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特許7236412エネルギーのワイヤレス電磁伝達のためのコイル配列、及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】エネルギーのワイヤレス電磁伝達のためのコイル配列、及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 38/14 20060101AFI20230302BHJP
   H01F 38/18 20060101ALI20230302BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20230302BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20230302BHJP
【FI】
H01F38/14
H01F38/18 Q
H02J50/10
H02J50/40
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020127223
(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公開番号】P2021027346
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2020-08-19
(31)【優先権主張番号】10 2019 211 399.0
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515028838
【氏名又は名称】ウルト エレクトロニク アイソス ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】セム ソム
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー シャッフェルホーファー
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-063683(JP,A)
【文献】特公昭58-003365(JP,B1)
【文献】実公昭63-036651(JP,Y2)
【文献】特開2011-101485(JP,A)
【文献】特開2013-121247(JP,A)
【文献】特開2013-140880(JP,A)
【文献】特開2018-029169(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19948454(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0029343(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 5/00、17/00、27/28、38/14、38/18
H02J 50/10-50/12、50/40
H05K 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーのワイヤレス電磁伝達のためのコイル配列であって、
-主延在方向(15)を形成するキャリア要素(14)と、
-複数のコイル(S~S;S~S、S’~S’)と
を有し、
前記コイル(S~S;S~S、S’~S’)の少なくとも一部は、前記主延在方向(15)で前記キャリア要素(14)に取り付けられ、互いに接続されているコイル配列において、
前記キャリア要素(14)は、フェライト材料を含むこと、
前記コイル(S ~S ;S ~S 、S ’~S ’)との接触を形成するための少なくとも1つの接触要素(16)が、前記キャリア要素(14)上に配置されること、
前記少なくとも1つの接触要素(16)は、前記主延在方向(15)に互いに離間し、接続領域(V)によって互いに接続された第1接触領域(K )及び第2接触領域(K )を含むこと、
前記キャリア要素(14)は、ミシン目及び/又はノッチ配列として設計された少なくとも1つの所望の分離位置(T)を含むこと、
前記第1接触領域(K )及び前記第2接触領域(K )は、前記主延在方向(15)に対し垂直方向に、前記接続領域(V)よりも広い幅を有すること、
前記少なくとも1つの所望の分離位置(T)は、前記接続領域(V)に延びること、及び、
