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特許7236413ニッケル水素蓄電池及びニッケル水素蓄電池の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】ニッケル水素蓄電池及びニッケル水素蓄電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/30 20060101AFI20230302BHJP
   H01M 4/52 20100101ALI20230302BHJP
   H01M 10/28 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
H01M10/30 Z
H01M4/52
H01M10/30 A
H01M10/28 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020140308
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2022035768
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】室田 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】須藤 良介
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-217000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/00-10/04
H01M10/06-10/34
H01M 4/00- 4/62
H02J 7/00- 7/12
H02J 7/34- 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸化ニッケルを主成分とする正極活物質を含む正極合剤を備えるニッケル水素二次電池において、
充放電に伴い拡大及び収縮する結晶層間に、カリウムイオンが挿入された正極活物質粒子と、前記正極活物質粒子を覆うタングステン錯体層とを含み、
前記正極活物質粒子には、前記結晶層間に、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンが挿入され、
前記正極活物質粒子に含まれるカリウムイオンの濃度が、ナトリウムイオンの濃度よりも低く、ナトリウムイオンの濃度がリチウムイオンの濃度よりも低い
ニッケル水素蓄電池。
【請求項2】
前記正極活物質粒子に挿入されたカリウムイオンの濃度が0.4モル%以上である
請求項1に記載のニッケル水素蓄電池。
【請求項3】
水酸化ニッケルを主成分とする正極活物質を含む正極合剤を備えるニッケル水素二次電池において、
充放電に伴い拡大及び収縮する結晶層間に、カリウムイオンが挿入された正極活物質粒子と、前記正極活物質粒子を覆うタングステン錯体層とを含み、
前記正極活物質粒子に挿入されたカリウムイオンの濃度が0.4モル%以上である
ニッケル水素蓄電池。
【請求項4】
前記正極活物質粒子は、前記結晶層間に、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンが挿入されている
請求項に記載のニッケル水素蓄電池。
【請求項5】
水酸化ニッケルを主成分とする正極活物質を含む正極合剤を備えるニッケル水素二次電池の製造方法において、
正極基材に前記正極合剤を設けた正極、負極基材に負極合剤を設けた負極、タングステン及びカリウムを含む電解液を収容したニッケル水素蓄電池を、所定の充電状態以上の過充電領域において2C以内の充電レートで、100%以上の第1の充電状態まで過充電を行う過充電工程と、
前記過充電工程後に前記ニッケル水素二次電池を放電する放電工程と、
前記放電工程後に、100%未満の第2の充電状態に到達するまで充電する充電工程と、を含み、
前記過充電工程及び前記放電工程を含むサイクルを複数回繰り返した後、前記充電工程及び前記放電工程を含み前記過充電工程を含まないサイクルを複数回繰り返す、
