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特許7236395補助酸素供給システムを備えた臓器搬送器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】補助酸素供給システムを備えた臓器搬送器
(51)【国際特許分類】
   A01N 1/02 20060101AFI20230302BHJP
【FI】
A01N1/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019558410
(86)(22)【出願日】2018-04-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 US2018030214
(87)【国際公開番号】W WO2018201138
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】62/491,863
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511143737
【氏名又は名称】ライフライン サイエンティフィック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Lifeline Scientific, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】キース アルスバーグ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター デムイルダー
(72)【発明者】
【氏名】ガンサー ヴァン ウィーサー
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー オレアリー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド クラヴィッツ
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-099701(JP,A)
【文献】米国特許第03632473(US,A)
【文献】特開平06-305901(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0121439(US,A1)
【文献】特開昭48-035688(JP,A)
【文献】特開平07-196401(JP,A)
【文献】米国特許第05362622(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0184545(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋を含む冷媒容器と、
臓器または組織を保持するように構成され、前記冷媒容器に配置されるカセットと、
前記臓器または組織を液体灌流液で灌流する灌流回路と、
前記灌流回路を再循環する灌流液に酸素を供給する酸素供給システムと、
を備える前記臓器または組織を灌流する装置であり、
前記酸素供給システムは、
前記液体灌流液に酸素を供給するように構成された酸素回路と、
前記液体灌流液に周囲の空気を供給するように構成された空気回路と、
前記空気回路を経て前記周囲の空気を前記灌流液に送り込む空気ポンプと、
前記酸素供給システムを通して前記カセットのヘッドスペース内の利用可能な酸素を前記液体灌流液に再循環させるように構成される再循環システムと、
を備え、
前記装置は持ち運び可能な臓器搬送器であり
前記再循環システムは、前記再循環システムの吸入口と排出口の少なくとも一方にバイオフィルタを含み、
前記空気ポンプを含む前記酸素供給システムは、前記冷媒容器の前記蓋に組み込まれている、装置。
【請求項2】
前記酸素供給システムは、ユーザ入力に基づいて、前記酸素回路を介して前記液体灌流液に酸素を供給するか、前記空気回路を介して前記灌流液に空気を供給するかを切り替えるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記灌流液に前記酸素および/または空気を供給するためのチューブをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記チューブは穿孔されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記チューブは前記灌流液中に沈められている、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記臓器を保持するためのカセットをさらに備え、前記カセットは灌流液浴をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記カセット内の前記灌流液浴に前記酸素および/または空気が供給される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置によって臓器または組織を灌流する方法であって、