部品(11)に取り付けるための取り付け手段(17)が、前記コイル(S~S;S~S、S’~S’)とは反対側の前記キャリア要素(14)の面に配置されることを特徴とするコイル配列。
【請求項2】
前記キャリア要素(14)は厚さDを有し、前記厚さDは、0.1mm≦D≦2.5mmが適用されることを特徴とする請求項1に記載のコイル配列。
【請求項3】
前記キャリア要素(14)は、前記部品(11)の曲面(O)上に配置するための変形可能な構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコイル配列。
【請求項4】
前記少なくとも1つの所望の分離位置(T)は、直列に接続された前記コイル(S~S;S~S、S’~S’)の間に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコイル配列。
【請求項5】
前記キャリア要素(14)は、前記主延在方向(15)に間隔を置いて配置された複数の所望の分離位置(T)を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコイル配列。
【請求項6】
前記コイル(S~S;S~S、S’~S’)は、螺旋状に巻かれていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のコイル配列。
【請求項7】
前記コイル(S~S;S~S、S’~S’)はそれぞれ、角度αだけ互いに角度をなして配置された2つの接続接点(A、A)を含み、
前記角度αは、60°≦α≦300°が適用されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のコイル配列。
【請求項8】
エネルギーのワイヤレス電磁伝達のための装置であって、
-ワイヤレス方式で伝達可能なエネルギーを送信するための送信ユニット(2)と、
-ワイヤレス方式で伝達されるエネルギーを受信するための受信ユニット(3)を有し、
前記ユニット(2、3)の少なくとも1つは、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のコイル配列(9)を含むことを特徴とする装置。
【請求項9】
エネルギーのワイヤレス電磁伝達のためのコイル配列部品であって、
-回転軸(12)を中心に回転可能であるように据え付けられた部品(11)と、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のコイル配列(9)とを有し、
-前記キャリア要素(14)は前記部品(11)に取り付けられ、
-前記コイル(S~S;S~S、S’~S’)は、前記回転軸(12)の周りに配置されていることを特徴とするコイル配列部品。
【請求項10】
コイル配列部品の製造方法であって、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のコイル配列(9)を提供する工程と、
-前記コイル(S~S;S~S、S’~S’)が、回転軸(12)の周りに配置されるように、前記キャリア要素(14)を、前記回転軸(12)を中心に回転可能であるように据え付けられた部品(11)に取付ける工程と
を備えるコイル配列部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギーのワイヤレス電磁伝達のためのコイル配列、及び装置に関する。また、本発明は、コイル配列部品、及びそのようなコイル配列部品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業設備では、一般に、静止部品と回転部品の間でエネルギーを伝達する必要がある。例えば、シャフトに配置されているセンサなどのコンシューマ(消費機器)にエネルギーを供給するため、回転するシャフトにエネルギーを伝達する必要があろう。エネルギーのワイヤレス電磁伝達は、このようなアプリケーションに役立つことを証明している。
【0003】
