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▶ 磯川 廣喜の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】自転車の入力装置
(51)【国際特許分類】
   B62M 1/26 20130101AFI20230302BHJP
   B62M 1/30 20130101ALI20230302BHJP
   B62M 3/00 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B62M1/26
B62M1/30
B62M3/00 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020174999
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022058058
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2022-03-16
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】518092366
【氏名又は名称】磯川 廣喜
(72)【発明者】
【氏名】磯川 廣喜
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0111995(US,A1)
【文献】中国実用新案第203211468(CN,U)
【文献】特許第019716(JP,C1)
【文献】特表2010-523386(JP,A)
【文献】特開2003-026070(JP,A)
【文献】特開2005-199967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 1/26
B62M 1/30
B62M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項3】
請求項1記載の針状コロ方式一方向クラッチ(18)に換えて、右クランクボス(12)と左クランクボス(13)の対向側にそれぞれ内輪(40・41)を形成し、スプロケット軸(42)と回転がずれないように該軸(42)に係着した外輪(43)に複数個のV溝(44)を形成して、該V溝(44)に係合する凸片(45)と該内輪(40・41)に係合する円弧片(46)を形成し中央に線バネ(47)を入れるスリット(48)を設けた転体(49)をそれぞれ両内輪(40・41)と外輪(43)間に配置し、線バネ(47)によって内輪(40・41)と外輪(43)間にくさび作用が働く方向に組み込んだ、請求項2記載の自転車の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車の推進装置に関するものの内、チェーンと後輪周りを含まないクランク周辺と漕ぎ方に関するものであり、従来の入力方式であるクランクの円運動を円弧運動に変えることで、従来の入力方式の最大欠点である上・下死点での伝達ロスを排除することにより登坂性能の大幅な向上を可能となす装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペダルと靴を連結しない既存の一般的な自転車で坂道を登る時のペダル踏力とクランク角度及び動力伝達の関係について詳しく考えてみる時、登坂性能を著しく低下させる要素は、間違いなくクランクの上・下死点とその近辺における伝達ロスである。登坂時の漕ぎ方としてサドルから腰を浮かせペダルに全体重を乗せて漕ぐが、そもそも上・下死点に位置するペダルに体重を乗せてもクランクを回転させる力には変換されない。クランクの上死点を0度、下死点を180度とし、踏力がさほどのロス無くクランクの回転力として伝達する角度域を45度から135度までと仮定して以下に説明すれば、クランクの片側が該角度域にある内にもう一方のクランクが該角度域に達する分の自転車本体の惰性が得られるまで片側のクランクで加速しない限り連続してペダルを漕ぐことはできない。いわば上記該角度域を推力工程とすればもう一方のクランクの315度から45度までの角度域は自転車本体の惰性によってクランクが進むのを待たなければならない待機行程と言える。惰性の減衰が著しい上り坂に於いて、ペダルが効率的な位置に進むまでの間を惰性でつながなくてはならないことが登坂性能低下の最大の要因である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、力を伝えにくい上・下死点での伝達を排除して、ペダルを踏む力が回転トルクとして伝達しやすい角度域でのみ両側のペダルを交互に連続して踏める構成とするために、前輪と後輪を結ぶ線に線対象にクランク及びペダルを配置してクランクを円弧運動に制限し、且つ片側のペダルを押し下げるとこれに同期してもう一方のペダルが押し上がる構成を設け、ペダルを踏み込む方向にのみ回転を伝達し逆方向は空転する一方向クラッチをクランクとクランクスプロケット間に配置して前記待機行程を無くす。