液体灌流液に酸素供給するために前記酸素供給システムによって液体灌流液に酸素または空気を供給するステップと、
前記灌流回路によって前記臓器または組織を酸素供給された前記灌流液で灌流するステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記酸素または空気は前記灌流液中にバブリングされる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記空気は前記空気ポンプによって前記灌流液に送り込まれる周囲空気である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記酸素回路による前記液体灌流液への酸素の供給と前記空気回路による前記液体灌流液への空気の供給とを切り替えるステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記酸素供給システムは前記臓器搬送器の冷媒容器の蓋に組み込まれている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、前記臓器または組織を保持するカセットのヘッドスペース内の利用可能な酸素を前記酸素供給システム経由で前記灌流液に再循環するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記空気ポンプは充電可能な電池駆動空気ポンプである、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記酸素供給システムは、前記酸素または空気を前記液体灌流液中にバブリングするように構成される、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2017年4月28日に提出された米国仮出願第62/491,863号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
関連技術分野は、臓器若しくは組織の生存能力を維持並びに/又は回復すること並びに診断、治療、保管及び/若しくは搬送のために臓器若しくは組織を保存することができる、臓器または組織灌流装置を含む。便宜上、本明細書で使用される「臓器」という用語は、特に明記しない限り、臓器及び/又は組織を意味すると理解されたい。
【0003】
臓器灌流装置の目的は、研究、診断、治療、または移植に使用される前に臓器が生存したままに維持されるように、人体の状態を模倣することにある。臓器は何度も施設間で搬送されおよび/または保管される必要がある。灌流中臓器を維持し回復させる目的は、虚血と再灌流障害を抑制することにある。正常または正常に近い機能状態での保管期間を長くすることにより、たとえば、臓器をより遠くまで搬送できるとともに、臓器の検査、治療、評価用の時間を長くすることができるという特定の利点も得られる。
【0004】
臓器を理想に近い状態および生理学的状態に維持する際に、酸素供給された灌流液を臓器に供給することが知られている。例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3に、酸素供給膜に供給された気体酸素によって酸素供給される灌流液を臓器に提供する構成が開示されており、本発明はこの構成に使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第9,357,767号明細書
【文献】米国特許第7,998,725号明細書
【文献】米国特許第6,673,594号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
臓器搬送器は、特に長距離にわたる臓器の搬送を可能にする。この臓器搬送器は、センサおよび温度コントローラ等の臓器灌流装置の機能、ならびにカセットインターフェース機能を含むことができる。
【0007】
臓器または組織が採取されたら、その臓器を好ましくは液体状である酸素供給された灌流液で灌流するのが有益である。灌流液は事前に酸素供給することができるが、臓器が灌流液の酸素を使用するので灌流プロセス中に灌流液はさらに酸素を必要とし得る。したがって、灌流中に灌流液に酸素供給できるように灌流液に酸素を供給できる灌流装置を提供することが望ましい。
【0008】
本明細書には、灌流液に補助酸素または空気を供給する酸素供給システムを備えた灌流装置が開示される。この酸素供給システムは、灌流液の酸素圧を生理学的レベルで最大24時間以上維持するように設計された医療用空気ポンプを含む。この酸素供給システムにより、ユーザは、ドナーサイトで、移植病院への到着時に、またはこれらの間のどこでも、回路セットアップ中に、外部酸素源を接続して灌流酸素圧を生理学的または超生理学的レベル、または任意の所望のレベルまで急速に充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】酸素供給システムの構成図である。
図2】酸素供給システムの電気回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