送信ユニット及び受信ユニットを有する、エネルギーのワイヤレス電磁伝達のための装置は、特許文献1から知られている。受信ユニットは、複数のコイルがその上に配置され、互いに接続されているキャリア要素を備える。キャリア要素は、例えば、回転部品の曲面に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-63683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、多種多様な回転可能な部品に容易かつ柔軟に使用できる、エネルギーのワイヤレス電磁伝達のためのコイル配列を提供するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を有するコイル配列によって達成される。本発明によるコイル配列は、エンドレスコイル配列によって容易かつ柔軟に提供され得る。この目的のために、エンドレスコイル配列又はコイル配列は、主延在方向に繰り返す構造を有する。エンドレスコイル配列又はコイル配列は、好ましくはモジュール設計のものである。これらコイルは、特に、キャリア要素に接合される。本発明によるコイル配列は、エンドレスコイル配列から容易かつ柔軟に分離できる。この目的のために、キャリア要素は、主延在方向に対して横方向に、好ましくは互いに接続された2つのコイルの間で分離され、それによりキャリア要素又はコイル配列が、回転可能な部品の円周Uに実質的に対応する、主延在方向の長さLを有する。長さLに関して適合されたコイル配列は、続いて、部品の回転軸周りに容易に取り付けることができる。したがって、コイル配列は、回転部品への、又は回転部品からのエネルギーのワイヤレス電磁伝達に使用できる。
【0007】
エンドレスコイル配列は、主延在方向に長さLを有し、以下が適用される:1m≦L≦200m、特に5m≦L≦100m、特に10m≦L≦50m。Z個のコイルがキャリア要素に取り付けられている。特に個数Zには、以下が適用される:10≦Z≦2000、特に50≦Z≦1000、特に100≦Z≦500。エンドレスコイル配列のキャリア要素は、主延在方向に対して垂直方向に幅Bを有し、好ましくは以下が適用される:1≦L/B≦1000、特に2≦L/B≦800、特に4≦L/B≦600。エンドレスコイル配列は、例えば、リールの形態で巻き付けられるか、及び/又はリールパッケージに配置される。
【0008】
少なくとも1つの所望の分離位置により、コイル配列は、実質的に回転部品の円周に対応する長さL を有するエンドレスコイル配列から分離できる。少なくとも1つの所望の分離位置は、主延在方向に対して横方向に、特に垂直に延びる。少なくとも1つの所望の分離位置は、例えば、ミシン目及び/又はノッチ配列として具体化される。フェライト材料は、エネルギーの効率的な伝達を容易にする。フェライト材料は、磁場を誘導、増幅、及び/又は遮蔽する。
【0009】
請求項2に記載のコイル配列は、容易かつ柔軟な使用を保証する。厚さDによりキャリア要素は、一方では回転可能な部品の湾曲した表面に取り付けるための十分な可変形性を有する。他方、厚さDは、それらコイルをキャリア要素に取り付けるための十分な安定性を保証する。厚さDは、鉛直方向におけるキャリア要素表面に対して垂直に定義される。
【0010】
請求項3に記載のコイル配列は、容易かつ柔軟な使用を保証する。キャリア要素が変形可能、特に屈曲可能及び/又は伸縮可能に具体化されるという事実により、キャリア要素は、容易かつ柔軟に曲面に適合され、そこに取り付けられる。その結果、コイル配列を回転部品の円周に沿って容易に配置できる。
【0011】
請求項1に記載のコイル配列は、容易かつ柔軟な使用を保証する。コイル配列は、取り付け手段を使用して、キャリア要素によって部品の曲面に容易に取り付けできる。適切な取り付け手段は、例えば、接着剤又は接着剤層、両面接着テープ、接着フィルム、及び/又は面ファスナーである。
【0012】
請求項4に記載のコイル配列は、容易かつ柔軟な使用を保証する。少なくとも1つの所望の分離位置は、直列に配列されたコイルの間に配置されるという事実により、一方では、コイル間の接触を容易に排除でき、他方では、コイルの損傷や破壊を防ぐことができる。
【0013】
請求項5に記載のコイル配列は、容易かつ柔軟な使用を保証する。所望の分離位置により、長さLは、小さなモジュール寸法ΔLで回転部品の円周Uに適合させることができる。モジュール寸法ΔLは、コイルの直径によって設定できる。モジュール寸法ΔLが小さいほど、コイル配列をより正確にその長さLで回転部品の円周に適合させることができる。複数の所望の分離位置が主延在方向に離間していることから、キャリア要素は、それぞれ主延在方向に連続して配置されたコイル間で分割できる。キャリア要素は、好ましくは、それぞれの場合において、主延在方向に互いに隣接して配置された2つのコイルの間に所望の分離位置を有する。それぞれの所望の分離位置は、好ましくは、直列に配置されたコイルの間に配置される。所望の分離位置は、主延在方向に対して横方向に延び、特に垂直に延びる。所望の分離位置は、例えば、ミシン目及び/又はノッチ配列として形成される。