ニッケル水素蓄電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニッケル水素蓄電池及びニッケル水素蓄電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニッケル水素蓄電池として、水酸化ニッケルを正極活物質とした正極を備えた電池が知られている。水酸化ニッケルは充放電時に膨張及び収縮するが、この膨張及び収縮が、電池容量等の電池特性に悪影響を与え、電池の短寿命化を招来する。これに対し、水酸化ニッケルの表面に亜鉛化合物粉末層を形成することが提案されていた(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、亜鉛イオンが水酸化ニッケルのニッケル層間に存在することにより、正極活物質の膨張が抑制され、寿命の改善が図られると考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平3-77273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、亜鉛化合物の粉末層を活物質層の表面に形成した場合でも、充電によりニッケル層間にプロトンや電解液に含有される各種のイオンが入り込み、放電により脱離することによって、正極活物質が膨張及び収縮する可能性がある。このため、正極活物質の膨張及び収縮に由来する電池の短寿命化について、改善の余地が残されている。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、正極活物質の膨張及び収縮を抑制することによりニッケル水素蓄電池の長寿命化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するニッケル水素蓄電池は、水酸化ニッケルを主成分とする正極活物質を含む正極合剤を備えるニッケル水素二次電池において、充放電に伴い拡大及び収縮する結晶層間に、カリウムイオンが挿入された正極活物質粒子と、前記正極活物質粒子を覆うタングステン錯体層とを含む。
【0007】
上記構成によれば、正極活物質粒子の結晶層間にカリウムイオンを挿入し、且つその正極活物質粒子をタングステン錯体層で覆うことで、結晶層間の相対距離を大きく保った状態で維持することができる。このため、放電時には結晶層間の相対距離が小さくなるように正極活物質粒子が収縮することを抑制することができる。また、充電時には、既に結晶層間が拡大されているため、膨張量を極力小さくすることができる。このように正極活物質粒子の膨張及び収縮が抑制されることにより、正極活物質粒子間に形成される導電性パスが維持される。そして、水酸化ニッケル粒子間の導電性パスを良好に維持することで、電池容量の低下を抑制し、ニッケル水素蓄電池の長寿命化を図ることができる。
【0008】
上記ニッケル水素蓄電池は、前記正極活物質粒子は、前記結晶層間に、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンが挿入されてもよい。
上記構成によれば、充電時に結晶層間の相対距離が拡大を開始するに伴い、先ず最もイオン半径が小さいリチウムイオンが正極活物質粒子の結晶層間に挿入される。このため、結晶層間の距離が少なくともリチウムイオンの大きさに維持されることによって、その後、ナトリウムイオンが結晶層間に挿入されやすくなる。そして、ナトリウムイオンが挿入された後、結晶層間の距離が少なくともナトリウムイオンの大きさに維持されることによって、カリウムイオンが結晶層間に挿入されやすくなる。このため、リチウムイオン及びナトリウムイオンが結晶層間に挿入されていない場合に比べ、結晶層間にカリウムイオンを多く挿入することができる。このため、結晶層間の相対距離を大きくするとともに、結晶層間の相対距離の偏りを抑制することができる。
【0009】
上記ニッケル水素蓄電池は、前記正極活物質粒子に含まれるカリウムイオンの濃度が、ナトリウムイオンの濃度よりも低く、ナトリウムイオンの濃度がリチウムイオンの濃度よりも低くてもよい。
【0010】
上記構成によれば、正極活物質粒子の結晶層間に、イオン半径が最も小さいリチウムイオンを、ナトリウムイオン及びカリウムイオンよりも多く挿入することで、結晶層間の相対距離を拡大するとともに、相対距離を均一化することができる。また、イオン半径がカリウムイオンよりも小さいナトリウムイオンを、カリウムイオンよりも多く挿入することで、結晶層間の相対距離をさらに拡大し、相対距離を均一化して、カリウムイオンを挿入しやすくすることができる。
【0011】
上記ニッケル水素蓄電池は、前記正極活物質粒子に挿入されたカリウムイオンの濃度が0.4モル%以上であってもよい。
上記構成によれば、正極活物質粒子に挿入されたカリウムイオンの濃度が0.4モル%であるため、結晶層間を最大限に拡大することができる。
【0012】
上記課題を解決するニッケル水素蓄電池の製造方法は、水酸化ニッケルを主成分とする正極活物質を含む正極合剤を備えるニッケル水素二次電池の製造方法において、正極基材に前記正極合剤を設けた正極、負極基材に負極合剤を設けた負極、タングステン及びカリウムを含む電解液を収容したニッケル水素蓄電池を、所定の充電状態以上の過充電領域において2C以内の充電レートで過充電を行う過充電工程と、前記過充電工程後に前記ニッケル水素二次電池を放電する放電工程と、前記放電工程後に、前記過充電工程で到達する充電状態よりも低い充電状態に到達するまで充電する工程と、を含む。