例示的な実施によれば、灌流液に酸素および/または空気を流して灌流液に酸素を供給し、酸素供給された灌流液を臓器に灌流させる装置が提供される。この装置は、臓器または組織を灌流するための灌流回路と、灌流液に酸素を供給するように構成された酸素供給デバイス、外部酸素源から酸素を受け取るための入口および外部酸素源からの酸素を灌流液に供給する酸素ラインを含む酸素供給システムと、灌流液に空気を供給するように構成された空気ポンプと、を含む。酸素供給システムは装置に組み込むことができる。
【0011】
例示的な実施形態は、臓器または組織を灌流する方法も含み得る。そのような方法は、灌流液に酸素を供給するために酸素供給システムを介して灌流液に酸素または空気を供給するステップと、臓器または組織を酸素供給された灌流液で灌流するステップとを含み得る。この酸素供給システムは、酸素供給ポンプまたは空気ポンプを含む。酸素供給源は、例えば、酸素タンクまたは外部酸素源とすることができる。空気ポンプは、酸素が利用できない場合などに、灌流液に空気を送り込むことができる。空気ポンプは、自律型、再充電可能、および再利用可能とすることができる。空気ポンプは灌流装置に組み込むことができ、灌流液の酸素圧を最大24時間以上にわたって生理学的レベルに維持するように設計される。ユーザは、酸素または空気を流すか、2つを交互に流すかを選択することができる。この酸素供給システムによれば、ユーザはドナーサイトでの回路セットアップ時に、移植病院への到着時に、またはその中間の任意の場所で外部酸素源を接続して、灌流酸素圧を超生理学的レベルまで急速に充填することができる。
【0012】
臓器用の例示的な灌流装置は、臓器を置くことができるカセットまたはボウルを含む。臓器は、好ましくは肝臓、腎臓、心臓、肺または腸であり得るが、任意のヒトまたは動物、天然または人工の、健康な、損傷したまたは病気の臓器または組織であり得る。カセットは、臓器が装置内にあるときに臓器が置かれるクレードルを保持してもよい。カセットおよび/または灌流装置は、粗大粒子フィルタとして機能し得るフィルタを含んでもよい。カセットおよび/またはクレードルは、好ましくは、臓器の周りに灌流液浴を形成するように構成される。臓器カセットは、搬送装置、灌流装置および臓器診断装置、および/または他の装置の間の移行中などの、搬送、回収、分析および保管中に中断なしの無菌状態および効率的な熱伝達を提供するように構成することができる。
【0013】
カセットまたは灌流装置は、クレードル内またはクレードルの近くに配置または焦点を合わせた温度センサも含むことができる。カセットまたは装置は複数の温度センサを含み、故障の場合に冗長性を提供することおよび/または複数の場所での温度測定を提供することもできる。好ましくは、温度センサは赤外線温度センサである。温度センサは、温度センサの有用性と精度を向上させるために、臓器をクレードル内に置くときに、臓器にできるだけ近い位置に置くことが好ましく、これにより、臓器の温度に関連する灌流液の温度測定を行うことができる。代わりにまたは加えて、温度センサを使用して臓器の温度を直接測定することもできる。
【0014】
カセットまたはボウルは、好ましくは、氷、氷水、塩水などの低温材料を収容できる断熱冷媒容器の凹部内に配置される。冷媒容器は、恒久的または取り外し可能に装置に取り付けても、または装置と一体のモノリシック部分としてもよい。したがって、使用中、臓器は、冷媒容器内に配置されたボウルまたはカセット内に配置されたクレードル内に置かれる。冷媒容器、ボウルまたはカセット、およびクレードルの構成は、好ましくは、冷媒容器の内容物が臓器またはクレードルに接触することなく臓器を冷却する構成を提供する。本明細書では、冷媒容器は氷または氷水を含むものとして説明されているが、任意の適切な冷媒を使用することができる。氷または氷水は容易に調達できるために好ましいかもしれないが、任意の適切な冷却媒体、例えば能動冷却媒体(熱電冷却器または冷媒ループなど)または氷または氷水またはそれらの組み合わせに類似する受動冷却媒体を、利用してもよいことは当業者に理解されよう。冷媒容器内に入れることができる氷または他の冷却媒体の量は、臓器が装置内にある間に冷却が提供される最大時間に基づいて決定すべきである。
【0015】
クレードルは、臓器を所定の位置にしっかりと固定するように構成された構成要素を含むことができる。そのような構成要素は、たとえば、クレードルに固定されたユーザ選択可能なネットを含み得る。ユーザ選択可能なネットは、臓器が処理または移動される間、臓器を所定の位置に保持する。例えば、臓器は、ボウルまたは灌流装置に配置される前に処理される間(例えば、血管系のトリミング、カニューレの取り付けなど)、クレードル上にネットで所定の位置に保持し得る。同様に、臓器は、臓器がクレードルと共にボウルに移動されるとき、ボウルが冷媒容器内に移動されるとき、および装置自体が搬送中に移動されるときに、所定の位置に保持し得る。
【0016】