【0014】
請求項6に記載のコイル配列は、容易かつ柔軟な使用を保証する。コイルが螺旋状に巻かれていることから、それらはフラットコイルとして具体化される。それらコイルは、好ましくはそれぞれ最大で2つの巻線層を有し、特に正確には1つの巻線層を有する。コイルは、それぞれのコイル軸がキャリア要素の表面に対して実質的に垂直に延びるようにキャリア要素に取り付けられる。螺旋状のコイルの形成により、それらは回転部品の曲面に簡単かつ柔軟に適合でき、他方では、回転部品でのアンバランスを比較的ほとんど発生させない。
【0015】
請求項7に記載のコイル配列は、容易かつ柔軟な使用を保証する。各コイルの2つの接続接点の配置により、コイルは、キャリア要素に主延在方向で容易かつ柔軟に連続して取り付けでき、互いに接続できる。好ましくは角度αに以下が適用される:α=90°及び/又はα=180°。
【0016】
請求項1に記載のコイル配列は、容易かつ柔軟な使用を保証する。少なくとも1つの接触要素は、それらコイルの容易な接続を可能にする。少なくとも1つの接触要素は、導電性材料から、特に金属から具体化される。少なくとも1つの接触要素は、キャリア要素に、例えば接着剤で貼り合わせて、取り付けられる。少なくとも1つの接触要素は、例えば、SMDパッドとして具体化される。
【0017】
請求項1に記載のコイル配列は、容易かつ柔軟な使用を保証する。少なくとも1つの所望の分離位置が、少なくとも1つの接触要素の領域内に延びるという事実により、コイル配列は、回転部品の円周に容易に適合させることができ、エンドレスコイル配列から、互いに接続された2つのコイルの間で分離できる。接触要素の領域内に延びる所望の分離位置は、好ましくは、直列に接続され、主延在方向に連続して配置された2つのコイルの間にそれぞれ形成される。
【0018】
請求項1に記載のコイル配列は、容易かつ柔軟な使用を保証する。接触領域は、主延在方向に対し垂直方向に、接続領域よりも広い幅を有することが好ましい。その結果、接触領域は、コイルとの接触を形成するための十分に大きな接触面を提供し、他方で接続領域は、互いに接続された2つのコイル間でエンドレスコイル配列の容易な切断を可能にする。キャリア要素は、好ましくは、それぞれの接続領域に所望の分離位置を含む。これにより、キャリア要素と、その上に配置され、互いに接続されたコイルとを容易に切り離すことができる。少なくとも1つの接触要素は、好ましくは、H形状に具体化される。
【0019】
本発明はまた、エネルギーのワイヤレス電磁伝達のための装置を提供する目的に基づいており、これは、多種多様な回転可能な部品用に容易かつ柔軟な方法で使用できる。
【0020】
この目的は、請求項8の特徴を有する装置によって達成される。本発明による装置の利点は、本発明によるコイル配列について既に説明した利点に対応する。受信ユニットは、好ましくは、回転可能な部品にワイヤレス方式で送信されるエネルギーを受信するための本発明によるコイル配列を備える。
【0021】
本発明はまた、エネルギーのワイヤレス電磁伝達のためのコイル配列部品を提供する目的に基づいており、それは容易に製造できる。
【0022】
この目的は、請求項9の特徴を有するコイル配列部品によって達成される。コイル配列は、その長さLに関して、部品の円周に容易かつ柔軟に適合させることができる。その結果、コイルが部品の回転軸の周りに配置されるように、キャリア要素を部品の曲面に容易に取り付けできる。部品が回転すると、エネルギーのワイヤレス電磁伝達が容易に可能となる。本発明によるコイル配列部品のさらなる利点は、本発明によるコイル配列について既に説明した利点に対応する。
【0023】
本発明はまた、コイル配列部品を容易に製造可能にする方法を提供する目的に基づく。
【0024】
この目的は、請求項10の工程を有する方法によって達成される。まず、エンドレスコイル配列が好ましくは提供される。エンドレスコイル配列を分割することにより、コイル配列は、部品の円周に適合された長さLを備えている。続いて、キャリア要素は、それらコイルが回転軸の周りに配置されるように部品に取り付けられる。これは、エネルギーのワイヤレス電磁伝達を容易な方法で可能にする。本発明による方法のさらなる利点は、コイル配列部品又はコイル配列について既に説明した利点に対応する。
