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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】電池およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/553 20210101AFI20230302BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20230302BHJP
   H01M 50/176 20210101ALI20230302BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20230302BHJP
   H01M 50/567 20210101ALI20230302BHJP
【FI】
H01M50/553
H01M50/103
H01M50/176
H01M50/533
H01M50/567
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020190260
(22)【出願日】2020-11-16
(65)【公開番号】P2022079212
(43)【公開日】2022-05-26
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】室屋 陽平
(72)【発明者】
【氏名】梅村 幸司
(72)【発明者】
【氏名】今堀 利生
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/025388(WO,A1)
【文献】特開2017-041320(JP,A)
【文献】特開2011-076867(JP,A)
【文献】特開2017-147080(JP,A)
【文献】特開2019-067762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有する導電部材と、
前記貫通孔に挿入され、前記導電部材上に露出する先端部を有する端子部材とを備え、
前記端子部材の前記先端部と前記導電部材との接合部が形成され、
前記接合部は、前記端子部材の厚みが相対的に厚い厚肉部と、前記接合部の径方向に延び、前記端子部材の厚みが相対的に薄い薄肉部とを含む、電池。
【請求項2】
前記接合部は、前記接合部の周方向に延び、前記厚肉部に対して前記端子部材の厚みが相対的に薄い他の薄肉部をさらに含む、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記電池は長手方向と短手方向とを含む矩形状の上面を有し、
前記短手方向に離間した複数の前記厚肉部が形成される、請求項1または請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記電池は長手方向と短手方向とを含む矩形状の上面を有し、
前記厚肉部は、前記短手方向に延びる前記接合部の中心軸上に最も厚みの厚い部分を有する、請求項1または請求項2に記載の電池。
【請求項5】
前記薄肉部は放射状に延びる、請求項1から請求項4のいずれかに記載の電池。
【請求項6】
前記接合部の周方向において前記厚肉部と前記薄肉部とが交互に配置される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電池。
【請求項7】
前記厚肉部から前記薄肉部に向けて徐々に厚みが薄くなるように前記接合部が形成される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電池。
【請求項8】
前記接合部の外周は、前記薄肉部が位置する部分において前記接合部の中心に向かって窪む凹部を含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電池。
【請求項9】
前記接合部は、前記端子部材の前記先端部と前記導電部材とのカシメ部により形成される、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電池。
【請求項10】
前記カシメ部は、一対の直線部と一対の曲線部とを含む平面形状を有し、
前記薄肉部は、前記直線部と前記曲線部との間に位置する、請求項9に記載の電池。
【請求項11】
前記電池は電極体をさらに備え、
前記導電部材は、前記電極体と前記端子部材とを電気的に接続する集電体である、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電池。
【請求項12】
導電部材の貫通孔に端子部材を挿入する工程と、
電池上面の短手方向に延びる中心軸を有し、前記端子部材の先端部と前記導電部材とを接合する接合部を形成する工程と、
前記中心軸上に前記接合部の厚みが相対的に厚い厚肉部を形成し、前記厚肉部に対して前記接合部の周方向に隣接する位置に、前記接合部の径方向に延び、前記接合部の厚みが相対的に薄い薄肉部を形成するように前記接合部を加工する工程とを備えた、電池の製造方法。
【請求項13】
前記接合部を加工する工程は、カシメにより前記端子部材の前記先端部と前記導電部材とを接合する工程と同時に行われる、請求項12に記載の電池の製造方法。