例示的な酸素供給システムが図1に示されている。この酸素供給システムは、臓器搬送器の灌流装置に組み込んで一体化することができる。例えば、酸素供給システムは、冷媒容器の蓋または臓器搬送器の氷バケツに組み込むことができる。この酸素供給システムは、酸素回路と空気回路を含む。ユーザは、酸素供給システムから酸素または空気をカセットの灌流液浴に直接送り込むか、空気と酸素を切り替えるかを選択できる。いくつかの実施形態では、灌流液への空気および/または酸素の圧送の選択は、手動でも、自動でもまたはプログラムしてもよい。例えば、空気回路に切り替えて灌流液に空気を供給する前に、一定時間酸素を供給するようにコントローラを事前にプログラムすることができる。酸素供給システムからカセット内の灌流液浴に酸素または空気を供給するためのチューブは、灌流液浴内に沈めてよい。いくつかの実施形態において、チューブの先端は、カセットの底部または底部近くに配置してもよく、または他の適切な位置、例えばカセットの灌流液浴内の任意の位置に配置してもよい。チューブは、酸素および/または空気を灌流液中にバブリングする手段を含んでもよい。例えば、チューブには、酸素または空気が灌流液中にバブリングされるように、灌流液浴に沈められたチューブの端部または他の部分に沿って1つ以上の孔を形成することができる。酸素または空気を灌流液中にバブリングすることにより、酸素の分圧レベルが上昇する。このような酸素補給は、例えば移植を目的としたドナー臓器の低体温マシン保存中に有益であり得る。低体温マシン保存中に臓器に酸素を補給すると、移植後の患者の転帰が良くなり得る。
【0017】
図1に示すように、酸素回路は外部酸素源または酸素タンクを接続するためのポートまたは入口を含む。ポートは、ルアータイプの継手またはその他の適切な継手を含んでよい。酸素ポートへの酸素供給は、O流量計で調整することができる。流量計は、酸素流量の精密制御のためにニードル/シート制御バルブを含むことができる。酸素は、例えばルアー接続部などの酸素入口を介して、または以下でより詳細に説明するバイオフィルタなどのフィルタへの直接ルアー接続部を介して、酸素供給システムに流入させることができる。酸素供給源が酸素ポートに接続されている場合、酸素はこのポートを通過すると、酸素逆止弁および/または「T」または「Y」継手を通って下流へ第2のポートまたは出口へと流れることができる。 「T」または「Y」継手は、酸素回路と空気回路を接続することができる。あるいは、酸素回路および/または空気回路は、酸素および/または空気を灌流液に供給するための別個のポートおよびチューブで分離することができる。例えば、フィルタまたはカセットは、酸素および空気を供給する別々のチューブを受け入れる2つのポートを有してもよい。酸素供給システムには、以下でより詳しく説明されるように、酸素供給システムとバイオフィルタの間に安全な接続を提供する1つ以上のルアーロック継手または他の適切な継手を備えた1つ以上の出口ポートがあってもよい。
【0018】
空気回路では、室内空気などの周囲の空気が吸気口から入り得る。吸気口は、ルアータイプの継手または他の適切な継手を備えてよい。空気が吸気口から第2のポートまたは出口に流れ、カセットの灌流液浴に流れるように空気ポンプを構成することができる。空気は、空気ポンプから出ると、空気逆止弁および/または「T」または「Y」継手を通って下流へ出口ポートへと流れる。システムの蓋が開いているか閉じているとき、酸素および空気を流すことができる。
【0019】
以下に説明する酸素および空気の逆止弁とフィルタは、汚染の問題を防止する。例えば、酸素および空気逆止弁は、ガスおよび/またはベントラインの逆流と関連する汚染問題を防ぐことができる。例えば、バルブは、逆流を防ぐために逆流防止バルブとして構成することができる。酸素および空気逆止弁は、手動でまたはコントローラによって自動で制御できるオン/オフスイッチなど、任意の適切な弁または他のデバイスとすることができる。
【0020】
空気および/または酸素が出口ポートを通って流れると、チューブを通ってカセットおよび灌流液に流入する。バイオフィルタまたは他の適切なフィルタなどの1つまたは複数のフィルタを、第2のポートとカセットの間に設けることができる。フィルタは、例えばルアーロック継手または他の適切な継手を介して酸素供給システムの出口ポートに接続されたチューブの外側端部に結合することができる。カセットと灌流回路との間に1つまたは複数のフィルタを配置することもできるが、これについては後で詳しく説明する。例えば、フィルタは、酸素供給システムとカセットとの間、酸素供給システムの上流、カセットと灌流回路との間、および/または他の適切な場所に配置することができる。
【0021】
1つ以上のフィルタは、汚染の問題を防止する。例えば、フィルタは、汚れ、ほこり、液体、および他の汚染物質の通過を制限しながら、酸素供給システムからカセットおよび灌流液への清浄な空気および/または酸素の通過を促進することができる。バクテリアの通過を防ぐために、バイオフィルタや微生物フィルタなどのフィルタの孔径を選択することができる。例えば、フィルタは、無菌酸素および/または空気のみをカセットに侵入可能にするために、0.22ミクロンの孔径を有するものとしてよい。