【0013】
上記構成によれば、ニッケル水素蓄電池を過充電するため、γ型のオキシ水酸化ニッケルを生成し、結晶層間を拡大してカリウムイオンを挿入することができる。また、過充電領域においてニッケル水素蓄電池を2C以内の充電レートで充電するため、正極活物質粒子の結晶層間を徐々に拡大し、多くのカリウムイオンを結晶層間に挿入することができる。また、過充電工程後に、ニッケル水素蓄電池を放電し、過充電工程で到達する充電状態よりも低い充電状態に到達するまで充電するため、タングステン錯体層を正極活物質粒子の周囲に形成しつつ、過度な膨張によりタングステン錯体層が破壊されることを抑制することができる。このため、充放電を繰り返しても結晶層間の相対距離を大きく保った状態で維持することができる。このように正極活物質粒子の膨張及び収縮が抑制されることにより、正極活物質粒子間に形成される導電性パスが維持される。そして、正極活物質粒子間の導電性パスを良好に維持することで、電池容量の低下を抑制し、ニッケル水素蓄電池の長寿命化を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、正極活物質の膨張及び収縮を抑制することによりニッケル水素蓄電池の長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態のニッケル水素蓄電池の斜視図。
図2】同実施形態における正極活物質の結晶構造を示す模式図。
図3】同実施形態におけるニッケル水素蓄電池の製造方法を説明する図。
図4】同実施形態におけるニッケル水素蓄電池の製造方法を説明するグラフ。
図5】同実施形態における充電レート及び各成分の含有率の関係を示すグラフ。
図6図5のグラフの要部を拡大した図。
図7】同実施形態におけるカリウム含有率とc軸長の関係を示すグラフ。
図8】同実施形態におけるサイクル数とタングステン錯体層の含有率との関係を示すグラフ。
図9】実施例及び比較例の容量低下量に基づく劣化率を示すグラフ。
図10】実施例及び比較例の膨張率を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、ニッケル水素蓄電池及びその製造方法について、その一実施形態を説明する。本実施形態のニッケル水素蓄電池は、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両の電源として用いられる電池である。
【0017】
図1に示すように、ニッケル水素蓄電池は、所要の電力容量を得るべく、複数の単電池30を電気的に直列接続して構成された電池モジュール11からなる角形密閉式の蓄電池である。電池モジュール11は、複数の単電池30を収容可能なケース13と同ケース13の開口部15を封止する蓋体14とによって構成される一体電槽10を有している。
【0018】
一体電槽10の内部には、複数の単電池30を区画する隔壁18が形成されており、この隔壁18によって区画された部分が、単電池30毎のケース13となる。一体電槽10は、例えば、6つのケース13のそれぞれが単電池30を構成している。こうして区画されたケース13内には、電極体20と、その両側に接合された正極の集電板24及び負極の集電板25とが電解液とともに収容されている。電極体20は、矩形状の正極板21及び負極板22がセパレータ23を介して積層して構成されている。電極体20の正極板21及び負極板22は、極板の面方向であって互いに反対側の側部に突出されることで構成される正極板21のリード部の側端縁に集電板24が接合され、負極板22のリード部の側端縁に集電板25が接合されている。また、隔壁18の上部には各ケース13の接続に用いられる貫通孔32が形成されている。貫通孔32は、集電板24の上部に突設されている接続突部、及び集電板25の上部に突設されている接続突部の2つの接続突部同士が該貫通孔32を介して接合されることで、各々隣接するケース13の電極体20を電気的に直列接続させる。一方、蓋体14には、一体電槽10の内部圧力を開弁圧以下にする排気弁33と、電極体20の温度を検出するためのセンサを装着するセンサ装着穴34とが設けられている。
【0019】
正極板21は、正極集電板と、正極集電板に設けられた正極合剤層とを備える。正極合剤層は、水酸化ニッケル等のニッケル酸化物を主成分とする正極活物質、添加剤を有する。添加剤は、導電材、増粘材、結着材等を含んでいる。充電時に、水酸化ニッケルは、下記の反応式(1)のように還元されてオキシ水酸化ニッケルとなる。