【0025】
本発明のさらなる特徴、利点、及び詳細は、以下の複数の例示的な実施形態の説明で分かる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】送信ユニット及び受信ユニットを用いた、エネルギーのワイヤレス電磁伝達のための装置の回路図を示す。
図2】回転可能に据え付けた部品に取り付けた、第1の例示的な実施形態のコイル配列を備えるコイル配列部品の斜視図を示す。
図3】コイル配列を生成するための、エンドレスコイル配列の斜視図を示す。
図4】接触要素の領域におけるコイル配列の拡大斜視図を示す。
図5】コイル配列の平面図を示す。
図6】コイル配列の側面図を示す。
図7】第2の例示的な実施形態におけるコイル配列の平面図を示す。
図8】第3の例示的な実施形態におけるコイル配列の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の第1の例示的な実施形態を、図1図6を参照して以下に説明する。エネルギーのワイヤレス電磁伝達のための装置1は、ワイヤレス方式で送信可能なエネルギーを送信するための送信ユニット2と、ワイヤレス方式で送信可能なエネルギーを受信するための受信ユニット3とを備える。送信ユニット2は、交流電圧U及び/又は交流電流Iを利用可能にするエネルギー源4に接続される。受信ユニット3は、整流器5に接続されている。整流器5は、受信ユニット3によって提供される交流電圧U及び/又は提供される交流電流Iを整流し、コンシューマ(消費機器)6に供給する。コンシューマ6は、例えば、測定センサとして具体化される。
【0028】
送信ユニット2は、一次側コンデンサ8と直列に接続された一次側コイル7を備える。一次側コイル7は、インダクタLを有する。一次側コンデンサ8は、コンデンサCを有する。送信ユニット2は既知であり、慣用されている。
【0029】
受信ユニット3は、コイル配列9を備える。したがって、コイル配列9は二次側に配置される。コイル配列9は、インダクタLを有する。コイル配列9は、二次側コンデンサ10と直列に接続されている。2次側コンデンサの容量はCである。装置1は図1に示されている。
【0030】
コイル配列9(coil arrangement 9;コイル装置9)は、回転軸12を中心に回転可能に据え付けられた部品11に取り付けられている。部品11及びそれに取り付けられたコイル配列9は、コイル配列部品13(component coil arrangement 13;部品コイル配置13)を形成する。部品11は、シャフトの形態で具体化され、半径Rを有する。以下は、回転軸12周りの部品11の円周Uに適用される:U=2・π・Rであり、πは、PI定数(円周率)である。
【0031】
コイル配列9は、帯状の形態で具体化され、主延在方向15を規定するキャリア要素14を備える。複数のコイルS~S及び接触要素16が、例えば接着固定され、キャリア要素14の第1側に取り付けられる。これらコイルS~Sは、接触要素16によって互いに直列に接続される。接触要素16は、例えば銅のような導電性金属製である。
【0032】
コイルS~Sは螺旋状に巻かれ、正確に1つの巻線層を有する。コイルS~Sは、それぞれのコイル軸Aがキャリア要素表面に対して垂直に延びるようにキャリア要素14に取り付けられている。コイルS~Sはそれぞれ、内側接続接点A及び外側接続接点Aを有する。接続接点A及びAは互いに角度αを取り囲み、以下の条件が適用される:α≒180°。したがって、接続接点A及びAは実質的に直線に沿って延びる。接続接点A及びAは、例えばはんだ付けなどの導電方式で、それぞれ隣接する接触要素16に接続される。
【0033】
キャリア要素14は、主延在方向15に長さLを有し、主延在方向15に対して垂直方向に幅Bを有し、及びその表面に対して垂直方向に厚さDを有する。キャリア要素14は、変形可能な方法で具体化され、図2に示すように、キャリア要素14及び/又はコイル配列9が回転軸12の周りで、部品11の曲面Oに取り付けることができる。以下は、好ましくは厚さDに適用される:0.1mm≦D≦2.5mmであり、特に0.5mm≦D≦2mmであり、特に1mm≦D≦1.5mmである。キャリア要素14は、例えば、好ましくは変形可能なフェライト材料から製造される。コイル配列9を部品11に取り付けるために、取り付け手段17が、キャリア要素14のコイルS~Sとは反対側の面に配置される。取り付け手段17は、例えば、接着剤の層である。