【請求項14】
前記接合部を加工する工程は、前記端子部材の前記先端部と前記導電部材とを接合する工程の後に行われる、請求項12に記載の電池の製造方法。
【請求項15】
前記接合部を加工する工程は、前記接合部の周方向に延び、前記厚肉部に対して前記端子部材の厚みが相対的に薄い他の薄肉部を形成することをさらに含む、請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池において、端子部材と集電体とをカシメ接合することが従来から行われている。このような構造は、たとえば特開2011-076867号公報(特許文献1)に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-076867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、集電体と端子部材との間の固定においてカシメ固定とレーザ溶接とを併用することにより、低抵抗化した二次電池を供給できるとされている。
【0005】
しかし、カシメ部の肉厚が不足した場合には、端子部材の接合強度が低下するという問題が生じ得る。他方、必要のない部分においてまで接合部の肉厚を過度に厚くすることは、過剰設計に繋がり好ましくない。
【0006】
本開示の目的は、過剰設計を回避しながら端子部材の接合強度を高めることが可能な電池およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る電池は、貫通孔を有する導電部材と、貫通孔に挿入され、導電部材上に露出する先端部を有する端子部材とを備える。端子部材の先端部と導電部材との接合部が形成される。接合部は、端子部材の厚みが相対的に厚い厚肉部と、端子部材の厚みが相対的に薄い薄肉部とを含む。
【0008】
本開示に係る電池の製造方法は、導電部材の貫通孔に端子部材を挿入する工程と、電池上面の短手方向に延びる中心軸を有し、端子部材の先端部と導電部材とを接合する接合部を形成する工程と、中心軸上に接合部の厚みが相対的に厚い厚肉部を形成するように接合部を加工する工程とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、過剰設計を回避しながら端子部材の接合強度を高めることが可能な電池およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】角形二次電池の斜視図である。
図2図1におけるII-II断面図である。
図3】電極体を構成する正極板の平面図である。
図4】電極体を構成する負極板の平面図である。
図5】正極板および負極板からなる電極体を示す平面図である。
図6】電極体と正極集電部材および負極集電部材との接続構造を示す図である。
図7】封口板への正極集電部材および負極集電部材の取付構造を示す図である。
図8図7におけるVIII-VIII断面図である。
図9図7におけるIX-IX断面図である。
図10】封口板と電極体とが接続された状態を示す図である。
図11】組電池におけるバスバーの配置を示す図である。
図12】カシメ接合前の電極端子および集電体を示す図である。
図13】カシメ接合後の電極端子および集電体を示す図である。
図14】カシメ部の形状の第1の例を示す図である。
図15】カシメ部の形状の第2の例を示す図である。
図16】カシメ部の形状の第3の例を示す図である。
図17】カシメ部の形状の第4の例を示す図である。
図18】カシメ部の形状の第5の例を示す図である。
図19】電池ケース外部のカシメ部の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0012】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本開示の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本開示にとって必ずしも必須のものではない。
【0013】
(角形二次電池1の構成)
図1は、角形二次電池1の斜視図である。図2は、図1におけるII-II断面図である。
【0014】
図1図2に示すように、角形二次電池1は、電池ケース100と、電極体200と、絶縁シート300と、正極端子400と、負極端子500と、正極集電部材600と、負極集電部材700と、カバー部材800とを含む。
【0015】
電池ケース100は、開口を有する有底角筒状の角形外装体110と、角形外装体110の開口を封口する封口板120とからなる。角形外装体110および封口板120は、それぞれ金属製であることが好ましく、アルミニウムまたはアルミニウム合金製とすることが好ましい。
【0016】
封口板120には、電解液注液孔121が設けられる。電解液注液孔121から電池ケース100内に電解液が注液された後、電解液注液孔121は、封止部材122により封止される。封止部材122としては、たとえばブラインドリベットおよびその他の金属部材を用いることができる。
【0017】
封口板120には、ガス排出弁123が設けられる。ガス排出弁123は、電池ケース100内の圧力が所定値以上となった際に破断する。これにより、電池ケース100内のガスが電池ケース100外に排出される。
【0018】