【0022】
フィルタは、例えば、酸素供給システムから供給される酸素および/または空気の無菌性を保証するか、さもなければ汚染を防止するための微生物フィルタとしてもよい。当業者に理解されるように、フィルタの代わりに、酸素の無菌性を保証するまたは酸素の汚染を防止するための任意の適切なデバイスを設けてもよい。酸素および/または空気供給の無菌性を保証するまたは汚染を防止するために利用される任意のデバイスは、使い捨てコンポーネントとしてもよい。
【0023】
酸素供給システムまたはフィルタの出口を出た後の酸素および/または空気が流れるチューブは、チューブが灌流液内に沈むように先端を重くしてよい。図1に示すように、重み付きの先端によってチューブはカセットの底に保持される。図1に示すように、酸素および空気を灌流液中にバブリングするためにチューブに孔をあけることができる。図1に示すように、バブラーの先端を正確に位置付け、方向付けるために、カセットの内側に小さいモールドイン成形されたボスを設けることができる。酸素を灌流液中にバブリングすることによって酸素レベルが上昇する。このような補助酸素は、臓器の低温マシン保存中に有益であり得る。たとえば、補助酸素による移植目的の灌流臓器は移植後の患者の転帰を改善することができる。
【0024】
空気ポンプは、灌流装置に空気を送り込むのに適した任意のポンプとしてよい。例えば、空気ポンプは、DC空気ポンプなどの電気機械式圧力発生器としてよい。ポンプ速度は、5位置ポテンショメータなどのポテンショメータによって制御することができる。例えば、ポンプ流量は、約25ml/分から約500ml/分、約50から約250ml/分、約100ml/分から約200ml/分、または約150ml/分から約250ml/分としてよい。空気ポンプは断続的に作動してよい。ポンプはコントローラ、例えば制御PCBやその他の適切なコントローラなど、で制御してよい。例えば、コントローラは、ユーザの入力に基づいて、空気を灌流液に供給するよう空気ポンプに指示するか、酸素回路を介して灌流液に酸素を供給するよう指示することができる。
【0025】
本装置は、酸素および/または空気を灌流液にポンプで送り込むことができる。例えば、臓器を装置に接続する前の準備中に灌流液に酸素を送り込むことができる。酸素または空気は、約30分から3時間、約1時間、約2時間、または他の適切な時間の準備中に灌流液に送り込むことができる。一実施形態では、一定期間にわたって灌流液に酸素を送り込んだ後、装置を切り替えて、灌流液に空気を送り込むことができる。あるいは、灌流液に空気を送り込んだ後、酸素を送り込むように装置を切り替えてもよい。別の実施形態では、一定期間にわたって灌流液に酸素を送り込んだ後、空気に切り替える代わりに、カセットのヘッドスペース内の利用可能な酸素を酸素供給システムを通してバブラーに再循環させることができる。そのような実施形態では、ポンプを汚染から保護するために、再循環システムの吸入口と排出口の両方にバイオフィルタなどのフィルタを設けてもよい。ユーザは、灌流液に酸素を送り込むか、空気を送り込むかを選択することができる。いくつかの実施形態では、酸素と空気の組み合わせを灌流液に送ることができる。
【0026】
電子モジュールも臓器搬送器内に収容してよい。電子モジュールは、通気空気の対流によって冷却することができ、さらにファンによって冷却することができる。電子モジュールは、灌流液が電子モジュールを濡らすのを防ぐとともに電子モジュールから灌流液へ外部熱が加わるのを避けるために、灌流および酸素供給/空気チューブから離して配置することができる。
【0027】
酸素供給システムを図1に示される特定の実施形態に関して説明したが、任意の適切なデバイス、バルブ、フィルタ、チューブ、ポンプ、およびそれらの配置を使用してもよい。
【0028】
図2は、空気ポンプの電気回路の概略図を示す。ポンプは電池で駆動することができる。電池は再充電可能としてよく、好ましくは急速に再充電できるものとしてよい。例えば、電池は、再充電可能なリチウムイオン、リチウムイオンポリマー、鉛酸、ニッケルカドミウム、ニッケル金属水素化物、および固体電池としてよい。臓器は頻繁に航空機で輸送されるため、電池パックは航空機に搭載可能ものを選択することができる。空気ポンプは、1回の充電で最大24時間以上動作可能にする。電池の充電状態および/または電源状態を示すために、1つまたは複数のLEDインジケータを臓器搬送器に設けることができる。酸素供給システム内の電池を充電するために、USBポートまたはマイクロUSBポートを設けてもよい。 USBポートは防水であることが好ましい。 USBポートは、簡単にアクセスできるように酸素供給システムの側面に配置いてよい。例えば、酸素供給システムが臓器搬送器に組み込まれる場合、USBポートは搬送器の側面、または冷媒容器または氷バケツの蓋などの輸送機器の構成要素の側面に配置することができる。
【0029】
