92のいずれか1つによる方法。
94.アセナピン含有マトリックス層におけるアセナピンの少なくとも90mol%が、アセナピン遊離塩基である、実施形態82~93のいずれか1つによる方法。
95.マトリックス層組成物が、架橋剤、可溶化剤、充填剤、粘着付与剤、可塑剤、安定剤、軟化剤、スキンケア用物質、浸透増強剤、pH調節剤および保存料からなる群から選択されるさらなる賦形剤または添加剤を含み、
ここで、
粘着付与剤は、ポリビニルピロリドン、トリグリセリド、ジプロピレングリコール、樹脂、樹脂エステル、テルペンおよびその誘導体、エチレン酢酸ビニル接着剤、ジメチルポリシロキサン、ならびにポリブテンから選択され;
安定剤は、トコフェロールおよびそのエステル誘導体、ならびにアスコルビン酸およびそのエステル誘導体から選択され;
浸透増強剤は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、乳酸ラウリル、ジメチルプロピレン尿素、ならびにプロピレングリコールモノエステルおよび脂肪酸のジエステルの混合物から選択される、
実施形態82~94のいずれか1つによる方法。
96.経皮治療システムが、
最初の8時間に0μg/(cmh)から10μg/(cmh)、
8時間目から24時間目に2μg/(cmh)から20μg/(cmh)、
24時間目から32時間目に3μg/(cmh)から20μg/(cmh)、
32時間目から48時間目に3μg/(cmh)から20μg/(cmh)、または
48時間目から72時間目に2μg/(cmh)から15μg/(cmh)
の、皮節化されたヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定される場合のアセナピンの皮膚浸透率を提供する、実施形態82~95のいずれか1つによる方法。
97.経皮治療システムが、少なくとも48時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、実施形態82~96のいずれか1つによる方法。
98.経皮治療システムが、少なくとも84時間の投与にわたって0.5mg/日から20mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、実施形態82~97のいずれか1つによる方法。
99.経皮治療システムが、少なくとも48時間の投与にわたって1.0mg/日から15mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、実施形態82~98のいずれか1つによる方法。
100.経皮治療システムが、少なくとも48時間の投与にわたって2.0mg/日から10mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、実施形態82~99のいずれか1つによる方法。
101.マトリックス層組成物が:
i)アセナピン遊離塩基4重量%から12重量%;
ii)アクリルポリマー75重量%から88重量%;
iii)トコフェロール0.01重量%から1.0重量%;および
iv)ポリビニルピロリドン7重量%から13重量%
を含む、実施形態82~100のいずれか1つによる方法。
102.マトリックス層組成物が:
i)アセナピン遊離塩基約6重量%;
ii)アクリルポリマー81重量%から85重量%;
iii)トコフェロール約0.5重量%; および
iv)ポリビニルピロリドン約10重量%
を含む、実施形態82~101のいずれか1つによる方法。
103.マトリックス層組成物が:
i)アセナピン遊離塩基約10重量%;
ii)アクリルポリマー77重量%から82重量%;
iii)トコフェロール約0.5重量%;および
iv)ポリビニルピロリドン約10重量%
を含む、実施形態82~102のいずれか1つによる方法。
104.それを必要とする対象における統合失調症または双極性障害を処置する方法であって、対象に治療有効量のアセナピンを経皮投与することを含み、アセナピンが、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムに含有され、経皮治療システムが、約84時間の間、対象の少なくとも1つの身体表面と接触している、方法。
105.経皮治療システムが、
20(ng/ml)hから300(ng/ml)h、または300(ng/ml)h超から450(ng/ml)hのアセナピンAUC0-48
30(ng/ml)hから400(ng/ml)h、または400(ng/ml)h超から600(ng/ml)hのアセナピンAUC0-72
35(ng/ml)hから450(ng/ml)h、または450(ng/ml)h超から700(ng/ml)hのアセナピンAUC0-84
2.0未満の、アセナピンのC48に対するCmaxの比、
3.0未満の、アセナピンのC72に対するCmaxの比、
3.5未満の、アセナピンのC84に対するCmaxの比、および
0.5から10ng/mlのアセナピンCmax
からなる群から選択される1つまたはそれ以上の薬物動態学的パラメータ(単数または複数)を経皮送達によって提供する、実施形態104による方法。
106.経皮治療システムが、0.5mg/日から20mg/日の平均放出速度を経皮送達によって提供する、実施形態104または105のいずれかによる方法。
107.経皮治療システムが、自己接着性層構造を含み、前記自己接着性層構造が:
a)バッキング層;ならびに
b)以下を含むマトリックス層組成物からなるアセナピン含有マトリックス層:
i)治療有効量のアセナピン;および
ii)アクリルポリマー
を含む、実施形態104~106のいずれかによる方法。
108.アセナピン含有マトリックス層におけるアセナピンが、アセナピン遊離塩基である、実施形態107の方法。
109.アセナピン含有マトリックス層におけるアセナピンの少なくとも90mol%が、アセナピン遊離塩基である、実施形態107または108による方法。
110.マトリックス層組成物が、架橋剤、可溶化剤、充填剤、粘着付与剤、可塑剤、安定剤、軟化剤、スキンケア用物質、浸透増強剤、pH調節剤および保存料からなる群から選択されるさらなる賦形剤または添加剤を含む、実施形態107~109のいずれか1つによる方法。
111.経皮治療システムが、
最初の8時間に0μg/(cmh)から10μg/(cmh)、
8時間目から24時間目に2μg/(cmh)から20μg/(cmh)、
24時間目から32時間目に3μg/(cmh)から20μg/(cmh)、
32時間目から48時間目に3μg/(cmh)から20μg/(cmh)、または
48時間目から72時間目に2μg/(cmh)から15μg/(cmh)
の、皮節化されたヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定される場合のアセナピンの皮膚浸透率を提供する、実施形態107~110のいずれか1つによる方法。
112.マトリックス層組成物が:
i)アセナピン遊離塩基4重量%から12重量%;
ii)アクリルポリマー75重量%から88重量%;
iii)トコフェロール0.01重量%から1.0重量%;および
iv)ポリビニルピロリドン7重量%から13重量%
を含む、実施形態107~111のいずれか1つによる方法。
113.マトリックス層組成物が:
i)アセナピン遊離塩基約6重量%;
ii)アクリルポリマー81重量%から85重量%;
iii)トコフェロール約0.5重量%;および
iv)ポリビニルピロリドン約10重量%
を含む、実施形態107~112のいずれか1つによる方法。
114.マトリックス層組成物が:
i)アセナピン遊離塩基約10重量%;
ii)アクリルポリマー77重量%から82重量%;
iii)トコフェロール約0.5重量%;および
iv)ポリビニルピロリドン約10重量%
を含む、実施形態107~113のいずれか1つによる方法。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図10a
図10b
図11
図12a
図12b
図13a
図13b
図13c
図13d
図13e