電極体200は、電解液とともに電池ケース100内に収容されている。電極体200は、正極板と負極板がセパレータを介して積層されたものである。電極体200と角形外装体110の間には樹脂製の絶縁シート300が配置されている。
【0019】
電極体200の封口板120側の端部には、正極タブ210Aおよび負極タブ210Bが設けられている。
【0020】
正極タブ210Aと正極端子400とは、正極集電部材600を介して電気的に接続されている。正極集電部材600は、第1正極集電体610および第2正極集電体620を含む。なお、正極集電部材600は、1つの部品から構成されてもよい。正極集電部材600は、金属製であることが好ましく、アルミニウムまたはアルミニウム合金製とすることがより好ましい。
【0021】
負極タブ210Bと負極端子500とは、負極集電部材700を介して電気的に接続されている。負極集電部材700は、第1負極集電体710および第2負極集電体720を含む。なお、負極集電部材700は、1つの部品から構成されてもよい。負極集電部材700は、金属製であることが好ましく、銅または銅合金製であることがより好ましい。
【0022】
正極端子400は、樹脂製の外部側絶縁部材410を介して封口板120に固定されている。負極端子500は、樹脂製の外部側絶縁部材510を介して封口板120に固定されている。
【0023】
正極端子400は金属製であることが好ましく、アルミニウムまたはアルミニウム合金製であることがより好ましい。負極端子500は金属製であることが好ましく、銅または銅合金製であることがより好ましい。負極端子500が、電池ケース100の内部側に配置される銅または銅合金からなる領域と、電池ケース100の外部側に配置されるアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる領域を有するようにしてもよい。
【0024】
カバー部材800は、第1正極集電体610と電極体200との間に位置する。カバー部材800は、負極集電体側に設けられてもよい。また、カバー部材800は必須の部材ではなく、適宜省略が可能である。
【0025】
(電極体200の構成)
図3は、電極体200を構成する正極板200Aの平面図である。正極板200Aは、矩形状のアルミニウム箔からなる正極芯体の両面に正極活物質(たとえばリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物等)、結着材(ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等)、および導電材(たとえば炭素材料等)を含む正極活物質合剤層が形成された本体部220Aを有する。本体部の端辺から正極芯体が突出しており、この突出した正極芯体が正極タブ210Aを構成する。正極タブ210Aにおける本体部の220Aと隣接する部分には、アルミナ粒子、結着材、および導電材を含む正極保護層230Aが設けられている。正極保護層230Aは、正極活物質合剤層の電気抵抗よりも大きな電気抵抗を有する。正極活物質合剤層は導電材を含まなくてもよい。正極保護層230Aは必ずしも設けられなくてもよい。
【0026】
図4は、電極体200を構成する負極板200Bの平面図である。負極板200Bは、矩形状の銅箔からなる負極芯体の両面に負極活物質層が形成された本体部220Bを有する。本体部220Bの端辺から負極芯体が突出しており、この突出した負極芯体が負極タブ210Bを構成する。
【0027】
図5は、正極板200Aおよび負極板200Bからなる電極体200を示す平面図である。図5に示すように、電極体200は、一方の端部において各々の正極板200Aの正極タブ210Aが積層され、各々の負極板200Bの負極タブ210Bが積層されるように作製される。正極板200Aおよび負極板200Bは、たとえば各々50枚程度ずつ重ねられる。正極板200Aと負極板200Bとは、ポリオレフィン製の矩形状のセパレータを介して交互に積層される。なお、長尺のセパレータをつづら折りして用いてもよい。
【0028】
(電極体200と正極集電部材600および負極集電部材700との接続構造)
図6は、電極体200と正極集電部材600および負極集電部材700との接続構造を示す図である。図6に示すように、電極体200は、第1電極体要素201(第1積層群)および第2電極体要素202(第2積層群)により構成される。第1電極体要素201および第2電極体要素202の外面にもセパレータが各々配置される。第1電極体要素201および第2電極体要素202は、たとえばテープ等により積層状態の状態で固定することができる。代替的に、各々の正極板200A、負極板200Bおよびセパレータに接着層を設け、セパレータと正極板200Aとが各々接着され、セパレータと負極板200Bとが各々接着されるようにしてもよい。
【0029】
第1電極体要素201の複数枚の正極タブ210Aが第1正極タブ群211Aを構成する。第1電極体要素201の複数枚の負極タブ210Bが第1負極タブ群211Bを構成する。第2電極体要素202の複数枚の正極タブ210Aが第2正極タブ群212Aを構成する。第2電極体要素202の複数枚の負極タブ210Bが第2負極タブ群212Bを構成する。
【0030】