灌流装置および統合酸素供給システムは、電源オン/オフスイッチを含む統合制御パネルを含んでよい。オン/オフスイッチは防水であることが好ましい。コントロールパネルは、充電状態インジケータ、電源状態インジケータ、注入圧、エラーまたは故障状態、流量、流れ抵抗、注入温度、浴温度、ポンプ作動時間、温度プロファイル(最大および最小)、蓋の開閉、履歴ログまたはグラフ、および追加のステータスの詳細及びメッセージなどの特性を表示するが、これらに限定されず、これらの一部またはすべては、データ保存および/または分析のために遠隔地にさらに送信可能である。たとえば、図2に示すように、充電状態および電源状態インジケータは、たとえばLEDとして設けることができる。ポンプ圧力や臓器の血管抵抗などのさまざまな臓器特性を監視するために、流量および圧力センサまたはトランスデューサを設けることができ、それらの特性はコンピュータメモリに保存して、たとえば圧力上昇などの装置の障害の検出に加えて血管抵抗履歴を分析することを可能にする。
【0030】
灌流装置と酸素供給システムは、効率的な熱伝達が可能になるように、臓器搬送器内にぴったり入るまたは嵌るように構成される。好ましくは、臓器搬送器は、灌流装置および酸素供給システムを収容するため区画室を含む。例えば、臓器搬送器はカセットから区画室に含まれる冷媒への熱移動を利用し得る。この熱移動によって搬送器は灌流液の望ましい温度を維持することができる。
【0031】
臓器から排出された灌流液および/またはカセット内の灌流液浴に含まれる灌流液はポンプによって配管を通して送り出されて灌流回路を循環する。灌流回路は、以下に詳細に説明されるように、フィルタ、センサ、酸素供給器およびバブルトラップを含むことができる。例示的な灌流装置では、カセットから送り出された灌流液は粗大粒子フィルタなどのフィルタに通すことができる。フィルタを通過した後、灌流液は、可撓性または剛性チューブなどの適切な流体導管、ポンプ、圧力センサ、第2のフィルタ、酸素供給器、気泡トラップを含む第1の流路に沿って流れ、それらの各々については以下で説明される。第1の流路は、門脈流路および肝流路(以下で説明される)の一方または両方と組み合わせて、灌流液を臓器に供給して灌流液を再循環させる再循環灌流液流路を形成することができる。
【0032】
第1のフィルタは、(第2のフィルタに対して)比較的粗いフィルタであることが好ましい。このような粗いフィルタは、例えば臓器またはドナーから除去される臓器の副産物であり得る大きな粒子が装置の流路に入り、詰まるのを防ぐために設けることができる。第1のフィルタはカセットの一体部分としてもよく、または第1のフィルタはカセットの下流の第1の流路の他の場所に配置してもよい。例えば、第1のフィルタは、カセットとは別個の構成要素としても、流体導管内に配置してもよい。
【0033】
第1の流路はポンプを含んでもよい。ポンプは、臓器の灌流に関して適切な任意のポンプとしてよい。適切なポンプの例には、手動ポンプ、遠心ポンプ、ローラポンプなどがある。ローラポンプを含む場合、ローラポンプは単一のチャネルまたは流路(この場合、1つのチューブのみがローラで圧縮される)を含むか、複数の平行なチャンネルまたは流路(この場合、複数のチューブがローラで圧縮される)を含むことができる。複数の互いに平行なチャネル又は流路を含む場合、複数のローラは互いに位相を異ならせて又はオフセットして配置するのが好ましく、これによりローラによって生ずるパルスの位相が異なり、その結果、ローラポンプからの流体流は、脈動性が単独ローラで生ずるよりも比較的少なくなる。このような複数のチャネルを有するローラポンプは一定の流量、又は脈動性が少ない流量が得られ、流路における他のコンポーネント及び/又は灌流している臓器のタイプによっては有利となり得る。
【0034】
流路は圧力センサを含むことができる。圧力センサは、好ましくは、ポンプ吐出口で生ずる圧力を適当なコントローラによって監視及び/又は制御するために、ポンプの吐出口以降に配置してよい。圧力センサは圧力の連続的又は周期的な監視を行うことができる。
【0035】
流路は、灌流液に酸素供給する酸素供給膜又は酸素供給体のような酸素供給器を含むことができる。酸素は、例えば酸素発生器または酸素濃縮器によって供給することができ、これらは本装置と別体であっても本装置と一体であってもよい。例えば、酸素発生器または濃縮器は装置内に含めてもよく、または酸素発生器または濃縮器は、本装置に接続されて本装置に酸素を供給する外部装置としてもよい。酸素は、任意の適切な手段、例えば、分子篩(ゼオライトなど)を使用した圧力スイング吸着、セラミック酸素発生器(固体酸素ポンプ)、または水の分解などによって発生させることができる。上述の各タイプの酸素発生器または濃縮器は、本装置と別体に構成しても、一体に構成してもよいが、いくつかのデバイスは一体にまたは別体に構成するのがより有利であり得る。例えば、電気化学的酸素発生器は比較的コンパクト(貯水槽を含めて数立方インチ程度)であり、したがって一体構成によく適合し得るが、圧力スイング吸着デバイスは比較的大きく(吸着剤容器のサイズ及びコンプレッサなどの加圧空気源の必要性のため)、したがって、別体構成にするのに適している。
【0036】