【0034】
接触要素16はH形状に具体化され、接続領域Vによって互いに接続される第1接触領域K及び第2接触領域Kをそれぞれ有する。接触領域K及びKは、主延在方向15で互いに離間している。接触領域K及びKを接続する接続領域Vは、主延在方向15に対して垂直方向に、接触領域K及びKの幅Bと比較してより小さい幅Bを有する。
【0035】
キャリア要素14は、例えば、ミシン目(perforation;打抜き穴)として、及び/又はキャリア要素14のノッチ配列(notch arrangement;刻み目)として具体化される所望の分離位置Tを備える。所望の分離位置Tは、主延在方向15に対して垂直に延びる。所望の分離位置Tは、各接触要素16の接続領域Vにおける、2つのコイルS~Sの間にそれぞれ形成される。いずれの場合も、2つの隣接する分離位置Tは、ある長さ又はモジュール寸法ΔLだけ主延在方向15に互いに離れている。
【0036】
第1端部18において、コイル配列9は、単に1つの接続領域V、及びそれに隣接する接触領域Kを含む接触要素16’を有する。第2端部19において、コイル配列9はそれに応じて、接触要素16’’を有し、それは接続領域V、及びそれに隣接する接触領域Kを含む。接触要素16’、16’’はそれぞれ、接触要素16の半分に対応する。
【0037】
コイル配列9を二次側コンデンサ10及び整流器5に導電的に接続するために、それぞれの接続線A及びAは、接触要素16’及び16’’に取り付けられている。接続線A及びAは、例えば、接触要素16’及び16’’にはんだ付けされる。接続線A、Aは、主延在方向15に対して横方向に延びている。
【0038】
コイル配列9は、モジュール式に具体化されている。コイル配列9は、コイルモジュールM~Mを備える。Nはコイルモジュール数を示し、これは、本実施形態においてコイルS~Sの数と同一である。コイルモジュールM~Mはそれぞれ、主延在方向15に長さΔLを有する。隣接するコイルモジュールM~Mは、所望の分離位置Tによって互いに区切られている。
【0039】
以下は長さLに適用される:L=N・ΔL。長さLは、部品11の円周Uに適合する。特に以下が適用される:0.8・U≦L≦U、特に0.9・U≦L≦0.99・U、特に0.95・U≦L≦0.98・U。
【0040】
コイル配列部品13の製造は以下の通りである。
【0041】
コイル配列9は、エンドレスコイル配列20から切り離されている。エンドレスコイル配列20は図3に示されている。エンドレスコイル配列20は、多数のコイルモジュールM~Mを含む。ここで、Kはエンドレスコイル配列20のコイルモジュールの数を表す。以下はKの数に適用される:K>Nであり、特にK>>Nである。エンドレスコイル配列20は、主延在方向15に長さLを有し、以下が適用される:L>Lであり、特に、L>>Lである。エンドレスコイル配列20の取り付け手段17は、例えば、分離層によって覆われており、エンドレスコイル配列20をリールとして及び/又はリールパッケージに据え付けることができる。
【0042】
所望の数N個のコイルモジュールがエンドレスコイル配列20から切り離され、結果として生成されるコイル配列9が所望の長さLを有している。切り離しを実施するため、関連する接触要素16と同様に、キャリア要素14は、コイルモジュールMとMN+1の間にある所望の分離位置Tで切断され、コイル配列9は、コイルモジュールM~M及び接触要素16’’を備える。
【0043】
取り付けの目的で、分離層は取り除かれ、コイル配列9の取り付け手段17が露出される。次に、コイル配列9は、主延在方向15に連続して配置されたコイルS~Sが回転軸12の周りに配置されるように、部品11の表面Oに取り付けられる。次いで、接続線A及びAは接触要素16’及び16’’に接続され、また、接続線A及びAは二次側コンデンサ10及び整流器5に接続される。
【0044】
装置1が動作している間、エネルギーは、固定された送信ユニット2によって受信ユニット3に電磁的に伝達される。回転部品11へのエネルギー伝達は、コイル配列部品13によって容易かつ効率的に実行される。伝達されたエネルギーは、整流器5を介してコンシューマ6に供給される。
【0045】