第1電極体要素201と第2電極体要素202の間に、第2正極集電体620と第2負極集電体720とが配置される。第2正極集電体620は、第1開口620Aおよび第2開口620Bを有する。第1正極タブ群211Aおよび第2正極タブ群212Aが、第2正極集電体620上に溶接接続され、溶接接続部213が形成される。第1負極タブ群211Bおよび第2負極タブ群212Bが、第2負極集電体720上に溶接接続され、溶接接続部213が形成される。溶接接続部213は、たとえば、超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接等により形成し得る。
【0031】
(封口板120への正極集電部材600および負極集電部材700の取付構造)
図7は、封口板120への正極集電部材600および負極集電部材700の取付構造を示す図である。図8は、図7におけるVIII-VIII断面を示す。図9は、図7におけるIX-IX断面を示す。
【0032】
まず、図7図8を参照して、封口板120への正極集電部材600の取付について説明する。
【0033】
封口板120の外面側に樹脂製の外部側絶縁部材410が配置される。封口板120の内面側に第1正極集電体610、および樹脂製の絶縁部材630(正極集電体ホルダ)が配置される。次に、正極端子400が、外部側絶縁部材410の貫通孔、封口板120の正極端子取り付け孔、第1正極集電体610の貫通孔、および絶縁部材630の貫通孔に挿入される。そして、正極端子400の先端に位置するカシメ部400Aが第1正極集電体610上にカシメ接続される。これにより、正極端子400、外部側絶縁部材410、封口板120、第1正極集電体610、および絶縁部材630が固定される。なお、正極端子400および第1正極集電体610のカシメ接続された部分は、レーザ溶接等により溶接接続されることが好ましい。なお、第1正極集電体610はザグリ穴610Aを有し、カシメ部400Aはザグリ穴610A内に設けられる。
【0034】
さらに、第2正極集電体620の一部が第1正極集電体610と重なるように、第2正極集電体620が絶縁部材630上に配置される。第2正極集電体620に設けられた第1開口620Aにおいて、第2正極集電体620は第1正極集電体610にレーザ溶接等により溶接接続される。
【0035】
図8に示すように、絶縁部材630は、電極体200側に突出する筒状部630Aを有する。筒状部630Aは、第2正極集電体620の第2開口620Bを貫通し、電解液注液孔121と連通する孔部630Bを規定する。
【0036】
封口板120に正極集電部材600を取り付ける際は、まず、第1正極集電体610が封口板120上の絶縁部材630に接続される。続いて、電極体200に接続された第2正極集電体620が第1正極集電体610に取り付けられる。このとき、第2正極集電体620の一部が第1正極集電体610と重なるように第2正極集電体620が絶縁部材630上に配置される。続いて、第2正極集電体620に設けられた第1開口620Aの周囲が、レーザ溶接等により第1正極集電体610に溶接接続される。
【0037】
次に、図7および図9を参照して、封口板120への負極集電部材700の取付について説明する。
【0038】
封口板120の外面側に樹脂製の外部側絶縁部材510が配置される。封口板120の内面側に第1負極集電体710、および樹脂製の絶縁部材730(負極集電体ホルダ)が配置される。次に、負極端子500が、外部側絶縁部材510の貫通孔、封口板120の負極端子取り付け孔、第1負極集電体710の貫通孔、および絶縁部材730の貫通孔に挿入される。そして、負極端子500の先端に位置するカシメ部500Aが第1負極集電体710上にカシメ接続される。これにより、負極端子500、外部側絶縁部材510、封口板120、第1負極集電体710、および絶縁部材730が固定される。なお、負極端子500および第1負極集電体710のカシメ接続された部分は、レーザ溶接等により溶接接続されることが好ましい。
【0039】
さらに、第2負極集電体720の一部が第1負極集電体710と重なるように、第2負極集電体720が絶縁部材730上に配置される。第2負極集電体720に設けられた第1開口720Aにおいて、第2負極集電体720は第1負極集電体710にレーザ溶接等により溶接接続される。
【0040】
封口板120に負極集電部材700を取り付ける際は、まず、第1負極集電体710が封口板120上の絶縁部材730に接続される。続いて、電極体200に接続された第2負極集電体720が第1負極集電体710に取り付けられる。このとき、第2負極集電体720の一部が第1負極集電体710と重なるように第2負極集電体720が絶縁部材730上に配置される。続いて、第2負極集電体720に設けられた第1開口720Aの周囲が、レーザ溶接等により第1負極集電体710に溶接接続される。
【0041】
(封口板120と電極体200との接続構造)
図10は、封口板120と電極体200とが接続された状態を示す図である。上述したように、正極集電部材600および負極集電部材700を介して第1電極体要素201および第2電極体要素202が封口板120に取り付けられる。これにより、図10に示すように、第1電極体要素201および第2電極体要素202が封口板120に接続され、電極体200と正極端子400および負極端子500とが電気的に接続される。