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従来のクランク軸に相当する部品として、シェルの内径両端にそれぞれ螺合するラジアル方向及びスラスト方向の負荷を許容する大径軸受をガイドとしてシェルの軸芯を軸に回転自在な一対の対向するクランクボスを与え、両該クランクボスの外側にはクランクをねじ止めする接合部を形成し、対向側にもそれぞれラジアル方向及びスラスト方向の負荷を許容する小径軸受を圧入してこれを両該クランクボスで挟み込むかたちとし、上記大径軸受をねじ込んで両該クランクボスを押しつけることで、ペダリングのための必要な強度を持たせながら左右のクランクを別々にガタ無くスムースに漕げるようにする。
【0005】
クランクボスの回転をクランクスプロケットに伝えるスプロケット軸は、両クランクボスの外端中心に圧入される軸受にてその両端を支え、且つ前記小径軸受の内径とスプロケット軸の外径をスキマ嵌として、機械的強度のアップを図る。
【0006】
クランクボスの回転方向のうち自転車を前進させる方向のみをスプロケット軸に伝える針状コロ方式一方向クラッチは該ボス内径に圧入されてスプロケット軸と嵌合し、上記軸受と小径軸受によって該ボスのガタつきによる破損を防止する。
【0007】
ラチェット歯と爪の噛合いによる一方向クラッチ方式はクランクとスプロケット軸間で最大で該歯一歯分の遊びが生じるため適さず、外輪と内輪間に置かれる転体の楔作用によるロック方式のほうが合理的である。
【0008】
スプロケット軸と逆ねじで螺着されるクランクスプロケットは左右のペダルの水平距離を狭くして漕ぎ易くするために、お椀状にプレス成型される。
【0009】
両クランクボスの対向側にそれぞれ傘歯車を形成し、これに噛合う小傘歯車を回転自在に保持する保持体をシェル内径にガタ無く収め、該保持体のスラスト方向の動きを自在にしつつラジアル方向には回動しないようにシェルに固定して、片方のクランクの回動方向に連動させてもう一方のクランクを逆回動させる一手段となす。
【0010】
片方のペダルを押し下げるともう一方が引き上がる別手段として、シェル外径と同心円状にベルトを掛けるプーリ部とプーリ部の端にベルトを止着するベルト止めを両クランクに形成して左右のクランクをベルトで繋ぎ、このベルトをサドルフレームに固定した滑車に掛けて両クランクを吊ることにより目的の動きを得る。
【発明の効果】
【0011】
以上の構成により、力が伝わりにくい上・下死点にペダルが位置することが無くなり、及び前記待機行程が無くなるため上り坂において自転車本体の惰性を減少させずに推力を与えることができる。今仮に自転車が倒れない最低速度を5km/hとして大まかに説明すれば、従来の自転車で勾配10度の坂における待機行程での速度減衰が10km/hとすれば推力工程に於いて15km/hまで加速しないと最低速度の5km/hを維持できないことになる。見方を逆にすれば従来自転車で勾配10度の坂を登れるのであれば本発明なら同勾配を時速15kmで登れることになる。
【0012】
クランクの回動角はストッパー位置で決められ、この角度内であればペダルを踏む角度は漕ぎ手の自在である。クランクが水平に近いほど動力伝達の効率は上がるから急坂は踏み角を小さくする等使い勝手が増す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】 本発明の請求項1に係る一実施形態の右側面図である。
図2図1の実施形態の左側面図である。
図3図2中の枠Aの拡大図で、ペダルの高さを揃えた状態の図である。
図4図3中のB矢視図である。
図5図3中のC-C線断面図である。
図6】 周辺の図示を省略した図5中のD-D線断面図である。
図7】 本発明の請求項2に係る一実施形態の左側面図である。
図8図7中の枠Eの拡大図である。
図9図8中のF矢視図である。
図10図9中のG-G線断面図である。
図11図9中のH-H線断面図である。
図12図7中の枠Iの拡大図である。
図13図12中のJ矢視図である。
図14図12中のK-K線断面図である。
図15】 一方向クラッチを別手段とした場合に於ける、図12中のK-L線断面図である。
図16】 周辺の図示を省略した図15中のM-M線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1図6は、片側のペダルを踏み込むともう一方が押し上がる構成をシェル8内部に収めた一実施形態であり、図1は右ペダル1が最上点で左ペダル2が最下点にある状態を示した図であって、クランクスプロケット5は右クランク3の外側に配置される。
【0016】
図3に示すごとく、クランク3・4の最大動作角は、両ペダル1・2の高さを合わせた時のクランク3・4とストッパー10の成す角で決まり、ストッパー10はフレーム7に溶着されてシェル8の外径を締着するシェル押え9に形成される。