本発明の第2の例示的な実施形態を、図7を参照して以下に説明する。前述の例示的な実施形態とは対照的に、コイル配列9は、2つの列で具体化される。キャリア要素14上で、コイルS~Sは、主延在方向15に連続して配置され、接触要素16によって互いに直列に接続される。コイルS~Sに加えて、さらなるコイルS’~S’がキャリア要素14上に配置されている。コイルS’~S’は、主延在方向15に連続して配置され、接触要素16によって直列に接続される。したがって、所望の分離位置Tによって区切られたコイルモジュールM~Mは、それぞれ2つのコイルS、S’~S、S’を有する。第1端部18において、コイルS、S’は、接触要素16’によって第1接続線Aに接続される。対応する方法で、コイルS、S’は、第2端部19で、接触要素16’’によって第2接続線Aに接続される。したがって、コイルS~S及びS’~S’の直列接続は、接続線A及びAによって並列に接続される。更なる設計及び更なる機能方法、並びにコイル配列部品13の製造に関しては、前述の例示的な実施形態が参照される。
【0046】
本発明の第3の例示的な実施形態を、図8を参照して以下に説明する。前述の例示的な実施形態とは対照的に、コイル配列9は、コイルS、S’からS、S’への曲折した直列接続を備える。したがって、所望の分離位置Tによって区切られるコイルモジュールM~Mは、それぞれ2つのコイルS、S’~S、S’を有する。曲折した直列接続を形成するために、接続接点AとAの間の角度αに以下が適用される:α≒90°。それぞれのコイルモジュールM~MのコイルS、S’~S、S’は、互いに導電的に接続されている。この目的のために、コイルS、S’~S、S’は、例えば、共通のワイヤから作られるか、及び/又は共通の接触要素にはんだ付けされる。接続線A及びAは、接触要素16’及び16’’に接続される。更なる設計及び更なる機能方法、並びにコイル配列部品13の製造に関して、前述の例示的な実施形態が参照される。
【0047】
以下のことが、一般に適用される。
【0048】
装置1は、エネルギーのワイヤレス伝達のために、及び回転部品11に電気エネルギーを供給するのに役立つ。この目的のために、コイル配列9は回転部品11に取り付けられている。コイル配列9は、エンドレスコイル配列20によって容易かつ柔軟に提供できる。エンドレスコイル配列20はモジュール設計であるので、コイル配列9はエンドレスコイル配列20から切り離すことにより、所望の数のコイルモジュール及び所望の長さを備えることができる。したがって、エンドレスコイル配列20は、エンドレスコイルアレイを形成する。特に、コイル配列9は、それらコイルが平坦なコイルとして具体化されており、変形可能なキャリア要素14によって、回転部品11の曲面に容易に取り付けることができる。コイルモジュールの長さΔLは、フラットコイルの直径によって設定され得る。長さΔLが小さいほど、より正確に、コイル配列9はその長さLを回転部品11の範囲に適合させることができる。
【0049】
コイル配列9は、単列又は複数列で具体化できる。キャリア要素14は、フェライト材料及び/又はいくつかの他の曲げやすいキャリア材料から製造できる。それらコイルは、直列回路及び/又は並列回路を形成できる。
【0050】
コイル配列9は、信号及び/又はエネルギーの伝達のための産業設備において、回転部品11、特に回転シャフトに容易かつ柔軟に適合させることができる。その結果、産業設備におけるエネルギーの電磁伝達のための装置1は、容易かつ迅速に修理可能であり、ダウンタイムを最小化できる。
【符号の説明】
【0051】
1 装置
2 送信ユニット
3 受信ユニット
4 エネルギー源
5 整流器
6 コンシューマ
7 一次側コイル
8 一次側コンデンサ
9 コイル配列
10 二次側コンデンサ
11 (回転)部品
12 回転軸
13 コイル配列部品
14 キャリア要素
15 主延在方向
16、16’、16’’ 接触要素
17 取り付け手段
18 第1端部
19 第2端部
20 エンドレスコイル配列
第1接続線
第2接続線
コイル軸
内側接続接点
外側接続接点
コンデンサ
D 厚さ
、I 交流電流
第1接触領域
第2接触領域
、L インダクタ
~M コイルモジュール
O 曲面
R 半径
、S’、S、S’ コイル
T 分離位置
U 円周
、U 交流電圧
V 接続領域
ΔL モジュール寸法
α 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8