【0042】
(電極体200および角形二次電池1の形成)
図10に示す状態から、第1電極体要素201と第2電極体要素202とが1つに纏められる。このとき、第1正極タブ群211Aと第2正極タブ群212Aとが互いに異なる方向に湾曲させられる。第1負極タブ群211Bと第2負極タブ群212Bとが互いに異なる方向に湾曲させられる。
【0043】
第1電極体要素201と第2電極体要素202とは、テープ等により1つに纏められ得る。代替的に、第1電極体要素201と第2電極体要素202とを、箱状ないし袋状に成形した絶縁シート内に配置することで1つに纏めることができる。さらに、第1電極体要素201と第2電極体要素202とを接着により固定することができる。
【0044】
1つに纏められた第1電極体要素201と第2電極体要素202とが絶縁シート300で包まれ、角形外装体110に挿入される。その後、封口板120が角形外装体110に溶接接続され、角形外装体110の開口が封口板120により封口され、密閉された電池ケース100が形成される。
【0045】
その後、封口板120に設けられた電解液注液孔121から非水電解液が電池ケース100に注液される。非水電解液としては、たとえば、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、およびジエチルカーボネート(DEC)とを、体積比(25℃)30:30:40の割合で混合した非水溶媒に、LiPF6を1.2モル/Lの濃度で溶解させたものを用いることができる。
【0046】
非水電解液が注液された後、電解液注液孔121は封止部材122により封止される。以上の工程の実施により、角形二次電池1は完成する。
【0047】
(組電池におけるバスバー2の配置)
図11は、組電池におけるバスバーの配置を示す図である。図11に示す例は、複数の角形二次電池1を直列接続するものである。すなわち、図11の例では、隣接する角形二次電池1の正極端子400と負極端子500とがバスバー2により電気的に接続される。正極端子400および負極端子500とバスバー2とは、典型的には溶接により接合される。
【0048】
(電極端子と集電部材とのカシメ接合)
図12図13は、各々、カシメ接合前、カシメ接合後の正極端子400(端子部材)および第1正極集電体610(集電体)を示す図である。なお、以下では、正極端子400と第1正極集電体610とのカシメ部400Aについて例示するが、カシメ部500Aにおいても同様の構造を採用可能である。
【0049】
図12に示すように、第1正極集電体610および絶縁部材630に形成された貫通孔611,631に正極端子400を挿入し、第1正極集電体610側に正極端子400の先端穴部400αを露出させた状態で、正極端子400の先端穴部400α上に治具900を配置し、治具900を矢印DR900方向に移動させる。これにより、図13に示すように、第1正極集電体610と正極端子400とを接合し、厚みTを有するカシメ部400A(接合部)が形成される。
【0050】
(カシメ部の形状)
図14は、カシメ部400Aの形状の一例を示す。なお、カシメ部500Aについても、カシメ部400Aの形状と同じ形状を採用可能である。本実施の形態に係る角形二次電池1は、カシメ部400Aの形状に1つの特徴を有する(カシメ部500Aも同様である。)。
【0051】
図14に示すように、カシメ部400Aは、正極端子400の厚みが相対的に厚い厚肉部10と、正極端子400の厚みが相対的に薄い薄肉部20とを含む。厚肉部10の厚みTは、たとえば0.45mm以上0.9mm以下程度である。本実施の形態において、薄肉部20は、厚肉部10に対して厚みTが相対的に10%以上程度薄い部分を意味する。
【0052】
カシメ部400Aは、アルミニウムや銅などの金属により構成される。カシメ部400Aの表面にニッケル層が形成されていてもよい。
【0053】
カシメ部400Aの厚みTは、厚肉部10と薄肉部20との境界において徐々に厚みが薄くなるようにが形成されている。ただし、厚肉部10と薄肉部20との境界において厚みを変化させる段差が形成されてもよい。
【0054】
厚肉部10は、図14中の上下に離間して2つ形成されている。すなわち、正極端子400と負極端子500とが並ぶX軸方向(封口板120の長手方向)に直交するY軸方向(封口板120の短手方向)に離間した複数の厚肉部10が形成されている。厚肉部10は、Y軸方向に延びるカシメ部400Aの中心軸上に位置している。典型的には、厚肉部10は、カシメ部400Aにおいて最も厚みTが厚い部分を有するが、カシメ部400Aにおいて、厚肉部10よりも厚みTが厚い部分が存在してもよい。
【0055】
薄肉部20は、第1薄肉部20Aと、第2薄肉部20Bとを含む。第1薄肉部20Aは、カシメ部400Aの外周縁に沿って周方向に延びる。第1薄肉部20Aと第1正極集電体610とを溶接により接合してもよい。第1薄肉部20Aの厚みは相対的に薄いため、溶接照射位置の位置ずれが生じにくく、安定した溶接強度を得ることができる。
【0056】
第2薄肉部20Bは、厚肉部10に対してカシメ部400Aの周方向に隣接する位置に形成される。第2薄肉部20Bは、カシメ部400Aの径方向に延びる。第2薄肉部20Bは放射状に延びるように形成されている。カシメ部400Aの周方向において厚肉部10と第2薄肉部20Bとが交互に配置されてもよい。