【0020】
Ni(OH)+OH→NiOOH+HO+e…(1)
水酸化ニッケル粒子は、被覆層を表面に有する。この被覆層は、オキシ水酸化コバルト(CoOOH)を主成分とする。また、正極合剤に含まれるコバルトは、ニッケル水素蓄電池が初めて充電されると、電気化学的に酸化されてオキシ水酸化コバルトとして析出する。充電前に形成された被覆層と、充電後に析出したオキシ水酸化コバルトにより、高密度な被覆層が形成される。この被覆層は、水酸化ニッケル粒子間における導電性パスを形成する。
【0021】
負極板22は、負極集電板と、負極集電板に設けられた負極合剤とを備えている。水素吸蔵合金は、水素の吸蔵と放出とを可逆的に進行させる合金である。水素吸蔵合金は、「A」を水素化物を形成する元素、「B」を水素化物を形成しない元素としたとき、AB型、AB型、AB型、A型のいずれか1つ又はそれらの組み合わせを用いることができる。AB型の水素吸蔵合金は、TiCo,ZrCo等を用いることができる。AB型の水素吸蔵合金は、MmNi等を用いることができる。なお、「Mm」は、複数の希土類元素が含まれる合金であるミッシュメタルを指す。特に、MmNiとしては、ニッケル(Ni)の一部をCo,Mn,Al等で置換を行ったMmNi5-x(Co,Mn,Al)系合金、MmNi5-x(Co,Mn,Al,Fe)系合金を好適に用いることができる。ミッシュメタルは、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)等の少なくとも一つを含む。また、上記した合金に替えて若しくは加えて、バナジウム(V)系、マグネシウム(Mg)系を用いてもよい。
【0022】
電解液は、セパレータ23に保持される。電解液は、水酸化カリウム(KOH)等の溶質を水系の溶媒に溶解させたアルカリ水溶液である。電解液は、一体電槽10に封入された状態で、カリウムイオン、ナトリウムイオン、及びカリウムイオンといったアルカリ金属イオンを含む。これらのアルカリ金属イオンは、正極合剤又は負極合剤に含有された化合物が電解液に溶解することにより電解液中に存在するものであってもよいし、電解液の溶質として含まれるものであってもよい。電解液の溶質としては、水酸化カリウム等のカリウム塩のほか、水酸化ナトリウム(NaOH)等のナトリウム塩、及び水酸化リチウム(LiOH)等のリチウム塩が挙げられる。
【0023】
また、電解液は、一体電槽10に封入された状態でタングステン元素を含む。タングステン元素は、正極合剤、負極合剤及び電解液の少なくとも一つに含まれ、一体電槽10に封入されている。また、タングステン元素は、後述する充電工程S4及び放電工程S5を繰り返すときに電解液中に存在すればよい。正極合剤及び負極合剤がタングステン化合物を含む場合には、タングステン化合物が、例えばタングステン酸イオン等のかたちで電解液に溶解する。
【0024】
正極合剤、負極合剤及び電解液の少なくとも一つに含まれるタングステン化合物は、例えばWO、WO3、などのタングステン酸化物(WxOy、x、yは実数)、WO・HO、W・HOなどのタングステン酸化物の水和物を用いることができる。ほかにも、ZrW、Al(WO、WC、CaWO、FeWO、MnWO、WCl、WBr、WCl、W(CO)、WOCl、LiWO、HWO、KWO、NaWO、LiWO・2HO、HWO・2HO、KWO・2HO、NaWO・2HO、(NHPO・12WO・3HO、Na(PO・12WO)・xHO、WF、WFなどを用いることができる。
【0025】
タングステン化合物が溶解した電解液においては、タングステン元素を中心金属とし、水酸基を配位子とする錯体が形成される。配位子である水酸基は、電子の授受を円滑に進行させる。
【0026】
次に図2及び図3を参照して、正極活物質である水酸化ニッケルについて詳述する。
図2は、一般的な正極活物質粒子40の結晶構造を模式的に示す図である。なお、「正極活物質粒子」は、水酸化ニッケルを原材料とするものであり、電池反応により還元されたオキシ水酸化ニッケルも含む。正極活物質粒子40は、層状構造を有し、結晶構造のc軸に沿って配置された複数の層50(結晶層)を有する。電池モジュール11が充電されるとき、層50の相対距離が長くなるように結晶構造のc軸と略平行な方向に膨張し、c軸長Lが長くなる。その結果、プロトン53の他、電解液に含まれるリチウムイオン等が層間に挿入される。電池モジュール11が放電されるとき、層間の相対距離がc軸と略平行に縮んで、正極活物質粒子40が収縮する。そしてc軸長Lの短縮に伴い、プロトン53、リチウムイオン等が層間から離脱する。
【0027】