酸素発生器または濃縮器は、好ましくは、灌流液に酸素を供給するためにリアルタイムで酸素を生成するが、酸素消費要件および酸素生成のために選択した技術に応じて酸素を短期間または長期間生成し保存してもよい。酸素発生器または濃縮器は、灌流液に酸素を供給する必要性および/または酸素を生成するために使用するデバイスのタイプに応じて、連続的または非連続的に酸素を生成してもよい。本装置は、酸素発生器または濃縮器の出口から酸素供給器への配管または導管内に含まれる残留酸素を除いて、酸素発生器または濃縮器から生成された酸素の酸素貯蔵がないように構成することができる。言い換えれば、本装置は、酸素貯蔵用に特に構成された構造を含まないことが好ましい。装置10は、酸素供給器に供給される酸素の無菌性を保証するか、さもなければ汚染を防止するために、微生物フィルタなどのデバイスを含むことができる。好ましくは、そのようなデバイスは、酸素発生器または濃縮器と酸素供給器の間に配置されるが、酸素発生器または濃縮器の上流または両方の上流に配置してもよい。好ましくは、酸素供給の無菌性を保証するため、もしくは汚染を防止するために利用されるデバイスは使い捨てコンポーネントとしてよい。当業者によって理解されるように、酸素の無菌性を確保するまたは酸素の汚染を防止するためには微生物フィルタの代わりに任意の適切なデバイスを設けてもよい。
【0037】
流路は、灌流液に酸素供給するために酸素供給膜または酸素供給体などの酸素供給器を含んでよい。酸素は任意の適切な手段によって酸素供給器に供給することができる。適切な酸素源としては純酸素または空気などの混合ガスが含まれ得る。ガスは、高圧シリンダなどに圧縮しても、デュワー瓶に貯蔵されるように液化しても、周囲の大気から引き込んでもよい。好ましくは、酸素は、装置とは別体であっても装置と一体であってもよい酸素発生器によって供給してもよい。酸素は、分子篩を使用した圧力スイング吸着、セラミック酸素発生器(固体酸素ポンプ)、または水の分解などの任意の適切な手段で生成してもよい。
【0038】
流路は気泡トラップを含むことができる。気泡トラップは、好ましくは、灌流液に取り込まれた気泡を分離し、こうした気泡が下流に流れて臓器に流入するのを防止する。気泡トラップはさらに、灌流液の脈動性を減少又は排除するアキュムレータとしても機能し得る。気泡トラップは、初期的に又は気泡の蓄積により或る量のガスを溜めることができ、それにより、灌流液の圧力変化を緩衝又は排除することができる。
【0039】
また、気泡トラップはベントを有し、これにより起動処理中又はパージ処理中にガスをパージすることができる。ベントは、(後で詳述する)パージ流路に接続しても、パージ流路の一部としてもよい。好ましくは、ベントは起動処理中に開き、それにより、あらゆる空気又はその他のガスが灌流浴からパージされる。ガスが灌流浴からパージされると、即座にベントを閉じるのが好ましい。ベントは、手動で閉じても、適切なコントローラを用いて自動で閉じてもよい。
【0040】
気泡トラップは、レベルセンサを含むことができる。レベルセンサは、パージ処理中にパージの完了時を判定するために随意的に用いること及び/又は気泡が気泡トラップに溜まった後に起こり得るパージ処理を繰り返す必要がある時を判定するために用いることができる。また、レベルセンサ及びベントを用いることにより、気泡トラップのアキュムレータ機能を、灌流液流の脈動の振幅及び周波数を異ならせるように調整することができる。
【0041】
気泡トラップは、灌流装置の特定用途の必要に応じて、多数の出口を有することができる。例えば、3つの出口を3つの異なる流路に接続することができ、これは特に肝臓の灌流に適している。肝臓を灌流する場合、3つの流路は、肝臓の門静脈に接続する門静脈流路と、肝臓の肝動脈に接続する肝動脈流路と、カセットまたはボウルへの帰還路を形成するバイパス流路とを含むことが好ましい。どの流路も、灌流溶液への流体アクセスを可能にするポートを有することができる。ポートは気泡トラップに位置させるのが好ましい。このポートは、好ましくは、ルアー型の継手を含み、これによりユーザは分析のための灌流液のサンプルを少量だけ抽出することができる。ユーザはこのポートを用いて、カセットまたはボウルを開くことなく、薬剤を灌流液に投入することもできる。いくつかの実施形態では、2つ以上の酸素供給器および/または気泡トラップを設けることができる。例えば、酸素供給器および気泡トラップは、門脈流路および肝動脈路の各々に設けることができる。そのような構成は、門脈流路および肝動脈流路のそれぞれにおける異なるレベルの酸素供給を可能にし得る。単一の酸素濃縮器または発生器は、門脈流路と肝臓流路の両方に酸素を供給してもよく、または各流路に別個の酸素濃縮器または発生器を設けてもよい。単一の酸素濃縮器または発生器が両方の流路に酸素を供給する場合、オン/オフバルブなどの適切なバルブおよび/または圧力調整器によって各流路に供給される酸素を制御し相違させることができる。
【0042】