【0057】
第2薄肉部20Bが位置する部分において、カシメ部400Aの外周縁はカシメ部400Aの中心に向かって窪むように形成されている。すなわち、第2薄肉部20Bにおけるカシメ部400Aの幅は、厚肉部10におけるカシメ部400Aの幅Lよりも小さい。
【0058】
カシメ部400Aは、一対の直線部400A1と一対の曲線部400A2とを周方向に沿って交互に含む。図14に示される6つの第2薄肉部20Bのうち4つの第2薄肉部20Bは、直線部400A1と曲線部400A2との間に位置する。
【0059】
カシメ部400Aの平面形状は、直線部400A1および曲線部400A2を有するものに限定されない。たとえば、カシメ部400Aの平面形状が真円形状や楕円形状であってもよい。
【0060】
第1薄肉部20Aは、正極端子400と第1正極集電体610とのカシメ部400Aを形成した後に、カシメ部400Aにプレス加工を施すことにより形成される。
【0061】
第2薄肉部20Bは、正極端子400と第1正極集電体610とのカシメ部400Aを形成するカシメ工程時、すなわちカシメ部400Aと同時に形成される。ただし、カシメ部400Aを形成した後にカシメ部400Aにプレス加工を施すことにより第2薄肉部20Bを形成してもよい。
【0062】
図14の例において、第1薄肉部20Aおよび第2薄肉部20Bは、周方向の角度θ1,θ2(=130°)の範囲に形成されている。すなわち、第1薄肉部20Aおよび第2薄肉部20Bは、X軸方向に対して±65°以下程度の範囲内に形成される。このようにすることで、カシメ部400Aに比較的大きな強度が要求される角形二次電池1の短手方向(Y軸方向)の両端に厚肉部10を選択的に設けることができる。この結果、カシメ部400Aを過度に大きくすることなく、カシメ部400Aによる正極端子400と第1正極集電体610との接合強度を向上させることができる。この結果、正極端子400と第1正極集電体610との安定的な電気的導通を図ることができる。
【0063】
図15図18は、カシメ部400Aの形状の変形例を示す。図15に示すように、第1薄肉部20Aを形成せず、放射状の第2薄肉部20Bと厚肉部10のみを設けるようにしてもよい。また、図16に示すように、X軸方向に対して±65°以下程度の範囲内である薄肉部形成領域20βに第1薄肉部20Aおよび第2薄肉部20B(位置および形状が適宜変更されるため、図16においては図示せず。)を形成してもよい。また、図17に示すように、X軸方向に対して±65°以下程度の範囲内である薄肉部形成領域20βに第2薄肉部20B(位置および形状が適宜変更されるため、図17においても図示せず。)のみを形成してもよい。さらに、図18に示すように、第2薄肉部20Bは、カシメ部400Aの外周縁部近傍にのみ形成され、カシメ部400Aの内周部に達しないものであってもよい。
【0064】
(電池ケース100外部への適用)
上述の例では、電池ケース100内部のカシメ部400Aについて説明したが、図19に示すように、正極端子400の端子部材401と外部端子402(導電部材)とのカシメ部400Bにおいても同様の構成を採用可能である。すなわち、本開示に係る接合構造は、電池ケース100の外部に配置される端子部材と導電部材との接合構造にも適用可能である。
【0065】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
1 角形二次電池、2 バスバー、10 厚肉部、20 薄肉部、20A 第1薄肉部、20B 第2薄肉部、20β 薄肉部形成領域、100 電池ケース、110 角形外装体、120 封口板、121 電解液注液孔、122 封止部材、123 ガス排出弁、200 電極体、200A 正極板、200B 負極板、201 第1電極体要素、202 第2電極体要素、210A 正極タブ、210B 負極タブ、211A 第1正極タブ群、211B 第1負極タブ群、212A 第2正極タブ群、212B 第2負極タブ群、213 溶接接続部、220A 本体部、220B 本体部、230A 正極保護層、300 絶縁シート、400 正極端子、400A カシメ部、400A1 直線部、400A2 曲線部、400α 先端穴部、400B カシメ部、401 端子部材、402 外部端子、410 外部側絶縁部材、500 負極端子、500A カシメ部、510 外部側絶縁部材、600 正極集電部材、610 第1正極集電体、610A ザグリ穴、611 貫通孔、620 第2正極集電体、620A 第1開口、620B 第2開口、630 絶縁部材、630A 筒状部、630B 孔部、631 貫通孔、700 負極集電部材、710 第1負極集電体、720 第2負極集電体、720A 第1開口、730 絶縁部材、800 カバー部材、900 治具。
図1
図2
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図4
図5
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図10
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