正極活物質粒子40の膨張量及び収縮量が大きくなると、正極活物質粒子40間の導電性パスが破壊される。その結果、ニッケル水素蓄電池の容量が低下する。この傾向は、正極の充電状態(SOC,State Of Charge)の利用幅が大きいほど顕著になる。つまり、正極の材料のコストを低減する等の目的のため、電池の実容量は変化させずに、正極活物質等の含有量を低減すると、正極のSOCの利用幅が拡大する。SOCの利用幅が拡大すると正極活物質の膨張量及び収縮量が大きくなる。
【0028】
図3は、本実施形態の水酸化ニッケルの結晶構造を模式的に示す図である。ニッケル水素蓄電池を充電することによりc軸長L(図2参照)が長くなると、図3中左端の図に示すように、プロトン53の他、電解液に含まれるアルカリ金属イオンのうち、先ずイオン半径が小さいリチウムイオン54が挿入される。このように層50の間にリチウムイオン54が介在すると、層間のc軸長が少なくともリチウムイオン54の大きさ程度に均一化されて、図3の中央の図に示すように、リチウムイオン54よりもイオン半径が大きいナトリウムイオン55が層間に入りやすくなる。そして、層間にナトリウムイオン55が介在することにより、層間の空間のc軸長が少なくともナトリウムイオン55の大きさ程度に均一化されることで、さらにイオン半径が大きいカリウムイオン56が層間に入りやすくなる。
【0029】
また、上記したようにリチウムイオン54、ナトリウムイオン55及びカリウムイオン56が順番に正極活物質粒子40に挿入されることにより、正極活物質粒子40内のアルカリ金属イオンの濃度は、カリウムイオン56、ナトリウムイオン55、及びリチウムイオン54の順に高くなる。つまり、イオン半径が小さいイオン程、正極活物質粒子40内の濃度が高くなる。
【0030】
また、正極活物質粒子40の周囲には、タングステン錯体層が形成されている。タングステン錯体層は、タングステン元素の周囲に多数の水酸基が付加したタングステン錯体の集合体である。タングステン錯体層は、層間の開口であるイオンの出入口にも存在する。タングステン錯体層は、プロトン53を通過させ、リチウムイオン54、ナトリウムイオン55、及びカリウムイオン56の層間からの離脱を防ぐ。その結果、プロトン53を通過させること充放電反応を進行させつつ、リチウムイオン54、ナトリウムイオン55、及びカリウムイオン56が層間に介在する状態が維持される。つまり、正極活物質粒子40は、放電時にも最大限又はその近くまで膨張した状態が維持され、充電時は膨張量が小さくなる。このように膨張量及び収縮量が小さくなると、導電性パスの破壊が抑制され、電池モジュール11の容量の低下が抑制される。
【0031】
次に図4を参照して、ニッケル水素蓄電池の製造方法について説明する。
まず、複数の電極体20、電解液を封入した電池モジュール11を準備する。そして、電池モジュール11を充放電回路(図示略)に接続し、所定のSOCとなるまで電池モジュール11を充電する(充電工程S1)。充電工程S1における充電レートは特に限定されない。本実施形態では、充電工程S1で到達する所定のSOCは「100%」であるが、100%に限定されない。
【0032】
電池モジュール11が所定のSOCに到達した後、過充電工程S2を行う。過充電工程S2では、充電状態Sth1になるまで過充電する。本実施形態では、充電状態Sth1は、充電工程S1で到達するSOCよりも高く、且つ80%以上である。SOCが80%以上になると、オキシ水酸化ニッケルのγ型構造であるγ-オキシ水酸化ニッケルが生成される。γ-オキシ水酸化ニッケルでは、β型構造等に比べc軸長が長くなる。また、過充電領域では、2C以内の低いレートで充電を行う。充電状態Sth1が100%を超えると、特にc軸長が長くなる。
【0033】
さらに、電池モジュール11を所定のSOCまで放電する放電工程S3を行う。このとき、タングステン錯体層は正極活物質粒子40の周囲の全体に形成されていないため、各イオンの一部は層間に残るものの、他のイオンは脱離する。その後、充電工程S1、過充電工程S2及び放電工程S3を繰り返す。その結果、正極活物質粒子40の層間に介在する各アルカリ金属イオンが多くなる。なお、ここでは充電工程S1、過充電工程S2及び放電工程S3を繰り返すとしたが、正極活物質粒子40の層間に十分な各アルカリ金属イオンが挿入される場合には、繰り返さなくても良い。又は、充電工程S1、過充電工程S2及び放電工程S3の組み合わせを3回以上繰り返してもよい。
【0034】