【0017】
図5及び図6に於いて、従来のクランク軸に相当する部品として、軸心部に貫通穴をあけ大径とした一対の対向する右クランクボス12と左クランクボス13を与え、クランク3・4との接合側をシェル8の内径に螺着される大径軸受14で支持し、両該ボス12・13の対向側には、後述のスプロケット軸17の外径と嵌合する小径軸受15をそれぞれ圧入して両該ボス12・13で挟み込む配置とし、大径軸受14をねじ込み両該ボス12・13を軸芯方向に押し付けることで、左右のクランク3・4の個別な回転を可能となし且つペダリングの為の必要な強度を持たせる。ここでの軸受はラジアル荷重に比例したスラスト荷重が必要であるから接触角を大きくとったアンギュラ型が適す。
【0018】
両該クランクボス12・13の回転方向のうち自転車を前進させる方向の回転のみをクランクスプロケット5が固着されるスプロケット軸17に伝える針状コロ方式一方向クラッチ18は両該ボス12・13の内径にそれぞれ圧入されてスプロケット軸17の外径と嵌合し、該軸17は両該ボス12・13の外端中心に圧入される軸受19にてその両端を支えられ且つ上記小径軸受15の内径とスキマ嵌として両該ボス12・13の動作面の安定及び強度アップを図りながら両該ボス12・13のガタつきによる該クラッチ18の破損を防止する。
【0019】
両該ボス12・13の対向側に傘歯車20を形成し、これに噛み合う小傘歯車21を回転自在に軸支する支軸22を圧入した保持体23をカラー24で挟んでシェル8の内径にスキマ嵌とし、組込後シェル8に設けた長穴25から挿入するくさび板26により保持体23の回転を止め、片方のクランクの回動方向に連動させてもう一方のクランクを逆回動させる。
【0020】
サドルから腰を浮かせて両ペダル1・2に体重を掛けた時の負荷による部品破損の恐れのある個所は傘歯車20及び小傘歯車21とその周辺である。よって図6の如く小傘歯車21の数を多くしてこれを防ぐ。
【実施例2】
【0021】
図7図14は、片側のペダルを踏み込むともう一方が押し上がる手段としてこれをシェル外部に構成した一実施形態であり、実施例1に於ける傘歯車20とその周辺構成を廃し、左右のクランクをベルトで繋いでサドルフレームに取り付けた滑車装置により左右のクランクを吊ることで目的の動きを得る。
【0022】
シェル30の外径と同心円状にベルト31を掛けるプーリ部32を右クランク33と左クランク34に形成し、プーリ部32の端にベルト31を固着するベルト止め35を配置して、両該クランク33・34をベルト31で繋ぎ、このベルト31をサドルフレーム36に取り付けた滑車装置37の滑車38に掛ける。この実施形態におけるペダルの最下点はストッパーZ39で決まり、クランクの最大動作角はベルト31の長さとストッパーZ39及び滑車装置37の取り付け位置で決まる。
【実施例3】
【0023】
図15及び図16は実施例2における針状コロ方式一方向クラッチ18の代替えの一実施形態であり、右クランクボス12と左クランクボス13の対向側にそれぞれ内輪40・41を形成し、スプロケット軸42に該軸42と回転がずれないように係着した外輪43に複数個のV溝44を形成し、該V溝44に係合する凸片45と両内輪40・41に係合する円弧片46を有し中央に線バネ47を入れるスリット48を設けた転体49を両内輪40・41と外輪42間に配置して、両該ボス12・13の一方向の回転に対し内輪40・41と外輪42の間にくさび作用が働く方向に組み込まれる。スペーサー50は一列に2個置かれる転体49の互いの干渉を防止するリング状の部品であり、転体49を線バネ47により組み付けた外輪43を内輪40・41に挿入する際の、対角位置にある転体49の円弧片46が作る径を縮めて組み易くする為のものでもある。
【符号の説明】
【0024】
1 右ペダル
2 左ペダル
3 右クランク
4 左クランク
5 クランクスプロケット
6 足ガード
7 フレーム
8 シェル
9 シェル押え
10 ストッパー
11 ストッパー受け
12 右クランクボス
13 左クランクボス
14 大径軸受
15 小径軸受
16 スペーサー
17 スプロケット軸
18 針状コロ方式一方向クラッチ
19 軸受
20 傘歯車
21 小傘歯車
22 支軸
23 保持体
24 カラー
25 長穴
26 くさび板
27 ロックリング
28 防塵ゴム板
29 チェーン
30 シェル
31 ベルト
32 プーリ部
33 右クランク
34 左クランク
35 ベルト止め
36 サドルフレーム
37 滑車装置
38 滑車
39 ストッパーZ
40 内輪
41 内輪
42 スプロケット軸
43 外輪
44 V溝
45 凸片
46 円弧片
47 線バネ
48 スリット
49 転体
50 スペーサー
51 キー溝
52 キー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
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