門静脈流路及び肝動脈流路は、随意に類似の又は異なるコンポーネント、例えば、バルブ、気泡センサ、フローセンサ、フロー制御クランプ、及び圧力センサを含むことができる。各類似のコンポーネントは類似の態様で機能することができ、またこのようなコンポーネント対は、製造コストを削減するために随意に構造的及び/又は機能的に同一にすることができる。フローセンサは、任意の適切なセンサを使用し得るが、チューブの周囲に配置される超音波センサとするのが好ましい。超音波センサは、通常使用時において灌流液と接触することがなく、無菌流路内に配置されないために有利である。このような超音波センサの実装は、使用後に交換及び/又は洗浄を必要とせず好都合である。
【0043】
バルブは、チューブを押しつぶして流れを減少又は遮断する機能を果たすピンチバルブとすることができるが、任意の適切なバルブを用いてもよい。ピンチバルブは、通常使用時において灌流液と接触することがなく、無菌流路内に配置されないため、使用後に交換及び/又は洗浄を必要とせず好都合である。
【0044】
気泡センサは、チューブの周囲に配置される超音波センサであることが好ましいが、任意の適切なセンサを用いてもよい。ピンチバルブと同様に、超音波センサは、通常使用時において灌流液と接触することがないため、使用後に交換及び/又は洗浄を必要とせず好都合である。その代わりに、超音波センサは、気泡を感知できるように、チューブの外面に接触して、近接して又はその周りに配置することができる。
【0045】
フロー制御クランプは、門静脈流路及び肝動脈流路の一方又は双方における流量の微調整のために用いることができる。好ましくは、臓器は、気泡トラップから流出して門静脈流路と肝動脈流路に分岐する流量を制御する自己調節を備える。このような自己調節フローにおいて、圧力センサは過剰圧力を監視する。門静脈流路及び肝動脈流路の一方又は双方で臓器に送り込まれる圧力が所定閾値を上回ると、装置は、ポンプによって供給される流量を自動的に停止及び/又は減少させ、臓器への損傷を防止する。加えて又は代わりに、圧力センサを用いて、圧力が所定閾値に近づくと警告信号をユーザ及び/又は適切なコントローラに発生させることができる。
【0046】
灌流液は、門脈流路および肝臓流路の一方または双方から流出した後に、臓器を貫流してボウルに戻り、臓器浴を形成する。
【0047】
バイパス流路は、バルブならびに/または酸素センサおよびpHセンサなどのセンサを含んでもよい。好ましくは、このバルブはピンチバルブであり、前述のバルブと同様な構造としてもよいが、任意の適切なバルブを用いてもよい。酸素センサおよびpHセンサは、灌流液の状態を決定するために用いることができる。バイパス流路は、パージ処理またはプライミング処理中にのみ用いることが好ましいが、このバイパス流路は、灌流液の特性をリアルタイムに監視するために、灌流中、好ましくは連続的に用いてもよい。
【0048】
臓器灌流装置は加速度計を有することもできる。好適には、加速度計は3軸加速度計とするが、同じ効果を得るために複数の1軸加速度計を使用してもよい。加速度計を使用して、装置の状態を連続的又は周期的に監視及び/又は記録することができる。監視は、装置の過剰な衝撃並びに姿勢を監視することを含む。このような監視を実施することにより、装置の誤用又は潜在的に不適切な状態を検出及び記録することができる。
【0049】
装置は、臓器以外のアイテムのための保管隔室を含むことができる。例えば、装置は、臓器に関連するドキュメント及び/又はチャートを保管するドキュメント隔室を含むことができる。装置は1つ又は複数のサンプル隔室を含むことができる。サンプル隔室は、例えば、流体及び/又は組織のサンプルを保管するよう構成することができる。サンプル隔室は、臓器を冷却するのと同様の又は同等の冷却を行うため、冷媒容器の近くに配置するのが有利である。
【0050】
装置は、1つ又は複数のタンパエビデントクロージャーを含むことができる。タンパエビデントロージャーは、装置が無許可の時間及び/又は場所で、及び/又は無許可の人によって開封されたことをユーザに警告するために使用することができる。タンパエビデントは、臓器及び/又は装置を使用する前に、追加的な検査、スクリーニング等を行うようユーザに警告することができる。
【0051】
臓器搬送装置は、臓器または組織を場所から場所へ運搬することができるように、持ち運び可能であることが好ましく、1人または2人で運搬でき、自動車または小型飛行機に積載できる大きさとする。灌流装置及び統合酸素供給装置は、好ましくは、持ち運び可能に設計され、例えば、長さ42インチ(1.0668メートル)×幅18インチ(0.4572メートル)×高さ14インチ(0.3556メートル)未満のサイズで、実装システム一式(例えば、搬送装置、消耗部品、臓器、氷および3リットルの潅流液溶液)の重量を含む90ポンド(約40.8233キログラム)未満の重量の臓器搬送装置とすることができる。
【0052】
本明細書では、好適な本発明の実施形態とともにいくつかの変形例を記載し、示した。本明細書で用いる用語、記載および図は、例示のためのみに供するものであり、限定を意図するものではない。当業者であれば、本発明の趣旨および範囲内で多くの変更が可能であることを理解するであろう。
図1
図2