次に、充電工程S4と放電工程S5とからなるサイクルを所定数繰り返す。充電工程S4で到達するSOCは、100%以下であればよく、例えば80%である。また、放電工程S5で到達するSOCは特に限定されず、過充電工程S2において到達するSOCと異なっていてもよい。このように所定のSOCの範囲で充放電を繰り返すことにより、正極活物質粒子40の周りにタングステン錯体層が形成される。充電工程S4で到達するSOCが100%未満である理由は、SOCが100%を超えると、上述したようにγ-オキシ水酸化ニッケルが形成されてc軸方向に膨張し、形成過程にあるタングステン錯体層が破壊されてしまうためである。なお、ここでは充電工程S4と放電工程S5とからなるサイクルを所定数繰り返すとしたが、1サイクルで十分にタングステン錯体層が形成される場合には、繰り返さなくても良い。図4では3サイクル繰り返す態様を説明しているが、2回でもよく、4回以上であってもよい。
【0035】
次に図5を参照して、充電レートと、正極中のリチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンの含有率について説明する。横軸は充電レート、縦軸は正極中の各成分の含有率を示す。なお、充電レートは、初期の過充電工程S2で電池モジュール11を充電するレートである。各アルカリ金属イオンの含有率は、正極活物質量に対するアルカリ金属イオンの含有量の割合(mol%)である。アルカリ金属イオンの含有量は、過充電を行った電池モジュール11の1つの電極体20から正極を取り出し、水で洗浄した後、ICP(Inductively Coupled Plasma)にて測定した。
【0036】
充電レート・成分含有率線100~102は、充電レートに対するリチウムイオンの含有率、ナトリウムイオンの含有率、リチウムイオンの含有率をそれぞれ示す。同一の充電レートで比較したとき、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンの順に含有率が大きい。また、充電レートが大きくなるほど、各アルカリ金属イオンの含有率は小さくなる。
【0037】
図6は、図5のグラフのうち破線で示す領域を拡大した図である。充電レート・成分含有率線101,102のいずれも充電レートが2Cを超えると、アルカリ金属イオンの含有率の変化量が小さくなる。カリウムイオンの含有率も同様である。充電レートが2Cを超えるとカリウムイオン等の含有率が低下する理由は、充電レートが2Cを超える場合にはSOC100%以上の過充電がしにくくなることでc軸長が短くなり、層間にカリウムイオン等が入りにくくなるためである。
【0038】
次に図7を参照して、正極中のカリウムイオン含有率とc軸長との関係について説明する。図7に示すグラフの横軸は、正極中のカリウム含有率(mol%)、縦軸はc軸長を示す。縦軸のc軸長は、過充電を行っていない電池モジュール11の正極の結晶構造におけるc軸長を「100」とし、このc軸長に対する各カリウムイオン含有率におけるc軸長の比率を示している。c軸長は、電池モジュール11を所定の充電レートで充電した後、1つの電極体20から正極の一部を取り出し、X線回折法(XRD)により測定した。なお、充電レートを異ならせて電池モジュール11を充電することにより、カリウムイオン含有率を異ならせた。また、正極の他の一部を水で洗浄し、正極活物質量に対するカリウムの量をICP(Inductively Coupled Plasma)にて検出した。そして、正極活物質量に対するカリウム含有量の割合をカリウムイオン含有率とした。
【0039】
カリウムイオン含有率は、水酸化ニッケルの重量に対して0.4mol%以上であると、従来の電池モジュール11の正極に比べてc軸長が長くなり、カリウムイオンが挿入されやすくなる。これにより、正極活物質粒子の結晶層間に十分なカリウムイオンが挿入され、正極活物質粒子をタングステン錯体層で覆うことにより、結晶層間の相対距離を大きく保った状態で維持することができる。このため、放電時には結晶層間の相対距離が小さくなるように正極活物質粒子が収縮することを抑制することができる。
【0040】
図8を参照して、充電及び放電を1サイクルとするときのサイクル数と正極中のタングステン錯体層の含有率との関係について説明する。図8のグラフの横軸はサイクル数、縦軸はタングステン錯体層の含有率(mol%)を示す。タングステン錯体層の含有率は、正極活物質全体の質量に対するタングステン錯体層の質量の比率である。タングステン錯体層の含有量は、所定サイクル数の充電工程S4及び放電工程S5を繰り返した後、正極を取り出して水で洗浄し、正極活物質量に対するタングステン元素の量をICP(Inductively Coupled Plasma)にて検出した。サイクル数・含有率曲線110に示すように、サイクル数が増加するに伴い、タングステン錯体層の含有率も指数関数的に増大する。詳細には、タングステン錯体層の含有率の変化量は、サイクル数の増加に伴い小さくなり、サイクル数が「10」となった後はほぼ一定となる。このため、サイクル数は、1回以上10回以下とすると、タングステン錯体層を形成しつつ、形成に時間を短縮化することができる。
【0041】
上記実施形態の効果について説明する。
(1)正極活物質粒子40の層間にカリウムイオン56を挿入することで、層間の相対距離を大きく保った状態で維持することができる。このため、放電時には層間の相対距離が小さくなるように正極活物質が収縮することを抑制することができる。また、充電時には、既に層間のc軸長が拡大されているため、膨張量を極力小さくすることができる。このように正極活物質粒子の膨張及び収縮が抑制されることにより、正極活物質粒子40間に形成される導電性パスが維持される。そして、正極活物質粒子40の導電性パスを良好に維持することで、電池容量の低下を抑制し、電池モジュール11の長寿命化を図ることができる。
【0042】
(2)充電時に正極活物質粒子40の層間が拡大を開始するに伴い、先ず最もイオン半径が小さいリチウムイオンが結晶層間に挿入される。このため、層間の相対距離であるc軸長が少なくともリチウムイオンの大きさに維持されることによって、その後、ナトリウムイオンが層間に挿入されやすくなる。そして、ナトリウムイオンが挿入された後、層間の相対距離が少なくともナトリウムイオンの大きさに維持されることによって、カリウムイオンが正極活物質粒子40の層間に挿入されやすくなる。このため、リチウムイオン及びナトリウムイオンが正極活物質粒子40の層間に挿入されていない場合に比べ、層間にカリウムイオンを多く挿入することができる。このため、正極活物質粒子40の層間の相対距離を大きくするとともに、層間の相対距離の偏りを抑制することができる。
【0043】
(3)正極活物質粒子40の層間に、イオン半径が最も小さいリチウムイオンを、ナトリウムイオン及びカリウムイオンよりも多く挿入することで、層間の相対距離を拡大するとともに、相対距離を均一化することができる。また、イオン半径がカリウムイオンよりも小さいナトリウムイオンを、カリウムイオンよりも多く挿入することで、層間の相対距離をさらに拡大し、相対距離を均一化して、カリウムイオンを挿入しやすくすることができる。
【0044】
(4)正極活物質粒子40の層間に挿入されたカリウムイオンの濃度が0.4モル%であるため、層間を最大限に拡大することができる。
(5)過充電工程S2において電池モジュール11を過充電するため、γ型のオキシ水酸化ニッケルを生成し、結晶層間を拡大してカリウムイオンを挿入することができる。また、電池モジュール11を過充電領域において2C以内の充電レートで充電するため、正極活物質粒子40の層間を徐々に拡大し、多くのカリウムイオンを層間に挿入することができる。また、過充電工程後に、電池モジュール11を放電し、過充電工程で到達する充電状態Sth1よりも低い充電状態に到達するまで充電するため、タングステン錯体層を正極活物質粒子の周囲に形成しつつ、過度な膨張によりタングステン錯体層が破壊されることを抑制することができる。このため、充放電を繰り返しても結晶層間の相対距離を大きく保った状態で維持することができる。
【0045】
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、過充電工程S2の前に充電工程S1を行い、充電工程S1では、過充電工程S2よりも高い充電レートで充電を行った。これに代えて、充電工程S1及び過充電工程S2を2C以下の一定の充電レートで充電する充電工程としてもよい。
【0046】
・上記実施形態では、ケース13内に6つの電池セルを収容したが、電池セルは1つでもよく、6つ以外の複数であってもよい。
・上記実施形態では、ニッケル水素蓄電池を、複数の正極板21と複数の負極板22とをセパレータ23を介して交互に積層した積層型の電池とした。これに代えて、1枚の長尺な正極シート及び1枚の長尺な負極シートをセパレータを介して積層及び捲回した捲回型の電池としてもよく、その他の構造の電池としてもよい。
【0047】
・上記実施形態では、ニッケル水素蓄電池を、角形密閉式の電池モジュール11としたが、円筒型の電池等、他の構成の電池であってもよい。また、ニッケル水素蓄電池を、複数の単電池30からなる電池モジュール11としたが、外部負荷に電気的に接続可能な構成を備えていれば、単電池であってもよい。
【実施例
【0048】
以下、上記各実施形態の一例である実施例1及び比較例1について具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明を限定するものではない。
<電池の作製>
(実施例1)
正極板については、発泡ニッケル基板に水酸化ニッケルを主成分とする活物質ペーストを充填した上で乾燥、圧延および切断することにより正極板を作製した。正極活物質は、オキシ水酸化コバルトによって被覆された水酸化ニッケルとし、この正極活物質に水、カルボキシメチルセルロース(CMC)及び増粘剤等を混合してペーストを作製した。そして、ペーストを発泡ニッケル基板に充填し、乾燥した後、加圧成型することにより正極板を作製した。
【0049】
MmNi5-x(Co,Mn,Al)系合金粉末、増粘材、結着材を添加して混錬し、負極合剤ペーストを形成した。また、負極合剤ペーストを、長尺状の金属基材(パンチングメタル)の両面に塗布した後、乾燥及び圧延し、所定の大きさに切断することにより負極板を作製した。
【0050】
さらに、水酸化カリウム、WO(タングステン化合物)を水に溶解した電解液を作製した。タングステン元素の重量%は、正極活物質である水酸化ニッケルの重量に対して0.1重量%となるように調整した。また、正極に挿入されたカリウムイオンの含有率は、正極活物質である水酸化ニッケルの重量に対して0.8mol%となるように調整した。そして、上記した正極板・負極板を耐アルカリ性樹脂の不織布から構成されるセパレータを介して複数枚積層し、押圧した。極間距離は、上記実施形態と同様に、ケース13の内寸、正極板21の枚数及び厚さ、負極板22の枚数及び厚さを用いて求めた。さらにその積層体に集電部を接合した電極群を、電解液とともに電槽内に収容することで、電池モジュール11を作製した。
【0051】
次に、電池モジュール11を充放電回路に接続し、水酸化ニッケルの層間にアルカリ金属イオンを挿入するイオン挿入工程と、タングステン錯体層を形成する錯体層形成工程とを行った。具体的には、充電工程S1、過充電工程S2及び放電工程S3からなるサイクルを2回繰り返した後、充電工程S4及び放電工程S5からなるサイクルを3回繰り返した。過充電工程の充電レートは2Cとした。
【0052】
(実施例2)
実施例1のうち、カリウムイオンの含有率(mol%)を0.4mol%となるように調整した以外は、同様の工程でニッケル水素蓄電池を作製した。
【0053】
(比較例1)
実施例1のうち、層間にアルカリ金属イオンを挿入する工程と、タングステン錯体層を形成する工程とを省略した以外は、同様の工程でニッケル水素蓄電池を作製した。つまり、比較例1は、正極活物質粒子の層間にアルカリ金属イオンを挿入していない従来の構成のニッケル水素蓄電池である。
【0054】
(比較例2)
実施例1のうち、タングステン錯体層を形成する工程を省略した以外は、同様の工程でニッケル水素蓄電池を作製した。
【0055】
<容量測定>
実施例1,2及び比較例1のニッケル水素蓄電池を満充電(SOC100%)まで充電して、初期容量を測定した。
【0056】
その後、耐久試験を行った。耐久試験は5CでSOC20~60%間の充放電を500サイクル繰り返し、その後、ニッケル水素蓄電池を満充電まで充電して、耐久試験後の容量を測定した。
【0057】
<c軸長測定>
実施例1,2及び比較例1,2について、満充電とした電池モジュール11の電極体20から正極の一部を取り出し、X線回折法(XRD)によりc軸長を測定した。
【0058】
<評価>
図9のグラフは、正極活物質粒子の層間にアルカリ金属イオンを挿入していない従来の構成の比較例1を基準とし、その容量低下量を「1」とし、比較例1の容量低下量に対する実施例1,2の容量低下量の比率を「劣化率」として示している。比率の値が小さいほど、容量の低下が小さいことを示す。実施例1の劣化率は「0.9」、実施例2の劣化率は「0.96」であり、いずれも比較例1より容量低下量が小さくなった。
【0059】
図10のグラフは、比較例1のc軸長を「1」とし、比較例1のc軸長に対する実施例1及び比較例2のc軸長の比率である膨張率を示す。比較例2のc軸長は、比較例1のc軸長の「1.4」倍となった。実施例1のc軸長は「0.4」、実施例2のc軸長は「0.7」となり、比較例1のc軸長よりも大幅に膨張率が小さくなった。これにより、層間にアルカリ金属イオンを挿入するだけでは、膨張率抑制の効果は奏せず、タングステン錯体層を形成することで初めて、膨張率抑制効果が奏することが分かる。つまり、層間へのアルカリ金属イオンの挿入と、タングステン錯体層の形成を行って初めて、過度な膨張によりタングステン錯体層が破壊されることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0060】
11…電池モジュール
21…正極板
22…負極板
23…セパレータ
40…正極活物質粒子
50…層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10